IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッドの特許一覧

特開2024-174846拡張可能バスケットアセンブリ及び電極ワイヤストレインリリーフを有する拡張可能バスケットアセンブリ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174846
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】拡張可能バスケットアセンブリ及び電極ワイヤストレインリリーフを有する拡張可能バスケットアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20241210BHJP
【FI】
A61B18/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024090523
(22)【出願日】2024-06-04
(31)【優先権主張番号】63/506,217
(32)【優先日】2023-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/652,292
(32)【優先日】2024-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・ジェームズ・アグニュー・ブイ
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・エメリウス・バン・ニーキルク
(72)【発明者】
【氏名】ショーン・ディ・セイラー
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン・ロドリゲス
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK04
4C160KK17
4C160KK38
4C160KK39
4C160KL03
4C160MM38
4C160NN01
(57)【要約】
【課題】拡張可能スパインアセンブリを提供すること。
【解決手段】開示される技術は、拡張可能スパインが拡張状態にあるときに拡張可能スパインによって形成される内部空間に面する第1のスリットを含む接続部分を含む拡張可能スパインと、拡張可能スパインに取り付けられ、第1のスリットの遠位端に配置された第1の電極と、拡張可能スパインに取り付けられ、第1の電極の近位で第1のスリットの近位端に配置された第2の電極と、第1の電極と第2の電極とを電気的に接続するように構成されたワイヤであって、拡張可能スパインが折り畳まれた状態にあるときに第1のスリット内に位置付けられ、拡張状態にあるときに第1の電極と第2の電極の接続部分の経路と比較してよりまっすぐな経路でワイヤが移動するように第1のスリットの外側に位置付けられるように構成された、ワイヤと、を含む。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡張可能スパインアセンブリであって、
拡張可能スパインであって、前記拡張可能スパインが拡張状態にあるときに前記拡張可能スパインによって形成される内部空間に面する第1のスリットを含む接続部分を含む、拡張可能スパインと、
前記拡張可能スパインに取り付けられ、前記第1のスリットの遠位端に配置された第1の電極と、
前記拡張可能スパインに取り付けられ、前記第1の電極の近位にかつ前記第1のスリットの近位端に配置された第2の電極と、
前記第1の電極及び前記第2の電極を電気的に接続するように構成されたワイヤであって、前記拡張可能スパインが折り畳まれた状態にあるときに前記第1のスリット内に位置付けられ、前記拡張状態にあるときに前記第1の電極及び前記第2の電極の前記接続部分の経路と比較してよりまっすぐな経路で前記ワイヤが移動するように前記第1のスリットの外側に位置付けられるように構成された、ワイヤと、を含む、拡張可能スパインアセンブリ。
【請求項2】
前記拡張可能スパインが前記拡張状態にあるとき、前記接続部分の弧長は、前記第1の電極と前記第2の電極との間の前記ワイヤの長さよりも長い、請求項1に記載の拡張可能スパインアセンブリ。
【請求項3】
ニチノール、コバルトクロム、ステンレス鋼、チタン、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の拡張可能スパイン。
【請求項4】
前記拡張可能スパインは、前記拡張状態にあるとき、前記内部空間から離れるように湾曲するように構成されている、請求項1に記載の拡張可能スパインアセンブリ。
【請求項5】
前記第1の電極及び前記第2の電極と前記拡張可能スパインとの間に配置される電気絶縁ジャケットを更に備え、それによって、前記第1の電極及び前記第2の電極を前記拡張可能スパインから電気的に絶縁する、請求項1に記載の拡張可能スパインアセンブリ。
【請求項6】
前記電気絶縁ジャケットは、前記第1のスリットに対応する第2のスリットを備え、ポリエーテルキートーン(PEEK)、液晶ポリマー(LCP)、又はその両方を備える、請求項5に記載の拡張可能スパインアセンブリ。
【請求項7】
前記第1の電極及び前記第2の電極は、前記拡張可能スパインに連結され、前記第1の電極及び前記第2の電極はそれぞれ、管腔を画定し、それにより、前記拡張可能スパインは、前記それぞれの管腔を通って延在する、請求項1に記載の拡張可能スパインアセンブリ。
【請求項8】
前記第1の電極及び前記第2の電極が、不可逆エレクトロポレーションのために電気パルスを送達するように構成されており、前記電気パルスが、少なくとも900ボルト(V)のピーク電圧を有する、請求項1に記載の拡張可能スパインアセンブリ。
【請求項9】
拡張可能バスケットアセンブリであって、
長手方向軸に沿って延在し、かつ、前記拡張可能バスケットアセンブリが折り畳み形態から拡張形態に移行するときに、前記長手方向軸から半径方向外向きに曲がるように構成されている複数のスパインと、
複数の電極対であって、前記複数の電極対のうちの各電極対が前記複数のスパインのうちの1つのスパインに取り付けられている、複数の電極対と、
前記拡張可能バスケットアセンブリが前記拡張形態にあるときに、前記拡張可能バスケットアセンブリによって形成される内部空間に面する複数のスリットと、
前記複数の電極対を電気的に接続するように構成された複数のワイヤであって、前記拡張可能バスケットアセンブリが折り畳まれた状態にあるときに前記複数のスリット内に位置付けられ、前記複数の電極対を接続する前記複数のスパインの経路と比較してよりまっすぐな経路で前記複数のワイヤが移動するように前記複数のスリットの外側に位置付けられるように構成された、複数のワイヤと、を含む、拡張可能バスケットアセンブリ。
【請求項10】
前記複数のスパインのうちの少なくとも1つは、前記複数の電極対のうちの1対の電極間に配置された接続部分を備え、前記接続部分は、前記拡張可能バスケットアセンブリが折り畳まれた状態にあるときに前記複数のワイヤのうちの1つのワイヤを受容するように構成されたスリットを備える、請求項9に記載の拡張可能バスケットアセンブリ。
【請求項11】
前記拡張可能バスケットアセンブリが前記拡張形態にあるとき、前記接続部分の弧長は、前記ワイヤの長さより大きい、請求項10に記載の拡張可能バスケットアセンブリ。
【請求項12】
前記複数のスパインのうちの少なくとも1つのスパインが、ニチノール、コバルトクロム、ステンレス鋼、チタン、又はこれらの組み合わせを含む、請求項9に記載の拡張可能バスケットアセンブリ。
【請求項13】
前記複数のスパインが略球形又は略偏球状の形状を形成する、請求項9に記載の拡張可能バスケットアセンブリ。
【請求項14】
前記複数の電極対は、前記複数のスパインのうちのそれぞれのスパインに連結され、それぞれが管腔を画定し、それにより、前記それぞれのスパインが前記管腔を通って延在する、請求項9に記載の拡張可能バスケットアセンブリ。
【請求項15】
前記複数の電極対が、不可逆エレクトロポレーションのために電気パルスを送達するように構成されており、前記電気パルスが、少なくとも900ボルト(V)のピーク電圧を有する、請求項9に記載の拡張可能バスケットアセンブリ。
【請求項16】
拡張可能スパインアセンブリであって、
接続部分を備える拡張可能スパインと、
前記接続部分の遠位端において前記拡張可能スパインに取り付けられた第1の電極と、
前記拡張可能スパインに取り付けられ、前記第1の電極の近位に、かつ前記接続部分の近位端に配置された第2の電極と、
前記第1の電極及び前記第2の電極の中心を電気的に接続するように構成され、前記接続部分から離れて配置され、拡張状態の前記拡張可能スパインによって形成される内部空間内に配置されるワイヤと、を含む、拡張可能スパインアセンブリ。
【請求項17】
