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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174854
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】ゲームシステム
(51)【国際特許分類】
   A63F 1/06 20060101AFI20241210BHJP
【FI】
A63F1/06 Z
A63F1/06 A
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024090987
(22)【出願日】2024-06-04
(31)【優先権主張番号】P 2023092779
(32)【優先日】2023-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000103301
【氏名又は名称】エンゼルグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115808
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 真司
(74)【代理人】
【識別番号】100113549
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 守
(72)【発明者】
【氏名】重田 泰
(72)【発明者】
【氏名】三原 貴憲
(57)【要約】
【課題】 物理的なゲーミングチップを用いたゲームを行うためのゲームシステムにおいて、テーブル上面に置かれたゲーミングチップに応じてテーブル上面に映像を表示できるゲームシステムを提供する。
【解決手段】 ゲームシステム100は、ゲーミングチップ9及びプレイングカードを用いたゲームを行うためのゲームシステムであって、映像を表示可能な表示面111を含むテーブル上面11を有するテーブル1と、テーブル上面11にベットされたゲーミングチップを撮影して画像を生成するカメラ21、23と、画像を分析することで、ベット内容を認識する画像認識装置61と、テーブル上面11に配布されるプレイングカードの内容を読み取って、ゲーム結果を判定するゲーム判定装置3と、画像認識装置61が認識したベット内容及びゲーム判定装置3が判定したゲーム結果に応じた映像を表示面111に表示する映像制御装置7とを備えている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲーミングチップ及びプレイングカードを用いたゲームを行うためのゲームシステムであって、
表示面を含むテーブル上面を有するテーブルと、
前記テーブル上面にベットされたゲーミングチップを撮影して画像を生成するカメラと、
前記画像を分析することで、ベット内容を認識する画像認識装置と、
前記テーブル上面に配布されるプレイングカードの内容を読み取って、ゲーム結果を判定するゲーム判定装置と、
前記ゲーミングチップが置かれることで前記ゲームに対するベットが行われる複数のベット対象を含むベットエリアのレイアウトの映像を前記表示面に表示し、かつ前記画像認識装置が認識した前記ベット内容及び/又は前記ゲーム判定装置が判定した前記ゲーム結果に応じて、前記ベット内容及び/又は前記ゲーム結果に応じて内容が変化する映像を前記表示面に表示する映像制御装置と、
を備えた、ゲームシステム。
【請求項2】
前記映像制御装置は、少なくともベット段階において、前記レイアウトを表示する、請求項1に記載のゲームシステム。
【請求項3】
前記ゲームに用いられた前記プレイングカードを廃棄するための廃棄ボックスに前記プレイングカードが投入されたことを検知する廃棄センサをさらに備え、
前記映像制御装置は、前記廃棄センサが前記プレイングカードを検知したときに、次のゲームのために前記レイアウトを表示する、請求項2に記載のゲームシステム。
【請求項4】
前記画像認識装置は、前記画像を分析することで、前記ゲーミングチップの位置、種類、及び枚数を認識し、前記位置、種類、及び枚数に基づいて、前記ベット対象ごとのベット額を前記ベット内容として認識する、請求項2に記載のゲームシステム。
【請求項5】
前記映像制御装置は、前記画像認識装置により認識された位置に、前記ゲーミングチップが検知されたことを示すマークを表示する、請求項4に記載のゲームシステム。
【請求項6】
前記映像制御装置は、前記画像認識装置により認識された各位置に、前記画像認識装置により認識されたベット額に応じた前記マークを表示する、請求項5に記載のゲームシステム。
【請求項7】
前記映像制御装置は、前記画像認識された各位置の付近に、前記画像認識装置により認識されたベット額を示す数字を表示する、請求項4に記載のゲームシステム。
【請求項8】
前記映像制御装置は、前記ゲームにおける各ベット対象の種類ごとに、最高額のベット額を有する前記ベット対象に関連付けて、最高額であることを示すマークを表示する、請求項4に記載のゲームシステム。
【請求項9】
前記映像制御装置は、前記ベット段階が終了して前記ベット内容が確定した後に、前記ゲーミングチップがベットされた前記ベット対象と、前記ゲーミングチップがベットされていない前記ベット対象とを区別可能に表示する、請求項2に記載のゲームシステム。
【請求項10】
前記映像制御装置は、前記ベット段階が終了して前記ベット内容が確定した後に、前記ゲーミングチップがベットされていない前記ベット対象の表示を消去する、請求項9に記載のゲームシステム。
【請求項11】
前記画像認識装置が認識した前記ベット内容及び前記ゲーム判定装置が判定した前記ゲーム結果に基づいて、清算を判定する清算判定装置をさらに備え、
前記映像制御装置は、清算段階において、前記清算判定装置により判定された前記清算に応じた映像を表示する、請求項1に記載のゲームシステム。
【請求項12】
前記清算判定装置は、ベットされたゲーミングチップのスタックごとに、又はゲーミングチップがベットされたベット対象ごとに、ゲーミングチップを回収されるべきか、又はゲーミングチップの償還を受けるべきかを判定し、
前記映像制御装置は、ベットされたゲーミングチップのスタックに関連付けて、又はゲーミングチップがベットされたベット対象に関連付けて、回収すべきであるか、前記清算判定装置の判定の結果を表す表示をする、請求項11に記載のゲームシステム。
【請求項13】
前記清算判定装置は、ゲーミングチップの償還額を判定し、
前記映像制御装置は、償還を受けるゲーミングチップのスタックに関連付けて、又は償還を受けるベット対象に関連付けて、償還額を表示する、請求項12に記載のゲームシステム。
【請求項14】
前記ベット対象は、抽選ゲームへの参加を含み、
前記画像認識装置が前記ベット内容として前記ゲーミングチップが前記抽選ゲームへの参加にベットされていると認識した場合に、抽選を行う抽選実行装置をさらに含み、
前記映像制御装置は、前記抽選ゲームの映像を表示する、請求項2に記載のゲームシステム。
【請求項15】
前記映像制御装置は、ベット段階において、前記抽選ゲームのキャリーオーバ額を表示する、請求項14に記載のゲームシステム。
【請求項16】
前記表示面は、光透過性を有するスクリーンであり、
