(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174815
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】医用撮像のための指導付き呼吸システム
(51)【国際特許分類】
A61B 6/00 20240101AFI20241210BHJP
A61B 6/46 20240101ALI20241210BHJP
【FI】
A61B6/00 520M
A61B6/00 590Z
A61B6/46 502
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024079042
(22)【出願日】2024-05-15
(31)【優先権主張番号】18/329,471
(32)【優先日】2023-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】319011672
【氏名又は名称】ジーイー・プレシジョン・ヘルスケア・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 亮一
(72)【発明者】
【氏名】アーカ・ダッタ
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・ネット
(72)【発明者】
【氏名】チェルシー・ルイス
(57)【要約】 (修正有)
【課題】医用撮像検査の被検体が指導付き呼吸を履行することを支援する方法及びシステムを提供する。
【解決手段】一実施形態では、医用イメージング・システムのための方法が、医用イメージング・システムの被検体の胸部及び/又は腹部の表面の部分の三次元(3D)仮想表現を生成し、この部分は医用イメージング・システムの操作者によって寸法調節可能であり、被検体が呼吸している間に被検体に対して医用イメージング・システムの表示装置に3D仮想表現の変化を実時間で表示し、3D仮想表現を案内として用いて、選択される呼吸パタンに従って指導付き呼吸を履行するように被検体に対して表示装置に指示を表示して、被検体の呼吸パタンの選択される呼吸パタンからのずれを検出することに応答して、被検体に対してこのずれを示すことを備えている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用イメージング・システムのための方法であって、
前記医用イメージング・システムの被検体の胸部及び/又は腹部の表面のデータを取得する前記医用イメージング・システムのセンサ・システムを介して前記表面の部分の三次元(3D)仮想表現を生成し、前記部分は前記医用イメージング・システムの操作者により寸法調節可能であり、
前記被検体が呼吸している間に該被検体に対して前記医用イメージング・システムの表示装置に前記3D仮想表現の変化を実時間で表示し、
選択される呼吸パタンに従って指導付き呼吸を履行するように前記被検体に対して前記表示装置に指示を表示して、
前記被検体の呼吸パタンの前記選択される呼吸パタンからのずれを検出することに応答して、前記被検体に対して前記ずれを示す
ことを備えた方法。
【請求項2】
前記ずれを検出する結果として前記被検体に対して前記ずれを示すことは、
前記ずれがずれ閾値を超えたと決定することに応答して、
前記表示装置に前記ずれの指標を表示すること、
前記医用イメージング・システムの環境に含まれる照明又は視覚的標識を点灯すること、
前記医用イメージング・システムの照明又は視覚的標識を点灯すること、
前記被検体に対して触覚的フィードバックを与えること、及び
前記ずれの聴覚的通知を与えること
の少なくとも一つを行なうこと
をさらに含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ずれが前記ずれ閾値を超えたと検出することは、
指導付き呼吸の第一の段階中には、
前記被検体に対して吸気して保息するように指示し、
該被検体が保息している間に該被検体の前記胸部及び/又は腹部の前記表面の前記部分に関連する3D点の第一の参照集合を生成し、
前記被検体が前記指導付き呼吸を履行している間に等間隔毎に、
前記胸部及び/又は腹部の前記表面の前記部分に関連する3D点の集合を生成し、
前記3D点の第一の参照集合と前記3D点の生成された集合との間のユークリッド距離を算出して、
前記ユークリッド距離が距離閾値を超えたかを決定することと、
指導付き呼吸の第二の段階中には、
前記被検体に対して呼気して保息するように指示し、
該被検体が保息している間に前記胸部及び/又は腹部の前記表面の前記部分に関連する3D点の第二の参照集合を生成し、
前記被検体が前記指導付き呼吸を履行している間に等間隔毎に、
前記胸部及び/又は腹部の前記表面の前記部分に関連する3D点の集合を生成し、
前記3D点の第二の参照集合と前記3D点の生成された集合との間のユークリッド距離を算出して、
前記ユークリッド距離が距離閾値を超えたかを決定することと
をさらに含んでいる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記選択される呼吸パタンに従って指導付き呼吸を履行するように前記指示を表示することは、
いつ前記被検体が吸気すべきか、いつ前記被検体が呼気すべきか、及びいつ前記被検体が保息すべきかを示す指示を表示して、
指導付き呼吸の前記第一の段階及び前記指導付き呼吸の前記第二の段階を通じて前記指導付き呼吸の進行を示す時系列線を表示する
ことをさらに含んでいる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記胸部及び/又は腹部の前記表面の前記部分に関連する前記3D点の集合を生成することは、
LiDARシステム及び3Dカメラの一方を介して前記胸部及び/又は腹部の前記表面のデータを取得し、
該データに基づいて3D点群を作成し、
前記表面の前記部分に関連する前記3D点群の部分を分離して、
該分離された部分の3D座標を測定する
ことをさらに含んでいる、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記胸部及び/又は腹部の前記表面の前記部分は、前記医用イメージング・システムの操作者により、走査プロトコルと、前記3D点群の視覚化において前記操作者により調節される視覚的要素の位置とに基づいて画定される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記LiDARシステム及び前記3Dカメラの前記一方は前記医用イメージング・システムに含まれており、前記データは、前記被検体が前記医用イメージング・システムのテーブルに載置されている間に取得される、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記LiDARシステム及び前記3Dカメラの前記一方は指導付き呼吸訓練室に含まれており、前記データは、前記被検体が前記指導付き呼吸訓練室において走査のために準備している間に取得される、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記選択される呼吸パタンに従って指導付き呼吸を履行するように前記指示を表示することは、前記被検体が従うように前記3D仮想表現に基づいて生成される呼吸ガイド・モデルを表示することをさらに含んでおり、該呼吸ガイド・モデルは、前記被検体が呼吸している間に前記3D仮想表現に重畳表示される前記3D仮想表現の個々人に合わせた改変された形状の目標運動を示す、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記呼吸ガイド・モデルを表示することは、
1回の吸気及び1回の呼気を含む第一の呼吸サイクル中には、
当該第一の呼吸サイクルにわたり複数の時間増分の各々の時間増分毎に前記胸部及び/又は腹部の前記表面の前記部分の前記3D仮想表現を記憶して、
各々の時間増分毎に目標仮想表現を生成するように、前記仮想表現に変換関数を適用することと、
各々の後続の呼吸サイクル中には、当該後続の呼吸サイクルにわたる各々の時間増分毎に各々の目標3D仮想表現を表示することと
をさらに含んでいる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記呼吸ガイド・モデルを表示することは、
各々の呼吸サイクルにわたり複数の時間増分の各々の時間増分毎に目標3D仮想表現を表示することをさらに含んでおり、前記呼吸サイクルは1回の吸気及び1回の呼気を含んでおり、前記目標3D仮想表現は、第一の点群の各々の点と第二の点群の対応する点との間の距離、及び前記呼吸サイクルの経過時間に基づいている、
請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記医用イメージング・システムのモダリティが、
X線、
計算機式断層写真法(CT)、
磁気共鳴撮像(MR)、
陽電子放出断層写真法(PET)、又は
核医学(NM)撮像
を含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記選択される呼吸パタンは、走査プロトコル、前記被検体の解剖学的部位、及び/又は前記被検体の特性に基づいて複数の呼吸パタンから前記操作者により選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
医用撮像走査中に前記指導付き呼吸の前記被検体の履行中の前記被検体の前記胸部及び/又は腹部の安定性に基づいて前記被検体についての安定性スコアを生成して、前記医用撮像走査中に取得される走査データに前記安定性スコアを記憶することをさらに含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項15】
1又は複数のプロセッサを含むX線制御器を備えた医用イメージング・システムであって、前記プロセッサは当該医用イメージング・システムの非一過性メモリに記憶された実行可能な命令を有し、該命令は実行されると前記1又は複数のプロセッサに対し、
当該医用イメージング・システムの被検体の胸部及び/又は腹部の表面の部分の三次元(3D)仮想表現を生成し、前記部分は、当該医用イメージング・システムの操作者により寸法調節可能であり、
前記被検体が指導付き呼吸を履行している間に該被検体に対して当該医用イメージング・システムの表示装置に前記3D仮想表現の変化を実時間で表示し、
前記3D仮想表現を案内として用いて、選択される呼吸パタンに従って前記指導付き呼吸を履行するように前記被検体に対して前記表示装置に指示を表示して、
前記被検体の呼吸パタンの前記選択される呼吸パタンからのずれを検出することに応答して、前記被検体に対して前記ずれを示す
ことを行なわせる、医用イメージング・システム。
【請求項16】
前記1又は複数のプロセッサは前記非一過性メモリに記憶されたさらなる命令に基づいて、前記被検体に対して前記指示を表示して、前記選択される呼吸パタンからの前記被検体の前記呼吸パタンの前記ずれを検出するように構成されており、前記さらなる命令は実行されると前記1又は複数のプロセッサに対し、
指導付き呼吸の第一の段階中には、
前記被検体に対して吸気して保息するように指示し、
該被検体が保息している間に該被検体の前記胸部及び/又は腹部の前記表面の前記部分に関連する3D点の第一の参照集合を生成し、
前記被検体が前記指導付き呼吸を履行している間に等間隔毎に、
前記胸部及び/又は腹部の前記表面の前記部分に関連する3D点の集合を生成し、
前記3D点の第一の参照集合と前記3D点の生成された集合との間のユークリッド距離を算出して、
該ユークリッド距離が距離閾値を超えたかを決定することと、
指導付き呼吸の第二の段階中には、
前記被検体に対して呼気して保息するように指示し、
該被検体が保息している間に前記胸部及び/又は腹部の前記表面の前記部分に関連する3D点の第二の参照集合を生成し、
前記被検体が前記指導付き呼吸を履行している間に等間隔毎に、
前記胸部及び/又は腹部の前記表面の前記部分に関連する3D点の集合を生成し、
前記3D点の第二の参照集合と前記3D点の生成された集合との間のユークリッド距離を算出して、
該ユークリッド距離が距離閾値を超えたかを決定することと
を行なわせる、請求項15に記載の医用イメージング・システム。
【請求項17】
前記1又は複数のプロセッサは前記非一過性メモリに記憶されたさらなる命令に基づいて、前記胸部及び/又は腹部の前記表面の前記部分に関連する前記3D点の集合を生成するように構成されており、前記さらなる命令は実行されると前記1又は複数のプロセッサに対し、
LiDARシステム及び3Dカメラの一方を介して取得される前記胸部及び/又は腹部の前記表面のデータから3D点群を作成し、
前記被検体に含まれない点を消去するために前記3D点群のセグメント化を行ない、
前記表面の前記部分に関連する第一の3D点群の第一の部分を分離し、
前記表面の前記部分に関連する前記3D点の集合を生成するために前記分離された第一の部分の3D座標を測定する
ことを行なわせる、請求項16に記載の医用イメージング・システム。
【請求項18】
さらなる命令が当該医用イメージング・システムの前記非一過性メモリに記憶されており、前記さらなる命令は実行されると前記1又は複数のプロセッサに対し、前記指導付き呼吸中に前記被検体が従うように前記3D仮想表現に基づいて生成される呼吸ガイド・モデルを表示することを行なわせ、該呼吸ガイド・モデルは、前記被検体が呼吸している間に前記3D仮想表現に重畳表示される前記3D仮想表現の個々人に合わせた改変された形状の目標運動を示し、該目標運動は前記指導付き呼吸の複数の呼吸サイクルにわたり複数の時間増分の各々の時間増分毎に目標3D仮想表現を表示することを含んでおり、各々の呼吸サイクルは1回の吸気及び1回の呼気を含んでおり、前記目標3D仮想表現は、前記3D点の第一の参照集合と前記3D点の第二の参照集合との間の距離、及び前記呼吸サイクルの経過時間に基づいている、請求項16に記載の医用イメージング・システム。
【請求項19】
さらなる命令が当該前記医用イメージング・システムの前記非一過性メモリに記憶されており、前記さらなる命令は実行されると前記1又は複数のプロセッサに対し、医用撮像走査中に前記指導付き呼吸の履行中の前記被検体の前記胸部及び/又は腹部の安定性に基づいて前記被検体についての安定性スコアを生成して、前記医用撮像走査中に取得される走査データに前記安定性スコアを記憶することを行なわせる、請求項15に記載の医用イメージング・システム。
【請求項20】
第一の時点においては、
医用イメージング・システムを介した被検体の医用撮像走査中に、該被検体が指導付き呼吸を履行している間に走査データを取得し、
前記被検体による前記指導付き呼吸の履行中の前記被検体の胸部及び/又は腹部の安定性に基づいて前記医用撮像走査についての安定性スコアを生成して、
前記医用撮像走査中に取得される前記走査データに前記安定性スコアを記憶することと、
第二のより後の時点においては、
前記医用イメージング・システムの安定性スコアのためのフィルタ設定に基づいて前記医用イメージング・システムの記憶部から前記走査データを検索することと
を備えた方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本書に開示される主題の実施形態は、医用イメージング・システムに関する。
【背景技術】
【0002】
