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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174833
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】塗膜及び塗料
(51)【国際特許分類】
   B32B 3/24 20060101AFI20241210BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
B32B3/24 Z
C09D201/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024087589
(22)【出願日】2024-05-30
(31)【優先権主張番号】P 2023092656
(32)【優先日】2023-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】516218384
【氏名又は名称】ハドラスホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108442
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義孝
(72)【発明者】
【氏名】内藤 孝
(72)【発明者】
【氏名】池田 正範
(72)【発明者】
【氏名】安藤 務
(72)【発明者】
【氏名】俵 千鶴子
(72)【発明者】
【氏名】山本 英明
(72)【発明者】
【氏名】野々下 大輝
【テーマコード(参考)】
4F100
4J038
【Fターム(参考)】
4F100AB01A
4F100AE01A
4F100AK01A
4F100AK17B
4F100AK25B
4F100AK51B
4F100AK52B
4F100AP03A
4F100AT00A
4F100BA02
4F100BA07
4F100DJ00B
4F100DJ02B
4F100EH46B
4F100EJ86B
4F100GB07
4F100JA06B
4F100JK09
4F100JL11
4F100JM01B
4J038CD091
4J038CG001
4J038DG001
4J038DL031
4J038MA14
(57)【要約】
【課題】塗布対象となる基材の面に対する塗布量を低減させることができ、基材の面を廉価に塗布することができる塗膜を提供する。
【解決手段】塗膜13(フッ素樹脂塗膜13、シリコン樹脂塗膜13、アクリル樹脂塗膜13、ウレタン樹脂塗膜13)は、硬化した状態で塗布対象となる基材11の面12を塗布する。塗膜13の内部には、空気、オゾン、ヘリウム、酸素、窒素、二酸化炭素、アルゴンのうちのいずれか又はそれらを2種類以上混合した混合ガスから作られて平均粒径D90が1μm未満、好ましくは、平均粒径D50が1nm以上500nm未満の範囲のナノバブルが所定の濃度で分散混在(分散溶存)している。塗膜13では、ナノバブル14の含有率が10~95vol.%の範囲にあり、塗膜13の1mm当たりのナノバブルの総数が10~1012個/1mmの範囲にある。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化した状態で塗布対象となる基材の面を塗布する塗膜において、
前記塗膜の内部には、独立した微細な多数の球状スペースが分散混在していることを特徴とする塗膜。
【請求項2】
前記球状スペースが、ナノバブルによって形成され、前記ナノバブルの平均粒径D90が、1μm未満であり、前記平均粒径D90のナノバブルが、前記塗膜の内部に所定の濃度で分散混在している請求項1に記載の塗膜。
【請求項3】
前記ナノバブルの平均粒径D50が、1nm以上500nm未満の範囲にあり、前記平均粒径D50のナノバブルが、前記塗膜の内部に所定の濃度で分散混在している請求項2に記載の塗膜。
【請求項4】
前記塗膜における前記ナノバブルの含有率が、10~95vol.%の範囲にある請求項3に記載の塗膜。
【請求項5】
前記塗膜が、フッ素樹脂塗料から作られたフッ素樹脂塗膜、シリコン樹脂塗料から作られたシリコン樹脂塗膜、アクリル樹脂塗料から作られたアクリル樹脂塗膜、ウレタン樹脂塗料から作られたウレタン樹脂塗膜のいずれかである請求項4に記載の塗膜。
【請求項6】
前記ナノバブルを形成する気体が、空気、窒素、アルゴン、ヘリウム、キセノン、ネオン、クリプトン、ラドン、水素、酸素、オゾン、メタン、エチレン、プロパン、ブタン、アセチレン、エタノール、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、アンモニア、硫化水素、二酸化硫黄、一酸化炭素、二酸化炭素のうちのいずれか又はそれらを2種類以上混合した混合ガスである請求項5に記載の塗膜。
【請求項7】
塗布対象となる基材の面に塗布され、前記基材の面に塗膜を形成する塗料において、
前記塗料の内部には、独立した微細な多数の球状スペースが分散混入していることを特徴とする塗料。
【請求項8】
前記球状スペースが、ナノバブルによって形成され、前記ナノバブルの平均粒径D90が、1μm未満であり、前記平均粒径D90のナノバブルが、前記塗料の内部に所定の濃度で分散混入している請求項7に記載の塗料。
【請求項9】
前記ナノバブルが、負に帯電した状態で前記塗料の内部に分散混入し、前記ナノバブルの平均粒径D50が、1nm以上500nm未満の範囲にあり、前記平均粒径D50のナノバブルが、前記塗料の内部に所定の濃度で分散混在している請求項8に記載の塗料。
【請求項10】
前記塗料における前記ナノバブルの含有率が、10~95vol.%の範囲にある請求項8に記載の塗料。
【請求項11】
前記塗料が、フッ素樹脂塗料、シリコン樹脂塗料、アクリル樹脂塗料、ウレタン樹脂塗料のいずれかであり、前記塗料の動粘度が、50~200mm/sの範囲にあり、20℃の前記塗料の内部における前記ナノバブルの上昇速度が、0・000015~0.00005mm/minの範囲にある請求項10に記載の塗料。
【請求項12】
前記ナノバブルを形成する気体が、空気、窒素、アルゴン、ヘリウム、キセノン、ネオン、クリプトン、ラドン、水素、酸素、オゾン、メタン、エチレン、プロパン、ブタン、アセチレン、エタノール、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、アンモニア、硫化水素、二酸化硫黄、一酸化炭素、二酸化炭素のうちのいずれか又はそれらを2種類以上混合した混合ガスである請求項11に記載の塗料。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布対象となる基材の面を塗布する塗膜及びその塗膜を形成する塗料に関する。
【背景技術】
【0002】
含フッ素重合体と、第1の架橋性基を有して動粘度が30~150mm/sのポリジメチルシリコーンと、第2の架橋性基を有するアクリルシリコーンと、第1の架橋性基及び第2の架橋性基と反応し得る反応性基を有する硬化剤とを含む塗料が開示されている(特許文献1参照)。この塗料を利用することで、耐温水性に優れた防汚塗膜を作ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2023-52716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
塗料は、塗布対象となる基材の面に対する塗布量を低減させ、塗料を廉価に塗布できることが好ましい。しかし、塗布対象となる基材の面に所定の膜厚で塗布することで塗膜が基材の面を保護し得る以上、塗布された塗料が硬化した後の塗膜に所定厚みの膜厚が確保される必要があり、無条件に塗料の塗布量を少なくすることができない。又、塗料を塗布する基材の比表面積が大きい場合であってその全体に塗料を塗布した場合、塗料が硬化した塗膜を含む基材の重量が増加する。
【0005】
本発明の目的は、塗布対象となる基材の面に対する塗布量を低減させることができ、基材の面を廉価に塗布することができる塗膜を提供することにある。本発明の他の目的は、被覆対象となる基材の面に塗布した場合において塗膜を含む基材の重量の増加を最小限にすることができる塗膜を提供することにある。本発明の他の目的は、塗布対象となる基材の面に対する塗布量を低減させることができ、廉価に塗布することができる塗料を提供することにある。本発明の他の目的は、基材の重量の増加を最小限にすることができる塗膜を形成することが可能な塗料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための本発明の第1の前提は、硬化した状態で塗布対象となる基材の面を塗布する塗膜である。
【0007】
前記第1の前提における本発明の第1の特徴として、塗膜の内部には、独立した微細な多数の球状スペースが分散混在している。
【0008】
前記第1の特徴を有する本発明の一例としては、球状スペースが、ナノバブルによって形成され、ナノバブルの平均粒径D90が、1μm未満であり、その平均粒径D90のナノバブルが、塗膜の内部に所定の濃度で分散混在(分散溶存)している。
【0009】
前記第1の特徴を有する本発明の他の一例としては、ナノバブルの平均粒径D50が、1nm以上500nm未満の範囲にあり、その平均粒径D50のナノバブルが、塗膜の内部に所定の濃度で分散混在している。
【0010】
前記第1の特徴を有する本発明の他の一例としては、塗膜におけるナノバブルの含有率が、10~95vol.%の範囲にある。
【0011】
前記第1の特徴を有する本発明の他の一例としては、塗膜が、フッ素樹脂塗料から作られたフッ素樹脂塗膜、シリコン樹脂塗料から作られたシリコン樹脂塗膜、アクリル樹脂塗料から作られたアクリル樹脂塗膜、ウレタン樹脂塗料から作られたウレタン樹脂塗膜のいずれかである。
【0012】
前記第1の特徴を有する本発明の他の一例としては、ナノバブルを形成する気体が、空気、窒素、アルゴン、ヘリウム、キセノン、ネオン、クリプトン、ラドン、水素、酸素、オゾン、メタン、エチレン、プロパン、ブタン、アセチレン、エタノール、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、アンモニア、硫化水素、二酸化硫黄、一酸化炭素、二酸化炭素のうちのいずれか又はそれらを2種類以上混合した混合ガスである。
【0013】
前記課題を解決するための本発明の第2の前提は、塗布対象となる基材の面に塗布され、前材の面に塗膜を形成する塗料である。
【0014】
前記第2の前提における本発明の第2の特徴として、塗料の内部には、独立した微細な多数の球状スペースが分散混入している。
【0015】
前記第2の特徴を有する本発明の一例としては、球状スペースが、ナノバブルによって形成され、ナノバブルの平均粒径D90が、1μm未満であり、その平均粒径D90のナノバブルが、塗料の内部に所定の濃度で分散混入(分散溶解)している。
【0016】
前記第2の特徴を有する本発明の他の一例としては、ナノバブルが、負に帯電した状態で塗料の内部に分散混入し、ナノバブルの平均粒径D50が、1nm以上500nm未満の範囲にあり、その平均粒径D50のナノバブルが、塗料の内部に所定の濃度で分散混在している。
【0017】
前記第2の特徴を有する本発明の他の一例としては、塗料におけるナノバブルの含有率が、10~95vol.%の範囲にある。
【0018】
前記第2の特徴を有する本発明の他の一例としては、塗料が、フッ素樹脂塗料、シリコン樹脂塗料、アクリル樹脂塗料、ウレタン樹脂塗料のいずれかであり、塗料の動粘度が、50~200mm/sの範囲にあり、20℃の前記塗料の内部におけるナノバブルの上昇速度が、0・000015~0.00005mm/minの範囲にある。
【0019】
前記第2の特徴を有する本発明の他の一例としては、ナノバブルを形成する気体が、空気、窒素、アルゴン、ヘリウム、キセノン、ネオン、クリプトン、ラドン、水素、酸素、オゾン、メタン、エチレン、プロパン、ブタン、アセチレン、エタノール、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、アンモニア、硫化水素、二酸化硫黄、一酸化炭素、二酸化炭素のうちのいずれか又はそれらを2種類以上混合した混合ガスである。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る塗膜によれば、その内部に独立した微細な多数の球状スペースが分散混在(分散溶存)しているから、微細な多数の球状スペースによって塗膜の単位面積当たりにおける塗膜自体の割合を少なくすることができ、塗布対象となる基材の面を塗布したときの塗膜自体の塗布量が減り、基材に対する塗膜の塗布量を低減させることができるとともに、塗膜に球状スペースが分散混在していない場合と比較し、その塗布量が減ることで塗膜によって基材の面を廉価に塗布することができる。塗膜は、それに球状スペースが分散混在(分散溶存)していない場合と比較して単位面積当たりの質量が減少するから、それが塗布対象となる基材の面を塗布した場合において塗膜を含む基材の重量の増加を最小限にすることができる。塗膜は、それを塗布した基材が各種ダメージを受けたとしても、塗膜によって各種ダメージから基材を保護することができ、それらダメージによる基材の劣化を防ぐことができる。
【0021】
球状スペースがナノバブルによって形成され、ナノバブルの平均粒径D90が1μm未満であり、その平均粒径D90のナノバブルが塗膜の内部に所定の濃度で分散混在(分散溶存)している塗膜は、その内部に平均粒径D90が1μm未満のナノバブルが所定の濃度で分散混在することで、超微細気泡であるナノバブルによって塗膜の単位面積当たりにおける塗膜自体の割合を少なくすることができ、塗布対象となる基材の面を塗布したときの塗膜自体の塗布量が減り、基材に対する塗膜の塗布量を低減させることができるとともに、塗膜にナノバブルが分散混在していない場合と比較し、その塗布量が減ることで基材の面の単位面積当たりの塗膜の単価が低下し、塗膜によって物品の表面を廉価に塗布することができる。塗膜は、それにナノバブルが分散混在(分散溶存)していない場合と比較して単位面積当たりの質量が減少するから、それが塗布対象となる基材の面を塗布した場合において塗膜を含む基材の重量の増加を最小限にすることができる。
【0022】
ナノバブルの平均粒径D50が1nm以上500nm未満の範囲にあり、その平均粒径D50のナノバブルが塗膜の内部に所定の濃度で分散混在(分散溶存)している塗膜は、平均粒径D50が1nm以上500nm未満の範囲のナノバブルが塗膜の内部に所定の濃度で多量に分散混在しているから、超微細気泡であるナノバブルによって塗膜における単位面積当たりの塗膜自体の割合を少なくすることができ、塗布対象となる基材の面を塗膜で塗布する場合における塗膜自体の塗布量を確実に低減させることができるとともに、その塗布量が減ることで基材の面の単位面積当たりの塗膜の単価が低下し、塗膜によって基材の面を廉価に塗布することができる。
【0023】
塗膜におけるナノバブルの含有率が10~95vol.%の範囲にある塗膜は、ナノバブルが分散混在する塗膜におけるナノバブルの含有率が前記範囲にあるから、超微細気泡のナノバブルが塗膜の内部に所定の濃度で多量に分散混在し、超微細気泡であるナノバブルによって塗膜における単位面積当たりの塗膜自体の割合を少なくすることができ、塗布対象となる基材の面を塗膜で塗布する場合における塗膜自体の塗布量を確実に低減させることができるとともに、その塗布量が減ることで基材の面の単位面積当たりの塗膜の単価が低下し、塗膜によって基材の面を廉価に塗布することができる。
【0024】