前記映像制御装置は、前記テーブル上面の下方から前記スクリーンに前記映像を投影するプロジェクタである、請求項1に記載のゲームシステム。
【請求項17】
前記映像制御装置は、前記映像を表示するディスプレイ装置であり、
前記表示面は、前記ディスプレイ装置の表示パネルである、請求項1に記載のゲームシステム。
【請求項18】
前記表示面は、スクリーンであり、
前記映像制御装置は、前記テーブル上面の上方から前記スクリーンに前記映像を投影するプロジェクタである、請求項1に記載のゲームシステム。
【請求項19】
ゲーミングチップを用いたゲームを行うためのゲームシステムであって、
映像を表示可能な表示面を有し、前記表示面をテーブル上面とするテーブルと、
前記テーブル上面に置かれたゲーミングチップを撮影して画像を生成するカメラと、
前記画像を分析することで、前記テーブル上面に置かれたゲーミングチップの位置、種類、枚数を認識する画像認識装置と、
前記画像認識装置による認識の結果に応じた映像を前記表示面に表示する映像制御装置と、
を備えた、ゲームシステム。
【請求項20】
前記ゲームの結果を判定する判定装置をさらに備え、
前記映像制御装置は、さらに前記判定装置の判定の結果に応じた映像を前記表示面に表示する、請求項19に記載のゲームシステム。
【請求項21】
ゲーミングチップ及びプレイングカードを用いたゲームを行うためのゲームシステムであって、
映像を表示可能な表示面を含むテーブル上面を有するテーブルと、
前記テーブル上面にベットされたゲーミングチップを撮影して画像を生成するカメラと、
前記画像を分析することで、ベット内容を認識する画像認識装置と、
前記テーブル上面に配布されるプレイングカードの内容を読み取って、ゲーム結果を判定するゲーム判定装置と、
前記画像認識装置が認識した前記ベット内容及び前記ゲーム判定装置が判定した前記ゲーム結果に応じた映像を前記表示面に表示する映像制御装置と、
を備えた、ゲームシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーミングチップを用いたゲームを行うためのゲームシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ゲーム参加者ごとのチップベットエリアを映像として表示して、ゲームが進行するとゲームの状態に応じてチップベットエリアの表示状態を変更するバカラ用のゲームシステムが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-097908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のゲームシステムでは、勝負の進行中において的中が確定したベット枠にその旨の表示をしたり、明るく又は点滅表示したりすることはできるものの、実際のベットに応じた表示の変更をするものではなく(第1の実施の形態)、あるいは、物理的なゲーミングチップを用いたものではない(第2の実施の形態)。
【0005】
そこで、本発明は、物理的なゲーミングチップを用いたゲームを行うためのゲームシステムにおいて、テーブル上面に置かれたゲーミングチップに応じてテーブル上面に映像を表示できるゲームシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様のゲームシステムは、ゲーミングチップ及びプレイングカードを用いたゲームを行うためのゲームシステムであって、表示面を含むテーブル上面を有するテーブルと、前記テーブル上面にベットされたゲーミングチップを撮影して画像を生成するカメラと、前記画像を分析することで、ベット内容を認識する画像認識装置と、前記テーブル上面に配布されるプレイングカードの内容を読み取って、ゲーム結果を判定するゲーム判定装置と、前記ゲーミングチップが置かれることで前記ゲームに対するベットが行われる複数のベット対象を含むベットエリアのレイアウトの映像を前記表示面に表示し、かつ前記画像認識装置が認識した前記ベット内容及び/又は前記ゲーム判定装置が判定した前記ゲーム結果に応じて、前記ベット内容及び/又は前記ゲーム結果に応じて内容が変化する映像を前記表示面に表示する映像制御装置とを備えた構成を有している。
【0007】
上記のゲームシステムにおいて、前記映像制御装置は、少なくともベット段階において、前記レイアウトを表示してよい。
【0008】
上記のゲームシステムは、前記ゲームに用いられた前記プレイングカードを廃棄するための廃棄ボックスに前記プレイングカードが投入されたことを検知する廃棄センサをさらに備えていてよく、前記映像制御装置は、前記廃棄センサが前記プレイングカードを検知したときに、次のゲームのために前記レイアウトを表示してよい。
【0009】
上記のゲームシステムにおいて、前記画像認識装置は、前記画像を分析することで、前記ゲーミングチップの位置、種類、及び枚数を認識し、前記位置、種類、及び枚数に基づいて、前記ベット対象ごとのベット額を前記ベット内容として認識してよい。
【0010】
上記のゲームシステムにおいて、前記映像制御装置は、前記画像認識装置により認識された位置に、前記ゲーミングチップが検知されたことを示すマークを表示してよい。
【0011】
上記のゲームシステムにおいて、前記映像制御装置は、前記画像認識装置により認識された各位置に、前記画像認識装置により認識されたベット額に応じた前記マークを表示してよい。
【0012】
上記のゲームシステムにおいて、前記映像制御装置は、前記画像認識された各位置の付近に、前記画像認識装置により認識されたベット額を示す数字を表示してよい。
【0013】
上記のゲームシステムにおいて、前記映像制御装置は、前記ゲームにおける各ベット対象の種類ごとに、最高額のベット額を有する前記ベット対象に関連付けて、最高額であることを示すマークを表示してよい。
【0014】
上記のゲームシステムにおいて、前記映像制御装置は、前記ベット段階が終了して前記ベット内容が確定した後に、前記ゲーミングチップがベットされた前記ベット対象と、前記ゲーミングチップがベットされていない前記ベット対象とを区別可能に表示してよい。
【0015】
上記のゲームシステムにおいて、前記映像制御装置は、前記ベット段階が終了して前記ベット内容が確定した後に、前記ゲーミングチップがベットされていない前記ベット対象の表示を消去してよい。
【0016】
上記のゲームシステムは、前記画像認識装置が認識した前記ベット内容及び前記ゲーム判定装置が判定した前記ゲーム結果に基づいて、清算を判定する清算判定装置をさらに備えていてよく、前記映像制御装置は、清算段階において、前記清算判定装置により判定された前記清算に応じた映像を表示してよい。
【0017】
上記のゲームシステムにおいて、前記清算判定装置は、ベットされたゲーミングチップのスタックごとに、又はゲーミングチップがベットされたベット対象ごとに、ゲーミングチップを回収されるべきか、又はゲーミングチップの償還を受けるべきかを判定してよく、前記映像制御装置は、ベットされたゲーミングチップのスタックに関連付けて、又はゲーミングチップがベットされたベット対象に関連付けて、回収すべきであるか、前記清算判定装置の判定の結果を表す表示をしてよい。
【0018】
上記のゲームシステムにおいて、前記清算判定装置は、ゲーミングチップの償還額を判定してよく、前記映像制御装置は、償還を受けるゲーミングチップのスタックに関連付けて、又は償還を受けるベット対象に関連付けて、償還額を表示してよい。
