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特開2024-174816マルチセル型電解槽の測定温度を決定する方法、装置、コンピュータプログラム、及びシステム
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  • 特開-マルチセル型電解槽の測定温度を決定する方法、装置、コンピュータプログラム、及びシステム 図1a
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174816
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】マルチセル型電解槽の測定温度を決定する方法、装置、コンピュータプログラム、及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G01K 11/3206 20210101AFI20241210BHJP
   G01D 5/353 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
G01K11/3206
G01D5/353 B
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024081062
(22)【出願日】2024-05-17
(31)【優先権主張番号】23177279
(32)【優先日】2023-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(72)【発明者】
【氏名】マルテイン クラマー
(72)【発明者】
【氏名】ポール クルーニン
【テーマコード(参考)】
2F056
2F103
【Fターム(参考)】
2F056VF02
2F103BA41
2F103CA07
2F103EC09
(57)【要約】
【課題】電解槽セルの温度を測定するための改良された方法、装置、及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】本発明の例は、マルチセル型電解槽の測定温度を決定する方法、装置、及びコンピュータプログラム、及びこうした装置と光ファイバ温度センサとを具えたシステムに関するものである。この方法は、光ファイバ温度センサのセンサ情報を取得するステップ(120)であって、センサ情報は、光ファイバ温度センサが使用する光ファイバケーブルの複数の区間において測定した温度値を含むステップと、マルチセル型電解槽のセル毎に、複数の区間において測定した温度値に基づいて、少なくとも1つの温度を計算するステップ(150)とを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチセル型電解槽の測定温度を決定する方法であって、
光ファイバ温度センサのセンサ情報を取得するステップ(120)であって、前記センサ情報は、前記光ファイバ温度センサが使用する光ファイバケーブルの複数の区間において測定した温度値を含むステップと、
前記マルチセル型電解槽のセル毎に、前記複数の区間において測定した前記温度値に基づいて、少なくとも1つの温度を計算するステップ(150)と
を含む方法。
【請求項2】
前記複数の区間を、前記マルチセル型電解槽の前記複数の区間に対応付けるステップ(130)と、
前記マルチセル型電解槽の前記セル毎に、前記マルチセル型電解槽の前記セルへの、前記複数の区間の対応付けに基づいて、1つ以上の前記温度値を選択するステップ(140)と、
前記セルに対して選択した前記1つ以上の温度値に基づいて、当該セルについて少なくとも1つの温度を計算するステップ(150)と
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記光ファイバ温度センサによって、前記光ファイバケーブルを用いて、前記センサ情報を生成するステップ(110)を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記光ファイバケーブルが、前記マルチセル型電解槽の前記セルの外殻または外面に取り付けられている、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記光ファイバケーブルが、前記セル内、前記セルの外壁内、前記マルチセル型電解槽の加熱パイプ内または冷却パイプ内に統合されている、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記光ファイバケーブルが、前記マルチセル型電解槽の複数のセルをカバーする、請求項3~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記光ファイバケーブルが、前記セルの外周で連続して、それぞれの前記セルを取り巻くパターンに配置されている、請求項3~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記光ファイバケーブルが蛇行パターンに配置され、これにより、前記光ファイバケーブルが前記マルチセル型電解槽の一連の前記セルに沿って反復して延在し、後戻りして、前記一連のセルに沿って逆向きに延在し、再度後戻りして、再度前記一連のセルに沿って延在する、請求項3~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
マルチセル型電解槽の測定温度を決定する装置(10)であって、
光ファイバ温度センサのセンサ情報を取得するためのインタフェース回路と、
請求項1または2に記載の方法を実行する処理回路と
を具えている装置。
【請求項10】
マルチセル型電解槽用のシステムであって、
請求項9に記載の装置と、
光ファイバケーブル(25)を有する光ファイバ温度センサ(20)とを具えたシステムにおいて、
前記光ファイバ温度センサは、前記光ファイバケーブルを用いて前記センサ情報を生成し、該センサ情報を前記装置に提供するように構成されているシステム。
【請求項11】
前記光ファイバケーブルが、前記マルチセル型電解槽のセルの外殻または外面に取り付けられ、あるいは、前記光ファイバケーブルが、前記セル内、前記セルの壁面内、前記マルチセル型電解槽の加熱パイプ内または冷却パイプ内に統合されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記光ファイバケーブルが、前記マルチセル型電解槽の複数のセルをカバーする、請求項10または11に記載のシステム。
【請求項13】
前記光ファイバケーブルが、前記セルの外周で連続して、それぞれの前記セルを取り巻く円形パターンに配置されている、請求項10~12のいずれかに記載のシステム。
【請求項14】
前記光ファイバケーブルが蛇行パターンに配置され、これにより、前記光ファイバケーブルが前記マルチセル型電解槽の一連の前記セルに沿って反復して延在し、後戻りして、前記一連のセルに沿って逆向きに延在し、再度後戻りして、再度前記一連のセルに沿って延在する、請求項10~12のいずれかに記載のシステム。
【請求項15】
前記光ファイバケーブルが、螺旋サブパターンまたはジグザグ・サブパターンのようなサブパターンを含むパターンに配置され、該サブパターンは前記パターン内で複数回反復され、前記サブパターンの各々は、前記マルチセル型電解槽のセルのうちの1つに配置され、前記セルの各々は、前記サブパターンの複数回の反復によってカバーされる、請求項10~14のいずれかに記載のシステム。
【請求項16】
前記システムが、マルチセル型電解槽(100)を更に具え、前記マルチセル型電解槽が水素電解槽または塩素アルカリ電解槽である、請求項10~15のいずれかに記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の例は、マルチセル型電解槽の測定温度を決定する方法、装置、及びコンピュータプログラムに関するものであり、そしてこうした装置及び光ファイバ温度センサを具えたシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電解槽は、電気を用いて、さもなければ非自然発生の化学反応を促進する、例えば水のような化合物を、電気分解により、その構成元素に分割する装置である。例えば、水素電解槽及び塩素アルカリ電解槽は、それぞれ水素及び塩素/ナトリウムの生産にとって重要なツールである。大規模な用途向けには、電解槽は多数の個別の電解槽セルを用いることが多く、これらのセルは水平スタック(積層)の形に配列されることが多い。
