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特開2024-174853サイトカインを含む口内崩壊錠を製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174853
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】サイトカインを含む口内崩壊錠を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/21 20060101AFI20241210BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20241210BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20241210BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20241210BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20241210BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20241210BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
A61K38/21
A61K9/16
A61K9/20
A61K47/12
A61K47/26
A61P37/04
A61P43/00 117
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024090860
(22)【出願日】2024-06-04
(31)【優先権主張番号】63/506342
(32)【優先日】2023-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】523161424
【氏名又は名称】美商艾諾斯生技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】AINOS INC. TAIWAN BRANCH (USA)
【住所又は居所原語表記】14F.,No.61,Sec. 4,New Taipei Blvd.,Xinzhuang Dist.,New Taipei City 242032,Taiwan,
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【弁理士】
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】尤 宗富
(72)【発明者】
【氏名】田 宜育
(72)【発明者】
【氏名】蔡 群賢
(72)【発明者】
【氏名】李 庭鵑
(72)【発明者】
【氏名】蔡 群榮
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
【Fターム(参考)】
4C076AA31
4C076AA36
4C076BB01
4C076CC50
4C076DD22Z
4C076DD23Z
4C076DD41C
4C076DD41Z
4C076DD43Q
4C076DD49
4C076DD67
4C076EE41
4C076FF04
4C076FF09
4C076FF36
4C076FF61
4C076FF63
4C076FF68
4C076GG13
4C084AA03
4C084BA44
4C084DA01
4C084DA12
4C084DA21
4C084DA22
4C084DA25
4C084MA05
4C084MA35
4C084MA52
4C084NA03
4C084NA10
4C084ZB021
4C084ZB022
4C084ZB091
4C084ZB092
(57)【要約】
【課題】 有効活性成分としてサイトカインを含む口内崩壊錠(ODT)の製造方法を提供すること。
【解決手段】 本願は、有効活性成分としてサイトカインを含む口内崩壊錠(ODT)を製造する方法を提供し、当該方法は:賦形剤を酸性化することと、酸性化した賦形剤の第1の造粒ステップを行って酸性粉末を得ることと、酸性粉末とサイトカインとを混合することによって第2の造粒ステップを行って、サイトカインを含有する顆粒を得ることと、を含む。本願はまた、この方法によって製造されたODTを提供する。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効活性成分としてサイトカインを含む口内崩壊錠を製造する方法であって、
賦形剤を酸性化することと、
前記酸性化した賦形剤の第1の造粒ステップを行って酸性粉末を得ることと、