前記塗膜がフッ素樹脂塗料から作られたフッ素樹脂塗膜、シリコン樹脂塗料から作られたシリコン樹脂塗膜、アクリル樹脂塗料から作られたアクリル樹脂塗膜、ウレタン樹脂塗料から作られたウレタン樹脂塗膜のいずれかである塗膜は、フッ素樹脂塗膜やシリコン樹脂塗膜、アクリル樹脂塗膜、ウレタン樹脂塗膜の内部に超微細気泡の多量のナノバブル(球状スペース)が分散混在(分散溶存)することで、超微細気泡であるナノバブル(球状スペース)によってフッ素樹脂塗膜やシリコン樹脂塗膜、アクリル樹脂塗膜、ウレタン樹脂塗膜の単位面積当たりにおけるそれら塗膜自体の割合を少なくすることができ、それら塗膜で塗布対象となる基材の面を塗布したときの塗膜自体の塗布量が減り、基材に対する塗膜の塗布量を低減させることができるとともに、その塗布量が減ることで基材の面の単位面積当たりのそれら塗膜の単価が低下し、それら塗膜によって物品の表面を廉価に塗布することができる。塗膜は、フッ素樹脂塗膜やシリコン樹脂塗膜、アクリル樹脂塗膜、ウレタン樹脂塗膜を塗布した基材が各種ダメージを受けたとしても、それら塗膜によって各種ダメージから基材を保護することができ、それらダメージによる基材の劣化を防ぐことができる。
【0025】
ナノバブルの気泡を形成する気体が空気、窒素、アルゴン、ヘリウム、キセノン、ネオン、クリプトン、ラドン、水素、酸素、オゾン、メタン、エチレン、プロパン、ブタン、アセチレン、エタノール、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、アンモニア、硫化水素、二酸化硫黄、一酸化炭素、二酸化炭素のうちのいずれか又はそれらを2種類以上混合した混合ガスである塗膜は、例示の気体やそれら気体の混合ガスから作られる超微細気泡の多量のナノバブル(球状スペース)が塗膜の内部に分散混在(分散溶存)することで、超微細気泡であるナノバブル(球状スペース)によって塗膜の単位面積当たりにおける塗膜自体の割合を少なくすることができ、塗膜で塗布対象となる基材の面を塗布したときの塗膜自体の塗布量が減り、基材に対する塗膜の塗布量を低減させることができるとともに、その塗布量が減ることで基材の面の単位面積当たりの塗膜の単価が低下し、塗膜によって基材の面を廉価に塗布することができる。
【0026】
本発明に係る塗料によれば、独立した微細な多数の球状スペースが塗料の内部に分散混入(分散溶解)しているから、それら球状スペースによって塗料の単位体積当たりにおける塗料自体の割合を少なくすることができ、塗料を塗布対象となる基材の面に塗布したときの塗料自体の塗布量が減り、基材に対する塗料の塗布量を低減させることができるとともに、それに球状スペースが分散混入していない場合と比較し、その塗布量が減ることで基材の面の単位面積当たりの塗料の単価が低下し、塗料を廉価に塗布することができる。塗料は、それに球状スペースが分散混入(分散溶解)していない場合と比較して単位体積当たりの質量が減少するから、それを塗布対象となる基材の面に塗布した場合において塗料から形成された塗膜を含む基材の重量の増加を最小限にすることができる。塗料は、それから形成された塗膜を塗布した基材が各種ダメージを受けたとしても、塗膜によって各種ダメージから基材を保護することができ、それらダメージによる基材の劣化を防ぐことができる。
【0027】
球状スペースがナノバブルによって形成され、ナノバブルの平均粒径D90が1μm未満であり、その平均粒径D90のナノバブルが塗料の内部に所定の濃度で分散混入(分散溶解)している塗料は、その内部に平均粒径D90が1μm未満のナノバブルが所定の濃度で分散混入することで、ナノバブルによって塗料の単位体積当たりにおける塗料自体の割合を少なくすることができ、塗布対象となる基材の面に塗布したときの塗料自体の塗布量が減り、基材に対する塗料の塗布量を低減させることができるとともに、塗料にナノバブルが分散混入していない場合と比較し、その塗布量が減ることで基材の面の単位面積当たりの塗料の単価が低下し、塗膜を作る塗料を廉価に塗布することができる。塗料は、それにナノバブルが分散混入(分散溶解)していない場合と比較して単位体積当たりの質量が減少するから、それを塗布対象となる基材の面に塗布した場合において塗料から形成された塗膜を含む基材の重量の増加を最小限にすることができる。
【0028】
ナノバブルが負に帯電した状態で塗料の内部に分散混入し、ナノバブルの平均粒径D50が1nm以上500nm未満の範囲にあり、その平均粒径D50のナノバブルが塗料の内部に所定の濃度で分散混在(分散溶解)している塗料は、ナノバブルが負に帯電していることで、塗料の内部に分散混入したナノバブルどうしが反発しあい、ナノバブルどうしが結合(合一)することはなく、ナノバブルどうしが結合することによるナノバブルの巨気泡化を防ぐことができ、塗膜を作る塗料における超微細な気泡のナノバブルの分散混入状態を維持することができる。塗料は、ナノバブルどうしが結合することなく超微細気泡のナノバブルが塗料中に分散混入(分散溶解)しているから、ナノバブルが塗料から揮発し難く、ナノバブルを塗料に長期間留まらせることができる。塗料は、平均粒径D50が1nm以上500nm未満の範囲のナノバブルが塗料の内部に所定の濃度で多量に分散混入しているから、超微細気泡であるナノバブルによって塗料における単位体積当たりの塗料自体の割合を少なくすることができ、塗布対象となる基材の面に塗料を塗布する場合における塗料自体の塗布量を確実に低減させることができる。
【0029】
塗料におけるナノバブルの含有率が10~95vol.%の範囲にある塗料は、ナノバブルが分散混入(分散溶解)する塗料におけるナノバブルの含有率が前記範囲にあり、超微細気泡のナノバブルが塗料の内部に所定の濃度で多量に分散混入し、超微細気泡であるナノバブルによって塗料における単位体積当たりの塗料自体の割合を少なくすることができ、塗布対象となる基材の面に塗料を塗布する場合における塗料自体の塗布量を確実に低減させることができるとともに、その塗布量が減ることで基材の面の単位面積当たりの塗料の単価が低下し、塗膜を作る塗料を廉価に塗布することができる。
【0030】
塗料がフッ素樹脂塗料、シリコン樹脂塗料、アクリル樹脂塗料、ウレタン樹脂塗料のいずれかであり、塗料の動粘度が50~200mm/sの範囲にあり、20℃の塗料の内部におけるナノバブルの上昇速度が0・000015~0.00005mm/minの範囲にある塗料は、ナノバブルが分散混入(分散溶解)する塗料における動粘度が前記範囲にあり、ナノバブルが分散混入する20℃の塗料中におけるナノバブルの上昇速度が前記範囲にあるから、ナノバブルが塗料から揮発し難く、ナノバブルを塗料中に長期間留まらせることができ、塗布対象となる基材に塗料を塗布する場合における塗料自体の塗布量を確実に低減させることができる。塗料は、それがフッ素樹脂塗料、シリコン樹脂塗料、アクリル樹脂塗料、ウレタン樹脂塗料のいずれかであるから、フッ素樹脂塗料から作られたフッ素樹脂塗膜やシリコン樹脂塗料から作られたシリコン樹脂塗膜、アクリル樹脂塗料から作られたアクリル樹脂塗膜、ウレタン樹脂塗料から作られたウレタン樹脂塗膜を塗布した基材が各種ダメージを受けたとしても、それら塗料から作られたそれら塗膜によって各種ダメージから基材を保護することができ、それらダメージによる基材の劣化を防ぐことができる。
【0031】
ナノバブルの気泡を形成する気体が空気、窒素、アルゴン、ヘリウム、キセノン、ネオン、クリプトン、ラドン、水素、酸素、オゾン、メタン、エチレン、プロパン、ブタン、アセチレン、エタノール、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、アンモニア、硫化水素、二酸化硫黄、一酸化炭素、二酸化炭素のうちのいずれか又はそれらを2種類以上混合した混合ガスである塗料は、例示の気体やそれら気体の混合ガスから作られる超微細気泡の多量のナノバブル(球状スペース)が塗料の内部に分散混入(分散溶解)することで、超微細気泡であるナノバブル(球状スペース)によって塗料の単位体積当たりにおける塗料自体の割合を少なくすることができ、塗料を塗布対象となる基材の面に塗布したときの塗料自体の塗布量が減り、基材に対する塗料の塗布量を低減させることができるとともに、その塗布量が減ることで基材の面の単位面積当たりの塗料の単価が低下し、塗膜を作る塗料を廉価に塗布することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】塗料にナノバブルを混入させるナノバブル発生装置の一例を示す構成図。
図2】フッ素樹脂塗膜の構造の一例を示すイメージ図。
図3】シリコン樹脂塗膜の構造の一例を示すイメージ図。
図4】塗膜の内部に分散混在(分散溶存)するナノバブルのイメージを図示した図。
図5】エマルジョン系の塗料の乾燥工程を説明する図。
図6】溶剤系の塗料の乾燥工程を説明する図。
図7】サンプル(A)~サンプル(H)の塗膜の空孔率、ナノバブルの総数、ナノバブルの粒径を示す図。
図8】サンプル(I)~サンプル(P)の塗膜の空孔率、ナノバブルの総数、ナノバブルの粒径を示す図。
図9】サンプル(A)~サンプル(H)の塗膜の付着性、引っかき硬度、耐摩耗性、質量の増加の評価を示す図。
図10】サンプル(I)~サンプル(P)の塗膜の付着性、引っかき硬度、耐摩耗性、質量の増加の評価を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
添付の図面を参照し、本発明に係る塗料及び塗膜の詳細を説明すると、以下のとおりである。図1は、塗料10にナノバブル14を混入させるナノバブル発生装置15の一例を示す構成図であり、図2は、フッ素樹脂塗膜13の構造の一例を示すイメージ図である。図3は、シリコン樹脂塗膜13の構造の一例を示すイメージ図であり、図4は、塗膜13の内部に分散混在(分散溶存)するナノバブル14のイメージを図示した図である。図5は、エマルジョン系の塗料10の乾燥工程を説明する図であり、図6は、溶剤系の塗料10の乾燥工程を説明する図である。図4では、ナノバブル14を目視可能にイメージとして図示しているが、実際にはナノバブル14を目視することはできない。
【0034】
(塗料10及び塗膜13)
塗料10は、塗布対象となる基材11(各種物品)の面12(外面、内面)に塗布する。硬化した塗料10が基材11の面12を塗布する塗膜13を形成する。塗料10としては、フッ素樹脂塗料、シリコン樹脂塗料(シリコーンレジン)、アクリル樹脂塗料、ウレタン樹脂塗料のいずれかが使用される。塗料10(フッ素樹脂塗料、シリコン樹脂塗料、アクリル樹脂塗料、ウレタン樹脂塗料)の内部(塗料10中)には、後記する平均粒径D90が1μm未満、好ましくは、平均粒径D50が1nm以上300nm未満の範囲のナノバブル14(ウルトラファインバブル)(独立した微細な多数の球状スペース)が所定の濃度で分散混入(分散溶解)している。
【0035】
フッ素樹脂塗料は、基材11の面12に塗布された後、それが硬化することで所定の厚みを有するフッ素樹脂塗膜を形成する。シリコン樹脂塗料は、基材11の面12に塗布された後、それが硬化することで所定の厚みを有するシリコン樹脂樹脂塗膜を形成する。アクリル樹脂塗料は、基材11の面12に塗布された後、それが硬化することで所定の厚みを有するアクリル樹脂塗膜を形成する。ウレタン樹脂塗料は、基材11の面12に塗布された後、それが硬化することで所定の厚みを有するウレタン樹脂塗膜を形成する。
【0036】
フッ素樹脂塗料は、フッ素樹脂を主成分とした塗料である。フッ素樹脂塗料の主成分となるフッ素樹脂には、PTFT(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(パーフルオロアルコキシアルカンポリマー)、FEP(パーフルオロエチレンプロペンコポリマー)、ETFE(エチレン-テトラフルオロエチレンコポリマー)のうちのいずれか1種類又はそれらの2樹類以上をブレンドした溶液が使用されている。尚、フッ素樹脂として、その耐熱性を下げることなく、基材11の面12との密着力を増加させるとともに、耐摩耗性を向上させた高温型変成タイプを使用することもでき、フッ素樹脂が有する低摩擦性や非粘着性を生かしつつ、低温で加工可能な低温型変成タイプを使用することもできる。
【0037】
PTFT(ポリテトラフルオロエチレン)の分子構造は、下記の一般式(化1)で表される。
【0038】
【化1】
PTFTは、炭素原子(C)及びフッ素原子(F)が結合したものが直鎖的につながった分子構造になっており、炭素原子どうしの結合部がフッ素原子で隙間なく覆われることで、フッ素原子によって保護されている。PTFTは、分子内の原子の配列は緊密で対称的になっており、電荷の分極がとても小さい。更に、分子量が100万~数千万と非常に長い分子鎖でできている高分子である。そのような特徴的な分子構造によって安定しているPTFTは、優れた非粘着性、撥水・撥油性、低摩擦性、耐熱性、耐薬品性、電気特性、難燃性、耐候性を有する塗膜13を形成する。PTFTは、その密度が2.13~2.20g/cmの範囲、その室温硬度がF~2Hであり、その撥水角(゜)水/油(nHD)が110-115/45-50である。
【0039】
PFA(パーフルオロアルコキシアルカンポリマー)の分子構造は、下記の一般式(化2)で表される。
【0040】
【化2】
PFAは、テトラフルオロエチレン(TFE)とパーフルオロアルキルビニルエーテル(PFVE)との共重合体であり、その大きな特徴としては溶融時の粘度の低さとPTFTEに匹敵する性質にある。PTFTと同様に、連続使用温度が260℃と耐熱性に優れており、耐薬品性においても強酸や強アルカリ、有機溶剤等のほとんどの薬品に対して侵されることがない。PFAは、優れた非粘着性、耐熱性、耐寒性、撥水性、耐薬品性、電気特性、難燃性、耐候性を有する塗膜13を形成する。PFAは、その室温硬度がF~Hであり、その撥水角(゜)水/油(nHD)が110-115/45-50である。
【0041】
FEP(パーフルオロエチレンプロペンコポリマー)の分子構造は、下記の一般式(化3)で表される。
【0042】
【化3】
FEPは、テトラフルオロエチレン(TFE)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)との共重合体であり、分子鎖中にトリフルオロメチル基CFが存在しPTFEと同等の非粘着性、耐薬品性を有しつつ、融点が低いという特徴を有する。FEPは、溶融粘度が低いため、コーティングに使用した場合、ピンホールのない連続した膜を作ることができる。FEPは、その密度が2.15~2.17g/cmの範囲、その室温硬度がF~Hであり、その撥水角(゜)水/油(nHD)が110-115/45-50である。
【0043】
ETFE(エチレン-テトラフルオロエチレンコポリマー)の分子構造は、下記の一般式(化4)で表される。
【0044】
【化4】
ETFEは、テトラフルオロエチレンとエチレンの共重合体であり、分子構造中に水素原子(H)を含む。そのため、PTFE及びFEPと比較して耐薬品性や耐熱性が低く、連続使用温度が150℃である。一方、その機械的強度が高く、低融点で加工することができる。は、その密度が1.73~1.75g/cmの範囲にある。
【0045】
シリコン樹脂塗料は、シリコン樹脂を主成分とした塗料である。シリコン樹脂塗料の主成分となるシリコン樹脂(シリコーンレジン)の分子構造は、下記の一般式(化5)で表される。
【0046】
【化5】
シリコン樹脂塗料は、優れた耐久性、耐水性、耐薬品性、柔軟性を有し、基材11の面12への密着度が高い塗膜(3次元ガラス骨格被膜)を形成する。シリコン樹脂塗料から作られたシリコン樹脂塗膜は、シロキサン結合(Si-O、ケイ素-酸素)から構成され、いくつかのシリケート(SiO4/2)、又は、シルセスキオキサン(R-SiO3/2)を含む。Rは各種アルキル基、若しくはアリル基であり、代表的な官能基はメチル基、若しくはフェニル基である。炭素結合(C-C) から溝成される有機レジンと比較すると、熱や放射線による分解に対して一層強い耐性を示す。シリコン樹脂塗膜の耐性は、酸素-水素結合の強さ(炭素-炭素結合が82.6Kcal/moleであるのに対し、ケイ素-酸素結合は108Kcal/mole)、可視光及び紫外線を透過する性質並びに元来部分的に酸化された構造であることにある。
