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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174793
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】ルアー
(51)【国際特許分類】
   A01K 85/16 20060101AFI20241210BHJP
   A01K 85/00 20060101ALI20241210BHJP
   A01K 85/12 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
A01K85/16
A01K85/00 G
A01K85/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023186838
(22)【出願日】2023-10-31
(31)【優先権主張番号】P 2023092487
(32)【優先日】2023-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】井口 健斗
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 辰朗
(72)【発明者】
【氏名】壷井 貞博
【テーマコード(参考)】
2B307
【Fターム(参考)】
2B307BA42
2B307BA44
2B307BA46
2B307BA70
(57)【要約】
【課題】分割されたボディ同士の連結部の強度を高め、連結部の揺動軸部の抜け落ちを防止することができる。
【解決手段】前後に分割されている複数のボディ10(10A、10B、10C)と、これらボディ10同士を揺動可能に連結する連結部材2A、2Bと、連結部材2A、2Bの揺動軸部31、34、35、36を有する線状部材3A、3B、3Cと、を備える。線状部材3A、3B、3Cは、揺動軸部31、34、35、36の軸方向と異なる方向に延び、複数のボディ10A、10B、10Cのうちの少なくとも一つの内部に係合する係合部を有する構成のルアーを提供する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後に分割されている複数のボディと、
前記ボディ同士を揺動可能に連結する連結部材と、
前記連結部材の揺動軸部を有する線状部材と、を備え、
前記線状部材は、前記揺動軸部の軸方向と異なる方向に延び、前記複数のボディのうちの少なくとも一つの内部に係合する係合部を有する、ルアー。
【請求項2】
前記線状部材は、釣り糸または釣り針を接続する接続部をさらに有する、請求項1に記載のルアー。
【請求項3】
前記接続部は、前記線状部材に形成される湾曲部であり、
前記湾曲部が前記ボディの外側に突出する、請求項2に記載のルアー。
【請求項4】
前記揺動軸部は、前記連結部材の回転軸に位置する、請求項1に記載のルアー。
【請求項5】
前記ボディには、前記線状部材が係合する係合溝が形成される、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のルアー。
【請求項6】
前記ボディは、前後方向に直交する左右方向に二分割され、
前記揺動軸部における前記係合部と反対側の端部は、前記軸方向に交差する方向に1回以上屈曲する屈曲部を有し、
前記連結部材に支持される前後一対の前記揺動軸部の前記屈曲部は、前記左右方向から見て線対称である、請求項5に記載のルアー。
【請求項7】
前記ボディ同士の1箇所の連結部には、複数の前記連結部材が配置される、請求項6に記載のルアー。
【請求項8】
前記屈曲部の直線部分の長さL、前記線状部材の外径A、前記連結部材の厚みTが式(1)を満たす、請求項7に記載のルアー。
【数1】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルアーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、魚釣り用のルアーとして、例えば頭部と、胴体部と、尾部とにボディが分割され、それぞれが係合されたものが知られている。胴体部に対して尾部が外れ難くしたルアーとして、例えば、特許文献1に示されるように硬質の胴体部と軟質の尾部を係合させた後に、胴体部に設けたピン孔に挿入したピンによって尾部を固定する方式のものが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
