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特開2024-174774制御装置、温度調整システム、温度調整装置の制御方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174774
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】制御装置、温度調整システム、温度調整装置の制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/46 20180101AFI20241210BHJP
   F24F 11/65 20180101ALI20241210BHJP
【FI】
F24F11/46
F24F11/65
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092793
(22)【出願日】2023-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】523214465
【氏名又は名称】インターテクモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123881
【弁理士】
【氏名又は名称】大澤 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100134625
【弁理士】
【氏名又は名称】大沼 加寿子
(72)【発明者】
【氏名】古庄 栄作
(72)【発明者】
【氏名】岡澤 宏行
(72)【発明者】
【氏名】加藤 健行
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260AB02
3L260BA41
3L260CA12
3L260CA16
3L260CB02
3L260CB06
3L260EA08
3L260FA02
3L260FB02
(57)【要約】
【課題】温度調整装置における圧縮機の動作を適切に制御して、温度調整機能に与える影響を抑えつつ消費エネルギを低減する。
【解決手段】 温度調整装置である空調装置400の室内機200の吸気部に配置され吸入される気体の温度を検出する吸気温度センサ111と、排気部に配置され排出される気体の温度を検出する排気温度センサ112とを設け、空調装置400の稼働開始から所定時間以上経過した後で、吸気温度センサ111の検出温度が所定の第1目標温度以下になった場合に、室内機200の制御部220に圧縮機311を停止させる制御を行わせるための第1制御信号を制御部220へ出力し、その後、排気温度センサ112の検出温度が第2目標温度以上になった場合に、上記第1制御信号の制御部220への出力を停止するようにした。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、熱交換器、吸気部、排気部、温度センサ及び制御部を備え、前記吸気部から吸入した気体に対して前記熱交換機で熱交換を行って前記排気部から排出し、前記温度センサから供給される信号に基づき前記制御部が前記圧縮機の動作を制御する温度調整装置を制御する制御装置であって、
前記吸気部に配置され吸入される前記気体の温度を検出する吸気温度センサと、
前記排気部に配置され排出される前記気体の温度を検出する排気温度センサと、
前記温度調整装置の稼働有無を検出する稼働検出部と、
前記温度調整装置の稼働開始から所定時間以上経過した後で、前記吸気温度センサの検出温度が所定の第1目標温度以下になった場合に、前記制御部に前記圧縮機を停止又は低速運転させる制御を行わせるための第1制御信号を前記制御部へ出力し、その後、前記排気温度センサの検出温度が前記第1目標温度に基づき定められた第2目標温度以上になった場合に、前記第1制御信号の前記制御部への出力を停止する第1制御を行うことが可能な制御信号出力部とを備えることを特徴とする制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の制御装置であって、
前記熱交換器に配置され前記熱交換器の温度を検出する熱交換器温度センサを備え、
前記制御信号出力部は、前記第1制御において、前記温度調整装置の稼働開始から前記所定時間以上経過した後で、前記吸気温度センサの検出温度が前記第1目標温度以下になった場合に、前記熱交換器温度センサの検出温度を記憶し、その後、前記熱交換器温度センサの検出温度が、前記記憶した検出温度と比較して所定の第1閾値以上上昇した後で、前記排気温度センサの検出温度が前記第2目標温度以上になった場合に、前記第1制御信号の前記制御部への出力を停止することを特徴とする制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の制御装置であって、
前記制御信号出力部は、
前記温度調整装置の稼働開始から前記所定時間経過した時点の前記排気温度センサの検出温度が所定の第2閾値以上か否かに応じて、冷房モードと暖房モードとを切り換え、
前記冷房モードにおいては前記第1制御を行い、
前記暖房モードにおいては、前記温度調整装置の稼働開始から前記所定時間以上経過した後で、前記吸気温度センサの検出温度が所定の第3目標温度以上になった場合に、前記第1制御信号を前記制御部へ出力し、その後、前記排気温度センサの検出温度が前記第3目標温度に基づき定められた第4目標温度以下になった場合に、前記第1制御信号の前記制御部への出力を停止する第2制御を行う
ことを特徴とする制御装置。
【請求項4】
請求項2に記載の制御装置であって、
前記制御信号出力部は、
前記温度調整装置の稼働開始から前記所定時間経過した時点の前記排気温度センサの検出温度が所定の第2閾値以上か否かに応じて、冷房モードと暖房モードとを切り換え、
前記冷房モードにおいては前記第1制御を行い、
前記暖房モードにおいては、前記温度調整装置の稼働開始から前記所定時間以上経過した後で、前記吸気温度センサの検出温度が所定の第3目標温度以上になった場合に、前記第1制御信号を前記制御部へ出力すると共に前記熱交換器温度センサの検出温度を記憶し、その後、前記熱交換器温度センサの検出温度が、前記記憶した検出温度と比較して所定の第2閾値以上下降した後で、前記排気温度センサの検出温度が前記第3目標温度に基づき定められた第4目標温度以下になった場合に、前記第1制御信号の前記制御部への出力を停止する第2制御を行う
ことを特徴とする制御装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の制御装置であって、
前記暖房モードの動作を、通常の暖房モードと、前記通常の暖房モードと比べて第3目標温度が高く、前記第4目標温度が同じである天井据付暖房モードとの間で切り換え可能であることを特徴とする制御装置。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の制御装置であって、
前記温度調整装置は、交流電源によって駆動され端子を介して当該温度調整装置のリモートコントローラに直流電源を供給するための電源回路を備え、
当該制御装置は直流電源によって駆動され、前記温度調整装置の前記端子に電気的に接続するための接続部を備えることを特徴とする制御装置。
【請求項7】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の制御装置と、前記温度調整装置とを備える温度調整システムであって、
前記温度調整装置は、交流電源によって駆動され端子を介して当該温度調整装置のリモートコントローラに直流電源を供給するための電源回路を備え、
当該制御装置は直流電源によって駆動され、前記温度調整装置の前記端子から電源が供給されることを特徴とする温度調整システム。
【請求項8】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の制御装置であって、
前記制御信号出力部が、前記第1制御信号の前記制御部への出力を停止する際に、前記制御部に前記圧縮機を定格運転する制御を行わせるための第2制御信号を前記制御部へ出力することを特徴とする制御装置。
【請求項9】
請求項8に記載の制御装置であって、
前記制御信号出力部が、前記第2制御信号を前記制御部へ出力した後、次に前記第1制御信号を前記制御部へ出力するよりも前に、前記第2制御信号の前記制御部への出力を停止することを特徴とする制御装置。
【請求項10】
圧縮機、熱交換器、吸気部、排気部、温度センサ及び制御部を備え、前記吸気部から吸入した気体に対して前記熱交換機で熱交換を行って前記排気部から排出し、前記温度センサから供給される信号に基づき前記制御部が前記圧縮機の動作を制御する温度調整装置を制御する制御方法であって、
前記吸気部に配置され吸入される前記気体の温度を検出する吸気温度センサと、前記排気部に配置され排出される前記気体の温度を検出する排気温度センサと、前記温度調整装置の稼働有無を検出する稼働検出部との検出結果に基づき、
前記温度調整装置の稼働開始から所定時間以上経過した後で、前記吸気温度センサの検出温度が所定の第1目標温度以下になった場合に、前記制御部に前記圧縮機を停止又は低速運転させる制御を行わせるための第1制御信号を前記制御部へ供給し、その後、前記排気温度センサの検出温度が前記第1目標温度に基づき定められた第2目標温度以上になった場合に、前記第1制御信号の前記制御部への供給を停止する第1制御手順を備えることを特徴とする温度調整装置の制御方法。
【請求項11】
請求項10に記載の温度調整装置の制御方法であって、
