IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 京セラドキュメントソリューションズ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-原稿読取装置 図1
  • 特開-原稿読取装置 図2
  • 特開-原稿読取装置 図3
  • 特開-原稿読取装置 図4
  • 特開-原稿読取装置 図5
  • 特開-原稿読取装置 図6
  • 特開-原稿読取装置 図7
  • 特開-原稿読取装置 図8
  • 特開-原稿読取装置 図9
  • 特開-原稿読取装置 図10
  • 特開-原稿読取装置 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174740
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】原稿読取装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/953 20190101AFI20241210BHJP
   G06F 16/14 20190101ALI20241210BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
G06F16/953
G06F16/14 100
H04N1/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092734
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003443
【氏名又は名称】弁理士法人TNKアジア国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョアード・サクィーロン
(72)【発明者】
【氏名】オーブリー ジーン・アバネス
【テーマコード(参考)】
5B175
5C062
【Fターム(参考)】
5B175DA02
5B175FB02
5B175GA03
5C062AA06
5C062AA13
5C062AA17
5C062AA35
5C062AB02
5C062AB20
5C062AB25
5C062AB38
5C062AB41
5C062AB42
5C062AB43
5C062AB44
5C062AC02
5C062AC22
5C062AC24
5C062AC51
5C062AC64
5C062AE03
5C062AF13
5C062BA04
(57)【要約】
【課題】写真又は絵などが大部分を占める原稿画像であってもその内容に相応しいファイル名とする。
【解決手段】画像形成装置1は、原稿画像を検索条件として検索エンジンによって、原稿画像と関連性の高い情報を取得する情報取得部101と、情報取得部101が取得した情報に含まれる文字情報に基づいて、当該文字情報が示す文字群の中からファイル名の候補となる語句を抽出する語句抽出部102と、語句抽出部102が抽出した語句を、ファイルのファイル名とする制御部100とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、
原稿の画像を読み取る原稿読取部と、
前記原稿読取部による読み取りで得られた画像データのファイルを、ファイル名を付けて記憶部に保存する制御部と、
前記画像データが示す原稿画像を検索条件として検索エンジンによって、前記原稿画像と関連性の高い情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部が取得した情報に含まれる文字情報に基づいて、当該文字情報が示す文字群の中からファイル名の候補となる語句を抽出する語句抽出部と、を備え、
前記制御部は、前記語句抽出部が抽出したファイル名の候補となる語句を、前記画像データからなるファイルに、当該ファイルのファイル名として設定する原稿読取装置。
【請求項2】
ユーザーからの操作入力を受け付ける操作部を更に備え、
前記制御部は、前記語句抽出部が抽出した語句を抽出したとき、当該抽出された語句を前記ファイルのファイル名の候補として前記表示部に表示し、前記操作部によって受け付けられた、ユーザーからの指示により選択された前記語句を前記ファイル名とする請求項1に記載の原稿読取装置。
【請求項3】
前記情報取得部は、前記原稿画像と関連性の高い情報として、前記原稿画像の同一画像と当該同一画像に付随する文字情報、及び前記原稿画像に似ている類似画像と当該類似画像に付随する文字情報を、前記検索エンジンにより取得し、
前記語句抽出部は、前記同一画像に付随する文字情報、又は前記類似画像に付随する文字情報に基づいて、ファイル名の候補となる語句を抽出する請求項1に記載の原稿読取装置。
