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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174813
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】巻線アセンブリ並びに関連方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/18 20060101AFI20241210BHJP
   F03D 80/80 20160101ALN20241210BHJP
【FI】
H02K3/18 P
F03D80/80
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024078301
(22)【出願日】2024-05-14
(31)【優先権主張番号】23382501.7
(32)【優先日】2023-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】513131419
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック レノバブレス エスパーニャ, エセ.エレ.
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(72)【発明者】
【氏名】セザール・ムイズ・カサイス
(72)【発明者】
【氏名】フリオ・セザール・アーレスティ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】過熱と、絶縁劣化を促進する機械的ストレスを低減する巻線アセンブリを提供する。
【解決手段】本開示は、電気機械用の巻線アセンブリに関する。巻線アセンブリ100は、絶縁ストランドを有する複数の巻線体を含む。複数の巻線体は、固定子歯200の基部210の周囲に取り付けられるように構成された第1の巻線体120と、固定子歯の先端に近接して取り付けられるように構成された第2の巻線体130とを含む。また、第1の巻線体と第2の巻線体は電気的に接続されている。かかる巻線アセンブリを含む固定子セグメント並びに磁極片も提供する。巻線アセンブリを固定子歯に取り付ける方法も提供する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機械の固定子歯(200)のための巻線アセンブリ(100)であって、前記固定子歯(200)が、半径方向に基部(210)から遠位端(220)まで延在しており、当該巻線アセンブリ(100)が、
前記固定子歯(200)の基部の近くの固定子歯(200)のセクションの周囲に取り付けられるように構成された第1の巻線体(120)であって、前記固定子歯(200)の周囲に巻回された複数の第1の絶縁ストランド(121)を備える、第1の巻線体(120)と、
第1の巻線体(120)よりも前記固定子歯(200)の遠位端に近接して取り付けられるように構成された第2の巻線体(130)であって、前記固定子歯(200)の周囲に巻回された複数の第2の絶縁ストランド(131)を備える第2の巻線体(130)と
を備えており、第2の巻線体(130)が第1の巻線体(120)から離間している、巻線アセンブリ。
【請求項2】
第1の巻線体(120)が第2の巻線体(130)と電気的に接続されている、請求項1に記載の巻線アセンブリ。
【請求項3】
第1のストランド(121)の断面積が第2のストランド(131)の断面積よりも大きい、請求項1又は請求項2に記載の巻線アセンブリ。
【請求項4】
第1のストランド(121)の断面積が第2のストランド(131)の断面積よりも50%以上大きい、請求項3に記載の巻線アセンブリ。
【請求項5】
第1の巻線体と第2の巻線体の間に冷却流路(140)をさらに備える、請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の巻線アセンブリ。
【請求項6】
前記冷却流路(140)が液体冷却材を搬送するように構成されている、請求項5に記載の巻線アセンブリ。
【請求項7】
第1の巻線体(120)が、第2の巻線体(130)と同一又はそれ以上の高さを有する、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の巻線アセンブリ。
【請求項8】
第1の巻線体(120)が第2の巻線体(130)の高さの150%以上の高さを有し、特に第1の巻線体(120)の高さが第2の巻線体(130)の高さの150%~200%である、請求項7に記載の巻線アセンブリ。
【請求項9】
当該巻線アセンブリが、第2の巻線体に電気的に接続された第3の巻線体であって、前記歯の周囲に巻回された複数の第3の絶縁ストランドを備えており、第2の巻線体よりも固定子歯の遠位端に近接して取り付けられるように構成された第3の巻線体を備えており、適宜、第3の巻線体のストランドの断面積が第2の巻線体のストランドの断面積よりも小さく、第2の巻線体と第3の巻線体の間に追加の冷却回路をさらに備える、請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の巻線アセンブリ。
【請求項10】
半径方向に基部から遠位端まで延在する1以上の固定子歯を備えており、各固定子歯の周囲に請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の巻線アセンブリをさらに備える固定子セグメント。
