(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174882
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】ヒートシンク及び/又はクーリングを使用した誘導溶接
(51)【国際特許分類】
B29C 65/04 20060101AFI20241210BHJP
【FI】
B29C65/04
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024137581
(22)【出願日】2024-08-19
(62)【分割の表示】P 2020133515の分割
【原出願日】2020-08-06
(31)【優先権主張番号】16/532,941
(32)【優先日】2019-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ディキアラ, ロバート エー.
(72)【発明者】
【氏名】サマロット リヴェラ, フランシス ジェー.
(72)【発明者】
【氏名】バーンズ, リチャード ダブリュ.
(57)【要約】 (修正有)
【課題】溶接接合部に加熱を集中させる誘導溶接TPC部品のシステム及び方法の提供を提供する。
【解決手段】第1の熱可塑性複合材TPC12を第2の熱可塑性複合材TPC14に誘導溶接する方法において、第1のTPC12と第2のTPC14との間の溶接界面エリアを誘導加熱することと、溶接界面エリアを誘導加熱しつつ、溶接界面エリアと反対側の第1のTPCの表面をヒートシンク20を介して、前記第1のTPC12の前記表面上の前記熱を放散させることにより冷却する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の熱可塑性複合材(TPC)(12)を第2の熱可塑性複合材(TPC)(14)に誘導溶接する方法であって、
前記第1のTPC(12)と前記第2のTPC(14)との間の溶接界面エリア(74)を誘導加熱することと、
前記溶接界面エリア(74)を誘導加熱しつつ、前記溶接界面エリア(74)と反対側の前記第1のTPC(12)の表面(43)を冷却することと
を含む方法。
【請求項2】
前記溶接界面エリア(74)と反対側の前記第1のTPC(12)の前記表面(43)上への載置中に、ヒートシンク(20)を曲げることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のTPC(12)の前記表面(43)を冷却することが、前記ヒートシンク(20)を介して、前記第1のTPC(12)の前記表面(43)上の前記熱を放散させることを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ヒートシンク(20)を曲げることが、任意の数の熱伝導性かつ非導電性のタイル(40)の間の接合部(42)を曲げることを含む、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記溶接界面エリア(74)を誘導加熱しつつ、前記溶接界面エリア(74)と反対側の前記第2のTPC(14)の表面を冷却することを更に含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記溶接界面エリア(74)と反対側の前記第2のTPC(14)の前記表面上への載置中に、第2のヒートシンク(78)を曲げることを更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第2のTPC(14)の前記表面を冷却することが、前記第2のヒートシンク(78)を介して、前記第2のTPC(14)の前記表面上の前記熱を放散することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のTPC(12)の前記表面(43)を冷却することが、冷却剤で前記第1のTPC(12)の前記表面(43)を能動的に冷却することを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
溶接で使用するためのヒートシンク(20)であって、
非導電性かつ熱伝導性の任意の数のタイル(40)と、
前記タイル(40)を単一層にまとめて柔軟に接合する機械的ヒンジ(47)と
を備えるヒートシンク(20)。
【請求項10】
前記機械的ヒンジ(47)が、スロット(67)内に枢動可能に配置されたタブ(65)を含む、請求項9に記載のヒートシンク(20)。
【請求項11】
前記タイル(40)が、側部(68)を有する第1のタイル(40A)を含み、前記タブ(65)が、前記第1のタイル(40A)の前記側部(68)上に配置される、請求項10に記載のヒートシンク(20)。
【請求項12】
前記タイル(40)が、側部(68)を有する第2のタイル(40B)を含み、前記スロット(67)が、前記第2のタイル(40B)の前記側部(68)上に配置される、請求項11に記載のヒートシンク(20)。
【請求項13】
前記溶接が誘導溶接である、請求項9から12のいずれか一項に記載のヒートシンク(20)。
【請求項14】
前記機械的ヒンジ(47)が、前記タイルのインターロッキングを含む、請求項9から13のいずれか一項に記載のヒートシンク(20)。
【請求項15】
第1のタイル(40A)及び第2のタイル(40B)が3つ以上の側部を有しうる、請求項9から14のいずれか一項に記載のヒートシンク(20)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、誘導溶接に関する。より具体的には、本開示は、溶接界面の温度を低下させるために柔軟なヒートシンク及び/又はクーリングを使用した熱可塑性複合材の誘導溶接に関する。
【背景技術】
【0002】
誘導溶接は、熱可塑性複合材(TPC)部品をまとめて溶融又は接合するために使用されうる。TPC部品は、概して、炭素繊維などの非塑性材料で強化される熱可塑性物質を含む。TPC部品は、高い損傷許容性、耐湿性及び耐薬品性を提供し、高温又は湿潤条件で劣化しない。更に、TPC部品は再溶融できるため、他の代替品と比較した場合、修理と寿命末期のリサイクル性にメリットがあり、取り扱いと保管のコストが削減される。
【0003】
誘導溶接は、TPC部品の溶接線に沿って誘導コイルを移動することを含む。誘導コイルは、TPC部品内に配置された本質的に導電性の炭素繊維に渦電流を誘導し、溶接界面で熱可塑性物質を特に溶融する目的で、熱を発生させて熱可塑性物質を溶融させる。TPC部品をまとめて圧縮すると、溶融接着又は溶接接合部が作られる。誘導溶接は、2つ以上の部品が1つの部品になるように、1つの固体片と見なされる溶接接合部を生成する。
【0004】
誘導溶接は効果的だが、誘導コイルは、溶接接合部だけではなくTPC部品全体に熱を発生させる。例えば、溶接接合部よりも誘導コイルに近いTPC部品の部分で、加熱が高まる。したがって、当技術分野では、溶接接合部に加熱を集中させる誘導溶接TPC部品のシステム及び方法が必要とされる。
【発明の概要】
【0005】
1つの例では、第1の熱可塑性複合材(TPC)を第2の熱可塑性複合材(TPC)に誘導溶接する方法が提示される。この方法は、第1のTPCと第2のTPCとの間の溶接界面エリアを誘導加熱することと、溶接界面エリアを誘導加熱しつつ、溶接界面エリアと反対側の第1のTPCの表面を冷却することとを含む。
【0006】
別の例では、誘導溶接で使用するヒートシンクが提供される。ヒートシンクは、非導電性かつ熱伝導性の任意の数のタイルと、タイルを単一層にまとめて柔軟に接合する機械的ヒンジとを備える。
【0007】
別の例では、第2の熱可塑性複合材(TPC)で誘導溶接されている第1の熱可塑性複合材(TPC)の表面から放熱する方法が提示される。この方法は、溶接界面エリアの上方への載置中に、第1のTPCの表面に一致するようにヒートシンクを曲げることと、第1のTPCと第2のTPCとの間の溶接界面エリアに誘導加熱を施すことと、ヒートシンクを介して第1のTPCの表面から熱を奪うこととを含む。
【0008】
本開示の装置及び方法は、以下の条項でも言及される。以下の条項は、特許請求の範囲と混同すべきではない。
【0009】
条項1. 第1の熱可塑性複合材(TPC)(12)を第2の熱可塑性複合材(TPC)(14)に誘導溶接する方法であって、
第1のTPC(12)と第2のTPC(14)との間の溶接界面エリア(74)を誘導加熱することと、
溶接界面エリア(74)を誘導加熱しつつ、溶接界面エリア(74)と反対側の前記第1のTPC(12)の表面(43)を冷却することと
を含む方法。
【0010】
条項2. 前記溶接界面エリア(74)と反対側の第1のTPC(12)の表面(43)上への載置中に、ヒートシンク(20)を曲げることを更に含む、条項1に記載の方法。
【0011】
