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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017474
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】消火栓装置及び消火器箱
(51)【国際特許分類】
   A62C 35/20 20060101AFI20240201BHJP
   A62C 3/00 20060101ALI20240201BHJP
   A62C 13/78 20060101ALI20240201BHJP
   G08B 17/00 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
A62C35/20
A62C3/00 J
A62C13/78 A
G08B17/00 C
G08B17/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022120124
(22)【出願日】2022-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 進
(72)【発明者】
【氏名】梅原 寛
(72)【発明者】
【氏名】松熊 秀成
【テーマコード(参考)】
2E189
5G405
【Fターム(参考)】
2E189EC01
2E189EC05
2E189NA07
5G405AA02
5G405AA10
5G405AC09
5G405AD06
5G405AD07
5G405CA21
5G405CA23
5G405CA52
5G405CA58
5G405CA60
(57)【要約】
【課題】発信機が操作されずに消火栓や消火器による消火活動が行われた場合にも火災の発生に対し非常用設備の適切な運用管理を可能とする。
【解決手段】制御部48は、道路利用者による発信機24の操作が検出されることなく消火栓扉15の開操作が検出された場合、発信機24の操作を促す音声をスピーカ部45から出力し、発信機24の案内表示部44を点滅させる。発信機24が操作されずに消火栓扉15の開操作に続く所定の消火栓機器の操作、例えば、消火用ホースのノズルの取り出し操作が検出された場合には、制御部48は、火災の確定を判断し、発信機24を操作した場合と同様に火災通報信号を防災受信盤へ自動的且つ強制的に送信して火災警報を出力させる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネルに設置され、ノズルを備えた消火ホースを含む消火栓機器、及び発信機を含む非常通報装置を少なくとも備えた消火栓装置であって、
前記発信機の操作が検出されることなく消火栓扉の開操作が検出された場合に、前記発信機の操作を促す音声及び又は表示による操作案内を出力する制御部が設けられたことを特徴とする消火栓装置。
【請求項2】
請求項1記載の消火栓装置において、
前記制御部は、前記消火栓扉の開操作に続く所定の消火栓機器の操作が検出された場合に、前記発信機を操作した場合と同様に火災通報信号を防災受信盤へ送信して火災警報を出力させることを特徴とする消火栓装置。
【請求項3】
請求項2記載の消火栓装置において、
前記消火栓扉の開操作に続く所定の消火栓機器の操作は、前記ノズルの取り出し操作であることを特徴とする消火栓装置。
【請求項4】
請求項1記載の消火栓装置において、
前記消火栓扉は、
前記消火栓扉の開放を検出する開検出器と、
前記消火栓扉の開閉ハンドルに対する人の接触を検出する接触検出器と、
が設けられ、
前記制御部は、前記開検出器による扉開放と前記接触検出器による扉接触の両方が検出された場合に、前記消火栓扉の開操作と検出することを特徴とする消火栓装置。
【請求項5】
トンネルに設置され、ノズルを備えた消火ホースを含む消火栓機器、消火器、及び発信機を含む非常通報装置を備えた消火栓装置であって、
前記発信機の操作が検出されることなく消火器扉の開操作が検出された場合に、前記発信機の操作を促す音声及び又は表示による操作案内を出力させる制御部が設けられたことを特徴とする消火栓装置。
【請求項6】
請求項5記載の消火栓装置において、
前記制御部は、前記消火器の取り出しが検出された場合に、前記発信機を操作した場合と同様に火災通報信号を防災受信盤へ送信して火災警報を出力させることを特徴とする消火栓装置。
【請求項7】
請求項5記載の消火栓装置において、
前記消火器扉は、
前記消火器扉の開放を検出する開検出器と、
前記消火器扉の開閉ハンドルに対する人の接触を検出する接触検出器と、
が設けられ、
前記制御部は、前記開検出器による扉開放と前記接触検出器による扉接触の両方が検出された場合に、前記消火器扉の開操作と検出することを特徴とする消火栓装置。
【請求項8】
トンネルに設置され、消火器を収納するとともに発信機を含む非常通報装置を備えた消火器箱であって、
前記発信機の操作が検出されることなく消火器扉の開操作が検出された場合に、前記発信機の操作を促す音声及び又は表示による操作案内を出力させる制御部が設けられたことを特徴とする消火器箱。
【請求項9】
請求項8記載の消火器箱において、
前記制御部は、前記消火器の取り出しが検出された場合に、前記発信機を操作した場合と同様に火災通報信号を防災受信盤へ送信して火災警報を出力させることを特徴とする消火器箱。
【請求項10】
請求項8記載の消火器箱において、
前記消火器扉は、
前記消火器扉の開放を検出する開検出器と、
前記消火器扉の開閉ハンドルに対する人の接触を検出する接触検出器と、
が設けられ、
前記制御部は、前記開検出器による扉開放と前記接触検出器による扉接触の両方が検出された場合に、前記消火器扉の開操作と検出することを特徴とする消火器箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消火用ホース、消火器等を収納してトンネル内に設置される消火栓装置及び消火器を収納してトンネル内に設置される消火器箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高速道路や自動車専用道路などのトンネル内には、トンネル非常用設備として消火栓装置が設置されている。消火栓装置は、消火栓扉を備えた筐体の消火栓収納部に、先端にノズルを装着した消火用ホースと消火栓弁を含むバルブ類が収納され、また、消火器扉を備えた消火器収納部に、例えば、2本の消火器が収納されている。また、消火栓装置は、一般的に、トンネル長手方向に、例えば、50メートル間隔でトンネル壁面を箱抜きして埋込み設置されている。
【0003】
また、消火栓装置には非常通報装置が設けられている。非常通報装置は、消火栓収納部と消火器収納部の間に配置された通報装置扉に赤色表示灯、発信機、応答ランプ、電話ジャックが設けられている。
【0004】
赤色表示灯は常時点灯し、消火栓装置の設置場所が遠方から確認できるようになっている。火災が発生し、発信機が押されて押釦スイッチがオンすると、火災通報信号が電気室等に設置された防災受信盤へ送信されて火災警報が出力される。火災警報を出力した防災受信盤は非常通報装置へ応答信号を送信し、赤色表示灯が点滅し、応答ランプが点灯し、防災受信盤側で火災通報信号が受信されたことを確認可能としている(特許文献1)。
【0005】
また、道路利用者は一般に消火栓装置の操作には不慣れであることから、道路利用者が消火栓装置の消火栓扉を開くと、消火栓装置の操作方法を絵と文字で示された説明書きが見えるようになっている。しかしながら、火災発生といった急を要する状態において、説明書きを読みながら消火栓装置の操作をすることは困難な場合もあることから、消火栓装置の操作方法を表示と音声により案内する機能を備えた消火栓装置が提案されている(特許文献2,3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002-102380号公報