【請求項11】
当該固定子セグメントの基部が、固定子の嵌合構造に嵌合する形状を有する、請求項10に記載の固定子セグメント。
【請求項12】
当該固定子セグメントが、単一の固定子歯を含む磁極片である、請求項10又は請求項11に記載の固定子セグメント。
【請求項13】
機械軸の周りで回転可能な回転子と、
前記回転子と同心の固定子であって、請求項10乃至請求項12のいずれか1項に記載の1以上の固定子セグメントを含む固定子と
を備える電気機械。
【請求項14】
請求項13に記載の電気機械を備える風力タービン。
【請求項15】
請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の巻線アセンブリを固定子歯に取り付ける方法であって、前記固定子歯が半径方向に基部から遠位端まで延在しており、当該方法が、
前記固定子歯の基部の近くの固定子歯のセクションに複数の第1の絶縁ストランドを巻回することにより、第1の巻線体を用意するステップと、
前記固定子歯の遠位端に近い固定子歯のセクションの周囲に複数の第2の絶縁ストランドを巻回することによって、第2の巻線体を用意するステップと、
第1の巻線体を第2の巻線体と電気的に接続するステップと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、巻線アセンブリ並びにかかる巻線アセンブリを含む磁極片に関する。本開示はさらに、電気機械、例えば、かかる巻線アセンブリ又は磁極片を含む発電機に関する。本開示は、さらに、かかる発電機を備える風力タービンに関する。本開示は、巻線アセンブリを電気機械の固定子歯に取り付ける方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
先進風力タービンは、電力網への電力の供給に常用されている。この種の風力タービンは、一般に、タワーとタワーに配置されたロータとを備える。ロータは、通例ハブと複数のブレードを備えており、ブレードに対する風の影響下で回転する。この回転は通常ロータシャフトによって発電機に直接(「直接駆動」又は「ギアレス」)又はギアボックスを用いて伝達されるトルクを生成する。こうして、発電機は電力を発生し、電力を電力網に供給することができる。
【0003】
風力タービン発電機並びにモーターのような他の電気機械は、一般に回転子及び固定子を備える。回転子及び固定子は、それらの間に半径方向空隙を設けて同心に取り付けることができる。回転子は固定子に対して回転する。回転子が内側構造を形成し、固定子が外側構造を形成してもよい。したがって、固定子が半径方向に回転子を取り囲んでいてもよい。或いは別の構成では、配置が逆転して、回転子が半径方向に固定子を取り囲んでいてもよい。
【0004】
先進風力タービンのような大型発電機は永久磁石発電機(PMG)又は電気励磁発電機であることがある。永久磁石発電機では、永久磁石(PM)は一般に回転子に配置され、巻線素子(つまりコイル)は通常固定子に含まれる。永久磁石発電機は概して信頼性があり、他のタイプの発電機よりもメンテナンスが少なくて済むので、洋上風力タービンに適しているとみなされることが多い。
【0005】
永久磁石発電機は、半径方向に突出する複数の歯を有する固定子ヨークを備えていてもよい。固定子が発電機回転子を取り囲んでいる発電機では、歯は固定子ヨークの中心に向かって突出し得る。或いは発電機回転子が固定子を取り囲んでいる発電機では、歯は固定子ヨークの半径方向外側に向かって突出し得る。さらに、複数のスロットが隣接する歯の間に画成されていてもよく、各スロットはそれぞれの巻線又は異なる巻線の幾つかの部分を収容し得る。
【0006】
一方、電気励磁発電機は、一般に、複数の磁極片及び励磁巻線(すなわちコイル)を有する回転子を備える。使用時には、励磁コイルに電流が印加される。印加された電流は磁極の極性を生じ、隣接する磁極は異なる磁気極性を有する。回転子が回転すると、磁極片からの磁界が固定子の巻線に達して固定子巻線に可変磁束が発生して固定子巻線に電圧を生じる。
【0007】
巻線は通例絶縁銅線でできており、必要な電磁場を発生させるために歯の周りに巻回される。大型電気機械の巻線に関連する大きな問題の1つは過熱である。巻線内の銅線に電流が流れると、熱が発生して蓄積し、絶縁体の劣化及び/又は電気機械の全体的性能の低下を招くおそれがある。過熱は、高い電流密度、不十分な冷却又は低品質の絶縁を始めとする様々な要因に起因する。さらに、過熱は、絶縁破壊を招くおそれがあり、短絡及び機械の重大な損傷を生じかねない。
【0008】
巻線に関連するもう一つの問題は、絶縁不良である。銅線の絶縁は、短絡その他の電気的問題を防ぐうえで不可欠である。しかし、巻線を有効に絶縁することは、巻線表面の周りに絶縁材料をしっかりと固定する必要があることを意味する。そのため絶縁材料(例えば絶縁テープ)は、巻線の角などで高負荷に付される。この過度の機械的ストレスは、経時的に絶縁劣化を促進するおそれがある。絶縁不良は、機械に重大な損傷を与えかねない。
【0009】
かかる潜在的な問題は、電気機械の大型化に伴って悪化しかねない。電気機械のサイズが大きくなると、固定子歯及び対応する巻線のサイズも大きくなることがある。例えば、大型電気機械、特に発電機は、ダイレクトドライブ風力タービン、特に公称出力が10MW以上のダイレクトドライブ風力タービンで知られている。かかるダイレクトドライブ発電機は、例えば6~8m又は以上の直径及び1~2m又は以上の長さを有することがある。大型電気機械は、水力発電設備などの他の技術分野でも知られている。
