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特開2024-174819シール、蓋アセンブリ、エネルギー貯蔵セル、及びエネルギー貯蔵セルのアセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174819
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】シール、蓋アセンブリ、エネルギー貯蔵セル、及びエネルギー貯蔵セルのアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/184 20210101AFI20241210BHJP
   H01M 50/545 20210101ALI20241210BHJP
   H01M 50/56 20210101ALI20241210BHJP
   H01M 50/548 20210101ALI20241210BHJP
   H01M 50/586 20210101ALI20241210BHJP
   H01M 50/593 20210101ALI20241210BHJP
   H01M 50/342 20210101ALI20241210BHJP
   H01M 50/152 20210101ALI20241210BHJP
   H01M 50/186 20210101ALI20241210BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20241210BHJP
   H01M 10/0587 20100101ALI20241210BHJP
   H01M 50/107 20210101ALI20241210BHJP
   H01M 50/133 20210101ALI20241210BHJP
   H01M 50/536 20210101ALI20241210BHJP
   H01M 50/566 20210101ALI20241210BHJP
   H01M 50/193 20210101ALI20241210BHJP
【FI】
H01M50/184 D
H01M50/545
H01M50/56
H01M50/548 201
H01M50/586
H01M50/593
H01M50/342 101
H01M50/152
H01M50/186
H01M10/04 W
H01M10/0587
H01M50/107
H01M50/133
H01M50/536
H01M50/566
H01M50/193
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024083038
(22)【出願日】2024-05-22
(31)【優先権主張番号】10 2023 113 673.9
(32)【優先日】2023-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】23181702
(32)【優先日】2023-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】502350250
【氏名又は名称】ヴァルタ マイクロバッテリー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】弁理士法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルデマール フランク
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ガイガー
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク キニンガー
(57)【要約】
【課題】 シール、蓋アセンブリ、エネルギー貯蔵セル、及びエネルギー貯蔵セルのアセンブリを提供する。
【解決手段】 環状シール(103)が、外側環状セグメント(130)を備え、外側環状セグメントは、その2つの端部のうちの1つの端部において、内側に向いたカラー(131)の中へと続き、カラーはこの端部にて外側環状セグメント(130)を狭めている。カラー(131)は、内側環状セグメント(132)の中まで続く内側エッジ(131a)を有する。外側環状セグメント(130)は、アンダーカット(132)を備える内側に向いた円周ノーズ(133)を有する。シールを備える、エネルギー貯蔵セル(100)の蓋アセンブリ(102)と、蓋(102)を有するエネルギー貯蔵セル(100)とについて説明される。更には、そのようなエネルギー貯蔵セル(100)のアセンブリと、そのようなアセンブリの製造方法が提案される。
【選択図】 図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギー貯蔵セル(100)の蓋アセンブリ(102)用の環状シール(103)であって、特徴:
a.前記環状シールは、外側環状セグメント(130)を備えること、
b.前記外側環状セグメント(130)は、前記外側環状セグメントの2つの端部のうちの1つの端部において、内側に面するカラー(131)の中へと続き、前記カラーは前記1つの端部において前記外側環状セグメント(130)を狭めていること、及び、
c.前記カラー(131)は、内側環状セグメント(132)の中まで続く内側エッジ(131a)を有すること、
を有し、それにより、
d.前記外側環状セグメント(130)は、アンダーカット(132)を備える内側に向いた円周ノーズ(133)を有すること、
を有する、環状シール(103)。
【請求項2】
以下の追加の特徴:
a.前記外側環状セグメント(130)は、中空円筒状であること、
b.前記内側環状セグメント(132)は、中空円筒状である又は円錐状の先細りであること、
c.前記アンダーカット(132)は、環状の溝様の凹部として設計されること、
d.前記ノーズ(133)は、前記外側環状セグメント(130)の内面上の環状隆起部として形成されること、
e.前記アンダーカット(132)を備える前記ノーズ(133)は、前記外側環状セグメント(130)を中央部分セグメント(130a)及び端子部分セグメント(130b)に分割すること、
f.前記カラー(131)は、前記カラーの内面上に環状隆起部(134)を有すること、
のうちの少なくとも1つを有する、請求項1に記載の環状シール。
【請求項3】
エネルギー貯蔵セル(100)の蓋アセンブリ(102)であって、以下の特徴:
a.前記蓋アセンブリは、円形エッジを有するポールキャップ(117)を備えること、
b.前記蓋アセンブリは、円形エッジを有する第1の金属ディスク(113)を備えること、
c.前記蓋アセンブリは、円形エッジを有する第2の金属ディスク(115)を備えること、
d.前記蓋アセンブリは、環状シール(103)を備えること、及び、
e.前記蓋アセンブリは、環状絶縁体(116)を備えること、
を有し、それにより、
f.前記第1の金属ディスク(113)は、前記ポールキャップ(117)と前記第2の金属ディスク(115)との間に配置されること、
g.前記環状絶縁体(116)は、前記第1の金属ディスク(113)及び前記第2の金属ディスク(115)を互いに電気的に絶縁すること、
h.前記第1の金属ディスク(113)は、前記ポールキャップ(117)に直接接触していること、及び、
i.前記環状シール(103)は、前記ポールキャップ(117)の前記円形エッジ上及び/又は前記第1の金属ディスク(113)の前記円形エッジ上に取り付けられていること、
を有し、
j.前記シールは、請求項1又は2に従って形成されること、
k.前記ポールキャップ(117)の前記円形エッジ及び/又は前記第1の金属ディスク(113)の前記円形エッジは、カラー(131)上に載置されていること、及び、
l.ノーズ(133)により所定位置に保持されていること、
を特徴とする蓋アセンブリ(102)。
【請求項4】
以下の追加の特徴:
a.前記環状シール(103)は、前記第1の金属ディスク(113)の前記円形エッジ上に取り付けられていること、
b.前記環状シール(103)は、前記ポールキャップ(117)の前記円形エッジ上に取り付けられていること、
c.前記環状シール(103)は、前記ポールキャップ(117)の前記円形エッジ上及び前記第1の金属ディスク(113)の前記円形エッジ上に取り付けられていること、
d.前記第1の金属ディスク(113)の前記円形エッジは、前記ポールキャップ(117)の前記円形エッジの周囲にU字形に折り畳まれていること、
のうちの1つを有する、請求項3に記載の蓋アセンブリ(102)。
【請求項5】
エネルギー貯蔵セル(100)であって、以下の特徴:
a.前記エネルギー貯蔵セルは、アノード(105)/セパレータ(116)/カソード(108)のシーケンスを有する電極-セパレータアセンブリ(104)を備えること、
b.前記電極-セパレータアセンブリ(104)は、第1の端子端面(104a)及び第2の端子端面(104b)を有し、それらの間に位置する巻回シェル(104c)を有する、円筒状巻回体の形であること、
c.前記エネルギー貯蔵セルは、端子円形開口部を有する金属ハウジングカップ(101)と、前記円形開口部を閉じる、円形エッジ(102a)を有する蓋アセンブリ(102)とを備える、気密且つ液密にシールされたハウジングを備えること、
d.前記蓋アセンブリ(102)は、請求項1又は2に従って形成されること、
e.前記ハウジングカップ(101)は、軸方向のシーケンスで底部(101a)、中央セクション(101b)、及び閉鎖セクション(101c)を備え、
前記中央セクション(101b)は円筒状であり、前記中央セクション(101b)では、前記電極-セパレータアセンブリ(104)の前記巻回シェル(104c)が前記ハウジングカップ(101)の内面に接触しており、
前記閉鎖セクション(101c)では、前記蓋アセンブリの環状シール(103)が、ポールキャップ(117)のエッジ及び/又は第1の金属ディスク(113)のエッジ、並びに前記ハウジングカップ(101)の前記内面に圧接していること、及び、
f.前記ハウジングカップ(101)は、前記閉鎖セクション(101c)において、前記端子円形開口部を画定する開口部エッジ(101d)を有し、前記開口部エッジは、前記シール(103)により包囲された前記ポールキャップ(117)及び/又は前記第1の金属ディスク(113)の前記エッジを覆って半径方向内向きに曲げられており、前記蓋アセンブリ(102)を、前記シール(103)を含めて、前記ハウジングカップ(101)の前記円形開口部内に確実に固定していること、
を有するエネルギー貯蔵セル(100)。
【請求項6】
以下の追加の特徴:
a.前記ハウジングカップ(101)の半径方向内向きに曲げられた前記開口部エッジ(101d)は、前記中央セクション(101b)における前記ハウジングカップ(101)よりも大きい壁厚を有すること、
を有する、請求項5に記載のエネルギー貯蔵セル(100)。
【請求項7】
以下の追加の特徴:
a.前記中央セクション(101b)及び前記閉鎖セクション(101c)は、前記ハウジングカップ(101)の外面を円周方向に取り囲む窪み(111)によって分離されていること、
b.前記ハウジングカップ(101)は、前記中央セクション(101b)及び前記閉鎖セクション(101c)において同一の最大外径を有すること、
c.前記窪み(111)の領域では、前記ハウジングカップ(101)の前記外径は、前記領域における前記ハウジングカップ(101)の前記壁厚の4~12倍の量だけ低減されていること、