【請求項4】
前記語句抽出部は、前記情報取得部によって取得された前記同一画像に付随する文字情報、又は前記類似画像に付随する文字情報のうち、前記同一画像に付随する文字情報に基づいて、当該文字情報が示す文字群の中から、ファイル名の候補となる語句を抽出する請求項3に記載の原稿読取装置。
【請求項5】
前記情報取得部が、検索結果として前記類似画像及び前記類似画像に付随する文字情報のみを取得している場合、
前記語句抽出部は、前記類似画像に付随する文字情報に基づいて、当該文字情報が示す文字群の中で頻出する語句をファイル名の候補として抽出する請求項3に記載の原稿読取装置。
【請求項6】
前記制御部は、複数の画像が配置された前記原稿画像を前記複数の画像に分割し、
前記情報取得部は、分割された前記複数の画像それぞれを検索条件として検索エンジンによって別々に検索させ、前記複数の画像それぞれと関連性の高い情報を取得し、
前記語句抽出部は、前記複数の画像それぞれと関連性の高い情報に含まれる文字情報に基づいて、当該文字情報が示す文字群の中からファイル名の候補となる語句を抽出する請求項1に記載の原稿読取装置。
【請求項7】
前記原稿画像に含まれる文字を認識する文字認識部を更に備え、
前記情報取得部は、前記文字認識部によって認識された文字群を検索条件として検索エンジンによって、前記原稿画像と関連性の高い情報を取得する請求項1に記載の原稿読取装置。
【請求項8】
前記語句抽出部が、前記画像データが示す原稿画像を検索条件として前記情報取得部によって得られた前記関連性の高い情報から、予め定められた語句抽出条件を満たす語句を抽出できない場合に、
前記情報取得部は、前記文字認識部によって認識された文字群を検索条件として、前記原稿画像と関連性の高い情報を取得する請求項7に記載の原稿読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿の画像を読み取る原稿読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、オフィスなどではペーパーレス化が進み、紙書類(原稿)の画像をスキャナーで読み取って、画像データをファイルとして保存することがある。ファイルを保存するにはファイル名を付ける必要があるが、そのファイルに相応しいファイル名を生成するのはユーザーにとって手間である。また、ファイル名の生成に時間が掛かると、ファイル保存に要する時間も長くなる。下記の特許文献1乃至3には、ファイル内のテキストに基づいてファイル名を生成することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6885481号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2014-0122479号明細書
【特許文献3】米国特許第9471581号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、原稿画像に文字がなく、そのほとんどが写真又は絵などである場合、上記の特許文献1乃至3に記載された技術ではファイル名を生成することは困難である。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであり、写真又は絵などが大部分を占める原稿画像であってもその内容に相応しいファイル名とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面に係る原稿読取装置は、表示部と、ユーザーからの操作入力を受け付ける操作部と、原稿の画像を読み取る原稿読取部と、前記原稿読取部による読み取りで得られた画像データのファイルを、ファイル名を付けて記憶部に保存する制御部と、前記画像データが示す原稿画像を検索条件として検索エンジンによって、前記原稿画像と関連性の高い情報を取得する情報取得部と、前記情報取得部が取得した情報に含まれる文字情報に基づいて、当該文字情報が示す文字群の中からファイル名の候補となる語句を抽出する語句抽出部と、を備え、更に、前記制御部は、前記語句抽出部が抽出した語句を、前記ファイルのファイル名の候補として前記表示部に表示し、前記操作部によって受け付けられた、ユーザーからの指示により選択された前記語句を前記ファイル名とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、文字ではなく、原稿画像を検索条件として、原稿画像と関連性の高い情報が取得され、当該情報に含まれる文字情報に基づく語句がファイル名とされる。従って、写真又は絵で大部分が占められる原稿画像であっても、原稿画像の内容に相応しいファイル名を原稿画像のファイルに付与することが可能となる。これにより、本発明によれば、原稿画像にファイル名を付与する際におけるユーザーの手間を軽減でき、ファイル保存に要する時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る原稿読取装置を備える画像形成装置の外観を示す斜視図である。