【0019】
上記のゲームシステムにおいて、前記ベット対象は、抽選ゲームへの参加を含んでいてよく、前記画像認識装置が前記ベット内容として前記ゲーミングチップが前記抽選ゲームへの参加にベットされていると認識した場合に、抽選を行う抽選実行装置をさらに含んでいてよく、前記映像制御装置は、前記抽選ゲームの映像を表示してよい。
【0020】
上記のゲームシステムにおいて、前記映像制御装置は、ベット段階において、前記抽選ゲームのキャリーオーバ額を表示してよい。
【0021】
上記のゲームシステムにおいて、前記表示面は、光透過性を有するスクリーンであってよく、前記映像制御装置は、前記テーブル上面の下方から前記スクリーンに前記映像を投影するプロジェクタであってよい。
【0022】
上記のゲームシステムにおいて、前記映像制御装置は、前記映像を表示するディスプレイ装置であってよく、前記表示面は、前記ディスプレイ装置の表示パネルであってよい。
【0023】
上記のゲームシステムにおいて、前記表示面は、スクリーンであってよく、前記映像制御装置は、前記テーブル上面の上方から前記スクリーンに前記映像を投影するプロジェクタであってよい。
【0024】
本発明の別の態様のゲームシステムは、ゲーミングチップを用いたゲームを行うためのゲームシステムであって、映像を表示可能な表示面を有し、前記表示面をテーブル上面とするテーブルと、前記テーブル上面に置かれたゲーミングチップを撮影して画像を生成するカメラと、前記画像を分析することで、前記テーブル上面に置かれたゲーミングチップの位置、種類、枚数を認識する画像認識装置と、前記画像認識装置による認識の結果に応じた映像を前記表示面に表示する映像制御装置とを備えた構成を有している。
【0025】
上記のゲームシステムは、前記ゲームの結果を判定する判定装置をさらに備えていてよく、前記映像制御装置は、さらに前記判定装置の判定の結果に応じた映像を前記表示面に表示してよい。
【0026】
本発明のさらに別の態様のゲームシステムは、ゲーミングチップ及びプレイングカードを用いたゲームを行うためのゲームシステムであって、映像を表示可能な表示面を含むテーブル上面を有するテーブルと、前記テーブル上面にベットされたゲーミングチップを撮影して画像を生成するカメラと、前記画像を分析することで、ベット内容を認識する画像認識装置と、前記テーブル上面に配布されるプレイングカードの内容を読み取って、ゲーム結果を判定するゲーム判定装置と、前記画像認識装置が認識した前記ベット内容及び前記ゲーム判定装置が判定した前記ゲーム結果に応じた映像を前記表示面に表示する映像制御装置とを備えた構成を有している。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、本発明の実施の形態のゲームシステムの構成を示す概略図である。
図2図2は、本発明の実施の形態のゲームシステムが利用されている様子を示す外観図である。
図3図3は、本発明の実施の形態のゲーミングチップの斜視図である。
図4図4は、本発明の実施の形態のゲームシステムの構成を示すブロック図である。
図5図5は、本発明の実施の形態の表示面の表示例を示す図である。
図6図6は、本発明の実施の形態のゲーミングチップ撮影用のカメラが撮影をして生成した画像の一部の例を示す図である。
図7図7は、本発明の実施の形態の表示面の表示例を示す図である。
図8図8は、本発明の実施の形態の表示面の表示例を示す図である。
図9図9は、本発明の実施の形態の表示面の表示例を示す図である。
図10図10は、本発明の実施の形態の表示面の表示例を示す図である。
図11A図11Aは、本発明の実施の形態の表示面の表示例を示す図である。
図11B図11Bは、本発明の実施の形態の表示面の表示例を示す図である。
図12図12は、本発明の実施の形態のプレイヤとゲーミングチップを撮影するためのカメラで撮影をして生成された画像の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明を実施する場合の一例を示すものであって、本発明を以下に説明する具体的構成に限定するものではない。本発明の実施にあたっては、実施の形態に応じた具体的構成が適宜採用されてよい。
【0029】
以下の実施の形態では、本発明のゲームシステムがゲーミングチップとプレイングカードを用いたゲームであるバカラゲームに応用される例を説明するが、ゲームシステムはバカラ以外のゲームに応用されてもよい。
【0030】
図1は、本発明の実施の形態のゲームシステムの構成を示す概略図であり、図2は、本発明の実施の形態のゲームシステムが利用されている様子を示す外観図である。ゲームシステム100は、ゲームテーブル1に設けられる。ゲームテーブル1は、平面のテーブル上面11を備えている。ゲームは、テーブル上面11の上で行われる。テーブル上面11は、少なくともその一部に映像を表示可能な表示面111を備えている。なお、本明細書に言う「映像」とは、アニメーションであってもよいし、内容が切り替わる静止画であってもよい。
【0031】
ゲームテーブル1は、ディーラが位置するディーラサイドと複数のプレイヤが位置するプレイヤサイドとを有する。ディーラサイドの両側には、それぞれポールが立設されており、各ポールの上方には、2つのカメラが取り付けられている。具体的には、左側には、左側からベットエリア74に置かれたゲーミングチップを撮影して画像を生成するためのカメラ21、及び左側からベットエリア74のゲーミングチップとプレイヤとを撮影して画像を生成するためのカメラ22が設けられ、右側には、右側からベットエリア74に置かれたゲーミングチップを撮影して画像を生成するためのカメラ23、及び右側からベットエリア74のゲーミングチップとプレイヤとを撮影して画像を生成するためのカメラ24が設けられる。
【0032】
ベットエリア74を撮影するカメラ21、23は、いずれもベットエリア74全体を撮影する。したがって、ベットエリア74の任意の位置に置かれたゲーミングチップ9は、カメラ21とカメラ23によって異なる角度から撮影されることになる。カメラ21~24は、いずれも斜め上方からベットエリア74に置かれたゲーミングチップ9を撮影する。したがって、カメラ21~24は、その撮影画像から、ゲーミングチップ9がベットエリア74内に2次元方向に配置されたいずれのベット対象に置かれているか(位置)と、その側面から特定可能な種類を認識することが可能である。ゲーミングチップ9は、複数のゲーミングチップ9が積み上げられたチップスタックの状態でベットエリア74に置かれることがあるが、カメラ21~24は、チップスタックの各ゲーミングチップ9の側面及び最上位のゲーミングチップ9の上面を撮影することになる。
【0033】
ベットエリア74に置かれたゲーミングチップ9を撮影するためのカメラ21、23と、ゲーミングチップ9だけでなくプレイヤも撮影するカメラ22、24とでは、空間解像度が異なっている。後述するように、カメラ21、23の画像はゲーミングチップ9の側面の模様に基づいてゲーミングチップ9の種類を判定するのに用いられるため、比較的解像度が高いのに対して、カメラ22、24の画像は、ゲーミングチップ9とそれを操作したプレイヤとの関係を判定するために用いられるので、比較的解像度が低い。