前記拡張可能スパインが前記拡張状態にあるとき、前記接続部分の弧長は、前記第1の電極と前記第2の電極との間の前記ワイヤの長さよりも長い、請求項16に記載の拡張可能スパインアセンブリ。
【請求項18】
ニチノール、コバルトクロム、ステンレス鋼、チタン、又はそれらの組み合わせを含む、請求項16に記載の拡張可能スパインアセンブリ。
【請求項19】
前記拡張可能スパインが、前記拡張状態にあるときに前記内部空間から離れるように湾曲するように構成されている、請求項16に記載の拡張可能スパインアセンブリ。
【請求項20】
前記第1の電極及び前記第2の電極は、前記拡張可能スパインに連結され、前記第1の電極及び前記第2の電極は、それぞれ、管腔を画定し、それによって、前記拡張可能スパインは、前記管腔を通って延在する、請求項16に記載の拡張可能スパインアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2023年6月05日に出願された先に出願された米国仮特許出願第63/506,217号(代理人整理番号:BIO6845USPSP 1-253757.000351)に対する優先権の利益を主張し、その全内容は、本明細書に完全に記載されているかのように参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、概して、医療デバイス、特に電極を有するカテーテルに関し、更に、心臓組織の不可逆エレクトロポレーション(irreversible electroporation、IRE)を誘導するための使用に好適なカテーテルに関するが、これに限定されない。
【背景技術】
【0003】
心房細動(atrial fibrillation、AF)などの心臓不整脈は、心臓組織の領域が隣接組織に電気信号を異常に伝導するときに生じる。これは、正常な心周期を混乱させ、非同期的な律動を引き起こす。不整脈を治療するための存在するある特定の処置としては、不整脈の原因となる信号の発生源を外科的に破壊すること、及びそのような信号の伝導経路を破壊することが挙げられる。カテーテルを介してエネルギーを印加して心臓組織を選択的にアブレーションすることによって、心臓の一部分から別の部分への望ましくない電気信号の伝播を停止又は変更することが時に可能である。
【0004】
当該技術分野における多くの現在のアブレーションアプローチは、高周波(radiofrequency、RF)電気エネルギーを利用して組織を加熱する。RFアブレーションは、組織の炭化、燃焼、スチームポップ、横隔神経麻痺、肺静脈狭窄、及び食道瘻につながり得る、熱加熱に関連する特定のリスクを有することができる。
【0005】
冷凍アブレーションは、一般にRFアブレーションに関連する熱リスクを低減するRFアブレーションの代替アプローチである。しかしながら、冷凍アブレーションデバイスを操作し、冷凍アブレーションを選択的に適用することは、一般に、RFアブレーションと比較してより困難であり、したがって、冷凍アブレーションは、電気的アブレーションデバイスによって達成される可能性がある特定の解剖学的幾何形状では実行可能ではない。
【0006】
いくつかのアブレーションアプローチは、非熱アブレーション法を使用して心臓組織をアブレーションするために不可逆的エレクトロポレーション(irreversible electroporation、IRE)を使用する。IREは、高電圧の短パルスを組織に送達し、細胞膜の回復不能な透過化を生じさせる。多電極カテーテルを使用する組織へのIREエネルギーの送達は、特許文献において以前に提案された。IREアブレーションのために構成されたシステム及びデバイスの例は、米国特許出願公開第2021/0169550(A1)号、同第2021/0169567(A1)号、同第2021/0169568(A1)号、同第2021/0161592(A1)号、同第2021/0196372(A1)号、同第2021/0177503(A1)号、及び同第2021/0186604(A1)号に開示されており、これらの各々は、それら全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0007】
心臓組織の領域は、異常な電気信号を識別するためにカテーテルによってマッピングすることができる。同じ又は異なるカテーテルを使用してアブレーションを実行することができる。いくつかの例示的なカテーテルは、その上に電極が位置付けられた多数のスパインを含む。電極は、一般に、スパインに取り付けられ、はんだ付け、溶接、又は接着剤を使用することによって定位置に固定される。しかしながら、スパイン及び電極のサイズが小さいことに起因して、スパインに電極をはんだ付け、溶接、又は接着することは困難な作業であり得、製造時間及びコストを増加させ、不適切な結合又は位置ずれに起因して電極が機能しなくなる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、必要とされているのは、はんだ付け、溶接、又は接着剤を使用することを必要とせずに、電極をバスケットアセンブリのスパインに取り付けるシステム及び方法である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一例によれば、提供された拡張可能スパインアセンブリは、拡張可能スパインが拡張状態にあるときに拡張可能スパインによって形成される内部空間に面する第1のスリットを含み得る接続部分を備える拡張可能スパインを含み得る。第1の電極は、拡張可能スパインに取り付けられ、第1のスリットの遠位端に配置される。第2の電極は、拡張可能スパインに取り付けられ、第1の電極の近位に、かつ第1のスリットの近位端に配置される。ワイヤは、第1の電極及び第2の電極を電気的に接続するように構成され、拡張可能スパインが折り畳まれた状態にあるとき、第1のスリット内に位置付けられ、拡張状態にあるとき、ワイヤが第1の電極及び第2の電極の接続部分の経路と比較して、よりまっすぐな経路内を移動するように、第1のスリットの外側に位置付けられるように構成されている。
【0010】
本発明の一例によれば、長手軸に沿って延在し、拡張可能バスケットアセンブリが折り畳まれた形態から拡張形態へ移行する際に長手軸から径方向外側に曲がるように構成された複数のスパインを含み得る拡張可能バスケットアセンブリが提供される。拡張可能バスケットアセンブリは、複数の電極対であって、複数の電極対のうちの各電極対が複数のスパインのうちの1つのスパインに取り付けられる、複数の電極対を更に含み得る。拡張可能バスケットアセンブリは、拡張可能バスケットアセンブリが拡張形態にあるときに拡張可能バスケットアセンブリによって形成される内部空間に面する複数のスリットを更に含んでもよい。拡張可能バスケットアセンブリは、複数の電極対を電気的に接続するように構成された複数のワイヤであって、拡張可能バスケットアセンブリが折り畳まれた状態にあるときに複数のスリット内に位置付けられ、複数の電極対を接続する複数のスパインの経路と比較してよりまっすぐな経路で複数のワイヤが移動するように複数のスリットの外側に位置付けられるように構成された複数のワイヤを更に含んでもよい。
【0011】
本発明の一例によれば、接続部分を含む拡張可能スパインを含む拡張可能スパインアセンブリが提供される。拡張可能スパインアセンブリはまた、接続部分の遠位端において拡張可能スパインに取り付けられた第1の電極を含んでもよい。拡張可能バスケットアセンブリはまた、拡張可能スパインに取り付けられ、第1の電極の近位に、かつ接続部分の近位端に配置される、第2の電極を含んでもよい。拡張可能バスケットアセンブリはまた、第1の電極及び第2の電極の中心を電気的に接続するように構成され、接続部分から分離して配置され、拡張状態にある拡張可能スパインによって形成される内部空間内に配置される、ワイヤを含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態による、医療用プローブを含み、医療用プローブの遠位端が電極を有するバスケットアセンブリを含む、医療用システムの概略描画図である。
図2A】本発明の一実施形態による、電極の端に隣接する電極を接続するワイヤを有する、拡張形態の医療用プローブの斜視図を示す概略描図である。
図2B】開示される技術による、折り畳まれた形態の図2Aの医療用プローブの側面図を示す概略描画図である。
図2C】開示された技術による、スパイン内の溝内に配置された接続ワイヤを有する折り畳まれた形態のバスケットアセンブリのスパインの上面図を示す概略絵画図である。
図2D】本発明の一実施形態による、電極中心を接続するワイヤを有する、拡張形態の医療用プローブの斜視図を示す概略絵画図である。
