(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174827
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】車両用エアスプリングのためのスリーブ
(51)【国際特許分類】
F16F 9/32 20060101AFI20241210BHJP
【FI】
F16F9/32 V
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024086307
(22)【出願日】2024-05-28
(31)【優先権主張番号】10-2023-0072335
(32)【優先日】2023-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0131036
(32)【優先日】2023-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】517378083
【氏名又は名称】イルジン・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100179648
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 咲江
(74)【代理人】
【識別番号】100222885
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 康
(74)【代理人】
【識別番号】100140338
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100227695
【弁理士】
【氏名又は名称】有川 智章
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【弁理士】
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100219313
【弁理士】
【氏名又は名称】米口 麻子
(74)【代理人】
【識別番号】100161610
【弁理士】
【氏名又は名称】藤野 香子
(74)【代理人】
【識別番号】100206586
【弁理士】
【氏名又は名称】市田 哲
(72)【発明者】
【氏名】ジョン セウン
(72)【発明者】
【氏名】ソ ジョンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】キム ビョンファン
(72)【発明者】
【氏名】キム サンウ
【テーマコード(参考)】
3J069
【Fターム(参考)】
3J069AA01
3J069AA27
3J069AA30
3J069DD39
3J069DD47
(57)【要約】 (修正有)
【課題】車両用エアスプリングのスリーブの耐久性が向上すると共に部品簡素化により製造費用を減らすことができる、車両用エアスプリングのためのスリーブを提供する。
【解決手段】本発明の一実施例に係る車両用エアスプリングのためのスリーブは、少なくとも第1スリーブ(520)と第2スリーブ(540)を含み、前記第1スリーブ(520)は両終端が開放されて第1円周部分(522)と第2円周部分(524)を含み、前記第2スリーブ(540)は一終端が開放されて第3円周部分(542)を含んで前記第2スリーブ(540)の第3円周部分(542)は前記第1スリーブ(520)の第2円周部分(524)に結合され、前記第2スリーブ(540)の前記一終端の反対側の終端は閉鎖構造(544)で形成され得る。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用エアスプリングのためのスリーブ(500)であり、
前記スリーブ(500)は少なくとも第1スリーブ(520)と第2スリーブ(540)を含み、
前記第1スリーブ(520)は両終端が開放されて第1円周部分(522)と第2円周部分(524)を含み、
前記第2スリーブ(540)は一終端が開放されて第3円周部分(542)を含んで前記第2スリーブ(540)の前記第3円周部分(542)は前記第1スリーブ(520)の前記第2円周部分(524)に結合され、
前記第2スリーブ(540)の前記一終端の反対側の終端は閉鎖構造(544)で形成される、車両用エアスプリングのためのスリーブ。
【請求項2】
前記第1スリーブ(520)は上部スリーブであり、前記第2スリーブ(540)は下部スリーブであり、
前記第1スリーブ(520)の前記第1円周部分(522)はトップマウント部に結合され、
前記第2スリーブ(540)の反対側の終端の閉鎖構造(544)の外面はエンドキャップに結合される、請求項1に記載の車両用エアスプリングのためのスリーブ。
【請求項3】