【0034】
テーブル上面11のディーラサイドには、シャッフルされた複数デッキのプレイングカードを収容するカードシュー3が置かれている。ディーラは、ゲームのためにカードシュー3からプレイングカードを1枚ずつ引き出す。プレイングカードのおもて面には、可視光下では見えず紫外線を照射することで可視化されるコードが表記されている。コードは、少なくとも当該プレイングカードのランク及びスートを表している。
【0035】
テーブル上面11のディーラサイドには、さらに、ゲームに用いられたプレイングカードをゲーム終了後に廃棄するための廃棄ボックス4が設けられている。廃棄ボックス4は、テーブル上面11に廃棄スロット41が露出しており、廃棄スロット41をプレイングカードが通過したことを検知する廃棄センサ42を備えている。
【0036】
テーブル上面11のディーラサイドには、さらに、ディーラのゲーミングチップ9を収容するためのチップトレイ5が設けられている。ディーラは、プレイヤがベットしてゲームに負けた場合にはベットエリア74からゲーミングチップ9を回収してチップトレイ5に収容する。また、ディーラは、プレイヤがベットしてゲームに勝った場合には、ベットされたゲーミングチップ9に対して、ルール及びゲーム結果に従った額のゲーミングチップ9をチップトレイ5から払い出す。
【0037】
図3は、本発明の実施の形態のゲーミングチップの斜視図である。ゲーミングチップ9は、円板形状を有する。円周をなす側面には、その厚さ方向に3色の層が現れている。中間の層(中心線)91は、ゲーミングチップ9の種類(価額)によらない色であり、その上下の層92は、種類に応じた色を有する。よって、ゲーミングチップ9は、その側面の上下層92の色によって種類を判別可能である。
【0038】
ゲーミングチップ9は、円周方向に所定の間隔をあけて、側面から上下面に続く複数のインサート93を備えている。インサート93は、側面からも上面からも観察可能である。インサート93もその色及び/又は形状によってゲーミングチップ9の種類(例えば、VIP用チップであるかマス用であるかの別、又は、キャッシュチップであるかローリングチップであるかプロモーションチップであるかの別)を表している。
【0039】
ゲーミングチップ9は、内部にRFIDタグ94を備えている。RFIDタグ94には、当該ゲーミングチップ9を唯一に特定するチップ識別情報、当該ゲーミングチップ9の種類、使用されるカジノ、製造に関する情報等が記憶される。
【0040】
チップトレイ5の内部には、チップトレイ5に収容されたゲーミングチップ9のRFIDタグ94を読み取るためのアンテナ51が設置されている。
【0041】
図1に戻って、ゲームシステム100は、テーブル上面11の下方、即ちゲームテーブル1の内部に、演算装置6と、プロジェクタ7と、RFIDリーダ52とを備えている。演算装置6は、汎用のコンピュータで構成され、本発明の実施の形態のプログラムに従って動作する。
【0042】
プロジェクタ7は、表示面111に映像を投影することで、表示面111に映し出される映像を制御する装置であって、映像制御装置に相当する。プロジェクタ7は、演算装置6に接続されており、演算装置6の制御に基づいて表示面111に映像を投影する。プロジェクタ7は、映像を表示面111に投影することで、映像を表示面111に表示する。表示面111は光を透過する材質(すなわち、透明又は半透明の材質)からなる。表示面111には模様が表されておらず、無色か、あるいは着色されているとしても1色で着色されている。プロジェクタ7が、表示面111の下方から表示面111に映像を投影すると、図2に示すように、表示面111の上方、即ち表示面111の上面には投影された映像が透過して、テーブル上面11に投影された映像が表示される。
【0043】
RFIDリーダ52は、アンテナ51で受信した信号をデコードして、演算装置6に出力する。
【0044】
図4は、本発明の実施の形態のゲームシステムの構成を示すブロック図である。ゲーム判定装置3は、図1及び図2に示したカードシュー3である。ゲーム判定装置3には、引き出されるプレイングカードのコードを読み取るための構成が備わっている。具体的には、カードシュー3は、引き出されるプレイングカードのコード表記部分に紫外線を照射する紫外線ランプ(図示省略)と、紫外線によって可視化されたコードを読み取るコードセンサ31と、コードセンサ31で読み取ったコードをデコードすることで、引き出されるプレイングカードのスート及びランクを判定するデコーダ(図示省略)とを備えている。
【0045】
さらに、ゲーム判定装置3は、順に引き出される複数のプレイングカードから順に読み取ったランクに基づいて、バカラのルールに従って、バカラゲームのゲーム結果(PLAYER WIN、BANKER WIN、TIE、PLAYER PAIR、BANKER PAIRなど)を判定する判定装置32とを備えている。
【0046】
演算装置6は、本実施の形態のテーブルゲームプログラムを実行することで、画像認識装置61、清算判定装置62、抽選実行装置63、及び映像生成装置64として機能する。テーブルゲームプログラムは、非一時的な記憶媒体に記憶されて、そこから読み出されることで演算装置6にインストールされてよい。画像認識装置61は、カメラ21~24で生成された画像を分析することで、ベット内容を認識する。映像生成装置64は、画像認識装置61が認識したベット内容及びゲーム判定装置3が判定したゲーム段階及びゲーム結果に応じて映像を生成する。
【0047】
映像制御装置7は、図2に示したプロジェクタ7である。映像制御装置7は、映像生成装置64で生成された映像を表示面111に投影することで表示面111に表示する。以下、映像生成装置64による映像の生成と映像制御装置7による映像の表示について、具体的に説明する。
【0048】
まず、映像生成装置64は、ベット段階において、複数のベット対象を含むベットエリア74の映像を生成し、映像制御装置7は、この映像を表示面111に表示する。映像生成装置64は、廃棄センサ42で前のゲームに用いられたプレイングカードの廃棄が検知されると、これを受けて次のゲームのベット段階が始まったと認識して、ベットエリア74の映像を生成する。
【0049】
図5は、本発明の実施の形態の表示面の表示例を示す図である。ベット段階では、表示面111には、図5に示すレイアウトが表示される。このレイアウトには、ベットエリア74が含まれる。また、このレイアウトには、表示面111のディーラサイドには、プレイヤハンドを配置するためのプレイヤハンドエリア71及びバンカハンドを配置するためのバンカハンドエリア72が含まれる。さらに、このレイアウトは、プレイヤハンドエリア71とバンカハンドエリア72との間に、後述する抽選ゲームであるジャックポットの累積賞金額(キャリーオーバ額)73を有する。
【0050】
ベットエリア74には、複数のプレイヤのためのベット対象が含まれる。図5の例では、6人のプレイヤのための各プレイヤポジション(1~6)のそれぞれに、複数のベット対象が設けられている。各プレイヤポジションのためのベットエリア74は、横方向に並んでいる。
【0051】
