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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174757
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】食品生地搬送装置
(51)【国際特許分類】
   A21C 9/08 20060101AFI20241210BHJP
   A21C 3/04 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
A21C9/08 A
A21C3/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092765
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】591047394
【氏名又は名称】株式会社飯田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100107238
【弁理士】
【氏名又は名称】米山 尚志
(72)【発明者】
【氏名】飯田 一
(72)【発明者】
【氏名】飯田 博
【テーマコード(参考)】
4B031
【Fターム(参考)】
4B031CA20
4B031CG02
4B031CG11
4B031CL11
(57)【要約】
【課題】設置面積を小さく抑えつつ、生地投入時の作業労力を軽減することができ、残材が生じ難く、且つ清掃作業を容易に行うことが可能な食品生地搬送装置を提供。
【課題手段】
押出し手段12,13は、搬送生地投入ホッパー11に投入された食品生地を、棒状または帯状に連続する連続状態の搬送対象生地4として押出す。下コンベア14の搬送面19は、下搬送面19上に落下した搬送対象生地4を、下搬送面19の下流端に向けて略水平方向に搬送する。傾斜コンベア21の傾斜搬送面26は、その下流端が成形生地投入ホッパー3よりも上方の高さ位置に配置され、下搬送面19の下流端に搬送されて傾斜搬送面26上に到達した搬送対象生地4を、傾斜搬送面26の下流端に向けて搬送する。押圧搬送手段22は、傾斜搬送面26の少なくとも下部領域に対向配置され、搬送対象生地4を傾斜搬送面26との間で挟んで押し潰しながら斜め上方へ搬送する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品成形に用いる食品生地を食品成形装置の成形生地投入ホッパーに投入するために、前記食品生地を前記成形生地投入ホッパーよりも上方の高さ位置まで搬送する食品生地搬送装置であって、
前記成形生地投入ホッパーよりも下方の高さ位置に配置され、前記食品生地が投入される搬送生地投入ホッパーと、
前記搬送生地投入ホッパーに投入された前記食品生地を、棒状または帯状に連続する連続状態の搬送対象生地として押出す押出し手段と、
略水平に移動する下搬送面を構成するベルト上面を有し、前記押出し手段から押出されて前記下搬送面上に落下した前記搬送対象生地を、前記下搬送面の下流端に向けて前記連続状態を維持したまま略水平方向に搬送する下コンベアと、
水平方向に対して斜め上方へ移動する傾斜搬送面を構成するベルト上面を有し、前記傾斜搬送面の下流端が前記成形生地投入ホッパーよりも上方の高さ位置に配置され、前記下搬送面の前記下流端に搬送されて前記傾斜搬送面上に到達した前記搬送対象生地を、前記連続状態を維持したまま前記傾斜搬送面の前記下流端に向けて搬送する傾斜コンベアと、
前記傾斜搬送面の少なくとも下部領域に対向配置され、前記搬送対象生地を前記傾斜搬送面との間で挟んで押し潰しながら斜め上方へ搬送する押圧搬送手段と、を備える
ことを特徴とする食品生地搬送装置。
【請求項2】
前記押圧搬送手段は、水平方向に対して斜め上方へ移動する傾斜押圧面を構成するベルト下面を有し、前記傾斜押圧面と前記傾斜搬送面との間で前記搬送対象生地を挟んで押し潰しながら斜め上方へ搬送する押圧搬送コンベアによって構成される
ことを特徴とする請求項1に記載の食品生地搬送装置。
【請求項3】
前記押出し手段は、押出しロールと口金とを有し、
前記搬送生地投入ホッパーに投入された前記食品生地は、前記押出しロールによって前記口金の開口から前記搬送対象生地として押出され、
前記傾斜搬送面と前記傾斜押圧面との間の距離は、前記下搬送面の移動方向に沿った前記口金の前記開口の開口幅よりも短い
ことを特徴とする請求項2に記載の食品生地搬送装置。
【請求項4】
前記傾斜搬送面と前記傾斜押圧面との間の距離は、斜め上方の下流側に向かって徐々に減少する
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の食品生地搬送装置。
【請求項5】
略水平に移動する上搬送面を構成するベルト上面を有し、前記上搬送面の下流端が前記成形生地投入ホッパーの上方に配置され、前記傾斜搬送面の前記下流端に搬送されて前記上搬送面上に到達した前記搬送対象生地を、前記上搬送面の前記下流端に向けて前記連続状態を維持したまま搬送する上コンベアを備え、
前記搬送対象生地は、前記上搬送面の前記下流端から落下することにより前記成形生地投入ホッパーに投入される
ことを特徴とする請求項3に記載の食品生地搬送装置。
【請求項6】
前記搬送生地投入ホッパーと前記押出しロールと前記口金と前記下コンベアとは、下コンベア支持台車に設けられ、
前記傾斜コンベアと前記押圧搬送コンベアと前記上コンベアとは、傾斜コンベア支持台車に設けられる
