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特開2024-174845半導体素子配列構造及びその作製方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174845
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】半導体素子配列構造及びその作製方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/62 20100101AFI20241210BHJP
【FI】
H01L33/62
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024090468
(22)【出願日】2024-06-04
(31)【優先権主張番号】63/471,082
(32)【優先日】2023-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】598061302
【氏名又は名称】晶元光電股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Epistar Corporation
【住所又は居所原語表記】21,Li-hsin Rd.,Science-based Industrial Park,Hsinchu 300,TAIWAN
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】リャオ、シー-アン
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ウェイ-ユ
(72)【発明者】
【氏名】タン、リ-シェン
(72)【発明者】
【氏名】ウー、チュン-イェン
(72)【発明者】
【氏名】カオ、クン-ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】レン イー-ホア
(72)【発明者】
【氏名】チャン ジア-シン
(72)【発明者】
【氏名】フー ウェイ-シャン
(72)【発明者】
【氏名】チェン チン-タイ
(72)【発明者】
【氏名】シエ ミン-スン
(72)【発明者】
【氏名】シャオ チャン-タイ
【テーマコード(参考)】
5F142
【Fターム(参考)】
5F142AA54
5F142BA32
5F142CA11
5F142CD02
5F142FA32
5F142GA01
(57)【要約】
【課題】半導体素子配列構造の提供。
【解決手段】この構造は、基板、粘着構造、及び第1半導体素子を含む。基板は上表面を有し、粘着構造は上表面上に位置するとともに、第1凹入領域を有し、第1半導体素子は、粘着層に対向する下表面及び下表面の下で第1凹入領域中に位置する導電性バンプを含み、導電性バンプは、第1部分及び第2部分を含み、下表面は、粘着構造に接触せず、第1部分は、第1凹入領域に直接接触し、第2部分は、第1凹入領域に直接接触しない。
【選択図】図11B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上表面を有する基板と、
前記上表面上に位置するとともに、第1凹入領域を有する粘着構造と、
第1半導体素子であって、
前記粘着構造に対向する下表面と、
前記下表面の下かつ前記第1凹入領域中に位置するとともに、第1部分及び第2部分を含む導電性バンプとを含む第1半導体素子と、を含む半導体素子配列構造であって、
前記下表面は前記粘着構造に接触せず、
前記第1部分は前記第1凹入領域に直接接触し、前記第2部分は前記第1凹入領域に直接接触しない、半導体素子配列構造。
【請求項2】
第2半導体素子を更に含み、かつ、前記第2半導体素子は導電性ボンディングパッドを含み、前記粘着構造は第2凹入領域を更に有し、断面図において、前記導電性ボンディングパッドは前記第2凹入領域と略同一の輪郭を有する、請求項1に記載の半導体素子配列構造。
【請求項3】
前記導電性ボンディングパッドは第1外表面を有し、前記導電性バンプは第2外表面を有し、かつ、前記第1外表面は、凹部、前記第2外表面よりも粗いテクスチャまたは両者を有する、請求項2に記載の半導体素子配列構造。
【請求項4】
前記粘着構造は、互いに分離した第1粘着構造及び第2粘着構造を含み、かつ、前記第1半導体素子が前記第1粘着構造上に配置され、前記第2半導体素子が前記第2粘着構造上に配置される、請求項2に記載の半導体素子配列構造。
【請求項5】
前記第1粘着構造は第1最大幅を有し、前記第1半導体素子は第2最大幅を有し、かつ、前記第1最大幅は前記第2最大幅と略同等である、請求項1に記載の半導体素子配列構造。
【請求項6】
上表面を有する基板と、
前記上表面上に位置する粘着構造と、
前記粘着構造上に配置される第1半導体素子及び第2半導体素子と、を含む半導体素子配列構造を提供し、
前記第1半導体素子に、前記第1半導体素子と前記粘着構造との間の接触面積を低減可能とさせ、
移転構造を提供すると同時に、前記第1半導体素子及び前記第2半導体素子に接触させ、
前記移転構造を移動させて、前記第1半導体素子を前記移転構造まで搬送させる、半導体素子配列構造の作製方法。
【請求項7】
開口を有するフォトマスクを提供することを更に含み、レーザエネルギを提供して前記開口を介して前記第1半導体素子に印加する、請求項6に記載の半導体素子配列構造の作製方法。
【請求項8】
前記第1半導体素子は導電性ボンディングパッドを含み、前記第1半導体素子に印加するステップの後、前記導電性ボンディングパッドの形状は改変される、請求項6に記載の半導体素子配列構造の作製方法。
【請求項9】
前記第1半導体素子は下表面を含み、前記第1半導体素子に印加するステップの後、前記下表面は前記粘着構造と分離する、請求項6に記載の半導体素子配列構造の作製方法。
【請求項10】
前記移転構造を移動することを更に含み、前記移転構造から前記第1半導体素子をターゲット基板まで搬送させる、請求項6に記載の半導体素子配列構造の作製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体素子配列構造に関するものであり、特に、導電性バンプを有する発光ダイオードの配列構造及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(Light-emitting diode、LED)結晶子(チップ)は、低エネルギ消費、長寿命、小型、速い応答速度、安定した光出力などの特性を有する半導体素子に属しており、照明やディスプレイの分野で広範に応用されている。
【0003】
科学技術の不断の進化に伴い、LEDチップの輝度は不断に向上しており、LEDチップの寸法は例えば100μm未満、50μm未満、または30μm未満と徐々に縮小されており、LEDチップの用途はもはや一般照明またはLCDスクリーンのバックライト光源として限定されていない。LEDチップは直接LEDディスプレイの画素となり、次世代ディスプレイのトレンドになる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
LEDディスプレイは、数百万、場合によっては数千万のLEDチップにより構成される。このように膨大な数量LEDチップをディスプレイパネル上に正確に配置するためには、高速で信頼性の高いチップ搬送技術が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の実施例では、半導体素子配列構造が提供されている。この構造は、基板、粘着構造、及び第1半導体素子を含む。基板は上表面を有し、粘着構造は上表面上に位置するとともに、第1凹入領域を有し、第1半導体素子は、粘着層に対向する下表面及び下表面の下で第1凹入領域中に位置する導電性バンプを含み、導電性バンプは、第1部分及び第2部分を含み、下表面は、粘着構造に接触せず、第1部分は、第1凹入領域に直接接触し、第2部分は、第1凹入領域に直接接触しない。
【0006】
本開示の別の実施例では、半導体素子配列構造の作製方法が提供されており、半導体素子配列構造を提供することを含み、この半導体素子配列構造は、基板、粘着構造、第1半導体素子、及び第2半導体素子を含む。基板は上表面を有し、粘着構造は上表面上に位置し、第1半導体素子及び第2半導体素子は粘着構造上に配置され、第1半導体素子に第1半導体素子と粘着構造との間の接触面積を低減させることが可能であり、第1半導体素子及び第2半導体素子に同時に接触する移転構造、及び第1半導体素子を移転構造まで搬送させる移動移転構造が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A】本開示の実施例における半導体素子配列構造の上面図である。