【0047】
有機官能基を付加させることにより、シロキサンポリマーはよりリニア溝造となり、有機官能基由来の物理特性(例えば柔軟性)、性能が付与される。シロキサン骨格へのフェニル基の導入は、種有機樹脂との相溶性を高める、靱性を高める、中温(250℃)での熱安定性を持続させるという効果を与える。
一方、メチル基は、硬化性の向上、熱衝撃に対する耐性、湿度限界下での重量損失の軽減という特性を与える。シリコーンポリマーコーティング溶液(シリコーンレジン)は、クロロシラン若しくはアルコキシシランを加水分解することから生成され、その過程で高い反応性を持つシラノール基(Si-OH)が形成される。RSiC13+3H2ORSi(OH)3+3HCl、RSi(OR’)3+3H2ORSi(OH)3+3R’OH
反応初期の縮合反応では、シロキサンのオリゴマー構造が形成る。2 RSi(OH)3 RSi(OH)2-O-SiR(OH)2+H2O 、更に縮合反応が進むと、シロキサンの三次元架橋樺造が形成される。 縮合反応時に熱及び触媒を取り入れることで、 分子量が高くなり、物性が改良される。一方、ポリマーの粘度が高くなり、溶剤中への希釈溶解が必要となる。同様に、用途特性が要求されるケースでは、有機レジンの水酸基(例えば、ポリエステル)とシラノール基及びアルコキシキ基を反応させることで、シリコン-有機樹脂の複合レジンを形成し、シロキサン変性の度合いに応じて性能を改良することが可能となる。レジン中間体と有機レジンとのコールドブレンドは少ない溶剤使用量で実施可能である。しかし、反応を進め確実に硬化させるためには、より高く、かつ長時間の熱硬化工程が必要となる。最適なシリコンレジンの選定に加えて、処方に含まれる他の成分が、コーティングの性能に重要な役割を与える。
【0048】
プロトタイプのシリコン樹脂塗料を試作する場合、最初に対象用途での要求特性を明らかにし、使用可能なレジンバインダーを決定する。硬化時にシリコン樹脂塗料が受ける熱や化学薬品、紫外線及び必要な物理的特性もレジンパインダーの選択に影響を与える。シリコン樹脂塗料(シリコーンレジン)は、シリコン樹脂塗膜の耐熱性、耐化学薬品性及び紫外線に対する耐久性向上に貢献するが、そのほかの性能、物理特性は、シリコンと特定の有機パインダーの組み合わせ(塗膜硬度:フェノール類とメラミン樹脂、常温乾燥性:アクリル樹脂、耐食性: エポキシ樹脂、強靱性:アルキッド樹脂)によっても付与可能である。尚、コーティング処方中のシリコン配合量は、その用途での性能要求レベルに応じて決定する。
【0049】
シリコン樹脂塗料には、触媒、硬化条件、溶媒及びシンナーの処方成分が含まれる。シラノール官能性レジンは触媒を添加することなく熱硬化する。しかし、金属ドライヤー(例、亜鉛、鉄、コバルトオクトエート)の添加により硬化性が加速する。通常の触媒添加量は、樹脂固形分に対し金属量で0.1~0.2%である。シラノール官能性シリコンレジンで処方されたシリコン樹脂塗料は、最適な塗膜性能を発揮するため加熱硬化が必要であるが、その硬化性はシリコンの含有量及び他の主要成分の硬化条件によって変動する。100%シリコンレジン系の硬化方法は、232℃(450°F)で30分、又は、204°(400°F)で60分である。シリコン樹脂塗料(シリコンレジン)は、芳香族炭化水素(例えば、トルエン、キシレン)、ケトン類、エステル類、酢酸塩、塩素系溶剤を溶媒として使用することができる。グリコールエーテル類およびアルコール類(例えば、ブタノール)の少量添加(5%未満)により、シリコンレジンの安定性が向上する。
【0050】
アクリル樹脂塗料は、アクリル樹脂を主成分とした塗料である。アクリル樹脂塗料は、優れた耐候性・光沢性・透明性・耐水性・密着性・防食性を有するアクリル樹脂塗膜を形成する。アクリル樹脂には、水性アクリル樹脂、溶剤系アクリル樹脂を使用することができる。水性アクリル樹脂には、アクリル系エマルジョン、アクリル-スチレン系エマルジョン、水酸基含有アクリルエマルジョン、常温乾燥型水溶性アクリル樹脂、焼付型アクリルディスパージョン、水酸基含有アクリルディスパージョン等を使用することができる。溶剤系アクリル樹脂には、イソシアネート硬化型アクリル樹脂、常温・強制乾燥型アクリル樹脂、メラミン焼付用アクリル樹脂、湿気硬化型シリコン・アクリル樹脂等を使用することができる。有機溶剤には、ジブチルエーテル、テレピン油、ベンゼン、トルエン等が使用される。
【0051】
ウレタン樹脂塗料は、主剤として複数の水酸基を有するポリオールとポリイソシアネートとから構成されている。尚、ウレタン樹脂塗料がアクリルポリオールを主剤とするアクリルウレタン塗料であってもよい。又、ウレタン樹脂塗料には、アクリルポリオール、セルロースアセテートブチレートが含まれていてもよい。ウレタン樹脂塗料は、優れた塗膜性能、仕上がり、耐候性、密着性、柔軟性、耐薬品性を有するウレタン樹脂塗膜を形成する。ウレタン樹脂塗料は、有機溶媒で希釈することができる。有機溶媒としては、アルコール系、カルボン酸エステル系、ケトン系、アミド系、脂肪族系及び芳香族炭化水素系の溶媒等を使用する。
【0052】
ポリオールには、1,6-ヘキサンジオール、シクロヘキシルジメタノール、ネオペンチルグリコール、ブチルエチルプロパンジオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ポリカプロラクトントリオール、ジトリメリロールプロパン、ペンタエリスリトール、ポリカプロラクトンテトラオール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール及びマンニトール等を使用する。又、それらうちの少なくとも2種類以上を混合したものを使用する。
【0053】
ポリイソシアネートには、2官能以上のイソシアネート化合物を使用する。2官能のイソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、4,4-ジシクロヘキシルジイソシアネート等を使用する。3官能以上のイソシアネート化合物としては、ジイソシアネート化合物を出発原料として合成されたものであって、ビュレット体、トリメチロールプロパンアダクト体、イソシアヌレート体、アロファネート体等を使用する。ウレタン樹脂塗料から作られたウレタン樹脂塗膜の架橋密度を増加させ、塗膜の耐候性、耐汚染性を向上させるため、ポリイソシアネートが3官能以上のイソシアネート化合物であることが好ましい。
【0054】
3官能以上のイソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネートのビュレット体、ヘキサメチレンジイソシアネートのアダクト体、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、ブロック型イソシアネート体、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンのトリメチロールプロパンアダクト体、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンのイソシアヌレート体、イソホロンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、ヘキサメチレンジイソシアネートのアロファネート体等を使用する。又、それらイソシアネート化合物のうちの少なくとも2種類以上を混合したものを使用する。
【0055】
フッ素樹脂塗料やシリコン樹脂塗料、アクリル樹脂塗料、ウレタン樹脂塗料には、必要に応じて各種の添加剤や顔料が含まれる。添加剤としては、塗膜の光沢度を下げる艶消し剤、表面張力の低下を防止する界面活性剤、塗料の流れ落ちを防止するたれ防止剤、顔料混合で生じる色むらを防止する色別れ防止剤、塗膜の腐食などを防止する防腐剤・防カビ剤、塗料の柔軟性・付着力を向上させる可塑剤、塗料貯蔵中に表面に発生する皮を防止する皮張り防止剤、塗膜の流動性を確保するレベリング剤がある。添加剤には、塗膜を硬化させ、耐候性、耐水性、耐薬品性、耐熱性等を向上させる硬化剤が含まれる。硬化剤には、ヘキサメチレンイソシアネート三量体等のブロックイソシアネートまたはその乳化分散体、メチル化メラミン、メチロール化メラミン、ブチロール化メラミン等のメラミン樹脂、メチル化尿素、ブチル化尿素等の尿素樹脂等がある。顔料としては、無機系着色顔料、有機系着色顔料、体質顔料がある。フッ素樹脂塗料やシリコン樹脂塗料、アクリル樹脂塗料、ウレタン樹脂塗料には、水性又は油性のいずれもが含まれるとともに、1液型又は2液型のいずれもが含まれる。
又、その他の添加剤として、造膜助剤、増粘剤、光安定剤、意匠剤、表面調整剤、水性媒体を加える場合もある。水性媒体は、水性分散液を希釈するために用いられる。増粘剤としては、ウレタン系増粘剤、ポリアクリル系増粘剤、ポリアマイド系増粘剤、セルロース系増粘剤、ベントナイト等の粘土鉱物の増粘剤を使用する。フッ素樹脂塗料から作られるフッ素樹脂塗膜やシリコン樹脂塗料から作られるシリコン樹脂塗膜、アクリル樹脂塗料から作られるアクリル樹脂塗膜、ウレタン樹脂塗料から作られるウレタン樹脂塗膜は、その水接触角が60°以下である。水接触角の測定方法としては、塗膜上に直径1~2mmの水滴を落とし、30秒後の水滴をビデオカメラで撮影し画像解析を行う。水滴の頂点と端点を結ぶ線と塗膜との角度の2倍を水接触角とする。
【0056】
(ナノバブル混入装置15)
ナノバブル混入装置15の一例は、図1に示すように、所定容積を有する塗料貯水タンク16と、気体給気タンク17と、給水ポンプ18及び給気ポンプ19と、静止型流体混合装置20(ナノバブル発生装置)と、所定容積を有してナノバブル14が分散混入したコーティング液10を収容するコーティング液収容槽21と、冷却装置(図示せず)と、コントローラ(図示せず)とから形成されている。ナノバブル混入装置15には、電源(図示せず)から電力が供給されている。コーティング液貯水タンク16には、既述のフッ素樹脂塗料、シリコン樹脂塗料、アクリル樹脂塗料、ウレタン樹脂塗料のうちのいずれか(ナノバブル14を分散混入(分散溶解)する前の塗料)が貯水されている。
【0057】
塗料貯水タンク16には、レベル計(図示せず)が設置されている。レベル計は、信号線を介してコントローラに接続され、塗料貯水タンク16に貯水された塗料10(フッ素樹脂塗料、シリコン樹脂塗料、アクリル樹脂塗料、ウレタン樹脂塗料)のレベル(貯水量)を計測し、計測した測定レベルをコントローラに送信する。塗料貯水タンク16は、給水管路22(給水パイプ)を介して給水ポンプ18に連結されている。給水管路22には、図示はしていないが、流量計、逆止弁、給水電磁弁が設置されている。流量計は、信号線を介してコントローラに接続され、給水管路22を流動するコーティング液10の流量を計測し、計測した測定流量をコントローラに送信する。給水電磁弁は、その制御部が信号線を介してコントローラに接続され、その発停(開閉)がコントローラによって制御される。
【0058】
気体給気タンク17には、コーティング液10に分散混入させる気体が所定の圧力で収容されている。コーティング液10に分散混入させる気体としては、空気、オゾン、ヘリウム、酸素、窒素、二酸化炭素、アルゴンのうちのいずれか1種類又はそれらを2種類以上混合した混合ガスが使用される。気体給気タンク17は、給気管路23(給気パイプ)を介して混合管路24(混合パイプ)に連結されている。給気管路23には、図示はしていないが、気圧計、逆止弁、給気電磁弁が設置されている。気圧計は、信号線を介してコントローラに接続され、気体給気タンク17に収容された気体の気圧を計測し、計測した測定気圧をコントローラに送信する。給気電磁弁は、その制御部が信号線を介してコントローラに接続され、その発停(開閉)がコントローラによって制御される。給気管路23には、給気ポンプ19が設置されている。給気ポンプ19は、その制御部が信号線を介してコントローラに接続されている。給気ポンプ19は、その発停や出力がコントローラによって制御される。
【0059】
給水ポンプ18は、給水管路22に設置され、その制御部が信号線を介してコントローラに接続されている。給水ポンプ18は、その発停や出力がコントローラによって制御される。給水ポンプ18は、混合管路24を介して静止型流体混合装置20に連結されている。静止型流体混合装置20は、供給管路25を介して所定容積のコーティング液収容槽21に連結されている。コーティング液収容槽21には、レベル計(図示せず)が設置されている。レベル計は、信号線を介してコントローラに接続され、コーティング液収容槽21に収容されたナノバブル14が分散混入されたコーティング液10のレベル(貯水量)を計測し、計測した測定レベルをコントローラに送信する。
【0060】
静止型流体混合装置20(ナノバブル発生装置)は、流入口と流出口とを備えた円筒状ユニット26と、円筒状ユニット26の内部に配置された複数のハニカム構造エレメント(撹拌翼)(図示せず)とから形成されている。それらハニカム構造エレメントは、円筒状ユニット26の内部に直列に連結された状態で配置されている。静止型流体混合装置20(ナノバブル発生装置)は、ハニカム構造エレメントの内部に塗料10及び気体を高速回転によって生じる遠心力で通過させることにより、気体をナノレベルに超微細化してナノバブル14を生成しつつ、生成したナノバブル14を塗料10に満遍なく均一に混入(溶解)し、ナノバブル14が満遍なく均一に分散混入(分散溶解)した塗料10を作る。
尚、静止型流体混合装置20では、塗料10及び気体がハニカム構造エレメントの内部を何度も通過することによって気体の超微細化(ナノレベル化)及び超微細化した気体の塗料10への混入(溶解)が進む。冷却装置は、冷媒(例えば、ハイドロフルオロカーボン)の循環によって静止型流体混合装置20の円筒ユニット26を設定温度に冷却する。冷却装置は、その制御部が信号線を介してコントローラに接続されている。冷却装置は、その発停や出力がコントローラによって制御される。
【0061】
コントローラは、中央処理部(CPU又はMPU)とメモリ(メインメモリおよびキャッシュメモリ)とを有して独立したオペレーティングシステム(OS)によって動作する物理的なコンピュータであり、大容量記憶領域を実装している。コントローラには、キーボードやマウス等の入力装置、ディスプレイやプリンタ等の出力装置がインターフェイスを介して接続されている。コントローラの中央処理部は、オペレーティングシステム(OS)による制御に基づいて、メモリに記憶されたナノバブル混入アプリケーションを起動し、そのアプリケーションに従って塗料10にナノバブル14を分散混入(分散溶解)する混入操作を実施する。
【0062】
ナノバブル混入装置15のスイッチをONにすると、塗料貯水タンク16に貯水された塗料10(フッ素樹脂塗料、シリコン樹脂塗料、アクリル樹脂塗料、ウレタン樹脂塗料)にナノバブル14を混入する混入操作が開始される。尚、塗料貯水タンク16には所定量の塗料10が注水されているとともに、気体給気タンク17には所定の圧力で気体(空気、オゾン、ヘリウム、酸素、窒素、二酸化炭素、アルゴンのうちのいずれか1種類又はそれらを2種類以上混合した混合ガス)が収容されている。ナノバブル混入装置15のスイッチがONになると、コントローラは、給水ポンプ18の制御部に給水信号を送信するとともに給気ポンプ19の制御部に給気信号を送信し、冷却装置の制御部に冷却信号を送信する。する。更に、コントローラは、給水電磁弁の制御部に開信号を送信するとともに給気電磁弁の制御部に開信号を送信し、レベル計、流量計、気圧計に測定信号を送信する。
【0063】
