(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174744
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】測定装置と測定方法
(51)【国際特許分類】
G01N 33/18 20060101AFI20241210BHJP
G01N 31/16 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
G01N33/18 104
G01N31/16 A
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092740
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000219451
【氏名又は名称】東亜ディーケーケー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141173
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 啓一
(72)【発明者】
【氏名】堀 健人
(72)【発明者】
【氏名】秋武 大和
(72)【発明者】
【氏名】長 孝彰
【テーマコード(参考)】
2G042
【Fターム(参考)】
2G042AA01
2G042AA03
2G042BA05
2G042BA07
2G042BA09
2G042CA02
2G042DA03
2G042FA04
2G042FB03
(57)【要約】
【課題】製造コストを増加させることなく、気泡が除去された複数の試薬を高精度に送液可能な測定装置と測定方法とを得る。
【解決手段】本発明に係る測定装置では、制御部7は、第1溶液が第1シリンジポンプ部16から送液されるとき、第1弁V1に、第1共通管L12と第1送液管L13とを接続させて、第2弁V2に、第2共通管L22と第2タンク管L21とを接続させて、第1シリンジポンプ部から第1必要量の第1溶液が吐出されるように、ステッピングモータ11を動作させて、第2溶液が第2シリンジポンプ部17から送液されるとき、第1弁に、第1共通管と第1タンク管L11とを接続させて、第2弁に、第2共通管と第2送液管L23とを接続させて、第2シリンジポンプ部から第2必要量の第2溶液が吐出されるように、ステッピングモータを動作させる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料水の水質を測定する測定装置であって、
上下方向に沿って配置されて、第1溶液を吸引して、吐出する第1シリンジポンプ部と、
前記上下方向に沿って配置されて、第2溶液を吸引して、吐出する第2シリンジポンプ部と、
前記第1溶液を貯蔵する第1タンクと、
前記第2溶液を貯蔵する第2タンクと、
前記試料水と、前記第1シリンジポンプ部から吐出された前記第1溶液と、前記第2シリンジポンプ部から吐出された前記第2溶液と、が送液される反応槽と、
前記第1溶液の送液先を切り替える第1弁と、
前記第1弁と前記第1タンクとに接続される第1タンク管と、
前記第1弁と前記第1シリンジポンプ部の上端部とに接続される第1共通管と、
前記第1弁と前記反応槽とに接続される第1送液管と、
前記第2溶液の送液先を切り替える第2弁と、
前記第2弁と前記第2タンクとに接続される第2タンク管と、
前記第2弁と前記第2シリンジポンプ部の上端部とに接続される第2共通管と、
前記第2弁と前記反応槽とに接続される第2送液管と、
前記第1シリンジポンプ部と前記第2シリンジポンプ部とに、同時に同一の動作をさせるステッピングモータと、
前記第1弁と前記第2弁と前記ステッピングモータそれぞれの動作を制御する制御部と、
を有してなり、
前記制御部は、
前記反応槽に対して、前記第1溶液が前記第1シリンジポンプ部から送液されるとき、
前記第1弁に、前記第1共通管と前記第1送液管とを接続させて、
前記第2弁に、前記第2共通管と前記第2タンク管とを接続させて、
前記第1シリンジポンプ部から第1必要量の前記第1溶液が吐出されるように、前記ステッピングモータを動作させて、
前記反応槽に対して、前記第2溶液が前記第2シリンジポンプ部から送液されるとき、
前記第1弁に、前記第1共通管と前記第1タンク管とを接続させて、
前記第2弁に、前記第2共通管と前記第2送液管とを接続させて、
前記第2シリンジポンプ部から第2必要量の前記第2溶液が吐出されるように、前記ステッピングモータを動作させる、
ことを特徴とする測定装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記第1必要量の前記第1溶液が前記第1シリンジポンプ部から吐出される前に、
前記第1弁に、前記第1共通管と前記第1タンク管とを接続させて、
前記第2弁に、前記第2共通管と前記第2タンク管とを接続させて、
前記第1シリンジポンプ部から前記第1溶液が前記第1共通管の容積よりも多く吐出されるように、前記ステッピングモータを動作させて、
前記第2必要量の前記第2溶液が前記第2シリンジポンプ部から吐出される前に、
前記第1弁に、前記第1共通管と前記第1タンク管とを接続させて、
前記第2弁に、前記第2共通管と前記第2タンク管とを接続させて、
前記第2シリンジポンプ部から前記第2溶液が前記第2共通管の容積よりも多く吐出されるように、前記ステッピングモータを動作させる、
請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記第1必要量の前記第1溶液が前記第1シリンジポンプ部から吐出される前に、
前記第1シリンジポンプ部から前記第1溶液が前記第1共通管の容積と前記第1タンク管の容積とが合算された容積よりも多く吐出されるように、前記ステッピングモータを動作させて、
前記第2必要量の前記第2溶液が前記第2シリンジポンプ部から吐出される前に、
前記第2シリンジポンプ部から前記第2溶液が前記第2共通管の容積と前記第2タンク管の容積とが合算された容積よりも多く吐出されるように、前記ステッピングモータを動作させる、
請求項2に記載の測定装置。
【請求項4】
前記第1シリンジポンプ部は、
筒状の第1シリンジと、
前記第1シリンジの下端側から前記第1シリンジ内に挿入される第1プランジャと、
を備えて、
前記第2シリンジポンプ部は、
筒状の第2シリンジと、
前記第2シリンジの下端側から前記第2シリンジ内に挿入される第2プランジャと、
を備えて、
前記ステッピングモータは、前記第1シリンジに対して前記第1プランジャを進退させると同時に、前記第2シリンジに対して前記第2プランジャを進退させて、
前記制御部は、
前記第1プランジャが前記第1シリンジに対して1ストローク進退する間に、
前記第1シリンジポンプ部から前記第1溶液が前記第1共通管の容積よりも多く吐出されて、前記第1必要量の前記第1溶液が吐出されるように、前記第1弁と前記第2弁と前記ステッピングモータそれぞれの動作を制御すると共に、
前記第2プランジャが前記第2シリンジに対して1ストローク進退する間に、
前記第2シリンジポンプ部から前記第2溶液が前記第2共通管の容積よりも多く吐出されて、前記第2必要量の前記第2溶液が吐出されるように、前記第1弁と前記第2弁と前記ステッピングモータそれぞれの動作を制御する、
請求項2または3に記載の測定装置。
【請求項5】
前記測定装置は、前記試料水の化学的酸素要求量(COD)濃度を測定するCOD測定装置であり、
前記第1溶液は、過マンガン酸カリウム溶液であり、
前記第2溶液は、シュウ酸ナトリウム溶液であり、
前記制御部は、
前記反応槽に送液された前記試料水に所定濃度範囲内の濃度のシュウ酸ナトリウムが含まれるように、前記第2シリンジポンプ部に前記第2溶液を吐出させることにより、前記シュウ酸ナトリウムにより前記試料水に含まれる被酸化性物質の濃度が調整された疑似試料水を生成して、
前記疑似試料水が生成された後に、前記反応槽に対して、前記第1必要量の前記第1溶液が送液されるように、前記第1弁と前記第2弁と前記ステッピングモータそれぞれの動作を制御して、
前記第1必要量の前記第1溶液が送液された後に、前記反応槽に対して、前記第2必要量の前記第2溶液が送液されるように、前記第1弁と前記第2弁と前記ステッピングモータそれぞれの動作を制御する、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項6】
前記測定装置は、
前記制御部の制御に基づいて、前記反応槽に純水を送液する純水送液機構、
を有してなり、
前記第2溶液は、
既知濃度の被酸化性物質、
を含み、
前記制御部は、
前記純水送液機構に、所定量の前記純水を前記反応槽に送液させて、
前記純水が送液される前、または、送液された後に、前記反応槽に対して、前記第2必要量とは異なる量の前記第2溶液が送液されるように、前記第1弁と前記第2弁と前記第2シリンジポンプ部それぞれの動作を制御して、前記既知濃度より低濃度、かつ、既知濃度の前記被酸化性物質を含む疑似分析液を調製して、
前記疑似分析液が調製された後に、前記反応槽に対して、前記第1必要量の前記第1溶液が送液されるように、前記第1弁と前記第2弁と前記第1シリンジポンプ部それぞれの動作を制御して、
前記第1必要量の前記第1溶液が送液された後に、前記反応槽に対して、前記第2必要量の前記第2溶液が送液されるように、前記第1弁と前記第2弁と前記ステッピングモータそれぞれの動作を制御する、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項7】