のうちの少なくとも1つを有する、請求項5又は6に記載のエネルギー貯蔵セル。
【請求項8】
以下の追加の特徴:
a.前記電極-セパレータアセンブリ(104)の前記アノード(105)は、第1の長手方向エッジ(106a)と、これに平行な第2の長手方向エッジとを有する、アノード集電体(106)を備えること、
b.前記アノード集電体(106)は、負電極材料の層(107)が設けられた主領域と、前記第1の長手方向エッジ(106a)に沿って延び前記負電極材料が設けられていない自由エッジストリップと、を備えること、
c.前記電極-セパレータアセンブリ(104)の前記カソード(108)は、第1の長手方向エッジ(109a)と、これに平行な第2の長手方向エッジとを有する、カソード集電体(109)を備えること、
d.前記カソード集電体(109)は、正電極材料(110)の層が設けられた主領域と、前記第1の長手方向エッジ(109a)に沿って延び前記電極材料(110)が設けられていない自由エッジストリップとを備えること、
e.前記アノード(105)及び前記カソード(108)は、前記アノード集電体(106)の前記第1の長手方向エッジ(106a)が前記第1の端子端面(104a)から突出し、前記カソード集電体(108)の前記第1の長手方向エッジ(109a)が前記電極-セパレータアセンブリ(104)の前記第2の端子端面(104b)から突出するように、前記電極-セパレータアセンブリ(104)内に配置されていること、
のうちの少なくとも1つを有する、請求項5~7のいずれか一項に記載のエネルギー貯蔵セル。
【請求項9】
以下の追加の特徴:
a.前記エネルギー貯蔵セルは、前記アノード集電体の前記第1の長手方向エッジ上に載置され前記第1の端子端面を覆い溶接接続により前記第1の端子端面に接続された、又は前記カソード集電体(109)の前記第1の長手方向エッジ(109a)上に載置され前記第2の端子端面(104b)を覆い溶接接続により前記第2の端子端面に接続された、接触シート金属部材(112)を備えること、
b.前記接触シート金属部材(112)は、前記アノード集電体の前記第1の長手方向エッジ、又は前記カソード集電体(109)の前記第1の長手方向エッジ(109a)に、溶接接続により接続されていること、
c.前記接触シート金属部材(112)は、特に溶接接続により、前記ハウジングカップの前記底部に接続されていること、
d.前記接触シート金属部材(112)は、前記蓋アセンブリに電気的に接続されていること、
のうちの少なくとも1つを有する、請求項8に記載のエネルギー貯蔵セル。
【請求項10】
以下の追加の特徴:
a.前記アノード集電体(106)の前記第1の長手方向エッジ(106a)又は前記カソード集電体の前記第1の長手方向エッジは、前記ハウジングカップ(101)の前記底部(101a)上に直接着座し、溶接接続により前記底部に接続されていること、
のうちの少なくとも1つを有する、請求項8又は9に記載のエネルギー貯蔵セル。
【請求項11】
以下の追加の特徴:
a.前記蓋アセンブリ(102)の前記ディスク(113)は、前記ハウジング内で特定の過剰な圧力が生じた場合、外向きに隆起するか又は破裂する金属膜(114)を含むこと、
b.前記膜(114)を有する前記ディスク(113)は、前記アノード集電体又は前記カソード集電体(109)に電気的に接続している電気導体(118)に電気的に接触していること、
のうちの少なくとも1つを有する、請求項5~10のいずれか一項に記載のエネルギー貯蔵セル。
【請求項12】
以下の追加の特徴:
a.前記シール(103)は、200℃を超える、好ましくは300℃を超える融点を有するプラスチック材料から構成されること、
b.前記プラスチック材料は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)であること、
のうちの少なくとも1つを有する、請求項1~11のいずれか一項に記載のシール、蓋アセンブリ、又はエネルギー貯蔵セル。
【請求項13】
エネルギー貯蔵セルのアセンブリであって、以下の特徴:
a.前記アセンブリは、請求項5~12のいずれか一項に記載のエネルギー貯蔵セル(100)を少なくとも2つ備えること、
b.前記アセンブリは、前記少なくとも2つのエネルギー貯蔵セルの前記ハウジングカップの半径方向内向きに曲げられた前記開口部エッジに溶接接続により接続された、金属で作製された電気導体を備えること、
を有するエネルギー貯蔵セルのアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
後述する本発明は、シール、シールと共に提供される蓋アセンブリ、エネルギー貯蔵セル、及びエネルギー貯蔵セルのアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
電気化学エネルギー貯蔵要素が、貯蔵された化学エネルギーを酸化還元反応を介して電気エネルギーに変換できる。電気化学エネルギー貯蔵要素の最も単純な形は、電気化学セルである。電気化学セルは正電極及び負電極を備え、それらの間にセパレータが配置される。放電中、酸化プロセスの結果として、負電極において電子が放出される。その結果が電子流になり、電子流は外部の消費体が引き込むことができ、消費体にとって電気化学セルはエネルギー供給源として機能する。同時に、電極反応に対応するイオン電流がセル内で生じる。このイオン電流は、セパレータを通過し、イオン導電性電解質により可能になる。したがって、セパレータは、電極間の直接接触を防止する。しかしながら、同時に、セパレータは、電極間での電荷均一化を可能にする。
【0003】
放電が可逆的な場合、すなわち、放電中における化学エネルギーから電気エネルギーへの変換を逆転させてセルを再び充電することが可能性な場合、セルは二次セルと呼ばれる。二次セルにおいて、負電極をアノードとして、正電極をカソードとして一般的に表記することは、電気化学セルの放電機能を指す。
【0004】
二次リチウムイオンセルは、今日、高電流を供給することができ、比較的高いエネルギー密度により特徴付けられるため、エネルギー貯蔵要素として多くの用途で使用されている。二次リチウムイオンセルは、リチウムの使用に基づいており、リチウムはセルの電極間をイオンの形で往復移動することができる。リチウムイオンセルの負電極及び正電極は一般に、いわゆる複合電極により形成され、複合電極は、電気化学的不活性成分、並びに電気化学的活性成分を含む。
【0005】
原則として、リチウムイオンを吸収及び放出できる全ての材料が、二次リチウムイオンセル用の電気化学的活性成分(活性材料)として使用できる。例えば、黒鉛状炭素などの炭素ベース粒子が負電極のために使用される。正電極用の活性材料は、例えば、リチウムコバルト酸化物(LiCoO)、リチウムマンガン酸化物(LiMn)、リン酸鉄リチウム(LiFePO)、又はそれらの誘導体であり得る。電気化学的活性材料は一般に、電極中に粒子形態で含まれる。
【0006】
電気化学的不活性成分として、複合電極は一般に、平坦な及び/又はストリップ状の集電体、例えば金属箔を備え、これは、それぞれの活性材料用のキャリアとして機能する。負電極用の集電体(アノード集電体)は、例えば銅又はニッケルで作製でき、正電極用の集電体(カソード集電体)は、例えばアルミニウムで作製できる。
【0007】
更には、電極は、電気化学的不活性成分として、電極結合剤(例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、又は別のポリマー、例えばカルボキシメチルセルロース)、導電性改善添加剤、及び他の添加剤を含むことができる。電極結合剤は、電極の機械的安定性を、更には、多くの場合、集電体への活性材料の接着を確実にする。
【0008】
電解質として、リチウムイオンセルは、通常、リチウム塩溶液、例えば、有機溶剤(例えば、炭酸のエーテル及びエステル)中のヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)を含む。
【0009】
リチウムイオンセルを製造する場合、複合電極は一般に、1つ以上のセパレータと組み合わされて電極-セパレータアセンブリが形成される。電極及びセパレータは通常、圧力下で、必要に応じて更にラミネーション又は接合により、一緒に結合される。次いで、アセンブリを電解質に含浸させることにより、セルの基本的機能性が確立され得る。
【0010】
多くの実施形態では、電極-セパレータアセンブリは、巻回体の形で形成されるか又は処理されて巻回体になる。第1のケースでは、例えば、リボン状正電極及びリボン状負電極、並びに少なくとも1つのリボン状セパレータが、別々に巻上機に供給され、螺旋状に巻回されて、正電極/セパレータ/負電極のシーケンスを有する巻回体になる。第2のケースでは、例えば上述した圧力を印加することにより、リボン状正電極及びリボン状負電極、並びに少なくとも1つのリボン状セパレータが最初に組み合わされて、電極-セパレータアセンブリが形成される。次いで、更なるステップにおいて、アセンブリが巻回される。
【0011】
自動車セクターにおける用途、電動自転車のための用途、又は電気工具のような高エネルギー要件を伴う他の用途では、充電及び放電中に高電流に耐えることもできる、可能な限り高いエネルギー密度を有するリチウムイオンセルが必要である。
【0012】
前述した用途のセルは、多くの場合、円筒状円形セルとして設計され、例えば、21×70(直径×高さ、mm単位)のフォームファクタを有する。このタイプのセルは、常に、巻回体の形のアセンブリを備える。このフォームファクタを有する最新のリチウムイオンセルは、最大270Wh/kgのエネルギー密度を達成できている。
【0013】
国際公開第2017/215900A1号パンフレットは、電極-セパレータアセンブリ及びその電極がリボン状であり巻回体の形である円筒状円形セルについて記載している。電極はそれぞれ、電極材料が設けられた集電体を有する。反対の極性を有する電極が、電極-セパレータアセンブリ内で互いにオフセットして配置され、その結果、正電極の集電体の長手方向エッジが巻回体の一方の側から突出し、負電極の集電体の長手方向エッジが巻回体の他方の側から突出する。集電体の電気的接触のため、セルは接触シート金属部材を有し、接触シート金属部材は、巻回体の一端面上に載り、集電体のうちの1つの、長手方向エッジに、溶接により接続される。これにより、集電体に、したがって関連する電極にも、その全長にわたって電気的に接触することが可能になる。これにより、記載されるセル内の内部抵抗は著しく低減される。その結果、大電流が発生しても、それを遥かに良好に吸収することができ、巻回体から熱をより良好に散逸させることもできる。
【0014】
国際公開第2017/215900A1号パンフレットにあるような円筒状円形セルが、多くの場合、いくつかのセルが直列及び/又は並列に接続されたセルアレイの一部として使用される。電圧を取り出すために、セルの端面のうちの一方だけに接触しさえすればよいことが多くの場合に望ましい。したがって、セルの正電極に接続された接続ポールと、セルの負電極に接続された接続ポールとの両方を、セルの端面の一方に設けることが有利である。
【0015】
