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  • 特開-トリガー式液体噴出器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017486
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】トリガー式液体噴出器
(51)【国際特許分類】
   B05B 11/00 20230101AFI20240201BHJP
   B65D 47/34 20060101ALI20240201BHJP
   F04B 9/14 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
B05B11/00 102G
B05B11/00 102K
B65D47/34 100
F04B9/14 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022120145
(22)【出願日】2022-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】小賀坂 優太
【テーマコード(参考)】
3E084
3H075
【Fターム(参考)】
3E084AA12
3E084AB01
3E084BA02
3E084CA01
3E084CB02
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB12
3E084DC03
3E084FA09
3E084FB01
3E084GA01
3E084KB06
3E084LB02
3E084LC01
3E084LD22
3E084LD26
3H075AA01
3H075BB01
3H075BB22
3H075CC35
3H075DA05
3H075DA09
3H075DB13
(57)【要約】
【課題】部品点数を削減できる構造を有するトリガー式液体噴出器を提供する。
【解決手段】噴出器本体11には、縦供給筒部12とトリガー部15との間に設けられ、内部が縦供給筒部12内に連通し、弾性変形可能に形成されたタンク部18が備えられ、タンク部は、前後方向に延びる筒状に形成されるとともに、前端開口がトリガー部の上部に、後端開口が縦供給筒部にそれぞれ閉塞され、タンク部のうち、一部は、他の部分より薄肉に形成された変形容易部22とされ、変形容易部の少なくとも一部は、タンク部の下端部に設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が収容された容器体に装着される噴出器本体と、
前記噴出器本体の前端部に装着され、液体を前方に向けて噴出する噴出孔が形成されたノズル部材と、を備え、
前記噴出器本体は、
上下方向に延び、前記容器体内の液体を吸上げる縦供給筒部と、
前記縦供給筒部の前方に設けられ、上下方向に延びるトリガー部と、
前記縦供給筒部と前記トリガー部との間に設けられ、内部が前記縦供給筒部内に連通し、弾性変形可能に形成されたタンク部と、
前記タンク部内の加圧時に、前記タンク部内と前記容器体内との前記縦供給筒部内を通した連通を遮断し、かつ前記タンク部内の減圧時に、前記タンク部内と前記容器体内との前記縦供給筒部内を通した連通を許容する逆止弁と、を備え、
前記タンク部は、前後方向に延びる筒状に形成されるとともに、前端開口が前記トリガー部の上部に、後端開口が前記縦供給筒部にそれぞれ閉塞され、
前記タンク部のうち、一部は、他の部分より薄肉に形成された変形容易部とされ、
前記変形容易部の少なくとも一部は、前記タンク部の下端部に設けられている、トリガー式液体噴出器。
【請求項2】
前記変形容易部は、前記タンク部の中心軸線回りに沿って前記タンク部の下端部から離れるに従い前後方向の大きさが小さくなっている、請求項1に記載のトリガー式液体噴出器。
【請求項3】
前記変形容易部における前記タンク部の中心軸線回りに沿う周方向の両端部は、径方向から見た正面視で、周方向のうち、前記タンク部の下端部から離れる側に向けて突の曲線状を呈する、請求項2に記載のトリガー式液体噴出器。
【請求項4】
前記変形容易部は、前記タンク部の中心軸線を中心に180°以上の角度範囲にわたって設けられている、請求項1から3のいずれか1項に記載のトリガー式液体噴出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリガー式液体噴出器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、下記特許文献1に記載のトリガー式液体噴出器が知られている。このトリガー式液体噴出器は、液体が収容された容器体に装着される噴出器本体と、噴出器本体の前端部に装着され、液体を前方に向けて噴出する噴出孔が形成されたノズル部材と、を備えている。
