(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174745
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G16H 50/30 20180101AFI20241210BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20241210BHJP
【FI】
G16H50/30
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092742
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100187078
【弁理士】
【氏名又は名称】甲原 秀俊
(74)【代理人】
【識別番号】100220674
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 祐
(72)【発明者】
【氏名】中三川 京弥
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
5L099
【Fターム(参考)】
5L049CC11
5L050CC11
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】ユーザの身体活動を示す情報を取得する確度を改善する。
【解決手段】情報処理装置は、ユーザが用いる端末装置と通信する通信部と、前記ユーザの行動を示すイベントの情報と、当該イベント中の前記ユーザの身体の活動履歴を示すライフログとを対応付けて前記記憶部に格納し、第1のイベントに対応する前記ライフログが取得できないときには、当該第1のイベントと類似した第2のイベントに対応付けたライフログを用いて前記第1のイベントのライフログを補完する制御部と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶部と、
ユーザが用いる端末装置と通信する通信部と、
前記ユーザの行動を示すイベントの情報と、当該イベント中の前記ユーザの身体の活動履歴を示すライフログとを対応付けて前記記憶部に格納し、第1のイベントに対応する前記ライフログが取得できないときには、当該第1のイベントと類似した第2のイベントに対応付けたライフログを用いて前記第1のイベントのライフログを補完する制御部と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、各イベントに当該イベントのカテゴリを示す情報を対応付けて前記記憶部に格納し、前記第1のイベントの前記カテゴリと共通するカテゴリが対応付けられた過去のイベントを、前記第2のイベントとして選択する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、複数の前記第1のイベントを有する第1のイベント群に対応する前記ライフログを補完するときには、複数の前記第2のイベントを有する第2のイベント群に対応する前記ライフログの累計を用いる、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1のイベント群のそれぞれのイベントに当該イベントのカテゴリを示す情報を対応付けて前記記憶部に格納し、
前記第1のイベント群のそれぞれのイベントの前記カテゴリと共通するカテゴリが対応付けられた過去のイベント群を、前記第2のイベント群として選択する、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1のイベント群の日と天候が共通する過去のイベント群を、前記第2のイベント群として選択する、請求項3に記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザの身体活動を示す情報を取得する技術が知られている。例えば特許文献1には、住宅が備える電力センサ等を用いて1日の居住者の行動履歴の変化を検出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザの身体活動を示す情報を取得する確度には改善の余地がある。
【0005】
かかる事情に鑑みてなされた本開示は、ユーザの身体活動を示す情報を取得する確度を改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る情報処理装置は、記憶部と、ユーザが用いる端末装置と通信する通信部と、前記ユーザの行動を示すイベントの情報と、当該イベント中の前記ユーザの身体の活動履歴を示すライフログとを対応付けて前記記憶部に格納し、第1のイベントに対応する前記ライフログが取得できないときには、当該第1のイベントと類似した第2のイベントに対応付けたライフログを用いて前記第1のイベントのライフログを補完する制御部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の情報処理装置等によれば、ユーザの身体活動を示す情報を取得する確度改善が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】情報処理装置の動作を示すフローチャートである。