医用イメージング・システムでは、スキャナが、走査の被検体の身体の画像を形成するのに用いられる検出放射線に基づいて信号を発生する。放射線は、計算機式断層写真法(CT)撮像の場合には被検体に向けて照射されて被検体によって減弱されるX線を含んでいてよく、陽電子放出断層写真法(PET)撮像、磁気共鳴(MR)撮像、及び/又は核医学(NM)撮像の場合には被検体内に導入された放射性トレーサによって放射線が放出されてもよい。患者身体の特定の関心部位からの放射線を検出すると共に他の部位の組織を回避するように、被検体は医用イメージング・システムのテーブルに慎重に配置され得る。走査中には、得られる画像の品質は患者の身体が静止して不動のままであることに依存し得るため、走査中の患者身体の移動は画質を低下させ得る。
【0003】
走査が患者の胸部について行なわれるときに、呼吸による患者胸部の動きが画質を低下させる場合がある。結果として、患者は走査中の患者胸部の動きを減少させるような態様で呼吸するように指示され又は指導され得る(例えば指導付き呼吸[coached breathing])。しかしながら、患者が指示に従わない、又は患者が自分の呼吸を制御しづらい場合もある。例えば、医用イメージング・システムの内部への患者の配置によって患者の不安感のレベルが生じたり高まったりして、呼吸がより荒く早くなる場合がある。
【0004】
現状の指導付き呼吸の方法は技師の存在に頼る場合があり、走査の実行費用を高め得る。加えて、個々人向けの指導は、患者を走査のために準備するのに用いられる時間量を増大させて、医用イメージング・システムの利用効率を下げたり予定の遅延を発生させたりし得る。
【0005】
視覚的器具を用いて利用者が自分の呼吸の制御を達成するのを助けることにより、指導付き呼吸での人間の介入への依存を少なくするために、様々なアプローチが取られている。例えば、Giapへの米国特許出願第20190366030号は、走査中に運動検出システムを用いて被検体の実時間物理的位置データを捉え、被検体の実時間物理的位置を表わす被検体のアバターを仮想環境において表示して、被検体がアバターを案内として用いて自分の物理的位置を調節し得るようにすることを教示している。しかしながら、Giapの運動検出システムは計算集約的な仮想現実システムに頼り、また複数の位置決め標識(ロケータ・タグ)及び/又は運動センサを被検体の身体に配置することに頼っており、走査の実行費用や計算資源の利用が増大し、また患者の準備時間量も増大し得る。
【0006】
他のアプローチは、患者胸部の表面外形データを用いて患者胸部の3D視覚化を実時間で生成することを含んでいる。3D視覚化を患者に対して表示してもよく、患者はこの3D視覚化を用いて自分の呼吸を制御することができる。例えば、Khameneへの米国特許第7869562号は、光学的イメージング・システムを用いて患者のメッシュ・トポロジィを作成して、トポロジィの変化を、患者が所定の呼吸状態(例えば指導付き呼吸)を再現するためのバイオフィードバックとして表示することを教示している。また国際公開第2021228703号は、LiDARを用いて、医用イメージング・システムの患者の身体部位の位置が望ましい位置からずれたかを決定し、聴覚的信号及び視覚的信号を介して身体部位の望ましい移動を行なうことを患者に助言するように構成された対話型の再配置案内装置を用いることを教示している。
【0007】
しかしながら、本発明者等は、Khamene及び[...]のシステムのような3D視覚化を生成する現状のシステムには問題があることを認めた。現状のシステムの一つの問題は、3D視覚化と患者の呼吸部位との間の対応が、患者を実効的に指導するのに十分なだけ正確であるとは言えないことである。加えて、3D視覚化を生成するのに用いられる光学的イメージング・システム又はLiDARイメージング・システムの寸法及び/又は複雑さのため、医用イメージング・システムの寸法及び費用、並びに/又は医用イメージング・システムの運転費用が増大し得る。光学的イメージング・システム又はLiDARイメージング・システムを含めるため医用イメージング・システムによって収集されるデータ量が増大し、また光学的イメージング・システム又はLiDARイメージング・システムを含めるため医用イメージング・システムによって実行される処理量も増大して、メモリ及び処理資源が少なくなる場合がある。現状のシステムのもう一つの短所は、指導付き呼吸が最も実効的であり得る走査中に、3D視覚化を生成し得ない場合があることである。換言すると、走査に先立って患者を指導するために3D視覚化を用いることはできるが、患者の呼吸は本人が変化に気づかないまま走査中に変化し得る。結果として、現状のシステムは、技師の時間及び/若しくは患者の準備時間の短縮に繋がらず、且つ/又は患者移動の減少及び対応する画質の向上に繋がらない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第20190366030号明細書
【特許文献2】米国特許第7869562号明細書
【特許文献3】国際公開第2021228703号明細書
【発明の概要】
【0009】
本開示は、上に掲げた問題の1又は複数に対し、次の方法により少なくとも部分的に対処する。すなわち、医用イメージング・システムのための方法であって、医用イメージング・システムの被検体の胸部及び/又は腹部の表面の部分の三次元(3D)仮想表現を生成し、この部分は医用イメージング・システムの操作者によって寸法調節可能であり、被検体が呼吸している間に被検体に対して医用イメージング・システムの表示装置に3D仮想表現の変化を実時間で表示し、3D仮想表現を案内として用いて、選択される呼吸パタンに従って指導付き呼吸を履行するように被検体に対して表示装置に指示を表示して、被検体の呼吸パタンの選択される呼吸パタンからのずれを検出することに応答して、被検体に対してこのずれを示すことを含んでいる。
【0010】
本記載の上述の利点及び他の利点、並びに特徴は、単独で又は添付図面と共に参照すれば以下の詳細な説明から直ちに明らかとなろう。上述の概要は、詳細な説明においてさらに記載される様々な概念を単純化された形態で提起するために掲げられていることを理解されたい。かかる記載は、請求される主題の主要な又は本質的な特徴を特定するためのものではなく、請求される主題の範囲は、詳細な説明の後の特許請求の範囲によって一意に画定される。さらに、請求される主題は、上に記載される又は本開示の何れの部分に記載される何れの短所を解決する具現化形態にも限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本開示の様々な観点は、以下の詳細な説明を読み図面を参照すればさらに明らかに理解されよう。
【0012】
【
図1A】本開示の1又は複数の実施形態によるイメージング・システムの見取り図である。
【
図1B】本開示の1又は複数の実施形態による
図1Aのイメージング・システムの代替的な構成を示す図である。
【
図1C】本開示の1又は複数の実施形態による指導付き呼吸システムの見取り図である。
【
図2】本開示の1又は複数の実施形態による例示的なイメージング・システムのブロック模式図である。
【
図3A】本開示の1又は複数の実施形態による指導付き呼吸と共に走査を行なうための第一のワークフローのブロック模式図である。
【
図3B】本開示の1又は複数の実施形態による指導付き呼吸と共に走査を行なうための第二の代替的なワークフローのブロック模式図である。
【
図4】本開示の1又は複数の実施形態による指導付き呼吸と共に走査を行なう高レベルの方法例を示す流れ図である。
【
図5A】本開示の1又は複数の実施形態による指導付き呼吸を行なう方法例を示す流れ図である。
【
図5B】本開示の1又は複数の実施形態による指導付き呼吸中に被検体胸部の動きを測定する方法例を示す流れ図である。
【
図6】本開示の1又は複数の実施形態による指導付き呼吸中にLiDARデータを取得して処理する方法例を示す流れ図である。
【
図7】本開示の1又は複数の実施形態による指導付き呼吸を用いて医用撮像走査中に画像データを取得する方法例を示す流れ図である。
【
図8A】本開示の1又は複数の実施形態に従って生成される走査の被検体の胸部の3D仮想表現を示す図である。
【
図8B】本開示の1又は複数の実施形態に従って生成されるLiDARを用いて検出される被検体の胸部の点に対応する点群である。
【
図9】本開示の1又は複数の実施形態に従って指導付き呼吸のために生成される表示装置での
図8Aの3D仮想表現及び
図8Bの点群の表示例を示す図である。
【
図10】本開示の1又は複数の実施形態による指導付き呼吸中の呼吸パタンのプロットを示すグラフである。
【0013】
図面は、所載のシステム及び方法の特定の観点を示す。以下の記載と併せて、図面は、本書に記載される構造、方法、及び原理を具体的に示すと共に説明する。図面では、構成要素の寸法は、分かり易くするために誇張又は他の場合には改変を施されている場合がある。周知の構造、材料、又は動作については、所載の構成要素、システム及び方法の各観点を分かり難くしないように図示又は詳細な記載を省いてある。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本書に開示される主題の記載及び実施形態は、医用イメージング・システムによって形成される医用画像の品質を高める方法及びシステムに関する。この医用イメージング・システムは、計算機式断層写真法(CT)システム、陽電子放出断層写真法(PET)システム、磁気共鳴(MR)イメージング・システム、核医学(NM)イメージング・システム、PET/CT若しくはPET/MRシステム、又は異なる形式のイメージング・システムであってよい。走査を行なうのに先立って、走査の被検体は典型的には、医用イメージング・システムのテーブルに配置される。テーブルの位置は、被検体をガントリ内で位置決めするために医用イメージング・システムの操作者によって調節される。走査中に、被検体が移動すると、信号が検出器アレイにおいて発生されている間に被検体の位置が変動するため得られる画像にノイズを生成する場合がある。結果として被検体は、得られる画像でのノイズのレベルを低下させるために移動を最小にするように指示される場合がある。
【0015】
被検体の移動を最小にすることは、特に走査が被検体の腹部、胸部、又は呼吸中に移動し得る身体の他の部位を対象としているときに、被検体の呼吸を指導することを含み得る。画質が確実に閾値品質を上回るようにするために、被検体が、選択される又は目標とする呼吸パタンを再現する又はかかるパタンに従うことを求められる場合があり、このことをここでは指導付き呼吸と呼ぶ。選択される呼吸パタンは、例えば走査プロトコル、解剖学的部位、及び/又は被検体の特性(寸法及び保息能力等)に基づいて、複数の呼吸パタンから医用イメージング・システムの操作者によって選択され得る。呼吸パタンは、深い呼吸、浅い呼吸、過度呼吸、保息、又は異なる容積の空気の吸気及び呼気を含めた異なる形式の呼吸の組み合わせを含み得る。選択される呼吸パタンによって、吸気中及び呼気中の腹部、胸部、又は他の部位の運動範囲が限定され得る。明確に述べると、被検体は、吸気中には胸部の膨張を最小にし、呼気中には胸部の収縮を最小にし、何らかの時間量にわたって保息し、且つ/又は望ましい速度で(例えばゆっくりと)呼吸するように指示され得る。
【0016】
典型的には被検体は、走査に先立って医用イメージング・システムの操作者若しくは技師、又は介護者によって指導付き呼吸について訓練される。被検体が、選択される呼吸パタンをずれ閾値の範囲内で再現し得るようになった後に、被検体に対して走査を行なうことができる。
【0017】
本書では、医用イメージング・システムに一体化され得る指導付き呼吸システムのための方法及びシステムが提案される。本手法に従って造影走査を行なうのに用いられ得る医用イメージング・システムの一例を
図1A及び
図2に掲げる。この医用イメージング・システムは、呼吸中の医用イメージング・システムの被検体の移動を最小にするように被検体を訓練する指導付き呼吸装置を含んでいる。指導付き呼吸装置は、
図1Aに示すように、医用イメージング・システムに結合されたモニタを含み得る。指導付き呼吸装置は、
図1Bに示すような頭部装着型表示器を含んでいてもよい。
図3Aに示す第一のワークフローによれば、指導付き呼吸装置の第一の型は、
図1Cに示すように訓練室において被検体を訓練するために用いられ、また医用イメージング・システムに含められる指導付き呼吸装置の第二の型は、走査中に被検体を指導するのに用いられ得る。
図3Bに示す第二のワークフローによれば、訓練室を用いなくてもよく、被検体は医用イメージング・システムに含まれる第二の型を用いて訓練され指導され得る。被検体は、
図4に記載される方法のような手順に従うことにより訓練され指導され得る。
図5A及び
図5Bの方法の1又は複数のステップに従って被検体を訓練することができ、これらのステップは、
図6の方法に関連して記載されるように、LiDAR、3Dカメラ、又は類似の技術を用いて被検体の表面外形を表わす点群(point cloud)と本書で呼ばれる2以上の集合を成す点を登録することに頼る場合がある。点群の一例を
図8Bに示しており、点群は、
図8Aに示すように表面外形の選択される部分に基づいている。2以上の点群の点群同士の間の測定距離を用いて、被検体の胸部の目標運動範囲を決定することができる。目標運動範囲は、
図9に示すように、表示装置に表示される呼吸ガイド・キュー及び/又は呼吸ガイド・モデルに従うことにより被検体によって達成され得る。
図10は、目標運動範囲内の第一の呼吸パタン及び目標運動範囲外の第二の呼吸パタンのグラフ例を示している。
【0018】
さらに、本書において本開示の目的のために参照される「胸部」との用語は、本開示の範囲から逸脱することなく対象被検体の腹部の部分を含み得ることを理解されたい。このように、被検体胸部の記載は「胸部及び/又は腹部」と解釈されるべきである。
【0019】
図1Aは、CT撮像向けに構成された例示的な計算機式断層写真法(CT)イメージング・システム100を示す。本書で開示されるシステム及び方法はCTイメージング・システムに関連して記載されるが、開示されるシステム及び方法はまた、磁気共鳴(MR)撮像、陽電子放出断層写真法(PET)撮像、単光子放出計算機式断層写真法(SPECT)撮像、核医学(NM)撮像、及び/又は本開示の範囲から逸脱しない他の技術のような他の形式の医用撮像にも適用され得ることを認められたい。
【0020】
具体的には、CTイメージング・システム100は、患者、無生物、1若しくは複数の製造部品、並びに/又は体内に存在する歯科インプラント、ステント、及び/若しくは造影剤等の異物のような被検体112を撮像するように構成されている。一実施形態では、CTイメージング・システム100はガントリ102を含んでおり、次にガントリ102は少なくとも一つのX線源104をさらに含むことができ、X線源104は、テーブル114に横臥した被検体112を撮像するのに用いられるX線放射ビーム106を投射する(
図2を見よ)ように構成される。明確に述べると、X線源104は、ガントリ102の反対側に配置された検出器アレイ108へ向けてX線放射ビーム106を投射するように構成されている。