【0003】
個別の電解槽セル内の温度は重要な計量である、というのは、温度は電解槽の全体効率にとって重要であると考えられるからである。それに加えて、温度は個別のセルの問題を示すことができ、これらの問題は効率の低下に関係し得るし、あるいは、これらの問題はセルの劣化によって生じ得る。更に、水素電解槽セルの場合には、漏洩により、外部的な無炎燃焼が発生することがあり、こうした無炎燃焼は検出することが困難である。
【0004】
従来の手段によって温度を測定することは、多数の限界を有する。例えば、セルの内部または外部を測定することは、腐食性の環境及び強い電磁界により非常に困難である。更に、炎は電解槽のあらゆる所に発生し得るし、このためセル毎に複数の温度センサを必要とし得る。多数の温度センサは、更にデータを処理するための処理ハードウェア(例えば、PLC(Programmable Logic Controller:プログラマブル・ロジック・コントローラ)及びコンピュータ)も必要とし、このことを費用のかかる方法にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電解槽セルの温度を測定するための改良された概念に対する要望が存在し得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の種々の例は、マルチセル型電解槽を効率的に監視するために必要な多数の測定を、光ファイバ温度センサを用いて実現することができるという発見に基づく。光ファイバ温度測定では、長い光ファイバケーブルに沿った多数の点で温度を別個に測定することができ、一部の用途では、この光ファイバケーブルは複数キロメートルに延びることができる。例えば、こうした光ファイバ温度センサは、ラマン(Raman)散乱、ブリルアン(Brillouin)散乱、温度依存性の干渉特性、または温度依存性の分布光反射のような効果を用いて、温度値、即ち光ファイバケーブルの種々の区間における温度を示す測定値を決定する。次に、これらの測定値を用いて、マルチセル型電解槽のセル毎に少なくとも1つの温度値を決定する。実際には、単一のセンサ(光ファイバケーブル及び対応するセンサ)を、温度値の後処理と対にすれば、マルチセル型電解槽のセルのセル固有の温度を決定するのに十分である。光ファイバケーブルを測定プローブとして使用することにより、個別のセル毎に少なくとも1つの温度を決定することによって、上述した限界を克服することができる。提案する概念は、多様な種類の電解槽に適用され、これらの電解槽は、単極(ユニポーラ)セルを有する電解槽及び双極(バイポーラ)セルを有する電解槽、並びにセルが直列構成に配列された電解槽及びセルが並列に、例えば並列スタックの形に配列された電解槽を含む。
【0007】
本発明の一部の態様は、マルチセル型電解槽の測定温度を決定する方法に関するものである。この方法は、光ファイバ温度センサのセンサ情報を取得するステップを含む。センサ情報は、光ファイバ温度センサが使用する光ファイバケーブルの複数の区間で測定した温度値を含む。この方法は、複数の区間で測定した温度値に基づいて、マルチセル型電解槽のセル毎に少なくとも1つの温度を計算するステップを含む。このようにして、個別のセルの温度を、単一の測定プローブの使用による低労力及び低コストで決定することができる。更に、セル毎に複数の温度を決定することができるので、個別のセルのより包括的な監視がサポートされる。
【0008】
一部の好適例では、マルチセル型電解槽の測定温度を決定するための光ファイバケーブルを、数十メートル、数百メートル、更には数千メートルにわたって延長することができる。例えば、ケーブルの長さは100m~10,000mの範囲にすることができる。
【0009】
光ファイバ温度測定を用いて、光ファイバケーブル内の固定の区間で温度値を決定することができる。これらの区間は、10cmより大きく、50cmより大きく、1mより大きく、更には10mより大きくすることができる。例えば、これらの区間は20cmから5mまでにすることができる。次に、マルチセル型電解槽の個別のセルに測定値を対応付ける(マッピングする)ことができる。従って、この方法は、複数の区間をマルチセル型電解槽のセルに対応付けるステップを含むことができる。この方法は、マルチセル型電解槽のセルへの、複数の区間の対応付けに基づいて、マルチセル型電解槽のセル毎に1つ以上の温度値を選択するステップを含むことができる。この方法は、セルに対して選択した1つ以上の温度値に基づいて、当該セルについて少なくとも1つの温度を計算するステップを含むことができる。このようにして、温度値に含まれる生の測定値をまず個別のセルに対応付けることができ、次に、これらの生の測定値を用いて、セル毎にそれぞれの少なくとも1つの温度を計算することができる。
【0010】
前の例では、単にセンサ情報の処理を説明した。一部の例では、光ファイバ温度センサによって実行される実際の測定も、方法の一部とすることができる。例えば、この方法は、光ファイバ温度センサによって、光ファイバケーブルを用いたセンサ情報を生成するステップを含むことができる。
【0011】
マルチセル型電解槽のセルに光ファイバケーブルを配置するための種々の選択肢が存在する。例えば、マルチセル型電解槽のセルの外殻または外面に光ファイバケーブルを取り付けることができる。このことは、提案する方法を第三者の電解槽で用いることを可能にする、というのは電解槽を改変する必要がないからである。更に、光ファイバケーブルはセル内部の腐食条件の影響を受けない。
【0012】
その代わりに、あるいはそれに加えて、光ファイバケーブルは、マルチセル型電解槽のセル内に、セルの壁面内に、加熱パイプ内または冷却パイプ内に統合することができる。少なくともセル内またはセルの壁面内への統合は、マルチセル型電解槽の改変を必要とし得るが、より精密な測定、特に記録変更におけるより小さい遅延という利益の可能性がある。加熱または冷却パイプを光ファイバケーブルの統合用に用いることは、測定の精度と、マルチセル型電解槽に光ファイバケーブルを装備するために必要な労力との間の妥協を生じさせる。
【0013】
一般に、光ファイバケーブルは、マルチセル型電解槽の複数のセルをカバーする。このようにして、必要な光ファイバケーブルの数を小さく保つことができ、このことはシステムのコストを減少させる。
【0014】
セルの異なる点で測定値を取得することは、セルのより包括的な監視を可能にすることができ、例えば、無炎燃焼の検出の目的で、光ファイバケーブルを、セル毎に複数の別個の測定値を取得することを可能にする様式で配置することができる。1つのこうしたパターンは円形パターンである。例えば、光ファイバケーブルは、複数のセルの外周で連続してそれぞれのセルを取り巻くパターンに配置することができる。このことは、光ファイバケーブルの区間とマルチセル型電解槽のセルとの対応付けを促進する、というのは、後続する区間における測定値は同じセルに属することが多いからである。
【0015】
その代わりに、光ファイバケーブルは蛇行パターンに配置することができ、これにより、光ファイバケーブルはマルチセル型電解槽の一連のセルに沿って反復して延在し、後戻りして、一連のセルに沿って逆向きに延在し、再度後戻りして、再度一連のセルに沿って延在する。このことも、区間とセルとのより複雑な対応付けという代償を払って、セル毎に複数の測定値を可能にする。
【0016】
一部の好適例では、光ファイバ温度センサがラマン散乱系センサである。ラマン散乱光ファイバ温度センサは、ラマン散乱の原理を利用して光ファイバケーブルに沿った温度を測定する種類のセンシングデバイスである。この技術は、長距離にわたって、あるいは有害な環境で温度を監視するために特に有用である。一般にレーザーからの光は、光ファイバケーブルを通して送ることができる。光がファイバを通って進む間に、光はファイバ材料の分子構造と相互作用する。この相互作用は光の一部を散乱させる。散乱光は、元の光に対して周波数がシフトした成分を含み;この現象はラマン散乱として知られている。温度センシングに関係する成分はストークス(Stokes)線及びアンチ(反)ストークス線であり、これらは、それぞれより低いエネルギー(または周波数)及びより高いエネルギー(または周波数)にシフトしている。ラマン散乱光、特にアンチストークス成分の強度は、温度と共に変化し得る。