【0010】
本開示は、巻線アセンブリ及び関連方法であって、大型又は非常に大型の電気機械にも適しており、上述の短所の幾つかを少なくとも部分的に解消するものを提供することを目的とする。
【発明の概要】
【0011】
本開示の一態様では、電気機械の固定子歯のための巻線アセンブリを提供するが、固定子歯は半径方向に基部から遠位端まで延在している。巻線アセンブリは、固定子歯の基部の近くの固定子歯のセクションの周囲に取り付けられるように構成された第1の巻線体であって、固定子歯の周囲に巻回された複数の第1の絶縁ストランドを備える第1の巻線体を備える。巻線アセンブリは、第1の巻線体よりも固定子歯の遠位端に近接して取り付けられるように構成された第2の巻線体であって、固定子歯の周囲に巻回された複数の第2の絶縁ストランドを備える第2の巻線体を備える。第2の巻線体は、第1の巻線体から離間している。
【0012】
複数の巻線体を設けると、アセンブリの絶縁が簡単になり、例えば、各巻線体は独立した絶縁を有することができ、絶縁材料は、巻線体の高さの低減のため、受ける引張荷重が減る。また、幾つかの例では、第1及び第2の巻線体は、以下で説明するように、異なる目的のために至適化し得る。さらに、開示された巻線アセンブリの温度は、単一の体巻線と比較して外表面積対体積比の増加によって、さらに効率的に制御し得る。巻線体を物理的に分離することで、以下で説明するような追加の冷却が可能となる。
【0013】
本開示の別の態様では、半径方向に基部から遠位端まで延在する1以上の固定子歯を含む固定子セグメントを提供する。本固定子セグメントは、前記態様に係る巻線アセンブリをさらに備える。
【0014】
さらに別の態様では、電気機械を提供する。電気機械は、機械軸の周りで回転可能な回転子と、回転子と同心の固定子とを備える。固定子は、前記態様に係る複数の磁極片を備える。
【0015】
さらに別の態様では、かかる電気機械を備える風力タービンも提供する。
【0016】
さらに別の態様では、巻線アセンブリを固定子歯に取り付ける方法を提供するが、固定子歯は、半径方向に基部から遠位端まで延在している。本方法は、固定子歯の基部の近くの固定子歯のセクションに複数の第1の絶縁ストランドを巻回することによって第1の巻線体を用意するステップと、固定子歯の遠位端に近い固定子歯のセクションに複数の第2の絶縁ストランドを巻回することによって第2の巻線体を用意するステップとを含む。本方法は、第1の巻線体を第2の巻線体に電気的に接続することをさらに含む。
【0017】
さらに別の態様では、電気機械の固定子用の磁極片を提供する。磁極片は、半径方向に基部から遠位端まで延在する固定子歯を備えており、磁極片の基部は、固定子の嵌合構造に嵌合するような形状である。磁極片は、固定子歯の基部の近くの固定子歯のセクションの周囲に巻回された複数の第1の絶縁ストランドを含む第1の巻線体と、第1の巻線体よりも固定子歯の先端に近い固定子歯に巻回された複数の第2の絶縁ストランドを含む第2の巻線体とをさらに備える。第2の巻線体は、第1の巻線体から分離しており、第1の巻線体は第2の巻線体に電気的に接続される。
【0018】
本開示全体を通して、「ストランド」という用語は、ワイヤ又はケーブルであって断面が円形又は丸みを帯びもの、並びにプレート状材料で、例えば断面が長方形、正方形又は他の断面形状のものをいう。本明細書では、プレート状材料は一定の厚さを有していてもよく、例えばストリップ又はバーとみなすことができる。
【0019】
本開示技術の実施形態のその他の目的、利点及び特徴については、以下の詳細な説明から当業者には明らかとなろうし、或いは本技術の実施を通して習得できるものもあろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】風力タービンの一例の概略斜視図。
図2】風力タービンのハブ及びナセルの一例を示す図。
図3】固定子歯に取り付けられた本開示に係る巻線アセンブリの一例の概略斜視図。
図4図3のA-A’矢視概略断面図。
図5】巻線アセンブリの別の例の概略断面図。
図6】本開示に係る固定子歯に風力アセンブリを取り付ける方法の一例のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本開示技術の様々な実施形態について詳細に説明し、その1以上の実施例を図面に示す。各実施例は、本技術を限定するものではなく、例示のためのものである。実際、特許請求の範囲に記載された技術的範囲及び技術的思想を逸脱することなく、本技術に様々な修正及び変更をなし得ることは当業者には明らかであろう。例えば、ある実施形態の一部として例示又は記載された特徴を、別の実施形態と共に用いてさらに別の実施形態とすることができる。従って、本開示は、添付の特許請求の範囲及びその均等の範囲に属する修正及び変更を包含する。
【0022】
図1は、風力タービン10の一例の斜視図である。この例では、風力タービン10は水平軸風力タービンである。或いは、風力タービン10は、垂直軸風力タービンであってもよい。この例では、風力タービン10は、地表面12の支持システム14から延在するタワー15と、タワー15に取り付けられたナセル16と、ナセル16に結合したロータ18とを含む。ロータ18は、回転可能なハブ20と、ハブ20に結合しかつハブ20から外側に延在する1枚以上のロータブレード22とを含む。この例では、ロータ18は3枚のロータブレード22を有する。別の実施形態では、ロータ18は、3枚未満又は3枚超のロータブレード22を含む。タワー15は、支持システム14とナセル16の間の空洞(図1には図示せず)を画成するための管状鋼から製造し得る。別の実施形態では、タワー15は、任意の適切な高さを有する任意の適切なタイプのタワーである。別の実施形態では、タワーは、コンクリート製部分と管状鋼部分とを含むハイブリッドタワーであってもよい。また、タワーは部分的又は完全な格子タワーであってもよい。