図2】第1実施形態に係る画像形成装置の主要内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。
図3】(A)は、原稿画像の一例を示した図であり、(B)及び(C)は、原稿画像と関連性の高い情報の一例を示した図である。
図4】(A)は、原稿画像の一例を示した図であり、(B)及び(C)は、原稿画像と関連性の高い情報の一例を示した図である。
図5】(A)は、原稿画像の一例を示した図であり、(B)は、原稿画像と関連性の高い情報の一例を示した図である。
図6】(A)は、原稿画像の一例を示した図であり、(B)は、原稿画像と関連性の高い情報の一例を示した図である。
図7】画像形成装置によるファイル名付与処理の一例を示すフローチャートである。
図8】(A)は、原稿画像の一例を示した図であり、(B)は、原稿画像と関連性の高い情報の一例を示した図である。
図9】第2実施形態に係る画像形成装置の主要内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。
図10】複数の画像を割り付けた原稿画像の一例を示した図である。
図11】(A)及び(B)は、複数の画像それぞれと関連性の高い情報の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態に係る原稿読取装置について図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る原稿読取装置を備える画像形成装置の外観を示す斜視図である。
【0010】
画像形成装置1は、例えば、コピー機能、プリンター機能、スキャナー機能、及びファクシミリ機能のような複数の機能を兼ね備えた複合機であり、原稿給送部6、原稿読取部5、画像形成部12、給紙部14、及び操作部47を含んで構成されている。
【0011】
原稿給送部6は、原稿読取部5の上面に図略のヒンジ等によって開閉可能に構成され、原稿給送部6は、図略のプラテンガラス上に載置された原稿を読み取る場合に原稿押さえカバーとして機能する。また、原稿給送部6は、ADF(Auto Document Feeder)と呼ばれるものであり、原稿が載置される原稿載置トレイ61と、原稿載置トレイ61の下方に設けられた原稿排出トレイ62と、を備える。原稿給送部6は、原稿載置トレイ61に載置された原稿を原稿読取部5へ1枚ずつ供給し、原稿排出トレイ62に原稿を排出する。
【0012】
画像形成装置1で原稿読取動作が行われる場合について説明する。原稿給送部6により原稿読取部5へ供給された原稿、又は上記プラテンガラス上に載置されている原稿の画像を、原稿読取部5が光学的に読み取り、そして画像データを生成する。原稿読取部5により生成された画像データは、図略の画像メモリー等に保存される。
【0013】
画像形成装置1で画像形成動作が行われる場合について説明する。原稿読取動作により生成された画像データや、ネットワーク接続された外部装置(例えば、パソコン)としてのコンピューターから受信した画像データに基づいて、画像形成部12が、給紙部14から給紙される記録媒体としての記録紙にトナー像を形成する。
【0014】
画像形成部12によりトナー像が形成された記録紙は、後述する定着部13(図2)で定着処理が施され、定着処理が施された記録紙は排出トレイ151に排出される。給紙部14は、複数の給紙カセット141を備える。
【0015】
操作部47は、画像形成装置1が実行可能な各種動作及び処理について、操作者から、画像形成動作実行指示等の指示を受け付ける。操作部47は、操作者への操作案内等を表示する表示部473を備えている。また、操作部47は、表示部473が有するタッチパネルを介して、表示部473に表示されている操作画面に対するユーザーによる操作(タッチ操作)や物理キーに対するユーザーによる操作に基づく、ユーザーからの指示の入力を受け付ける。
【0016】
表示部473は、LCD(Liquid Crystal Display)等からなる。表示部473は、タッチパネルを備えている。操作者は画面表示されるボタンやキーに触れる操作を行うと、タッチパネルにより、タッチ操作された位置に対応付けられた指示が受け付けられる。
【0017】