条項3. 第1のTPC(12)の表面(43)を冷却することが、ヒートシンク(20)を介して、第1のTPC(12)の表面(43)上の熱を放散させることを含む、条項2に記載の方法。
【0012】
条項4. ヒートシンク(20)を曲げることが、任意の数の熱伝導性かつ非導電性のタイル(40)の間の接合部(42)を曲げることを含む、条項1又は2のいずれか一項に記載の方法。
【0013】
条項5. 溶接界面エリア(74)を誘導加熱しつつ、溶接界面エリア(74)の反対側の第2のTPC(14)の表面を冷却することを更に含む、条項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【0014】
条項6. 溶接界面エリア(74)と反対側の第2のTPC(14)の前記表面上への載置中に、第2のヒートシンク(78)を曲げることを更に含む、条項5に記載の方法。
【0015】
条項7. 第2のTPC(14)の表面を冷却することが、第2のヒートシンク(78)を介して、第2のTPC(14)の表面上の熱を放散することを含む、条項6に記載の方法。
【0016】
条項8. 第1のTPC(12)の表面(43)を冷却することが、冷却剤で第1のTPC(12)の表面(43)を能動的に冷却することを含む、条項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【0017】
条項9. 誘導溶接で使用するためのヒートシンク(20)であって、
非導電性かつ熱伝導性の任意の数のタイル(40)と、
タイル(40)を単一層にまとめて柔軟に接合する機械的ヒンジ(47)と
を備えるヒートシンク(20)。
【0018】
条項10. 機械的ヒンジ(47)が、スロット(67)内に枢動可能に配置されたタブ(65)を含む、条項9に記載のヒートシンク(20)。
【0019】
条項11. タイル(40)が、側部(68)を有する第1のタイル(40A)を含み、タブ(65)が、第1のタイル(40A)の側部(68)上に配置される、条項10に記載のヒートシンク(20)。
【0020】
条項12. タイル(40)が、側部(68)を有する第2のタイル(40B)を含み、スロット(67)が、第2のタイル(40B)の側部(68)上に配置される、条項11に記載のヒートシンク(20)。
【0021】
条項13. 溶接が誘導溶接である、条項9から12のいずれか一項に記載のヒートシンク(20)。
【0022】
条項14. 機械的ヒンジ(47)が、タイルのインターロッキングを含む、条項9から13のいずれか一項に記載のヒートシンク(20)。
【0023】
条項15. 第1のタイル40A及び第2のタイル40Bが3つ以上の側部を含みうる、条項9から14のいずれか一項に記載のヒートシンク(20)。
【0024】
条項16. 溶接界面エリア(74)で第2の熱可塑性複合材(TPC)(14)に誘導溶接されている第1の熱可塑性複合材(TPC)(12)の表面(43)から放熱する方法(80)であって、
第1のTPC(12)の表面(43)に一致するように、溶接界面エリア(74)上への載置中に、ヒートシンク(20)を曲げることと、
第1のTPCと第2のTPCとの間の溶接界面エリア(74)に誘導加熱を施すことと、
ヒートシンク(20)を介して第1のTPC(12)の表面(43)から放熱することと
を含む方法。
【0025】
条項17. ヒートシンク(20)を曲げることが、熱伝導性かつ非導電性のタイル(40)の間の接合部(42)を曲げることを含む、条項16に記載の方法。
【0026】
条項18. 第2のTPC(14)の表面に一致するように、載置中に第2のヒートシンク(78)を曲げることを更に含む、条項16又は17に記載の方法。
【0027】
条項19. 第2のヒートシンク(78)を介して第2のTPC(14)の表面から)放熱することを更に含む、条項18に記載の方法。
【0028】
条項20. ヒートシンク(20)を曲げることが、ヒートシンク(20)を、第1のTPC(12)の輪郭形成された表面(43)に一致させることを含む、条項16から19のいずれか一項に記載の方法。
【0029】
条項21. 誘導溶接で使用するためのヒートシンクであって、
非導電性かつ熱伝導性の任意の数のタイルと、
タイルをまとめて柔軟に接合する接合部と、
冷却剤を伝達するためのヒートシンクを通って形成された流体経路と
を備えるヒートシンク。
【0030】
条項22. 流体経路が、タイルの各々と接合部に形成された流体チャネルから構成される、条項21に記載のヒートシンク。
【0031】
条項23. 流体チャネルが直列にまとめて接続され、ヒートシンクを通して流体経路を形成する、条項22に記載のヒートシンク。
【0032】
条項24. 個々のタイルの流体チャネルが互いに平行である、条項22又は23に記載のヒートシンク。
【0033】
条項25. タイルの流体チャネルが、タイルの一方からタイルの他の反対側に延びる、条項22から24のいずれか一項に記載のヒートシンク。
【0034】
条項26. 接合部がタイルの間に配置される、条項21から25のいずれか一項に記載のヒートシンク。
【0035】
条項27. 流体経路が、接合部に形成された流体チャネルから構成される、条項21から26のいずれか一項に記載のヒートシンク。
【0036】
条項28. 接合部が柔軟な接着剤を含む、条項21から27のいずれか一項に記載のヒートシンク。
【0037】
条項29. 柔軟な接着剤がシリコーンから構成される、条項28に記載のヒートシンク。
【0038】
条項30. 流体チャネルが楕円形の断面を有する、条項21から29のいずれか一項に記載のヒートシンク。
【0039】
条項31. タイルが、約25mm2/秒より大きい熱拡散率を有する、条項21から30のいずれか一項に記載のヒートシンク。
【0040】
条項32. 流体経路に接続されたマニホールドを更に含む、条項21から31のいずれか一項に記載のヒートシンク。
【0041】
条項33. 条項21から32のいずれか一項に記載のヒートシンクを使用して航空機の一部を製造すること。
【0042】
条項34. 第1の炭素繊維熱可塑性複合材(TPC)を第2の炭素繊維熱可塑性複合材(TPC)に誘導溶接する方法であって、
第1のTPCと第2のTPCとの間に、溶接界面エリアを形成することと、
第1のTPCの表面上にヒートシンクを曲げることと、
柔軟なヒートシンクに隣接して位置する誘導コイルで、溶接界面エリアを誘導加熱することと、
ヒートシンクから、ヒートシンクを通ってポンプで送られる冷却剤に熱を伝達することによって、ヒートシンクにより吸収された熱を放散することと
を含む方法。
【0043】
条項35. ヒートシンクを通して、高温で冷却剤をポンプで送ることによって、溶接界面の冷却速度を制御することを更に含む、条項34に記載の方法。
【0044】
条項36. 高温で冷却剤をポンプで送ることが、溶接界面エリアの誘導加熱中に、第1のTPCからの熱吸収を介して、華氏約400度まで冷却剤を加熱することを含む、条項35に記載の方法。
【0045】
条項37. 溶接界面エリアを誘導加熱しつつ、第1のTPC及び第2のTPC上に圧密圧力を印加することを更に含む、条項34から36のいずれか一項に記載の方法。
【0046】
条項38. センサフィードバックに基づき、誘導加熱をリアルタイムで調整することを更に含む、条項34から37のいずれか一項に記載の方法。
【0047】
条項39. 溶接線に沿って溶接界面エリアを溶接することを更に含む、条項34から38のいずれか一項に記載の方法。
【0048】
条項40. ヒートシンクを介して、第1のTPCの表面を冷却することを更に含む、条項34から39のいずれか一項に記載の方法。
【0049】
条項41. 溶接界面エリアで、第1の熱可塑性複合材(TPC)を第2の熱可塑性複合材(TPC)に誘導溶接するためのシステムであって、
接合部によってまとめて柔軟に接合された任意の数のタイルと、冷却剤を伝達するためにタイルと接合部を通って形成された流体経路とを有する、第1のTPCの上に配置されるヒートシンクと、
第1のTPCを第2のTPCに誘導溶接するように構成され、かつヒートシンクに隣接して配置された誘導コイルと
を備えるシステム。
【0050】
条項42. ヒートシンクを通して冷却剤をポンプで送るために、ヒートシンクに接続されたポンプを更に備える、条項41に記載のシステム。
【0051】
条項43. ヒートシンクに接続され、かつ流体経路に流体連通しているマニホールドを更に含む、条項41又は42に記載のシステム。
【0052】
条項44. 流体経路が溶接界面エリアに平行である、条項41から43のいずれか一項に記載のシステム。
【0053】
条項45. 誘導溶接で使用するためのヒートシンクであって、
柔軟な裏材と、
柔軟な裏材の上に単一層で配置された、非導電性かつ熱伝導性の任意の数のタイルと
を備えるヒートシンク。
【0054】
条項46. タイルが、柔軟な裏材の上に間隔を空けて配置され、それらの間に空隙を形成する、条項45に記載のヒートシンク。