【0017】
アンチストークス散乱対ストークス散乱の比率を分析することによって、ファイバに沿った温度を決定することができる。この比率は、温度と共に予測可能な様式で変化して、正確な温度測定を可能にする。この種のセンサの1つの利点は、ファイバの全長に沿った温度測定値を提供する能力とすることができる。このことは、大面積にわたる、あるいはパイプラインのような構造に沿った連続監視及び電力ケーブルが必要な用途にとって理想的になる。
【0018】
本発明の一部の態様は、マルチセル型電解槽の測定温度を決定する装置に関するものである。この装置は、光ファイバ温度センサのセンサ情報を取得するためのインタフェース回路、及びセンサ情報の処理に関する方法の態様を実行するための処理回路を具えている。このようにして、単一の測定プローブの使用による低労力及び低コストで、個別のセルの温度を決定することができる。更に、セル毎に複数の温度を決定することができ、個別のセルのより包括的な監視がサポートされる。
【0019】
本発明の一部の態様はコンピュータプログラムに関するものであり、このコンピュータプログラムは、当該コンピュータプログラムがコンピュータ、プロセッサ、またはプログラマブルなハードウェア構成要素上で実行されると、センサ情報の処理に関する方法の態様を実行するためのプログラムコードを有する。
【0020】
本発明の一部の態様は、マルチセル型電解槽用のシステムに関するものであり、このシステムは、上記の装置、及び光ファイバケーブルを有する光ファイバ温度センサを具えている。光ファイバ温度センサは、光ファイバケーブルを用いてセンサ情報を生成し、センサ情報を上記装置に提供するように構成されている。例えば、このシステムを用いて上記の方法を実行することができる。
【0021】
以上に概説したように、光ファイバケーブルをマルチセル型電解槽のセルの外殻または外面に取り付けることができ、あるいは、光ファイバケーブルを、マルチセル型電解槽のセル内に、セル壁面内に、加熱パイプ内または冷却パイプ内に統合することができる。前者の選択肢はより低労力であり、第三者の電解槽で用いることができるのに対し、後者の選択肢は、追加的な統合の労力を必要とするが、測定精度の増加及び/または突然の変化を検出するためのより小さい遅延をもたらす。
【0022】
例えば、光ファイバケーブルは、マルチセル型電解槽の複数のセルをカバーすることができる。このようにして、必要な光ファイバケーブルの数を小さく保つことができ、このことはシステムのコストを減少させる。
【0023】
一部の例では、光ファイバケーブルを、複数のセルの外周で連続してそれぞれのセルを取り巻く円形パターンに配置することができる。このことは、光ファイバケーブルの区間とマルチセル型電解槽のセルとの対応付けを促進する、というのは、後続する区間における測定値は同じセルに属することが多いからである。
【0024】
その代わりに、光ファイバケーブルは蛇行パターンに配置することができ、これにより、光ファイバケーブルはマルチセル型電解槽の一連のセルに沿って反復して延在し、後戻りして、一連のセルに沿って逆向きに延在し、再び後戻りして、再度一連のセルに沿って延在する。このことも、区間とセルとのより複雑な対応付けという代償を払って、セル毎に複数の測定値を可能にする。
【0025】
種々の例では、光ファイバケーブルを、パターン内で複数回反復することができる螺旋サブパターンまたはジグザグ・サブパターンのようなサブパターンを含むことができるパターンに配置することができる。サブパターンの各々は、セルのうちの1つに配置することができる。この技術を用いて、セル毎に複数の測定を実行して、例えばセル毎に二次元温度マップを生成することができる。
【0026】
一部の例では、上記システムがマルチセル型電解槽を更に具えることができる。例えば、マルチセル型電解槽は、水素電解槽または塩素アルカリ電解槽とすることができる。水素電解槽及び塩素アルカリ電解槽は、最も一般的に用いられる電解槽のうちである。
【0027】
以下では、装置及び/または方法のいくつかの例を、ほんの一例として、添付した図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1aは、マルチセル型電解槽の測定温度を決定する方法の一例のフローチャートである。図1bは、マルチセル型電解槽の測定温度を決定する装置の、及びこうした装置を具えたシステムの概略図である。図1c及び1dは、光ファイバケーブルを配置するに当たり用いるサブパターンを示す図である。
図2】個別のセルの電圧の、及びスタック電流の測定の概略図である。
図3】個別の電解槽セルの温度の測定の一例の概略図である。
図4図4a及び4bは、マルチセル型電解槽のセルの温度の測定及び処理の流れの例のフローチャートである。
図5】光ファイバケーブルが取り巻く電解槽セルの一例の概略図である。
図6】光ファイバケーブルを織り込んだ電解槽セルの一例の概略図である。
図7】データ処理システムの一例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
詳細な説明
ここで、いくつかの例を、添付した図面を参照しながら、より詳細に説明する。しかし、他の可能な例は、詳細に説明するこれらの実施形態の特徴に限定されない。他の例は、特徴並びに等価物の修正、及び特徴の代案を含むことができる。更に、特定例を説明するために本明細書中に用いる用語は、更なる可能な例を制限すべきものではない。
【0030】
図面の説明全体を通して、同一または同様な参照番号は、同一または同様な要素及び/または特徴を参照し、これらの要素及び/または特徴は、同一にすることができ、あるいは同一または同様の機能を提供しつつ修正した形態で実現することができる。図面中の線の太さ、層の厚さ、及び/または面積の大きさは、明確にするために誇張していることもある。
【0031】
「または」を用いて2つの要素AとBを組み合わせる際には、このことは、個別の場合において明示的に他のように規定しない限り、全ての可能な組合せ、即ちAのみ、Bのみ、並びにAとBを開示するものとして理解すべきである。同じ組合せについての他の言い回し、「AとBの少なくとも一方」または「A及び/またはB」を用いることがある。このことは3つ以上の要素の組合せにも同等に当てはまる。
【0032】
「ある」、「1つの」及び「上記」のような単数形式を用いる場合、及び単一要素のみの使用を明示的にせよ暗示的にせよ強制として規定していない場合、追加的な例は、複数の要素を用いて同じ機能を実現することもできる。以下で、ある機能を複数の要素を用いて実現するように記述する場合、追加的な例は、単一の要素または単一の処理エンティティ(実体)を用いて同じ機能を実現することができる。「含む」、「含んでいる」、「具える」及び/または「具えている」とは、使用時に、指定した特徴、個数、ステップ、動作、プロセス、要素、構成要素、及び/またはそのグループを記述し、但し1つ以上の他の特徴、個数、ステップ、動作、プロセス、要素、構成要素、及び/またはそのグループの存在または追加を排除しないことが、更に理解される。
【0033】
本発明の種々の例は、マルチセル型電解槽の測定温度を決定する方法、装置、及びコンピュータプログラムに関するものであり、そしてこうした装置及び光ファイバ温度センサを具えたシステムに関するものであり、このシステムは、任意で、追加的な処理回路及び/またはマルチセル型電解槽自体を具えている。
【0034】
図1aに、マルチセル型電解槽の測定温度を決定する方法の一例のフローチャートを示す。この方法は、(図1b中に示す)光ファイバ温度センサ20のセンサ情報を取得するステップ120を含む。センサ情報は、光ファイバ温度センサが用いる(図1b中に示す)光ファイバケーブル25の複数の区間で測定した温度値を含む。この方法は、複数の区間で測定した温度値に基づいて、マルチセル電解槽のセル毎に少なくとも1つの温度を計算するステップ150を含む。
【0035】