図2は、第1実施形態に係る画像形成装置1の主要内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。画像形成装置1は、制御ユニット10、原稿給送部6、原稿読取部5、画像形成部12、定着部13、給紙部14、操作部47、ネットワークインターフェイス部91、及び記憶部8を含んで構成されている。
【0018】
定着部13は、画像形成部12によりトナー像が形成された記録紙を加熱及び加圧して、トナー像を記録紙に定着させるものであり、定着処理が施された記録紙は排出トレイ151(図1)に排出される。
【0019】
ネットワークインターフェイス部91は、ローカルエリア内、又はインターネット上の外部装置(例えば、サーバー)と種々のデータの送受信を行う通信インターフェイスである。
【0020】
記憶部8は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の大容量記憶装置であり、各種の制御プログラム等を記憶する。
【0021】
制御ユニット10は、プロセッサー、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及び専用のハードウェア回路を含んで構成される。プロセッサーは、例えばCPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、又はMPU(Micro Processing Unit)等である。制御ユニット10は、制御部100と、情報取得部101と、語句抽出部102と、を備えている。
【0022】
制御ユニット10は、記憶部8に記憶されている制御プログラムに従った上記プロセッサーによる動作により、制御部100、情報取得部101、及び語句抽出部102として機能するものである。但し、制御部100等は、制御ユニット10による制御プログラムに従った動作によらず、それぞれハードウェア回路により構成することも可能である。以下、特に触れない限り、各実施形態について同様である。
【0023】
制御部100は、画像形成装置1の全体的な動作制御を司る。制御部100は、原稿給送部6、原稿読取部5、画像形成部12、定着部13、給紙部14、操作部47、ネットワークインターフェイス部91、及び記憶部8と接続され、これら各部の駆動制御等を行う。
【0024】
例えば、制御部100は、画像形成装置1による画像形成に必要な各種の処理などを実行する。また、制御部100は、原稿読取部5による読み取りで得られた画像データのファイルを、ファイル名を付けて記憶部8に保存する。なお、制御部100は、ネットワークインターフェイス部91を介して、パソコン等の外部装置にファイルを送信し、当該ファイルを外部装置内の記憶部で保存させるようにしてもよい。
【0025】
情報取得部101は、原稿読取部5による読み取りで得られた画像データが示す原稿画像を検索条件として検索エンジンによって、上記原稿画像と関連性の高い情報を取得する。例えば、情報取得部101は、上記原稿画像を検索条件として、ネットワークインターフェイス部91を介して、既知の検索エンジン(例えば、Google、Bing等)によって、インターネット上から上記原稿画像と関連性の高い情報を取得する。以下に、情報取得部101が、上記原稿画像を検索条件として既知の検索エンジンにより上記原稿画像と関連性の高い情報を取得した場合の例を説明する。なお、図3図6図8図10図11においては、検索結果としての各画像は、敢えてぼかしたものを用いている。
【0026】
図3(A)に例を示すような原稿画像G1(ABCD社製3.5インチのハードディスク 接続規格SATA 商品名「FISH」)を検索条件として、検索エンジンによりインターネット上から、近似する画像を検索し、図3(B)及び(C)に例を示すような各画像がヒットして、原稿画像G1と関連性の高い情報として得られたものとする。検索エンジンは、既知の技術により、検索対象の画像と同一の画像と類似する画像を区別して、検索結果として提示する。なお、上記した社名及び商品名は、架空のものであり、これ以降についても同様である。
【0027】
図3(B)は、検索エンジンにより検索結果として、原稿画像G1と内容が同一の画像である同種画像G11乃至G13と、画像G11乃至G13の内容を示す文字情報T11「ABCD FISH 3.5” SATA HDD」とが得られたことを示している。この場合、画像G11乃至G13は原稿画像G1と同一なので、文字情報T11は、原稿画像G1それ自身の内容を示す文字情報となる。
【0028】
図3(C)は、検索エンジンにより検索結果として、原稿画像G1と類似する類似画像G14乃至G17と、それぞれの内容を示す文字情報T14乃至T17とが得られたことを示している。