ことを特徴とする請求項5に記載の食品生地搬送装置。
【請求項7】
前記成形生地投入ホッパーに搬送された前記搬送対象生地の蓄積量が第1の量を超えると、前記押出しロールと前記下コンベアと前記傾斜コンベアと前記押圧搬送コンベアと前記上コンベアの駆動を停止し、前記成形生地投入ホッパーに搬送された前記搬送対象生地の蓄積量が前記第1の量より小さい第2の量を下まわると、前記押出しロールと前記下コンベアと前記傾斜コンベアと前記押圧搬送コンベアと前記上コンベアを駆動するように制御する制御手段を備える
ことを特徴とする請求項3に記載の食品生地搬送装置。
【請求項8】
食品成形に用いる第1および第2の食品生地を食品成形装置の成形生地投入ホッパーの第1および第2の蓄積領域にそれぞれ投入するために、前記食品生地を前記成形生地投入ホッパーよりも上方の高さ位置まで搬送する食品生地搬送装置であって、
前記成形生地投入ホッパーよりも下方の高さ位置に配置され、前記第1の食品生地が投入される第1の搬送生地投入ホッパーと、
前記第1の搬送生地投入ホッパーに投入された前記第1の食品生地を、棒状または帯状に連続する連続状態の第1の搬送対象生地として押出す第1の押出し手段と、
前記成形生地投入ホッパーよりも下方の高さ位置に配置され、前記第2の食品生地が投入される第2の搬送生地投入ホッパーと、
前記第2の搬送生地投入ホッパーに投入された前記第2の食品生地を、棒状または帯状に連続する連続状態の第2の搬送対象生地として押出す第2の押出し手段と、
略水平に移動する下搬送面を構成するベルト上面を有し、前記第1および第2の押出し手段から前記下搬送面上にそれぞれ押出された前記第1および第2の搬送対象生地を、ベルト幅方向に離間して並んだ状態で前記下搬送面の下流端に向けて前記連続状態を維持したまま略水平方向に搬送する下コンベアと、
水平方向に対して斜め上方へ移動する傾斜搬送面を構成するベルト上面を有し、前記傾斜搬送面の下流端が前記成形生地投入ホッパーよりも上方の高さ位置に配置され、前記下搬送面の前記下流端に搬送されて前記傾斜搬送面上に到達した前記第1および第2の搬送対象生地を、ベルト幅方向に離間して並んだ状態と前記連続状態とを維持したまま前記傾斜搬送面の前記下流端に向けて搬送する傾斜コンベアと、
前記傾斜搬送面の少なくとも下部領域に対向配置され、前記第1および第2の搬送対象生地を前記傾斜搬送面との間で挟んで押し潰しながら斜め上方へ搬送する押圧搬送手段と、を備える
ことを特徴とする食品生地搬送装置。
【請求項9】
前記第1の押出し手段は、第1の押出しロールと第1の口金とを有し、
前記第1の搬送生地投入ホッパーに投入された前記第1の食品生地は、前記第1の押出しロールによって前記第1の口金の開口から前記第1の搬送対象生地として押出され、
前記第2の押出し手段は、第2の押出しロールと第2の口金とを有し、
前記第2の搬送生地投入ホッパーに投入された前記第2の食品生地は、前記第2の押出しロールによって前記第2の口金の開口から前記第2の搬送対象生地として押出され、
前記下搬送面の移動方向に沿った前記第1の口金の前記開口の開口幅は、前記下搬送面の移動方向に沿った前記第2の口金の前記開口の開口幅と略等しい
ことを特徴とする請求項8に記載の食品生地搬送装置。
【請求項10】
前記下コンベアは、下流側の第1の下コンベアと上流側の第2の下コンベアとに分割して構成され、
前記第1の搬送生地投入ホッパーと前記第1の押出しロールと前記第1の口金と前記第1の下コンベアとは、第1の下コンベア支持台車に設けられ、
前記第2の搬送生地投入ホッパーと前記第2の押出しロールと前記第2の口金と前記第2の下コンベアとは、第2の下コンベア支持台車に設けられ、
前記第1の搬送対象生地は、前記第1の口金から前記第1の下コンベアの前記下搬送面上に押出されて、前記第1の下コンベアによって前記傾斜コンベアに搬送され、
前記第2の搬送対象生地は、前記第2の口金から前記第2の下コンベアの前記下搬送面上に押出されて、前記第2の下コンベアから前記第1の下コンベアを介して前記傾斜コンベアに搬送される
ことを特徴とする請求項9に記載の食品生地搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品生地を下方から上方へ搬送する食品生地搬送装置に関し、特に団子製造機等の上部に設けられた生地投入ホッパーに食品生地を連続的に供給可能な食品生地搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載された団子製造機では、生地投入ホッパーに団子生地を投入することによって、成形され所定数ずつ串刺しされた団子が製造される。生地投入ホッパーが高所(例えば地上高1700mm程度)に設けられており、また生地投入ホッパーに一度に投入できる生地の最大重量は10kg程度に設定されているため、団子製造機を高速で駆動すると、高所の生地投入ホッパーに団子生地を頻繁に投入する必要がある。
【0003】
例えば、団子製造機の団子製造能力を1分間に120本とすると、2分に一回のペースで5kg単位の団子生地を高所の生地投入ホッパーに投入する必要がある。このため、人手による投入作業は、非常に労力を要するという問題がある。
【0004】