前記第1シリンジポンプ部と前記第2シリンジポンプ部それぞれの上方に配置されて、前記第1シリンジポンプ部と前記第2シリンジポンプ部それぞれの前記上端部に連結される連結部材と、
前記第1共通管と前記連結部材とを連結させる第1継手と、
前記第2共通管と前記連結部材とを連結させる第2継手と、
を有してなり、
前記連結部材は、
下方から前記第1シリンジポンプ部の前記上端部が嵌め込まれる第1シリンジ取付穴と、
下方から前記第2シリンジポンプ部の前記上端部が嵌め込まれる第2シリンジ取付穴と、
前記第1シリンジ取付穴の上方に配置されて、上方から前記第1継手の下端部が嵌め込まれる第1管取付穴と、
前記第2シリンジ取付穴の上方に配置されて、上方から前記第2継手の下端部が嵌め込まれる第2管取付穴と、
を備えて、
前記第1継手は、
前記第1継手の下端面と、前記第1管取付穴の底面と、の間を液密に封止する第1シール部材、
を備えて、
前記第2継手は、
前記第2継手の下端面と、前記第2管取付穴の底面と、の間を液密に封止する第2シール部材、
を備える、
請求項1に記載の測定装置。
【請求項8】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の測定装置を用いて、前記水質を測定する測定方法であって、
前記制御部が、
前記試料水が前記反応槽に送液された後に、前記第1弁と前記第2弁と前記ステッピングモータそれぞれの動作を制御して、前記反応槽に対して、前記第1必要量の前記第1溶液を送液する第1溶液送液ステップと、
前記第1必要量の前記第1溶液が送液された後に、前記第1弁と前記第2弁と前記ステッピングモータそれぞれの動作を制御して、前記反応槽に対して、前記第2必要量の前記第2溶液を送液する第2溶液送液ステップと、
を含む、
ことを特徴とする測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定装置と測定方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
環境水(工場の排水、湖沼、河川、または海水など)の水質(例えば、全窒素濃度、全りん濃度、重金属濃度、COD(Chemical Oxygen Demand)濃度など)の測定には、測定装置が用いられている。このような測定装置では、採水ポンプを用いて採取された測定対象の水(以下「試料水」という。)に、測定に適した試薬が加えられる。これらの試薬の送液や計量には種々のポンプが用いられていて、そのポンプの動作には種々のモータが用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、測定装置において、主にコスト削減を目的とする省液化が求められている。試薬の計量精度を向上させることなく、省液化のために試薬の使用量が削減されると、必然的に測定誤差が大きくなり、測定装置の仕様が満たされないこととなる。高精度な試薬の計量には、パルスにより回転量が制御されるステッピングモータを用いたポンプが適している。しかし、ステッピングモータは、比較的高額である。そのため、試薬ごとにステッピングモータを用いたポンプが用いられると、測定装置の製造コストが増加する。また、ポンプに吸引された試薬内には、気泡が混入し得る。試薬の使用量が削減されると、気泡が微量であったとしても、試薬に対する気泡の割合が増加する。その結果、気泡が測定結果に及ぼす影響は大きくなる。
【0005】
本発明は、製造コストを増加させることなく、気泡が除去された複数の試薬を高精度に計量しつつ送液が可能な測定装置と測定方法とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る測定装置は、試料水の水質を測定する測定装置であって、上下方向に沿って配置されて、第1溶液を吸引して、吐出する第1シリンジポンプ部と、上下方向に沿って配置されて、第2溶液を吸引して、吐出する第2シリンジポンプ部と、第1溶液を貯蔵する第1タンクと、第2溶液を貯蔵する第2タンクと、試料水と、第1シリンジポンプ部から吐出された第1溶液と、第2シリンジポンプ部から吐出された第2溶液と、が送液される反応槽と、第1溶液の送液先を切り替える第1弁と、第1弁と第1タンクとに接続される第1タンク管と、第1弁と第1シリンジポンプ部の上端部とに接続される第1共通管と、第1弁と反応槽とに接続される第1送液管と、第2溶液の送液先を切り替える第2弁と、第2弁と第2タンクとに接続される第2タンク管と、第2弁と第2シリンジポンプ部の上端部とに接続される第2共通管と、第2弁と反応槽とに接続される第2送液管と、第1シリンジポンプ部と第2シリンジポンプ部とに、同時に同一の動作をさせるステッピングモータと、第1弁と第2弁とステッピングモータそれぞれの動作を制御する制御部と、を有してなり、制御部は、反応槽に対して、第1溶液が第1シリンジポンプ部から送液されるとき、第1弁に、第1共通管と第1送液管とを接続させて、第2弁に、第2共通管と第2タンク管とを接続させて、第1シリンジポンプ部から第1必要量の第1溶液が吐出されるように、ステッピングモータを動作させて、反応槽に対して、第2溶液が第2シリンジポンプ部から送液されるとき、第1弁に、第1共通管と第1タンク管とを接続させて、第2弁に、第2共通管と第2送液管とを接続させて、第2シリンジポンプ部から第2必要量の第2溶液が吐出されるように、ステッピングモータを動作させる、ことを特徴とする測定装置である。
【0007】
本発明に係る測定方法は、前述された測定装置を用いて、水質を測定する測定方法であって、制御部が、試料水が反応槽に送液された後に、第1弁と第2弁とステッピングモータそれぞれの動作を制御して、反応槽に対して、第1必要量の第1溶液を送液する第1溶液送液ステップと、第1必要量の第1溶液が送液された後に、第1弁と第2弁とステッピングモータそれぞれの動作を制御して、反応槽に対して、第2必要量の第2溶液を送液する第2溶液送液ステップと、を含む、ことを特徴とする測定方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、製造コストを増加させることなく、気泡が除去された複数の試薬を高精度に計量しつつ送液が可能な測定装置と測定方法とを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係る測定装置の実施の形態を示す模式構成図である。
【
図2】
図1の測定装置が備える第1試薬ポンプの模式正面図である。
【
図3】
図2の第1試薬ポンプのA矢視における模式側面図である。
【
図4】
図2の第1試薬ポンプのBB線における部分拡大断面図である。
【
図5】
図1の測定装置の動作に含まれる通常測定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図5の通常測定処理における
図1の測定装置が備える第1試薬送液機構と第2試薬送液機構それぞれの動作の一例を示す模式図であり、(a)~(c)は通常測定処理に含まれる酸化処理を示していて、(d)~(e)は通常測定処理に含まれる酸化停止処理を示している。
【
図7】
図1の測定装置の動作に含まれる低濃度測定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】
図1の測定装置の動作に含まれる簡易スパン校正処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
●測定装置●
本発明に係る測定装置(以下「本装置」という。)と、本発明に係る測定方法(以下「本方法」という。)と、の実施の形態が以下に説明される。以下の説明において、各図面は、適宜参照される。各図面において、同一の部材および要素については同一の符号が付されて、重複する説明は省略される。また、各図面において、各部材の構成を明確かつ簡潔に示すため、各部材の形状、大きさは、実寸法よりも意図的に変更して図示され得る。
【0011】
「測定装置」は、例えば、各処理後の試料水(分析液)に含まれる測定対象成分の濃度を算出(測定)する装置である。本実施の形態において、本装置は、化学的酸素要求量(COD:Chemical Oxygen Demand)濃度を測定するCOD測定装置として説明される。
【0012】
「試料水」は、本装置の測定対象成分を含む水であり、例えば、工場、事業所からの排水である。
【0013】
なお、本発明において、試料水は、排水に限定されない。すなわち、例えば、試料水は、河川、湖沼、海などの環境水でもよい。
【0014】
「測定対象成分」は、試料水に含まれる成分のうち、本装置の測定の対象となる成分であり、本実施の形態では、被酸化性物質である。
【0015】
なお、本発明において、本装置は、高精度な試薬の計量が必要となる装置であればよく、COD測定装置に限定されない。すなわち、例えば、本装置は、全窒素濃度測定装置や、全りん濃度測定装置でもよい。
【0016】
以下の説明では、本装置は、JIS K 0102の17.[100℃における過マンガン酸カリウムによる酸素消費量(CODMn)]に準じた方法でCOD濃度を測定する。すなわち、硫酸により酸性にされた試料水に酸化剤として過マンガン酸カリウム溶液が加えられて、分析液が生成される。その後、分析液は30分間加熱されて、分析液中の被酸化性物質の酸化反応が進む。次いで、分析液にシュウ酸ナトリウム溶液が加えられて、酸化反応が停止される。最後に、酸化剤(過マンガン酸カリウム)による滴定が行われて、消費された酸化剤の量に基づいて、試料水のCOD濃度が測定される。
【0017】