一般的なジョイントルアーの分割されたボディ同士を揺動可能に連結するジョイント部としては、8字型リング、スイベル、シャフトを用いたものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-22306号公報
【特許文献2】実用新案登録第3237044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されるような従来のルアーにおける分割されたボディ同士を揺動自在に連結する8字型リング、スイベルの連結部材の場合には、強度不足の問題があった。
また、シャフトの場合には、ルアーのボディに対して後刺しする構造となることから、引張の負荷によりシャフトが抜け落ちるという問題があり、その点で改善の余地があった。
【0005】
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、分割されたボディ同士の連結部の強度を高め、連結部の揺動軸部の抜け落ちを防止することができるルアーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係るルアーの態様1は、前後に分割されている複数のボディと、前記ボディ同士を揺動可能に連結する連結部材と、前記連結部材の揺動軸部を有する線状部材と、を備え、前記線状部材は、前記揺動軸部の軸方向と異なる方向に延び、前記複数のボディのうちの少なくとも一つの内部に係合する係合部を有することを特徴としている。
【0007】
本発明に係るルアーの態様1によれば、連結部材の揺動軸部を有する線状部材が、揺動軸部の軸方向と異なる方向でボディの内部に係合する係合部を有するので、従来例のようにピンやねじでボディ外部から揺動軸を挿通するものに比べて揺動軸のボディ外部に露出する部分が損傷して抜けてしまうことを防止することができる。
【0008】
(2)本発明の態様2は、態様1のルアーにおいて、前記線状部材は、釣り糸または釣り針を接続する接続部をさらに有することが好ましい。
【0009】
この場合には、線状部材が他の機能も備えるので部品点数を削減でき、組立性を向上させることができる。
【0010】
(3)本発明の態様3は、態様2のルアーにおいて、前記接続部は、前記線状部材に形成される湾曲部であり、前記湾曲部が前記ボディの外側に突出することが好ましい。
【0011】
この場合には、線状部材の一部を湾曲させた湾曲部がボディから露出した状態で設けられるので、この湾曲部に釣り糸又は釣り針を接続することができる。この場合、湾曲部のみがボディから突出し、湾曲部に連なる支持部がボディに係合して支持されているので、湾曲部の強度を大きくすることができる。
【0012】
(4)本発明の態様4は、態様2又は態様3のルアーにおいて、前記揺動軸部は、前記連結部材の回転軸に位置することを特徴としてもよい。
【0013】
この場合には、線状部材の一部に構成される揺動軸部が、前後に分割されたボディ同士を揺動可能に接続する連結部材の回転軸の機能をもたせることができる。この場合も、揺動軸部に連なる支持部がボディに係合して支持されているので、揺動軸部の強度を大きくすることができる。
【0014】
(5)本発明の態様5は、態様1から態様4のいずれか一つのルアーにおいて、前記ボディには、前記線状部材が係合する係合溝が形成されることを特徴としてもよい。
【0015】
この場合には、線状部材がボディの係合溝に係合して面で支持されるので、線状部材の支持強度を高めることができる。
【0016】
(6)本発明の態様6は、態様1から態様5のいずれか一つのルアーにおいて、前記ボディは、前後方向に直交する左右方向に二分割され、前記揺動軸部における前記係合部と反対側の端部は、前記軸方向に交差する方向に1回以上屈曲する屈曲部を有し、前記連結部材に支持される前後一対の前記揺動軸部の前記屈曲部は、前記左右方向から見て線対称であることを特徴としてもよい。
【0017】