前記第1制御手順は、前記第1制御信号の前記制御部への供給を停止する際に、前記制御部に前記圧縮機を定格運転する制御を行わせるための第2制御信号を前記制御部へ供給する手順であることを特徴とする温度調整装置の制御方法。
【請求項12】
プロセッサに、圧縮機、熱交換器、吸気部、排気部、温度センサ及び制御部を備え、前記吸気部から吸入した気体に対して前記熱交換機で熱交換を行って前記排気部から排出し、前記温度センサから供給される信号に基づき前記制御部が前記圧縮機の動作を制御する温度調整装置を制御させるためのプログラムであって、
前記プロセッサに、
前記吸気部に配置され吸入される前記気体の温度を検出する吸気温度センサと、前記排気部に配置され排出される前記気体の温度を検出する排気温度センサと、前記温度調整装置の稼働有無を検出する稼働検出部との検出結果に基づき、
前記温度調整装置の稼働開始から所定時間以上経過した後で、前記吸気温度センサの検出温度が所定の第1目標温度以下になった場合に、前記制御部に前記圧縮機を停止又は低速運転させる制御を行わせるための第1制御信号を前記制御部へ供給し、その後、前記排気温度センサの検出温度が前記第1目標温度に基づき定められた第2目標温度以上になった場合に、前記第1制御信号の前記制御部への供給を停止する第1制御手順を実行させるためのプログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のプログラムであって、
前記第1制御手順は、前記第1制御信号の前記制御部への供給を停止する際に、前記制御部に前記圧縮機を定格運転する制御を行わせるための第2制御信号を前記制御部へ供給する手順であることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、温度調整装置を制御するための制御装置、このような制御装置と温度調整装置とを備える温度調整システム、温度調整装置の制御方法、およびプロセッサに温度調整装置を制御するための手順を実行させるためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、所定領域の温度を調整する温度調整装置として、冷暖房機能を有する空気調整装置や、冷蔵庫、冷凍庫などの冷却装置が広く用いられている。このような温度調整装置では、配管内に密閉した冷媒を、圧縮機(コンプレッサ)及び減圧機を用いて、圧縮及び膨張させつつ、吸熱側と排熱側にそれぞれ配置した2つの熱交換器を通じて、吸熱側の熱を冷媒に乗せ、排熱側で冷媒の熱を捨てることで、吸熱側の熱を排熱側に移動させる。吸熱側が室内や庫内であれば、温度調整装置は冷房、冷蔵、冷凍装置として機能し、排熱側が室内や庫内であれば、温度調整装置は暖房、保温、加熱装置として機能する。
【0003】
このような温度調整装置では、主なエネルギ消費は圧縮機を駆動する際に生じ、その消費量も大きいものとなる。
そして、冷却剤系システム、冷蔵及び加熱システムにおける圧縮機のオンオフの制御を工夫することで、エネルギ消費を低減するため技術が特許文献1に提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6434910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、エネルギ消費の低減率が必ずしも十分ではなかった。
本発明は、このような背景でなされたものであり、温度調整装置における圧縮機の動作を適切に制御して、温度調整機能に与える影響を抑えつつ消費エネルギを低減することを目的とする。また、既設の温度調整装置に対してもこのような制御機能を容易に追加できるようにすることも、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、この発明の制御装置は、圧縮機、熱交換器、吸気部、排気部、温度センサ及び制御部を備え、上記吸気部から吸入した気体に対して上記熱交換機で熱交換を行って上記排気部から排出し、上記温度センサから供給される信号に基づき上記制御部が上記圧縮機の動作を制御する温度調整装置を制御する制御装置において、上記吸気部に配置され吸入される上記気体の温度を検出する吸気温度センサと、上記排気部に配置され排出される上記気体の温度を検出する排気温度センサと、上記温度調整装置の稼働有無を検出する稼働検出部と、上記温度調整装置の稼働開始から所定時間以上経過した後で、上記吸気温度センサの検出温度が所定の第1目標温度以下になった場合に、上記制御部に上記圧縮機を停止又は低速運転させる制御を行わせるための第1制御信号を上記制御部へ出力し、その後、上記排気温度センサの検出温度が上記第1目標温度に基づき定められた第2目標温度以上になった場合に、上記第1制御信号の上記制御部への出力を停止する第1制御を行うことが可能な制御信号出力部とを設けたものである。
【0007】
このような制御装置において、上記熱交換器に配置され上記熱交換器の温度を検出する熱交換器温度センサを設け、上記制御信号出力部が、上記第1制御において、上記温度調整装置の稼働開始から上記所定時間以上経過した後で、上記吸気温度センサの検出温度が上記第1目標温度以下になった場合に、上記熱交換器温度センサの検出温度を記憶し、その後、上記熱交換器温度センサの検出温度が、上記記憶した検出温度と比較して所定の第1閾値以上上昇した後で、上記排気温度センサの検出温度が上記第2目標温度以上になった場合に、上記第1制御信号の上記制御部への出力を停止するとよい。
【0008】
あるいは、上記制御信号出力部は、上記温度調整装置の稼働開始から上記所定時間経過した時点の上記排気温度センサの検出温度が所定の第2閾値以上か否かに応じて、冷房モードと暖房モードとを切り換え、上記冷房モードにおいては上記第1制御を行い、上記暖房モードにおいては、上記温度調整装置の稼働開始から上記所定時間以上経過した後で、上記吸気温度センサの検出温度が所定の第3目標温度以上になった場合に、上記第1制御信号を上記制御部へ出力し、その後、上記排気温度センサの検出温度が上記第3目標温度に基づき定められた第4目標温度以下になった場合に、上記第1制御信号の上記制御部への出力を停止する第2制御を行うとよい。
【0009】
あるいは、上記制御信号出力部が、上記温度調整装置の稼働開始から上記所定時間経過した時点の上記排気温度センサの検出温度が所定の第2閾値以上か否かに応じて、冷房モードと暖房モードとを切り換え、上記冷房モードにおいては上記第1制御を行い、上記暖房モードにおいては、上記温度調整装置の稼働開始から上記所定時間以上経過した後で、上記吸気温度センサの検出温度が所定の第3目標温度以上になった場合に、上記第1制御信号を上記制御部へ出力すると共に上記熱交換器温度センサの検出温度を記憶し、その後、上記熱交換器温度センサの検出温度が、上記記憶した検出温度と比較して所定の第2閾値以上下降した後で、上記排気温度センサの検出温度が上記第3目標温度に基づき定められた第4目標温度以下になった場合に、上記第1制御信号の上記制御部への出力を停止する第2制御を行うとよい。
【0010】
また、上記のいずれかの制御装置において、上記暖房モードの動作を、通常の暖房モードと、上記通常の暖房モードと比べて第3目標温度が高く、上記第4目標温度が同じである天井据付暖房モードとの間で切り換え可能であるとよい。
さらに、上記のいずれかの制御装置において、上記温度調整装置は、交流電源によって駆動され端子を介して当該温度調整装置のリモートコントローラに直流電源を供給するための電源回路を備え、当該制御装置は直流電源によって駆動され、上記温度調整装置の上記端子に電気的に接続するための接続部を備えるとよい。
【0011】
また、この発明の温度調整システムは、上記のいずれかの制御装置と、上記温度調整装置とを備え、上記温度調整装置が、交流電源によって駆動され端子を介して当該温度調整装置のリモートコントローラに直流電源を供給するための電源回路を備え、当該制御装置は直流電源によって駆動され、上記温度調整装置の上記端子から電源が供給されるものである。
【0012】
また、上記のいずれかの制御装置において、上記制御信号出力部が、上記第1制御信号の上記制御部への出力を停止する際に、上記制御部に上記圧縮機を定格運転する制御を行わせるための第2制御信号を上記制御部へ出力するとよい。
さらに、上記制御信号出力部が、上記第2制御信号を上記制御部へ出力した後、次に上記第1制御信号を上記制御部へ出力するよりも前に、上記第2制御信号の上記制御部への出力を停止するとよい。
【0013】
以上のような本発明は、上記のような制御装置あるいは温度調整システムの他、各装置の機能を複数の装置に分散して協働させたシステムや、方法、プログラム、プログラムを記録した記録媒体など、任意の態様で実施可能である。
【発明の効果】
【0014】
以上のようなこの発明によれば、温度調整装置における圧縮機の動作を適切に制御して、温度調整機能に与える影響を抑えつつ消費エネルギを低減することができる。また、既設の温度調整装置に対してもこのような制御機能を容易に追加できるようにすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】この発明の第1実施形態である制御装置100及び制御装置100による制御の対象である温度調整装置の一例である空気調和装置400の構成を模式的に示す図である。
図2】制御装置100のハードウェア構成をより詳細に示す図である。
図3】操作パネル120に表示させる画面の例を示す図である。
図4】制御装置100のCPU101が実行する処理のフローチャートである。
図5図4の続きの処理を示すフローチャートである。
図6図4に示した処理の変形例を示す図である。