前記閉鎖構造(544)は前記第2スリーブ(540)の前記一終端の反対側の終端を閉鎖する円板(546)を含む、請求項2に記載の車両用エアスプリングのためのスリーブ。
【請求項4】
前記閉鎖構造(544)は前記円板(546)から突出して形成される補強部(548)をさらに含む、請求項3に記載の車両用エアスプリングのためのスリーブ。
【請求項5】
前記補強部(548)はバーであり、両終端のそれぞれは前記第2スリーブ(540)の内側面と連結される、請求項4に記載の車両用エアスプリングのためのスリーブ。
【請求項6】
前記補強部(548)は複数のバーであり、前記複数のバーのそれぞれが前記円板の中心を通り前記複数のバーが前記第2スリーブ(540)の内側面と連結される地点は前記内側面の周りに沿って同一間隔で離隔して配置される、請求項5に記載の車両用エアスプリングのためのスリーブ。
【請求項7】
前記第1スリーブ(520)および前記第2スリーブ(540)のうち一つはローブを形成する領域を含むように構成される、請求項1に記載の車両用エアスプリングのためのスリーブ。
【請求項8】
前記第1スリーブ(520)と前記第2スリーブ(540)は熱可塑性プラスチック素材で射出成形によって製作される、請求項1に記載の車両用エアスプリングのためのスリーブ。
【請求項9】
前記第1スリーブ(520)の第2円周部分(524)と前記第2スリーブ(540)の第3円周部分(542)が溶接されることによって、前記第2円周部分(524)が前記第3円周部分(542)に付着される、請求項1に記載の車両用エアスプリングのためのスリーブ。
【請求項10】
前記第1スリーブ(520)の前記第2円周部分(524)と前記第2スリーブ(540)の前記第3円周部分(542)は互いに重なるように配置され、
前記第1スリーブ(520)の前記第2円周部分(524)と前記第2スリーブ(540)の前記第3円周部分(542)のうち一つは残りのスリーブのポジショニングのためのステップ部(549)が円周方向に沿って形成される、請求項9に記載の車両用エアスプリングのためのスリーブ。
【請求項11】
前記第1スリーブ(520)の前記第2円周部分(524)と前記第2スリーブ(540)の前記第3円周部分(542)のそれぞれは外側に延びるフランジを含み、
前記フランジが溶接されることによって、前記第1スリーブ(520)の前記第2円周部分(524)が前記第2スリーブ(540)の前記第3円周部分(542)に付着される、請求項9に記載の車両用エアスプリングのためのスリーブ。
【請求項12】
前記第1スリーブ(520)の前記第2円周部分(524)と前記第2スリーブ(540)の前記第3円周部分(542)は互いに重なるように配置され、
前記重なった領域で内側に配置されるスリーブはレーザーエネルギー吸収素材を含み、
外側に配置されるスリーブはレーザーエネルギー透過可能素材を含み、
前記溶接はレーザー溶接である、請求項9に記載の車両用エアスプリングのためのスリーブ。
【請求項13】
前記第1スリーブ(620)と前記第2スリーブ(640)の間に介在される中間スリーブ(660)をさらに含み、
前記中間スリーブ(660)は両終端にそれぞれ第4円周部分(662)と第5円周部分(664)を含み、
前記第1スリーブ(620)の前記第2円周部分(624)は前記中間スリーブ(660)の前記第4円周部分(662)に結合され、前記中間スリーブ(660)の前記第5円周部分(664)は前記第2スリーブ(640)の第3円周部分(642)に結合される、請求項1に記載の車両用エアスプリングのためのスリーブ。
【請求項14】
前記内側に配置されるスリーブはカーボンブラックを含む、請求項12に記載の車両用エアスプリングのためのスリーブ。
【請求項15】
前記中間スリーブはカーボンブラックを含む、請求項13に記載の車両用エアスプリングのためのスリーブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用エアスプリングのためのスリーブに関し、より具体的には、車両用エアスプリングのスリーブの耐久性が向上すると共に部品簡素化により製造費用を減らすことができる、車両用エアスプリングのためのスリーブに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のサスペンションは車体とホイールの間に存在し、車体とホイール、この二つの剛体を一つあるいは多数のリンクを利用して連結する装置であって、上下方向にはスプリングとショックアブソーバー(Shock Absorber)等によって支持され、その他の方向には高い剛性と柔軟性を適切に調和させることによって、車体とホイールの間の相対運動を機械的に適切に調和させる機能を遂行することになる。
【0003】