給水信号を受信した給水ポンプ18の制御部は、給水ポンプ18を所定の出力(設定出力)で起動し、給気信号を受信した給気ポンプ19の制御部は、給気ポンプ19を所定の出力(設定出力)で起動する。冷却信号を受信した冷却装置の制御部は、冷却装置を所定の出力(設定出力)で起動する。開信号を受信した給水電磁弁の制御部は、給水電磁弁を開放し、開信号を受信した給気電磁弁の制御部は、給気電磁弁を開放する。測定信号を受信したレベル計は、塗料貯水タンク16に貯水された塗料10のレベル計測を開始し、測定信号を受信した流量計は、給水管路22を流動する塗料10の流量計測を開始する。測定信号を受信した気圧計は、給気管路23を流動する気体の気圧計測を開始する。
【0064】
塗料貯水タンク16に貯水された塗料10は、給水ポンプ18の起動によって塗料貯水タンク16から強制的に静止型流体混合装置20に給水される(塗料給水工程)。塗料10は、給水管路22から給水ポンプ18を通って混合管路24に流入し、混合管路24を通って静止型流体混合装置20に流入する。気体給気タンク17に収容された気体は、給気ポンプ19の起動によって気体給気タンク17から強制的に静止型流体混合装置20に給気される(気体給気工程)。気体は、給気管路23から給気ポンプ19を通って混合管路24に流入し、混合管路24において塗料10に混合された後、塗料10とともに静止型流体混合装置20に流入する。混合管路24では、給水ポンプ18によって給水された塗料と給気ポンプ19によって給気された気体とが混合され、気体混合塗料10が作られる(混合工程)。気体混合塗料10は、静止型流体混合装置20に流入する。
【0065】
塗料貯水タンク16のレベル計が計測した測定レベルを受信したコントローラは、測定レベルが注水レベルに低下した場合、注水メッセージをディスプレイに出力(表示)する。注水メッセージによって塗料貯水タンク16への塗料10の注水要を知ることができる。流量計が計測した測定流量を受信したコントローラは、測定流量が目標流量になるように給水ポンプ18の出力を調整する。気圧計が計測した測定気圧を受信したコントローラは、測定気圧が目標気圧になるように給気ポンプ19の出力を調整する。
【0066】
冷却装置は、ナノバブル混入装置15の起動中に冷媒を利用して静止型流体混合装置20の円筒ユニット26を連続的に冷却する(冷却工程)。冷却装置によって円筒ユニット26の温度が設定温度(例えば、10~20℃)に保持される。静止型流体混合装置20では、その流入口から気体が混合された気体混合塗料10が流入し、気体混合塗料10が複数のハニカム構造エレメント(撹拌翼)によって連続相の流体及び分散相の流体になり、気体混合塗料10の連続相及び分散相の流体がハニカム構造エレメントを蛇行しながら流動する。その時に受けるせん断力によって分散相としての流体(気体)が微細化されて微細化混合流体が生成される。
【0067】
次に、生成された微細化混合流体の流動が整流化された後、整流化された微細化混合流体が後流側に配置されたハニカム構造エレメントを蛇行しながら流動し、その時に受けるせん断力によって分散相としての微細化混合流体(気体)が更に微細化される。最終的に塗料10に混合された気体がナノレベルに超微細化され、ナノレベルの気泡(ナノバブル)が塗料10に分散混入(分散溶解)し、その内部に気泡の粒径が1μm未満のナノバブル14(独立した微細な多数の球状スペース)が所定の濃度で満遍なく均一に分散混入したナノバブル含有塗料10が作られる(ナノバブル含有塗料製造工程)。
【0068】
尚、ナノバブル14の塗料への混入時に、塗料とナノバブル14との摩擦によってナノバブルが分散混入された円筒ユニット26内のナノバブル含有塗料10の温度が上昇するが、冷却装置によって円筒ユニット26が冷却されることで、円筒ユニット26内のナノバブル含有塗料10が10~20℃の温度に保持される。ナノバブル14が分散混入(分散溶解)した塗料10は、供給管路25を通って塗料収容槽21に収容される。塗料収容槽21のレベル計が計測した測定レベルを受信したコントローラは、その測定レベルをディスプレイに出力(表示)する。ディスプレイに出力された測定レベルによってナノバブル10が分散混入した塗料10の貯水量を知ることができる。
【0069】
塗料10に対するナノバブル10の分散混入方式(ナノバブル発生方式)については、旋回液流式、スタティックミキサー式、エジャクター式ベンチュリー式、加圧溶解式の塗料10の流動を伴う方式のいずれかを使用することもでき、細孔式、回転式、超音波式、蒸気凝縮式、電気分解式の塗料10の流動を伴わない方式のいずれかを使用することもできる。
【0070】
塗料10(フッ素樹脂塗料、シリコン樹脂塗料、アクリル樹脂塗料、ウレタン樹脂塗料)は、その内部にナノバブル14(独立した微細な多数の球状スペース)が分散混入(分散溶解)しているから、それらナノバブル14によって塗料10(ナノバブル14が分散混入(分散溶解)された塗料10)の単位体積当たりにおける塗料10自体の割合を少なくすることができ、塗料10(ナノバブル14が分散混入(分散溶解)された塗料10)を塗布対象となる基材11の面12に塗布したときの塗料10自体の塗布量が減り、基材11に対する塗料10の塗布量を低減させることができるとともに、塗料10にナノバブル14が分散混入していない場合と比較し、その塗布量が減ることで基材11の面12の単位面積当たりの塗料10の単価が低下し、塗料10を廉価に塗布(使用)することができる。
【0071】
塗料10は、それにナノバブル14(球状スペース)が分散混入(分散溶解)していない場合と比較して単位体積当たりの質量が減少するから、それを塗布対象となる基材11の面12に塗布した場合において塗料10から形成された塗膜13を含む基材11の重量の増加を最小限にすることができる。
【0072】
塗料10の内部に分散混入(溶解)するナノバブル14は、平均粒径D90が1μm未満、好ましくは、平均粒径D50が1nm以上500nm未満の範囲、より好ましくは、平均粒径D50が1nm以上300nm未満の範囲にある。塗料10の内部におけるナノバブル14の最大粒度分布は、50nm以上500nm未満の範囲、好ましくは、10nm以上300nm未満の範囲にある。ナノバブル14が分散混入する塗料10におけるナノバブル14の含有率は、10~95vol.%の範囲、好ましくは、30~95vol.%の範囲、より好ましくは、50~90vol.%の範囲にある。塗料10の1ml当たりのナノバブル14の総数は、10~1012個の範囲にある。塗料10中のナノバブル14の粒径及び粒度分布、空孔率、ナノバブル14の総数は、ナノ粒子トラッキング解析法(NTA)によって測定した。ナノ粒子トラッキング解析法では、コーティング液10中のナノバブル14の粒度分布、粒子数濃度、凝集状態を高い分解能で測定することができる。
【0073】
ナノ粒子トラッキング解析法では、サンプルチャンバーにナノバブル14が分散混入した塗料10を収容し、そのサンプルチャンバーにレーザー光を照射する。ナノ粒子トラッキング解析法は、レーザー光を照射された各ナノバブル14の90°の散乱光を高感度のCMOSカメラで検出する。検出された粒子のブラウン運動がカメラ画像上の輝点の動きとして観察されてトラッキングされる。この動きを追跡することによって拡散計数を求め、ストークス・アインシュタイン式によりナノバブル14の粒子サイズを決定する。粒子部分布(濃度)は、容量が既知であるカメラ視野内の全ての粒子カウントから1ml当たりのナノバブル14の粒子数を求め、塗料10におけるナノバブル14の含有率を求めるとともに、塗料10の1ml当たりのナノバブル14の総数を算出する。ナノ粒子トラッキング解析法では、セルに一定電圧をかけたときの電気泳動度を測定することで粒子のゼータ電位を決定する。
【0074】
ナノバブル混入装置15によってナノバブル14が分散混入した塗料10は、水素イオンH濃度と水酸化物イオンOH濃度が略等しい酸塩基性に関する性質が略中性又はアルカリ性である。塗料10の内部に分散混入するナノバブル14は、高い気泡内圧を有する球体の状態で塗料10に混入し、負に帯電している。
【0075】
ナノバブル14は、塗料10中において直径が1μm未満でレイノルズ数Reが略1になって球形気泡となる。ナノバブル14の形状(球体)は、アトムプローブ電界イオン顕微鏡(Atom Probe Field Ion Microscope,APFIM)によって観察した。アトムプローブ電界イオン顕微鏡は、電界イオン顕微鏡(FIM)に飛行時間型質量分析器を取付けたものであり、電界イオン顕微鏡によって個々のナノバブル14を観察し、飛行時間質量分析によってそれらナノバブル14を同定する。グラフィックワークステーションにおいて三次元的に表示することにより、塗料10中のナノバブル14の形状(球体)を略ナノスケールのレベルの分解能で再現する。
【0076】
塗料10の内部に混入しているナノバブル14は、塗料10の内部における上昇速度が遅い。ナノバブル14の上昇速度は、塗料10の液物性に依存するが、水中では直径が約100μmでレイノルズ数Reが略1になり、球形気泡となる。直径dの球形気泡の上昇速度Uは、Stokes の式:U=pgd/18μに従う。ここで、pは、液密度、gは、重力加速度、μは、液粘度である。
【0077】
塗料10の内部に混入(溶解)しているナノバブル14は、その気泡内圧(気泡内圧力)が高い(自己加圧効果)。気泡内圧力は、表面張力σの影響でYoung-Laplaceの式:ΔP=4σ/dによって気泡周囲の圧力よりΔPだけ高くなる。塗料10中における気泡の直径dと気泡内圧力との関係としては、気泡が小さくなるほど気泡内部の圧力が高くなる(1μmで3.87「atm」、100nmで29.7「atm」、水の表面張力σ:72.8mN/m(20℃)、気泡周囲の圧力は1「atm」とする)。 従って、気泡が収縮すると気体溶解成分の分圧、すなわち溶解の推進力が増大し、気体をナノサイズにすることで気体が塗料10に溶解し易くなり、多量のナノバブル14が塗料10に溶解する。
【0078】
塗料10の内部に混入(溶解)しているナノバブル14は、その気液界面積が大きい。単位体積当たりの気液界面積A/Vは、式:A/V=6dで表される。気泡径dの減少とともにA/Vが増大し、塗料10中における気体の混入量(溶解量)に大きく寄与している。ナノバブル14の気体は、その混入量(溶解量)が極めて大きい。塗料10の内部への気泡の物質移動速度N「mol/s」は、式:N=KA(p-p*)によって求められる。ここで、KGは、気相基準総括物質移動係数「mol/msPa」、Aは、気泡の表面積[m]、pは、気泡内の溶解成分の分圧「Pa」、p*は、液相中の溶解成分と平衡な気相分圧「Pa」を示す。
【0079】
気泡内の気体が塗料10の内部に溶解(混入)する場合、気液界面をはさんで気体境膜と液境膜からなる2重境膜説から、総括物質移動抵抗1/K又は1/KHは、液相抵抗1/kと気相抵抗1/kHとの和として電気抵抗のオームの法則のように式:1/K=1/KH=1/k+1/kHとなる。ここで、Kは、液相基準総括物質移動係数、Hは、ヘンリー 定数(p=HC)、式:1/K=1/KH=1/k+1/kHにおいて気体側物質移動抵抗1/kGHが略無視できるとすれば、液相基準総括物質移動係数KLと液側物質移動係数kLとが略等しくなる。
【0080】
球形気泡でレイノルズ数Re<1、上昇速度が前記Stokesの式:U=pgd/18μで表される場合の液側物質移動係数kは、式:k=D/d[l+(1+dU/D1/3]で表される。ここで、Dは、液相中の気体の拡散係数、dは、気泡径、Uは、気泡の上昇速度である。例えば、式:k=D+dl+[(1+dU/D1/3]によって気泡径と酸素MB-水系の液側物質移動係数kとの関係を求めると、気泡径dが100μmのときのkは1.817・10-4「m/s」、気泡径dが10μmのときのkは5.37・10-4「m/s」、気泡径dが1μmのときのkは5.20・10-3「m/s」である。尚、塗料10の内部の酸素の拡散係数Dは2.60・10-9「m/s」を用いた。
【0081】
前記気泡径dに対するkの値及び前記気泡径dに対する気泡内圧力「atm」を用いて式:N=KA(p-p*)によって物質移動速度Nを求め、整理した結果、気泡径dが10μmにおいて、上昇速度Uが3.26・10-3「m/min」、圧力差ΔPが2.91・10、気泡個数比が1.0・10、面積比が100、物質移動速度比が6.15・10「mol/s」及び1.0・10「mol/mm」であり、気泡径dが100nmにおいて、上昇速度Uが3.15・10-7「m/min」、圧力差ΔPが2.91・10、気泡個数比が1.0・1012、面積比が1.0・10、物質移動速度比が5.95・1010「mol/s」及び1.0・1018「mol/mm」である。
【0082】
直径1mmの球形気泡を直径10μmの気泡に分割させると、個数が10個に増加し、直径1mmの気泡の表面積を1とした場合に表面積が100倍になる。直径1mmの球形気泡を直径100nmの気泡に分割させると、個数が1012個に増加し、直径1mmの気泡の表面積を1とした場合に表面積が10倍になる。従って、直径1mmの気泡の単位時間当たりの物質移動速度(溶解速度)を1としたときに直径10μmの気泡では、その物質移動速度(溶解速度)が6・10倍になり、直径1mmの気泡の単位時間当たりの物質移動速度(溶解速度)を1としたときに直径100nmの気泡では、その物質移動速度(溶解速度)が6・1010倍になる。このように,計算上は気泡がナノサイズになることで、表面積及び気泡内分圧の増加、上昇速度の低下によって塗料10に対する物質移動速度(溶解速度)が急激に増加する。
【0083】
電気泳動実験装置を使用し、ナノバブル14の表面電位を測定した。容器内で発生させたナノバブル14は、電気泳動セル(暑さ1mm、高さ23.0mm、幅75.0mm)に導入された電極の電場方向を1s毎に切り替えることにより、負に帯電したナノバブル14がジグザグ運動をする。上昇速度の測定によって前記Stokes式で気泡径を、水平方向の速度によってSmoluchowski の式:ζ=μu/εを用いて気泡のゼータ電位を求めた。ここで、ζは、ゼータ電位「V」、μは、塗料10の粘度「kg/ms」、uは、気泡の移動度「m/sV」、εは、塗料10の誘電率「s/kgm」である。
【0084】
ナノバブル14は、その気泡径によらず-30~-40「mV」で負に帯電している。塗料10のクラスター構造が塗料10の分子と電離した+イオンと-イオンとから形成され、その構造中に+イオン及び-イオンが収まり易いが、特に-イオンが界面に集積し易く、そのため負に帯電している。ナノバブル14が負に帯電することで、塗料10中のナノバブル14どうしが反発しあい、静電的な反発によってそれらナノバブル14どうしが結合(合一)することはない。
【0085】
塗料10は、その内部に混入(溶解)するナノバブル14が負に帯電していることで、塗料10の内部に分散混入したナノバブル14どうしが反発しあい、ナノバブル14どうしが結合(合一)することはなく、ナノバブル14どうしが結合することによるナノバブルの大気泡化を防ぐことができ、塗料10における超微細な気泡のナノバブル14の分散混入状態を維持することができる。塗料10は、ナノバブル14どうしが結合(合一)することなく、超微細気泡のナノバブル14が塗料10中に分散混入(分散溶解)しているから、ナノバブル14が塗料10から揮発し難く、ナノバブル14を塗料10中に長期間留まらせることができる。
【0086】
塗料10は、ナノバブル14が柱状に結合した状態ではなく、高い気泡内圧を有する球体の状態で塗料10の内部に所定の濃度で多量に分散混入(分散溶解)しているとともに、平均粒径D90が1μm未満、好ましくは、平均粒径D50が1nm以上500nm未満の範囲、より好ましくは、平均粒径D50が1nm以上300nm未満の範囲のナノバブル14が塗料10の内部に所定の濃度(高濃度)で多量に分散混入し、塗料10におけるナノバブル14の含有率が10~95vol.%の範囲、好ましくは、30~95vol.%の範囲、より好ましくは、50~90vol.%の範囲fにあり、塗料10の1ml当たりのナノバブル14の総数が10~1012個/1mlの範囲にあるから、超微細気泡であるナノバブル14によって塗料10(ナノバブル14が混入(溶存)された塗料10)における単位体積当たりの塗料10自体の割合を少なくすることができ、塗布対象となる基材11の面12に塗料10(ナノバブル14が混入(溶存)された塗料10)を塗布する場合における塗料10自体の塗布量を確実に低減させることができる。