図7】この発明の第2実施形態である制御装置100及び制御装置100による制御の対象である温度調整装置の一例である空気調和装置400の構成を模式的に示す、図1と対応する図である。
図8】第2実施形態の制御装置100のハードウェア構成をより詳細に示す、図2と対応する図である。
図9】第2実施形態の操作パネル120に表示させる画面の例を示す、図3と対応する図である。
図10】変形例において操作パネル120に表示させる画面の例を示す、図9と対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
〔第1実施形態:図1乃至図5
以下、この発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
まず図1に、この発明の第1実施形態である制御装置100及び制御装置100による制御の対象である温度調整装置の一例である空気調和装置400の構成を模式的に示す。
図1に示す空気調和装置(以下「空調装置」という)400は、室内機200及び室外機300を備える。室内機200は通常は建物の壁500の内部の、室温(気体である空気の温度)を調整すべき屋内に配置される。室外機300は、屋外に配置される。図1には、空調装置400の構成のうち、温度の調整に関連する構成を中心に示している。
【0017】
制御装置100は、空調装置400に追加して設置される、空調装置400の圧縮機(コンプレッサ)311の動作を、空調装置400側の制御部220とは異なるアルゴリズムで制御する機能を備える装置である。
空調装置400は、室内機200と室外機300に跨る冷媒回路410を備えている。冷媒回路410は、冷媒が充填された閉回路であり、例えば、冷媒が循環して蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行うように構成することができる。
【0018】
冷媒回路410には、室外機300側に圧縮機311、四方弁(四路切換弁)312、室外熱交換器313、膨張弁(減圧弁)314を備え、室内機200側に室内熱交換器211を備え、これらが冷媒管310により接続されてその内部に冷媒が密閉されている。
圧縮機311は、吐出側が四方弁312の第1ポートP1に接続され、吸入側が同第3ポートP3に接続されている。
【0019】
冷房運転時には、図に実線で示すように四方弁312は第1ポートP1と第2ポートP2を接続すると共に、第3ポートP3と第4ポートP4を接続する。このことで、圧縮機311から吐出された冷媒が、室外熱交換器313、膨張弁314、室内熱交換器211を順次通過して圧縮機311の吸入側に戻る経路が構成される。
また、暖房運転時には、四方弁312は図に仮想線で示すように第1ポートP1と第4ポートP4を接続すると共に、第2ポートP2と第3ポートP3を接続する。このことで、圧縮機311から吐出された冷媒が、室内熱交換器211、膨張弁314、室外熱交換器313を順次通過して圧縮機311の吸入側に戻る経路が構成される。
【0020】
これらの各部のうち圧縮機311は、吸入した冷媒を圧縮して吐出する。固定容量型、可変容量型など任意の方式のものを用いることができる。
室外熱交換器313では、室外ファン321によって矢印Aのように換気口316から取り込まれた室外空気と冷媒が熱交換する。熱交換後の空気は矢印Bのように換気口316から排出される。
膨張弁314は、高圧の液冷媒を蒸発しやすい状態に減圧し、低圧冷媒液にさせる。キャピラリーチューブ、温度自動膨張弁、電子膨張弁など、任意の方式のものを用いることができる。
【0021】
室内機200側の室内熱交換器211では、室内ファン212によって吸気口214から取り込まれた室内空気と冷媒が熱交換する。室内ファン212は、例えば、回転方向に前傾した羽根車を回転させることにより、吸気Cのように吸気口214から空気を吸い込み、排気Dのように排気口215から熱交換後の空気を放出する。このことで、室内空気が室内機200に取り込まれ、温度等が調整された空気が室内に吐き出される。
【0022】
以上の各部により、冷房運転時には、圧縮機311を運転すると、室外熱交換器313が凝縮器(放熱器)となり、室内熱交換器211が蒸発器となって冷凍サイクルが行われる。この場合、圧縮機311から吐出された冷媒は、室外熱交換器313に流れて室外空気へ放熱する。そして、放熱した冷媒は、膨張弁314を通過する際に膨張して(減圧されて)室内熱交換器211へ流れる。室内熱交換器211では、冷媒が室内空気から吸熱して蒸発し、冷却された室内空気が室内へ供給される。蒸発した冷媒は、圧縮機311へ吸入されて圧縮される。
【0023】
暖房運転時には、圧縮機311を運転すると、室内熱交換器211が凝縮器(放熱器)となり、室外熱交換器313が蒸発器となって冷凍サイクルが行われる。この場合、圧縮機311から吐出された冷媒は、室内熱交換器211に流れて室内空気へ放熱する。これにより、加熱された室内空気が室内へ供給される。放熱した冷媒は、膨張弁314を通過する際に膨張する(減圧される)。膨張弁314で膨張した冷媒は、室外熱交換器313に流れて室外空気から吸熱して蒸発する。蒸発した冷媒は、圧縮機311へ吸入されて圧縮される。
【0024】
以上の各部の動作は、室内機200側に設けた制御部220が制御する。制御部220は、プロセッサやメモリを備えたコンピュータであっても、専用の制御回路であっても、これらの組み合わせでもよい。
制御部220は、室内機200側室外機300側含め、空調装置400の各部に備えたセンサからの検出信号に基づき、空調装置400の各部へ制御信号C1~Cnを送出して各部の動作を制御する。室内機200と室外機300の間には、この制御信号を伝達するための不図示の信号線が配線されている。
【0025】
図1では、圧縮機311の制御信号C1、室外ファン321の制御信号C2、四方弁312の制御信号C3、膨張弁314の制御信号C4、室内ファン212の制御信号C5を代表して示しているが、これらに限られない。また、センサについては、この実施形態の特徴に関連するセンサとして吸気口214付近に設けられ吸気Cの温度を検出する温度センサ213を示しているが、これに限られない。
【0026】
なお、空調装置400のみを設置する場合には、温度センサ213の検出信号Tinが、制御部220のTin端子に入力されるように配線を行う。しかし、この実施形態では、制御装置100を設置する際に、温度センサ213の検出信号Tinを制御装置100に入力し、制御装置100が出力する制御信号Tinxを制御部220のTin端子に入力する配線となっている。この配線の意味については後に詳述する。
【0027】
また、空調装置400は、室内機200に設けられた電源回路230に、建物に備えられた交流電源510から電源を供給して駆動する構成となっている。電源回路230は、交流電源510から供給される電気の電圧や電流を適宜に調整し、必要に応じて直流への変換も行って、室内機200の各部に必要な電力を供給する。また、室内機200と室外機300とは不図示の電源線で接続され、電源回路230は、室外機300側の各部にも必要な電力を供給する。
【0028】
また、空調装置400にはリモートコントローラ240が設けられ、制御部220と信号線222により接続されている。ユーザは、このリモートコントローラ240を操作することで、制御部220に対して電源オンオフ、冷房暖房の切り換え、冷暖房の設定温度の設定などの様々な操作指示を行い、空調装置400を操作することができる。
ここでは、リモートコントローラ240は直流電源により駆動される。また、電源回路230が室内機200の直流電源端子231へ直流電源を供給する。リモートコントローラ240の電源線241をこの直流電源端子231へ接続することにより、リモートコントローラ240は室内機200から給電を受けて動作することができる。
【0029】
次に、制御装置100及びその周辺の構成について説明する。
制御装置100は、吸気温度センサ111、排気温度センサ112、熱交換器温度センサ113からの各検出信号T1~T3を入力し、電源回路230の稼働状態を示す検出信号E1を入力し、これらの信号に応じて空調装置400が備える圧縮機311の動作を制御する機能を備える。
【0030】
吸気温度センサ111は、室内機200の吸気口214の近傍で吸気Cが通る吸気部に配置され、吸気Cの温度を検出するセンサである。
排気温度センサ112は、室内機200の排気口215の近傍で排気Dが通る排気部に配置され、排気Dの温度を検出するセンサである。
熱交換器温度センサ113は、室内熱交換器211の近傍や内部あるいは室内熱交換器211に接触するように設けられ、室内熱交換器211の温度を検出するセンサである。
これらの温度センサとしては、サーミスタ、熱電対、赤外線センサなど、接触、非接触を問わず任意の方式のものを用いることができる。
【0031】
電源回路230の稼働状態については、例えば電源回路230のうち冷媒回路410の各部へ給電する回路に電流センサ114を設置することで、電源回路230が冷房動作または暖房動作のための給電を行う状態、すなわち冷房又は暖房の稼働中であるか否かを検出する。逆に言えば、電源回路230中の、このような検出が可能な箇所に電流センサ114を設置する。電流センサ114は、例えば磁気方式のものを用いることができるが、他の方式でもよい。
【0032】
また、上述したように、制御装置100は制御信号を室内機200の制御部220と信号線により接続され、制御信号Tinxを制御部220へ入力することができる。
操作パネル120は、制御装置100を操作するための操作部であり、適宜な通信路により制御装置100と接続される。有線でも無線でもよい。
