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  • 特開-破砕機 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174771
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】破砕機
(51)【国際特許分類】
   E04G 23/08 20060101AFI20241210BHJP
【FI】
E04G23/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092789
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】593003949
【氏名又は名称】ウエダ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100157428
【弁理士】
【氏名又は名称】大池 聞平
(72)【発明者】
【氏名】植田 敏治
(72)【発明者】
【氏名】吉川 忠男
【テーマコード(参考)】
2E176
【Fターム(参考)】
2E176DD02
2E176DD06
2E176DD07
(57)【要約】
【課題】鋼材などの剪断時に、一対の刃物フレームが厚み方向に開くことを抑制することができる破砕機を提供する。
【解決手段】破砕機10は、第1刃物フレーム1及び第2刃物フレーム2と、本体フレーム4に設けられて第1刃物フレーム1及び第2刃物フレーム2を回転自在に連結する軸構造20とを備えている。軸構造20は、ピン部材6と、第1刃物フレーム1に一体化されてピン部材6を回転自在に支持する円筒状の第1軸受部7と、第2刃物フレーム2に一体化されて第1軸受部7を回転自在に支持する第2軸受部8とを備えている。第1刃物フレーム1の厚み方向において、第1刃物フレーム1の刃部1a及び第2刃物フレーム2の刃部2aのうち第1刃物フレーム1の刃部1a側を表側として、第2軸受部8は、本体フレーム4における一対の保持部14aに挟まれ、且つ、第1刃物フレーム1における第1軸受部7の近傍の表側に摺接する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体フレームと、
第1刃物フレーム及び第2刃物フレームと、
前記本体フレームに設けられ、前記第1刃物フレーム及び前記第2刃物フレームを回転自在に連結する軸構造と、
前記第1刃物フレーム及び前記第2刃物フレームを開閉駆動する駆動装置とを備えた破砕機であって、
前記軸構造は、
ピン部材と、
前記第1刃物フレームに一体化されて、前記ピン部材が内側に配置されて該ピン部材を回転自在に支持する円筒状の第1軸受部と、
前記第2刃物フレームに一体化されて、前記第1軸受部が内側に配置されて該第1軸受部を回転自在に支持する第2軸受部とを備え、
前記第1刃物フレームの厚み方向において、前記第1刃物フレームの刃部及び前記第2刃物フレームの刃部のうち前記第1刃物フレームの刃部側を表側として、
前記第2軸受部は、前記本体フレームにおける一対の保持部に挟まれ、且つ、前記第1刃物フレームにおける前記第1軸受部の近傍の表側に摺接する、破砕機。
【請求項2】
前記第2軸受部は、前記第2刃物フレームに一体化されて正面視においてフック状に形成されたフック部と、前記フック部に着脱自在に取り付けられるキャップ部とを有し、
前記キャップ部が前記フック部に取り付けられた状態で、前記フック部の円弧状の内面と前記キャップ部の円弧状の内面によって、前記第2軸受部の軸受け面が形成される、請求項1に記載の破砕機。
【請求項3】
前記フック部は、隙間を介して対面する一対の引掛け部と、前記一対の引掛け部の両方の付け根に一体化された基部とを備え、
前記一対の引掛け部は、前記第1刃物フレームにおける前記第1軸受部の近傍を挟むように設けられている、請求項2に記載の破砕機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物や機械の解体などに使用される破砕機等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、構造物や機械の解体などに使用される破砕機が知られている。この種の破砕機は、建設機械のアームに連結されて使用される。
【0003】