図1Aは単一のX線源104を示しているが、幾つかの実施形態では多数のX線源及び検出器を用いて、患者に対応する様々なエネルギ・レベルにおける投影データを取得するために複数のX線放射ビームを投射してもよい。幾つかの実施形態では、X線源104は、高速ピーク・キロボルト(kVp)切換による二重エネルギgemstoneスペクトル撮像(GSI)を可能にし得る。幾つかの実施形態では、用いられるX線検出器は、異なるエネルギのX線光子を弁別することが可能な光子計数検出器である。他の実施形態では、二組のX線源及び検出器を用いて、一方の組を低kVpにし、他方の組を高kVpにして二重エネルギ投影を形成する。このように、本書に記載される方法は、単エネルギ取得手法及び二重エネルギ取得手法について具現化され得ることを認められたい。
【0021】
幾つかの実施形態では、CTイメージング・システム100はさらに、反復型又は解析型の画像再構成方法を用いて被検体112の標的容積の画像を再構成するように構成された画像プロセッサ・ユニット110を含んでいる。例えば、画像プロセッサ・ユニット110は、フィルタ補正逆投影(FBP)のような解析型画像再構成アプローチを用いて、患者の標的容積の画像を再構成することができる。もう一つの例としては、画像プロセッサ・ユニット110は、先進統計学的反復型再構成(ASIR)、共役勾配(CG)、最尤推定期待値最大化(MLEM)、及びモデル式反復型再構成(MBIR)のような反復型画像再構成アプローチを用いて被検体112の標的容積の画像を再構成してもよい。本書でさらに詳しく記載されるように、幾つかの例では、画像プロセッサ・ユニット110は、反復型画像再構成アプローチに加えてFBPのような解析型画像再構成アプローチを両方用いてもよい。
【0022】
幾つかのCTイメージング・システム構成では、X線源が円錐形のX線放射ビームを投射し、ビームはデカルト座標系のXYZ平面であって「撮像平面」と一般に呼ばれる平面の内部に位置するようにコリメートされる。X線放射ビームは、患者又は被検体のような撮像対象を通過する。X線放射ビームは対象によって減弱された後に、検出器素子のアレイに衝突する。減弱されて検出器アレイによって受光されるX線放射ビームの強度は、対象によるX線放射ビームの減弱に依存する。アレイの各々の検出器素子が別個の電気信号を発生し、この電気信号が検出器位置におけるX線ビーム減弱の測定となる。全ての検出器素子からの減弱測定値を別個に取得して、透過プロファイルを生成する。
【0023】
幾つかの医用イメージング・システムでは、X線源及び検出器アレイは、X線ビームが対象と交差する角度が定常的に変化するように、ガントリと共に撮像平面内で撮像対象を中心として回転される。一つのガントリ角度における検出器アレイからの一群のX線放射減弱測定値、例えば投影データを「ビュー」と呼ぶ。対象の「走査」は、X線源及び検出器の一回転の間に異なるガントリ角度又は視角(ビュー角度)で形成された一組のビューを含む。
【0024】
本書にさらに詳しく記載されるように、CTイメージング・システム100は、走査中の被検体112の移動を減少させるように被検体112を訓練するように構成され得る。例えば、CTイメージング・システム100は、走査中に被検体112の呼吸部位の動きを最小にする態様で呼吸する(例えば指導付き呼吸)ように被検体112を訓練するように構成され得る。例えば、走査を被検体112の腹部に対して行なう場合があり、呼吸による腹部の動きは、走査中に取得されるデータから再構成される画像の品質を低下させ得る。
【0025】
このようなものとして、CTイメージング・システム100は、指導付き呼吸システムを含んでいる。指導付き呼吸システムの幾つかの構成要素がCTイメージング・システム100に一体化され、指導付き呼吸システムの他の構成要素がCTイメージング・システム100から分かれていてもよい。例えば、指導付き呼吸システムの幾つかの構成要素がガントリ102、画像処理ユニット110、又はCTイメージング・システム100の異なる構成要素の何れかと一体化されていてもよい。さらに、幾つかの実施形態では、指導付き呼吸システムの第一の型がCTイメージング・システム100に一体化され、指導付き呼吸システムの第二の型がCTイメージング・システム100から分かれていてもよい。例えば、指導付き呼吸システムの第二の型がCTイメージング・システム100とは異なる位置(例えば
図1Cに示す訓練室のような訓練室)で自分の呼吸を制御するように被検体112を訓練するのに用いられ、指導付き呼吸システムの第一の型がCTイメージング・システム100を用いて行なわれる走査中に自分の呼吸を制御するように被検体112によって用いられてもよい。
【0026】
指導付き呼吸システムは、二次撮像装置105と、患者用表示装置130とを含んでいる。図示の実施形態では、二次撮像装置105はガントリ102の内部に配置されている。他の実施形態では、二次撮像装置105はガントリ102の外面に結合され得る。一実施形態では、二次撮像装置105はレーザ撮像検出及び測距(LiDAR)システムである。もう一つの実施形態では、二次撮像装置105は3Dカメラであってもよいし、異なる形式の遠隔感知装置であってもよい。
【0027】
二次撮像装置105は、例えば胸部のような被検体112の身体の部分の表面外形を撮影することができる。表面外形を用いて、これらの身体の部分の視覚化を生成して、患者用表示装置130に表示することができる。この視覚化を用いて、走査中に静止姿勢を保ってこれらの身体の部分の動きを最小にするように被検体112を訓練することができる。例えば、視覚化を用いて、自分の呼吸を制御して胸部の動きを減少させるように被検体112を訓練することができる。視覚化の生成は、以下で
図4から
図9を参照してさらに詳細に記載される。
【0028】
患者用表示装置130は、可動腕132を介してガントリ102に結合され得る。患者用表示装置130は、円形矢印134によって示される移動の少なくとも第一の平面において表示装置が自在に回転され得るような態様で、可動腕132の端部に結合され得る。例えば、患者用表示装置130は、ヒンジを介して可動腕132の端部に結合され得る。幾つかの実施形態では、患者用表示装置130は、玉継手、又は患者用表示装置130が付加的な移動平面において自在に回転することを可能にする類似の形式の結合を介して、可動腕132の端部に結合され得る。患者用表示装置130の可動腕132との結合は、患者用表示装置130の画面が被検体112に向けられることを可能にすることができ、被検体112がテーブル114に横臥しているときに、テーブル114の上での被検体112の姿勢の最低限の調節で被検体が患者用表示装置130に表示される視覚化を目視し得るようにしている。
【0029】
可動腕132は、該可動腕132が矢印136によって示す方向に回転することを可能にする態様でガントリ102に結合されてもよい。例えば、可動腕132は、第一の位置140から、矢印136によって示される方向に第二の位置141まで回転することができる。第一の位置140は、患者用表示装置130が走査中に被検体112にとって最も見易い位置であり得る。第二の位置141は、患者用表示装置130が走査中に被検体112にとって見えない位置であり得る。例えば、位置141は患者用表示装置130が被検体112にとって集中の妨げにならないような位置、且つ/又は他の態様ではCTイメージング・システム100、被検体112、及び/若しくはCTイメージング・システム100の操作者と干渉しないような位置であり得る。幾つかの実施形態では、可動腕132は、第二の位置141を越えて矢印138によって示す方向に回転してもよい。例えば、幾つかの実施形態では、可動腕132は、第一の位置140から180°以上回転してもよい。
【0030】
他の実施形態では、表示装置130がCTイメージング・システム100に結合されていなくてもよい。例えば、表示装置130がカートに配置されていたり、テーブル114及び被検体112に隣接した適当な位置に配置され得る可動装置又は可動システムのシャーシ(車台)に含まれていたりしてもよい。さらに、幾つかの実施形態では、CTイメージング・システム100が表示装置130を含んでいなくてもよい。例えば、幾つかの実施形態では、ガントリ102の内面120、ガントリ102の縁端121、又はガントリ102の前面122に配置される1又は複数の点灯部分及び/又は照明を介して指導付き呼吸を履行することに関するフィードバックを被検体112に与えることができる。
【0031】
例えば、
図1Bは、指導付き呼吸システムが頭部装着型表示器180を含んでおり、視覚化が患者用表示装置130ではなく頭部装着型表示器180に表示されるようなCTイメージング・システム100の代替構成150を示している。患者用表示装置130ではなく頭部装着型表示器180に視覚化を表示する利点は、被検体112が自分の頭部を様々な位置に置いても視覚化を目視し得ることである(例えば視覚化を目視するために頭部を傾けたり首を捻ったりしなくてもよい)。加えて、被検体112は、被検体112の頭部がガントリ102の内部に位置していて表示装置130が被検体112によって目視可能でないかも知れないようなテーブル位置を含めて、テーブル114の様々な位置において頭部装着型表示器180で視覚化を目視し得るようにすることができる。
【0032】
図1Cは指導付き呼吸システムの第二の型160を示しており、ここでは第二の型160は指導付き呼吸訓練室161に設置されている。指導付き呼吸訓練室161は、指導付き呼吸システムでの訓練中に被検体112を載置し得る寝台又はテーブル173を含んでおり、この寝台又はテーブル173は
図1Aのテーブル114と実質的に同様であってよい。被検体112は、CTイメージング・システム100を用いた走査のために取られる被検体112の姿勢と実質的に同様の姿勢で寝台180の上に配置され得る。代替的には、被検体112は、
図1Cに示すものとは異なる姿勢を取ってもよい。例えば、被検体112は、小児科患者である場合があり、小児科患者は異なる形式の寝台又は椅子に配置され得る。
【0033】
図示の実施形態では、被検体112の胸部163の上方且つ/又は近傍に二次撮像装置164が配置され、指導付き呼吸システムでの訓練中に被検体112が当該表示装置162の画面を目視し得るような位置及び配向に表示装置162が配置され得る。二次撮像装置164及び表示装置162は、CTイメージング・システム100の二次撮像装置105及び表示装置130と同じ又は同様であり得る。一実施形態では、二次撮像装置164及び表示装置162は、それぞれ第一の可動腕166及び第二の可動腕168を介してレール170に自在に結合されており、レール170に沿った二次撮像装置164の第一の位置及び表示装置162の第二の位置が、異なる寸法の様々な被検体に適合するように調節され得るようにしている。例えば、第一の可動腕166及び第二の可動腕168は、これら第一の可動腕166及び第二の可動腕168がレール170に沿って、矢印174によって示される二つの方向の何れにも独立に摺動し得るように、レール170に摺動自在に結合されていてよい。
【0034】
幾つかの実施形態では、指導付き呼吸システムの第二の型160はLED灯172を含むことができ、LED灯172は、指導付き呼吸システムでの訓練中に、呼吸による被検体112の胸部163の動きが望ましい運動範囲の内にあるかを被検体112に対して示すように構成され得るLED灯172を含み得る。望ましい運動範囲は呼吸パタンに基づいていてよく、呼吸パタンは、胸部163の運動範囲、被検体112の呼吸数、及び/又は被検体112が指示通りに保息する能力によって画定され得る。例えば、被検体112が第一の早い又は荒い呼吸数で呼吸しているならば、胸部163の動きは望ましい運動範囲の内にない場合がある。胸部163の動きが望ましい運動範囲の内にない結果として、LED灯172をオンに切り換えることができる。被検体112が第二の緩やかで浅い呼吸数で呼吸しているならば、胸部163の動きは望ましい運動範囲の内にある場合があり、LED灯172をオフに切り換えることができる。換言すると、被検体112の呼気と被検体112の吸気との間での胸部163の表面の位置の二次撮像装置164に関する差が指導付き呼吸システムによって測定されて、この差が閾値差を上回るかに基づいてLED灯172をオン又はオフに切り換えることができる。LED灯172は、胸部163の動きが望ましい運動範囲の内にあるとき、及び胸部163の動きが望ましい運動範囲の外にあるときを被検体112に対して示すことができる。例えば一実施形態では、LED灯172は、胸部163の動きが望ましい運動範囲の内にあるときには緑灯として点灯され、胸部163の動きが望ましい運動範囲の外にあるときには赤灯として点灯され得る。このように、LED灯172を監視することにより、被検体112は、呼吸を調節して胸部163の動きを望ましい運動範囲の内に保つように訓練されることができる。
【0035】
指導付き呼吸を履行して1又は複数の呼吸パタンに従うための指示は、表示装置162に表示され得る。指示は、書字型指示若しくは聴覚型指示、又は書字型及び聴覚型両方の指示を含み得る。加えて、以降でさらに詳細に記載されるように、被検体が指導付き呼吸を履行するのを助けることができる被検体の呼吸の視覚化を、表示装置162に表示してもよい。明確に述べると、被検体の呼吸の第一の視覚化を、選択される呼吸パタンの第二の視覚化と共に表示することができ、被検体が第一の視覚化を第二の視覚化に揃えることにより、選択される呼吸パタンを採用し得るようにする。
【0036】
様々な実施形態において、被検体112は、当該被検体112に対する走査が行なわれるのに先立って、指導付き呼吸訓練室161において訓練され得る。被検体112が胸部163の動きを望ましい運動範囲の内に保つのに十分なだけ自分の呼吸を制御するように訓練された後に、被検体112に対する走査を行なうことができる。走査中には被検体112は、
図1Aに関連して前述したように、CTイメージング・システム100に一体化された指導付き呼吸システムの一つの型を用いて自分の呼吸を監視することができる。
【0037】
図2は例示的なCTイメージング・システム200を示しており、システム200は
図1AのCTイメージング・システム100と同じ又は同様であり得る。本開示の各観点によれば、CTイメージング・システム200は、被検体204(例えば
図1Aの被検体112)を撮像するために構成されている。一実施形態では、CTイメージング・システム200は検出器アレイ108を含んでいる(
図1Aを見よ)。検出器アレイ108は、複数の検出器素子202をさらに含んでおり、これらの検出器素子202は、被検体204(患者等)を通過するX線放射ビーム106(
図2を見よ)を一括で感知して、対応する投影データを取得する。幾つかの実施形態では、検出器アレイ108は、複数の横列を成すセル又は検出器素子202を含むマルチ・スライス構成として作製されていてもよく、この場合には1又は複数の付加的な横列を成す検出器素子202が並列構成に配列されて投影データを取得する。
【0038】
幾つかの実施形態では、CTイメージング・システム200は、被検体204を中心として異なる角度位置を横断して望ましい投影データを取得するように構成されている。従って、ガントリ102及びガントリ102に装着された構成要素は回転中心206の周りを回転して、例えば異なるエネルギ・レベルにある投影データを取得するように構成され得る。代替的には、被検体204に対する投影角が時間の関数として変化するような実施形態では、これらの装着された構成要素が円の弧に沿ってではなく一般的な曲線に沿って移動するように構成されていてもよい。
【0039】