【0087】
ナノバブル14が分散混入した後の塗料10は、その動粘度が50~200mm/sの範囲にある。更に、ナノバブル14が分散混入した後の20℃の塗料10の内部におけるナノバブル14の上昇速度が0・000015~0.00005mm/minの範囲にある。ナノバブル14は、体積が極めて小さいため、塗料10の内部における上昇速度が極めて遅い。塗料10の内部におけるナノバブル14の上昇速度が0.00005mm/minを超過すると、塗料10中にナノバブル14を長時間留めておくことが難しく、塗料10からナノバブル14が目標滞留時間以内に揮発してしまう場合がある。
【0088】
塗料10の内部のナノバブル14に働く力としては、浮力及び抗力がある。浮力は、ナノバブル14の体積に比例(ナノバブル14の半径の3乗に比例)する。抗力は、ナノバブル14の断面積に比例(ナノバブル14の半径の2乗に比例)し、ナノバブル14の上昇速度の2乗に比例する。具体的に、ナノバブル14の半径をr、塗料10の密度をρ、重力加速度をg、塗料10の粘度をη、ナノバブル14の移動速度をuとした場合、ナノバブル14にはたらく浮力(ナノバブルの密度は無視する)は、アルキメデスの原理により式(1):F=4πr3ρg/3によって表される。
【0089】
又、ナノバブル14にはたらく抵抗力は、ストークスの定理により、式(2):F=6πηruによって表される。式(1)及び式(2)から、ナノバブル14の塗料10の内部における移動速度uは、式(3):u=(2/9)r2ρg/ηによって表される。塗料10中におけるナノバブル14の上昇速度は、式(3)から求めた。式(3)から明らかなように、ナノバブル14の半径r(粒径)が大きいほど、ナノバブル14の塗料10中における移動速度uが高くなる。
【0090】
1気圧下におけるナノバブル14の半径rをaとした場合、半径rと水深hは、式(4):r=a×{101325/(ρgh+101325)}1/3によって表される。式(3)及び式(4)から明らかなように、ナノバブル14は、塗料10の水深が浅くなるとその粒径が大きくなって、上昇速度が高くなる。
【0091】
仮説として、直径が1.0μm未満のナノバブル14(ウルトラファインバブル)は、塩析現象(Salting-Out現象)により溶解度が低下し、長期間安定して、塗料10の内部に存在することになる。塩析現象により、ナノバブル14が長期間安定的に存在し続けるならば、pHが7に近いナノバブル14を含有する塗料10が存在しないことになるが、中性液でも、安定的なナノバブル14が存在する事例がある。
【0092】
一般に、ナノバブル14とそれより大きなマイクロバブルとが混在した状態では、後者の大きなマイクロバブルの影響によってナノバブル14が浮上したり、外圧によるキャビテーション破壊の影響を受けたりすることにより、ナノバブル14の寿命が短くなる。しかしながら、ナノバブル混入装置15におけるナノバブル14の生成時には、直径が1.0μm以上の大きなマイクロバブルが生成されないため、生成されたナノバブル14の寿命をより長くすることができる。
【0093】
(塗布対象となる基材11(各種物品))
塗料10の塗布対象となる物品11は、建造物、金属成形品、プラスチック成形品、ガラス成形品、ゴム成形品、革成形品、木成形品、紙製成形品、織布成形品、不織布成形品である。建築物やそれら成形品の形状は任意(自由)である。塗料10の塗布対象となる建造物には、あらゆる建造物が含まれるとともに、モルタル、コンクリート、ALC、サイディングボード、押出成形セメント板、石膏ボード、スレート、木部、PC板等の建築資材も含まれる。金属成形品の材料としては、鉄、アルミニウム、ジュラルミン、ステンレススチール、銅、金、銀、チタン、ニッケル、合金等がある。それら材料からなる金属成形品の形状は、板、棒、その他の各種の立体形状がある。プラスチック成形品の材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミド(ナイロン)、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスルホン樹脂等の公知の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂がある。それら材料からなるプラスチック成形品の形状は、フィルム状、シート状、板状、その他の各種の立体形状がある。
【0094】
(塗料10の塗布方法)
塗料10は、塗布対象となる基材11(各種物品)の面12(表面、裏面)に塗布又は散布される。フッ素樹脂塗料の塗布方法の一例として、最初に基材11に対して脱脂処理が行われる。脱脂処理としては、基材11を炉中で加熱し、焼成温度よりも高い温度で油脂や汚れを熱分解する空焼きを行う。又は、空焼きに適さない素材や形状物の基材の汚れや油分を溶剤で洗浄する溶剤洗浄を行う。
【0095】
次に、下地処理(前処理)を行う。下地処理では、基材11の面12(塗装面)をモランダム、グリッドの砥粒と空気によってブラストし、錆や汚れ等を除去するとともに、3~6ミクロン程度に粗面化する(ブラスト)。又は、ブラストが行えない場合や使用される機能に合せてエッチングや化学被膜処理の下地処理を行う。下地処理の後、基材11とフッ素樹脂の密着をよくするために基材11の面12(塗装面)にプライマーを塗装する(プライマー塗装)。次に、炉を利用してプライマーの焼付を行う(焼成)。
【0096】
焼成の後、刷毛、ローラー、ディッピング、スプレー、ロールコーター、ダイコーター、アプリケーター、スピンコーター等の塗装装置を利用してフッ素樹脂塗料を基材11の面12(塗装面)に塗布する。フッ素樹脂塗料を塗布した後、フッ素樹脂塗料を乾燥させて塗膜化する。フッ素樹脂塗料の乾燥温度は、常温~300℃程度である。フッ素樹脂塗料を加熱して乾燥させる場合は、焼成炉において焼成する。
【0097】
シリコン樹脂塗料やアクリル樹脂塗料、ウレタン樹脂塗料は、基材11(各種物品)の形状に適した塗布方法によって塗布される。例えば、スプレー法、ディッピング法、刷毛塗り法、ロールコート法、グラビアコート法、フレキソ法、インクジェット法等によって塗布する。シリコン樹脂塗料の乾燥温度は、常温~50℃程度である。アクリル樹脂塗料の乾燥温度は、常温~120℃程度である。ウレタン樹脂塗料の乾燥温度は、常温~100℃程度である。シリコン樹脂塗料やアクリル樹脂塗料、ウレタン樹脂塗料の塗布においてフッ素樹脂塗料と同様に、グリッドの砥粒と空気によってブラストし、錆や汚れ等を除去するとともに、3~6ミクロン程度に粗面化する下地処理を行う場合がある。
【0098】
フッ素樹脂塗料、シリコン樹脂塗料、アクリル樹脂塗料、ウレタン樹脂塗料は、単層塗りの他、複層塗りされる場合がある。フッ素樹脂塗料、シリコン樹脂塗料、アクリル樹脂塗料、ウレタン樹脂塗料の塗布量について特に限定はなく、塗布対象となる基材11(各種物品)に要求される表面性能に対応して塗布量を決定する。フッ素樹脂塗料、シリコン樹脂塗料、アクリル樹脂塗料、ウレタン樹脂塗料が乾燥することによって作られた塗膜は、その塗布厚さが60~300μm、好ましくは、90~270μmの範囲にある。尚、塗膜の塗布厚さの測定は、電磁式膜厚計や渦電流式膜厚計、外側マイクロメーターによって行った。
【0099】
所定の膜厚(60~300μm、好ましくは、90~270μm)に塗布された塗料10の内部に混入(溶解)するナノバブル14は、その粒径が前記範囲において塗料10の底部から頂部に向かうにつれて次第に大きくなっている。従って、塗料10の底部に位置するナノバブル14の粒径が1番小さく、塗料10の頂部に位置するナノバブル14の粒径が1番大きく、塗料10の中間部に位置するナノバブル14の粒径が背底部及び頂部に位置するナノバブル14のそれの中間の大きさである。
【0100】
(塗料10による塗膜13の形成)
エマルジョン系(水系)の塗料10を基材11の面12(塗装面)に塗布した後の乾燥工程では、図5に示すように、溶媒(水分)が次第に蒸発するとともに、溶媒(水分)に溶けたポリマー粒子の変形が起こり、ポリマー粒子どうしが融着する。その後、ポリマー鎖の相互拡散が起こり、造膜が完了することで、基材11の面12を塗布する塗膜13が形成される。エマルジョン系の塗料10から形成された塗膜13は、その膜厚が20~110μm、好ましくは、30~90μmの範囲にある。
【0101】
基材11(各種物品)の面12においてエマルジョン系の塗料10が乾燥硬化して作られた塗膜13の内部には、気泡の粒径が1μm未満のナノバブル14が外気に蒸発することなくそのまま残存して閉じ込められ、ナノバブル14が所定の濃度で分散混在(分散溶存)している。エマルジョン系の塗料10から作られた塗膜13の内部に分散混在するナノバブル14は、塗料10中に分散混入していた状態と同様に、高い気泡内圧を有する球体であり、ナノバブル14の平均粒径D90が1μm未満、好ましくは、平均粒径D50が1nm以上500nm未満の範囲、より好ましくは、平均粒径D50が1nm以上300nm未満の範囲にある。エマルジョン系の塗料10から作られた塗膜13の内部におけるナノバブル14の最大粒度分布は、50nm~500mの範囲、好ましくは、10nm~300nmの範囲にある。ナノバブル14が分散混在するエマルジョン系の塗料10から作られた塗膜13におけるナノバブル14の含有率は、10~95vol.%の範囲、好ましくは、30~95vol.%の範囲、より好ましくは、50~90vol.%の範囲にあり、塗膜13の1mm当たりのナノバブル14の総数は、10~1012個の範囲にある。
【0102】
溶剤系の塗料10を基材11の面12(塗装面)に塗布した後の乾燥工程では、図6に示すように、溶媒(溶剤)が次第に揮発し、溶媒(溶剤)に溶けたポリマー鎖が次第に収縮してポリマー鎖の相互拡散が起こり、造膜が完了することで、基材11の面12を塗布する塗膜13が形成される。溶剤系の塗料10の内部に分散混入(分残溶解)されたナノバブル14は、外気に揮発することなく、塗膜13の内部に分散混在(分散溶存)し、塗膜13中に閉じ込められる。溶剤系の塗料10から形成された塗膜13は、その膜厚が20~110μm、好ましくは、30~90μmの範囲にある。
【0103】
基材11(各種物品)の面12において溶剤系の塗料10が乾燥硬化して作られた塗膜13の内部には、平均粒径D90が1μm未満、好ましくは、平均粒径D50が1nm以上300nm未満の範囲のナノバブル14が外気に蒸発することなくそのまま残存して閉じ込められ、ナノバブル14が所定の濃度で分散混在(分散溶存)している。溶剤系の塗料10から作られた塗膜13の内部に分散混在するナノバブル14は、塗料10中に分散混入していた状態と同様に、高い気泡内圧を有する球体であり、ナノバブル14の平均粒径D90が1μm未満、好ましくは、平均粒径D50が1nm以上500nm未満の範囲、より好ましくは、平均粒径D50が1nm以上300nm未満の範囲にある。溶剤系の塗料10から作られた塗膜13の内部におけるナノバブル14の最大粒度分布は、50nm~500mの範囲、好ましくは、10nm~300nmの範囲にある。ナノバブル14が分散混在する溶剤系の塗料10から作られた塗膜13のナノバブル14の含有率は、10~95vol.%の範囲、好ましくは、30~95vol.%の範囲、より好ましくは、50~90vol.%の範囲にあり、塗膜13の1mm当たりのナノバブル14の総数は、10~1012個の範囲にある。
【0104】
所定の膜厚(20~110μm、好ましくは、30~90μm)に形成された塗膜13の内部に混在(溶存)するナノバブル14は、その粒径が前記範囲において塗膜13の底部から頂部に向かうにつれて次第に大きくなっている。従って、塗膜13の底部に位置するナノバブル14の粒径が1番小さく、塗膜13の頂部に位置するナノバブル14の粒径が1番大きく、塗膜13の中間部に位置するナノバブル14の粒径が底部及び頂部に位置するナノバブル14のそれの中間の大きさである。尚、塗膜13によって塗布される前の基材11の面12に当初形成された凹凸部35が塗膜13によって塗布されることで、基材11の面12が平滑になっている。
【0105】
図7は、サンプル(A)~サンプル(H)の塗膜13の空孔率、ナノバブル14の総数、ナノバブル14の粒径を示す図であり、図8は、サンプル(I)~サンプル(P)の塗膜13の空孔率、ナノバブル14の総数、ナノバブル14の粒径を示す図である。図9は、サンプル(A)~サンプル(H)の塗膜13の付着性、引っかき硬度、耐摩耗性、質量の増加の評価を示す図であり、図10は、サンプル(I)~サンプル(P)の塗膜13の付着性、引っかき硬度、耐摩耗性、質量の増加の評価を示す図である。
【0106】
尚、サンプル(A)~サンプル(I)の塗膜13を形成する塗料10の内部には、球体形状のナノバブル14が分散混入(分散溶解)している。サンプル(A)~サンプル(I)の塗膜13を形成する塗料10を既述の塗布方法によって試験片の一面に塗布し、塗料10を乾燥硬化させ、膜厚(20~110μm、好ましくは、30~90μmの範囲)のサンプル(A)~サンプル(I)の塗膜13を作った。それら塗膜13に対して以下に示す付着性、引っかき硬度、耐摩耗性、質量の増加の評価を行った。
【0107】
(サンプル(A)~サンプル(L)の塗膜13の付着性の評価方法)
付着性の試験は、試験片の一面に作られたサンプル(A)~サンプル(L)の塗膜13にカッターナイフ及びカッターガイド 、又は、専用の切込み工具を使用して格子状(25マス)の切込み(格子パターン)を入る。次に、格子パターンを入れたところにセロハンテープを強く圧着させて引き離し、付着性を最もよい分類0から悪い分類5までの6段階で評価し、分類0及び分類1を〇、分類2及び分類3を△、分類4及び分類5を×とした。
【0108】
(サンプル(A)~サンプル(L)の塗膜13の引っかき硬度の評価方法)
引っかき硬度は、塗膜の硬さを調べるための試験である。引っかき硬度(鉛筆法)の試験方法は、6B~6Hまでの14段階の鉛筆を用い、試験片の一面に作られたサンプル(A)~サンプル(L)の塗膜の塗面を45°の角度で引っかき、塗膜の傷が認められない最も硬い鉛筆の濃度記号を鉛筆引っかき値として評価する。試験機器が使用できない立体物を評価する場合は、手で引っかいて行う。H,2H,3H,4H,5H,6Hを〇、2B,B,HB,Fを△、6B,5B,4B,3Bを×とした。
【0109】
(サンプル(A)~サンプル(L)の塗膜13の耐摩耗性の評価方法)
試験片の一面に作られたサンプル(A)~サンプル(L)の塗膜13の摩耗性の試験方法としては、テーバー式のうちの摩耗輪法によって試験を行った。摩耗輪法では、試験片を固定した円盤の上に一定荷重を加えた摩耗輪をおき、 定速で回転させたときに生じる摩耗程度を下地や下層膜が露出するまでの回数または一定条件後の摩耗減量で評価した。摩耗減量が小さい場合を〇、摩耗減量が中程度の場合を△、摩耗減量が大きい場合を×とした。
【0110】
(サンプル(A)~サンプル(L)の塗膜13を形成した試験片の質量の増加の評価方法)
サンプル(A)~サンプル(L)の塗膜13を作る前の試験片の質量を測定するとともに、サンプル(A)~サンプル(L)の塗膜13を試験片の一面に作った後、その試験片の質量を測定し、塗膜13を作る前の試験片の質量と塗膜13を作った後の試験片の質量とを比較した。塗膜13を作る前の試験片の質量に対して塗膜13を作った後の試験片の質量にほとんど変化がない場合(質量増加がない場合)を(なし)とし、塗膜13を作る前の試験片の質量に対して塗膜13を作った後の試験片の質量が増加した場合を(あり)とした。