この場合には、前後のボディ同士の連結部に配置される線状部材の屈曲部同士が線対称であるので、前後の線状部材を連結する1つの連結部材を双方の屈曲部から挿通させて揺動軸部へ容易に移動させ、連結部材を双方の揺動軸部の所定位置に配置することができる。そのため、先行して線状部材と連結部材を所望の形状に一体的に組み込むことができ、線状部材と連結部材とを一体化したものを、左右方向に二分割されたボディに挟み込んで製造することができ、組立性が向上する。
【0018】
(7)本発明の態様7は、態様1から態様6のいずれか一つのルアーにおいて、前記ボディ同士の1箇所の連結部には、複数の前記連結部材が配置されることが好ましい。
【0019】
この場合には、1箇所の連結部に複数の連結部材が設けられる構成であっても、これら複数の連結部材を前後一対の線状部材の揺動軸部に連結させて一体化することができる。
【0020】
(8)本発明の態様8は、態様7のルアーにおいて、前記屈曲部の直線部分の長さL、前記線状部材の外径A、前記連結部材の厚みTが式(1)を満たすことを特徴としてもよい。
【0021】
【数1】
【0022】
この場合には、式(1)の範囲に設定することで、連結部材を前後一対の線状部材に組み付ける際に、屈曲部において連結部材をスムーズに移動させることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係るルアーによれば、分割されたボディ同士の連結部の強度を高め、連結部の揺動軸部の抜け落ちを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の第1実施形態によるルアーを斜め前方から見た斜視図である。
図2図1に示すルアーを斜め後方から見た斜視図である。
図3図1に示すルアーの側面図である。
図4図1に示すルアーを斜め後方から見た断面斜視図である。
図5図1に示すルアーの縦断面図である。
図6】第2実施形態によるルアーの縦断面図である。
図7】第3実施形態によるルアーの縦断面図である。
図8図7に示す線状部材の平面図である。
図9】揺動軸部と屈曲部の要部を示した斜視図である。
図10】第1連結部材の移動条件を説明するための平面図である。
図11】第1変形例による揺動軸部と屈曲部の要部を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係るルアーの実施形態について図面を参照して説明する。なお、各図面において、各構成部材を視認可能な大きさとするために必要に応じて各構成部材の縮尺を適宜変更している場合がある。
【0026】
(第1実施形態)
図1図3に示すように、実施形態のルアー1は、魚釣り用として使用され、硬質プラスチック製の胴体部を有し、小魚の形態を摸したジョイント式のルアーを一例とする。
【0027】
ここで、ルアー1において、頭部と尾部とが一直線上に結ぶ方向を前後方向X1とし、頭部側を前方、前側とし、尾部側を後方、後側と定義する。また、上方から見て、前後方向X1と直交する横方向を左右方向X2と定義し、ルアー1における泳ぐ姿勢のときの上下方向を上下方向X3と定義して以下説明する。
【0028】
ルアー1は、魚を模擬した流線形状に形成され、半割の一対のボディ10の周縁部10d同士を接着又は溶着等で接合して一体的に形成される。ボディ10は、前方から後方に向けた順に頭部ボディ10A、胴部ボディ10B及び尾部ボディ10Cがそれぞれ前後方向X1に3分割されていて、各ボディ同士が左右方向X2に揺動自在に設けられている。各ボディ10A、10B、10Cは、中空部を形成している。
【0029】
図1図3において、紙面左側が頭部側であり、紙面右側が尾部側である。ルアー1は、前後方向X1の中央部(頭部ボディ10Aと胴部ボディ10Bの連結部分)で断面が最も大きくなる形状をなしている。すなわち、ルアー1は、前端部10aから中央部に向けて太くなり、中央部から後端部10bに向かうに従い先細る形状で、全体が滑らかな曲線を形成している。
【0030】
頭部ボディ10Aは、頭部側に設けられ、魚の略前半分を模擬した形状に形成されている。頭部ボディ10Aの前端部10aには、ラインアイ32が設けられている。頭部ボディ10Aの後部下面10cには、魚を引っ掛けるためのフック(図示省略)を接続する第1フックアイ33が設けられている。