図2E】開示される技術による、接続ワイヤが弧長に沿ってスパイン内の溝内に配置された、拡張形態のバスケットアセンブリのスパインの側面図を示す概略絵画図である。
図2F】開示される技術による、直線長さを伴うスパインの溝の外側に延在する接続ワイヤを伴う、拡張形態におけるバスケットアセンブリのスパインの側面図を示す、概略絵画図である。
図3A】本発明の一実施形態による、スパインがチューブ状シャフトと共に組み立てられ得る方法を示す、バスケットアセンブリのチューブ状シャフト及びスパインの分解図を示す概略描画図である。
図3B】本発明の一実施形態による、スパインがチューブ状シャフトと共に組み立てられ得る方法を示す、バスケットアセンブリのチューブ状シャフト及びスパインの分解図を示す概略描画図である。
図4】本発明の一実施形態による、Aは、圧着される前の電極の正面斜視図を示す概略描画図であり、一方で、Bは、圧着された後の電極の正面斜視図を示す概略描画図である。
図5】本発明の一実施形態による、Aは、圧着される前の電極の側面斜視図を示す概略描画図であり、一方で、Bは、圧着された後の電極の側面斜視図を示す概略描画図である。
図6】本発明の一実施形態による、Aは、電極がスパインに圧着される前の電極及びスパインの正面斜視図を示す概略描画図であり、一方で、Bは、電極がスパインに圧着された後の電極及びスパインの正面斜視図を示す概略描画図である。
図7A】本発明の実施形態による、電極の側面図を例示する。
図7B】本発明の実施形態による、電極の側面図を例示する。
図7C】本発明の実施形態による、電極の側面図を例示する。
図7D】本発明の実施形態による、電極の側面図を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の詳細な説明は、図面を参照しながら読まれるべきものであり、異なる図面における同様の要素には同一の番号が付けられている。図面は、必ずしも縮尺どおりとは限らず、選択された実施形態を描示しており、また本発明の範囲を限定することを意図していない。詳細な説明は、限定ではなく、例として、本発明の原理を例解する。この説明は、当業者が本発明を作製及び使用することを明らかに可能にし、また本発明を実施するための最良の態様であると現在考えられているものを含めて、本発明のいくつかの実施形態、適応例、変形例、代替物、及び使用を説明する。
【0014】
本明細書で使用される場合、任意の数値又は範囲に対する「約」又は「およそ」という用語は、構成要素の一部又は集合が本明細書に説明される意図された目的のために機能することを可能にする好適な寸法公差を示す。より具体的には、「約」又は「ほぼ」は、列挙された値の±10%の値の範囲を指し得、例えば、「約90%」は、81%~99%の値の範囲を指し得る。加えて、本明細書で使用される場合、「患者」、「宿主」、「ユーザ」、及び「対象」という用語は、任意のヒト又は動物対象を指し、ヒト患者における本発明の使用が好ましい実施形態を表すが、システム又は方法をヒトの使用に限定することを意図するものではない。同様に、「近位」という用語は、作業者又は医師により近い方の位置を示す一方、「遠位」は、オペレータ又は医師からより遠い位置を示す。
【0015】
本明細書で考察されるように、「患者」、「宿主」、「ユーザ」、及び「対象」の血管系は、ヒト又は任意の動物の血管系であり得る。動物は、哺乳類、獣医学的動物、家畜動物、又はペット類の動物などを含むが、これらに限定されない、様々な任意の適用可能なタイプのものであり得ることを理解するべきである。一例として、動物は、ヒトに類似したある特定の性質を有するように特に選択された実験動物(例えば、ラット、イヌ、ブタ、サルなど)であり得る。対象は、例えば、任意の適用可能なヒト患者であり得ることを理解するべきである。
【0016】
本明細書で考察されるように、「オペレータ」は、医師、外科医、技術者、科学者、又は対象への薬物難治性心房細動の治療のための多電極カテーテルの送達と関連する任意の他の個人若しくは送達器具を含むことができる。
【0017】
本明細書で論じられるように、「アブレーションする」又は「アブレーション」という用語は、本開示のデバイス及び対応するシステムに関連する場合、パルス電界(pulsed electric field、PEF)及びパルス場アブレーション(pulsed field ablation、PFA)と互換的に称されることもある、不可逆エレクトロポレーション(IRE)などの非熱的エネルギーを利用することによって、細胞内での不規則な心臓信号の生成を低減又は防止するように構成された構成要素及び構造的特徴を指す。本開示のデバイス及び対応するシステムに関する場合、アブレーションすること又はアブレーションは、不整脈、心房粗動アブレーション、肺静脈隔離、上室頻脈アブレーション、及び心室性頻脈アブレーションを含むが、これらに限定されない、特定の状態の心臓組織の非熱アブレーションを参照して、本開示全体を通して使用される。「アブレーションする」又は「アブレーション」という用語はまた、当業者によって理解されるように、様々な形態の身体組織アブレーションを達成するための既知の方法、デバイス、及びシステムを含む。
【0018】
本明細書で考察されるように、「双極」及び「単極」という用語は、アブレーションスキームを指すために使用される場合、電流経路及び電界分布に関して異なるアブレーションスキームを説明する。「双極」とは、両方とも治療部位に位置付けされた2つの電極間の電流経路を利用するアブレーションスキームを指す。電流密度及び電束密度は、典型的には、2つの電極の各々でほぼ等しい。「単極」とは、2つの電極間の電流経路を利用するアブレーションスキームを指し、ここで、高電流密度及び高電束密度を有する1つの電極が治療部位に位置付けられ、比較的低い電流密度及びより低い電束密度を有する第2の電極が、治療部位から遠隔に位置付けられる。
【0019】
本明細書で考察されるように、「管状」及び「管」という用語は、広義に解釈されるものとし、直円柱構造、若しくは断面が厳密に円形である構造、又はその長さ全体にわたって均一な断面である構造に限定されるものではない。例えば、管状構造は、概して、実質的な直円柱構造として例解される。しかしながら、管状構造は、本開示の範囲から逸脱することなく、先細状又は湾曲した外面を有し得る。
【0020】
本開示は、心臓不整脈を治療するための心臓組織のIREアブレーションのためのシステム、方法、又は使用及びデバイスに関する。アブレーションエネルギーは、通常、アブレーションするべき組織に沿ってアブレーションエネルギーを送達することができるカテーテルの先端部分によって心臓組織に供給される。いくつかの例示的カテーテルは、先端部分に三次元構造を含み、三次元構造上に位置付けられた様々な電極からアブレーションエネルギーを管理するように構成されている。このような例示的なカテーテルを組み込むアブレーション処置は、X線透視法を使用して可視化することができる。
【0021】
機能不全の心臓を改善するために、高周波(RF)エネルギー及び冷凍アブレーションなどの熱的技術を適用する心臓組織のアブレーションは、周知の処置である。典型的には、熱的技術を使用して首尾よくアブレーションするために、心筋の様々な位置で心電位を測定する必要がある。加えて、アブレーション中の温度測定により、アブレーションの有効性を可能にするデータを提供する。通常、熱的技術を使用したアブレーション処置では、実際のアブレーション前、アブレーション中、及びアブレーション後に、電極電位及び温度が測定される。RFアプローチは、組織の炭化、燃焼、スチームポップ、横隔神経麻痺、肺静脈狭窄、及び食道瘻につながり得るリスクを有し得る。冷凍アブレーションは、RFアブレーションと関連するいくらかの熱リスクを低減することができるRFアブレーションへの代替アプローチである。しかしながら、冷凍アブレーションデバイスを操作し、冷凍アブレーションを選択的に適用することは、一般に、RFアブレーションと比較してより困難である。したがって、冷凍アブレーションは、電気的アブレーションデバイスによって達成される可能性がある特定の解剖学的幾何形状では実行可能ではない。
【0022】
RFアブレーション及び冷凍アブレーションは、局所的な組織壊死を誘発する熱エネルギー伝達に基づいているが、本開示の解決策は、パルス電界(PEF)及びパルス電界アブレーション(PFA)と互換的に称されることもある不可逆エレクトロポレーション(IRE)を利用することによって、これらの及び他の問題を解決することができる。本開示で考察されるIREは、心房性不整脈のアブレーションに使用することができる非熱的細胞死技術である。IRE/PEFを使用してアブレーションするために、二相性電圧パルスを印加して心筋の細胞構造を破壊する。二相性パルスは非正弦波形であり、細胞の電気生理学に基づいて標的細胞に調整することができる。対照的に、RFを使用してアブレーションするために、正弦波電圧波形が適用されて、治療エリアにおいて熱を生成し、治療エリア内の全ての細胞を無差別に加熱する。したがって、IREは、アブレーションモダリティ又は隔離モダリティで既知である起こり得る合併症の低減において有益であろう、隣接する感熱性構造又は組織を救う能力を有する。追加的又は代替的に、単相性パルスを利用することができる。