【0055】
条項47. 空隙と位置合わせされ、かつガスを伝達するように構成された穴を有するチューブを更に備える、条項46に記載のヒートシンク。
【0056】
条項48. チューブが柔軟な裏材に接着される、条項47に記載のヒートシンク。
【0057】
条項49. チューブが、ヒートシンクの長手方向のエッジに沿って配置される、条項48に記載のヒートシンク。
【0058】
条項50. 柔軟な裏材が織り繊維から構成される、条項45から49のいずれか一項に記載のヒートシンク。
【0059】
条項51. 織り繊維が繊維ガラス又は酸化物セラミックを含む、条項50に記載のヒートシンク。
【0060】
条項52. 柔軟な裏材にポリテトラフルオロエチレンが注入される、条項45から51のいずれか一項に記載のヒートシンク。
【0061】
条項53. タイルが間隔を空けて配置される、条項45から52のいずれか一項に記載のヒートシンク。
【0062】
条項54. タイルが、接着剤によって柔軟な裏材に付着する、条項45から53のいずれか一項に記載のヒートシンク。
【0063】
条項55. 接着剤がタイルの間に配置される、条項54に記載のヒートシンク。
【0064】
条項56. 接着剤がシリコーン感圧接着剤である、条項54又は55に記載のヒートシンク。
【0065】
条項57. 接着剤が、シリコーン、PTFE、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、高性能ポリアミド(HPPA)、ポリアミド(PI)、ポリアミドミド(PAI)、ポリケトン、ポリスルホン誘導体-a、フルオロポリマ、ポリエーテルミド(PEI)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレニサルファイド、シンジオタクチックポリスチレン、及びポリシクロヘキサンジメチルテレフタレート(PCT)からなる群から選択される、条項54から56のいずれか一項に記載のヒートシンク。
【0066】
条項58. 条項54から57のいずれか一項に記載のヒートシンク、並び、液体樹脂及び粉末硬化剤を含む熱硬化されるエポキシの2成分システム。
【0067】
条項59. 第1の炭素繊維熱可塑性複合材(TPC)を第2の炭素繊維熱可塑性複合材(TPC)に誘導溶接する方法であって、
第1のTPCと第2のTPCとの間に、溶接界面エリアを形成することと、
溶接界面エリア上方の第1のTPCの表面上にヒートシンクを載置することと、
溶接界面エリアを誘導加熱することと、
ヒートシンクを通してガスを移動させることと、
ヒートシンクからガスに熱を伝達することによって、ヒートシンクにより吸収された熱を放散することと
を含む方法。
【0068】
条項60. タイルの間の空隙を通ってヒートシンクにガスを移動させることを更に含む、条項59に記載の方法。
【0069】
条項61. 溶接界面エリア上方の第1のTPCの表面上にヒートシンクを載置することが、ヒートシンクを表面上に曲げることを含む、条項59又は60に記載の方法。
【0070】
条項62. 溶接界面エリアで、第1の熱可塑性複合材(TPC)を第2の熱可塑性複合材(TPC)に誘導溶接するためのシステムであって、
裏材によってまとめて柔軟に接合された任意の数のタイルと、タイルの間に配置された空隙とを含む、第1のTPC上に配置されたヒートシンクと、
第1のTPCを第2のTPCに誘導溶接するように構成され、かつヒートシンクに隣接して配置された誘導コイルと
を備えるシステム。
【0071】
条項63. ヒートシンクの空隙を通してガスを移動させるためにヒートシンクに接続された加圧ガス源を更に備える、条項62に記載のシステム。
【0072】
条項64. 誘導溶接の間、ヒートシンク上に圧密圧力を印加するための、ヒートシンク上に配置されたヒートシンクホルダを更に備える、条項62又は63に記載のシステム。
【0073】
上述の特徴、機能、及び利点は、様々な態様において単独で実現することができ、又は、別の態様において組み合わせることができるが、これらの詳細は、以下の説明及び添付図面を参照することによって確認することができる。
【0074】
本明細書に記載の図面は、例示のみを目的としており、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【
図1】例示的態様による誘導溶接のためのシステムの斜視図である。
【
図1A】例示的態様による誘導溶接のためのシステムの変形例の斜視図である。
【
図2】例示的態様による、
図1の矢印2-2によって示されるヒートシンクの拡大部分である。
【
図2A】例示的態様による、例示的曲面上に示されたヒートシンクの斜視図である。
【
図3】例示的態様による、
図2のヒートシンクを製造するために使用されるヒートシンク製造システムの斜視図である。
【
図4】例示的態様による、
図3のヒートシンク製造システムを使用した
図2のヒートシンク製造方法を示す例示的工程フロー図である。
【
図5】例示的態様による、機械的ヒンジを有するヒートシンクの一部の例示的斜視図である。
【
図5A】例示的態様による、
図5の矢印5A-5Aの方向に見られるヒートシンクの断面である。
【
図6】例示的態様による、
図1の矢印6-6の方向に見られるシステムのレイアップの拡大された部分断面図である。
【
図7】例示的態様による、誘導溶接方法を示す例示的工程フロー図である。
【
図8】例示的態様による、
図1の矢印6-6の方向に見られるシステムの別のレイアップの拡大された部分断面図である。
【
図9】例示的態様による、
図1の矢印6-6の方向に見られるシステムの別のレイアップの拡大された部分断面図である。
【
図10】例示的態様による、
図1の矢印6-6の方向に見られるシステムの別のレイアップの拡大された部分断面図である。
【
図11】例示的態様による、
図1の矢印6-6の方向に見られるシステムの別のレイアップの拡大された部分断面図である。
【
図12】例示的態様による、
図1の矢印6-6の方向に見られるシステムの別のレイアップの拡大された部分断面図である。
【
図13】例示的態様による誘導溶接の例示的工程フロー図である。
【
図14】例示的態様による誘導溶接の別の例示的工程フロー図である。
【
図15】例示的態様による、
図1の矢印6-6の方向に見られるシステムの別のレイアップの拡大された部分断面図である。
【
図16】例示的態様による、
図1の矢印6-6の方向に見られるシステムの別のレイアップの拡大された部分断面図である。
【
図17】例示的態様による誘導溶接の例示的工程フロー図である。
【
図18】例示的態様による誘導溶接の別の例示的工程フロー図である。
【
図19】例示的態様による、液体冷却を含むヒートシンクの別の例の斜視図である。
【
図20】例示的態様による、
図3のヒートシンク製造システムを使用した
図19の液体冷却を含むヒートシンク製造方法を示す例示的工程フロー図である。
【
図21】例示的態様による、
図19の液体冷却を含むヒートシンクを製造するために使用されるヒートシンク製造システムの斜視図である。
【
図22】例示的態様による、液体冷却を含むヒートシンクを使用した
図1の矢印6-6の方向に見られるシステムの別のレイアップの拡大断面図である。
【
図23】例示的態様による、液体冷却を含むヒートシンクの別の例の斜視図である。
【
図24】例示的態様による、液体冷却を含むヒートシンクの別の例の斜視図である。
【
図25】例示的態様による、誘導溶接中に使用されるヒートシンクの別の例の上面図である。
【
図26】例示的態様による、
図25の矢印26-26の方向に見られるヒートシンクの断面図である。
【
図27】例示的態様による、
図25に示されるヒートシンクの変形例の断面図である。
【
図28】例示的態様による、
図25に示されるヒートシンクを使用した誘導溶接のためのシステムの概略図である。
【
図29】別の例示的態様による、
図25に示されるヒートシンクを使用した誘導溶接のためのシステムの概略図である。
【
図30】航空機の製造及び保守方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0076】
以下の説明は、本質的に単なる例示であり、本開示、用途又は使用を限定するものではない。
【0077】
図1を参照すると、第1の熱可塑性複合材(TPC)12を第2のTPC14に誘導溶接するためのシステム10の概略図が示される。システム10は、以下に記載されるように、航空機の製造及び保守の文脈で用いられうる。例えば、システム10は、内装製造、吸音パネル、航空機のシステムインテグレーション、機体製造、航空機の定期的な整備及び保守を含む、航空機のコンポーネント及びサブアセンブリの製造で使用されうる。しかしながら、システム10は、さまざまな他の業界(ほんの数例を挙げると、自動車業界、建設業界、スポーツ用品業界、および一般輸送業界)で使用されうる。第1のTPC12及び第2のTPC14は、平らなシートとして図示されている。しかしながら、第1のTPC12及び第2のTPC14は、