このような課題を解決するため、特許文献1には、団子生地等の食品生地(搬出対象生地)を高所の生地投入ホッパーに人手によって投入する必要がなく、生地投入時の作業労力を軽減することが可能な食品生地搬出装置が記載されている。この食品生地搬出装置は、搬出対象生地投入ホッパーと、水平搬送路と、斜め搬送路とを具備する。水平搬送路は、搬出対象生地投入ホッパーに投入された搬出対象生地を第1のスクリューの回転により水平方向に搬送する。斜め搬送路は、搬出対象生地を排出する排出口を上部に有するとともに、水平搬送路により搬送された搬出対象生地を搬入する搬入口を下部に有し、水平搬送路の出口から排出された搬出対象生地を搬入口から搬入して第2のスクリューの回転により排出口まで斜め上方に搬送する。搬出対象生地投入ホッパーに投入された搬出対象生地は、水平搬送路および斜め搬送路を経由して、排出口から食品成形装置の生地投入ホッパーに搬出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-140340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の食品生地搬出装置では、水平搬送路と斜め搬送路とが、何れもスクリューが内部を挿通する閉空間によって構成され、スクリューの回転によって食品生地を搬送する。このため、製造終了時や食品生地の切替時等において、搬送路内に食品生地が残りやすく、残材による食品ロスを削減することが難しい。また搬送路が閉空間であり、スクリューの形状も複雑であり、分解および組立にも時間を要するため、清掃作業が煩雑である。
【0007】
そこで本発明は、設置面積を小さく抑えつつ、生地投入時の作業労力を軽減することができ、残材が生じ難く、且つ清掃作業を容易に行うことが可能な食品生地搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成すべく、本発明の第1の態様は、食品成形に用いる食品生地を食品成形装置の成形生地投入ホッパーに投入するために、前記食品生地を前記成形生地投入ホッパーよりも上方の高さ位置まで搬送する食品生地搬送装置であって、前記成形生地投入ホッパーよりも下方の高さ位置に配置され、前記食品生地が投入される搬送生地投入ホッパーと、前記搬送生地投入ホッパーに投入された前記食品生地を、棒状または帯状に連続する連続状態の搬送対象生地として押出す押出し手段と、略水平に移動する下搬送面を構成するベルト上面を有し、前記押出し手段から押出されて前記下搬送面上に落下した前記搬送対象生地を、前記下搬送面の下流端に向けて前記連続状態を維持したまま略水平方向に搬送する下コンベアと、水平方向に対して斜め上方へ移動する傾斜搬送面を構成するベルト上面を有し、前記傾斜搬送面の下流端が前記成形生地投入ホッパーよりも上方の高さ位置に配置され、前記下搬送面の前記下流端に搬送されて前記傾斜搬送面上に到達した前記搬送対象生地を、前記連続状態を維持したまま前記傾斜搬送面の前記下流端に向けて搬送する傾斜コンベアと、前記傾斜搬送面の少なくとも下部領域に対向配置され、前記搬送対象生地を前記傾斜搬送面との間で挟んで押し潰しながら斜め上方へ搬送する押圧搬送手段と、を備える。
【0009】
本発明の第2の態様は、第1の態様の食品生地搬送装置であって、前記押圧搬送手段は、水平方向に対して斜め上方へ移動する傾斜押圧面を構成するベルト下面を有し、前記傾斜押圧面と前記傾斜搬送面との間で前記搬送対象生地を挟んで押し潰しながら斜め上方へ搬送する押圧搬送コンベアによって構成される。
【0010】
本発明の第3の態様は、第2の態様の食品生地搬送装置であって、前記押出し手段は、押出しロールと口金とを有し、前記搬送生地投入ホッパーに投入された前記食品生地は、前記押出しロールによって前記口金の開口から前記搬送対象生地として押出され、前記傾斜搬送面と前記傾斜押圧面との間の距離は、前記下搬送面の移動方向に沿った前記口金の前記開口の開口幅よりも短い。
【0011】
本発明の第4の態様は、第3の態様の食品生地搬送装置であって、前記傾斜搬送面と前記傾斜押圧面との間の距離は、斜め上方の下流側に向かって徐々に減少する。
【0012】
本発明の第5の態様は、第2または第3の態様の食品生地搬送装置であって、略水平に移動する上搬送面を構成するベルト上面を有し、前記上搬送面の下流端が前記成形生地投入ホッパーの上方に配置され、前記傾斜搬送面の前記下流端に搬送されて前記上搬送面上に到達した前記搬送対象生地を、前記上搬送面の前記下流端に向けて前記連続状態を維持したまま搬送する上コンベアを備える。前記搬送対象生地は、前記上搬送面の前記下流端から落下することにより前記成形生地投入ホッパーに投入される。
【0013】
本発明の第6の態様は、第5の態様の食品生地搬送装置であって、前記搬送生地投入ホッパーと前記押出しロールと前記口金と前記下コンベアとは、下コンベア支持台車に設けられ、前記傾斜コンベアと前記押圧搬送コンベアと前記上コンベアとは、傾斜コンベア支持台車に設けられる。
【0014】
本発明の第7の態様は、第3の態様の食品生地搬送装置であって、前記成形生地投入ホッパーに搬送された前記搬送対象生地の蓄積量が第1の量を超えると、前記押出しロールと前記下コンベアと前記傾斜コンベアと前記押圧搬送コンベアと前記上コンベアの駆動を停止し、前記成形生地投入ホッパーに搬送された前記搬送対象生地の蓄積量が前記第1の量より小さい第2の量を下まわると、前記押出しロールと前記下コンベアと前記傾斜コンベアと前記押圧搬送コンベアと前記上コンベアを駆動するように制御する制御手段を備える。
【0015】