【0031】
図4及び図5に示すように、頭部ボディ10Aは、胴部ボディ10Bに対して第1連結部T1を介して左右方向X2に揺動可能に連結されている。頭部ボディ10Aは、胴部ボディ10Bに対して揺動可能に連結する一対の第1連結部材2Aと、第1連結部材2Aを揺動可能に支持する第1揺動軸部31を有する第1線状部材3Aと、を備える。
【0032】
一対の第1連結部材2A,2Aは、ルアー1の上下方向X3の略中心を挟んだ上下に互いに間隔あけて配置されている。第1連結部材2Aは、頭部ボディ10A及び胴部ボディ10Bのそれぞれに対して揺動自在に設けられている。
なお、第1連結部材2Aが上下一対で設けられているが、数量はとくに限定されることはない。例えば、第1連結部材2Aが1つであってもよいし、3つ以上の第1連結部材2Aが上下方向X3に並んで設けられていてもよい。
【0033】
第1連結部材2Aは、頭部ボディ10Aに対して胴部ボディ10Bを左右両側に折り畳み可能な姿勢になるよう揺動可能に支持している。第1連結部材2Aは、例えばステンレス(SUS)製である。
【0034】
第1連結部材2Aは、長尺板状の部材であり、長手方向の両端に厚み方向に貫通する軸孔2a、2b(回転軸)が形成されている。すなわち、第1連結部材2Aは、長手方向を前後方向X1に向け、かつ面方向を上下方向X3に直交する平面方向に向けた状態で配置される。第1連結部材2Aは、軸孔2a、2bの軸方向を上下方向X3に一致させた状態でボディ10に装着される。一方の軸孔2aは、頭部ボディ10Aの内部に配置され、頭部ボディ10Aの第1揺動軸部31が挿通される。他方の軸孔2bは、胴部ボディ10Bの内部に配置され、胴部ボディ10Bの後述する第2揺動軸部34が挿通される。
【0035】
頭部ボディ10Aの内面には、第1連結部材2Aの前方部分、及び第1揺動軸部31を含む第1線状部材3Aを係合する溝状の係合溝4Aが形成されている。
【0036】
第1線状部材3Aは、金属製の棒状部材であり、例えば外径2mm程度の高強度の太線ワイヤが採用される。第1線状部材3Aは、上述した第1揺動軸部31と、釣り糸を接続するラインアイ32(接続部)と、不図示の釣り針(フック)を接続する第1フックアイ33(接続部)と、を有する。すなわち、第1線状部材3Aは、全体が1本の線材からなり、線状部分の一部が第1揺動軸部31、ラインアイ32及び第1フックアイ33として機能する部分を形成している。
【0037】
ラインアイ32及び第1フックアイ33は、線状部材を湾曲させた湾曲部3a、3bであり、その湾曲部3a、3bを頭部ボディ10Aの外側に突出させることで構成されている。湾曲部3aであるラインアイ32は、頭部ボディ10Aの前端部10aから前方に突出している。湾曲部3bである第1フックアイ33は、頭部ボディ10Aの後部下面10cから下方に突出している。ラインアイ32は、前後方向X1に延びる直線部3cと直線部3cから下方に略直角に折れ曲がる屈曲部3dを介して第1フックアイ33に繋がり、第1フックアイ33は上方において第1揺動軸部31に繋がっている。
【0038】
第1線状部材3Aの直線部3cは、第1揺動軸部31の軸方向と異なる方向に延びる係合部である。
【0039】
胴部ボディ10Bは、頭部ボディ10Aに対して第1連結部T1を介して左右方向X2に揺動可能に連結され、尾部ボディ10Cに対して第2連結部T2を介して左右方向X2に揺動可能に連結されている。胴部ボディ10Bは、頭部ボディ10Bに対して揺動可能に連結する一対の第1連結部材2Aと、尾部ボディ10Cに対して揺動可能に連結する一対の第2連結部材2Bと、第2線状部材3Bと、を備える。
【0040】
第1連結部材2Aは、上述したように頭部ボディ10Aと共通で使用される。第1連結部材2Aの他方の軸孔2bには、胴部ボディ10Bの内部に配置される第2線状部材3Bの後述する第2揺動軸部34が挿通される。
【0041】
一対の第2連結部材2B,2Bは、胴部ボディ10Bの上下方向X3の略中心を挟んだ上下に互いに間隔あけて配置されている。第2連結部材2Bは、胴部ボディ10B及び尾部ボディ10Cのそれぞれに対して揺動自在に設けられている。