各プレイヤポジションのためのベットエリア74には、PLAYER WINにベットするための「PLAYER」エリア、BANKER WINにベットするための「BANKER」エリア、TIEにベットするための「TIE」エリア、PLAYER PAIRにベットするための「P.P」エリア、BANKER PAIRにベットするための「B.P」エリア、及びジャックポットにチャレンジするための「J.P」エリアが設けらている。
【0052】
各プレイヤポジションのためのベットエリア74において、「PLAYER」エリアの列、「BANKER」エリアの列、「P.P」エリア及び「B.P」エリアの列、「J.P」エリア及び「TIE」エリアの列が縦方向に並んでいる。
【0053】
ベット段階が始まると、カメラ21、23は、所定のフレームレートで連続的に撮影を行い、順次生成した画像を演算装置6に送る。演算装置6の画像認識装置61は、カメラ21、23から取得した画像を分析することで、画像内に映ったゲーミングチップ9の位置、種類、及び枚数を認識する。
【0054】
図6は、本発明の実施の形態のゲーミングチップ撮影用のカメラが撮影をして生成した画像の一部の例を示す図である。画像内には、ベットエリア74のベット対象も映っているため、画像認識装置61は、ゲーミングチップ9の位置を認識することで当該ゲーミングチップ9がベットされているベット対象を認識する。
【0055】
上述のように、ベットエリア74には、複数のゲーミングチップ9が積み上げられてチップスタック900として置かれることがある。この場合には、画像認識装置61は、当該チップスタック900の位置、即ち、当該チップスタック900がベットされているベット対象を認定する。また、上述のように、カメラ21、23は、表示面111に表示されたベットエリア74を斜め上方から撮影するので、チップスタック900が置かれているベット対象を撮影することができるとともに、チップスタック900に含まれる各ゲーミングチップ9の側面を撮影することができる。
【0056】
上述のように、ゲーミングチップ9の側面には、当該ゲーミングチップ9の種類を表す模様があるので、画像認識装置61は、画像を分析することで、チップスタック900に含まれるゲーミングチップ9の種類を判別できる。ゲーミングチップ9の種類は、ゲーミングチップ9の価額に対応しているので、画像認識装置61は、チップスタック900に含まれる各ゲーミングチップ9の価額を認識できる。さらに、画像認識装置61は、チップスタック900を構成する複数のゲーミングチップ9の価額を合計することで、当該チップスタック900の総額を算出できる。
【0057】
以上のようにして、画像認識装置61は、カメラ21、23から得た画像を分析することで、ベットエリア74におけるベット対象ごとのベット額をベット内容として認識する。画像認識装置61における画像の分析には、機械学習モデル、又は学習によりトレーニングされたディープニューラルネットワークを用いることができる。具体的には、画像認識装置61は、画像の中からチップスタック900をセグメンテーションする処理、チップスタック900から各ゲーミングチップ9の特徴的な部分(例えば中心線)を抽出することで各ゲーミングチップ9を認識する処理、各ゲーミングチップ9についてその種類を判別する処理、チップスタック900が置かれているベット対象を判別する処理等の複数の処理を個別に行うことでベット内容を認識してよい。この場合に、各処理に、それぞれ異なる機械学習モデルないしそれぞれ異なるニューラルネットワークモデルが使用されてよい。
【0058】
画像認識装置61は、カメラ21からの画像及びカメラ23からの画像のそれぞれについて上記の処理を行う。上述のように、カメラ21及びカメラ23はいずれもベットエリア74全体を撮影しているので、原則として、ベットエリア74に置かれたゲーミングチップ9は、カメラ21及びカメラ23の両方によってキャプチャされる。しかしながら、複数のチップスタック900の位置関係によっては、カメラ21、23の一方のみによってキャプチャされ、他方のカメラからは、他のチップスタック900の陰になってチップスタック900の一部または全部のゲーミングチップ9がキャプチャされないこともある。このような場合にも、いずれのチップスタック900も、カメラ21、23のいずれかによってキャプチャされることになり、画像認識装置61によって認識されることになる。
【0059】
画像認識装置61は、カメラ21からの画像から認識したチップスタック900及びカメラ23からの画像から認識したチップスタック900について、同じ位置にあると認識されたチップスタック900を同一のチップスタック900として認識する。
【0060】
映像生成装置64は、画像認識装置61において、チップスタック900が認識されると、当該チップスタック900の位置に対応する表示面111の位置に、ゲーミングチップ9が検知されたことを示すマークを表示し、かつ、当該チップスタック900の総額を表す数字を表示する映像を生成する。
【0061】
図7は、本発明の実施の形態の表示面の表示例である。図7の例では、プレイヤポジション「4」の「BANKER」エリアに3枚の100ドルチップからなる総額300ドルのチップスタック900が置かれている状況を表している。上述のように、画像認識装置61は、カメラ21、23からの画像を分析することで、チップスタック900の位置を認識するので、映像生成装置64は、その認識された位置にマーク(ベットマーク)75を表示する映像を生成する。ベットマーク75は、ゲーミングチップ9の直径より若干大きな直径を有する円状のマークである。チップスタック900の総額を表す数字76は、ベットマーク75と所定の位置関係となる位置に表示される。
【0062】
映像生成装置64は、フィードバック制御によって、ベットマーク75の位置を修正してよい。すなわち、上記のようにしてベットマーク75を表示した後にもカメラ21、23は、撮影を続けているので、画像認識装置61には、ベットマーク75が表示された画像が入力される。このとき、画像認識装置61は、チップスタック900とベットマーク75との位置関係を認識して、その結果を映像生成装置64に出力してよい。映像生成装置64は、このチップスタック900とベットマーク75との位置関係、即ち、チップスタック900とベットマーク75とのずれ量に応じた移動量だけベットマーク75の位置を修正した映像を生成してよい。
【0063】
ベットマーク75の模様(形状、色)は、チップスタック900の総額によって異なるものであってもよい。例えば、チップスタック900の総額が100ドル未満である場合、1000ドル未満である場合、及び1000ドル以上である場合のそれぞれについて、互いに異なる色及び/又は異なる形状でベットマーク75を表示してよい。
【0064】
これらのチップスタック900の位置を示すベットマーク75、及びチップスタック900の総額を示す数字76は、チップスタック900が認識されてから所定の時間だけ表示してその後消えるようにしてもよい。映像生成装置64は、これらのベットマーク75及び数字76を表示してから所定時間後にそれらが消える映像を生成する。このように、ベット額を示す数字76は、カメラ21、23及び画像認識装置61を用いてベットされたチップスタック900が認識されるごとにリアルタイムに表示される。また、プレイヤがベット額を減額したり増額したりした場合には、カメラ21、23及び画像認識装置61がチップスタック900を認識しなおして、そのベット額を判定して、新たなベット額を示す数字76を表示しなおす。