このようなサスペンションは車両の走行中に発生する路面の不規則な入力を効果的に遮断して搭乗者に安楽な乗車感を提供しなければならず、運転者の運転行為および路面の屈曲によって発生した車体の揺れを適切に制御して運転便宜性を提供しなければならず、不規則な路面を走行する際にタイヤの接地面での垂直荷重を適切な水準で維持して旋回、制動駆動時に車両の操縦性および安定性を確保しなければならないという基本条件を満足させなければならない。
【0004】
このような条件を満足させるために、多様な種類のサスペンションが開発されて車両に適用されている。最近では、高級化された乗用車にはエアスプリングを形成するスリーブの体積を変化させてエアスプリング定数を変化させることによって乗車感を向上させ、エアの量を変化させることによって自動で車高を維持させるエアサスペンションが多く適用されている。
【0005】
しかし、このようなスリーブは周辺部品に付着されるが、付着部位で空気が漏洩してエアスプリングが故障する危険があり、それによりエアスプリングの耐久性が落ちることになる問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許第2,090,801号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は前述した問題点を解決するためのものであり、耐久性が向上すると共に部品簡素化により製造費用を減らすことができる車両用エアスプリングのためのスリーブを提供しようとする。
【0008】
また、本発明は設計自由度の改善により製品の性能が向上し得る車両用エアスプリングのためのスリーブを提供しようとする。
【0009】
また、本発明はスリーブが複数個に分割されてそれぞれが射出成形で製作されることによって、それぞれのスリーブ射出成形時に射出成形の流れ性が改善されスリーブの品質が向上した車両用エアスプリングのためのスリーブを提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施例に係る車両用エアスプリングのためのスリーブ500は、少なくとも第1スリーブ520と第2スリーブ540を含み、前記第1スリーブ520は両終端が開放されて第1円周部分522と第2円周部分524を含み、前記第2スリーブ540は一終端が開放されて第3円周部分542を含んで前記第2スリーブ540の第3円周部分542は前記第1スリーブ520の第2円周部分524に結合され、前記第2スリーブ540の前記一終端の反対側の終端は閉鎖構造544で形成され得る。
【0011】
本発明の一実施例によると、前記第1スリーブ520は上部スリーブであり、前記第2スリーブ540は下部スリーブであり、前記第1スリーブ520の前記第1円周部分522はトップマウント部に付着され、前記第2スリーブ540の反対側の終端の閉鎖構造544の外面はエンドキャップに固定され得る。
【0012】
一例として、前記閉鎖構造544は前記第2スリーブ540の前記一終端の反対側の終端を閉鎖する円板546を含むことができる。
【0013】
一例として、前記閉鎖構造544は前記円板546から突出して形成される補強部548をさらに含むことができる。前記補強部548はバーであり、両終端のそれぞれは前記第2スリーブ540の内側面と連結され得る。
【0014】
前記補強部548は複数のバーであり、前記複数のバーのそれぞれが前記円板の中心を通り前記複数のバーが前記第2スリーブ540の内側面と連結される地点は前記内側面の周りに沿って同一間隔で離隔して配置され得る。
【0015】
本発明の一実施例によると、前記第1スリーブ520および前記第2スリーブ540のうち一つはローブを形成する領域を含むように構成され得る。
【0016】
前記第1スリーブ520と前記第2スリーブ540は熱可塑性プラスチック素材で射出成形によって製作され得る。
【0017】
本発明の一実施例によると、前記第1スリーブ520の第2円周部分524と前記第2スリーブ540の第3円周部分542が溶接されることによって、前記第2円周部分524が前記第3円周部分542に付着され得る。
【0018】
一例として、前記第1スリーブ520の第2円周部分524と前記第2スリーブ540の第3円周部分542は互いに重なるように配置され、前記第1スリーブ520の第2円周部分524と前記第2スリーブ540の第3円周部分542のうち一つは残りのスリーブのポジショニングのためのステップ部549が円周方向に沿って形成され得る。
【0019】
一例として、前記第1スリーブ520の第2円周部分524と前記第2スリーブ540の第3円周部分542のそれぞれは外側に延びるフランジを含み、前記フランジが溶接されることによって、前記第1スリーブ520の第2円周部分524が前記第2スリーブ540の第3円周部分542に付着され得る。
【0020】