なお、第2連結部材2Bが上下一対で設けられているが、数量はとくに限定されることはない。例えば、第2連結部材2Bが1つであってもよいし、3つ以上の第2連結部材2Bが上下方向X3に並んで設けられていてもよい。
【0042】
第2連結部材2Bは、胴部ボディ10Bに対して尾部ボディ10Cを左右両側に折り畳み可能な姿勢になるよう揺動可能に支持している。第2連結部材2Bは、例えばステンレス(SUS)製である。
【0043】
第2連結部材2Bは、長尺板状の部材であり、長手方向の両端に厚み方向に貫通する軸孔2c、2d(回転軸)が形成されている。すなわち、第2連結部材2Bは、長手方向を前後方向X1に向け、かつ面方向を上下方向X3に直交する平面方向に向けた状態で配置される。第2連結部材2Bは、軸孔2c、2dの軸方向を上下方向X3に一致させた状態でボディ10に装着される。一方の軸孔2cは、胴部ボディ10Bの内部に配置され、胴部ボディ10Bの第3揺動軸部35が挿通される。他方の軸孔2dは、尾部ボディ10Cの内部に配置され、尾部ボディ10Cの後述する第4揺動軸部36が挿通される。
【0044】
胴部ボディ10Bの内面には、第1連結部材2Aの後方部分、第2連結部材2Bの前方部分、及び第2線状部材3Bの第2揺動軸部34、第3揺動軸部35を係合する溝状の係合溝4Bが形成されている。
【0045】
第2線状部材3Bは、第1線状部材3Aと同様に、金属製の棒状部材であり、例えば外径2mm程度の高強度の太線ワイヤが採用される。第2線状部材3Bは、第1連結部材2Aを揺動可能に支持する第2揺動軸部34と、第2連結部材2Bを揺動可能に支持する第3揺動軸部35と、を有する。第2線状部材3Bは、略U型形状に形成され、上下方向X3に延びる平行な直線部3e、3fにそれぞれ第2揺動軸部34と第3揺動軸部35とが配置される。第2揺動軸部34及び第3揺動軸部35は、それぞれの上端部で左右方向X2の一方に向けて屈曲した折曲部34a、35aを有する。
さらに、第2線状部材3Bは、一対の直線部3e、3f同士の間で略180度に湾曲する湾曲部3gを胴部ボディ10Bの下方外側に突出させることで構成されている。なお、湾曲部3gは胴部ボディ10Bの外部に位置するため、係合溝4Bに係合しない部分となる。
【0046】
第2線状部材3Bの折曲部34a、35aは、第2揺動軸部34及び第3揺動軸部35のそれぞれ軸方向と異なる方向に延びる係合部である。折曲部34a、35aは、係合溝4Bに係合する。このように第2線状部材3Bにおいて折曲部34a、35aを設けることにより、湾曲部3gに下向きの力がかかっても第2線状部材3Bが胴部ボディ10Bから抜け落ちることを防止できる。
【0047】
尾部ボディ10Cは、胴部ボディ10Bに対して第2連結部T2を介して左右方向X2に揺動可能に連結されている。尾部ボディ10Cは、胴部ボディ10Bに対して揺動可能に連結する一対の第2連結部材2Bと、第2連結部材2Bを揺動可能に支持する第4揺動軸部36を有する第3線状部材3Cと、を備える。
【0048】
第2連結部材2Bは、上述したように胴部ボディ10Bと共通で使用される。第2連結部材2Bの他方の軸孔2dには、尾部ボディ10Cの内部に配置される第3線状部材3Cの第4揺動軸部36が挿通される。
【0049】
尾部ボディ10Cの内面には、第2連結部材2Bの後方部分、及び第4揺動軸部36を含む第3線状部材3Cを係合する溝状の係合溝4Cが形成されている。
【0050】
第3線状部材3Cは、金属製の棒状部材であり、例えば外径2mm程度の高強度の太線ワイヤが採用される。第3線状部材3Cは、上述した第4揺動軸部36と、不図示の釣り針(フック)を接続する第2フックアイ37(接続部)と、を有する。すなわち、第3線状部材3Cは、全体が1本の線材からなり、線状部分の一部が第4揺動軸部36、第2フックアイ37として機能する部分を形成している。
【0051】
第2フックアイ33は、線状部材を湾曲させた湾曲部3hであり、その湾曲部3hを尾部ボディ10Cの後端部10bから外側に突出させることで構成されている。第4揺動軸部36は、下端で前後方向X1延びる直線部3iを介して第2第1フックアイ33に繋がっている。
【0052】
第3線状部材3Cの直線部3iは、第4揺動軸部36の軸方向と異なる方向に延びる係合部である。
【0053】
次に、このように構成されるルアー1の作用について、図1図5に基づいて詳細に説明する。
