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特開2024-174787感光性組成物、膜、光学フィルタ、固体撮像素子、画像表示装置、及び赤外線センサ
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  • 特開-感光性組成物、膜、光学フィルタ、固体撮像素子、画像表示装置、及び赤外線センサ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174787
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】感光性組成物、膜、光学フィルタ、固体撮像素子、画像表示装置、及び赤外線センサ
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/004 20060101AFI20241210BHJP
   G03F 7/033 20060101ALI20241210BHJP
   G03F 7/031 20060101ALI20241210BHJP
   G03F 7/075 20060101ALI20241210BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20241210BHJP
   G02B 5/22 20060101ALI20241210BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20241210BHJP
   H10K 59/38 20230101ALI20241210BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20241210BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20241210BHJP
   H01L 27/144 20060101ALI20241210BHJP
   G01J 1/02 20060101ALI20241210BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20241210BHJP
【FI】
G03F7/004 501
G03F7/033
G03F7/004 505
G03F7/031
G03F7/075 521
G02B5/20 101
G02B5/22
H10K59/10
H10K59/38
G09F9/30 349A
H01L27/146 D
H01L27/144 K
G01J1/02 H
H10K50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023150418
(22)【出願日】2023-09-15
(31)【優先権主張番号】P 2023092520
(32)【優先日】2023-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】artience株式会社
(72)【発明者】
【氏名】近藤 慶一
(72)【発明者】
【氏名】吉田 寛之
【テーマコード(参考)】
2G065
2H148
2H225
3K107
4M118
5C094
【Fターム(参考)】
2G065AA11
2G065AB02
2G065AB04
2G065BA14
2G065BA34
2G065BB09
2G065BB26
2G065DA18
2H148BE03
2H148BE09
2H148BE10
2H148BE13
2H148BE22
2H148BE24
2H148BE26
2H148BE36
2H148BG02
2H148BG06
2H148BG11
2H148BG14
2H148BH13
2H148BH17
2H148CA04
2H148CA12
2H148CA14
2H148CA17
2H148CA19
2H148CA20
2H148CA24
2H225AC23
2H225AC31
2H225AC33
2H225AC35
2H225AC36
2H225AC38
2H225AC43
2H225AC44
2H225AC46
2H225AC47
2H225AC63
2H225AC72
2H225AD06
2H225AE08P
2H225AE12P
2H225AE13P
2H225AE24P
2H225AM22P
2H225AM23P
2H225AM25P
2H225AM66P
2H225AM86P
2H225AM92P
2H225AM95P
2H225AM96P
2H225AN02P
2H225AN11P
2H225AN13P
2H225AN23P
2H225AN33P
2H225AN34P
2H225AN36P
2H225AN37P
2H225AN39P
2H225AN42P
2H225AN43P
2H225AN56P
2H225AN57P
2H225AN58P
2H225AN59P
2H225AN62P
2H225AN66P
2H225AN67P
2H225AN72P
2H225AN80P
2H225AN92P
2H225AN94P
2H225AN95P
2H225AN96P
2H225AN97P
2H225AN98P
2H225BA02P
2H225BA05P
2H225BA10P
2H225BA12P
2H225BA13P
2H225BA16P
2H225BA17P
2H225BA22P
2H225BA33P
2H225BA35P
2H225CA17
2H225CB05
2H225CC01
2H225CC15
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC07
3K107EE23
4M118AA10
4M118AB01
4M118BA10
4M118BA14
4M118CA02
4M118GA10
4M118GB03
4M118GB07
4M118GC08
4M118GC11
4M118GC20
4M118GD04
4M118HA25
5C094AA37
5C094BA27
5C094ED03
5C094FB01
5C094JA01
(57)【要約】
【課題】本発明は、保存安定性に優れ、低温加熱後に優れた耐性を有する膜が形成可能な感光性組成物の提供を目的とする。
【解決手段】上記課題は、顔料(A)、アルカリ可溶性樹脂(B)、重合性化合物(C)、重合開始剤(D)、及び有機溶剤(E)を含む感光性組成物であって、前記アルカリ可溶性樹脂(B)が、熱架橋性基含有単量体単位(b1)を有するアルカリ可溶性樹脂(B1)を含み、前記重合開始剤(D)が、ビスオキシムエステル重合開始剤(D1)を含み、前記有機溶剤(E)100質量%中、ハンセン溶解度パラメータの水素結合項が10MPa1/2以上である有機溶剤(E1)を0.1~20質量%含む、感光性組成物によって解決できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔料(A)、アルカリ可溶性樹脂(B)、重合性化合物(C)、重合開始剤(D)、及び有機溶剤(E)を含む感光性組成物であって、
前記アルカリ可溶性樹脂(B)が、熱架橋性基含有単量体単位(b1)を有するアルカリ可溶性樹脂(B1)を含み、
前記重合開始剤(D)が、ビスオキシムエステル重合開始剤(D1)を含み、
前記有機溶剤(E)100質量%中、ハンセン溶解度パラメータの水素結合項が10MPa1/2以上である有機溶剤(E1)を0.1~20質量%含む、感光性組成物。
【請求項2】
前記熱架橋性基含有単量体単位(b1)が、下記一般式(1)~(5)で表される単量体からなる群から選ばれる少なくとも1種から形成される単量体単位である、請求項1に記載の感光性組成物。
【化1】
(一般式(1)~(5)中、Rは、それぞれ独立して水素原子、又はメチル基を表す。Lは、単結合、又は2価の有機基を表す。
一般式(1)中、R及びRは、それぞれ独立して炭素数1~10のアルキル基を表す。Lは、単結合、又は酸素原子を表す。L及びLは、それぞれ独立して単結合、又は2価の有機基を表す。
一般式(2)中、R~Rは、それぞれ独立して水素原子、又は炭素数1~10のアルキル基を表す。
一般式(3)中、Rは、炭素数1~10のアルキル基を表す。
一般式(4)中、R~R10は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1~6のアルキル基、又は炭素数1~6のアルコキシ基を表す。ただし、R~R10のうち少なくとも1つは炭素数1~6のアルコキシ基である。
一般式(5)中、R11~R13は、それぞれ独立して炭素数1~10のアルキル基を表す。)
【請求項3】
前記重合性化合物(C)が、アミン構造を有する重合性化合物(C1)、水酸基を有する重合性化合物(C2)、及びデンドリマー構造又はハイパーブランチ構造を有する重合性化合物(C3)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1に記載の感光性組成物。
【請求項4】
前記ビスオキシムエステル重合開始剤(D1)が、下記一般式(6)で表される化合物を含む、請求項1に記載の感光性組成物。
一般式(6)
【化2】

(一般式(6)中、X及びXは、それぞれ独立してカルボニル結合、又は単結合を表す。Xは、単結合、酸素原子、又は硫黄原子を表す。Rは、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基、炭素数2~20の複素環基、又は下記一般式(7)で表される基を表す。R及びRは、それぞれ独立して水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基、又は炭素数2~30の複素環基を表す。R及びRは、それぞれ独立して炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基、又は炭素数2~30の複素環基を表す。R及びRは、それぞれ独立して水素原子、又はニトロ基を表す。)
一般式(7)
【化3】

(一般式(7)中、Xは、酸素原子、又は硫黄原子を表す。Rは、炭素数1~10のアルキル基を表す。*は、窒素原子との結合手である。)
【請求項5】
更に、チオール系連鎖移動剤(F)を含む、請求項1に記載の感光性組成物。
【請求項6】
更に、シランカップリング剤(G)を含む、請求項1に記載の感光性組成物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の感光性組成物から形成されてなる膜。
【請求項8】
請求項7に記載の膜を有する光学フィルタ。
【請求項9】
請求項8に記載の光学フィルタを有する固体撮像素子。
【請求項10】
請求項8に記載の光学フィルタを有する画像表示装置。
【請求項11】
請求項8に記載の光学フィルタを有する赤外線センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像素子、及び画像表示装置等に使用する光学フィルタの形成に使用する感光性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置、デジタルカメラ、スマートフォン、赤外線センサ等の普及から、これらに使用される光学フィルタの需要が伸びている。そして、これら装置の軽量、薄型、省電力のためバックライトを必要としないOLED(Organic Light Emitting Diode)等を用いた有機EL(Electro-Luminescence)表示装置や、イメージセンサにおける光電子変化膜の有機素材化が検討されている。
【0003】
有機EL表示装置等に用いられる有機発光層の耐熱性は一般的に低いため、有機EL表示装置に用いる光学フィルタを形成するための感光性組成物は、加熱工程を低温、例えば150℃以下で行うことが好ましい。光学フィルタを低温で製造する検討として、例えば、特許文献1には、着色剤と、重合性化合物と、光重合開始剤を含有し、前記光重合開始剤が、前記光重合開始剤をアセトニトリルに0.001質量%溶解させた溶液の波長340nmにおける吸光度が0.45以上である着色感光性組成物が開示されている。特許文献2には、アルカリ可溶性樹脂と、重合性化合物と、フルオレン構造含有オキシムエステル光重合開始剤と、溶剤とを含む感光性樹脂組成物が開示されている。特許文献3には、色材と、(メタ)アクリレート共重合体系分散剤と、アルカリ可溶性樹脂と、光重合性化合物と、特定構造のオキシムエステル光重合開始剤と、溶剤とを含有する感光性着色樹脂組成物が開示されている。特許文献4には、低温プロセスで画像を形成しても他色との混色が抑制された硬化膜を形成することができる着色組成物として、赤色着色剤と、ブロックイソシアネート基を含む繰り返し単位を有する樹脂と、重合性化合物と、光重合性開始剤を含む着色組成物が開示されている。特許文献5には、ポストベーク工程の温度が200℃以下であっても、耐溶剤性や密着性に優れた硬化膜を形成することができる硬化性樹脂組成物として、α,β-不飽和カルボニル基を有する構成単位、活性メチレン基又は活性メチン基を有する構成単位、及び酸基を有する構成単位を有する樹脂を含む感光性樹脂組成物が開示されている。
【0004】
また、光学フィルタは、異物、欠陥や厚みの違いがあると、品質が著しく低下する。そのため、光学フィルタの製造に用いられる感光性組成物は、感光性組成物の製造直後と、保管して光学フィルタの製造に使用する時とで品質の低下を可能な限り抑制することが必要である。例えば、特許文献6には、感度の経時安定性に優れた感放射性樹脂組成物として、分岐アルキル基及び環状アルキル基から選ばれる少なくとも1種類の基を有するオキシムエステル化合物を含み、水の含有量が、感放射性樹脂組成物の質量に対して0.1~2質量%である感放射性樹脂組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2017/038708号
【特許文献2】特開2019-200226号公報
【特許文献3】特開2021-167893号公報
【特許文献4】国際公開第2021/054248号
【特許文献5】特開2022-10246号公報
【特許文献6】国際公開第2017/099019号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1~6に記載の組成物は、保存安定性、低温加熱後の膜耐性を一定水準で満たすことはできなかった。
【0007】
本発明は、保存安定性に優れ、低温加熱後に優れた耐性を有する膜が形成可能な感光性組成物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、顔料(A)、アルカリ可溶性樹脂(B)、重合性化合物(C)、重合開始剤(D)、及び有機溶剤(E)を含む感光性組成物であって、
前記アルカリ可溶性樹脂(B)が、熱架橋性基含有単量体単位(b1)を有するアルカリ可溶性樹脂(B1)を含み、
前記重合開始剤(D)が、ビスオキシムエステル重合開始剤(D1)を含み、
前記有機溶剤(E)100質量%中、ハンセン溶解度パラメータの水素結合項が10MPa1/2以上である有機溶剤(E1)を0.1~20質量%含む感光性組成物に関する。
【発明の効果】
【0009】
上記の本発明によれば、保存安定性に優れ、低温加熱後に優れた耐性を有する膜が形成可能な感光性組成物を提供できる。また、本発明は、膜、光学フィルタ、固体撮像素子、画像表示装置、及び赤外線センサを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の光学フィルタを有する赤外線センサの概略断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の感光性組成物を実施するための形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではなく、課題を解決可能な範囲内で変形して実施できる。
【0012】
本明細書において、「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」、又は「(メタ)アクリルアミド」とは、特に説明がない限り、それぞれ、「アクリロイル及び/又はメタアクリロイル」、「アクリル及び/又はメタアクリル」、「アクリル酸及び/又はメタアクリル酸」、「アクリレート及び/又はメタクリレート」、又は「アクリルアミド及び/又はメタアクリルアミド」を意味する。また、「C.I.」は、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 発行)を意味する。重合性不飽和基は、エチレン性不飽和二重結合である。
本発明における化合物の分子量に関しては、分子量が特定できる低分子化合物は、計算により算出した値(式量)、若しくはESI-MS(エレクトロスプレーイオン化質量分析法)により測定した分子量であり、分子量の分布を持つ化合物は、テトラヒドロフランを溶剤とした場合のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量である。
単量体は、重合により樹脂を形成する化合物である。単量体は、未反応状態であり、単量体単位は、単量体が重合後に樹脂を形成している状態である。
低温は、150℃以下の温度を示す。
【0013】
<感光性組成物>
本発明の一実施形態である感光性組成物は、顔料(A)、アルカリ可溶性樹脂(B)、重合性化合物(C)、重合開始剤(D)、及び有機溶剤(E)を含む感光性組成物であって、
前記アルカリ可溶性樹脂(B)が、熱架橋性基含有単量体単位(b1)を有するアルカリ可溶性樹脂(B1)を含み、
前記重合開始剤(D)が、ビスオキシムエステル重合開始剤(D1)を含み、
前記有機溶剤(E)100質量%中、ハンセン溶解度パラメータの水素結合項が10MPa1/2以上である有機溶剤(E1)を0.1~20質量%含むことを特徴とする。
【0014】
上記構成の感光性組成物が、本発明の課題を解決できるメカニズムは明らかではないが、以下のように推測している。
【0015】
アルカリ可溶性樹脂(B)として、熱架橋性基含有単量体単位(b1)を有するアルカリ可溶性樹脂(B1)を含む場合、加熱により架橋反応が起こり膜の耐性が向上する。そして、重合開始剤(D)として、ビスオキシムエステル重合開始剤(D1)を併用すると、分子内に2個のラジカル発生基を有することから、効率的にラジカルを発生することができるため、光反応が進行しやすく低温加熱でも高温加熱と同等の膜の耐性が維持できると推測する。その反面、熱架橋性基含有単量体単位(b1)を有するアルカリ可溶性樹脂(B1)とビスオキシムエステル重合開始剤(D1)の両方を含む感光性組成物は、保管中に反応が進行しやすく、保管後の品質が低下する。しかし、有機溶剤(E)に、ハンセン溶解度パラメータの水素結合項が10MPa1/2以上である有機溶剤(E1)を特定量含有させると感光性組成物に含まれる各成分に作用し、保存中の反応が抑制されるため保存後の品質が向上すると推測する。
【0016】
以下、一実施形態の感光性組成物に含まれるか、又は含まれ得る成分を詳細に説明する。
【0017】
[顔料(A)]
本発明の感光性組成物は、顔料(A)を含む。これにより、光学フィルタの分光特性を制御できる。
【0018】
顔料(A)は、特に限定されるものではなく、有彩色顔料、白色顔料、黒色顔料、及び近赤外線吸収顔料等が挙げられる。また、顔料(A)は、無色であってもよい。本発明において、顔料(A)は、25℃のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100gに対する溶解度が、2g未満であることが好ましく、1g未満であることがより好ましく、0.5g以下であることが特に好ましい。
【0019】
本発明の感光性組成物をカラーフィルタに用いる場合には、顔料(A)としては有彩色顔料が好ましい。有彩色顔料は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。本発明の感光性組成物を近赤外線カットフィルタに用いる場合には、顔料としては近赤外線吸収顔料が好ましい。近赤外線吸収顔料は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。近赤外線透過フィルタに用いる場合には、顔料(A)は黒色顔料や有彩色顔料を2種以上併用して黒色として用いることが好ましい。更に、近赤外線吸収顔料を併用してもよい。
【0020】
(有彩色顔料)
有彩色顔料は、特に限定されるものではなく、公知の化合物を使用できる。例えば、カラーインデックスにおいてピグメントに分類されている化合物が挙げられる。
【0021】
有彩色顔料は、例えば、C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,12,14,15,16,17,21,22,23,31,32,37,38,41,47,48,48:1,48:2,48:3,48:4,49,49:1,49:2,50:1,52:1,52:2,53,53:1,53:2,53:3,57,57:1,57:2,58:4,60,63,63:1,63:2,64,64:1,68,69,81,81:1,81:2,81:3,81:4,83,88,90:1,101,101:1,104,108,108:1,109,112,113,114,122,123,144,146,147,149,151,166,168,169,170,172,173,174,175,176,177,178,179,181,184,185,187,188,190,193,194,200,202,206,207,208,209,210,214,216,220,221,224,230,231,232,233,235,236,237,238,239,242,243,245,247,249,250,251,253,254,255,256,257,258,259,260,262,263,264,265,266,267,268,269,270,271,272,273,274,275,276,277,278,279,280,281,282,283,284,285,286,287,291,295,296、特開2014-134712号公報に記載された顔料、特許第6368844号公報に記載された顔料等の赤色顔料が挙げられる。
【0022】
C.I.ピグメントオレンジ36,38,43,64,71,73等の橙色顔料が挙げられる。
【0023】
C.I.ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,10,12,13,14,15,16,17,18,24,31,32,34,35,35:1,36,36:1,37,37:1,40,42,43,53,55,60,61,62,63,65,73,74,77,81,83,93,94,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,115,116,117,118,119,120,123,126,127,128,129,138,139,147,150,151,152、153,154,155,156,161,162,164,166,167,168,169,170,171,172,173,174,175,176,177,179,180,181,182,185,187,188,192,193,194,196,198,199,213,214,231,233、特開2012-226110号公報に記載された黄色顔料が挙げられる。
【0024】
また、黄色顔料として、下記一般式(8)で表されるアゾ化合物及びそれの互変異性構造のアゾ化合物のモノ、ジ、トリ及びテトラアニオンからなる群から選ばれる1種以上のアニオンと、Cd,Co,Al,Cr,Sn,Pb,Zn,Fe,Ni,Cu及びMnから選ばれる少なくとも2種の金属イオンと、下記一般式(9)で表される化合物を含む金属アゾ顔料が挙げられる。
【0025】
一般式(8)
【化1】
【0026】
一般式(8)中、2つのRは、それぞれ独立して-OH、-NH、-NH-CN、アシルアミノ基、アルキルアミノ基、又はアリールアミノ基を表し、2つのRは、それぞれ独立して-OH、又は-NHを表す。
【0027】
一般式(9)
【化2】
【0028】
一般式(9)中、3つのRは、それぞれ独立して水素原子、又はアルキル基を表す。
【0029】
前記金属アゾ顔料は、例えば、特開2014-12838号公報、特開2017-171912号公報、特開2017-171913号公報、特開2017-171914号公報、特開2017-171915号公報、特開2022-61494号公報等に記載された金属アゾ顔料が挙げられる。
【0030】
C.I.ピグメントグリーン1,2,4,7,8,10,13,14,15,17,18,19,26,36,37,45,48,50,51,54,55,58,59,62,63,64,65,66等の緑色顔料が挙げられる。
【0031】
C.I.ピグメントブルー1,1:2,9,14,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,17,19,25,27,28,29,33,35,36,56,56:1,60,61,61:1,62,63,66,67,68,71,72,73,74,75,76,78,79,80,87,88等の青色顔料が挙げられる。
【0032】
C.I.ピグメントバイオレット1,1:1,2,2:2,3,3:1,3:3,5,5:1,14,15,16,19,23,25,27,29,31,32,37,39,42,44,47,49,50等の紫色顔料が挙げられる。
【0033】
有彩色顔料は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。例えば、黒色の場合、後述する黒色顔料を使用する以外に、赤色顔料、黄色顔料、緑色顔料、青色顔料、及び紫色顔料からなる群から選ばれる2種以上の有彩色顔料を用いて(組み合わせて)得ることができる。前記組み合わせは、例えば、以下の態様が挙げられる。
(1)黄色顔料、及び紫色顔料を含有する。
(2)赤色顔料、黄色顔料、及び紫色顔料を含有する。
(3)赤色顔料、黄色顔料、及び青色顔料を含有する。
(4)赤色顔料、黄色顔料、及び緑色顔料を含有する。
(5)黄色顔料、青色顔料、及び紫色顔料を含有する。
(6)赤色顔料、黄色顔料、青色顔料、及び紫色顔料を含有する。
(7)黄色顔料、青色顔料、緑色顔料、及び紫色顔料を含有する。
【0034】
上記(1)の態様は、例えば、黄色顔料はC.I.ピグメントイエロー139,185,231,233から選ばれる1種以上と、紫色顔料はC.I.ピグメントバイオレット23とを含有する態様が挙げられる。
上記(2)の態様は、例えば、赤色顔料はC.I.ピグメントレッド177,254,291,295,296から選ばれる1種以上と、黄色顔料はC.I.ピグメントイエロー139,185,231,233から選ばれる1種以上と、紫色顔料はC.I.ピグメントバイオレット23とを含有する態様が挙げられる。
上記(3)の態様は、例えば、赤色顔料はC.I.ピグメントレッド177,254,291,295,296から選ばれる1種以上と、黄色顔料はC.I.ピグメントイエロー139,185,231,233から選ばれる1種以上と、青色顔料はC.I.ピグメントブルー15:3,15:4,15:6から選ばれる1種以上とを含有する態様が挙げられる。
上記(4)の態様は、例えば、赤色顔料はC.I.ピグメントレッド177,254,291,295,296から選ばれる1種以上と、黄色顔料はC.I.ピグメントイエロー139,185,231,233から選ばれる1種以上と、緑色顔料はC.I.ピグメントグリーン7,36,58,59,63から選ばれる1種以上とを含有する態様が挙げられる。
上記(5)の態様は、例えば、黄色顔料はC.I.ピグメントイエロー139,185,231,233から選ばれる1種以上と、青色顔料はC.I.ピグメントブルー15:3,15:4,15:6から選ばれる1種以上と、紫色顔料はC.I.ピグメントバイオレット23とを含有する態様が挙げられる。
上記(6)の態様は、例えば、赤色顔料はC.I.ピグメントレッド177,254,291,295,296から選ばれる1種以上と、黄色顔料はC.I.ピグメントイエロー139,185,231,233から選ばれる1種以上と、青色顔料はC.I.ピグメントブルー15:3,15:4,15:6から選ばれる1種以上と、紫色顔料はC.I.ピグメントバイオレット23とを含有する態様が挙げられる。
上記(7)の態様は、例えば、黄色顔料はC.I.ピグメントイエロー139,185,231,233から選ばれる1種以上と、青色顔料はC.I.ピグメントブルー15:3,15:4,15:6から選ばれる1種以上と、緑色顔料はC.I.ピグメントグリーン7,36,58,59,63から選ばれる1種以上と紫色顔料はC.I.ピグメントバイオレット23とを含有する態様が挙げられる。
【0035】
表1に、各態様の各有彩色顔料の好ましい質量比(質量%)を示す。
【0036】
【表1】
【0037】
これらの上記(1)~(7)の有彩色顔料の組み合わせは、本発明の感光性組成物を近赤外線透過フィルタに用いる場合に好ましい。
【0038】
(白色顔料)
白色顔料は、特に限定されるものではなく、公知の化合物を使用できる。例えば、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ、酸化亜鉛、マイカ、タルク、カオリン、クレー、チタン酸ストロンチウム、タングステン酸バリウム、リン酸亜鉛、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、中空樹脂粒子、特開2011-075786号公報、国際公開第2013/061621号、特開2015-047520号公報、特開2015-164881号公報に記載の化合物等が挙げられる。
また、カラーインデックスにおいてピグメントに分類されている化合物として、C.I.ピグメントホワイト1,2,3,4,5,6,6:1,7,8,10,11,12,13,14,15,16,17,18,18:1,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,30,32,33等が挙げられる。
【0039】
(黒色顔料)