図1B図1Aにおける線分A-A’の断面図である。
図1C】本開示の別の実施例における半導体素子配列構造の上面図である。
図1D図1Cにおける線分A-A’の断面図である。
図1E】本開示の別の実施例における半導体素子配列構造の断面図である。
図2A】本開示の実施例における半導体素子の立体図である。
図2B図2Aにおける線分B-B’の断面図である。
図2C】本開示の別の実施例における半導体素子の断面図である。
図2D】本開示の別の実施例における半導体素子の立体図である。
図2E図2Dにおける線分B-B’の断面図である。
図3A】本開示の実施例における半導体素子の上面図である。
図3B図3Aにおける線分C-C’の断面図である。
図3C図3Aにおける線分D-D’の断面図である。
図4A】本開示の別の実施例における半導体素子配列構造の断面図である。
図4B図4Aの半導体素子配列構造から1つの半導体素子を除去した断面図である。
図4C図4Aの半導体素子配列構造から1つの半導体素子を除去した上面図である。
図4D】本開示の別の実施例における半導体素子配列構造の断面図である。
図4E】本開示の別の実施例における半導体素子配列構造の断面図である。
図5A】本開示の1つの実施例における半導体素子を移転する流れ図である。
図5B】本開示の1つの実施例における半導体素子を移転する流れ図である。
図5C】本開示の1つの実施例における半導体素子を移転する流れ図である。
図5D】本開示の1つの実施例における半導体素子を移転する流れ図である。
図6A】本開示の別の実施例における半導体素子を移転する流れ図である。
図6B】本開示の別の実施例における半導体素子を移転する流れ図である。
図6C】本開示の別の実施例における半導体素子を移転する流れ図である。
図7A】本開示の実施例における半導体素子を作製する流れ図である。
図7B】本開示の実施例における半導体素子を作製する流れ図である。
図7C】本開示の実施例における半導体素子を作製する流れ図である。
図7D】本開示の実施例における半導体素子を作製する流れ図である。
図8A】本開示の別の実施例における半導体素子を作製する流れ図である。
図8B】本開示の別の実施例における半導体素子を作製する流れ図である。
図8C】本開示の別の実施例における半導体素子を作製する流れ図である。
図8D】本開示の別の実施例における半導体素子を作製する流れ図である。
図9A】本開示の別の実施例における半導体素子の立体図である。
図9B図9Aにおける線分B-B’の断面図である。
図10A】本開示の別の実施例における半導体素子を移転する流れ図である。
図10B】本開示の別の実施例における半導体素子を移転する流れ図である。
図10C】本開示の別の実施例における半導体素子を移転する流れ図である。
図10D】本開示の別の実施例における半導体素子を移転する流れ図である。
図10E】本開示の別の実施例における半導体素子を移転する流れ図である。
図11A図10Cにおける領域Pがレーザエネルギ照射を受ける前の半導体ユニットの拡大図である。
図11B図10Cにおける領域Pがレーザエネルギ照射を受けた後の半導体素子の拡大図である。
図12A】本開示の別の実施例における半導体素子を移転する流れ図である。
図12B】本開示の別の実施例における半導体素子を移転する流れ図である。
図12C】本開示の別の実施例における半導体素子を移転する流れ図である。
図12D】本開示の別の実施例における半導体素子を移転する流れ図である。
図13A】本開示の別の実施例における半導体素子を移転する流れ図である。
図13B】本開示の別の実施例における半導体素子を移転する流れ図である。
図13C】本開示の別の実施例における半導体素子を移転する流れ図である。
図14】本開示の別の実施例における半導体素子配列構造の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の実施例では、図面を添付して本開示の概念を説明しているが、図面または説明において、類似または同一の部分には同一の符号が使用されており、かつ、図面においては、素子の形状、厚みまたは高さは合理的な範囲内において拡大または縮小可能である。本開示で列挙される各実施例は、本開示を説明するためにのみ使用されるとともに、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。本開示に対して行われた明らかかつ知悉が容易な修飾または変更は、いずれも本開示の精神及び範囲から逸脱するものではない。
【0009】
図1Aは、本開示の実施例に基づく半導体素子配列構造1000の上面図である。半導体素子配列構造1000は、基板10上にアレイ状に配列された複数の半導体素子1を含む。半導体素子1は、発光ダイオード(Light-Emitting Diode、LED)、レーザダイオード(Laser Diode、LD)、またはトランジスタ(Transistor)とすることができる。半導体素子配列構造1000は、単一種類、または異なる種類の半導体素子1により構成することができる。基板10は、半導体素子1をエピタキシャル成長させるための成長基板、または半導体素子1を載置するための一時的な担体(非成長基板)として用いることができる。基板10の材料には、ゲルマニウム(Ge)、ガリウム砒素(GaAs)、インジウムリン(InP)、サファイア(Sapphire)、炭化ケイ素(SiC)、シリコン(Si)、アルミン酸リチウム(LiAlO)、酸化亜鉛(ZnO)、窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウム(AlN)、金属、ガラス、熱剥離テープ(Thermal Release Tape)、光分解性粘着フィルム(UV release tape)、化学的除去テープ(Chemical Release Tape)、耐熱テープ、青色テープ(Blue Tape)、または動的剥離層付きテープ(Dynamic Release Layer、DRL)が含まれるが、これらに限定されない。各半導体素子1は、基板10から離間した側に、外部回路(例えば、回路基板、バックプレーンなど)と電気的及び物理的に接続するための一対の導電性バンプ2a、2bを有する。図1Aに示されている通り、導電性バンプ2a、2bの投影形状は略長方形である。
【0010】
図1Bは、図1Aにおける線分A-A’の断面図である。半導体素子1は、基板10から離間した側に一対の電極3a、3bを有する。導電性バンプ2a、2bは、それぞれ電極3a、3b上に直接設置される。導電性バンプ2a、2bの上表面は円弧状であり、かつ、電極3a、3bの上表面と非平行である。
【0011】
導電性バンプ2a、2bと電極3a、3bとに異なる材料を選択することが、特に好ましい。電極3a、3bの材質には、金属、例えば、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、またはその合金、もしくはその積層組合せが含まれる。導電性バンプ2a、2bの材料には、低融点の金属または低液化温度(Liquidus Melting Point)の合金(電極3a、3bの材料と比較して)を含むことができ、その融点または液化温度は210℃未満であり、例えば、ビスマス(Bi)、スズ(Sn)、インジウム(In)、またはそれらの合金である。1つの実施例において、低融点金属の融点または低液化融点合金の液化温度は170℃よりも低い。低液化温度合金の材料は、スズ・インジウム合金またはスズ・ビスマス合金とすることができる。
【0012】
図1Cは、本開示の別の実施例に基づく半導体素子配列構造1001の上面図である。半導体素子配列構造1001は、基板10上に所定のパターンで配列された複数の半導体素子1を含む。基板10は、略円形の外形を有しており、基板10の材料については、前記関連する段落を参照することができる。図1Dは、図1Cにおける線分A-A’の断面図である。1つの実施例においては、各半導体素子1と基板10との間に副粘着構造4を有し、半導体素子1は副粘着構造4を介して基板10上に仮固定される。半導体素子1は、基板10から離間した側に一対の電極3a、3bを有し、導電性バンプ2a、2bはそれぞれ電極3a、3b上に直接設置される。導電性バンプ2a、2bの上表面は円弧形である。粘着構造4は、ポリマー、例えば、ポリイミド(Polyimide、PI)、アクリル系樹脂(Acrylic resin)、エポキシ樹脂(Epoxide resin、EPO)、ポリベンゾオキサゾール(Polybenzoxazole、PBO)、シリコーン樹脂(Polysiloxane)、ポリシクロオレフィン(Cyclic Olefin Polymer、COP)、またはベンゾシクロブタン(Benzocyclobutane、BCB)により構成することができ、導電性バンプ2a、2b、及び電極3a、3bの材料については、前記関連する段落を参照することができる。