特許文献1には、この種の破砕機として、解体アタッチメントが記載されている。この解体アタッチメントは、アタッチメント本体に、一対の可動顎の共通する回動軸を設けた単動構成である。この解体アタッチメントは、回動軸を挟んで対向部位と反対側に摺接面を可動顎と一体に設け、少なくとも対向部位が鋼材を挟んで剪断し始める可動顎の開閉範囲で互いの摺接面を摺接させる。これにより、鋼材の剪断時に対向部位が離れようとすればかえって摺接面が互いに押し合うことになり、可動顎が開くことを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-270564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、本願発明者は、一対の刃物フレーム(特許文献1の「可動顎」に相当)に対し共通の回転軸を用いる破砕機において、鋼材などの剪断時に一対の刃物フレームが開くことを抑制する別の機構を思いついた。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、鋼材などの剪断時に、一対の刃物フレームが厚み方向に開くことを抑制することができる破砕機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するべく、第1の発明は、本体フレームと、第1刃物フレーム及び第2刃物フレームと、前記本体フレームに設けられ、前記第1刃物フレーム及び前記第2刃物フレームを回転自在に連結する軸構造と、前記第1刃物フレーム及び前記第2刃物フレームを開閉駆動する駆動装置とを備えた破砕機であって、前記軸構造は、ピン部材と、前記第1刃物フレームに一体化されて、前記ピン部材が内側に配置されて該ピン部材を回転自在に支持する円筒状の第1軸受部と、前記第2刃物フレームに一体化されて、前記第1軸受部が内側に配置されて該第1軸受部を回転自在に支持する第2軸受部とを備え、前記第1刃物フレームの厚み方向において、前記第1刃物フレームの刃部及び前記第2刃物フレームの刃部のうち前記第1刃物フレームの刃部側を表側として、前記第2軸受部は、前記本体フレームにおける一対の保持部に挟まれ、且つ、前記第1刃物フレームにおける前記第1軸受部の近傍の表側に摺接する、破砕機である。
【0008】
第2の発明は、第1の発明において、第2軸受部は、前記第2刃物フレームに一体化されて正面視においてフック状に形成されたフック部と、前記フック部に着脱自在に取り付けられるキャップ部とを有し、前記キャップ部が前記フック部に取り付けられた状態で、前記フック部の円弧状の内面と前記キャップ部の円弧状の内面によって、前記第2軸受部の軸受け面が形成される。
【0009】
第3の発明は、第2の発明において、フック部は、隙間を介して対面する一対の引掛け部と、前記一対の引掛け部の両方の付け根に一体化された基部とを備え、
前記一対の引掛け部は、前記第1刃物フレームにおける前記第1軸受部の近傍を挟むように設けられている。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、鋼材などの剪断時に、一対の刃物フレーム間に破砕対象物が挟まることで、第1刃物フレームが表側に、第2刃物フレームが裏側に開こうとしても、第2刃物フレームに一体化された第2軸受部は、本体フレームにおける一対の保持部に挟まれ、第1刃物フレームにおける第1軸受部の近傍の表側に第2軸受部が摺接する。そのため、第1刃物フレームが表側へ開くこと、及び、第2刃物フレームが裏側に開くことが抑制される。本発明によれば、鋼材などの剪断時に、一対の刃物フレームが厚み方向に開くことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態に係る破砕機の正面図である。
図2図2は、破砕機の軸構造の概略断面図である。
図3図3(a)は、破砕機の一対の刃物フレームを分解し、且つ、キャップ部を取り外した状態の正面図であり、図3(b)は、破砕機の一対の刃物フレームを分解し、且つ、キャップ部を取り付けた状態の正面図であり、図3(c)は、破砕機における第2軸受部のフック部の斜視図であり、図3(d)は、X方向から第2刃物フレームを見た矢視図である。
図4図4は、刃面に沿う方向に一対の刃物フレームを見た図であり、図4(a)は、破砕対象物がない状態を表し、図4(b)は、破砕対象物を切断中の状態を表す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の一例であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0013】
[破砕機の構造について]