【
図3】イベント履歴情報を説明するための図である。
【
図4】情報処理装置の動作を示すフローチャートである。
【
図5】イベント履歴情報を説明するための図である。
【
図6】イベント履歴情報のカテゴリを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態に係る情報処理システム1の構成例について説明する図である。情報処理システム1は、情報処理装置10と、端末装置20と、を備える。情報処理装置10と及び端末装置20は、例えばインターネット及び移動体通信網等を含むネットワーク30と通信可能に接続される。
【0010】
情報処理装置10は、データセンタなどの施設に設置される。情報処理装置10は、例えば、クラウドコンピューティングシステム又はその他のコンピューティングシステムに属するサーバである。
【0011】
端末装置20は、ユーザによって保持される、例えば、携帯電話機、スマートフォン、若しくはタブレットなどのモバイル機器である。端末装置20は、例えば歩数計機能等、ユーザのライフログを測定して記録する機能を有する。
【0012】
ネットワーク30は、インターネット、少なくとも1つのWAN(Wide Area Network)、少なくとも1つのMAN(metropolitan area network)、又はこれらの組合せを含む。ネットワーク30は、少なくとも1つの無線ネットワーク、少なくとも1つの光ネットワーク、又はこれらの組合せを含んでもよい。無線ネットワークは、例えば、アドホックネットワーク、セルラーネットワーク、無線LAN(local area network)、衛星通信ネットワーク、又は地上マイクロ波ネットワークである。
【0013】
情報処理システム1は、ユーザのライフログ取得を支援する。ライフログは、ユーザの身体の活動履歴を示す情報であり、歩数、歩行距離、消費カロリー、睡眠時間、食事時間等を含む。ライフログはユーザの端末装置20により測定される。情報処理装置10は、端末装置20から測定されたライフログを示す情報を受信する。
【0014】
情報処理装置10は、制御部11と、記憶部12と、通信部13とを備える。制御部11は、ユーザの行動を示すイベントの情報と、当該イベント中のライフログとを対応付けて記憶部12に格納する。情報処理装置10は、第1のイベントに対応するライフログが取得できないときには、当該第1のイベントと類似した第2のイベントに対応付けたライフログを用いて第1のイベントのライフログを補完する。本実施形態によれば、ユーザが端末装置20を持ち歩くことを忘れていたこと等により、ライフログの測定ができていなかった場合でも、情報処理装置10は、過去のイベントの中から類似するイベントを選択し、選択したイベントに対応付けられたライフログでライフログを補完できる。類似するイベントに対応するライフログは測定したライフログに近似する蓋然性が高い。よって、ユーザの身体活動を示す情報を取得する確度の改善が可能となる。
【0015】
<情報処理装置10の構成例>
情報処理装置10は、制御部11、記憶部12、及び通信部13を備える。
【0016】
制御部11には、少なくとも1つのプロセッサ、少なくとも1つの専用回路又はこれらの組み合わせが含まれる。プロセッサはCPU(central processing unit)若しくはGPU(graphics processing unit)等の汎用プロセッサ又は特定の処理に特化した専用プロセッサである。専用回路は例えば、FPGA(field-programmable gate array)又はASIC(application specific integrated circuit)である。制御部11は情報処理装置10の各部を制御しながら、情報処理装置10の動作に関わる処理を実行する。
【0017】
記憶部12には、少なくとも1つの半導体メモリ、少なくとも1つの磁気メモリ、少なくとも1つの光メモリ又はこれらのうち少なくとも2種類の組み合わせが含まれる。半導体メモリは例えばRAM(random access memory)又はROM(read only memory)である。RAMは例えばSRAM(static random access memory)又はDRAM(dynamic random access memory)である。ROMは例えばEEPROM(electrically erasable programmable read only memory)である。記憶部12は例えば主記憶装置、補助記憶装置又はキャッシュメモリとして機能する。記憶部12には情報処理装置10の動作に用いられる任意の情報、制御・処理プログラム等と、情報処理装置10の動作によって得られた情報とが記憶される。
【0018】