【0023】
ロータブレード22は、ロータ18を回転させて風から運動エネルギーを使用可能な機械的エネルギー、ひいては電気エネルギーへと伝達できるように、ハブ20の周りに離間して配置される。ロータブレード22は、ブレード基部部24を複数の荷重伝達領域26でハブ20に結合することによってハブ20に連結される。荷重伝達領域26は、ハブ荷重伝達領域及びブレード荷重伝達領域(いずれも図1には図示せず)を有していてもよい。ロータブレード22で惹起された荷重は、荷重伝達領域26を介してハブ20に伝達される。
【0024】
幾つかの例では、ロータブレード22は、約15m~約90m以上の範囲の長さを有し得る。ロータブレード22は、本明細書に記載の機能を風力タービン10が発揮し得る任意の適切な長さを有し得る。例えば、ブレード長の非限定的な例として、20m以下、37m、48.7m、50.2m、52.2m又は91m超の長さが挙げられる。風向28からロータブレード22に風が当たると、ロータ18はロータ軸30の周りで回転する。ロータブレード22が回転して遠心力を受けると、ロータブレード22にも様々な力及びモーメントが加わる。そこで、ロータブレード22は、中立又は非撓み位置から撓み位置まで撓む及び/又は回転し得る。
【0025】
さらに、ロータブレード22のピッチ角(すなわち風向に対するロータブレード22の向きを定める角度)は、風ベクトルに対する1以上のロータブレード22の角度位置の調整によって風力タービン10で発生する荷重及び電力を制御するためのピッチシステム32によって変更し得る。ロータブレード22のピッチ軸34が示してある。風力タービン10の運転中、ピッチシステム32は、特にロータブレード(の部分)の迎角が小さくなるようにロータブレード22のピッチ角を変化させることができ、回転速度の低下を促進し、及び/又はロータ18の失速を促進する。
【0026】
この例では、各ロータブレード22のブレードピッチは、風力タービンコントローラ36又はピッチ制御システム80によって個々に制御される。或いは、全てのロータブレード22に対するブレードピッチを、制御システムによって同時に制御してもよい。
【0027】
また、この例では、風向28の変化に伴って、ロータブレード22を風向28に対して位置付けるため、ナセル16のヨー方向をヨー軸38の周りで回転させてもよい。
【0028】
この例では、風力タービンコントローラ36は、ナセル16内に集中化したものとして示してあるが、風力タービンコントローラ36は、風力タービン10全体、支持システム14上、風力発電所内及び/又は遠隔制御センターにおける分散システムとしてもよい。風力タービンコントローラ36は、本明細書に記載の方法及び/又はステップを実行するように構成されたプロセッサ40を含む。さらに、本明細書に記載の他の部品の多くは、プロセッサを含む。
【0029】
本明細書で用いる「プロセッサ」という用語は、当技術分野でコンピュータと呼ばれる集積回路に限定されず、広義に、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロコンピュータ、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)、特定用途向け集積回路その他のプログラマブル回路をいい、これらの用語は、本明細書で互換的に用いられる。プロセッサ及び/又は制御システムは、メモリ、入力チャネル及び/又は出力チャネルも含むことができる。
【0030】
図2は、風力タービン10の一部の拡大断面図である。この例では、風力タービン10は、ナセル16と、ナセル16に回転可能に結合したロータ18とを含む。さらに具体的には、ロータ18のハブ20は、主軸44、ギアボックス46、高速軸48及びカップリング50によってナセル16内に位置する電動発電機42に回転可能に結合している。この例では、主軸44は、ナセル16の長手方向軸(図示せず)に対して少なくとも部分的に同軸に配置されている。主軸44の回転はギアボックス46を駆動し、次いでギアボックス46はロータ18及び主軸44の比較的遅い回転運動を高速軸48の比較的速い回転運動に変換することによって高速軸48を駆動する。後者は、カップリング50によって電気エネルギーを生成するための発電機42に接続されている。さらに、400V~1000Vの間の電圧を有する発電機42によって生成された電気エネルギーを中電圧(10~35KV)の電気エネルギーに変換するために、変圧器90及び/又は適切な電子機器、スイッチ、及び/又はインバータがナセル16内に配置されることもある。電気エネルギーは、ナセル16からタワー15へ電力ケーブルを介して伝導される。
【0031】