前記酸性粉末と前記サイトカインとを混合することによって第2の造粒ステップを行って、前記サイトカインを含有する顆粒を得ることと、
を含む方法。
【請求項2】
前記サイトカインは、ケモカイン、インターフェロン、インターロイキン、リンホカイン、及び腫瘍壊死因子を含む群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記賦形剤は、糖類、糖アルコール、セルロース、多糖類、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、グリセリン、無水リン酸二カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、及びシリコン酸化物を含む群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記賦形剤は、
酸及び水を含む酸性溶液を調製するステップ、並びに
前記賦形剤と前記酸性溶液とを混合するステップ、
によって酸性化され、
前記賦形剤、前記酸及び水を含む得られた溶液は、3から10のpHを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記サイトカインは、溶媒及び添加剤を含む溶液に含有され、前記サイトカイン、前記溶媒及び添加剤を含む前記溶液は、3から10のpHを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
有効活性成分としてサイトカインを含む口内崩壊錠を製造する方法であって、
第1の賦形剤を酸性化することと、
前記酸性化した第1の賦形剤の第1の造粒ステップを行って第1の酸性粉末を得ることと、
前記第1の酸性粉末をふるい分け及び造粒して第2の酸性粉末を得ることと、
前記第2の酸性粉末と前記サイトカインとを混合することによって第2の造粒ステップを行って、第1の顆粒を得ることと、
を含む方法。
【請求項7】
前記第1の顆粒を圧縮して錠剤を形成すること、又は
前記第1の顆粒と前記第1の賦形剤及び/又は添加剤とを混合し、圧縮して錠剤を形成すること、
をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の賦形剤は、
酸及び水を含む酸性溶液を調製するステップ、並びに
前記賦形剤と前記酸性溶液とを混合するステップ、
によって酸性化され、
前記賦形剤、前記酸及び水を含む得られた溶液は、3から10のpHを有する、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記サイトカインは、ケモカイン、インターフェロン、インターロイキン、リンホカイン、及び腫瘍壊死因子を含む群から選択され、第1、第2、又は第3の賦形剤が、糖類、糖アルコール、セルロース、多糖類、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、グリセリン、無水リン酸二カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、及びシリコン酸化物を含む群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
有効活性成分としてサイトカインを含む口内崩壊錠(ODT)であって、請求項1又は請求項6に記載の方法により製造されることによって特徴づけられる、口内崩壊錠(ODT)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、口内崩壊錠(ODT)を製造する方法に関し、特に、サイトカインを含むODTを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
サイトカインは、細胞シグナル伝達において重要な低分子量タンパク質(約6から70kDa)である。そのサイズのため、サイトカインは細胞の脂質二重層を通過して細胞質に入ることができず、従って、典型的には、標的細胞表面上の特異的なサイトカイン受容体と相互作用することによってその機能を発揮する。サイトカインは、免疫調節剤として自己分泌、パラ分泌、及び内分泌シグナル伝達に関与することが示されている。
【0003】
サイトカインには、ケモカイン、インターフェロン、インターロイキン、リンホカイン、及び腫瘍壊死因子が含まれる。サイトカインは、マクロファージ、Bリンパ球、Tリンパ球、及び肥満細胞のような免疫細胞だけでなく、内皮細胞、線維芽細胞、及び様々なストロマ細胞を含む広範囲の細胞によって産生される。所与のサイトカインが2つ以上のタイプの細胞によって産生されることもある。それらは、細胞表面受容体を介して作用し、免疫系において特に重要であり;サイトカインは、液性免疫応答と細胞性免疫応答とのバランスを調節し、さらに、特定の細胞集団の成熟、増殖、及び応答性を制御する。一部のサイトカインは、他のサイトカインの作用を複雑な方法で増強又は阻害する。サイトカインは、健康及び疾患において重要であり、特に、感染、炎症、外傷、敗血症、がん、及び生殖に対する宿主免疫応答において重要である。