黒色顔料は、特に限定されるものではなく、公知の化合物を使用できる。例えば、カーボンブラック、チタンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、黒鉛、アニリンブラック、シアニンブラック、ペリレンブラック、特開平1-170601号公報、特開平2-34664号公報、特開2007-302836号公報、特表2010-534726号公報、特表2012-515233号公報に記載に化合物等が挙げられる。
また、カラーインデックスにおいてピグメントに分類されている化合物として、C.I.ピグメントブラック1,6,7,12,20,31等が挙げられる。
【0040】
(近赤外線吸収顔料)
近赤外線吸収顔料は、波長700~2,000nmの範囲に極大吸収を有する化合物であり、有機顔料(近赤外線吸収有機顔料ともいう)、無機顔料(近赤外線吸収無機顔料ともいう)のいずれであってもよい。また、近赤外線吸収有機顔料と近赤外線吸収無機顔料を併用してもよい。
【0041】
近赤外線吸収有機顔料は、特に限定されるものではなく、公知の化合物を使用できる。例えば、シアニン化合物、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、インジゴ化合物、インモニウム化合物、アントラキノン化合物、ピロロピロール化合物、スクアリリウム化合物、クロコニウム化合物、ポルフィリン化合物等が挙げられる。これらの中でも、近赤外線吸収性、耐熱性の観点から、ナフタロシアニン化合物、ピロロピロール化合物、スクアリリウム化合物、インジゴ化合物が好ましく、ナフタロシアニン化合物、スクアリリウム化合物、インジゴ化合物がより好ましい。
【0042】
シアニン化合物は、国際公開第2006/006573号、国際公開第2010/073857号、特開2013-241598号公報、特開2016-113501号公報、特開2016-113504号公報等;フタロシアニン化合物は、特開平4-23868号公報、特開平06-192584号公報、特開2000-63691号公報、国際公開第2014/208514号、特開2022-022070号公報、特開2022-110262号公報等;ナフタロシアニン化合物は、特開平11-152414号公報、特開2000-86919号公報、特開2009-29955号公報、国際公開第2018/186490号、特開2022-123689、特開2022-091099号公報、特許第7182049号公報等;インジゴ化合物は、特開2013-230412号公報等;インモニウム化合物は、特開2005-336150号公報、特開2007-197492号公報、特開2008-88426号公報、特開2022-184710号公報、特開2023-01394号公報等;アントラキノン化合物は、特開昭62-903号公報、特開平1-172458号公報等;ピロロピロール化合物は、特開2009-263614号公報、特開2010-90313号公報、特開2011-068731号公報、国際公開第2021/039205号;スクアリリウム化合物は、特開2011-132361号公報、特開2016-142891号公報、国際公開第2017/135359号、国際公開第2018/225837号、特開2019-001987号公報、国際公開第2020/054718号、国際公開2020/189459号等;クロコニウム化合物は、国際公開第2019/021767号;ポルフィリン化合物は、特開2006-209059号公報、国際公開第2022/131191号等に記載の化合物が挙げられる。
【0043】
近赤外線吸収無機顔料は、特に限定されるものではなく、公知の化合物を使用できる。例えば、酸化インジウムスズ、酸化アンチモンスズ、酸化亜鉛、Alドープ酸化亜鉛、フッ素ドープ二酸化スズ、ニオブドープ二酸化チタン、セシウム酸化タングステン、ホウ化ランタン、銅、ニッケル、銀、金等の金属酸化物粒子又は金属粒子が挙げられる。
【0044】
また、顔料(A)として、金属顔料、中空樹脂顔料、蛍光顔料、パール顔料、導電性顔料等も使用できる。
【0045】
顔料(A)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0046】
顔料(A)の含有量は、感光性組成物の不揮発分100質量%中、0.5~60質量%が好ましく、1~50質量%がより好ましい。
【0047】
顔料(A)は、微細化して用いることが好ましい。微細化方法は、特に限定されるものではなく、例えば、湿式磨砕、乾式磨砕、溶解析出法いずれも使用できる。これらの中でも、湿式磨砕の1種であるニーダー法によるソルトミリング処理が好ましい。微細化顔料のTEM(透過型電子顕微鏡)により求められる平均一次粒子径は、5~90nmが好ましい。なお、分散性の観点から、平均一次粒子径は10~70nmがより好ましい。
【0048】
ソルトミリング処理には、必要に応じて樹脂を添加してもよい。樹脂を添加することにより、顔料(A)が樹脂で被覆され、安定性、耐光性等が向上する。前記樹脂の種類は特に限定されず、天然樹脂、変性天然樹脂、合成樹脂、天然樹脂で変性された合成樹脂等が挙げられる。これらの中でも、室温で固体であり、水不溶性であることが好ましく、かつ有機溶剤に一部可溶であることが好ましい。樹脂の添加量は、顔料(A)100質量部に対して、2~200質量部が好ましい。
【0049】
[アルカリ可溶性樹脂(B)]
本発明の感光性組成物は、アルカリ可溶性樹脂(B)を含む。
【0050】
アルカリ可溶性樹脂(B)は、後述するアルカリ現像液に溶解すれば特に制限がなく、公知の樹脂を使用できる。アルカリ可溶性樹脂(B)は、例えば、(メタ)アクリル樹脂、スチレン樹脂、スチレン/(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、環状オレフィン樹脂等が挙げられる。
【0051】
アルカリ可溶性樹脂(B)の重量平均分子量は、3,000~100,000が好ましい。
【0052】
アルカリ可溶性樹脂(B)の酸価は、20~200mgKOH/gが好ましく、30~180mgKOH/gがより好ましい。
【0053】
アルカリ可溶性樹脂(B)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0054】
アルカリ可溶性樹脂(B)は、感光性組成物の不揮発分100質量%中、1~90質量%が好ましく、5~80質量%がより好ましい。
【0055】
(熱架橋性基含有単量体単位(b1)を有するアルカリ可溶性樹脂(B1))
本発明の感光性組成物は、アルカリ可溶性樹脂(B)として、熱架橋性基含有単量体単位(b1)を有するアルカリ可溶性樹脂(B1)を含む。
【0056】
熱架橋性基含有単量体単位(b1)を有するアルカリ可溶性樹脂(B1)(以下、単にアルカリ可溶性樹脂樹脂(B1)ともいう)は、特に制限がなく、公知の樹脂を使用できる。熱架橋性基は、加熱により架橋反応を起こし架橋する基である。例えば、環状エーテル基、メチロール基、イソシアネート基、ブロックイソシアネート基、アセトアセトキシ基、アルコキシシリル基、3級アルキル基等が挙げられる。これらの中でも、保存安定性、低温加熱後の耐性の観点から、ブロックイソシアネート基、アセトアセトキシ基、アルコキシシリル基、及び3級アルキル基からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
アルカリ可溶性樹脂樹脂(B1)は、例えば、熱架橋性基含有単量体単位(b1)を形成する単量体、及び任意に共重合可能な他の単量体との共重合体等が挙げられる。
【0057】
〔熱架橋性基含有単量体単位(b1)〕
熱架橋性基含有単量体単位(b1)は、保存安定性、低温加熱後の耐性の観点から、下記一般式(1)~(5)で表される単量体から形成されることが好ましい。
【0058】
一般式(1)
【化3】
【0059】
一般式(1)中、Rは、水素原子、又はメチル基を表す。
【0060】
一般式(1)中、R及びRは、それぞれ独立して炭素数1~10のアルキル基を表す。
炭素数1~10のアルキル基は、直鎖状、分岐状、又はこれらの組合せのアルキル基のいずれであってもよい。例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基、アミル基、イソアミル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基、n-プロピル基が好ましい。
【0061】
一般式(1)中、Lは、単結合、又は2価の有機基を表す。
2価の有機基は、炭素数1~20のアルキレン基、又は炭素数1~20のアルキレン基の炭素-炭素結合間に-O-を有する基が挙げられる。
炭素数1~20のアルキレン基は、直鎖状、分岐状、又はこれらの組合せのアルキレン基のいずれであってもよい。例えば、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、n-ブチレン基、n-ペンチレン基、n-へキシレン基、n-へプチレン基、n-オクチレン基、イソプロピレン基、2-メチルプロピレン基、2-メチルへキシレン基、テトラメチルエチレン基等が挙げられる。これらの中でも、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基が好ましい。
【0062】
一般式(1)中、Lは、単結合、又は酸素原子を表す。
【0063】
一般式(1)中、L及びLは、それぞれ独立して単結合、又は2価の有機基を表す。
2価の有機基は、炭素数1~20のアルキレン基が挙げられる。
炭素数1~20のアルキレン基は、直鎖状、分岐状、又はこれらの組合せのアルキレン基のいずれであってもよい。例えば、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、n-ブチレン基、n-ペンチレン基、n-へキシレン基、n-へプチレン基、n-オクチレン基、イソプロピレン基、2-メチルプロピレン基、2-メチルへキシレン基、テトラメチルエチレン基等が挙げられる。これらの中でも、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基が好ましい。
【0064】
一般式(1)で表される単量体の製造方法は、特に制限がなく、公知の方法を使用できる。例えば、特開平10-316643号公報、国際公開第2022/145298号等に記載の方法が挙げられる。
【0065】
以下、一般式(1)で表される単量体の具体例である式(1-1)~(1-14)の化合物を示す。なお、本発明はこれらに限定されない。
【0066】
【化4】

【0067】
一般式(1)で表される単量体は、低温加熱後の耐性の観点から、上記式(1-1)、式(1-2)、式(1-3)、式(1-4)、式(1-9)、式(1-10)、式(1-11)、式(1-12)、(1-13)及び式(1-14)の化合物から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0068】
一般式(1)で表される単量体は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0069】
一般式(2)
【化5】
【0070】
一般式(2)中、Rは、水素原子、又はメチル基を表す。
【0071】
一般式(2)中、R~Rは、それぞれ独立して水素原子、又は炭素数1~10のアルキル基を表す。
炭素数1~10のアルキル基は、直鎖状、分岐状、又はこれらの組合せのアルキル基のいずれであってもよい。例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基、アミル基、イソアミル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。これらの中でも、R及びRは、水素原子であることが好ましく、Rは、メチル基、エチル基、n-プロピル基であることが好ましい。
【0072】
一般式(2)中、Lは、単結合、又は2価の有機基を表す。
2価の有機基は、炭素数1~20のアルキレン基、又は炭素数1~20のアルキレン基の炭素-炭素結合間に-O-を有する基が挙げられる。
炭素数1~20のアルキレン基は、直鎖状、分岐状、又はこれらの組合せのアルキレン基のいずれであってもよい。例えば、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、n-ブチレン基、n-ペンチレン基、n-へキシレン基、n-へプチレン基、n-オクチレン基、イソプロピレン基、2-メチルプロピレン基、2-メチルへキシレン基、テトラメチルエチレン基等が挙げられる。これらの中でも、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基が好ましい。
【0073】
一般式(2)で表される単量体の製造方法は、特に制限がなく、公知の方法を使用できる。例えば、国際公開第2022/145298号等に記載の方法が挙げられる。
【0074】
以下、一般式(2)で表される単量体の具体例である式(2-1)~(2-6)の化合物を示す。なお、本発明はこれらに限定されない。
【0075】
【化6】
【0076】
一般式(2)で表される単量体は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0077】
一般式(3)
【化7】
【0078】
一般式(3)中、Rは、水素原子、又はメチル基を表す。
【0079】
一般式(3)中、Rは、炭素数1~10のアルキル基を表す。
炭素数1~10のアルキル基は、直鎖状、分岐状、又はこれらの組合せのアルキル基のいずれであってもよい。例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基、アミル基、イソアミル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基、n-プロピル基が好ましい。
【0080】
一般式(3)中、Lは、単結合、又は2価の有機基を表す。
2価の有機基は、炭素数1~20のアルキレン基、又は炭素数1~20のアルキレン基の炭素-炭素結合間に-O-を有する基が挙げられる。
炭素数1~20のアルキレン基は、直鎖状、分岐状、又はこれらの組合せのアルキレン基のいずれであってもよい。例えば、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、n-ブチレン基、n-ペンチレン基、n-へキシレン基、n-へプチレン基、n-オクチレン基、イソプロピレン基、2-メチルプロピレン基、2-メチルへキシレン基、テトラメチルエチレン基等が挙げられる。これらの中でも、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基が好ましい。
【0081】
一般式(3)で表される単量体の製造方法は、特に制限がなく、公知の方法を使用できる。例えば、Witzeman,J.S.、Dell Rector,F.J.著のCotaings Technology,Vol.62等に記載の方法が挙げられる。
【0082】
以下、一般式(3)で表される単量体の具体例である式(3-1)~(3-4)の化合物を示す。なお、本発明はこれらに限定されない。
【0083】
【化8】
【0084】
一般式(3)で表される単量体は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0085】
一般式(4)
【化9】
【0086】
一般式(4)中、Rは、水素原子、又はメチル基を表す。
【0087】
一般式(4)中、R~R10は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1~6のアルキル基、又は炭素数1~6のアルコキシ基を表す。ただし、R~R10のうち少なくとも1つは炭素数1~6のアルコキシ基である。
炭素数1~6のアルキル基は、メチル基、エチル基、ブチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基等が挙げられる。
炭素数1~6のアルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、イソプロポキシ基等が挙げられる。これらの中でも、低温加熱後の耐性の観点から、メトキシ基、エトキシ基が好ましい。
低温加熱後の耐性の観点から、一般式(4)中、R~R10のうち少なくとも2つは炭素数1~6のアルコキシ基であることが好ましい。
【0088】
一般式(4)中、Lは、単結合、又は2価の有機基を表す。
2価の有機基は、炭素数1~20のアルキレン基、又は炭素数1~20のアルキレン基の炭素-炭素結合間に-O-を有する基が挙げられる。
炭素数1~20のアルキレン基は、直鎖状、分岐状、又はこれらの組合せのアルキレン基のいずれであってもよい。例えば、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、n-ブチレン基、n-ペンチレン基、n-へキシレン基、n-へプチレン基、n-オクチレン基、イソプロピレン基、2-メチルプロピレン基、2-メチルへキシレン基、テトラメチルエチレン基等が挙げられる。これらの中でも、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基が好ましい。
【0089】
以下、一般式(4)で表される単量体の具体例である式(4-1)~(4-6)の化合物を示す。なお、本発明はこれらに限定されない。
【0090】
【化10】
【0091】
一般式(4)で表される単量体の市販品は、例えば、信越化学工業社のKBM-502,503,5103,5803、KBE-502,503等が挙げられる。
【0092】
一般式(4)で表される単量体は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0093】
一般式(5)
【化11】
【0094】
一般式(5)中、Rは、水素原子、又はメチル基を表す。
【0095】
一般式(5)中、R11~R13は、それぞれ独立して炭素数1~10のアルキル基を表す。
炭素数1~10のアルキル基は、直鎖状、分岐状、又はこれらの組合せのアルキル基のいずれであってもよい。例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基、アミル基、イソアミル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基が好ましい。
【0096】
一般式(5)中、Lは、単結合、又は2価の有機基を表す。
2価の有機基は、炭素数1~20のアルキレン基、-NH-を有する基、又はこれらの組合せが挙げられる。
炭素数1~20のアルキレン基は、直鎖状、分岐状、又はこれらの組合せのアルキレン基のいずれであってもよい。例えば、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、n-ブチレン基、n-ペンチレン基、n-へキシレン基、n-へプチレン基、n-オクチレン基、イソプロピレン基、2-メチルプロピレン基、2-メチルへキシレン基、テトラメチルエチレン基等が挙げられる。これらの中でも、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基が好ましい。
【0097】
以下、一般式(5)で表される単量体の具体例である式(5-1)~(5-6)の化合物を示す。なお、本発明はこれらに限定されない。
【化12】
【0098】
一般式(5)で表される単量体は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0099】
熱架橋性基含有単量体単位(b1)は、保存安定性、低温加熱後の耐性の観点から、一般式(1)で表される単量体、及び一般式(2)で表される単量体のうち1種以上から形成される単量体単位がより好ましい。
【0100】
熱架橋性基含有単量体単位(b1)は、一般式(1)~(5)で表される単量体を単独又は2種類以上を併用して形成することができる。
【0101】
熱架橋性基含有単量体単位(b1)は、一般式(1)~(5)で表される単量体で形成される単量体単位と、一般式(1)~(5)で表される単量体以外の単量体で形成される単量体単位を併用することができる。
【0102】
一般式(1)~(5)で表される単量体以外の単量体は、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2-グリシドキシエチル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシブチル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-9-イル(メタ)アクリレート、2-[(3,5-ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチル(メタ)アクリレート、2-[O-(1'-メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ]エチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0103】
熱架橋性基含有単量体単位(b1)の含有量は、保存安定性、低温加熱後の耐性の観点から、アルカリ可溶性樹脂(B1)の全単量体単位中、1~80モル%が好ましく、5~70モル%がより好ましい。
【0104】
アルカリ可溶性樹脂(B1)は、熱架橋性基含有単量体単位(b1)以外に例えば、酸性基含有単量体単位(b2)、水酸基含有単量体単位(b3)、脂肪族縮合環構造含有単量体単位(b4)、重合性不飽和基含有単量体単位(b5)、その他単量体単位(b6)を含有できる。
【0105】
〔酸性基含有単量体単位(b2)〕
酸性基含有単量体は、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、プロピオール酸、けい皮酸、イタコン酸、無水イタコン酸、マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノイソプロピル、無水マレイン酸、フマル酸、2-メタクリロイロキシエチルコハク酸、2-アクリロイロキシエチルフタル酸、2-アクリロイロキシエチルヘキシルヒドロフタル酸、p-スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、tert-ブチルアクリルアミドスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート等が挙げられる。
酸性基含有単量体は、単独又は2種以上併用して使用できる。
【0106】
酸性基含有単量体単位(b2)の含有量は、アルカリ可溶性の観点から、アルカリ可溶性樹脂(B1)の全構成単位中、1~40モル%が好ましく、5~30モル%がより好ましい。
【0107】
また、アルカリ可溶性樹脂(B1)に酸性基含有単量体単位(b2)を導入する方法は、熱架橋性基含有単量体と酸性基含有単量体とを共重合する方法以外に、樹脂(前駆体)に含まれる水酸基に、酸無水物(変性化合物)を付加させる方法を用いてもよい。前記酸無水物は、例えば、無水コハク酸、無水フタル酸、1,2,3,6-テトラヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。
【0108】
〔水酸基含有単量体単位(b3)〕
水酸基含有単量体は、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、2-アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチルフタル酸等が挙げられる。
水酸基含有単量体は、単独又は2種以上併用して使用できる。
【0109】
水酸基含有単量体単位(b3)の含有量は、低温加熱後の耐性の観点から、アルカリ可溶性樹脂(B1)の全単量体単位中、1~60モル%が好ましく、5~50モル%がより好ましい。
【0110】
また、アルカリ可溶性樹脂(B1)に水酸基含有単量体単位(b3)を導入する方法は、熱架橋性基含有単量体と水酸基含有単量体とを共重合する方法以外に、樹脂(前駆体)に含まれるエポキシ基に、カルボキシル基を有する化合物(変性化合物)を付加させる方法や、樹脂(前駆体)に含まれるカルボキシル基に、エポキシ基を有する化合物(変性化合物)を付加させる方法を用いてもよい。
【0111】
〔脂肪族縮合環構造含有単量体単位(b4)〕
脂肪族縮合環構造含有単量体は、例えば、イソボロニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
脂肪族縮合環構造含有単量体は、単独又は2種以上併用して使用できる。
【0112】
〔重合性不飽和基含有単量体単位(b5)〕
アルカリ可溶性樹脂(B1)に、重合性不飽和基含有単量体単位(b5)を含有させる方法は、例えば、以下に示す(i)~(iii)の方法がある。
【0113】
<方法(i)>
方法(i)は、例えば、まず、エポキシ基を有する前駆体を合成する。次いで、前記前駆体のエポキシ基に、上述した酸基含有単量体の中で、カルボキシル基を有する単量体を付加する。
【0114】
前記前駆体のエポキシ基に、カルボキシル基を有する単量体を付加させたものに、更に、酸無水物を反応させることもできる。
【0115】
酸無水物は、例えば、1,2,3,6-テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられる。
【0116】
<方法(ii)>
方法(ii)は、例えば、まず、酸性基がカルボキシル基である酸性基含有単量体単位(b2)を有する前駆体を合成する。次いで、前記前駆体のカルボキシル基にエポキシ基含有単量体(変性化合物)を付加する。
【0117】
エポキシ基含有単量体は、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2-グリシドキシエチル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシブチル(メタ)アクリレート、及び3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0118】
<方法(iii)>
方法(iii)は、例えば、まず、水酸基含有単量体(b3)を有する前駆体を合成する。次いで、前記前駆体の水酸基に、イソシアネート基含有単量体(変性化合物)のイソシアネート基を反応させる。
【0119】
イソシアネート基含有単量体は、例えば、2-(メタ)アクリロイルエチルイソシアネート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、または1,1-ビス〔メタアクリロイルオキシ〕エチルイソシアネート等が挙げられる。
【0120】
〔その他単量体単位単位(b6)〕
その他単量体は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノールのEO変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールのEO又はPO変性(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールのEO又はPO変性(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアクリル酸エステル類;スチレン、α-メチルスチレン、p-ビニルトルエン、p-クロロスチレン、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル化合物類;
(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、又はアクリロイルモルホリン等の(メタ)アクリルアミド類;
エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、又はイソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;
酢酸ビニル、又はプロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類;
フェニルマレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、1,2-ビスマレイミドエタン1,6-ビスマレイミドヘキサン、6,7-メチレンジオキシ-4-メチル-3-マレイミドクマリン、4,4'-ビスマレイミドジフェニルメタン、ビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン、N,N'-1,3-フェニレンジマレイミド、N,N'-1,4-フェニレンジマレイミド、N-(1-ピレニル)マレイミド、N-(2,4,6-トリクロロフェニル)マレイミド、N-(4-アミノフェニル)マレイミド、N-(4-ニトロフェニル)マレイミド、N-ベンジルマレイミド、N-ブロモメチル-2,3-ジクロロマレイミド、N-スクシンイミジル-3-マレイミドベンゾエート、N-スクシンイミジル-3-マレイミドプロピオナート、N-スクシンイミジル-4-マレイミドブチラート、N-スクシンイミジル-6-マレイミドヘキサノアート、N-[4-(2-ベンゾイミダゾリル)フェニル]マレイミド、9-マレイミドアクリジン等のN-置換マレイミド類;
ジメチル-2,2'-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジエチル-2,2'-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(n-プロピル)-2,2'-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(イソプロピル)-2,2'-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(2-エチルヘキシル)-2,2'-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート等が挙げられる。
その他単量体は、単独又は2種以上併用して使用できる。
【0121】
アルカリ可溶性樹脂(B1)の重量平均分子量は、3,000~50,000が好ましく、3,000~20,000がより好ましい。
【0122】
アルカリ可溶性樹脂(B1)の分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)は、1.2~3.0が好ましく、1.3~2.8がより好ましい。