【特許文献2】特開2003-310785号公報
【特許文献3】特開2019-118423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、トンネル内で事故などにより車両火災が発生した場合、道路利用者は発信機を操作して火災通報を行い、続いて、消火栓又は消火器を使用して消火活動を行うことになる。
【0008】
しかしながら、火災発生といった急を要する状況の中で、道路利用者によっては、発信機を操作して火災通報を行うことなく、消火栓又は消火器を使用して消火活動を行うことが想定される。発信機が操作されないと防災受信盤で火災警報が行われず、道路管理者は火災発生を知ることができない。また、防災受信盤にあっては、トンネル長手方向に25メートル間隔又は50メートル間隔で設置されている火災検出器からの火災信号と発信機からの火災通報信号の両方が受信された場合に、他の非常用設備の連動、例えば、トンネル入口に設置された警報表示板による進入禁止表示などを行っているが、発信機を操作しないと他の非常用設備の連動が行われず、火災が発生した場合の運用管理に重大な支障を来たす虞がある。
【0009】
また、従来の消火栓装置が案内する操作方法は、前傾扉を開いて消火ホースのノズルを取り出し、消火栓弁を開操作して放水するといった操作手順の案内であり、消火栓の操作に先立つ発信機の操作による火災通報については触れられておらず、道路利用者によっては、発信機を操作して火災通報を行うことなく消火栓装置を操作して消火活動を行うことによる問題が残されている。
【0010】
この問題は、交通量やトンネル長さ等により分けられた低いランクのトンネルの非常用設備として設置されている非常通報装置を備えた消火器箱についても同様となる。
【0011】
本発明は、発信機が操作されずに消火栓や消火器による消火活動が行われた場合にも、火災の発生に対しトンネル非常用設備の適切な運用管理を可能とする消火栓装置及び消火器箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(消火栓装置1:消火栓による消火活動)
本発明は、トンネルに設置され、ノズルを備えた消火ホースを含む消火栓機器、及び発信機を含む非常通報装置を少なくとも備えた消火栓装置であって、
発信機の操作が検出されることなく消火栓扉の開操作が検出された場合に、発信機の操作を促す音声及び又は表示による操作案内を出力させる制御部が設けられたことを特徴とする。
【0013】
(火災通報信号の自動送信)
制御部は、消火栓扉の開操作に続く所定の消火栓機器の操作が検出された場合に、発信機を操作した場合と同様に火災通報信号を防災受信盤へ送信して火災警報を出力させる。
【0014】
(所定の消火栓機器の操作)
消火栓扉の開操作に続く所定の消火栓機器の操作は、ノズルの取り出し操作である。
【0015】
(消火栓扉の開操作の検出)
消火栓扉は、
消火栓扉の開放を検出する開検出器と、
消火栓扉の開閉ハンドルに対する人の接触を検出する接触検出器と、
が設けられ、
制御部は、開検出器による扉開放と接触検出器による扉接触の両方が検出された場合に、消火栓扉の開操作と検出する。
【0016】
(消火栓装置2:消火器による消火活動)
本発明は、トンネルに設置され、ノズルを備えた消火ホースを含む消火栓機器、消火器、及び発信機を含む非常通報装置を備えた消火栓装置であって、
発信機の操作が検出されることなく消火器扉の開操作が検出された場合に、発信機の操作を促す音声及び又は表示による操作案内を出力させる制御部が設けられたことを特徴とする。
【0017】
(火災通報信号の自動送信)
制御部は、消火器の取り出しが検出された場合に、発信機を操作した場合と同様に火災通報信号を防災受信盤へ送信して火災警報を出力させる。
【0018】
(消火器扉の開操作)
消火器扉は、
消火器扉の開放を検出する開検出器と、
消火器扉の開閉ハンドルに対する人の接触を検出する接触検出器と、
が設けられ、
制御部は、開検出器による扉開放と接触検出器による扉接触の両方が検出された場合に、消火器扉の開操作と検出する。
【0019】
(消火器箱)
本発明は、トンネルに設置され、消火器を収納するとともに発信機を含む非常通報装置を備えた消火器箱であって
発信機の操作が検出されることなく消火器扉の開操作が検出された場合に、発信機の操作を促す音声及び又は表示による操作案内を出力させる制御部が設けられたことを特徴とする。
【0020】
(火災通報信号の自動送信)
制御部は、消火器の取り出しが検出された場合に、発信機を操作した場合と同様に火災常通報信号を防災受信盤へ送信して火災警報を出力させる。
【0021】
(消火器扉の開操作)
消火器扉は、
消火器扉の開放を検出する開検出器と、
消火器扉の開閉ハンドルに対する人の接触を検出する接触検出器と、
が設けられ、
制御部は、開検出器による扉開放と接触検出器による扉接触の両方が検出された場合に、消火器扉の開操作と検出する。
【発明の効果】
【0022】
(消火栓装置1の効果)
本発明は、トンネルに設置され、ノズルを備えた消火ホースを含む消火栓機器及び発信機を含む非常通報装置を少なくとも備えた消火栓装置であって、発信機の操作が検出されることなく消火栓扉の開操作が検出された場合に、発信機の操作を促す音声及び又は表示による操作案内を出力させる制御部が設けられたため、消火栓扉を開いて消火栓を使用しようとした道路利用者は、発信機の操作を促す音声及び又は表示による操作案内の出力を受けて発信機を操作することとなり、道路利用者による発信機の操作が確実に行われることで、道路管理者は火災発生を知って適切かつ迅速に対処することが可能となる。
【0023】
(火災通報信号の自動送信による効果)
また、制御部は、消火栓扉の開操作に続き所定の消火栓機器の操作が検出された場合に、発信機を操作した場合と同様に火災通報信号を防災受信盤へ送信して火災警報を出力させるため、消火栓装置から発信機の操作を促す音声及び又は表示による操作案内が出力されても道路利用者が発信機を操作しなかった場合には、消火栓扉の開操作の検出に続き所定の消火栓機器の操作が検出された場合に、消火栓装置が火災確定と判断して強制的且つ自動的に火災通報信号を送信することで、発信機が操作されなくとも防災受信盤から火災警報が出力され、道路管理者は確実に火災発生を知って迅速かつ適切な対処が可能となる。また、火災警報に対応した他の非常用設備の連携動作、例えば、トンネル入口に設置された電光表示器によるトンネル進入の禁止表示なども適切に行うことが可能となる。
【0024】
(所定の消火栓機器の操作による効果)
また、消火栓扉の開操作に続く所定の消火栓機器の操作は、道路利用者が発信機の操作をせずに行うであろう操作がノズルの取り出し操作であるため、消火栓扉の開操作に続いて行われるノズルの取り出し操作に基づき、トンネル内で消火栓による消火活動を必要とする火災が発生しているものと高い確度で推定して、強制的且つ自動的な火災通報信号の送信が可能となる。
【0025】
(消火栓扉の開操作の検出による効果)
また、消火栓扉は、消火栓扉の開放を検出する開検出器と、消火栓扉の開閉ハンドルに対する人の接触を検出する接触検出器と、が設けられ、制御部は、開検出器による扉開放と接触検出器による扉接触の両方が検出された場合に、消火栓扉の開操作と検出するため、振動などに起因して消火栓扉が不時開放しても、消火栓扉の開操作として検出されることはなく、消火栓扉の不時開放に伴う火災通報信号の誤送信を確実に防止することが可能となる。
【0026】
(消火栓装置2の効果)