【0029】
図3(B)(C)に例を示したように、情報取得部101は、原稿画像G1と関連性の高い情報として、画像以外の情報としては、原稿画像G1それ自身の内容を示す文字情報T11と、原稿画像G1に似ている類似画像G14乃至G17の内容を示す文字情報T14乃至T17とを取得する。
【0030】
図4(A)に例を示すような原稿画像G2(KKKKKK社製の複合機 商品名「STAR 181」)を検索条件として、検索エンジンによりインターネット上から、近似する画像を検索し、図4(B)及び(C)に例を示すような各画像がヒットして、原稿画像G2と関連性の高い情報として得られたものとする。
【0031】
図4(B)は、原稿画像G2と内容が同一の同種画像G21乃至G23とその内容を示す文字情報T21「KKKKKK STAR 181」とを示している。つまり、文字情報T21は、原稿画像G2それ自身の内容を示す文字情報である。図4(C)は、原稿画像G2に似ている類似画像G24乃至G26とそれぞれの内容を示す文字情報T24乃至T26とを示している。
【0032】
図5(A)に例を示すような原稿画像G3(木製のトラックおもちゃ)を検索条件として、検索エンジンによりインターネット上から、原稿画像G3と関連性の高い情報として、図5(B)に例を示すような情報が得られたものとする。
【0033】
図5(B)は、原稿画像G3と似ている類似画像G31乃至G36とそれぞれの内容を示す文字情報T31乃至T36とを示している。なお、原稿画像G3を検索条件とした場合、原稿画像G1,G2を検索条件とした場合と異なり、原稿画像G3と内容が同じと認められる同種画像は得られなかつたものとする。すなわち、この場合、情報取得部101は、原稿画像G3と関連性の高い情報として、原稿画像G3と似ている類似画像G31乃至G36の内容を示す文字情報T31乃至T36については取得するが、原稿画像G3それ自身の内容を示す文字情報は取得しない。
【0034】
図6(A)に例を示すような原稿画像G4(聖書の一節「ローマ人への手紙 第6章第23節」)を検索条件として、検索エンジンによりインターネット上から、原稿画像G4と関連性の高い情報として、図6(B)に例を示すような情報が得られたものとする。
【0035】
図6(B)は、原稿画像G4と似ている類似画像G41乃至G48とそれぞれの内容を示す文字情報T41乃至T48とを示している。原稿画像G4を検索条件とした場合にも、原稿画像G3を検索条件とした場合と同様に、原稿画像G4と内容が同一と認められる同種画像は得られない。
【0036】
語句抽出部102は、情報取得部101が取得した情報に含まれる文字情報に基づいて、当該文字情報が示す文字群の中からファイル名の候補となる語句を抽出する。例えば、語句抽出部102は、情報取得部101が原稿画像と関連性の高い情報として原稿画像それ自身の内容を示す文字情報を取得した場合、類似する画像及びそれについての文字情報が検索結果として提示されていたとしても、原稿画像それ自身の内容を示す文字情報が示す文字群の中からファイル名の候補となる語句を抽出する。語句抽出部102は、原稿画像それ自身の内容を示す文字情報のうち、いずれか1つを無作為に選択してファイル名の候補となる語句として抽出してもよいし、各文字情報が示す文字群に共通して現れている文字列を抜き出して、ファイル名の候補となる語句として抽出してもよい。
【0037】
情報取得部101が、図3(B)に示したような、原稿画像G1それ自身の内容を示す文字情報T11「ABCD FISH 3.5” SATA HDD」を取得した場合、語句抽出部102は、文字情報T11が示す文字群の中からファイル名の候補となる語句を抽出する。
【0038】
また、情報取得部101が、図4(B)に示したような、原稿画像G2それ自身の内容を示す文字情報T21「KKKKKK STAR 181」を取得した場合、語句抽出部102は、文字情報T21が示す文字群の中からファイル名の候補となる語句を抽出する。
【0039】
語句抽出部102は、語句の抽出方法として、更に、図3(B)を例にして説明すると、「ABCD FISH 3.5” SATA HDD」のすべてを抽出する、或いは、予め定められた適正文字数だけ抽出する、を採用してもよい。例えば、適正文字数が16文字に設定されている場合、語句抽出部102は、文字情報T11が示す文字群の中から語句「ABCD FISH 3.5” SATA」の16文字分を、ファイル名の候補となる語句として抽出し、「HDD」については除外する。
【0040】
一方、語句抽出部102は、情報取得部101が、原稿画像と関連性の高い情報として、原稿画像それ自身の内容を示す文字情報を取得しておらず、原稿画像に似ている類似画像の内容を示す文字情報を取得している場合、当該類似画像の内容を示す文字情報が示す文字群の中で頻出する語句を、ファイル名の候補となる語句として抽出する。