円筒状円形セルのハウジングは一般に、巻回された電極-セパレータアセンブリを含むハウジングカップと、ハウジングカップの開口部を閉じる蓋アセンブリとを備える。蓋アセンブリとハウジングカップとの間にシールが配置され、シールは、一方では、セルハウジングをシールする働きをするが、他方では、蓋アセンブリ及びハウジングカップを互いに電気的に絶縁する機能も有する。シールは、通常、蓋アセンブリのエッジ上に取り付けられる。円形セルを閉鎖するために、ハウジングカップの開口部エッジは一般に、シールによって包囲された(クリンプ加工された)蓋アセンブリのエッジを覆って半径方向内向きに曲げられ、それにより、蓋アセンブリはシールを含めてハウジングカップの開口部内に確実に固定される。
【0016】
そのような円形セルの例が、欧州特許出願公開第3188280A1号明細書の図3に示される。図示するセルをセルアセンブリの中に一体化するために、蓋アセンブリ(参照番号270)を好適な導体レールに溶接することが比較的容易であり、突出するポールキャップ(参照番号217)は、このための最良の条件を提供する。しかしながら、ハウジングカップの電気的接続は、より困難である。蓋アセンブリが位置する端面と同じ端面上でハウジングカップに接触しようと試みる場合、導体レールは、ハウジングカップの半径方向内向きに曲げられた開口部エッジ(参照番号213)に溶接することだけができる。これに関する課題は、そのような溶接作業は、曲げられた開口部エッジに直接接触しているシールに損傷を容易に与え得るということであり、その理由は、シールが溶接中に典型的に生じる熱応力に敏感だからである。したがって、欧州特許出願公開第3188280A1号明細書に記載されるような古典的なセルハウジングを有する円形セルは一般に、電流導体を開口部エッジに溶接するためにアクセス可能ではない。
【0017】
出願人の国際特許出願番号PCT/EP2022/083072号明細書(国際公開第2023/094498A1号パンフレットとして公開されている)から、ハウジングカップの半径方向内向きに曲げられた開口部エッジが増加された壁厚を有するハウジングを備えるエネルギー貯蔵セルが公知である。これにより、シールに関する以下の問題を伴うことなく、導体レールをハウジングカップの半径方向内向きに曲げられた開口部エッジ上に溶接され得ることが確実になる。開口部エッジの増加した厚さは、溶接中に発生した熱をより良好に分散させることを確実にし、それによりシールの局所的な過熱及び溶融を回避できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
高エネルギー密度により特徴付けられ且つセルアセンブリ内に効率的に組み込むことができるエネルギー貯蔵セルを形成することが本発明の目的である。更には、エネルギー貯蔵セルはまた、改善された安全性により特徴付けられなければならない。特に、本発明は、上述した国際出願番号第PCT/EP2022/083072号明細書に記載されるセルを更に改善する課題に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
この目的は、請求項1の特徴を有するシールと、請求項3の特徴を有する蓋アセンブリと、請求項5の特徴を有するエネルギー貯蔵セルとにより達成される。請求項13の特徴を有するエネルギー貯蔵セルのアセンブリも、本発明の目的である。本発明の好ましい実施形態を、従属請求項2、4及び6~12に見出すことができる。
【0020】
シールは、以下の特徴a.~d.を有する:
a.シールは、外側環状セグメントを備える。
b.外側環状セグメントは、その2つの端部のうちの1つの端部において、内側に面するカラーの中へと続き、カラーはこの端部にて外側環状セグメントを狭めている。
c.カラーは、内側環状セグメントの中まで続く内側エッジを有する。
d.外側環状セグメントは、アンダーカットを備える、内側に面する円周ノーズを有する。
【0021】
そのようなシールは、上述したタイプのハウジング、例えば、欧州特許出願公開第3188280A1号明細書に記載されるようなハウジングを閉鎖するために使用される。アセンブリの間、多くの場合に、シールに加えて、シールによって一緒に保持された他の個々の部品を備える蓋アセンブリが使用される。シールは、蓋アセンブリの部品を、(以下で更に詳細に説明される)対応するホルダ内に固定するための保持要素として機能し得る。しかしながら、シールが圧縮されると、ノーズは非対称な圧力分布をもたらし、それにより導体上への溶接に好適なセルの平坦な肩部を形成することが困難になる。
【0022】
驚くべきことに、この課題は、単にノーズにアンダーカットを設けることにより解決できることが判明した。アンダーカットは、圧縮中に、ノーズを有するシールの領域が拡張できるスペースを形成し、セルを閉鎖するときに、「ノーズ干渉要因」を排除する。これにより、セル閉鎖の間に、セルの肩部において平坦な環形状表面を形成することが可能になり、これは、セルの電気的接触のために利用可能である。
【0023】
シールは、好ましくは以下の追加の特徴a.~f.のうちの少なくとも1つにより特徴付けられる:
a.外側環状セグメントは、中空円筒状である。
b.内側環状セグメントは、中空円筒状である又は円錐状の先細りである。
c.アンダーカットは、環状の溝様の凹部として設計される。
d.ノーズは、外側環状セグメントの内面上の環状隆起部として形成される。
e.アンダーカットを備えるノーズは、外側環状セグメントを中央部分セグメント及び端子部分セグメントに分割する。
f.カラーは、その内面上に環状隆起部を有する。
【0024】
好ましくは、外側環状セグメントの壁厚は、溝様の凹部の領域では低減される。外側環状セグメントの壁厚がノーズの領域で増加されることも好ましい。
【0025】
本発明による蓋アセンブリは、直下の特徴a.~i.を有する:
a.蓋アセンブリは、円形エッジを有するポールキャップを備える。
b.蓋アセンブリは、円形エッジを有する第1の金属ディスクを備える。
c.蓋アセンブリは、円形エッジを有する第2の金属ディスクを備える。
d.蓋アセンブリは、環状シールを備える。
e.蓋アセンブリは、環状絶縁体を備える。
f.第1の金属ディスクは、ポールキャップと第2の金属ディスクとの間に位置する。
g.環状絶縁体は、第1の金属ディスク及び第2の金属ディスクを互いに電気的に絶縁する。
h.第1の金属ディスクは、ポールキャップに直接接触している。
i.環状シールは、ポールキャップの円形エッジ上及び/又は第1の金属ディスクの円形エッジ上に取り付けられている。
【0026】
蓋アセンブリは、特に、以下の特徴j.~l.により特徴付けられる:
j.シールは、上述したシールのように設計される。
k.ポールキャップの円形エッジ及び/又は第1の金属ディスクの円形エッジは、カラー上に載置されている。
l.ポールキャップの円形エッジ及び/又は第1の金属ディスクの円形エッジは、ノーズにより所定位置に保持されている。
【0027】
特に好ましくは、カラー、中央部分セグメント、及びノーズは、ポールキャップの円形エッジ及び/又は第1の金属ディスクの円形エッジのための収用部を形成する。
【0028】
蓋アセンブリは、好ましくは以下の追加の特徴a.~d.のうちの少なくとも1つにより特徴付けられる:
a.環状シールは、第1の金属ディスクの円形エッジ上に取り付けられている。
b.環状シールは、ポールキャップの円形エッジ上に取り付けられている。
c.環状シールは、ポールキャップの円形エッジ上及び第1の金属ディスクの円形エッジ上に取り付けられている。
d.第1の金属ディスクの円形エッジは、ポールキャップの円形エッジの周囲にU字形に折り畳まれている。
【0029】
特徴a.は、第1の金属ディスクの直径がポールキャップの直径よりも大きい場合に一般に好ましい。特徴b.は、第1の金属ディスクの直径がポールキャップの直径よりも小さい場合に一般に好ましい。特徴d.は、第1の金属ディスクの直径がポールキャップの直径に等しい場合に好ましい場合がある。特徴d.は特に好ましい。
【0030】
本発明によるエネルギー貯蔵セルは、以下の特徴a.~f.を有する:
a.エネルギー貯蔵セルは、アノード/セパレータ/カソードのシーケンスを有する電極-セパレータアセンブリを備えること、
b.電極-セパレータアセンブリは、第1の端子端面及び第2の端子端面を有し、それらの間に位置する巻回シェルを有する、円筒状巻回体の形であること、
c.セルは、端子円形開口部を有する金属ハウジングカップと、円形開口部を閉鎖する、円形エッジを有する蓋アセンブリとを備える、気密且つ液密のハウジングを備えること、
d.蓋アセンブリは、上述したように形成されること、
e.ハウジングカップは、軸方向のシーケンスで底部、中央セクション、及び閉鎖セクションを備え、
中央セクションは円筒状であり、中央セクションでは、電極-セパレータアセンブリの巻回シェルがハウジングカップの内面に接触し、
閉鎖セクションでは、蓋アセンブリの環状シールが、ポールキャップのエッジ及び/又は第1の金属ディスクのエッジ、並びにハウジングカップの内面に圧接していること、
f.ハウジングカップは、閉鎖セクションにおいて、端子円形開口部を画定する開口部エッジを有し、開口部エッジは、シールにより包囲されたポールキャップ及び/又は第1の金属ディスクのエッジを覆って半径方向内向きに曲げられており、蓋アセンブリを、シールを含めて、ハウジングカップの円形開口部内に確実に固定していること。
【0031】
「ポールキャップ及び/又は第1の金属ディスクのエッジ」という用語は、上述した実施形態を包含し、その実施形態によれば、ポールキャップ及び金属ディスクの直径は異なるか又は同一である。圧接に関しては、より大きい直径を有する構成要素が重要であり、その理由は、シールがその構成要素に接触しているからである。第1の金属ディスクの円形エッジがポールキャップのエッジの周囲にU字形で折り畳まれる実施形態が特に好ましい。
【0032】
いくつかの特に好ましい実施形態では、ハウジングカップの半径方向内向きに曲げられた開口部エッジは、中央セクションにおけるハウジングカップよりも大きい壁厚を有する。
【0033】
これにより、シールに関する問題を伴うことなく、導体レールをハウジングカップの半径方向内向きに曲げられた開口部エッジ上に溶接され得ることが確実になる。開口部エッジの増加した厚さは、溶接中に発生した熱をより良好に分散させることを確実にし、それによりシールの局所的な過熱及び溶融を回避できる。
【0034】
同じ効果は、ハウジングカップの内向きに曲げられた開口部エッジ上にリング状ワッシャを溶接することにより実現できる。ワッシャは、導体レールのための支持体として機能できる環形状平坦面を提供する。好ましくは、ワッシャは、ハウジングカップの外径を超えない外径を有する。例えば、外径は、1cm~10cmの範囲、より好ましくは、1.5cm~7cmの範囲であり得る。もちろん、これは、対応するエネルギー貯蔵セルの絶対寸法に依存する。環形状平坦面の幅は、好ましくは2mm~3cmの範囲、好ましくは4mm~2cmの範囲にあり、いくつかの特に好ましい実施形態では、2mm~5mmの範囲にある。ワッシャの厚さは、好ましくは0.1mm~5mmの範囲、好ましくは0.5mm~3mmの範囲にある。好ましくは、リングディスクは、その中央に円形の穴を有し、その穴を通して外側からポールキャップにアクセス可能であり、その穴を通って、好ましくはポールキャップの中央隆起部が突出できる。
【0035】
好ましくは、ワッシャは、その上面及びその下面が平面である。特に好ましい実施形態では、これは、上面及び下面の最も高い点と最も低い点との間で、0.2mmの最大の高さ差異があり、更に好ましくは0.08mmの最大の高さ差異があることを意味する。更なる好ましい実施形態では、環状ディスクは、中央セクションにおいて、ハウジングカップの壁に対して90°の角度を形成する。