以下では、本明細書中に含まれる、あるいは本明細書中で参照する種々の構成要素についての短い紹介を与える。図1bに、マルチセル型電解槽の測定温度を決定する装置10の概略図を示す。装置10は、光ファイバ温度センサ20のセンサ情報を取得するためのインタフェース回路12、及び図1aの方法の少なくとも一部の動作を実行するための処理回路14を具えている。任意で、装置10は、以前の測定値または対応付けを一時的または恒久的に記憶するための記憶回路16を更に具えている。処理回路14は、インタフェース回路12、及び任意の記憶回路16に結合されている。処理回路14は、(例えば、光ファイバ温度センサ及び/または処理エンティティ50と情報を交換するための)インタフェース回路12及び/または(情報を記憶するための)任意の記憶回路16と共に、装置10の機能を提供するように構成することができる。例えば、装置10は、機械可読命令を実行する処理回路14によってその機能を提供することができ、これらの機械可読命令は記憶回路16に記憶することができる。
【0036】
装置10は光ファイバ温度センサ20と通信し、従って、任意で光ファイバ温度センサ20と一緒にシステムを形成する。装置10の出力(即ち、マルチセル型電解槽のセル毎に計算した少なくとも1つの温度)は、(セル電圧及びスタック電流、即ち、セルのスタックに供給される電流に加えて)他の処理エンティティ50によって処理することができる。例えば、処理エンティティ50は、装置10と同様に実現することができ、インタフェース、処理回路、及び任意の記憶回路を具えている。光ファイバ温度センサ20は、光ファイバケーブル25を用いて、装置10に提供されるセンサ情報を生成する。従って、上記方法は、光ファイバ温度センサ20によって、光ファイバケーブルを用いてセンサ情報を生成するステップ110を含むことができ、次に、このセンサ情報を用いて、個別のセルのセル温度を決定することができる。従って、光ファイバ温度センサ20は、光ファイバケーブルを用いてセンサ情報を生成し、このセンサ情報を装置10に提供するように構成することができる。図1bは、更に、複数のセルを有するマルチセル型電解槽100を示し、光ファイバケーブル25がこれらのセルに配置されている。マルチセル型電解槽のより詳細は、図2に関連して与える。例えば、処理回路50及び/または電解槽100は、システムの一部とすることもできる。
【0037】
図1bでは、4つのエンティティが区別され-これらは、マルチセル型電解槽100、光ファイバケーブル25を有する光ファイバ温度センサ20、光ファイバ温度センサによって提供されるセンサ情報を処理するために用いる装置10、及びセル温度(及び任意でセル電圧及びスタック電流)を更に処理するために用いる処理エンティティ50である。しかし、一部の場合には、装置10と処理エンティティ50とを、同じ装置に、あるいは同じ装置の一部にすることができ、即ち、処理エンティティ50が光ファイバ温度センサのセンサ情報をセル温度に変換することができる。更に、一部の場合には、装置10と光ファイバ温度センサ20とを、同じ装置に、あるいは同じ装置の一部にすることができ、即ち、温度値を処理して個別のセルの温度を決定することを、光ファイバ温度センサの一部として実行することができ、あるいは、装置のインタフェース回路12が、光ファイバケーブル25に接続するための回路を具えて、温度測定を実行することができる。
【0038】
提案する概念は、光ファイバ温度測定に基づく。一般に、こうした光ファイバ温度測定は、温度が光ファイバケーブル25に与える影響に基づく。例えば、温度に依存して、光または音の反射または散乱は、光ファイバケーブル上の異なる区間で異なり得る。こうした光ファイバ温度センサを実現するための種々の技術が存在する。例えば、光ファイバ温度センサは、ファイバブラッグ(fiber Bragg)グレーティング(格子)センサ、即ち、ブラッグ波長における温度依存性の変化に基づくセンサとすることができる。その代わりに、光ファイバ温度センサはラマン散乱系センサとすることができ、ラマン散乱系センサは光学フォノン上の非弾性散乱の温度依存性に基づく。その代わりに、光ファイバ温度センサは、干渉型光ファイバ温度センサ、即ち、光共振器の長さの温度依存性の変化に基づく温度センサとすることができる。その代わりに、光ファイバ温度センサは、(音響フォノンの温度依存性散乱に基づく)ブリルアン散乱系分布型温度センサとすることができる。しかし、提案する概念は光ファイバ温度センサの特定の実現に限定されない。
【0039】
光ファイバ温度センサは、ユーザ定義の、またはシステムが事前に定めた区間における温度の測定を可能にすることを、共通して有する。例えば、提案する概念を実現するために用いる光ファイバ温度センサの一例では、光ファイバ温度センサが1メートルの増分の測定値を提供し、即ち、複数キロメートルの長さの光ファイバケーブルにおける1メートル毎に別個の温度値を提供する。一部の例では、温度値の測定値を1メートル毎の特定点で取得するのに対し、他の例では、光ファイバケーブルの1メートルの伸長または特定の伸長全体にわたる平均温度値を測定する。次に、電解槽のセルに光ファイバケーブルを配置する方法に応じて、これらの温度値を用いて個別のセルの温度を計算することができる。従って、このプロセスは、温度値を有するセンサ情報を取得するステップ120(及び、任意で、センサ情報を生成するステップ110)から始まる。以上で概説したように、センサ情報は、光ファイバ温度センサが用いる光ファイバケーブルの複数の区間で測定した温度値を含む。換言すれば、センサ情報は、複数の温度値、即ち区間毎に1つの温度値を含む。例えば、複数の区間は、等距離の区間(例えば、前述した1メートルの区間)とすることができ、例えば、光ファイバ温度センサ20によって定められる。その代わりに、複数の区間は、マルチセル型電解槽のセルの幾何学的形状、及び光ファイバケーブル25をセル(またはセル内)に配置するために用いるパターンに合わせて調整される特注(カスタム)の区間とすることができる。
【0040】
今度は、これらの温度値を用いて個別のセルについて温度を計算することができる。この目的で、電解槽のどのセルにおけるどの温度値を取得するかについての情報を用いることができる。以下では、この情報を、光ファイバケーブルの区間とマルチセル型電解槽のセルとの対応付けとして表す。例えば、図1aに示すように、上記方法は、複数の区間を、マルチセル型電解槽のセルに対応付けるステップ130を含むことができる。例えば、区間(または、1つの区間が2つのセル間であるか、セルの所に配置されていない場合には、区間の部分集合)の各々を、セルのうちの1つに対応付けることができる。従って、各セルは、(ステップ130で)当該セルに対応付けられた少なくとも1つの(好適には複数の)区間を有することができ、次に、この対応付けを用いて、当該セルの温度を計算することができる。この対応付けを用いて、どの温度値を用いて、あるセルの少なくとも1つの温度を計算するかについての選択を実行することができる。換言すれば、上記方法は、マルチセル型電解槽のセルへの、複数の区間の対応付けに基づいて、マルチセル型電解槽のセル毎に1つ以上の温度値を選択するステップ140を含むことができる。選択した温度値を用いて、セルの少なくとも1つの温度を計算することができる。換言すれば、上記方法は、セルに対して選択した1つ以上の温度値に基づいて、当該セルについて少なくとも1つの温度を計算するステップ150を含むことができる。例えば、一部の場合には、複数の区間に基づいて、従って、当該セルに対応付けられた複数の温度値に基づいて、例えば、これらの温度値の平均値または中央値(メジアン)を用いて、セル毎に単一の温度を計算することができる。その代わりに、複数の区間に基づいて、従って、当該セルに対応付けられた複数の温度値に基づいて、セル毎に複数の温度を計算することができる。セルの異なる区分における無炎燃焼を検出するためには、セル毎に複数の温度を計算することが好ましい。
【0041】