【0041】
例えば、語句抽出部102は、図5(又は図6)に示したような、原稿画像G3(又は原稿画像G4)に似ている類似画像の内容を示す文字情報T31乃至T36(又は文字情報T41乃至T48)に基づいて、当該各文字情報が示す文字群の中で頻出する語句を抽出する。「頻出する語句」とは、例えば、検索結果として提示された各文字情報において、2つ以上の文字情報に出現している語句をいう。
【0042】
文字情報T31乃至T36が示す文字群の中で、頻出する語句は「wooden」や「toy」、「truck」、「wooden toy」、「wooden toy truck」である。語句の抽出方法として、(a)出現頻度の最も高い単語「wooden」を抽出する、或いは、(b)予め定められた適正文字数に近い語句を抽出する、などがある。例えば、適正文字数が16文字に設定されている場合、語句抽出部102は、語句「wooden toy truck」を抽出する。或いは、語句抽出部102は、文字情報T41乃至T48が示す文字群の中から、例えば、出現頻度の最も高い語句「Romans 6:23」を抽出する。
【0043】
制御部100は、更に、語句抽出部102が抽出した語句を、原稿読取部5による読み取りで得られた画像データのファイルのファイル名の候補として表示部473に表示してユーザーに向けて提示し、操作部47によって受け付けられた、ユーザーからのファイル名を選択する指示に従って、上記候補の内選択された語句をファイル名とする。
【0044】
次に、画像形成装置1によるファイル名付与処理の一例を図7に示すフローチャートを用いて説明する。
【0045】
操作部47がユーザーからのスキャン指示を受け付けたとき、制御部100は、原稿給送部6及び原稿読取部5の動作を制御し、原稿載置トレイ61に載置された原稿、又は上記プラテンガラス上に載置された原稿の画像を読み取り、原稿の画像データを取得する(S1)。
【0046】
情報取得部101は、制御部100が取得した画像データが示す原稿画像を検索条件として検索エンジンによって、原稿画像と関連性の高い情報を取得しする(S2)。制御部100は、情報取得部101が上記情報を取得できたか否かを判断する(S3)。
【0047】
制御部100が、情報取得部101が上記情報を取得できたと判断した場合(S3でYES)、語句抽出部102は、情報取得部101が取得した上記情報に含まれる文字情報に基づいて、当該文字情報が示す文字群の中からファイル名の候補となる語句を抽出する(S4)。ユーザーからのスキャン指示により取り込んだ原稿画像が、例えば、図3(A)に示したような原稿画像G3である場合、語句抽出部102は、検索対象の画像と同一の画像として提示された検索結果としての各画像に付随する上記文字情報から、ファイル名の候補として語句「ABCD FISH 3.5” SATA」を抽出する。
【0048】
制御部100は、語句抽出部102が抽出した語句を、上記画像データのファイルのファイル名の候補として表示部473に表示し(S5)、ユーザーにより操作部47に、上記候補をファイル名とすることを承諾する承諾指示が受け付けられたかを判断する(S6)。
【0049】
制御部100は、操作部47に上記承諾指示が受け付けられたと判断した場合(S6でYES)、上記候補の語句を上記原稿画像からなるファイルのファイル名とし(S7)、上記ファイルを、決定したファイル名を付けて記憶部8に保存する(S8)。この後、この処理は終了する。
【0050】
一方、制御部100は、上記候補をファイル名とすることを承諾しない不承諾指示が操作部47に受け付けられたと判断した場合(S6でNO)、表示部473の表示を制御して、ファイル名とする語句の入力をユーザーに促すファイル名入力画面を表示部473に表示させる(S9)。そして、制御部100は、ユーザーによる操作で操作部47に受け付けられた語句をファイル名とし(S10)、上記ファイルを、決定したファイル名を付けて記憶部8に保存する(S8)。この後、処理は終了する。
【0051】
なお、制御部100は、操作部47に上記不承諾が受け付けられた場合には、その時点での日時などをファイル名としてユーザーに提示して当該ファイル名を受け付ける指示を受け付けるための設定画面を表示部473に表示させ、操作部47に当該ファイル名を承諾する承諾指示が受け付けられたときに、当該ファイル名を上記原稿画像からなるファイルのファイル名とし、当該ファイルを記憶部8に保存するようにしてもよい。
【0052】