本発明の第8の態様は、食品成形に用いる第1および第2の食品生地を食品成形装置の成形生地投入ホッパーの第1および第2の蓄積領域にそれぞれ投入するために、前記食品生地を前記成形生地投入ホッパーよりも上方の高さ位置まで搬送する食品生地搬送装置であって、前記成形生地投入ホッパーよりも下方の高さ位置に配置され、前記第1の食品生地が投入される第1の搬送生地投入ホッパーと、前記第1の搬送生地投入ホッパーに投入された前記第1の食品生地を、棒状または帯状に連続する連続状態の第1の搬送対象生地として押出す第1の押出し手段と、前記成形生地投入ホッパーよりも下方の高さ位置に配置され、前記第2の食品生地が投入される第2の搬送生地投入ホッパーと、前記第2の搬送生地投入ホッパーに投入された前記第2の食品生地を、棒状または帯状に連続する連続状態の第2の搬送対象生地として押出す第2の押出し手段と、略水平に移動する下搬送面を構成するベルト上面を有し、前記第1および第2の押出し手段から前記下搬送面上にそれぞれ押出された前記第1および第2の搬送対象生地を、ベルト幅方向に離間して並んだ状態で前記下搬送面の下流端に向けて前記連続状態を維持したまま略水平方向に搬送する下コンベアと、水平方向に対して斜め上方へ移動する傾斜搬送面を構成するベルト上面を有し、前記傾斜搬送面の下流端が前記成形生地投入ホッパーよりも上方の高さ位置に配置され、前記下搬送面の前記下流端に搬送されて前記傾斜搬送面上に到達した前記第1および第2の搬送対象生地を、ベルト幅方向に離間して並んだ状態と前記連続状態とを維持したまま前記傾斜搬送面の前記下流端に向けて搬送する傾斜コンベアと、前記傾斜搬送面の少なくとも下部領域に対向配置され、前記第1および第2の搬送対象生地を前記傾斜搬送面との間で挟んで押し潰しながら斜め上方へ搬送する押圧搬送手段と、を備える。
【0016】
本発明の第9の態様は、第8の態様の食品生地搬送装置であって、前記第1の押出し手段は、第1の押出しロールと第1の口金とを有し、前記第1の搬送生地投入ホッパーに投入された前記第1の食品生地は、前記第1の押出しロールによって前記第1の口金の開口から前記第1の搬送対象生地として押出され、前記第2の押出し手段は、第2の押出しロールと第2の口金とを有し、前記第2の搬送生地投入ホッパーに投入された前記第2の食品生地は、前記第2の押出しロールによって前記第2の口金の開口から前記第2の搬送対象生地として押出され、前記下搬送面の移動方向に沿った前記第1の口金の前記開口の開口幅は、前記下搬送面の移動方向に沿った前記第2の口金の前記開口の開口幅と略等しい。
【0017】
本発明の第10の態様は、第9の態様の食品生地搬送装置であって、前記下コンベアは、下流側の第1の下コンベアと上流側の第2の下コンベアとに分割して構成され、前記第1の搬送生地投入ホッパーと前記第1の押出しロールと前記第1の口金と前記第1の下コンベアとは、第1の下コンベア支持台車に設けられ、前記第2の搬送生地投入ホッパーと前記第2の押出しロールと前記第2の口金と前記第2の下コンベアとは、第2の下コンベア支持台車に設けられ、前記第1の搬送対象生地は、前記第1の口金から前記第1の下コンベアの前記下搬送面上に押出されて、前記第1の下コンベアによって前記傾斜コンベアに搬送され、前記第2の搬送対象生地は、前記第2の口金から前記第2の下コンベアの前記下搬送面上に押出されて、前記第2の下コンベアから前記第1の下コンベアを介して前記傾斜コンベアに搬送される。
【発明の効果】
【0018】
本発明の食品生地搬送装置によれば、設置面積を小さく抑えつつ、生地投入時の作業労力を軽減することができ、残材が生じ難く、且つ清掃作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施形態に係る食品生地搬送装置の利用形態の一例を示す側面図である。
図2図1の下搬送装置を矢印A方向から視た正面図である。
図3図1の下搬送装置を上方から視た平面図である。
図4図1のB部の拡大図である。
図5】口金の開口形状の例であり、(a)は円形状の開口を、(b)は矩形状の開口を示す。
図6図1のC部の拡大図である。
図7図1の食品生地搬送装置の動作を説明するフローチャートである。
図8】本発明の第2実施形態に係る食品生地搬送装置の利用形態の一例を示す側面図である。
図9図8の第2の下搬送装置を矢印D方向から視た正面図である。
図10図8の第2の下搬送装置を上方から視た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態に係る食品生地搬送装置1を、図面に基づいて説明する。以下の説明において、下流側とは搬送対象生地の搬送先側を、上流側とは搬送対象生地の搬送元側を意味する。また、図中の白抜き矢印は、搬送対象生地4の搬送方向を示す。
【0021】
図1に示すように、本実施形態では、食品成形装置の一例である団子製造機2の成形生地投入ホッパー3に、団子の形成に用いる団子生地(食品生地)を搬送して投入する食品生地搬送装置1について説明する。団子生地は、食品生地搬送装置1によって成形生地投入ホッパー3よりも上方の高さ位置まで搬送される。なお、食品生地搬送装置1が適用される食品形成装置は、団子製造機2に限定されず、他の食品の成形装置であってもよい。
【0022】
団子製造機2の上部には、成形生地投入ホッパー3が設けられ、成形生地投入ホッパー3の上端開口から団子生地が投入される。成形生地投入ホッパー3に投入された団子生地は、押出しロール(図示省略)によって押出され、成形ロール(図示省略)および丸目仕上げロール(図示省略)に導かれて団子に成形され、成形された団子は、串刺し機構(図示省略)によって所定数(例えば3個)ずつ串に刺される。これにより、串刺し団子が製造される。
【0023】