【0123】
アルカリ可溶性樹脂(B1)の酸価は、20~200mgKOH/gが好ましく、30~180mgKOH/gがより好ましい。
【0124】
アルカリ可溶性樹脂(B1)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0125】
アルカリ可溶性樹脂(B1)の含有量は、保存安定性、低温加熱後の耐性の観点から、アルカリ可溶性樹脂(B)100質量%中、10~100質量%が好ましく、20~80質量%がより好ましい。
【0126】
(熱架橋性基含有単量体単位(b1)を有しないアルカリ可溶性樹脂(B2))
本発明の感光性組成物は、保存安定性の観点から、アルカリ可溶性樹脂(B)として熱架橋性基含有単量体単位(b1)を有しないアルカリ可溶性樹脂(B2)(以下、単にアルカリ可溶性樹脂(B2)ともいう)を含むことが好ましい。
【0127】
アルカリ可溶性樹脂(B2)は、熱架橋性基含有単量体単位(b1)を有しなければ特に制限がなく、既に説明したアルカリ可溶性樹脂等を使用できる。例えば、上述した単量体単位(b2)~(b6)のいずれか1種以上の単量体単位を有するアルカリ可溶性樹脂が挙げられる。中でも、低温加熱後の耐性の観点から、重合性不飽和基含有単量体単位(b5)を有することが好ましい。
【0128】
アルカリ可溶性樹脂(B2)の重量平均分子量は、3,000~50,000が好ましく、3,000~20,000がより好ましい。
【0129】
アルカリ可溶性樹脂(B2)の酸価は、20~200mgKOH/gが好ましく、30~180mgKOH/gがより好ましい。
【0130】
アルカリ可溶性樹脂(B2)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0131】
アルカリ可溶性樹脂(B2)の含有量は、保存安定性、低温加熱後の耐性の観点から、アルカリ可溶性樹脂(B)100質量%中、10~90質量%が好ましく、20~80質量%がより好ましい。
【0132】
[重合性化合物(C)]
本発明の感光性組成物は、重合性化合物(C)を含む。
【0133】
重合性化合物(C)は、重合性不飽和基を有するモノマー、オリゴマー等が挙げられる。重合性不飽和基は、エチレン性不飽和二重結合のビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基、アクリロイルオキシ基等が挙げられる。
【0134】
重合性化合物(C)は、特に限定されるものではなく、公知の化合物を使用できる。例えば、アミン構造を有する重合性化合物(C1)、水酸基を有する重合性化合物(C2)、デンドリマー構造又はハイパーブランチ構造を有する重合性化合物(C3)、酸性基を有する重合性化合物(C4)、ウレタン結合を有する重合性化合物(C5)、ラクトン変性された重合性化合物(C6)、その他重合性化合物(C7)が挙げられる。
【0135】
重合性化合物(C)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0136】
重合性化合物(C)の含有量は、感光性組成物の不揮発分100質量%中、1~80質量%が好ましく、5~70質量%がより好ましい。
【0137】
(アミン構造を有する重合性化合物(C1))
本発明の感光性組成物は、低温加熱後の耐性の観点から、アミン構造を有する重合性化合物(C1)を含むことが好ましい。アミン構造を有する重合性化合物(C1)は、分子内にアミン構造を有するため、水素が引き抜かれ炭素ラジカルを生成しやすいと推測する。そのため、発生したペルオキシラジカルが、アミン構造を有する重合性化合物(C1)から水素を引き抜くことで、新たに生成する炭素ラジカルが重合を開始する。また、生成した炭素ラジカルが、酸素を捕捉することもできるため、酸素濃度を低減する効果もある。これらのメカニズムにより、酸素による重合阻害が抑制され、重合が十分に進行するため、十分な耐性が得られると推測する。また、アミン構造は、極性を有するため、基材への密着性も向上すると推測する。
【0138】
アミン構造を有する重合性化合物(C1)が有するアミン構造は、1級アミン、2級アミン、3級アミンのいずれの構造でもよいが、2級又は3級アミンが好ましい。ただし、アミン構造を有する重合性化合物(C1)が有するアミン構造は、カルボニル基が窒素原子と直接結合しているアミド構造、イミド構造及びウレタン構造は含まれない。
【0139】
アミン構造を有する重合性化合物(C1)は、例えば、トリス(アクリロイルオキシエチル)アミン、トリス(メタアクリロイルオキシエチル)アミン、トリス(2-ヒドロキシ-3-メタクリロイルオキシプロピル)アミンや、(メタ)アクリレート化合物(X)とアミン化合物(Y)とのマイケル付加反応生成物等が挙げられる。
【0140】
(メタ)アクリレート化合物(X)は、例えば、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジグリセリントリ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンアルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンアルキレンオキサイド変性トリ及びテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールアルキレンオキサイド変性トリ及びテトラ(メタ)アクリレート、ジグリセリンアルキレンオキサイド変性トリ及びテトラ(メタ)アクリレート、ジペンエリスリトールアルキレンオキサイド変性テトラ、ペンタ及びヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記アルキレンオキサイド変性における、アルキレンオキサイド単位は、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド及びブチレンオキサイド等が挙げられる。
また、(メタ)アクリレート化合物(X)としては、酸性基を有する(メタ)アクリレート化合物も挙げられる。
【0141】
(メタ)アクリレート化合物(X)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0142】
アミン化合物(Y)は、例えば、n-プロピルアミン、n-ブチルアミン、n-ヘキシルアミン、ベンジルアミン、アミノカプロン酸、モノエタノールアミン、2-(2-アミノエトキシ)エタノール、o-アミノフェノール、m-アミノフェノール、p-アミノフェノール等の1級アミン;
ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、シクロヘキシルアミン、モルフォリン、ピペリジン、1-メチルピペラジン、プロリン、N-メリルエタノールアミン、N-アセチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、3-アニリンフェノール、4-アニリンフェノール等の2級アミン等が挙げられる。
【0143】
アミン化合物(Y)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0144】
(メタ)アクリレート化合物(X)とアミン化合物(Y)とのマイケル付加反応生成物の製造方法は、特に制限はなく、公知の方法を使用できる。例えば、国際公開第2006/075754号、特表2008-545859号公報、特開2017-066347号公報等に記載の方法が挙げられる。
【0145】
アミン構造を有する重合性化合物(C1)は、酸性基又は/及び水酸基を有してもよい。酸性基又は/及び水酸基を導入する方法は、例えば、(メタ)アクリレート化合物(X)やアミン化合物(Y)に、酸性基又は/及び水酸基を有する化合物を使用する方法や、マイケル付加反応後に、酸無水物を付加させる方法等が挙げられる。
【0146】
アミン構造を有する重合性化合物(C1)の市販品は、例えば、東亞合成社製のアロニックスMT-3041,3042、ダイセル・オルネクス社製のEBECRYL80,7100、アルケマ社製のCN371NS,372,374,383,386等が挙げられる。
【0147】
アミン構造を有する重合性化合物(C1)は、更にウレタン結合を有することもできる。これにより、重合による化学架橋構造とともにウレタン結合同士やウレタン結合と基材の官能基間での分子間水素結合による物理的架橋構造を形成する。このウレタン結合部の分子間水素結合のもつ分子凝集エネルギーは、エーテル結合など他の有機構造がもつ凝集エネルギーに比べて大きい。そのため、膜は、ウレタン結合間の相互作用により柔軟で強固となり、耐性が向上すると推測する。
【0148】
ウレタン結合を導入する方法は、例えば、上述した(メタ)アクリレート化合物(X)と上述した水酸基を有するアミン化合物(Y)とのマイケル付加反応生成物(前駆体)と、ポリイソシアネート化合物(Z)とのウレタン反応により製造することができる。
【0149】
ポリイソシアネート化合物(Z)は、例えば、ブタン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族構造を有するポリイソシアネート化合物;
シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジメチルシクロヘキシルジイソシアネート、メチルシクロヘキシルジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4'-ジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の脂環式構造を有するポリイソシアネート化合物;
1,5-ナフチレンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4'-ジベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、m-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ビスクロロメチルジフェニルメタンジイソシアネート、2,6-ジイソシアネート-ベンジルクロライド、ビス(イソシアネートメチル)ベンゼン等の芳香族構造を有するポリイソシアネート化合物が挙げられる。
また、これら化合物のビュレット体、イソシアヌレート体、アダクト体、アロファネート体等が挙げられる。
【0150】
ポリイソシアネート化合物(Z)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0151】
前記前駆体とポリイソシアネート化合物(Z)とのウレタン反応の方法は、特に制限はなく、公知の方法を使用できる。例えば、特表2018-517797号公報等に記載の方法が挙げられる。
【0152】
アミン構造を有する重合性化合物(C1)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0153】
アミン構造を有する重合性化合物(C1)の含有量は、重合性化合物(C)100質量%中、0.1~80質量%が好ましく、0.5~60質量%がより好ましい。
【0154】
(水酸基を有する重合性化合物(C2))
本発明の感光性組成物は、低温加熱後の耐性の観点から、重合性化合物(C)として水酸基を有する重合性化合物(C1)を含むことが好ましい。水酸基を有する重合性化合物(C2)の水酸基とアルカリ可溶性樹脂(B1)の熱架橋性基が反応することで、耐性が向上する。
【0155】
水酸基を有する重合性化合物(C2)は、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2,3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、イソシアヌル酸EO又はPO変性(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO又はPO変性ジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ポリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールEO又はPO変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ペンタ(メタ)アクリレート等のアクリル酸エステル、エポキシ化合物のエポキシ基と(メタ)アクリル酸のカルボキシル基を反応させたエポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、グリセロールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0156】
水酸基を有する重合性化合物(C2)の市販品は、例えば、日本化薬社製のKAYARAD R-128H,R-167、東亞合成社製のアロニックスM-5700,M-920、新中村化学社製のNKエステル701A、共栄社化学社製のライトエステルHOP(N)、HOA(N),HOP-A(N),HOB(N),G-201P、エポキシエステルM-600A,40EM,70PA,200PA,80MFA,3002M(N),3002A(N),3000A、大阪ガスケミカル社製のOGSOL GA-5060P,GA-2800等が挙げられる。
【0157】
水酸基を有する重合性化合物(C2)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0158】
水酸基を有する重合性化合物(C2)の含有量は、重合性化合物(C)100質量%中、10~90質量%が好ましく、20~80質量%がより好ましい。
【0159】
(デンドリマー構造又はハイパーブランチ構造を有する重合性化合物(C3))
本発明の感光性組成物は、低温加熱後の耐性の観点から、デンドリマー構造又はハイパーブランチ構造を有する重合性化合物(C3)を含むことが好ましい。デンドリマー構造又はハイパーブランチ構造を有する重合性化合物(C3)は、一般的な直鎖状の重合性化合物に比べ、分子内での重合性基同士の距離が近く、密度が高い。そのため、酸素阻害や溶剤の連鎖移動の影響を受けにくく、重合開始剤量や露光量が少ない場合でも十分に反応し、耐性が向上すると推測する。
【0160】
デンドリマー構造を有する化合物は、コアを構成する化学構造(以下、コア部ともいう)から、その外側へ規則的に分岐を繰り返し、その末端に重合性不飽和基が結合した化学構造を有するものであり、球状の高度に制御された化学構造及び分子量を有している。ハイパーブランチ構造は、デンドリマー構造と類似の化学構造を有する。
【0161】
デンドリマー構造又はハイパーブランチ構造を有する重合性化合物(C3)の市販品は、例えば、大阪有機化学工業社製のビスコート#1000LT(デンドリマー構造、平均アクリロイル基数14)、SIRIUS-501(デンドリマー構造、平均アクリロイル基数18)、Miwon Specialty Chemical社製のMiramer SP-1106(デンドリマー構造、平均アクリロイル基数18),SP-1108(デンドリマー構造、平均アクリロイル基数13)、SARTOMER社製のCN2301(ハイパーブランチ構造、平均アクリロイル基数9),CN2302(ハイパーブランチ構造、平均アクリロイル基数16),CN2303(ハイパーブランチ構造、平均アクリロイル基数6),CN2304(ハイパーブランチ構造、平均アクリロイル基数18)、Eternal Materials社製のEtercure6361-100(ハイパーブランチ構造、平均アクリロイル基数8),6362-100(ハイパーブランチ構造、平均アクリロイル基数12),6363(ハイパーブランチ構造、平均アクリロイル基数16),DR-E522(ハイパーブランチ構造、平均アクリロイル基数15)等が挙げられる。
【0162】
デンドリマー構造又はハイパーブランチ構造を有する重合性化合物(C3)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0163】
デンドリマー構造又はハイパーブランチ構造を有する重合性化合物(C3)の含有量は、重合性化合物(C)100質量%中、0.5~80質量%が好ましく、1~60質量%がより好ましい。
【0164】
(酸性基を有する重合性化合物(C4))
酸性基を有する重合性化合物(C4)は、例えば、多価アルコールと(メタ)アクリル酸との遊離水酸基含有ポリ(メタ)アクリレートと、ジカルボン酸とのエステル化物;多価カルボン酸と、モノヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとのエステル化物等が挙げられる。
【0165】
上記多価アルコールは、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
【0166】
上記ジカルボン酸は、例えば、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、グルタル酸、フタル酸イタコン酸等が挙げられる。
【0167】
上記多価カルボン酸は、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
モノヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類は、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイロキシプロピルメタクリレート等が挙げられる。
【0168】
酸性基を有する重合性化合物(C4)の市販品は、東亞合成社製アロニックスM-5300,M-5400,M-510,M-520,M-521、ダイセル・オルネクス社製のβ-CEA等が挙げられる。
【0169】
(ウレタン結合を有する重合性化合物(C5))
ウレタン結合を有する重合性化合物(C5)は、例えば、水酸基含有(メタ)アクリレートに多官能イソシアネートを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレートや、多価アルコールに多官能イソシアネートを反応させ、さらに水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0170】
上記水酸基含有(メタ)アクリレートは、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールエチレンオキサイド(EO)変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールプロピレンオキサイド(PO)変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイルプロピルメタクリレート、エポキシ基含有化合物とカルボキシ(メタ)アクリレートの反応物、水酸基含有ポリオールポリアクリレート等が挙げられる。
【0171】
上記多官能イソシアネートは、例えば、芳香族ジイソシアネートであるトリレンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネートであるトリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、脂環式ジイソシアネートであるイソホロンジイソシアネートや、これらのビュレット体、イソシアヌレート体、トリメチロールプロパンアダクト体等が挙げられる。
【0172】
ウレタン結合を有する重合性化合物(C5)は、酸性基を有してもよい。酸性基は、例えば、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基等を挙げられる。なかでも、カルボキシル基が好ましい。
【0173】
ウレタン結合を有する重合性化合物(C5)に酸性基を導入する方法は、例えば、まず、上記水酸基含有(メタ)アクリレートと上記多官能イソシアネートとを反応させる。次いで、生成物にカルボキシル基を有するメルカプト化合物を付加させる方法で合成できる。
【0174】
上記カルボキシル基を有するメルカプト化合物は、例えば、メルカプト酢酸、2-メルカプトプロピオン酸、3-メルカプトプロピオン酸、o-メルカプト安息香酸、2-メルカプトニコチン酸、メルカプトコハク酸等が挙げられる。
【0175】
ウレタン結合を有する重合性化合物(C5)の市販品は、例えば、共栄社化学社製のAH-600,UA-306H,UA-306T,UA-306I,UA-510H,UF-8001G、新中村化学社製のUA-1100H,U-6LPA,UA-33H,U-10HA,U-15HA、ダイセル・オルネクス社製のEBECRYL1290,KRM8452等が挙げられる。
【0176】
(ラクトン変性された重合性化合物(C6))
ラクトン変性された重合性化合物(C6)は、分子内にラクトンで変性された構造を有する化合物である。ラクトン変性された重合性化合物(C6)は、トリメチロールエタン、ジトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエチスリトール、トリペンタエリスリトール、グリセリン、ジグリセロール、トリメトロールメラミン等の多価アルコールと、(メタ)アクリル酸およびε-カプロラクトンまたはその他のラクトン化合物をエステル化することにより得られる。
【0177】
ラクトン変性された重合性化合物(C6)の市販品は、例えば、日本化薬社製のKAYARAD DPCA-20,DPCA-30,DPCA-60,DPCA-120等が挙げられる。
【0178】
(その他重合性化合物(C7))
その他重合性化合物(C7)は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO又はPO変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO又はPO変性トリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールEO又はPO変性ヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル等の(メタ)アクリル酸エステル、スチレン、酢酸ビニル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。
【0179】
その他重合性化合物(C7)の市販品は、例えば、日本化薬社製のKAYARAD NPGDA,PEG400DA,FM-400,HX-200,HX-620,R-551,R-712,R-604,R-684,GPOD-303,TMPTA,T-1420(T),RP-1040,DPEA-12,D-310、東亞合成社製のアロニックスM-101A,M-102,M-111,M-113,M-120,M-140,M-208,M-211B,M-220,M-225,M-270,M-240,M-309,M-310,M-321,M-350,M-360,M-408,M-460、大阪有機化学工業社製のビスコート#150,#155,#160,#192,#MTG,#200,#196,#195、#230、#260、#310、#700HV、#295、大阪ガスケミカル社製のOGSOL EA-0200,EA-0300、Miwon Specialty Chemical Co.,Ltd社製のMiramer HR6060,6100,6200、新中村化学工業社製のNKエステルA-HD-N,A-NPG,A-200,A-400,APG-200,APG-400,A-DCP,ABE-300,A-BPE-4,A-BPE-10,A-TMPT,A-TMPT-9EO,A-GLY-3E,A-GLY-9E,A-TMMT,ATM-35E,AD-TMP等が挙げられる。
【0180】
また、水酸基及び酸性基を有する(メタ)アクリレート、水酸基及びウレタン結合を有する(メタ)アクリレート、水酸基を有するラクトン変性された(メタ)アクリレート等も挙げられる。
【0181】
重合性化合物(C)は、低温加熱後の耐性の観点から、アミン構造を有する重合性化合物(C1)、水酸基を有する重合性化合物(C2)、及びデンドリマー構造又はハイパーブランチ構造を有する重合性化合物(C3)からなる群から選ばれる1種以上を含むことが好ましい。
【0182】
アミン構造を有する重合性化合物(C1)、水酸基を有する重合性化合物(C2)、及びデンドリマー構造又はハイパーブランチ構造を有する重合性化合物(C3)の合計含有量は、重合性化合物(C)100質量%中、10~100質量%が好ましく、20~100質量%がより好ましい。
【0183】
[重合開始剤(D)]
本発明の感光性組成物は、重合開始剤(D)を含む。
【0184】
重合開始剤(D)は、特に限定されるものではなく、公知の化合物を使用できる。例えば、光又は熱の作用によってラジカルを発生させて、ラジカル重合反応を開始又は促進させる化合物が挙げられる。
光によってラジカルを発生させる重合開始剤(以下、単に光重合開始剤ともいう)は、紫外線から可視領域の光線に対してラジカルを発生させる化合物が好ましい。熱によってラジカルを発生させる重合開始剤(以下、単に熱重合開始剤ともいう)は、熱及び光の作用によってラジカルを発生させる化合物であってもよい。
【0185】
光重合開始剤は、例えば、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホリノ)フェニル]-2-(フェニルメチル)-1-ブタノン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン等のアセトフェノン系化合物;
2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ピペロニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシ-ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(ピペロニル)-6-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(4'-メトキシスチリル)-6-トリアジン等のトリアジン系化合物;
1,2-オクタンジオン,1-〔4-(フェニルチオ)フェニル-,2-(O-ベンゾイルオキシム)〕、エタノーン,1-〔9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール3-イル〕-,1-(O-アセチルオキシム)等のオキシム系化合物;
ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ジフェニル-2,4,6-トリメチルベンゾイルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィン系化合物;
9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物;ボレート系化合物;カルバゾール系化合物等が挙げられる。
【0186】
市販品では、アセトフェノン系化合物として、IGM Resins社製のOmnirad907,369E,379EG,127,184,1173,2959、アシルホスフィン系化合物として、IGM Resins社製のOmnirad819,TPO、オキシム系化合物として、BASFジャパン社製のIRGACURE OXE-01,02,03,04,05、ADEKA社製のアデカアークルズN-1919,NCI-730,831E,930、常州強力新材料社製のTRONLY TR-PBG-301,304,305,309,314,345,358,380,365,610,3054,3057、IGM Resins社製のOmnirad1312,1314,1316,サムヤンコーポレーション社製のSPI-02,03,04,05,06,07、ダイトーケミックス社製のDFI-020,306,EOX-01等が挙げられる。また、特開2007-210991号公報、特開2009-179619号公報、特開2010-037223号公報、特開2010-215575号公報、特開2011-020998号公報、国際公開第2015/036910号、特表2019-507108号公報、特表2019-528331号公報、国際公開第2021/175855号、特表2022-5115524号公報等に記載の化合物も挙げられる。
【0187】
熱重合開始剤は、例えば、ベンゾピナコール、1,2-ジメトキシ-1,1,2,2-テトラフェニルエタン、1,2-ジメトキシ-1,1,2,2-テトラフェニルエタン、1,2-ジフェノキシ-1,1,2,2-テトラフェニルエタン、1,2-ジメトキシ-1,1,2,2-テトラ(4-メチルフェニル)エタン、1,2-ジフェノキシ-1,1,2,2-テトラ(4-メトキシフェニル)エタン、1,2-ビス(トリメチルシロキシ)-1,1,2,2-テトラフェニルエタン、1,2-ビス(トリエチルシロキシ)-1,1,2,2-テトラフェニルエタン、1,2-ビス(tert-ブチルジメチルシロキシ)-1,1,2,2-テトラフェニルエタン、1-ヒドロキシ-2-トリメチルシロキシ-1,1,2,2-テトラフェニルエタン、1-ヒドロキシ-2-トリエチルシロキシ-1,1,2,2-テトラフェニルエタン、1-ヒドロキシ-2-tert-ブチルジメチルシロキシ-1,1,2,2-テトラフェニルエタン等のピナコール系化合物;
2,2'-アゾビス(4-メトキシ2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、ジメチル-2,2'-アゾビス(2-メチル
プロピオネート)、2,2'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1'-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2'-アゾビス[N-(2-プロペニ
ル)2-メチルプロピオンアミド]、1-[(1-シアノ-1-メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、2,2'-アゾビス(N-ブチル-2-メチルプロピオンアミド)、2,2'-アゾビス(N-シクロヘキシル-2-メチルプロピオンアミド)等のアゾ系化合物;
メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1-ビス(tert-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(tert-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2-ビス(tert-ブチルパーオキシ)ブタン、過酸化コハク酸、過酸化ベンゾイル等の有機過酸化物等が挙げられる。
【0188】
重合開始剤(D)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0189】
重合開始剤(D)の含有量は、感光性組成物の不揮発分100質量%中、0.1~20質量%が好ましく、0.5~10質量%がより好ましい。
【0190】
(ビスオキシムエステル重合開始剤(D1))
本発明の感光性組成物は、重合開始剤(D)として光重合開始剤のビスオキシムエステル重合開始剤(D1)(以下、単に重合開始剤(D1)ともいう)を含む。
【0191】
ビスオキシムエステル重合開始剤(D1)は、分子内にオキシムエステル基を2つ有する化合物であれば特に制限がなく、公知の化合物を使用できる。例えば、下記一般式(6)で表される化合物が挙げられる。
【0192】
一般式(6)
【化13】
【0193】
一般式(6)中、X及びXは、それぞれ独立してカルボニル結合、又は単結合を表す。これらの中でも、有機溶剤(E)への溶解性の観点から、X及びXの少なくとも1つはカルボニル結合であることが好ましく、2つともカルボニル結合であることがより好ましい。
【0194】
一般式(6)中、Xは、単結合、酸素原子、又は硫黄原子を表す。
これらの中でも、Xは、単結合、硫黄原子が好ましく、単結合がより好ましい。
【0195】
一般式(6)中、Rは、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基、炭素数2~20の複素環基、又は下記一般式(7)で表される基を表す。
炭素数1~20のアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状、又はこれらの組合せのアルキル基のいずれであってもよく、また、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基等で置換されたアルキル基であってもよい。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、アミル基、イソアミル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、シクロペンチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基等が挙げられる。
炭素数6~30のアリール基は、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、ナフチル基、アンスリル基等が挙げられる。アリール基は、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基等で置換された基であってもよい。
炭素数7~30のアリールアルキル基は、例えば、ベンジル基、α-メチルベンジル基、α,α―ジメチルベンジル基、フェニルエチル基、9-フルオレニルメチル基等が挙げられる。アリールアルキル基は、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基等で置換された基であってもよい。
炭素数2~30の複素環基は、例えば、ピリジル基、ピリミジル基、フリル基、テトラヒドロフリル基、ジオキソラニル基、イミダゾリジル基、オキサゾリジル基、ピペリジル基、モルホリニル基等が挙げられる。
【0196】
一般式(7)
【化14】
【0197】
一般式(7)中、Xは、酸素原子、又は硫黄原子を表す。
【0198】
一般式(7)中、Rは、炭素数1~10のアルキル基を表す。
炭素数1~10のアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状、又はこれらの組合せのアルキル基のいずれであってもよく、また、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基等で置換されたアルキル基であってもよい。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、アミル基、イソアミル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等が挙げられる。
【0199】
一般式(7)中、*は、窒素原子との結合手である。
【0200】
これらの中でも、Rは、炭素数1~20のアルキル基、又は一般式(7)で表される基が好ましく、一般式(7)で表される基がより好ましい。
【0201】
一般式(6)中、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基、又は炭素数2~30の複素環基を表す。
炭素数1~20のアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状、又はこれらの組合せのアルキル基のいずれであってもよく、また、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基等で置換されたアルキル基であってもよい。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、アミル基、イソアミル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、シクロペンチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基等が挙げられる。
炭素数6~30のアリール基は、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、ナフチル基、アンスリル基等が挙げられる。アリール基は、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基等で置換された基であってもよい。
炭素数7~30のアリールアルキル基は、例えば、ベンジル基、α-メチルベンジル基、α,α―ジメチルベンジル基、フェニルエチル基、9-フルオレニルメチル基等が挙げられる。アリールアルキル基は、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基等で置換された基であってもよい。
炭素数2~30の複素環基は、例えば、ピリジル基、ピリミジル基、フリル基、テトラヒドロフリル基、ジオキソラニル基、イミダゾリジル基、オキサゾリジル基、ピペリジル基、モルホリニル基等が挙げられる。
【0202】
一般式(6)中、R及びRは、それぞれ独立して炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基、又は炭素数2~30の複素環基を表す。
炭素数1~20のアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状、又はこれらの組合せのアルキル基のいずれであってもよく、また、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基等で置換されたアルキル基であってもよい。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、アミル基、イソアミル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、シクロペンチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基等が挙げられる。
炭素数6~30のアリール基は、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、ナフチル基、アンスリル基等が挙げられる。アリール基は、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基等で置換された基であってもよい。
炭素数7~30のアリールアルキル基は、例えば、ベンジル基、α-メチルベンジル基、α,α―ジメチルベンジル基、フェニルエチル基、9-フルオレニルメチル基等が挙げられる。アリールアルキル基は、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基等で置換された基であってもよい。炭素数2~30の複素環基は、例えば、ピリジル基、ピリミジル基、フリル基、テトラヒドロフリル基、ジオキソラニル基、イミダゾリジル基、オキサゾリジル基、ピペリジル基、モルホリニル基等が挙げられる。
【0203】
一般式(6)中、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、又はニトロ基を表す。
これらの中でも、R及びRは、水素原子が好ましい。
【0204】
一般式(6)で表される化合物の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法で合成できる。例えば、国際公開第2015/139604号、国際公開第2015/139601号、国際公開第2017/200354号、特開2021-011486号公報、特開2021-155642号公報、国際公開第2020/139042号等に記載の方法が挙げられる。
【0205】
以下、ビスオキシムエステル重合開始剤(D1)の具体例である式(D1-1)~(D1-13)の化合物を示す。なお、本発明はこれらに限定されない。
【0206】
【化15】
【0207】
【化16】
【0208】
ビスオキシムエステル重合開始剤(D1)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0209】
ビスオキシムエステル重合開始剤(D1)の含有量は、重合開始剤(D)100質量%中、5~100質量%が好ましく、10~90質量%がより好ましい。
【0210】
(ビスオキシムエステル重合開始剤(D1)以外の重合開始剤(D2))
本発明の感光性組成物は、保存安定性の観点から、重合開始剤(D)としてビスオキシムエステル重合開始剤(D1)以外の重合開始剤(D2)(以下、単に重合開始剤(D2)ともいう)を含むことが好ましい。
【0211】
重合開始剤(D2)は、ビスオキシムエステル重合開始剤(D1)以外であれば特に制限がなく、公知の化合物を用いることができる。本明細書では低温加熱後の耐性の観点から、オキシムエステル基を1つ有する化合物が好ましく、オキシムエステル基を1つ有し、かつ、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート中での波長365nmの光の吸光係数が5.0×10L/mol・cm以上である化合物がより好ましい。
【0212】
以下、重合開始剤(D2)の具体例である式(D2-1)~(D2-12)の化合物を示す。なお、本発明はこれらに限定されない。
【0213】
【化17】
【0214】
【化18】
【0215】
重合開始剤(D2)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0216】
重合開始剤(D2)の含有量は、重合開始剤(D)100質量%中、10~90質量%が好ましい。
【0217】
[有機溶剤(E)]
本発明の感光性組成物は、有機溶剤(E)を含む。
【0218】
有機溶剤(E)は、特に限定されるものではなく、公知の化合物を使用できる。例えば、1,2,3-トリクロロプロパン、1-メトキシ-2-プロパノール、乳酸エチル、1,3-ブタンジオール、1,3-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコールジアセテート、1,4-ジオキサン、2-ヘプタノーン、2-メチル-1,3-プロパンジオ-ル、3,5,5-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オン、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノン、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メチル-1,3-ブタンジオ-ル、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチルブチルアセテート、3-メトキシブタノール、3-メトキシブチルアセテート、4-ヘプタノーン、m-キシレン、m-ジエチルベンゼン、m-ジクロロベンゼン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、n-ブチルアルコール、n-ブチルベンゼン、n-プロピルアセテート、N-メチルピロリドン、o-キシレン、トルエン、o-クロロトルエン、ベンゼン、o-ジエチルベンゼン、o-ジクロロベンゼン、p-クロロトルエン、p-ジエチルベンゼン、sec-ブチルベンゼン、tert-ブチルベンゼン、γ-ブチロラクトン、イソブチルアルコール、イソホロン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノールアセテート、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、トリアセチン、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ベンジルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノール、酢酸n-アミル、酢酸n-ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、二塩基酸エステル等が挙げられる。
【0219】
有機溶剤(E)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0220】
有機溶剤(E)の含有量は、感光性組成物の不揮発分が5~60質量%となる量が好ましい。
【0221】
(ハンセン溶解度パラメータの水素結合項が10MPa1/2以上である有機溶剤(E1))
本発明の感光性組成物は、ハンセン溶解度パラメータの水素結合項が10MPa1/2以上である有機溶剤(E1)(以下、単に有機溶剤(E1)ともいう)を、有機溶剤(E)100質量%中、0.1~20質量%含む。
【0222】
ここで、ハンセン溶解度パラメータとは、Hildebrandによって導入された溶解度パラメータを、分散項(以下、δdともいう)、極性項(以下、δpともいう)、水素結合項(以下、δhともいう)の3成分に分割し、3次元空間に表したものである。分散項は分散力による効果、極性項は双極子間力による効果、水素結合項は水素結合力による効果を示す。
【0223】
ハンセン溶解度パラメータの定義と計算は、Charles M.Hansen著「Hansen Solibility Parameters;A Users Handbook(CRC Press,2007)」に記載されている。また、コンピューターソフトウェア「Hansen Solibility Parameters in Practice(HSPiP)」を用いることにより、化学構造からハンセン溶解度パラメータを計算することができる。本発明の有機溶剤(E1)は、Hansen Solibility Parameters;A Users Handbook,Second Editionの値を使用し、記載がないものに関しては、「Hansen Solibility Parameters in Practice(HSPiP)」による計算値を用いる。
【0224】
有機溶剤(E1)は、例えば、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル(δh=10.0)、ジエチレングリコールヘキシルエーテル(δh=10.0)、乳酸ブチル(δh=10.2)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(δh=10.5)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(δh=10.6)、ダイアセトンアルコール(δh=10.8)、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル(δh=11.0)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(δh=11.2)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(δh=11.6)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(δh=12.2)、エチレングリコールモノブチルエーテル(δh=12.3)、3-メチル-1-ブタノール(δh=13.3)、乳酸エチル(δh=12.5)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(δh=12.6)、シクロヘキサノール(δh=13.5)、3-メトキシ-1-ブタノール(δh=13.6)、ベンジルアルコール(δh=13.7)、2-メチル-1-ブタノール(δh=14.3)、エチレングリコールモノエチルエーテル(δh=14.3)、2-ブタノール(δh=14.5)、フルフリルアルコール(δh=15.1)、1-ブタノール(δh=15.8)、エチレングリコールモノメチルエーテル(δh=16.4)、エタノール(δh=19.4)等が挙げられる。
【0225】
有機溶剤(E1)の水素結合項は、保存安定性の観点から、10~20MPa1/2が好ましく、10~16MPa1/2がより好ましい。
【0226】
有機溶剤(E1)は、低温加熱後の耐性の観点から、20℃での蒸気圧が100Pa以上であることが好ましい。
20℃での蒸気圧が100Pa以上の有機溶剤(E1)は、例えば、プロピレングリコールモノエチルエーテル(蒸気圧900Pa)、ダイアセトンアルコール(蒸気圧108Pa)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(蒸気圧1,150Pa)、エチレングリコールモノブチルエーテル(蒸気圧100Pa)、乳酸エチル(蒸気圧360Pa)、シクロヘキサノール(蒸気圧130Pa)、3-メトキシ-1-ブタノール(蒸気圧160Pa)、2-メチル-1-ブタノール(蒸気圧420Pa)、エチレングリコールモノエチルエーテル(蒸気圧500Pa)、1-ブタノール(蒸気圧580Pa)、エチレングリコールモノメチルエーテル(蒸気圧830Pa)、エタノール(蒸気圧5,800Pa)等が挙げられる。
【0227】
有機溶剤(E1)は、少なくとも2種含むことがより好ましい。
【0228】
有機溶剤(E1)の含有量は、保存安定性の観点から、有機溶剤(E)100質量%中、0.5~15質量%がより好ましい。
【0229】
(有機溶剤(E1)以外の有機溶剤(E2))
有機溶剤(E1)以外の有機溶剤(E2)(単に有機溶剤(E2)ともいう)は、特に限定されるものではなく、公知の化合物を使用できる。
【0230】
有機溶剤(E2)は、プロピレングリコールジアセテート、3-メトキシブチルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、3-エトキシプロピオン酸エチル、シクロペンタノン、3-メトキシプロピオン酸メチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、及び酢酸ブチルからなる群から選ばれる1種以上を含むことが好ましい。
【0231】
本発明の感光性組成物は、環境面の観点から、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン、ベンゼン、クロロベンゼン等)である有機溶剤は、実質的に含有しないことが好ましい。実質的に含有しないとは、感光性組成物中、50質量ppm以下であり、30質量ppm以下が好ましく、10質量ppm以下がより好ましい。
【0232】
[チオール系連鎖移動剤(F)]
本発明の感光性組成物は、低温加熱後の耐性の観点から、チオール系連鎖移動剤(F)を含むことが好ましい。これにより、露光工程で、酸素による重合阻害を受けにくいチイルラジカルが発生し光硬化が進み、低温加熱後の耐性が向上すると推測する。
【0233】
チオール系連鎖移動剤(F)は、例えば、チオフェノール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンゾオキサゾール、2-メルカプト-5-メトキシベンゾチアゾール、2-メルカプト-5-ベンゾイミダゾール、ブタンチオール、オクタンチオール、1-ドデカンチオール、3-メルカプトプロピオン酸メチル、3-メルカプトプロピオン酸エチル、3-メルカプトプロピオン酸オクチル、3-メルカプトプロピオン酸2-エチルヘキシル等の単官能チオール化合物;
2-メルカプトエタノール、1-チオグリセロール、チオグリコール酸、2-メルカプト安息香酸、3-メルカプト安息香酸、4-メルカプトニコチン酸、2-メルカプトプロピオン酸、3-メルカプトプロピオン酸、4-メルカプトブタン酸、チオグリコール酸オクチル、メルカプトこはく酸、11-メルカプトウンデカン酸、2-メルカプトエタンスルホン酸等の水酸基又は酸性基を有する単官能チオール化合物;
ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4-ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4-ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシア、1,4-ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6-トリメルカプト-s-トリアジン、2-(N,N-ジブチルアミノ)-4,6-ジメルカプト-s-トリアジン等の多官能チオール化合物が挙げられる。
【0234】
チオール系連鎖移動剤(F)は、酸性基を有する単官能チオール化合物が好ましい。
【0235】
チオール系連鎖移動剤(F)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0236】
チオール系連鎖移動剤(F)の含有量は、感光性組成物の不揮発分100質量%中、0.5~10質量%が好ましい。
【0237】
[シランカップリング剤(G)]
本発明の感光性組成物は、低温加熱後の耐性の観点から、シランカップリング剤(G)を含むことが好ましい。これにより、シランカップリング剤(G)が、基材表面の官能基や感光性組成物に含まれる他の成分の官能基と反応し、低温加熱後の耐性が向上すると推測する。
【0238】
シランカップリング剤(G)は、加水分解性基及びそれ以外の官能基を有する化合物である。前記加水分解性基とは、ケイ素原子に直結し、加水分解反応及び縮合反応の少なくともいずれかの反応によってシロキサン結合を生じる基である。前記加水分解性基は、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基等が挙げられる。これらの中でも、アルコキシ基が好ましい。アルコキシ基は、反応性の観点から、メトキシ基、エトキシ基が好ましい。
また、前記それ以外の官能基は、例えば、エポキシ基、アミノ基、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、メルカプト基、オキセタニル基、スチリル基、ウレイド基等が挙げられる。
なお、本明細書では、シランカップリング剤(G)は、アルカリ可溶性樹脂(B)、重合性化合物(C)には含まれない。
【0239】
シランカップリング剤(G)は、例えば、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、トリス-(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリアルコキシシラン等が挙げられる。
【0240】
シランカップリング剤(G)の市販品は、例えば、信越シリコーン社製のKBM-302、KBM-402、KBM-403、KBE-402、KBE-403、KBM-4803、KBM-602、KBM-603、KBM-903、KBE-9103P、KBM-573、KBM-6803、KBM-1003、KBE-1003、KBM-502、KBM-503、KBE-502、KBE-503、KBM-5803、X-12-1048、X-12-1050、KBE-9007N、KBM-9659、KBM-802、KBM-803、KBM-1043、KBE-585A、X-12-1048、X-12-50等が挙げられる。
【0241】
また、シランカップリング剤(G)は、ポリマータイプであってもよい。ポリマータイプは、ポリシロキサンタイプ、有機ポリマータイプが挙げられる。
【0242】
ポリシロキサンタイプは、主鎖にポリシロキサン骨格を有するポリマーに、前記加水分解性基及び前記それ以外の官能基が結合する化合物である。ポリシロキサンタイプの市販品は、信越シリコーン社製のKR-513、KR-516、KR-517、X-41-1805、X-41-1810等が挙げられる。
【0243】
有機ポリマータイプは、主鎖が有機構造である有機ポリマーに、前記加水分解性基及び前記それ以外の官能基が結合したシランカップリング剤(G)である。有機ポリマータイプの市販品は、信越シリコーン社製のX-12-9815、X-12-9845、X-12-1154、X-12-972F、X-12-1159L等が挙げられる。
【0244】
シランカップリング剤(G)は、下記一般式(10)で表される化合物を含むことが好ましい。一般式(10)で表される化合物は、ウレタン結合を有するため、ウレタン結合間や感光性組成物に含まれる他の成分の官能基と水素結合を形成し、強固な膜となる。また、ウレタン結合は柔軟性を有するため、強固でありながらも柔軟性を有する膜となると推測する。
【0245】
一般式(10)
【化19】
【0246】
一般式(10)中、3つのRは、それぞれ独立して水素原子、又は炭素数1~4のアルキル基を表し、Rは、炭素数1~8のアルキレン基を表し、Qは、下記一般式(Q-1)~(Q-4)のいずれかで表される基であり、nは、1~10の整数を表す。
【0247】
【化20】
【0248】
一般式(Q-1)中、Rは、炭素数1~8のアルキレン基を表す。一般式(Q-1)~(Q-4)中、Rは、それぞれ独立して水素原子、又はメチル基を表す。*は、酸素原子との結合手である。
【0249】
一般式(10)中、3つのRは、メチル基が好ましい。
【0250】
一般式(10)中、Qは、一般式(Q-1)~(Q-3)が好ましい。
【0251】
シランカップリング剤(G)の分子量(式量)、又は重量平均分子量は、100~3,000が好ましく、150~1,500がより好ましい。
【0252】
シランカップリング剤(G)の酸価は、10mgKOH/g以下が好ましい。
【0253】
シランカップリング剤(G)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0254】
シランカップリング剤(G)の含有量は、感光性組成物の不揮発分100質量%中、0.1~10質量%が好ましい。
【0255】
[熱架橋性化合物(H)]
本発明の感光性組成物は、低温加熱後の耐性の観点から、熱架橋性化合物(H)を含むことが好ましい。これにより、加熱で熱架橋性化合物(H)が架橋し、耐性が向上する。なお、本明細書では、熱架橋性化合物(H)は、アルカリ可溶性樹脂(B)、重合性化合物(C)には含まれない。
【0256】
熱架橋性化合物(H)は、熱架橋性基を有する化合物であれば特に限定されるものではなく、公知の化合物を使用できる。例えば、エポキシ基を有する化合物、ブロックイソシアネート基を有する化合物、オキセタニル基を有する化合物、メチロール基を有する化合物、フェノール基を有する化合物、アルコキシアルキル基を有する化合物等が挙げられる。これらの中でも、エポキシ基を有する化合物、及びブロックイソシアネート基を有する化合物からなる群から選ばれる1種以上を含むことが好ましい。
【0257】
熱架橋性化合物(H)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0258】
熱架橋性化合物(H)の含有量は、感光性組成物の不揮発分100質量%中、0.5~40質量%が好ましく、1~30質量%がより好ましい。
【0259】
(エポキシ基を有する化合物(H1))
熱架橋性化合物(H)は、エポキシ基を有する化合物(H1)を含むことが好ましい。これにより、加熱でエポキシ基が架橋し、耐性がより向上する。
【0260】
エポキシ基とは、3員環の環状エーテル構造を有する基で、脂環式エポキシ基も含まれる。エポキシ基を有する化合物は、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル等のビスフェノールのポリグリシジルエーテル化合物;
1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル化合物;
エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコールにアルキレンオキサイドを付加したポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル化合物;