【0013】
図1Dに示されている通り、副粘着構造4の外側縁42は、半導体素子1の最外側縁19と略面一である。副粘着構造4の厚みH4は、約2~3μmまたは1~10μmである。つまり、副粘着構造4は最大幅W5を有し、半導体素子1は最大幅W6を有しており、W5はW6と略同一である。別の実施例において、外側縁42は半導体素子1の最外側縁19と面一ではなく、副粘着構造4は半導体素子1の最外側縁19に対して凹入または外に凸とすることができる。つまり、W5はW6より小さくても大きくてもよい。
【0014】
図1Eは、本開示の別の実施例における半導体素子配列構造1003の断面図である。半導体素子配列構造1003は、基板10上に所定のパターンで配列された複数の半導体素子1を含む。半導体素子1と基板10との間に粘着構造4’を有する。半導体素子1は、粘着構造4’を介して基板10上に仮固定される。半導体素子1は、基板10から離間した側に一対の電極3a、3bを有する。導電性バンプ2a、2bは、それぞれ電極3a、3b上に直接設置される。
【0015】
図1Eに示されている通り、粘着構造4’は、高台部43及び連続部44を有する。連続部44は、連続した構造であるとともに、基板10上に連続的に分布して、すべての半導体素子1の下方及び隣接する2つの半導体素子1の間の領域を通過する。高台部43は、半導体素子1と隣接する2つの連続部44との間に位置するとともに、単一の半導体素子1に接触するように上方に突出している。1つの実施例において、高台部43の外側縁42は、半導体素子1の最外側縁19と面一または近接している。高台部43は、約2~3μmの厚みH4を有する。連続部44は、約0~1μm未満の厚みH5を有する。つまり、高台部43は最大幅W5を有し、半導体素子1は最大幅W6を有しており、W5はW6と略同一である。別の実施例において、外側縁42は半導体素子1の最外側縁19と面一ではなく、高台部43は半導体素子1の最外側縁19に対して凹入または外に凸とすることができる。つまり、W5はW6より小さくても大きくてもよい。
【0016】
図2Aは、本開示の実施例における半導体素子1の立体図である。半導体素子1の最大辺長さは、100μmを超えないか、または50μmである。例えば、半導体素子1の最大辺長さは、約40μm、幅は約20μmである。導電性バンプ2a、2bは、相反する極性(例えば、正極、負極)を有し、かつ、それらの間の最小水平距離Dは40μm未満であり、例えば、半導体素子の最大辺長さは約40μm、Dは約15μmである。1つの実施形態において、導電性バンプ2a、2bは、下部電極(非表示)を完全に被覆しているとともに、外に凸の円弧形状及び頂部21a、21bを有する。図1Aを参照すると、頂部21a、21bは、導電性バンプ2a、2b及び/または電極の幾何学的中心にほぼ位置している。
【0017】
図2Bは、図2Aにおける半導体素子1の線分B-B’に沿った断面図である。半導体素子1は、基板10上に配置されるとともに、半導体重畳層14、保護層15、第1電極3a、第2電極3b、第1導電性バンプ2a、及び第2導電性バンプ2bを有する。半導体重畳層14の最外側縁19は傾斜面であり、基板10の上表面1051と垂直ではない。1つの実施例において、半導体素子1は、例えばLEDチップであり、半導体重畳層14は、第1半導体層11、活性層12、及び第2半導体層13を含む。第1半導体層11及び第2半導体層13は、それぞれ電子、正孔を提供することができ、電子、正孔は活性層12中で再結合(Recombination)して光を発出する。第1半導体層11、活性層12、及び第2半導体層13は、III-V族半導体材料、例えば、AlInGa(1-x-y)NまたはAlInGa(1-x-y)P(式中、0≦x、y≦1、(x+y)≦1)を含むことができる。活性層12の材料に応じて、LEDチップは、ピーク値が610nm~650nmの間の赤色光、ピーク値が530nm~570nmの間の緑色光、ピーク値が500nm~485nmの間の青緑色光(Cyan)、ピーク値が450nm~485nmの間の青色光、ピーク値が400nm~450nmの間の紫色光、またはピーク値が280nm~400nmの間の紫外線を発出することができる。半導体重畳層14の最大厚みは、約10μmまたはそれ未満である。1つの実施例において、第1半導体層11の下表面17は基板10と接触し、かつ、粗面であり、言い換えると、基板10の第1半導体層11の下表面17と接触している上表面も粗面である。別の実施例において、第1半導体層11の下表面17は、略平坦な表面である(非表示)。また別の実施例において、基板10は、半導体重畳層14をエピタキシャル成長(Epitaxially Grow)させるための成長基板(Growth Substrate)であり、基板10の半導体重畳層14に対面するすべて上表面が粗面(非表示)、例えば、パターン化されたサファイア基板(Patterned Sapphire Substrate、PSS)である。1つの実施例において、半導体素子1は、担体(非表示)を含み、担体は半導体重畳層14の下に位置しているとともに、半導体重畳層14を支持するために用いられ、担体は、半導体重畳層14のエピタキシャル成長基板または非エピタキシャル成長基板とすることができ、担体の材料については、前記基板10に関連する段落を参照することができ、材料の選択は理論及び実務の実行可能性に合致しているものとする。
【0018】
図2Bに示されている通り、半導体重畳層14は、第1半導体層11を活性層12及び第2半導体層13の外に露出させるためのプラットホーム16を有する。保護層15は、第2半導体層13の上表面、第1半導体層11の側壁、活性層12の側壁、第2半導体層13の側壁、及びプラットホーム16中に位置する第1半導体層11の上表面を被覆する。保護層15は基板10と直接接触することができる。別の実施例において、保護層15は基板10と直接接触しなくてもよい。保護層15は、プラットホーム16中に、第1半導体重畳層11の一部を露出する第1開孔5aを有する。孔保護層15は、第2半導体層13上に、第2半導体層13の一部を露出する第2開孔5bを有する。第1電極3aは、プラットホーム16中に位置し、保護層15の上に部分的に形成され、プラットホーム16中に位置する保護層15及び部分的にプラットホーム16の外側に位置する保護層15を有する。第1電極3aは、第1開孔5a中に形成されるとともに、第1半導体層11に電気的に接続される第1凹部6aを有する。第1電極3aは、プラットホーム16の位置箇所に、階段状の外形を有する。第2電極3bは、第2開孔5b以外の保護層15上に位置する部分、及び第2開孔5b中に形成されるとともに、第2半導体層13に電気的に接続される第2凹部6bを有する。
【0019】
保護層15は、単層または多層構造とすることができ、かつ、電気的絶縁の特性を有する。単層構造の材料には、酸化物、窒化物、またはポリマー(Polymer)を含むことができる。酸化物には、酸化アルミニウム(Al)、酸化ケイ素(SiO)、二酸化チタン(TiO)、五酸化タンタル(Tantalum Pentoxide、Ta)または酸化アルミニウム(AlO)を含むことができる。窒化物には、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ケイ素(SiN)を含むことができる。ポリマーには、ポリイミド(Polyimide)、またはベンゾシクロブタン(Benzocyclobutane、BCB)を含むことができる。多層構造の材料には、酸化アルミニウム(Al)、酸化ケイ素(SiO)、二酸化チタン(TiO)、五酸化ニオブ(Nb)、窒化ケイ素(SiN)、または上記材料の組合せを含むことができる。多層構造は、ブラッグ反射器(Distributed Bragg Reflector、DBR)を形成することもできる。
【0020】
図2Bを参照すると、第1導電性バンプ2aは第1電極3aの上に直接形成される。第1導電性バンプ2aは、第1電極3aの第1凹部6aに完全または部分的に充填することができ、かつ、その最外表面22aは巨視的に平滑かつ外に凸の円弧状を有する。第1導電性バンプ2aは、第1導電性バンプ2a及び基板10から最も離間した領域である頂部21aを有する。図示されている通り、第1導電性バンプ2aの最外表面22aは、第1導電性バンプ2aの最下表面と平行であるが、第1電極3aの上表面とは平行ではない何らの平面も有していない。第1半導体層11の下表面17は粗面であり、第1導電性バンプ2aの最外表面22aの粗さは、第1半導体層11の下表面17の粗さよりも小さく、第1電極3aの上表面の粗さよりも小さい。
【0021】