【0065】
また、映像生成装置64は、「PLAYER」エリアに最も高額をベットしているプレイヤポジション、及び「BANKER」エリアに最も高額をベットしているプレイヤポジションを特定して、それぞれ、当該プレイヤポジションのプレイヤが該当するハンドをスクイーズする権利を有していることを示すマーク(スクイーズマーク)77を表示する。
【0066】
図8は、本発明の実施の形態の表示面の表示例を示す図である。図8の例では、プレイヤポジション3が「PLAYER」エリアに最も高額をベットしており、プレイヤポジション4が「BANKER」エリアに最も高額をベットしているので、それぞれのプレイヤポジションに、スクイーズマーク77が表示されている。
【0067】
映像生成装置64は、ベット段階において、その時点で最も高額をベットしているプレイヤポジションにスクイーズマーク77を表示し、最高額ベットをしているプレイヤポジションが変更するごとにスクイーズマーク77を表示するプレイヤポジションを変更するようにしてもよいし、あるいは、ベット段階が終了してベットエリア74のすべてのベット内容が確定した後に初めてスクイーズマーク77を表示するようにしてもよい。
【0068】
映像生成装置64は、ベット段階が終了して、ディーラがカードをディールするカードディール段階に入ると、表示面111に表示する映像を切り替える。このために、ゲーム判定装置としてのカードシュー3は、1枚目のプレイングカードがドローされると、その旨の信号を演算装置6に送る。
【0069】
演算装置6は、カードシュー3からの信号に基づいて、1枚目のカードがドローされたこと、即ち、ベット段階が終了してカードディール段階に入ったことを判定する。なお、これに代えて、ディーラがテーブル上面で「NO MORE BET」のアクション(典型的には、手のひらを下に向けてベットエリア74の上空をスワイプするアクション)をし、これをカメラ21~24のいずれかでキャプチャし、画像認識装置61がこのアクションを認識することで、ベット段階が終了してカードディール段階に入ったことを判定してもよい。
【0070】
映像生成装置64は、ベット段階が終了してベット内容が確定した後に、ゲーミングチップ9がベットされたベット対象と、ゲーミングチップ9がベットされていないベット対象とを区別可能に表示する。具体的には、映像生成装置64は、ゲーミングチップ9がベットされていないベット対象の表示を消去し、ゲーミングチップ9がベットされているベット対象の表示を維持することで、ゲーミングチップ9がベットされているベット対象を強調して表示する。
【0071】
図9は、本発明の実施の形態の表示面の表示例を示す図である。図9は、カードディール段階の表示例を示している。この映像には、ゲーミングチップ9がベットされているベット対象のみが表示されており、ゲーミングチップ9がベットされていないベット対象は表示されていない。また、この表示例では、該当するプレイヤポジションにスクイーズマーク77が表示されている。さらに、この表示例では、プレイヤポジションごとのベット額の総額が表示されている。
【0072】
上述のように、ゲーム判定装置3は、1枚ずつドローされるプレイングカードのランクを読み取って、ゲーム結果を判定する。ゲーム判定装置3は、判定したゲーム結果を演算装置6に送る。演算装置6の清算判定装置62は、画像認識装置61が判定したベット内容と、ゲーム判定装置3が判定したゲーム結果とに基づいて、清算の判定をする。
【0073】
ジャックポットにベットされている場合には、清算判定装置62が清算の判定をする前に、抽選実行装置63が抽選ゲームを実行する。抽選結果は、当たり又は外れのいずれかである。抽選実行装置63は、ランダム数を用いて抽選を行い、当たり又は外れの抽選結果を取得する。映像生成装置64は、抽選実行装置63が抽選ゲームを実行する際に、抽選ゲームの興趣性を向上させる映像を生成する。
【0074】
図10は、本発明の実施の形態の表示面の表示例を示す図である。図10では、抽選ゲームが表示されている。抽選ゲームの映像は、3つのリールを有するスロットゲームの映像である。抽選結果が当たりである場合には、映像生成装置64は、リールを回した後に1つずつ停止させて、最終的に当たり図柄が揃う映像を生成する。抽選結果が外れである場合は、映像生成装置64は、リールを回した後に1つずつ停止させて、最終的に当たり図柄が揃わない映像を生成する。
【0075】
上述のように、ジャックポットの賞金は、当たりが出るまでにカジノ内の複数のゲームテーブルで抽選に外れて回収されたジャックポットへのベット額の累積額(キャリーオーバ額)である。したがって、賞金は他のゲームテーブルで抽選に外れるごとに積み上げられていき、いずれかのゲームテーブルで抽選に当たると減額されるものであり、このように刻一刻と変化するものである。そこで、映像生成装置64は、ベット段階、カードディール段階にかかわらず、他のゲームテーブルでのジャックポットへのベット及びその抽選結果に基づくキャリーオーバ額を所定の時間間隔で(例えば、5秒おきに)受け取り、表示面に表示するキャリーオーバ額を更新する。
【0076】
なお、ジャックポットのへの参加料(ベット額)は定額(本実施の形態では50ドル)である。画像認識装置61は、ベット内容を判定した結果、「J.P」エリアにゲーミングチップ9がベットされているが、その金額が50ドルでない場合には、不正であると判断して、映像生成装置64に報告する。映像生成装置64は、ジャックポットへの不正なベット額に係るゲーミングチップ9の位置に警告を表示する映像を生成する。
【0077】
ジャックポットの抽選が終了すると、清算段階に移行する。清算には、負けたゲーミングチップ9の回収及び勝ったゲーミングチップ9への償還がある。映像生成装置64は、清算判定装置62により判定された清算に応じた映像を表示する。清算判定装置62は、ベットされたゲーミングチップ9のチップスタック900ごとに、又はゲーミングチップ9がベットされたベット対象ごとに、ゲーミングチップ9を回収されるべき(ゲームに負けた)か、又はゲーミングチップ9の償還を受けるべき(ゲームに勝った)かを判定する。さらに、ゲーミングチップ9の償還を受けるべきと判定したチップスタック900については、ゲームのルールに従ってその償還額を算出する。
【0078】
映像生成装置64は、ベットされたゲーミングチップ9のチップスタック900に関連付けて、又はゲーミングチップ9がベットされたベット対象に関連付けて、回収すべきであるか、償還を受けるべきであるかを表示し、かつ、償還を受けるゲーミングチップ9のチップスタック900に関連付けて、又は償還を受けるベット対象に関連付けて、償還額を表示する映像を生成する。
【0079】
図11A及び図11Bは、本発明の実施の形態の表示面の表示例を示す図である。図11A及び図11Bの例では、映像生成装置64は、ジャックポットは外れであり、ゲーム結果はPLAYER WINであった場合の表示面111の表示例を示している。この場合には、ゲームに勝ったベット対象である「PLAYER」エリアが色塗りで強調されており、ゲームに負けたベット対象である他のエリアについては、色抜きで表示されている。
【0080】