通信部13は、少なくとも1つの通信用インタフェースを含む。通信用インタフェースは、例えば、LANインタフェースを含む。通信インタフェースは、LTE(Long Term Evolution)、4G(4thGeneration)、若しくは5G(5thGeneration)などの移動通信規格に対応したインタフェースを含んでもよい。通信部13は、情報処理装置10の動作に用いられるデータを受信し、また情報処理装置10の動作によって得られるデータを送信する。
【0019】
<端末装置20の構成例>
【0020】
端末装置20は、制御部21、記憶部22、通信部23、入出力部24、及びセンサ部25を備える。
【0021】
制御部21には、CPU、MPU(Micro Processing Unit)等、少なくとも1つのプロセッサ、少なくとも1つの専用回路又はこれらの組み合わせが含まれる。プロセッサは汎用プロセッサ又は特定の処理に特化した専用プロセッサである。専用回路は例えば、FPGA又はASICである。制御部11は情報処理装置10の各部を制御しながら、情報処理装置10の動作に関わる処理を実行する。
【0022】
記憶部22には、少なくとも1つの半導体メモリ、少なくとも1つの磁気メモリ、少なくとも1つの光メモリ又はこれらのうち少なくとも2種類の組み合わせが含まれる。半導体メモリは例えばRAM又はROMである。RAMは例えばSRAM又はDRAMである。ROMは例えばEEPROMである。記憶部32は例えば主記憶装置、補助記憶装置又はキャッシュメモリとして機能する。記憶部22には端末装置20の動作に用いられる任意の情報、制御・処理プログラム等と、端末装置20の動作によって得られた情報とが記憶される。
【0023】
通信部23は、少なくとも1つの通信用インタフェースを含む。通信用インタフェースは、例えば、LANインタフェース、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th generation)、若しくは5G(5th generation)などの移動通信規格に対応したインタフェースを含む。通信部23は、端末装置20の動作に用いられるデータを受信し、また端末装置20の動作によって得られるデータを送信する。
【0024】
入出力部24には、少なくとも1つの入出力用インタフェースが含まれる。入出力用インタフェースは、ディスプレイと一体的に設けられたタッチスクリーンを含む。入出力部24は、端末装置20の動作に用いられる情報を入力する操作を受け付け、端末装置20の動作によって得られる情報を出力する。入出力部24は、端末装置20に備えられる代わりに、外部の入力機器として端末装置20に接続されてもよい。接続方式としては、例えば、USB、HDMI(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)等の任意の方式を用いることができる。入出力部24は、一体化されずに、別個の入力部と出力部とにより構成されてもよい。この場合、入力部には、物理キー、静電容量キー、ポインティングデバイス、又はマイク等の少なくとも1つの入力用インタフェースが含まれる。出力部には、ディスプレイ又はスピーカ等の少なくとも1つの出力用インタフェースが含まれる。
【0025】
センサ部25は、端末装置20の状態を検知するセンサ類を含む。センサ類は、加速度センサ、ジャイロスコープ等である。センサ部25は検知したデータを制御部21に送る。
【0026】
制御部21は、例えばセンサ部25により検知されたデータを任意のアルゴリズムにより処理し、ユーザの歩行動作を識別して、歩数を記憶部22に格納する。
【0027】
<プログラムの構成例>
情報処理装置10又は端末装置20の機能は、本実施形態に係るプログラムを制御部11又は制御部21又に相当するプロセッサで実行することにより実現される。プログラムはコンピュータを情報処理装置10又は端末装置20として機能させるためのプログラムである。プログラムは、ROM等の非一時的なコンピュータ読取り可能な媒体に格納しておくことができる。コンピュータ読取り可能な媒体は、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体を含んでもよい。プログラムは、可搬型媒体により流通させてもよいし、サーバ等からネットワーク経由で流通させてもよい。あるいは、プログラムはサーバ等に格納され、情報処理装置10からの実行指示及び結果取得によって機能が実現される、いわゆるASP(application service provider)型のサービスによって実行されてもよい。
【0028】
<情報処理装置10の動作例>
図2は、情報処理装置10の動作手順例を示すフローチャート図である。
図2の手順は、情報処理装置10の制御部11が実行する情報処理に係る手順である。
【0029】
