(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017478
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】移動体通行管理システム、及び移動体通行管理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240201BHJP
G05D 1/43 20240101ALI20240201BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
G06Q50/10
G05D1/02 P
G08G1/00 D
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022120136
(22)【出願日】2022-07-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】521453057
【氏名又は名称】株式会社Octa Robotics
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鍋嶌 厚太
【テーマコード(参考)】
5H181
5H301
5L049
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181AA20
5H181AA27
5H181BB04
5H181FF13
5H301AA01
5H301BB14
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301GG07
5H301KK04
5H301KK07
5H301KK18
5H301KK19
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】自律して移動する移動体の通行を効率的に管理すること。
【解決手段】自律して移動する1又は複数の移動体の通行を管理する移動体通行管理システムであって、前記移動体の通行の可否に関与する1又は複数の設備と、前記設備と接続し、外部との通信を行う設備側通信装置と、前記移動体と前記設備側通信装置との通信を仲介する仲介サーバと、を備え、前記仲介サーバは、前記移動体と前記設備側通信装置との通信を全て仲介し、前記仲介サーバは、前記移動体と前記設備側通信装置との通信の可否を制御し、前記設備側通信装置は、通信が許可された前記移動体について、通行の可否を制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律して移動する1又は複数の移動体の通行を管理する移動体通行管理システムであって、
前記移動体の通行の可否に関与する1又は複数の設備と、
前記設備と接続し、外部との通信を行う設備側通信装置と、
前記移動体と前記設備側通信装置との通信を仲介する仲介サーバと、を備え、
前記仲介サーバは、前記移動体と前記設備側通信装置との通信を全て仲介し、
前記仲介サーバは、前記移動体と前記設備側通信装置との通信の可否を制御し、
前記設備側通信装置は、通信が許可された前記移動体について、通行の可否を制御する
ことを特徴とする移動体通行管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の移動体通行管理システムであって、
前記移動体及び前記設備に対するアカウントの発行及び認証を行う認証サーバをさらに備え、
前記仲介サーバは、前記認証サーバを用いて前記通信の可否を制御することを特徴とする移動体通行管理システム。
【請求項3】
請求項1に記載の移動体通行管理システムであって、
前記仲介サーバが仲介する通信を監視して蓄積する監視サーバをさらに備えたことを特徴とする移動体通行管理システム。
【請求項4】
請求項3に記載の移動体通行管理システムであって、
前記監視サーバは、前記移動体と前記設備側通信装置との通信の一部を選択的に監視することを特徴とする移動体通行管理システム。
【請求項5】
請求項1に記載の移動体通行管理システムであって、
前記仲介サーバは、前記移動体と前記設備側通信装置とが送受信するメッセージが暗号化されている場合に、送信元から受信したメッセージを復号し、復号したメッセージを再び暗号化して送信先に送信することを特徴とする移動体通行管理システム。
【請求項6】
請求項1に記載の移動体通行管理システムであって、
前記設備に、エレベーター及び/又はゲートを含むことを特徴とする移動体通行管理システム。
【請求項7】