本発明は、トンネルに設置され、ノズルを備えた消火ホースを含む消火栓機器、消火器、及び発信機を含む非常通報装置を備えた消火栓装置であって、発信機の操作が検出されることなく消火器扉の開操作が検出された場合に、発信機の操作を促す音声及び又は表示による操作案内を出力させる制御部が設けられたため、消火器扉を開いて消火器を取り出そうとした道路利用者は、発信機の操作を促す音声及び又は表示による操作案内の出力を受けて発信機を操作することとなり、道路利用者による発信機の操作が確実に行われることで、道路管理者は火災発生を知って適切かつ迅速に対処することが可能となる。
【0027】
(火災通報信号の自動送信による効果)
また、制御部は、消火器の取り出しが検出された場合に、発信機を操作した場合と同様に火災通報信号を防災受信盤へ送信して火災警報を出力させるため、発信機の操作を促す音声及び又は表示による操作案内が出力されても道路利用者が発信機を操作しなかった場合には、消火器扉の開操作の検出に続き消火器の取り出しが検出された場合に、火災確定と判断して強制的且つ自動的に火災通報信号が送信されることで、発信機が操作されなくとも防災受信盤で火災警報が出力され、道路管理者は確実に火災発生を知って迅速かつ適切な対処が可能となる。また、火災警報に対応した他の非常用設備の連携動作、例えば、トンネル入口に設置された電光表示器によるトンネル進入の禁止表示なども適切に行うことが可能となる。
【0028】
(消火器扉の開操作による効果)
また、消火器扉は、消火器扉の開放を検出する開検出器と、消火器扉の開閉ハンドルに対する人の接触を検出する接触検出器と、が設けられ、制御部は、開検出器による扉開放と接触検出器による扉接触の両方が検出された場合に、消火器扉の開操作と検出するため、振動などに起因して消火器扉が不時開放しても、消火器扉の開操作として検出されることはなく、消火器扉の不時開放に伴う火災通報信号の誤送信を確実に防止することが可能となる。
【0029】
(消火器箱の効果)
本発明は、トンネルに設置され、消火器が収納されるとともに発信機を含む非常通報装置が設けられた消火器箱であって、発信機の操作が検出されることなく消火器扉の開操作が検出された場合に、発信機の操作を促す音声及び又は表示による操作案内を出力させる制御部が設けられたため、消火器箱についても、消火器扉を開いて消火器を取り出そうとした道路利用者は、発信機の操作を促す音声及び又は表示による操作案内の出力を受けて発信機を操作することとなり、道路利用者による発信機の操作が確実に行われることで、道路管理者は火災発生を知って適切かつ迅速に対処することが可能となる。
【0030】
(火災通報信号の自動送信による効果)
また、制御部は、消火器の取り出しが検出された場合に、発信機を操作した場合と同様に火災通報信号を防災受信盤へ送信して火災警報を出力させるため、消火器箱についても、発信機の操作を促す音声及び又は表示による操作案内が出力されても道路利用者が発信機を操作しなかった場合には、消火器扉の開操作の検出に続き消火器の取り出しが検出された場合に、火災確定と判断して強制的且つ自動的に火災通報信号が送信されることで、発信機が操作されなくとも防災受信盤で火災警報が出力され、道路管理者は確実に火災発生を知って迅速かつ適切な対処が可能となる。また、火災警報に対応した他の非常用設備の連携動作、例えば、トンネル入口に設置された電光表示器によるトンネル進入の禁止表示なども適切に行うことが可能となる。
【0031】
(消火器扉の開操作による効果)
また、消火器扉は、消火器扉の開放を検出する開検出器と、消火器扉の開閉ハンドルに対する人の接触を検出する接触検出器と、が設けられ、制御部は、開検出器による扉開放と接触検出器による扉接触の両方が検出された場合に、消火器扉の開操作と検出するため、消火器箱についても、振動などに起因して消火器扉が不時開放しても、消火器扉の開操作として検出されることはなく、消火器扉が不時開放に伴う火災通報信号の誤送信を確実に防止することた可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】トンネル非常用設備の概要を示した説明図である。
図2】消火栓装置を示した説明図である。
図3】消火栓装置の内部構造を、扉を開いて正面から示した説明図である。
図4】消火栓装置に設けられた制御部の機能構成を示したブロック図である。
図5】初段の消火栓装置の電装機器に対する配線を示した配線回路図である。
図6】最終段の消火栓装置の電装機器に対する配線を示した配線回路図である。
図7図4の制御部による操作案内制御を示したフローチャートである。
図8】消火器箱を示した説明図である。
図9】消火器箱に設けられた制御部の機能構成を示したブロック図である。
図10図9の制御部による操作案内制御を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に、本発明に係る消火栓装置及び消火器箱の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態により、本発明が限定されるものではない。
【0034】
[実施形態の基本的な概念]
まず、実施形態の基本的概念について説明する。実施形態は、概略的に、筐体内に消火栓機器及び消火器が配置される消火栓装置に関するものである。
【0035】
ここで、「消火栓装置」とは、消火対象領域となる高速道路や自動車専用道路のトンネル内等に設置される非常用設備の一種であり、消火対象領域に設置された筐体内に消火用ホース等の消火栓機器、通報装置扉に赤色表示灯や発信機等の非常通報機器、及び消火器が配置又は収納されたものである。
【0036】
また、「発信機」とは、押釦スイッチが設けられ、道路利用者が押釦スイッチを操作すると火災通報信号がトンネル電気室等に設置された防災受信盤に送信され、火災警報を出力させるものである。
【0037】
実施形態の「消火栓装置」には、発信機の操作が検出されることなく消火栓扉の開操作が検出された場合に、発信機の操作を促す音声及び又は表示による操作案内を出力する「制御部」が設けられる。
【0038】
このため、発信機を操作することなく、消火栓扉を開いて消火栓を使用しようとした道路利用者は、発信機の操作を促す音声及び又は表示による操作案内の出力を受けて発信機を操作することとなり、道路利用者による発信機の操作が確実に行われることで、道路管理者は火災発生を知って適切かつ迅速に対処することが可能となる。
【0039】
また、「制御部」は、消火栓扉の開操作に続く所定の消火栓機器の操作が検出された場合に、発信機を操作した場合と同様に火災通報信号を防災受信盤へ送信して火災警報を出力させるものである。
【0040】
このため、消火栓装置から発信機の操作を促す音声及び又は表示による操作案内が出力されても、道路利用者が発信機を操作しなかった場合には、消火栓扉の開操作の検出に続き所定の消火栓機器の操作が検出された場合に、消火栓装置が火災確定と判断して強制的且つ自動的に火災通報信号を送信することで、発信機が操作されなくとも防災受信盤から火災警報が出力され、道路管理者は確実に火災発生を知って迅速かつ適切な対処が可能となる。また、防災受信盤は、トンネル長手方向に例えば25メートル間隔又は50メートル間隔で設置されている火災検出器からの火災信号の受信に加え、発信機が操作されなくとも消火栓装置から火災通報信号が受信されることで、他の非常用設備の連動、例えば、トンネル入口に設置された電光表示器による、トンネル進入の禁止表示なども適切に行うことが可能なる。
【0041】
ここで、制御部により検出される「消火栓扉の開操作に続く所定の消火栓機器の操作」とは任意であるが、例えば「ノズルの取り出し操作」である。
【0042】
また、本実施形態において、消火栓扉は、消火栓扉の開放を検出する開検出器と、消火栓扉の開閉ハンドルに対する人の接触を検出する接触検出器とが設けられ、制御部は、開検出器による扉開放と接触検出器による扉接触の両方が検出された場合に、「消火栓扉の開操作」と検出する。