一例として、前記第1スリーブ520の第2円周部分524と前記第2スリーブ540の第3円周部分542は互いに重なるように配置され、前記重なった領域で内側に配置されるスリーブはレーザーエネルギー吸収素材を含み、外側に配置されるスリーブはレーザーエネルギー透過可能素材を含み、前記溶接はレーザー溶接であり得る。
【0021】
本発明の一実施例に係る車両用エアスプリングのためのスリーブは、前記第1スリーブ620と前記第2スリーブ640の間に介在される中間スリーブ660をさらに含み、前記中間スリーブ660は両終端にそれぞれ第4円周部分662と第5円周部分664を含み、前記第1スリーブ620の第2円周部分624は前記中間スリーブ660の第4円周部分662に結合され、前記中間スリーブ660の第5円周部分664は前記第2スリーブ640の第3円周部分642に結合され得る。
【0022】
前記内側に配置されるスリーブはカーボンブラックを含むことができる。また、前記中間スリーブはカーボンブラックを含むことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一実施例によると、スリーブが閉鎖構造でその外面がエンドキャップに結合されるので、スリーブ内の圧縮空気が漏洩する危険が減少することになり、スリーブの耐久性が向上し得るだけでなく部品の個数が減ることになって組立が容易となり製造費用が減少し得る。
【0024】
また、スリーブが複数個に分割されてそれぞれが独立的に射出成形されることによって、耐久性が向上しスリーブの製造効率性が向上し得る。また、設計自由度の改善により製品の性能が向上し得る。
【0025】
また、本発明の一実施例によると、スリーブが複数個に分割されてそれぞれが射出成形で製作されることによって、それぞれのスリーブ射出成形時に射出成形の流れ性が改善されスリーブの品質が向上し得る。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施例に係るスリーブの斜視図である。
【
図2】
図1に図示されたスリーブの分解斜視図である。
【
図4】閉鎖構造の上面が図示されるように見た第2スリーブの斜視図である。
【
図5】閉鎖構造の下面が図示されるように見た第2スリーブの斜視図である。
【
図6】本発明のさらに他の実施例に係るスリーブの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は多様な変更を加えることができ、種々の実施例を有することができるところ、特定の実施例について図面を参照して詳細に説明することにする。しかし、これは本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物乃至代替物を含むものと理解されるべきである。各図面を説明するにおいて、類似する参照符号を類似する構成要素に対して使った。第1、第2、A、Bなどの用語は多様な構成要素の説明に使われ得るが、前記構成要素は前記用語によって限定されてはならない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使われる。例えば、本発明の権利範囲を逸脱することなく第1構成要素は第2構成要素と命名され得、同様に第2構成要素も第1構成要素と命名され得る。「および/または」という用語は複数の関連した記載項目の組み合わせまたは複数の関連した記載項目のいずれかの項目を含む。或る構成要素が他の構成要素に「連結されて」いるとか「接続されて」いると言及される時には、その他の構成要素に直接的に連結されていたりまたは接続されていてもよいが、中間に他の構成要素が存在してもよいと理解されるべきである。反面、或る構成要素が他の構成要素に「直接連結されて」いるとか「直接接続されて」いると言及された時には、中間に他の構成要素が存在しないものと理解されるべきである。本出願で使った用語は単に特定の実施例を説明するために使われたものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は文脈上明白に異なって意味しない限り、複数の表現を含む。本出願で、「含む」または「有する」などの用語は明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものなどの存在または付加の可能性を予め排除しないものと理解されるべきである。また、「第1」および「第2」という用語は本明細書で区別の目的でのみ使われ、いかなる方式によっても序列または優先順位を示したり予想することを意味しないものと理解されるべきである。異なって定義されない限り、技術的または科学的な用語を含んでここで使われるすべての用語は本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有している。一般的に使われる辞書に定義されているような用語は関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本出願で明白に定義しない限り、理想的または過度に形式的な意味で解釈されない。また、「約」という用語は本明細書でこの発明が属する技術分野の製造公差の範囲を含むものと理解されるべきである。