請求項1に記載の移動体通行管理システムであって、
前記移動体は、複数の建物の内部と、前記複数の建物の間を移動可能であり、
前記設備は、前記複数の建物にそれぞれ設けられ、
前記仲介サーバは、前記複数の建物の設備側通信装置と前記移動体との通信を統合管理することを特徴とする移動体通行管理システム。
【請求項8】
請求項1に記載の移動体通行管理システムであって、
前記仲介サーバは、メッセージを送受信するチャンネルの使用可否を制御することで、前記移動体の通行に関する通信を制御することを特徴とする移動体通行管理システム。
【請求項9】
自律して移動する1又は複数の移動体の通行を管理する移動体通行管理方法であって、
仲介サーバが、前記移動体と、前記移動体の通行の可否に関与する設備に接続した設備側通信装置との通信の可否を制御するステップと、
前記設備側通信装置が、通信が許可された前記移動体について、通行の可否を制御するステップと、
を含み、
前記仲介サーバは、前記移動体と前記設備側通信装置との通信を全て仲介する
ことを特徴とする移動体通行管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体通行管理システム、及び移動体通行管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自律走行する移動体が工場や物流倉庫などで利用されている。一例として、規定の走行経路を走行し、部品の運搬や荷役作業用を行う無人搬送車がある。自律走行する移動体の制御に関し、特許文献1が開示されている。この公報には、「予め設定された走行経路に応じて配置された平板標識と、前記走行経路に沿って自律走行する移動体と、を有する移動体システムであって、前記移動体に設けられ、所定の探索範囲に検出用光を走査することにより、前記移動体と前記探索範囲内に存在する物体までの距離及び方向を検出する距離方向検出装置と、前記距離方向検出装置の検出結果に基づいて前記移動体の進行方向を決定する進行方向決定手段と、を有し、前記平板標識は、鏡面と、入射光を拡散反射する割合が当該鏡面よりも高い拡散反射面と、を含む、移動体システム」との記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の従来技術のように、無人の工場等を想定した移動体の走行制御はすでに利用されている。このように限定された環境下では、多数の移動体の運行を一括して統合管理することができる。
しかし近年、労働人口の減少などを背景に、より汎用性の高い移動体の運用が求められている。例えば、運搬ロボット、掃除ロボット、警備ロボットなどを、人のいる商業施設の建物内で動作させる、といった運用である。
【0005】
このような運用を実現するためには、エレベーター、自動ドア、セキュリティゲート、フラッパーゲートなどの建物内の設備を移動体が適正に通行可能とする必要がある。ところが、多数の設備に対する多数の移動体のアクセス管理を個別に行うのは煩雑であり、不正への対処も困難となる。また、移動体が、複数の建物の間を移動して作業を行なうことも想定すると、建物や設備が移動体ごとに通行可否を設定するニーズがあるが、個別の通行可否を一元管理する管理者を別途設けるとすると、管理者の負担が膨大となる。
【0006】
そこで、本発明では、自律して移動する移動体の通行を効率的に管理することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、代表的な本発明の移動体通行管理システムの一つは、自律して移動する1又は複数の移動体の通行を管理する移動体通行管理システムであって、前記移動体の通行の可否に関与する1又は複数の設備と、前記設備と接続し、外部との通信を行う設備側通信装置と、前記移動体と前記設備側通信装置との通信を仲介する仲介サーバと、を備え、前記仲介サーバは、前記移動体と前記設備側通信装置との通信を全て仲介し、前記仲介サーバは、前記移動体と前記設備側通信装置との通信の可否を制御し、前記設備側通信装置は、通信が許可された前記移動体について、通行の可否を制御することを特徴とする。
また、代表的な本発明の移動体通行管理方法の一つは、自律して移動する1又は複数の移動体の通行を管理する移動体通行管理方法であって、仲介サーバが、前記移動体と、前記移動体の通行の可否に関与する設備に接続した設備側通信装置との通信の可否を制御するステップと、前記設備側通信装置が、通信が許可された前記移動体について、通行の可否を制御するステップと、を含み、前記仲介サーバは、前記移動体と前記設備側通信装置との通信を全て仲介することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、自律して移動する移動体の通行を効率的に管理できる。上記した以外の課題、構成及び効果は以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図6】チャンネル登録処理部の処理を説明するフローチャート