【0036】
好ましくは、ワッシャは、環状ディスクの外側エッジが、円形開口部を画定する開口部エッジから均一距離となるように、開口部エッジ上に溶接される。
【0037】
この時点で、ワッシャは、蓋アセンブリのシールの設計から完全に独立して使用できることが強調されなければならない。リングワッシャ上への溶接は、請求項5の特徴a.~c.並びにe.及びf.を有するあらゆるエネルギー貯蔵セルのために実現できる。請求項5の特徴d.は任意選択である。
【0038】
電極-セパレータアセンブリは、好ましくはハウジングカップの内面に直接接触している。電極-セパレータアセンブリは、ハウジングカップの内面に直接接触していることが特に好ましい。しかしながら、いくつかの実施形態では、例えばフィルムにより、ハウジングカップの内面を電気的に絶縁することが提供されてもよい。この場合、電極-セパレータアセンブリはフィルムを介して内壁に接触している。
【0039】
ハウジングカップの底部は、好ましくは円形である。ハウジングカップは、好ましくは深絞りにより形成される。しかしながら、管状半部品の中に底部を溶接することによりカップを形成することも可能である。
【0040】
エネルギー貯蔵セルは、好ましくは円筒状セルである。電極-セパレータアセンブリは、好ましくはリボンの形のアノード及びカソードを備える。更には、電極-セパレータアセンブリは、好ましくは、1つのリボン状セパレータ又は2つのリボン状セパレータを備える。円筒状セルの端面は、好ましくは円形エッジにより取り囲まれている。
【0041】
円筒状セルの高さは、好ましくは50mm~150mmの範囲にある。その直径は、好ましくは15mm~60mmの範囲にある。これらのフォームファクタを有する円筒状円形セルは、特に自動車における電気駆動部に電力供給するために好適である。
【0042】
リチウムイオンセルとしての実施形態
本発明の特に好ましい実施形態では、エネルギー貯蔵セルはリチウムイオンセルである。基本的に、二次リチウムイオンセル用に知られている全ての電極材料が、エネルギー貯蔵セル用の電極のために使用できる。
【0043】
黒鉛炭素などの炭素ベースの粒子、又は、好ましくは同様に粒子形態の、リチウムをインターカレートすることが可能な非黒鉛炭素材料を、負電極中の活性材料として使用できる。代わりに又は加えて、チタン酸リチウム(LiTi12)又はその誘導体が、好ましくは同様に粒子形態で、負電極に含まれることも可能である。更には、負電極は、活性材料として、リチウムを可逆的に貯蔵又は放出できる、シリコン、アルミニウム、スズ、アンチモン、又はこれら材料の化合物若しくは合金を含む群からの少なくとも1つの材料、例えば酸化ケイ素(具体的には、SiO、0<x<2)を、任意選択で炭素ベースの活性材料と組み合わせて含有することができる。スズ、アルミニウム、アンチモン、及びシリコンが、リチウムとの間で金属間相を形成できる。リチウムを吸収する容量は、特にシリコンの場合は、黒鉛又は同等の材料の容量を何倍も上回る。シリコンと炭素ベース貯蔵材料との混合物が多くの場合に使用される。金属リチウムで作製された薄いアノードも好適である。
【0044】
正電極用の好適な活性材料として、リチウム金属酸化物化合物及びリチウム金属リン酸塩化合物、例えばLiCoO及びLiFePOが挙げられる。化学式LiNiMnCo(ここで、x+y+zは典型的には1である)を有するリチウムニッケルマンガンコバルト酸化物(NMC)、化学式LiMnを有するリチウムマンガンスピネル(LMO)、又は化学式LiNiCoAl(ここで、x+y+zは典型的には1である)を有するリチウムニッケルコバルト酸化アルミニウム(NCA)も特に好適である。その誘導体、例えば、化学式Li1.11(Ni0.40Mn0.39Co0.16Al0.050.89を有するリチウムニッケルマンガンコバルト酸化アルミニウム(NMCA)、又はLi1+xM-O化合物、及び/又は上述した材料の混合物も使用できる。カソード活性材料も、好ましくは粒子形態で使用される。
【0045】
加えて、エネルギー貯蔵セルの電極は、好ましくは、電気伝導率を改善するための電極結合剤及び/又は添加剤を含む。活性材料は、好ましくは、電極結合剤のマトリクス中に埋め込まれ、マトリクス中の隣接する粒子は、好ましくは互いに直接接触している。導電剤は、電極の電気伝導率を増加させる機能を有する。一般的な電極結合剤は、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、(Li-)ポリアクリレート、スチレンブタジエンゴム、又はカルボキシメチルセルロース、又は異なる結合材の混合物を主成分とする。一般的な導電剤は、カーボンブラック、微細黒鉛、炭素繊維、カーボンナノチューブ及び金属粉末である。
【0046】
エネルギー貯蔵セルは、好ましくは、電解質を含み、リチウムイオンセルの場合は、特に、有機溶剤中に(例えば、有機カーボネート、又は環状エーテル、例えばTHF又はニトリル、の混合物中に)溶解されて存在する少なくとも1種のリチウム塩、例えばヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)、を主成分とする電解質を含む。他の使用可能なリチウム塩は、例えば、リチウムテトラフルオロボレート(LiBF)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)、及びリチウムビス(オキサレート)ボレート(LiBOB)である。
【0047】
好ましくは、本発明によるリチウムイオンベースのエネルギー貯蔵セルの公称容量は、最大15000mAhである。21mm×700mmのフォームファクタの場合、本発明によるリチウムイオンセルは、好ましくは、1500mAh~7000mAhの範囲、特に好ましくは3000~5500mAhの範囲の公称容量を有する。18mm×650mmのフォームファクタの場合、本発明によるリチウムイオンセルは、好ましくは、1000mAh~5000mAhの範囲、特に好ましくは2000~4000mAhの範囲の公称容量を有する。
【0048】
欧州連合では、二次電池の公称容量に関する製造業者規格は厳しく規制されている。例えば、二次ニッケルカドミウム電池の公称容量に関する情報は、IEC/EN 61951-1及びIEC/EN 60622標準規格に従う測定値に基づかなければならず、二次ニッケル水素ハイブリッド電池の公称容量に関する情報は、IEC/EN 61951-2標準規格に従う測定値に基づかなければならず、二次リチウム電池の公称容量に関する情報は、IEC/EN 61960標準規格に従う測定値に基づかなければならず、二次鉛蓄電池の公称容量に関する情報は、IEC/EN 61056-1標準規格に従う測定値に基づかなければならない。本出願における公称容量に関するいかなる情報も、好ましくはこれらの標準規格に基づいている。
【0049】
ナトリウムイオンベースのセル
更なる実施形態では、エネルギー貯蔵セルは、ナトリウムイオンセル、カリウムイオンセル、カルシウムイオンセル、マグネシウムイオンセル、又はアルミニウムイオンセルであってもよい。これら変形形態の中でも、ナトリウムイオンセルの化学物質を有するエネルギー貯蔵セルが特に好ましい。好ましくは、ナトリウムイオンベースのエネルギー貯蔵セルは、以下の溶媒のうちの少なくとも1種及び以下の導電性塩のうちの少なくとも1種を含む電解質を含む。
【0050】
有機カーボネート、エーテル、ニトリル、及びそれらの混合物が、溶媒として特に好適である。好ましい実施例は、以下である:
・カーボネート:プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート-プロピレンカーボネート(EC-PC)、プロピレンカーボネート-ジメチルカーボネート-エチルメチルカーボネート(PC-DMC-EMC)、エチレンカーボネート-ジエチルカーボネート(EC-DEC)、エチレンカーボネート-ジメチルカーボネート(EC-DMC)、エチレンカーボネート-エチルメチルカーボネート(EC-EMC)、エチレンカーボネート-ジメチルカーボネート-エチルメチルカーボネート(EC-DMC-EMC)、エチレンカーボネート-ジメチルカーボネート-ジエチルカーボネート(EC-DMC-DEC)
・エーテル:テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン、ジメチルエーテル(OME)、1,4-ジオキサン(DX)、1,3-ジオキソラン(DOL)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DEGDME)、テトラエチルグリコールジメチルエーテル(TEGDME)
・ニトリル:アセトニトリル(ACN)、アジポニトリル(AON)、y-ブチロラクトン(GBL)。
【0051】
トリメチルホスフェート(TMP)、及びトリス(2,2,2-トリフルオロエチル)ホスフェート(TFP)も使用できる。
【0052】
好ましい導電性塩は、NaPF、ナトリウムジフルオロ(オキサラト)ボレート(NaBOB)、NaBF、ナトリウムビス(フルオロスルホニル)イミド(NaFSI)、ナトリウム2-トリフルオロメチル-4,5-ジシアノイミダゾール(NaTDI)、ナトリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(NaTFSI)、NaAsF、NaBF、NaClO、NaB(C、NaP(C、NaCFSO、ナトリウムトリフレート(NaTf)、及びEtNBFである。
【0053】
好ましい実施形態では、添加剤が電解質に添加されてもよい。特に安定化のための、好ましい添加剤の例は、以下の通りである。
【0054】
フルオロエチレンカーボネート(FEC)、トランスジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)、エチレンサルファイト(ES)、ビニレンカーボネート(VC)、ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)エーテル(BTFE)、ナトリウム2-トリフルオロメチル-4,5-ジシアノイミダゾール(NaTDI)、ナトリウムビス(フルオロスルホニル)イミド(NaFSI)、塩化アルミニウム(AlCl)、硫酸エチレン(DTD)、ジフルオロリン酸ナトリウム(NaPO)、ナトリウムジフルオロ(オキサラト)ボレート(NaODFB)、ナトリウムジフルオロビスオキサラトホスファート(NaDFOP)及びトリス(トリメチルシリル)ボレート(TMSB)。
【0055】
ナトリウムイオンベースのエネルギー貯蔵セルの負電極材料は、好ましくは、以下の材料のうちの少なくとも1種である:
・炭素:特に硬質炭素(純粋な、又は窒素及び/若しくはリンがドープされた)若しくは軟質炭素、又はグラフェン系材料(N型ドープ)、カーボンナノチューブ、黒鉛
・リン又は硫黄(変換アノード)
・ポリアニオン:NaTi、NaTi(PO、TiP、TiNb、Na-Ti-(PO、Na-V-(PO
・プルシアンブルー:Naが少ない変異体(水性電解質のシステムの場合)
・遷移金属酸化物:V、MnO、TiO、Nb、Fe、NaTi、NaCrTiO、NaTi12
・MXene:M=Ti、V、Cr、Mo又はNb、A=Al、Si及びGa、X=C及び/又はN、例えば、Ti
・有機物:例えば、Naテレフタレート(Na
【0056】