X線源104及び検出器アレイ108が回転するのに伴い、検出器アレイ108は減弱されたX線ビームのデータを収集する。検出器アレイ108によって収集されたデータは、走査される被検体204の減弱係数の線積分を表わすデータを調整するための前処理及び較正を経る。処理されたデータを一般に投影と呼ぶ。幾つかの例では、検出器アレイ108の個々の検出器又は検出器素子202は、個々の光子の相互作用を1又は複数のエネルギ・ビンに記録する光子計数検出器を含み得る。本書に記載される方法は、エネルギ積分検出器としても具現化され得ることを認められたい。
【0040】
投影データの取得された集合は、基底物質分解(BMD)に用いられてもよい。BMDの際には、測定された投影が一組の物質密度投影へ変換される。物質密度投影は、骨マップ、軟組織マップ、及び/又は造影剤マップのような各々のそれぞれの基底物質についての一対の又は一組の物質密度マップ又は画像を形成するように再構成され得る。これらの密度マップ又は画像は次に、撮像容積における基底物質、例えば、骨、軟組織、及び/又は造影剤の3D容積画像を形成するように関連付けされ得る。
【0041】
一旦再構成されたら、CTイメージング・システム200によって形成される基底物質画像は、二つの基底物質の密度として表現された被検体204の体内の特徴を表わすものとなる。密度画像はこれらの特徴を示すように表示され得る。疾患状態のような医学的状態、またさらに一般的には医学的事象の診断に対する従来のアプローチであれば、放射線科医又は内科医が密度画像のハード・コピィ又は表示を検討して関心のある特有の特徴を弁別する。かかる特徴は、特定の解剖学的部位又は器官の病変、寸法及び形状、並びに個々の医師の技量及び知見に基づいて画像において弁別可能な他の特徴を含み得る。
【0042】
一実施形態では、CTイメージング・システム200は、ガントリ102の回転及びX線源104の動作のような構成要素の移動を制御する制御機構を含んでいる。幾つかの実施形態では、CTイメージング・システム200は、X線源104へ電力信号及びタイミング信号を与えるように構成されたX線制御器210を含んでいる。加えて、CTイメージング・システム200は、撮像要件に基づいてガントリ102の回転速度及び/又は位置を制御するように構成されたガントリ・モータ制御器212を含んでいる。
【0043】
幾つかの実施形態では、CTイメージング・システム200は、検出器素子202から受け取ったアナログ・データを標本化してアナログ・データを後続の処理のためのディジタル信号へ変換するように構成されたデータ取得システム(DAS)214をさらに含んでいる。DAS214はさらに、本書でさらに詳しく記載されるように、検出器素子202の部分集合からのアナログ・データを選択的に合算して所謂マクロ検出器とするように構成され得る。DAS214によって標本化されてディジタル化されたデータはコンピュータ又は計算装置216へ送信される。一例では、計算装置216はデータを記憶装置又は大容量記憶部218に記憶する。記憶部218は例えば、任意の形式の非一過性メモリであってよく、ハードディスク・ドライブ、フロッピィ・ディスク・ドライブ、コンパクト・ディスク読み書き(CD-R/W)ドライブ、ディジタル汎用ディスク(DVD)ドライブ、フラッシュ・ドライブ、及び/又は固体記憶部ドライブを含み得る。
【0044】
加えて、計算装置216は、データ取得及び/又は処理のようなシステム動作を制御するために命令及びパラメータをDAS214、X線制御器210、及びガントリ・モータ制御器212の1又は複数に与える。幾つかの実施形態では、計算装置216は操作者入力に基づいてシステム動作を制御する。計算装置216は、動作に関して結合された操作者コンソール220を介して、例えば命令及び/又は走査パラメータを含む操作者入力を受け取る。操作者コンソール220は、操作者が命令及び/又は走査パラメータを指定することを可能にするキーボード(不図示)又はタッチ・スクリーンを含み得る。
【0045】
図2は一つの操作者コンソール220を示しているが、例えばシステム・パラメータを入出力する、検査を依頼する、データをプロットする、及び/又は画像を観察するために、1よりも多い操作者コンソールをCTイメージング・システム200に結合してもよい。さらに、幾つかの実施形態では、CTイメージング・システム200は、多数の表示器、プリンタ、ワークステーション、及び/又は同様の装置に結合されていてよく、これら表示器、プリンタ、ワークステーション、及び/又は同様の装置は、例えば施設内又は病院内のように域内に位置している場合もあれば、インターネット並びに/又は仮想私設網、無線電話網、無線構内網、有線構内網、無線広域網、及び有線広域網等のような1又は複数の構成自在型有線網及び/又は無線網を介して全く異なる位置等のように遠隔に位置している場合もある。
【0046】
一実施形態では、例えば、CTイメージング・システム200は、医用画像保管通信システム(PACS)224を含んでいるか又はPACS224に結合されている。具現化形態の一例では、PACS224は、様々な位置にいる操作者が命令及びパラメータを与え且つ/又は画像データを入手することを可能にするように、放射線科情報システム、病院情報システムのような遠隔システム、及び/又は構内網若しくは外部網(不図示)にさらに結合されている。
【0047】
計算装置216は、操作者が与えた且つ/又はシステムが定義した命令及びパラメータを用いてテーブル・モータ制御器226を動作させ、制御器226は次に、電動式テーブルであり得るテーブル114を制御することができる。明確に述べると、テーブル・モータ制御器226は、被検体204の標的容積に対応する投影データを取得するために被検体204をガントリ102において適当に配置するためにテーブル114を移動させることができる。
【0048】
前述のように、DAS214は検出器素子202によって取得される投影データを標本化してディジタル化する。続いて、画像再構成器230が、標本化されて及びディジタル化されたX線データを用いて高速再構成を行なう。
図2は画像再構成器230を別個の実体として示しているが、幾つかの実施形態では、画像再構成器230は計算装置216の部分を形成していてもよい。代替的には、画像再構成器230がCTイメージング・システム200に存在せず、代わりに計算装置216が画像再構成器230の1又は複数の作用を行なってもよい。また、画像再構成器230は域内に位置していても遠隔に位置していてもよく、また有線網又は無線網を用いてCTイメージング・システム200に動作について接続されていてよい。具体的には、実施形態の一例は、画像再構成器230のために「クラウド」網クラスタの計算資源を利用することができる。
【0049】
一実施形態では、画像再構成器230は、再構成された画像を記憶部218に記憶する。代替的には、画像再構成器230は、診断及び評価に有用な患者情報を生成するために、再構成された画像を計算装置216へ送信することができる。幾つかの実施形態では、計算装置216は、再構成画像及び/又は患者情報を計算装置216及び/又は画像再構成器230に連絡結合された表示器又は表示装置232へ送信してもよい。幾つかの実施形態では、再構成された画像は短期記憶又は長期記憶のために計算装置216又は画像再構成器230から記憶部218へ送信されてもよい。
【0050】
CTイメージング・システム200は、
図1A、
図1B、及び
図1Cに関連して前述した指導付き呼吸システムの非限定的例であり得る指導付き呼吸システム208を含んでいる。二次撮像装置105及び患者用表示装置130に加えて、指導付き呼吸システム208は、二次撮像装置制御器240及び位置データ処理ユニット242を含んでいる。二次撮像装置制御器240は二次撮像装置105を制御するように構成され得る。様々な実施形態において、二次撮像装置105はガントリ102の内部での被検体112の各部分の360度ビューを網羅することができる。幾つかの実施形態では、ガントリ102の内部での被検体112の各部分の360度ビューが複数の二次撮像装置105によって網羅されるように、複数の二次撮像装置105がガントリ102の周りの異なる位置に配置されていてもよい。
【0051】
位置データ処理ユニット242は二次撮像装置105に結合され得る。位置データ処理ユニット242は二次撮像装置105から画像データを受け取ることができ、またこの画像データを処理して、走査の被検体の1又は複数の呼吸部位(例えば被検体112の胸部及び腹部等)の運動範囲が被検体の吸気及び呼気中に閾値運動範囲を超えたかを決定することができる。運動範囲が閾値運動範囲を超えていたら、被検体は、前述のように患者用表示装置130に表示された視覚化を用いて、自分の1又は複数の呼吸部位の動きを減少させるために自分の呼吸を調節するように指導され得る。位置データ処理ユニット242による画像データの処理については、
図4から
図7に関連して以降でさらに詳述される。
【0052】
図3Aは、
図2の指導付き呼吸システム208のような指導付き呼吸システムが如何に動作し得るかに関する第一のワークフロー300を示す。第一のワークフロー300では、第一のブロック302において、走査を行なうのに先立って医用イメージング・システムの被検体(例えばCTイメージング・システム100の被検体112)を指導付き呼吸システムを用いて訓練することができる。訓練中に被検体は、
図1Cに関して前述した表示装置162の画面又は
図1Bに関して前述した頭部装着型表示器180のような頭部装着型表示器等の表示画面で被検体の胸部の部分の対話型視覚化を目視することができる。以降でさらに詳述されるように、対話型視覚化は、被検体が呼吸している間の胸部の表面の3D仮想表現を含み得る。被検体が呼吸しているときに、対話型視覚化は、呼吸中の胸部の動きを被検体に示すように変化し得る。例えば、3D仮想表現は、被検体の吸気中には膨張し、被検体の呼気中には収縮することができる。
【0053】
被検体は、呼吸パタンすなわち呼吸する態様を変化させることができ、この変化を3D仮想表現を介して示すことができる。対話型視覚化は、3D仮想表現の目標位置又は参照位置を示すことができ、且つ/又は胸部の望ましい(例えば閾値)運動範囲(例えば膨張及び収縮)を示すことができる。このように、対話型視覚化において自分の呼吸を目標位置又は参照位置と共に目視することにより、被検体は、目標位置又は参照位置に一致するように呼吸を調節することができる。目標位置又は参照位置との一致は、胸部が目標位置から第一の距離閾値を超えて膨張するのを許さないこと、及び/又は胸部が目標位置から第二の距離閾値を超えて収縮するのを許さないことを含み得る。このようにして、被検体は、自分の身体の呼吸部位の動きを最小にするような態様で呼吸することを学ぶことができ、これによりノイズの可能性を防止すると共に走査から再構成される画像の品質を高めることができる。
【0054】
一例として、被検体はCT検査を予期して不安感を覚える場合がある。不安感の結果として、被検体は不規則、荒い、深い、又は急速な態様で呼吸し得る。被検体が不規則的、荒い、深い、又は急速な態様で呼吸しているときに被検体に対して走査を行なうと、被検体の胸部の過度の動きのため走査から得られる画像にノイズ・アーティファクトが混入し得るので、指導付き呼吸システムを用いて自分の呼吸を制御するように被検体を訓練することができる。3Dカメラ、LiDARレーザ、又は同様の遠隔感知技術を被検体の胸部の上方に配置して、胸部の表面外形を撮影することができる。表面外形は、被検体が呼吸中に自分の胸部の動きを目視することを可能にする対話型視覚化を介して表示装置に表示され得る。
【0055】
対話型視覚化の目視は、被検体が自分の呼吸を制御するのを助けることができる。例えば、被検体は、自分の胸部の3D仮想表現が吸気中に膨張していることを目視し得る。対話型視覚化は、胸部の膨張が望ましい(例えば閾値)膨張を超えたことを示すことができる。例えば、対話型視覚化の視覚的構成要素を点灯させるすなわち高輝度化して、過度の膨張を示すことができる。加えて又は代替的に、表示器に設けた又は表示器の近くのLED灯(
図1CのLED灯172)を点灯させて過度の膨張を示してもよい。過度の膨張を目視する結果として、被検体は、胸部の動きを減少させるように吸気を抑えることを試みることができる。
【0056】
様々な実施形態において、指導付き呼吸システムでの訓練は、医用イメージング・システムとは異なる位置で行なわれてもよい。例えば、指導付き呼吸システムでの訓練は、
図1Cの指導付き呼吸訓練室161のような指導付き呼吸訓練室において行なわれてもよい。医用イメージング・システムではなく指導付き呼吸訓練室において被検体を訓練することの利点は、走査の予期による被検体の不安感のレベルを低下させ得ることである。加えて、医用イメージング・システムをより有効活用することから、指導付き呼吸訓練室での訓練のために被検体に対して利用可能な時間量を、医用イメージング・システムでの訓練のために利用可能な時間量よりも多くすることができる。
【0057】
一旦、被検体が訓練されたら、第一のワークフロー300の第二のブロック304において、被検体は、医用イメージング・システムのテーブル(例えばテーブル114)において走査を行なうのに適当な位置に配置され得る。例えば、被検体の心臓又は腹部を走査するならば、被検体をテーブルの上に仰臥させて配置することができる。被検体は、操作者が医用イメージング・システムのX線源(例えばX線源104)を被検体の解剖学的関心領域(ROI)に対して整列させるのを助けるように標認点設定され得る。テーブルに被検体を配置することは、ROIを含む被検体の身体の部分をガントリの撮像平面内に挿入するようにテーブルの位置を調節することを含み得る。
【0058】
一旦、被検体が、走査を行なうのに適当な位置に配置されたら、第一のワークフロー300の第三のブロック306において、被検体は、指導付き呼吸システムを用いて指導付き呼吸を練習し且つ/又は指導付き呼吸について指示され得る。例えば、被検体は、医用イメージング・システムに結合された表示装置(例えば
図1Aの患者用表示装置130)において、前述した対話型視覚化の一つの型を目視することができる。代替的には、例えば被検体が医用イメージング・システムのガントリの内部に配置されて、表示装置が被検体に見えなくなっているならば、対話型視覚化を頭部装着型表示器に表示してもよい。被検体は、自分の胸部の動きが目標位置又は参照位置によって画定される閾値運動範囲の内になるまで、視覚化の助けを借りて指導付き呼吸を練習することができる。
【0059】
被検体の胸部の動きが閾値運動範囲の内に収まったときに、第一のワークフロー300の第四のブロック308において走査を行なうことができる。様々な実施形態において、被検体は、自分の身体の動きを確実に最小にするために、走査の実行中に指導付き呼吸の実践を継続することができる。
【0060】
図3Bは、指導付き呼吸システムが如何に動作するかに関する第二のワークフロー350を示す。第二のワークフロー350では、被検体を医用イメージング・システムのテーブルに配置するのに先立って被検体を訓練しなくてよい。例えば、指導付き呼吸訓練室が被検体を訓練するのに利用可能でなかったり、被検体を訓練するために示唆された時間量が短か過ぎて指導付き呼吸訓練室を用いることは妥当でないかも知れないと医用イメージング・システムの操作者が決定したり、又は異なる理由であったりする場合がある。このように、第二のワークフロー350によれば、第一のブロック302において、被検体は医用イメージング・システムのテーブルに配置されて標認点設定され、第二のブロック352において、被検体は医用イメージング・システムのテーブルに配置されている間に前述のように指導付き呼吸システムにおいて訓練されることができ、第三のブロック354において、被検体は走査に備えて指導付き呼吸を練習することができ、第四のブロック356において、被検体が指導付き呼吸を履行している間に走査を行なうことができる。