したがって、本装置では、試料水を酸性にするための試薬として硫酸が用いられ、酸化剤および滴定試薬として過マンガン酸カリウム溶液が用いられ、酸化剤と滴定試薬それぞれに反応する反応試薬(還元剤)および被酸化性物質としてシュウ酸ナトリウム溶液が用いられている。過マンガン酸カリウム溶液は、標定されて正確な濃度が明らかな(既知濃度)の過マンガン酸カリウムを含む、本発明における第1溶液の一例である。シュウ酸ナトリウム溶液は、既知濃度のシュウ酸ナトリウムを含む、本発明における第2溶液の一例である。
【0018】
また、以下の説明において、ある配管の「上流側」はその配管内の液体の流れにおける上流側を意味して、同「下流側」はその配管内の液体の流れにおける下流側を意味している。すなわち、例えば、「下流側」は、各タンクからシリンジポンプ部に向かう流れにおけるシリンジポンプ部側であり、シリンジポンプ部から反応槽側に向かう流れにおける反応槽側である。つまり、試料水を含めて反応槽に向かう流れにおける反応槽側が「下流側」であり、反応槽から廃液タンクに向かう廃液の流れにおける廃液タンクが最下流となる。
【0019】
●測定装置の構成
図1は、本装置の実施の形態を示す模式構成図である。
【0020】
本装置1は、試料水の水質(COD濃度)を測定する。本装置1は、反応槽2と、加熱槽3と、ヒータ4と、温度計5と、電極6と、制御部7と、第1試薬タンクT1と、第2試薬タンクT2と、第3試薬タンクT3と、第4試薬タンクT4と、純水タンクT5と、受水槽T6と、廃液タンクT7と、第1試薬配管L1と、第2試薬配管L2と、第3試薬配管L3と、第4試薬配管L4と、純水配管L5と、試料水配管L6と、エア配管L7と、廃液配管L8と、第1試薬ポンプP1と、第3試薬ポンプP2と、第4試薬ポンプP3と、純水ポンプP4と、試料水ポンプP5と、エアポンプP6と、廃液ポンプP7と、第1弁V1と、第2弁V2と、第3弁V3と、第4弁V4と、を有してなる。
【0021】
ここで、第1試薬タンクT1と第1試薬ポンプP1と第1試薬配管L1と第1弁V1とは、第1試薬送液機構M1を構成している。第2試薬タンクT2と第1試薬ポンプP1と第2試薬配管L2と第2弁V2とは、第2試薬送液機構M2を構成している。第3試薬タンクT3と第3試薬ポンプP2と第3試薬配管L3とは、第3試薬送液機構M3を構成している。第4試薬タンクT4と第4試薬ポンプP3と第4試薬配管L4とは、第4試薬送液機構M4を構成している。純水タンクT5と純水ポンプP4と純水配管L5と第3弁V3とは、純水送液機構M5を構成している。受水槽T6と試料水ポンプP5と試料水配管L6とは、試料水送液機構M6を構成している。
【0022】
本装置1の構成のうち、第1試薬送液機構M1および第2試薬送液機構M2以外の構成は、公知のCOD測定装置の構成と共通している。そのため、以下の説明では、第1試薬送液機構M1および第2試薬送液機構M2の構成以外の構成の詳細な説明は、省略される。
【0023】
反応槽2は、送液された試料水と各試薬とを一時的に貯えて、化学反応を起こさせる槽である。反応槽2の下部は、加熱槽3の浴内に浸漬されている。加熱槽3は、反応槽2の下部を加熱することにより、反応槽2内の分析液を加熱する。加熱槽3は、例えば、油浴または沸騰水浴である。ヒータ4は、加熱槽3を加熱する。温度計5は、加熱槽3の温度を計測する。
【0024】
電極6は、滴定の終点を検出する、例えば、白金電極である。電極6は、反応槽2内に挿入されている。
【0025】
制御部7は、本装置1全体の動作を制御する。制御部7は、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、CPUの作業領域として機能するRAM(Random Access Memory)と、測定プログラムなどの各種情報を記憶するROM(Read Only Memory)と、により構成されている。
【0026】
制御部7では、測定プログラムが動作して、測定プログラムが本装置1のハードウェア資源と協働して、後述する測定方法を実現している。また、制御部7を構成しているプロセッサ(CPU)が測定プログラムを実行することにより、測定プログラムは同プロセッサを制御部7として機能させて、同プロセッサに測定方法を実行させることができる。同様に、コンピュータに測定プログラムを実行させることにより、測定プログラムは、コンピュータを制御部7として機能させることができる。
【0027】
なお、本発明において、測定プログラムは、フラッシュメモリなどの記憶媒体(不図示)に記憶されていてもよい。また、測定プログラムは、インストール可能なファイル形式、または、実行可能なファイル形式で非一時的な記憶媒体(例えば、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、USB(Universal Serial Bus)メモリなど)に記憶されていて、専用の読み込み媒体を介して本装置1に提供されてもよい。
【0028】
第1試薬タンクT1は、第1試薬(過マンガン酸カリウム溶液)を貯留する。第2試薬タンクT2は、第2試薬(シュウ酸ナトリウム溶液)を貯留する。第3試薬タンクT3は、第3試薬(硫酸)を貯留する。第4試薬タンクT4は、第4試薬(硝酸銀)を貯留する。純水タンクT5は、純水を貯留する。受水槽T6は、採水ポンプ(不図示)により送液された試料水を受水する。第1試薬タンクT1は本発明における第1タンクの一例であり、第2試薬タンクT2は本発明における第2タンクの一例である。
【0029】
第1試薬ポンプP1は、制御部7の制御により動作して、第1試薬と第2試薬それぞれを反応槽2に送液する。第1試薬ポンプP1の構成の詳細は、後述される。
【0030】
第3試薬ポンプP2は第3試薬を反応槽2に送液して、第4試薬ポンプP3は第4試薬を反応槽2に送液する。第3試薬ポンプP2と第4試薬ポンプP3それぞれは、例えば、ACモータ(不図示)により動作している、公知のシリンジポンプである。
【0031】
純水ポンプP4は、純水を反応槽2に送液する。純水ポンプP4は、例えば、ステッピングモータ(不図示)により動作している、公知のシリンジポンプである。
【0032】
試料水ポンプP5は、試料水を反応槽2に送液する。試料水ポンプP5は、例えば、ACモータ(不図示)により動作している、公知のローラーポンプである。
【0033】
エアポンプP6は、エアを各配管L1~L5に圧送する。エアポンプP6は、例えば、ACモータ(不図示)により動作している、公知のエアポンプである。
【0034】
各ポンプP1~P7の動作は、制御部7により制御されている。
【0035】
第1試薬配管L1は、第1試薬タンクT1に貯留されている第1試薬が反応槽2に送液される経路である。第1試薬配管L1には、第1弁V1が接続されている。第1試薬配管L1は、第1タンク管L11と、第1共通管L12と、第1送液管L13と、を備える。
【0036】
第1タンク管L11の一端(上流端)は第1試薬タンクT1に接続されていて、第1タンク管L11の他端(下流端)は第1弁V1に接続されている。第1共通管L12の一端は第1試薬ポンプP1(後述される第1管取付穴18c:
図4参照)に接続されていて、第1共通管L12の他端は第1弁V1に接続されている。第1送液管L13の一端(上流端)は第1弁V1に接続されていて、第1送液管L13の他端(下流端)は反応槽2に接続されている。
【0037】
本実施の形態において、第1共通管L12の容積「V12」は、第1タンク管L11の容積「V11」と第1送液管L13の容積「V13」それぞれよりも小さい。第1タンク管L11の容積「V11」は、第1送液管L13の容積「V13」よりも大きい。
【0038】
第2試薬配管L2は、第2試薬タンクT2に貯留されている第2試薬が反応槽2に送液される経路である。第2試薬配管L2には、第2弁V2が接続されている。第2試薬配管L2は、第2タンク管L21と、第2共通管L22と、第2送液管L23と、を備える。
【0039】
第2タンク管L21の一端(上流端)は第2試薬タンクT2に接続されていて、第2タンク管L21の他端(下流端)は第2弁V2に接続されている。第2共通管L22の一端は第1試薬ポンプP1(後述される第2管取付穴18d:
図4参照)に接続されていて、第2共通管L22の他端は第2弁V2に接続されている。第2送液管L23の一端(上流端)は第2弁V2に接続されていて、第2送液管L23の他端(下流端)は反応槽2に接続されている。
【0040】
本実施の形態において、第2共通管L22の容積「V22」は、第2タンク管L21の容積「V21」と第2送液管L23の容積「V23」それぞれよりも小さい。第2タンク管L21の容積「V21」は、第2送液管L23の容積「V23」よりも大きい。第2タンク管L21の容積「V21」は第1タンク管L11の容積「V11」と同じであり、第2共通管L22の容積「V22」は第1共通管L12の容積「V12」と同じであり、第2送液管L23の容積「V23」は第1送液管L13の容積「V13」と同じである。
【0041】
第3試薬配管L3は、第3試薬タンクT3に貯留されている第3試薬が反応槽2に送液される経路である。第3試薬配管L3の一端(上流端)は第3試薬タンクT3に接続されていて、第3試薬配管L3の他端(下流端)は反応槽2に接続されている。第3試薬配管L3には、第3試薬ポンプP2が接続されている。
【0042】
第4試薬配管L4は、第4試薬タンクT4に貯留されている第4試薬が反応槽2に送液される経路である。第4試薬配管L4の一端(上流端)は第4試薬タンクT4に接続されていて、第4試薬配管L4の他端(下流端)は反応槽2に接続されている。第4試薬配管L4には、第4試薬ポンプP3が接続されている。