【0043】
このため、振動などに起因して消火栓扉が不時開放しても、人の接触が検出されない場合は消火栓扉の開操作として検出されることはなく、道路利用者による開操作のみが確実に検出されて火災通報信号の送信が行われ、人の接触が検出されない消火栓扉の不時開放などに伴う火災通報信号の誤送信を確実に防止することが可能となる。
【0044】
ここで、「開検出器」とは、消火栓扉が開放された場合に作動する検出器であり、検出器の構造や種類は任意であるが、例えば、消火栓扉の開放でオンするリミットスイッチなどの開検出スイッチが用いられる。また、「接触検出器」とは、消火栓扉の開閉ハンドルに人の手が接触した場合に作動する検出器であり、検出器の構造や種類は任意であるが、例えば、人の手が接触した際の圧力や静電容量の変化を検出して接触検出信号を出力するタッチスイッチなどが用いられる。
【0045】
また、別の形態となる消火栓装置の「制御部」は、発信機の操作が検出されることなく消火器扉の開操作が検出された場合に、発信機の操作を促す音声及び又は表示による操作案内を出力させるものである。このため、発信機を操作することなく、消火器扉を開いて消火器を取り出そうとした道路利用者は、発信機の操作を促す音声及び又は表示による操作案内の出力を受けて発信機を操作することとなり、道路利用者による発信機の操作が確実に行われ、道路管理者は火災発生を知って適切かつ迅速に対処することが可能となる。
【0046】
また、「制御部」は、消火器の取り出しが検出された場合に、発信機を操作した場合と同様に火災常通報信号を防災受信盤へ送信して火災警報を出力させるものである。このため、消火器扉の開検出に基づき発信機の操作を促す音声及び又は表示による操作案内を出力されても道路利用者が発信機を操作しなかった場合には、消火器の取り出し操作が検出された場合に、火災確定と判断して強制的且つ自動的に火災通報信号が送信されることで、発信機が操作されなくとも防災受信盤で火災警報が出力され、道路管理者は確実に火災発生を知って迅速かつ適切な対処が可能となる。また、火災警報に対応した他の非常用設備の連携動作、例えば、トンネル入口に設置された電光表示器によるトンネル進入の禁止表示なども適切に行うことが可能となるものである。
【0047】
また、消火器扉は、消火器扉の開放を検出する開検出器と、消火器扉の開閉ハンドルに対する人の接触を検出する接触検出器とが設けられ、制御部は、開検出器による扉開放と接触検出器による扉接触の両方が検出された場合に、「消火器扉の開操作」と検出する。
【0048】
このため、振動などに起因して消火器扉が不時開放しても、人の接触が検出されない場合は消火器扉の開操作として検出されることはなく、道路利用者による開操作のみが確実に検出されて火災通報信号の送信が行われ、人の接触が検出されない消火栓扉の不時開放などに伴う火災通報信号の誤送信を確実に防止することが可能となる。
【0049】
消火器箱の実施形態にあっても、前述した別の形態となる消火栓装置の場合と同様に、「制御部」は、発信機の操作が検出されることなく消火器扉の開操作が検出された場合に、発信機の操作を促す音声及び又は表示による操作案内を出力させるものであり、また、消火器の取り出しが検出された場合に、発信機を操作した場合と同様に火災常通報信号を防災受信盤へ送信して火災警報を出力させるものである。
【0050】
以下、具体的な実施形態を説明する。以下に示す具体的な実施形態は、「消火栓扉又は消火器扉の開操作が検出された場合に、発信機の操作を促す音声及び表示による操作案内を出力させる」ものであり、消火栓扉及び消火器扉の「開検出器」が「開検出スイッチ」であり、消火栓扉及び消火器扉の「接触検出器」が開閉ハンドル(以下の[実施形態の具体的内容]では「扉ハンドル」と記す)に設けられた「タッチスイッチ」である場合について説明する。
【0051】
[実施形態の具体的内容]
消火栓装置について、より詳細に説明する。その内容については以下のように分けて説明する。
a.消火栓装置
a1.トンネル非常用設備の概要
a2.消火栓装置の構成
a3.消火栓装置の内部構造
b.制御部
b1.制御部の機能構成
b2.消火栓側の操作案内制御
b3.消火器側の操作案内制御
b4.電装機器の配線回路
c.消火栓装置における操作案内の制御動作
d.消火器箱
d1:消火器箱の構成
d2.制御部の機能構成
d3.消火器箱における操作案内の制御動作
e.本発明の変形例
【0052】
[a.消火栓装置]
本実施形態の消火栓装置について、より詳細に説明する。当該説明にあっては、トンネル非常用設備の概要を示した図1、消火栓装置を示した図2、及び消火栓装置の内部構造を、扉を開いて正面から示した図3を参照する。
【0053】
(a1.トンネル非常用設備の概要)
トンネル非常用設備の概要について説明する。図1に示すように、トンネル非常用設備は、トンネル施設の電気室等に設置された防災受信盤12からの配線ケーブル14が、トンネル内の長手方向の単位区画ごとに設置された、例えば、4台の消火栓装置10(10-1)-10(10-4)に段階的に接続されている。
【0054】
ここで、消火栓装置10(10-1)~10(10-4)の内、防災受信盤12に対して配線接続上最も近い位置に接続される消火栓装置10(10-1)が「初段」となり、最も遠い位置に接続される消火栓装置10(10-4)が「最終段」となる。
【0055】
配線ケーブル14には、商用交流電源を対象とする強電用の配線ケーブルと所定の直流電圧電源を対象とする弱電用の配線ケーブル等が含まれ、弱電用の配線ケーブルは、1又は複数の信号線とコモン線で構成されるものを含む。
【0056】
(a2.消火栓装置の構成)
図1に示した消火栓装置10(10-1)の構成について、より詳細に説明する。消火栓装置10(10-2)~(10-4)についても同様となる。図2に示すように、消火栓装置10(10-1)は、内部が消火栓収納部となる筐体10aと内部が消火器収納部となる筐体10bとに分割された構造であり、筐体10a,10bの前面に化粧枠11a,11bが装着されている。
【0057】
筐体10aの化粧枠11aの扉開口部は上下に分割され、扉開口部の下側にヒンジにより下向きに開く前傾式の消火栓扉15が設置され、扉開口部の上側にヒンジにより上向きに開く保守扉16が設置され、その内部である消火栓収納部に消火栓機器として消火用ホースと消火栓弁を含むバルブ類が収納されている。消火栓扉15には扉ハンドル1510が設けられ、道路利用者が扉ハンドル1510に手を入れて手前に引く操作を行うと、ロックが解除されて消火栓扉15を開くことができる。
【0058】
筐体10bの化粧枠11bの扉開口部の左側には、ヒンジにより左向きに横開きする消火器扉18が設けられ、内部である消火器収納部に、例えば、2本の消火器が収納可能となっている。消火器扉18には扉ハンドル1810が設けられ、道路利用者が扉ハンドル1810に手を入れて手前に引く操作を行うと、ロックが解除されて消火器扉18を開くことができる。また、消火器扉18の下側には覗き窓1820が設けられ、外部から消火器の有無が確認可能となっている。
【0059】
化粧枠11bの扉開口部の右側には、ヒンジにより右向きに横開きする電装扉20が設けられている。電装扉20には、電装機器として、例えば、赤色表示灯22、発信機24及び応答ランプ26が設けられ、電装扉20の筐体10b内側には電話ジャックが設けられている。このように電装扉20に設けられた赤色表示灯22、発信機24、応答ランプ26及び電話ジャックにより非常通報装置が構成される。
【0060】