図2に関連して以下に記載されるように、本開示の範囲を逸脱しなければ、輪郭形成され、曲げられ、又は非平面であってもよいと理解されたい。更に、第1のTPC12及び第2のTPC14は、様々な導電性材料で強化された様々な熱可塑性物質で構成されうる。1つの例では、熱可塑性物質は、半結晶性熱可塑性物質及び非結晶性熱可塑性物質からなる群から選択される。半結晶性熱可塑性物質は、ポリフェニレンサルファルド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)及びポリアリールケトン(PAEK)を含みうる。非結晶性熱可塑性物質は、ポリエーテルイミド(PEI)を含みうる。半結晶性熱可塑性物質は、従来の熱可塑性物質と比較して良好な機械的特性を含む高い圧密温度を有している。非結晶性熱可塑性物質は、従来の熱可塑性物質と比較して良好な伸長性、靱性及び耐衝撃性を有する材料を含み、加熱すると徐々に軟化していく。半結晶性熱可塑性物質は、まとめて結合され、結晶領域が溶解し始める際に加熱すると鋭い溶融点を示す、しっかりと折りたたまれた鎖(結晶子)の領域を含む。ポリマーがその溶融点に近づくと、結晶格子が崩壊し、分子が自由に回転し移動する。ゆっくりと冷却する間に、半結晶性熱可塑性物質が核となり、結晶領域を成長させ、アモルファス構造に比べて強度、剛性、耐溶剤性、温度安定性が向上する。半結晶性熱可塑性物質は、あまりにも急速に冷却されると、非結晶性構造を形成することがある。
【0078】
別の例では、導電性材料は炭素繊維を含む。炭素繊維は、順次、誘導溶接中に加熱の程度に影響する様々な構成(図示せず)で熱可塑性物質内に配向されうる。例えば、炭素繊維は、ほんの少し例を挙げれば、0度及び90度、+/-45度、又は+/-60度で網目のパターンに配向されうる。炭素繊維は、一方向であっても一緒に織り込まれていてもよい。そのような構成の各々が、所与の磁場下で、第1のTPC12及び第2のTPC14の加熱の程度に影響する。2つのTPC部品が図示されているが、任意の数の積層されたTPC部品が用いられてもよいと理解されたい。
【0079】
システム10は、概して、ツーリングベース16、誘導溶接機18、及びヒートシンク20を含む。ツーリングベース16は、第1のTPC12及び第2のTPC14をその上部で支持する。提示される例では、ツーリングベース16は平らである。しかしながら、ツーリングベース16は、第1のTPC12及び第2のTPC14を支持する様々な他の形状を有しうると認識すべきである。
【0080】
誘導溶接機18は、第1のTPC12及び第2のTPC14を誘導加熱するように構成され、本開示の範囲を逸脱せずに、様々な形態をとりうる。提示される例では、誘導溶接機18は、ロボットアーム24に装着された誘導コイル22を含む。誘導コイル22はまた、任意の他の適したロボットマニピュレータに装着されてもよい。別の態様では、誘導コイル22は、固定されてもよく、第1のTPC12及び第2のTPC14が誘導コイル22に対して移動する。したがって、誘導コイル22は、第1のTPC12及び第2のTPC14に対して移動し、第1のTPC12及び第2のTPC14は、誘導コイル22に対して移動しうる。別の例では、誘導コイル22と第1のTPC12及び第2のTPC14の両方が移動してもよい。誘導コイル22は磁場25を生成し、第1のTPC12及び第2のTPC14の炭素繊維に過電流を誘発する。ロボットアーム24は、誘導コイル22を、溶接線26に沿って第1の方向26Aに移動する。したがって、溶接線26は、まとめて溶接される第1のTPC12及び第2のTPC14の面積である。溶接線26は、真っ直ぐでも、湾曲していても、任意の他のパターンであってもよい。第1のローラー28A及び第2のローラー28Bは、誘導コイル22に隣接して配置される。第1のローラー28Aは、誘導コイル22の前方22Aに配置される。第2のローラー28Bは、誘導コイル22の後方22Bに配置される。第1のローラー28A及び第2のローラー28Bは、以下に記載されるように、誘導溶接プロセス中に、圧密圧力を第1のTPC12及び第2のTPC14上に印加する。提示される例では、第1のローラー28A及び第2のローラー28Bは、誘導コイル22に接続されるが、第1のローラー28A及び第2のローラー28Bは、本開示の範囲から逸脱しなければ、分離されてもよいと理解すべきである。第1のローラー28A及び第2のローラー28Bが、圧密圧力を第1のTPC12上に維持しつつ、輪郭形成された表面上に移動できるように、ヒンジで固定されうる。加えて、誘導コイル22が第1の方向26A又は反対方向に移動する際には、誘導溶接中又は誘導溶接後に、圧密圧力が印加されうる。加えて、
図1Aを参照して以下に記載するように、圧密圧力を印加するために他の方法が用いられてもよい。
【0081】
誘導溶接機18は、コントローラ30と電気通信している。コントローラ30は、誘導コイル22に供給される電流の量を制御するために動作可能であり、誘導コイル22は順次、磁場の強度を制御し、第1のTPC12及び第2のTPC14を加熱する。コントローラ30はまた、ロボットアーム24又は誘導コイル22の溶接線26に対する移動を制御するよう動作可能である。コントローラ30は、プログラムされたデジタルコンピュータ又はプロセッサ32、制御理論、ソフトウェアアプリケーション、命令、コンピュータコード、データ、ルックアップテーブル等のデータを記憶するために使用されるメモリ又は非一過性のコンピュータ可読媒体34、及び入力/出力ポート36を有する、非一般的電子制御装置である。非一過性のコンピュータ可読媒体34は、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ハードディスクドライブ、コンパクトディスク(CD)、デジタルビデオディスク(DVD)、又は任意の他のタイプのメモリといった、コンピュータによりアクセス可能な任意の種類の媒体を含む。一時的な電気信号若しくはその他の信号を転送する有線、無線、光、又はその他の通信リンクは、「非一過性の」コンピュータ可読媒体から除外される。非一過性のコンピュータ可読媒体は、書き換え可能な光ディスク又は消去可能なメモリデバイスなど、データを永続的に保存できる媒体、及びデータを保存して後で上書きできる媒体が含まれる。コンピュータコードは、ソースコード、オブジェクトコード、実行可能コードを含む任意の種類のプログラムコードを含む。プロセッサ32は、コード又は命令を実行するように構成される。
【0082】
システム10は、コントローラ30と電子通信している任意の数のセンサー38を更に含みうる。センサー38は、コントローラ30にリアルタイムのフィードバックを提供するために、誘導溶接中に第1のTPC12及び/又は第2のTPC14の状態を検出又は感知するように構成される。例えば、センサー38は、第1のTPC12及び/又は第2のTPC14の温度を検出するように構成された赤外線温度センサーでありうる。代替的に、又は追加的には、センサー38は、誘導コイル22によって生成された磁場25の強度を検出するように構成された電磁場センサーであってもよい。センサー38は、以下に記載されるように、誘導コイル22の移動のフィードバック制御においてコントローラ30によって使用されてもよい。
【0083】
図1Aは、本開示の原理による、システム10の代替的構成を示す。
図1Aに示す構成は、
図1の較正に類似するが、ローラー28A及び28Bは除去されており、第2のTPC14は、「L」字型断面を有するように示されている。第2のTPC14及び/又は第1のTPC12に対する他の可能な断面は、少なくとも「J」字型、「I」字型、「T」字型、「Z」字型及び/又は「ハット」型の断面を含む。圧密圧力は、溶接線26に沿って第2のTPC14の下に配置されたベロー39によって供給される。第2のTPC14に圧密圧力を加えるためのベロー39の拡張は、コントローラ30によって制御されうる。
【0084】
図1に戻り、ヒートシンク20は、第1のTPC12から熱を吸収し放散するように構成される。ヒートシンク20は、以下に記載されるように、第1のTPC12と誘導コイル22との間に配置される。
図2は、
図1のヒートシンク20の拡大部分を示す。
図2を参照すると、ヒートシンク20は、接合部42によって接続された任意の数のタイル40を含む。接合部42は、タイル40の間に配置される。タイル40は、非導電性かつ熱伝導性材料から作られる。したがって、誘導コイル22(
図1)下にある場合、タイル40は、磁場25によって加熱されないが、第1のTPC12からの熱を吸収する。1つの例では、タイル40は、約25mm
2/秒より大きい熱拡散率を有し、好ましくは約70mm
2/秒より大きい熱拡散率を有する。この文脈では、「約」という用語が当業者に知られている。代替的には、「約」という用語は、±5mm