【0043】
純水配管L5は、純水タンクT5に貯留されている純水が反応槽2に送液される経路である。純水配管L5には、第3弁V3が接続されている。純水配管L5は、タンク管L51と、共通管L52と、送液管L53と、を備える。
【0044】
タンク管L51の一端(上流端)は純水タンクT5に接続されていて、タンク管L51の他端(下流端)は第3弁V3に接続されている。共通管L52の一端は純水ポンプP4に接続されていて、共通管L52の他端は第3弁V3に接続されている。送液管L53の一端(上流端)は第3弁V3に接続されていて、送液管L53の他端(下流端)は反応槽2に接続されている。
【0045】
試料水配管L6は、受水槽T6に貯留されている試料水が反応槽2に送液される経路である。試料水配管L6には、試料水ポンプP5が接続されている。試料水配管L6の一端(上流端)は受水槽T6に接続されていて、試料水配管L6の他端(下流端)は反応槽2に接続されている。
【0046】
エア配管L7は、エアポンプP6からのエアが各配管L1~L5に送風される経路である。エア配管L7の一端(上流端)は、エアポンプP6に接続されている。エア配管L7の他端(下流端)は、複数に分岐していて、第1送液管L13と、第2送液管L23と、第3試薬配管L3と、第4試薬配管L4と、送液管L53と、に接続されている。
【0047】
第1弁V1~第4弁V4は、例えば、制御部7により動作が制御される電磁弁である。第1弁V1~第3弁V3は三方弁であり、第4弁V4は常閉弁である。
【0048】
前述のとおり、第1弁V1は、第1タンク管L11と第1共通管L12と第1送液管L13とに接続されていて、制御部7の制御により、第1タンク管L11と第1共通管L12とを接続して、または、第1共通管L12と第1送液管L13とを接続している。同様に、第2弁V2は、制御部7の制御により、第2タンク管L21と第2共通管L22とを接続して、または、第2共通管L22と第2送液管L23とを接続している。同様に、第3弁V3は、制御部7の制御により、タンク管L51と共通管L52とを接続して、または、共通管L52と送液管L53とを接続している。
【0049】
図2は、第1試薬ポンプP1の模式正面図である。
図3は、第1試薬ポンプP1の
図2のA矢視における模式側面図である。
図4は、第1試薬ポンプP1の
図2のBB線における部分拡大断面図である。
【0050】
以下の第1試薬ポンプP1の説明と、
図2~
図4と、において、特に断りがない限り、空間において相互に直交する3軸をそれぞれX軸、Y軸およびZ軸としたとき、「X軸方向」は、X軸に沿う方向であり、左右方向である。「Y軸方向」は、Y軸に沿う方向であり、前後方向である。「Z軸方向」は、Z軸に沿う方向であり、上下方向である。また、「+X方向」は左方であり、「-X方向」は右方であり、「+Y方向」は前方であり、「-Y方向」は後方であり、「+Z方向」は上方であり、「-Z方向」は下方である。以下の説明において、
図1は、適宜参照される。
【0051】
第1試薬ポンプP1は、基板10と、モータ11と、カップリング12と、シャフト13と、スライダ14と、保持部材15と、第1シリンジポンプ部16と、第2シリンジポンプ部17と、連結部材18と、2つのシール部材19,20と、第1継手21と、第2継手22と、を備える。
【0052】
基板10は、モータ11と、シャフト13と、スライダ14と、連結部材18と、を支持する。基板10は、例えば、長手方向が上下方向(Z軸方向)に沿う矩形板状である。基板10の中央部には、上下方向に沿うスリット状の貫通孔10aが配置されている。
【0053】
モータ11は、カップリング12とシャフト13とを介してスライダ14を上下方向に往復移動させる回転力を生成する。モータ11は、公知のステッピングモータである。モータ11は、回転軸11aを下方(-Z方向)に向けて、基板10の後面に取り付けられている。モータ11の動作は、制御部7により制御されている。
【0054】
カップリング12は、モータ11の回転力をシャフト13に伝達する。カップリング12は、モータ11の回転軸11aに取り付けられている。
【0055】
シャフト13は、カップリング12を介して伝達されるモータ11の回転力に応じて回転して、スライダ14を上下方向に往復移動させる。シャフト13は、軸心方向が上下方向に沿うように、基板10の後面側に取り付けられている。
【0056】
スライダ14は、シャフト13の回転に応じて、シャフト13に沿って上下方向に往復移動する。スライダ14は、例えば、立方体状である。スライダ14は、シャフト13の雄ねじ面に対応する雌ねじ孔(不図示)を備える。雌ねじ孔は、スライダ14を上下方向に貫通している。雌ねじ孔には、シャフト13が挿通されている。
【0057】
保持部材15は、後述される第1プランジャ16bと第2プランジャ17bとを保持する。保持部材15は、スライダ14の前面の下部に取り付けられている。保持部材15は、貫通孔10aに通されていて、スライダ14と共に上下方向に往復移動する。保持部材15は、例えば、直方体状である。上下方向において、保持部材15の中央部には、第1プランジャ16bと第2プランジャ17bの下端部(後述される第1フランジ部16e、第2フランジ部17e)が嵌め込まれるスリット孔15aが配置されている。スリット孔15aは、保持部材15のうち、前方(+Y方向)と左右方向(X軸方向)それぞれに開口している。保持部材15のうち、スリット孔15aの上方(+Z方向)には、プランジャ取付溝15b,15cが配置されている。プランジャ取付溝15b,15cは、保持部材15のうち、右面および上面と、スリット孔15aと、に開口している。プランジャ取付溝15b,15cは、前後方向に並んで配置されている。
【0058】
第1シリンジポンプ部16は、第1試薬タンクT1から第1試薬を吸引して、吐出する。第1シリンジポンプ部16は、例えば、公知のマイクロシリンジである。第1シリンジポンプ部16は、軸心方向が上下方向に沿うように、保持部材15と連結部材18とに着脱可能に取り付けられている。本実施の形態において、第1シリンジポンプ部16の最大吸引容量は、後述される酸化処理(S13)と酸化停止処理(S14)において、吐出される第1試薬と第2試薬との総量よりも大きくなるように設計されている。第1シリンジポンプ部16は、第1シリンジ16aと、第1プランジャ16bと、第1ガスケット16cと、を備える。
【0059】
第1シリンジ16aは、上下方向に沿う円筒状である。第1シリンジ16aの上端部は縮径されていて、第1取付部16dを形成している。第1取付部16dの外周面は、雄ねじ面である。
【0060】
第1プランジャ16bは、上下方向に沿う円柱状である。第1プランジャ16bは、第1シリンジ16aの下端側から第1シリンジ16a内に挿入されていて、第1シリンジ16aに対して、上下方向に往復移動(進退)可能である。第1プランジャ16bの下端部は、拡径されていて円板状の第1フランジ部16eを形成している。
【0061】
第1ガスケット16cは、上下方向に沿う円柱状である。第1ガスケット16cは、第1プランジャ16bの上端部に取り付けられている。第1ガスケット16cは、第1プランジャ16bと共に、第1シリンジ16aに対して、液密な状態で上下方向に往復移動(進退)可能である。
【0062】
第1取付部16dは、後述される第1シリンジ取付穴18aに下方から着脱可能に嵌め込まれている(螺合されている)。第1フランジ部16eは、保持部材15のスリット孔15aに着脱可能に嵌め込まれている。第1プランジャ16bのうち、第1フランジ部16eに隣接する部分は、保持部材15のプランジャ取付溝15bに嵌め込まれている。その結果、保持部材15の上下方向の往復移動に応じて、第1プランジャ16bは第1シリンジ16aに対して上下方向に往復移動(進退)する。
【0063】
第2シリンジポンプ部17は、第2試薬タンクT2から第2試薬を吸引して、吐出する。第2シリンジポンプ部17は、例えば、公知のマイクロシリンジである。第2シリンジポンプ部17は、軸心方向が上下方向に沿うように、保持部材15と連結部材18とに着脱可能に取り付けられている。第2シリンジポンプ部17の構成は、第1シリンジポンプ部16の構成と共通する。すなわち、第2シリンジポンプ部17は、第2シリンジ17aと、第2プランジャ17bと、第2ガスケット17cと、第2取付部17dと、第2フランジ部17eと、を備える。
【0064】
第2取付部17dは、後述される第2シリンジ取付穴18bに下方から着脱可能に嵌め込まれている(螺合されている)。第2フランジ部17eは、保持部材15のスリット孔15aに嵌め込まれている。第2プランジャ17bのうち、第2フランジ部17eに隣接する部分(下部)は、保持部材15のプランジャ取付溝15cに嵌め込まれている。その結果、第2シリンジポンプ部17は、第1シリンジポンプ部16の前方に、第1シリンジポンプ部16と並んで配置されている。保持部材15の上下方向の往復移動に応じて、第2プランジャ17bは第2シリンジ17aに対して上下方向に往復移動(進退)する。
【0065】
連結部材18は、第1シリンジポンプ部16と第2シリンジポンプ部17それぞれと、第1試薬配管L1(第1共通管L12)と第2試薬配管L2(第2共通管L22)それぞれと、を連結する。連結部材18は、例えば、直方体状である。連結部材18は、基板10の前面の上部に取り付けられていて、第1シリンジポンプ部16と第2シリンジポンプ部17それぞれの上方に配置されている。連結部材18は、第1シリンジ取付穴18aと、第2シリンジ取付穴18bと、第1管取付穴18cと、第2管取付穴18dと、第1連通孔18eと、第2連通孔18fと、を備える。