【0028】
明細書および請求の範囲全体において、或る部分が何らかの構成要素を含むとする時、これは特に反対の記載がない限り他の構成要素を除くものではなく他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。以下、本発明に係る好ましい実施例を添付された図面を参照して詳細に説明する。
【0029】
エアスプリングはトップマウント部とエンドキャップの間に配置されてスプリングとして作動するように具現され得る。例えば、エアスプリングはハウジングおよびスリーブを含むことができる。
【0030】
本発明の一実施例によると、スリーブは一端はトップマウント部に気密に固定され、他端はエンドキャップに気密に固定され得る。スリーブはハウジングによって囲まれ得る。
【0031】
一例として、スリーブはトップマウント部乃至エンドキャップの上下移動により体積が変わり得る空気袋である。すなわち、内部に一定の圧力を有するスリーブは前記上下移動によりその体積が変わることになり、それに相応して内部圧力が変わりながらスプリングとして作動することになる。
【0032】
図1は、本発明の一実施例に係るスリーブの斜視図である。
図1に図示されたスリーブはトップマウント部およびエンドキャップに装着されてローブが形成される前のスリーブである。
図2は、
図1に図示されたスリーブの分解斜視図である。
図3は、
図1に図示されたスリーブの断面図である。
【0033】
図1~
図3に図示された通り、本発明の一実施例に係る車両用エアスプリングのためのスリーブ500は少なくとも第1スリーブ520と第2スリーブ540を含むことができる。一例として、第1スリーブ520は上部スリーブであり、第2スリーブ540は下部スリーブであり得る。
【0034】
第1スリーブ520は両終端が開放されて第1円周部分522と第2円周部分524を含むことができる。第1スリーブ520の第1円周部分522はトップマウント部に結合され得る。
【0035】
第2スリーブ540は一終端が開放されて第3円周部分542を含むことができる。第1スリーブ500の第2円周部分524は第2スリーブ540の第3円周部分542に結合され得る。第2スリーブ540の一終端の反対側の終端は閉鎖構造544で形成され得る。第2スリーブ540の反対側の終端の閉鎖構造544の外面は(車輪側の部材であり得る)エンドキャップ(図示されず)に固定され得る。
【0036】
これに伴い、本発明では、第2スリーブ540の反対側の終端が開放される構造でエンドキャップに結合されるものではなく、閉鎖構造544でその外面がエンドキャップに結合される。
【0037】
第2スリーブ540の終端が開放される構造で結合されるのであれば、このような結合のための別途の部材が追加的にエンドキャップに組み立てられなければならない。例えば、第2スリーブ540の終端が開放される構造でエンドキャップに気密に溶接しようとするのであれば、エンドキャップ自体はこのような溶接が可能な構造ではないので、エンドキャップ上に第2スリーブ540の開放された終端が溶接され得る別途の部材がエンドキャップに気密に組み立てられなければならない。
【0038】
本発明では第2スリーブ540の反対側の終端が閉鎖構造544でその外面がエンドキャップに結合されるので、スリーブ500内の圧縮空気が漏洩する危険が減少することになり、スリーブ500の耐久性が向上し得るだけでなく部品の個数が減ることになって組立が容易となり製造費用が減少し得る。
【0039】
図2では、第1スリーブ520と第2スリーブ540のうち第1スリーブ520がローリングローブを形成する領域を含むように構成されたが、第2スリーブ540がローリングローブを形成する領域を含むように構成されてもよい。
【0040】
本発明では、スリーブ500がローリングローブを形成する領域を含むスリーブとそのような領域を含まないスリーブに分割されて製作され得る。これに伴い、スリーブ500に要求される高い剛性は満足させながら、同時にスリーブ500の設計自由度が改善されスリーブの製造効率性が改善され得る。
【0041】
例えば、第1スリーブ520と第2スリーブ540は同一素材で製作され得るが、ローリングローブを形成する領域を含まないスリーブが残りのスリーブより剛性がさらに高い素材で製作され得る。剛性が高い素材はローリングローブ形成に適していないこともあるためである。
【0042】