ギアボックス46、発電機42及び変圧器90は、ナセル16の主支持構造フレームによって支持してもよく、適宜メインフレーム52として具現化される。ギアボックス46は、1以上のトルクアーム103によってメインフレーム52に接続されたギアボックスハウジングを含んでいてもよい。この例では、ナセル16は、主前方支持軸受60及び主後方支持支持軸受62も含む。さらに、発電機42は、特に発電機42の振動がメインフレーム52に導入され、それによって騒音発生源となるのを防止するために、デカップリング支持手段54によってメインフレーム52に取り付けることができる。
【0032】
適宜、メインフレーム52は、ロータ18及びナセル16の部品の重量並びに風及び回転荷重によって生じる全荷重を担持するように構成され、さらに、これらの荷重を風力タービン10のタワー15に導入する。ロータシャフト44、発電機42、ギアボックス46、高速軸48、カップリング50、並びに限定されるものではないが、支持体52、前方支持軸受60及び後方支持軸受62を始めとする関連する締結、支持、及び/又は固定装置は、駆動トレイン64と呼ばれることもある。
【0033】
幾つかの例では、風力タービンは、ギアボックス46のない直接駆動風力タービンであってもよい。発電機42は、直接駆動風力タービンにおけるロータ18と同じ回転数で作動する。従って、それらは一般に、同程度の電力を供給するためのギアボックス46を有する風力タービンで使用される発電機よりもはるかに大きい直径を有する。
【0034】
ナセル16は、風向28に対するロータブレード22の全体的位置を制御するために、ヨー軸38の周りでナセル16、さらにはロータ18を回転させるために使用し得るヨー駆動機構56を含んでいてもよい。
【0035】
ナセル16を風向28に対して適切に位置決めするために、ナセル16は、風向計及び風速計を始めとする1以上の気象測定システム58を含んでいてもよい。気象測定システム58は、風向28及び/又は風速を始めとする情報を風力タービンコントローラ36に供給し得る。この例では、ピッチシステム32は、ピッチアセンブリ66としてハブ20内に少なくとも部分的に配置されている。ピッチアセンブリ66は、1以上のピッチ駆動システム68及び1以上のセンサ70を含む。各ピッチ駆動システム68は、ピッチ軸34に沿ってロータブレード22のピッチ角を変調するため各ロータブレード22(図1に示す)に結合している。図2には、3つのピッチ駆動システム68の1つしか示していない。
【0036】
この例では、ピッチアセンブリ66は、ハブ20に結合し、かつピッチ軸34の周りで各ロータブレード22を回転させるため各ロータブレード22(図1に示す)に結合した1以上のピッチ軸受72を含む。ピッチ駆動システム68は、ピッチ駆動モータ74と、ピッチ駆動ギヤボックス76と、ピッチ駆動ピニオン78とを備える。ピッチ駆動モータ74は、ピッチ駆動ギアボックス76に機械的な力を与えるようにピッチ駆動ギアボックス76に結合している。ピッチ駆動ギアボックス76はピッチ駆動ピニオン78に結合しており、ピッチ駆動ギアボックス76によってピッチ駆動ピニオン78が回転する。ピッチ軸受72はピッチ駆動ピニオン78に結合しており、ピッチ駆動ピニオン78の回転によってピッチ軸受72の回転を生じる。
【0037】
ピッチ駆動システム68は、風力タービンコントローラ36から1以上の信号を受信したときにロータブレード22のピッチ角を調整するため、風力タービンコントローラ36に連結している。この例では、ピッチ駆動モータ74は、ピッチアセンブリ66が本明細書に記載の通り機能できるようにする電力及び/又は油圧システムによって駆動される任意の適切なモータである。或いは、ピッチアセンブリ66は、任意の適切な構造、構成、配置並びに/或いは、限定されるものではないが、油圧シリンダ、バネ及び/又はサーボ機構などの部品を含んでいてもよい。ある実施形態では、ピッチ駆動モータ74は、ハブ20の回転慣性及び/又は風力タービン10の部品にエネルギーを供給する備蓄エネルギー源(図示せず)から抽出されるエネルギーによって駆動される。
【0038】
ピッチアセンブリ66は、特定の優先的状況及び/又はロータ18の過速度の場合に、風力タービンコントローラ36からの制御信号に従ってピッチ駆動システム68を制御するための1以上のピッチ制御システム80を含んでいてもよい。この例では、ピッチアセンブリ66は、風力タービンコントローラ36から独立してピッチ駆動システム68を制御するための各ピッチ駆動システム68に通信可能に結合した1以上のピッチ制御システム80を含む。この例では、ピッチ制御システム80は、ピッチ駆動システム68及びセンサ70に結合している。風力タービン10の正常運転中、風力タービンコントローラ36は、ロータブレード22のピッチ角を調整するようにピッチ駆動システム68を制御して得る。
【0039】
一実施形態では、例えば、電池及び電気キャパシタを含む電力発生器84は、ハブ20に又はハブ20内に配置され、センサ70、ピッチ制御システム80及びピッチ駆動システム68に電力源を提供するためこれらの部品に結合される。この例では、電力発生器84は、風力タービン10の運転中にピッチアセンブリ66に継続的な電力源を提供する。別の実施形態では、電力発生器84は、風力タービン10の電力喪失時にだけピッチアセンブリ66に電力を供給する。電力喪失事象としては、電力網の喪失又はディップ、風力タービン10の電気システムの誤作動、及び/又は風力タービンコントローラ36の故障が挙げられる。電力喪失の際に、電力発生器84は、ピッチアセンブリ66が電力喪失事象中も作動できるように、ピッチアセンブリ66に電力を供給するように作動する。
【0040】