成形生地投入ホッパー3の上端開口は、例えば1700mm程度の高所に配置され、成形生地投入ホッパー3に一度に投入可能な団子生地の最大重量は、例えば10kg程度に設定されている。また、団子製造機2の串刺し団子の製造速度としては、例えば1分間に120本程度が要求されている。この場合、5kg程度の団子生地を2分間に1回程度の割合で成形生地投入ホッパー3に投入しなければならず、人手による投入作業には過大な労力を要する。係る労力の軽減のために、食品生地搬送装置1が設けられる。
【0024】
食品生地搬送装置1は、下搬送装置10と、傾斜搬送装置20とから概略構成される。
【0025】
図1図3に示すように、下搬送装置10は、搬送生地投入ホッパー11と、押出し手段を構成する1対の押出しロール12および口金13と、下コンベア14と、制御部15とを備える。搬送生地投入ホッパー11と押出しロール12と口金13と下コンベア14と制御部15とは、下コンベア支持台車16に設けられる。下コンベア支持台車16は、下部に取付けられた車輪17によって移動可能に構成される。
【0026】
搬送生地投入ホッパー11は、成形生地投入ホッパー3よりも下方の高さ位置に配置され、搬送生地投入ホッパー11の上端開口から団子生地が投入される。団子生地は、例えばブロック状で搬送生地投入ホッパー11に投入される。搬送生地投入ホッパー11の上端開口は、例えば1100mm程度の高さ位置に配置される。
【0027】
1対の押出しロール12は、搬送生地投入ホッパー11の下方に配置され、口金13は、押出しロール12の下方に配置される。搬送生地投入ホッパー11に投入された団子生地は、押出しロール12によって口金13の開口18から搬送対象生地4として押出される。搬送対象生地4とは、棒状または帯状に連続する連続状態の団子生地である。口金13の開口18の形状は、搬送対象生地4の断面形状を規定する。
【0028】
下コンベア14は、口金13の下方に略水平に配置される。下コンベア14のベルト上面は、略水平に移動する下搬送面19を構成する。下コンベア14は、口金13から押出されて下搬送面19上に落下した搬送対象生地4を、その連続状態を維持したまま、下搬送面19の下流端に向けて略水平方向に搬送する。
【0029】
下コンベア14と、後述する傾斜コンベア21、押圧搬送コンベア22および上コンベア23とは、何れもベルトコンベアであり、電動モータ(図示省略)によって回転駆動される。各ベルトは、外表面に凹凸状のエンボス加工が施された樹脂製のシート材によって形成される。制御部15は、下コンベア14の電動モータおよび押出しロール12を回転駆動する電動モータを制御する。
【0030】
図1に示すように、傾斜搬送装置20は、傾斜コンベア21と、押圧搬送手段を構成する押圧搬送コンベア22と、上コンベア23と、制御部24とを備える。傾斜コンベア21と押圧搬送コンベア22と上コンベア23と制御部24とは、傾斜コンベア支持台車25に設けられる。傾斜コンベア支持台車25は、下部に取付けられた車輪17によって移動可能に構成される。下コンベア支持台車16および傾斜コンベア支持台車25を水平方向に移動させることにより、下搬送装置10および傾斜搬送装置20が所望の位置に配置される。制御部24は、傾斜コンベア21の電動モータ、押圧搬送コンベア22の電動モータ、および上コンベア23の電動モータを制御する。なお、傾斜搬送装置20の制御部24を、下搬送装置10の制御部15に設けてもよい。
【0031】
傾斜コンベア21は、下コンベア14の下流側に配置され、水平方向に対して傾斜する。傾斜コンベア21のベルト上面は、水平方向に対して斜め上方へ移動する傾斜搬送面26を構成する。傾斜搬送面26の上流端(下端)は、下搬送面19の下流端の下流側の下方近傍に配置され、傾斜搬送面26の下流端(上端)は、成形生地投入ホッパー3よりも上方の高さ位置に配置される。下搬送面19に水平搬送された搬送対象生地4は、下搬送面19の下流端を越えると傾斜搬送面26上に到達する。傾斜コンベア21は、傾斜搬送面26上に到達した搬送対象生地4を、その連続状態を維持したまま傾斜搬送面26の下流端に向けて斜め上方へ搬送する。
【0032】
押圧搬送コンベア22は、傾斜搬送面26の下部領域に対向配置される。押圧搬送コンベア22のベルト下面は、水平方向に対して斜め上方へ移動する傾斜押圧面27を構成する。傾斜押圧面27は、傾斜搬送面26との間で搬送対象生地4を挟んで押し潰しながら斜め上方へ搬送する。押圧搬送コンベア22は、駆動源である電動モータ等を含む1つのユニットとして、傾斜コンベア支持台車25に対して着脱可能に取り付けられる。
【0033】
本実施形態では、押圧搬送コンベア22を傾斜搬送面26の下部領域のみに対向配置しているが、傾斜搬送面26の下部領域以外の領域(例えば下部領域を含む全域)に押圧搬送コンベア22を対向配置してもよい。この場合、1つの押圧搬送コンベア22を設けてもよく、複数の押圧搬送コンベア22を設けてもよい。また、押圧搬送コンベア22に代えて、他の押圧搬送手段(例えば、搬送方向に並ぶ複数の押圧ローラなど)を設けてもよい。
【0034】
水平方向に対する傾斜搬送面26の傾斜角度が小さい(水平方向に近い)場合には、押圧搬送コンベア22を設けることなく、搬送対象生地4を傾斜搬送面26によって斜め上方へ搬送することが可能であるが、傾斜コンベア21(傾斜搬送装置20)のために広い配置スペースが必要になる。一方、傾斜角度が大きくなるほど、傾斜コンベア21のための配置スペースを狭くすることができるが、傾斜角度が大きいと、傾斜搬送面26上での搬送対象生地4の蛇行や搬送不能が生じやすい。搬送対象生地4の蛇行や搬送不能が発生する傾斜角度は、搬送対象生地4の種類や環境によって相違し、一律に規定することは難しいが、傾斜角度が30度以上になると蛇行や搬送不能が生じる可能性が増大する。