図2Bを参照すると、第2導電性バンプ2bは、第2電極3bの上方を直接被覆する。第2導電性バンプ2bは、第2電極3bの第2凹部6bに完全または部分的に充填することができ、かつ、その最外表面22bは巨視的に平滑かつ外に凸の円弧状を有する。第2導電性バンプ2bは、第2導電性バンプ2b及び基板10から最も離間した領域である頂部21bを有する。図示されている通り、第2導電性バンプ2bの最外表面22bは、第2導電性バンプ2bの最下表面と平行であるが、第2電極3bの上表面とは平行ではない何らの平面も有していない。第2導電性バンプ2bの最外表面22bの粗さは、第1半導体層11の下表面17の粗さよりも小さく、第2電極3bの上表面の粗さよりも小さい。一実施例としては、第1の導電性バンプ2aの頂部21aと第2の導電性バンプ2bの頂部21bは、ほぼ同一水平高さに位置していることが、半導体素子1の後続の基板上への安定的な固定にとって有利である。しかし、実際には、製造工程技術の許容下において、一定程度の高さの差異が存在することができる。第1導電性バンプ2a及び第2導電性バンプ2bの最下表面は、通常、共形的(Conformally)にそれぞれ第1電極3a及び第2電極3b上に形成され、両者の最下点は往々にして同一水平高さには位置していない。図2Bを参照すると、第1導電性バンプ2aの頂部21aから保護層15の上表面151までの垂直距離を第1厚みH1として測定することができ、第1導電性バンプ2aは、第1(最大)幅W1を有し、H1/W1は0.1~0.4の間、好ましくは0.1と0.25の間である。第2導電性バンプ2bの頂部21bから保護層15の上表面151までの垂直距離を第2厚みH2として測定することができ、第2導電性バンプ2bは、第2(最大)幅W2を有し、H2/W2は0.1~0.4の間、好ましくは0.1と0.25の間である。H1/W1及びH2/W2は同一であっても異なっていてもよい。第2導電性バンプ2bの第2厚みH2は、4~6μmである。
【0022】
第1導電性バンプ2aが第1電極3aの第1凹部6a中に密実に充填されるほど、第2導電性バンプ2bが第2電極3bの第2凹部6bに密実に充填され、半導体素子1と回路基板(非表示)との間の物理的及び電気的接続の信頼性を向上させることができ、失効状況の発生確率が低下する。詳細に述べると、半導体素子1の構造が図2bに示されている通りであるが、導電性バンプ2a、2bがない場合は、半導体素子1を回路基板にハンダ付けして固定する際に、第1電極3aと回路基板(非表示)との間に位置するハンダが想定外に第1凹部6a付近でホールを生じることがあり、第2電極3bと回路基板(非表示)との間に位置するハンダが想定外に第2凹部6b付近でホールを生じることがある。これらのホールは、おそらく半導体素子1と回路基板との接合強度を低下させる。
【0023】
図2Cは、本開示の別の実施例に基づく半導体素子1の断面図である。導電性バンプの形成過程において熱処理ステップを有している場合は、特定の導電性バンプと電極の材料との選択・組合せ下において、導電性バンプには、おそらく熱処理ステップ後にその内部に離散的に分散した粒子7が形成される。図2C図2Bの差異は、第1導電性バンプ2a及び第2導電性バンプ2b内に、離散的な分布、不規則な寸法、不規則な外形を有する粒子7が点在しており、粒子7の材質は導電性バンプ2a、2bと異なっていることのみであるが、電極3a、3bの一部の材料と同一であり、例えば、金、白金または前記材料の合金である。粒子7の外形は、帯状、多角形、葉片状、水滴状とすることができる。
【0024】
図2D~2Eは、本開示の別の実施例に基づく半導体素子1’の図であり、頂部21a及び頂部21bは同一水平高さに位置しておらず、頂部21aは頂部21bよりもやや低い。図2Eは、図2Dにおける半導体素子1’の線分B-B’に沿った断面図である。導電性バンプ2aはプラットホーム16の上方に位置し、導電性バンプ2a及び導電性バンプ2bの体積が近似している場合は、一部の導電性バンプ2aがプラットホーム16を補填する必要があるため、導電性バンプ2aに位置する頂部21aは導電性バンプ2bの頂部21bよりもやや低くなる。1つの一実施例において、第1導電性バンプ2aの第1厚みH1は、第2導電性バンプ2bの第2厚みH2よりも0.4~1μm小さい。
【0025】
図3Aは、本開示の実施例に基づく半導体素子1の上面図である。図3Bは、図3Aにおける半導体素子1の線分C-C’に沿った断面図である。図3Cは、図3Aにおける半導体素子1の線分D-D’に沿った断面図である。半導体素子1は、半導体重畳層14、電極3、及び半導体重畳層14上に位置する導電性バンプ2を含む。図3Aに示されている通り、導電性バンプ2及び電極3の投影形状は略長方形である。図3Bに示されている通り、導電性バンプ2の最外表面22は、巨視的に平滑かつ外に凸の円弧状を有する。最外表面22は電極3の上表面と互いに接触しており、導電性バンプ2の接触点における接線と電極3の上表面とが挟角θ1を形成する。挟角θ1は90度に近似しており、好ましくは、70度<θ1<90度である。図3Cに示されている通り、最外表面22は電極3の上表面と互いに接触しており、導電性バンプ2の接触点における接線と電極3の上表面とが挟角θ2を形成する。挟角θ2は<挟角θ1であり、好ましくは、30度<θ2<70度である。言い換えると、図3Aに示されている通り、導電性バンプ2の電極3の辺長さ方向上と平行な断面形状は、電極3の対角線方向上の断面形状と異なっている。
【0026】
図4Aは、本開示の別の実施例に基づく半導体素子配列構造2000である。半導体素子配列構造2000は、複数の半導体素子1(簡略化のため、図中には1次元上の3つの半導体素子1のみを表示しているが、半導体素子配列構造2000は、m*n個の半導体素子1を含むことができ、m、nは正の整数である)及び担体30を含む。半導体素子1は、導電性バンプ2が担体30に対向する方式(フリップチップとも称される)で担体30上に配置される。担体30は、半導体素子1を支持及び固定することができる。担体30は、基板31及び粘着構造32を含み、基板31の材料は、ガラス、サファイア、または高分子材料などとすることができ、発光ダイオードまたはレーザダイオードにより発出された特定波長の光を透過する透光材料とすることができる。粘着構造32は、熱剥離接着剤、光分解性接着剤、化学的除去接着剤、耐熱性接着剤、ブルーフィルム、または動的剥離層を有するテープが含まれ得る。別の実施例において、粘着構造32は、ポリマー、例えば、ポリイミド(Polyimide、PI)、アクリル系樹脂(Acrylic resin)、エポキシ樹脂(Epoxide resin、EPO)、ポリベンゾオキサゾール(Polybenzoxazole、PBO)、シリコーン樹脂(Polysiloxane)、ポリシクロオレフィン(Cyclic Olefin Polymer、COP)、またはベンゾシクロブタン(Benzocyclobutane、BCB)を含むこともできる。前記半導体素子1がフリップチップ方式で担体30上に配列される場合、その導電性バンプ2の平滑で外に凸の最外表面22は、粘着構造32に直接接触する。図4Aに示されている通り、導電性バンプ2は一部が粘着構造32に凹入しており、凹入した部分は水平方向上で最大幅W3を有し、導電性バンプ2自体は最大幅W4を有しており、W4は幅W3よりも大きい。また、図4Cに示されている通り、導電性バンプ2の最外表面22は平滑かつ円弧状であり、導電性バンプ2の粘着構造32に凹入した部分の投影面積(例えば、押圧痕34の面積)は電極3の投影面積よりも小さいため、導電性バンプ2と粘着構造32との間の粘着力を低減させることができ、後続の移転構造(非表示)を介して半導体素子1を担体30からその他の箇所まで移転する移転プロセスに有利となる。半導体素子1の移転プロセスに関しては、以後の段落において記述する。
【0027】
図4B及び図4Cは、それぞれ図4Aの半導体素子配列構造2000から1つの半導体素子を除去した後の断面図及び上面図を示している。図4Cを参照すると、担体30の上表面に、半導体素子1が除去された後に担体30上に露出する領域、つまり、半導体素子1の投影面積を表す除去領域33(例えば、点線箇所)を定義することができる。除去領域33中に、押圧痕34が含まれる。押圧痕34は、粘着構造32が導電性バンプ2により圧入された領域であり、押圧痕34は投影面積を有している。1つの実施例において導電性バンプ2の押圧痕34の投影面積と、半導体素子1の投影面積との比較値が0.2未満である場合、半導体素子1は、担体30からピックアップして、その他の位置まで移動させることが比較的容易である。
【0028】