赤色表示灯22は常時点灯し、消火栓装置10(10-1)の設置場所が遠方から分かるようになっている。火災が発生した場合には、道路利用者が発信機24を押して発信機24の押釦スイッチがオンされると、火災通報信号(発信信号)が電気室の等に設置された防災受信盤12に送信されて火災警報が出力され、これに伴い応答信号が防災受信盤12から消火栓装置10(10-1)に送られて、赤色表示灯22が点滅し、応答ランプ26が点灯する。
【0061】
発信機24には、その周囲を囲んで案内表示部44が設けられている。案内表示部44は、その構造や機能は任意であるが、例えば、LEDを光源とした発光板部材であり、発光板部材の点滅により発信機24の操作を促すための案内表示を行うものである。
【0062】
また、電装扉20の下側にはスピーカ部45が設けられている。スピーカ部45は、道路利用者が発信機24を操作することなく消火栓扉15又は消火器扉18を開操作した場合に、発信機24の操作を促す所定の音声メッセージを出力するものである。
【0063】
消火栓扉15の扉ハンドル1510には、ハンドルタッチスイッチ38が設けられている。ハンドルタッチスイッチ38は、扉ハンドル1510に対する人の接触を検出するものであり、その構成、機能、種類は任意であるが、例えば、人が操作する場合にハンドルに加わる圧力を検出してオンする感圧スイッチや、人がハンドルに触れた場合に変化する静電容量を検出してオンする静電容量スイッチなどが用いられる。
【0064】
消火器扉18の扉ハンドル1810にもハンドルタッチスイッチ42が設けられ、ハンドルタッチスイッチ38と同様に、扉ハンドル1810に対する人の接触を検出するものであり、例えば、感圧スイッチや静電容量スイッチなどが用いられる。
【0065】
消火栓扉15には、開検出器として機能する消火栓扉開検出スイッチ36が設けられている。消火栓扉開検出スイッチ36は、消火栓扉15の開放により作動するスイッチであり、その構造や種類は任意であるが、例えば、扉開閉に伴い出没するスイッチノブやスイッチレバーを備えたリミットスイッチが使用される。一例として、消火栓扉開検出スイッチ36は、消火栓扉15の閉鎖状態でオフし、消火栓扉15の開放状態でオンする。
【0066】
消火器扉18にも、開検出器として機能する消火器扉開検出スイッチ40が設けられている。消火器扉開検出スイッチ40は、消火器扉18の開放により作動するスイッチであり、消火栓扉開検出スイッチ36と同様に、例えば、扉開閉に伴い出没するスイッチノブやスイッチレバーを備えたリミットスイッチが使用される。一例として、消火器扉開検出スイッチ40は、消火器扉18の閉鎖状態でオフし、消火器扉18の開放状態でオンする。
【0067】
(a3.消火栓装置の内部構造)
図1に示した消火栓装置10(10-1)の内部構造について、詳細に説明する。消火栓装置10(10-2)~(10-4)についても同様となる。
【0068】
図3に示すように、消火栓収納部17となる筐体10aの内部は、バルブ類収納部1710とホース収納部1720に分けられている。バルブ類収納部1710には、外部から引き込まれた給水配管54が給水栓56に接続されるとともに、下向きに分岐し消火栓弁58及び自動調圧弁60を介して消火用ホース62に接続されている。消火栓弁58は、消火栓弁開閉レバー61により開閉操作されるものであり、道路利用者が消火栓弁開閉レバー61を開閉操作すると、公知のワイヤーリンク機構により消火栓弁58が連動して開閉されるとともに、操作ボックスに設けられたポンプ起動連動スイッチ34がオン、オフされる。また、給水栓56の右上には消防隊が使用するポンプ起動スイッチ32が設けられている。
【0069】
ホース収納部1720には、ホース収納フレーム66が設けられ、下側から引き込まれた消火用ホース62を右回り又は左回りに内巻きすることで収納しており、ホースガイド(ホース取出口)68を通って引き出された消火用ホース62の先端にはノズル64が装着され、ノズル64はノズルホルダー65に着脱自在に保持されている。また、前述したように、ホース収納部1720の左端の消火栓扉15が閉鎖する位置には消火栓扉開検出スイッチ36が設けられている。
【0070】
ノズルホルダー64には、ノズル取出検出スイッチ50が設けられている。ノズル取出検出スイッチ50は、道路利用者がノズルホルダー65からノズル64を取り出した場合に作動するスイッチであり、その構造や種類は任意であるが、例えば、ノズルホルダー65に対するノズル64の着脱に応じて出没するスイッチノブやスイッチレバーを備えたリミットスイッチが使用される。一例として、ノズル取出検出スイッチ50は、ノズルホルダー65にノズル64を保持した状態でオフしており、ノズルホルダー65からノズル64が取り出されるとオンする。
【0071】
筐体10bの内部(消火器扉18側)は消火器収納部19であり、2本の消火器33が収納されている。消火器収納部19に収納された2本の消火器33の底部の各々に対応した位置には、消火器取出検出スイッチ52が設けられている。消火器取出検出スイッチ52は、道路利用者が消火器収納部19から消火器33を取り出した場合に作動するスイッチであり、ノズル取出検出スイッチ50と同様に、例えば、消火器33の取り出しに応じて出没するスイッチノブやスイッチレバーを備えたリミットスイッチが使用され、一例として、消火器取出検出スイッチ52は消火器33を収納した状態でオフしており、消火器33が取り出されるとオンする。
【0072】
消火器収納部19の後面には端子箱30,31が設置されている。端子箱30には、電装扉20に設けられた赤色表示灯22が配線用ケーブルを介して接続され、端子箱31には、電装扉20に設けられた発信機24、応答ランプ26及び電話ジャック28が配線用ケーブルを介して接続され、更に、バルブ類収納部1710に設けられたポンプ起動スイッチ32とポンプ起動連動スイッチ34が配線用ケーブルを介して接続されている。
【0073】
筐体10a内のホース収納部1720にはケーブルラック69が設置されている。ケ-ブルラック69は、外部から引き込まれた強電用ケーブルを通して端子箱30に接続し、また、外部から引き込まれた弱電用ケーブルを通して端子箱31に接続し、さらに、ポンプ起動スイッチ32とポンプ起動連動スイッチ34からの配線ケーブルを通して端子箱31に接続するものである。
【0074】
消火器収納部19の後面の端子箱30,31の下側には制御部48が設置されている。制御部48は、発信機24の操作が検出されることなく消火栓扉15の開操作が検出された場合、又は、発信機24の操作が検出されることなく消火器扉18の開操作が検出された場合に、案内表示部44の点滅及びスピーカ部45からの音声メッセージの出力により発信機24の操作を促す操作案内を出力する制御を行うものである。
【0075】
また、制御部48は、消火栓扉15の開操作が検出されて発信機24の操作を促す操作案内を行った後に、所定の消火栓機器の操作、例えば、ノズル64の取出操作が検出された場合、若しくは、消火器扉18の開操作が検出されて発信機24の操作を促す操作案内を行った後に、消火器33の取出操作が検出された場合に、発信機24を操作した場合と同様に火災通報信号を防災受信盤へ送信する制御を行うものである。
【0076】
[b.制御部]
消火栓装置に設けられ制御部について、より詳細に説明する。当該説明にあっては、消火栓装置に設けられた制御部の機能構成を示したブロック図となる図4、消火栓装置の電装機器に対する配線を示した配線回路図となる図5,6、及び制御部による操作案内制御を示したフローチャートとなる図7を参照する。
【0077】
(b1.制御部の機能構成)
制御部48の機能構成について、より詳細に説明する。図4に示すように、制御部48は、CPU、メモリ、各種の入出力ポートを備えたコンピュータ回路で構成され、メモリに記憶された制御プログラムの実行により、所定の制御機能を実現している。
【0078】