【0023】
エレクトロポレーションは、細胞膜内の細孔の可逆的(reversable)(一時的)又は不可逆的(永久的)生成を引き起こすために、生物学的細胞にパルス電界を印加することによって誘発することができる。細胞は、パルス電界の印加時に静止電位を超えて増加する膜貫通静電位を有する。膜貫通静電位は閾値電位未満のままであるが、エレクトロポレーションは可逆的であり、これは、印加されたパルス電界が除去されると細孔が閉じることができ、細胞は自己修復して生存することができることを意味する。膜貫通静電位が閾値電位を超えて増加する場合、エレクトロポレーションは不可逆的であり、細胞は永久的に透過性になる。結果として、細胞は、ホメオスタシスの喪失に起因して死滅し、典型的にはアポトーシスによって死亡する。一般に、異なるタイプの細胞は、異なる閾値電位を有する。例えば、心臓細胞はほぼ500V/cmの閾値電位を有するが、骨は3000V/cmの閾値電位を有する。閾値電位のこれらの差は、IREが閾値電位に基づいて組織を選択的に標的とすることを可能にする。
【0024】
本開示の解決策は、心筋組織の近傍に位置付けられたカテーテル電極から電気信号を印加して、心筋組織にエレクトロポレーションを誘発するのに有効なパルス電界を生成するためのシステム及び方法を含む。本システム及び方法は、不可逆的エレクトロポレーションを誘発することによって標的組織をアブレーションするのに有効であり得る。いくつかの例では、本システム及び方法は、診断処置の一部として可逆エレクトロポレーションを誘発するのに有効であり得る。可逆的電気穿孔は、細胞が修復することを可能にする、電極で印加された電気が標的組織の電界閾値を下回るときに行われる。可逆エレクトロポレーションは細胞を死滅させないが、医師が、標的位置の近傍で電気活性化信号に対する可逆エレクトロポレーションの効果を見ることを可能にする。可逆エレクトロポレーションのための例示的なシステム及び方法は、米国特許出願公開第2021/0162210号に開示されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0025】
パルス電界、並びに可逆エレクトロポレーション及び/又は不可逆エレクトロポレーションを誘発するパルス電界の有効性は、システムの物理パラメータ及び電気信号の二相性パルスパラメータによって影響を受け得る。物理パラメータは、電極接触面積、電極間隔、電極幾何形状などを含み得、本明細書に提示される例は、概して、可逆的エレクトロポレーション及び/又は不可逆的エレクトロポレーションを有効に誘発するように適合される物理パラメータを含む。電気信号の二相性パルスパラメータは、電圧振幅、パルス持続時間、パルス相間遅延、パルス間遅延、総印加時間、送達エネルギーなどを含み得る。いくつかの例では、電気信号のパラメータは、同じ物理パラメータが与えられると、可逆エレクトロポレーション及び不可逆エレクトロポレーションの両方を誘発するように調整することができる。IREを含むアブレーションの様々なシステム及び方法の例は、米国特許出願公開第2021/0169550(A1)号、同第2021/0169567(A1)号、同第2021/0169568(A1)号、同第2021/0161592(A1)号、同第2021/0196372(A1)号、同第2021/0177503(A1)号、及び同第2021/0186604(A1)号に提示されており、これらの各々は、それら全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0026】
IRE(不可逆的エレクトロポレーション)処置でパルス場アブレーション(PFA)を送達するために、電極は、アブレーションされる組織と十分に大きな表面積で接触しなければならない。以下に記載されるように、医療用プローブは、近位端及び遠位端を有する可撓性挿入管と、可撓性挿入管の遠位端におけるバスケットアセンブリとを含む。バスケットアセンブリは、少なくとも1つのスパインと、複数の電極とを含み、各所与の電極は、それを通る所与のスパインに嵌合するルーメンを有する。電極は、電極がスパインの長さに沿って近位又は遠位に摺動するのを防止するように、ロッキングスタブによってスパインに圧着され、適所にロックされる。
【0027】
例示的なカテーテルベースの電気生理学マッピング及びアブレーションシステム10を示す図1を参照する。システム10は、患者23の血管系を通って心臓12の腔又は血管構造内に作業者24によって経皮的に挿入される複数のカテーテルを含む。典型的には、送達シースカテーテルは、心臓12の所望の位置の近くの左心房又は右心房内に挿入される。その後、複数のカテーテルを送達シースカテーテルに挿入して、所望の位置に到達させることができる。複数のカテーテルは、心内電位図(Intracardiac Electrogram、IEGM)信号の感知専用のカテーテル、アブレーション専用のカテーテル、及び/又は感知及びアブレーションの両方に専用のカテーテルを含み得る。IEGMを感知するように構成された例示的なカテーテル14が本明細書に例解されている。作業者24は、心臓12内の標的部位を感知するために、バスケットカテーテル28を心臓壁と接触させる。アブレーションのために、作業者24は、同様に、アブレーションカテーテルの遠位端をアブレーションのための標的部位に運ぶ。
【0028】
カテーテル14は、遠位端でバスケットアセンブリ28を形成し、かつIEGM信号を感知するように構成されている、複数のスパイン22にわたって任意選択的に分配された1つ、好ましくは、複数の電極26を含む例示的なカテーテルである。カテーテル14は、バスケットアセンブリ28の位置及び配向を追跡するために、遠位先端内又はその近くに埋め込まれた位置センサ29を追加的に含み得る。任意選択的にかつ好ましくは、位置センサ29は、三次元(three-dimensional、3D)位置及び配向を感知するための3つの磁気コイルを含む磁気ベースの位置センサである。
【0029】
磁気ベースの位置センサ29は、所定の作業体積内に磁場を生成するように構成された複数の磁気コイル32を含む位置パッド25と共に動作し得る。カテーテル14のバスケットアセンブリ28のリアルタイム位置は、位置パッド25によって生成される磁場に基づいて追跡され、かつ磁気ベースの位置センサ29によって感知され得る。磁気ベースの位置感知技術の詳細は、米国特許第5,391,199号、同第5,443,489号;同第5,558,091号;同第6,172,499号;同第6,239,724号;同第6,332,089号;同第6,484,118号;同第6,618,612号;同第6,690,963号;同第6,788,967号;同第6,892,091号において記載され、これらの各々は、それら全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0030】
システム10は、位置パッド25の位置基準及び電極26のインピーダンスベースの追跡を確立するために、患者23上の皮膚接触のために配置された1つ以上の電極パッチ38を含む。インピーダンスベースの追跡のために、電流が電極26に方向付けられ、電極皮膚パッチ38において感知され、それにより、各電極の位置を、電極パッチ38を介して三角測量することができる。インピーダンスベースの位置追跡技術の詳細は、米国特許第7,536,218号、同第7,756,576号;同第7,848,787号;同第7,869,865号、及び同第8,456,182号に記載されており、これらの各々は、それら全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0031】
レコーダ11は、体表面ECG電極18で捕捉された電位図21と、カテーテル14の電極26で捕捉された心内電位図(IEGM)と、を表示する。レコーダ11は、心臓の律動をペーシングするためのペーシング能力を含み得、及び/又は独立型ペーサに電気的に接続され得る。
【0032】
システム10は、アブレーションするように構成されたカテーテルの遠位先端部にある1つ以上の電極にアブレーションエネルギーを伝達するように適合されたアブレーションエネルギー発生器50を含み得る。アブレーションエネルギー生成器50によって生成されるエネルギーは、不可逆エレクトロポレーション(IRE)をもたらすために使用され得るような単極性若しくは双極性高電圧直流パルスを含む、高周波(RF)エネルギー若しくはパルス場アブレーション(PFA)エネルギー、又はそれらの組み合わせを含み得るが、それらに限定されない。信号は、二相又は単相であり得る。