【0033】
以上の制御装置100は、それ単独でもこの発明の制御装置の実施形態であるし、吸気温度センサ111、排気温度センサ112、熱交換器温度センサ113、電流センサ114のうち任意のセンサやこれらのセンサと接続するための信号線あるいは無線通信部を含む構成でもこの発明の制御装置の実施形態である。もちろん、操作パネル120を含んでいてもよい。
また、制御装置100と空調装置400とを含む空調システムが、この発明の温度調整システムの実施形態である。
【0034】
次に、制御装置100のハードウェア構成ついてより詳細に説明する。
図2は、制御装置100のハードウェア構成を示す図である。
図2に示すように、制御装置100は、CPU101、メモリ102、通信I/F103、通知部104、入出力I/F105、SW(スイッチ)制御部106、ディップスイッチ107を備え、これらがシステムバス108により接続されたコンピュータである。また、リレースイッチ109も備える。
【0035】
CPU101は、プロセッサであり、メモリ102に記憶されたプログラムを実行することで、操作パネル120の制御や、圧縮機311の動作制御を行う機能をはじめとする種々の機能を実現する。
メモリ102は、CPU101が実行するプログラムや、CPU101が使用する各種パラメータ等を記憶する記憶部であり、ワークメモリとしても機能する。
【0036】
通信I/F103は、操作パネル120と通信するためのインタフェースであり、有線でも無線でもよい。他の装置と通信する機能を有していてもよい。
通知部104は、光や音等でユーザに各種通知を行う機能を備え、LED(発光ダイオード)、スピーカ等を備える。当該通知の機能が操作パネル120で足りる場合には、通知部104を設けなくてもよい。
【0037】
入出力I/F105は、図1に示した各種センサからの検出信号T1~T3、E1、Tinを入力し、また制御部220へ制御信号Tinxを出力する機能を備える。これらの各信号と対応する線は、図示した矢印の向きの信号伝達のための信号線の他、必要に応じて逆向きの信号伝達(センサへの制御信号等)のための信号線や、給電のための給電線も含むものとする。
【0038】
SW制御部106は、リレースイッチ109の動作を制御する機能を備える。
ディップスイッチ107は、制御装置100の動作に関する設定のうち、頻繁に変更せずユーザに触らせたくない設定を受け付けるためのスイッチである。この例では、後述する天井据付モードのオンオフを設定するために用いる。
【0039】
リレースイッチ109は、何ら制御信号が供給されない状態(制御装置100自体が動作していない場合も含む)では実線で示す端子a側を、SW制御部106から切替信号が供給されている間は仮想線で示す端子b側を、制御信号Tinxの出力線と接続するスイッチである。リレー式以外のスイッチを用いてもよい。
【0040】
リレースイッチ109が端子a側を選択している状態では、空調装置400が備える温度センサ213の検出信号Tinが、そのまま制御信号Tinxの出力線に供給される。この出力線は、上述のように、制御部220の、検出信号Tinが本来供給されるべきTin端子に接続されている。従って、この状態では制御部220は、制御装置100が無い状態と全く同じように、温度センサ213の検出信号Tinに従って圧縮機311の動作を制御することになり、制御装置100は圧縮機311の動作に何らの影響も与えない。制御装置100自体が動作していない場合にはこの状態となるので、制御装置100が故障等で機能しなくなっても、空調装置400は本来の動作をするだけであり、制御装置100による効果が得られない点以上の特段の不都合はない。
【0041】
一方、リレースイッチ109が端子b側を選択している状態では、制御信号Tinxの出力線には、入出力I/F105のTinx端子から出力される制御信号が供給される。この状態では、制御装置100が圧縮機311の動作に影響を及ぼすことができる。ただし、ここで説明する例では、制御部220が実行する制御のアルゴリズムを変更することはなく、温度センサ213の検出信号Tinを模擬した、実際の検出温度と異なる温度を示す信号を制御部220に入力することで、間接的に圧縮機311の動作を制御する。
【0042】
例えば、冷房動作中の場合には、ほぼ全ての機種の空調装置400の制御部220が行うと期待される動作として、温度センサ213の検出温度が(エラーにならない程度に)極端に低い場合に、それ以上の冷却は必要ないため圧縮機311を停止又は低速運転させる、というものが考えられる。そこで、このような温度の検出結果を示す信号を、Tinx端子から出力すれば、温度センサ213の検出信号Tinが示す検出温度によらず、制御部220に圧縮機311を停止又は低速運転する制御を行わせ、圧縮機311を停止又は低速運転させることができる。このための制御信号が第1制御信号(圧縮機停止信号)である。
なお、以後の説明においては、圧縮機311を停止させる制御についてのみ説明するが、停止に代えて低速運転をする(させる)場合でも、同様な省エネルギが可能である。
【0043】
また逆に、温度センサ213の検出温度が極端に高いことを示す信号をTinx端子から出力すれば、制御部220に圧縮機311を定格運転で稼働する制御を行わせ、圧縮機311を定格運転させることができると考えられる。このための制御信号が第2制御信号(圧縮機稼働信号)である。なお、ここでいう「定格運転」は、冷凍サイクルを継続的に回すに十分な程度の出力として空調装置400において定められている出力で圧縮機311を動作させることを指すものとする。
ただし、稼働側の制御については、制御部220が、温度センサ213の検出温度が高くなったとしても直ちには圧縮機311の定格運転を開始しないアルゴリズムを採用している可能性もある。例えば、冷媒の温度が十分低く、圧縮機311を定格運転しなくても冷却を継続できる可能性もあるためである。
【0044】
従って、この実施形態では、図4及び図5を用いて後述するように、圧縮機311を稼働させたい場合には、リレースイッチ109を端子a側に切り替え、制御部220の本来の制御アルゴリズムに沿って圧縮機311を稼働させるようにしている。これは、制御装置100の制御機能のうち、特定の条件が満たされる期間に圧縮機311を停止させることで空調装置400の消費エネルギを低減することが重要なのであって、その期間外においてどのタイミングで圧縮機311を稼働させるかについては比較的重要性が低いためである。
しかし、図6を用いて後述するように、第2制御信号を用いて圧縮機311を定格運転させるアルゴリズムを採用してもよい。
【0045】
また、暖房動作中においても、冷房動作中と逆の考え方で圧縮機311の制御が可能である。
暖房動作中の場合には、ほぼ全ての機種の空調装置400の制御部220が行うと期待される動作として、温度センサ213の検出温度が(エラーにならない程度に)極端に高い場合に、それ以上の加熱は必要ないため圧縮機311を停止させる、というものが考えられる。そこで、このような温度の検出結果を示す信号を、Tinx端子から出力すれば、制御部220に圧縮機311を停止する制御を行わせ、圧縮機311を停止させることができる。このための制御信号も第1制御信号である。
【0046】
また逆に、温度センサ213の検出温度が極端に低いことを示す信号を、Tinx端子から出力すれば、制御部220に圧縮機311を稼働する制御を行わせ、圧縮機311を稼働させることができると考えられる。このための制御信号も第2制御信号である。第2制御信号の採否に関する考え方も、冷房動作の場合と同様である。
【0047】
なお、第1及び第2制御信号の電流、電圧、波形等は、制御装置100の設置時に、温度センサ213の特性を測定して定め、メモリ102に記憶させておき、入出力I/F105に、その特性に合った信号を出力させればよい。
あるいは、室内機に設けられた温度センサ213を構成するサーミスタの抵抗値を測定し、出力経路にその測定値に近い抵抗値を持つ抵抗を設置して第1及び第2制御信号の特性を調整してもよい。当該抵抗値を設定できる可変抵抗機能を入出力I/F105に内蔵させてもよい。ただし、各メーカーの空調装置400に内蔵されているサーミスタの抵抗値はまちまちであり、このように抵抗器を用いる場合には、制御装置100を取り付ける際に、逐次サーミスタの抵抗値を測定し、これに近い抵抗器を設置する必要がある。
【0048】
なお、以上の制御装置100は、配置場所近くの交流電源から給電を受けて動作する構成としてもよい。しかし、このようにすると、CPU101等を駆動するための安定した直流電流を得るために、制御装置100内部に電源回路が必要となってしまい、大型化やコストアップにつながる。
【0049】
一方、多くのケースにおいて、制御装置100は室内機200の近傍に配置し、室内機200にはリモートコントローラ240に給電するための直流電源端子231が設けられている。従って、図1に破線で示したように、制御装置100の給電をこの直流電源端子231から行う構成とすれば、制御装置100内部の構成を単純化し、小型化やコストダウンを図ることができる。室内機200に直流電源端子231が余っていればそのまま電源線を接続できるし、予備がなくても、電源線を分岐させて制御装置100とリモートコントローラ240の双方に接続すればよい。
【0050】
次に、操作パネル120により受け付けるオペレータの操作について説明する。
図3は、操作パネル120に表示させる操作画面150の例を示す図である。