区間とセルとの対応付けは、光ファイバケーブルをそれぞれのセルまたはセル内に配置する方法に依存する。一般に、2つの一般的な配置の選択肢を区別することができ-これらは、セルの外側(例えば、セルの外殻または外面に取り付ける、あるいはセルと絶縁材との間に取り付ける)か、セル内に統合するかである。例えば、光ファイバケーブルを、マルチセル型電解槽の外殻または外面に取り付けることができる。この方法は、既存の電解槽に後で設置すること、または第三者の電解槽と共に用いることに、より適している。その代わりに、光ファイバケーブルを、マルチセル型電解槽のセル内、セルの壁面内、加熱パイプ内、または冷却パイプ内に統合することができる。このことはより労力を必要とする。しかし、より近くに近接することにより、測定値を、セルの外部からの測定値よりも正確にすることができる。いずれの場合にも、光ファイバケーブルは、マルチセル型電解槽の複数のセルをカバーすることができる。例えば、マルチセル型電解槽の全部のセルで温度を測定するために、単一の光ファイバケーブルで十分であり得る。その代わりに、複数の光ファイバケーブルを用いることができ、複数の区間は、複数の光ファイバケーブルの全体に延びる。この場合、区間とセルとの対応付けに関しては、複雑性がやや増加することがある。
【0042】
区間とセルとの対応付けは、電解セルの幾何学的形状、及び光ファイバケーブルをセルまたはセル内に配置するために用いるパターンに依存する。図5及び6に、光ファイバケーブルを配置するための2つの選択肢を示す。図5には、電解槽のセルを取り巻く光ファイバケーブルを示す。換言すれば、光ファイバケーブルを、複数のセルの外周で(例えば、セルの壁面と絶縁材との間で)連続してそれぞれのセルを取り巻くパターンに配置することができる。例えば、図1bに示すように、電解槽のセルを、水平スタック(またはその代わりに、垂直スタック)の形に配列することができる。光ファイバケーブルは、当該光ファイバケーブルがスタックの個々のセルを実質的に取り巻くパターンに、例えば、各セルが少なくとも1回取り巻かれる(例えば、包囲される、包み込まれる)ように配置することができる。一部の例では、各セルを、セル毎に複数回、例えば、セル毎に複数の小面積を取り巻いて、セル毎に異なる位置上の平均温度を決定することができ、あるいは当該セルの二次元温度プロファイルを決定することができる。例えば、図1cに示すように、(例えば、図1cに示すように大部分は直線を有する、あるいは、大部分は曲線(図示せず)を有する)螺旋パターンまたはスネール(巻貝)パターンを用いることができる。図1cに示すように、螺旋パターンまたはスネールパターンをセル毎に複数回反復することができ、同一の(または同様な)パターンを他のセルにも用いる。その代わりに、あるいはそれに加えて、図1dに示すように、蛇行パターン/ジグザグパターンをセル毎に複数回反復することができ、同一の(または同様な)パターンを他のセルにも用いる。例えば、電解槽の直径が例えば1メートル未満(例えば、光ファイバ温度センサの測定精度未満)である場合、あるいは、電解槽の外面上の異なる領域の温度を測定する必要がある場合、配線を付加し、ここでは、同じセル上の外壁からより遠い次のスポットへ移動する前に、(図1dに示すように、例えば20cmにわたって上下にジグザグにすることによって、あるいは図1cに示すように、螺旋/スネールパターンを用いることによって)例えば個別の電解槽セルの1つの部分は配線を円形にして2、3回包囲またはカバーすることができる。より一般的な意味では、光ファイバケーブルをあるパターン(即ち、セルを取り巻くパターン、または図6に示す蛇行パターン)に配置し、こうしたパターンは、当該パターン内で複数回反復される螺旋/スネール・サブパターンまたは蛇行/ジグザグ・サブパターンのようなサブパターンを含む。サブパターンの各々は、複数のセルのうちのちょうど1つに配置することができる(即ち、1つのサブパターンが複数のセルをカバーしないことがある)。各セルは、例えば、一連のサブパターンをそれぞれのセルの周囲に沿って反復することによって、サブパターンの複数回の反復によってカバーすることができる。従って、区間とセルとの対応付けは、こうした円形のパターン、または円形とサブパターンの反復との組合せのパターンに基づくことができ、例えば、電解槽のどのセルにどの区間を配置するかの知識に基づくことができる。このことは、三次元コンピュータ支援設計の描画を用いて計算することができ、あるいは、光ファイバケーブル上の外面マーキングを用いて手作業で決定することができる。
【0043】
その代わりに、図6に示すように、織り込みまたは蛇行パターンを用いることができる。換言すれば、光ファイバケーブルを蛇行パターンに配置することができ、これにより、光ファイバケーブルはマルチセル型電解槽の一連のセルに沿って反復して延在し、後戻りして、一連のセルに沿って逆向きに延在し、再度後戻りして、再度一連のセルに沿って延在する。蛇行パターンを用いて、光ファイバケーブルが各セルを複数回通過する。セルのサイズ、及び区間のサイズに依存して、光ファイバケーブルがセルを通過する毎に(または通過する回数の部分集合毎に)温度値をセルに対応付けることができる。円形パターンに関連して示す例と同様に、螺旋/織り込みパターンを、より小さい螺旋/スネールパターンと、あるいはより小さい蛇行/ジグザグパターンと組み合わせて、個別の電解槽セルの1つの部分を複数回カバーすることができる。従って、ここでも、区間とセルとの対応付けは、こうした蛇行または織り込みパターンに基づくことができ、例えば、電解槽のどのセルにどの区間を配置するかの知識に基づくことができる。このことは、三次元コンピュータ支援設計の描画を用いて計算することができ、あるいは、光ファイバケーブル上の外面マーキングを用いて手作業で決定することができる。
【0044】
円形パターンに関連して概説したように、一部の例では、例えば、複数のサブパターンを用いて、セル毎に複数の温度値を取得することができ、これにより、それぞれのセルの二次元温度プロファイルを生成することができる。例えば、少なくとも1つの温度を計算する動作は、温度値に基づいて、かつ複数の区間と、マルチセル型電解槽のセルとの対応付けに基づいて、個別のセルの二次元温度プロファイルを生成することを含むことができる。この場合、複数の区間と複数のセルとの対応付けは、複数の区間と、マルチセル型電解槽の各セル上の複数の点、例えば、電解槽の各セル上の、点の二次元グリッド(格子)における複数の点との対応付けを含むことができる。
【0045】
本発明は主に水素電解槽及び塩素アルカリ電解槽に関するものであるが、提案する概念は特定種類の電解槽に限定されない。例えば、提案する概念は、PEM(Proton Exchange Membrane:プロトン交換膜)電解槽、アルカリ電解槽、固体酸化物形電解系電解槽、またはアニオン交換膜水電解系電解槽のような異なる種類の(水素)電解槽用に用いることができる。提案する概念は、単極セルを有する電解槽及び双極セルを有する電解槽、並びにセルが直列構成に配列された電解槽及びセルが並列に、例えば並列スタックの形に配列された電解槽を含む多様な種類の電解槽に適用される。単極電解槽は、「タンク型」電解槽としても知られ、多孔質セパレータ(例えば、膜)を用いて正電極と負電極とを分離した状態に保つ。これらの電極は互いに並列にリンクされ、単一の電解浴中に配置されてセルを形成する。セルを直列に接続することによって、マルチセル型電解槽を作り上げることができる。双極電解槽は、金属シートまたは双極(バイポール)を用いて、隣接するセルを直列に接続する。例えば、双極の一方の側には負電極の電気触媒をコーティングすることができるのに対し、他方の側には次のセルの正電極の電気触媒をコーティングすることができる。双極セルの場合には、全電圧はセル電圧の組合せであり、単極の、タンク型設計よりも高電圧かつ低電流で動作するモジュールを生じさせる。大型のマルチセル型電解槽を形成するためには、(各々が複数のセルを具えた)複数のモジュールを並列に接続して電流を増加させる。一般に、電解槽は、電気を用いて、さもなければ非自然発生の化学反応を促進する。本発明の関係では、電解槽は、水のような化合物を、電気分解により、水素及び酸素のようなその構成元素に分割する装置である。
【0046】