代わりに、ナトリウム金属アノードをアノード側に使用することもできる。
【0057】
ナトリウムイオンベースのエネルギー貯蔵セルの正電極材料は、以下の材料のうちの少なくとも1種を含み得る、又はそれらの少なくとも1種であり得る:
・ポリアニオン:NaFePO(トリフィライトタイプ)、NaFe(P)、NaFe(PO(P)、NaFePOF、Na/Na[Fe1/2Mn1/2]POF、Na(PO、Na(PO、Na(CoMnNi)(PO、NaCoPO、NaCoPO
・ケイ酸塩:NaMnSiO、NaFeSiO
・層状酸化物:NaCoO、NaFeO、NaNiO、NaCrO、NaVO、NaTiO、Na(FeCo)O、Na(NiFeCo)、Na(NiFeMn)O、及びNa(NiFeCoMn)O、Na(NiMnCo)O
【0058】
加えて、ナトリウムイオンセルの電極は、好ましくは、電気伝導率を改善するために、電極結合剤及び/又は添加剤を含み得る。活性材料は、好ましくは電極結合剤のマトリクス中に埋め込まれ、活性材料は、好ましくは粒子の形態で使用され、マトリクス中の隣接する粒子が、好ましくは互いに直接接触している。導電剤は、電極の電気伝導率を増加させる機能を有する。一般的な電極結合剤は、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、(Na-)ポリアクリレート、スチレンブタジエンゴム、(Na-)アルギネート若しくはカルボキシメチルセルロース、又は異なる結合剤の混合物を主成分とする。一般的な導電剤は、カーボンブラック、微細黒鉛、炭素繊維、カーボンナノチューブ及び金属粉末である。
【0059】
ナトリウムイオン技術に基づくエネルギー貯蔵セルの特に好ましい実施形態では、アノード集電体及びカソード集電体の両方がアルミニウム又はアルミニウム合金で構成される。ハウジング及び接触シート金属部材、並びにハウジング内のいかなる他の電流導体も、アルミニウム又はアルミニウム合金で構成することができる。
【0060】
ハウジングカップの好ましい壁厚
特に好ましくは、エネルギー貯蔵セルは、直下の特徴a.~c.のうちの少なくとも1つにより特徴付けられる:
a.ハウジングカップの半径方向内向きに曲げられた開口部エッジは、中央セクションにおけるハウジングカップの1.5~2倍の範囲の厚さを有する。
b.ハウジングカップは、中央セクションにおいて、0.1mm~0.4mmの範囲、好ましくは0.25mm~0.3mmの範囲の壁厚を有する。
c.ハウジングカップの半径方向内向きに曲げられた開口部エッジは、0.15mm~0.8mmの範囲、好ましくは0.375mm~0.6mmの範囲の壁厚を有する。
【0061】
直前の特徴a.及びb.並びにa.及びc.が、組み合わされて実現されることが好ましい。直前の特徴a.~c.の3つ全てが互いに組み合わされて実現されることが特に好ましい。ハウジングカップの底部は、好ましくは、0.2mm~2mmの範囲の厚さを有する。
【0062】
開口部エッジのより高い壁厚に関する好ましい変形形態
開口部エッジのより高い壁厚を実現するために、開口部エッジが形成されることを意図した領域を厚くした出発材料を、ハウジングカップの生産で既に使用できる。しかしながら、より大きな壁厚を実現するために、ハウジングカップの壁を曲げるか又は折り畳むことにより開口部エッジを補強することが特に好ましい。
【0063】
したがって、本発明による好ましい実施形態は、直下の特徴a.~c.のうちの少なくとも1つにより特徴付けられる:
a.ハウジングカップの半径方向内向きに曲げられた開口部エッジは、二層になっている。
b.二層の開口部エッジは、開口部エッジを折り畳むか又は曲げることにより形成される。
c.二層の開口部エッジは、特に直前の特徴b.に従って折り畳んだ又は曲げた結果として、U字形断面を有する。
【0064】
直前の特徴a.及びb.、特に好ましくは直前の3つの特徴a.~c.の全て、が組み合わされて実現されることが好ましい。
【0065】
二層開口部エッジを形成するために折り畳むこと又は曲げることは、外向きに又は内向きに行うことができる。この結果、二層開口部エッジの異なる変形形態がもたらされる。
【0066】
特に好ましくは、エネルギー貯蔵セルは、直下の特徴a.~c.のうちの少なくとも1つにより特徴付けられる:
a.二層開口部エッジは、蓋アセンブリのエッジを取り囲む、シールに直接接触する第1の層と、シールから離れる方向に向いた第1の層の面上の、第1の層に平行な第2層とを有する。
b.第1の層は、半径方向外側に向いたカットエッジにより境界を定められている。
c.第2の層は、半径方向外側に向いたカットエッジにより境界を定められている。
【0067】
直前の特徴a.及びb.又は直前の特徴a.及びc.が組み合わされて実現されることが好ましい。
【0068】
特徴a.及びb.を有する変形形態では、外側に面するカットエッジが腐食から保護されていることが特に有利である。なぜなら、このカットエッジが第2の層とカップの外壁とによってセルの環境から遮蔽されているからである。
【0069】
ハウジングカップは、好ましくはアルミニウム、アルミニウム合金、又は鋼板、例えばニッケルめっき鋼板から構成される。
【0070】
ハウジングカップ用の好適なアルミニウム合金は、タイプ1235、1050、1060、1070、3003、5052、Mg3、Mg212(3000シリーズ)、及びGM55のAl合金を含む。AlSi、AlCuTi、AlMgSi、AlSiMg、AlSiCu、AlCuTiMg、及びAlMgも好適である。これら合金のアルミニウム含有量は、好ましくは99.5%を超える。
【0071】
導体用の接触面
特に好ましくは、エネルギー貯蔵セルは、直下の特徴a.~d.のうちの少なくとも1つにより特徴付けられる:
a.半径方向内向きに曲げられた開口部エッジ、特に二層開口部エッジは、シールに直接接触している内側の第1の面と、シールから離れる方向に向いた第2の面とを備える。
b.第2の面は、環形状平坦面の形状を有する、又は環形状平坦面を含む。
c.環形状平坦面は、1mm~5mmの範囲、好ましくは1mm~3mmの範囲、特に好ましくは1.2mm~1.3mmの範囲の環幅を有するリングを形成する。
d.環形状平坦面は、中央セクションにおいて、ハウジングカップの壁に対して90°の角度を形成する。
【0072】
直前の特徴a.及びb.及びc.、又は直前の特徴a.及びb.及びd.、又は直前の特徴a.~d.は、互いに組み合わされて実現されることが好ましい。
【0073】
これらの好ましい実施形態では、半径方向内向きに曲げられた開口部エッジのサイズ及び平坦度を最適化することにより、金属電気導体、例えば金属アレスタバー又はレール上への溶接を容易にすることができる。したがって、環形状平坦面が、好ましくは、金属電気導体上への溶接のために使用される。
【0074】
溶接される電気導体に関しては、環形状平坦面が高精度の平坦度により特徴付けられていると特に有利である。本発明によるエネルギー貯蔵セルは、特に直下の特徴a.により特徴付けられる:
a.環形状平坦面の最も高い点と最も低い点との間に0.08mmの最大の高さ差異が存在する。
【0075】
逆もまた同様に、二層開口部エッジの第2の面上に位置する環形状平坦面は、好ましい実施形態では、環形状平坦面の最も高い点と最も低い点との間に0.08mmの最大の高さ差異が存在するという事実により定められる。すなわち換言すれば、好ましくは、この程度の平坦度が環形状平坦面の境界を定める。
【0076】
好ましくは、幅が26mm以下である直径を有するセルの場合、円形のリング状平坦面は、0.5mm~1.5mm、好ましくは1mm~1.5mmの範囲の環幅を有する環を形成する。
【0077】
好ましくは、幅が26mmを超える直径を有するセルの場合、円形のリング状平坦面は、0.8mm~3.5mm、好ましくは1mm~2.5mmの範囲の環幅を有する環を形成する。
【0078】
特に好ましい実施形態では、ハウジングカップの半径方向内向きに曲げられた開口部エッジは、環形状平坦面の領域のあらゆる場所において、より大きい壁厚を有する。ダイバータに溶接するために環形状平坦面が使用されるので、これは、このデリケートな領域においてシールの良好な遮蔽を確実にしている。
【0079】
ハウジングの好ましい実施形態
特に好ましくは、本発明によるエネルギー貯蔵セルは、直下の特徴a.~c.のうちの少なくとも1つにより特徴付けられる:
a.中央セクション及び閉鎖セクションは、ハウジングカップの外面を円周方向に取り囲む窪みによって分離されている。
b.ハウジングカップは、中央セクション及び閉鎖セクションにおいて同一の最大外径を有する。
c.窪みの領域では、ハウジングカップの外径は、この領域におけるハウジングカップの壁厚の4~12倍の量だけ低減されている。
【0080】
少なくとも直前の特徴a.及びb.が組み合わされて実現されることが好ましい。直前の特徴a.~c.の3つ全てが互いに組み合わされて実現されることが特に好ましい。
【0081】
好ましくは、環状シールは、閉鎖セクションにおいて圧縮されている。環状シールは、好ましくはポールキャップ及び/又は第1の金属ディスクの円形エッジに対して半径方向に押し付けられている。
【0082】
電極への電気的接触
上述したように、本発明は、高エネルギー密度により特徴付けられるエネルギー貯蔵セルを提供することを意図している。これは、例えば国際公開第2017/215900A1号パンフレットに記載されているように、巻回された電極がハウジングに効率的に接続している場合に特に可能である。
【0083】
特に好ましくは、本発明によるエネルギー貯蔵セルは、直下の特徴a.~e.のうちの少なくとも1つにより特徴付けられる:
a.電極-セパレータアセンブリのアノードは、第1の長手方向エッジと、これに平行な第2の長手方向エッジとを有する、アノード集電体を備える。
b.アノード集電体は、負電極材料の層が設けられた主領域と、第1の長手方向エッジに沿って延び負電極材料が設けられていない自由エッジストリップとを備える。
c.電極-セパレータアセンブリのカソードは、第1の長手方向エッジと、これに平行な第2の長手方向エッジとを有する、カソード集電体を備える。
d.カソード集電体は、正電極材料の層が設けられた主領域と、第1の長手方向エッジに沿って延び電極材料が設けられていない自由エッジストリップとを備える。
e.アノード及びカソードは、アノード集電体の第1の長手方向エッジが第1の端子端面から突出し、カソード集電体の第1の長手方向エッジが電極-セパレータアセンブリの第2の端子端面から突出するように、電極-セパレータアセンブリ内に配置されている。
【0084】
直前の特徴a.~e.の5つ全てが互いに組み合わされて実現されることが好ましい。
【0085】
この好ましい実施形態の更なる発展形態では、本発明によるエネルギー貯蔵セルは、直下の特徴a.~d.のうちの少なくとも1つにより特徴付けられることが好ましい:
a.エネルギー貯蔵セルは、アノード集電体の第1の長手方向エッジ上に載置され第1の端面を覆い溶接接続により第1の端面に接続された、又はカソード集電体の第1の長手方向エッジ上に載置され第2の端面を覆い溶接接続により第2の端面に接続された、接触シート金属部材を備える。
b.接触シート金属部材は、アノード集電体の第1の長手方向エッジ、又はカソード集電体の第1の長手方向エッジに溶接接続により接続されている。
c.接触シート金属部材は、特に溶接接続により、ハウジングカップの底部に接続されている。