【0066】
第1シリンジ取付穴18aは、連結部材18の下面に開口している有底円筒状の穴である。第1シリンジ取付穴18aの内周面は、第1取付部16dの雄ねじ面に対応する雌ねじ面である。
【0067】
第2シリンジ取付穴18bは、連結部材18の下面に開口している有底円筒状の穴である。第2シリンジ取付穴18bの内周面は、第2取付部17dの雄ねじ面に対応する雌ねじ面である。第2シリンジ取付穴18bは、第1シリンジ取付穴18aの前方に、第1シリンジ取付穴18aと並んで配置されている。
【0068】
第1管取付穴18cは、連結部材18の上面に開口している有底円筒状の穴である。第1管取付穴18cの内周面は、後述される第1継手21の雄ねじ面に対応する雌ねじ面である。第1管取付穴18cは、第1シリンジ取付穴18aの上方に配置されている。
【0069】
第2管取付穴18dは、連結部材18の上面に開口している有底円筒状の穴である。第2管取付穴18dの内周面は、後述される第2継手22の雄ねじ面に対応する雌ねじ面である。第2管取付穴18dは、第2シリンジ取付穴18bの上方に配置されている。
【0070】
第1連通孔18eは、第1シリンジ取付穴18aの底面18gと、第1管取付穴18cの底面18hと、に開口している円柱状の貫通孔である。
【0071】
第2連通孔18fは、第2シリンジ取付穴18bの底面18iと、第2管取付穴18dの底面18jと、に開口している円柱状の貫通孔である。
【0072】
シール部材19,20は、例えば、O-リングである。シール部材19は第1シリンジ取付穴18aに収容されていて、シール部材20は第2シリンジ取付穴18bに収容されている。シール部材19は、第1シリンジポンプ部16の第1取付部16dの上端面16fと、第1シリンジ取付穴18aの底面18gと、の間を液密に封止している。シール部材20は、第2シリンジポンプ部17の第2取付部17dの上端面17fと、第2シリンジ取付穴18bの底面18iと、の間を液密に封止している。
【0073】
なお、本発明において、第1シリンジ取付穴(第2シリンジ取付穴)に収容されるシール部材は、リング板状のガスケットでもよい。また、本装置は、第1シリンジ取付穴(第2シリンジ取付穴)に収容されるシール部材を備えていなくてもよい。
【0074】
第1継手21は、第1試薬配管L1(第1共通管L12)と連結部材18とを連結する、シール部材21a付きの公知の継手である。第1継手21の下端部の外周面は、第1管取付穴18cの雌ねじ面に対応する雄ねじ面である。第1継手21は、第1管取付穴18cに上方から嵌め込まれている(螺入されている)。第1継手21の内部には、第1共通管L12の一端が挿入されている。その結果、第1共通管L12の一端は、第1継手21と連結部材18とを介して、第1シリンジポンプ部16の第1取付部16dに接続されている。
【0075】
シール部材21aは、第1継手21と第1管取付穴18cとの間を液密に封止する。シール部材21aは、例えば、逆漏斗状である。シール部材21aの上部は、第1継手21(第1共通管L12)の下端部に挿入されている。シール部材21aの下部は、第1継手21の下端面21bと、第1管取付穴18cの底面18hと、の間に挟持されていて、これらの間を液密に封止している。
【0076】
第2継手22は、第2試薬配管L2(第2共通管L22)と連結部材18とを連結する、シール部材22a付きの公知の継手である。第2継手22の構成は、第1継手21の構成と共通している。第2継手22は、第2管取付穴18dに上方から嵌め込まれている(螺入されている)。第2継手22の内部には、第2共通管L22の一端が挿入されている。その結果、第2共通管L22の一端は、第2継手22と連結部材18とを介して、第2シリンジポンプ部17の第2取付部17dに接続されている。
【0077】
シール部材22aの上部は、第2継手22(第2共通管L22)の下端部に挿入されている。シール部材22aの下部は、第2継手22の下端面22bと、第2管取付穴18dの底面18jと、の間に挟持されていて、これらの間を液密に封止している。
【0078】
このように構成される第1試薬ポンプP1では、保持部材15はモータ11の回転に応じて上下方向に往復移動する。このとき、第1プランジャ16bと第2プランジャ17bそれぞれは、第1シリンジ16aと第2シリンジ17aそれぞれに対して、同時に、同一ストロークで、上下方向に往復移動(進退)する。換言すれば、モータ11は、第1シリンジポンプ部16と第2シリンジポンプ部17それぞれに、同時に同一の動作をさせる。
【0079】
また、第1シリンジポンプ部16は、第1取付部16dを第1シリンジ取付穴18aに嵌め込んで、第1フランジ部16eをスリット孔15aに嵌め込むだけで、容易に保持部材15と連結部材18とに取り付けられる。第1シリンジポンプ部16は、第1取付部16dを第1シリンジ取付穴18aから取り外し、第1フランジ部16eをスリット孔15aから取り外すだけで、容易に保持部材15と連結部材18とから取り外される。第2シリンジポンプ部17も同様である。
【0080】
●測定装置の動作●
次に、本装置1の動作、すなわち、本方法が説明される。以下の説明において、
図1~
図4は、適宜参照される。本装置1は、制御部7の制御により、通常測定処理(S1)、低濃度測定処理(S2)、簡易スパン校正処理(S3)、を実行する。
【0081】
●通常測定処理
図5は、通常測定処理(S1)の一例を示すフローチャートである。
図6は、通常測定処理(S1)における第1試薬送液機構M1と第2試薬送液機構M2それぞれの動作の一例を示す模式図であり、(a)~(c)は後述される酸化処理(S13)を示していて、(d)~(e)は後述される酸化停止処理(S14)を示している。同図では、試薬の流れが太い矢印で示されている。
【0082】
「通常測定処理(S1)」は、試料水に含まれる被酸化性物質が本装置1の測定レンジ内に収まっているときに実行されるCOD濃度の測定処理である。
【0083】
先ず、試料水導入処理(S11)が実行される。試料水導入処理(S11)では、試料水ポンプP5により、所定量の試料水が反応槽2に送液される。
【0084】
次いで、前処理(S12)が実行される。前処理(S12)では、試料水を酸性にするために、第3試薬ポンプP2により所定量の第3試薬(硫酸)が反応槽2に送液される。また、試料水内の塩化物イオンを除去するために、第4試薬ポンプP3により所定量の第4試薬(硝酸銀)が反応槽2に送液される。その結果、前処理(S12)後の試料水(分析液)が生成される。
【0085】
なお、本発明において、第4試薬(硝酸銀)は測定装置の仕様や試料水(例えば、塩化物イオンを含む試料水)に応じて試料水に添加されていればよく、第4試薬(硝酸銀)が添加されない場合もある。
【0086】
次いで、酸化処理(S13)が実行される。酸化処理(S13)では、反応槽2内の分析液に必要量の第1試薬が送液される。具体的には、酸化処理(S13)では、吸引処理(第1吸引ステップ)と、気泡除去処理(第1気泡除去ステップ)と、送液処理(第1溶液送液ステップ)と、加熱処理と、が順に実行される。
【0087】
酸化処理(S13)における「必要量」は、試料水(分析液)に含まれている被酸化性物質の量よりも多い量である。必要量は、例えば、過去の試料水に対するCOD濃度の測定結果などに基づいて設定されている。すなわち、必要量は、可変量である。酸化処理(S13)における必要量は、本発明における第1必要量の一例である。
【0088】
なお、本実施の形態では、硫酸を用いた酸性過マンガン酸カリウム法(酸性法)が採用されている。これに代えて、本発明は、水酸化ナトリウムを用いたアルカリ性過マンガン酸カリウム法(アルカリ性法)でも実現することができる。
【0089】
図6(a)も参照されて、吸引処理では、制御部7は、第1弁V1の動作を制御して、第1タンク管L11と第1共通管L12とを接続させると共に、第2弁V2の動作を制御して、第2タンク管L21と第2共通管L22とを接続させる。次いで、制御部7は、モータ11の動作を制御して、スライダ14を最大量下降させる。その結果、第1シリンジポンプ部16は最大量の第1試薬(過マンガン酸カリウム溶液)を吸引して、第2シリンジポンプ部17は最大量の第2試薬(シュウ酸ナトリウム溶液)を吸引する。
【0090】
気泡除去処理では、第1試薬と第2試薬それぞれに混入され得る気泡が除去される。第1シリンジポンプ部16は上下方向に沿って配置されているため、第1シリンジ16a内の気泡は、上端部(第1取付部16d)に集まる。また、第1試薬の吸引後、第1試薬タンクT1から第1シリンジポンプ部16までの経路、すなわち、第1タンク管L11と、第1弁V1と、第1共通管L12と、連結部材18(シール部材19、第1連通孔18e、シール部材21aの下部)と、の内部に残留する第1試薬にも気泡は混入し得る。同様に、第2試薬が吸引されている経路でも、気泡が混入され得る。
【0091】