【
図7】メッセージ転送処理部の処理を説明するフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施例を図面を用いて説明する。
【実施例0011】
図1は、移動体通行管理システムの説明図である。
図1に示す移動体通行管理システムは、1又は複数のロボット30の通行を管理する。ロボット30は、自律して移動する移動体であり、運搬ロボット、掃除ロボット、警備ロボットなどである。ロボット30は、複数の建物(B1,B2など)の内部を移動し、与えられたタスクを実行する。また、ロボット30は、建物の間を移動することも可能である。
【0012】
建物B1,B2などには、それぞれゲートやエレベーターなどの設備が設けられている。エレベーターは、フロア間の移動(上下階への移動)に関与する。ゲートは、自動ドア、セキュリティゲート、フラッパーゲートなどを含み、同一フロア内での移動に関与する。これらの設備は、人による利用を想定して設置されたものであるが、本実施例のロボット30は、これらの設備を利用してフロア内及びフロア間を通行する。
【0013】
詳細については後述するが、これらの設備には、外部との通信を行う設備側通信装置が接続されている。
移動体であるロボット30は、仲介サーバ10を介して設備側通信装置と通信する。例えば、ロボット30は、自動ドアの設備側通信装置と通信してドアを開ける。また、ロボット30は、エレベーターの設備側通信装置と通信して乗カゴを呼ぶ。
【0014】
仲介サーバ10は、ロボット30と設備側通信装置との通信を全て仲介する。また、仲介サーバ10は、ロボット30と設備側通信装置との通信の可否を制御する。通信の可否の制御は、認証サーバ40を利用して行う。
【0015】
認証サーバ40は、ロボット30や設備等に対するアカウントの発行と認証を行う。また、認証サーバ40は、各アカウントについて使用を許可するチャンネルを管理している。このアカウントとチャンネルに関するデータは、移動体通行管理システムにおける通信を管理する通信権限管理データ41である。
【0016】
さらに、移動体通行管理システムは、監視サーバ50を含む。監視サーバ50は、ロボット30や設備と同様にアカウントの発行を受けており、許可されたチャンネルで送受信されているメッセージを取得し、全体ログデータ51に蓄積する。
【0017】
設備側通信装置は、通信が許可されたロボット30と通信し、通行の可否を制御する。具体的には、設備側通信装置は、ロボット30のアカウントについて通行可否を対応付けた通行権限管理データ80を参照することで、ロボット30の通行を許可するか否かを決定する。例えば、自動ドアの設備側通信装置は、ロボット30の通行を許可する場合にドアを開く。
【0018】
このように、仲介サーバ10が全ての通信を仲介する構成であるため、建物の設備に対する不特定のロボット30からアクセスを防ぎ、建物のセキュリティを向上することができる。また、建物の設備になりすまし、ロボット30に正規の設備と通信したと誤認させる不正を防ぐことができる。また、通信の履歴を残しているため、事後の分析が可能であり、履歴の改ざんを防ぐことができる。また、通信の権限の管理と通行の権限の管理を分離しているため、柔軟な運用を効率よく実現できる。
【0019】
図2は、移動体通行管理システムのシステム構成図であり、
図3は、移動体通行管理システムの構成要素の説明図である。
図2に示すように、移動体通行管理システムは、仲介サーバ10、建物設備21、通信装置22、ロボット30、認証サーバ40、監視サーバ50、建物リソース管理サーバ60、ロボット運行管理サーバ70を有する。
【0020】
建物設備21は、建物の中に設置されている。建物設備21は、例えば、エレベーター、自動ドア、セキュリティゲート、フラッパーゲートなどである。また、センサー、カメラ等の電気制御されているものを含めることもできる。
【0021】
通信装置22は、設備側通信装置であり、建物の中に設置する。通信装置22は、建物設備21に内蔵または近接していても良いし、離れていても良い。通信装置22は、無線、または有線で建物設備21に接続する。また、通信装置22は、仲介サーバ10を介して外部の装置(例えばロボット30)と通信する。