本実施形態によるルアー1では、前後に分割されている複数のボディ10(10A、10B、10C)と、これらボディ10同士を揺動可能に連結する連結部材2A、2Bと、連結部材2A、2Bの揺動軸部31、34、35、36を有する線状部材3A、3B、3Cと、を備える。線状部材3A、3B、3Cは、揺動軸部31、34、35、36の軸方向と異なる方向に延び、複数のボディ10A、10B、10Cのうちの少なくとも一つの内部に係合する係合部を有する。
【0054】
本実施形態では、連結部材2A、2Bの揺動軸部31、34、35、36を有する線状部材3A、3B、3Cが、揺動軸部31、34、35、36の軸方向と異なる方向でボディ10A、10B、10Cの内部に係合する係合部を有するので、従来例のようにピンやねじでボディ外部から揺動軸を挿通するものに比べて揺動軸のボディ外部に露出する部分が損傷して抜けてしまうことを防止できる。
【0055】
また、本実施形態では、線状部材3A、3B、3Cは、釣り糸または釣り針を接続する接続部をさらに有するので、線状部材3A、3B、3Cが他の機能も備えるので部品点数を削減でき、組立性を向上させることができる。
【0056】
また、本実施形態では、接続部は、線状部材3A、3B、3Cに形成される湾曲部であり、湾曲部がボディ10A、10B、10Cの外側に突出する。このように構成することで、線状部材3A、3B、3Cの一部を湾曲させた湾曲部がボディ10A、10B、10Cから露出した状態で設けられるので、この湾曲部に釣り糸又は釣り針を接続することができる。この場合、湾曲部のみがボディ10A、10B、10Cから突出し、湾曲部に連なる支持部がボディ10A、10B、10Cに係合して支持されているので、湾曲部の強度を大きくすることができる。
【0057】
さらに、本実施形態では、揺動軸部31、34、35、36は、連結部材2A、2Bの回転軸に位置する。この場合には、線状部材3A、3B、3Cの一部に構成される揺動軸部31、34、35、36が、前後に分割されたボディ10A、10B、10C同士を揺動可能に接続する連結部材2A、2Bの回転軸の機能をもたせることができる。この場合も、揺動軸部31、34、35、36に連なる支持部がボディ10A、10B、10Cに係合して支持されているので、揺動軸部31、34、35、36の強度を大きくすることができる。
【0058】
また、本実施形態では、ボディ10A、10B、10Cには、線状部材3A、3B、3Cが係合する係合溝4A、4B、4Cが形成される。これにより、線状部材3A、3B、3Cがボディの係合溝4A、4B、4Cに係合して面で支持されるので、線状部材3A、3B、3Cの支持強度を高めることができる。
【0059】
上述のように構成された本実施形態によるルアー1では、分割されたボディ10同士の連結部の強度を高め、連結部T1、T2の揺動軸部31、34、35、36の抜け落ちを防止することができる。
【0060】
(第2実施形態)
次に、図6に示すように、第2実施形態によるルアー1Aは、尾部ボディ10Dの構成が上述した第1実施形態のルアー1とは異なっている。頭部ボディ10Aおよび胴部ボディ10Bの構成は、上述した第1実施形態と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0061】
第2実施形態による尾部ボディ10Dは、胴部ボディ10Bに対して第2連結部T2を介して左右方向X2に揺動可能に連結されている。尾部ボディ10Dは、胴部ボディ10Bに対して揺動可能に連結する一対の第2連結部材2Bと、第2連結部材2Bを揺動可能に支持する第5揺動軸部38を有する第4線状部材3Dと、を備える。尾部ボディ10Dの後端部10bには、尾ビレ6が設けられている。
【0062】
第2連結部材2Bは、上述した第1実施形態と同様の構成であり、胴部ボディ10Bと共通で使用される。第2連結部材2Bの他方の軸孔2dには、尾部ボディ10Dの内部に配置される第4線状部材3Dの第5揺動軸部38が挿通される。
【0063】
尾部ボディ10Dの内面には、第2連結部材2Bの後方部分、及び第5揺動軸部38を含む第4線状部材3Dを係合する溝状の係合溝4Dが形成されている。
【0064】