この操作画面150は、CPU101から送信される指示に応じて操作パネル120が備えるタッチパネルに表示されるものである。図3には、設定ボタン181の操作に応じて表示される、冷房及び暖房の目標温度を設定するための画面を示している。
【0051】
この操作画面150には、冷房温度設定部160及び暖房温度設定部170が設けられている。オペレータは、ポップアップ表示されるキー等により入力欄161、171に所望の温度を入力し、変更ボタン162、172を操作することで、冷房及び暖房の目標温度を設定することができる。
この目標温度は、制御装置100が参照するものであるが、リモートコントローラ240により設定され、空調装置400の制御部220により参照される設定温度と一致している必要はない。
【0052】
バイパスモードボタン182は、リレースイッチ109を常時端子a側に接続するバイパスモードのオンオフを、トグルで切り換えるためのボタンである。バイパスモード中は、制御装置100は空調装置400の動作に何ら影響を与えない。
【0053】
データ保存ボタン183は、制御装置100の動作ログの保存オンオフをトグルで切り換えるためのボタンである。保存オンの場合、例えば、稼働時間、リレースイッチ109を端子b側に接続した時間、図4及び図5の各判断がYesになったタイミング等を動作ログとしてメモリ102に保存する。この動作ログは、通信I/F103を介して外部のPC等に読み出すことができる。また、電流センサ114を、電源回路230から空調装置400各部へ供給される電流の総量、あるいは圧縮機311へ供給される電流の量を検出可能なものとして、それらの電流量も動作ログとして保存することが考えられる。これらの情報に基づき、バイパスモードのオンオフに応じた消費エネルギの変化を分析することで、制御装置100による消費エネルギの低減量を見積もることができる。
【0054】
次に、制御装置100のCPU101が実行する処理について説明する。
図4及び図5はこの処理のフローチャートである。ここに示す処理は、この発明の温度調整装置の制御方法の実施形態に係る処理である。また、説明の便宜上、各ステップの処理を制御装置100が実行するものとして説明する。
制御装置100は、起動されたりスリープから復帰したりした場合、図4のフローチャートに示す処理を開始する。
【0055】
図4の処理において、制御装置100はまず、リレースイッチ109を端子a側に接続する(S11)。なお、上述のようにリレースイッチ109は何ら制御信号が供給されない状態では端子a側に接続されるように構成しているため、起動時は端子a側に接続されているはずであり、ステップS11の処理を省略することもできる。
【0056】
制御装置100は次に、電源回路230の稼働状態を示す検出信号E1の状態がON(稼働中)であるか判定する(S12)。稼働中でなければ、制御装置100が空調装置400を制御する必要がないため、スリープモードへ移行して(S24)処理を終了する。スリープモード中でも検出信号E1をモニタし、ONになった場合に再度図4の処理を実行するとよい。ステップS12の処理において、CPU101が稼働検出部として機能する。
【0057】
一方、ステップS12でYesの場合、制御装置100は各温度センサ111~113を起動し、検出信号T1~T3のモニタを開始する(S13)。その後、所定時間待機する(S14)。ここでの所定時間は、空調装置400がしばらく使用されていない状態から電源ONされた後、圧縮機311が十分な時間稼働し室内機200の排気口215から冷気(冷房の場合)又は暖気(暖房の場合)が排出される状態になる時間に設定する。この時間は例えば2分とすることが考えられる。ただし、所定時間を長くしても、制御装置100による実質的な圧縮機311の制御が開始されるまでの時間が長くなり、その分だけ省エネ効果が低下するが、それ以上の不利益はない。従って、所定時間をより長い時間に設定してもよい。
【0058】
所定時間待機後、制御装置100は排気温度センサ112の検出信号T2が25℃以下を示しているか否か判定する(S15)。これがYesであれば、室内機200が冷気を排出しているため空調装置400は冷房動作を行っていると判断し、制御装置100は冷房モードの制御(第1制御)に移行して(S16)、ステップS17以下の処理に進む。
ステップS15でNoであれば、室内機200が暖気を排出しているため空調装置400は暖房動作を行っていると判断し、制御装置100は暖房モードの制御(第2制御)に移行して(図5のS31)、ステップS32以下の処理に進む。
【0059】
ステップS15での判断基準に用いる25℃は、機種によらず大半の空調装置400で冷房動作中に排出する冷気温度より高く暖房動作中に排出する暖気温度より低い温度として選択したものであるが、具体的な数値はこれに限られない。空調装置400においては、冷房や暖房の設定室温及び実際の室温によらず、室温がある程度安定した状態において排出する冷気や暖気の温度はそれぞれ限られた範囲であることが通常である。このため、ステップS14の所定時間が経過した後の状態を前提とすれば、上記25℃のような基準の温度を定めることは通常可能である。また、ステップS15の判断では、吸気Cの温度を考慮する必要はない。
【0060】
次に、冷房モードの場合、制御装置100は、所定の上限時間以内に、吸気温度センサ111からの検出信号T1が示す温度(すなわち室内機200が設置された室内の気温)が、図3の画面で設定した冷房目標温度(第1目標温度)以下になったか否か判定する(S17,S18)。
ステップS17で用いる所定上限時間は、空調装置400がしばらく使用されていない状態から電源ONされた場合でも、ステップS14の所定時間も考慮して、室内気温が冷房目標温度に十分達すると考えられる程度の時間とする。例えば3分とすることが考えられる。
【0061】
この上限時間内にステップS18でYesとならない場合、ステップS17でYesとなり、ステップS25以下のエラー処理に入る。すなわち、制御装置100はリレースイッチ109を端子a側に接続する(S25)と共に、連続リセット回数が所定回数以下であれば、CPU101をリセットして再起動する(S26,S27)。センサからの検出信号が正常に入力されていない場合等を考慮してリトライするものである。連続リセット回数が所定回数を超えていれば、通知部104により光や音等でオペレータに異常の発生を通知して、処理を終了する(S28)。この場合、空調装置400の空調機能が正常に働いていないか、または制御装置100側のセンサの故障等が考えられるため、制御装置100を停止させる。
【0062】
一方、ステップS18でYesとなると、制御装置100はその時点の熱交換器温度センサ113からの検出信号T3が示す温度T3mを記憶する(S19)と共に、リレースイッチ109を端子b側に接続する(S20)。このことにより、上述した第1制御信号(圧縮機停止信号)が、入出力I/F105のTinx端子から制御部220へ出力される。制御部220は、第1制御信号が入力されると圧縮機311を停止させる(ことが期待される)。
【0063】
その後、制御装置100は、熱交換器温度センサ113からの検出信号T3が示す温度が、T3m+0.5℃以上となり(T3の温度が第1閾値以上上昇し)、その後で、排気温度センサ112からの検出信号T2が示す温度が冷房目標温度+0.5℃(第2目標温度)以上となるまで、圧縮機停止信号の出力を続ける(S21,S22)。この間、圧縮機311は停止したままとなる。
【0064】
ステップS22でYesとなると、制御装置100はリレースイッチ109を端子a側に接続する(S23)。このことにより、制御部220に、空調装置400が備える温度センサ213の検出信号Tinがそのまま入力される状態となり、制御部220は、空調装置400の本来の制御機能に従い圧縮機311の稼働と停止を制御する状態となる。
そして、この時点では室内機200は冷房目標温度以下の冷気を排出することができない状態となっているので、すぐに又は近々に、制御部220が圧縮機311を稼働させることが想定され、室内機200からの冷気の排出が再開されると期待される。
その後は、ステップS17に戻って処理を繰り返す。
【0065】
以上の一連の処理のうちステップS18及びS20は、室内の気温が冷房目標温度まで下がった時点で、それ以上の冷却は必要なくなるため強制的に圧縮機311を停止させて消費エネルギの低減を図るためのものである。発明者らの調査では、制御部220が備える(空調装置400本来の)制御アルゴリズムでは、何らかの理由により必ずしもこの時点で圧縮機311を停止させない機種が多く存在し、消費エネルギが大きくなるが、制御装置100がこの制御に介入して圧縮機311を停止させることで、消費エネルギを低減させることができる。
【0066】
圧縮機311を停止させた状態でも、空調装置400が運転されていれば室内ファン212は動作するので吸気Cの熱は室内熱交換器211に供給され続け、冷媒管310内の冷媒に熱を与え続ける。このため冷媒の温度は徐々に上昇し、吸熱の効率は落ちていく。ステップS21の判断は、実質的に、圧縮機311を停止させた時点、すなわち室温が冷房目標温度になった時点と比べて維持されているかを判断し、吸熱の効率が一定程度低下した場合にYesとするものである。「+0.5℃」の部分は、どの程度の吸熱効率の低下を許容するかに応じて定めればよい。
【0067】
また、吸熱の効率が低下したとしても、室内機200は依然として吸気Cより低い温度の排気Dを排出することが可能であり、直ちに圧縮機311を起動する必要はない。ここでは、ステップS22において、実際に排気Dの温度が冷房目標温度(+α)を超え、圧縮機311を動作させずに室温を冷房目標温度に保てる見込みがなくなった時点で、圧縮機311の停止を解除している。