2/秒を意味するとも読める。別の例では、タイル40は、約75W/mKより大きい熱伝導率を有し、好ましくは約150W/mKより大きい熱伝導率を有する。この文脈では、「約」という用語が当業者に知られている。代替的には、「約」という用語は、±10W/mKを意味するとも読める。別の例では、タイル40は、約500J/K/kgより大きい比熱容量を有し、好ましくは約700J/K/kgより大きい比熱容量を有する。この文脈では、「約」という用語が当業者に知られている。代替的には、「約」という用語は、±50J/K/kgを意味するとも読める。1つの例では、タイル40は、窒化アルミニウムから構成される。第1のTPC12を誘導溶接する間、誘導コイル22が、タイル40内の炭素と結合せず、意図せずにタイル40を確実に加熱するために、窒化アルミニウムの材料マトリックス中に含まれる残留炭素は少ない。別の例では、タイル40は酸化ベリリウムから構成される。別の例では、タイル40は、立方晶窒化ホウ素(c-BN)又は六方晶窒化ホウ素(h-BN)から構成される。
【0085】
接合部42は、タイル40をまとめて柔軟に保持し、ヒートシンク20に柔軟性を提供し、よって、ヒートシンク20が第1のTPC12の輪郭に一致できるようにする。例えば、
図2Aは、第1のTPC12の輪郭形成された表面43上のヒートシンク20を示す。提示される例では、輪郭形成された表面43は湾曲している。ヒートシンク20は、接合部42で枢動し、タイル40と輪郭形成された表面43との間の接触を維持する。接合部42は、
図2及び
図2Aに示す柔軟性接着剤45、又は
図5に示す機械的ヒンジ47のどちらかから構成されうる。
図2を参照すると、柔軟性接着剤45は、ヒートシンク20に柔軟性を提供し、誘導溶接中にタイル40を加熱している間に溶融することはない。柔軟性接着剤45の最小量は、好ましくは、タイル40をまとめて保持するために使用され、よって、ヒートシンク20の放熱能力が増加する。したがって、1つの例では、柔軟性接着剤45は、空気中で華氏約570度を上回る長期劣化温度を有している。この文脈では、「約」という用語が当業者に知られている。代替的には、「約」という用語は、華氏±25度を意味するとも読める。別の例では、柔軟性接着剤45は、120%と670%との間の伸長を有している。別の例では、柔軟性接着剤45は、690psiと1035psiとの間の引張強度を有している。別の例では、柔軟性接着剤45は、31lb/inと190lb/inとの間の引裂強度(型B)を有している。したがって、1つの例では、柔軟性接着剤45はシリコーンから構成される。適したシリコーンの例は、ダウコーニングによる3145RTVである。しかしながら、他のシリコーンが用いられてもよい。
【0086】
タイル40は、寄木細工又は幾何学のパターンとして単一の層内に配置されている。したがって、タイル40の各々が、それらの間に間隙44を画定し、接合部42が間隙44内に配置される。第1のTPC12の輪郭形成された表面43(
図2A)の輪郭への一致を促すのを助けるように、タイル40が構成され、サイズ決定され、成形される。1つの例では、間隙44は、約0.005インチと約0.1インチとの間、好ましくは約0.040インチの幅49を有している。この文脈では、「約」という用語が当業者に知られている。代替的には、「約」という用語は、±0.005インチを意味するとも読める。タイル40は、接合部42に対するタイル40の表面積を最大化する正方形として図示されているが、本開示の範囲から逸脱することなく、様々な他の形状を有することがある。例えば、タイル40は、真っ直ぐな又は曲がったエッジを有し、3つ以上の側部を有し、第1のTPC12の輪郭及び/又は溶接の形状への一致を支援しうる。ヒートシンク20は、好ましくは、溶接線26(
図1)を、又は本例では、第1のTPC12(
図1)の全体を少なくとも覆うようにサイズ決定される。
【0087】
図3は、ヒートシンク20(
図2)を製造するために使用されるヒートシンク製造システム50を示す。ヒートシンク製造システム50は、下地材料54を支持するベースプレート52を含む。1つの例では、下地材料54は、ベースプレート52に付着する両面テープである。別の例では、下地材料54は、グラスクロステープである。更に別の例では、下地材料54は、グラスクロスの底層を有する接着剤がスプレーされたテフロンコーティングの繊維ガラスである。この構成では、下地材料54の両側で硬化が発生する。下地材料54上に、治具58を有するフレーム56が配置される。1つの態様では、治具58は、まとめて織り込まれた個々のワイヤ59から構成される。治具58は、ヒートシンク20に間隙44(
図2)を形成するようにサイズ決定される。フレーム56及び治具58が下地材料54から除去される。
【0088】
図4は、
図3のヒートシンク製造システム50を使用して、
図2のヒートシンク20を形成するための方法60のフローチャートを示す。方法60は、タイル40が、下地材料54上に配置される前に、下塗り剤によって下塗りされうるブロック60Aで開始する。1つの例では、下塗り剤はシリコーン下塗り剤である。ブロック60Bで、タイル40は、治具58内のパターンに配置される。例えば、タイル40は、治具58間の下地材料54上に載置される。治具58がタイル40を間隔を空けて配置する間、下地材料54はタイル40を適所に保持する。したがって、パターンは治具58によって画定される。ブロック60Bで、タイル40がいったん載置されると、ブロック60Cで、フレーム56及び治具58が除去され、間隙44がタイル40間に残る。
【0089】
次に、ブロック60Dで、タイル40は、接合部42にまとめて柔軟に接合される。提示される例では、接合部42は、タイル40間の間隙44内に適用される。ブロック60Eで、接合部42は次いで、好ましくは、一定時間にわたって硬化される。いったん硬化されると、組み立てられたヒートシンク20は、ブロック60Fで、下地材料54から除去されうる。
【0090】
図5は、タイル40に柔軟に接続する機械的ヒンジ47の例を用いるヒートシンク20の一部を示す。機械的ヒンジ47は、タイルのインターロッキング47Aを含む。第1のタイル40Aは、第1のタイル40Aの任意の数の側部66から延びるタブ65を含む。タブ65は、第1のタイル40Aと一体的に形成されてもよく、又は第1のタイル40Aに接着されてもよい。隣接する第2のタイル40Bは、第2のタイル40Bの任意の数の側部68に配置されたスロット67を含む。上記のように、第1のタイル40A及び第2のタイル40Bは、本開示の範囲から逸脱することなく、3つ以上の側部を有しうると理解されたい。
図5Aを参照すると、タブ65をスロット67に挿入することによって、第1のタイル40Aが第2のタイル40Bに接続される。タブ65及びスロット67は、第1のタイル40Aが第2のタイル40Bに対して枢動できるように構成される。例えば、第1のタイル40Aは、第2のタイル40Bに対して+/-θ枢動しうる。1つの例では、柔軟性接着剤45(
図2)は、機械的ヒンジ47内に配置されうる。タイル40A、40Bは、単一の層内に配置され、寄木細工のパターンを形成する。よって、任意の数の第1のタイル40Aを任意の数の第2のタイル40Bに交互に接続することによって、ヒートシンク20は任意のサイズ又は形状に製造されうる。
【0091】
図1に戻り、システム10は、真空バッグ70を更に含みうる。真空バッグ70は、真空源72に接続される。真空源72は、真空を真空バッグ70に印加するように構成される。真空源72は、好ましくは、コントローラ30によって制御される。第1のTPC12、第2のTPC14、及びヒートシンク20はすべて、真空バッグ70内に配置される。空気を真空バッグ70から除去することによって、ヒートシンク20の接合部42(
図2)の柔軟性接着剤45は、劣化前に空気/酸素のある環境よりも高い温度に耐えることができる。代替的には、真空源72は、窒素などの不活性ガスで真空バッグ70を満たすポンプ(図示せず)で置換されてもよい。不活性ガスは、真空バッグ70内の空気を移しヒートシンク20の接合部42(
図2)の柔軟性接着剤45が、劣化前に空気/酸素のある環境よりも高い温度に耐えられるようにする。真空バッグ70はまた、真空圧縮を介して、第1のTPC12及び第2のTPC14上に圧密圧力を印加するように構成される。
【0092】
図6は、誘導コイル22の側面図を含む、ツーリングベース16上の第1のTPC12、第2のTPC14、ヒートシンク20、及び真空バッグ70を図示するレイアップの断面図を示す。第1のTPC12は、第2のTPC14の頂部に配置される。溶接界面エリア74は、第1のTPC12と第2のTPC14との間の溶接線26(