なお、S3において、制御部100は、情報取得部101が上記情報を取得できなかったと判断した場合(S3でNO)、処理はS9に移る。
【0053】
また、上記処理では、S6の処理を省略して、制御部100は、S5の処理後、ユーザーからの承諾指示を待つことなく、直ちにS7及びS8の処理を行うものとしてもよい。
【0054】
上記実施形態によれば、原稿画像を示す画像データにファイル名を付与する際、原稿画像を検索条件として検索エンジンから原稿画像と関連性の高い情報が検索結果として取得され、当該情報に含まれる文字情報に基づく語句がファイル名の候補とされ、当該候補がファイル名とされ、或いは、ファイル名候補としてユーザーに提示される。従って、原稿画像の大部分が写真又は絵などであっても、原稿画像の画像データの内容に相応しいファイル名をファイルに設定し、或いは、ファイル名候補としてユーザーに提示可能となり、ユーザーの手間を軽減でき、ファイル保存に要する時間を短縮することができる。
【0055】
次に、本発明の第2実施形態を説明する。原稿画像は、写真及び絵等がなく、文字及び背景だけで構成されているものがある。図6(A)に例を示したように、文章の内容が著名であれば、文字及び背景を示す原稿画像を検索対象としても、情報取得部101は、共通点の多い原稿画像と関連性の高い情報を多く取得でき、語句抽出部102はファイル名として相応しい語句(図6(A)に示す原稿画像を検索対象とする場合は「Romans 6:23」)を抽出することが可能である。
【0056】
しかしながら、文章が著名でない場合(例えば、単なる個人的な手紙の場合)、これの原稿画像を検索対象として画像検索をしても、情報取得部101が取得する、原稿画像と関連性の高い情報に共通点が少なく、語句抽出部102はファイル名として相応しい語句を抽出することが難しくなる可能性がある。
【0057】
例えば、図8(A)に示すような、有名な文を含まない、文字及び背景だけで構成された原稿画像G5を検索条件として、インターネット上から原稿画像G5と関連性の高い情報を取得したき、図8(B)に例を示すような情報が得られるものとして説明する。
【0058】
図8(B)は、原稿画像G5と見た目が似ている類似画像G51乃至G56とそれぞれの内容を示す文字情報T51乃至T56とを示している。なお、原稿画像G5と内容が同じと認められる同種画像は検索結果として得られない場合を例にする。また、検索対象が著名でない文章を示す画像であるため、類似画像G51乃至G56も、これらが互いに近似している画像である可能性は低く、文字情報T51乃至T56が示す文字群のそれぞれに共通する語句が存在しない可能性が高いため、ファイル名として相応しい語句を抽出することは困難である。
【0059】
そこで、第2実施形態に係る画像形成装置1は、図9に示すように、制御ユニット10が、記憶部8に記憶されている制御プログラムに従った上記プロセッサーによる動作により、制御部100、情報取得部101、及び語句抽出部102に加えて、更に文字認識部103として機能する。文字認識部103は、原稿画像に含まれる文字を、既存のOCR(Optical Character Recognition)技術を用いて認識する。
【0060】
第2実施形態では、情報取得部101は、原稿画像から文字認識部103によって認識された文字群を検索条件として、検索エンジンにより文字検索を行わせ、この検索により、原稿画像と関連性の高い情報を検索結果として取得する。例えば、情報取得部101が原稿画像を検索対象とした検索結果を得たときに、語句抽出部102が、この検索結果に基づいては、予め定められた語句抽出条件を満たす語句を抽出できなかった場合、情報取得部101は、原稿画像から文字認識部103によって認識された文字群を検索条件として、検索エンジンにより文字検索を行わせ、この検索により、原稿画像と関連性の高い情報を検索結果として取得する。語句抽出部102は、情報取得部101が文字群を文字検索の検索条件として取得した当該情報に基づいて、ファイル名としての語句を抽出する。上記予め定められた語句抽出条件は、例えば、文字情報T51乃至T56が示す文字群において、文字情報T51乃至T56の半数以上で共通する語句が存在するという条件である。
【0061】
更に、本発明の第3実施形態を説明する。原稿画像が、図10に例を示すように、異なる内容を示す複数の画像が割り付けられてなる1つの画像である場合がある。図10に示す原稿画像G6は、異なる内容を示す複数の画像として、画像GA乃至GDを有する。画像GAは、人差し指と中指とを離して突き出した右手を示している。画像GBは、飛んでいる鳩を示している。画像GCは、折り鶴を示している。画像GDは、円の中に3本線が引かれた図形を示している。
【0062】