図11Aに示すように、各プレイヤポジションには、清算を表す数字の列が表示されている。上の列から順に、ベット額、償還額(償還がある場合)、回収額(回収がある場合)の順で表示される。映像生成装置64は、この表示から、図11Bに示すように、これらの額をプラスマイナスした最終的な清算額を表示する。全額回収される場合(清算後にその場にゲーミングチップ9が残らない場合、即ち精算額が0である場合)には何も表示されない。
【0081】
映像生成装置64は、図11Aの表示から図11Bへの表示への移行のために、ベット額を徐々に増加させるのに合わせて償還額を徐々に減少させていき、ベット額を徐々に減少させるのに合わせて回収額(マイナス)を徐々に減少させく映像を生成してよい。また、ジャックポットで当たった場合にも、映像生成装置64は、プレイヤポジションの償還額を徐々に増額させるのに合わせて、ディーラの前に表示されているキャリーオーバ額73を徐々に減少させる映像を生成してよい。
【0082】
清算判定装置62は、清算が正確に行われたか否かを判定してよい。この場合には、カメラ21、23は、清算段階においても撮影を継続して、画像認識装置61は、清算段階で償還されるゲーミングチップ9も含めて、ゲームテーブル1上のゲーミングチップ9を認識する。清算判定装置62は、この認識結果に基づいて、ゲームに勝ったゲーミングチップ9に対してルールに基づく正しい額が償還されたか否かを判定することができる。
【0083】
また、清算判定装置62は、上記に加えて、又は上記に代えて、清算が正しく行われたか否かを、チップトレイ5におけるゲーミングチップ9の増減額に基づいて判断してもよい。
【0084】
清算判定装置62が清算が正しく行われたかを判定する場合には、映像生成装置64は、その判定結果を表すとともに、不正な清算がある場合には、当該不正が生じたベット対象を指示する映像を生成してよい。
【0085】
以上のように、本実施の形態のゲームシステムによれば、テーブル上面11の少なくとも一部を構成する表示面111に、ゲームの進行に応じた映像を表示することができるのみならず、物理的なプレイングカードを用いたゲームのゲーム結果や物理的なゲーミングチップ9を用いたベットのベット内容に応じた映像を表示できる。これらの表示は、プレイヤに対してゲームを案内し、又はゲームの興趣性を向上させる表示であり、ディーラに対して清算等のオペレーションをサポートする表示であり、ゲームの各種のオペレーションの正確さを確認するための表示である。
【0086】
なお、上記の実施の形態では、表示面111は、光透過性を有するスクリーンであり、映像制御装置7は、テーブル上面11の下方からスクリーンに映像を投影するプロジェクタであったが、表示面111及び映像制御装置7は、これらに限られない。
【0087】
例えば、映像制御装置7は、映像を表示するディスプレイ装置であってよい。この場合には、表示面111は、ディスプレイ装置の表示パネルである。ディスプレイ装置は、液晶ディスプレイ装置であってよい。あるいは、表示面111は、光透過性を有しないスクリーンであってよく、この場合に、映像制御装置7は、テーブル上面11の上方からスクリーンに映像を投影するプロジェクタであってよい。すなわち、表示面111に対してプロジェクションマッピングを行ってよい。
【0088】
また、上記の実施の形態及びその変形例において、表示面111には、手触りをよくするための布が被せられてよい。あるいは、表示面111には、タッチセンサが設けられてよく、タッチ操作によって、各種の情報を切り替えて表示してよい。
【0089】
カメラ22、24は、上述のように、プレイヤ及びベットされたゲーミングチップを含む画像を生成する。画像認識装置61は、この画像を分析することで、プレイヤとベットされたチップスタック900とを関連付けて、プレイヤごとのベット内容を判定してもよい。これにより、パトロンレイティングを行うことができる。
【0090】
図12は、本発明の実施の形態のプレイヤとゲーミングチップを撮影するためのカメラで撮影をして生成された画像の例を示す図である。カメラ22、24では、カメラ21、23よりも広い範囲の画像が得られる。画像認識装置61は、カメラ22、24で生成された画像を分析することで、画像からプレイヤの骨格モデルを認識し、さらに、チップスタック900を認識し、チップスタック900と骨格モデルの手の位置関係とに基づいて、どのプレイヤがどのチップスタック900をベットエリア74に置いたかを特定する。
【0091】
このように、画像認識装置61は、プレイヤを認識するので、映像生成装置64は、プレイヤの人数及び位置に基づいて、ベットエリアの映像を生成してよい。具体的には、映像生成装置64は、プレイヤの人数分だけ各プレイヤ用のベット対象を有するベットエリアの映像を生成してよい。あるいは、映像生成装置64は、プレイヤが存在する位置に合わせて当該プレイヤ用のベット対象を有するベットエリアの映像を生成してよい。
【0092】
また、映像生成装置64は、ベット段階、カードディール段階、清算段階の各段階において、上記で説明した表示のほかに、バックグランドアニメーションを含む映像を生成してよい。
【0093】
また、本実施の形態では、ベット内容を判定するために、ベットされたゲーミングチップ9をカメラで撮影して画像を生成し、その画像を分析することで、チップスタック900の位置、チップスタック900に含まれるゲーミングチップ9の種類及び枚数を認識したが、これに代えて、又はこれに加えて、表示面111の内部にRFIDアンテナを埋め込んで、ベットされたゲーミングチップ9のRFIDタグ94を読み取ることでベット内容を判定してもよい。
【0094】
また、上記の実施の形態では、ゲーム結果の判定は、カードシュー3によって1枚ずつ引き出されるプレイングカードのランクを読み取ることで行った。これに加えて、又はこれに代えて、引き出されてテーブル上面11でオープンになったカードをカメラで読み取ることでゲーム結果を判定してもよい。この場合には、例えば、カメラ21、23がプレイングカードを配置するエリア(プレイヤハンドエリア71及びバンカハンドエリア72)も含む範囲を撮影する。画像認識装置61は、画像内のプレイングカードを認識することで、各ハンドのランクを判定して、ルールに従ってゲーム結果を判定する。
【0095】
映像生成装置64及び映像制御装置7に加えて、音声生成装置及び音声出力装置が設けられて、映像に合わせて音声を出力してよい。例えば、画像認識装置61がゲーミングチップ9がベットされたことを検知したときに、それに応じてゲーミングチップ9を検知したことを表す音声を出力してよい。
【0096】
また、プレイヤがいないときに表示面111の表示をオフにするとともに、プレイヤを検知する人感センサを設けて、又は、カメラ22、24の画像認識を継続して、プレイヤがいない状態で最初のプレイヤがゲームテーブル1に着いたときに、これを検知して、表示面111をオンにしてもよい。また、プレイヤを検知しなくなって所定時間を経過したときに、自動的に表示面111をオフないしスリープ状態にしてもよい。最初のプレイヤを検知して表示面111の表示を開始する場合に、プレイヤを歓迎するための開始時のアニメーションを表示してよい。
【0097】