図1)に沿って画定される。ヒートシンク20は、誘導コイル22と第1のTPC12との間の第1のTPC12の頂部に配置される。誘導コイル22は、第1のTPC12から距離「d」である。1つの例では、距離dは約8mmである。ヒートシンク20は、距離dより小さい厚さ「t」を有している。1つの例では、厚さtは約4mmである。更に別の例では、ヒートシンク20は、第1のTPC12上に載置される前に冷却される。第1のローラー28A及び第2のローラー28Bは、真空バッグ70及びヒートシンク20を通して第1のTPC12上に圧密圧力を印加し、第1のTPC12を第2のTPC14の上に圧縮する。1つの例では、第1のローラー28A及び第2のローラー28Bは、誘導コイル22を、第1のTPC12の上方に一定の高さで維持する。
【0093】
誘導溶接中に、コントローラ30(
図1)は、誘導コイル22を通る電流に磁場25を生成するように命令する。磁場25は、第1のTPC12及び第2のTPC14内の炭素繊維を加熱する。誘導コイル22により接近している第1のTPC12の部分76は、溶接界面エリア74でよりも大幅に加熱される。しかしながら、ヒートシンク20は、第1のTPC12の部分76内の熱を吸収し放散する。したがって、誘導溶接機18によって生成された熱は、溶接界面エリア74に集中する。溶接界面エリア74の熱可塑性物質が材料の溶融点又は圧密温度を超えるまで加熱されると、第1のローラー28A及び第2のローラー28Bは、第1のTPC12に圧密圧力を及ぼし、溶接界面エリア74で第1のTPC12を第2のTPC14と併合し、よって、冷却すると均一の溶融接着が形成される。1つの例では、溶接界面エリア74は、圧密温度よりおよそ20度高く加熱される。コントローラ30は次いで、ロボットアーム24に、溶接線26(
図1)に沿って第1の方向26A(
図1)に移動し、第1のTPC12の一部を第2のTPC14に溶接するよう命令する。センサー38(
図1)からのフィードバックは、誘導コイル22に異なる電流を命令するために使用され、したがって、リアルタイムで加熱量が調整される。ヒートシンク20はまた、誘導溶接後に、溶接界面エリア74の半結晶性熱可塑性物質の結晶化を促す速度で第1のTPC12を冷却できるようにし、よって、半結晶性熱可塑性物質の結晶化量が増加する。例えば、誘導溶接の間、ヒートシンク20は、タイル40の熱を吸収する。誘導溶接後に、大気中に放散されないタイル40に吸収された熱は、再び第1のTPC12に吸収され、結晶化量を増加させる特定の速度で第1のTPC12を冷却することができる。例えば、PEEKの最適な冷却速度は0.2-20°F/分の範囲であり、25-35%の結晶含有量が得られるだろう。結晶化の速度はまた、特定のアニーリング温度にも依存し、ピーク速度は、ガラス転移温度(Tg)と溶融点(Tm)とののほぼ中間点にある。
【0094】
図7を参照し、引き続き
図1及び
図6を参照すると、システム10を使用して第1のTPC12を第2のTPC14に誘導溶接するための方法80のフローチャートが図示されている。方法80は、ブロック81で、溶接界面エリア74を形成するために、第1のTPC12を第2のTPC14と位置合わせすることによって開始する。次に、ブロック82で、ヒートシンク20が第1のTPC12上に載置される。上記のように、ヒートシンク20は、好ましくは、溶接線26に沿って、少なくとも溶接界面エリア74を覆っている。ヒートシンク20は、柔軟であるため、
図2Aに示されるように、平面であろうと非平面であろうと、第1のTPC12の表面輪郭に一致する。提示される例では、第1のTPC12、第2のTPC14、及びヒートシンク20はすべて、真空バッグ70内に置かれる。真空は次いで、真空源72によって真空バッグ70に印加されうる。真空バッグ70は、1気圧までの圧密力を第1のTPC12及び第2のTPC14上に印加する。代替的には、不活性ガスが真空バッグ70内にポンプで供給されてもよい。
【0095】
ブロック83で、溶接界面エリア74が誘導コイル22によって誘導加熱される。ブロック84で、誘導コイル22に最も接近した部分76で生成された熱が、ヒートシンク20によって吸収され放散され、部分76が冷却される。ブロック85で、第1のローラー28A及び第2のローラー28Bが圧密圧力を第1のTPC12に及ぼし、界面エリア74で第1のTPC12を第2のTPC14と併合し、よって、冷却すると均一の溶融接着が形成される。ブロック83、84、及び85は同時に起こりうると理解されたい。別の例では、ベロー39(
図1A)又は他の手段が圧密圧力を第2のTPC14上に及ぼす。ブロック86で、溶接界面エリア74は、誘導コイル22を溶接線26に沿って移動させることによって、溶接線26に沿って誘導溶接され、第1のTPC12部分が第2のTPC14に溶接される。代替的には、溶接界面エリア74は、誘導コイル22に対して移動しうる。ブロック87で、誘導溶接プロセスをリアルタイムで調整するために、センサー38からのフィードバックが使用される。例えば、コントローラ30は、誘導コイル22に異なる電流を命令することができ、したがってリアルタイムで加熱量を調整し、誘導コイル22と溶接界面エリア74との間の速度を命令することなどができる。
【0096】
図8は、誘導コイル22の側面図を含む、ツーリングベース16上の第1のTPC12、第2のTPC14、ヒートシンク20、及び真空バッグ70のレイアップの断面図を示す。しかしながら、第2のヒートシンク78が含まれている。第2のヒートシンク78は、ヒートシンク20に実質的に類似する。
【0097】
第1のTPC12は、第2のTPC14の頂部に配置される。ヒートシンク20は、誘導コイル22と第1のTPC12との間の第1のTPC12の頂部に配置される。第2のヒートシンク78は、ツーリングベース16と第2のTPC14との間に配置される。加えて、第2のヒートシンク78は、真空バッグ70内に配置される。誘導溶接の間、上記のように、熱を溶接界面エリア74に集中させ、第1のTPC12及び第2のTPC14の他のエリアの熱を最小にすることが望ましい。しかしながら、誘導溶接の間、第1のTPC12、溶接界面エリア74、及び第2のTPC14で熱が生成される。ヒートシンク20は、第1のTPC12の部分76で生成された熱を吸収し放散する。第2のヒートシンク78は、第2のヒートシンク78に隣接する第2のTPC14の部分88で生成された熱を吸収し放散する。したがって、熱は、第1のTPC12の部分76や第2のTPC14の部分88ではなく、溶接界面エリア74に沿って集中する。
【0098】
図9は、ツーリングベース16上での第1のTPC12、第2のTPC14、ヒートシンク20、及び真空バッグ70ノレイアップの別の例を示すシステム10の拡大断面図を示す。しかしながら、ツーリングベース16は、内部に埋め込まれた冷却ユニット89を含む。代替的には、冷却ユニット89は、ツーリングベース16(図示せず)の表面に配置されてもよい。冷却ユニット89は、冷却剤源90に接続される。冷却ユニット89は、ツーリングベース16内に配管を含み、冷却剤源90は、流体熱交換器及びポンプ(図示せず)を含みうる。冷却剤源90は、コントローラ30(
図1)と電気通信している。
【0099】
第1のTPC12は、第2のTPC14の頂部に配置される。ヒートシンク20は、誘導コイル22と第1のTPC12との間の第1のTPC12の頂部に配置される。第2のTPC14は、ツーリングベース16内の冷却ユニット89に隣接して配置される。誘導溶接の間、上記のように、熱が溶接界面エリア74に集中することが望ましい。冷却ユニット89は、冷却ユニット89に隣接した第2のTPC14の部分88のための熱交換器として作用し、第2のTPC14の熱を低下させ、その一方で、ヒートシンク20が第1のTPC12の熱を吸収し放散する。したがって、熱は、第1のTPC12の部分76や第2のTPC14の部分88ではなく、溶接界面エリア74に沿って集中する。
【0100】
図10は、誘導コイル22の側面図を含む、ツーリングベース16上の第1のTPC12、第2のTPC14、ヒートシンク20、及び第2のヒートシンク78のレイアップの断面図を示す。しかしながら、真空バッグ70は、第1のプレート91及び第2のプレート92と置換される。
【0101】
第1のTPC12は、第2のTPC14の頂部に配置される。ヒートシンク20は、誘導コイル22と第1のTPC12との間の第1のTPC12の頂部に配置される。第2のヒートシンク78は、第2のTPC14に隣接する。第1のTPC12、第2のTPC14、ヒートシンク20、及び第2のヒートシンク78はすべて、第1のプレート91と第2のプレート92との間に挟まれる。第1のプレート91及び第2のプレート92は、第1のTPC12、第2のTPC14、ヒートシンク20、及び第2のヒートシンク78が互いに動かないようにすることによって、レイアップに安定性を提供する。第1のローラー28A及び第2のローラー28Bは、上記のように、第1のプレート91に接触し、誘導溶接の間、圧密圧力を提供する。
【0102】