【0035】
本実施形態では、傾斜搬送面26との間で搬送対象生地4を挟んで押し潰しながら斜め上方へ搬送する傾斜押圧面27を設けているので、傾斜搬送面26上における搬送対象生地4の下部の位置を確実に安定させることができ、傾斜搬送面26の傾斜角度が大きい場合(例えば30度以上の場合)であっても、搬送対象生地4を安定して斜め上方へ搬送することができる。傾斜搬送面26の傾斜角度は30度以上が好適であり、本実施形態の傾斜角度は約54度に設定されている。傾斜押圧面27を設けているので、設置面積を小さく抑えつつ、搬送対象生地4を安定して斜め上方へ搬送することができる。
【0036】
傾斜搬送面26と傾斜押圧面27との間の距離は、下搬送面19の移動方向に沿った口金13の開口18の開口幅D1(図4参照)よりも短い。例えば、図5(a)に示すように開口18が円形状の場合には、搬送方向に沿った口金13の開口幅D1は開口18の内径(直径)であり、図5(b)に示すように開口18が矩形状の場合には、搬送方向に沿った口金13の開口幅D1は搬送方向に離間する開口18の対辺間の距離である。下搬送面19の移動方向に沿った口金13の開口幅D1は、下搬送面19上の搬送対象生地4の高さHを規定するので、傾斜搬送面26と傾斜押圧面27との間の距離を下搬送面19の移動方向に沿った口金13の開口幅D1よりも短くすることにより、搬送対象生地4を確実に押し潰すことができる。なお、口金13の開口形状は、円形状や矩形状に限定されず、他の形状(例えば楕円形状など)であってもよい。
【0037】
図6に示すように、傾斜搬送面26と傾斜押圧面27との間の距離は、斜め上方の下流側に向かって徐々に減少する。換言すると、傾斜搬送面26と傾斜押圧面27の下流端との距離D2は、傾斜搬送面26と傾斜押圧面27の上流端との距離D3よりも短い。これにより、搬送対象生地4を下流側への搬送に応じて徐々に押し潰すことができる。なお、上述したように、距離D2および距離D3を含む傾斜搬送面26と傾斜押圧面27の任意の位置との距離は、下搬送面19の移動方向に沿った口金13の開口18の開口幅D1よりも短い。
【0038】
また、傾斜搬送面26及び傾斜押圧面27による搬送対象生地4の搬送方向における傾斜搬送面26の下端と傾斜押圧面27の下端との位置関係は、傾斜搬送面26の下端の方が傾斜押圧面27の下端よりも搬送方向の上流側に位置するように設定されている。図6には、傾斜搬送面26の下端が傾斜押圧面27の下端よりも距離D4だけ搬送方向の上流側に位置する例を図示している。傾斜搬送面26の下端が傾斜押圧面27の下端よりも搬送方向の上流側に位置するので、下搬送面19によって搬送された搬送対象生地4を傾斜搬送面26と傾斜押圧面27との間に円滑に導くことができる。
【0039】
上コンベア23は、傾斜コンベア21の下流側に略水平に配置される。上コンベア23のベルト上面は、略水平に移動する上搬送面28を構成する。上搬送面28は、成形生地投入ホッパー3の上方の高さ位置に配置され、上搬送面28の上流端は、傾斜搬送面26の下流端の下流側の下方近傍に配置され、上搬送面28の下流端は、成形生地投入ホッパー3の上方に配置される。傾斜搬送面26に傾斜搬送された搬送対象生地4は、傾斜搬送面26の下流端を越えると上搬送面28上に到達する。上コンベア23は、上搬送面28上に到達した搬送対象生地4を、その連続状態を維持したまま上搬送面28の下流端に向けて略水平方向に搬送する。搬送対象生地4は、上搬送面28の下流端から落下することにより成形生地投入ホッパー3に投入される。
【0040】
団子製造機(食品成形装置)1の起動に際しては、食品生地搬送装置1の搬送生地投入ホッパー11に団子生地(食品生地)を投入する。搬送生地投入ホッパー11に投入された団子生地は、一対の押出しロール12によって、口金13の開口18から棒状または帯状に連続する連続状態の搬送対象生地4として押出され、下コンベア14によって略水平方向に搬送され、傾斜コンベア21および押圧搬送コンベア22によって斜め上方に搬送され、上コンベア23によって略水平方向に搬送されて、連続状態を維持したまま団子製造機2の成形生地投入ホッパー3に投入される。
【0041】
団子製造機2の成形生地投入ホッパー3の近傍には、成形生地投入ホッパー3内の団子生地の量を検知するためのセンサ5が設けられ、センサ5で検知された成形生地投入ホッパー3内の団子生地の量は、食品生地搬送装置1に通知される。食品生地搬送装置1は、団子製造機2から通知された成形生地投入ホッパー3内の団子生地の量に基づき搬送対象生地4の搬送動作を制御する。
【0042】
搬送対象生地4の搬送動作の制御は、各制御部15,24で行われる。例えば、団子製造機2の成形生地投入ホッパー3内の団子生地の量が、第1の量を超えると、押出しロール12と下コンベア14と傾斜コンベア21と押圧搬送コンベア22と上コンベア23の駆動を一時停止し、成形生地投入ホッパー3内の団子生地の蓄積量が第1の量より小さい第2の量を下まわると、押出しロール12と下コンベア14と傾斜コンベア21と押圧搬送コンベア22と上コンベア23の駆動を再開するように、各制御部15,24による制御が行われる。
【0043】
食品生地搬送装置1の搬送生地投入ホッパー11の容量が、例えば40kgであるとすると、団子製造機2を高速連続駆動しても10分程度に一回の割合で団子生地を搬送生地投入ホッパー11に投入すればよく、搬送生地投入ホッパー11の上端開口は、1100mm程度の高さ位置に配置されているので、団子生地の投入に係わる労力は大幅に軽減される。