【0033】
患者インターフェースユニット(patient interface unit、PIU)31は、カテーテルと、電気生理学的機器と、電源と、システム10の動作を制御するワークステーション55との間の電気通信を確立するように構成されたインターフェースである。システム10の電気生理学的機器は、例えば、複数のカテーテル、位置パッド25、体表面ECG電極18、電極パッチ38、アブレーションエネルギー生成器50、及びレコーダ11を含み得る。任意選択的に、かつ好ましくは、PIU31は、カテーテルの位置のリアルタイム計算を実装し、ECG計算を実行するための処理能力を追加的に含む。
【0034】
ワークステーション55は、メモリと、適切なオペレーティングソフトウェアがロードされたメモリ又は記憶装置を有するプロセッサユニットと、ユーザインターフェース機能と、を含む。ワークステーション55は、任意選択的に、(1)心内膜解剖学的構造を三次元(3D)でモデルリングし、モデル又は解剖学的マップ20をディスプレイデバイス27上に表示するためにレンダリングすることと、(2)記録された電位図21からコンパイルされた活性化シーケンス(又は他のデータ)を、レンダリングされた解剖学的マップ20上に重ね合わされた代表的な視覚的指標又は画像でディスプレイデバイス27上に表示することと、(3)心腔内の複数のカテーテルのリアルタイム位置及び配向を表示することと、(5)アブレーションエネルギーが印加された位置などの関心部位をディスプレイデバイス27上に表示することと、を含む、複数の機能を提供し得る。システム10の要素を具現化する1つの市販製品は、Biosense Webster, Inc., 31 Technology Drive, Suite 200, Irvine, CA 92618, USAから市販されている、CARTO(商標)3システムとして入手可能である。
【0035】
図2Aは、挿入管31の遠位端36において挿入管管腔80から前進させることなどによる、非拘束時に拡張形態にあるバスケットアセンブリ28を有する医療用プローブ200の斜視図を示す概略描画図である。図2Bは、挿入管31内の折り畳まれた形態のバスケットアセンブリを示す。拡張形態(図2A)では、スパイン22は、医療用プローブ200の長手方向軸86から半径方向外向きに湾曲し、折り畳まれた形態(図2B)では、スパインは、医療用プローブ200の長手方向軸86に略沿って配置される。
【0036】
図2Aに示されるように、バスケットアセンブリ28は、管状シャフト84の端に形成され、両端で接続された複数の可撓性スパイン22を含む。医療手技中、医療専門家24は、管状シャフト84を挿入管31から延在させて、バスケットアセンブリ38を挿入管から退出させ、拡張形態に移行させることによって、バスケットアセンブリ28を展開することができる。スパイン22は、楕円形(例えば、円形)又は長方形(平坦に見え得る)の断面を有し得、可撓性で弾性の材料(例えば、ニッケルチタン(ニチノールとしても知られている)、コバルトクロム、ステンレス鋼、チタン、又は任意の他の好適な材料若しくは材料の組み合わせなどの形状記憶合金)を含み得る。
【0037】
本明細書に記載の実施形態では、電極26は、アブレーションエネルギー(RF及び/又はIRE)を心臓12内の組織に送達するように構成され得る。例えば、電極26は、心臓組織に20~30アンペアの電流を送達して、心臓組織のアブレーションを容易にするように構成することができる。更に、電極26は、特定の用途に応じて、双極又は単極アブレーションスキーム用に構成することができる。代替的に又は加えて、電極を使用して、バスケットアセンブリ28の場所を決定すること、及び/又は心臓12内の組織上のそれぞれの場所における局所的な表面電位などの生理的特性を測定することができる。
【0038】
電極26を形成するのに理想的に適した材料の例には、金、白金、及びパラジウム(及びそれらのそれぞれの合金)が挙げられる。これらの材料はまた、高い熱伝導率を有し、これにより、組織上で生成された(すなわち、組織に送達されたアブレーションエネルギーによる)最小限の熱が、電極を通って電極の裏側(すなわち、スパインの内側にある電極の部分)に、次に心臓12内の血液プールに伝導されることが可能になる。
【0039】
バスケットアセンブリ28は、遠位端94を有し、シャフト84の遠位端36からバスケットアセンブリ28の遠位端94に向かって長手方向に延在するステム96を含む。制御コンソール又はワークステーション55は、遠位端36への灌注流体の送達を制御する灌注モジュール(図示せず)を含んでもよい。ステム96は、複数のスプレーポート98を含み、各所与のスプレーポート98は、所与の電極26又は心臓12内の組織のいずれかに灌注流体の送達を向けるように角度を付けることができる。
【0040】
電極26は灌注流体を送達するスプレーポートを含まないので、これまで述べた構成は、組織から(すなわち、アブレーション処置中に)スパイン22の内側の電極26の部分に熱を伝達することを可能にし、電極26は、スプレーポート98を介して、スパイン22の内側の電極26の部分に灌注流体を向けることによって冷却され得る。
【0041】
図2A図2Fに示すように、バスケットアセンブリ28のスパイン22は、電極26の隣接する端を接続するワイヤ202を折り畳まれた状態(図2B及び図2C参照)で収容するように構成されたスリット24(図2C参照)を含む。ワイヤ202は、第1の電極及び第2の電極26を電気的に接続するように構成され、スパイン22に接続され、拡張可能スパイン22が折り畳まれた状態にあるときに第1のスリット24内に位置付けられ、拡張状態にあるときに第1の電極及び第2の電極26の接続部分22A(図2C参照)の経路と比較してワイヤがよりまっすぐな経路で移動するように、第1のスリットの外側に位置付けられるように構成されている。接続部分22Aの弧長ArLは、拡張可能スパイン22が拡張状態にあるとき、第1の電極26と第2の電極26との間のワイヤ202の長さSLよりも大きい。いくつかの実施形態では、バスケットアセンブリ28は、第1の電極及び第2の電極26と拡張可能スパインとの間に配置された電気絶縁ジャケットを含んでもよく、それによって、第1の電極及び第2の電極を拡張可能スパインから電気的に絶縁する。この場合、電気絶縁ジャケットは、第1のスリットに対応し、ポリエーテルキートーン(PEEK)、液晶ポリマー(LCP)、又はその両方を含む第2のスリットを含む。
【0042】
別の言い方をすると、拡張可能バスケットア28センブリは、長手軸86に沿って延在し、拡張可能バスケットアセンブリ28が折り畳まれた形態から拡張形態へ移行する際に長手軸86から径方向外側に曲がるように構成された複数のスパイン22を含み得る。拡張可能バスケットアセンブリは、複数の電極対26であって、複数の電極26対のうちの各電極26対が複数のスパイン22のうちの1つのスパイン22に取り付けられ得る、複数の電極26対を含み得る。複数のスリット24は、拡張可能バスケットアセンブリ28が拡張形態にあるときに、拡張可能バスケットアセンブリ28によって形成される内部空間に面する。複数のワイヤ202は、複数の電極26対を電気的に接続するように構成され、複数のワイヤ202が複数の電極26対を接続する複数のスパイン22の経路と比較してよりまっすぐな経路で移動するように、拡張可能バスケットアセンブリ28が折り畳まれた状態にあるときに複数のスリット24内に位置付けられ、複数のスリット24の外側に位置付けられるように構成されている。
【0043】
図2Dは、図2Dのワイヤ202がスパイン22上に配置された隣接する電極26の中心26Aを接続することを除いて、図2Aと同じである。
【0044】
図3A及び図3Bは、本発明の一実施形態による、スパイン22が管状シャフト84と共に組み立てられ得る方法の一例を提供するための、バスケットアセンブリ28の管状シャフト84及びスパイン22の分解図を示す概略描画図である。図3Aに示されるように、スパイン22は、スパインアセンブリ28を形成することができる。スパイン22は、平面材料の単一シートから形成されて、略星形を形成することができる。換言すれば、スパイン22は、スパイン22が中央交差部211に向かって収束するように、平面材料の単一シートから形成することができる。交差部211は、中実材料片とすることができ、又は1つ若しくは2つ以上のアパーチャを含むことができる。
【0045】