このことで、圧縮機311を動作させる時間を最低限に抑え、空調装置400の消費エネルギを低減することができる。
【0068】
なお、+αの値について、図4の例では+0.5℃としているが、この値に限られない。αが大きいと、リレースイッチ109を切り換えた後で排気Dの温度が下がるまでに時間がかかって室温の変動が大きくなることが想定される一方、αが小さいと、圧縮機311を停止させる時間が短くなり省エネ効果が小さくなると考えられる。これらを考慮して適宜な値に定めればよい。マイナスの値とすることも妨げられない。
【0069】
また、多くの場合、ステップS21の判断とステップS22の判断とでは、ステップS21の方が先にYesとなる。しかし、一般に、排気の温度は熱交換器の温度に比べてゆらぎやすいので、ステップS21の判断も行い、これがYesとなった後で圧縮機311の停止を解除するようにすることで、より正確に解除タイミングを定め、より大きな省エネを実現することができる。とはいえ、ステップS21の判断を省略し、ステップS22のみ判断する構成も可能である。この場合、図4の処理を行うよりも早いタイミングで圧縮機311の停止を解除するケースは生じるが、消費エネルギの削減幅が若干小さくなるだけで、それ以上の不具合はない。
【0070】
また、ステップS20で圧縮機311を停止させたとしてもしばらくは室内熱交換器211に吸熱能力が残ることを考えると、冷房目標温度に達した時に圧縮機311を停止させたのでは、その後に残る冷却能力により、実際の室温が一時的に冷房目標温度よりも低くなってしまうことが考えられる。これは、ユーザのニーズに合わない温度低下であり、このためにエネルギを消費することは無駄であるとも考えられる。
【0071】
そうすると、ステップS18で、T1を実際の冷房目標温度よりも高い値と比較することで、室温をユーザの希望通りの温度としつつ、さらに消費エネルギを低減できると考えられる。冷房目標温度よりも何度高い値にすればよいかは室内機200の設置環境や室外温度等によっても異なるが、ステップS22がYesになる時点又はその少し前に、室温(T1)がちょうど冷房目標温度に達する程度の温度差とすることが好ましい。多くの環境では、0.5℃~2℃程度の温度差とすることでこれを実現できると見込まれる。
【0072】
次に、暖房モードの動作について説明する。この場合、制御装置100はまず、天井据付モードが設定されているか否か判断する(S32)。天井据付モードは、室内機200が部屋の天井に据え付けられている場合に、暖気は上側に溜まりやすいことを考慮し、室温が暖房目標温度に達しているか否かを適切に把握するために、ステップS36で吸気温度を暖房目標温度よりも高い温度と比較するモードである。すなわち、天井据付モードが設定されている場合には、そうでない場合よりも第3目標温度を高くしている。室内機200の据付位置は通常は固定であるので、天井据付モードの設定は、制御装置100を設置する際に設置者が行えばよく、その後変更する必要はない。
【0073】
そして、天井据付モードでない通常の暖房モードの場合は、所定の上限時間以内に、吸気温度センサ111からの検出信号T1が示す温度(すなわち室内機200が設置された室内の気温)が、図3の画面で設定した暖房目標温度(第3目標温度)以上になったか否か判定する(S33,S34)。天井据付モードである場合には、同様のT1が示す温度が暖房目標温度+3℃(第3目標温度)以上になったか否か判断する(S35,S36)。この+3℃の数字は一例であり、天井据付時の天井付近と室内の適宜な位置との温度差等に基づき、適宜な値を設定すればよい。
【0074】
また、ステップS33及びS35で用いる所定上限時間は、空調装置400がしばらく使用されていない状態から電源ONされた場合でも、ステップS14の所定時間も考慮して、室内気温が暖房目標温度に十分達すると考えられる程度の時間とする。例えば3分とすることが考えられるが、冷房モードの場合と同じ時間とすることは必須ではない。
いずれの場合も、上限時間内にステップS34又はS36でYesとならない場合、ステップS33又はS35でYesとなり、冷房モードの場合と同様に図4のステップS25以下のエラー処理に入る。
【0075】
一方、ステップS34又はS36でYesとなると、制御装置100はその時点の熱交換器温度センサ113からの検出信号T3が示す温度T3mを記憶する(S37)と共に、リレースイッチ109を端子b側に接続する(S38)。これは、冷房モード時のステップS19及びS20と同じ動作であり、このことにより制御部220が圧縮機311を停止させる(ことが期待される)。
【0076】
その後、制御装置100は、熱交換器温度センサ113からの検出信号T3が示す温度が、ステップS37で記憶したT3mより下がり(T3の温度が第2閾値≒0以上下降し)、その後で、排気温度センサ112からの検出信号T2が示す温度が暖房目標温度(第4目標温度)以下となるまで、第1制御信号(圧縮機停止信号)の出力を続ける(S39,S40)。この間、圧縮機311は停止したままとなる。
【0077】
ステップS40でYesとなると、制御装置100はリレースイッチ109を端子a側に接続する(S41)。このことにより、冷房モード時のステップ23の場合と同様、制御部220が空調装置400の本来の制御機能に従い圧縮機311の稼働と停止を制御する状態となる。
そして、この時点では室内機200は暖房目標温度以上の暖気を排出することができない状態となっているので、すぐに又は近々に、制御部220が圧縮機311を稼働させることが想定され、室内機200からの暖気の排出が再開されると期待される。
その後は、ステップS32に戻って処理を繰り返す。
【0078】
以上の一連の制御のうちステップS34、S36及びS38は、室内の気温が暖房目標温度まで上がった時点で、それ以上の加熱は必要なくなるため強制的に圧縮機311を停止させて消費エネルギの低減を図るためのものである。発明者らの調査では、制御部220が備える(空調装置400本来の)制御アルゴリズムでは、暖房の場合も何らかの理由により必ずしもこの時点で圧縮機311を停止させない機種が多く存在し、消費エネルギが大きくなるが、制御装置100がこの制御に介入して圧縮機311を停止させることで、消費エネルギを低減させることができる。
【0079】
圧縮機311を停止させた状態でも、空調装置400が運転されていれば室内ファン212は動作するので吸気Cに対して室内熱交換器211の熱が供給され続け、冷媒管310内の冷媒から熱を奪い続ける。このため冷媒の温度は徐々に下降し、加熱の効率は落ちていく。ステップS39の判断は、実質的に、圧縮機311を停止させた時点、すなわち室温が暖房目標温度になった時点と比べて維持されているかを判断し、加熱の効率が一定程度低下した場合にYesとするものである。どの程度の吸熱効率の低下を許容するかに応じて、T3mよりやや小さい値を比較対象としてもよい。
【0080】
また、加熱の効率が低下したとしても、室内機200は依然として吸気Cより高い温度の排気Dを排出することが可能であり、直ちに圧縮機311を起動する必要はない。ここでは、ステップS40において、実際に排気Dの温度が暖房目標温度以下となり、圧縮機311を動作させずに室温を暖房目標温度に保てる見込みがなくなった時点で、圧縮機311の停止を解除している。
このことで、圧縮機311を動作させる時間を最低限に抑え、空調装置400の消費エネルギを低減することができる。
【0081】
なお、ステップS40でのT2との比較対象は図5の例では暖房目標温度そのものとしているが、この値に限られない。例えば、暖房目標温度-βを比較対象として、βが大きいと、リレースイッチ109を切り換えた後で排気Dの温度が上がるまでに時間がかかって室温の変動が大きくなることが想定される一方、βが小さいと、圧縮機311を停止させる時間が短くなり省エネ効果が小さくなると考えられる。これらを考慮して適宜な値に定めればよい。βがマイナスの値となることも妨げられない。
【0082】
多くの場合、ステップS39の判断とステップS40の判断とでは、ステップS39の方が先にYesとなる。それにも関わらずステップS39の判断を設けている理由や、省略することも考えられる理由は、冷房モードで説明したステップS21の判断の場合と同様である。
【0083】
また、ステップS38で圧縮機311を停止させたとしてもしばらくは室内熱交換器211に放熱能力が残ることを考えると、暖房目標温度に達した時に圧縮機311を停止させたのでは、ユーザのニーズに合わない温度上昇が起こることは冷房の場合と同様である。
そうすると、暖房モードの場合も、ステップS34で、T1を実際の暖房目標温度よりも低い値と比較することで、室温をユーザの希望通りの温度としつつ、さらに消費エネルギを低減できると考えられる。どの程度の温度差とすればよいかについては冷房の場合と同様である。天井設置モードにおけるステップS36での比較対象は、通常モードのステップS34の値に対してさらに高い温度とすればよい。
【0084】
以上説明してきた制御装置100は、図4及び図5の処理を行うことで、空調装置400における制御部220による圧縮機311の制御に一時的に割り込む形で圧縮機311を実質的に強制停止させ、圧縮機311の稼働時間を、制御装置100が無い状態よりも減らすことで、空調装置400の消費エネルギを低減する。
【0085】
また、制御装置100の取付に当たっては、室内機200の3か所に温度センサを配置すると共に、温度センサ213から制御部220への信号線に割り込むように入出力I/F105を接続するのみでよく、空調装置400の他の部分を加工する必要はない。このため、制御装置100の取り付けは容易で、かつ、制御装置100の設置により空調装置400の不具合を生じる可能性は極めて低い。