図4D及び図4Eは、それぞれ本開示の別の実施例における半導体素子配列構造3000及び3001の断面図である。図4Dには、半導体素子配列構造3000が示されている。半導体素子配列構造3000は、複数の半導体素子1及び担体30を含む。担体30は、基板31及び粘着構造32を含む。半導体素子1は、導電性バンプ2が担体30に対向する方式で担体30上に配置される。導電性バンプ2及び電極3は、粘着構造32中に完全に凹入しているとともに、粘着構造32により完全に被覆されている。粘着構造32は、半導体素子1の電極3で被覆されていない下表面も被覆している。粘着構造32上に仮固定されることにより、複数の半導体素子1の間の相対的位置が維持され、後続の製造プロセスにより変化が発生しなくなる。図4Eは、別の半導体素子配列構造3001の断面図である。半導体素子配列構造3001は、複数の半導体素子1及び担体30を含む。担体30は、基板31及び複数の互いに分離された副粘着構造32’’を含み、1つの副粘着構造32’’は、図4Eに示されている通り、1つの半導体素子1の下に位置しているとともに、半導体素子1とほぼ同等の幅を有している。2つの隣接する副粘着構造32’’間に、距離が0よりも大きい通路35を有する。複数の半導体素子1が、導電性バンプ2が担体30に対向する方式で担体30上に配置される。導電性バンプ2及び電極3は、副粘着構造32’’中に完全に凹入しているとともに、副粘着構造32’’により完全に被覆されている。副粘着構造32’’は、半導体素子1の電極3で被覆されていない下表面も被覆している。
【0029】
図5A図5Dは、本開示の実施例における移転構造40を介して半導体素子1を移転する流れ図である。図5Aに示されている通り、複数の半導体素子1がアレイ形式で担体30上に配列される。半導体素子1は、導電性バンプ2の表面の一部を介して担体30の粘着構造32に接触しているとともに、担体30上に仮固定される。移転構造40は、半導体素子1を担体30からその他の箇所まで移動させるように提供される。移転構造40は、複数の把持部41を有し、1つの把持部41が把持される半導体素子1の位置に対応している。図5Bに示されている通り、移転構造40は、半導体素子1に接近して、把持部41と半導体素子1とを接触させた後、上方に移動して把持部41に把持された半導体素子1を担体30から離脱させ、把持部41と把持された半導体素子1との間の粘着力は、半導体素子1と担体30との間の粘着力よりも大きいため、把持部41と接触していない半導体素子1は担体30上に留まる。
【0030】
次に、図5Cに示されている通り、移転構造40及び把持部41上に仮固定された半導体素子1が、ターゲット基板50の所定位置の上方まで移動する。この所定の位置上において、半導体素子1は、ターゲット基板50に接触していても非接触であってもよく、最終的にはターゲット基板50上に直接載置または固定される。このステップにおいて、把持部41と半導体素子1との間の粘着力は、半導体素子1とターゲット基板50との間の粘着力よりも小さく、半導体素子1とターゲット基板50との間の粘着力を高めるため、ターゲット基板50の表面に粘着構造を配置することができる(非表示)。次に、図5Dに示されている通り、半導体素子1は移転構造40から離間するとともに、ターゲット基板50上に滞留し、移転構造40は同一または異なる担体30まで移動してその他の半導体素子1を把持することができる。移転後の半導体素子1は、導電性バンプ2がターゲット基板50に対向する方式でターゲット基板50上に配置される。ターゲット基板50は、ディスプレイのバックプレーン(Backplane)、TFT基板、再配線層(Redistribution Layer、RDL)を有する基板、またはパッケージ体のサブマウント(Sub-mount)とすることができる。別の実施例において、ターゲット基板50は、前記担体30に近似した一時的担体とすることができる。そのうち、図5A図5Dにおいて、半導体素子1と担体30との接触方式は、図4Aに示されている態様に限定されず、図4D図4Eに示されている態様とすることもできる。
【0031】
図6A図6Cは、本開示の別の実施例に基づく半導体素子1を移転する流れ図である。図6Aに示されている通り、複数の半導体素子1がアレイ形式で担体30上に配置される。各半導体素子1は、導電性バンプ2の一部表面を介して担体30の粘着構造32に接触しているとともに、担体30上に仮固定される。次に、図6Aの構造を反転するか、またはターゲット基板50を移動させて、半導体素子1を担体30とターゲット基板50との間に位置させるが、半導体素子1はターゲット基板50と直接接触しておらず、例えば、図6Bに示されている通り、半導体素子1はターゲット基板50の上方に懸架される。レーザエネルギL1が、基板31の上側から粘着構造32の特定位置を照射されるように提供され、この特定位置は、移転されるべき1つの半導体素子1に対応している。レーザエネルギL1は、シングルショットレーザ(Single-Shot Laser)、またはマルチショットレーザ(Multi-Shot Laser)とすることができる。1つの実施例において、1つの半導体素子1または1つの粘着構造32の単一の位置に、1回の照射過程において1つのレーザまたは複数のレーザを照射することができる。別の実施例において、1つの半導体素子1または1つの粘着構造32の複数の位置に、1回の照射過程においてそれぞれ1つまたは複数のレーザを照射することができる。図6Cに示されている通り、レーザエネルギL1が照射された粘着構造32は、半導体素子1と粘着構造32との間の粘着力が低下するか、または半導体素子1を下向きに移動させる力量が粘着構造32の半導体素子1に対する粘着力よりも大きくなり、半導体素子1は担体30からターゲット基板50に落下する。移転後の半導体素子1は、導電性バンプ2がターゲット基板50から離間する方式でターゲット基板50上に配置される。別の実施例においては、図6Bのステップにおいて、半導体素子1は、先ずターゲット基板50に直接接触した、更にレーザエネルギL1が照射することにより、半導体素子1をより正確にターゲット基板50に位置合わせすることができる。図6Cのステップ後は、選択可能に、半導体素子1上に残留した副粘着構造32’’を除去する洗浄ステップを実施することができる。洗浄ステップは、ドライエッチングまたはウェットエッチングを含むことができ、ドライエッチングは酸素プラズマエッチングプロセスとすることができる。そのうち、図6A図6Cにおいて、半導体素子1と担体30との接触方式は、図4Aに示されている態様に限定されず、図4D図4Eに示されている態様とすることもできる。
【0032】
図7A図7Dは、本開示の実施例に基づく半導体素子1を作製する流れ図である。図7Aに示されている通り、基板10上に複数の半導体ユニット200が設置される。半導体ユニット200は、半導体重畳層14、保護層15、第1電極3a、及び第2電極3bを含む。半導体ユニット200は、第1電極3a及び第2電極3bが基板10から離間する方式で基板10上に設置される。第1電極3a及び第2電極3bは、それぞれ凹部を有し、関連する構造の記述については、前記関連する段落を参照することができる。次に、第1電極3a及び第2電極3b上に、それぞれ互いに分離された2群の接着剤80が形成される。接着剤80は、樹脂81及び樹脂81中に分散された複数の導電性粒子82を含む。1つの実施例において、接着剤80を形成する方式は、印刷(Printing)、コーティング(Coating)、スプレー(Spraying)、ディスペンシング(Dispensing)を介する方式とすることができる。そのうち、印刷方法には、エアロゾルジェット印刷(Aerosol Jet Printing)、またはインクジェット印刷(Ink-Jet Printing)を含むことができる。樹脂81の材料には、熱硬化性プラスチック及びフラックスが含まれる。熱硬化性プラスチックは、エポキシ樹脂(Epoxy resin)、シリコーン樹脂(Silicone)、ポリメチルメタクリレート、及びエピスルフィド(Episulfide)とすることができる。導電性粒子82の融点は、樹脂81の固化温度よりも低い。1つの実施例において、導電性粒子82の材料は、金、銀、銅とすることができる。別の実施例において、導電性粒子82の材料は、低融点の金属または低液化温度(Liquidus Melting Point)の合金(電極3a、3bの材料と比較して)とすることができる。1つの実施例において、低融点の金属または低液化温度の合金の融点または液化温度は210℃よりも低い。別の実施例において、低融点の金属または低液化温度の合金の融点または液化温度は170℃よりも低い。低液化温度合金の材料は、スズ合金、例えば、スズ・インジウム合金、スズ・ビスマス合金とすることができる。
【0033】