噴出器本体は、上下方向に延び、容器体内の液体を吸上げる縦供給筒部と、縦供給筒部の前方に前方付勢状態で後方に移動可能に配設されたトリガー部を有し、トリガー部の後方への移動によって、液体を縦供給筒部内から噴出孔側に向けて流通させるトリガー機構と、を備えている。
トリガー機構は、トリガー部に連動して前後方向に移動するピストンと、ピストンが挿入され、かつ内部が縦供給筒部内に連通したシリンダと、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-064634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなトリガー式液体噴出器においては、部品点数を削減したい要求がある。
【0005】
本発明は、部品点数を削減できる構造を有するトリガー式液体噴出器を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のトリガー式液体噴出器の一つの態様は、液体が収容された容器体に装着される噴出器本体と、前記噴出器本体の前端部に装着され、液体を前方に向けて噴出する噴出孔が形成されたノズル部材と、を備え、前記噴出器本体は、上下方向に延び、前記容器体内の液体を吸上げる縦供給筒部と、前記縦供給筒部の前方に設けられ、上下方向に延びるトリガー部と、前記縦供給筒部と前記トリガー部との間に設けられ、内部が前記縦供給筒部内に連通し、弾性変形可能に形成されたタンク部と、前記タンク部内の加圧時に、前記タンク部内と前記容器体内との前記縦供給筒部内を通した連通を遮断し、かつ前記タンク部内の減圧時に、前記タンク部内と前記容器体内との前記縦供給筒部内を通した連通を許容する逆止弁と、を備え、前記タンク部は、前後方向に延びる筒状に形成されるとともに、前端開口が前記トリガー部の上部に、後端開口が前記縦供給筒部にそれぞれ閉塞され、前記タンク部のうち、一部は、他の部分より薄肉に形成された変形容易部とされ、前記変形容易部の少なくとも一部は、前記タンク部の下端部に設けられている。
【0007】
タンク部のうち、一部が、他の部分より薄肉に形成された変形容易部とされ、変形容易部の少なくとも一部が、タンク部の下端部に設けられているので、トリガー部のうち、タンク部から下方に突出した下部を後方に牽引し、変形容易部に前後方向の圧縮力を加えると、変形容易部が、タンク部の内側に向けて突出するように屈曲変形しやすくなる。これにより、タンク部内が加圧され、逆止弁が、タンク部内と容器体内との縦供給筒部内を通した連通を遮断した状態とし、タンク部内の内容液が、ノズル部材側に向けて流通して噴出孔から噴出される。トリガー部を解放すると、タンク部の復元変形によってタンク部内が減圧され、逆止弁が、タンク部内と容器体内とを縦供給筒部内を通して連通させ、容器体内の内容液が、縦供給筒部内を通してタンク部内に供給される。
以上より、従来のように、ピストン等を設ける必要が無く、構造が簡素化され、部品点数を削減することができる。
【0008】
前記変形容易部は、前記タンク部の中心軸線回りに沿って前記タンク部の下端部から離れるに従い前後方向の大きさが小さくなってもよい。
【0009】
変形容易部が、タンク部の中心軸線回りに沿ってタンク部の下端部から離れるに従い前後方向の大きさが小さくなっているので、トリガー部の下部を後方に牽引したときに、変形容易部のうち、タンク部の下端部に位置して前後方向の大きさが最も大きい部分が、タンク部の内側に向けて突出するように屈曲変形しやすくなる。
【0010】
前記変形容易部における前記タンク部の中心軸線回りに沿う周方向の両端部は、径方向から見た正面視で、周方向のうち、前記タンク部の下端部から離れる側に向けて突の曲線状を呈してもよい。
【0011】
変形容易部の周方向の両端部が、径方向から見た正面視で、周方向のうち、タンク部の下端部から離れる側に向けて突の曲線状を呈するので、トリガー部の下部を後方に牽引したときに、変形容易部の周方向の両端部、およびその近傍に生ずる負荷を抑えることができる。
【0012】
前記変形容易部は、前記タンク部の中心軸線を中心に180°以上の角度範囲にわたって設けられてもよい。
【0013】