次に、計算したセル固有の温度を、装置10または他の処理エンティティ50によって処理して、例えば異常の場合に警報を生じさせ、あるいは時間と共に生じるセルの劣化を評価する。例えば、図7に関しては、8つのモデルを導入し、これらのモデルを用いて温度データを処理することができ、そして任意で、個別のセル電圧およびスタック電流を処理することもできる。以下では、こうした処理のいくつかの例を挙げる。例えば、装置10または処理エンティティ50は、各セルの温度を、他のセルの温度と、あるいは1つ以上の基準セルの温度と比較するように構成することができる。その差が(%比率で)指定した差よりも大きい場合、他のセルに比べて高い温度または低い温度を有するセルは、異常と考えることができる。それに加えて、あるいはその代わりに、装置10または処理エンティティ50は、各セルの温度を長時間にわたって監視するように構成することができる。それに加えて、あるいはその代わりに、装置10または処理エンティティ50は、(例えば、セル電圧及びスタック電流を用いて)個別のセルのセル温度を予測し、個別のセルの測定温度を予測温度と比較するように構成することができる。H2(水素)漏洩(及びあり得る無炎燃焼、これは目に見えない)を検出するためには、(例えば、同じセルの以前の温度と比較した、他のセル/基準セルと比較した、あるいは予測温度と比較した)測定されたあらゆる高温スパイク(瞬時の上下動)をH2火炎と考えることができ、警報を生じさせることができる、換言すれば、分析を行って、(水素)漏洩によって生じる火炎を示し得るあらゆる温度スパイクを捕捉することができる。
【0047】
インタフェース回路12は、モジュール内、モジュール間、あるいは異なるエンティティのモジュール間で情報を受信及び/または送信するための1つ以上の入力及び/または出力に相当することができ、この情報は、指定したコード(符号)に応じたデジタル(ビット)値とすることができる。例えば、インタフェース回路12は、情報を受信及び/または送信するように構成されたインタフェース回路を具えることができる。
【0048】
例えば、処理回路14は、1つ以上の処理ユニット、1つ以上の処理装置、プロセッサ、コンピュータ、または相応に適合するソフトウェアにより動作可能なプログラマブル(プログラム可能)なハードウェア構成要素のような処理用のあらゆる手段を用いて実現することができる。換言すれば、処理回路14の説明した機能は、ソフトウェアでも実現することができ、従って、このソフトウェアは1つ以上のプログラマブルなハードウェア構成要素上で実行される。こうしたハードウェア構成要素は、汎用プロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、マイクロコントローラ、等を具えることができる。
【0049】
例えば、記憶装置16は、磁気または光記憶媒体、例えばハードディスクドライブ、フラッシュメモリ、フロッピー(登録商標)ディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM:Random Access Memory)、プログラマブル読出し専用メモリ(PROM:Programmable Read Only Memory)、消去可能プログラマブル読出し専用メモリ(EPROM:Erasable PROM)、電気的消去可能プログラマブル読出し専用メモリ(EEPROM:Electrically Erasable PROM)、またはネットワーク記憶装置のようなコンピュータ可読媒体のグループの少なくとも1つの要素を具えることができる。
【0050】
測定温度を決定するシステム、方法、装置、及びコンピュータシステムのより詳細及び態様を、提案する概念、あるいは以上または以下に説明する1つ以上の例(例えば、図2~7)に関連して説明する。測定温度を決定するシステム及び方法、装置、及びコンピュータシステムは、提案する概念の1つ以上の態様に相当する、あるいは以上及び以下に説明する1つ以上の例に相当する、1つ以上の追加的な任意の特徴を具えることができる。
【0051】
本発明の種々の例は、塩素アルカリまたは水素電解槽の監視のような多様な種類の電解槽監視の領域に関するものであり、特に個別の電解槽セルの温度監視に関するものである。なお、提案する概念は特定種類の電解槽に限定されない。
【0052】
一般に、マルチセル型電解槽を監視する際には、3つの測定値が関心事であり-これらは、スタック電流、個別のセルの電圧、及び個別のセルの温度である。例えば、次のハードウェアを用いて、こうしたプロセス関係のデータ(電流、個別のセルの電圧、及び個別のセルの外面温度)を捕捉することができる。例えば、電流測定は、ローカル制御システムにより実行することができる(一般に、電解槽毎に、制御システムによって電流を測定/制御する)。それに加えて、個別のセルの電圧を正確に測定するセル電圧測定システムを用いることができる。図2に、個別のセルの電圧の測定及び電流の測定の概略図を示す。図2には、電解槽200の簡略化した図を示し、電解槽200は、正のバスバー210、負のバスバー220、及び150個までのセル(または要素)を有し、これらのセルの各々は、正のバスバーと負のバスバーとの間に陰極(カソード)230及び陽極(アノード)235を具えている。図2に示す例では、560VのDC(Direct Current:直流)を整流変圧器によって正のバスバーと負のバスバーとの間の電位差として供給する。電流測定は電流測定エンティティ240によって実行し、電圧測定は電圧測定エンティティ250によって実行する。各セルの陰極230及び陽極235で測定した測定電圧を用いて、個別のセル電圧を計算し、このセル電圧は、セルの陰極で測定した電圧と陽極で測定した電圧との電位差に相当する。
【0053】
最後に、本願の焦点として、光ファイバ温度測定に基づく温度測定装置を使用し、この温度測定装置を図3に示す。図3に電解槽300を示し、電解槽300は、図2に示す電解槽200と同様に実現することができる。光ファイバ温度センサ20を、光ファイバケーブルと一緒に用いて、個別のセルにおける温度を測定する。例えば、光ファイバ温度測定を用いて、電解槽の外面温度を十分な精度で測定することができる。任意で、光ファイバ温度測定を用いて、内部温度測定を実行することができる。しかし、光ファイバケーブルをセルの内部に統合することは、複雑になり得る。光ファイバ系の温度測定装置を用いることの代案として、本願の特許請求の範囲外で、赤外線カメラを用いることができる。
【0054】
図4a及び4bには、個別のセルの温度を測定する方法、及び次に温度を処理して、例えば警報を生じさせる方法についての例を挙げる。図4a及び4bは、マルチセル型電解槽のセルの温度の測定及び処理の流れの例のフローチャートである。流れ中では、(温度値の)データ捕捉(ブロック410)を、光ファイバ(FO:Fiber-Optic)ケーブル(または他の手段)により実行する。次に、データを温度値に変換し(ブロック420)、その後に処理する(ブロック430)。温度値の処理は、図4bに詳細に示す。例えばブロック440に示すように、個別のセル温度を、モデル化したセル温度と比較することができる。それに加えて、あるいはその代わりに、ブロック450に示すように、個別のセル温度を最適なセル温度と比較することができる。それに加えて、あるいはその代わりに、ブロック460に示すように、個別のセル温度を長時間にわたって監視することができる。それに加えて、あるいはその代わりに、ブロック470に示すように、これらの温度を高温スパイクについてチェックすることができ、高温スパイクは火炎を示し得る。最後に、適切なフォローアップ(事後)動作を行うことができる(ブロック480)。
【0055】
光ファイバケーブルは、マルチセル型電解槽のセルの種々の位置に配置することができる。一般に、光ファイバケーブルを取り付ける方法に限界は存在しない。例えば、光ファイバケーブルは、電解槽の外面に、電解槽と絶縁層との間に、あるいは電解槽の施工者が同意すればセル自体内にも取り付けことができる。取り付けの方法は変化することができる。以下では、2つの方法を非限定的な例として示す。図5では、光ファイバケーブルが、全てのセルが1回または複数回、全周をカバーされる方法で電解槽を取り巻く。図5は、光ファイバケーブル25によって取り巻かれる電解槽500の電解槽セルの一例の概略図を示す。その代わりに、図6に示すように、横方向または縦方向のいずれかに、より「織り込まれた」パターンを用いることができる。図6は、織り込まれた光ファイバケーブル25を有する電解槽600の電解槽セルの一例の概略図を示す。
【0056】
光ファイバケーブル式温度測定システムは、ケーブル内の区分された距離(例えば、区間)上の温度を測定する。例えば、6kmのケーブルは、1メートル間隔で(例えば、1メートル毎に)温度を測定することができる。従って、どの測定点がどこに位置するかを知ることが重要である。上述した、図5及び6に示す取り付け方法は、ケーブル及びその測定点を各セルの所望位置に配置する選択肢をユーザに与える。
【0057】