図7Bに示されている通り、レーザエネルギL2を利用して接着剤80またはその近傍領域を照射し、接着剤80を加熱する。レーザエネルギL2は、紫外線(UV)レーザビーム、可視光レーザビームまたは赤外線(IR)レーザビームを含むことができる。1つの実施例において、レーザエネルギL2は、赤外線のパルスモード(Pulse Mode)レーザビームであり、その波長は750nm~2000nmの範囲内、スポットサイズ(Spot Size)は0.004~0.002cm、ビーム直径(Beam Diameter)は100~500μm、パルス幅(Duration)は20ミリ秒(ms)未満、繰り返し周波数(Frequency)は500~4000Hz、デューティサイクル(Duty Cycle)は1%~10%、出力(Laser Power)は100W、レーザエネルギ(Laser Energy)は595~850J/cmである。図7Cに示されている通り、加熱過程において、導電性粒子82は第1電極3a及び第2電極3b上に凝集し、外に凸の円弧外表面を有する第1導電性バンプ2a及び第2導電性バンプ2bを形成する。第1導電性バンプ2a及び第2導電性バンプ2bを有する半導体ユニット200が、ここでは半導体素子1と称される。1つの実施例において、少なくとも一部の樹脂81が、第1導電性バンプ2a、第2導電性バンプ2b、及び第1電極3aと第2電極3bとの間の領域18上に移動する。加熱後、第1導電バンプ2a及び第2導電バンプ2bは固化し、その上を被覆する樹脂81も昇温するが、完全には固化せず(Uncured)、液体または半液体の状態である。次に、図7Dに示されている通り、固化していない樹脂81を除去し、第1導電性バンプ2a及び第2導電性バンプ2bを外界環境中に露出させ、後続の移転時には担体またはターゲット基板と接触可能とさせるために、洗浄ステップが実施される。洗浄ステップは溶媒を使用して実施することができ、溶媒には、N-メチルピロリジノン(N-Methylpyrrolidinone、NMP)、メチルエチルケトン(Methyl Ethy lKetone、MEK)、アセトン(Acetone、Ace)、またはイソプロピルアルコール(Isopropyl Alcohol、IPA)を含むことができる。
【0034】
図8A図8Dは、本開示の別の実施例に基づく半導体素子1を作製する流れ図である。図8Aに示されている通り、基板10上に複数の半導体ユニット200’が設置される。半導体ユニット200’は、半導体重畳層14、保護層15、第1電極3a、及び第2電極3bを含む。半導体ユニット200’の第1電極3a及び第2電極3bは、基板10上と背離している。第1電極3a及び第2電極3bは、それぞれ凹部を有し、関連する構造の記述については、前記関連する段落を参照することができる。電気メッキ、化学メッキ、または蒸着方式を利用して、第1ボンディングパッド23a及び第2ボンディングパッド23bが、それぞれ第1電極3a及び第2電極3b上に形成される。第1ボンディングパッド23aの外表面24a及び第2ボンディングパッド23bの外表面24bは、第1電極3a及び第2電極3bの上表面と略共形(Conformal)であり、つまり両者の輪郭は近似している。単一群の接着剤83が、半導体ユニット200’、第1ボンディングパッド23a、及び第2ボンディングパッド23b上に形成される。接着剤83は、この例においては樹脂のみを含む。別の実施例において、接着剤83は、樹脂及び比較的低濃度の導電性粒子(図7Aにおける導電性粒子と比較して)を含む。1つの実施例において、接着剤80を形成する方式は、印刷、コーティング、スプレー、ディスペンシングにより形成することができる。そのうち、印刷方式には、エアロゾルジェット印刷、またはインクジェット印刷を含むことができる。第1ボンディングパッド23a及び第2ボンディングパッド23bの材料については、前記関連する導電性バンプ2a、2bに関する段落を参照することができる。樹脂材料については、前記関連する段落を参照することができる。
【0035】
図8Bに示されている通り、レーザエネルギL3を利用して、第1ボンディングパッド23a及び第2ボンディングパッド23b、またはそれらの隣接領域を照射して、接着剤83、第1ボンディングパッド23a及び第2ボンディングパッド23bを加熱する。レーザエネルギL3は、紫外線(UV)レーザビーム、可視光レーザビームまたは赤外線(IR)レーザビームを含むことができる。1つの実施例において、レーザエネルギL3は、波長が750nm~2000nmの範囲内の赤外線レーザビームである。図8Cに示されている通り、加熱過程において、第1ボンディングパッド23a及び第2ボンディングパッド23bは熱を受けて接着剤83中で溶融するとともに、第1電極3a及び第2電極3b上に凝集して(樹脂が導電性粒子を含有している場合、導電性粒子は熱を受けた後も、一部またはすべてが第1電極3a及び第2電極3bに向けて移動する)、外に凸で円弧状の外表面を有する第1導電性バンプ2a及び第2導電性バンプ2bが形成される。第1導電性バンプ2a及び第2導電性バンプ2bを有する半導体ユニット200’が、ここでは半導体素子1と称される。少なくとも一部の接着剤83が、熱を受けた後に第1導電性バンプ2a、第2導電性バンプ2b、及び第1電極3aと第2電極3bとの間の領域18上に移動する。加熱後、第1導電バンプ2a及び第2導電バンプ2bは固化し、その上を被覆する接着剤83(または樹脂)も液体または半液体の状態を呈する。次に、図8Dに示されている通り、固化していない接着剤83(または樹脂)を除去し、第1導電性バンプ2a及び第2導電性バンプ2bを外界環境中に露出させ、後続の移転時には担体またはターゲット基板と接触可能とさせるために、洗浄ステップが実施される。洗浄ステップについては、前記図7Dの関連する段落の説明を参照することができる。
【0036】
別の実施例においては、前記図7D及び図8Dの洗浄ステップにおいて、導電性バンプ2a、2b間の接着剤80、83が完全に除去されず、半導体ユニット200上に残留する場合がある。後続の移転及びダイボンディング工程に影響を及ぼさないように、残留している接着剤の最大水平高さは、導電性バンプ2a、2bを超えないことが好ましい。
【0037】
図9Aは、本開示の別の実施例に基づく半導体素子20の立体図である。図9Bは、図9Aにおける半導体素子20の線分B-B’に沿った断面図である。図9Aを参照すると、半導体素子20の上側に、互いに分離した2つの第1導電性バンプ2a及び第2導電性バンプ2bを有している。第1の導電性バンプ2aと第2の導電性バンプ2bとの間に、半導体素子20上を被覆する少なくとも1群の残留接着剤84を有する。残留した接着剤84は、不規則な形状を有し、かつ、固定されていない面積を有する。図9Bを参照すると、半導体素子20は、半導体重畳層14、保護層15、第1電極3a、第2電極3b、第1導電性バンプ2a、及び第2導電性バンプ2bを有する。半導体重畳層14の最外側縁19は傾斜面であり、基板10の上表面1051と垂直ではない。半導体重畳層14は、第1半導体層11、活性層12、及び第2半導体層13を含む。残留した接着剤84は、第1導電性バンプ2aと第2導電性バンプ2bとの間の保護層15上に位置する。残留した接着剤84の最高点は、第1導電性バンプ2a及び第2導電性バンプ2bの最高点よりも高くない。残留接着剤84の高さは、導電性バンプ2a、2bを超えないため、後続の移転及びダイボンディング工程に影響を及ぼさない。
【0038】
図10A図10Eは、本開示の別の実施例に基づく半導体素子20’を移転する流れ図である。半導体素子20’の構造については、半導体素子1、1’、20に関する図面及び段落を参照することができ、半導体素子配列構造5001については、図4E及び半導体素子配列構造3001に関する段落を参照することができ、そのうち、半導体素子配列構造5001には、複数の半導体ユニット300が含まれ、半導体ユニット300は、フリップチップ方式で担体30上に配置され、半導体ユニット300の第1電極3a及び第2電極3bの下方に、それぞれ第1ボンディングパッド53a及び第2ボンディングパッド53bが配置される。
【0039】
図10Aにおいて、複数の半導体ユニット300は、電極3a、3b(ボンディングパッド53a、53b)が担体30の方位に対向するように担体30上に配置され、担体30は基板31を含み、基板31の上表面は、複数の互いに分離した副粘着構造32’’を含み、副粘着構造32’’は、半導体ユニット300の下に位置し、かつ、半導体ユニット300と略同一の幅を有する。2つの隣接する副粘着構造32’’の間に、距離が0よりも大きい通路53を有し、複数の半導体ユニット300は、ボンディングパッド53a、53bが粘着構造32に対向して埋め込まれる方式で担体30上に配置される。担体30は、略正方形または円形の外形を有しており、材料については、前記基板10に関する記述の段落を参照することができる。このステップにおいて、第1ボンディングパッド53a及び第2ボンディングパッド53bは、それぞれ電極3a、3b上に位置し、外表面54a、54bは、第1電極3a及び第2電極3bの上表面と略共形(Conformal)であり、つまり両者の輪郭は近似している。1つの実施例において、副粘着構造32’’の外側縁は半導体ユニット300の最外側縁と面一ではなく、半導体ユニット300の最外側縁に対して凹入または外に凸とすることができる。