【0004】
インターフェロン(IFN)は、ウイルス、細菌、寄生虫、又は腫瘍細胞等の病原体の存在に応答して宿主細胞によって作られるタンパク質である。IFNは、細胞間の情報交換を可能にして、病原体又は腫瘍を根絶する免疫系の保護防御をトリガーする。同定されている9つの異なるヒトインターフェロンファミリーのうち、インターフェロン-アルファ(IFN-α)が最も広く研究されている。US FDAは、いくつかのがんだけでなく、B型及びC型肝炎を治療するための、注射により与えられる大量投与のIFNαの使用を承認している。例えば、100万IUを超える高用量のインターフェロンは、症状を全身的に治療するために、従来は筋肉内注射によって投与される。
【0005】
近年、インターフェロンの経口投与が、高用量注射に伴う副作用を有することなく、末梢血内の数十の免疫系遺伝子を活性化し、さらに、ウイルス性疾患及び自己免疫性疾患に対して効果的であると、公表された研究において示されている。しかし、経口投与されたインターフェロンのタンパク質安定性は、依然として課題である。
【0006】
経口投与は、唾液又は少量の水で急速に崩壊することができるODT等を介するものであり得る。ODTは、患者にとって便利で容易な投与であるため、服薬遵守をODTの適用によって高めることができる。しかし、ODTは、新しく開発された剤形であり、錠剤の性質等のいくつかの技術的問題が依然として存在する。
【0007】
そのようなものとして、良好なタンパク質安定性を有するインターフェロン等のサイトカインを含有するODTが、依然として必要である。
【発明の概要】
【0008】
本願は、有効活性成分としてサイトカインを含むODTを製造する方法を提供し、当該方法は:賦形剤を酸性化することと、酸性化した賦形剤の第1の造粒ステップを行って酸性粉末を得ることと、酸性粉末とサイトカインとを混合することによって第2の造粒ステップを行って、サイトカインを含有する顆粒を得ることと、を含む。
【0009】
本願はまた、有効活性成分としてサイトカインを含むODTを製造する方法を提供し、当該方法は:第1の賦形剤を酸性化することと、酸性化した第1の賦形剤の第1の造粒ステップを行って第1の酸性粉末を得ることと、第1の酸性粉末をふるい分け及び造粒して第2の酸性粉末を得ることと、第2の酸性粉末とサイトカインとを混合することによって第2の造粒ステップを行って、第1の顆粒を得ることと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本願の一実施形態による、有効活性成分としてサイトカインを含むODTを製造する方法を示した図である。
図2】IFN-αに対する様々な因子の保護作用を示した図である。
図3】本願の方法の賦形剤酸性化ステップの効果に関する試験結果を示した図であり、IFN-α含有量を、OD450でELISAを使用して測定し、各グループにおいて5つのサンプルを、酸性化(S1~S5)及び酸性化なし(S1~S5)と標識した。
図4】第1の酸性粉末に対する処理ステップの効果に関する試験結果を示した図である。
図5】第2の造粒ステップにおいて使用した装置の効果に関する試験結果を示した図である。
図6】IFN-α効力に対する錠剤の厚さの効果に関する試験結果を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本願は、有効活性成分としてサイトカインを含むODTを製造する方法を提供する。
【0012】
サイトカインは、ケモカイン、インターフェロン、インターロイキン、リンホカイン、及び腫瘍壊死因子を含む群から選択される。サイトカインは、天然サイトカイン、組換えサイトカイン、又はそれらの混合物であり得る。ODTに含有されるサイトカインの投与量は特に限定されず、状況に応じて決めることができる。
【0013】
一部の実施形態において、サイトカインは、インターフェロン、例えば、I型INF、II型INF、及びIII型INF等から選択される。一実施形態において、サイトカインは、インターフェロン-アルファ(INF-α)、より好ましくは、組換えINF-αである。
【0014】
一実施形態において、ODTは、1~100,000国際単位(IU)のINF-αの投与量を含有し得る。一実施形態において、ODTは、1,000マイクログラム以下のINF-αの投与量を含有し得る。投与量は、例えば、75,000IU未満、50,000IU未満、25,000IU未満、10,000IU未満、7,500IU未満、5,000IU未満、2,500IU未満、1,000IU未満、10IUを超える、100IUを超える、250IUを超える、500IUを超える、750IUを超える、900IUを超える、又は上記の数値のうちいずれか2つの数値間の値等であり得る。