図6(b)も参照されて、制御部7は、モータ11の動作を制御して、第1シリンジポンプ部16から少量の第1試薬が吐出されるように、スライダ14を上昇させる。吐出される第1試薬の量は、第1共通管L12の容積「V12」よりも多くなるように設定されている。具体的には、吐出される第1試薬の量は、第1共通管L12の容積「V12」と、第1タンク管L11の容積「V11」の約半分と、が合算された容積「V11/2+V12」と同じ量に設定されている。その結果、少なくとも、第1シリンジポンプ部16の上端部(第1取付部16d)から第1弁V1までの経路の第1試薬は、気泡と共に第1タンク管L11内に戻される。すなわち、第1試薬タンクT1から吸引された第1試薬のうち、第1シリンジポンプ部16の上端部と第1弁V1との間の第1試薬は、気泡と共に第1タンク管L11(第1試薬タンクT1)に戻される。したがって、第1シリンジポンプ部16から第1弁V1までに残留している第1試薬には、気泡は含まれていない。同様に、少なくとも、第2シリンジポンプ部17の上端部(第2取付部17d)から第2弁V2までの経路の第2試薬は、気泡と共に第2タンク管L21内に戻される。すなわち、第2試薬タンクT2から吸引された第2試薬のうち、第2シリンジポンプ部17の上端部と第2弁V2との間の第2試薬は、気泡と共に第2タンク管L21(第2試薬タンクT2)に戻される。したがって、第2シリンジポンプ部17から第2弁V2までに残留している第2試薬には、気泡は含まれていない。
【0092】
図6(c)も参照されて、送液処理では、先ず、制御部7は、第1弁V1のみの動作を制御して、第1共通管L12と第1送液管L13とを接続させる。次いで、制御部7は、モータ11の動作を制御して、必要量の第1試薬が第1シリンジポンプ部16から反応槽2へ送液されるように、スライダ14を上昇させる。その結果、必要量の第1試薬が、反応槽2へ送液される。モータ11はステッピングモータであるため、第1試薬は高精度に送液される。前述のとおり、送液処理の直前に気泡除去処理が実行されているため、反応槽2には気泡が混入しない。このとき、第2シリンジポンプ部17も同時に動作していて、第1試薬の必要量と同量の第2試薬が第2試薬タンクT2に戻される。次いで、制御部7は、第1弁V1のみの動作を制御して、第1タンク管L11と第1共通管L12とを接続させる。送液処理は、本発明における第1溶液送液ステップの一例である。
【0093】
加熱処理では、反応槽2内の分析液が、100℃で30分間加熱される。同加熱は、ヒータ4により加熱槽3が加熱されることにより実行される。その結果、分析液に含まれている被酸化性物質は、過マンガン酸カリウムにより酸化される。
【0094】
次いで、酸化停止処理(S14)が実行される。酸化停止処理(S14)では、反応槽2内の分析液に必要量の第2試薬が送液される。具体的には、酸化停止処理(S14)では、気泡除去処理(第2気泡除去ステップ)と、送液処理(第2溶液送液ステップ)と、が順に実行される。その結果、分析液中に残留している未反応の過マンガン酸カリウムがシュウ酸ナトリウムと反応することにより、被酸化性物質の酸化反応が停止される。
【0095】
酸化停止処理(S14)における「必要量」は、酸化処理(S13)において送液された過マンガン酸カリウム溶液の量により定まる。すなわち、必要量は、可変量である。酸化停止処理(S14)における必要量は、本発明における第2必要量の一例である。
【0096】
30分間の加熱処理中に、第2シリンジポンプ部17と、第2シリンジポンプ部17から第2弁V2までの経路と、の内部には、第2試薬に溶存していた気体が気泡として生じ得る。制御部7は、第2試薬内に生じ得る気泡を除去するため、気泡除去処理を実行する。
図6(d)も参照されて、酸化停止処理(S14)の気泡除去処理では、酸化処理(S13)の気泡除去処理と同じ動作が実行される。その結果、第2シリンジポンプ部17から第2弁V2までに残留している第2試薬には、気泡は含まれていない。同様に、第1シリンジポンプ部16から第1弁V1までに残留している第1試薬にも、気泡は含まれていない。
【0097】
なお、本発明において、加熱処理中に第2試薬内に気泡が生じない(または、気泡が生じても極微量である)とき、本装置は、第2気泡除去ステップを実行しなくてもよい。
【0098】
図6(e)も参照されて、送液処理では、制御部7は、第2弁V2のみの動作を制御して、第2共通管L22と第2送液管L23とを接続させる。次いで、制御部7は、モータ11の動作を制御して、必要量の第2試薬が第2シリンジポンプ部17から反応槽2へ送液されるように、スライダ14を上昇させる。その結果、必要量の第2試薬が、反応槽2へ送液される。モータ11はステッピングモータであるため、第2試薬は高精度に送液される。前述のとおり、送液処理の直前に気泡除去処理が実行されているため、反応槽2には気泡が混入しない。このとき、第1シリンジポンプ部16も同時に動作していて、第2試薬の必要量と同量の第1試薬が第1試薬タンクT1に戻される。次いで、制御部7は、第2弁V2のみの動作を制御して、第2タンク管L21と第2共通管L22とを接続させる。送液処理は、本発明における第2溶液送液ステップの一例である。
【0099】
次いで、滴定処理(S15)が実行される。滴定処理(S15)では、分析液に第1試薬が滴定される。具体的には、滴定処理(S15)では、吸引処理(第2吸引ステップ)と、気泡除去処理(第3気泡除去ステップ)と、送液処理(第3溶液送液ステップ)と、が実行される。
【0100】
吸引処理では、酸化処理(S13)の吸引処理と同じ動作が実行される。同様に、気泡除去処理では、酸化処理(S13)の気泡除去処理と同じ動作が実行される。その結果、第1シリンジポンプ部16から第1弁V1までに残留している第1試薬には、気泡は含まれていない。同様に、第2シリンジポンプ部17から第2弁V2までに残留している第2試薬にも、気泡は含まれていない。
【0101】
送液処理では、先ず、制御部7は、2つの電極6,6間に定電流が流れるように、2つの電極6,6間の電圧制御を行う。次いで、制御部7は、第1弁V1のみの動作を制御して、第1共通管L12と第1送液管L13とを接続させる。次いで、制御部7は、モータ11の動作を制御して、第1試薬が第1シリンジポンプ部16から反応槽2へ少量ずつ送液されるように、スライダ14を徐々に上昇させる。モータ11はステッピングモータであるため、第1試薬は高精度に送液される。このとき、制御部7は、電極6,6間の電位差を計測していて、同電位差が急変して最大になった時点を当量点として、当量点までに送液された第1試薬の量を取得する。次いで、制御部7は、第1試薬の送液量に基づいて、分析液のCOD濃度を算出する。第1試薬の滴定中、第2シリンジポンプ部17も同時に動作していて、第1試薬の送液量と同量の第2試薬が第2試薬タンクT2に戻される。次いで、制御部7は、第1弁V1のみの動作を制御して、第1タンク管L11と第1共通管L12とを接続させる。
【0102】
前述のとおり、モータ11は、ステッピングモータである。そのため、第1試薬ポンプP1は、通常測定処理(S1)において、第1試薬と第2試薬それぞれを高精度に送液できる。また、第1試薬ポンプP1は、通常測定処理(S1)において、第1試薬と第2試薬それぞれの経路の各容積に対応させた高精度な気泡除去処理を実行できる。そして、通常測定処理(S1)において、第1試薬と第2試薬それぞれが反応槽2に送液される直前には、第1試薬と第2試薬それぞれに含まれる気泡は除去されている。したがって、本装置1では、試料水と各試薬それぞれの使用量が削減されても、気泡の影響を受けない高精度な送液が実現できる。
【0103】
このように、本装置1では、制御部7は、1つのモータ11により、第1シリンジポンプ部16と第2シリンジポンプ部17とを同時に動作させている。すなわち、本装置1では、1つのステッピングモータの動作で、2つのシリンジポンプが動作して、2種の試薬が高精度に送液されている。その結果、1つのモータで1つのポンプのみが動作する従来の測定装置(以下「従来装置」という。)と比較して、本装置1では、モータの数が削減されて、製造コストが低減されて、消費電力も低減される。また、本装置1では、ステッピングモータの使用と気泡除去処理とにより、送液処理における各試薬の使用量も削減される。さらに、制御部7は、第1弁V1と第2弁V2それぞれの動作を制御して、第1共通管L12と第2共通管L22それぞれの接続先を切り替えることにより、第1試薬と第2試薬それぞれの送液先を切り替えている。したがって、本装置1では、第1プランジャ16bと第2プランジャ17bそれぞれが1ストローク進退する間に、2つの試薬に対する吸引処理と気泡除去処理と送液処理とが実行できる。その結果、本装置1では、試薬ごとの吸引処理と、溶存分を除く気泡除去と、が不要となるため、一度の測定に掛かる時間が短縮されて、第1ガスケット16cと第2ガスケット17cの劣化も抑制される。本装置1では、第1ガスケット16cと第2ガスケット17cとの進退距離の総和は全く同じとなるため、第1シリンジ16aと第2シリンジ17aとの交換時期が同じとなり、メンテナンスにおける煩雑さが軽減される。
【0104】
●低濃度測定処理
図7は、低濃度測定処理(S2)の一例を示すフローチャートである。
【0105】
「低濃度測定処理(S2)」は、試料水に含まれる被酸化性物質の濃度が本装置1の測定レンジよりも低濃度であるときに実行されるCOD濃度の測定処理である。シュウ酸ナトリウムは被酸化性物質として機能するため、低濃度測定処理(S2)では、試料水に含まれている被酸化性物質の濃度がシュウ酸ナトリウムにより、例えば、JIS K 0806「化学的酸素消費量 (COD) 自動計測器」に記載されている測定範囲(レンジ)0~20mgO/Lに入るように調整される(増やされる)。低濃度測定処理(S2)は、後述される濃度調整処理(S21)を含む点を除き、通常測定処理(S1)と共通している。そのため、以下の低濃度測定処理(S2)の説明のうち、通常測定処理(S1)と共通する処理については、通常測定処理(S1)と同じ処理番号が付されて、詳細な説明は省略される。