ステップS1において、制御部11は、ユーザのイベントとライフログとが対応付けられたイベント履歴情報を作成し、記憶部12に格納する。イベント履歴情報は、例えば、1日毎に作成される。制御部11は、端末装置20から、端末装置20にユーザが入力した1日のイベントの情報を取得する。イベントは、例えばスケジュールを示す情報である。あるいは、制御部11は、ユーザがスケジュールを登録した別のサーバ装置からスケジュールを示す情報を取得してもよい。また、制御部11は、端末装置20から、各スケジュールの時間帯に測定されたライフログ、すなわち歩数を示す情報を取得する。イベントはユーザに毎回的に入力されてもよいし、一回的に入力されて反復されてもよい。
図3に例示されるように、イベント履歴情報T1には、1日のうちの異なる時間帯における4つのイベント「出勤」「会社訪問」「退勤」及び「ABCヨガスクール」と、それぞれのライフログ、すなわち歩数とが対応付けられている。本例では、イベント「ABCヨガスクール」のライフログが欠落している。
【0030】
ステップS2において、制御部11は、イベント履歴情報においてライフログが欠落しているイベントがあるかどうか判断する。欠落しているイベントが無い場合は制御部11の処理の動作はステップS1に戻り、欠落しているイベントがある場合は、制御部11の処理の動作はステップS3へ進む。本例ではイベント「ABCヨガスクール」のライフログが欠落しているため、制御部11の処理の動作はステップS3に進む。
【0031】
ステップS3において、制御部11はライフログが欠落しているイベントを第1のイベントとして特定する。本例では制御部11は、表1のイベント履歴情報のうち、ライフログが欠落しているイベント「ABCヨガスクール」を第1のイベントとして特定する。
【0032】
ステップS4において、制御部11はユーザの過去のイベント履歴情報を取得する。
図3に例示されるように、過去のイベント履歴情報T2は、第1のイベントが無い、すなわちライフログが1日の各イベントの全てに対応付けられているものである。本例では制御部11は、記憶部12に格納されている過去のイベント履歴情報T2を読み出すことで取得するが、ユーザの端末装置20から過去のイベント履歴情報T2を受信することで取得してもよい。過去のイベント履歴情報T2には、1日のうち所定の時間帯における4つのイベントの「出勤」「会社訪問」「退勤」「Xジム」「Y店買い物」「Z川沿いランニング」が、それぞれ歩数を対応付けられている。
【0033】
ステップS5において、制御部11は、各イベントにそのイベントのカテゴリを示す情報を対応付けて記憶部12に格納し、第1のイベントのカテゴリと共通するカテゴリが対応付けられた過去のイベントを、第2のイベントとして選択する。該情報は各イベントについてユーザが予め設定したものであってよいし、任意の自然言語処理技術に従って付与されるものであってよい。カテゴリは予め設定されて記憶部12に格納されていてよく、例えば「ジム」「ランニング」「ヨガスクール」等の情報を有するイベントは「運動」カテゴリに対応付けられて分類され、「会議」「客先訪問」等の情報を有するイベントは「仕事」カテゴリに対応付けられて分類されよい。本例では、制御部11は、「ABCヨガスクール」のイベントに自然言語処理アルゴリズムを適用して付与された情報「ヨガスクール」に基づいて、該イベントを「運動」カテゴリに分類する。
【0034】
本例では制御部11は、過去のイベント履歴情報が示すイベントのうち、第1のイベントとカテゴリが共通するイベントであって、第1のイベントの時間帯と最も近い時間帯であるイベントを第2のイベントとして特定する。過去のイベント履歴情報T2のイベントのうち、第1のイベント「ABCヨガスクール」と同じ「運動」カテゴリに分類されるイベントは、「Xジム」と「Z川沿いランニング」であるとする。制御部11は、このうち、「ヨガスクール」の時間帯の18:30から20:00と時間帯がより近いイベント「ジム」を第2のイベントとして特定する。これに限られず、制御部11は、第1のイベントと過去のイベントとの開催場所の位置を示す位置情報もそれぞれ取得し、該位置情報の類似性等、任意の複数の条件が当てはまる過去のイベントを第2のイベントとして選択してよい。この場合、制御部11は地図サーバから、イベントが含む施設名に基づいて位置情報を受信することで取得してもよい。
【0035】
ステップS6において、制御部11は、ステップS4で特定した過去のイベントに対応付けられた過去のライフログで、第1のイベントのライフログを補完する。本例では、イベント「Xジム」に対応付けられたライフログである歩数の2000歩の値で、「ABCヨガスクール」のライフログを補完する。
図3には、補完されたイベント履歴情報T3が示される。制御部11は、補完後のイベント履歴情報を記憶部12に格納する。制御部11は、補完後のイベント履歴情報を端末装置20に送信してもよい。その後、制御部11の処理は終了する。
【0036】
本実施形態によれば、ある時間帯のライフログが全て欠落している場合であっても、当該時間帯のイベントと共通するカテゴリの過去のイベントを自動的に選択し、当該過去のイベントのライフログで補完できる。カテゴリが全く異なるイベントのライフログを用いる場合と比較して、ライフログが近似する蓋然性が高いイベントを選択できるため、ユーザの身体活動を示す情報を取得する確度を改善することが可能となる。