【0044】
図7は、図1に示した食品生地搬送装置1の動作を説明するフローチャートである。図1に示した食品生地搬送装置1が起動されると(ステップS1)、押出しロール12、下コンベア14、傾斜コンベア21、押圧搬送コンベア22、および上コンベア23を駆動し、搬送生地投入ホッパー11に投入された搬送対象生地(団子生地)4の搬送動作を開始する(ステップS2)。
【0045】
食品生地搬送装置1が起動されると、制御部15,24は、食品生地搬送装置1により搬送されて成形生地投入ホッパー3に蓄積された生地の量を、成形生地投入ホッパー3の近傍に配設されたセンサ5から通知された信号に基づき行う。
【0046】
制御部15,24は、成形生地投入ホッパー3内に蓄積された生地の量が第1の量を超えたかを判断する(ステップS3)。第1の量を超えていない場合(ステップS3:NO)は、ステップS3に戻り、搬送対象生地4の搬送動作を継続する。
【0047】
ステップS3で、成形生地投入ホッパー3内に蓄積された生地の量が第1の量を超えたと判断されると(ステップS3:YES)、押出しロール12、下コンベア14、傾斜コンベア21、押圧搬送コンベア22、および上コンベア23の駆動を停止し、搬送対象生地4の搬送動作を一時停止する(ステップS4)。
【0048】
次に、成形生地投入ホッパー3内に蓄積された生地の量が第1の量より小さい第2の量を下まわったかを判断する(ステップS5)。第2の量を下まわっていない場合(ステップS5:NO)は、ステップS5に戻り、搬送対象生地4の搬送動作の一時停止を継続する。
【0049】
ステップS5で、成形生地投入ホッパー3内に蓄積された生地の量が第2の量を下まわったと判断されると(ステップS5:YES)、押出しロール12、下コンベア14、傾斜コンベア21、押圧搬送コンベア22、および上コンベア23の駆動を再開し、搬送対象生地4の搬送動作を再開して(ステップS6)、ステップS3に戻る。
【0050】
このように、本実施形態の団子製造機(食品成形装置)1では、団子製造機2の成形生地投入ホッパー3内に蓄積された生地の量に応じて、搬送対象生地4の搬送動作を間欠的に繰り返すので、成形生地投入ホッパー3内に蓄積された生地の量が常に一定の範囲になるように制御することができる。
【0051】
作業者は、食品生地搬送装置1の搬送生地投入ホッパー11の搬送対象生地4の量を見て、搬送対象生地4を低所の搬送生地投入ホッパー11に補充するという簡単な作業だけで、団子製造機2を高速運転することが可能になる。
【0052】
また、下コンベア14の下搬送面19と上コンベア23の上搬送面28とは、各全域が開放されており、押圧搬送コンベア22を取り外すことにより傾斜コンベア21の傾斜搬送面26の全域と押圧搬送コンベア22の傾斜押圧面27とが開放され、押圧搬送コンベア22は、駆動源である電動モータ等を含む1つのユニットとして、傾斜コンベア支持台車25に対して着脱可能に取り付けられているので、食品生地搬送装置1の清掃作業を容易に行うことができる。また、ベルトコンベアによって食品生地を搬送するので、搬送経路内に食品生地が残り難く、残材による食品ロスを削減することができる。
【0053】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る食品生地搬送装置5を、図面に基づいて説明する。第1実施形態では、同種(色および材質が同じ)の団子を3個ずつ串に刺した串刺し団子を製造する団子製造機2の成形生地投入ホッパー3に1種類の団子生地を投入する食品生地搬送装置1について説明した。これに対し、本実施形態の食品生地搬送装置5は、異なる3種類(色および材質の少なくとも一方が異なる)の団子を1個ずつ串に刺した串刺し団子を製造する団子製造機の成形生地投入ホッパー3に、3種類の団子生地を投入する。
【0054】
以下では、色が異なる3種類の団子が1本の串に刺された3色団子を例示して説明する。本実施形態の成形生地投入ホッパー3内は、3色に対応した3つの蓄積領域(図示省略)に分かれ、3つの蓄積領域に、色の異なる3種類の団子生地がそれぞれ投入される。なお、1本の串に刺す団子の種類は、複数であれば3種類に限定されず任意であり、1本の串に刺す団子の種類の数に応じて、成形生地投入ホッパー3内の蓄積領域の数が決まり、投入される団子生地の種類の数も決まる。
【0055】
図8図10に示すように、本実施形態の食品生地搬送装置5は、第1実施形態の下搬送装置10(10A)及び傾斜搬送装置20に加えて、第2の下搬送装置10Bを備える。第1実施形態の下搬送装置10Aと第2の下搬送装置10Bとを区別するため、第1実施形態の下搬送装置10Aを第1の下搬送装置と称し、第1実施形態の搬送生地投入ホッパー11(11A)、押出しロール12(12A)、口金13(13A)、下コンベア14(14A)、および下コンベア支持台車16(16A)を、第1の搬送生地投入ホッパー、第1の押出しロール、第1の口金、第1の下コンベア、および第1の下コンベア支持台車と称する。第1の下搬送装置10Aと第2の下搬送装置10Bとは、基本的な構成は共通するが、押し出されて搬送される搬送対象生地4の本数が、第1の下搬送装置10Aでは1本(1種類)であるのに対し、第2の下搬送装置10Bでは2本(2種類)である点で相違する。
【0056】