d.接触シート金属部材プレートは、蓋アセンブリに電気的に接続されている。
【0086】
少なくとも直前の特徴a.~c.又は特徴a.及びb.及びd.が組み合わされて実現されることが好ましい。
【0087】
いくつかの特に好ましい実施形態では、エネルギー貯蔵セルは、アノード集電体の第1の長手方向エッジ上に位置し溶接接続によってそれに接続された接触シート金属部材と、カソード集電体の第1の長手方向エッジ上に位置し溶接接続によってそれに接続された更なる接触プレートとを備える。
【0088】
予想される更なる発展形態では、本発明によるエネルギー貯蔵セルは、以下の特徴a.により特徴付けられることが好ましい:
a.アノード集電体の第1の長手方向エッジ又はカソード集電体の第1の長手方向エッジは、ハウジングカップの底部上に直接着座し、溶接接続により底部に接続されている。
【0089】
この実施形態では、集電体のうちの1つが、ハウジング又はハウジングカップに直接接続している。この実施形態の好ましい変形形態では、接触シート金属部材が、他の集電体の長手方向エッジ上に載置されている又は載っている。次いで、この接触シート金属部材は、蓋アセンブリに電気的に接続される。
【0090】
接触シート金属部材の好ましい実施形態
本発明の特に好ましい実施形態では、アノード集電体に電気的に接続している接触シート金属部材は、直下の特徴a.及びb.のうちの少なくとも1つによって特徴付けられる:
a.接触シート金属部材は、ニッケル若しくは銅若しくはチタン、又はニッケル若しくは銅若しくはチタン合金、又はステンレス鋼、例えば、タイプ1.4303又は1.4404、又はタイプSUS304、又はニッケルめっきされた銅から構成される。
b.接触シート金属部材は、アノード集電体と同じ材料から構成される。
【0091】
本発明の更なる特に好ましい実施形態では、カソード集電体に電気的に接続している接触シート金属部材は、直下の特徴a.及びb.のうちの少なくとも1つによって特徴付けられる:
a.接触シート金属部材は、アルミニウム又はアルミニウム合金から構成される。
b.接触シート金属部材は、アノード集電体と同じ材料から構成される。
【0092】
特に好ましくは、アノード集電体に電気的に接続している接触シート金属部材又はカソード集電体に電気的に接続している接触シート金属部材は、以下の特徴a.~g.のうちの少なくとも1つにより特徴付けられる:
a.接触シート金属部材は、50μm~600μmの範囲の、好ましくは150μm~350μmの範囲の、好ましくは均一な厚さを有する。
b.接触シート金属部材は、2つの反対側の平坦面を有し、基本的に1次元にだけ延びている。
c.接触シート金属部材は、ディスク又はプレート、例えば円形プレート又は多角形プレートである。
d.接触シート金属部材は、第1の端子端面の又は第2の端子端面の少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、特に好ましくは少なくとも80%を覆うように寸法決めされている。
e.接触シート金属部材は、少なくとも1つのアパーチャ、具体的には少なくとも1つの穴及び/又は少なくとも1つのスロットを備える。
f.接触シート金属部材は少なくとも1つのビードを有し、ビードは、接触シート金属部材の一方の平坦面上に細長い窪みとして、そして反対側の平坦面上に細長い隆起として現れる。そのような接触シート金属部材は、細長い隆起を保持する平坦面が、対応する集電体の第1の長手方向エッジ上に載置されていること又は載っていることが好ましい。
g.接触シート金属部材は、特にビードにおける1つ以上の溶接シーム又は溶接スポットを介して、1つのビードの領域又は複数のビードのうちの1つのビードの領域における対応する集電体の第1の長手方向エッジに溶接される。
【0093】
直前の特徴a.及びb.及びd.は、互いに組み合わされて実現されることが特に好ましい。好ましい実施形態では、特徴a.及びb.及びd.は、特徴c.若しくはe.、又は特徴f.及びg.のうちの1つと組み合わされて実現される。特に好ましくは、全ての特徴a.~g.が組み合わされて実現される。
【0094】
端面のできるだけ多くをカバーすることが、本発明によるエネルギー貯蔵セルの熱管理にとって重要である。カバーが大きいほど、対応する集電体の第1の長手方向エッジの大部分に接触すること、又は更にその全長にわたって接触することがより容易になる。したがって、電極-セパレータアセンブリにおいて生成された熱を、接触シート金属部材を介して良好に散逸させることができる。
【0095】
いくつかの実施形態では、接触シート金属部材が上に配置される前に、集電体の長手方向エッジに前処理を施すことが有利であることが判明している。具体的には、少なくとも1つの窪みを長手方向エッジに折り込むことができ、これは第1の端子端面に面する接触プレートの平らな面上の少なくとも1つのビード又は細長い隆起に対応する。
【0096】
集電体の長手方向エッジは、前処理により、指向性を伴う成形が施されている場合がある。例えば、長手方向エッジは、所定の方向に曲げられ得る。
【0097】
接触シート金属部材の少なくとも1つのアパーチャは、例えば、電極-セパレータアセンブリを電解質に含浸させることに有用であり得る。
【0098】
集電体及びセパレータの好ましい実施形態
本発明によるセルのアノード集電体、カソード集電体、及びセパレータは、好ましくは以下の寸法を有する:
・0.5m~25mの範囲の長さ
・40mm~145mmの範囲の幅。
【0099】
電極-セパレータアセンブリでは、リボン状アノード、リボン状カソード、及びリボン状セパレータは、好ましくは、螺旋状に巻回される。リボン状の電極-セパレータアセンブリを生産するため、リボン状電極及びリボン状セパレータを巻回デバイスに供給することができ、それらは巻回デバイスにおいて、好ましくは巻回軸の周囲に螺旋状に巻回される。高温において電極及びセパレータを接合させること又は接触させることは一般に必要ではない。いくつかの実施形態では、電極及びセパレータ(単数又は複数)は、例えば円筒状又は中空円筒状の巻回コアに巻回され、巻回コアは、巻回マンドレル上に着座して、巻回後に巻回体内に残っている。
【0100】
巻回体のシェル(巻回シェル)は、例えば、プラスチックフィルム又は粘着テープにより形成され得る。巻回シェルは、セパレータの1回以上の巻回により形成されることも可能である。
【0101】
本発明によるエネルギー貯蔵セルの集電体は、対応する電極材料中に含まれる電気化学的活性成分に、可能な限り広い面積にわたって電気的に接触する機能を有する。好ましくは、集電体は、金属で構成されている、又は少なくとも表面が金属化されている。
【0102】
本発明のリチウムイオンセルの場合、アノード集電体用の好適な金属は、銅若しくはニッケル、又は他の導電性材料、特に銅とニッケルとの合金、又はニッケル被覆金属である。具体的には、少なくとも99.9%の銅含有量を有するEN CW-004A又はEN CW-008Aのタイプの材料が、銅合金として使用できる。NiFe、NiCu、CuNi、NiCr及びNiCrFeのタイプの合金が、特にニッケル合金として好適である。NiFe、NiCu、CuNi、NiCr及びNiCrFeのタイプの合金が、特にニッケル合金として好適である。ステンレス鋼、例えばタイプ1.4303若しくは1.4404又はタイプSUS304も考慮することができる。
【0103】
リチウムイオンセルの場合、アルミニウム、又はアルミニウム合金を含む他の導電性材料が、カソード集電体用の金属として特に好適である。
【0104】
カソード集電体用の好適なアルミニウム合金は、例えば、タイプ1235、1050、1060、1070、3003、5052、Mg3、Mg212(3000シリーズ)、及びGM55のAl合金を含む。AlSi、AlCuTi、AlMgSi、AlSiMg、AlSiCu、AlCuTiMg、及びAlMgも好適である。これら合金のアルミニウム含有量は、好ましくは99.5%を超える。
【0105】
好ましくは、アノード集電体及び/又はカソード集電体はそれぞれ、4μm~30μmの範囲の厚さを有するリボン状の金属箔である。
【0106】
しかしながら、箔に加えて、他のストリップ状基材、例えば、金属の若しくは金属化された不織布、又は開放気孔金属発泡体、又はエキスパンドメタルも集電体として使用できる。
【0107】
集電体は、好ましくは、対応する電極材料が両面に設けられている。
【0108】
セパレータ(単数又は複数)の長手方向エッジが、電極-セパレータアセンブリの端面を形成することが好ましい。
【0109】
蓋アセンブリの好ましい実施形態
本発明によるセルは、好ましくは、CID機能が蓋アセンブリに組み込まれるという事実により特徴付けられ、これにより、セル内の圧力が高過ぎる場合に、ハウジングから圧力が逃げることができ、同時に、蓋アセンブリと電極-セパレータアセンブリとの間の電気的接触が遮断されることが確実になる。
【0110】
特に好ましくは、本発明によるエネルギー貯蔵セルは、それに応じて、直下の特徴a.及びb.のうちの少なくとも1つにより特徴付けられる:
a.蓋アセンブリの第1の金属ディスクは、ハウジング内部で特定の過剰な圧力が生じたときに、外向きに隆起するか又は破裂する金属膜を含む。
b.膜を有する、蓋アセンブリの第1の金属ディスクは、アノード集電体又はカソード集電体に電気的に接続している電気導体に電気的に接触している。
【0111】
直前の特徴a.及びb.が組み合わされて実現されることが好ましい。
【0112】
シールの予想される設計
加えて、シールに対する溶接プロセスの影響を制限するために、シーリング材料として特に耐熱プラスチックを使用することが好ましい。
【0113】
この好ましい実施形態の更なる発展形態では、それに応じて、本発明によるエネルギー貯蔵セルが以下の特徴a.及びb.のうちの少なくとも1つによって特徴付けられることが好ましい:
a.シールは、200℃を超える融点、好ましくは300℃を超える融点、特に好ましくは300℃を超え且つ350℃を下回る融点を有するプラスチック材料から構成される。
b.プラスチック材料は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、又はポリアミド(PA)、又はポリフタルアミド(PPA)、又はポリブチレンテレフタレート(PBT)、又はパーフルオロアルコキシポリマー(PFA)、又はエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)である。
【0114】
直前の特徴a.及びb.が組み合わされて実現されることが好ましい。
【0115】
本発明によるエネルギー貯蔵セルのアセンブリ
本発明によるエネルギー貯蔵セルのアセンブリは、以下の特徴により特徴付けられる:
a.アセンブリは、上述したエネルギー貯蔵セルのうちの少なくとも2つを備え、
b.アセンブリは、少なくとも2つのエネルギー貯蔵セルのハウジングカップの半径方向内向きに曲げられた開口部エッジに溶接により接続された、金属で作製された少なくとも1つの電気導体を備える。
【0116】
少なくとも1つの導体は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金で作製された導体、具体的にはレールであり得る。
【0117】
導体用の好適なアルミニウム合金は、タイプ1235、1050、1060、1070、3003、5052、Mg3、Mg212(3000シリーズ)、及びGM55のAl合金を含む。AlSi、AlCuTi、AlMgSi、AlSiMg、AlSiCu、AlCuTiMg、及びAlMgも好適である。これら合金のアルミニウム含有量は、好ましくは99.5%を超える。