光ファイバケーブルまたは光ファイバ温度センサが接続された単位を処理することによって、測定データを収集する。次に、光ファイバ温度センサによって提供される結果的なセンサ情報を処理する。上記システムは、測定値を温度値に変換するための処理ユニット10/20(光ファイバケーブル25を使用する光ファイバ温度センサを含むことも含まないこともできる)、及び、例えば以下に説明するモデルにより温度データを処理するための、パーソナルコンピュータまたはサーバーのような他の処理エンティティ50を具えている。例えば、図7に示すように、処理ユニット10/20からのデータを、追加的処理用の分析ソフトウェアを有する処理エンティティ(例えば、PC(Personal Computer:パーソナルコンピュータ))50へ送信することができる。図3を参照されたい。処理ソフトウェアは、個別のセル温度を分析することができ、そして利用可能であれば、この温度を予測/計算温度と比較することができる。実際には、セル温度は、(例えば、図2に示すそれぞれの測定エンティティによって取得した)電圧及び電流入力データに基づいて推定することができる。異常の場合には、これらの異常をユーザに提示することができる。分析は、(水素)漏洩によって生じる火炎を示し得るあらゆる温度スパイクを捕捉するために行うこともできる。
【0058】
温度測定によって取得した情報は、個別のセル電圧及びスタック電流と組み合わせることができる。個別のセル電圧及びスタック電流を入力として有する数学モデルを作成することができる。このモデルを用いて、とりわけ、個別のセル温度を予測することができる。モデルと測定温度値との偏差を、更に調査すべき異常としてフラグを立てることができる。
【0059】
捕捉したデータは、処理エンティティ50のような監視サーバーによって受信することができ、この監視サーバー上で電解槽性能監視システムが実行される。捕捉したデータは、次の方法のうちの1つ以上より分析することができる。第1モデルでは、個別のセル電圧を互いに比較することができる。比較的大きな偏差を有するセルについて警報を生じさせることができる。第2モデルでは、起動時に、個別のセルの電源遮断または負荷変動、動的挙動を監視することができる。新たな定常状態に達するための時間は、セル全体の性能の指標を与える。悪い性能は膜の問題に関係し易い。第3モデルでは、エネルギー平衡を用いてセル温度を予測することができる。このセル温度を、測定したセルのセル外面温度と比較する。異常の場合に警報を生じさせることができる。第4モデルでは、個別のセルの温度測定値を互いに比較することができる。他のセルに比べて高い、または低い温度を有するセルは、その差が(%比率で)指定した差よりも大きい場合に異常と考えることができる。第5モデルでは、H2(水素)漏洩(及び目に見えないあり得る無炎燃焼)を検出するために、測定されたあらゆる高温スパイクをH2火炎と考えることができ、警報を生じさせることができる。第6モデルでは、初期のモデル設定と比較した、時間と共に生じる劣化を分析することができ、そして警報を生じさせることができる。第7モデルでは、セル電圧の急速な降下が膜の問題を示し、セル温度の増加と組み合わせた警報を生じさせることができる。第8モデルでは、一組の(1つ以上の)基準セルに基づいて、時間と共に生じる基準挙動(始動、連続動作、及び停止を含む)を決定することができる。各セルの挙動を(電流の関数として)この基準モデルと比較することができる。
【0060】
本発明の一部の態様は、各セルまたは各セル内に取り付けた光ファイバを用いた個別のセルの温度測定に関するものである。例えば、上記のモデルの一部(例えば、第4及び第5モデル)を用いて、個別のセル温度を処理することができる。それに加えて、1つ以上の追加的なモデルを用いることができる。温度測定は、例えば電圧及び電流測定で補うことができる。例えば、温度測定に関する態様は、光ファイバケーブルまたは他の方法を用いた個別のセルの温度測定によって実現することができる。図1bの装置10のような処理ユニットを用いて、測定温度を、個別のセル温度を例えばモデル化した温度、最適な温度、等と比較するために用いることができるフォーマットに変換することができる。以上に加えて、火炎を検出して、検出した温度スパイクに基づく警報を送出するための処理ユニットを用いることができる。
【0061】
本発明の一部の態様は、個別のセル電圧及び個別のセル温度を(任意の)スタック電流測定値と共に処理することに関するものである。この処理は、上記の方法のうちの1つ以上により行うことができる。この処理のために、カメラまたはロボット測定を、光ファイバ測定の代わりに温度測定用に用いることができる。
【0062】
例えばカメラにより表面温度を測定する、セル外面温度を測定する他の方法が存在する。カメラは一般に限られた視野角を有するので、複数のカメラ、あるいは造り付けの移動または回転メカニズムを有するカメラのいずれかが必要になり得る。カメラによって捕捉したデータは、光ファイバに比べて異なるフォーマットである。例えば、特定の測定点の正確な位置は、正確に決定するためには何らかのデータ処理が必要になり得る。更に、測定はずっと多数のデータを含むことがあり、これらのデータは、温度の変化をずっと詳細に検出するより高性能のアルゴリズムに供給することができる。こうした詳細は、例えば計算値と比較することができるために処理しなければならないことがある。水素火炎を検出するためには、こうしたカメラはそうするための適正な特性を有する必要があり得る。
【0063】
測定データは、光ファイバ温度センサが接続された処理ユニットによって収集される。この処理ユニットからのデータは、図7に示すように、更に処理するための分析ソフトウェアを有する他の処理ユニットへ送信することができる。この処理ソフトウェアは、個別のセル温度を分析することができ、このセル温度は、利用可能である際には計算したセル温度と比較することができる。実際には、セル温度は、セル電圧及び電流入力データに基づいて推定することができる。異常の場合には、これらの異常はユーザに提示される。
【0064】
モデル化を用いてセル温度を予測する際には、モデルと個別のセル温度との間で検証を行うことができ、長時間にわたって監視することができる。今度は、セルの劣化を示し得る、あるいは不所望な動作温度を示す偏差をオンラインで監視することができ、そして適切なフォローアップ動作を行うことができる。セル温度をモデル化していない場合でも、測定したセル温度を用いて、セル性能を改善または最適化することができる。更に、セル温度は長時間にわたって監視することができる。個別のセル温度間の変化は、セルの問題の指標であり、フォローアップ動作のためのフラグを立てることができる。漏洩の場合には、無炎燃焼が発生していることがある。こうした場合には温度スパイクを測定する。警報を発生して、例えば電解槽を電源遮断して、必要な行動をとるように、権限のある人に通知することができる。
【0065】
特定の個別の電解槽セル温度監視のより詳細及び態様について、提案する方法、あるいは以上または以下に説明する1つ以上の例(例えば、図1a~1b)に関連して言及する。特定の個別の電解槽セル温度監視は、提案する概念の1つ以上の態様に相当する、あるいは以上または以下に説明する1つ以上の例に相当する1つ以上の追加的な任意の特徴を含むことができる。
【0066】
前の例のうちの特定の1つに関して説明する態様及び特徴を、追加的な例のうちの1つ以上と組み合わせて、こうした追加的な例の同一または同様な特徴を置き換えることができ、あるいはこれらの特徴をこうした追加的な例に追加的に導入することができる。
【0067】