【0061】
図4は、
図2の指導付き呼吸システム208のような指導付き呼吸システムを含む医用イメージング・システムの二次撮像装置(例えば
図1Aの二次撮像装置105)によって生成されるデータに基づいて、前述した対話型視覚化を生成して表示する方法例400を示す。方法400に記載される実施形態では、二次撮像装置はLiDAR光源/発光器(例えばレーザ)である。但し、他の実施形態では異なる遠隔感知技術を用い得ることを認められたい。例えば、3Dカメラを用いてもよい。医用イメージング・システムは、
図1AのCTイメージング・システム100及び/又は
図2の医用CTイメージング・システム200の非限定的例であってもよいし、或いは医用イメージング・システムは、ガントリ、テーブル、及び本書に記載される他の構成要素を含む異なる形式のイメージング・システムであってもよい。方法400及び本書に含まれる他の方法は、医用イメージング・システムのメモリに記憶されている命令に基づいて医用イメージング・システムのプロセッサによって実行され得る。例えば、プロセッサ及びメモリは、
図2の位置データ処理ユニット242のような医用イメージング・システムの処理ユニットに含まれ得る。
【0062】
方法400はブロック402で開始し、ここでは方法は、LiDAR光源を用いて被検体の走査を行なうことを含んでいる。走査中に、LiDAR光源は被検体へ向けてレーザ光を発光する。レーザ光は、被検体の身体の表面及び被検体が配置されたテーブル又は寝台の周囲部分で反射して、受光器において検出される。反射光の飛行時間(TOF)を測定して、LiDAR光源と被検体の身体の表面の複数の点との間の距離を決定するのに用いる。これらの距離測定を用いて、複数の点に基づいて身体の表面外形の3D仮想表現を作成する。
【0063】
ブロック404では、方法400は、LiDARデータを得、処理して、セグメント化することを含んでいる。表面外形の点は三次元における点の集合として生成され、これらの点の集合を本書では点群(point cloud)と呼ぶ。但し点群は、LiDAR光源によって検出され得るテーブル又は寝台の部分も含み得る。被検体の身体の表面外形を表わす点群の点を、テーブル又は寝台(又は医用イメージング・システムの若しくは医用イメージング・システムに配置された他の構成要素)の1又は複数の表面を表わす点群の点から識別するために、セグメント化工程を行なうことができる。セグメント化工程は、当技術分野で公知の様々な手法及び方法を用いてよい。一実施形態では、ノイズを含めた適用対象の密度による空間クラスタ化(DBSCAN)を用いて、得られたLiDARデータをセグメント化する。
【0064】
ブロック406では、方法400は、セグメント化後の3D領域の初期関心表面(SOI)を決定して、このSOIを指導付き呼吸システムの表示装置(例えば
図1Aの患者用表示装置130又は
図1Cの表示装置162)においてセグメント化後の3D領域に示すことを含んでいる。幾つかの実施形態では、SOIは代替的には、医用イメージング・システムの表示装置(例えば
図2の表示装置232)に示されてもよい。初期SOIは、医用イメージング・システムを用いた被検体の走査について選択された走査プロトコルに基づいて選択され得る。例えば、走査プロトコルは、走査のROIが被検体の腹部に位置していると示すことができる。ROIが腹部に位置していると走査プロトコルが示す結果として、SOIは、セグメント化後の3D領域に重畳表示された初期SOIを画定する指標線のような視覚的標識を介してセグメント化後の3D領域に示され得る。
【0065】
図8Aを参照すると、被検体胸部の表面のセグメント化後の3D点群800が示されており、セグメント化後の3D点群800は、
図4に関して記載されたようなLiDAR光源から生成されて、表示器画面に表示され得る。SOI802が第一の指標線804及び第二の指標線806によってセグメント化後の3D点群800に示されており、SOI802は、セグメント化後の3D点群800の点のうち第一の指標線804と第二の指標線806との間に位置している点を含んでいる。明確に述べると、SOI802は、第一の指標線804によって画定されるy次元(参照座標軸801に示す)の第一の境界平面814と、第二の指標線806によって画定されるy次元の第二の境界平面816との間に位置するセグメント化後の3D点群800の点として画定され得る。
【0066】
セグメント化後の3D点群800におけるSOI802の寸法(例えば表面積)及び/又は位置は、セグメント化後の3D点群800において第一の指標線804及び第二の指標線806(及び対応する境界平面814及び816)の一方又は両方の位置を第一の方向810又は第二の方向811に調節することにより調節され得る。例えば、SOI802の寸法を、第一の指標線804の第一の方向810での位置を調節すると共に第二の指標線806の第二の方向811での位置を調節することにより増加させたり、SOI802の寸法を、第一の指標線804の第二の方向811での位置を調節すると共に第二の指標線806の第一の方向810での位置を調節することにより減少させたりすることができる。加えて又は代替的には、セグメント化後の3D点群800でのSOI802の相対的な位置を、第一の指標線804の位置及び第二の指標線806の位置の両方を第一の方向810において調節するか、又は第一の指標線804の位置及び第二の指標線806の位置の両方を第二の方向811において調節することにより、調節することができる。第一の指標線804の位置及び第二の指標線806の位置を調節することにより、指導付き呼吸システムの利用者(例えば被検体に指導付き呼吸を指示する医用イメージング・システムの操作者又は技師又は介護者)は、セグメント化後の3D点群800から選択されるべき点の集合であって指導付き呼吸の訓練中に被検体の呼吸を実時間でモデル化するのに用いられ得る点の集合を指導付き呼吸システムに対して示すことができる。
【0067】
本書ではSOI802は標識線804及び806によって画定されるものとして記載されているが、他の実施形態では、SOI802は本開示の範囲から逸脱することなく異なる態様で示されてもよいことを認められたい。
【0068】
方法400に戻り、ブロック407では、方法は、初期SOIが利用者によって受け入れられたかを決定することを含んでいる。様々な実施形態において、表示装置はタッチ・スクリーンであり、利用者は表示装置において制御要素を選択して初期SOIを受け入れることができる。代替的には、利用者は、指導付き呼吸システムの利用者入力装置(例えば
図2の操作者コンソール220)において制御を選択することができる。
【0069】
初期SOIがブロック407において受け入れられなければ、方法400はブロック408へ進む。ブロック408では、方法400は、利用者から受け取る入力に基づいて初期SOIを修正することを含んでいる。例えば、利用者から受け取る入力は、前述のようにセグメント化後の3D点群に重畳表示される標識線の調節後の位置を含み得る。
【0070】
初期SOIが407において受け入れられたら、又は一旦、初期SOIがブロック408において修正されたら、方法はブロック410へ進む。ブロック410では、方法は、受け入れられたSOIに対応するセグメント化後の3D点群の部分(例えばセグメント化後の3D点群から分離される第二のより小さい点群)を選択することを含んでいる。分離される点群を用いて、被検体の身体の目標部位の仮想的形態表現を表示装置に表示することができる。分離される点群は、受け入れられたSOIの内部に含まれる点の集合であってよく、この場合には分離される点群を選択することは、被検体胸部のセグメント化後の3D点群のうち受け入れられたSOIの第一の指標線によって画定される第一の平面と、受け入れられたSOIの第二の指標線によって画定される第二の平面(例えば境界平面814と境界平面816)との間に配置された点の集合を決定することを含んでいる。
【0071】
図8Bは、SOI802を基に
図8Aのセグメント化後の3D点群800から選択され得る分離される点群850を示す。分離される点群850は、3D点群800のうち第一の境界平面814と第二の境界平面816との間の点を含み得る。換言すると、分離される点群850は、3D点群800のうち第一の境界平面814の第一のZ座標と第二の境界平面816の第二のZ座標との間のZ座標を有する点を含み得る。
【0072】
方法400に戻り、被検体の身体の目標部位の仮想的形態表現(例えば被検体胸部の部分)を、被検体が呼吸するのに伴って仮想的形態表現が呼応して実時間で調節されるようにして表示装置に表示することができる。例えば、被検体が吸気するにつれて、該被検体は仮想的形態表現が表示装置において膨張しているのを目視し、また被検体が呼気するにつれて、該被検体は仮想的形態が表示装置において表現収縮するのを目視し得る。
【0073】
図9を参照して述べると、例示的な呼吸視覚化900が示されており、この場合には、呼吸視覚化900は、
図2の指導付き呼吸システム208のような指導付き呼吸システムの表示装置902の画面903に表示され得る。表示装置902は、
図1Aの患者用表示装置130、
図1Bの頭部装着型表示器180、及び/又は
図1Cの表示装置162の非限定的例であってよい。呼吸視覚化900は、前述のように指導付き呼吸についての訓練中に医用イメージング・システムの被検体に対して表示され得る。
【0074】
呼吸視覚化900は、被検体の胸部の視覚的表現906と、被検体の胸部の部分の仮想的形態表現904とを含んでいる。視覚的表現906は、
図8Aのセグメント化後の3D点群800のようなセグメント化後の3D点群から生成され得る。仮想的形態表現904は、セグメント化後の3D点群のSOIから生成され得る。指導付き呼吸システムでの訓練中に、仮想的形態表現904は、被検体の胸部の動きを示すように実時間で更新され得る。例えば、被検体が吸気するにつれて、仮想的形態表現904は膨張して大きくなり、被検体が呼気するにつれて、仮想的形態表現904は収縮して小さくなり得る。換言すると、仮想的形態表現904は、被検体が呼吸中に画面903において自分の胸部の動きを目視することを可能にし得る。
【0075】
呼吸視覚化900は、画面903に表示される一組の呼吸指示910を含んでいる。呼吸指示910は、被検体に対していつ吸気すべきかを示すことができる。図示の実施形態では、「吸う」という指示は、被検体が吸気するように指示された時刻に画面903に表示され、また被検体が吸気するように指示されていないときには画面903に表示されないようにすることができる。代替的には、「吸う」という指示を画面903に表示して、被検体が吸気するように指示されたときに高輝度化し又は点灯し、被検体が吸気するように指示されていないときには高輝度化しない又は点灯しないようにすることができる。同様に、被検体が呼気するように指示された時刻に「吐く」という指示を画面903に表示し又は高輝度化し、また被検体が呼気するように指示されていないときには画面903に表示しない又は高輝度化しないようにすることができる。例えば吸気と呼気との間に被検体が保息するように指示された時刻に「息を止める」という指示を画面903に表示し又は高輝度化し、被検体が保息するように指示されていないときには画面903に表示しない又は高輝度化しないようにすることができる。このようにして、一組の指示910を、様々な呼吸サイクル中に呼吸パタンに従うように被検体に指示することができ、ここで各々の呼吸サイクルは1回の吸気及び1回の呼気を含んでいる。
【0076】
呼吸視覚化900は、指導付き呼吸の予め決められた持続時間にわたる指導付き呼吸の進行を表示し得る時系列線908を含み得る。訓練中には、標識909が予め決められた持続時間中での現在時刻を示すことができる。例えば、予め決められた持続時間の最初に、標識909は時系列線908の第一の端部920に位置し得る。予め決められた持続時間に沿って時間が経つにつれて、標識909は呼応して移動することができ、時系列線908の第二の端部921に達するまで移動し得る。様々な実施形態において、指導付き呼吸の予め決められた持続時間は、指導付き呼吸の第一の吸気段階及び指導付き呼吸の第二の呼気段階を含むことができ、以降でさらに詳述する。
【0077】
加えて、図示の実施形態では、時系列線908は四つの区画に分割されている。第一の区画912及び第二の区画914は、指導付き呼吸の第一の段階に対応していてよく、この間に被検体の胸部の運動範囲が、膨張した胸部に関連する第一の参照点群に関して測定される。明確に述べると、第一の区画912は、被検体が吸気するように指示されている時間に対応し得る。第一の区画912と第二の区画914との間に、被検体は吸気後、保息するように指示されて、保息中に第一の参照点群が生成される。第二の区画914は、被検体胸部の動きが監視されている時間に対応し得る。第三の区画916及び第四の区画918は、指導付き呼吸の第二の段階に対応していてよく、この間に被検体の胸部の運動範囲が、収縮した胸部に関連する第二の参照点群に関して測定される。明確に述べると、第三の区画916は、被検体が呼気するように指示されている時間に対応し得る。第三の区画916と第四の区画918との間に、被検体は呼気後、保息するように指示されることができ、保息中に第二の参照点群が生成される。第四の区画918は、被検体胸部の動きが監視されている時間に対応し得る。
【0078】
第一の区画912、第二の区画914、第三の区画916、及び第四の区画918の各々が、例えば色分け又は網掛けを介して互いから視覚的に識別可能にされ得る。例えば、第一の区画912は第一の色又は網掛けを有し、第二の区画914は第二の色又は網掛けを有し、第三の区画916は第三の色又は網掛けを有し、第四の区画918は第四の色又は網掛けを有する(或いは第二の区画914と同様の色分け又は網掛けを施してもよい)ようにすることができる。このようにして被検体は、訓練中に自分が呼吸サイクルの何れの部分に現在位置しているかを目視して、呼吸サイクルの後続の部分までどれほどの残り時間があるかを決定することができる。呼吸サイクルの最後に、標識909は第二の端部921から第一の端部920へ戻って、次のサイクルを開始することができる。
【0079】
被検体は、訓練中に指示に従うことができる。指示に従っている間に、被検体は仮想的形態表現904を目視することができる。呼吸中に仮想的形態表現904を目視すると、被検体が目標の又は選択される呼吸パタンを再現する又はかかるパタンに従う助けになり、ここで、選択される呼吸パタンは胸部の動きを減少させ得るものである。
【0080】
さらに、幾つかの実施形態では、3Dの指導付き呼吸モデルが生成されて、仮想的形態表現904と共に画面903に表示されてもよく、ここで3D指導付き呼吸モデルは、被検体が呼吸するにつれて実時間で動く被検体胸部の表面の部分の目標3D仮想表現であってよい。このように、目標3D仮想表現は、被検体胸部の目標運動をモデル化することができる。例えば、指導付き呼吸モデルは、仮想的形態表現904に整列し、且つ/又は重畳表示され得る。指導付き呼吸モデルは、被検体が仮想的形態表現904の第一の位置を指導付き呼吸モデルの第二の位置と一致させるために自分の呼吸を調節し得るように、呼吸サイクル中の様々な時刻での胸部の表面の部分の具体的な望ましい位置を被検体に対して示すことができる。