【0118】
いくつかの好ましい実施形態では、導体は、2~5mmの範囲の厚さ、特に好ましくは3.5mmの厚さを有する、例えばアルミニウムで作製された、金属シートストリップである。
【図面の簡単な説明】
【0119】
本発明の更なる特徴及び利点が、請求項から、及び以下の本発明の好ましい実施形態の説明を図面と併せることにより明らかである。図示する特徴は、個々に又は他の特徴と組み合わせて実現されてもよい。
図1】本発明によるエネルギー貯蔵セルの全体図(断面図)を示す。
図2】本発明によるエネルギー貯蔵セルの一部であり得る電極-セパレータアセンブリ、及びその構成要素を示す。
図3】溶接接続によりハウジングに接続された2つの電気導体を有する、本発明によるエネルギー貯蔵セルを示す。
図4図3による溶接シームの拡大図である。
図5図1に示す本発明によるセルの蓋の上面図である。
図6】本発明によるシールを備える本発明による蓋アセンブリを通る断面図を示す。
図7図6に示すような蓋アセンブリによって閉じられたハウジングを通る断面を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0120】
図1は、端子円形開口部を有する金属ハウジングカップ101と、円形開口部を閉鎖する、円形エッジ102aを有する蓋アセンブリ102とを備える、気密且つ液密のハウジングを有する、本発明によるエネルギー貯蔵セル100を示す。セルは、電気絶縁材料で作製された環状シール103を更に備え、シールは、蓋アセンブリ102の円形エッジ102aを包囲し、ハウジングカップ101と蓋アセンブリ102とを互いに電気的に絶縁している。ハウジングカップ101は、軸方向のシーケンスで底部101a、中央セクション101b、及び閉鎖セクション101cを備え、中央セクション101bは円筒状であり、中央セクション101bでは、巻回体として形成されている電極-セパレータアセンブリ104の巻回シェル104cがハウジングカップ101の内面に接触しており、閉鎖セクション101cでは、環状シール103が蓋アセンブリ102とハウジングカップ101の内面とに圧接している。閉鎖セクション101cでは、ハウジングカップ101は、円形開口部を画定する開口部エッジ101dを有し、開口部エッジは、シール103により包囲された蓋アセンブリ102のエッジ102aを覆って半径方向内向きに曲げられており、シール103を含めて、蓋アセンブリ102をハウジングカップ101の円形開口部内に確実に固定している。ハウジングカップ101の半径方向内向きに曲げられた開口部エッジ101dは、中央セクション101bにおけるハウジングカップ101よりも大きい壁厚を有する。その結果、シール103に損傷を与えることなく開口部エッジ101d上に溶接プロセスを実施することが可能である。
【0121】
シールは、アンダーカットを備えるノーズ133を有する。ノーズは、シールと共に圧縮され、したがって変形し、アンダーカットにより形成される凹部の中に押し込まれる(図6を参照)。
【0122】
セル100はまた、アノード/セパレータ/カソードのシーケンスを有する、円筒状巻回体の形の電極-セパレータアセンブリ104を備えるが、これはここでは概略的にのみ示される。電極-セパレータアセンブリ104の端面104aから突出する、アノード集電体106の長手方向エッジ106a、及び電極-セパレータアセンブリ104の端面104bから突出する、アノード集電体109の長手方向エッジ109aだけが見える。長手方向エッジ106aは、好ましくはその長さ全体にわたって、ハウジング底部101aに直接溶接されている。長手方向エッジ109aは、好ましくはその長さ全体にわたって、プレート状の接触シート金属部材112に直接溶接されている。プレート状の接触シート金属部材112は次いで、電気導体118を介して蓋アセンブリ102に接続しており、それについては以下でより詳細に説明する。
【0123】
セル100は、好ましくは、60mm~10mmの範囲の高さを有し、その直径は、好ましくは、20mm~50mmの範囲にある。ハウジングカップ101は、好ましくは、中央セクション101bにおいて0.1mm~0.3mmの範囲の壁厚を有する。ハウジングカップ101の半径方向内向きに曲げられた開口部エッジ101dは、好ましくは、中央セクション101bにおけるハウジングカップ101の1.5~2倍の範囲の厚さを有する。開口部エッジは、シール103と直接接触している内側の第1の面と、シール103から離れる方向に向いた第2の面とを備える。第2の面は、環形状平坦面101pを備える。これにより、0.8mm~3mmの範囲の好ましい環幅を有する環が形成され、中央セクション101bにおけるハウジングカップ101の壁に対して90°の角度が形成される。環形状平坦面の最も高い点と最も低い点との間に0.08mmの最大の高さ差異が存在する。
【0124】
電極-セパレータアセンブリ104の構造は、図2を参照して示される。アセンブリ104は、リボン状のアノード集電体106を有するリボン状のアノード105を備え、アノード集電体は、第1の長手方向エッジ106aと、それに平行な第2の長手方向エッジとを有する。アノード集電体106は、銅又はニッケルで作製された箔である。アノード集電体は、負電極材料107の層が設けられたストリップ状の主領域と、その第1の長手方向エッジ106aに沿って延び電極材料107が設けられていない自由エッジストリップ106bとを備える。更に、アセンブリ104は、リボン状のカソード集電体109を有するリボン状のカソード108を備え、カソード集電体109は、第1の長手方向エッジ109aと、それに平行な第2の長手方向エッジとを有する。カソード集電体109は、アルミ箔である。カソード集電体は、正電極材料110の層が設けられたストリップ状の主領域と、その第1の長手方向エッジ109aに沿って延び電極材料110が設けられていない自由エッジストリップ109bとを備える。両方の電極が、巻回されていない状態で個々に示される。
【0125】
アノード105及びカソード108は、アノード集電体106の第1の長手方向エッジ106aが第1の端子端面104aから突出し、カソード集電体109の第1の長手方向エッジ109aが電極-セパレータアセンブリ104の第2の端子端面104bから突出するように、電極-セパレータアセンブリ104内で互いにオフセットされて配置されている。左下の図にオフセット構成が見える。そこには、2つのリボン状セパレータ156及び157も示され、それは巻回体において電極105及び108を互いに分離している。
【0126】
右下の図では、電極-セパレータアセンブリ104は、例えば図1及び図3のうちの1つに従ってエネルギー貯蔵セル内で使用できるように、巻回形態で示されている。端面104a及び104bから突出しているエッジ106a及び109aが明瞭に視認できる。巻回シェル104cは、好ましくはプラスチックフィルムにより形成される。
【0127】
図3は、2つの溶接された電気導体140及び141を有する、図1による設計を有するエネルギー貯蔵セル100を示す。電気導体140及び141の各々が金属から構成され、溶接によりエネルギー貯蔵セル100のハウジングカップの半径方向内向きに曲げられた開口部エッジに接続されている。電気導体140及び141の両方が、開口部エッジの環形状平坦面101p上に溶接されている。エネルギー貯蔵セル100は、電気導体140及び141を介して、同じタイプの隣接セルに接続され得る。
【0128】
セル分析が、平坦面101pの下に位置するシールが溶接プロセスによって損傷を受けなかったことを示した。
【0129】
図4は、ハウジングカップの内向きに曲げられた開口部エッジの下面を示し、その上面上に電気導体が本発明に従って溶接されている。2つの溶接シーム(142a及び142b、並びに142c及び142d)が、互いに平行に配置されている。溶接シームは各々が、互いに平行に走るいくつかの個々の溶接シームから形成される。そのような溶接シームは、レーザーを使用して、特に効率的に形成できる。
【0130】
図5は、図1に示すエネルギー貯蔵セルの蓋構成要素の上面図を示す。環形状平坦面101p、並びにシール103のエッジ及びポールキャップ117が見える。環形状平坦面101pの領域では、環形状平坦面の最も高い点と最も低い点との間に0.08mmの最大の高さ差異が存在する。表面101pは、内向きに曲げられた開口部エッジの内側エッジまで延び、その下ではシール103が突出している。平坦面101pは、外側の方で湾曲領域101kに隣接している。
【0131】
図6に示す蓋アセンブリ102は、ポールキャップ117と、第1の金属ディスク113と、第2の金属ディスク115と、環状シール103と、環状絶縁体116とを備える。第1の金属ディスク113は、ポールキャップ117と第2の金属ディスク115との間に配置される。環状絶縁体116は、第1の金属ディスク113を第2の金属ディスク115から電気的に絶縁するのに対して、第1の金属ディスク113はポールキャップ117に直接接触している。
【0132】
環状シール103は、第1の金属ディスク113の円形エッジ上に取り付けられ、円形エッジは、ポールキャップ117のエッジの周囲にU字形に折り畳まれている。
【0133】
シール103は、外側環状セグメント130を備え、外側環状セグメントは、その下側端部が開いて、内側に向いたカラー131の中へと続き、カラーはこの端部にて外側環状セグメント130を狭めている。カラー131は内側エッジ131aを有し、内側エッジは内側環状セグメント132の中まで続き、内側環状セグメントは外側環状セグメント130よりも小さい直径を有する。外側環状セグメント130は、アンダーカット132を備える内側に向いた円周ノーズ133を有する。
【0134】
ポールキャップ117のエッジの周囲に折り畳まれた、第1の金属ディスク113のU字形エッジは、カラー131上に着座し、ノーズ133により所定位置に保持されている。
【0135】
図7による断面写真は、図6による蓋アセンブリの閉鎖セクションを組み立てた状態で示す。ハウジングカップ101のエッジは、内向きに曲がっていて、蓋アセンブリを、ポールキャップ117、第1の金属ディスク113及び第2の金属ディスク115並びに環状絶縁体116に固定している。シール103は、閉鎖セクションにおいて圧縮されている。シールは、好ましくは、第1の金属ディスク113の円形のU字形エッジに対して下から及び上から並びに半径方向に押し付けられている。カラー131及び内側環状セグメント132も、明瞭に視認できる。環状セグメント132は、下に引っ張られて、窪み111を内面に向かって遮蔽している。アンダーカット132により形成される凹部もここで視認でき、凹部はノーズ133により部分的に満たされ、ノーズはシールの圧縮及び曲げの結果として変形しており、それが、ここで明瞭に視認できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2024-09-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギー貯蔵セル(100)の蓋アセンブリ(102)用の環状シール(103)であって、特徴:
a.前記環状シールは、外側環状セグメント(130)を備えること、