変形容易部が、タンク部の中心軸線を中心に180°以上の角度範囲にわたって設けられているので、トリガー部の下部を後方に牽引したときに、タンク部を、変形形状を安定させつつ広範囲にわたって弾性変形させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一つの態様によれば、トリガー式液体噴出器の部品点数を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施形態に係るトリガー式液体噴出器の断面図である。
図2図1に示すタンク部を左右方向から見た図である。
図3図1に示すタンク部を下方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係るトリガー式液体噴出器を説明する。
【0017】
以下、トリガー式液体噴出器の一実施形態について説明する。図1に示されるように、トリガー式液体噴出器1は、液体が収容された容器体Wに装着されるとともに、容器体W内の液体を吸上げる縦供給筒部12を有する噴出器本体11と、液体を噴出する噴出孔10aが形成されたノズル部材10と、を備えている。
【0018】
トリガー式液体噴出器1を構成する全ての部品は、以下で特に記載の無い限り合成樹脂材料で形成されている。なお、トリガー式液体噴出器1を構成する全ての部品を、合成樹脂材料で形成してもよい。
容器体W内に収容される内容液としては、噴霧可能な比較的粘度の低い液体等が挙げられる。
【0019】
ここで、本実施形態では、縦供給筒部12の中心軸線O1に沿う方向を上下方向といい、上下方向に沿って容器体Wの底部側を下側、その反対側を上側という。上下方向から見て、縦供給筒部12に対してノズル部材10が位置している側を前側、その逆側を後側という。上下方向から見て、前後方向に直交する方向を左右方向という。
【0020】
噴出器本体11は、縦供給筒部12と、射出筒部13と、連結部材19と、トリガー部15と、タンク部18と、第1逆止弁20と、第2逆止弁21と、を備えている。
【0021】
縦供給筒部12は、上下方向に延びる多段の筒状に形成されている。縦供給筒部12は、大径部12aと、大径部12aから上方に延びる小径部12bと、を備えている。大径部12aおよび小径部12bはそれぞれ、外筒内に内筒が液密に嵌合された二重筒状に形成されている。大径部12aには、容器体Wの口部に装着される装着筒部16が取り付けられている。小径部12bの下部内には、パイプ17が嵌合されている。パイプ17の下端開口部は、装着筒部16が口部に取り付けられた状態で容器体W内の底部に位置する。
【0022】
射出筒部13は、縦供給筒部12から前方に向けて突出し、内側が縦供給筒部12内に連通している。射出筒部13は、小径部12bの外筒と一体に形成されている。
連結部材19は、射出筒部13に外嵌されている。連結部材19の前端部は、射出筒部13より前方に位置している。連結部材19の前端部に、ノズル部材10が装着されている。
【0023】
トリガー部15は、縦供給筒部12の前方に設けられ、上下方向に延びている。トリガー部15は、上方から下方に向かうに従い前方に向けて延びている。トリガー部15は、射出筒部13の下方に設けられている。トリガー部15の上端部、および射出筒部13の前端部それぞれの前後方向の位置は、互いに同等になっている。トリガー部15は、主板部15aと、左右一対の側板部15bと、を備えている。主板部15aは、表裏面が前後方向を向く板状に形成されている。側板部15bは、表裏面が左右方向を向く板状に形成され、主板部15aにおける左右方向の両端部から各別に後方に向けて突出している。
【0024】
タンク部18は、縦供給筒部12とトリガー部15との間に設けられ、内部が縦供給筒部12内に連通し、弾性変形可能に形成されている。タンク部18は、射出筒部13の下方に設けられている。タンク部18は、前後方向に延びる筒状に形成されるとともに、前端開口がトリガー部15の上部に、後端開口が縦供給筒部12にそれぞれ閉塞されている。
【0025】
以下、前後方向から見て、タンク部18の中心軸線O2回りに沿う方向を周方向、中心軸線O2に交差する方向を径方向という。
【0026】
タンク部18は、円筒状に形成され、径方向の外側から見て前後方向に長い長方形状を呈する。タンク部18は、トリガー部15と一体に形成され、トリガー部15の主板部15aから後方に向けて延びている。タンク部18およびトリガー部15は、全域にわたってオレフィン系樹脂で形成されている。タンク部18の前端部は、一対の側板部15bにより左右方向の両側から覆われている。
【0027】