【0040】
次に、図10Bに示されている通り、半導体素子配列構造5001の対応する位置の上方にフォトマスク5300が配置される。フォトマスク5300は、透光性基板5301(例えば、ガラス)及びその上に位置する遮光性金属層5302(例えば、金)を含む。遮光性金属層5302は開口5305を有し、開口の大きさは、下方の半導体ユニット300、または複数の半導体ユニット300を含むアレイ領域に対応している(非表示、m’×n’個の半導体ユニット300を含み、式中、m’、n’は正の整数であり、かつ、m’、n’は同時に1ではない)。本実施例において、レーザエネルギL4は、基板31の対向側を経由、透過して半導体ユニット300に照射されるため、レーザエネルギL4が透過可能な材料を基板31として選択しなければならない。
【0041】
次に、図10Cに示されている通り、レーザエネルギL4は、フォトマスク5300の上方から開口5305の位置を透過して、下方の対応する1つまたは複数の半導体ユニット300を照射するように提供される。レーザエネルギL4が照射されるこの(これらの)半導体ユニット300は、半導体素子20’となるように形成される。より具体的に述べると、レーザエネルギL4は、開口5305に対応するこの(これらの)半導体ユニット300の第1ボンディングパッド53a及び第2ボンディングパッド53bまたはその周辺領域に向けて照射され、レーザエネルギL4は、シングルショットレーザ(Single-Shot Laser)またはマルチショットレーザ(Multi-Shot Laser)とすることができる。つまり、1つの実施例において、この(これらの)半導体ユニット300の位置に、照射過程において1ショットまたは複数ショットのレーザを照射することができ、レーザエネルギL4が照射された第1ボンディングパッド53a及び第2ボンディングパッド53bは熱を受け、第1電極3a及び第2電極3bの上に凝集して、前記外に凸で円弧状外表面を有する第1導電性バンプ2a及び第2導電性バンプ2bが形成される。このステップにおいて、導電性バンプ2a、2bを有する構造体は、半導体素子20’と称される。半導体素子20’の導電性バンプ2a、2bと下方の副粘着構造32’’との接触面積は、半導体ユニット300のボンディングパッド53a、53bよりも少ない。従って、半導体素子20’は、半導体素子配列構造5001において、半導体ユニット300に対して述べると、把持が容易である。より詳細なメカニズムについては、後続の図11A~11Bの領域拡大図で記述する。
【0042】
次に、図10Dに示されている通り、半導体素子20’を担体30からその他の箇所まで移動させるように、移転構造500が提供される。その際、移転構造500は、凸出した把持部を有さず、全体が粘着力を有する粘着層502であり(例えば、Polydimethylsiloxane(PDMS)または粘着力を有する粘着テープ)、粘着層502は把持表面501を有し、かつ、把持表面501の大きさは、把持すべき半導体素子20’よりも数倍大きい。移転構造500は、半導体ユニット300及び半導体素子20’に接近すると同時に、把持表面501を半導体ユニット300及び半導体素子20’に接触させた後、更に上方に移動して半導体素子20’を把持表面501上に貼着するとともに、担体30(副粘着構造32’’)から離間するが、半導体ユニット300は把持されない。その際、把持表面501と半導体ユニット300との間の粘着力は、半導体ユニット300と副粘着構造32’’との間の粘着力よりも小さいが、把持表面501と半導体素子20’との間の粘着力は、半導体素子20’と副粘着構造32’’との間の粘着力よりも大きい。従って、移転構造500が上向きに副粘着構造32’’から離間した後、移転構造500下方の半導体ユニット300は依然として担体30上に残留し、半導体素子20’は選択的に把持されて把持表面501上に仮固定される。
【0043】
最後に、移転構造500及び把持表面501上に仮固定された半導体素子20’が、ターゲット基板70の所定位置の上方まで共に移動する。この所定位置上に、表面回路180を選択的に配置することができ、移転後の半導体素子20’は、ターゲット基板70に接触可能であるかまたは接触しない。図10Eに示されている通り、半導体素子20’が移転構造500から離間してターゲット基板70上まで搬送する際、導電性バンプ2a、2bを直接加熱して溶融する方式で、下方の表面回路180にハンダ付け(電気的に接続)することができる。
【0044】
1つの実施例において、半導体素子20’の光電子特性の要件に応じて、移転構造500は、同一または異なる担体30まで反復移動して、光電子特性基準に合致した半導体素子20’をターゲット基板70まで選択的に把持することができ、選択的搬送方式は、1回に1つの半導体素子20’を搬送することができ、1回にアレイ領域の複数の半導体素子20’を搬送させることもできる。移転後における複数の半導体素子20’は、前記の方式でターゲット基板70上に配置された表面回路180に電気的に接続される。ターゲット基板70は、表示装置のバックプレーン、内部に薄膜トランジスタ(Thin-film Transistor、TFT)を有する回路基板、表面または内部に再配線層(Redistribution Layer、RDL)を有する回路基板、またはパッケージ体のサブマウント(Sub-mount)とすることができる。別の実施例において、ターゲット基板70は、前記担体30と同様の一時的な支持構造とすることができ、表面回路は有していない。
【0045】
図11A図11Bは、それぞれ図10Cにおける領域PがレーザエネルギL4照射を受ける前後の拡大図である。図11Aに示されている通り、半導体ユニット300は、半導体重畳層14、保護層15、第1電極3a、及び第2電極3bを含む。第1ボンディングパッド53a及び第2ボンディングパッド53bは、電気メッキ、化学メッキ、または蒸着方式により、それぞれ第1電極3a及び第2電極3bの下に形成される。第1ボンディングパッド53aの外表面54a及び第2ボンディングパッド53bの外表面54bは、第1電極3a及び第2電極3bの下表面と略共形であり、つまり両者の輪郭は近似している。また、外表面54a、54bは、上方電極3a、3bに対応する凹部、粗いテクスチャ(電極3a、3bの下表面と比較して)、またはその両者を有する。その際、第1ボンディングパッド53a、第2ボンディングパッド53b、及び電極3a、3bは、副粘着構造32’’中に完全に凹入しているとともに、副粘着構造32’’により完全に被覆されている。副粘着構造32’’は、半導体ユニット300の電極3a、3bにより被覆されていない下表面15’と直接接触している。図示されている通り、副粘着構造32’’により構成される凹入領域6a’、6b’の形状は、第1ボンディングパッド23a及び第2ボンディングパッド23bに対応している。
【0046】
図11Bに示されている通り、レーザエネルギL4の照射を受けた後、第1ボンディングパッド53a及び第2ボンディングパッド53bは、副粘着構造32’’内において熱を受けて溶融するとともに、第1電極3a及び第2電極3bの下に凝集して、外に凸で円弧状外表面を有する第1導電性バンプ2a及び第2導電性バンプ2bを形成する。第1導電性バンプ2a及び第2導電性バンプ2bを有する半導体ユニット300が、ここでは半導体素子20’と称される。より詳細に述べると、第1電極3a及び第2電極3bが金属材質であるため、熱を受けて溶融すると、同様に金属材質である第1ボンディングパッド53a及び第2ボンディングパッド53bが、それぞれ上方の電極3a、3bを基板としてその内部に凝集して、表面積及び表面エネルギが比較的低い導電性バンプ2a、2bを形成する。導電性バンプ2a及び2bは、副粘着構造32’’を押し出して、半導体素子20’を副粘着構造32’’中から持ち上げる。図11Bに示されている通り、導電性バンプ2a、2bと副粘着構造32’’との接触面積は、図11Aにおける第1ボンディングパッド53a及び第2ボンディングパッド53bと副粘着構造32’’との接触面積よりも小さく、半導体素子20’の下表面15’と副粘着構造32’’とは、距離D1だけ分離される。従って、半導体素子20’の副粘着構造32’’上における粘着力は、半導体ユニット300の粘着力よりも小さくなる。
【0047】