【0037】
(第2実施形態)
第2実施形態では、制御部11は、イベント履歴情報が示す対象の日のイベント全てが第1のイベントである場合、すなわち1日の全てのライフログが欠落している場合に、1日の総歩数等、1日のライフログの累計でイベント履歴情報を補完する。
【0038】
本変形例に係る情報処理システム1の構成、及び各装置の構成は上述の第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0039】
図4は、第2実施形態に係る情報処理装置10の動作手順例を示すフローチャート図である。
図4の手順は、情報処理装置10の制御部11が実行する情報処理に係る手順である。
図4のステップS21、S23、S27~S31は、それぞれ
図2のステップS1、S4、S2~S6と同様であるため説明を省略する。
【0040】
ステップS22において、制御部11は、イベント履歴情報のイベントの全てについて、ライフログが欠落しているかを判断する。イベントの全てについてライフログが欠落していると判断した場合、制御部11による処理の動作はステップS23に進み、一部のイベントのみについてライフログが欠落していると判断した場合、制御部11による処理の動作はステップS27に進む。
図5のイベント履歴情報T4の例では、ステップS23において、制御部11は全てについてライフログが欠落していると判断し、「出勤」「会社訪問」「退勤」を、複数の第1のイベントを有する第1のイベント群として特定する。制御部11の処理はステップS24に進む。
【0041】
ステップS24において、制御部11は、第1のイベント群のそれぞれのイベントに当該イベントのカテゴリを示す情報を対応付けて記憶部12に格納し、第1のイベント群のそれぞれのイベントのカテゴリと共通するカテゴリが対応付けられた過去のイベント群を、複数の第2のイベントを有する第2のイベント群として選択する。例えば制御部11は、上述の第1実施形態と同様に、イベント履歴情報の第1のイベント、及び過去のイベント履歴情報のイベントのそれぞれについて、カテゴリを示す情報を用いてカテゴリを分類する。制御部11はさらに分類したカテゴリの所要時間又は出現回数を集計し、集計した所要時間又は出現回数の配分が最も類似する過去のイベント群を、第2のイベント群として選択する。配分が最も類似する過去のイベント群とは、より具体的には、第1のイベント群に対し、分類された各カテゴリの所要時間又は出現回数の値の差分が最も小さい過去のイベント群であってよい。
【0042】
図5には、4月1日から4月4日の四日間に係る過去のイベント履歴情報T5からT8が示される。本例ではカテゴリは「通勤」、「仕事」、「運動」、「休日」であり、「出勤」及び「退勤」のイベントはカテゴリ「通勤」に分類される。「定例ミーティング」、「XXミーティング」、「YY来社」、「ZZ共有ミーティング」及び「WW全体ミーティング」のイベントはカテゴリ「仕事」に分類される。「ジム」のイベントはカテゴリ「運動」に分類され、「休み」のイベントはカテゴリ「休日」に分類される。
図6には、制御部11が過去のイベント履歴情報の各イベントについて、カテゴリごとに所要時間を計算した結果を示す情報T9が示される。例えば4月1日はカテゴリ「通勤」と「仕事」とにそれぞれ180分が費やされており、カテゴリ「運動」と「休日」とはそれぞれ0分が費やされている。
図6には、制御部11が、イベント履歴情報T4が示すイベント「出勤」「会社訪問」「退勤」のイベントのそれぞれについて、カテゴリごとに所要時間を計算した結果を示す情報T10が示される。この場合制御部11は、該情報T10と所要時間の配分が最も類似する4月1日に係る過去のイベント履歴情報T5のイベント群を、第2のイベント群として選択する。
【0043】
所要時間に限られず、制御部11は、過去のイベント履歴情報のカテゴリの出現回数を集計して、第2のイベント群を選択してもよい。
図6には、制御部11が過去のイベント履歴情報T5からT8について、カテゴリごとに出現回数を計算した結果を示す情報T11が示される。制御部11は、イベント履歴情報とカテゴリの出現回数の配分が最も類似する過去のイベント群を、第2のイベント群として選択できる。
【0044】
制御部11は、第1のイベント群の日と天候が共通する日の過去のイベント群を、第2のイベント群として特定してもよい。共通する天候の条件は予め設定されて記憶部12に格納されていてよい。例えば制御部11は、天候が雨と雪の場合、又は曇りと晴れとの場合が、天候が共通すると判断し、晴れ又は曇りと、雨又は雪との場合は天候が共通しないと判断してよい。これに限られず、制御部11は、第1のイベント群の日と過去のイベント群の日との互いの降水量、気温、湿度、風速等の値が所定差未満である場合は天候が共通すると判断し、所定差以上である場合は共通しないと判断してもよい。天候を示す情報はステップS21で取得するイベント履歴情報及びステップS23で取得する過去のイベント履歴情報に含まれていてもよいし、制御部11が、気象情報センタ等に設けられたサーバから取得してもよい。これにより、例えばユーザが雨の日はバスで通期し、晴れの日は徒歩で通勤する等、天候に応じて1日の行動が変わる場合に、測定したライフログに近似する蓋然性が高いライフログを選択することが可能となる。