b.前記外側環状セグメント(130)は、前記外側環状セグメントの2つの端部のうちの1つの端部において、内側に面するカラー(131)の中へと続き、前記カラーは前記1つの端部において前記外側環状セグメント(130)を狭めていること、及び、
c.前記カラー(131)は、内側環状セグメント(132)の中まで続く内側エッジ(131a)を有すること、
を有し、それにより、
d.前記外側環状セグメント(130)は、アンダーカット(132)を備える内側に向いた円周ノーズ(133)を有すること、
を有する、環状シール(103)。
【請求項2】
以下の追加の特徴:
a.前記外側環状セグメント(130)は、中空円筒状であること、
b.前記内側環状セグメント(132)は、中空円筒状である又は円錐状の先細りであること、
c.前記アンダーカット(132)は、環状の溝様の凹部として設計されること、
d.前記ノーズ(133)は、前記外側環状セグメント(130)の内面上の環状隆起部として形成されること、
e.前記アンダーカット(132)を備える前記ノーズ(133)は、前記外側環状セグメント(130)を中央部分セグメント(130a)及び端子部分セグメント(130b)に分割すること、
f.前記カラー(131)は、前記カラーの内面上に環状隆起部(134)を有すること、
のうちの少なくとも1つを有する、請求項1に記載の環状シール。
【請求項3】
エネルギー貯蔵セル(100)の蓋アセンブリ(102)であって、以下の特徴:
a.前記蓋アセンブリは、円形エッジを有するポールキャップ(117)を備えること、
b.前記蓋アセンブリは、円形エッジを有する第1の金属ディスク(113)を備えること、
c.前記蓋アセンブリは、円形エッジを有する第2の金属ディスク(115)を備えること、
d.前記蓋アセンブリは、環状シール(103)を備えること、及び、
e.前記蓋アセンブリは、環状絶縁体(116)を備えること、
を有し、それにより、
f.前記第1の金属ディスク(113)は、前記ポールキャップ(117)と前記第2の金属ディスク(115)との間に配置されること、
g.前記環状絶縁体(116)は、前記第1の金属ディスク(113)及び前記第2の金属ディスク(115)を互いに電気的に絶縁すること、
h.前記第1の金属ディスク(113)は、前記ポールキャップ(117)に直接接触していること、及び、
i.前記環状シール(103)は、前記ポールキャップ(117)の前記円形エッジ上及び/又は前記第1の金属ディスク(113)の前記円形エッジ上に取り付けられていること、
を有し、
j.前記シールは、請求項1又は2に従って形成されること、
k.前記ポールキャップ(117)の前記円形エッジ及び/又は前記第1の金属ディスク(113)の前記円形エッジは、カラー(131)上に載置されていること、及び、
l.ノーズ(133)により所定位置に保持されていること、
を特徴とする蓋アセンブリ(102)。
【請求項4】
以下の追加の特徴:
a.前記環状シール(103)は、前記第1の金属ディスク(113)の前記円形エッジ上に取り付けられていること、
b.前記環状シール(103)は、前記ポールキャップ(117)の前記円形エッジ上に取り付けられていること、
c.前記環状シール(103)は、前記ポールキャップ(117)の前記円形エッジ上及び前記第1の金属ディスク(113)の前記円形エッジ上に取り付けられていること、
d.前記第1の金属ディスク(113)の前記円形エッジは、前記ポールキャップ(117)の前記円形エッジの周囲にU字形に折り畳まれていること、
のうちの1つを有する、請求項3に記載の蓋アセンブリ(102)。
【請求項5】
エネルギー貯蔵セル(100)であって、以下の特徴:
a.前記エネルギー貯蔵セルは、アノード(105)/セパレータ(116)/カソード(108)のシーケンスを有する電極-セパレータアセンブリ(104)を備えること、
b.前記電極-セパレータアセンブリ(104)は、第1の端子端面(104a)及び第2の端子端面(104b)を有し、それらの間に位置する巻回シェル(104c)を有する、円筒状巻回体の形であること、
c.前記エネルギー貯蔵セルは、端子円形開口部を有する金属ハウジングカップ(101)と、前記円形開口部を閉じる、円形エッジ(102a)を有する蓋アセンブリ(102)とを備える、気密且つ液密にシールされたハウジングを備えること、
d.前記蓋アセンブリ(102)は、請求項1又は2に従って形成されること、
e.前記ハウジングカップ(101)は、軸方向のシーケンスで底部(101a)、中央セクション(101b)、及び閉鎖セクション(101c)を備え、
前記中央セクション(101b)は円筒状であり、前記中央セクション(101b)では、前記電極-セパレータアセンブリ(104)の前記巻回シェル(104c)が前記ハウジングカップ(101)の内面に接触しており、
前記閉鎖セクション(101c)では、前記蓋アセンブリの環状シール(103)が、ポールキャップ(117)のエッジ及び/又は第1の金属ディスク(113)のエッジ、並びに前記ハウジングカップ(101)の前記内面に圧接していること、及び、
f.前記ハウジングカップ(101)は、前記閉鎖セクション(101c)において、前記端子円形開口部を画定する開口部エッジ(101d)を有し、前記開口部エッジは、前記シール(103)により包囲された前記ポールキャップ(117)及び/又は前記第1の金属ディスク(113)の前記エッジを覆って半径方向内向きに曲げられており、前記蓋アセンブリ(102)を、前記シール(103)を含めて、前記ハウジングカップ(101)の前記円形開口部内に確実に固定していること、
を有するエネルギー貯蔵セル(100)。
【請求項6】
以下の追加の特徴:
a.前記ハウジングカップ(101)の半径方向内向きに曲げられた前記開口部エッジ(101d)は、前記中央セクション(101b)における前記ハウジングカップ(101)よりも大きい壁厚を有すること、
を有する、請求項5に記載のエネルギー貯蔵セル(100)。
【請求項7】
以下の追加の特徴:
a.前記中央セクション(101b)及び前記閉鎖セクション(101c)は、前記ハウジングカップ(101)の外面を円周方向に取り囲む窪み(111)によって分離されていること、
b.前記ハウジングカップ(101)は、前記中央セクション(101b)及び前記閉鎖セクション(101c)において同一の最大外径を有すること、
c.前記窪み(111)の領域では、前記ハウジングカップ(101)の前記外径は、前記領域における前記ハウジングカップ(101)の前記壁厚の4~12倍の量だけ低減されていること、
のうちの少なくとも1つを有する、請求項5に記載のエネルギー貯蔵セル。
【請求項8】
以下の追加の特徴:
a.前記電極-セパレータアセンブリ(104)の前記アノード(105)は、第1の長手方向エッジ(106a)と、これに平行な第2の長手方向エッジとを有する、アノード集電体(106)を備えること、
b.前記アノード集電体(106)は、負電極材料の層(107)が設けられた主領域と、前記第1の長手方向エッジ(106a)に沿って延び前記負電極材料が設けられていない自由エッジストリップと、を備えること、
c.前記電極-セパレータアセンブリ(104)の前記カソード(108)は、第1の長手方向エッジ(109a)と、これに平行な第2の長手方向エッジとを有する、カソード集電体(109)を備えること、
d.前記カソード集電体(109)は、正電極材料(110)の層が設けられた主領域と、前記第1の長手方向エッジ(109a)に沿って延び前記電極材料(110)が設けられていない自由エッジストリップとを備えること、
e.前記アノード(105)及び前記カソード(108)は、前記アノード集電体(106)の前記第1の長手方向エッジ(106a)が前記第1の端子端面(104a)から突出し、前記カソード集電体(108)の前記第1の長手方向エッジ(109a)が前記電極-セパレータアセンブリ(104)の前記第2の端子端面(104b)から突出するように、前記電極-セパレータアセンブリ(104)内に配置されていること、
のうちの少なくとも1つを有する、請求項5に記載のエネルギー貯蔵セル。
【請求項9】
以下の追加の特徴:
a.前記エネルギー貯蔵セルは、前記アノード集電体の前記第1の長手方向エッジ上に載置され前記第1の端子端面を覆い溶接接続により前記第1の端子端面に接続された、又は前記カソード集電体(109)の前記第1の長手方向エッジ(109a)上に載置され前記第2の端子端面(104b)を覆い溶接接続により前記第2の端子端面に接続された、接触シート金属部材(112)を備えること、
b.前記接触シート金属部材(112)は、前記アノード集電体の前記第1の長手方向エッジ、又は前記カソード集電体(109)の前記第1の長手方向エッジ(109a)に、溶接接続により接続されていること、
c.前記接触シート金属部材(112)は、前記ハウジングカップの前記底部に接続されていること、
d.前記接触シート金属部材(112)は、前記蓋アセンブリに電気的に接続されていること、
のうちの少なくとも1つを有する、請求項8に記載のエネルギー貯蔵セル。
【請求項10】
以下の追加の特徴:
a.前記アノード集電体(106)の前記第1の長手方向エッジ(106a)又は前記カソード集電体の前記第1の長手方向エッジは、前記ハウジングカップ(101)の前記底部(101a)上に直接着座し、溶接接続により前記底部に接続されていること、
のうちの少なくとも1つを有する、請求項8に記載のエネルギー貯蔵セル。
【請求項11】
以下の追加の特徴:
a.前記蓋アセンブリ(102)の前記ディスク(113)は、前記ハウジング内で特定の過剰な圧力が生じた場合、外向きに隆起するか又は破裂する金属膜(114)を含むこと、
b.前記膜(114)を有する前記ディスク(113)は、前記アノード集電体又は前記カソード集電体(109)に電気的に接続している電気導体(118)に電気的に接触していること、
のうちの少なくとも1つを有する、請求項5に記載のエネルギー貯蔵セル。
【請求項12】
以下の追加の特徴:
a.前記シール(103)は、200℃を超える融点を有するプラスチック材料から構成されること、
b.前記プラスチック材料は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)であること、
のうちの少なくとも1つを有する、請求項1または2に記載のシール。
【請求項13】
a.前記シール(103)は、200℃を超える融点を有するプラスチック材料から構成されること、
b.前記プラスチック材料は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)であること、
のうちの少なくとも1つを有する、請求項3に記載の蓋アセンブリ。
【請求項14】
a.前記シール(103)は、200℃を超える融点を有するプラスチック材料から構成されること、
b.前記プラスチック材料は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)であること、
のうちの少なくとも1つを有する、請求項5に記載のエネルギー貯蔵セル。
【請求項15】
エネルギー貯蔵セルのアセンブリであって、以下の特徴:
a.前記アセンブリは、請求項5に記載のエネルギー貯蔵セル(100)を少なくとも2つ備えること、
b.前記アセンブリは、前記少なくとも2つのエネルギー貯蔵セルの前記ハウジングカップの半径方向内向きに曲げられた前記開口部エッジに溶接接続により接続された、金属で作製された電気導体を備えること、
を有するエネルギー貯蔵セルのアセンブリ。
【外国語明細書】