タンク部18の後部は、縦供給筒部12における前方を向く前面に形成された装着孔12c内に嵌合されている。装着孔12cは、小径部12bの外筒における前方を向く前面に形成されている。タンク部18の後端部は、装着孔12cの内面のうちの前方を向く底面に形成された環状溝12dに液密に嵌合されている。縦供給筒部12に、タンク部18内と縦供給筒部12内とを連通する連通孔12eが形成されている。連通孔12eは、装着孔12cの底面のうち、環状溝12dより径方向の内側に位置する部分に開口している。
【0028】
第1逆止弁20は、縦供給筒部12内に設けられ、タンク部18内の加圧時に、タンク部18内と容器体W内との縦供給筒部12内を通した連通を遮断し、かつタンク部18内の減圧時に、タンク部18内と容器体W内との縦供給筒部12内を通した連通を許容する。
図示の例では、第1逆止弁20は、金属製のボール弁とされ、縦供給筒部12の小径部12bの内周面に形成された、径方向の内側に向けて突出する環状の弁座突起の上面に、上方に向けて離反可能に着座している。弁座突起は、小径部12bの内筒の内周面に形成されている。
【0029】
第2逆止弁21は、縦供給筒部12内に設けられ、タンク部18内の加圧時に、タンク部18内と射出筒部13内との縦供給筒部12内を通した連通を許容し、かつタンク部18内の減圧時に、タンク部18内と射出筒部13内との縦供給筒部12内を通した連通を遮断する。
第2逆止弁21は、第1逆止弁20より上方に位置している。第2逆止弁21は、縦供給筒部12の小径部12bの内周面に形成された、上方を向く環状の弁座段部の上面に、上方に向けて離反可能に着座している。弁座段部は、小径部12bの内筒の内周面に形成されている。第2逆止弁21は、弁座段部の上面から上方に離反したときに、付勢部材21aにより下方に向けて付勢される。なお、第2逆止弁21は設けなくてもよい。
【0030】
そして、本実施形態では、タンク部18のうち、一部は、他の部分より薄肉に形成された変形容易部22となっている。変形容易部22の少なくとも一部は、タンク部18の下端部に設けられている。
変形容易部22は、タンク部18の下端部のうち、縦供給筒部12の装着孔12cから前方に突出した部分における前端部および後端部を除く前後方向の全域にわたって設けられている。
【0031】
変形容易部22は、タンク部18の外周面が窪んで薄肉に形成されている。タンク部18の内周面は、変形容易部22を含む全域にわたって段差無く連なっている。変形容易部22の肉厚は、例えば0.4mm以上0.8mm以下となっている。タンク部18のうち、変形容易部22を除く部分の肉厚は、例えば約1.0mmとなっている。トリガー部15の肉厚は、タンク部18の肉厚より厚くなっている。
なお、変形容易部22は、タンク部18の内周面が窪んで薄肉に形成されてもよく、また、例えば二色成形などによりエラストマなどの軟材質で形成されてもよい。変形容易部22として、タンク部18を射出成形する際にインサート品としたフィルムを採用してもよい。
【0032】
図2に示されるように、変形容易部22は、周方向に沿ってタンク部18の下端部から離れるに従い前後方向の大きさが小さくなっている。変形容易部22における周方向の中央部は、タンク部18の下端部に位置している。変形容易部22における周方向の中央部の前後方向の大きさは、変形容易部22の周方向の大きさより小さくなっている。変形容易部22における周方向の両端部22aは、タンク部18のうち、縦供給筒部12の装着孔12cから前方に突出した部分における前後方向の中央部に位置している。
【0033】
変形容易部22における周方向の両端部22aは、径方向から見た正面視で、周方向のうち、タンク部18の下端部から離れる側に向けて突の曲線状を呈する。図示の例では、変形容易部22における周方向の両端部22aは、左右方向から見て、上方に向けて突の曲線状を呈する。径方向から見た正面視において、変形容易部22における周方向の両端部22aの曲率半径は、1mm以上4mm以下(図示の例では約2mm)となっている。
【0034】
変形容易部22は、タンク部18に、前後方向から見てタンク部18の中心軸線O2を中心に180°以上360°未満の角度範囲にわたって設けられている。
【0035】
変形容易部22の前端縁22bは、図3に示されるように、下方から見て、前方に向けて突の曲線状を呈し、かつ図2に示されるように、左右方向から見て、下方から上方に向かうに従い後方に向けて直線状に延びている。変形容易部22の後端縁22cは、下方から見て、後方に向けて突の曲線状を呈し、かつ左右方向から見て、下方から上方に向かうに従い前方に向けて直線状に延びている。
【0036】
次に、上述したトリガー式液体噴出器1を用いた内容液の噴出方法について説明する。
【0037】