本発明の例は、更に、(コンピュータ)プログラムとすること、あるいはプログラムに関することができ、こうしたプログラムは、当該プログラムがコンピュータ、プロセッサ、または他のプログラマブルなハードウェア構成要素上で実行された際に、上記の方法のうちの1つ以上を実行するためのプログラムコードを含む。従って、上述した方法における異なる方法のステップ、動作、またはプロセスは、プログラムされたコンピュータ、プロセッサ、または他のプログラマブルなハードウェア構成要素によって実行することもできる。本発明の例は、デジタルデータ記憶媒体のようなプログラム記憶装置をカバーすることもでき、これらのプログラム記憶装置は機械可読、プロセッサ可読、またはコンピュータ可読であり、機械で実行可能な、プロセッサで実行可能な、またはコンピュータで実行可能なプログラム及び命令を符号化及び/または含有する。プログラム記憶装置は、例えば、デジタル記憶装置、磁気ディスク及び磁気テープのような磁気記憶媒体、ハードディスクドライブ、または光学的に読取り可能なデジタルデータ記憶媒体を含むことができ、あるいはこれらの装置または媒体とすることができる。他の例は、上述した方法のステップを実行するようにプログラムされたコンピュータ、プロセッサ、制御ユニット、(フィールド)プログラマブル・ロジックアレイ((F)PGA:(Field) Programmable Logic Array)、(フィールド)プログラマブル・ゲートアレイ((F)PGA:(Field) Programmable Gate Array)、グラフィックス・プロセッサ・ユニット(GPU:Graphics Processor Unit)、特定用途向け集積回路(ASIC:Application-Specific Integrated Circuit)、集積回路(IC:Integrated Circuit)またはシステム・オン・チップ(SoC:System-on-a-Chip)システムを含むこともできる。
【0068】
詳細な説明または特許請求の範囲中に開示するいくつかのステップ、プロセス、動作、または機能の開示は、個別の場合において明示的断りのない限り、あるいは技術的理由で必要でない限り、これらの動作は記載した順序に必然的に依存することを暗に意味するものと解釈すべきでないことが、更に理解される。従って、前の説明は、いくつかのステップまたは機能の実行を特定の順序に限定しない。更に、別な例では、単一のステップ、機能、プロセス、または動作が、いくつかのサブステップ、副次的機能、サブプロセス、または副次的動作を含むこと、及び/または、単一のステップ、機能、プロセス、または動作を、いくつかのサブステップ、副次的機能、サブプロセス、または副次的動作に分割することができる。
【0069】
いくつかの態様を1つの装置またはシステムに関して説明している場合、これらの態様は、対応する方法の説明としても理解すべきである。例えば、こうした装置またはシステムのあるブロック、装置、または機能的態様は、対応する方法の方法ステップのような特徴に対応することができる。従って、方法に関して説明した態様は、対応する装置または対応するシステムの、対応するブロック、対応する要素、特性、または機能的特徴の説明としても理解すべきである。
【0070】
これにより、以下の特許請求の範囲は詳細な説明に含まれ、各請求項は、単独で、独立した例として存在する。また、特許請求の範囲では、従属請求項は1つ以上の他の請求項との特定の組合せを参照するが、他の例は、従属請求項と、他のあらゆる従属または独立請求項の主題との組合せを含むこともできる。これにより、こうした組合せは、個別の場合において特定の組合せを意図していないことを明示的に記載していない限り、明示的に提案される。更に、ある請求項の特徴は、たとえその請求項が他のいずれかの独立請求項に従属するものとして直接的に規定されていなくても、当該他の独立請求項にも含まれるべきである。
図1a
図1b
図1c
図1d
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2024-05-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチセル型電解槽の測定温度を決定する方法であって、
光ファイバ温度センサのセンサ情報を取得するステップ(120)であって、前記センサ情報は、前記光ファイバ温度センサが使用する光ファイバケーブルの複数の区間において測定した温度値を含むステップと、
前記マルチセル型電解槽のセル毎に、前記複数の区間において測定した前記温度値に基づいて、少なくとも1つの温度を計算するステップ(150)と
を含む方法。
【請求項2】
前記複数の区間を、前記マルチセル型電解槽の前記複数の区間に対応付けるステップ(130)と、
前記マルチセル型電解槽の前記セル毎に、前記マルチセル型電解槽の前記セルへの、前記複数の区間の対応付けに基づいて、1つ以上の前記温度値を選択するステップ(140)と、
前記セルに対して選択した前記1つ以上の温度値に基づいて、当該セルについて少なくとも1つの温度を計算するステップ(150)と
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記光ファイバ温度センサによって、前記光ファイバケーブルを用いて、前記センサ情報を生成するステップ(110)を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記光ファイバケーブルが、前記マルチセル型電解槽の前記セルの外殻または外面に取り付けられている、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記光ファイバケーブルが、前記セル内、前記セルの外壁内、前記マルチセル型電解槽の加熱パイプ内または冷却パイプ内に統合されている、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記光ファイバケーブルが、前記マルチセル型電解槽の複数のセルをカバーする、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記光ファイバケーブルが、前記セルの外周で連続して、それぞれの前記セルを取り巻くパターンに配置されている、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記光ファイバケーブルが蛇行パターンに配置され、これにより、前記光ファイバケーブルが前記マルチセル型電解槽の一連の前記セルに沿って反復して延在し、後戻りして、前記一連のセルに沿って逆向きに延在し、再度後戻りして、再度前記一連のセルに沿って延在する、請求項に記載の方法。
【請求項9】
マルチセル型電解槽の測定温度を決定する装置(10)であって、
光ファイバ温度センサのセンサ情報を取得するためのインタフェース回路と、
請求項1または2に記載の方法を実行する処理回路と
を具えている装置。
【請求項10】
マルチセル型電解槽用のシステムであって、
請求項9に記載の装置と、
光ファイバケーブル(25)を有する光ファイバ温度センサ(20)とを具えたシステムにおいて、
前記光ファイバ温度センサは、前記光ファイバケーブルを用いて前記センサ情報を生成し、該センサ情報を前記装置に提供するように構成されているシステム。
【請求項11】
前記光ファイバケーブルが、前記マルチセル型電解槽のセルの外殻または外面に取り付けられ、あるいは、前記光ファイバケーブルが、前記セル内、前記セルの壁面内、前記マルチセル型電解槽の加熱パイプ内または冷却パイプ内に統合されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記光ファイバケーブルが、前記マルチセル型電解槽の複数のセルをカバーする、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記光ファイバケーブルが、前記セルの外周で連続して、それぞれの前記セルを取り巻く円形パターンに配置されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記光ファイバケーブルが蛇行パターンに配置され、これにより、前記光ファイバケーブルが前記マルチセル型電解槽の一連の前記セルに沿って反復して延在し、後戻りして、前記一連のセルに沿って逆向きに延在し、再度後戻りして、再度前記一連のセルに沿って延在する、請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
前記光ファイバケーブルが、螺旋サブパターンまたはジグザグ・サブパターンのようなサブパターンを含むパターンに配置され、該サブパターンは前記パターン内で複数回反復され、前記サブパターンの各々は、前記マルチセル型電解槽のセルのうちの1つに配置され、前記セルの各々は、前記サブパターンの複数回の反復によってカバーされる、請求項10に記載のシステム。
【請求項16】
前記システムが、マルチセル型電解槽(100)を更に具え、前記マルチセル型電解槽が水素電解槽または塩素アルカリ電解槽である、請求項10に記載のシステム。
【外国語明細書】