【0111】
図7に示すサンプルAのフッ素樹脂塗料10を既述の塗布方法によって試験片に塗布し、そのフッ素樹脂塗料10を乾燥硬化させて作られたサンプルAのフッ素樹脂塗膜13は、ナノバブル14の含有率が60vol.%、その1mm当たりのナノバブル14の総数が10~1011個/1mm、球体(球形)の状態でフッ素樹脂塗膜13に分散混在(分散溶存)するナノバブル14の気泡の粒径が50nm~700nmである。サンプルAのフッ素樹脂塗膜13を作るサンプルAのフッ素樹脂塗料10は、ナノバブル14の含有率が60vol.%、その1ml当たりのナノバブル14の総数が10~1011個/1ml、球体(球形)の状態でフッ素樹脂塗料10に分散混入(分散溶解)するナノバブル14の気泡の粒径が50nm~700nmである。サンプルAのフッ素樹脂塗膜13の膜厚は、20~110μm、好ましくは、30~90μmである。
【0112】
サンプルAのフッ素樹脂塗料10の内部に満遍なく均一に分散混入(分散溶解)している50nm~700nmの粒径の球体状(球形)のナノバブル14は、それらが負に帯電しているため、各ナノバブル14どうしが結合(合一)することはなく、フッ素樹脂塗料10においてナノバブル14が大気泡にならず、ナノバブル14がマイクロバブルに変化することはない。又、サンプルAのフッ素樹脂塗料10が乾燥硬化することから作られたサンプルAのフッ素樹脂塗膜13の内部には、50nm~700nmの粒径の球体状(球形)のナノバブル14が満遍なく均一に分散混在(分散溶存)している(閉じ込められている)。
【0113】
50nm~700nmの粒径の球体状(球形)のナノバブル14が分散混入したサンプルAのフッ素樹脂塗料10を試験片の一面に塗布することから作られたフッ素樹脂塗膜13は、その付着性、引っかき硬度、耐摩耗性が高く、付着性、引っかき硬度、耐摩耗性の評価は〇であり、サンプルAのフッ素樹脂塗膜13を作る前の試験片の質量に対するフッ素樹脂塗膜13を作った後の試験片の質量に変化はなく(質量増加なし)、質量の増加の評価は(なし)である(図9参照)。サンプルAのフッ素樹脂塗料10から作られたフッ素樹脂塗膜13は、優れた付着性、引っかき硬度、耐摩耗性を有するから、サンプルAのフッ素樹脂塗膜13が塗布された基材11が各種ダメージを受けたとしても、フッ素樹脂塗膜13によって各種ダメージから基材11を保護することができ、それらダメージによる基材11の劣化を防ぐことができることが分かった。又、サンプルAのフッ素樹脂塗料10を基材11の面12に塗布し、それを乾燥硬化させて基材11の面12にフッ素樹脂塗膜13を作ったとしても、基材11の質量が増えることはなく、サンプルAのフッ素樹脂塗膜13を含む基材11の重量の増加を最小限にすることができることが分かった。
【0114】
サンプルBのフッ素樹脂塗料10を既述の塗布方法によって試験片に塗布し、そのフッ素樹脂塗料10を乾燥硬化させて作られたサンプルBのフッ素樹脂塗膜13は、ナノバブル14の含有率が85vol.%、その1mm当たりのナノバブル14の総数が10~1012個/1mm、球体(球形)の状態でフッ素樹脂塗膜13に分散混在(分散溶存)するナノバブル14の気泡の粒径が100nm~800nmである。サンプルBのフッ素樹脂塗膜13を作るサンプルBのフッ素樹脂塗料10は、ナノバブル14の含有率が85vol.%、その1ml当たりのナノバブル14の総数が10~1012個/1ml、球体(球形)の状態でフッ素樹脂塗料10に分散混入(分散溶解)するナノバブル14の気泡の粒径が100nm~800nmである。サンプルBのフッ素樹脂塗膜13の膜厚は、20~110μm、好ましくは、30~90μmである。
【0115】
サンプルBのフッ素樹脂塗料10の内部に満遍なく均一に分散混入(分散溶解)している100nm~800nmの粒径の球体状(球形)のナノバブル14は、それらが負に帯電しているため、各ナノバブル14どうしが結合(合一)することはなく、フッ素樹脂塗料10においてナノバブル14が大気泡にならず、ナノバブル14がマイクロバブルに変化することはない。又、サンプルBのフッ素樹脂塗料10が乾燥硬化することから作られたサンプルBのフッ素樹脂塗膜13の内部には、100nm~800nmの粒径の球体状(球形)のナノバブル14が満遍なく均一に分散混在(分散溶存)している(閉じ込められている)。
【0116】
100nm~800nmの粒径の球体状(球形)のナノバブル14が分散混入したサンプルBのフッ素樹脂塗料10を試験片の一面に塗布することから作られたフッ素樹脂塗膜13は、その付着性、引っかき硬度、耐摩耗性が高く、付着性、引っかき硬度、耐摩耗性の評価は〇であり、サンプルBのフッ素樹脂塗膜13を作る前の試験片の質量に対するフッ素樹脂塗膜13を作った後の試験片の質量に変化はなく(質量増加なし)、質量の増加の評価は(なし)である(図9参照)。サンプルBのフッ素樹脂塗料10から作られたフッ素樹脂塗膜13は、優れた付着性、引っかき硬度、耐摩耗性を有するから、サンプルAのフッ素樹脂塗膜13が塗布された基材11が各種ダメージを受けたとしても、フッ素樹脂塗膜13によって各種ダメージから基材11を保護することができ、それらダメージによる基材11の劣化を防ぐことができることが分かった。又、サンプルBのフッ素樹脂塗料10を基材11の面12に塗布し、それを乾燥硬化させて基材11の面12にフッ素樹脂塗膜13を作ったとしても、基材11の質量が増えることはなく、サンプルBのフッ素樹脂塗膜13を含む基材11の重量の増加を最小限にすることができることが分かった。
【0117】
サンプルCのシリコン樹脂塗料10を既述の塗布方法によって試験片に塗布し、そのシリコン樹脂塗料10を乾燥硬化させて作られたサンプルCのシリコン樹脂塗膜13は、ナノバブル14の含有率が60vol.%、その1mm当たりのナノバブル14の総数が10~1011個/1mm、球体(球形)の状態でシリコン樹脂塗膜13に分散混在(分散溶存)するナノバブル14の気泡の粒径が50nm~700nmである。サンプルCのシリコン樹脂塗膜13を作るサンプルCのシリコン樹脂塗料10は、ナノバブル14の含有率が60vol.%、その1ml当たりのナノバブル14の総数が10~1011個/1ml、球体(球形)の状態でシリコン樹脂塗料10に分散混入(分散溶解)するナノバブル14の気泡の粒径が50nm~700nmである。サンプルCのシリコン樹脂塗膜13の膜厚は、20~110μm、好ましくは、30~90μmである。
【0118】
サンプルCのシリコン樹脂塗料10の内部に満遍なく均一に分散混入(分散溶解)している50nm~700nmの粒径の球体状(球形)のナノバブル14は、それらが負に帯電しているため、各ナノバブル14どうしが結合(合一)することはなく、フッ素樹脂塗料10においてナノバブル14が大気泡にならず、ナノバブル14がマイクロバブルに変化することはない。又、サンプルCのシリコン樹脂塗料10が乾燥硬化することから作られたサンプルCのシリコン樹脂塗膜13の内部には、50nm~700nmの粒径の球体状(球形)のナノバブル14が満遍なく均一に分散混在(分散溶存)している(閉じ込められている)。
【0119】
50nm~700nmの粒径の球体状(球形)のナノバブル14が分散混入したサンプルCのシリコン樹脂塗料10を試験片の一面に塗布することから作られたシリコン樹脂塗膜13は、その付着性、引っかき硬度、耐摩耗性が高く、付着性、引っかき硬度、耐摩耗性の評価は〇であり、サンプルCのシリコン樹脂塗膜13を作る前の試験片の質量に対するシリコン樹脂塗膜13を作った後の試験片の質量に変化はなく(質量増加なし)、質量の増加の評価は(なし)である(図9参照)。サンプルCのシリコン樹脂塗料10から作られたシリコン樹脂塗膜13は、優れた付着性、引っかき硬度、耐摩耗性を有するから、サンプルCのシリコン樹脂塗膜13が塗布された基材11が各種ダメージを受けたとしても、シリコン樹脂塗膜13によって各種ダメージから基材11を保護することができ、それらダメージによる基材11の劣化を防ぐことができることが分かった。又、サンプルCのシリコン樹脂塗料10を基材11の面12に塗布し、それを乾燥硬化させて基材11の面12にシリコン樹脂塗膜13を作ったとしても、基材11の質量が増えることはなく、サンプルCのシリコン樹脂塗膜13を含む基材11の重量の増加を最小限にすることができることが分かった。
【0120】
サンプルDのシリコン樹脂塗料10を既述の塗布方法によって試験片に塗布し、そのシリコン樹脂塗料10を乾燥硬化させて作られたサンプルDのシリコン樹脂塗膜13は、ナノバブル14の含有率が85vol.%、その1mm当たりのナノバブル14の総数が10~1012個/1mm、球体(球形)の状態でシリコン樹脂塗膜13に分散混在(分散溶存)するナノバブル14の気泡の粒径が100nm~800nmである。サンプルDのシリコン樹脂塗膜13を作るサンプルDのシリコン樹脂塗料10は、ナノバブル14の含有率が85vol.%、その1ml当たりのナノバブル14の総数が10~1012個/1ml、球体(球形)の状態でフッ素樹脂塗料10に分散混入(分散溶解)するナノバブル14の気泡の粒径が100nm~800nmである。サンプルBのフッ素樹脂塗膜13の膜厚は、20~110μm、好ましくは、30~90μmである。
【0121】
サンプルDのシリコン樹脂塗料10の内部に満遍なく均一に分散混入(分散溶解)している100nm~800nmの粒径の球体状(球形)のナノバブル14は、それらが負に帯電しているため、各ナノバブル14どうしが結合(合一)することはなく、フッ素樹脂塗料10においてナノバブル14が大気泡にならず、ナノバブル14がマイクロバブルに変化することはない。又、サンプルDのシリコン樹脂塗料10が乾燥硬化することから作られたサンプルDのシリコン樹脂塗膜13の内部には、100nm~800nmの粒径の球体状(球形)のナノバブル14が満遍なく均一に分散混在(分散溶存)している(閉じ込められている)。
【0122】
100nm~800nmの粒径の球体状(球形)のナノバブル14が分散混入したサンプルDのシリコン樹脂塗料10を試験片の一面に塗布することから作られたシリコン樹脂塗膜13は、その付着性、引っかき硬度、耐摩耗性が高く、付着性、引っかき硬度、耐摩耗性の評価は〇であり、サンプルDのシリコン樹脂塗膜13を作る前の試験片の質量に対するシリコン樹脂塗膜13を作った後の試験片の質量に変化はなく(質量増加なし)、質量の増加の評価は(なし)である(図9参照)。サンプルDのシリコン樹脂塗料10から作られたシリコン樹脂塗膜13は、優れた付着性、引っかき硬度、耐摩耗性を有するから、サンプルDのシリコン樹脂塗膜13が塗布された基材11が各種ダメージを受けたとしても、シリコン樹脂塗膜13によって各種ダメージから基材11を保護することができ、それらダメージによる基材11の劣化を防ぐことができることが分かった。又、サンプルDのシリコン樹脂塗料10を基材11の面12に塗布し、それを乾燥硬化させて基材11の面12にシリコン樹脂塗膜13を作ったとしても、基材11の質量が増えることはなく、サンプルDのシリコン樹脂塗膜13を含む基材11の重量の増加を最小限にすることができることが分かった。
【0123】
サンプルEのアクリル樹脂塗料10を既述の塗布方法によって試験片に塗布し、そのアクリル樹脂塗料10を乾燥硬化させて作られたサンプルEのアクリル樹脂塗膜13は、ナノバブル14の含有率が60vol.%、その1mm当たりのナノバブル14の総数が10~1011個/1mm、球体(球形)の状態でアクリル樹脂塗膜13に分散混在(分散溶存)するナノバブル14の気泡の粒径が50nm~700nmである。サンプルEのアクリル樹脂塗膜13を作るサンプルEのアクリル樹脂塗料10は、ナノバブル14の含有率が60vol.%、その1ml当たりのナノバブル14の総数が10~1011個/1ml、球体(球形)の状態でアクリル樹脂塗料10に分散混入(分散溶解)するナノバブル14の気泡の粒径が50nm~700nmである。サンプルEのアクリル樹脂塗膜13の膜厚は、20~110μm、好ましくは、30~90μmである。
【0124】
サンプルEのアクリル樹脂塗料10の内部に満遍なく均一に分散混入(分散溶解)している50nm~700nmの粒径の球体状(球形)のナノバブル14は、それらが負に帯電しているため、各ナノバブル14どうしが結合(合一)することはなく、アクリル樹脂塗料10においてナノバブル14が大気泡にならず、ナノバブル14がマイクロバブルに変化することはない。又、サンプルEのアクリル樹脂塗料10が乾燥硬化することから作られたサンプルEのアクリル樹脂塗膜13の内部には、50nm~700nmの粒径の球体状(球形)のナノバブル14が満遍なく均一に分散混在(分散溶存)している(閉じ込められている)。
【0125】
50nm~700nmの粒径の球体状(球形)のナノバブル14が分散混入したサンプルEのアクリル樹脂塗料10を試験片の一面に塗布することから作られたアクリル樹脂塗膜13は、その付着性、引っかき硬度、耐摩耗性が高く、付着性、引っかき硬度、耐摩耗性の評価は〇であり、サンプルEのアクリル樹脂塗膜13を作る前の試験片の質量に対するアクリル樹脂塗膜13を作った後の試験片の質量に変化はなく(質量増加なし)、質量の増加の評価は(なし)である(図9参照)。サンプルEのアクリル樹脂塗料10から作られたアクリル樹脂塗膜13は、優れた付着性、引っかき硬度、耐摩耗性を有するから、サンプルEのアクリル樹脂塗膜13が塗布された基材11が各種ダメージを受けたとしても、アクリル樹脂塗膜13によって各種ダメージから基材11を保護することができ、それらダメージによる基材11の劣化を防ぐことができることが分かった。又、サンプルEのアクリル樹脂塗料10を基材11の面12に塗布し、それを乾燥硬化させて基材11の面12にアクリル樹脂塗膜13を作ったとしても、基材11の質量が増えることはなく、サンプルEのアクリル樹脂塗膜13を含む基材11の重量の増加を最小限にすることができることが分かった。
【0126】
サンプルFのアクリル樹脂塗料10を既述の塗布方法によって試験片に塗布し、そのアクリル樹脂塗料10を乾燥硬化させて作られたサンプルFのアクリル樹脂塗膜13は、ナノバブル14の含有率が85vol.%、その1mm当たりのナノバブル14の総数が10~1012個/1mm、球体(球形)の状態でアクリル樹脂塗膜13に分散混在(分散溶存)するナノバブル14の気泡の粒径が100nm~800nmである。サンプルFのアクリル樹脂塗膜13を作るサンプルFのアクリル樹脂塗料10は、ナノバブル14の含有率が85vol.%、その1ml当たりのナノバブル14の総数が10~1012個/1ml、球体(球形)の状態でアクリル樹脂塗料10に分散混入(分散溶解)するナノバブル14の気泡の粒径が100nm~800nmである。サンプルFのアクリル樹脂塗膜13の膜厚は、20~110μm、好ましくは、30~90μmである。
【0127】
サンプルFのアクリル樹脂塗料10の内部に満遍なく均一に分散混入(分散溶解)している100nm~800nmの粒径の球体状(球形)のナノバブル14は、それらが負に帯電しているため、各ナノバブル14どうしが結合(合一)することはなく、アクリル樹脂塗料10においてナノバブル14が大気泡にならず、ナノバブル14がマイクロバブルに変化することはない。又、サンプルFのアクリル樹脂塗料10が乾燥硬化することから作られたサンプルFのアクリル樹脂塗膜13の内部には、100nm~800nmの粒径の球体状(球形)のナノバブル14が満遍なく均一に分散混在(分散溶存)している(閉じ込められている)。
【0128】