本実施形態は、建設機械のアームに連結されて使用される破砕機(切断装置)10である。破砕機10は、図1に示すように、本体フレーム4と、一対の刃物フレーム(可動顎)1,2と、一対の刃物フレーム1,2を回転自在に連結する軸構造20と、一対の刃物フレーム1,2を開閉駆動する駆動装置3と、建設機械のアームに連結するための連結部5とを備えている。
【0014】
本体フレーム4は、一定の間隔に保持された一対のプレート部14を備えている。プレート部14は平板状を呈する。本体フレーム4は、正面視において縦長形状を呈する。本体フレーム4では、その長手方向の片側(図1において下側)に軸構造20が設けられ、その反対側に連結部5が取り付けられている。一対のプレート部14のうち軸構造20側の下側部分は、後述する第2軸受部8を挟む一対の保持部14aを構成する。本体フレーム4における連結部5側には、長手方向の中心線に対称に、後述する油圧シリンダー3の連結箇所が設けられている。
【0015】
各刃物フレーム1,2は、互いの内側部分が対向するように設けられている。各刃物フレーム1,2の内側における少なくとも付け根側には、鋼材などの切断時に使用される刃部1a,2aが設けられている。第1刃物フレーム1の刃部1a及び第2刃物フレーム1の刃部2aは、各刃物フレーム1,2の厚み方向に少しずれて配置されている(図4(a)参照)。上記の厚み方向において、第1刃物フレーム1の刃部1a及び第2刃物フレーム1の刃部2aのう刃部1a側を表側とする。
【0016】
駆動装置3は、一対の油圧シリンダー3により構成されている。破砕機10では、油圧シリンダー3におけるシリンダー3a側の端部とピストンロッド3bの先端部とのうち一方が本体フレーム4に回転自在に連結され、他方が刃物フレーム1,2の付け根側の外端部に回転自在に連結されている。一対の刃物フレーム1,2は、一対の油圧シリンダー3におけるピストンロッド3bの進退に伴って開閉する。
【0017】
軸構造20は、図2に示すように、真っすぐで円柱状のピン部材6と、ピン部材6が内側に配置されてピン部材6を回転自在に支持する円筒状の第1軸受部7と、第1軸受部7が内側に配置されて第1軸受部7を回転自在に支持する第2軸受部8とを備えている。軸構造20は、二重の軸受け構造となっている。
【0018】
第1軸受部7は、図3(a)-(b)に示すように、第1刃物フレーム1の内側(刃側)における付け根側(図3において上側)に一体化されている。第1軸受部7は、上述したように円筒状に形成され、内側の貫通孔7aにピン部材6が挿通される。第1軸受部7の外周面における中間高さには、第1刃物フレーム1が接合されている(図2参照)。第1軸受部7のうち、第1刃物フレーム1の片面から突出する部分と、第1刃物フレーム1のもう片面から突出する部分は、ボス部7bを構成する。
【0019】
第2軸受部8は、第2刃物フレーム2の内側(刃側)における付け根側(図3において上側)に一体化されたフック部11と、フック部11に着脱自在に取り付けられるキャップ部12とを有する。フック部11及びキャップ部12は、ともに正面視において円弧状の内面11a,12aを有する。フック部11は、内面11aが外側を向くように設けられている。キャップ部12は、ネジなどの固定用部材13によって、フック部11に取り付けられる。この状態で、フック部11の円弧状の内面11aとキャップ部12の円弧状の内面12aによって、第2軸受部8の軸受け面が形成される。
【0020】
なお、第1刃物フレーム1に対する第2刃物フレーム2の取付けでは、まず第1軸受部7がフック部11に引掛けられた後、キャップ部12がフック部11に取り付けられる。
【0021】
フック部11は、図3(a)及び図3(b)に示すように、正面視においてフック状に形成されている。正面視において、フック部11の幅は、付け根側から先端に向かって徐々に狭くなっている。
【0022】
フック部11では、図3(c)及び図3(d)に示すように、厚み方向の中間部分に、第1刃物フレーム1を通すスリット(切れ込み)15が形成されている。スリット15は、フック部11の延伸方向に延びており、後述する接続部材19の設置個所から、点線X(図3(a)参照)の位置まで形成されている。フック部11は、スリット15の隙間を介して対面する一対の引掛け部16と、一対の引掛け部16の両方の付け根に一体化された基部17と、一対の引掛け部16の先端側を互い接続する板状の接続部材19とを備えている。各引掛け部16の内面は平坦面である。一対の引掛け部16は互いに平行に設けられている。一対の引掛け部16は、第1刃物フレーム1における第1軸受部7の近傍部分1bを挟むように設けられている。