図1の二点鎖線に示すように、トリガー部15のうち、タンク部18から下方に突出した下部を後方に牽引すると、タンク部18の上端部のうち、変形容易部22の周方向の両端部22a同士の間に挟まれた部分が、下方に折れ曲がりながら、変形容易部22に前後方向の圧縮力が加えられ、変形容易部22が、タンク部18の内側に向けて突出するように屈曲変形する。
この際、タンク部18内が加圧されることで、第2逆止弁21が、縦供給筒部12内の弁座段部から上方に離反して、タンク部18内と射出筒部13内との縦供給筒部12内を通した連通を許容し、タンク部18内の内容液が、連通孔12e、縦供給筒部12内、および射出筒部13内を通してノズル部材10の噴出孔10aから噴出される。この噴出時に、タンク部18内の加圧により、第1逆止弁20が、縦供給筒部12内の弁座突起の上面に押し付けられ、タンク部18内と容器体W内との縦供給筒部12内を通した連通を遮断するので、タンク部18内の内容液が、容器体W内に流入することがない。
【0038】
その後、トリガー部15を開放し、タンク部18を復元変形させることで、タンク部18内を減圧させると、第1逆止弁20が、縦供給筒部12内の弁座突起から上方に離反して、タンク部18内と容器体W内との縦供給筒部12内を通した連通を許容し、容器体W内の内容液が、縦供給筒部12内、および連通孔12eを通してタンク部18内に供給される。この際、タンク部18内の減圧により、第2逆止弁21が、縦供給筒部12内の弁座段部の上面に押し付けられ、タンク部18内と射出筒部13内との縦供給筒部12内を通した連通を遮断するので、容器体W内の内容液が射出筒部13内に流入することがない。
【0039】
以上説明したように、本実施形態によるトリガー式液体噴出器1によれば、タンク部18のうち、一部が、他の部分より薄肉に形成された変形容易部22とされ、変形容易部22の少なくとも一部が、タンク部18の下端部に設けられているので、トリガー部15のうち、タンク部18から下方に突出した下部を後方に牽引し、変形容易部22に前後方向の圧縮力を加えると、変形容易部22が、タンク部18の内側に向けて突出するように屈曲変形しやすくなる。これにより、タンク部18内が加圧され、第1逆止弁20が、タンク部18内と容器体W内との縦供給筒部12内を通した連通を遮断した状態とし、タンク部18内の内容液が、ノズル部材10側に向けて流通して噴出孔10aから噴出される。トリガー部15を解放すると、タンク部18の復元変形によってタンク部18内が減圧され、第1逆止弁20が、タンク部18内と容器体W内とを縦供給筒部12内を通して連通させ、容器体W内の内容液が、縦供給筒部12内を通してタンク部18内に供給される。
以上より、従来のように、ピストン等を設ける必要が無く、構造が簡素化され、部品点数を削減することができる。
【0040】
変形容易部22が、周方向に沿ってタンク部18の下端部から離れるに従い前後方向の大きさが小さくなっているので、トリガー部15の下部を後方に牽引したときに、変形容易部22のうち、タンク部18の下端部に位置して前後方向の大きさが最も大きい部分が、タンク部18の内側に向けて突出するように屈曲変形しやすくなる。
【0041】
変形容易部22の周方向の両端部22aが、左右方向から見た正面視で、周方向のうち、タンク部18の下端部から離れる側に向けて突の曲線状を呈するので、トリガー部15の下部を後方に牽引したときに、変形容易部22の周方向の両端部22a、およびその近傍に生ずる負荷を抑えることができる。
【0042】
変形容易部22が、タンク部18の中心軸線O2を中心に180°以上の角度範囲にわたって設けられているので、トリガー部15の下部を後方に牽引したときに、タンク部18を、変形形状を安定させつつ広範囲にわたって弾性変形させることができる。
【0043】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0044】
例えば、変形容易部22の前後方向の大きさは、周方向の全長にわたって同じでもよい。
変形容易部22の周方向の両端部22aは、上方に向けて尖っていてもよい。
変形容易部22は、タンク部18の中心軸線O2を中心に180°未満の角度範囲に設けられてもよい。
【0045】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 トリガー式液体噴出器
10 ノズル部材
10a 噴出孔
11 噴出器本体
12 縦供給筒部
15 トリガー部
18 タンク部
20 第1逆止弁(逆止弁)
22 変形容易部
O2 中心軸線
W 容器体
図1
図2
図3