スパイン22は、図3Bに示されるように、スパイン22の近位端216が管状シャフト84の遠位端36(図2A及び2Dを参照)内に挿入され得るように、折り畳まれるか、又は別様に曲げられ得る。図3A及び図3Bには示されていないが、スパインが管状シャフト84内に挿入されてバスケットアセンブリ28を形成する前に、電極26をスパイン22に取り付けることができることが理解されよう。前述のように、スパイン22は、バスケットアセンブリ28が挿入管31から展開されるときに、バスケットアセンブリ28が(図2Bに示されるような)その折り畳まれた形態から(図2Aに示されるような)その拡張形態に移行することを可能にし得る、可撓性で弾性の材料(例えば、ニチノールとしても知られているニッケルチタンなどの形状記憶合金)を含むことができる。
【0046】
スパイン22の各々は、本明細書で更に詳細に説明するように、電極26のロッキングスタブ71を受容するようにサイズ決定及び位置付けることができる、アパーチャ215を画定することができる。ロッキングスタブ71を受容することによって、アパーチャ215は、電極26がスパイン22の長さに沿って近位又は遠位に摺動することを防止するのを補助することができる。換言すれば、アパーチャ215は、溶接、締結具、接着剤、又は他の締結デバイス若しくは方法を必要とせずに、ロッキングスタブ71がアパーチャ215を通って延在するときに電極26をスパイン22に固定するのを補助することができる。非限定的な例として、スパイン22は、スパイン22の近位端とスパイン22の遠位端との間でスパイン22の長さに位置付けられた、少なくとも2つのアパーチャ215を含むことができる。このようにして、バスケットアセンブリ28は、バスケットアセンブリ28が合計12個の電極を有することができるように、バスケットアセンブリ28の近位端と遠位端との間に延在するスパイン22の各長さに沿って、少なくとも2つの電極26を有することができる。アパーチャ215は、電極(例えば、図4A図4B図5A図5B図6A図6B図7A図7D)を受容し、アパーチャ215による電極とスパインとの間の機械的ロックを介してそのような電極を維持するように配置され得る。
【0047】
本開示の利益を享受する当業者によって理解されるように、平面材料の単一シートから形成され、中央交差部で収束するスパイン22を有する、図2A図3Bに示されるバスケットアセンブリ28は、単に例示目的のために提供され、本開示の技術は、バスケットアセンブリ28の他の構成に適用可能であり得る。例えば、本開示の技術は、単一のスパイン22又は複数のスパイン22から形成され、各スパイン22が両端に取り付けられたバスケットアセンブリ28に適用可能であり得る。他の例では、バスケットアセンブリ28は、バスケットアセンブリ28の遠位端94において複数のスパイン22を一緒に接続する中央ハブを含むことができる。更に他の例では、バスケットアセンブリ28は、螺旋を形成するように構成された単一のスパイン22、螺旋を形成するように構成された複数のスパイン22、1つ以上の三脚を形成するように構成された複数のスパイン22、又はバスケットアセンブリ28の任意の他の形状を含み得る。同様に、スパインアセンブリ28は、円柱中空ストック材料をレーザ切断することによって形成され得、それによって、レーザは、切断中に円柱ストックの長手方向軸を中心に回転する(及びそれに対して平行移動する)ように取り付けられる。したがって、図2A図3Bは、バスケットアセンブリ28の特定の構成を示すが、本開示の技術は、そのように限定されると解釈されるべきではない。
【0048】
本発明の一実施形態による、図4Aは、圧着される前の電極26の正面斜視図を示す概略描画図であり、一方で、図4Bは、圧着された後の電極26の正面斜視図を示す概略描画図である。同様に、本発明の一実施形態による、図5Aは、圧着される前の電極26の側面斜視図を示す概略描画図であり、一方で、図5Bは、圧着された後の電極26の側面斜視図を示す概略描画図である。図4A図5Bに示されるように、電極26は、電極26の長さに沿って延在する断面形状を有する、細長い本体を有することができる。電極26は、上で説明したように、金、プラチナ、及びパラジウム(並びにそれらのそれぞれの合金)などの可鍛性かつ導電性の材料から作製することができる。理解されるように、可鍛性材料から電極26を形成することによって、電極26は、圧着されていない第1の形状(すなわち、図4A及び図5A)から圧着された第2の形状(すなわち、図4B及び図5B)に移行するように圧着するか、又は別様に塑性的に変形することができる。本明細書で更に詳細に説明するように、電極26は、はんだ、溶接、又は接着剤を必要とせずに、スパイン22の周りに圧着して、電極26をスパイン22に固定することができる。
【0049】
電極26は、どちらも電極26の第1の端から第2の端まで電極26の細長い本体を通って延在する、第1の管腔70及び第2の管腔72を画定することができる。電極26は、電極26から外向きに面する外面74と、電極26に向かって内向きに面し、電極26を通して第1の管腔70が形成される第1の内面76と、電極26に向かって内向きに面し、電極を通して第2の管腔72が形成される第2の内面78と、を有することができる。第1の管腔70は、スパイン22が第1の管腔70を通過することができるように、図6Aに示されるようにスパイン22を受容するようにサイズ決定及び構成することができる。図示されていないが、第2の管腔72は、医療用プローブ22のワイヤを受容し、それにより、電極26をワイヤに取り付けることができるようにサイズ決定することができる。ワイヤは、スパイン22から電気的に絶縁することができる。いくつかの例では、第1の管腔70及び/又は第2の管腔72の各々は、電極26の略長手方向に電極26を通過することができる。他の例では、第1の管腔70及び/又は第2の管腔72は、電極26の略横方向に電極26を通過することができる。更に、第1の管腔70及び/又は第2の管腔72は、特定の構成に応じて、電極26内で、底面寄りに、上面寄りに、又は電極26の中央寄りに位置付けることができる。
【0050】
医療用プローブ22のスパイン22を受容するようにサイズ決定された第1の管腔70を含むことによって、本開示の技術は、電極26がスパイン22に固定されて、離脱を防止することを確実にすることができる。したがって、電極26が外れた場合であっても、電極26は、第1の管腔70を通過する支柱430の性質によってスパイン22に取り付けられたままになる。
【0051】
電極26は、第1の管腔70内に内向きに延在することができるロッキングスタブ80を更に含むことができる。ロッキングスタブ80は、電極26の長さに沿って、電極26の第1の端から電極26の第2の端まで長手方向に延在することができる。ロッキングスタブ80は、電極26がスパイン22に連結されたときに、スパイン22のアパーチャ215を通って少なくとも部分的に延在するようにサイズ決定することができる。
【0052】
図4A図6Bに例示されるように、電極26は、第1の形状(すなわち、図4A図5A、及び図6Aに例示される)から第2の形状(すなわち、図4B図5B、及び図6Bに例示される)に圧着することができる。例えば、電極26は、電極26の細長い本体の長手方向軸に向かって圧着することができ、圧着される前に実質的に丸みのある外面74を有し、圧着された後に実質的に平坦な外面74を有することができる。電極26は、電極26が第1の形状から第2の形状まで塑性的に変形するまで電極26を押圧するように、工具を使用することによって圧着することができる。図6A及び図6Bに例示されるように、スパイン22は、電極26に挿入することができ、スパイン22のアパーチャ215は、電極26のロッキングスタブ80と位置合わせすることができる。ロッキングスタブ80がアパーチャ215と位置合わせされると、ロッキングスタブ80と第1の管腔内面76との間の距離が低減されてスパイン22が適所で固定されるまで、電極26を圧着することができる。換言すれば、スパイン22を第1の管腔70に挿入することができ、次いで、電極26がスパイン22の周りに密に固定されるまで、電極26を圧着することができる。電極26がスパイン22の周りに圧着されたときに、ロッキングスタブ80は、スパイン22のアパーチャ215を通って延在することができ、電極26がスパイン22の長さに沿って近位又は遠位に移動することを防止することができる。他に記述がなければ、電極26がスパイン26に圧着された時点で、電極26を変形させなければスパイン22を電極26から取り外すことができないように、ロッキングスタブ80は、スパイン22のアパーチャ215の内面に接触することができ、第1の管腔内面76は、スパイン22に接触することができる。いくつかの例では、ロッキングスタブ80は、アパーチャ215においてスパイン22との締まり嵌めを形成して、電極26を適所に固定することができる。
【0053】