第1スリーブ520と第2スリーブ540は熱可塑性エラストマー(Thermoplastic Elastomer、TPE)素材で射出成形によって製作され得る。
【0043】
熱可塑性エラストマー素材は一般のプラスチック素材のように、射出、押出ブローモールディングなどによる成形が可能であり再使用ができながらも、エラストマーの性質を有する。
【0044】
本発明の一実施例によると、第1スリーブ520と第2スリーブ540が熱可塑性エラストマー素材で射出成形によってそれぞれ独立的に製作されるところ、第1スリーブ520と第2スリーブ540の設計自由度が改善され得る。例えば、ローリングローブが形成される領域を含むスリーブは(後述するように)長手方向に厚さ変化を有するようにすることによって、優秀な剛性およびスプリング特性を有するように設計され得る。
【0045】
それだけでなく、スリーブ500の射出成形の流れ性も改善され得る。本発明の一実施例に係るスリーブ500は長手方向に内径が異なるように設計され得るが、これは一つのスリーブで射出成形することになる場合、射出成形の流れ性が悪くなる原因となり、それによりスリーブの品質管理が困難であり得る。本発明では、スリーブ500が第1スリーブ520と第2スリーブ540に分割製作されるところ、射出成形時の射出成形の流れ性が改善され得る。
【0046】
本発明の一実施例によると、第1スリーブ520の第2円周部分524と第2スリーブ540の第3円周部分542が溶接されることによって、第1スリーブ520の第2円周部分524が第2スリーブ540の第3円周部分542に付着され得る。
【0047】
例えば、第1スリーブ520の第2円周部分524の終端と第2スリーブ540の第3円周部分542の終端が互いに対向するように上部スリーブ520および下部スリーブ540を配置(バットジョイント、butt joint)して互いに対向する部分を溶接することによって、第1スリーブ520の第2円周部分524が第2スリーブ540の第3円周部分542に付着され得る。
【0048】
より好ましくは、本発明の一実施例によると、
図3に図示された通り、第1スリーブ520の第2円周部分524と第2スリーブ540の第3円周部分542は互いに重なるように配置され得る。重なった領域は溶接されることによって、第1スリーブ520の第2円周部分524が第2スリーブ540の第3円周部分542に付着され得る。
【0049】
また、このような溶接のために、第1スリーブ520の第2円周部分524と第2スリーブ540の第3円周部分542のうち一つは残りのスリーブのポジショニングのためのステップ部が円周方向に沿って形成され得る。一例として、
図3では、第2スリーブ540の第3円周部分542に円周方向に沿ってステップ部549が形成されるものが図示された。
【0050】
また、本発明の一実施例によると、重なった領域で第1スリーブ520および第2スリーブ540はレーザー溶接で接合され得る。すなわち、第1スリーブ520の第2円周部分524と第2スリーブ540の第3円周部分542が円周方向に沿ってレーザー溶接することによって接合され得る。このために、一例として、内側に配置されるスリーブはレーザーエネルギー吸収素材を含み、外側に配置されるスリーブはレーザー透過可能素材を含むことができる。レーザーエネルギー吸収素材の一例として、内側に配置されるスリーブはカーボンブラックを含むことができる。
【0051】
また、本発明の一実施例によると、第1スリーブ520の第2円周部分524および第2スリーブ540の第3円周部分542のそれぞれは外側に延びるフランジを含むように構成されてもよい。
【0052】
フランジは互いに対向して接触するように配置され、フランジが溶接されることによって、第1スリーブ520の第2円周部分524が第2スリーブ540の第3円周部分542に付着され得る。
【0053】
図4は、閉鎖構造の上面が図示されるように見た第2スリーブの斜視図である。
図5は、閉鎖構造の下面が図示されるように見た第2スリーブの斜視図である。
【0054】
図4および
図5を参照すると、本発明の一実施例によると、閉鎖構造544は第2スリーブ540の一終端の反対側の終端を閉鎖する円板546を含むことができる。
【0055】
また、一例として、閉鎖構造544は円板546から突出して形成される補強部548をさらに含むことができる。補強部548はバーの形態であり得、バーの両終端のそれぞれは第2スリーブ540の内側面と連結され得る。このようなバーは複数個で提供され得、複数のバーのそれぞれが円板の中心を通り複数のバーが第2スリーブ540の内側面と連結される地点は内側面の周りに沿って同一間隔で配置され得る。
【0056】
図6は、本発明のさらに他の実施例に係るスリーブの断面図である。
【0057】