【0081】
指導付き呼吸モデルは、取得されたLiDAR/3Dカメラのデータを基に生成されるので、指導付き呼吸モデルを用いる利点は、特定の被検体胸部が呼吸中に如何に動くべきかを、当該指導付き呼吸モデルが個々人に合わせた態様で示し得ることである。例えば、呼吸中には、胸部のあらゆる点が上下したり、同じ方向に同時に移動したりする訳ではない。幾つかの呼吸パタンが横隔膜からの呼吸を伴う場合もあれば、他の呼吸パタンが胸筋を用いた呼吸に関わる場合もある。指導付き呼吸モデルを仮想的形態表現904に一致させるように試みることにより、被検体は、選択される呼吸パタンをより速やかに且つ効率よく達成することができる。加えて、指導付き呼吸モデルは、選択される呼吸パタンを達成するという課題を「ゲーム化」してもよく、この場合には指導付き呼吸モデルを仮想的形態表現904に一致させるという視覚的課題が、呼吸指示910に従うよりも容易に、楽しく、且つ/又は集中して取り組めるものになる。指導付き呼吸モデルの生成については
図5Aに関して後述する。
【0082】
図4に戻り、ブロック412では、方法400は、被検体による呼吸パタンの自己較正のために、画面上の訓練指示(例えば呼吸指示910)及び被検体の胸部の表面の部分の仮想的形態表現(例えば仮想的形態表現904)によって被検体を訓練することを含んでいる。呼吸パタンの自己較正のために被検体を訓練することは、
図5Aに関して以降でさらに詳述される。
【0083】
ブロック414では、方法400は、医用イメージング・システムを用いて走査を行ない、被検体が呼吸パタンを実践している間に画像データを取得することを含んでいる。被検体が呼吸パタンを実践している間に画像データを取得することについては、
図7に関して以降でさらに詳述される。
【0084】
ブロック416では、方法400は、取得された画像データから画像を再構成して、画像を医用イメージング・システムの表示装置(例えば
図2の表示装置232)に表示することを含んでいる。代替的には、画像を医用イメージング・システムのメモリ(例えば大容量記憶部218)に記憶してもよい。被検体が指導付き呼吸を履行する結果として、再構成される画像を、被検体が選択される呼吸パタンに従わない場合よりも高品質にすることができる。
【0085】
ここで
図5Aに移ると、走査を行なうのに先立って画面上の訓練指示を含む視覚的表示を介して指導付き呼吸について医用イメージング・システムの被検体を訓練する方法例500が示されている。前述のように、視覚的表示は、被検体胸部の表面の部分の対話型視覚化を含んでいてよく、選択される呼吸パタンを被検体が達成するのを助けることができる。視覚的表示は、
図1Aの表示装置130及び/又は
図1Cのは表示装置162のような指導付き呼吸システムの表示装置の画面に表示され得る。
【0086】
方法500はブロック502で開始し、ここでは方法は、被検体に対して指導付き呼吸を履行するように指示を表示して、予め決められた持続時間にわたり指導付き呼吸を監視することを含んでいる。例えば、予め決められた持続時間は、小児では5分間、成人では10分間であってよい。様々な実施形態において、指導付き呼吸は第一の段階と第二の段階とを含んでいる。第一の段階では、被検体胸部の動きが監視されて被検体胸部の表面の3D点の第一の集合(例えば第一の参照点群)に関して測定され、ここで第一の参照点群は、吸気の後に膨張状態にある被検体胸部の位置に対応する。第二の段階では、被検体胸部の動きが監視されて被検体胸部の表面の3D点の第二の集合(例えば第二の参照点群)に関して測定され、ここで第二の参照点群は、呼気の後に収縮状態にある被検体胸部の位置に対応する。
【0087】
ブロック504では、指示を表示して指導付き呼吸を監視することは、指導付き呼吸システムの状態を吸気状態に設定することを含んでいる。吸気状態に設定されると、指導付き呼吸の吸気段階を開始することができる。吸気段階中には、吸気中の被検体胸部の運動範囲が膨張した胸部に関して測定されて、被検体胸部の運動範囲が閾値運動範囲を超えたかを決定することができる。被検体が吸気を行なうための指示を画面に表示することができる。例えば、
図9に関して上で述べたように、吸気の持続時間にわたり吸うという書字型指示が画面に表示され又は点灯され得る。加えて、吸気状態は、画面に表示された時系列線(例えば時系列線908)において、例えば望ましい吸気の持続時間に対応する時系列線の部分の点灯若しくは高輝度化、時系列線に対して現在時刻を示す矢印(例えば標識909)、又は異なる視覚的指標を介して示され得る。例えば、望ましい吸気の持続時間は5秒間であってよい。吸気を行なった後に、被検体が第一の予め決められた持続時間にわたって保息するように、指示が画面に表示され得る。例えば、第一の予め決められた持続時間は10秒間であってよい。
【0088】
ブロック506では、指導付き呼吸サイクルを行なうことは、被検体が保息している間にLiDARデータに基づいて第一の参照点群を登録することを含んでおり、ここで第一の参照点群は、被検体の胸部(及び/又は腹部)の表面の3D点の集合である。LiDARデータに基づいて第一の参照点群を登録することについて
図6に関してさらに詳しく記載する。
【0089】
図6には、LiDARデータに基づいて医用撮像検査の被検体の胸部の表面に対応する点群を登録する方法600が示されている。方法600は、
図5Aの方法500のような指導付き呼吸を履行する方法の部分として、医用イメージング・システムの指導付き呼吸システムの内部で実行され得る。
【0090】
ブロック602では、方法600は、LiDARデータの第一の集合を取得することを含んでいる。LiDARデータは、二次撮像装置105及び/又は二次撮像装置164のような指導付き呼吸システムのLiDAR撮像装置を介して取得され得る。様々な実施形態において、二次撮像装置は、CTイメージング・システム100のような医用イメージング・システムに一体化されていてよい。
【0091】
ブロック604では、方法600は、取得されたLiDARデータから点群を作成することを含んでいる。点群は、被検体の胸部の表面でLiDAR撮像装置によって検出される複数の点を含み得る。ブロック606では、方法600は、セグメント化工程を行なって、LiDAR撮像装置によって検出された点のうち胸部の表面にない点(例えばそれぞれ
図1A及び
図1Cのテーブル114及び/又はテーブル173のように、被検体が配置されているテーブル又は寝台の表面の点)を消去することを含んでいる。
【0092】
ブロック608では、方法600は、セグメント化された点群のSOIについて点群データを分離することを含んでいる。様々な実施形態において、SOIは、指導付き呼吸システムの操作者によって
図2の操作者コンソール220のような指導付き呼吸システムの入力装置を介して示され得る。操作者は、
図8Aに関して記載されたセグメント化後の点群の視覚化において標識線を調節することによりSOIを示すことができる。操作者がSOIを示した後に、指導付き呼吸システムは、セグメント化後の点群のうち標識線の範囲内に位置する点の集合を決定することができる。
【0093】
ブロック610では、方法600は、SOIに対応する分離された点群を指導付き呼吸システムの表示装置(例えば表示装置130及び/又は表示装置162)での表示のための3D座標へ変換することを含んでいる。3D座標は記憶されて、
図5Aに関して上で述べたように、被検体が指導付き呼吸を履行している間に被検体の胸部の対話型視覚化を生成するための参照として用いられ得る。
【0094】
図5Aに戻り、ブロック508では、指示を表示して指導付き呼吸を監視することは、被検体胸部の動きを第一の参照点群に関して測定することを含んでいる。被検体が予め決められた呼吸パタンに従って呼吸するように、指示が画面に表示され得る。例えば、
図9に関して上で述べたように、予め決められた呼吸パタンに従って、吸うという書字型指示が、求められる吸気の持続時間にわたり画面に表示され又は点灯され、また吐くという書字型指示が、求められる呼気の持続時間にわたり画面に表示され又は点灯され得る。加えて幾つかの呼吸パタンでは、被検体は保息するように指示され得る。被検体が予め決められた呼吸パタンに従って呼吸している間に吸気中の被検体胸部の動きを測定することができる。被検体胸部の動きを測定することについて、以下、
図5Bに関してさらに詳しく記載する。
【0095】
図5Bを参照すると、方法550が、指導付き呼吸システム208での指導付き呼吸中に被検体胸部の動きを測定する手順を示している。様々な実施形態において、方法550は前述した方法500の部分として行なわれ得る。方法550の各ステップは、予め決められた持続時間に達するまで複数回にわたって反復的に繰り返され得ることを認められたい。例えば、予め決められた持続時間は、指導付き呼吸の吸気段階又は指導付き呼吸の呼気段階の長さに対応し得る。様々な実施形態において、方法550は例えば毎ミリ秒のように等間隔で行なわれ得る。
【0096】
方法550はブロック551で開始し、ここでは方法550は参照点群を受け取ることを含んでいる。参照点群は、初期時点での被検体胸部の表面に対応する点の群であってよく、これらの群に対して、被検体胸部の表面に対応する他の点群が指導付き呼吸中に測定される。例えば、参照点群は、吸気の後に胸部が膨張状態にあるときの被検体胸部の表面に対応していてもよいし(例えば
図5Aの第一の参照点群)、呼気の後に胸部が収縮状態にあるときの被検体胸部の表面に対応していてもよい(例えば
図5Aの第二の参照点群)。
【0097】
ブロック552では、方法550は、被検体が呼吸している(例えば呼吸パタンに従って)間の被検体胸部の表面に対応する点群を生成することを含んでいる。様々な実施形態において、点群は、第一の参照点群を生成することに関して前述したように
図6の1又は複数のステップに従うことにより生成され得る。点群を生成するのに用いられるSOIは、第一の参照点群について操作者によって選択されたSOIと同じであってよい。
【0098】
ブロック554では、方法550は、被検体胸部の点群が生成されたときの各々の等間隔tで、参照点群の点と生成された点群の点との間の距離計量を算出して、呼吸中の胸部の運動範囲を推定することを含んでいる。様々な実施形態において、距離計量は第一の点群の各々の点と第二の点群の対応する点との間のユークリッド距離に基づくものであってよい。例えば、距離計量は、点の各々の対の平均ユークリッド距離であってよい。
【0099】
幾つかの実施形態では、距離計量は、第一及び第二の点群の所定の部分が第一及び第二の点群の他の部分よりも重く重み付けされた重み付き平均ユークリッド距離であってもよい。例えば、距離計量の重み付けは、被検体が一致するように指示される呼吸パタンに依存し得る。第一の呼吸パタンは肺呼吸に関わっていてよく、この場合には被検体は、呼吸するときの胸部の上部に対応する第一及び第二の点群のそれぞれの部分を、胸部の下部に対応する第一及び第二の点群の部分よりも大きい範囲まで動かすように指示される。第二の呼吸パタンは横隔膜呼吸に関わっていてよく、この場合には被検体は、呼吸するときの胸部の下部に対応する第一及び第二の点群のそれぞれの部分を、胸部の上部に対応する第一及び第二の点群の部分よりも大きい範囲まで動かすように指示される。被検体が第一の呼吸パタンに一致するように指導されたら、胸部の上部に対応する第一の点群の点と第二の点群の点との間のユークリッド距離は、胸部の下部に対応する第一の点群の点と第二の点群の点との間のユークリッド距離よりも重く重み付けされ得る。代替的には、被検体が第二の呼吸パタンに一致するように指導されたら、胸部の下部に対応する第一の点群の点と第二の点群の点との間のユークリッド距離は、胸部の上部に対応する第一の点群の点と第二の点群の点との間のユークリッド距離よりも重く重み付けされ得る。このようにして、被検体胸部の推定される運動範囲が、選択される呼吸パタンに基づいて画定され得る。
【0100】
ブロック556では、方法500は、胸部の推定される運動範囲が閾値運動範囲を超えたかを決定することを含んでいる。推定される運動範囲が閾値運動範囲を超えていたら、被検体胸部の膨張が呼吸パタンの望ましいパラメータを超えており、被検体が、選択される呼吸パタンに従って呼吸していないと推論され得る。
【0101】
図10を簡単に参照すると、呼吸グラフ1000が二つのプロットを示しており、第一のプロット1002が被検体の第一の例示的な呼吸パタンを示し、第二のプロット1004が被検体の第二の例示的な呼吸パタンを示している。時間が呼吸グラフ1000のx軸に示され、呼吸中の被検体胸部の運動範囲の合否判定が呼吸グラフ1000のy軸に示されている。吸気中の被検体胸部の膨張は上向きピーク(例えば方向1030への)によって示され、呼気中の被検体胸部の収縮は下向きピーク(例えば方向1032への)によって示されている。
【0102】
第一の例示的な呼吸パタンは浅い呼吸のパタンであって、第一の吸気1003、呼気1005、及び第二の吸気1007を含んでいる。第一の例示的な呼吸パタン中の被検体胸部の運動範囲は、点1040での第一の吸気1003中の被検体胸部の最大膨張と、点1042での呼気1005中の被検体胸部の最小収縮との間の距離1020によって画定され得る。距離1020は閾値運動範囲よりも小さい場合があり、これにより第一の例示的な呼吸パタン中の被検体胸部の運動範囲は許容可能となる。
【0103】
対照的に、第二の例示的な呼吸パタンはより深い呼吸のパタンであって、第一の吸気1010及び呼気1012を含んでいる。第二の例示的な呼吸パタン中の被検体胸部の運動範囲は、点1011での第一の吸気1010中の被検体胸部の最大膨張と、点1013での呼気1012中の被検体胸部の最小収縮との間の距離1022によって画定され得る。距離1022は閾値運動範囲よりも大きい場合があり、これにより第一の例示的な呼吸パタン中の被検体胸部の運動範囲は、許容可能であるが過大であると考えられる。
【0104】
方法550に戻り、ブロック556において推定される運動範囲が閾値運動範囲を超えていると決定されたら、方法500はブロック558へ進む。ブロック558では、方法550は、被検体の呼吸が選択される呼吸パタンに忠実でないと被検体に通知することを含んでおり、方法550はブロック552へ戻って、次の等間隔tで被検体胸部の動きを測定することを続行する。
【0105】
幾つかの実施形態では、被検体は指導付き呼吸システムの表示装置で通知を受けることができる。例えば、被検体が呼吸パタンに忠実でないとの視覚的指標が、表示装置に書字で又は図形要素の出現で表示されてもよいし、表示器の既存の要素を点灯、高輝度化、又は異なる色で表示することにより表示されてもよい。加えて又は代替的には、被検体は、被検体の環境に配置された指標光(例えば
図1Aのガントリ102の内側面120、縁端121及び/若しくは前面122の光若しくは点灯部分、又は
図1CのLED灯172)を介して通知されてもよいし、指導付き呼吸システムのスピーカ及び/又は被検体の環境で鳴らされる聴覚的通知(例えば音声又は音声の録音)を介して通知されてもよいし、触覚的フィードバック(例えば振動)を介して通知されてもよいし、異なる態様を介して通知されてもよい。