図11は、ヒートシンクを使用しない、ツーリングベース16上の第1のTPC12、第2のTPC14、及び真空バッグ70のレイアップの別の例を示すシステム10の拡大部分断面図を示す。しかしながら、誘導溶接機18は冷却装置93を含む。冷却装置93は、第1の方向26A(
図1)に、誘導コイル22に隣接して配置される。誘導コイル22と冷却装置93との間の距離を固定するために、冷却装置93が部材94によって誘導コイル22に接続される。しかしながら、冷却装置93は、本開示の範囲から逸脱することなく、分離されることがあると理解されたい。冷却装置93は、冷却剤を放出するように構成された任意の数のノズル96を含む。冷却装置93は、冷却剤源98、更にはコントローラ30に接続される。1つの例では、使用される冷却剤はCO
2ガスである。しかしながら、他の冷却剤が用いられてもよい。上記のように、本例では、ヒートシンクは用いられていない。
【0103】
誘導溶接の間、冷却装置93は、冷却剤を第1のTPC12上に放出することによって、誘導コイル22の前の第1のTPC12を冷却する。1つの例では、冷却装置93は、第1のTPC12を華氏約-100度まで冷却するように構成される。この文脈では、「約」という用語が当業者に知られている。代替的には、「約」という用語は、華氏±25度を意味するとも読める。第1のTPCを冷却すること12により、熱勾配が形成され、誘導溶接の間、第1のTPC12の部分76の温度が圧密温度未満に維持される。熱勾配は、溶接界面エリア74の温度に対する、誘導コイル22に隣接した第1のTPC12の部分76からの温度差である。熱勾配は、任意の数のノズル96、ノズル96からの冷却剤流量、冷却装置93から誘導コイル22までの距離、誘導コイル22によって生成される磁場の強度、更には、第1のTPC12及び第2のTPC14の厚さ、並びに炭素繊維の配向によって制御されうる。加えて、冷却及び加熱の量は、センサー38(
図1)から受信したフィードバックに基づき、コントローラ30によってリアルタイムで調整されうる。
【0104】
図12は、誘導コイル22の側面図を含む、ヒートシンクを使用しない、ツーリングベース16上での第1のTPC12、第2のTPC14、真空バッグ70のレイアップの断面図を示す。しかしながら、誘導溶接機18は、第2の冷却装置100及び第2の誘導コイル102を含む。第2の冷却装置100及び第2の誘導コイル102の両方が、第1の方向26A(
図1)と反対の方向に、誘導コイル22に隣接して配置される。したがって、第2の冷却装置100及び第2の誘導コイル102は、冷却装置93と反対側に配置される。誘導コイル22と第2の冷却装置100と第2の誘導コイル102との間の距離を固定するために、第2の冷却装置100及び第2の誘導コイル102は、部材104によって誘導コイル22に接続される。しかしながら、第2の冷却装置100及び/又は第2の誘導コイル102は、本開示の範囲から逸脱することなく、分離されることがあると理解されたい。第2の冷却装置100は、冷却剤を放出するように構成された任意の数のノズル106を含む。第2の冷却装置100は、冷却剤源98、更にはコントローラ30に接続される。第2の誘導コイル102は、誘導コイル22に類似し、コントローラ30によって制御される。上記のように、本例では、ヒートシンクは用いられていない。
【0105】
上記のように、誘導溶接の間、冷却装置93は、冷却剤を第1のTPC12上に放出することによって、誘導コイル22の前の第1のTPC12を冷却する。誘導溶接機18が溶接線26(
図1)に沿って移動する際に、誘導コイル22は溶接界面エリア74を溶融させ、第1のTPC12は、第1のローラー28A及び第2のローラー28Bからの圧密圧力下で、第2のTPC14と併合される。溶接界面エリア74の冷却を制御するために、コントローラ30は、第2の冷却装置100及び第2の誘導コイル102を使用して、併合された溶接界面エリア74を加熱及び冷却する。センサー38(
図1)から受信したフィードバックに基づき、コントローラ30によってリアルタイムで冷却及び加熱の量を制御することによって、溶接界面エリア74における冷却速度が制御される。冷却速度は、溶接界面エリア74で熱可塑性物質の結晶化を最大にし、強度を高めるように制御することができる。
【0106】
図13を参照し、
図1及び
図11を引き続き参照すると、冷却装置93を備えるシステム10を使用して、第1のTPC12を第2のTPC14に誘導溶接するための方法110のフローチャートが示されている。方法110は、ブロック112で、溶接界面エリア74を形成するために、第1のTPC12を第2のTPC14と位置合わせすることによって開始する。提示される例において、第1のTPC12及び第2のTPC14はすべて真空バッグ70内に置かれる。真空は次いで、真空源72によって真空バッグ70に印加されうる。代替的には、不活性ガスが真空バッグ70内にポンプで供給されてもよい。
【0107】
次に、ブロック114で、冷却装置93を使用して、第1のTPC12が冷却される。1つの例では、コントローラ30によって、溶接界面エリア74又は部分76におけるターゲット温度が設定される。コントローラ30は次いで、冷却装置93による冷却中に、センサー38を使用して、溶接界面エリア74又は部分76の実際の温度をモニタする。コントローラ30は次いで、冷却装置93によって提供された冷却量を制御し、実際の温度をターゲット温度と一致させる。ターゲット温度は、特定の熱勾配に達するように、ルックアップテーブル又は所与の特定のファクタを使用して設定されうる。例えば、ターゲット温度を設定することは、誘導コイル22に対する溶接界面エリア74の位置を決定し、溶接界面エリア74の位置に基づき、ターゲット温度を設定しうる。他のファクタは、任意の数のノズル96、ノズル96からの冷却剤流量、冷却装置93から誘導コイル22までの距離、誘導コイル22によって生成される磁場の強度、更には、第1のTPC12及び第2のTPC14及び炭素繊維の配向、並びに誘導コイル22が溶接界面エリア74に対して移動する速度、又は溶接界面エリア74が誘導コイル22に対して移動する速度、又はその両方を含みうる。別の例では、ターゲット温度は、華氏約-100度に設定される。この文脈では、「約」という用語が当業者に知られている。代替的には、「約」という用語は、華氏±25度を意味するとも読める。
【0108】
ブロック116で、溶接界面エリア74が誘導コイル22によって誘導加熱される。まず第1のTPC12を冷却することにより形成される熱勾配は、誘導コイル22に最も接近した部分76の温度を圧密温度未満に維持する一方で、溶接界面エリア74の温度が圧密温度を超えることができるようにする。
【0109】
ブロック118で、第1のローラー28A及び第2のローラー28Bが圧密圧力を第1のTPC12に及ぼし、界面エリア74で第1のTPC12を第2のTPC14と併合し、よって、冷却すると均一の溶融接着が形成される。別の例では、ベロー39(
図1A)又は他の手段が圧密圧力を第2のTPC14上に及ぼす。ブロック120で、溶接界面エリア74は、溶接線26に沿って誘導コイル22を移動させることによって、溶接線26に沿って誘導溶接され、第1のTPC12部分が第2のTPC14に溶接される。代替的には、溶接界面エリア74は、誘導コイル22に対して移動しうる。ブロック116、118、及び120は同時に起こりうると理解されたい。ブロック122で、誘導溶接プロセスをリアルタイムで調整するために、センサー38からのフィードバックが使用される。例えば、コントローラ30は、誘導コイル22に異なる電流を命令することができ、したがってリアルタイムで加熱量を調整し、誘導コイル22と溶接界面エリア74との間の速度を命令することなどができる。
【0110】
図14を参照し、引き続き
図1及び
図12を参照すると、冷却装置93、第2の冷却装置100、及び第2の誘導コイル102を備えるシステム10を使用して、第1のTPC12を第2のTPC14に誘導溶接するための方法130のフローチャートが示される。方法130は、ブロック132で、溶接界面エリア74を形成するために、第1のTPC12を第2のTPC14と位置合わせすることによって開始する。提示される例において、第1のTPC12及び第2のTPC14はすべて真空バッグ70内に置かれる。真空は次いで、真空源72によって真空バッグ70に印加されうる。代替的には、不活性ガスが真空バッグ70内にポンプで供給されてもよい。
【0111】