この例では、ピッチ駆動システム68、センサ70、ピッチ制御システム80、ケーブル及び電力発生器84は、各々、ハブ20の内面88によって画成されるキャビティ86内に配置される。別の実施形態では、これらの部品は、ハブ20の外側屋根面に対して配置され、外側屋根面に直接的又は間接的に結合し得る。
【0041】
図3は、本開示の一例による巻線アセンブリ100の概略を示す。さらに正確には、図3の巻線アセンブリ100は、取り付けられた構成で例示されており、巻線アセンブリ100は電気機械の固定子歯200に取り付けられている。
【0042】
図3の固定子歯200は、半径方向RDに基部210から遠位端220まで延在している。また、固定子歯200は、半径方向RDに対して略直交する長手方向LDに沿って延在している。長手方向LDは、軸方向に延びていてもよく、電気機械の回転軸と平行であってもよい。
【0043】
固定子歯200は、固定子構造の残りの部分、例えば対応する各歯の基部210を通る固定子ヨークに取り付けてもよい。歯の遠位端220は、固定子と回転子の間の空隙の側面に配置される。
【0044】
巻線アセンブリ100は、絶縁ストランド121,131を含む複数の巻線体120,130を備える。また、複数の巻線体120,130は、固定子歯200の基部210の近くのセクションの周囲に取り付けられるように構成された第1の巻線体120と、第1の巻線体120よりも固定子歯200の先端220に近接して取り付けられるように構成された第2の巻線体130とを備える。さらに、第1及び第2の巻線体120,130は電気的に接続される。図3の例では、第1及び第2の巻線体120,130は、コネクタ160を介して電気的に接続されている。
【0045】
本願で提供する巻線アセンブリ100は、単一の巻線体を使用する場合よりも低い高さ対幅比の巻線体を使用できるようになる。例えば、高さ対幅の比率は、1以上の巻線体について5未満、さらに具体的には3未満であってもよく、その結果、絶縁不良を低減させることができる。従って、本巻線アセンブリは、絶縁体120,130の周囲に固定させるために絶縁材料122、132に加わる張力を減少させることができる。これは、同時に、巻線体120,130の角部付近の絶縁体の樹脂含有量を増加させる。
【0046】
図3にさらに示すように、巻線アセンブリ100は、第1及び第2の巻線体120,130の間の冷却チャネル140をさらに備えていてもよい。冷却チャネル140は、液体又は気体冷却材を搬送し得る。
【0047】
幾つかの例では、図4の例のように、第1の巻線体120は、第2の巻線体130よりも大きな高さを有し得る。したがって、固定子歯の側面の大部分は、第1の巻線体120で囲まれていてもよく、第2の巻線体130は、側面の比較的小さな部分しか占めていない。幾つかの例では、第1の巻線体120は、第2の巻線体の高さの150%以上の高さを有していてもよく、さらに具体的には、第1の巻線体の高さは、第2の巻線体の高さの150~200%であってもよい。
【0048】
図3には示していないが、巻線アセンブリ100は、第1及び第2の巻線体120,130に電気的に接続された第3の巻線体を備えてもよい。第3の巻線体は、第2の巻線体130よりも固定子歯200の先端220に近接して取り付けられるように構成し得る。2以上の巻線体を設ける例では、追加の冷却チャネル又は回路を、それぞれの追加の巻線体の間に設けてもよい。実施例では、巻線体間の冷却チャネルは、それらが設けられる巻線体に応じて異なる冷却特性を有していてもよい。例えば、第1及び第2の巻線体120,130の間の冷却流路140は、液体冷却材を搬送するように構成し、第2及び第3の巻線体間の冷却回路は、冷却ガス(例えば空気)を搬送するように構成してもよい。別の例では、冷却チャネルは、同じ流体を搬送するように構成してもよく、同一又は異なる冷却流量を有していてもよい。
【0049】
図4は、図3のA-A’矢視概略断面図を示す。なお、ストランド121,131の断面は、平易にするため断面で示してはいない。
【0050】
図4から明らかな通り、磁極片は、固定子構造に取り付けることができる別個のユニットとして用意し得る。電気機械の固定子用の磁極片は、固定子歯と、本明細書に開示された例のいずれかによる複数の巻線体を含む巻線アセンブリとを備えていてもよい。
【0051】
特定の態様では、本開示は、磁極片を提供し、磁極片は、半径方向に基部210から遠位端220まで延在する固定子歯200を備える。磁極片の基部210は、固定子の嵌合構造に嵌め込める形状である。
【0052】
磁極片は、固定子歯200の基部210に近い固定子歯200のセクションの周囲に巻回された複数の第1の絶縁ストランド121を含む第1の巻線体120と、第1の巻線体よりも固定子歯の先端に近い固定子歯の周囲に巻回された複数の第2の絶縁ストランド131とを含む第2の巻線体130とをさらに備える。第2の巻線体130は、第1の巻線体120から分離され、第1の巻線体120は、第2の巻線体130に電気的に接続されている。
【0053】
図4に示すように、各巻線体120,130は、複数の絶縁ストランド121,131を有し得る。また、各巻線体120,130は、互いに独立した絶縁素子122、132を有していてもよい。絶縁素子122、132(例えば絶縁テープ)に作用する荷重は、巻線体の高さとともに増加し得る。したがって、個々に絶縁されるように構成された複数の巻線体120,130を含む巻線アセンブリ100を有することは、絶縁劣化及び関連する問題の可能性を低減する。
【0054】