【0106】
なお、本発明の低濃度測定処理において、被酸化性物質の濃度は、例えば、JIS K 0806 5.測定範囲 の備考に記載されているとおり、測定範囲0.5~11mgO/L(フルスケール20mgO/Lの2.5~55%)に調整されるとよい。
【0107】
先ず、試料水導入処理(S11)が実行される。
【0108】
次いで、濃度調整処理(S21)が実行される。具体的には、濃度調整処理(S21)では、吸引処理と、気泡除去処理と、送液処理と、が順に実行される。
【0109】
吸引処理では、酸化処理(S13)の吸引処理と同様に、第1試薬と第2試薬それぞれが吸引される。
【0110】
気泡除去処理では、酸化処理(S13)の気泡除去処理同様に、第1試薬と第2試薬それぞれに含まれる気泡が除去される。
【0111】
送液処理では、先ず、制御部7は、第2弁V2のみの動作を制御して、第2共通管L22と第2送液管L23とを接続させる。次いで、制御部7は、モータ11の動作を制御して、必要量の第2試薬が第2シリンジポンプ部17から反応槽2へ送液されるように、スライダ14を上昇させる。その結果、必要量の第2試薬が、反応槽2へ送液される。その結果、反応槽2内において、試料水に含まれる被酸化性物質の濃度が第2試薬(シュウ酸ナトリウム)により、本装置1の測定レンジ内まで調整された(増やされた)疑似試料水が生成される。このとき、第1シリンジポンプ部16も同時に動作していて、第2試薬の必要量と同量の第1試薬が第1試薬タンクT1に戻される。次いで、制御部7は、第2弁V2のみの動作を制御して、第2タンク管L21と第2共通管L22とを接続させる。
【0112】
濃度調整処理(S21)における「必要量」は、疑似試料水に含まれる被酸化性物質の濃度が本装置1の測定レンジ内に入るまで調整されるために必要となる量である。
【0113】
次いで、前処理(S12)と、酸化処理(S13)と、酸化停止処理(S14)と、滴定処理(S15)と、が実行される。滴定処理(S15)において、制御部7は、濃度調整処理(S21)における被酸化性物質の増量分を、算出されたCOD濃度から減算することにより、元の試料水のCOD濃度を算出できる。ここで、被酸化性物質の濃度を増やすために添加されたシュウ酸ナトリウム溶液の容量分、試料水の容量が増えるため、試料水のCOD濃度を算出する際に、必要に応じて容量の補正が行われる。
【0114】
●簡易スパン校正処理(スパン液の自動調製とスパン校正)
図8は、簡易スパン校正処理(S3)の一例を示すフローチャートである。
【0115】
「簡易スパン校正処理(S3)」は、シュウ酸ナトリウムである第2試薬を純水で希釈して、スパン校正液と同濃度の疑似分析液を自動で調製して、疑似分析液を用いて本装置1のスパン校正を自動で実行する処理である。以下の簡易スパン校正処理(S3)の説明のうち、通常測定処理(S1)と共通する処理については、通常測定処理(S1)と同じ処理番号が付されて、詳細な説明は省略される。
【0116】
先ず、純水導入処理(S31)が実行される。純水導入処理(S31)では、純水ポンプP4により、所定量の純水が反応槽2に送液される。具体的には、純水導入処理(S31)では、吸引処理と、気泡除去処理と、送液処理と、が順に実行される。
【0117】
吸引処理では、制御部7は、第3弁V3と純水ポンプP4それぞれの動作を制御して、純水ポンプP4に最大量の純水を吸引させる。
【0118】
気泡除去処理では、制御部7は、第3弁V3と純水ポンプP4それぞれの動作を制御して、酸化処理(S13)の気泡除去処理と同様に、純水に含まれる気泡を除去する。
【0119】
送液処理では、制御部7は、第3弁V3と純水ポンプP4それぞれの動作を制御して、所定量(希釈に必要な量)の純水を反応槽2に送液する。
【0120】
次いで、試薬導入処理(S32)が実行される。試薬導入処理(S32)では、先ず、第1試薬ポンプP1により、所定量の第2試薬が反応槽2に送液される。具体的には、試薬導入処理(S32)では、吸引処理と、気泡除去処理と、送液処理と、が順に実行される。
【0121】
吸引処理では、酸化処理(S13)の吸引処理と同様に、第1試薬と第2試薬それぞれが吸引される。
【0122】
気泡除去処理では、酸化処理(S13)の気泡除去処理同様に、第1試薬と第2試薬それぞれに含まれる気泡が除去される。
【0123】
送液処理では、先ず、制御部7は、第2弁V2のみの動作を制御して、第2共通管L22と第2送液管L23とを接続させる。次いで、制御部7は、モータ11の動作を制御して、必要量の第2試薬が第2シリンジポンプ部17から反応槽2へ送液されるように、スライダ14を上昇させる。その結果、必要量の第2試薬が反応槽2へ送液されて、既知濃度(スパン校正液と同濃度)のシュウ酸ナトリウムが含まれた疑似分析液が調製(生成)される。このとき、第1シリンジポンプ部16も同時に動作していて、第2試薬の必要量と同量の第1試薬が第1試薬タンクT1に戻される。次いで、制御部7は、第2弁V2のみの動作を制御して、第2タンク管L21と第2共通管L22とを接続させる。このように、第2溶液が純水で希釈されるため、疑似分析液に含まれるシュウ酸ナトリウムの濃度は、第2溶液に含まれるシュウ酸ナトリウムの濃度よりも低濃度である。
【0124】
試薬導入処理(S32)における「必要量」は、純水に加えられたシュウ酸ナトリウムの濃度(すなわち、COD濃度)がスパン校正液における同濃度と同じとなるように希釈されるために必要な量である。試薬導入処理(S32)における第2試薬の必要量は、酸化停止処理(S14)における第2試薬の必要量とは異なる。
【0125】
なお、本発明において、試薬導入処理における「必要量」は目的に応じて変更されてもよく、他の既知濃度のシュウ酸ナトリウムが含まれた疑似分析液が調製されてもよい。
【0126】
次いで、純水に第2試薬が加えられた溶液に対して、通常測定処理(S1)と同様の前処理(S12)と酸化処理(S13)と酸化停止処理(S14)とが実行される。すなわち、同溶液に対して、所定量の第3試薬(硫酸)と第4試薬(硝酸銀)とが添加されて、その溶液に必要量の第1溶液が添加されて、その溶液が100℃で30分間加熱される。次いで、加熱後の溶液に必要量のシュウ酸ナトリウム溶液が添加されることにより酸化反応が停止される。このような各処理を経て、スパン校正液が調製される。
【0127】
なお、本発明において、試料水に第4試薬(硝酸銀)が添加されない場合には、第4試薬はスパン校正液の調製時にも添加されない。また、通常測定処理がアルカリ性法で実行される場合には、スパン校正液に対する各処理は試料水と同じ処理が実行される。
【0128】
次いで、スパン校正処理(S33)が実行される。スパン校正処理(S33)では、滴定処理(S15)と同様の処理が実行される。この場合、滴定処理(S15)において送液される第1溶液の量は、本発明における第1必要量の一例である。
【0129】
このように、本装置1では、スパン校正液が自動的に調製できる。そのため、本装置1では、本装置1の使用者による手動でのスパン校正液の調製作業が不要となり、スパン校正が簡易的(容易)に実行可能となる。また、本装置1では、1つの第1試薬ポンプP1のみで、スパン校正液(疑似分析液)を調製するために任意の量の第2試薬が容易に送液できる。また、本装置1では、複数種のCOD濃度の疑似分析液を調製することにより、測定結果の直線性が容易に確認できる。さらに、本装置1では、同一濃度の疑似分析液の調製と、COD濃度の測定と、が繰り返されることにより、測定結果の再現性が容易に確認できる。このように、本装置1では、1つの第1試薬送液機構M1のみで、異なる量の試薬が送液できる。これに対して、試薬の計量が不要分の試薬を吸い上げるすり切り方式により実行される従来装置では、試薬の濃度ごとに対応する配管と弁とが必要となる。
【0130】
また、仮に、測定値が、測定値へ影響を与える要因(例えば、閾値、トレンド、変動係数(CV値)、気泡、計量精度、その他の測定値への処理、など)により異常と判定されたとき、本装置1では、簡易スパン校正処理(S3)により既知濃度の疑似分析液を調製して、疑似分析液を測定することにより、測定装置の異常の有無が確認できる。この場合、疑似分析液の測定は、使用者により手動で実行されてもよい。また、疑似分析液の濃度は、スパン校正液の濃度に限定されない。すなわち、例えば、疑似分析液の濃度は、試料水において通常示されている濃度に近似した濃度に調整されてもよい。同様に、本装置1では、得られた測定値が前述の要因の影響を受けることなく正確であること(すなわち、測定結果の健全性 )を、必要に応じて、容易に確認できる。
【0131】
さらに、例えば、過マンガン酸カリウム溶液の濃度が経時変化により変動した場合、既知濃度のシュウ酸ナトリウム溶液により過マンガン酸カリウム溶液の濃度が求められる。すなわち、前述のJIS K 0806に記載された方法により調製されたシュウ酸ナトリウム溶液を用いて、簡易スパン校正処理(S3)を実行することにより、その当量点から過マンガン酸カリウム溶液の標定(ファクターを求める)が実行できる。この場合、第4試薬(硝酸銀)は添加されず、液温は約60℃(好適には、55℃~60℃)に加熱される。
【0132】
前述のとおり、本装置1では、仮に、濃度の不明な過マンガン酸カリウム溶液が用いられても、簡易スパン校正処理(S3)を実行することにより、過マンガン酸カリウム溶液の濃度の決定(標定)が可能である。これらの動作は制御部7によって制御され、結果はCOD値では無く、過マンガン酸カリウム溶液の濃度(または、ファクター)として算出される。