【0106】
ブロック556において推定される運動範囲が閾値運動範囲を超えていないと決定されたら、被検体は選択される呼吸パタンに忠実であると推定することができ、方法550はブロック560へ進む。
【0107】
ブロック560では、方法500は、指導付き呼吸の予め決められた持続時間に達したかを決定することを含んでいる。予め決められた持続時間は、吸気段階(被検体胸部の動きが膨張した胸部に関して測定される段階)又は呼気段階(被検体胸部の動きが収縮した胸部に関して測定される段階)のような指導付き呼吸の一段階に対応し得る。例えば、予め決められた持続時間は10分間であってよい。
【0108】
ブロック560において予め決められた持続時間に達していないと決定されたら、方法500はブロック552へ戻り、指導付き呼吸の次の等間隔t中に被検体胸部の運動範囲を監視することを続行する。代替的には、ブロック560において予め決められた持続時間に達したと決定されたら、方法550は終了する。
【0109】
図5Aに戻り、ブロック510において、指示を表示して指導付き呼吸を監視することは、指導付き呼吸システムの状態を呼気状態に設定することを含んでいる。呼気状態に設定されると、指導付き呼吸の呼気段階を開始することができる。被検体が呼気を履行するように指示が画面に表示され得る。例えば、
図9に関して上で述べたように、吐くという書字型指示が呼気の持続時間にわたり画面に表示され又は点灯され得る。呼気段階中には、被検体胸部の運動範囲が収縮した胸部に関して測定されて、被検体胸部の運動範囲が閾値運動範囲を超えたかを決定することができる。呼気状態は、画面に表示される時系列線に示されてよい。呼気段階の望ましい持続時間は吸気段階の持続時間に等しくてもよいし、呼気段階の望ましい持続時間が吸気段階の持続時間と異なっていてもよい。呼気を行なった後に、被検体が第二の予め決められた持続時間にわたって保息するように、指示が画面に表示されることができ、第二のあらかじめ決められた持続時間は第一の予め決められた持続時間に等しくてよい。
【0110】
ブロック512では、指示を表示して指導付き呼吸を監視することは、
図6に関して上で述べたように、被検体が保息している間に被検体の胸部(及び/又は腹部)の表面の第二の参照点群をLiDARデータに基づいて登録することを含んでいる。換言すると、第一の参照点群は、被検体の胸部が前段の吸気の結果として膨張した位置にあり得るような第一の時刻に登録される。第二の参照点群は、被検体の胸部が前段の呼気の結果として収縮した位置にあり得るような第二のより遅い時刻に登録される。このように、第一の参照点群は3D座標の第一の集合によって参照され、第二の参照点群は3D座標の第二の異なる集合によって参照される。
【0111】
ブロック514では、指示を表示して指導付き呼吸を監視することは、被検体胸部の動きを第二の参照点群に関して測定することを含んでいる。被検体が予め決められた呼吸パタンに従って呼吸するように、指示が画面に表示され得る。例えば、
図9に関して上で述べたように、予め決められた呼吸パタンに従って、吸うという書字型指示が、求められる吸気の持続時間にわたり画面に表示され又は点灯され、また吐くという書字型指示が、求められる呼気の持続時間にわたり画面に表示され又は点灯され得る。加えて幾つかの呼吸パタンでは、被検体は保息するように指示され得る。被検体が予め決められた呼吸パタンに従って呼吸している間に被検体胸部の動きを測定することができる。被検体胸部の動きは、
図5Bに関して上で述べたようにして測定され得る。吸気段階と同様に、被検体胸部の運動範囲が閾値運動範囲の内になければ、被検体に対して例えば指標光を介して又は指導付き呼吸システムの表示画面に指標を与えることができる。呼気段階の予め決められた持続時間の後に、被検体胸部の運動範囲の測定は終了してよく、方法500はブロック516へ進む。ブロック516では、方法500は、吸気段階及び呼気段階の両方の間に被検体胸部の集合的運動範囲が閾値運動範囲を超えたかを決定することを含んでいる。例えば、集合的運動範囲は、被検体胸部の表面と参照点群(例えば第一の参照点群又は第二の参照点群の何れか)との間の距離の複数の測定の平均であってよい。幾つかの実施形態では、集合的運動範囲は複数の測定の重み付き平均であってよい。例えば、吸気段階中の被検体胸部の第一の平均運動範囲が、呼気段階中の被検体胸部の第二の平均運動範囲よりも重く重み付けされ、或いは吸気段階中の被検体胸部の第一の平均運動範囲が、呼気段階中の被検体胸部の第二の平均運動範囲よりも重くならないように重み付けされ得る。
【0112】
被検体胸部の集合的運動範囲が閾値運動範囲を超えていたら、方法500はブロック518へ進む。ブロック518では、方法500は、指導付き呼吸についての被検体の訓練を続行することを含んでいてよく、これにより方法500はブロック502へ戻る。代替的には、被検体胸部の集合的運動範囲が閾値運動範囲を超えていなければ、方法500はブロック520へ進む。ブロック520では、方法500は、被検体及び/又は指導付き呼吸システムの操作者に対して、被検体が指導付き呼吸についての訓練を完了したと示すことを含んでおり、方法500は終了する。
【0113】
ここで
図7を参照すると、被検体が指導付き呼吸を履行している間に被検体に対して医用撮像走査を行なう方法例700が示されている。被検体は、
図5Aに関して上で述べたように、医用撮像走査に先立って指導付き呼吸についての訓練セッションを受けている場合がある。一実施形態では、被検体は、
図1Cに示す訓練室のような第一の位置において指導付き呼吸について訓練されている。被検体は、訓練を成功裡に完了することができ、これにより被検体は、所定の持続時間にわたり選択される呼吸パタンに忠実であると実際に示し得る。訓練を完了した後に、被検体は、
図1AのCTイメージング・システム100のようなイメージング・システムのテーブルに配置されて、イメージング・システムのガントリの内部に配置され得る。幾つかの実施形態では、被検体は、当該被検体が
図1Aの表示装置130のようなイメージング・システムの指導付き呼吸システムの外部表示装置を目視し得るようにしてテーブルに配置され得る。検査中の投影データの取得中に、被検体は、指導付き呼吸の指示を表示装置で目視することができ、ここで指導付き呼吸の指示は、被検体が吸気し呼気するのに伴って実時間で動く被検体胸部の部分の3D視覚化を含み得る。加えて、3D指導付き呼吸モデルは、3D視覚化の近傍に表示されてもよいし3D視覚化に重畳表示されてもよく、ここで3D指導付き呼吸モデルは胸部の目標位置を実時間で示すことができるので、被検体が3D視覚化によって示される被検体胸部の動きを3D指導付き呼吸モデルに一致させることにより、選択される呼吸パタンに忠実となることができる。他の実施形態では、指示、3D視覚化、及び3D指導付き呼吸モデルが、
図1Bの頭部装着型表示器180のような頭部装着型表示器を介して被検体に対して表示されてもよい。
【0114】
ブロック702では、方法700は、被検体の保息時間に基づいて医用撮像走査のプロトコルを調節することを含んでいる。保息時間は、被検体が吸気と呼気との間で一貫して確実に保息し得る持続時間であってよく、指導付き呼吸についての訓練セッションの結果として決定され得る。異なる被検体は異なる保息時間を有し得る。
【0115】
プロトコルは、行なわれている医用撮像走査の形式及び/又は走査されている被検体の関心領域に基づいて決定され得る。例えば、イメージング・システムの操作者がイメージング・システムの入力装置(例えば表示装置232)を用いてプロトコルを選択してもよいし、プロトコルが、操作者によって確立された医用撮像走査の1又は複数のパラメータに基づいて自動的に選択されてもよい。様々な実施形態において、プロトコルは、被検体毎にばらつきのあり得る保息時間についての設定を含み得る。例えば、第一の被検体は第一のより短い持続時間にわたり一貫して確実に保息することができ、第二の被検体は第二のより長い持続時間にわたり一貫して確実に保息することができる場合がある。プロトコルは、第一の被検体に対して第一の走査を行なう場合と、第二の被検体に対して第二の走査を行なう場合との間で調節を行なって、第一の持続時間と第二の持続時間との間の差に対処することができる。第一の走査中には、投影データの第一の取得は第一の持続時間に依存し、第二の走査中には、投影データの第二の取得は第二の持続時間に依存し得る。
【0116】
ブロック704では、方法700は、被検体が指導付き呼吸を履行している間に医用撮像走査を行なうことを含んでいる。前述のように、指導付き呼吸中には、被検体は自分の胸部の部分の視覚的表現を案内として用い、且つ/又は視覚的表現を表示装置に表示された3D指導付き呼吸モデルと一致させて、表示装置に表示された呼吸指示に従うことができる。
【0117】
ブロック706では、方法700は、被検体の指導付き呼吸の履行に基づいて被検体の安定性スコアを算出することを含んでいる。安定性スコアは、指導付き呼吸システムによって生成されて呼吸中の被検体の胸部の安定性の度合いを示す値であり得る。例えば高い安定性スコアは、被検体が自分の胸部の運動範囲を高い精度及び一貫性で最小閾値運動範囲内に保ち得たことを示し得る。低い安定性スコアは、被検体が自分の胸部の運動範囲を高い精度及び一貫性で最小閾値運動範囲内に保ち得なかったことを示し得る。例えば、低い安定性スコアは、被検体が不安感を覚えて、より速く且つ/又はより深く呼吸した結果であるかも知れない。指導付き呼吸中に取得された投影データから再構成される画像の品質は、被検体胸部の安定性の度合いに依存し得るので、被検体から低い安定性スコアで形成され得るものよりも被検体から高い安定性スコアで形成され得るものの方が画像は高品質になる。
【0118】
幾つかの実施形態では、安定性スコアSは次式を用いて算出され得る。
S=||PCCinitial-max(|PCCscan duration|)|| (1)
式中、PCCは点群座標である。換言すると、安定性スコアは、吸気段階に関して上で述べたように、胸部の最小膨張に対応する点群座標の第一の集合と、胸部の最大膨張に対応する点群座標の第二の集合との間の全体的な差に基づいていてもよいし、呼気段階に関して上で述べたように、胸部の最大膨張に対応する点群座標の第一の集合と、胸部の最小膨張に対応する点群座標の第二の集合との間の全体的な差に基づいていてもよい。他の実施形態では、安定性スコアが、異なる方程式に基づいて生成されてもよい。例えば、被検体が自分の胸部及び/又は腹部の異なる部分(例えば上胸部呼吸対横隔膜呼吸)の相対的な動きに基づく呼吸パタンに従っているならば、安定性スコアを第一の点群の部分と第二の点群の対応する部分との間の相対的な差に基づいて算出してもよく、ここで第一及び第二の点群の他の部分は安定性スコアには寄与していなくてよい。
【0119】
ブロック708では、方法700は、医用撮像走査中に取得される走査データに安定性スコアを埋め込むことを含んでいる。例えば、安定性スコアを医用撮像走査のメタデータに含めることができ、メタデータは画像再構成に用いられる投影データと共に記憶され得る。幾つかの実施形態では、指導付き呼吸システムによって生成され表示装置に表示され得る分離された点群データ(例えば被検体胸部の部分の視覚的表現)もメタデータに記憶してよい。
【0120】
ブロック710では、方法700は、医用撮像走査中に取得される走査データをイメージング・システムのメモリに記憶することを含んでいる。例えば、走査データは、
図2の計算装置216のメモリ又は大容量記憶部218に記憶され得る。安定性スコアを走査データに含めることにより、走査中の被検体の指導付き呼吸の履行の記録を走査データに紐付けることができ、この記録が、走査から形成される画像の品質の事前指標を与えることができる。安定性スコアは、画像に関連付けられる品質検査システムによって記憶されてもよい。安定性スコアは画質と相関付けされ得るので、CT検査又はCT走査は安定性スコアを用いて記憶され得る。かかる場合には、好ましければ高い安定性スコアの検査を先ず検討することができる。
【0121】
加えて、安定性スコアは検索可能なパラメータともなり得る。例えば、放射線科医が、経時的に患者に対して行なわれた一連の走査中に形成された履歴画像を選択的に検討したい場合がある。放射線科医は、閾値品質を上回る画像を観察したいと望み、閾値品質を下回る画像を観察したいとは望まないかも知れない。放射線科医は、埋め込まれた安定性スコアが高い患者の走査から形成される画像を検索するように医用イメージング・システムのフィルタを設定することができる。埋め込まれた安定性スコアが高い画像を観察して、埋め込まれた安定性スコアが高くない画像を観察しないようにすることにより、放射線科医は、安定性スコアが走査データに埋め込まれていない代替的なシナリオに比較して、より高品質の画像をより迅速に且つより効率よく発見して検討することができる。
【0122】
このように、医用イメージング・システムのための指導付き呼吸システムが本書に開示されており、このシステムは、他の指導付き呼吸システムとは対照的に、被検体が指導付き呼吸を練習又は履行している間に被検体胸部の選択される部分の3D視覚化を呼吸指示と共に表示装置に表示し、ここで、選択される部分は、胸部の全表面(例えば被検体の胴体全体にわたる)よりも小さい胸部の表面積(例えば被検体胸部の縮小された点集合)を含むように調整され得る。より小さい表面積は、特定の呼吸パタン中に膨張し収縮する胸部の特定の部分にわたるように操作者によって選択され得る。例えば、第一の呼吸パタンは、被検体の肺に関連付けられる胸部の上部を動かすことに関わり、第二の呼吸パタンは、被検体の横隔膜に関連付けられる胸部の下部を動かすことに関わり得る。例えば、第一の走査を被検体の腹部に対して行ない、第二の走査を被検体の肺に対して行なうことができる。第一の走査の品質は第一の呼吸パタンに従う被検体に依拠し、第二の走査の品質は第二の呼吸パタンに従う被検体に依拠し得る。例えば、第一の呼吸パタンは、腹部を動かさないまま、呼吸するために胸部の筋肉を拡張させることを含み得る。第二の呼吸パタンは、胸部を動かさないまま、呼吸するために被検体の横隔膜を拡張させることを含み得る。
【0123】
このようにして、指導付き呼吸中に操作者は、特定の呼吸パタンに関わる胸部の部分のみを表示して、特定の呼吸パタンに関わらない胸部の部分は表示しないようにすることができる。より広い表面積を含む代替的な3D視覚化とは対照的に、選択される部分を表示することにより、3D視覚化を生成するために指導付き呼吸システム及び/又は医用イメージング・システムによって用いられるメモリ及び/又は処理資源の量を減少させることができ、指導付き呼吸システム及び/又は医用イメージング・システムの性能及び作用を高めることができる。3D視覚化を生成するために用いられるメモリ及び/又は処理資源の量の減少の結果として、より大きい資源量を他の医用撮像及び/又は他の業務に利用可能にすることができる。加えて、指導付き呼吸についての被検体の性能を高めることができ、医用撮像中に被検体胸部のより少ない動きを生じて、より高品質の再構成画像を得ることができる。高品質再構成画像の結果として、被検体の評価及び/又は診断をより正確にすることができる。
【0124】