図4はまた、第1及び第2の巻線体120,130を冷却チャネル140で分離し得ることを示している。本例では、冷却流体を冷却流路140を流してもよい。冷却材は、液体でも気体でもよく、例えば空隙に供給される冷却空気であってもよいし、空隙に供給される冷却空気から分岐してもよい。冷却チャネルは、バッフル、或いは乱流を促進しかつ蛇行構成などを有する構造を含んでいてもよい。冷却システム140の詳細は、平易にするため図4には示していない。
【0055】
図4の断面図は、電気的に接続された2つの巻線体120,130を備える巻線アセンブリ100の例を示しているが、巻線アセンブリ100は、2以上の巻線体を備えていてもよい。例えば、巻線アセンブリ100は、電気的に接続された3又は4つの巻線体を備えていてもよい。さらに、隣接する巻線体の一部(又は全部)のペアは、追加の冷却回路によって、又は追加の独立した冷却システムによって分離してもよい。
【0056】
図4に示すように、磁極片又は巻線アセンブリ100は、固定子歯200の側壁に連結され、巻線アセンブリ100を所定の位置に保持する1以上の巻線ストッパ150(又は他の巻線保持要素)をさらに含んでいてもよい。巻線ストッパ150は、固定子歯200の遠位端220又はその近傍、或いは中間位置、すなわち第1及び第2の巻線体120,130の間に位置してもよい。また、巻線ストッパ150は、保持要素、弾性部材、くさび型要素などの幾つかの部品を備えていてもよい。従って、幾つかの例では、巻線ストッパ150は、固定子歯200の遠位端220に(又はそれに近い)幾つかの部品、及び巻線体120,130の間の他の部品を有し得る。例えば、巻線ストッパ150の保持要素を固定子歯200の遠位端220(又はその近傍)に配置してもよく、リップルバネ又はくさびなどの弾性要素を、第1及び第2の巻線体120,130の間、又は第1及び第2の巻線体120,130と冷却システム140の間に配置してもよい。巻線保持要素の他の構成を、巻線アセンブリ100に含めてもよい。
【0057】
この例の磁極片の基部210は、固定子、特に固定子リム又は固定子ヨークに嵌合するような形状である。さらに具体的には、この例の基部210は、基部の各側面の側壁280に凹部282,284を備える。対応する雄構造を、固定子の嵌合構造、例えば固定子ヨークに設けてもよい。固定子ヨークの雄構造は、凹部282,284に達して、基部210を保持することができる。例では、磁極片は、このようにして固定子ヨーク上に軸方向にスライドさせてもよい。
【0058】
幾つかの他の例では、凹部282,284は、冷却チャネルとして使用してもよく、すなわち、固定子歯の温度を制御又は低下させるために、空気をこれらのチャネルに流してもよい。
【0059】
磁極片の基部210は、基部の底面290に凹部296をさらに備えてもよい。基部は、底面290に中央穴を備えてもよく、中央穴298は、基部210を2つの部分、292及び294に分割し、中央穴298は、ナット299を収容してもよい。ボルト又は同様の留め具を使用して、ナット299と係合して、基部210を固定子ヨークに確実に取り付けることができる。
【0060】
固定子構造にユニットとして取り付けることができる単一の固定子歯を有する磁極片ではなく、さらに別の例では、複数の固定子歯を含む固定子セグメントを使用してもよい。固定子セグメントは、本明細書では、1以上の固定子歯を含むアセンブリとみなすことができる(固定子セグメントは磁極片も包含する)。固定子セグメントの複数の歯、又は固定子セグメントの各歯は、本明細書に開示された例による巻線アセンブリを備えていてもよい。
【0061】
固定子セグメントは、ユニットとして残りの固定子構造体に取り付けてもよい。固定子構造体の基部は、固定子の嵌合構造に嵌め込むような形状(磁極片についても例示したような形状)であってもよい。複数の特徴(突起又は凹部)を、残りの固定子構造の対応する特徴、特に固定子リム又は固定子ヨークとの嵌合に適した固定子セグメントの基部に組み込んでもよい。
【0062】
別の例では、第1及び第2の巻線アセンブリ(固定子歯の周囲に配置され、おそらく固定子シューに属するか、又は固定子セグメントに属する)を、互いに電気的に接続する必要はない。幾つかの例では、第1の歯の周囲に配置された第1の巻線アセンブリは、第2の歯の第2の巻線アセンブリに接続し得る。個々の歯に配置された第1及び第2の巻線アセンブリは、これらの例では直列ではなく並列に接続してもよい。固定子セグメントの場合、第1及び第2の歯は、同じ固定子セグメントの一部を形成してもよい。
【0063】
図5は、巻線アセンブリの別の例及び電気機械の固定子用の磁極片の断面の概略を示す。図5の例では、巻線アセンブリ100は、絶縁ストランド121,131からなる複数の巻線体120,130を備える。また、複数の巻線体120,130は、固定子歯200の基部210の周囲に取り付けられるように構成された第1の巻線体120と、第1の巻線体120よりも固定子歯200の先端220に近い位置に取り付けられるように構成された第2の巻線体とを含む。さらに、第1及び第2の巻線体のストランド121,131は異なる。
【0064】
図5の例では、第1の巻線体120は、第2の巻線体130のストランド131の断面積よりも大きい断面積を有するストランド121を備える。さらに正確には、第1の巻線体120のストランド121の断面積は、第2のストランドの断面積よりも50%以上大きい。図5に示す第1及び第2の巻線体からのストランド間の断面積比は、例示を目的として選択したものにすぎない。また、ストランド121は、円形の断面積を有するワイヤとして示してあるが、他の箇所で述べたように、ストランドは、実質的に矩形又は他の断面を有していてもよい。