図7A図7Dは、異なる形状のロッキングスタブ780A~780Cを有する電極26の側面図を例示する。図7Aに示されるように、ロッキングスタブ771Aは、略丸みのある又は円形の断面を備えることができる。代替的に、図7Bに示されるように、ロッキングスタブ771Bは、略長方形断面を備えることができるか、又は図7Cに示されるように、ロッキングスタブ771Cは、略三角形形状を有する少なくとも一部分を備えることができる。理解されるように、略丸みのあるロッキングスタブ771Aは、ロッキングスタブ771Aがスパイン22のアパーチャ215内に摺動して、スパイン215との締まり嵌めを形成することを可能にするのを補助することができる。代替的に、略長方形形状を有するロッキングスタブ771Bは、より密な締まり嵌めを形成することが可能であり得る。更に、略三角形形状を有するロッキングスタブ771Cは、三角形形状でスパイン22をロッキングスタブ71上にロックして、電極26をスパイン22に更に固定することを可能にし得る。図7Dにおいて、活性電極表面26は、ここでは、2つの側部突起772A及び772Bを有する膨出部材であり、その結果、保持器771Aがアパーチャ215に挿入され得、電極26Aが、スパイン部材22にわたってスエージ加工又は圧着される。代替的な配列では、保持器771Aのみがアパーチャ215内に突出し、電極26Aが実質的に3次元の台形(すなわち、丸みを帯びた台形プリズム又は丸みを帯びた切頭ピラミッド)に圧着され得るように、側部突起772A及び772Bを排除することができる。理解されるように、図7A図7Dは、説明の目的のために提供されており、本開示の技術は、本明細書に例示及び記載されたロッキングスタブ771A~771Cの特定の例に限定されるべきではない。例えば、ロッキングスタブ71は、略台形形状、略五角形形状、略六角形形状、略八角形形状、略楕円形状、略十字形状、略湾曲形状、又は他の好適な形状を含むことができる。更に、ロッキングスタブ71は、ロッキングスタブ71の長さに沿って、ロッキングスタブ71の1つの端からロッキングスタブ71の別の端まで変化する断面を有することができる。例えば、ロッキングスタブ71は、ロッキングスタブ71のいずれかの端により厚い断面を有することができるか、又はロッキングスタブ71の中央により厚い断面を有することができる。更に、電極26の一方の側から電極26の第2の側まで延在するように記載されているが、ロッキングスタブ71は、電極26の全長よりも短く延在し得るか、又は第1の端と第2の端との間に除去された部分を有し得る(例えば、ロッキングスタブ71は、電極26の中央に材料を有さずに、電極26の両端に材料の一部分を有し得る)。更にまた、本明細書には単一のロッキングスタブ71が図示及び記載されているが、電極26は、1つ以上のロッキングスタブ71を含むことができ、ロッキングスタブ71は、管腔70の下部以外の第1の管腔70の一部分(例えば、管腔70の上部)から第1の管腔70内に延在することができる。したがって、本開示の技術は、本明細書に図示及び記載された特定の構成に限定されると解釈されるべきではない。
【0054】
ここで、図5A及び図5Bを参照すると、電極26は、導電性部分90と、絶縁部分92と、を含むことができる。導電性部分90は、電気がそれを通過することを可能にするように(すなわち、心臓組織をアブレーション又はマッピングするために)構成することができ、使用時に、バスケットアセンブリ71から略外向きに面し、心臓組織に面することができる。その一方で、絶縁部分92は、電気がそれを通過することを防止して、スパイン22を電極26から電気的に絶縁するのを補助するように構成することができる。このようにして、絶縁部分92は、電極26とスパイン22との間に短絡を形成することを防止することができる。代替的に又は加えて、スパイン22は、絶縁材料から作製することができるか、又はスパイン22から電極26を電気的に絶縁するためにスパインに加えられる絶縁コーティング又はスリーブを有することができる。更に別の例として、電気絶縁材料を電極26とスパイン22との間に配置して、スパイン22から電極26を電気的に絶縁することができる。
【0055】
当業者には理解されるように、上に記載される実施形態は、例として引用したものであり、本発明は、本明細書にこれまで具体的に図示及び記載されるものに限られるものではない。むしろ、本発明の範囲は、本明細書でこれまでに記載される様々な特徴の組み合わせ及びその部分的組み合わせの両方、並びに上述の説明を読むことで当業者に想到されるであろう、先行技術において開示されていないそれらの変形例及び修正例を含むものである。
【0056】
いくつかの例では、開示されるデバイス(例えば、スパイン、バスケットアセンブリ、電極、及び/又は医療用プローブ)及び方法は、以下の条項のうちの1つ以上を含み得る:
条項1:拡張可能スパインであって、拡張可能スパインが拡張状態にあるときに拡張可能スパインによって形成される内部空間に面する第1のスリットを含む接続部分を含む、拡張可能スパインと、拡張可能スパインに取り付けられ、第1のスリットの遠位端に配置された第1の電極と、拡張可能スパインに取り付けられ、第1の電極の近位にかつ第1のスリットの近位端に配置された第2の電極と、第1の電極と第2の電極とを電気的に接続するように構成されたワイヤであって、拡張可能スパインが折り畳まれた状態にあるときに第1のスリット内に位置付けられ、拡張状態にあるときに第1の電極と第2の電極の接続部分の経路と比較してよりまっすぐな経路でワイヤが移動するように第1のスリットの外側に位置付けられるように構成されたワイヤと、を含む、拡張可能スパイン。
【0057】
条項2:拡張可能スパインが拡張状態にあるとき、接続部分の弧長は、第1の電極と第2の電極との間のワイヤの長さよりも長い、条項1に記載の拡張可能スパインアセンブリ。
【0058】
条項3:ニチノール、コバルトクロム、ステンレス鋼、チタン、又はそれらの組み合わせを含む、条項1に記載の拡張可能スパイン。
【0059】
条項4:拡張可能スパインは、拡張状態にあるとき、内部空間から離れるように湾曲するように構成されている、条項1に記載の拡張可能スパインアセンブリ。
【0060】
条項5:第1の電極及び第2の電極と拡張可能スパインとの間に配置された電気絶縁ジャケットを更に備え、それによって、第1の電極及び第2の電極を拡張可能スパインから電気的に絶縁する、条項1に記載の拡張可能スパインアセンブリ。
【0061】
条項6:電気絶縁ジャケットは、第1のスリットに対応する第2のスリットを備え、ポリエーテルキートーン(PEEK)、液晶ポリマー(LCP)、又はその両方を備える、条項5に記載の拡張可能スパインアセンブリ。
【0062】
条項7:第1の電極及び第2の電極は、拡張可能スパインに連結され、第1の電極及び第2の電極はそれぞれ、拡張可能スパインがそれぞれの管腔を通って延在するように、管腔を画定する、条項1に記載の拡張可能スパインアセンブリ。
【0063】
条項8:第1の電極及び第2の電極が、不可逆エレクトロポレーションのために電気パルスを送達するように構成されており、電気パルスが、少なくとも900ボルト(V)のピーク電圧を有する、条項1に記載の拡張可能スパインアセンブリ。
【0064】
条項9:拡張可能バスケットアセンブリであって、長手方向軸に沿って延在し、かつ、拡張可能バスケットアセンブリが折り畳み形態から拡張形態に移行するときに、長手方向軸から半径方向外向きに曲がるように構成されている複数のスパインと、複数の電極対であって、複数の電極対のうちの各電極対が複数のスパインのうちの1つのスパインに取り付けられている、複数の電極対と、拡張可能バスケットアセンブリが拡張形態にあるときに拡張可能バスケットアセンブリによって形成される内部空間に面する複数のスリットと、複数の電極対を電気的に接続するように構成された複数のワイヤであって、拡張可能バスケットアセンブリが折り畳まれた状態にあるときに複数のスリット内に位置付けられ、複数の電極対を接続する複数のスパインの経路と比較してよりまっすぐな経路で複数のワイヤが移動するように複数のスリットの外側に位置付けられるように構成された複数のワイヤと、を備える、拡張可能バスケットアセンブリ。
【0065】
条項10:複数のスパインのうちの少なくとも1つは、複数の電極対のうちの1対の電極間に配置された接続部分を備え、接続部分は、拡張可能バスケットアセンブリが折り畳まれた状態にあるときに複数のワイヤのうちの1つのワイヤを受容するように構成されたスリットを備える、条項9に記載の拡張可能バスケットアセンブリ。
【0066】
条項11:拡張可能バスケットアセンブリが拡張形態にあるとき、接続部分の弧長がワイヤの長さより長い、条項10に記載の拡張可能バスケットアセンブリ。
【0067】