建物リソース管理サーバ60は、どこに設置してもよい。建物リソース管理サーバ60は、建物のリソース(管理しなければならない、有限のもの)を管理するサーバである。
【0022】
通信装置22及び建物リソース管理サーバ60は、それぞれ設備アカウントと詳細ログを有する。設備アカウントは、認証サーバ40により発行されたアカウントであり、仲介サーバ10を介して他の装置と通信する際に使用する。詳細ログは、自装置の動作の履歴を示す。この詳細ログを参照することで、通信装置22や建物リソース管理サーバ60がどのように動作をしたかを後から解析することができる。
【0023】
また、通信装置22及び建物リソース管理サーバ60は、通行権限管理データ80を参照することができる。通行権限管理データ80の参照には、仲介サーバ10は介在しなくてよい。通行権限管理データ80は、具体的には、Allow ListやDeny Listである。
【0024】
ロボット運行管理サーバ70は、どこに設置してもよい。ロボット運行管理サーバ70は、1台または複数台のロボット30の運行を管理するサーバである。一つの建物で、複数のロボット運行管理サーバ70が並行して動作していてもよい。
ロボット30は、建物の中に所在する。ロボット30は、建物内を移動し、タスクを行う物理的実体である。
【0025】
ロボット運行管理サーバ70及びロボット30は、それぞれロボットアカウントと詳細ログを有する。ロボットアカウントは、認証サーバ40により発行されたアカウントであり、仲介サーバ10を介して他の装置と通信する際に使用する。詳細ログは、自装置の動作の履歴を示す。この詳細ログを参照することで、ロボット運行管理サーバ70及びロボット30がどのように動作をしたかを後から解析することができる。
【0026】
仲介サーバ10は、インターネット上に存在し、ロボット30と建物設備21の間の通信を仲介するサーバである。
【0027】
監視サーバ50は、どこに設置してもよい。監視サーバ50は、監視サーバ50は認証サーバ40により発行されたアカウントを持ち、仲介サーバ10が仲介する通信を傍受して、イベントやエラーの記録を全体ログデータ51に蓄積する。監視サーバ50が傍受する通信は、自身のアカウントに許可されたチャンネルの通信に限られる。このため、監視サーバ50が全体ログデータ51に残すイベントやエラーは、ロボット30や通信装置22などの詳細ログの一部となる。換言するならば、監視サーバ50は、仲介サーバ10が仲介する通信のうち、全体ログデータ51に残すべき通信のチャンネルについて傍受が許可されたアカウントを持つ。
【0028】
認証サーバ40は、どこに設置してもよい。認証サーバ40は、通信権限管理データ41を参照し、仲介サーバ10への接続を試みる設備アカウントや建物アカウントの認証を行う。アカウントの発行、失効をシステム管理者が行うため、特定のアカウントに問題が起こったときの処置が可能である。通信権限管理データ41には、発行したアカウントデータが登録されている。
【0029】
図4は、仲介サーバ10の構成図である。
図4に示すように、仲介サーバ10は、CPU(Central Processing Unit)11、メモリ12、通信部13及び記憶部14を備える。
【0030】
記憶部14は、プログラムや各種データを記憶する補助記憶装置である。
通信部13は、通信装置22、ロボット30、認証サーバ40及び監視サーバ50と通信する際に使用する通信インタフェースである。
【0031】
CPU11は、記憶部14から読み出したプログラムを主記憶装置であるメモリ12に展開し、順次実行することで、接続処理部11a、チャンネル登録処理部11b、メッセージ転送処理部11c及び暗号処理部11dの機能を実現する。
【0032】
接続処理部11aは、通信装置22、ロボット30、認証サーバ40及び監視サーバ50の通信接続に関する処理を行う。
チャンネル登録処理部11bは、通信が確立した後、チャンネル登録に関する処理を行う。
メッセージ転送処理部11cは、チャンネル登録した後、メッセージを転送する処理を行う。
【0033】
暗号処理部11dは、通信装置22、ロボット30、認証サーバ40及び監視サーバ50が送受信するメッセージが暗号化されている場合に、送信元から受信したメッセージを復号し、復号したメッセージを再び暗号化して送信先に送信する。
【0034】