【0015】
本願において、ODTは、少なくとも1つの賦形剤を含む。賦形剤は薬学的に許容される成分であり、既知の賦形剤を、それがODTにおいて賦形剤として機能することができ且つサイトカインに悪影響を及ぼさない限り、使用することができる。実施形態において、賦形剤は、例えば、糖類、糖アルコール、セルロース、多糖類、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、グリセリン、無水リン酸二カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、及びシリコン酸化物等を含み得る。糖類の例としては、ラクトース、マルトース、デキストリン、トレハロース、及びスクロース等が挙げられる。糖アルコールの例としては、マンニトール、エリスリトール、イソマルト、ラクチトール、マルチトール、ソルビトール、及びキシリトール等が挙げられる。セルロースの例としては、結晶セルロース、ケイ化結晶セルロース、及び粉末セルロース等が挙げられる。多糖類の例としては、コーンスターチ、馬鈴薯澱粉、アルファ化澱粉等の澱粉が挙げられる。一部の実施形態において、賦形剤は糖である。好ましい実施形態において、賦形剤はマルトースである。
【0016】
有効活性成分としてサイトカインを含むODTを製造する方法は:賦形剤を酸性化するステップと、酸性化した賦形剤の第1の造粒ステップを行って酸性粉末を得るステップと、酸性粉末とサイトカインとを混合することによって第2の造粒ステップを行って、サイトカインを含有する顆粒を得るステップと、を含む。
【0017】
本願において、賦形剤は、有効活性成分、すなわちサイトカインと混合する前に酸性化される。酸性化された賦形剤は、ODTの製造中のサイトカインのタンパク質分解を防ぎ、最終生成物におけるサイトカインの安定性及び含有量を維持することができる。
【0018】
一部の実施形態において、酸性化された賦形剤は:酸と水とを混合して酸性溶液を得るステップ、及び賦形剤と酸性溶液とを混合するステップによって調製される。水は、精製水、滅菌水、及び脱イオン水等であり得る。
【0019】
酸は、賦形剤溶液のpHを調整するために添加される。一部の実施形態において、酸性化は、賦形剤の溶液が、3から10のpH、例えば、3.5から8のpH、4から7のpH、又は5から6のpH等を有するようにする。無機酸及び/又は有機酸を、それがODTの成分又は特性を破壊又は変化させない限り、使用することができる。酸の例としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、炭酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸、及び乳酸等を挙げることができるが、これらに限定されない。一部の実施形態において、酸はクエン酸である。
【0020】
本願における造粒ステップについては、特定の制限はなく、従来の造粒方法を適用することができる。造粒方法の例としては、高速せん断混合造粒、流動層造粒、遠心造粒、ローラー造粒、及びスプレー造粒等が挙げられる。ODTに含有される有効活性成分の特性を考慮すると、湿式造粒方法が好ましい。一部の実施形態では、高速せん断混合造粒が適用される。一部の実施形態では、流動層造粒が適用される。
【0021】
賦形剤酸性化ステップ及び第1の造粒ステップの後で、得られた酸性粉末はさらに処理される。以下、第1の造粒ステップから得られた酸性粉末は「第1の酸性粉末」と呼ばれることがある。第1の酸性粉末を、例えば、100メッシュスクリーンを使用することによってふるい分けすることができ、スクリーンを通過する粉末(以下、「第1の酸性粉末のうちふるい分けされた部分」又は「アンダーサイズ物質」と呼ばれる)、及びスクリーン上に残る粉末(以下、「第1の酸性粉末のうち残った部分」と呼ぶ)が分離される。第1の酸性粉末のうちふるい分けされた部分は、酸性化されていない賦形剤とさらに混合され、次に、造粒されて第2の酸性粉末が得られる。
【0022】
その後、酸性粉末をサイトカインと混合することができる。
【0023】
サイトカインは、溶液に含有させることができる。溶液は、溶媒及び酸をさらに含んでもよい。一実施形態において、サイトカイン、溶媒、及び酸を含む溶液は、3から10のpH、例えば、3.5から8のpH、4から7のpH、又は5から6のpH等を有する。溶媒は、サイトカインに悪影響を及ぼさない限り、任意の薬学的に許容される溶媒であり得る。一実施形態において、溶媒は、精製水、脱イオン水、及び/又は滅菌水等の水であってもよい。酸は、サイトカインに悪影響を及ぼさない限り、無機酸及び/又は有機酸であり得る。酸の例としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、炭酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸、及び乳酸等を挙げることができるが、これらに限定されない。一部の実施形態において、酸は塩酸(HCl)である。一部の実施形態において、溶液は、酸性化を受けた賦形剤と同じであり得るか又は異なり得る賦形剤をさらに含む。一部の実施形態において、溶液は、緩衝剤、崩壊剤、結合剤、着色剤、潤滑剤、流動化剤、界面活性剤、着香剤、酸化防止剤、防腐剤、又はそれらの任意の組み合わせを含む群から選択された添加剤をさらに含み得る。