3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-1-メチルシクロヘキシル-3,4-エポキシ-1-メチルヘキサンカルボキシレート、6-メチル-3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-6-メチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-3-メチルシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシ-3-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-5-メチルシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシ-5-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル-5,5-スピロ-3,4-エポキシ)シクロヘキサン-メタジオキサン、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルカルボキシレート、メチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサン)、エチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、1-エポキシエチル-3,4-エポキシシクロヘキサン、ブタンテトラカルボン酸テトラ(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)修飾ε-カプロラクトン等の分子内に2個以上の3,4-エポキシシクロヘキシル基を有する化合物;
2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物等が挙げられる。
【0261】
エポキシ基を有する化合物(H1)の市販品は、例えば、油化シェルエポキシ社製のエピコート807,815,825,827,828,190P,191P、三井化学社製のTECHMORE VG3101L、日本化薬社製のEPPN-201,501H,502H、EOCN-102S,103S,104S,1020、ジャパンエポキシレジン社製のエピコート1004,1256、JER1032H60,157S65,157S70,152,154、ダイセル化学工業社製のセロキサイド2021、EHPE-3150、エポリードGT401、ナガセケムテックス社製のデナコールEX-211,212,252,313,314,321,411,421,512,521,611,612,614,614B,622,711,721、日産化学工業社製のTEPIC-L,H,S、DIC社製のEPICLON 830,840,850,860,1050,3050,4050,N-660、N-670,N-740,N-770,N865,HP-7200,HP-4700,HP-4770,HP-5000,HP-6000,HP-9500等が挙げられる。
【0262】
エポキシ基を有する化合物(H1)は、分子内に2~50個のエポキシ基を有する化合物が好ましい。
【0263】
エポキシ基を有する化合物(H1)のエポキシ当量は、50~400g/eqが好ましく、100~200g/eqがより好ましい。なお、エポキシ当量とは、1当量のエポキシ基を含むエポキシ化合物の質量で定義される。
【0264】
エポキシ基を有する化合物(H1)は、低温加熱後の耐性の観点から、下記一般式(11)で表される化合物を含むことがより好ましい。
【0265】
一般式(11)
【化21】
【0266】
一般式(11)中、Rはm価のアルコールからm個の水酸基を除いた基を表し、mは1~6、nは1~30の整数を表す。
【0267】
Rは、m価のアルコールからm個の水酸基を除いた基を表す。
m価のアルコールからm個の水酸基を除いた基は、炭素数2~20のアルキル基が好ましく、直鎖状でも、分岐状でも、環状でも、それらが結合したものであってもよい。炭素数2~20のアルキル基は、例えば、エチル基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、3,3-ジメチルブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、シクロペンチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルメチル基等が挙げられる。これらの中でも、炭素数3~12の分岐のアルキル基がより好ましい。
mは1~6、nは1~30の整数を表す。
mが2以上の場合、一般式(11)中のそれぞれのカッコ内の基におけるnは同一でもよく、異なっていてもよい。
【0268】
一般式(11)で表される化合物は、例えば、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物が挙げられる。市販品は、ダイセル社製のEHPE-3150、EHPE-3150CE等が挙げられる。
【0269】
エポキシ基を有する化合物(H1)の酸価は、10mgKOH/g以下が好ましい。
【0270】
エポキシ基を有する化合物(H1)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0271】
エポキシ基を有する化合物(H1)の含有量は、熱架橋性化合物(H)100質量%中、0.5~20質量%が好ましく、1~15質量%がより好ましい。
【0272】
(ブロックイソシアネート基を有する化合物(H2))
熱架橋性化合物(H)は、ブロックイソシアネート基を有する化合物(H2)を含むことが好ましい。
【0273】
ブロックイソシアネート基を有する化合物(H2)は、イソシアネート基を有する化合物のイソシアネート基を、ブロック剤で保護した化合物である。前記ブロックイソシアネート基のブロック剤の脱離温度は、60~160℃が好ましく、70~130℃がより好ましく、80~100℃が特に好ましい。
【0274】
ブロックイソシアネート基を有する化合物(H2)は、イソシアネート基を有する化合物とブロック剤を公知の方法で反応させることで得ることができる。例えば、特開昭52-116420号公報、特開昭60-149572号公報、特開平7-31953号公報、特開平10-306136号公報、特開2012-012567号公報等に記載が挙げられる。
【0275】
ブロック剤は、オキシム化合物、ラクタム化合物、フェノール化合物、アルコール化合物、アミン化合物、活性メチレン化合物、ピラゾール化合物、メルカプタン化合物、イミダゾール化合物、及びイミド化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、オキシム化合物、フェノール化合物、活性メチレン化合物、ピラゾール化合物がより好ましく、低温加熱後の耐性の観点から、活性メチレン化合物が特に好ましい。活性メチレン化合物の脱離温度、又はエステル交換反応の温度は、80~110℃と低く、低温でも十分に反応し耐性が向上する。
【0276】
活性メチレン化合物は、下記一般式(50)で示す化合物が好ましい。
一般式(50)
【化22】


一般式(50)中、R11、R12、R13、R21、R22、R23はそれぞれ独立に、水素原子、又はヒドロキシ基及びアミノ基からなる群より選択される1種以上の置換基を含んでもよいアルキル基である。波線は結合手を表す。
【0277】
イソシアネート基を有する化合物は、例えば、ブタン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族構造を有する化合物;
シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジメチルシクロヘキシルジイソシアネート、メチルシクロヘキシルジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4'-ジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の脂環式構造を有する化合物;
1,5-ナフチレンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4'-ジベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、m-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ビスクロロメチルジフェニルメタンジイソシアネート、2,6-ジイソシアネート-ベンジルクロライド、ビス(イソシアネートメチル)ベンゼン等の芳香族構造を有する化合物が挙げられる。また、これら化合物のビュレット体、イソシアヌレート体、アダクト体、アロファネート体、及びこれら化合物とポリオールの反応物等が挙げられる。
【0278】
イソシアネート基を有する化合物は、脂肪族構造を有する化合物、又は脂環式構造を有する化合物のビュレット体、イソシアヌレート体、アダクト体、アロファネート体が好ましい。
【0279】
ブロックイソシアネート基を有する化合物(H2)は、例えば、以下の化合物が挙げられる。以下の構造式中、Xは、ブロックイソシアネート基を表す。なお、本発明はこれらに限定されない。
【0280】
【化23】
【0281】
上記化合物のX(ブロックイソシアネート基)は、例えば、以下の(X-1)~(X-10)で示すいずれかの構造が挙げられる。以下の構造中、*は結合部を表す。なお、本発明はこれらに限定されない。
【0282】
【化23】

【0283】
ブロックイソシアネート基を有する化合物(H2)の市販品は、脂肪族構造を有する化合物として、例えば、旭化成社製のデュラネートSBN-70D,SBB-70P,SBF-70E,TPA-B80E,17B-60P,MF-B60B,E402-B80B,MF-K60B,WM44-L70G、三井化学社製のタケネートB-882、Baxenden Chemical社製のBI7960,BI7961,BI7982,BI7991,BI7992等;
脂環式構造を有する化合物のとして、例えば、三井化学社製のタケネートB-846N、東ソー社製のコロネートBI-301,2507,2554、Baxenden Chemical社製のBI7950,BI7951,BI7990等;
芳香族構造を有する化合物として、例えば、三井化学社製のタケネートB-830,B-815N等が挙げられる。
【0284】
ブロックイソシアネート基を有する化合物(H2)のブロックイソシアネート基の数は、1~20個が好ましく、2~15個がより好ましい。
【0285】
ブロックイソシアネート基を有する化合物(H2)の重量平均分子量は、300~5,000が好ましく、500~3,000がより好ましい。
【0286】
ブロックイソシアネート基を有する化合物(H2)の酸価は、10mgKOH/g以下が好ましい。
【0287】
ブロックイソシアネート基を有する化合物(H2)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0288】
ブロックイソシアネート基を有する化合物(H2)の含有量は、熱架橋性化合物(H)100質量%中、0.5~20質量%が好ましく、1~15質量%がより好ましい。
【0289】
熱架橋性化合物(H)は、低温加熱後の耐性の観点でエポキシ基を有する化合物(H1)、及びブロックイソシアネート基を有する化合物(H2)を併用することがより好ましい。
エポキシ基を有する化合物(H1)とブロックイソシアネート基を有する化合物(H2)との質量比は、5:95~95:5が好ましく、10:90~90:10がより好ましい。
【0290】
[染料(I)]
本発明の感光性組成物は、染料(I)を含有できる。
【0291】
染料(I)は、特に制限はなく、公知の化合物を使用できる。例えば、酸性染料、直接染料、塩基性染料、造塩染料、油溶性染料、分散染料、反応染料、媒染染料、建染染料、硫化染料等が挙げられる。また、これらの誘導体や、染料をレーキ化したレーキ顔料も挙げられる。
【0292】
酸性染料は、スルホ基やカルボキシル基等の酸性基を有することが好ましい。また、酸性染料と、四級アンモニウム塩化合物、三級アミン化合物、二級アミン化合物、又は一級アミン化合物等の含窒素化合物との塩である造塩化合物が好ましい。また、これらの官能基を有する樹脂成分と酸性染料との塩である造塩化合物も好ましい。また、造塩化合物は、スルホンアミド化してスルホン酸アミド化合物に変性することで耐性(耐光性、耐溶剤性)に優れた感光性組成物を得やすい。
また、酸性染料とオニウム塩基を有する化合物との造塩化合物も、耐性(耐光性、溶剤耐性)に優れるため好ましい。なお、オニウム塩基を有する化合物は、カチオン性基を有する樹脂が好ましい。
【0293】
塩基性染料は、そのままでも使用できるが、有機酸や過塩素酸又はその金属塩と塩を形成する造塩化合物が好ましい。塩基性染料の造塩化合物は、耐性(耐光性、耐溶剤性)や、顔料との親和性が優れているため好ましい。また、塩基性染料の造塩化合物で、カウンタイオンとしてはたらくアニオン成分は、有機スルホン酸、有機硫酸、フッ素基含有リンアニオン化合物、フッ素基含有ホウ素アニオン化合物、シアノ基含有窒素アニオン化合物、ハロゲン化炭化水素基を有する有機酸の共役塩基を有するアニオン化合物、酸性染料とを造塩した造塩化合物が好ましい。なお、造塩化合物は、分子中に重合性不飽和基を含有すると耐性がより向上する。
【0294】
染料(I)の化学構造は、例えば、アゾ系染料、ジスアゾ系染料、アゾメチン系染料(インドアニリン系染料、インドフェノール系染料など)、ジピロメテン系染料、キノン系染料(ベンゾキノン系染料、ナフトキノン系染料、アントラキノン系染料、アントラピリドン系染料など)、カルボニウム系染料(ジフェニルメタン系染料、トリフェニルメタン系染料、キサンテン系染料、アクリジン系染料など)、キノンイミン系染料(オキサジン系染料、チアジン系染料など)、アジン系染料、ポリメチン系染料(オキソノール系染料、メロシアニン系染料、アリーリデン系染料、スチリル系染料、シアニン系染料、スクアリリウム系染料、クロコニウム系染料など)、キノフタロン系染料、フタロシアニン系染料、ナフタロシアニン系染料、サブフタロシアニン系染料、ペリノン系染料、インジゴ系染料、チオインジゴ系染料、キノリン系染料、ニトロ系染料、ニトロソ系染料、ローダミン系染料、及びそれらの金属錯体系染料等から選ばれる染料に由来する色素構造が挙げられる。
【0295】
これらの中でも、色相、色分離性、色むらなどの色特性の観点から、アゾ系染料、キサンテン系染料、シアニン系染料、トリフェニルメタン系染料、アントラキノン系染料、ジピロメテン系染料、スクアリリウム系染料、キノフタロン系染料、フタロシアニン系染料、ナフタロシアニン系染料、サブフタロシアニン系染料から選ばれる色素に由来する色素構造が好ましく、キサンテン系染料、シアニン系染料、トリフェニルメタン系染料、アントラキノン系染料、ジピロメテン系染料、フタロシアニン系染料から選ばれる色素に由来する色素構造がより好ましい。
【0296】
染料(I)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0297】
染料(I)の含有量は、感光性組成物の不揮発分100質量%中、0.5~60質量%が好ましく、1~50質量%がより好ましい。
【0298】
[顔料誘導体(J)]
本発明の感光性組成物は、顔料誘導体(J)を含有できる。これにより、顔料(A)を安定的に分散できる。
【0299】
顔料誘導体(J)は、特に制限はなく、公知の化合物を使用できる。例えば、顔料の一部が、酸性基、塩基性基、中性基等で置換された構造を有する化合物が挙げられる。例えば、スルホ基、カルボキシル基、リン酸基などの酸性置換基を有する化合物、及びこれらのアミン塩や、スルホンアミド基や末端に3級アミノ基などの塩基性置換基を有する化合物、フェニル基やフタルイミドアルキル基などの中性置換基を有する化合物が挙げられる。
顔料は、例えば、ジケトピロロピロール化合物、フタロシアニン化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、ジオキサジン化合物、ペリノン化合物、ペリレン化合物、チアジンインジゴ化合物、トリアジン化合物、ベンズイミダゾロン化合物、ベンゾイソインドール化合物、イソインドリン化合物、イソインドリノン化合物、キノフタロン化合物、ナフトール化合物、スクアリリウム化合物、スレン化合物、ナフタロシアニン化合物等が挙げられる。
【0300】
例えば、ピロロピロール系顔料誘導体としては、特開2001-220520号公報、国際公開第2009/081930号、国際公開第2011/052617号、国際公開第2012/102399号、特開2017-156397号公報、国際公開第2018/101189号、フタロシアニン系顔料誘導体としては、特開2007-226161号公報、国際公開第2016/163351号、特開2017-165820号公報、特許第5753266号公報、アントラキノン系顔料誘導体としては、特開昭63-264674号公報、特開平09-272812号公報、特開平10-245501号公報、特開平10-265697号公報、特開2007-079094号公報、国際公開第2009/025325号、キナクリドン系顔料誘導体としては、特開昭48-54128号公報、特開平03-9961号公報、特開2000-273383号公報、ジオキサジン系顔料誘導体としては、特開2011-162662号公報、チアジンインジゴ系顔料誘導体としては、特開2007-314785号公報、トリアジン系顔料誘導体としては、特開昭61-246261号公報、特開平11-199796号公報、特開2003-165922号公報、特開2003-168208号公報、特開2004-217842号公報、特開2007-314681号公報、ベンゾイソインドール系顔料誘導体としては、特開2009-57478号公報、キノフタロン系顔料誘導体としては、特開2003-167112号公報、特開2006-291194号公報、特開2008-31281号公報、特開2012-226110号公報、ナフトール系顔料誘導体としては、特開2012-208329号公報、特開2014-5439号公報、スクアリリウム系顔料誘導体としては、国際公開第2020/054718号、アゾ系顔料誘導体としては、特開2001-172520号公報、特開2012-172092号公報、酸性置換基としては、特開2004-307854号公報、塩基性置換基としては、特開2002-201377号公報、特開2003-171594号公報、特開2005-181383号公報、特開2005-213404号公報等に記載の公知の色素誘導体が挙げられる。なお、これらの文献には、誘導体、色素誘導体、分散剤、分散助剤、顔料分散剤若しくは単に化合物などと記載している場合があるが、顔料誘導体(J)と同義である。
【0301】
顔料誘導体(J)は、顔料(A)の微細化時に添加するか、顔料(A)の分散処理時に添加することが好ましい。顔料誘導体(J)の平均一次粒子径は、5~200nmが好ましい。
【0302】
顔料誘導体(J)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0303】
顔料誘導体(J)の含有量は、顔料(A)100質量部に対して、1~50質量部が好ましく、2~40質量部がより好ましい。
【0304】
[分散樹脂(K)]
本発明の感光性組成物は、分散樹脂(K)を含有できる。これにより、顔料(A)を安定して分散できる。なお、本明細書では分散樹脂(K)は、アルカリ可溶性樹脂(B)に含まれない。
【0305】
分散樹脂(K)は、顔料(A)に親和性が高い吸着基を有している樹脂が好ましい。吸着基は、塩基性基及び酸性基のうち1種以上有していることが好ましい。
【0306】
塩基性基は、例えば、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、4級アンモニウム塩基、及び含窒素複素環など窒素原子を含有する基等が挙げられる。
【0307】
酸性基は、例えば、カルボキシル基、リン酸基、及びスルホン酸基等が挙げられる。
【0308】
分散樹脂(K)の樹脂種は、例えば、ウレタン樹脂、ポリアクリレート等のポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩等、(メタ)アクリル酸-スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、リン酸エステル系等が挙げられる。
【0309】
分散樹脂(K)の構造は、例えば、ランダム構造、ブロック構造、グラフト構造、くし型構造及び星型構造等が挙げられる。これらの中でも、分散安定性の観点から、ブロック構造、グラフト構造、くし型構造が好ましい。
【0310】
分散樹脂(K)は、低温加熱後の耐性の観点から、熱架橋性基及び/又は重合性不飽和基を有することが好ましい。熱架橋性基は、例えば、環状エーテル基、ブロックイソシアネート基、アセトアセトキシ基、アルコキシシリル基、3級アルキル基等が挙げられる。
【0311】
分散樹脂(K)は、例えば、国際公開第2013/175978号の段落番号0122~0155に記載の樹脂、特開2019-78878号公報の段落番号0317~0321に記載の樹脂、国際公開第2018/139534号の段落番号0083に記載の樹脂、国際公開第2019/163505号の段落番号0167~0191に記載の樹脂、国際公開第2021/131927号の段落番号0299~0310に記載の樹脂、国際公開第2022/102367号の段落番号0080~0085に記載の樹脂、国際公開第2022/172607号の段落番号0099~0109に記載の樹脂等が挙げられる。
【0312】
分散樹脂(K)の市販品は、例えば、ビックケミー・ジャパン社製のDisperbyk-101,103,107,108,110,111,116,130,140,154,161,162,163,164,165,166,167,168,170,171,174,180,181,182,183,184,185,190,2000,2001,2009,2010,2020,2025,2050,2070,2095,2150,2155,2163,2164、又はAnti-Terra-U203,204、又はBYK-P104,P104S,220S、又はLactimon、Lactimon-WS、又はBykumen等、日本ルーブリゾール社製のSOLSPERSE-3000,9000,13000,13240,13650,13940,16000,17000,18000,20000,21000,24000,26000,27000,28000,31845,32000,32500,32550,33500,32600,34750,35100,36600,38500,41000,41090,53095,55000,56000,76500等、BASFジャパン社製のEFKA-46,47,48,452,4008,4009,4010,4015,4020,4047,4050,4055,4060,4080,4400,4401,4402,4403,4406,4408,4300,4310,4320,4330,4340,450,451,453,4540,4550,4560,4800,5010,5065,5066,5070,7500,7554,1101,120,150,1501,1502,1503等、味の素ファインテクノ社製のアジスーパーPA111,PB711,PB821,PB822,PB824等、特開2008-029901号公報、特開2009-155406号公報、特開2010-185934号公報、特開2011-157416号公報、国際公開第2008/007776号、特開2008-029901号公報、特開2009-155406号公報、特開2010-185934号公報、特開2011-157416号公報、特開2009-251481号公報、特開2007-23195号公報、特開1996-143651号公報等に記載の樹脂が挙げられる。
【0313】
分散樹脂(K)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0314】
分散樹脂(K)の含有量は、分散安定性の観点から、顔料(A)100質量部に対して、3~200質量部が好ましく、5~150質量部がより好ましい。
【0315】
[増感剤(L)]
本発明の感光性組成物は、増感剤(L)を含有できる。
【0316】
増感剤(L)は、例えば、カルコン化合物、ジベンザルアセトン等に代表される不飽和ケトン類、ベンジルやカンファーキノン等に代表される1,2-ジケトン化合物、ベンゾイ系化合物、フルオレン化合物、ナフトキノン化合物、アントラキノン化合物、キサンテン化合物、チオキサンテン化合物、キサントン化合物、チオキサントン化合物、クマリン化合物、ケトクマリン化合物、シアニン化合物、メロシアニン化合物、オキソノール化合物等のポリメチン色素、アクリジン化合物、アジン化合物、チアジン化合物、オキサジン化合物、インドリン化合物、アズレン化合物、アズレニウム化合物、スクアリリウム化合物、ポルフィリン化合物、テトラフェニルポルフィリン化合物、トリアリールメタン化合物、テトラベンゾポルフィリン化合物、テトラピラジノポルフィラジン化合物、フタロシアニン化合物、テトラアザポルフィラジン化合物、テトラキノキサリロポルフィラジン化合物、ナフタロシアニン化合物、サブフタロシアニン化合物、ピリリウム化合物、チオピリリウム化合物、テトラフィリン化合物、アヌレン化合物、スピロピラン化合物、スピロオキサジン化合物、チオスピロピラン化合物、金属アレーン錯体、有機ルテニウム錯体、又はベンゾフェノン化合物等が挙げられる。これらの中でも、チオキサントン化合物、ベンゾフェノン化合物が好ましい。
【0317】
増感剤(L)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0318】
増感剤(L)の含有量は、重合開始剤(D)100質量部に対して、10~400質量部が好ましく、20~300質量部がより好ましい。
【0319】
[熱架橋促進剤]
本発明の感光性組成物は、熱架橋性化合物(H)の熱架橋を補助するため、熱架橋促進剤を併用することができる。熱架橋促進剤は、例えば、アミン化合物、酸無水物、活性エステル、カルボン酸系化合物、スルホン酸系化合物等が挙げられる。熱架橋促進剤は、例えば、アミン化合物(例えば、ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4-(ジメチルアミノ)-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メトキシ-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メチル-N,N-ジメチルベンジルアミン等)、4級アンモニウム塩化合物(例えば、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド等)、ブロックイソシアネート化合物(例えば、ジメチルアミン等)、イミダゾール誘導体二環式アミジン化合物及びその塩(例えば、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、4-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-(2-シアノエチル)-2-エチル-4-メチルイミダゾール等)、リン化合物(例えば、トリフェニルホスフィン等)、S-トリアジン誘導体(例えば、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン、2-ビニル-2,4-ジアミノ-S-トリアジン、2-ビニル-4,6-ジアミノ-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物等)等が挙げられる。
【0320】
熱架橋促進剤は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0321】
熱架橋促進剤の含有量は、熱架橋性化合物(H)100質量部に対して、0.01~15質量部が好ましい。
【0322】
[紫外線吸収剤(M)]
本発明の感光性組成物は、紫外線吸収剤(M)を含有できる。
【0323】
紫外線吸収剤(M)は、特に制限がなく、公知の化合物を使用できる。例えば、例えば、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、トリアジン化合物、共役ジエン化合物、メチルジベンゾイル化合物、クマリン化合物、アクリルニトリル化合物、ベンゾチアゾール化合物、サリシレート化合物等が挙げられる。これらの中でも、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、及びトリアジン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0324】
ベンゾトリアゾール化合物は、例えば、2-(5-tert-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、ベンゼンプロパン酸及び3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ(C7-9側鎖及び直鎖アルキル)のエステル化合物、2-[5-クロロ-(2H)-ベンゾトリアゾール-2-イル]-4-メチル-6-(tert-ブチル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-(1-メチル-1-フェニルエチル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、2,2'-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール]、2-[2-ヒドロキシ-5-[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール等が挙げられる。市販品は、例えば、BASFジャパン社製のチヌビンPS,99-2,326,384-2,900,928,970,1130、UVA-903KT、ADEKA社製のアデカスタブLA-31RG,LA-31G等が挙げられる。
【0325】
ベンゾフェノン化合物は、例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸三水和物、2-ヒドロキシ-4-オクチロキシベンゾフェノン、4-ベンジロキシ-2-ヒドロキシベンゾフェノン、2,2'-ジヒドロキシ-4,4'-ジメトキシベンゾフェノン、2,2',4,4'-テトラヒドロキシベンゾフェノン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、4,4'-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェ
ノン、4,4'-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2-アミノベンゾフェノン等が挙げられる。市販品は、例えば、BASFジャパン社製のユビナールA,3049,3050、UVA-935LH、ADEKA社製のアデカスタブ1413等が挙げられる。
【0326】
トリアジン化合物は、例えば、2-(4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-ヒドロキシフェニルと[(C10-C16(主としてC12-C13)アルキルオキシ)メチル]オキシランとの反応生成物、2,4-ビス[2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル]-6-(2,4-ジブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-(2-エチル)ヘキシル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス-[{4-(4-エチルヘキシルオキシ)-4-ヒドロキシ}-フェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[2-(2-エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ]-フェノール、2-(2-ヒドロキシ-4-[1-オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)-4,6-ビス(4-フェニルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[(ヘキシル)オキシ]-フェノール等が挙げられる。市販品は、例えば、BASFジャパン社製のチヌビン400,405,406,477,479、ADEKA社製のアデカスタブLA-46,LA-F70等が挙げられる。
【0327】
共役ジエン化合物は、例えば、大東化学社製のUV503等が挙げられる。
【0328】
メチルジベンゾイル化合物は、例えば、1,3-ジフェニル-1,3-プロパンジオン、1-(4-tert-ブチルフェニル)-3-(4-メトキシフェニル)-1,3-プロパンジオン、1,3-ビス(4-メトキシフェニル)-1,3-プロパンジオン等が挙げられる。
【0329】
クマリン化合物は、例えば、4-ヒドロキシクマリン、7-ヒドロキシクマリン等が挙げられる。
【0330】
紫外線吸収剤(M)の含有量は、感光性組成物の不揮発分100質量%中、0.1~5質量%が好ましい。
【0331】
[重合禁止剤(N)]
本発明の感光性組成物は、重合禁止剤(N)を含有できる。
【0332】
重合禁止剤(N)は、例えば、カテコール、レゾールシノール、1,4-ヒドロキノン、2-メチルカテコール、3-メチルカテコール、4-メチルカテコール、2-エチルカテコール、3-エチルカテコール、4-エチルカテコール、2-プロピルカテコール、3-プロピルカテコール、4-プロピルカテコール、2-n-ブチルカテコール、3-n-ブチルカテコール、4-n-ブチルカテコール、2-t-ブチルカテコール、3-t-ブチルカテコール、4-t-ブチルカテコール、3,5-ジ-t-ブチルカテコール等のアルキルカテコール化合物、2-メチルレゾールシノール、4-メチルレゾールシノール、2-エチルレゾールシノール、4-エチルレゾールシノール、2-プロピルレゾールシノール、4-プロピルレゾールシノール、2-n-ブチルレゾールシノール、4-n-ブチルレゾールシノール、2-t-ブチルレゾールシノール、4-t-ブチルレゾールシノール等のアルキルレゾールシノール化合物、メチルヒドロキノン、エチルヒドロキノン、プロピルヒドロキノン、tert-ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-t-ブチルヒドロキノン等のアルキルヒドロキノン化合物、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリベンジルホスフィン等のホスフィン化合物、トリオクチルホスフィンオキサイド、トリフェニルホスフィンオキサイドなどのホスフィンオキサイド化合物、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト等のホスファイト化合物、ピロガロール、フロログルシン等が挙げられる。
【0333】
重合禁止剤(N)の含有量は、感光性組成物の不揮発分100質量%中、0.01~0.4質量%が好ましい。
【0334】
[酸化防止剤(O)]
本発明の感光性組成物は、酸化防止剤(O)を含有できる。
【0335】
酸化防止剤(O)は、感光性組成物中の重合開始剤(D)や熱架橋性化合物(H)が、加熱工程やITOアニール時の熱によって酸化され、黄変することを防ぐ。
【0336】
酸化防止剤(O)は、例えば、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、リン化合物、イオウ化合物、及びヒドロキシルアミン化合物等が挙げられる。これらの中でも、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、リン化合物、イオウ化合物が好ましい。
【0337】
ヒンダードフェノール化合物は、例えば、1,3,5-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、1,1,3-トリス-(2'-メチル-4'-ヒドロキシ-5'-t-ブチルフェニル)-ブタン、4,4'-ブチリデン-ビス-(2-t-ブチル-5-メチルフェノール)、3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリル、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,9-ビス[2-[3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,3,5-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニルメチル)-2,4,6-トリメチルベンゼン、1,3,5-トリス(3-ヒドロキシ-4-t-ブチル-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、2,2'-メチレンビス(6-t-ブチル-4-エチルフェノール)、2,2'-チオジエチルビス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート、N,N-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナムアミド)、i-オクチル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,6-ビス(ドデシルチオメチル)-o-クレゾール、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホン酸モノエチルエステルのカルシウム塩、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール、ビス[3-(3-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)プロピオン酸]エチレンビスオキシビスエチレン、1,6-ヘキサンジオ-ルビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,4-ビス-(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、2,2'-チオ-ビス-(6-t-ブチル-4-メチルフェノール)、2,5-ジ-t-アミル-ヒドロキノン、2,6-ジ-t-ブチル-4-ノニルフェノール、2,2'-イソブチリデン-ビス-(4,6-ジメチル-フェノール)、2,2'-メチレン-ビス-(6-(1-メチル-シクロヘキシル)-p-クレゾール)、2,4-ジメチル-6-(1-メチル-シクロヘキシル)-フェノール等が挙げられる。
【0338】
市販品は、例えば、ADEKA社製のアデカスタブAO-20,AO-30,AO-40,AO-50,AO-60,AO-80,AO-330、ケミプロ社製のKEMINOX101,179,76,9425、BASFジャパン社製のIRGANOX1010,1035,1076,1098,1135,1330,1726,1425WL,1520L,245,259,3114,5057,565、サンケミカル社製のサイアノックスCY-1790,CY-2777等が挙げられる。
【0339】
ヒンダードアミン化合物は、例えば、テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1-ウンデカノキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)カルボネート、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルメタクリレート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルメタクリレート、コハク酸ジメチルと1-(2-ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンとの重縮合物、ポリ[[6-[(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ]-s-トリアジン-2,4-ジイル]-[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]-ヘキサメチレン-[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]]、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジンエタノールと3,5,5-トリメチルヘキサン酸のエステル、N,N'-4,7-テトラキス〔4,6-ビス{N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ}-1,3,5-トリアジン-2-イル〕-4,7-ジアザデカン-1,10-ジアミン、デカン二酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-(オクチルオキシ)-4-ピペリジニル)エステル,1,1-ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピリペリジル)[[3,5-ビス(1,1ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネートメチル1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピリペリジルセバケート、ポリ[[6-モルホリノ-s-トリアジン-2,4-ジイル]-[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]-ヘキサメチレン-[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]]、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル-C12-21およびC18不飽和脂肪酸エステル、N,N'-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,6-ヘキサメチレンジアミン、2-メチル-2-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)アミノ-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)プロピオンアミド等が挙げられる。
【0340】
市販品は、例えば、ADEKA社製のアデカスタブLA-52,LA-57,LA-63P,LA-68,LA-72,LA-77Y,LA-77G,LA-81,LA-82,LA-87,LA-402F,LA-502XP、ケミプロ化成社製のKAMISTAB29,62,77,94、BASFジャパン社製のTinuvin111FDL,123,144,249,292,5100、サンケミカル社製のサイアソ-ブUV-3346,UV-3529,UV-3853等が挙げられる。
【0341】
リン化合物は、例えば、ジ(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、2,2'-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)2-エチルヘキシルホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、テトラ(C12~C15アルキル)-4,4'-イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、ジフェニルモノ(2-エチルヘキシル)ホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、トリス(イソデシル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-4,4-ビフェニルジフォスホニト、トリス(トリデシル)ホスファイト、フェニルイソオクチルホスファイト、フェニルイソデシルホスファイト、フェニルジ(トリデシル)ホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、ジフェニルトリデシルホスファイト、4,4'-イソプロピリデンジフェノールアルキルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリスジノニルフェニルホスファイト、トリス(ビフェニル)ホスファイト、ジ(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、テトラトリデシル4,4'-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサトリデシル1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスファイトジエチルエステル、ソジウムビス(4-t-ブチルフェニル)ホスファイト、ソジウム-2,2-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)-ホスファイト、1,3-ビス(ジフェノキシフォスフォニロキシ)-ベンゼン、亜リン酸エチルビス(2,4-ジt-ブチル-6-メチルフェニル)等が挙げられる。
【0342】
市販品は、例えば、ADEKA社製のアデカスタブPEP-36,PEP-8,HP-10,2112,1178,1500,C,135A,3010,TPP、BASFジャパン社製のIRGAFOS168、クラリアントケミカルズ社製のHostanoxP-EPQ等が挙げられる。
【0343】
イオウ化合物は、例えば、2,2-ビス{〔3-(ドデシルチオ)-1-オキソプロポキシ〕メチル}プロパン-1,3-ジイルビス〔3-(ドデシルチオ)プロピオネート〕、3,3'-チオビスプロピオン酸ジトリデシル、2,2-チオ-ジエチレンビス〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4-ビス〔(オクチルチオ)メチル〕-o-クレゾール、2,4-ビス〔(ラウリルチオ)メチル〕-o-クレゾール等が挙げられる。
【0344】
市販品は、例えば、ADEKA社製のアデカスタブAO-412S,AO-503、ケミプロ化成社製のKEMINOXPLS等が挙げられる。
【0345】
酸化防止剤(O)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0346】
酸化防止剤(O)の含有量は、感光性組成物の不揮発分100質量%中、0.5~5.0質量%が好ましい。
【0347】
[レベリング剤(P)]
本発明の感光性組成物は、レベリング剤(P)を含有できる。これにより、塗工時の基板に対する濡れ性及び乾燥性が向上する。
【0348】
レベリング剤(P)は、例えば、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
【0349】
シリコーン系界面活性剤は、例えば、シロキサン結合からなる直鎖状ポリマーや、側鎖や末端に有機基を導入した変性シロキサンポリマーが挙げられる。
【0350】
市販品は、例えば、ビックケミー社製のBYK-300,306,310,313,315N,320,322,323,330,331,333,342,345,346,347,348,349,370,377,378,3455,UV3510,3570、東レ・ダウコ-ニング社製のFZ-7002,2110,2122,2123,2191,5609、信越化学工業社製のX-22-4952、X-22-4272、X-22-6266、KF-351A、KF-354L、KF-355A、KF-945、KF-640、KF-642、KF-643、X-22-4515、KF-6004、KP-341等が挙げられる。
【0351】
フッ素系界面活性剤は、例えば、フルオロカーボン鎖を有する界面活性剤又はレベリング剤が挙げられる。
【0352】
市販品は、例えば、AGCセイミケミカル社製のサーフロンS-242,243,420,611,651,386、DIC社製のメガファックF-253,477,551,552,555,558,560,570,575,576、R-40-LM、R-41、RS-72-K、DS-21、住友スリーエム社製のFC-4430,4432、三菱マテリアル電子化成社製のEF-PP31N09、EF-PP33G1、EF-PP32C1、ネオス社製フタージェントの602A等が挙げられる。
【0353】
ノニオン性界面活性剤は、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンミリステルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシフェニレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレントリベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタントリオレート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタントリイソステアレート、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、グリセロ-ルモノステアレート、グリセロ-ルモノオレート、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールモノオレート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド、アルキルイミダゾリン等が挙げられる。
【0354】
市販品は、例えば、花王社製のエマルゲン103,104P,106,108,109P,120,123P,130K,147,150,210P,220,306P,320P,350,404,408,409PV,420,430,705,707,709,1108,1118S-70,1135S-70,1150S-60,2020G-HA,2025G,LS-106,LS-110,LS-114,MS-110,A-60,A-90,B-66,PP-290、ラテムルPD-420,PD-430,PD-430S,PD-450、レオドールSP-L10,SP-P10,SP-S10V,SP-S20,SP-S30V,SP-O10V,SP-O30V、スーパーSP-L10,AS-10V,AO-10V,AO-15V,TW-L120,TW-L106,TW-P120,TW-S120V,TW-S320V,TW-O120V,TW-O106V,TW-IS399C、スーパーTW-L120,430V,440V,460V,MS-50,MS-60,MO-60,MS-165V、エマノーン1112,3199V,3299V,3299RV,4110,CH-25,CH-40,CH-60(K),アミ-ト102,105,105A,302,320、アミノーンPK-02S、L-02、ホモゲノールL-95、ADEKA社製のアデカプルロニック(登録商標)L-23,31,44,61,62,64,71,72,101,121、TR-701,702,704,913R、共栄社化学社製の(メタ)アクリル酸共重合体ポリフロ-No.75,No.90,No.95等が挙げられる。
【0355】
カチオン性界面活性剤は、例えばアルキルアミン塩やラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライドなどのアルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。
【0356】
市販品は、例えば、花王社製のアセタミン24、コータミン24P、60W、86Pコンク等が挙げられる。
【0357】
アニオン性界面活性剤は、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン-アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン-アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等が挙げられる。
【0358】
市販品は、例えば、ネオス社製のフタージェント100,150、ADEKA社製のアデカホープYES-25、アデカコールTS-230E,PS-440E,EC-8600等が挙げられる。
【0359】
両性界面活性剤は、例えば、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ステアリルベタイン、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド等のアルキルアミンオキサイド等が挙げられる。
【0360】
市販品は、花王社製のアンヒトール20AB,20BS,24B,55AB,86B,20Y-B,20N等が挙げられる。
【0361】
レベリング剤(P)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0362】
レベリング剤(P)の含有量は、感光性組成物の不揮発分100質量%中、0.001~2.0質量%が好ましい。
【0363】
[貯蔵安定剤(Q)]
本発明の感光性組成物は、貯蔵安定剤(Q)を含有できる。これにより、感光性組成物の経時粘度が安定化する。
【0364】
貯蔵安定剤(Q)は、例えば、ベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびこれらのメチルエーテル、t-ブチルピロカテコール、テトラエチルホスフィン、テトラフェニルなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。
【0365】
貯蔵安定剤(Q)の含有量は、感光性組成物の不揮発分100質量%中、0.05~5質量%が好ましい。
【0366】
本発明の感光性組成物は、上記以外の成分を含有できる。その他成分は、例えば、酸発生剤、塩発生剤、硬化触媒、半導体ナノ結晶、半導体材料、有機エレクトロルミネッセンス材料、絶縁性材料等が挙げられる。その他成分の含有量は、本発明の効果を損なわない範囲において、適宜設定することができる。
【0367】
[特定金属元素の含有量]
本発明の感光性組成物は、感光性組成物に含まれるLi、Na、K、Mg、Ca、Fe、及びCr(以下、特定金属元素ともいう)の合計含有量が、500質量ppm以下であることが好ましい。
【0368】
特定金属元素の合計量が、上記範囲内の感光性組成物は、経時保存後でも分散安定性・感度に優れる。特定金属元素の含有量は、誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP)で測定できる。
【0369】
[水の含有量]
本発明の感光性組成物は、感光性組成物に含まれる水の含有量が2.0質量%以下であることが好ましい。
【0370】
水の含有量が、上記範囲内の感光性組成物は、経時保存後でも分散安定性・感度に優れる。水の含有量は、カールフィッシャー法などの公知の方法で測定できる。
【0371】
[感光性組成物の製造方法]
本発明の感光性組成物は、上述の各成分を混合して調整できる。調整に際しては、各成分を一括配合してもよいし、各成分を重合性化合物(C)や有機溶剤(E)に溶解や分散した後に逐次配合してもよい。
例えば、顔料(A)、分散樹脂(K)、及び有機溶剤(E)等を加えて分散処理を行うことで、分散体を製造する。その後、前記分散体に、アルカリ可溶性樹脂(B)、重合性化合物(C)、重合開始剤(D)等を配合し混合することで製造できる。なお、各材料を配合するタイミングは、任意である。また、分散工程を複数回行うこともできる。
【0372】
分散処理を行う分散機は、例えば、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型ビーズミル、又はアトライター等が挙げられる。
【0373】
分散体中の粒子の平均分散粒子径(二次粒子径)は、30~200nmが好ましく、40~200nmがより好ましい。適度な粒子径を有すると分散安定性が高い感光性組成物が得やすい。
【0374】
平均分散粒子径(二次粒子径)の測定方法は、例えば、動的光散乱法(FFTパワ-スペクトール法)を採用した日機装社のマイクロトラックUPA-EX150を用い、粒子透過性を吸収モード、粒子形状を非球形とし、D50粒子径を平均径とする。測定用の希釈溶剤は分散に使用した有機溶剤をそれぞれ用い、超音波で処理したサンプルについてサンプル調整直後に測定するとバラツキが少ない結果が得られやすく好ましい。
【0375】
感光性組成物は、遠心分離、焼結フィルタやメンブレンフィルタによる濾過等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子、及び混入した塵の除去を行うことが好ましい。本発明の感光性組成物は、実質的に0.5μm以上の粒子を含まないことが好ましく、0.3μm以下の粒子を含まないことがより好ましい。
【0376】
本発明の感光性組成物は、フォトリソグラフィー法でのパターン形成用として使用することが好ましい。なお、本発明はこれに限定されない。
【0377】
<膜>
本発明の膜は、上述した感光性組成物から形成されてなる膜である。膜はパターンを形成した膜が好ましいが、パターン形成せずに平坦膜としても使用できる。
【0378】
[膜の製造方法]
膜の製造方法は、特に限定されず、公知の方法を使用できる。本発明で膜の作製は、全工程を通じて加熱温度は、150℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましい。加熱を150℃以下で行うことにより、画像表示装置の発光光源として有機EL素子を用いた場合や、イメージセンサの光電変換膜が有機素材の場合、プラスチックフィルム等の熱に弱い基材を用いた場合等に、これらの性能を維持することができる。なお、加熱温度は、50℃以上が好ましい。
【0379】
膜の製造は、まず、感光性組成物を基材上に塗工する。基材は、例えば、ガラス、樹脂、シリコン等の基板が挙げられる。ガラスは、無色透明が好ましい。なお、用途によりブルーガラスのような着色ガラスを用いてもよい。基材は、有機発光層を有してもよい。また、基材は、CCD、CMOS等の撮像素子を有してもよい。また、基材上には、必要に応じて、上部との層との密着改良、物質の拡散防止、表面の平坦化のために下塗り層を設けてもよい。
【0380】
塗工方法は、公知の方法を使用できる。例えば、滴下法、スリットコート法、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法、流延塗布法、インクジェット法、フレキソ印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷等が挙げられる。
【0381】
膜の厚さは、目的に応じて適宜調節できる。膜の厚さは、0.05~20.0μmが好ましく、0.3~10.0μmがより好ましい。
【0382】
次に、パターンを形成する。パターンを形成する方法は、フォトリソグラフィー法やドライエッチング法が挙げられる。これらの中でも、フォトリソグラフィー法が好ましい。なお、平坦膜として使用する場合は、パターンを形成する工程を行わなくてよく、塗工後、必要に応じて乾燥や全面を露光する。
【0383】
以下、フォトリソグラフィー法でパターンを形成する方法について詳細に説明する。
フォトリソグラフィー法は、基板上に本発明の感光性組成物を塗工して形成した層を、必要に応じて150℃以下の温度で乾燥した後、マスクを介してパターン状に露光(露光工程)し、未露光部分をアルカリ現像により除去(現像工程)後、パターンを加熱処理(加熱工程)する。
【0384】
〔露光工程〕
露光工程は、塗工で形成した層を、例えば、ステッパー等の露光装置を用い、マスクを介して特定のパターンを露光する。これにより、露光部分を硬化することができる。露光に用いる活性エネルギー線は、例えば、g線(波長436nm)、h線(波長405nm)、i線(波長365nm)等の紫外線が挙げられる。また、波長300nm以下の光を用いることもできる。波長300nm以下の光は、例えば、KrF線(波長248nm)、ArF線(波長193nm)等が挙げられる。
また、露光に際しては、光を連続的に照射して露光してもよく、短時間(例えば、ミリ秒レベル以下)のサイクルで光の照射と休止を繰り返して露光(パルス露光)してもよい。
また、複数の活性エネルギー線を併用したり、複数回に分けて露光することもできる。
【0385】
〔現像工程〕
次に、アルカリ現像液で処理を行うことで、未露光部分の層がアルカリ現像液に溶出し、硬化部分のみが残りパターン状の膜が得られる。