【0086】
なお、空調装置400が本来備える圧縮機311の稼働制御のアルゴリズムによっては、制御装置100を設置しても省エネルギの効果が少ないか、得られない可能性もある。しかし、このような場合があり得ることは、制御装置100の有用性を損なうものでは全くない。試験を重ねることで、制御装置100による省エネルギ効果の大きい空調装置400を型番や年式により特定することは十分に可能であるので、該当の型番や年式の空調装置400に対してのみ制御装置100を設置すれば省エネルギの効果を得られるためである。
【0087】
〔第1実施形態の変形例:図6
次に、第1実施形態の変形例について説明する。この変形例は、制御装置100が、図4のステップS22でYesの場合に、ステップS23に代えて図6のステップS51乃至S53を実行するものである。
すなわち、圧縮機311を稼働させるべきタイミングとなった場合に、制御部220に本来の制御機能に従い圧縮機311を制御させることに代えて、制御部220に圧縮機311を定格運転する制御を行わせるための圧縮機稼働信号を送出する(S51)。この時点ではリレースイッチ109を端子b側に接続したままとし、入出力I/F105のTinx端子から圧縮機稼働信号を送出する。
【0088】
このことで、圧縮機311を稼働させるべきタイミングとなった場合に、速やかに圧縮機311を定格運転させ、室温が上がりすぎないうちに冷気の排出を開始することができる。
その後、圧縮機311の稼働により冷気が排出され室温が低下することが想定される。このとき、ステップS51の後で図4のステップS17に進み、ステップS18で室温が冷房目標温度以下になるまで、圧縮機311の定格運転を続けることも考えられる。
【0089】
しかし、この時点まで強制的に圧縮機311の定格運転を続けると、却って圧縮機311の稼働しすぎとなることも考えられる。そこで、ステップS52のように、吸気温度センサ111からの検出信号T1により示される室温が、冷房目標温度より若干(正の値Xだけ)高い温度に達した時点で、リレースイッチ109を端子a側に接続し(S53)、制御部220が本来の制御機能に従い圧縮機311を制御する状態に戻した上で、図4のステップS17に進むとよい。
【0090】
このようにすれば、次にステップS18でYesとなり、圧縮機311を停止させるまでの間でも、ある程度室温が下がった後は、制御部220の制御により必要に応じて圧縮機311を停止させることも可能となる。
暖房モードにおいても、ステップS40でYesの場合に同様に圧縮機稼働信号を送出するようにしてもよい。この場合、ステップS52と対応する判断は、「T1≧暖房目標温-X?」とすればよい。
【0091】
〔第2実施形態:図7乃至図9
次に、この発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態は、複数台の室内機により1台の室外機を共有するタイプの空調装置400に、圧縮機311を制御するための制御装置100を設置する例である。第2実施形態の説明において、第1実施形態と共通するまたは対応する部分には第1実施形態と同じ符号を用い、共通部分については適宜に説明を省略する。
【0092】
まず図7に、第2実施形態の制御装置100及び制御装置100による制御の対象である温度調整装置の一例である空調装置400の構成を模式的に示す。図7において、図を簡単にするため、冷媒回路410上の構成は、冷媒管310、圧縮機311、室外熱交換器313及び室内熱交換器211a~211cのみを示し、室外ファン321及び室内ファン212や電源関係及び壁500の図示も省略している。冷媒管310は、冷房動作時の接続を示しているが、図1の場合と同様に冷暖房を切替可能である。
【0093】
図7に示すように、第2実施形態における空調装置400は、3台の室内機200a~200cと1台の室外機300を備え、室外機300の室外熱交換器313及び各室内機200a~200cの室内熱交換器211a~211cを順次通過する冷媒回路410が構成されている。そして、圧縮機311から吐出され室外熱交換器313で放熱した冷媒は、減圧されて各室内熱交換器211a~211cへ流れ、各室内機200a~200cの吸気Cを冷却する。
【0094】
各室内機200a~200cは、それぞれ制御部220a~220cを備えるが、このうち室外機300の制御に関与するのは室内機200aの制御部220aのみである。このように室外機300の制御を行う室内機200aはしばしば親機と呼ばれ、他の室内機200b,200cは子機と呼ばれる。
【0095】
親機である室内機200aの制御部220aは、第1実施形態の室内機200の制御部220と同様、室内機200a側室外機300側含め、空調装置400の各部に備えたセンサからの検出信号に基づき、空調装置400の各部へ制御信号C1a~Cnaを送出して各部の動作を制御する。このうち2文字目の添え字が1から(i-1)までの信号が室外機300側の制御のための信号で、添え字がiからnまでの信号が室内機200a側の制御のための信号であるとする。3文字目の添え字aは、制御部220aからの出力信号であることを示す。室内機200aと室外機300の間には、この制御信号C1a~C(i-1)aを伝達するための不図示の信号線が配線されている。
また、空調装置400を操作するためのリモートコントローラ240は、親機の制御部220aに接続される。
【0096】
一方、子機の制御部220b、220cはそれぞれ、室内機200b、200c側の各部に備えたセンサからの検出信号に基づき、室内機200b、200cの各部へ制御信号Cib~Cnb、Cic~Cncを送出して各部の動作を制御する。C1b~C(i-1)b及びC1c~C(i-1)cの信号はない。添え字の意味は、制御部220aの場合と同様である。
【0097】
また、室内機200aは、第1実施形態の温度センサ213と対応する温度センサ213aを備え、空調装置400のみを設置する場合には、その検出信号Tinaが、制御部220aのTin端子に入力されるように配線を行う。しかし、この実施形態では、制御装置100を設置する際に、温度センサ213aの検出信号Tinaを制御装置100に入力し、制御装置100が出力する制御信号Tinxを制御部220aのTin端子に入力する配線となっている。この配線の意味は、第1実施形態の場合と同様である。
すなわち、第2実施形態の制御装置100は、親機の制御部220aに対して制御信号を供給するように設置する。これは、親機の制御部220aが圧縮機311の稼働と停止を制御することと対応する。
【0098】
なお、子機も温度センサ213と対応する温度センサ213b,213cを備え、その検出信号Tinb,Tincが、制御部220b,220cのTin端子にそれぞれ入力される。しかし、制御部220b,220cは圧縮機311の制御に関与しないので、これらの検出信号Tinb,Tincは、圧縮機311の動作に影響を与えない。
【0099】
一方、制御装置100に接続する温度センサとしては、まず、第1実施形態の温度センサ111~113と同様な吸気温度センサ111a、排気温度センサ112a、熱交換器温度センサ113aを親機である室内機200aに設置して検出信号T1a~T3aを入力する。これに加え、子機である室内機200b,200cにも、対応する位置に吸気温度センサ111b,111c、排気温度センサ112b,112c、熱交換器温度センサ113b,113cをそれぞれ設置して、検出信号T1b~T3b,T1c~T3cを制御装置100に入力する。
【0100】
これは、どの室内機200の温度に従って圧縮機311の稼働を制御するかを切り換えられるようにするためである。この切り換えが不要であれば、いずれか1台の室内機(例えば親機)にのみ温度センサを配置すれば足りる。
また、制御装置100には、赤外線や超音波等により、どの室内機の近傍に人がいるかを検知する人感センサ130も接続され、その検出信号H1が入力される。ただし、この人感センサ130は必須ではない。
【0101】
図8に、第2実施形態の制御装置100のハードウェア構成を示す。
図8に示すように、入出力I/F105には、図7に示した各種センサからの検出信号T1a~T3c、E1(図1参照)、H1、Tinaを入力し、また制御部220aへ制御信号Tinxを出力する機能を備える。
【0102】
また、入出力I/F105には、制御装置100が図4及び図5に示した処理を実行するに当たり、温度センサの検出信号として、T1a~T3a、T1b~T3b、T1a~T3cのいずれを用いるか、すなわち、どの室内機に設置した温度センサの検出温度を用いるかを選択するためのセレクタを備える。
その他のハードウェア構成は、第1実施形態で図2を用いて説明したものと同様である。
【0103】
次に、操作パネル120により受け付けるオペレータの操作について説明する。
図9は、操作パネル120に表示させる操作画面150の例を示す図である。
この操作画面150は、温度基準設定部190が追加されている点が図3の例と異なるのみである。
温度基準設定部190には、窓側ボタン191、中央ボタン192、壁側ボタン193、自動ボタン194を備え、これらの1つのみをオンできるようになっている。
【0104】
窓側ボタン191、中央ボタン192、壁側ボタン193は、制御装置100による圧縮機の稼働制御を、3台の室内機200a~200cのいずれに設置した温度センサの温度に基づき行うかを手動で選択するためのボタンである。