第4線状部材3Dは、金属製の棒状部材であり、例えば外径2mm程度の高強度の太線ワイヤが採用される。第4線状部材3Dは、上述した第5揺動軸部38と、釣り針(フック5)を接続する第3フックアイ39(接続部)と、を有する。すなわち、第4線状部材3Dは、全体が1本の線材からなり、線状部分の一部が第5揺動軸部38、第3フックアイ39として機能する部分を形成している。
【0065】
第3フックアイ39は、線状部材の中間位置で略180度に湾曲させた湾曲部3jであり、その湾曲部3jをボディ下面10eから下方に突出させることで構成されている。第4線状部材3Dは、略U型形状に形成され、上下方向X3に延びる平行な直線部分にはそれぞれ第5揺動軸部38と直線部3kとが配置される。第5揺動軸部38は、上端部で左右方向X2の一方に向けて屈曲した折曲部38aを有する。
【0066】
第4線状部材3Dの折曲部38a及び湾曲部3jは、第5揺動軸部38の軸方向と異なる方向に延びる係合部である。折曲部38aは、係合溝4Dに係合する。このように第4線状部材3Dにおいて折曲部38aを設けることにより、第3フックアイ39に下向きの力がかかっても第4線状部材3Dが尾部ボディ10Dから抜け落ちることを防止できる。
【0067】
(第3実施形態)
次に、図7及び図8に示すように、第3実施形態によるルアー1Bは、頭部ボディ10Aに設けられる線状部材5Aと、胴部ボディ10Bに設けられる線状部材5Bと、尾部ボディ10Cに設けられる線状部材5Cと、を備える。線状部材5Aは、一対の第1連結部材2Aに挿通される第6揺動軸部51を有する。線状部材5Bは、一対の第1連結部材2Aに挿通される第7揺動軸部52と、一対の第2連結部材2Bに挿通される第8揺動軸部53と、を有する。線状部材5Cは、一対の第2連結部材2Bに挿通される第9揺動軸部54を有する。第6揺動軸部51と第7揺動軸部52とは、左右方向X2から見て線対称である(図9参照)。図9に示す符号Qの線は、線対称の中心線を示している。また、第8揺動軸部53と第9揺動軸部54とは、線対称ではなく形状が異なっている。
【0068】
図9に示すように、第6揺動軸部51は、上下方向X3に延びる軸本体510を有する。軸本体510の頭部ボディ10Aの一部に係合する係合部51aと反対側の端部(屈曲端部51b)は、第6揺動軸部51の軸方向に交差する方向に1回以上(ここでは2回)屈曲する屈曲部55(55A、55B)を有する。すなわち、軸本体510の屈曲端部51bから略直角に屈曲して第1屈曲部55Aが形成され、さらに第1屈曲部55Aの先端から下方に向けて屈曲する第2屈曲部55Bが形成されている。
【0069】
第7揺動軸部52は、上下方向X3に延びる軸本体520を有する。軸本体520の胴部ボディ10Bの一部に係合する係合部52aと反対側の端部(屈曲端部52b)は、第7揺動軸部52の軸方向に交差する方向に1回以上(ここでは2回)屈曲する屈曲部56(56A、56B)を有する。すなわち、軸本体520の屈曲端部52bから略直角に屈曲して第1屈曲部56Aが形成され、さらに第1屈曲部56Aの先端から下方に向けて屈曲する第2屈曲部56Bが形成されている。
【0070】
第3実施形態では、ルアー1Bの組立時において、2枚の第1連結部材2Aを、第6揺動軸部51と第7揺動軸部52とをそれぞれ第2屈曲部55B、56Bの端部55a、56aから同時に挿通させ、第1屈曲部55A、56Aを通過し、さらに軸本体510、520の位置に移動させることが可能である。
【0071】
その一対の第1連結部材2Aの移動条件として、図10に示すように、屈曲部55の各直線部分(第1屈曲部55A、第2屈曲部55B)の長さをL、軸本体510の外径をA、第1連結部材2Aの厚みをTとしたときに、式(1)を満たすように設定される。すなわち、式(1)とすることで、屈曲部55の長さLを2枚分の第1連結部材2Aをスムーズに移動させる長さに設定できる。
【0072】
【数2】
【0073】
このように本第3実施形態では、前後のボディ10A、10B同士の連結部に配置される線状部材5A、5Bにおける揺動軸部51、52の屈曲部55、56同士が線対称であるので、前後の線状部材5A、5Bを連結する1つの第1連結部材2Aを双方の屈曲部55、56から挿通させて揺動軸部51、52へ容易に移動させ、第1連結部材2Aを双方の揺動軸部51、52の所定位置に配置することができる。そのため、先行して線状部材5A、5Bと第1連結部材2Aを所望の形状に一体的に組み込むことができ、線状部材5A、5Bと第1連結部材2Aとを一体化したものを、左右方向に二分割されたボディ10A、10Bに挟み込んで製造することができ、組立性が向上する。