【0133】
なお、本発明の簡易スパン校正処理において、純水導入処理は、試薬導入処理の後に実行されてもよい。すなわち、純水が反応槽に送液される前に、第2試薬が反応槽に送液されてもよい。
【0134】
●まとめ
以上説明された実施の形態によれば、制御部7は、反応槽2に対して第1溶液が送液されるとき、第1弁V1に第1共通管L12と第1送液管L13とを接続させて、第2弁V2に第2共通管L22と第2タンク管L21とを接続させて、第1シリンジポンプ部16から必要量の第1溶液が吐出されるようにモータ11を動作させる。一方、制御部7は、反応槽2に対して第2溶液が送液されるとき、第1弁V1に第1共通管L12と第1タンク管L11とを接続させて、第2弁V2に第2共通管L22と第2送液管L23とを接続させて、第2シリンジポンプ部17から必要量の第2溶液が吐出されるようにモータ11を動作させる。この構成によれば、本装置1は、1つのモータ11の動作で、第1シリンジポンプ部16と第2シリンジポンプ部17とを同時に動作させて、第1試薬と第2試薬それぞれを任意の量で高精度に送液できる。そのため、本装置1では、従来装置と比較して、モータの数が削減されて、製造コストが低減されて、消費電力も低減される。また、本装置1では、第1試薬が送液されている間、第2試薬は気泡と共に第2タンク管L21(第2試薬タンクT2)に戻される。同様に、第2試薬が送液されている間、第1試薬は気泡と共に第1タンク管L11(第1試薬タンクT1)に戻される。したがって、本装置1では、COD濃度の測定における気泡の影響は、低減される。このように、本装置1は、製造コストを増加させることなく、気泡の影響を抑制しつつ、第1試薬と第2試薬それぞれを高精度に送液できる。
【0135】
また、以上説明された実施の形態によれば、制御部7は、送液処理の直前に、気泡除去処理を実行している。制御部7は、気泡除去処理において、第1シリンジポンプ部16から第1試薬が第1共通管L12の容積「V12」よりも多く吐出されるように、モータ11を動作させている。同様に、制御部7は、気泡除去処理において、第2シリンジポンプ部17から第2試薬が第2共通管L22の容積「V22」よりも多く吐出されるように、モータ11を動作させている。この構成によれば、第1シリンジポンプ部16の上端部(第1取付部16d)から第1弁V1までの経路の内部に存在している第1試薬は、気泡と共に確実に第1タンク管L11内に戻される。同様に、第2シリンジポンプ部17の上端部(第2取付部17d)から第2弁V2までの経路の内部に存在している第2試薬は、気泡と共に確実に第2タンク管L21内に戻される。したがって、本装置1では、COD濃度の測定において、気泡は影響を与えない。
【0136】
さらに、以上説明された実施の形態によれば、制御部7は、第1プランジャ16bが第1シリンジ16aに対して1ストローク進退する間に第1試薬に対する気泡除去処理と送液処理とが実行されるように、第1弁V1と第2弁V2とモータ11それぞれの動作を制御している。また、同制御と共に、制御部7は、第2プランジャ17bが第2シリンジ17aに対して1ストローク進退する間に第2試薬に対する気泡除去処理と送液処理とが実行されるように、第1弁V1と第2弁V2とモータ11それぞれの動作を制御している。すなわち、第1プランジャ16bと第2プランジャ17bとが1ストローク進退する間に、第1試薬と第2試薬それぞれに対する気泡除去処理と送液処理とが実行されている。この構成によれば、本装置1では、試薬ごとの吸引処理と、溶存分を除く気泡除去と、が不要となる。そのため、一度の測定に掛かる時間が短縮されて、一度の測定における第1プランジャ16bと第2プランジャ17bそれぞれのストローク数が減少して、第1ガスケット16cと第2ガスケット17cそれぞれの劣化が抑制される。
【0137】
さらにまた、以上説明された実施の形態によれば、本装置1は、低濃度測定処理(S2)を実行する。この構成によれば、本装置1は、本装置1の測定レンジよりも低濃度の試料水に対しても、正確にCOD濃度を測定できる。
【0138】
さらにまた、以上説明された実施の形態によれば、本装置1は、簡易スパン校正処理(S3)を実行する。この構成によれば、本装置1は、通常測定処理(S1)の合間に、自動的にスパン校正を実行できる。したがって、本装置1では、本装置1の使用者による手動でのスパン校正液の調製作業が不要となり、スパン校正が簡易的(容易)に実行可能となる。また、この構成によれば、複数種のCOD濃度の疑似分析液を調製することにより、測定結果の直線性の確認が容易に実行できる。さらに、本装置1では、同一濃度の疑似分析液の調製と、COD濃度の測定と、が繰り返されることにより、測定結果の再現性の確認が容易に実行できる。
【0139】
さらにまた、以上説明された実施の形態によれば、第1管取付穴18cは第1シリンジ取付穴18aの上方に配置されていて、第1継手21の下端面21bと第1管取付穴18cの底面18hとの間はシール部材21aにより液密に封止されている。第2管取付穴18dは第2シリンジ取付穴18bの上方に配置されていて、第2継手22の下端面22bと第2管取付穴18dの底面18jとの間はシール部材22aにより液密に封止されている。この構成によれば、気泡除去処理において、気泡は、第1管取付穴18c内に留まらず、第1継手21の雄ねじ面と第1管取付穴18cの雌ねじ面との間にも入り込まない。同様に、気泡は、第2管取付穴18d内に留まらず、第2継手22の雄ねじ面と第2管取付穴18dの雌ねじ面との間にも入り込まない。
【0140】
●その他の実施形態
なお、本発明の気泡除去処理において、第1試薬の吐出量は、第1共通管の容積「V12」よりも多ければよく、以上説明された実施の形態に限定されない。すなわち、例えば、第1試薬の吐出量は、第1共通管の容積「V12」と第1タンク管の容積「V11」とが合算された容積「V11+V12」よりも多くてもよい。この構成では、第1シリンジポンプ部の上端部に存在している第1試薬は、気泡と共に、確実に第1タンク管または第1試薬タンクに戻される。同様に、本発明の気泡除去処理において、第2試薬の吐出量は、第2共通管の容積「V22」よりも多ければよく、以上説明された実施の形態に限定されない。
【0141】
また、本発明の通常測定処理において、制御部は、第1プランジャと第2プランジャそれぞれが1ストローク進退する間に、滴定処理まで実行してもよい。すなわち、通常処理において、制御部は、第2吸引ステップを実行しなくてもよい。この場合、第1シリンジポンプ部と第2シリンジポンプ部それぞれの容量は、以上説明された実施の形態における同容量よりも大きくなるように設定されている。この構成では、一度の測定における第1プランジャと第2プランジャそれぞれのストローク数がさらに減少して、第1ガスケットと第2ガスケットそれぞれの劣化がさらに抑制される。
【0142】
さらに、本発明において、制御部は、酸化処理と酸化停止処理と滴定処理それぞれにおいて、第1プランジャと第2プランジャそれぞれを1ストローク進退させてもよい。この構成では、第1シリンジと第2シリンジそれぞれの容量は、小さくできる。
【0143】
さらにまた、本発明において、第1継手が備えるシール部材は、第1継手の先端部と第1管取付穴の底面との間に配置されるO-リングまたはガスケットでもよい。同様に、第2継手が備えるシール部材は、第2継手の先端部と第2管取付穴の底面との間に配置されるO-リングまたはガスケットでもよい。
【0144】
さらにまた、本発明において、第1試薬ポンプは、3以上のシリンジポンプ部を備えていてもよい。すなわち、例えば、第1試薬ポンプは、純水を吸引して吐出するシリンジポンプ部も備えていてもよい。この場合、純水ポンプが不要となり、本装置の製造コストはさらに低減される。なお、モータは、各プランジャの進退時に生じる負荷に耐え得るトルクを有すればよい。
【0145】
さらにまた、本発明において、第1シリンジポンプ部と第2シリンジポンプ部とは、X軸方向に並んで配置されていてもよい。
【0146】
さらにまた、本発明において、第1試薬と第2試薬それぞれは、本装置として機能する測定装置の測定対象成分に応じていればよい。すなわち、第1試薬は過マンガン酸カリウム溶液に限定されず、第2試薬はシュウ酸ナトリウム溶液に限定されない。
【0147】
さらにまた、本発明において、各配管の容積の大小関係は、気泡除去処理に適していればよく、本実施の形態に限定されない。
【0148】
さらにまた、本発明において、各配管や各弁の配置や数は、
図1に示されている配置や数に限定されない。すなわち、例えば、本装置は他の弁を備えていてもよく、エア配管は試料水配管や廃液配管に接続されていてもよい。
【0149】
さらにまた、本発明において、本装置は、第4試薬送液機構を備えていなくてもよい。
【符号の説明】
【0150】
1 測定装置
2 反応槽
7 制御部
11 モータ(ステッピングモータ)
16 第1シリンジポンプ部
16a 第1シリンジ
16b 第1プランジャ
17 第2シリンジポンプ部
17a 第2シリンジ
17b 第2プランジャ
18 連結部材
18a 第1シリンジ取付穴
18b 第2シリンジ取付穴
18c 第1管取付穴
18d 第2管取付穴
21 第1継手
21a シール部材(第1シール部材)
22 第2継手
22a シール部材(第2シール部材)
L11 第1タンク管
L12 第1共通管
L13 第1送液管
L21 第2タンク管
L22 第2共通管
L23 第2送液管
M5 純水送液機構
T1 第1試薬タンク(第1タンク)
T2 第2試薬タンク(第2タンク)
V1 第1弁
V2 第2弁