情報取得部101が、このような複数の画像を有する原稿画像G6を検索条件として検索エンジンにより画像検索を行わせて、原稿画像G6と関連性の高い情報を取得した場合、原稿画像G6は異なる内容の複数の画像を含むため、検索結果として提示される各画像及びその文字情報は、互いに共通した内容とならないおそれがあり、これを原稿画像G6に関連性の高い情報して、語句抽出部102がファイル名候補を抽出しても、適正なファイル名候補を抽出できないおそれがある。
【0063】
そこで、第3実施形態では、制御部100は、複数の画像が配置された原稿画像を画像毎に分割し、情報取得部101は、分割された複数の画像のそれぞれを検索条件として、別々に検索エンジンによって画像検索を行わせ、複数の画像別に、検索結果として、関連性の高い情報を取得する。例えば、制御部100は、既存の線分検出アルゴリズム又はエッジ検出を用いて、画像GA乃至GDとの境界線を検出し、当該検出した境界線に基づいて、原稿画像G6を複数の画像GA乃至GDのそれぞれに分割する。
【0064】
情報取得部101が、画像GA(人差し指と中指とを離して突き出した右手)を検索条件として検索エンジンに画像検索を行わせたとき、画像GAと関連性の高い情報として、例えば、図11(A)に例を示すような画像GA1乃至GA6が検索結果として得られると共に、特に図示しないが、画像GA1乃至GA6それぞれの内容を示す文字情報、例えば、「scissors(はさみ)」、「peace(平和)」、「peace symbol(平和の象徴)」、及び「victory(勝利)」といった内容を示す文字情報が得られるものとする。
【0065】
また、情報取得部101が、画像GB(飛んでいる鳩)を検索条件として検索エンジンに画像検索を行わせたとき、画像GBと関連性の高い情報として、例えば、図11(B)に例を示すような画像GB1乃至GB5が検索結果として得られると共に、特に図示しないが、画像GB1乃至GB5それぞれの内容を示す文字情報、例えば、「pigeon(鳩)」、「peace」、及び「peace symbol」といった内容を示す文字情報が得られるものとする。
【0066】
図示しないが、情報取得部101が、画像GC(折り鶴)を検索条件として、インターネット上から画像GCと関連性の高い情報を取得すると、例えば、検索結果としての複数の画像に加え、「origami(折り紙)」、「crane(鶴)」、「paper crane(折り鶴)」、「peace」、及び「peace symbol」といった内容を示す文字情報が得られるものとする。また、情報取得部101が、画像GD(円の中に3本線が引かれた図形)を検索条件として、インターネット上から画像GDと関連性の高い情報を取得すると、例えば、検索結果としての複数の画像に加え、例えば、「peace」、「peace symbol」、及び「anti-war(反戦)」といった内容を示す文字情報が得られるものとする。
【0067】
情報取得部101が、上記のように、画像GA1乃至GA6についてそれぞれ検索結果として上記文字情報を取得すると、語句抽出部102は、画像GA1乃至GA6の全てについてそれぞれ検索結果として提示された全ての文字情報を対象として、これら文字情報が示す文字群の中からファイル名候補を抽出する。
【0068】
これにより、語句抽出部102は、原稿画像が異なる内容の複数の画像を含んでいる場合でも、当該複数の画像に共通する関連性の高い情報に基づいて、語句抽出部102が適正なファイル名候補を抽出できる。
【0069】
また、上記第1乃至第3実施形態では、語句抽出部102が、ファイル名の候補となる語句を1つ、抽出する場合について説明しているが、語句抽出部102が、ファイル名の候補となる語句を1つ以上、抽出するようにし、2つ以上抽出した場合には、制御部100は、ファイル名の候補をリスト表示して表示部473に表示させ、ユーザーによる操作で操作部47に入力された選択指示により選択されたファイル名の候補をファイル名とするようにしてもよい。
【0070】
本発明は上記実施の形態の構成に限られず種々の変形が可能である。また、上記実施形態では、図1乃至図11を用いて上記実施形態により示した構成及び処理は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明を当該構成及び処理に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0071】
1 画像形成装置
5 原稿読取部
47 操作部
100 制御部
101 情報取得部
102 語句抽出部
103 文字認識部
473 表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11