100nm~800nmの粒径の球体状(球形)のナノバブル14が分散混入したサンプルFのアクリル樹脂塗料10を試験片の一面に塗布することから作られたアクリル樹脂塗膜13は、その付着性、引っかき硬度、耐摩耗性が高く、付着性、引っかき硬度、耐摩耗性の評価は〇であり、サンプルFのアクリル樹脂塗膜13を作る前の試験片の質量に対するアクリル樹脂塗膜13を作った後の試験片の質量に変化はなく(質量増加なし)、質量の増加の評価は(なし)である(図9参照)。サンプルFのアクリル樹脂塗料10から作られたアクリル樹脂塗膜13は、優れた付着性、引っかき硬度、耐摩耗性を有するから、サンプルFのアクリル樹脂塗膜13が塗布された基材11が各種ダメージを受けたとしても、アクリル樹脂塗膜13によって各種ダメージから基材11を保護することができ、それらダメージによる基材11の劣化を防ぐことができることが分かった。又、サンプルFのアクリル樹脂塗料10を基材11の面12に塗布し、それを乾燥硬化させて基材11の面12にアクリル樹脂塗膜13を作ったとしても、基材11の質量が増えることはなく、サンプルFのアクリル樹脂塗膜13を含む基材11の重量の増加を最小限にすることができることが分かった。
【0129】
サンプルGのウレタン樹脂塗料10を既述の塗布方法によって試験片に塗布し、そのウレタン樹脂塗料10を乾燥硬化させて作られたサンプルGのウレタン樹脂塗膜13は、ナノバブル14の含有率が60vol.%、その1mm当たりのナノバブル14の総数が10~1011個/1mm、球体(球形)の状態でウレタン樹脂塗膜13に分散混在(分散溶存)するナノバブル14の気泡の粒径が50nm~700nmである。サンプルGのウレタン樹脂塗膜13を作るサンプルGのウレタン樹脂塗料10は、ナノバブル14の含有率が60vol.%、その1ml当たりのナノバブル14の総数が10~1011個/1ml、球体(球形)の状態でウレタン樹脂塗料10に分散混入(分散溶解)するナノバブル14の気泡の粒径が50nm~700nmである。サンプルGのウレタン樹脂塗膜13の膜厚は、20~110μm、好ましくは、30~90μmである。
【0130】
サンプルGのウレタン樹脂塗料10の内部に満遍なく均一に分散混入(分散溶解)している50nm~700nmの粒径の球体状(球形)のナノバブル14は、それらが負に帯電しているため、各ナノバブル14どうしが結合(合一)することはなく、ウレタン樹脂塗料10においてナノバブル14が大気泡にならず、ナノバブル14がマイクロバブルに変化することはない。又、サンプルGのウレタン樹脂塗料10が乾燥硬化することから作られたサンプルGのウレタン樹脂塗膜13の内部には、50nm~700nmの粒径の球体状(球形)のナノバブル14が満遍なく均一に分散混在(分散溶存)している(閉じ込められている)。
【0131】
50nm~700nmの粒径の球体状(球形)のナノバブル14が分散混入したサンプルGのウレタン樹脂塗料10を試験片の一面に塗布することから作られたウレタン樹脂塗膜13は、その付着性、引っかき硬度、耐摩耗性が高く、付着性、引っかき硬度、耐摩耗性の評価は〇であり、サンプルGのウレタン樹脂塗膜13を作る前の試験片の質量に対するウレタン樹脂塗膜13を作った後の試験片の質量に変化はなく(質量増加なし)、質量の増加の評価は(なし)である(図9参照)。サンプルGのウレタン樹脂塗料10から作られたウレタン樹脂塗膜13は、優れた付着性、引っかき硬度、耐摩耗性を有するから、サンプルGのウレタン樹脂塗膜13が塗布された基材11が各種ダメージを受けたとしても、ウレタン樹脂塗膜13によって各種ダメージから基材11を保護することができ、それらダメージによる基材11の劣化を防ぐことができることが分かった。又、サンプルGのウレタン樹脂塗料10を基材11の面12に塗布し、それを乾燥硬化させて基材11の面12にウレタン樹脂塗膜13を作ったとしても、基材11の質量が増えることはなく、サンプルGのウレタン樹脂塗膜13を含む基材11の重量の増加を最小限にすることができることが分かった。
【0132】
サンプルHのウレタン樹脂塗料10を既述の塗布方法によって試験片に塗布し、そのウレタン樹脂塗料10を乾燥硬化させて作られたサンプルHのウレタン樹脂塗膜13は、ナノバブル14の含有率が85vol.%、その1mm当たりのナノバブル14の総数が10~1012個/1mm、球体(球形)の状態でウレタン樹脂塗膜13に分散混在(分散溶存)するナノバブル14の気泡の粒径が100nm~800nmである。サンプルHのウレタン樹脂塗膜13を作るサンプルHのウレタン樹脂塗料10は、ナノバブル14の含有率が85vol.%、その1ml当たりのナノバブル14の総数が10~1012個/1ml、球体(球形)の状態でウレタン樹脂塗料10に分散混入(分散溶解)するナノバブル14の気泡の粒径が100nm~800nmである。サンプルHのウレタン樹脂塗膜13の膜厚は、20~110μm、好ましくは、30~90μmである。
【0133】
サンプルHのウレタン樹脂塗料10の内部に満遍なく均一に分散混入(分散溶解)している100nm~800nmの粒径の球体状(球形)のナノバブル14は、それらが負に帯電しているため、各ナノバブル14どうしが結合(合一)することはなく、ウレタン樹脂塗料10においてナノバブル14が大気泡にならず、ナノバブル14がマイクロバブルに変化することはない。又、サンプルHのウレタン樹脂塗料10が乾燥硬化することから作られたサンプルHのウレタン樹脂塗膜13の内部には、100nm~800nmの粒径の球体状(球形)のナノバブル14が満遍なく均一に分散混在(分散溶存)している(閉じ込められている)。
【0134】
100nm~800nmの粒径の球体状(球形)のナノバブル14が分散混入したサンプルHのウレタン樹脂塗料10を試験片の一面に塗布することから作られたウレタン樹脂塗膜13は、その付着性、引っかき硬度、耐摩耗性が高く、付着性、引っかき硬度、耐摩耗性の評価は〇であり、サンプルHのウレタン樹脂塗膜13を作る前の試験片の質量に対するウレタン樹脂塗膜13を作った後の試験片の質量に変化はなく(質量増加なし)、質量の増加の評価は(なし)である(図9参照)。サンプルHのウレタン樹脂塗料10から作られたウレタン樹脂塗膜13は、優れた付着性、引っかき硬度、耐摩耗性を有するから、サンプルHのウレタン樹脂塗膜13が塗布された基材11が各種ダメージを受けたとしても、ウレタン樹脂塗膜13によって各種ダメージから基材11を保護することができ、それらダメージによる基材11の劣化を防ぐことができることが分かった。又、サンプルHのウレタン樹脂塗料10を基材11の面12に塗布し、それを乾燥硬化させて基材11の面12にウレタン樹脂塗膜13を作ったとしても、基材11の質量が増えることはなく、サンプルHのウレタン樹脂塗膜13を含む基材11の重量の増加を最小限にすることができることが分かった。
【0135】
サンプルIのフッ素樹脂塗料10を既述の塗布方法によって試験片に塗布し、そのフッ素樹脂塗料10を乾燥硬化させて作られたサンプルIのフッ素樹脂塗膜13は、ナノバブル14の含有率が25vol.%、その1mm当たりのナノバブル14の総数が10~10個/1mm、球体(球形)の状態でフッ素樹脂塗膜13に分散混在(分散溶存)するナノバブル14の気泡の粒径が50nm~700nmである。サンプルIのフッ素樹脂塗膜13を作るサンプルIのフッ素樹脂塗料10は、ナノバブル14の含有率が25vol.%、その1ml当たりのナノバブル14の総数が10~10個/1ml、球体(球形)の状態でフッ素樹脂塗料10に分散混入(分散溶解)するナノバブル14の気泡の粒径が50nm~700nmである。サンプルIのフッ素樹脂塗膜13の膜厚は、20~110μm、好ましくは、30~90μmである。
【0136】
サンプルIのフッ素樹脂塗料10の内部に満遍なく均一に分散混入(分散溶解)している50nm~700nmの粒径の球体状(球形)のナノバブル14は、それらが負に帯電しているため、各ナノバブル14どうしが結合(合一)することはなく、フッ素樹脂塗料10においてナノバブル14が大気泡にならず、ナノバブル14がマイクロバブルに変化することはない。又、サンプルIのフッ素樹脂塗料10が乾燥硬化することから作られたサンプルIのフッ素樹脂塗膜13の内部には、50nm~700nmの粒径の球体状(球形)のナノバブル14が満遍なく均一に分散混在(分散溶存)している(閉じ込められている)。
【0137】
50nm~700nmの粒径の球体状(球形)のナノバブル14が分散混入したサンプルIのフッ素樹脂塗料10を試験片の一面に塗布することから作られたフッ素樹脂塗膜13は、その付着性、引っかき硬度、耐摩耗性が高く、付着性、引っかき硬度、耐摩耗性の評価は〇であるが、サンプルIのフッ素樹脂塗膜13を作る前の試験片の質量に対するフッ素樹脂塗膜13を作った後の試験片の質量に変化があり(質量増加あり)、質量の増加の評価は(あり)である(図10参照)。サンプルIのフッ素樹脂塗料10から作られたフッ素樹脂塗膜13は、優れた付着性、引っかき硬度、耐摩耗性を有するから、サンプルIのフッ素樹脂塗膜13が塗布された基材11が各種ダメージを受けたとしても、フッ素樹脂塗膜13によって各種ダメージから基材11を保護することができるものの、サンプルIのフッ素樹脂塗料10を基材11の面12に塗布し、それを乾燥硬化させて基材11の面12にフッ素樹脂塗膜13を作った場合、基材11の質量が増え、サンプルIのフッ素樹脂塗膜13を含む基材11の重量の増加を最小限にすることができないことが分かった。
【0138】
サンプルJのフッ素樹脂塗料10を既述の塗布方法によって試験片に塗布し、そのフッ素樹脂塗料10を乾燥硬化させて作られたサンプルJのフッ素樹脂塗膜13は、ナノバブル14の含有率が98vol.%、その1mm当たりのナノバブル14の総数が10~1012個/1mm、球体(球形)の状態でフッ素樹脂塗膜13に分散混在(分散溶存)するナノバブル14の気泡の粒径が100nm~800nmである。サンプルJのフッ素樹脂塗膜13を作るサンプルJのフッ素樹脂塗料10は、ナノバブル14の含有率が98vol.%、その1ml当たりのナノバブル14の総数が10~1012個/1ml、球体(球形)の状態でフッ素樹脂塗料10に分散混入(分散溶解)するナノバブル14の気泡の粒径が100nm~800nmである。サンプルJのフッ素樹脂塗膜13の膜厚は、20~110μm、好ましくは、30~90μmである。
【0139】
サンプルJのフッ素樹脂塗料10の内部に満遍なく均一に分散混入(分散溶解)している100nm~800nmの粒径の球体状(球形)のナノバブル14は、それらが負に帯電しているため、各ナノバブル14どうしが結合(合一)することはなく、フッ素樹脂塗料10においてナノバブル14が大気泡にならず、ナノバブル14がマイクロバブルに変化することはない。又、サンプルJのフッ素樹脂塗料10が乾燥硬化することから作られたサンプルJのフッ素樹脂塗膜13の内部には、100nm~800nmの粒径の球体状(球形)のナノバブル14が満遍なく均一に分散混在(分散溶存)している(閉じ込められている)。
【0140】
100nm~800nmの粒径の球体状(球形)のナノバブル14が分散混入したサンプルJのフッ素樹脂塗料10を試験片の一面に塗布することから作られたフッ素樹脂塗膜13は、サンプルJのフッ素樹脂塗料10を基材11の面12に塗布し、それを乾燥硬化させて基材11の面12にフッ素樹脂塗膜13を作ったとしても、基材11の質量が増えることはなく、サンプルJのフッ素樹脂塗膜13を含む基材11の重量の増加を最小限にすることができることが分かった。しかし、サンプルJのフッ素樹脂塗膜13は、その付着性、引っかき硬度、耐摩耗性が低く、付着性、引っかき硬度、耐摩耗性の評価は×であり、サンプルJのフッ素樹脂塗膜13が塗布された基材11が各種ダメージを受けた場合、フッ素樹脂塗膜13によって各種ダメージから基材11を保護することができず、それらダメージによる基材11の劣化を防ぐことができないことが分かった。
【0141】
サンプルKのシリコン樹脂塗料10を既述の塗布方法によって試験片に塗布し、そのシリコン樹脂塗料10を乾燥硬化させて作られたサンプルKのシリコン樹脂塗膜13は、ナノバブル14の含有率が25vol.%、その1mm当たりのナノバブル14の総数が10~10個/1mm、球体(球形)の状態でシリコン樹脂塗膜13に分散混在(分散溶存)するナノバブル14の気泡の粒径が50nm~700nmである。サンプルKのシリコン樹脂塗膜13を作るサンプルKのシリコン樹脂塗料10は、ナノバブル14の含有率が25vol.%、その1ml当たりのナノバブル14の総数が10~10個/1ml、球体(球形)の状態でシリコン樹脂塗料10に分散混入(分散溶解)するナノバブル14の気泡の粒径が50nm~700nmである。サンプルKのシリコン樹脂塗膜13の膜厚は、20~110μm、好ましくは、30~90μmである。
【0142】
サンプルKのシリコン樹脂塗料10の内部に満遍なく均一に分散混入(分散溶解)している50nm~700nmの粒径の球体状(球形)のナノバブル14は、それらが負に帯電しているため、各ナノバブル14どうしが結合(合一)することはなく、シリコン樹脂塗料10においてナノバブル14が大気泡にならず、ナノバブル14がマイクロバブルに変化することはない。又、サンプルKのシリコン樹脂塗料10が乾燥硬化することから作られたサンプルKのシリコン樹脂塗膜13の内部には、50nm~700nmの粒径の球体状(球形)のナノバブル14が満遍なく均一に分散混在(分散溶存)している(閉じ込められている)。
【0143】
50nm~700nmの粒径の球体状(球形)のナノバブル14が分散混入したサンプルKのシリコン樹脂塗料10を試験片の一面に塗布することから作られたシリコン樹脂塗膜13は、その付着性、引っかき硬度、耐摩耗性が高く、付着性、引っかき硬度、耐摩耗性の評価は〇であるが、サンプルKのシリコン樹脂塗膜13を作る前の試験片の質量に対するシリコン樹脂塗膜13を作った後の試験片の質量に変化があり(質量増加あり)、質量の増加の評価は(あり)である(図10参照)。サンプルKのシリコン樹脂塗料10から作られたシリコン樹脂塗膜13は、優れた付着性、引っかき硬度、耐摩耗性を有するから、サンプルKのシリコン樹脂塗膜13が塗布された基材11が各種ダメージを受けたとしても、シリコン樹脂塗膜13によって各種ダメージから基材11を保護することができるものの、サンプルKのシリコン樹脂塗料10を基材11の面12に塗布し、それを乾燥硬化させて基材11の面12にシリコン樹脂塗膜13を作った場合、基材11の質量が増え、サンプルKのシリコン樹脂塗膜13を含む基材11の重量の増加を最小限にすることができないことが分かった。
【0144】
サンプルLのシリコン樹脂塗料10を既述の塗布方法によって試験片に塗布し、そのシリコン樹脂塗料10を乾燥硬化させて作られたサンプルLのシリコン樹脂塗膜13は、ナノバブル14の含有率が98vol.%、その1mm当たりのナノバブル14の総数が10~1012個/1mm、球体(球形)の状態でシリコン樹脂塗膜13に分散混在(分散溶存)するナノバブル14の気泡の粒径が100nm~800nmである。サンプルLのシリコン樹脂塗膜13を作るサンプルLのシリコン樹脂塗料10は、ナノバブル14の含有率が98vol.%、その1ml当たりのナノバブル14の総数が10~1012個/1ml、球体(球形)の状態でシリコン樹脂塗料10に分散混入(分散溶解)するナノバブル14の気泡の粒径が100nm~800nmである。サンプルLのシリコン樹脂塗膜13の膜厚は、20~110μm、好ましくは、30~90μmである。
【0145】
サンプルLのシリコン樹脂塗料10の内部に満遍なく均一に分散混入(分散溶解)している100nm~800nmの粒径の球体状(球形)のナノバブル14は、それらが負に帯電しているため、各ナノバブル14どうしが結合(合一)することはなく、シリコン樹脂塗料10においてナノバブル14が大気泡にならず、ナノバブル14がマイクロバブルに変化することはない。又、サンプルLのシリコン樹脂塗料10が乾燥硬化することから作られたサンプルLのシリコン樹脂塗膜13の内部には、100nm~800nmの粒径の球体状(球形)のナノバブル14が満遍なく均一に分散混在(分散溶存)している(閉じ込められている)。
【0146】