さらに、3D指導付き呼吸モデルは、3D視覚化に基づいて生成されて3D視覚化と同時に表示されることができ(例えば3D視覚化に重畳表示される)、ここで3D指導付き呼吸モデルは、被検体が呼吸するのに伴って実時間で動く選択される部分の目標3D表現であってよい。目標3D仮想表現は、被検体胸部の目標運動をモデル化することができる。3D指導付き呼吸モデルは、選択される呼吸パタンを達成するために当該3D指導付き呼吸モデルに関して自分の呼吸を如何に調節するかを被検体に示すことができ、ここで3D指導付き呼吸モデルは、被検体の呼吸に基づいて個々人に合わせた改変された3D視覚化の形状を実時間で示すことができる。3D指導付き呼吸モデルを被検体の呼吸の3D視覚化と共に表示することにより、被検体は、選択される呼吸パタンをより速やかに取り入れて、被検体が指導付き呼吸を履行することにより費やされる時間量を減少させることができる。被検体が指導付き呼吸を履行することにより費やされる時間量を減少させることにより、3D視覚化及び3D指導付き呼吸モデルを生成するために指導付き呼吸システム及び/又は医用イメージング・システムによって用いられるメモリ及び/又は処理資源の量を減少させることができ、指導付き呼吸システム及び/又は医用イメージング・システムの性能及び作用を高めて他の業務のために資源を利用可能にし、さらに得られる再構成画像の品質を高めることができる。加えて、3D視覚化に頼らずに3D指導付き呼吸モデルを一から生成するのではなく、3D視覚化に基づいて3D指導付き呼吸モデルを生成することにより、指導付き呼吸システム及び/又は医用イメージング・システムの計算資源及びメモリ資源をより効率よく利用し且つ/又は減少させることができる。
【0125】
本開示はまた、医用イメージング・システムのための方法に対応するものであって、この方法は、医用イメージング・システムの被検体の胸部の表面のデータを取得する医用イメージング・システムのセンサ・システムを介して表面の部分の三次元(3D)仮想表現を生成し、この部分は医用イメージング・システムの操作者によって寸法調節可能であり、被検体が呼吸している間に該被検体に対して医用イメージング・システムの表示装置に3D仮想表現の変化を実時間で表示し、選択される呼吸パタンに従って指導付き呼吸を履行するように被検体に対して表示装置に指示を表示して、被検体の呼吸パタンの選択される呼吸パタンからのずれを検出することに応答して、被検体に対してこのずれを示すことを含んでいる。方法の第一の例では、選択される呼吸パタンに従って指導付き呼吸を履行するように指示を表示することは、いつ吸気を開始すべきか、いつ呼気を開始すべきか、及びいつ保息すべきかを示す指示を表示して、吸気の持続時間、呼気の持続時間、及び被検体が保息する持続時間を示す時系列線を表示することをさらに含んでいる。第一の例を選択随意で含む方法の第二の例では、ずれを検出する結果として被検体に対してこのずれを示すことは、ずれがずれ閾値を超えたと決定することに応答して、表示装置にずれの指標を表示すること、CTイメージング・システムの環境に含まれる照明又は視覚的標識を点灯すること、医用イメージング・システムの照明又は視覚的標識を点灯すること、被検体に対して触覚的フィードバック(例えば振動)を与えること、及びずれの聴覚的通知を与えることの少なくとも一つを行なうことをさらに含んでいる。第一及び第二の例の一方又は両方を選択随意で含む方法の第三の例では、ずれがずれ閾値を超えたと決定することは、被検体が吸気の後に保息している間に上述の胸部の表面の部分に関連する第一の点群を生成し、被検体が呼気の後に保息している間にこの胸部の部分に関連する第二の点群を生成し、第一の点群と第二の点群との間のユークリッド距離を算出して、ユークリッド距離が距離閾値を超えたかを決定することをさらに含んでいる。第一から第三の例の1若しくは複数又は各々を選択随意で含む方法の第四の例では、第一の点群又は第二の点群の何れかを生成することは、LiDARシステム及び3Dカメラの一方を介して胸部の表面のデータを取得し、このデータに基づいて3D点群を作成し、この表面の部分に関連する3D点群の部分を分離して、分離された部分の3D座標を測定することをさらに含んでいる。第一から第四の例の1若しくは複数又は各々を選択随意で含む方法の第五の例では、胸部の表面の部分は、医用イメージング・システムの操作者によって、走査プロトコルと、3D点群の視覚化において操作者によって調節される視覚的要素の位置とに基づいて画定される。第一から第五の例の1若しくは複数又は各々を選択随意で含む方法の第六の例では、LiDARシステム及び3Dカメラの一方は医用イメージング・システムに含まれており、データは、被検体が医用イメージング・システムのテーブルに載置されている間に取得される。第一から第六の例の1若しくは複数又は各々を選択随意で含む方法の第七の例では、LiDARシステム及び3Dカメラの一方は指導付き呼吸訓練室に含まれており、データは、被検体が指導付き呼吸訓練室において走査のために準備している間に取得される。第一から第七の例の1若しくは複数又は各々を選択随意で含む方法の第八の例では、選択される呼吸パタンに従って指導付き呼吸を履行するように指示を表示することは、被検体が従うように3D仮想表現に基づいて生成される呼吸ガイド・モデルを表示することをさらに含んでおり、呼吸ガイド・モデルは、被検体が呼吸している間に3D仮想表現に重畳表示される3D仮想表現の個々人に合わせた改変された形状の目標運動を示す。第一から第八の例の1若しくは複数又は各々を選択随意で含む方法の第九の例では、呼吸ガイド・モデルを表示することは、1回の吸気及び1回の呼気を含む第一の呼吸サイクル中には、第一の呼吸サイクルにわたり複数の時間増分の各々の時間増分毎に胸部の表面の部分の3D仮想表現を記憶して、各々の時間増分毎に目標3D仮想表現を生成するように、各々の記憶された3D仮想表現の各々の3D点に変換関数を適用することと、各々の後続の呼吸サイクル中には、当該後続の呼吸サイクルにわたる各々の時間増分毎に各々の目標3D仮想表現を表示することとをさらに含んでいる。第一から第九の例の1若しくは複数又は各々を選択随意で含む方法の第十の例では、呼吸ガイド・モデルを表示することは、各々の呼吸サイクルにわたり複数の時間増分の各々の時間増分毎に目標3D仮想表現を表示することをさらに含んでおり、呼吸サイクルは1回の吸気及び1回の呼気を含んでおり、目標3D仮想表現は、第一の点群の各々の点と第二の点群の対応する点との間の距離、及び呼吸サイクルの経過時間に基づいている。第一から第十の例の1若しくは複数又は各々を選択随意で含む方法の第十一の例では、医用イメージング・システムのモダリティが、計算機式断層写真法(CT)、磁気共鳴撮像(MR)、陽電子放出断層写真法(PET)、及び核医学(NM)撮像を含んでいる。第一から第十一の例の1若しくは複数又は各々を選択随意で含む方法の第十二の例では、選択される呼吸パタンは、走査プロトコル、被検体の解剖学的部位、及び/又は被検体の特性に基づいて複数の呼吸パタンから操作者によって選択される。第一から第十二の例の1若しくは複数又は各々を選択随意で含む方法の第十三の例では、方法は、医用撮像走査中に指導付き呼吸に対する被検体の履行中の被検体の胸部の安定性に基づいて被検体についての安定性スコアを生成して、医用撮像走査中に取得される走査データに安定性スコアを記憶することをさらに含んでいる。
【0126】
本開示はまた、医用イメージング・システムに対応するものであって、この医用イメージング・システムは、1又は複数のプロセッサを含むX線制御器を含んでおり、プロセッサは医用イメージング・システムの非一過性メモリに記憶された実行可能な命令を有し、これらの命令は実行されると1又は複数のプロセッサに対し、医用イメージング・システムの被検体の胸部の表面の部分の三次元(3D)仮想表現を生成し、この部分は医用イメージング・システムの操作者によって寸法調節可能であり、被検体が指導付き呼吸を履行している間に該被検体に対して医用イメージング・システムの表示装置に3D仮想表現の変化を実時間で表示し、3D仮想表現を案内として用いて、選択される呼吸パタンに従って指導付き呼吸を履行するように被検体に対して表示装置に指示を表示して、被検体の呼吸パタンの選択される呼吸パタンからのずれを検出することに応答して、被検体に対してこのずれを示すことを行なわせる。システムの第一の例では、被検体の呼吸パタンの選択される呼吸パタンからのずれを検出することは、被検体が吸気の後に保息している間には、LiDARシステム及び3Dカメラの一方を介して取得される胸部の表面のデータから第一の3D点群を作成し、この表面の部分に関連する第一の3D点群の第一の部分を分離して、胸部の表面の部分に関連する第一の点群を生成するために、分離された第一の部分の3D座標を測定することと、被検体が呼気の後に保息している間には、LiDARシステム及び3Dカメラの一方を介して取得される胸部の表面のデータから第二の3D点群を作成し、この表面の部分に関連する第二の3D点群の第二の部分を分離して、胸部の部分に関連する第二の点群を生成するために、分離された第二の部分の3D座標を測定し、第一の点群と第二の点群との間のユークリッド距離を算出して、ユークリッド距離が距離閾値を超えたかを決定することとをさらに含んでいる。第一の例を選択随意で含むシステムの第二の例では、LiDARシステム及び3Dカメラの一方は指導付き呼吸訓練室に含まれており、胸部の表面のデータは被検体が指導付き呼吸訓練室において走査のために準備している間に取得される。第一及び第二の例の一方又は両方を選択随意で含むシステムの第三の例では、さらなる命令が医用イメージング・システムの非一過性メモリに記憶され、これらの命令は実行されると1又は複数のプロセッサに対し、指導付き呼吸中に被検体が従うように3D仮想表現に基づいて生成される呼吸ガイド・モデルを表示することを行なわせ、呼吸ガイド・モデルは、被検体が呼吸している間に3D仮想表現に重畳表示される3D仮想表現の個々人に合わせた改変された形状の目標運動を示し、目標運動は、指導付き呼吸の各々の呼吸サイクルにわたり複数の時間増分の各々の時間増分毎に目標3D仮想表現を表示することを含んでおり、呼吸サイクルは1回の吸気及び1回の呼気を含んでおり、目標3D仮想表現は第一の点群の各々の点と第二の点群の対応する点との間の距離、及び呼吸サイクルの経過時間に基づいている。第一から第三の例の1若しくは複数又は各々を選択随意で含むシステムの第四の例では、さらなる命令が医用イメージング・システムの非一過性メモリに記憶され、これらの命令は実行されると1又は複数のプロセッサに対し、医用撮像走査中の指導付き呼吸の履行中の被検体の胸部の安定性に基づいて被検体についての安定性スコアを生成して、医用撮像走査中に取得される走査データに安定性スコアを記憶することを行なわせる。
【0127】
本開示はまた、方法に対応するものであり、この方法は、第一の時点においては、医用イメージング・システムを介した被検体の医用撮像走査中に、被検体が指導付き呼吸を履行している間に走査データを取得し、被検体による指導付き呼吸の履行中の被検体の胸部の安定性に基づいて医用撮像走査についての安定性スコアを生成して、医用撮像走査に取得される走査データに安定性スコアを記憶することと、第二のより後の時点においては、医用イメージング・システムの安定性スコアのためのフィルタ設定に基づいて医用イメージング・システムの記憶部から走査データを検索することとを含んでいる。
【0128】
本開示の様々な実施形態の要素について述べるに当たり、単数不定冠詞、定冠詞、「該」及び「前記」等の用語は、当該要素の1又は複数が存在することを意味するものとする。「第一」及び「第二」等の用語は、如何なる序列、量、又は重要性を表わすものでもなく、一つの要素を他の要素から区別するために用いられている。また「備えている(comprising)」、「含んでいる(including)」及び「有している(having)」の各用語は包括的であるものとし、所載の要素以外に付加的な要素が存在し得ることを意味する。「に接続されている」及び「に結合されている」等の用語が本書で用いられているときには、一方の物体(例えば材料、要素、構造、及び部材等)が他方の物体に接続又は結合されることができ、一方の物体が他方の物体に直接接続又は結合されているか、或いは一方の物体と他方の物体との間に1又は複数の介在物体が存在しているかを問わない。加えて、本開示の「一つの実施形態」又は「一実施形態」に対する参照は、所載の特徴を同様に組み入れている追加の実施形態の存在を排除すると解釈されるものではないことを理解されたい。
【0129】
以上に示した任意の改変に加えて、本記載の主旨及び範囲から逸脱することなく他の多くの変形及び代替的な構成が当業者によって考案されることができ、また特許請求の範囲がかかる改変及び構成を網羅するものとする。このように、最も実用的で好ましい観点と現状でみなされるものに関連して特定的且つ詳細に情報を上で記載したが、当業者には、限定しないが形態、機能、動作の態様、及び用法を含めた多くの改変が、本書に記載された原理及び概念から逸脱することなく行なわれ得ることが明らかとなろう。また、本書で用いられる場合に、実例及び実施形態は全ての観点で説明のみのためのものであって、如何なる態様でも限定するものと解釈されるべきではない。
【符号の説明】
【0130】
100 計算機式断層写真法(CT)イメージング・システム
102 ガントリ
104 X線源
105 二次撮像装置
106 X線放射ビーム
108 検出器アレイ
112 被検体
114 テーブル
120 内面
121 縁端
122 前面
130 患者用表示装置
132 可動腕
134、136、138 可動腕の回転方向
140 第一の位置
141 第二の位置
150 CTイメージング・システム100の代替構成
160 指導付き呼吸システムの第二の型
161 指導付き呼吸訓練室
162 表示装置
163 胸部
164 二次撮像装置
166 第一の可動腕
168 第二の可動腕
170 レール
173 寝台又はテーブル
174 可動腕166、168の移動方向
180 頭部装着型表示器
200 CTイメージング・システム
202 検出器素子
204 被検体
206 回転中心
208 指導付き呼吸システム
214 データ取得システム(DAS)
232 表示装置
300 第一のワークフロー
350 第二のワークフロー
400 対話型視覚化を生成して表示する方法例
500 指導付き呼吸について被検体を訓練する方法例
550 指導付き呼吸中に被検体胸部の動きを測定する手順
600 被検体の胸部の表面に対応する点群を登録する方法
700 被検体に対して医用撮像走査を行なう方法例
800 セグメント化後の3D点群
801 参照座標軸
802 関心表面(SOI)
804 第一の指標線
806 第二の指標線
810 第一の方向
811 第二の方向
814 第一の境界平面
816 第二の境界平面
850 分離された点群
900 呼吸視覚化の例
902 表示装置
903 画面
904 胸部の部分の仮想的形態表現
906 胸部の視覚的表現
908 時系列線
909 標識
910 呼吸指示
912、914、916、918 時系列線の区画
920 第一の端部
921 第二の端部
1000 呼吸グラフ
1002 第一の呼吸パタンのプロット
1003 第一の吸気
1004 第二の呼吸パタンのプロット
1005 呼気
1007 第二の吸気
1010 第一の吸気
1011 最大膨張の点
1012 呼気
1013 最小収縮の点
1020、1022 最大膨張の点と最小収縮の点との間の距離
1030 上向きピークの方向
1032 下向きピークの方向
1040 最大膨張の点
1042 最小収縮の点
【外国語明細書】