制御部48に対する入力対象として、電流検出部35、消火栓入力部70及び消火器入力部72が設けられている。また制御部48からの出力対象として、案内表示部44、スピーカ部45及び火災通報信号送信部46が設けられている。
【0079】
電流検出部35は、発信機24の操作で防災受信盤12へ送信される火災通報信号の有無を検出している。発信機24が操作されると、発信機24と防災受信盤12を接続している信号回線に所定の火災通報信号電流iが流れ、これを電流検出部35で検出して発信機操作検出信号E1を制御部48に出力する。このため、制御部48は発信機操作検出信号E1が入力されていない場合、即ち、火災通報信号電流iが流れていない場合に、発信機24の操作が検出されていないことが判断可能となる。
【0080】
消火栓入力部70には、消火栓扉開検出スイッチ36、ハンドルタッチスイッチ38及びノズル取出検出スイッチ50が設けられている。消火栓扉開検出スイッチ36は、消火栓扉15の開放を検出して扉開検出信号E2を出力する。ハンドルタッチスイッチ38は、道路利用者が消火栓扉15の扉ハンドル1510を開く際の接触を検出して接触検出信号E3を出力する。ノズル取出検出スイッチ50は、道路利用者によるノズル64の取り出し操作を検出してノズル取出検出信号E4を出力する。
【0081】
消火器入力部72には、消火器扉開検出スイッチ40、ハンドルタッチスイッチ42及び消火器取出検出スイッチ52が設けられている。消火器扉開検出スイッチ40は、消火器扉18の開放を検出して扉開検出信号E5を出力する。ハンドルタッチスイッチ42は、道路利用者が消火器扉18の扉ハンドル1810を開く際の接触を検出して接触検出信号E6を出力する。消火器取出検出スイッチ52は、道路利用者による消火器33の取り出し操作を検出して消火器取出検出信号E7を出力する。
【0082】
案内表示部44は、図2、3に示した発信機24に設けられており、制御部48からの制御信号により、例えば、点滅駆動される。スピーカ部45は、制御部48からの音声信号により、発信機操作を促す所定の音声メッセージを出力する。この音声メッセージは任意であるが、例えば「ピピッ ピピッ 発信機が操作されていません 発信機を操作して火災を通報してください」を繰り返し出力する。
【0083】
火災通報信号送信部46は、制御部48からの制御信号により作動するリレーXとそのリレー接点x1を備える。リレー接点x1は、発信機24のスイッチ接点に並列に接続されている。リレーXの作動によりリレー接点x1が閉じると、防災受信盤12と発信機24を接続する信号回線に火災通報信号電流iが流れ、発信機24を操作した場合と同様に火災通報信号が防災受信盤12へ送信される。
【0084】
(b2.消火栓側の操作案内制御)
制御部48による消火栓側の操作案内制御について、より詳細に説明する。制御部48は、消火栓扉開検出スイッチ36からの扉開検出信号E2とハンドルタッチスイッチ38からの接触検出信号E3の入力を検出した場合、消火栓扉15の開操作と判断し、そのとき、電流検出部35からの発信機操作検出信号E1の入力が検出されていない場合は、案内表示部44に制御信号を出力して点滅駆動し、また、スピーカ部45を音声信号により駆動して所定の音声メッセージを出力させ、発信機24の操作を促す操作案内を出力する制御を行う。
【0085】
また、制御部48は、発信機24の操作を促す操作案内の出力中に、ノズル取出検出スイッチ50からのノズル取出検出信号E4の入力を検出すると、火災通報信号送信部46のリレーXを作動してリレー接点x1を閉じ、防災受信盤12へ火災通報信号を送信させる制御を行う。
【0086】
(b3.消火器側の操作案内制御)
制御部48による消火器側の操作案内制御について、より詳細に説明する。制御部48は、消火器扉開検出スイッチ40からの扉開検出信号E5とハンドルタッチスイッチ42からの接触検出信号E6の入力を検出した場合、消火器扉18の開操作と判断し、そのとき、電流検出部35からの発信機操作検出信号E1の入力が検出されていない場合は、案内表示部44に制御信号を出力して点滅駆動し、また、スピーカ部45を音声信号により駆動して所定の音声メッセージを出力させ、発信機24の操作を促す操作案内を出力する制御を行う。
【0087】
また、制御部48は、発信機24の操作を促す操作案内の出力中に、消火器取出検出スイッチ52からの消火器取出検出信号E7の入力を検出すると、火災通報信号送信部46のリレーXを作動してリレー接点x1を閉じ、防災受信盤12へ火災通報信号を送信させる制御を行う。
【0088】
(b4.電装機器の配線回路)
電装扉20及びバルブ類収納部1710に設けられた電装機器の配線回路について、より詳細に説明する。当該説明にあっては、初段の消火栓装置10(10-1)の電装機器に対する配線を示した配線回路図である図5、及び最終段の消火栓装置10(10-4)の電装機器に対する配線を示した配線回路図である図6を参照する。
【0089】
図5に示すように、初段の消火栓装置10(10-1)の電装扉に設けられた発信機24、応答ランプ26及び電話ジャック28及びバルブ類収納部1710設けられたポンプ起動スイッチ32、ポンプ起動連動スイッチ34に対しては、消火栓装置10(10-1)の筐体内に配置された端子箱31の端子台74を使用して、防災受信盤12から引き出されて消火栓装置の筐体内に引き込まれた電話線T、電話コモン線TC、ポンプ起動線HA、手動通報線M、手動通報コモン線MC、応答線MF及び応答コモン線FCが接続されている。
【0090】
また、初段となる1段目の消火栓装置10(10-1)から2段目の消火栓装置10(10-2)に対する電話線T、電話コモン線TC、ポンプ起動線HA、手動通報線M、手動通報コモン線MC、応答線MF、応答コモン線FCは、それぞれ渡り線として接続されている。この点は、2段目の消火栓装置10(10-2)と3段目の消火栓装置10(10-3)の間、及び3段目の消火栓装置10(10-3)と図6に示す最終段となる4段目の消火栓装置10(10-3)の間も同様である。尚、赤色表示灯22については、端子箱30の端子台を使用するため、説明、図示を省略している。
【0091】
これらの電装機器の内、火災が発生した場合に特に重要な機能を果たす発信機24に接続される手動通報線M、ポンプ起動スイッチ32及びポンプ起動連動スイッチ34に接続されるポンプ起動線HAおよび手動通報コモン線MCについては、図6に示すように、端子台74において、手動通報線Mと手動通報コモン線MCが接続される端子M1と端子MC4の間に終端抵抗76を接続し、ポンプ起動線HAと手動通報コモン線MCが接続される端子HA1と端子MC4との間に終端抵抗78を接続することで断線を監視している。なお、防災受信盤12による断線監視は、所定周期ごとに断線監視回路に手動通報線Mと手動通報コモン線MC、及び、ポンプ起動線HAと手動通報コモン線MCを順次切替え接続し、所定の障害警報を出力させる。
【0092】
図5に示すように、初段の消火栓装置10(10-1)の電装扉20に設けられた発信機24は、ロック構造となる2回路のスイッチ接点2410,2420を備え、スイッチ接点2410は、電流検出部35及び端子台74を介して手動通報線Mと手動通報コモン線MCの間に接続されている。発信機24が操作されるとスイッチ接点2410が閉じ、プラス側となる手動通報線Mからマイナス側となる手動通報コモン線MCに火災通報信号電流iが流れ、火災通報信号が防災受信盤12へ送信され、火災警報が出力される。
【0093】
制御部48により作動されるリレーXのリレー接点x1は、発信機24のスイッチ接点2410と並列に接続されており、リレーXの作動でリレー接点x1が閉じると、発信機24の操作でスイッチ接点2410が閉成した場合と同様に、手動通報線Mから手動通報コモン線MCに火災通報信号電流iが流れ、火災通報信号が防災受信盤12へ送信され、火災警報が出力される。
【0094】