1つの実施例において、副粘着構造32’’は、熱を受けた後に固化するとともに、ボンディングパッド53a及び53bの外表面54a、54bに接触する。従って、半導体素子20’が除去された後も、凹入領域6a’、6b’は依然としてボンディングパッド53a、53bに対応した内輪郭が留保される。別の実施例において、副粘着構造32’’は熱を受けて溶融すると若干の流動性を生じるため、半導体素子20’が除去された後、凹入領域6a’、6b’はより平滑となり、かつ、粗さが低下し、副粘着構造32’’には若干の変形が生じるが、凹入領域6a’、6b’の粗さは、依然として導電性バンプ2a、2bの外表面よりも粗い。
【0048】
図12A図12Dは、本開示の別の実施例に基づく半導体素子20’を移転する流れ図である。図12Aに示されている通り、半導体素子配列構造5001は、半導体素子ユニット300の裏面を下にして粘着力を有する移転構造500に接触する。本実施例において、移転構造500は、支持層503及び粘着層502(例えば、Polydimethylsiloxane(PDMS)、粘着力を有するテープ)を含む。粘着層502は把持表面501を有し、半導体ユニット300は把持表面501に接触する。移転構造500は、半導体ユニット300の背面が把持表面501と貼り合わされることを確保するように、選択的に担体30に向けて圧力を付与することができる。
【0049】
次に、図12Bに示されている通り、半導体素子配列構造5001の上方にフォトマスク5300が配置される。フォトマスク5300は、透光性基板5301(例えば、ガラス、石英、サファイア)及びその上に位置する遮光性金属層5302(例えば、金、クロム、タングステン)を含む。遮光性金属層5302は、開口5305を有し、開口の大きさは、下方の1つまたは複数の半導体ユニット300を被覆可能である。
【0050】
図12Cに示されている通り、レーザエネルギL5は、フォトマスク5300の上方から開口5305を透過して、下方の1つまたは複数の半導体ユニット300を照射するように提供される。レーザエネルギL5が照射されるこの(これらの)半導体ユニット300が、半導体素子20’となる。
【0051】
図12Dに示されている通り、担体30が移動構造500から分離されると、半導体素子20’は副粘着構造32’’から分離されるとともに、把持表面501上まで移転する。続いて、図10Eを参照すると、移転構造500を介して半導体素子20’がターゲット基板70の所定位置に配置される。
【0052】
図13A図13Cは、本開示の別の実施例に基づく半導体素子20’を移転する流れ図である。この実施例においては、フォトマスクを使用する必要はない。図13Aに示されている通り、直接すべての半導体ユニット300の表面を走査する方式でレーザエネルギL6が印加される。
【0053】
図13Bに示されている通り、レーザエネルギL6が印加された後、すべての半導体ユニット300は半導体素子20’に形成されるため、半導体素子20’と担体30(副粘着構造32’’)との間の粘着力が、半導体ユニット300と担体30(副粘着構造32’’)との間の接着力よりも小さくなる。半導体ユニット300及び半導体素子20’の構造及び形成ステップについては、図11A図11B及び関連する段落を参照することができる。
【0054】
図13Cに示されている通り、粘着層502を使用して凸出した把持部504を有する移転構造500が、特定の半導体素子20’を把持する。1つの実施例において、把持部504及び半導体素子20’は近似した投影面積を有しており、かつ、把持部504は1回で1つの半導体素子20’を把持することができる。移転構造500が特定の半導体素子20’まで移動されるとともに、把持部504が半導体素子20’に接触した後、移転構造500は更に上方に向けて移動して、把持部504により把持された半導体素子20’を搬送担体30(副粘着構造32’’)から離間させるが、把持部分504と接触していない半導体素子20’は依然として担体30(副粘着構造32’’)上に留保される。その際、把持部504と半導体素子20’との間の粘着力は、半導体素子20’と担体30(副粘着構造32’’)との間の粘着力よりも大きい。続いて、前述の通り、移転構造500を介して半導体素子20’がターゲット基板の所定位置に配置される。
【0055】
図14Eは、別の半導体素子配列構造6001の側面図を示している。図14に示されている通り、半導体ユニット400は垂直方式の発光ダイオードチップである。半導体ユニット400は、半導体重畳層14、保護層15、第1電極3a、及び第2電極3bを含む。第1ボンディングパッド53aは、電気メッキ、化学メッキ、または蒸着方式で第1電極3aの下に形成される。第1ボンディングパッド53aの外表面54aは、第1電極3aの下表面と略共形であり、つまり両者の輪郭は近似している。第1の電極3a及び第1ボンディングパッド53aは、半導体重畳層14の下方に位置し、粘着層52中に埋め込まれているが、第2電極3bは、半導体重畳層14の上方に位置している。つまり、第1電極3a(及び第1ボンディングパッド53a)及び第2電極3bは、それぞれ半導体重畳層14の対向する側に位置している。それ以外に、半導体重畳層14の上表面全体を、透光性導電層77(例えば、インジウムスズ酸化物)で選択的に被覆して、半導体ユニット400の表面電流の拡散効果を高めることができる。
【0056】
図14に示されている通り、複数の副粘着構造32’’が担体30上に配置され、かつ、互いに分離しており、副粘着構造32’’は半導体ユニット222の下方に位置しているとともに、半導体ユニット222とほぼ同等の幅を有している。2つの隣接する副粘着構造32’’間に、距離が0よりも大きい通路63を有する。半導体素子配列構造6001中の半導体ユニット222を移転する手法については、図5A図5D図6A図6C図10A図10E図12A図12D図13A図13C及び関連する段落を参照することができる。そのうち、レーザエネルギが半導体ユニット222に印加されると、副粘着構造32’’中に埋め込まれた第1ボンディングパッド53aのみが弧形の導電性バンプ(非表示)に変形して、半導体ユニット222と担体30(副粘着構造32’’)との間の粘着力を低下させる。
【0057】
ここで理解すべきは、本開示における上記諸々の実施例は、適切な状況下においては、互いに組み合わせるかまたは置き換えることができ、記述された特定の実施例に限定されない点である。例えば、前記各種の実施例において、半導体ユニット及び半導体素子は、成長基板を含むことができ、成長基板を含まなくてもよい。
【0058】
本開示で列挙される各実施例は、本開示を説明するためにのみ使用されるとともに、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。いずれかが本開示に対して行った明らかかつ知悉が容易な修飾または変更は、本開示の精神及び範囲から逸脱するものではない。
【符号の説明】
【0059】
1000、1001、1003、2000、3000、3001、5000、5001、6001 半導体素子配列構造
1、1’、20、20’ 半導体素子
10、30、5301 基板
2a-1 第1部分
2a-2 第2部分
2、2a、2b 導電性バンプ
3、3a、3b 電極
4、32’’ 副粘着構造
4、32 粘着構造
5a 第1開孔
5b 第2開孔
6a、6b 凹部
6a’、6b’ 凹入領域
7 粒子
11 第1半導体層
12 活性層
13 第2半導体層
14 半導体重畳層
15 保護層
15’、17 下表面
16 プラットホーム
18 領域
19 最外側縁
21a、21b 頂部
22、22a、22b 最外表面
23a、23b、53a、53b ボンディングパッド
24a、24b、32’、54a、54b 外表面
30 担体
33、P 領域
34 押圧痕
35、53、63 通路
40、500 移転構造
41、504 把持部
42 外側縁
43 高台部
44 連続部
50、70 ターゲット基板
77 透光性導電層
80、83、84 接着剤
81 樹脂
82 導電性粒子
151、1051 上表面
180 表面回路
200、200’、300、400 半導体ユニット
501 把持表面
502 粘着層
503 支持層
5300 フォトマスク
5302 遮光性金属層
5305 開口
A-A’、B-B’、C-C’、D-D’ 線分
D、D1 距離
H1、H2 厚み
L1、L2、L3、L4、L5、L6 レーザエネルギ
W1、W2、W3、W4、W5、W6 幅
θ1、θ2 夾角
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図8C
図8D
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図11A
図11B
図12A
図12B
図12C
図12D
図13A
図13B
図13C
図14