例えば、ロボット30が通信装置22に対して暗号化したメッセージを送信し、その通信チャンネルを監視サーバ50が監視している場合、暗号処理部11は、メッセージを一旦復号する。このため、監視サーバ50は、平文のメッセージを傍受し、ログとして蓄積することができる。その後、暗号処理部11は、復号したメッセージを再び暗号化して通信装置22に送信する。
【0035】
変形例として、暗号処理部11は、暗号化されたメッセージを受信した場合に、そのまま宛先に転送するとともに、そのメッセージを複製して復号し、監視サーバ50に渡してもよい。
【0036】
図5は、接続処理部11aの処理を説明するフローチャートである。接続処理部11aは、接続要求を受け付けたならば、認証サーバ40に問い合わせを行う(ステップS101)。問い合わせの結果、要求元のアカウントが登録済みであれば(ステップS102;Yes)、接続処理部11aは、接続を確立して処理を終了する。一方、要求元のアカウントが登録済みでなければ(ステップS102;No)、接続処理部11aは、接続を拒否して処理を終了する。
【0037】
図6は、チャンネル登録処理部11bの処理を説明するフローチャートである。チャンネル登録処理部11bは、接続を確立したアカウントからチャンネル登録要求を受け付けたならば、認証サーバ40に問い合わせを行う(ステップS201)。問い合わせの結果、要求元のアカウントに登録が許可されたチャンネルであれば(ステップS202;Yes)、チャンネル登録処理部11bは、チャンネルを登録して処理を終了する。一方、要求元のアカウントに登録が許可されたチャンネルでなければ(ステップS202;No)、チャンネル登録処理部11bは、接続を切断して処理を終了する。
【0038】
図7は、メッセージ転送処理部11cの処理を説明するフローチャートである。メッセージ転送処理部11cは、チャンネルと内容を含むメッセージを受信したならば、認証サーバ40に問い合わせを行う(ステップS301)。問い合わせの結果、投稿が許可されたチャンネルであれば(ステップS302;Yes)、メッセージ転送処理部11cは、チャンネル登録先にメッセージを転送して処理を終了する。一方、投稿が許可されたチャンネルでなければ(ステップS302;No)、メッセージ転送処理部11cは、接続を切断して処理を終了する。
【0039】
図8は、ロボット30の構成図である。
図8に示すように、ロボット30は、CPU31、メモリ32、通信部33、記憶部34及び駆動部35を備える。
【0040】
駆動部35は、ロボット30を駆動するユニットであり、車輪やモータなどを含む。
記憶部34は、プログラムや各種データを記憶する補助記憶装置である。ロボットアカウントや詳細ログは、この記憶部34が記憶する。
通信部33は、仲介サーバ10と通信する際に使用する通信インタフェースである。
【0041】
CPU31は、記憶部34から読み出したプログラムを主記憶装置であるメモリ32に展開し、順次実行することで、アカウント取得部31a、チャンネル登録要求部31b、メッセージ送受信部31c、暗号処理部31d及び走行制御部31eの機能を実現する。
【0042】
アカウント取得部31aは、新規にアカウントを取得する処理を行う。具体的には、認証サーバ40からロボットアカウントの発行を受け、発行されたロボットアカウントを記憶部34に格納する。アカウントの取得は、ロボット30をシステムに導入する際に初期設定として行えばよい。
【0043】
チャンネル登録要求部31bは、設備との通信が必要となった場合に、ロボットアカウントを含む接続要求及びチャンネル登録要求を行って、設備との通信が可能な状態をつくる。
【0044】
メッセージ送受信部31cは、設備とメッセージの送受信を行う処理部である。送受信するメッセージは、設備の通行に関するものである。例えば、ロボット30がエレベーターを利用する場合、「乗カゴの呼び」、「行先の指定」、「乗カゴの現在位置」、「乗カゴの開閉状態」、「ロボット30の状態」、「利用終了方向」等が送受信される。
【0045】
暗号処理部31dは、送信するメッセージの暗号化と、受信したメッセージの復号を行う処理部である。
走行制御部31eは、送受信したメッセージに基づいて、駆動部35を制御し、ロボット30を走行させる。
この他、ロボット30は、各種センサーや、タスク実行のための機構と処理部を備えるが、ここでは説明を省略する。
【0046】