また、発信機24のスイッチ接点2410のマイナス側の端子から端子台74の端子MC4を接続する信号線は、電流検出部35を経由している。このため、発信機24が操作されてスイッチ接点2410を閉成した場合の火災通報信号電流iは、電流検出部35を通って流れ、電流検出部35は、発信機操作検出信号E1を出力する。
【0095】
応答ランプ26は、一端が端子台74を介して応答線MFに接続され、他端が発信機24のスイッチ接点2420及び端子台74を介して応答コモン線FCに接続されており、発信機24の操作によるスイッチ接点2420のオンを条件に防災受信盤12から引き出された応答コモン線FCからの信号電圧を受けて点灯する。
【0096】
ポンプ起動スイッチ32のスイッチ接点3210とポンプ起動連動スイッチ34のスイッチ接点3410は並列接続され、並列接続された一端が端子台74を介してポンプ起動線HAに接続され、並列接続された他端が端子台74を介して手動通報コモン線MCに接続されている。このため、ポンプ起動スイッチ32のスイッチ接点3210又はポンプ起動連動スイッチ34のスイッチ接点3410が閉成すると、ポンプ起動線HAから手動通報コモン線MCに信号電流が流れ、防災受信盤12にポンプ起動信号が送信される。
【0097】
さらに電話ジャック28は、端子台74を介して電話線Tと電話コモン線TCに接続され、係員は携帯している電話機のプラグを電話ジャック28に接続することで、防災受信盤12側との通話を可能としている。このような電装機器の配線回路は、図6に示す最終段の消火栓装置10(10-4)も同様となる。
【0098】
[c.消火栓装置における操作案内の制御動作]
図4の制御部による消火栓装置における操作案内の制御動作について、より詳細に説明する。当該説明にあっては、図4の制御部による操作案内制御を示したフローチャートである図7を参照する。
【0099】
図7に示すように、制御部48は、消火栓扉開検出スイッチ36による消火栓扉15の開検出を監視しており(ステップS1)、トンネル内で事故などにより車両火災が発生した場合に、道路利用者が消火栓扉15の開操作を行ったとすると、消火栓扉開検出スイッチ36からの扉開検出信号E2の入力を検出して、消火栓扉15の開検出を判別する(ステップS1のYes)。
【0100】
このとき、道路利用者が発信機24を操作していない場合には、電流検出部35から発信機操作検出信号E1が出力されていないことで発信機24のオフが判別され(ステップS2のYes)、制御部48は、発信機24に対応して設けられた案内表示部44を点滅駆動するとともに、スピーカ部45から発信機24の操作を促す音声メッセージを出力することで発信機操作の案内表示と案内音声の出力を行う(ステップS3)。
【0101】
ここで、発信機操作の案内表示と案内音声を受けて道路利用者が発信機24を操作すると、電流検出部35から発信操作検出信号E1が出力されることで、制御部48は発信機24のオンを判別し(ステップS2のNo)、初期状態に戻ることで発信機操作の案内表示と案内音声が停止される。
【0102】
これに対し、道路利用者が発信機24を操作することなくノズル64を取り出した場合には、ノズル取出検出スイッチ50により消火栓扉15の開操作に続く所定の操作となるノズル64の取り出しが検出され(ステップS4のYes)、制御部48は、火災の確定を判断して火災通報信号送信部46のリレーXの作動によるリレー接点x1の閉成により、防災受信盤12へ火災通報信号を送信し(ステップS5)、火災警報を出力させる。
【0103】
一方、制御部48は、消火栓扉開検出スイッチ36による消火栓扉15の開検出を判別していない場合(ステップS1のNo)には、消火器扉開検出スイッチ40による消火器扉18の開検出を監視しており(ステップS6)、トンネル内で事故などにより車両火災が発生した場合に、道路利用者が消火器扉18の開操作を行ったとすると、消火器扉開検出スイッチ40からの扉開検出信号E2の入力を検出して、消火器扉18の開検出を判別する(ステップS6のYes)。
【0104】
このとき、道路利用者が発信機24を操作していない場合には、電流検出部35から発信機操作検出信号E1が出力されていないことで発信機24のオフが判別され(ステップS7のYes)、制御部48は、発信機24に対応して設けられた案内表示部44を点滅駆動するとともにスピーカ部45から発信機24の操作を促す音声メッセージを出力することで発信機操作の案内表示と案内音声の出力を行う(ステップS8)。
【0105】
ここで、発信機操作の案内表示と案内音声を受けて道路利用者が発信機24を操作すると、電流検出部35から発信操作検出信号E1が出力されることで、制御部48は発信機24のオンを判別し(ステップS7のNo)、初期状態に戻ることで発信機操作の案内表示と案内音声が停止される。
【0106】
これに対し、道路利用者が発信機24を操作することなく消火器33を取り出した場合には、消火器取出検出スイッチ52により消火器扉18の開操作に続く所定の操作となる消火器33の取り出しが検出され(ステップS9のYes)、火災の確定を判断して火災通報信号送信部46のリレーXの作動によるリレー接点x1の閉成により、防災受信盤12へ火災通報信号を送信し(ステップS10)、火災警報を出力させる。
【0107】
[d.消火器箱]
操作案内機能を備えた消火器箱について、より詳細に説明する。当該説明にあっては、消火器箱を示した図8、消火器箱に設けられた制御部の機能構成を示したブロック図である図9、及び図9の制御部による操作案内の制御動作を示したフローチャートである図10を参照する。
【0108】
(d1:消火器箱の構成)
消火器箱の構成について、より詳細に説明する。本実施形態の消火器箱100は、図2に示した消火栓装置10(10-1)の筐体10b側を取り出した構成に相当する。図8に示すように、消火器箱100の筐体101の化粧枠102の扉開口部の左側には、ヒンジにより左向きに横開きする消火器扉18が設けられ、内部である消火器収納部に、例えば、2本の消火器が収納可能となっている。消火器扉18には扉ハンドル1810が設けられ、道路利用者が扉ハンドル1810に手を入れて手前に引く操作を行うと、ロックが解除されて消火器扉18を開くことができる。また、消火器扉18の下側には覗き窓1820が設けられ、外部から消火器の有無が確認可能となっている。
【0109】
化粧枠11bの扉開口部の右側には、ヒンジにより右向きに横開きする電装扉20が設けられている。電装扉20には、電装機器として、例えば、赤色表示灯22、発信機24及び応答ランプ26が設けられ、電装扉20の筐体10b内側には電話ジャックが設けられている。このように電装扉20に設けられた赤色表示灯22、発信機24、応答ランプ26及び電話ジャックにより非常通報装置が構成される。
【0110】
赤色表示灯22は常時点灯し、消火器箱100の設置場所が遠方から分かるようになっている。火災が発生した場合には、道路利用者が発信機24を押して発信機24の押釦スイッチがオンされると、火災通報信号(発信信号)が電気室等に設置された防災受信盤12に送信されて火災警報が出力され、これに伴い応答信号が防災受信盤12から消火器箱100送られて、赤色表示灯22が点滅し、応答ランプ26が点灯する。
【0111】
発信機24には、その周囲を囲んで案内表示部44が設けられている。案内表示部44は、その構造や機能は任意であるが、例えば、LEDを光源とした発光板部材であり、発光板部材の点滅により発信機24の操作を促すための案内表示を行うものである。
【0112】
また、電装扉20の下側にはスピーカ部45が設けられている。スピーカ部45は、道路利用者が発信機24を操作することなく消火栓扉15又は消火器扉18を開操作した場合に、発信機24の操作を促す所定の音声メッセージを出力するものである。
【0113】