アルカリ現像液は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8-ジアザビシクロ-〔5.4.0〕-7-ウンデセン等のアルカリ性化合物が挙げられる。
アルカリ現像液の濃度は、0.001~10質量%が好ましく、0.01~1質量%がより好ましい。アルカリ現像液のpHは、11~13が好ましく、11.5~12.5がより好ましい。適度なpHで使用するとパターンの荒れや剥離を抑制し、現像後の残膜率が向上する。
現像方法は、例えば、ディップ法、スプレー法、パドル法等が挙げられる。現像温度は15~40℃が好ましい。なお、アルカリ現像後は、純水で洗浄することが好ましい。
【0386】
〔加熱工程〕
現像後、加熱処理を行う。加熱により、膜の耐性が向上する。
加熱温度は、150℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましい。加熱時間は、2分間~2時間程度が好ましい。
【0387】
<光学フィルタ>
本発明の光学フィルタは、上記膜を有する。光学フィルタは、例えば、カラーフィルタ、ブラックマトリックス、遮光フィルタ、反射防止フィルタ、赤外線カットフィルタ、赤外線透過フィルタ、マイクロレンズ等に用いられる。本発明の光学フィルタの製造は、上述の膜と同様の方法で製造できる。
【0388】
<固体撮像素子>
本発明の固体撮像素子は、上記光学フィルタを有する。
固体撮像素子は、本発明の光学フィルタを備え、固体撮像素子として機能すれば特に制限されないが、例えば、以下のような構成が挙げられる。
【0389】
基材上に、固体撮像素子(CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ等)の受光エリアを構成する複数のフォトダイオードおよびポリシリコン等からなる転送電極を有し、フォトダイオードおよび転送電極上にフォトダイオードの受光部のみ開口した遮光膜を有し、遮光膜上に遮光膜全面およびフォトダイオード受光部を覆うように形成された窒化シリコン等からなるデバイス保護膜を有し、デバイス保護膜上に、本発明の光学フィルタ(カラーフィルタ)を有する構成である。さらに、デバイス保護膜上であって光学フィルタの下(基材に近い側)に集光手段(例えば、マイクロレンズ等。以下同じ)を有する構成や、光学フィルタ上に集光手段を有する構成等であってもよい。また、フィルタは、隔壁により例えば格子状に仕切られた空間に、各着色画素を形成する硬化膜が埋め込まれた構造を有していてもよい。この場合の隔壁は、各着色画素に対して低屈折率であることが好ましい。
本発明の固体撮像素子を備えた撮像装置は、例えば、デジタルカメラ、撮像機能を有する電子機器(携帯電話、スマートフォン等)、車載カメラ、監視カメラ等様々な用途に使用できる。
【0390】
<画像表示装置>
本発明の画像表示装置は、上記光学フィルタを有する。画像表示装置は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等が挙げられる。
画像表示装置に用いる形態は、画像表示装置として機能すればよく、特に制限されない。例えば、以下のような液晶ディスプレイの構成が挙げられる。
【0391】
液晶ディスプレイは、カラーフィルタと、TFTアレイ基板等を有する対向基板と、カラーフィルタと対向基板との間に形成された液晶層を備えている。液晶ディスプレイの駆動方式としては、例えば、TN方式、IPS方式、OCB方式、及びMVA方式等が挙げられる。対向基板は、駆動方式に応じて適宜選択して用いることができる。液晶層は、駆動方式に応じて、誘電異方性の異なる各種液晶、及びこれらの混合物を用いることができる。
【0392】
具体的には、「次世代液晶ディスプレイ技術(内田龍男著、(株)工業調査会、1994年発行)、「電子ディスプレイデバイス(佐々木昭夫著、(株)工業調査会、1990年発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹順章著、産業図書(株)、平成元年発行)」等に記載されている。
【0393】
<赤外線センサ>
本発明の赤外線センサは、上記光学フィルタを有する。
赤外線センサに用いる形態は、本発明の光学フィルタを備え、赤外線センサとして機能すれば特に制限されないが、例えば、以下のような構成が挙げられる。
【0394】
基板上に、固体撮像素子(CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ等)の受光エリアを構成する複数のフォトダイオードおよびポリシリコン等からなる転送電極を有する。これらフォトダイオード及び転送電極上に、フォトダイオードの受光部のみ開口した遮光膜を有する。この遮光膜上に、デバイス保護膜を有し、更にこのデバイス保護膜上に、本発明の光学フィルタを有する。さらに、デバイス保護膜上であって光学フィルタの下(基材に近い側)に集光手段(例えば、マイクロレンズ等。以下同じ)を有する構成や、光学フィルタ上に集光手段を有する構成等であってもよい。
【0395】
図1は、本発明の光学フィルタを備えた赤外線センサの構成例を示す概略断面図である。図1に示す赤外線センサは100、固体撮像素子110を備える。
【0396】
固体撮像素子110上に設けられている撮像領域は、赤外線カットフィルタ111とカラーフィルタ112とを組み合せて構成されている。
【0397】
赤外線カットフィルタ111は、本発明の感光性組成物を用いて形成できる。赤外線カットフィルタ111は、可視光領域の光(例えば、波長400~700nmの光)を透過し、赤外領域の光(例えば、波長800~1,300nmの光)を遮蔽する。
【0398】
カラーフィルタ112は、可視光領域における特定波長の光を透過及び吸収する画素が形成されたカラーフィルタであって、例えば、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の画素が形成されたカラーフィルタ等が用いられる。
【0399】
赤外線透過フィルタ113と固体撮像素子110との間には、赤外線透過フィルタ113を透過した波長の光を透過可能な樹脂膜114が配置されている。
【0400】
赤外線透過フィルタ113は、本発明の感光性組成物を用いて形成することができ、可視光遮蔽性を有し、かつ、特定波長の赤外線を透過させるフィルタである。赤外線透過フィルタ113は、例えば、波長400~830nmの光を遮光し、波長900~1,300nmの光を透過させることが好ましい。
【0401】
カラーフィルタ112、及び赤外線透過フィルタ113の入射光h側には、マイクロレンズ115が配置されている。マイクロレンズ115を覆うように平坦化膜116が形成されている。
【0402】
図1に示す形態では、樹脂膜114が配置されているが、樹脂膜114に代えて赤外線透過フィルタ113を形成してもよい。
【0403】
この赤外線センサによれば、画像情報を同時に取り込めるため、動きを検知する対象を認識したモーションセンシング等が可能である。また、この赤外線センサによれば、距離情報を取得できるため、3D情報を含んだ画像の撮影等も可能である。更に、この赤外線センサは、生体認証センサとしても使用できる。
【実施例0404】
以下、実施例で本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は実施例に限定されない。なお、「部」は「質量部」、「%」は「質量%」である。また、本発明において、不揮発分もしくは不揮発分濃度は、110℃のオーブンで3時間静置後の質量残分をいう。
【0405】
実施例に先立ち、各測定方法について説明する。
【0406】
樹脂の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、酸価(mgKOH/g)、アミン価(mgKOH/g)、吸光係数(L/mol・cm)の測定は、以下の通りである。
【0407】
(分子量) 数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)は、RI検出器を装備したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した。装置としてHLC-8220GPC(東ソー社製)を用い、分離カラムを2本直列に繋ぎ、両方の充填剤には「TSK-GEL SUPER HZM-N」を2連でつなげて使用し、オーブン温度40℃、溶離液としてテトラヒドロフラン(THF)溶液を用い、流速0.35ml/minで測定した。サンプルは1質量%の上記溶離液からなる溶剤に溶解し、20マイクロリットル注入した。分子量は、ポリスチレン換算値である。
【0408】
(酸価)
サンプル溶液0.5~1gに、アセトン80ml及び水10mlを加えて攪拌して均一に溶解させ、0.1mol/LのKOH水溶液を滴定液として、自動滴定装置(「COM-555」平沼産業社製)を用いて滴定し、酸価(mgKOH/g)を測定した。そして、溶液の酸価と溶液の不揮発分濃度から、不揮発分あたりの酸価を算出した。
【0409】
(アミン価)
アミン価は、ASTM D 2074の方法に準拠し、測定した全アミン価(mgKOH/g)を不揮発分換算した値である。
【0410】
(吸光係数)
重合開始剤0.001gを0.01Lのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解し、0.1質量%の測定溶液を作製した。さらに、得られた0.1質量%の測定溶液を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで希釈し、0.01質量%、0.001質量%の測定溶液を作製した。分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製「U-3010」)を用いて、各濃度の測定溶液の波長365nmにおける吸光度を測定し、横軸をモル濃度、縦軸を吸光度としたときの傾きから、吸光係数(L/mol・cm)を算出した。
【0411】
<顔料(A)の製造>
(近赤外線吸収顔料(A-14))
トルエン400部に、1,8-ジアミノナフタレン40.0部、3,5-ジメチルシクロヘキサノン32.2部、p-トルエンスルホン酸一水和物0.087部を混合し、窒素ガスの雰囲気中で加熱攪拌し、3時間還流させながら反応させた。反応中に生成した水は共沸蒸留により反応系中から除去した。反応終了後、トルエンを蒸留して得られた暗茶色固体をアセトンで抽出し、アセトンとエタノールの混合溶媒から再結晶することにより精製した。得られた茶色固体を、トルエン240部とn-ブタノール160部の混合溶媒に溶解させ、3,4-ジヒドロキシ-3-シクロブテン-1,2-ジオン13.8部を加えて、窒素ガスの雰囲気中で加熱撹拌し、8時間還流反応させた。反応中に生成した水は共沸蒸留により反応系中から除去した。
反応終了後、溶媒を蒸留し、得られた反応混合物を攪拌しながら、ヘキサン200部を加えた。得られた黒茶色沈殿物を濾別した後、順次ヘキサン、エタノール、及びアセトンで洗浄を行い、減圧下で乾燥させ、下記化学式(12)で表される近赤外線吸収顔料(A-14)を得た。得られた近赤外線吸収顔料(A-14)50部、塩化ナトリウム500部、ジエチレングリコール60部をステンレス製ガロンニーダー(井上製作所社製)中に仕込み、60℃で12時間混練した。次に、混練した混合物を温水に投入し、約80℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状として、濾過、及びイオン交換水での洗浄を複数回繰り返した後、80℃で一昼夜乾燥させ粉砕することにより、微細化した近赤外線吸収顔料(A-14)を得た。
【0412】
化学式(12)
【化24】
【0413】
(近赤外線吸収顔料(A-15))
反応容器中で、フタロニトリル26部、2,3―ジシアノナフタレン143部、n-アミルアルコール890部、DBU(1,8-Diazabicyclo[5.4.0]undec-7-ene)137部と三塩化アルミニウム34部を混合攪拌し、昇温後136℃で5時間還流した。攪拌したまま30℃まで冷却した反応溶液を、メタノール5,000部、イオン交換水10,000部からなる混合溶媒中へ攪拌しながら注入し、青色のスラリーを得た。このスラリーを濾過し、メタノール2,000部、イオン交換水4,000部からなる混合溶媒で洗浄、乾燥して、化合物aを得た。
次いで、反応容器中で、濃硫酸1,500部に140部の化合物aを氷浴下にて加え、1時間攪拌を行った。続けて、この硫酸溶液を3℃の冷水1,000部に注入し、生成した析出物をろ過、水洗、2.5%水酸化ナトリウム水溶液洗浄、水洗の順で処理を行い、乾燥して、化合物bを得た。
N-メチルピロリドン200部に5部のジフェニルリン酸を添加し、十分に攪拌混合を行った後、50℃に加熱した。この溶液に、10部の化合物bを少しずつ添加した後、90℃で120分攪拌した。反応の終点確認は、例えば、濾紙に反応液を滴下して、にじみがなくなったところを終点とした。続けて、この反応溶液をイオン交換水2,000部に注入し、生成した析出物を濾過およびイオン交換水での洗浄を複数回繰り返した後、乾燥して、下記化学式(13)で表される化合物の混合物(質量比率は、n1:n2:n3:n4=7:19:59:15)である近赤外線吸収顔料(A-15)を得た。次いで近赤外線吸収顔料(A-14)と同様の方法で、微細化した。
【0414】
化学式(13)
【化25】
【0415】
(近赤外線吸収顔料(A-16))
国際公開第2019/058882号の記載に従い、下記化学式(14)で表される近赤外線吸収顔料(A-16)を得た。次いで近赤外線吸収顔料(A-14)と同様の方法で、微細化した。化学式(14)中、Phはフェニル基を表す。
【0416】
化学式(14)
【化26】
【0417】
(近赤外線吸収顔料(A-17))
反応容器中で、アニリン10.7部、ブロモベンゼン120部、及びジアザビシクロオクタン25.7部を加え、攪拌した。その後、四塩化チタンの1mol/lトルエン溶液95.2部を滴下した。滴下後、インジゴ10.0部を加え、10時間還流した。反応終了後、メタノールを加え、濾過し、緑色粉末を得た。これをジクロロメタンと水で分液を行い、有機層を濃縮することで、化合物cを14.6部得た。
反応容器中で、化合物cを13.5部、ビス(2、4-ペンタンジオナト)亜鉛(II)を9.0部、テトラヒドロフラン120部を混合攪拌し、昇温後40℃で5時間攪拌した。攪拌したまま30℃まで冷却した反応溶液を、メタノール500部へ攪拌しながら注入し、青色のスラリーを得た。このスラリーを濾過し、メタノール500部で洗浄後、イオン交換水500部で複数回洗浄し、乾燥して、下記化学式(15)で表される化合物の混合物(質量比率は2量体:3量体:4量体=81:17:2)である近赤外線吸収顔料(A-17)を得た。次いで近赤外線吸収顔料(A-14)と同様の方法で、微細化した。
【0418】
化学式(15)
【化27】
【0419】
<アルカリ可溶性樹脂(B)の製造>
(熱架橋性基含有単量体単位(b1)を有するアルカリ可溶性樹脂(B1-1)溶液)
攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計及びガス導入管を備えたフラスコに、100部のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMAc)を入れた後、窒素置換しながら攪拌し、78℃に昇温した。次に、一般式(1)で表される単量体であるカレンズMOI-DEM(昭和電工社製のマロン酸-2-[[[[(2-メチル-1-オキソ-2-プロペニル)オキシ]エチル]アミノ]カルボニル]-1,3-ジエチルエステル)25.2部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(以下、2HEMA)31.2部、ジシクロペンタニルメタクリレート(以下、DCPMA)37.5部、メタクリル酸(以下、MAA)20.7部、及びメチルメタクリレート(以下、MMA)27.0部の混合物と、12.0部の2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(重合開始剤)を50部のPGMAcに添加し溶解させたものをそれぞれ滴下ロートからフラスコ中に滴下した。滴下終了後、78℃で3時間攪拌し反応させた。その後、不揮発分が40質量%になるようにPGMAcを添加して、アルカリ可溶性樹脂(B1-1)溶液を調整した。アルカリ可溶性樹脂(B1-1)は、酸価74mgKOH/g、重量平均分子量8,000であった。
【0420】
(熱架橋性基含有単量体単位(b1)を有するアルカリ可溶性樹脂(B1-2)溶液)
DCPMAの一部をグリシジルメタクリレート(以下、GMA)に代え、アルカリ可溶性樹脂(B1-1)と同様に、表2に記載の構成比率、重量平均分子量になるようにアルカリ可溶性樹脂(B1-2)を合成した。
その後、不揮発分が40質量%になるようにPGMAcを添加して、アルカリ可溶性樹脂(B1-2)溶液を調整した。なお、樹脂の重量平均分子量は、重合開始剤の使用量を変えて調整した。
【0421】
(熱架橋性基含有単量体単位(b1)を有するアルカリ可溶性樹脂(B1-3)溶液)
DCPMAの一部をGMAに代え、アルカリ可溶性樹脂(B1-1)と同様に樹脂(前駆体)を合成した。その後、フラスコ内を空気に置換し、アクリル酸(以下、AA)と、トリフェニルホスフィン及びメチルハイドロキノンを投入し、110℃で10時間反応させた。これにより、前記前駆体中のGMA由来のエポキシ基とAAのカルボキシル基を反応させた単量体単位(以下、GMA+AA)を導入した。GMA+AAは、重合性不飽和基含有単量体単位(b5)である。その後、不揮発分が40質量%になるようにPGMAcを添加して、アルカリ可溶性樹脂(B1-3)溶液を調整した。
【0422】
(熱架橋性基含有単量体単位(b1)を有するアルカリ可溶性樹脂(B1-4)溶液)
撹拌装置、温度計、滴下ロート、還流冷却器を備えた4つ口フラスコにリンゴ酸ジエチル28.5部、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール0.01部、ジラウリン酸ジブチル錫0.05部を加え撹拌し、15~20℃に冷却した。その後、温度を15~20℃に維持し、撹拌しながら2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート23.3部を滴下ロートから滴下した。滴下終了後、25℃で13時間撹拌し反応させた。IRにてイソシアネート基のピークの消失を確認し、一般式(1)で表される単量体である下記化学式(16)の化合物を得た。
【0423】
化学式(16)
【化28】
【0424】
撹拌装置、温度計、滴下ロート、還流冷却器及びガス導入管を備えた4つ口フラスコにPGMAc200部を入れた後、窒素置換しながら攪拌し、90℃に昇温した。次に、化学式(16)の化合物41.7部、MAA14部、n-ブチルアクリレート(以下、nBMA)86部、MMA76部の混合物と、重合開始剤として24部の2,2'-アゾビス(イソ酪酸)ジメチル(以下、V-601)を50部のPGMAcに添加し溶解させたものをそれぞれ滴下ロートからフラスコ中に滴下した。滴下終了後、PGMAc16部に4部のV-601を溶解したものを滴下し、3時間反応させた。その後、不揮発分が40質量%になるようにPGMAcを添加して、アルカリ可溶性樹脂(B1-4)溶液を調整した。
【0425】
(熱架橋性基含有単量体単位(b1)を有するアルカリ可溶性樹脂(B1-5)溶液)
アルカリ可溶性樹脂(B1-4)100部に対して、0.1部の1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-ウンデセン-7を加え、撹拌しながら80℃まで昇温した。80℃30分間反応を行った後、冷却して反応を終了した。これにより一般式(2)で表される単量体である下記化学式(17)の化合物から形成される熱架橋性基含有単量体単位(b1)を有するアルカリ可溶性樹脂(B1-5)を得た。
【0426】
化学式(17)
【化29】
【0427】
(熱架橋性基含有単量体単位(b1)を有するアルカリ可溶性樹脂(B1-6)溶液)
撹拌装置、温度計、滴下ロート、還流冷却器を備えた4つ口フラスコにリンゴ酸ジエチル190.2部、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール0.17部、ジラウリン酸ジブチル錫0.33部を加え撹拌し、15~20℃に冷却した。その後、温度を15~20℃に維持し、撹拌しながら2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート141.1部を滴下ロートから滴下した。滴下終了後、25℃で13時間撹拌し反応させた。IRにてイソシアネート基のピークの消失を確認し、一般式(1)で表される単量体である下記化学式(18)の化合物を得た。
【0428】
化学式(18)
【化30】
【0429】
攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計及びガス導入管を備えたフラスコに、80部のPGMAcを入れた後、窒素置換しながら攪拌し、78℃に昇温した。次に、化学式(18)の化合物48.8部、カレンズMOI-BP(昭和電工社製の2-[(3,5-ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレート)24.7部、2HEMA25.5部、2-エチルヘキシルアクリレート(以下、2EHA)8.6部と、17.4部の2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(重合開始剤)を混合し、滴下ロートからフラスコ中に滴下した。滴下終了後、78℃で3時間攪拌し反応させた後、0.2部の1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-ウンデセン-7を投入し、更に78℃で30分間撹拌した。これにより、一般式(2)で表される単量体である下記化学式(19)の化合物から形成される熱架橋性基含有単量体単位(b1)を導入した。
【0430】
化学式(19)
【化31】
【0431】
次に、無水コハク酸(以下、SA)9.9部、ナフテン酸リチウム(触媒)0.5部を投入し、78℃で1時間撹拌した。これにより、2HEMAの水酸基にSAを付加させた単量体単位(以下、2HEMA+SA)を導入した。2HEMA+SAは、酸性基含有単量体単位(b2)である。その後、不揮発分が40質量%になるようにPGMAcを添加して、アルカリ可溶性樹脂(B1-6)溶液を調整した。
【0432】
(熱架橋性基含有単量体単位(b1)を有するアルカリ可溶性樹脂(B1-7)溶液)
カレンズMOI-BPをカレンズMOI-BM(昭和電工社製の2-[O-(1'-メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ]エチルメタクリレート)に代え、アルカリ可溶性樹脂(B1-6)と同様に、表2に記載の構成比率、重量平均分子量になるようにアルカリ可溶性樹脂(B1-7)を合成した。その後、不揮発分が40質量%になるようにPGMAcを添加して、アルカリ可溶性樹脂(B1-7)溶液を調整した。
【0433】
(熱架橋性基含有単量体単位(b1)を有するアルカリ可溶性樹脂(B1-8)溶液)
攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計及びガス導入管を備えたフラスコに、70部のPGMAcを入れた後、窒素置換しながら攪拌し、90℃に昇温した。次に、一般式(3)で表される単量体である2-(アセトアセトキシ)エチルメタクリレート(以下、2AAEM)20.7部、MAA26.7部、DCPMA52.6部の混合物と、5.0部のV-601を30部のPGMAcに添加し溶解させたものをそれぞれ滴下ロートからフラスコ中に滴下した。滴下終了後、90℃で6時間攪拌し反応させた。その後、40℃まで冷却し、4-メトキシフェノール0.12部、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート(以下、ECHA)17.6部、トリフェニルホスフィン4.7部を投入し、110℃まで昇温させ、10時間撹拌し反応させた。これにより、MAAのカルボキシル基にECHAのエポキシ基を付加させた単量体単位(以下、MAA+ECHA)を導入した。MAA+ECHAは、重合性不飽和基含有単量体単位(b5)である。
その後、不揮発分が40質量%になるようにPGMAcを添加して、アルカリ可溶性樹脂(B1-8)溶液を調整した。
【0434】
(熱架橋性基含有単量体単位(b1)を有するアルカリ可溶性樹脂(B1-9)溶液)
攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計及びガス導入管を備えたフラスコに、300部のPGMAcを加えた後、窒素置換しながら撹拌し、105℃まで昇温した。次に、一般式(4)で表される単量体である3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(以下、モノマーA)106.9部、MAA40.8部、及びMMA125部の混合物と、27.3部のV-601を加えたものを、滴下ロートからフラスコ中に滴下した。滴下終了後、105℃で撹拌しながら2時間反応させた。
その後、不揮発分が40質量%になるようにPGMAcを加え、アルカリ可溶性樹脂(B1-9)溶液を調整した。
【0435】
(熱架橋性基含有単量体単位(b1)を有するアルカリ可溶性樹脂(B1-10)溶液)モノマーAを3-メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン(以下、モノマーB)に代え、アルカリ可溶性樹脂(B1-9)と同様に、表2に記載の構成比率、重量平均分子量になるようにアルカリ可溶性樹脂(B1-10)を合成した。
その後、不揮発分が40質量%になるようにPGMAcを添加して、アルカリ可溶性樹脂(B1-10)溶液を調整した。
【0436】
(熱架橋性基含有単量体単位(b1)を有するアルカリ可溶性樹脂(B1-11)溶液)攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計及びガス導入管を備えたフラスコに、100部のPGMAcを入れた後、窒素置換しながら攪拌し、90℃に昇温した。次に、一般式(5)で表される単量体であるtert-ブチルメタクリレート(以下、tBMA)35部、2AAEM5部、N-ベンジルマレイミド(以下、BzMI)10部、2HEMA20部、MAA17.1部、及びt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(重合開始剤)2部の混合物と、0.6部のn-ドデシルメルカプタンを20部のPGMAcに混合したものをそれぞれ滴下ロートからフラスコ中に滴下した。滴下終了後、30分間90℃を保持した後、115℃まで昇温し、90分間攪拌し反応させた。
その後、不揮発分が40質量%になるようにPGMAcを添加して、アルカリ可溶性樹脂(B1-11)溶液を調整した。
【0437】
(熱架橋性基含有単量体単位(b1)を有するアルカリ可溶性樹脂(B1-12)溶液)カレンズMOI-DEMをカレンズMOI-BPに変え、アルカリ可溶性樹脂(B1-1)と同様に、表2に記載の構成比率、重量平均分子量になるようにアルカリ可溶性樹脂(B1-12)を合成した。
その後、不揮発分が40質量%になるようにPGMAcを添加して、アルカリ可溶性樹脂(B1-12)溶液を調整した。
【0438】
(熱架橋性基含有単量体単位(b1)を有するアルカリ可溶性樹脂(B1-13)溶液)カレンズMOI-DEMをGMAに変え、アルカリ可溶性樹脂(B1-1)と同様に、表2に記載の構成比率、重量平均分子量になるようにアルカリ可溶性樹脂(B1-13)を合成した。
その後、不揮発分が40質量%になるようにPGMAcを添加して、アルカリ可溶性樹脂(B1-13)溶液を調整した。
【0439】
(熱架橋性基含有単量体単位(b1)を有するアルカリ可溶性樹脂(B1-14)溶液)カレンズMOI-DEMを3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イルアクリレート(以下、モノマーC)及び3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-9-イルアクリレート(以下、モノマーD)の混合物(モル比で1:1)に代え、アルカリ可溶性樹脂(B1-1)と同様に、表2に記載の構成比率、重量平均分子量になるようにアルカリ可溶性樹脂(B1-14)を合成した。
その後、不揮発分が40質量%になるようにPGMAcを添加して、アルカリ可溶性樹脂(B1-14)溶液を調整した。
【0440】
(熱架橋性基含有単量体単位(b1)を有するアルカリ可溶性樹脂(B1-15)溶液)
撹拌装置、温度計、滴下ロート、還流冷却器を備えた4つ口フラスコにマロン酸ジイソプロピル28.3部、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール0.01部、ジラウリン酸ジブチル錫0.05部を加え撹拌し、15~20℃に冷却した。その後、温度を15~20℃に維持し、撹拌しながら2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート23.3部を滴下ロートから滴下した。滴下終了後、25℃で13時間撹拌し反応させた。IRにてイソシアネート基のピークの消失を確認し、下記化学式(200)の化合物を得た。
【0441】
化学式(200)
【化32】
【0442】
撹拌装置、温度計、滴下ロート、還流冷却器を備えた4つ口フラスコにマロン酸ジtert-ブチル32.5部、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール0.01部、ジラウリン酸ジブチル錫0.05部を加え撹拌し、15~20℃に冷却した。その後、温度を15~20℃に維持し、撹拌しながら2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート23.3部を滴下ロートから滴下した。滴下終了後、25℃で13時間撹拌し反応させた。IRにてイソシアネート基のピークの消失を確認し、下記化学式(210)の化合物を得た。
【0443】
化学式(210)
【化33】
【0444】
攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計及びガス導入管を備えたフラスコに、100部のPGMAcを入れた後、窒素置換しながら攪拌し、78℃に昇温した。次に、化学式(200)の化合物13.7部、化学式(210)の化合物14.8部、2HEMA31.2部、DCPMA37.5部、MAA20.7部、及びMMA27.0部の混合物と、12.0部の2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(重合開始剤)を50部のPGMAcに添加し溶解させたものをそれぞれ滴下ロートからフラスコ中に滴下した。滴下終了後、78℃で3時間攪拌し反応させた。
その後、不揮発分が40質量%になるようにPGMAcを添加して、アルカリ可溶性樹脂(B1-15)溶液を調整した。アルカリ可溶性樹脂(B1-15)は、酸価74mgKOH/g、重量平均分子量8,000であった。
【0445】
【表2-1】
【0446】
【表2-2】
【表2-3】
【0447】
表2-1、表2-2および表2-3の各構成成分量は、モル%で表記している。
【0448】
(熱架橋性基含有単量体単位(b1)を有しないアルカリ可溶性樹脂(B2-1)溶液)セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けた反応容器に、PGMAc100部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら120℃に加熱して、同温度で滴下管よりGMA56.86部、DCPMA66.09部、及びスチレン(以下、St)31.25部の混合物と、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル5.0部のPGMAcに溶解させたものを2.5時間かけて滴下し重合反応を行った。 滴下終了後、120℃で更に2時間撹拌し反応させた。次に、フラスコ内を空気置換し、AA28.82部、トリスジメチルアミノメチルフェノール0.3部及びハイドロキノン0.3部を投入し、120℃で5時間撹拌し反応させた。
更に、テトラヒドロ無水フタル酸(以下、THPA)48.68部、トリエチルアミン0.5部を投入し、120℃で4時間攪拌し反応させた。
その後、不揮発分が40質量%になるようにPGMAcを添加して、アルカリ可溶性樹脂(B2-1)溶液を調製した。なお、樹脂は、酸価77mgKOH/g、重量平均分子量10,000であった。
【0449】
(熱架橋性基含有単量体単位(b1)を有しないアルカリ可溶性樹脂(B2-2)溶液)セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管および撹拌装置を取り付けた反応容器にPGMAc100部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管より、ベンジルメタクリレート(以下、BzMA)25.1部、nBMA23.0部、2HEMA14.3部、MAA13.4部、アロニックスM-110(東亞合成社製、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート)24.1部、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル1.1部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間攪拌し反応させた。
その後、不揮発分が40質量%になるようにPGMAcを添加して、アルカリ可溶性樹脂(B2-2)溶液を調製した。なお、樹脂は、酸価87mgKOH/g、重量平均分子量25,000であった。
【0450】
(熱架橋性基含有単量体単位(b1)を有しないアルカリ可溶性樹脂(B2-3)溶液)セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けた反応容器にPGMAc100部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら120℃に加熱して、同温度で滴下管よりBzMA109.25部、MAA24.1部、DCPMA22.03部と、重合開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル1.0部、PGMAcとの混合物を2.5時間かけて滴下した。滴下終了後、120℃で更に2時間撹拌し反応させた。
その後、不揮発分が40質量%になるようにPGMAcを添加して、アルカリ可溶性樹脂(B2-3)溶液を調製した。なお、樹脂は、酸価98mgKOH/g、重量平均分子量17,500であった。
【0451】
<シランカップリング剤(G)の製造>
(シランカップリング剤(G-1))
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた1Lセパラブルフラスコに、ヒドロキシエチルアクリレートを116g仕込み、80℃に加熱した。その中に3-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン205gを滴下投入し、80℃にて4時間撹拌し反応させた。その後、IR測定により原料のイソシアネート基由来の吸収ピークが完全に消失し、代わりにウレタン結合由来の吸収ピークが生成したことを確認し、主成分が下記化学式(20)で表されるシランカップリング剤(G-1)を得た。なお、副成分として、化学式(20)の縮合物である2~10量体が含まれる。
【0452】
化学式(20)
【化34】

【0453】
<(ブロックイソシアネート基を有する化合物(H2)の製造>
(ブロックイソシアネート化合物H2-2の製造)
温度計、攪拌羽根及び還流冷却管を取り付けた四ツ口フラスコに、窒素気流下で、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、HDIともいう):100質量部を仕込み、撹拌下反応器内温度を60℃に保持し、トリメチルベンジルアンモニウム・ハイドロオキサイド0.095質量部を加え反応を行った。4.5時間後、転化率が40質量%になった時点で燐酸0.02質量部を添加し反応を停止した。反応液をろ過した後、薄膜蒸発缶を用いて未反応のHDIを除去して、イソシアヌレート型ポリイソシアネート(以下、「H2-2前駆体」と称する)を得た。得られたH2-2前駆体のNCO含有率は22.0質量%、数平均分子量は655、平均イソシアネート基数は3.43であった。また、得られたH2-2前駆体についてH-NMR分析を行い、イソシアヌレート基が存在することを確認した。
温度計、攪拌羽根及び還流冷却管を取り付けた四ツ口フラスコに、窒素気流下で、H2-2前駆体:100質量部、マロン酸ジイソプロピル(NCO基100モル%に対して70モル%)、及び、マロン酸ジ-tert-ブチル(NCO基100モル%に対して30モル%)を仕込み、さらに、酢酸ブチルを加えて、固形分が60質量%となるように調製した。次いで、攪拌しながら、ナトリウムメチラート(溶液の総質量に対して28質量%)含有メタノール溶液:1.0質量部を滴下した後、溶液温度が55℃になるように外浴を調整し、55℃で5時間ブロック化反応させ、固形分60質量%の、ブロックイソシアネート組成物H2-2を得た。
【0454】
<染料(I)の製造>
(染料(I-1))
温度計、攪拌機、蒸留管、冷却器を具備した4つ口セパラブルフラスコに、メチルエチルケトン67.3 部を仕込み窒素気流下で75℃に昇温した。別途、メチルメタクリレート34.0部、n-ブチルメタクリレート28.0部、2-エチルヘキシルメタクリレート28.0部、ジメチルアミノエチルメタクリレート10.0部、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)6.5部、及びメチルエチルケトン25.1部を均一に混合した後、滴下ロートに仕込み、4つ口セパラブルフラスコに取り付け、2時間かけて滴下した。滴下終了2時間後、不揮発分から重合収率が98%以上であり、重量平均分子量が、6,830であることを確認し、50℃へ冷却した。ここへ、塩化メチル3.2部、エタノール22.0部を追加し、50℃で2時間反応させた後、1時間かけて80℃まで昇温し、2時間反応させた後、冷却して樹脂1を得た。
次に、水2,000部に不揮発分換算で30部の樹脂1を添加し、十分に攪拌混合を行った後、60℃に加熱した。一方、90部の水に10部のC.I.アシッドレッド52を溶解させた水溶液を調製し、先ほどの樹脂1溶液に少しずつ滴下した。滴下後、60℃で120分間攪拌し、十分に反応を行った。反応の終点確認としては濾紙に反応液を滴下して、にじみがなくなったところを終点として、造塩化合物が得られたものと判断した。攪拌しながら室温まで冷却した後、吸引濾過を行い、水洗後、濾紙上に残った造塩化合物を乾燥機にて水分を除去して乾燥し、32部のC.I.アシッドレッド52と樹脂1との造塩化合物である染料(I-1)を得た。このとき染料(I-1)中のC.I.アシッドレッド52に由来する成分の含有量は25質量%であった。
【0455】
(染料(I-2))
特開平05-345861号公報の実施例30に従い、下記化学式(21)で表される化合物を得た。化学式(21)中、Etはエチル基を表す。
【0456】
化学式(21)
【化35】
【0457】
<分散樹脂(K)の製造>
(分散樹脂(K-1)溶液)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、1-チオグリセロール108部、ピロメリット酸無水物174部、PGMAc650部、触媒としてモノブチルスズオキシド0.2部を仕込み、窒素ガスで置換した後、120℃で5時間反応させた(第一工程)。酸価の測定で95%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認した。次に、第一工程で得られた化合物を不揮発分換算で160部、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート200部、エチルアクリレート200部、tert-ブチルアクリレート150部、2-メトキシエチルアクリレート200部、メチルアクリレート200部、メタクリル酸50部、PGMAc663部を仕込み、反応容器内を80℃に加熱して、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)1.2部を添加し、12時間反応した(第二工程)。不揮発分測定によりモノマーが95%以上反応したことを確認した。最後に、第二工程で得られた化合物の50%PGMAc溶液を500部、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート27.0部、ヒドロキノン0.1部を仕込み、IRにてイソシアネート基に基づく2,270cm-1のピークの消失を確認するまで反応を行った(第三工程)。冷却後、不揮発分が30質量%となるようにPGMAcを添加して、重合性不飽和基を有する分散樹脂(K-1)溶液を得た。酸価68mgKOH/g、重量平均分子量13,000であった。
【0458】
(分散樹脂(K-2)溶液)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、メタクリル酸10部、メチルメタクリレート100部、iso-ブチルメタクリレート70部、ベンジルメタクリレート20部、PGMAc50部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を50℃に加熱撹拌し、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール12部を添加した。90℃に昇温し、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル0.1部をPGMAc90部に加えた溶液を添加しながら7時間反応した。不揮発分測定によりモノマーが95%以上反応したことを確認した。ピロメリット酸無水物19部、PGMAc50部、シクロヘキサノン50部、触媒として1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン0.4部を追加し、100℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了した。冷却後、不揮発分が30質量%となるようPGMAcを添加して、分散樹脂(K-2)溶液を得た。酸価70mgKOH/g、重量平均分子量8,500であった。
【0459】
(分散樹脂(K-3)溶液)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置に、メチルメタクリレート40部、nーブチルメタクリレート10部、触媒としてテトラメチルエチレンジアミン13.2部を仕込み、窒素を流しながら50℃で1時間撹拌し、系内を窒素置換した。次に、開始剤としてブロモイソ酪酸エチル9.3部、触媒として塩化第一銅5.6部、PGMAc100部を仕込み、窒素気流下で、110℃まで昇温して第一ブロック(Bブロック)の重合を開始した。4時間重合後、重合溶液をサンプリングして不揮発分測定を行い、不揮発分から換算して重合転化率が98%以上であることを確認した。次に、この反応装置に、PGMAc50部、第二ブロック(Aブロック)モノマーとしてジメチルアミノエチルメタクリレート40部、メタクリロイルオキシエチルベンジルジメチルアンモニウムクロライド10部を投入し、110℃・窒素雰囲気下を保持したまま撹拌し、反応を継続した。投入から2時間後、重合溶液をサンプリングして不揮発分測定を行い、不揮発分から換算して第二ブロック(Aブロック)の重合転化率が98%以上であることを確認した。冷却後、不揮発分が30質量%になるようにPGMAcを添加して、分散樹脂(K-3)溶液を調製した。アミン価169.8mgKOH/gであった。
【0460】
(分散樹脂(K-4)溶液)
国際公開第2022/172607号の実施例A3に従って、重合性不飽和基を有する分散樹脂(K-4)を合成し、不揮発分が30質量%になるようにPGMAcを添加した。アミン価67mgKOH/g、重量平均分子量5,600であった。
【0461】
<分散体の製造>
(分散体1)
下記の原料を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM-250 MKII」)で3時間分散した後、孔径1.0μmのフィルタで濾過し、分散体1を作製した。不揮発分は21.1質量%であった。
顔料(A-1) :15.0部
顔料誘導体(J-1) : 1.0部
分散樹脂(K-1)溶液 : 8.5部
分散樹脂(K-2)溶液 : 8.5部
有機溶剤(E2-1) :67.0部
【0462】
(分散体2~16)
表3-1および表3-2に記載した原料、量を変えた以外は、分散体1と同様にして分散体2~16を作製した。
【0463】
【表3-1】
【0464】
【表3-2】
【0465】
表3-1、及び表3-2中に記載したそれぞれの成分は、以下の通りである。
【0466】
[顔料(A)]
A-1:C.I.ピグメントブルー15:3
A-2:C.I.ピグメントブルー15:6
A-3:C.I.ピグメントバイオレット23
A-4:C.I.ピグメントグリーン58
A-5:C.I.ピグメントグリーン36
A-6:C.I.ピグメントグリーン62
A-7:C.I.ピグメントレッド177
A-8:C.I.ピグメントイエロー138
A-9:C.I.ピグメントイエロー139
A-10:C.I.ピグメントイエロー150
A-11:C.I.ピグメントレッド179
A-12:C.I.ピグメントレッド264
A-13:C.I.ピグメントレッド254
【0467】
顔料(A-1)~(A-13)は、いずれもソルトミリング処理による微細化を行い、上述した特定金属量となるように十分にイオン交換水で洗浄後、乾燥した上で使用した。
【0468】
[顔料誘導体(J)]
【化36】
【0469】
[有機溶剤(E)]
(有機溶剤(E2))
E2-1:PGMAc
【0470】
<感光性組成物の製造>
[実施例1]
(感光性組成物1)
以下の原料を混合、攪拌し、孔径1.0μmのフィルタで濾過して感光性組成物1を得た。不揮発分は、15.0質量%であった。分散体以外の原料の配合量(部)は不揮発分で記載し、原料に含まれる有機溶剤は有機溶剤(E)として記載した。なお、分散体2、分散体5、及び分散体9は、それぞれA-2、A-5、及びA-9の顔料を使用しており、表4では、他の含有成分を含め原料別に分解して記入した。
分散体2 : 1.0部
分散体5 :21.0部
分散体9 : 3.0部
アルカリ可溶性樹脂(B1-1) :2.56部
アルカリ可溶性樹脂(B2-2) : 2.0部
アミン構造を有する重合性化合物(C1-1) : 0.5部
水酸基を有する重合性化合物(C2-3) : 1.4部
その他重合性化合物(C7-2) : 0.6部
重合開始剤(D1-4) : 0.1部
重合開始剤(D2-1) :0.05部
チオール系連鎖移動剤(F-1) :0.15部
チオール系連鎖移動剤(F-2) :0.15部
シランカップリング剤(G-1) :0.35部
シランカップリング剤(G-2) :0.09部
エポキシ基を有する化合物(H1-1) : 0.4部
ブロックイソシアネート基を有する化合物(H2-1) :1.08部
紫外線吸収剤(M-1) :0.15部
紫外線吸収剤(M-2) :0.15部
レベリング剤(P-1) :0.01部
レベリング剤(P-2) :0.01部
有機溶剤(E1-1) : 3.0部
有機溶剤(E1-5) : 0.3部
有機溶剤(E2-1) :45.65部
有機溶剤(E2-2) : 8.0部
有機溶剤(E2-3) : 8.0部
有機溶剤(E2-4) : 0.3部
【0471】
[実施例2~73、及び比較例1~3]
(感光性組成物2~76)
表4-1~表4-8に記載した原料、量になるように実施例1と同様にして感光性組成物2~76を製造した。
【0472】
【表4-1】
【0473】
【表4-2】
【0474】
【表4-3】
【0475】
【表4-4】
【0476】
【表4-5】
【0477】
【表4-6】
【0478】
【表4-7】
【0479】
【表4-8】
【0480】
表4-1~表4-8に記載したそれぞれの原料については、以下の通りである。
【0481】
[重合性化合物(C)]
(アミン構造を有する重合性化合物(C1))
C1-1:アロニックスMT-3041(東亞合成社製、3級アミン構造を有する多官能アクリレート)
【0482】
(水酸基を有する重合性化合物(C2))
C2-1:イソシアヌル酸EO変性ジアクリレート
C2-2:グリセロールジアクリレート
C2-3:ペンタエリスリトールトリアクリレート
C2-4:ジペンタエリスリトールペンタアクリレート
【0483】
(デンドリマー構造又はハイパーブランチ構造を有する重合性化合物(C3))
C3-1:Miramer SP-1106(Miwon Specialty Chemical社製、平均アクリロイル基数18のデンドリマー構造を有する化合物)
C3-2:SIRIUS-501(大阪有機化学工業社製、平均アクリロイル基数18のデンドリマー構造を有する化合物)
【0484】
(その他重合性化合物(C7))
C7-1:イソシアヌル酸EO変性トリアクリレート
C7-2:ペンタエリスリトールテトラアクリレート
C7-3:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
C7-4:トリメチロールプロパントリアクリレート
C7-5:ジペンタエリスリトールEO変性ヘキサアクリレート
【0485】
[重合開始剤(D)]
(重合開始剤(D1))
D1-1:上述の化合物(D1-1)
D1-2:上述の化合物(D1-2)
D1-3:上述の化合物(D1-3)
D1-4:上述の化合物(D1-4)
D1-5:上述の化合物(D1-5)
D1-6:上述の化合物(D1-6)
D1-7:上述の化合物(D1-7)
D1-8:上述の化合物(D1-8)
D1-9:上述の化合物(D1-9)
D1-10:上述の化合物(D1-10)
【0486】
(重合開始剤(D2))
D2-1:上述の化合物(D2-1)(波長365nmの光の吸光係数が18,334L/mol・cm)
D2-2:上述の化合物(D2-2)(波長365nmの光の吸光係数が18,900L/mol・cm)
D2-3:上述の化合物(D2-3)(波長365nmの光の吸光係数が7,051L/mol・cm)
D2-4:上述の化合物(D2-4)(波長365nmの光の吸光係数が18,767L/mol・cm)
D2-5:上述の化合物(D2-5)(波長365nmの光の吸光係数が2,401L/mol・cm)
【0487】
[有機溶剤(E)]
(有機溶剤(E1))
E1-1:プロピレングリコールモノメチルエーテル(δh=11.6、蒸気圧1,150Pa)
E1-2:プロピレングリコールモノエチルエーテル(δh=10.5、蒸気圧900Pa)
E1-3:乳酸エチル(δh=12.5、蒸気圧360Pa)
E1-4:3-メトキシ-1-ブタノール(δh=13.6、蒸気圧160Pa)
E1-5:1-ブタノール(δh=15.8、蒸気圧580Pa)
E1-6:エタノール(δh=19.4、蒸気圧5,800Pa)
E1-7:ジエチレングリコールモノエチルエーテル(δh=12.2、蒸気圧19Pa)
【0488】
(有機溶剤(E2))
E2-1:PGMAc
E2-2:3-エトキシプロピオン酸エチル
E2-3:シクロヘキサノン
E2-4:酢酸ブチル
【0489】
[チオール系連鎖移動(F)]
F-1:メルカプトこはく酸
F-2:ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)
【0490】
[シランカップリング剤(G)]
G-2:KBM-803(信越シリコーン社製、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン)
G-3:KBM-5103(信越シリコーン社製、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン)
【0491】
[熱架橋性化合物(H)]
(エポキシ基を有する化合物(H1))
H1-1:EHPE-3150(ダイセル社製、一般式(11)で表される化合物、エポキシ基数が平均15個、エポキシ当量が170~190g/eq)
【0492】
(ブロックイソシアネート基を有する化合物(H2))
H2-1:デュラネートMF-K60B(旭化成社製、活性メチレン化合物でブロックされた化合物)
【0493】
[紫外線吸収剤(M)]
M-1:2-[5-クロロ-(2H)-ベンゾトリアゾール-2-イル]-4-メチル-6-(tert-ブチル)フェノール
M-2:4,4'-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン
【0494】
[レベリング剤(P)]
P-1:BYK-330(ビックケミー社製、ポリエーテル変性ジメチルシロキサン)
P-2:下記構造を有するブロック共重合体(n:m=50:50(モル%))
【0495】
【化36】
【0496】
<感光性組成物の評価>
得られた感光性組成物1~76について以下の評価を行った。評価結果を表5に示す。
【0497】
[保存安定性評価(1):粘度]
得られた感光性組成物を、密閉した容器に入れ40℃10日保管した。保管前後の粘度の変化率を下記式で算出し評価した。粘度は、E型粘度計(東機産業社製「ELD型粘度計」)を用いて、25℃において回転数50rpmという条件で測定した。評価基準は、以下の通りであり、3以上を実用可能とする。
[経時粘度変化率]=|([初期粘度]-[経時粘度])/[初期粘度]|×100
5:変化率3%未満であった。
4:変化率3%以上、6%未満であった。
3:変化率6%以上、9%未満であった。
2:変化率9%以上、12%未満であった。
1:変化率12%以上であった。
【0498】
[保存安定性評価(2):感度]
得られた感光性組成物を、縦100mm×横100mm、0.7mm厚のガラス基板(コーニング社製イーグル2000)に、スピンコーターを用いて乾燥後の膜厚が2.5μmとなるように塗工し、90℃2分間ホットプレートで乾燥した。次いで、この基板を室温に冷却後、超高圧水銀灯を用い、100μm幅のストライプパターンのフォトマスクを介して照度30mW/cm、100mJ/cmで露光した。その後、この基板を23℃の非イオン系界面活性剤0.12質量%と水酸化カリウム0.04質量%とを含む水系現像液を用いてスプレー現像した後、イオン交換水で洗浄、風乾し、クリーンオーブンで90℃60分間加熱した。スプレー現像は、それぞれの感光性組成物での被膜について、現像残りなくパターン形成可能な最短時間で行った。走査型電子顕微鏡を用いて、パターンの幅を測定し、これを初期のパターン幅とする。
得られた感光性組成物を別途、密閉した容器に入れ40℃10日保管した。保管後の感光性組成物を上記初期のパターンの形成と同じ条件で保存後のパターンを作成した。保管前と同様に、保存後の幅を測定した。評価基準は、以下の通りであり、3以上を実用可能とする。
5:保管後のパターン幅が、初期のパターン幅の98%以上102%以下の範囲であった。
4:保管後のパターン幅が、初期のパターン幅の96%以上98%未満であったか、102%を超え104%以下の範囲であった。
3:保管後のパターン幅が、初期のパターン幅の94%以上96%未満であったか、104%を超え106%以下の範囲であった。
2:保管後のパターン幅が、初期のパターン幅の92%以上94%未満であったか、106%を超え108%以下の範囲であった。
1:保管後のパターン幅が、初期のパターン幅の92%を下回ったか、108%を超えた。
【0499】
[保存安定性評価(3):現像性]
得られた感光性組成物を、縦100mm×横100mm、0.7mm厚のガラス基板(コーニング社製イーグル2000)に、スピンコーターを用いて乾燥後の膜厚が2.5μmとなるように塗工し、90℃2分間ホットプレートで乾燥した。次いで、この基板を室温に冷却後、超高圧水銀灯を用い、100μm幅のストライプパターンのフォトマスクを介して照度30mW/cm、100mJ/cmで露光した。その後、この基板を23℃の非イオン系界面活性剤0.12%と水酸化カリウム0.04%とを含む水系現像液を用いてスプレー現像した後、イオン交換水で洗浄、風乾した。スプレー現像は、それぞれの感光性組成物での被膜について、現像残りなくパターン形成可能な最短時間で行い、これを初期の現像時間とした。
得られた感光性組成物を別途、密閉した容器に入れ40℃10日保管した。保管後の感光性組成物を上記初期の評価と同じ条件で現像し、以下の基準で評価した。3以上を実用可能とする。
5:保管後の現像時間が、初期の現像時間の90%以上110%以下の範囲であった。
4:保管後の現像時間が、初期の現像時間の80%以上90%未満か、110%超え120%以下の範囲であった。
3:保管後の現像時間が、初期の現像時間の70%以上80%未満か、120%超え130%以下の範囲であった。
2:保管後の現像時間が、初期の現像時間の60%以上70%未満か、130%超え140%以下の範囲であった。
1:保管後の現像時間が、初期の現像時間の60%を下回ったか、140%超えた。
【0500】
[高温高湿耐性評価]
得られた感光性組成物を、縦100mm×横100mm、0.7mm厚のガラス基板(コーニング社製イーグル2000)に、スピンコーターを用いて乾燥後の膜厚が2.5μmとなるように塗工し、90℃2分間ホットプレートで乾燥した。次いで、この基板を室温に冷却後、超高圧水銀灯を用い、照度30mW/cm、100mJ/cmで露光した。その後、この基板を23℃の非イオン系界面活性剤0.12質量%と水酸化カリウム0.04質量%とを含む水系現像液を用いてスプレー現像し、イオン交換水で洗浄して風乾し、クリーンオーブンで、90℃60分間加熱した。スプレー現像は、それぞれの感光性組成物について、現像残りなくパターン形成可能な最短時間で行った。
得られた基板を、温度85℃、湿度85%の条件下に200時間保管した。保管後、膜にカッターナイフで1mm四方の格子パターン(合計100マス)の切り傷を入れ、透明粘着テープ(ニチバン社製CT-24)を強く圧着させ、約180度方向に剥離した後、格子パターンの状態を観察し、剥がれた格子パターンの数を数えた。評価基準は、以下の通りであり、3以上を実用可能とする。
5:2個未満であった。
4:2個以上5個未満であった。
3:5個以上10個未満であった。
2:10個以上15個未満であった。
1:15個以上であった。
【0501】
[耐溶剤性評価]
得られた感光性組成物を、縦100mm×横100mm、0.7mm厚のガラス基板(コーニング社製イーグル2000)に、スピンコーターを用いて乾燥後の膜厚が2.5μmとなるように塗工し、90℃2分間ホットプレートで乾燥した。次いで、この基板を室温に冷却後、超高圧水銀灯を用い、100μm幅のストライプパターンのフォトマスクを介して照度30mW/cm、100mJ/cmで露光した。その後、この基板を23℃の非イオン系界面活性剤0.12質量%と水酸化カリウム0.04質量%とを含む水系現像液を用いてスプレー現像した後、イオン交換水で洗浄、風乾し、クリーンオーブンで90℃60分間加熱した。スプレー現像は、それぞれの感光性組成物について、現像残りなくパターン形成可能な最短時間で行った。
得られた基板を、室温で15分間PGMAcに浸漬後、イオン交換水で洗浄、風乾して、幅100μmのストライプパターン部分について光学顕微鏡を用いて観察した。評価基準は、以下の通りであり、3以上を実用可能とする。
5:外観、色に変化がない。
4:わずかにシワ等が発生するが、色に変化はない。
3:一部にシワ等が発生するが、色に変化はない。
2:全面にシワ等が発生し、少し退色する。
1:剥がれや退色が発生。
【0502】
[保存後の高温高湿耐性評価、及び耐溶剤性評価]
得られた感光性組成物を別途、密閉した容器に入れ40℃10日保管した。次いで、保存後の感光性組成物の高温高湿耐性評価、耐溶剤性評価を保存前と同様の方法で行った。
【0503】
【表5】
【符号の説明】
【0504】
100 赤外線センサ
110 固体撮像素子
111 赤外線カットフィルタ
112 カラーフィルタ
113 赤外線透過フィルタ
114 樹脂膜
115 マイクロレンズ
116 平坦膜
図1