【0045】
制御部11は、第1のイベント群の日と曜日が共通する日の過去のイベント群を、第2のイベント群として特定してもよい。共通する曜日の条件は予め設定されて記憶部12に格納されていてよい。例えば制御部11は、天候が土曜日と日曜日の場合、又は平日同士の場合が、曜日が共通すると判断し、平日と土曜日又は日曜日との場合は曜日が共通しないと判断してよい。曜日を示す情報はステップS21で取得するイベント履歴情報及びステップS23で取得する過去のイベント履歴情報に含まれていてよい。例えば制御部11は、第1のイベント群の日が日曜日である場合、過去のイベント履歴情報のうち、同様に日曜日の日の過去のイベント群を、第2のイベント群として選択する。これにより、例えばユーザが土曜日又は休日は自宅で休息し、平日は会社に出社する等、曜日に応じて1日の行動が変わる場合に、測定したライフログに近似する蓋然性が高いライフログを選択することが可能となる。
【0046】
ステップS25において、制御部11は、ステップS24で選択した第2のイベント群に対応するライフログの累計を取得する。具体的には、制御部11は、選択した第2のイベント群のそれぞれに対応付けられたライフログの値を読出して合計する。本例では制御部11は、ステップS25において、過去のイベント履歴情報T5の第2のイベント群を選択している。この場合制御部11は、各イベントのライフログとしての歩数「1000歩」、「500歩」、「500歩」、及び「1000歩」を合計した3000歩をライフログの累計として取得する。
【0047】
ステップS24の第2のイベント群の選択、及びステップS25のライフログの累計の取得には任意の手法が採用されてよい。例えば制御部11は、過去のイベント履歴情報が含むカテゴリの出現回数又は所要時間を説明変数、1日のライフログの合計値を目的変数とした回帰モデルを生成し、当該回帰モデルにステップS21で取得したイベント履歴情報のイベントのカテゴリを適用して算出した値を、累計として取得してもよい。例えば制御部11は、任意のクラスタリング手法を用いてクラスタリングした結果に基づき、イベント履歴情報が属するクラスタの1日のライフログの合計値を、第2のイベント群の累計として取得してもよい。
【0048】
ステップS26において、制御部11は、ステップS25で取得した累計を用いて、第1のイベント群に対応するライフログを補完する。本例では、制御部11は、ステップS21で取得したイベント履歴情報T4の第1のイベント群に対応するライフログの累計を、ステップS25で取得した第2のイベント群のライフログの累計の「3000歩」で補完する。制御部11は、補完後のイベント履歴情報を記憶部12に格納する。制御部11は、補完後のイベント履歴情報を、通信部13を介して端末装置20に送信してもよい。その後、制御部11の処理は終了する。
【0049】
本実施形態によれば、ある1日のライフログが全て欠落している場合であっても、測定したライフログに近似する蓋然性が高い過去の1日のライフログを選択することが可能となる。よって、ユーザの身体活動を示す情報を取得する確度の改善が可能となる。
【0050】
なお、
図2のステップS1及び
図4のステップS21において、イベントとライフログとは、ユーザの決済履歴を示す情報に基づいて取得されてもよい。例えば制御部11は、ユーザのカード決済を管理するカード事業者のサーバと通信する。制御部11は、該サーバから取得するユーザの決済履歴を示す情報が、飲食店での決済を示す場合、決済した時刻を含む所定の時間帯における該飲食店での飲食をイベントとし、該イベントにライフログである食事時間を対応付けてイベント履歴情報を生成する。所定の時間帯は例えば1時間等、予めユーザにより設定されて記憶部12に格納される。
【0051】
本発明を諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び改変を行ってもよいことに注意されたい。したがって、これらの変形及び改変は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部又は各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部又はステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 情報処理システム
10 情報処理装置
11 制御部
12 記憶部
13 通信部
20 端末装置
21 制御部
22 記憶部
23 通信部
24 入出力部
25 センサ部
30 ネットワーク