例えば、室内機200aが室内の窓側に、室内機200bが室内の中央に、室内機200cが室内の壁側に設置されている場合、日中は、壁側の方が冷房により室温が下がりやすく、室内機200cに設置した温度センサの方が、室内機200aに設置した温度センサよりも低い温度を出力する傾向にあると考えられる。
【0105】
そうすると、例えば図4の処理を、室内機200cに設置した温度センサの検出温度に基づき行った場合、窓側ではまだ室温が高いのに圧縮機311を停止させてしまったり、窓側では室温が上がっているのに圧縮機311の稼働を再開しなかったりすることが考えられる。
逆に、室内機200aに設置した温度センサの検出温度に基づき制御をすると、圧縮機311の稼働時間が長くなって省エネ効果が下がってしまうことも考えられる。
【0106】
どこを基準とすると省エネ効果と快適な室温を両立させられるかは、利用者の好みや部屋の構造等によって変わるため、この実施形態では、利用者が任意にこれを選択できるようにしたものである。
【0107】
また、自動ボタン194は、人感センサ130の検出信号に基づき、最も人が多い位置の室内機の温度センサの検出温度に基づき制御を行うことを設定するためのボタンである。この制御を用いることで、室内の多くの人にとって快適な空調を行いつつ、その範囲で可能な省エネをすることができる。
【0108】
第2実施形態の制御装置100は、このように、3台の室内機200a~200cのうち選択された1台に設置した温度センサの検出温度に基づき図4及び図5の処理を実行することにより、複数台の室内機200a~200cが1台の室外機300を共有するタイプの空調装置400においても、室温を設定温度に維持しつつ、圧縮機311の稼働時間を低減して省エネを図ることができる。
なお、特定の1台の室内機ではなく、全ての室内機、あるいは任意に選択した複数の室内機の温度センサの検出温度の平均値を用いて図4及び図5の処理を実行することも考えられる。このようにすれば、室内の平均的な状況に基づく制御を行うことができる。
【0109】
〔その他の変形例:図10
以上で実施形態の説明を終了するが、この発明において、装置やシステムの具体的な構成、具体的な処理の手順、パラメータの値、センサの配置、温度調整装置の用途や構成等は、実施形態で説明したものに限るものではない。
【0110】
例えば、上述した実施形態では空調装置400が冷房と暖房の両方を行う例について説明したが、一方のみであってもよい。この場合、制御装置100が冷房モードと暖房モードの両方の制御を行える必要はなく、制御対象の空調装置400と対応する一方のみを行う構成でよい。すなわち、図4のステップS15の判断は不要である。
【0111】
また、制御装置100における暖房モードと冷房モードの切り替えを自動で行うことも必須ではなく、手動で設定するようにしてもよい。この場合も、図4のステップS15の判断は不要である。
また、天井据付モードを設けることは必須ではない。暖房モードにおいて、図5のステップS34とS36のようにT1と比較する温度を、1つのみとしてもよい。この場合、ステップS34とS36の中間の温度を採用することが考えられるが、これに限られない。
【0112】
また、図4のステップS21や図5のステップS39の処理を行わない場合、熱交換器温度センサ113を設置する必要は無い。
図4図5に示した判断基準の温度等の数字は一例に過ぎず、説明で用いた値には限定されない。
【0113】
また、上述した実施形態では、操作パネル120による制御装置100における冷暖房の目標温度の設定を、リモートコロンとローラ240による空調装置400側の冷暖房の設定温度の設定と独立に行う例について説明した。しかし、制御装置100がリモートコロンとローラ240の設定温度信号を検知して、制御装置100側の目標温度を、設定温度信号が示す設定温度(空調装置400側の設定温度)に自動追尾させることも考えらえる。これにより空調装置400側と制御装置100側とで大きく離れた設定温度が設定されることがなくなり、設定温度の違いにより制御装置100の制御が適切に機能しなくなる事態を防止できる。
【0114】
この場合、例えば図10に示すように、操作画面150において冷房温度設定部160及び暖房温度設定部170にそれぞれ自動ボタン163,173を追加し、これらのボタンで目標温度の自動追尾のオンオフを冷房暖房についてそれぞれトグルで切り換えられるようにするとよい。
【0115】
また、上述した実施形態では制御装置100を空調装置400に後付けする装置として構成する例について説明したが、制御装置100と同様な制御を行う制御部が、空調装置400に初めから内蔵されていてもよい。これは、例えば制御部220が、図4及び図5を用いて説明したものと同じアルゴリズムで圧縮機311の稼働と停止を制御することに該当する。図4及び図5における圧縮機停止信号送出を、圧縮機311の強制停止、リレースイッチ109の端子a側への接続を、温度センサ213の検出温度に基づく圧縮機311の稼働/停止の切り換え実行、と考えればよい。
【0116】
また、上述した実施形態では、制御装置100が図4及び図5の処理で参照する温度センサを、室内機200が標準で備える温度センサと別に設ける例について説明した。しかし、例えば温度センサ213と吸気温度センサ111は、配置位置も測定対象も同じである。従って、制御装置100が温度センサ213を制御可能であり、また検出信号と検出温度との対応関係を適切に把握できるのであれば、制御装置100が、室内機200が標準で備える温度センサ213の検出信号を参照して図4及び図5の処理を行うようにすることも考えられる。室内機200に他にも利用可能なセンサがある場合には同様に代替して差し支えない。
【0117】
また、上述した実施形態では制御装置100による制御対象が空調装置である例について説明したが、この発明はこれに限られない。空調装置以外にも、冷蔵庫、冷凍庫、保温装置、加熱装置等、圧縮機と熱交換器とを用いて気体の冷却又は加熱を行う温度調整装置における圧縮機の稼働制御を、同様な制御装置100により行うことも可能である。もちろん、温度調整装置は、冷却と加熱の一方のみ行う装置であってもよい。この場合において、温度調整対象の気体が部屋のような閉鎖空間にある必要はない。解放型の冷蔵庫等も当然に制御対象となる。
【0118】
また、この発明のプログラムの実施形態は、コンピュータに所要のハードウェアを制御させて上述した実施形態における制御装置100の機能を実現させるためのプログラムである。
このようなプログラムは、はじめからコンピュータに備えるROMや他の不揮発性記憶媒体(フラッシュメモリ,EEPROM等)などに格納しておいてもよい。しかし、メモリカード、CD、DVD、ブルーレイディスク等の任意の不揮発性記録媒体に記録して提供することもできる。それらの記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータにインストールして実行させることにより、上述した各機能を実現させることができる。
【0119】
さらに、ネットワークに接続され、プログラムを記録した記録媒体を備える外部装置あるいはプログラムを記憶手段に記憶した外部装置からダウンロードし、コンピュータにインストールして実行させることも可能である。
また、以上説明してきた各実施形態及び変形例の構成は、相互に矛盾しない限り任意に組み合わせて実施可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0120】
100:制御装置、109:リレースイッチ、111,111a~111c:吸気温度センサ、112,112a~112c:排気温度センサ、113,113a~113c:熱交換器温度センサ、114:電流センサ、120:操作パネル、130:人感センサ、150:操作画面、160:冷房温度設定部、170:暖房温度設定部、161,171:入力欄、200,200a~200c:室内機、211,211a~211c:室内熱交換器、212:室内ファン、213:温度センサ、214:吸気口、215:排気口、220:制御部、222:信号線、230:電源回路、231:直流電源端子、240:リモートコントローラ、241:電源線、300:室外機、310:冷媒管、311:圧縮機、312:四方弁、313:室外熱交換器、314:膨張弁、316:換気口、321:室外ファン、400:空調装置、410:冷媒回路、500:壁、510:交流電源、A,C:吸気、B,D:排気、C1~Cn:制御信号、E1:電源回路の稼働状態を示す検出信号、H1:人感センサの検出信号、T1~T3,Tin:温度センサの検出信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2024-01-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、熱交換器、吸気部、排気部、温度センサ及び制御部を備え、前記吸気部から吸入した気体に対して前記熱交換機で熱交換を行って前記排気部から排出し、前記温度センサから供給される信号に基づき前記制御部が前記圧縮機の動作を制御する温度調整装置を制御する制御装置であって、
前記吸気部に配置され吸入される前記気体の温度を検出する吸気温度センサと
前記温度調整装置の稼働有無を検出する稼働検出部と、
前記温度調整装置の稼働開始から所定時間以上経過した後で、前記吸気温度センサの検出温度が所定の第1目標温度以下になった場合に、前記制御部に前記圧縮機を停止又は低速運転させる制御を行わせるための第1制御信号を前記制御部へ出力することが可能な制御信号出力部とを備えることを特徴とする制御装置。