図6を参照すると、本発明の一実施例に係るスリーブ600は第1スリーブ620と第2スリーブ640の間に介在される中間スリーブ660をさらに含むことができる。一例として、第1スリーブ620の第2円周部分624は中間スリーブ660の第4円周部分662に結合され、中間スリーブ660の第5円周部分664は第2スリーブ640の第3円周部分642に結合され得る。第1スリーブ620の第1円周部分622はトップマウント部に結合され得る。
【0058】
一例として、第1スリーブ620の第2円周部分624と中間スリーブ660の第4円周部分662が溶接されることによって、第1スリーブ620の第2円周部分624が中間スリーブ660の第4円周部分662に付着され、中間スリーブ660の第5円周部分664と第2スリーブ640の第3円周部分642が溶接されることによって、中間スリーブ660の第5円周部分664が第2スリーブ640の第3円周部分642に付着され得る。
【0059】
例えば、第1スリーブ620の第2円周部分624の終端と中間スリーブ660の第4円周部分662の終端が互いに対向するように第1スリーブ620および中間スリーブ660を配置して互いに対向する部分を溶接することによって、第1スリーブ620の第2円周部分624が中間スリーブ660の第4円周部分662に付着され得る。
【0060】
これを通じて、本発明のスリーブ600は設計自由度がさらに改善され得る。例えば、第1スリーブ620と第2スリーブ640は独立的にそれぞれが互いに異なる材料で製作され得るが、第1スリーブ620と第2スリーブ640を互いに接合する構造では接合のために素材選択の自由度が落ち得る。反面、第1スリーブ620と第2スリーブ640の間に中間スリーブ660が介在される場合には、第1スリーブ620と第2スリーブ640に関し、接合が容易でない素材が選択されても、中間スリーブ660を通じて接合の困難が解決され得る。
【0061】
より好ましくは、本発明の一実施例によると、
図6に図示された通り、第1スリーブ620の第2円周部分624と中間スリーブ660の第4円周部分662が互いに重なるように配置され、中間スリーブ660の第5円周部分664と第2スリーブ640の第3円周部分642が互いに重なるように配置され得る。このような場合、追加的に、中間スリーブ660の第4円周部分662と第1スリーブ620の第2円周部分624のうち一つはポジショニングのためのステップ部666が円周方向に沿って形成され、中間スリーブ660の第5円周部分664と第2スリーブ640の第3円周部分642のうち一つはポジショニングのためのステップ部668が円周方向に沿って形成され得る。
図6では、一例として、中間スリーブ660の第4円周部分662と中間スリーブ660の第5円周部分664にステップ部666、668が形成されるものが図示された。
【0062】
第1スリーブ620の第2円周部分624と中間スリーブ660の第4円周部分662は互いに重なるように配置され、重なった領域が溶接されることによって、第1スリーブ620の第2円周部分624が中間スリーブ660の第4円周部分662に付着され得る。同様に、中間スリーブ660の第5円周部分664と第2スリーブ640の第3円周部分642は互いに重なるように配置され、重なった領域が溶接されることによって、中間スリーブ660の第5円周部分664が第2スリーブ640の第3円周部分642に付着され得る。
図6では、一例として、重なった領域で中間スリーブ660が内側に配置され、第1スリーブ620~第2スリーブ640が外側に配置される。このような場合、中間スリーブ660と第1スリーブ620または第2スリーブ640がレーザー溶接される場合、中間スリーブ660はレーザーエネルギー吸収素材(例えば、カーボンブラック)で製作され得、第1スリーブ620および第2スリーブ640はレーザー透過可能素材で製作され得る。
【0063】
また、本発明の一実施例によると、第1スリーブ620の第2円周部分624および中間スリーブ660の第4円周部分662のそれぞれは外側に延びるフランジを含むように構成されてもよい。フランジは互いに対向して接触するように配置され、フランジが溶接されることによって、第1スリーブ620の第2円周部分624が中間スリーブ660の第4円周部分662に付着され得る。
【0064】
同様に、中間スリーブ660の第5円周部分664および第2スリーブ640の第3円周部分642のそれぞれは外側に延びるフランジを含むように構成され得る。フランジは互いに対向して接触するように配置され、フランジが溶接されることによって、中間スリーブ660の第5円周部分664が第2スリーブ640の第3円周部分642に付着され得る。
【符号の説明】
【0065】
500、600:スリーブ
520:第1スリーブ
540:第2スリーブ
660:中間スリーブ