条項12:複数のスパインのうちの少なくとも1つのスパインが、ニチノール、コバルトクロム、ステンレス鋼、チタン、又はこれらの組み合わせを含む、条項9に記載の拡張可能バスケットアセンブリ。
【0068】
条項13:複数のスパインが略球形又は略偏球状の形状を形成する、条項9に記載の拡張可能バスケットアセンブリ。
【0069】
条項14:複数の電極対は、複数のスパインのうちのそれぞれのスパインに連結され、それぞれのスパインが管腔を通って延在するように、管腔をそれぞれ画定する、条項9に記載の拡張可能バスケットアセンブリ。
【0070】
条項15:複数の電極対が、不可逆エレクトロポレーションのために電気パルスを送達するように構成されており、電気パルスが、少なくとも900ボルト(V)のピーク電圧を有する、条項9に記載の拡張可能バスケットアセンブリ。
【0071】
条項16:接続部分を備える拡張可能スパインと、接続部分の遠位端において拡張可能スパインに取り付けられた第1の電極と、拡張可能スパインに取り付けられ、第1の電極の近位にかつ接続部分の近位端に配置された第2の電極と、第1の電極及び第2の電極の中心を電気的に接続するように構成され、接続部から分離して配置され、拡張状態の拡張可能スパインによって形成される内部空間内に配置されるワイヤと、を備える、拡張可能スパインアセンブリ。
【0072】
条項17:拡張可能スパインが拡張状態にあるとき、接続部分の弧長は、第1の電極と第2の電極との間のワイヤの長さよりも長い、条項16に記載の拡張可能スパインアセンブリ。
【0073】
条項18:ニチノール、コバルトクロム、ステンレス鋼、チタン、又はこれらの組み合わせを含む、条項16に記載の拡張可能スパインアセンブリ。
【0074】
条項19:拡張可能スパインは、拡張状態にあるとき、内部空間から離れて湾曲するように構成されている、条項16に記載の拡張可能スパインアセンブリ。
【0075】
条項20:第1の電極及び第2の電極は、拡張可能スパインに連結され、第1の電極及び第2の電極はそれぞれ、拡張可能スパインが管腔を通って延在するように、管腔を画定する、条項16に記載の拡張可能スパインアセンブリ。
【0076】
〔実施の態様〕
(1) 拡張可能スパインアセンブリであって、
拡張可能スパインであって、前記拡張可能スパインが拡張状態にあるときに前記拡張可能スパインによって形成される内部空間に面する第1のスリットを含む接続部分を含む、拡張可能スパインと、
前記拡張可能スパインに取り付けられ、前記第1のスリットの遠位端に配置された第1の電極と、
前記拡張可能スパインに取り付けられ、前記第1の電極の近位にかつ前記第1のスリットの近位端に配置された第2の電極と、
前記第1の電極及び前記第2の電極を電気的に接続するように構成されたワイヤであって、前記拡張可能スパインが折り畳まれた状態にあるときに前記第1のスリット内に位置付けられ、前記拡張状態にあるときに前記第1の電極及び前記第2の電極の前記接続部分の経路と比較してよりまっすぐな経路で前記ワイヤが移動するように前記第1のスリットの外側に位置付けられるように構成された、ワイヤと、を含む、拡張可能スパインアセンブリ。
(2) 前記拡張可能スパインが前記拡張状態にあるとき、前記接続部分の弧長は、前記第1の電極と前記第2の電極との間の前記ワイヤの長さよりも長い、実施態様1に記載の拡張可能スパインアセンブリ。
(3) ニチノール、コバルトクロム、ステンレス鋼、チタン、又はそれらの組み合わせを含む、実施態様1に記載の拡張可能スパイン。
(4) 前記拡張可能スパインは、前記拡張状態にあるとき、前記内部空間から離れるように湾曲するように構成されている、実施態様1に記載の拡張可能スパインアセンブリ。
(5) 前記第1の電極及び前記第2の電極と前記拡張可能スパインとの間に配置される電気絶縁ジャケットを更に備え、それによって、前記第1の電極及び前記第2の電極を前記拡張可能スパインから電気的に絶縁する、実施態様1に記載の拡張可能スパインアセンブリ。
【0077】
(6) 前記電気絶縁ジャケットは、前記第1のスリットに対応する第2のスリットを備え、ポリエーテルキートーン(polyether keytone)(PEEK)、液晶ポリマー(LCP)、又はその両方を備える、実施態様5に記載の拡張可能スパインアセンブリ。
(7) 前記第1の電極及び前記第2の電極は、前記拡張可能スパインに連結され、前記第1の電極及び前記第2の電極はそれぞれ、管腔を画定し、それにより、前記拡張可能スパインは、前記それぞれの管腔を通って延在する、実施態様1に記載の拡張可能スパインアセンブリ。
(8) 前記第1の電極及び前記第2の電極が、不可逆エレクトロポレーションのために電気パルスを送達するように構成されており、前記電気パルスが、少なくとも900ボルト(V)のピーク電圧を有する、実施態様1に記載の拡張可能スパインアセンブリ。
(9) 拡張可能バスケットアセンブリであって、
長手方向軸に沿って延在し、かつ、前記拡張可能バスケットアセンブリが折り畳み形態から拡張形態に移行するときに、前記長手方向軸から半径方向外向きに曲がるように構成されている複数のスパインと、
複数の電極対であって、前記複数の電極対のうちの各電極対が前記複数のスパインのうちの1つのスパインに取り付けられている、複数の電極対と、
前記拡張可能バスケットアセンブリが前記拡張形態にあるときに、前記拡張可能バスケットアセンブリによって形成される内部空間に面する複数のスリットと、
前記複数の電極対を電気的に接続するように構成された複数のワイヤであって、前記拡張可能バスケットアセンブリが折り畳まれた状態にあるときに前記複数のスリット内に位置付けられ、前記複数の電極対を接続する前記複数のスパインの経路と比較してよりまっすぐな経路で前記複数のワイヤが移動するように前記複数のスリットの外側に位置付けられるように構成された、複数のワイヤと、を含む、拡張可能バスケットアセンブリ。
(10) 前記複数のスパインのうちの少なくとも1つは、前記複数の電極対のうちの1対の電極間に配置された接続部分を備え、前記接続部分は、前記拡張可能バスケットアセンブリが折り畳まれた状態にあるときに前記複数のワイヤのうちの1つのワイヤを受容するように構成されたスリットを備える、実施態様9に記載の拡張可能バスケットアセンブリ。
【0078】
(11) 前記拡張可能バスケットアセンブリが前記拡張形態にあるとき、前記接続部分の弧長は、前記ワイヤの長さより大きい、実施態様10に記載の拡張可能バスケットアセンブリ。
(12) 前記複数のスパインのうちの少なくとも1つのスパインが、ニチノール、コバルトクロム、ステンレス鋼、チタン、又はこれらの組み合わせを含む、実施態様9に記載の拡張可能バスケットアセンブリ。
(13) 前記複数のスパインが略球形又は略偏球状の形状を形成する、実施態様9に記載の拡張可能バスケットアセンブリ。
(14) 前記複数の電極対は、前記複数のスパインのうちのそれぞれのスパインに連結され、それぞれが管腔を画定し、それにより、前記それぞれのスパインが前記管腔を通って延在する、実施態様9に記載の拡張可能バスケットアセンブリ。
(15) 前記複数の電極対が、不可逆エレクトロポレーションのために電気パルスを送達するように構成されており、前記電気パルスが、少なくとも900ボルト(V)のピーク電圧を有する、実施態様9に記載の拡張可能バスケットアセンブリ。
【0079】
(16) 拡張可能スパインアセンブリであって、
接続部分を備える拡張可能スパインと、
前記接続部分の遠位端において前記拡張可能スパインに取り付けられた第1の電極と、
前記拡張可能スパインに取り付けられ、前記第1の電極の近位に、かつ前記接続部分の近位端に配置された第2の電極と、
前記第1の電極及び前記第2の電極の中心を電気的に接続するように構成され、前記接続部分から離れて配置され、拡張状態の前記拡張可能スパインによって形成される内部空間内に配置されるワイヤと、を含む、拡張可能スパインアセンブリ。
(17) 前記拡張可能スパインが前記拡張状態にあるとき、前記接続部分の弧長は、前記第1の電極と前記第2の電極との間の前記ワイヤの長さよりも長い、実施態様16に記載の拡張可能スパインアセンブリ。
(18) ニチノール、コバルトクロム、ステンレス鋼、チタン、又はそれらの組み合わせを含む、実施態様16に記載の拡張可能スパインアセンブリ。
(19) 前記拡張可能スパインが、前記拡張状態にあるときに前記内部空間から離れるように湾曲するように構成されている、実施態様16に記載の拡張可能スパインアセンブリ。
(20) 前記第1の電極及び前記第2の電極は、前記拡張可能スパインに連結され、前記第1の電極及び前記第2の電極は、それぞれ、管腔を画定し、それによって、前記拡張可能スパインは、前記管腔を通って延在する、実施態様16に記載の拡張可能スパインアセンブリ。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
【外国語明細書】