消火器扉18の扉ハンドル1810には、ハンドルタッチスイッチ42が設けられている。ハンドルタッチスイッチ42は、扉ハンドル1810に対する人の接触を検出するものであり、その構成、機能、種類は任意であるが、例えば、人が操作する場合にハンドルに加わる圧力を検出してオンする感圧スイッチや、人がハンドルに触れた場合に変化する静電容量を検出してオンする静電容量スイッチなどが用いられる。
【0114】
消火器扉18には、開検出器として機能する消火器扉開検出スイッチ40が設けられている。消火器扉開検出スイッチ40は、消火器扉18の開放により作動するスイッチであり、その構造や種類は任意であるが、例えば、扉開閉に伴い出没するスイッチノブやスイッチレバーを備えたリミットスイッチが使用される。一例として、消火器扉開検出スイッチ40は、消火器扉18の閉鎖状態でオフ、消火器扉18の開放状態でオンする。
【0115】
(d2.制御部の機能構成)
消火器箱100に設けられる制御部について、より詳細に説明する。図9に示すように、消火器箱100に設けられる制御部480は、図4に示した消火栓装置の制御部48に対する消火栓入力部70を除いた機能構成に相当する。
【0116】
制御部480の機能構成について、より詳細に説明する。図9に示すように、制御部480は、CPU、メモリ、各種の入出力ポートを備えたコンピュータ回路で構成され、メモリに記憶された制御プログラムの実行により、所定の制御機能を実現している。
【0117】
制御部480に対する入力対象として、電流検出部35、消火器扉開検出スイッチ40、ハンドルタッチスイッチ42及び消火器取出検出スイッチ52が設けられている。また制御部48からの出力対象として、案内表示部44、スピーカ部45及び火災通報信号送信部46が設けられている。制御部480及びその入力対象と出力対象構成及び機能は、図4と同様になることから、同一符号を付してその説明は省略する。
【0118】
(d3.消火器箱における操作案内の制御動作)
図9の制御部480による消火器箱の操作案内の制御動作について、より詳細に説明する。図10に示すように、制御部480は、消火器扉開検出スイッチ40による消火器扉18の開検出を監視しており(ステップS11)、トンネル内で事故などにより車両火災が発生した場合に、道路利用者が消火器扉18の開操作を行ったとすると、消火器扉開検出スイッチ40からの扉開検出信号E5の入力を検出して、消火器扉18の開検出を判別する(ステップS11のYes)。
【0119】
このとき、道路利用者が発信機24を操作していない場合には、電流検出部35から発信機操作検出信号E1が出力されていないことで発信機24のオフが判別され(ステップS12のYes)、制御部48は、発信機24に対応して設けられた案内表示部44を点滅駆動するとともにスピーカ部45から発信機24の操作を促す音声メッセージを出力することで発信機操作の案内表示と案内音声の出力を行う(ステップS13)。
【0120】
ここで、発信機操作の案内表示と案内音声を受けて道路利用者が発信機24を操作すると、電流検出部35から発信操作検出信号E1が出力されることで、制御部48は発信機24のオンを判別し(ステップS12のNo)、初期状態に戻ることで発信機操作の案内表示と案内音声が停止される。
【0121】
これに対し、道路利用者が発信機24を操作することなく消火器33を取り出した場合には、消火器取出検出スイッチ52により消火器扉18の開操作に続く所定の操作となる消火器33の取り出しが検出され(ステップS14のYes)、火災の確定を判断して火災通報信号送信部46のリレーXの作動によるリレー接点x1の閉成により、防災受信盤12へ火災通報信号を送信し(ステップS15)、火災警報を出力させる。
【0122】
[e.本発明の変形例]
本発明による消火栓装置及び消火器箱の変形例について、より詳細に説明する。本発明の消火栓装置及び消火器箱は、上記の実施形態以外に、以下の変形を含むものである。
【0123】
(電装機器の伝送回路)
上記の実施形態の電装扉に設けられた電装機器は、防災監視盤から引き出された信号回線単位に信号を送受信するP型(Proprietary-type)伝送回路を例にとるものであったが、電装扉(非常通報装置)ごとに固有のアドレスが設定され、電装扉に設けられた伝送部から防災受信盤の伝送部へアドレスを指定した機器制御を示す上り信号を送信するとともに、防災受信盤の伝送部から電装扉の伝送部へアドレスと検出情報を含む下り信号を送信するR(Record-type)型伝送回路であってもよい。
【0124】
(発信機操作の案内報知)
上記の実施形態は、発信機の操作を促す案内報知のために案内表示部44と音声メッセージを出力するスピーカ部45が設けられているが、何れか一方が設けられた構成であってもよい。
【0125】
(消火栓扉又は消火器扉の不時開放)
上記の実施形態は、消火栓扉又は消火器扉の開検出スイッチとハンドルタッチスイッチの両方のスイッチ出力が得られた場合に開操作を検出して発信機の操作を促す操作案内を行っているが、消火栓扉又は消火器扉の開検出スイッチのみのスイッチ出力が得られた場合には、振動などによる消火栓扉又は消火器扉の不時開放であることから、この場合には、所定の注意信号を制御部から防災受信盤へ送信して注意警報を出力させる構成であってもよい。
【0126】
(点検作業)
また、消火栓装置及び消火器箱は定期点検が行われるが、定期点検の際に、点検員が発信機を操作することなく消火栓扉又は消火器扉を開操作することで、発信機の操作を促す操作案内が正常に報知されることを確認することができる。また、電装扉の内側などに点検スイッチが設けられ、点検スイッチの操作により点検モードが設定されている場合には、点検員が消火栓扉又は消火器扉を点検のために開操作しても、発信機の操作を促す操作案内の報知が出力されない構成であってもよい。
【0127】
(その他)
また、本発明は、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、例えば、消火栓装置及び消火器箱以外にも、非常通報装置と扉とを有するものであって、扉内にアクセスして火災その他の際の各種防災操作を行うための設備に適用でき、このとき例えば、非常通報装置は、扉を備えた設備本体とは別体として設備本体の近傍に配置するようにしても良い。更に、本発明は、上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0128】
10(10-1)~10(10-4):消火栓装置
10a,10b:筐体
11a,11b:化粧枠
12:防災受信盤
14:配線ケーブル
15:消火栓扉
1510:扉ハンドル
16:保守扉
17:消火栓収納部
1710:バルブ類収納部
1720:ホース収納部
18:消火器扉
1810:扉ハンドル
1820:覗き窓
19:消火器収納部
20:電装扉
22:赤色表示灯
24:発信機
26:応答ランプ
28:電話ジャック
30,31:端子箱
32:ポンプ起動スイッチ
33:消火器
34:ポンプ起動連動スイッチ
35:電流検出部
36:消火栓扉開検出スイッチ
38,42:ハンドルタッチスイッチ
40:消火器扉開検出スイッチ
44:案内表示部
45:スピーカ部
46:火災通報信号送信部
48:制御部
50:ノズル取出検出スイッチ
52:消火器取出検出スイッチ
54:給水配管
56:給水栓
58:消火栓弁
60:自動調圧弁
61:消火栓弁開閉レバー
62:消火用ホース
64:ノズル
65:ノズルホルダー
66: ホース収納フレーム
68:ホースガイド
69:ケーブルラック
70:消火栓入力部
72:消火器入力部
74:端子台
76,78:終端抵抗
100:消火器箱
101:筐体
102:化粧枠
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10