【0024】
一部の実施形態では、第1の酸性粉末がサイトカインと混合されて、第2の造粒ステップが進められる。一部の実施形態では、第2の酸性粉末がサイトカインと混合されて、第2の造粒ステップが進められる。
【0025】
一部の好ましい実施形態では、第2の酸性粉末がサイトカインと混合され、第2の造粒ステップを行って第1の顆粒が得られ、次に、第1の顆粒は、第1の酸性粉末のうち残った部分とさらに混合され、第3の造粒ステップを行って第2の顆粒が得られるか、又は圧縮ステップを行って錠剤が得られる。
【0026】
一部の実施形態において、1つ以上のさらなる賦形剤を、当該方法の任意の適したステップにおいて添加することができる。一部の実施形態では、緩衝剤、崩壊剤、結合剤、着色剤、潤滑剤、流動化剤、界面活性剤、着香剤、酸化防止剤、防腐剤、充填剤、又はそれらの任意の組み合わせ等の添加剤を、当該方法の任意の適したステップにおいて添加することができる。そのような添加剤は特に限定されず、関連する技術分野の一般知識に基づき適用又は添加することができる。一実施形態において、添加剤はステアリン酸マグネシウムである。
【0027】
上記に従って、本願は、ある実施形態において、サイトカインを含むODTを製造する方法を提供し、当該方法は:第1の賦形剤を酸性化するステップと、酸性化した第1の賦形剤の第1の造粒ステップを行って第1の酸性粉末を得るステップと、第1の酸性粉末をふるい分け及び造粒して第2の酸性粉末を得るステップと、第2の酸性粉末とサイトカインとを混合することによって第2の造粒ステップを行って、第1の顆粒を得るステップと、を含む。
【0028】
本願はまた、ある実施形態において、サイトカインを含むODTを製造する方法を提供し、当該方法は:第1の賦形剤を酸性化するステップと、酸性化した第1の賦形剤の第1の造粒ステップを行って第1の酸性粉末を得るステップと、第1の酸性粉末をふるい分け及び造粒して第2の酸性粉末を得るステップと、第2の酸性粉末とサイトカインとを混合することによって第2の造粒ステップを行って、第1の顆粒を得るステップと、第1の顆粒を圧縮して錠剤を形成するステップと、を含む。
【0029】
さらに、ある実施形態において、本願はまた、有効活性成分としてサイトカインを含むODTを製造する方法を提供し、当該方法は:第1の賦形剤を酸性化することと、酸性化した第1の賦形剤の第1の造粒ステップを行って第1の酸性粉末を得ることと、第1の酸性粉末をふるい分け及び造粒して第2の酸性粉末を得ることと、第2の酸性粉末とサイトカインとを混合することによって第2の造粒ステップを行って、第1の顆粒を得ることと、第1の顆粒と第1の賦形剤及び/又は添加剤とを混合し、圧縮して錠剤を形成することと、を含む。特に、第1の酸性粉末のうち残った部分を第1の顆粒と混合することができる。
【0030】
本願において、当該方法は、乾燥ステップ、ふるい分けステップ、及び圧縮ステップをさらに含んでもよい。乾燥ステップは、第1の造粒ステップ、第2の造粒ステップ、及び/又は第3の造粒ステップの後に行うことができる。乾燥ステップの後、任意的に、ふるい分けステップを行って、得られる顆粒の均一性を改善させてもよい。ふるい分けステップにおいて使用されるスクリーンのメッシュサイズは、必要に応じて決めることができる。全ての造粒ステップが完了した後で、圧縮ステップを行い、サイトカインを含有する顆粒を圧縮して錠剤を形成することができる。
【0031】
別の態様において、本願はまた、本願において記載される方法によって製造されたODTを提供する。ODTは、含有されるサイトカインの良好且つ十分な効力及び安定性を維持することができる。
【0032】
本願は、工業規模の製造に適した、最適な処理ステップを有するサイトカイン含有ODTの製造方法を提供する。本願の方法は、良好なタンパク質安定性及びサイトカイン効力を有するサイトカインを含むODTの製造に適用することができる。
【実施例0033】
図1を参照すると、INF-αを含むODTを製造する方法のステップを例示した。本実施例では、酸性化されることになる賦形剤としてマルトースを使用した。
【0034】
調整された活性バルク溶液(activity bulk solution)の調製:
pH調整用のHCl、酢酸ナトリウム三水和物、及び塩化ナトリウム(NaCl)を精製水に添加した。目視観察により透明な溶液が得られるまで少なくとも10分間撹拌を続けた。ヒト血清アルブミンを添加し、10分間撹拌した。この溶液にINF-α溶液をゆっくり添加し、10分間撹拌を続けた。そのようなものとして、調整された活性バルク溶液を得た。
【0035】
酸性粉末の調製:
マルトースを粉砕し、No.40メッシュに通した。マルトース粉末をComil(スクリーン開口0.032インチ、032R)でふるい分けした。
【0036】
クエン酸を撹拌しながら精製水にゆっくり添加した。10分間撹拌し続けて、透明な外観の酸性溶液を得た。
【0037】
酸性溶液とマルトース粉末とを混合し、高速混合造粒機に供給して酸性粉末を製造した。流動層造粒乾燥機/コーターを使用することによって酸性粉末を乾燥させた。任意的に、乾燥ステップの後、且つ処理ステップの前に、酸性粉末を30メッシュスクリーン(バイブロシーブセパレーター)に通した。そのようなものとして、第1の酸性粉末を得た。
【0038】
酸性粉末の処理:
第1の酸性粉末を、100メッシュスクリーン(バイブロシーブセパレーター)を使用することによってふるい分けして、アンダーサイズ物質(スクリーンを通過する酸性粉末)と、第1の酸性粉末のうち残った部分(スクリーンを通過しない酸性粉末)とを分離した。
【0039】
アンダーサイズ物質を、アンダーサイズ物質90~50wt%に対して10~50wt%の比のマルトース粉末と混合することができる。この実施例1では、アンダーサイズ物質は20%である。この混合物を高速混合造粒機に供給して、第2の酸性粉末を得た。
【0040】
INF-αを含有する顆粒の調製:
第2の酸性粉末を、調整された活性バルク溶液と混合した。この混合物を高速混合造粒機に供給し、バインダイン(binder-in)及び造粒ステップを行って、INF-αを含有する第1の顆粒を得た。その後、第1の顆粒を、流動層造粒乾燥機/コーターを使用することによって30°Cで15分間乾燥させ、60メッシュスクリーン(バイブロシーブセパレーター)によってふるい分けした。
【0041】
第1の顆粒を、ドラムミキサーにおいて10分間、第1の酸性粉末のうち残った部分と混合した。さらなる賦形剤として、ステアリン酸マグネシウムを添加し、ドラムミキサーにおいて5分間混合した。
【0042】
高速混合造粒機を適用して、INF-αを含有する第2の顆粒を製造した。
【0043】
代替の実施形態では、ステアリン酸マグネシウムを添加した後で、混合物に錠剤圧縮を受けさせることができた。
【0044】
以下の実施例では、当該方法に対する最適なステップ/パラメータ/条件を見つけ出すために、当該方法の様々なパラメータを変更し且つ評価した。
【実施例0045】
INF-αに対する保護作用に関する様々な因子の評価:
活性バルク溶液(actively bulk solution)を調整するための最適な溶液を見つけるための実験であり、これは、APIの効力にとって非常に重要である。最適な溶液は、製造方法全体を通してAPIの効力を保つことができた。表1は、2つの因子の実験計画を示している。
【0046】
【表1】
図2は、INF-αに対する様々な因子の保護作用について、正の値は保護作用を有し、負の値はINF-αに対して破壊作用を有し、2つの因子間には相互作用があり、正の値は相互作用の保護作用を強め、負の値は保護作用を弱めることを示している。
【0047】
結果
全てのサイトカインは、溶解時に界面活性剤/安定剤と共に緩衝系に留まる必要があるが、ストレス剤(stressing agents)と共に留まる必要はない。ほとんどの生物学的医薬品は、血液製剤、血清製剤、ワクチン、細胞治療製剤、遺伝子治療製剤、バイオテクノロジー製剤、ヒト又は動物抽出製剤、アレルゲン製剤、組織工学製剤である。上記の生物学的医薬品は全て無菌製剤である。しかし、本願の方法によって製造されたサイトカイン含有ODTは非無菌製剤である。ODTにおける含有されたINF-αの効力及び機能をどのようにして保護し且つ維持するかが第1の目的であった。本発明者等は、より適した製造プロセスを設定しただけでなく、APIに対する最適なパラメータも見出した。本発明者等の研究によると、図2を参照すると、HS(ヒト血清アルブミン)、NaCl、pH調整、WFI(注射用水)、及びEDTAが保護作用を有している。対照的に、IFN濃度が高いほど保護作用は低下した。IFN濃度が高いほどHS保護作用は低下すると説明することができる。加えて、塩及びHSは互いに拮抗しており、両者の濃度が高くなると保護作用は弱くなり、他の実験因子の相互作用は互いに強くなる。この知見と2つの製造方法とを組み合わせれば、生物学的固体剤形は有益な効果を有することになる。
【実施例0048】
賦形剤酸性化ステップの評価:
本実施例では、INF-α及びマルトースを含有する合剤の調製方法を実証した。最初に、マルトース粉末1kgを、高せん断ミキサー(SMG)において0.1%クエン酸溶液を使用して酸性化した後、造粒し、流動層造粒乾燥機(FBD)において15分間乾燥して酸性化粉末を得た。次に、API溶液8.9μg、酢酸ナトリウム510mg、NaCl2.76g、HSA450mg、及びHCl1.65mlを滅菌水又は純水と混合して活性バルク溶液150mlを調製した。その後、酸性化粉末472.4g及び活性バルク溶液を造粒し、FBDを使用して乾燥させた。第2の造粒粉末におけるINF-αの含有量をELISAによって測定し、酸性化のグループと酸性化なしのグループを比較すると、酸性化のグループにおけるより高い保持率が明らかになるということが図3には示されており、賦形剤酸性化ステップがIFN-αの安定性を効果的に保護することができるということが示されている。
【実施例0049】
酸性化溶液における水の割合:
本実験では、酸性化溶液における水の割合の調整を試験し、造粒ステップへの影響を評価した。マルトース粉末0.5kgを、異なる量の着色水で試験した。水/マルトースの比が6から8g/100gに及ぶ場合に、より均一な粒子分布を観察した。しかし、含水量が低すぎると(5g/100g)、色合いの異なる粗い粒子及び細かい粒子を造粒後に観察し、粉末の均一性が低いことを示している。一方、過剰な含水量は、マルトースの溶解及び容器の壁に対する付着をもたらし、収率に悪影響を及ぼす大きな結晶凝集体が形成された。
【実施例0050】
酸性化造粒装置:
本実験では、マルトース粉末0.5kg及び0.1%クエン酸溶液、並びに、SMG及びFBDを含む造粒のための試験した装置を利用した。造粒後、粉末の粒径を調べた。FBDグループが粒径においてより明瞭な差を示し、有意な凝集の割合が示されたということを観察した。対照的に、SMGグループはより均一な粒径分布を示した。従って、粉末形態の造粒にはSMGが好ましかった。
【0051】
一方、55~60℃の温度設定及び10~20分の乾燥時間の乾燥ステップにはFBDが好ましかった。含水量分析は、約1±0.5%を示した。真空ポンプを使用して類似の結果を得ることができたが、数時間を要するであろう。一方、FBDを選択することで、時間コスト及び生成プロセスの間の予期せぬ事態の発生確率を低減することができた。
【実施例0052】
第1の酸性粉末の処理:
本実験では、マルトース粉末1kg及び0.1%クエン酸溶液(61g)に、SMGを使用して酸性化造粒を受けさせ、次に、FBDを使用して15分間乾燥させた。酸性化粉末を100メッシュシーブに通してふるい分けし、アンダーサイズ粒子500gを活性バルク溶液と混合し、FBDを使用して造粒/乾燥して第2の造粒粉末を得た。最後に、第2の造粒粉末:酸性化粉末:ステアリン酸マグネシウムを、1:0.98~1:0~0.02の重量比で混合して錠剤にした。錠剤を、INF-αの効力について試験し、その結果を図4に示した。INF-α含有ODTでは、INF-αは、各錠剤において均一に分布することが求められる。INF-αの含有量を、効力の試験結果によって直接反映することはできない。図4において示されているように、ふるい分けしたグループは、試料において15%未満のばらつきを有し、第2の造粒の前にふるい分けステップを加えることによって錠剤の均一性が改善されることが示された。
【実施例0053】
第2の造粒装置の比較:
本実験では、第2の造粒のための試験した装置は、SMG及びFBDを含んだ。FBDに対しては、実施例6のように錠剤を調製した。SMGに対しては、アンダーサイズ物質及び活性バルク溶液を、SMGを使用して造粒し、次にFBDを使用して乾燥させて第2の酸性粉末を得たことを除き、実施例6のように錠剤を調製した。その結果を図5において示したが、試料間のばらつきは20%未満であった。
【0054】
図5において示されているように、SMG装置の造粒はFBDよりも、酸性粉末に付着したIFNの割合が高く、錠剤の均一性が高かった。
【実施例0055】
錠剤の厚さ:
本実施例では、錠剤の厚さの影響を評価した。厚さが3.6mmから4.0mmに増加するように圧縮パラメータを調整し、試料を、INF-αの効力について試験した。その結果を図6において示した。データは、錠剤の厚さの増加が均一性に変化をもたらすことはないが、INF-α効力の保護を改善することを示した。
【0056】
本発明は、上記の好ましい実施形態及び実施例を参照することによって開示されているけれども、これらの実施例は、限定的な意味ではなく、例示的な意味で意図されることが理解されたい。修正及び組み合わせが当業者には容易に生じ、その修正及び組み合わせは、本発明の真意及び特許請求の範囲、並びにその同等のシステム及び方法の範囲内にあるということが考えられる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】