上述してきたように、開示の移動体通行管理システムは、自律して移動する1又は複数の移動体の通行を管理する移動体通行管理システムであって、前記移動体であるロボット30の通行の可否に関与する1又は複数の設備としての建物設備21と、前記設備と接続し、外部との通信を行う設備側通信装置としての通信装置22と、前記移動体と前記設備側通信装置との通信を仲介する仲介サーバ10と、を備え、前記仲介サーバ10は、前記移動体と前記設備側通信装置との通信を全て仲介し、前記仲介サーバ10は、前記移動体と前記設備側通信装置との通信の可否を制御し、前記設備側通信装置は、通信が許可された前記移動体について、通行の可否を制御することを特徴とする。
このため、移動体通行管理システムは、自律して移動する移動体の通行を効率的に管理できる。
具体的には、仲介サーバ10が全ての通信を仲介するため、効率的に不正を抑止できる。また、通信の許可と通行の許可を分離して管理しているため、通行の許可を柔軟に設定できる。例えば、建物の管理者が複数存在したり、管理者の異なるエレベーターを含む場合にも、移動体の通行を円滑に管理可能である。
【0047】
また、移動体通行管理システムは、前記移動体及び前記設備に対するアカウントの発行及び認証を行う認証サーバ40をさらに備え、前記仲介サーバ10は、前記認証サーバ40を用いて前記通信の可否を制御する。
このように、認証サーバ40を設けることで通行の管理が容易となり、移動体が複数の建物の間を移動する場合にも、単一のアカウントで運用が可能である。また、アカウントは、通行管理にも利用することができる。
【0048】
また、移動体通行管理システムは、前記仲介サーバ10が仲介する通信を監視して蓄積する監視サーバ50をさらに備える。
そして、前記監視サーバ50は、前記移動体と前記設備側通信装置との通信の一部を選択的に監視する。
このように、仲介サーバ10が全ての通信を仲介し、その通信を監視することで、例えば移動体が複数の建物間を渡り歩いてもログが分散せず、不正等の監視を効率的に行うことができる。
また、イベントやエラーなどを監視サーバ50が選択的に蓄積することで、問題が発生した後の分析を効率化できる。また、監視サーバ50が蓄積した全体ログと、各装置の詳細ログと照らし合わせることで問題の詳細な分析が可能である。いわば、全体ログと詳細ログは異なる役割を分担している。
【0049】
また、前記仲介サーバ10は、前記移動体と前記設備側通信装置とが送受信するメッセージが暗号化されている場合に、送信元から受信したメッセージを復号し、復号したメッセージを再び暗号化して送信先に送信する。
このため、仲介サーバ10は、暗号化された通信についてもその内容を把握し、確認することができる。具体的には、復号した平文のメッセージを全体ログに残すことが可能である。
【0050】
また、前記設備には、エレベーター及び/又はゲートを含む。
このように、移動体は、人と同じ手段を利用してフロア間の移動やフロア内の移動を行うことができる。
【0051】
また、前記移動体は、複数の建物の内部と、前記複数の建物の間を移動可能であり、前記設備は、前記複数の建物にそれぞれ設けられ、前記仲介サーバ10は、前記複数の建物の設備側通信装置と前記移動体との通信を統合管理する。
このため、移動体が複数の建物の間を移動する場合にも、通信と通行を効率的に管理できる。
【0052】
また、前記仲介サーバ10は、メッセージを送受信するチャンネルの使用可否を制御することで、前記移動体の通行に関する通信を制御する。
このため、通信の管理を簡易に実現できる。例えば、監視サーバ50が、イベントに関連するメッセージ用のチャンネルと、エラーに関連するメッセージ用のチャンネルに登録することで、必要なメッセージをそのまま傍受することができる。
【0053】
なお、本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、かかる構成の削除に限らず、構成の置き換えや追加も可能である。
例えば、上記の実施例では、建物内で作業を行なうロボットを例示したが、本発明は、屋外を移動する移動体にも適用可能である。また、移動の態様も、走行に限らず、飛行、航行などであってよい。
10:仲介サーバ、11:CPU、11:暗号処理部、11a:接続処理部、11b:チャンネル登録処理部、11c:メッセージ転送処理部、11d:暗号処理部、12:メモリ、13:通信部、14:記憶部、21:建物設備、22:通信装置、30:ロボット、31:CPU、31a:アカウント取得部、31b:チャンネル登録要求部、31c:メッセージ送受信部、31d:暗号処理部、31e:走行制御部、32:メモリ、33:通信部、34:記憶部、35:駆動部、40:認証サーバ、41:通信権限管理データ、50:監視サーバ、51:全体ログデータ、60:建物リソース管理サーバ、70:ロボット運行管理サーバ、80:通行権限管理データ、B1,B2:建物