また、上記の実施の形態では、ジャックポットは、抽選実行装置63がランダム数を用いた抽選を行うことで実行されたが、これに代えて、カードシュー3からドローされたプレイングカードのランクによってジャックポットの当たり又は外れが決定されてもよい。例えば、最初にドローされた4枚のプレイングカードのランクがすべて同じである場合にジャックポットが当たりとされてもよい。この場合には、ゲーム判定装置としてのカードシュー3が抽選実行装置として機能する。なお、この場合にも、抽選ゲームの映像が、上記の実施の形態と同様に表示面111に表示されてもよい。
【0098】
また、上記の実施の形態では、バカラ用のレイアウトを表示する例を説明したが、映像生成装置64は、複数種類のバカラ用のレイアウトの映像を生成可能であってよく、例えば日ごとに種類の異なるレイアウトの映像を生成して表示させるようにしてもよい。また、映像生成装置64は、ブラックジャックや大小等のバカラ以外のゲームのレイアウトの映像を生成してよく、ゲームテーブル1で行われるゲームに応じたレイアウトの映像を選択して表示させるようにしてもよい。さらに、映像生成装置64は、画像認識装置61で認識された、ゲームに参加するプレイヤの人数に応じて、プレイヤポジションごとのベットエリアの数、大きさ、間隔等が調整されたレイアウトの映像を生成して表示させてよい。また、テーブル上面11にはレイアウトの一部が印刷されており、映像生成装置64によって生成され表示されるレイアウトの映像と合わせてレイアウトが完成する構成であってもよい。
【0099】
また、映像生成装置64は、ゲーム判定装置としてのカードシュー3からゲームテーブル1上に配られたプレイングカードのランクの合計値を表示する映像を生成してよい。具体的には、バカラについて、映像生成装置64は、プレイヤハンドを構成する複数のプレイングカードのランクの合計値又は合計値の一の位の数をプレイヤハンド値として計算し、かつ、バンカハンドを構成する複数のプレイングカードのランクの合計値又は合計値の一の位の数をバンカハンド値として計算し、それらの値を含む映像を生成して表示させてもよい。さらに、バカラにおいて、プレイヤ、バンカにそれぞれ2枚ずつカードが配られた後、ルールに基づいてさらにカードが配られるべき場合には、さらにカードが配られるべきハンドのハンド値の映像を点滅させてもよい。すなわち、プレイヤに3枚目のカードが配られるべきときには、プレイヤに配られた最初の2枚のカードのランクの合計値又は合計値の一の位の数を点滅させて表示させてよい。バンカについても、同様に、バンカに3枚目のカードが配られるべきときには、バンカに配られた最初の2枚のカードのランクの合計値又は合計値の一の位の数を点滅させて表示させてよい。また、ブラックジャックについて、各プレイヤ及びディーラのそれぞれのハンドを構成する複数のプレイングカードのランクの合計値又は合計値の一の位の数を計算して、その値を含む映像を生成して表示させてもよい。
【0100】
また、映像生成装置64は、プレイヤに対してゲームを案内するチュートリアルの映像を生成して表示させてよい。具体的には、映像生成装置64は、バカラやブラックジャックにおいて、各ハンドの一部のプレイングカードが配られている段階で、次のどのランクのプレイングカードが配布されると当該ハンドが有利になり、あるいは当該ハンドがゲームに勝てるかを案内する映像を生成して表示させてよい。
【0101】
特に、ゲームの初心者に向けて、映像生成装置64は、以下のようなチュートリアルの映像を生成してよい。すなわち、映像生成装置64は、画像認識装置61で認識した各プレイヤのベット内容に基づいて当該プレイヤの勝利条件の説明を含む映像を生成してよい。また、映像生成装置64は、ミニマムベットやマキシマムベットの条件が設定されている場合には、設定されているミニマムベットやマキシマムベットの条件を満たさない場合に、警告を含む映像を生成してよい。各ゲームのルールや、メインベット、サイドベットの勝利条件を常時ゲームテーブルに表示してもよく、また、プレイヤまたはディーラの操作、もしくは手の動き等を検知して、表示と非表示を切り替えてもよい。
【0102】
また、映像生成装置64は、ゲームの途中で、特定の条件に基づいて、新たな賭けを行うことができる場合に、プレイヤにその旨を通知する映像、新しいベットエリア、ペイアウト率を表示する映像を生成して表示してよい。例えば、ブラックジャックにおいて、引かれたカードの認識に基づいて、インシュランス、ダブルダウン、スプリットなどの賭けが可能な場合に、プレイヤに賭けを促す映像を生成して表示してよい。また、バカラでも、ゲームの途中で新たな賭けである「インシュランス」を行うことができる。例えば、プレイヤ(ゲーム参加人)がバンカに賭けていた場合、ゲームの途中でバンカが負けることに追加で賭ける「バンカインシュランス」を行うことができる。プレイヤとバンカに配られたカードに基づいて、バンカインシュランスに賭けることができる場合には、新たにバンカインシュランス用のベットエリアが表示されてよい。さらに、配られたカードに基づいて、そのような新たな賭けのペイアウトの倍率を計算し、その倍率を表示してよい。また、賭けることができる最大金額(マキシマムベット)を計算して表示し、ベットされた金額がマキシマムベットを超えていた場合にはアラートを表示することができる。さらに、賭けの勝率(その賭けが勝つ理論上の確率)を計算して表示してよい。プレイヤにベットされていた場合に、ゲームの途中で、プレイヤが負けることに賭ける「プレイヤインシュランス」の場合も同様であってよい。
【0103】
また、ゲームテーブルにおける過去の勝敗結果の履歴の映像を生成して表示してよく、各ゲームが終わるごとに、その履歴のデータを更新して表示してよい。
【0104】
ディーラの足元に足で押せるボタンがあり、当該ボタンによって、レイアウトの変更や、ゲーム中に表示される映像の切り替えを行なってよい。レイアウトの変更とは、対象となるゲームの種類(バカラやブラックジャック等)を変更することや、同じゲームにおいて、異なるレイアウトに変更することであってよい。ゲーム中の映像の切り替えには、引き出されたカードのランクの合計値の一の位を表示することや、ゲームの勝敗結果を表示すること、負けチップの回収金額、勝ちチップへの償還金額を表示することを含む。
【0105】
映像生成装置64が映像を「生成」すると説明している部分は、映像生成装置64が、すでに生成されて用意されている複数の映像の中から適切なものを選択することも含まれ、さらに、すでに生成されて用意されている複数の映像の中から適切なものを選択するとともに、当該選択した映像を加工し、又は当該選択した映像に他の映像を重畳することも含まれる。
【符号の説明】
【0106】
100 ゲームシステム
1 ゲームテーブル
3 カードシュー(ゲーム判定装置)
4 廃棄ボックス
5 チップトレイ
6 演算装置
7 プロジェクタ(映像制御装置)
9 ゲーミングチップ
11 テーブル上面
21~24 カメラ
51 アンテナ
52 RFIDリーダ
61 画像認識装置
62 清算判定装置
63 抽選実行装置
64 映像生成装置
71 プレイヤハンドエリア
72 バンカハンドエリア
73 累積賞金額(キャリーオーバ額)
74 ベットエリア
75 ベットマーク
76 数字
77 スクイーズマーク
91 中心線
92 上下層
93 インサート
94 RFIDタグ
111 表示面
900 チップスタック
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12