【0074】
また、本第3実施形態では、頭部ボディ11、10B同士の1箇所の連結部には、複数の第1連結部材2Aが配置されるので、1箇所の連結部に複数(ここでは2枚)の第1連結部材2Aが設けられる構成であっても、これら複数の第1連結部材2Aを前後一対の線状部材5A、5Bの揺動軸部51、52に連結させて一体化することができる。
【0075】
さらに、本実施形態では、上記の式(1)の範囲に設定することで、第1連結部材2Aを前後一対の線状部材5A、5Bに組み付ける際に、屈曲部55、56において第1連結部材2Aをスムーズに移動させることができる。
【0076】
(第1変形例)
図11に示す第1変形例は、上述した第3実施形態のルアー10Bにおいて、頭部ボディ10Aと胴部ボディ10Bに設けられる揺動軸部51、52の屈曲端部51b、52bに設けられる屈曲部55、56が3回曲げとなっている。すなわち、揺動軸部51の屈曲部51は、第1屈曲部55A、第2屈曲部55B、及び第2屈曲部55Bからさらに90°左右方向に屈曲した第3屈曲部55Cを有する。揺動軸部52の屈曲部56は、第1屈曲部56A、第2屈曲部56B、及び第2屈曲部56Bからさらに90°左右方向に屈曲した第3屈曲部56Cを有する。双方の第3屈曲部55C、56Cは、それぞれ左右反対向きに屈曲している。そして、第1変形例による屈曲部55、56も左右方向X2から見て線対称である。図11に示す符号Qの線は、線対称の中心線を示している。
【0077】
第1変形例においても、上記の第3実施形態と同様に、ルアー1Bの組立時において、2枚の第1連結部材2Aを、第6揺動軸部51と第7揺動軸部52とをそれぞれ第3屈曲部55C、56Cの端部55b、56bから同時に挿通させ、第2屈曲部55B、56B、第1屈曲部55A、56Aの順で移動させ、さらに軸本体510、520の位置に移動させることが可能である。
【0078】
以上、本発明によるルアーの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形例には、例えば当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、均等の範囲のものなどが含まれる。
【0079】
例えば、上記実施形態では、ルアー1、1Aの各ボディ10に設けられる線状部材に、揺動軸部の他に釣り糸または釣り針を接続する接続部を有するものも構成しているが、接続部を備えない線状部材のみで構成したルアーであってもかまわない。
【0080】
釣り糸または釣り針を接続する接続部が線状部材に形成される湾曲部としているが、湾曲部であることに限定されることはない。また、湾曲部がボディ10の外側に突出する構成に限定されることはなく、ルアーの内側に位置していてもよい。
【0081】
本実施形態では、線状部材が係合する係合溝がボディ10の内面に形成された構成としているが、線状部材がボディ10に保持される構成であればよく、必ずしもボディ10に係合溝を備える構成に限定されることはない。
【符号の説明】
【0082】
1、1A、1B ルアー
2A 第1連結部材
2B 第2連結部材
2a、2b、2c、2d 軸孔(回転軸)
3A、3B、3C、3D 線状部材
4A、4B、4C、4D 係合溝
5A、5B、5C 線状部材
10 ボディ
10a 前端部
10b 後端部
10A 頭部ボディ
10B 胴部ボディ
10C,10D 尾部ボディ
31 第1揺動軸部
32 ラインアイ(接続部)
33 第1フックアイ(接続部)
34 第2揺動軸部
35 第3揺動軸部
36 第4揺動軸部
37 第2フックアイ(接続部)
38 第5揺動軸部
39 第3フックアイ(接続部)
51 第6揺動軸部
510 軸本体
55 屈曲部
52 第7揺動軸部
520 軸本体
56 屈曲部
X1 前後方向
X2 左右方向
X3 上下方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11