100nm~800nmの粒径の球体状(球形)のナノバブル14が分散混入したサンプルLのシリコン樹脂塗料10を試験片の一面に塗布することから作られたシリコン樹脂塗膜13は、サンプルLのシリコン樹脂塗料10を基材11の面12に塗布し、それを乾燥硬化させて基材11の面12にシリコン樹脂塗膜13を作ったとしても、基材11の質量が増えることはなく、サンプルLのシリコン樹脂塗膜13を含む基材11の重量の増加を最小限にすることができることが分かった。しかし、サンプルLのシリコン樹脂塗膜13は、その付着性、引っかき硬度、耐摩耗性が低く、付着性、引っかき硬度、耐摩耗性の評価は×であり、サンプルLのシリコン樹脂塗膜13が塗布された基材11が各種ダメージを受けた場合、シリコン樹脂塗膜13によって各種ダメージから基材11を保護することができず、それらダメージによる基材11の劣化を防ぐことができないことが分かった。
【0147】
サンプルMのアクリル樹脂塗料10を既述の塗布方法によって試験片に塗布し、そのアクリル樹脂塗料10を乾燥硬化させて作られたサンプルMのアクリル樹脂塗膜13は、ナノバブル14の含有率が25vol.%、その1mm当たりのナノバブル14の総数が10~10個/1mm、球体(球形)の状態でアクリル樹脂塗膜13に分散混在(分散溶存)するナノバブル14の気泡の粒径が50nm~700nmである。サンプルMのアクリル樹脂塗膜13を作るサンプルMのアクリル樹脂塗料10は、ナノバブル14の含有率が25vol.%、その1ml当たりのナノバブル14の総数が10~10個/1ml、球体(球形)の状態でアクリル樹脂塗料10に分散混入(分散溶解)するナノバブル14の気泡の粒径が50nm~700nmである。サンプルMのアクリル樹脂塗膜13の膜厚は、20~110μm、好ましくは、30~90μmである。
【0148】
サンプルMのアクリル樹脂塗料10の内部に満遍なく均一に分散混入(分散溶解)している50nm~700nmの粒径の球体状(球形)のナノバブル14は、それらが負に帯電しているため、各ナノバブル14どうしが結合(合一)することはなく、アクリル樹脂塗料10においてナノバブル14が大気泡にならず、ナノバブル14がマイクロバブルに変化することはない。又、サンプルMのアクリル樹脂塗料10が乾燥硬化することから作られたサンプルMのアクリル樹脂塗膜13の内部には、50nm~700nmの粒径の球体状(球形)のナノバブル14が満遍なく均一に分散混在(分散溶存)している(閉じ込められている)。
【0149】
50nm~700nmの粒径の球体状(球形)のナノバブル14が分散混入したサンプルMのアクリル樹脂塗料10を試験片の一面に塗布することから作られたアクリル樹脂塗膜13は、その付着性、引っかき硬度、耐摩耗性が高く、付着性、引っかき硬度、耐摩耗性の評価は〇であるが、サンプルMのアクリル樹脂塗膜13を作る前の試験片の質量に対するアクリル樹脂塗膜13を作った後の試験片の質量に変化があり(質量増加あり)、質量の増加の評価は(あり)である(図10参照)。サンプルMのアクリル樹脂塗料10から作られたアクリル樹脂塗膜13は、優れた付着性、引っかき硬度、耐摩耗性を有するから、サンプルMのアクリル樹脂塗膜13が塗布された基材11が各種ダメージを受けたとしても、アクリル樹脂塗膜13によって各種ダメージから基材11を保護することができるものの、サンプルMのアクリル樹脂塗料10を基材11の面12に塗布し、それを乾燥硬化させて基材11の面12にアクリル樹脂塗膜13を作った場合、基材11の質量が増え、サンプルMのアクリル樹脂塗膜13を含む基材11の重量の増加を最小限にすることができないことが分かった。
【0150】
サンプルNのアクリル樹脂塗料10を既述の塗布方法によって試験片に塗布し、そのアクリル樹脂塗料10を乾燥硬化させて作られたサンプルNのアクリル樹脂塗膜13は、ナノバブル14の含有率が98vol.%、その1mm当たりのナノバブル14の総数が10~1012個/1mm、球体(球形)の状態でアクリル樹脂塗膜13に分散混在(分散溶存)するナノバブル14の気泡の粒径が100nm~800nmである。サンプルNのアクリル樹脂塗膜13を作るサンプルNのアクリル樹脂塗料10は、ナノバブル14の含有率が98vol.%、その1ml当たりのナノバブル14の総数が10~1012個/1ml、球体(球形)の状態でアクリル樹脂塗料10に分散混入(分散溶解)するナノバブル14の気泡の粒径が100nm~800nmである。サンプルNのアクリル樹脂塗膜13の膜厚は、20~110μm、好ましくは、30~90μmである。
【0151】
サンプルNのアクリル樹脂塗料10の内部に満遍なく均一に分散混入(分散溶解)している100nm~800nmの粒径の球体状(球形)のナノバブル14は、それらが負に帯電しているため、各ナノバブル14どうしが結合(合一)することはなく、アクリル樹脂塗料10においてナノバブル14が大気泡にならず、ナノバブル14がマイクロバブルに変化することはない。又、サンプルNのアクリル樹脂塗料10が乾燥硬化することから作られたサンプルNのアクリル樹脂塗膜13の内部には、100nm~800nmの粒径の球体状(球形)のナノバブル14が満遍なく均一に分散混在(分散溶存)している(閉じ込められている)。
【0152】
100nm~800nmの粒径の球体状(球形)のナノバブル14が分散混入したサンプルNのアクリル樹脂塗料10を試験片の一面に塗布することから作られたアクリル樹脂塗膜13は、サンプルNのアクリル樹脂塗料10を基材11の面12に塗布し、それを乾燥硬化させて基材11の面12にアクリル樹脂塗膜13を作ったとしても、基材11の質量が増えることはなく、サンプルNのアクリル樹脂塗膜13を含む基材11の重量の増加を最小限にすることができることが分かった。しかし、サンプルNのアクリル樹脂塗膜13は、その付着性、引っかき硬度、耐摩耗性が低く、付着性、引っかき硬度、耐摩耗性の評価は×であり、サンプルNのアクリル樹脂塗膜13が塗布された基材11が各種ダメージを受けた場合、アクリル樹脂塗膜13によって各種ダメージから基材11を保護することができず、それらダメージによる基材11の劣化を防ぐことができないことが分かった。
【0153】
サンプルOのウレタン樹脂塗料10を既述の塗布方法によって試験片に塗布し、そのウレタン樹脂塗料10を乾燥硬化させて作られたサンプルOのウレタン樹脂塗膜13は、ナノバブル14の含有率が25vol.%、その1mm当たりのナノバブル14の総数が10~10個/1mm、球体(球形)の状態でウレタン樹脂塗膜13に分散混在(分散溶存)するナノバブル14の気泡の粒径が50nm~700nmである。サンプルOのウレタン樹脂塗膜13を作るサンプルOのウレタン樹脂塗料10は、ナノバブル14の含有率が25vol.%、その1ml当たりのナノバブル14の総数が10~10個/1ml、球体(球形)の状態でウレタン樹脂塗料10に分散混入(分散溶解)するナノバブル14の気泡の粒径が50nm~700nmである。サンプルOのウレタン樹脂塗膜13の膜厚は、20~110μm、好ましくは、30~90μmである。
【0154】
サンプルOのウレタン樹脂塗料10の内部に満遍なく均一に分散混入(分散溶解)している50nm~700nmの粒径の球体状(球形)のナノバブル14は、それらが負に帯電しているため、各ナノバブル14どうしが結合(合一)することはなく、ウレタン樹脂塗料10においてナノバブル14が大気泡にならず、ナノバブル14がマイクロバブルに変化することはない。又、サンプルOのウレタン樹脂塗料10が乾燥硬化することから作られたサンプルOのウレタン樹脂塗膜13の内部には、50nm~700nmの粒径の球体状(球形)のナノバブル14が満遍なく均一に分散混在(分散溶存)している(閉じ込められている)。
【0155】
50nm~700nmの粒径の球体状(球形)のナノバブル14が分散混入したサンプルOのウレタン樹脂塗料10を試験片の一面に塗布することから作られたウレタン樹脂塗膜13は、その付着性、引っかき硬度、耐摩耗性が高く、付着性、引っかき硬度、耐摩耗性の評価は〇であるが、サンプルOのウレタン樹脂塗膜13を作る前の試験片の質量に対するウレタン樹脂塗膜13を作った後の試験片の質量に変化があり(質量増加あり)、質量の増加の評価は(あり)である(図10参照)。サンプルOのウレタン樹脂塗料10から作られたウレタン樹脂塗膜13は、優れた付着性、引っかき硬度、耐摩耗性を有するから、サンプルOのウレタン樹脂塗膜13が塗布された基材11が各種ダメージを受けたとしても、ウレタン樹脂塗膜13によって各種ダメージから基材11を保護することができるものの、サンプルOのウレタン樹脂塗料10を基材11の面12に塗布し、それを乾燥硬化させて基材11の面12にウレタン樹脂塗膜13を作った場合、基材11の質量が増え、サンプルOのウレタン樹脂塗膜13を含む基材11の重量の増加を最小限にすることができないことが分かった。
【0156】
サンプルPのウレタン樹脂塗料10を既述の塗布方法によって試験片に塗布し、そのウレタン樹脂塗料10を乾燥硬化させて作られたサンプルPのウレタン樹脂塗膜13は、ナノバブル14の含有率が98vol.%、その1mm当たりのナノバブル14の総数が10~1012個/1mm、球体(球形)の状態でウレタン樹脂塗膜13に分散混在(分散溶存)するナノバブル14の気泡の粒径が100nm~800nmである。サンプルPのウレタン樹脂塗膜13を作るサンプルPのウレタン樹脂塗料10は、ナノバブル14の含有率が98vol.%、その1ml当たりのナノバブル14の総数が10~1012個/1ml、球体(球形)の状態でウレタン樹脂塗料10に分散混入(分散溶解)するナノバブル14の気泡の粒径が100nm~800nmである。サンプルPのウレタン樹脂塗膜13の膜厚は、20~110μm、好ましくは、30~90μmである。
【0157】
サンプルPのウレタン樹脂塗料10の内部に満遍なく均一に分散混入(分散溶解)している100nm~800nmの粒径の球体状(球形)のナノバブル14は、それらが負に帯電しているため、各ナノバブル14どうしが結合(合一)することはなく、ウレタン樹脂塗料10においてナノバブル14が大気泡にならず、ナノバブル14がマイクロバブルに変化することはない。又、サンプルPのウレタン樹脂塗料10が乾燥硬化することから作られたサンプルPのウレタン樹脂塗膜13の内部には、100nm~800nmの粒径の球体状(球形)のナノバブル14が満遍なく均一に分散混在(分散溶存)している(閉じ込められている)。
【0158】
100nm~800nmの粒径の球体状(球形)のナノバブル14が分散混入したサンプルPのウレタン樹脂塗料10を試験片の一面に塗布することから作られたウレタン樹脂塗膜13は、サンプルPのウレタン樹脂塗料10を基材11の面12に塗布し、それを乾燥硬化させて基材11の面12にウレタン樹脂塗膜13を作ったとしても、基材11の質量が増えることはなく、サンプルPのウレタン樹脂塗膜13を含む基材11の重量の増加を最小限にすることができることが分かった。しかし、サンプルPのウレタン樹脂塗膜13は、その付着性、引っかき硬度、耐摩耗性が低く、付着性、引っかき硬度、耐摩耗性の評価は×であり、サンプルPのウレタン樹脂塗膜13が塗布された基材11が各種ダメージを受けた場合、ウレタン樹脂塗膜13によって各種ダメージから基材11を保護することができず、それらダメージによる基材11の劣化を防ぐことができないことが分かった。
【0159】
サンプルA~サンプルHの塗料10(フッ素樹脂塗料10、シリコン樹脂塗料10、アクリル樹脂塗料10、ウレタン樹脂塗料10)は、その内部に独立した超微細(平均粒径D90が1μm未満、好ましくは、平均粒径D50が1nm以上500nm未満の範囲、より好ましくは、平均粒径D50が1nm以上300nm未満の範囲)な多数の球体状のナノバブル14(球状スペース)が分散混入(分散溶解)しているから、超微細な多数のナノバブル14によって塗料10の単位体積当たりにおける塗料10自体の割合を少なくすることができ、塗料を塗布対象となる基材11(各種物品)の面12に塗布したときの塗料10自体の塗布量が減り、基材11に対する塗料10の塗布量を低減させることができるとともに、塗料10にナノバブル14(球状スペース)が分散混入していない場合と比較し、その塗布量が減ることで基材11の面12の単位面積当たりの塗料10の単価が低下し、塗料10を廉価に塗布することができる。
【0160】
サンプルA~サンプルHの塗料10(フッ素樹脂塗料10、シリコン樹脂塗料10、アクリル樹脂塗料10、ウレタン樹脂塗料10)は、それにナノバブル14(球状スペース)が分散混入(分散溶解)していない場合と比較して単位体積当たりの質量が減少するから、それを塗布対象となる基材11の面12に塗布した場合において塗料10から形成された塗膜13を含む基材11の重量の増加を最小限にすることができる。サンプルA~サンプルHの塗料10(フッ素樹脂塗料10、シリコン樹脂塗料10、アクリル樹脂塗料10、ウレタン樹脂塗料10)は、それから形成された塗膜13(フッ素樹脂塗膜13、シリコン樹脂塗膜13、アクリル樹脂塗膜13、ウレタン樹脂塗膜13)を塗布した基材11(各種物品)が各種ダメージを受けたとしても、塗膜13によって各種ダメージから基材11を保護することができ、それらダメージによる基材11の劣化を防ぐことができる。
【0161】
サンプルA~サンプルHの塗料10(フッ素樹脂塗料10、シリコン樹脂塗料10、アクリル樹脂塗料10、ウレタン樹脂塗料10)から作られた塗膜13(フッ素樹脂塗膜13、シリコン樹脂塗膜13、アクリル樹脂塗膜13、ウレタン樹脂塗膜13)は、その内部に独立した超微細(平均粒径D90が1μm未満、好ましくは、平均粒径D50が1nm以上500nm未満の範囲、より好ましくは、平均粒径D50が1nm以上300nm未満の範囲)な多数の球体状のナノバブル14(球状スペース)が分散混在(分散溶存)しているから、超微細な多数のナノバブル14によって塗膜13の単位面積当たりにおける塗膜13自体の割合を少なくすることができ、塗布対象となる基材11(各種物品)の面12を塗布したときの塗膜13自体の塗布量が減り、基材11に対する塗膜13の塗布量を低減させることができるとともに、塗膜13にナノバブル14(球状スペース)が分散混在していない場合と比較し、その塗布量が減ることで基材11の面12の単位面積当たりの塗膜13の単価が低下し、塗膜13によって基材11の面12を廉価に塗布することができる。
【0162】
サンプルA~サンプルHの塗料10(フッ素樹脂塗料10、シリコン樹脂塗料10、アクリル樹脂塗料10、ウレタン樹脂塗料10)から作られた塗膜13(フッ素樹脂塗膜13、シリコン樹脂塗膜13、アクリル樹脂塗膜13、ウレタン樹脂塗膜13)は、それに球体状のナノバブル14(球状スペース)が分散混在していない場合と比較して単位面積当たりの質量が減少するから、それが塗布対象となる基材11の面12を塗布した場合において塗膜13を含む基材11(各種物品)の重量の増加を最小限にすることができる。サンプルA~サンプルHの塗料10(フッ素樹脂塗料10、シリコン樹脂塗料10、アクリル樹脂塗料10、ウレタン樹脂塗料10)から作られた塗膜13(フッ素樹脂塗膜13、シリコン樹脂塗膜13、アクリル樹脂塗膜13、ウレタン樹脂塗膜13)は、それを塗布した基材11(各種物品)が各種ダメージを受けたとしても、塗膜13によって各種ダメージから基材11を保護することができ、それらダメージによる基材11の劣化を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0163】
10 塗料
11 物品
12 表面
13 塗膜
14 ナノバブル
15 ナノバブル混入装置
16 コーティング液貯水タンク
17 気体給気タンク
18 給水ポンプ
19 給気ポンプ
20 静止型流体混合装置(ナノバブル発生装置)
21 コーティング液収容槽
22 給水管路
23 給気管路
24 混合管路
25 供給管路
26 円筒ユニット



図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10