【0065】
複数の巻線体120,130を含む巻線アセンブリ100は、渦電流損失及び/又は他の損失が少なくとも部分的に低減されるように構成し得る。
【0066】
渦電流は、変化する磁場又は磁場中での導体の相対運動によって導体内に誘導される電流のループと解される。渦電流は、磁場に垂直な面で、導体内の閉ループを流れる。特定のループ内の電流の大きさは、磁場の強さ、ループの面積及び磁束の変化率に比例し、材料の抵抗率に反比例する。磁束の変化率は歯の高さに沿って一定ではなく、歯の遠位端付近で高くなる。歯の遠位端付近の渦電流を減少させるために、第2の巻線アセンブリ(又は存在する場合は第3又は第4の巻線アセンブリ)は、断面の減少したストランドを有していてもよい。
【0067】
導体を流れる電流も、材料内の熱としてエネルギーを放散する。断面積が小さくなると、電流密度が増加し、発熱量が増える。しかし、歯の遠位端付近では、損失の主な要因は渦電流の発生であることが今回判明した。逆に、歯の基部付近では、損失の主な要因は電流密度であるため、そこでの断面積の増加によって、全体的な損失を制御できる。従来技術のシステムと比較して、全体的な損失が低減し、全体的な熱分布が一様になる。
【0068】
幾つかの例では、異なる巻線アセンブリからのストランドは、異なる材料から作ることができ、異なる抵抗率をもつ。
【0069】
図6は、巻線アセンブリを電気機械の固定子歯200に取り付けるための例示的な方法600のフローチャートである。
【0070】
図6に示すように、方法600は、固定子歯200の基部210に近い歯のセクションの周囲に第1の巻線体120を設けることを含む(ブロック602)。方法600は、第1の巻線体120よりも固定子歯200の遠位端220に近い歯のセクションの周囲に第2の巻線体130を設けることをさらに含む(ブロック604)。第1及び第2の巻線体120,130は、絶縁ストランド121,131を含んでいてもよい。方法600は、ブロック606において、第1の巻線体120を第2の巻線体130と電気的に接続することをさらに含む。
【0071】
幾つかの例では、個々の巻線体は、絶縁材料、例えば絶縁テープで包まれていてもよい。
【0072】
方法600は、以下に説明する一の実施態様又は複数の実施態様の任意の組合せなど、及び/又は本明細書の他の場所で説明する巻線アセンブリ100に関連して、追加の実施態様を含んでいてもよい。第1の実施態様では、第1の巻線体121のストランドの断面積は、第2の巻線体131のストランドの断面積よりも大きくてもよい。
【0073】
方法600の幾つかの例では、巻線体120,130を電気的に接続することは、コネクタ160を第1及び第2の巻線体120,130に溶接又はろう付けすることを含んでいてもよい。
【0074】
別の実施態様では、単独で、又は上述の実施態様の1以上と組合せて、方法600は、第1及び第2の巻線体120,130の間に冷却システム140を設けることをさらに含んでいてもよい。
【0075】
別の実施態様では、単独で、又は上述の実施態様の1以上と組合せて、固定子歯200に第1の巻線体120、第2の巻線体130及び冷却システム140を設けることを、1つのステップで行ってもよい。
【0076】
図6は、方法600のブロックの例を示しているが、幾つかの実施態様では、方法600は、図6に示すものよりも、追加のブロック、より少ないブロック、異なるブロック、又は異なる配置のブロックを含んでいてもよい。さらに、又は代替的に、方法600のブロックのうちの2以上を並行して実行してもよい。
【0077】
巻線アセンブリのすべての特徴は、巻線アセンブリを固定子歯に取り付けるための方法に含めることができ、その逆も同様である。
【0078】
本明細書では、本発明を好ましい実施形態を含めて開示するとともに、装置又はシステムの製造・使用及び方法の実施を始め、本発明を当業者が実施できるようにするため、例を用いて説明してきた。本発明の特許性を有する範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者に自明な別の例も包含する。かかる他の例は、特許請求の範囲と文言上の差のない構成要素を有しているか、或いは特許請求の範囲の文言と非本質的な差しかない均等な構成要素を有していれば、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に属する。当業者であれば、本願に記載した様々な実施形態の様々な態様並びにかかる各態様について公知の他の均等物を適宜組み合わせて、本願の原理に則した追加の実施形態及び技術を構成することができる。図面に関する符号が特許請求の範囲に括弧書きで記載されている場合、そうした符号は、特許請求の範囲の記載を理解し易くするためのものにすぎず、特許請求の範囲に記載された技術的範囲を限定するものと解すべきではない。
【符号の説明】
【0079】
10 風力タービン
15 タワー
16 ナセル
18 ロータ
20 ロータハブ
22 ロータブレード
100 巻線アセンブリ
120 巻線体
121 絶縁ストランド
122 絶縁材料
130 巻線体
131 絶縁ストランド
132 絶縁材料
140 冷却チャネル
200 固定子歯
210 固定子歯の基部
220 固定子歯の遠位端
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】