【0023】
軸構造20では、ピン部材6の各端部には、ボルト9が締め付けられている(図2参照)。ボルト9は、保持部14a(プレート部14)に押し付けられている。また、一対の保持部14aは、一対の引掛け部16及び基部17を挟み込んでいる。一対の保持部14aは一定の間隔に保たれ、一対の引掛け部16も一定の間隔に保たれている。
【0024】
一対の刃物フレーム1,2を開閉させると、第1刃物フレーム1に一体化された第1軸受部7の各ボス部7bの端面、一対の引掛け部16の外面、基部17の外面及び、キャップ部12の外面は、それぞれ一対のプレート部14と摺接する。また、一対の引掛け部16の内面は、第1刃物フレーム1における第1軸受部7の近傍部分1bに摺接する。
【0025】
軸構造20では、潤滑用の構造として、ピン部材6と第1軸受部7の間と、第1軸受部7と第2軸受部8の間とのそれぞれに、ブッシュ21、22が設けられている。ピン部材6と第1軸受部7の間では、表側と裏側とにそれぞれブッシュ21が設けられている。また、第1軸受部7と第2軸受部8の間でも、表側と裏側とにそれぞれブッシュ22が設けられている。表側と裏側のブッシュ21,22間には隙間が形成されている。
【0026】
[実施形態の効果等]
本実施形態では、鋼材などの剪断時に、第1刃物フレーム1が表側に、第2刃物フレーム2が裏側に開こうとしても、第2刃物フレーム2に一体化された第2軸受部8は、本体フレーム4における一対の保持部14aに挟まれ、第1刃物フレーム1における第1軸受部7の近傍部分1bは、第2軸受部における一対の引掛け部16に挟まれている。これにより、第1刃物フレーム1が表側へ開くこと、及び、第2刃物フレーム2が裏側に開くことが抑制され、鋼材などの剪断時に一対の刃物フレーム1,2が厚み方向に開くことを抑制することができる。
【0027】
また、本実施形態では、一対の引掛け部16が、第1刃物フレーム1における第1軸受部7の近傍部分1bを挟むように設けられるため、第1軸受部7及び第2軸受部8の高さ寸法(ボス部分の長さ)が比較的大きくなる。そのため、特許文献1に記載の解体アタッチメントにおいて対向部位と反対側に設けられた摺接面がなくても、二重の軸受け構造の軸構造20により、各刃物フレーム1,2の揺動回転を安定して支持することができる。本実施形態に係る軸構造20は、一対の刃物フレーム1,2間の厚み方向の隙間を小さくすることが求められる破砕機に有用である。
【0028】
なお、本実施形態では、各刃物フレーム1,2に、棒鋼などの破砕対象物(切断対象物)25の切断時に各刃物フレーム1,2に対し破砕対象物25が傾こうとする場合に、破砕対象物25を支持する支持部(支持台)30が設けられている(図4参照)。第1刃物フレーム1では裏面に支持部30が設けられ、第2刃物フレーム2では表面に支持部30が設けられている。
【0029】
支持部30は、板状に形成され、各刃物フレーム1,2の片面から延び出ており、先端が内側を向いている。支持部30の先端は、支持端30aを構成する。支持端30aは、正面視において、刃部1a,2aの刃先に沿って延びている(図1(a)参照)。第1刃物フレーム1では、断面視において、支持端30aが、刃部1aの刃先に対し裏側の斜め外側に位置している。第2刃物フレーム2では、支持端30aが、刃部2aの刃先に対し表側の斜め外側に位置している。本実施形態によれば、図4(b)に示すように、破砕対象物25の切断時に破砕対象物25が傾こうとしても、破砕対象物25が一対の支持部30により支持されるため、破砕対象物25が大きく傾くことを抑制することができる。そのため、破砕対象物25が大きく傾くことに起因して一対の刃物フレーム1,2が開くことを抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、作業機械に装着するアタッチメントを交換するためのアタッチメント交換用装置等に適用可能である。
【符号の説明】
【0031】
1 第1刃物フレーム
2 第2刃物フレーム
3 駆動装置、油圧シリンダー
4 本体フレーム
6 ピン部材
7 第1軸受部
7a 貫通孔
7b ボス部
8 第2軸受部
10 破砕機
11 フック部
12 キャップ部
13 固定用部材
14 プレート部
15 切れ込み
16 引掛け部
17 基部
20 軸構造
21,22 ブッシュ
25 破砕対象物
30 支持台
30a 支持端
図1
図2
図3
図4