第2の下搬送装置10Bは、第1の下搬送装置10Aと同様に、搬送生地投入ホッパー(第2の搬送生地投入ホッパー11B)と、押出し手段を構成する2対の押出しロール(第2の押出しロール12B)および2つの口金(第2の口金13B)と、下コンベア(第2の下コンベア14B)と、制御部15とを備え、これらは下コンベア支持台車(第2の下コンベア支持台車16B)に設けられる。第2の下搬送装置10Bは、第2の下コンベア14Bの下搬送面19のベルト幅方向の中心が第1の下コンベア14Aの下搬送面19のベルト幅方向の中心と同高さで略一致するように、第1の下搬送装置10Aの上流側に配置される。下流側の第1の下コンベア14Aの下搬送面19と上流側の第2の下コンベア14Bの下搬送面19とは、搬送方向に連続して並んで本実施形態の食品生地搬送装置5の下搬送面を構成する。換言すると、本実施形態の下コンベアは、下流側の第1の下コンベア14Aと上流側の第2の下コンベア14Bとに分割して構成されている。
【0057】
第2の搬送生地投入ホッパー11B内は、搬送方向と略直交する方向に並ぶ2つの生地投入領域29A,29Bに分かれ、各生地投入領域29A,29Bに対応して1対の第2の押出しロール12Bと1つの第2の口金13Bとがそれぞれ設けられる。
【0058】
下搬送面19の移動方向に沿った第1の口金13Aの開口幅は、下搬送面19の移動方向に沿った第2の口金13Bの開口幅と略等しい。また、傾斜搬送面26と傾斜押圧面27との間の距離は、第1の口金13Aの上記開口幅および第2の口金13Bの上記開口幅の何れよりも短い。
【0059】
第1の下搬送装置10Aの搬送生地投入ホッパー11Aには、第1の色の団子生地が投入され、第2の下搬送装置10Bの搬送生地投入ホッパー11B内の2つの生地投入領域29A,29Bには、第2の色の団子生地と第3の色の団子生地とがそれぞれ投入される。
【0060】
第1の下搬送装置10Aでは、第1の口金13Aの開口18から第1の色の搬送対象生地4Aが押出され、第1の下コンベア14Aの下搬送面19のベルト幅方向の略中央に落下する。第2の下搬送装置10Bでは、2つの第2の口金13Bのうち一方の開口18から第2の色の搬送対象生地4Bが押出され、第2の下コンベア14Bの下搬送面19のベルト幅方向の略中央よりも一側に落下する。また、2つの第2の口金13Bのうち他方の開口18から第3の色の搬送対象生地4Cが押出され、第2の下コンベア14Bの下搬送面19のベルト幅方向の略中央よりも他側に落下する。
【0061】
このように、第1の色の搬送対象生地4Aは、第1の口金13Aから第1の下コンベア14Aの下搬送面19上に押出されて、第1の下コンベア14Aによって傾斜コンベア21に搬送される。第2の色の搬送対象生地4Bと第3の色の搬送対象生地4Cとは、一方および他方の第2の口金13Bから第2の下コンベア14Bの下搬送面19上にそれぞれ押出されて、第2の下コンベア14Bから第1の下コンベア14Aを介して傾斜コンベア21に搬送される。第1の下コンベア14Aの下搬送面19上では、ベルト幅方向の中央と一側と他側とに第1の色の搬送対象生地4Aと第2の色の搬送対象生地4Bと第3の色の搬送対象生地4Cとが互いに離間して並ぶ。すなわち、第1の下コンベア14Aは、第1の色の搬送対象生地4Aと第2の色の搬送対象生地4Bと第3の色の搬送対象生地4Cとを、ベルト幅方向に離間して並んだ状態で下搬送面19の下流端に向けて連続状態を維持したまま略水平方向に搬送する。
【0062】
傾斜搬送装置20の傾斜コンベア21は、第1の下コンベア14Aの下搬送面19の下流端に搬送されて傾斜搬送面26上に到達した第1~第3の色の搬送対象生地4A~4Cを、第1の下コンベア14Aの下搬送面19上と同様にベルト幅方向に離間して並んだ状態と連続状態とを維持したまま傾斜搬送面26の下流端に向けて搬送する。
【0063】
上コンベア23は、傾斜搬送面26の下流端を越えて上搬送面28上に到達した第1~第3の色の搬送対象生地4A~4Cを、第1の下コンベア14Aの下搬送面19上と同様にベルト幅方向に離間して並んだ状態と連続状態とを維持したまま、上搬送面28の下流端に向けて略水平方向に搬送する。第1~第3の色の搬送対象生地4A~4Cは、上搬送面28の下流端から落下することにより成形生地投入ホッパー3内の3つの蓄積領域にそれぞれ投入される。
【0064】
本実施形態では、団子製造機2へ搬送する団子生地が1種類の場合には、第1の下搬送装置10Aを使用し、3種類の場合には、第1の下搬送装置10Aに加えて第2の下搬送装置10Bを使用する。このように、第1の下搬送装置10Aを共用するので、設備の効率的な使用が可能である。また、第2の下搬送装置10Bは第2の下コンベア支持台車16Bに設けられて移動可能であるので、第2の下搬送装置10Bの使用時と不使用時の切替作業を容易に行うことができる。
【0065】
なお、本発明は、一例として説明した上述の実施形態に限定されることはなく、上述の実施形態等以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0066】
1,5:食品生地搬送装置
2:団子製造機(食品成形装置)
3:成形生地投入ホッパー
4:搬送対象生地
5:センサ
10:下搬送装置
11:搬送生地投入ホッパー
12:押出しロール(押出し手段)
13:口金(押出し手段)
14:下コンベア
15,24:制御部
16:下コンベア支持台車
17:車輪
18:開口
19:下搬送面
20:傾斜搬送装置
21:傾斜コンベア
22:押圧搬送コンベア(押圧搬送手段)
23:上コンベア
25:傾斜コンベア支持台車
26:傾斜搬送面
27:傾斜押圧面
28:上搬送面
29A,29B:生地投入領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10