次に、ブロック134で、冷却装置93を使用して、第1のTPC12が冷却される。1つの例では、溶接界面エリア74又は部分76における第1のTPC12のためのターゲット温度が、コントローラ30によって設定される。コントローラ30は次いで、冷却装置93による冷却中に、センサー38を使用して、溶接界面エリア74又は部分76における第1のTPC12の実際の温度をモニタする。コントローラ30は次いで、冷却装置93によって提供された冷却量を制御し、実際の温度をターゲット温度と一致させる。ターゲット温度は、特定の熱勾配に達するように、ルックアップテーブル又は所与の特定のファクタを使用して設定されうる。例えば、ターゲット温度を設定することは、誘導コイル22に対する溶接界面エリア74の位置を決定し、溶接界面エリア74の位置に基づき、ターゲット温度を設定しうる。他のファクタは、任意の数のノズル96、ノズル96からの冷却剤流量、冷却装置93から誘導コイル22までの距離、誘導コイル22によって生成される磁場の強度、更には、第1のTPC12及び第2のTPC14の厚さ、炭素繊維の配向、及び誘導コイル22の溶接界面エリア74に対する速度を含みうる。別の例では、ターゲット温度は、華氏約-100度に設定される。この文脈では、「約」という用語が当業者に知られている。代替的には、「約」という用語は、華氏±25度を意味するとも読める。
【0112】
ブロック136で、溶接界面エリア74が誘導コイル22によって誘導加熱される。まず第1のTPC12を冷却することにより形成される熱勾配は、誘導コイル22に最も接近した部分76の温度を圧密温度未満に維持する一方で、溶接界面エリア74の温度が圧密温度を超えることができるようにする。
【0113】
ブロック138で、第1のローラー28A及び第2のローラー28Bが圧密圧力を第1のTPC12に及ぼし、界面エリア74で第1のTPC12を第2のTPC14と併合し、よって、冷却すると均一の溶融接着が形成される。別の例では、ベロー39(
図1A)又は他の手段が圧密圧力を第2のTPC14上に及ぼす。ブロック140で、溶接界面エリア74は、溶接線26に誘導コイル22を移動させることによって、溶接線26に沿って誘導溶接され、第1のTPC12部分が第2のTPC14に溶接される。代替的には、溶接界面エリア74は、誘導コイル22に対して移動しうる。ブロック136、138、及び140は同時に起こりうると理解されたい。ブロック142で、誘導溶接プロセスをリアルタイムで調整するために、センサー38からのフィードバックが使用される。例えば、コントローラ30は、誘導コイル22に異なる電流を命令することができ、したがってリアルタイムで加熱量を調整し、誘導コイル22と溶接界面エリア74との間の速度を命令することなどができる。ブロック144で、溶接界面エリア74の冷却速度を制御するために、第2の冷却装置100及び/又は第2の誘導コイル102が使用される。センサー38(
図1)から受信したフィードバックに基づき、コントローラ30によってリアルタイムで冷却及び加熱の量を制御することによって、溶接界面エリア74における冷却速度が制御される。
【0114】
図15は、誘導コイル22及び冷却装置93の側面図を含む、ヒートシンク20を使用した、ツーリングベース16上での第1のTPC12、第2のTPC14、真空バッグ70のレイアップの断面図を示す。この例では、冷却装置93は、第1のTPC12を直接冷却する代わりに、ヒートシンク20を冷却する。クーリングヒートシンク20は、熱勾配を増加させ、ヒートシンク20が、誘導溶接の間、冷却しない場合よりも第1のTPC12から多くの熱を除去できるようにする。別の例(図示せず)では、ヒートシンク20に加え、第2のヒートシンク78が使用されてもよい。
【0115】
図16は、冷却装置93、第2の冷却装置100、及び第2の誘導コイル102の側面図を含む、ヒートシンク20を使用した、ツーリングベース16上での第1のTPC12、第2のTPC14、真空バッグ70のレイアップの断面図を示す。この例では、第2の冷却装置100は、誘導コイル22による誘導溶接後、第1のTPC12を直接冷却する代わりに、ヒートシンク20を冷却する。ヒートシンク20が導電性ではないため、第2の誘導コイル102は、前述のように動作する。別の例(図示せず)では、ヒートシンク20に加え、第2のヒートシンク78が使用されてもよい。
【0116】
図17を参照し、
図1及び
図15を引き続き参照すると、冷却装置93及びヒートシンク20を備えるシステム10を使用して、第1のTPC12を第2のTPC14に誘導溶接するための方法150のフローチャートが示されている。方法150は、ブロック152で、溶接界面エリア74を形成するために、第1のTPC12を第2のTPC14と位置合わせすることによって開始する。
【0117】
次に、ブロック154で、ヒートシンク20が第1のTPC12上に載置される。上記のように、ヒートシンク20は、好ましくは、溶接線26に沿って、少なくとも溶接界面エリア74を覆っている。ヒートシンク20は、柔軟であるため、
図2Aに示されるように、平面であろうと非平面であろうと、第1のTPC12の表面輪郭に一致する。提示される例では、第1のTPC12、第2のTPC14、及びヒートシンク20はすべて、真空バッグ70内に置かれる。真空は次いで、真空源72によって真空バッグ70に印加されうる。代替的には、不活性ガスが真空バッグ70内にポンプで供給されてもよい。
【0118】
ブロック156で、冷却装置93を使用して、ヒートシンク20が冷却される。1つの例では、ヒートシンク20のターゲット温度がコントローラ30によって設定される。コントローラ30は次いで、冷却装置93による冷却中に、センサー38を使用して、ヒートシンク20の実際の温度をモニタする。コントローラ30は次いで、冷却装置93によって提供された冷却量を制御し、実際の温度をターゲット温度と一致させる。ターゲット温度は、特定の熱勾配に達するように、ルックアップテーブル又は所与の特定のファクタを使用して設定されうる。例えば、ターゲット温度を設定することは、誘導コイル22に対する溶接界面エリア74の位置を決定し、溶接界面エリア74の位置に基づき、ターゲット温度を設定しうる。他のファクタは、任意の数のノズル96、ノズル96からの冷却剤流量、冷却装置93から誘導コイル22までの距離、誘導コイル22によって生成される磁場の強度、更には、第1のTPC12及び第2のTPC14の厚さ、並びに炭素繊維の配向を含みうる。別の例では、ターゲット温度は、華氏約-100度に設定される。この文脈では、「約」という用語が当業者に知られている。代替的には、「約」という用語は、華氏±25度を意味するとも読める。
【0119】
ブロック158で、溶接界面エリア74が誘導コイル22によって誘導加熱される。ブロック156で冷却されたヒートシンク20は、誘導コイル22に最も接近した部分76の温度を圧密温度未満に維持する一方で、溶接界面エリア74の温度が圧密温度を超えることができるようにする。
【0120】
ブロック160で、第1のローラー28A及び第2のローラー28Bが圧密圧力を第1のTPC12に及ぼし、界面エリア74で第1のTPC12を第2のTPC14と併合し、よって、冷却すると均一の溶融接着が形成される。別の例では、ベロー39(
図1A)又は他の手段が圧密圧力を第2のTPC14上に及ぼす。ブロック162で、溶接界面エリア74は、溶接線26に沿って誘導コイル22を移動させることによって、溶接線26に沿って誘導溶接され、第1のTPC12部分が第2のTPC14に溶接される。代替的には、溶接界面エリア74は、誘導コイル22に対して移動しうる。ブロック158、160、及び162は同時に起こりうると理解されたい。ブロック164で、誘導溶接プロセスをリアルタイムで調整するために、センサー38からのフィードバックが使用される。例えば、コントローラ30は、誘導コイル22に異なる電流を命令することができ、したがってリアルタイムで加熱量を調整し、誘導コイル22と溶接界面エリア74との間の速度を命令することなどができる。
図18を参照し、
図1及び
図16を引き続き参照すると、ヒートシンク20、冷却装置93、第2の冷却装置100、及び第2の誘導コイル102を備えるシステム10を使用して、第1のTPC12を第2のTPC14に誘導溶接するための方法170のフローチャートが示されている。方法170は、ブロック172で、溶接界面エリア74を形成するために、第1のTPC12を第2のTPC14と位置合わせすることによって開始する。
【0121】
次に、ブロック174で、ヒートシンク20が第1のTPC12上に載置される。上記のように、ヒートシンク20は、好ましくは、溶接線26に沿って、少なくとも溶接界面エリア74を覆っている。ヒートシンク20は、柔軟であるため、
図2Aに示されるように、平面であろうと非平面であろうと、第1のTPC12の表面輪郭に一致する。提示される例では、第1のTPC12、第2のTPC14、及びヒートシンク20はすべて、真空バッグ70内に置かれる。真空は次いで、真空源72によって真空バッグ70に印加されうる。代替的には、不活性ガスが真空バッグ70内にポンプで供給されてもよい。
【0122】
ブロック176で、冷却装置93を使用して、ヒートシンク20が冷却される。1つの例では、ヒートシンク20のターゲット温度がコントローラ30によって設定される。コントローラ30は次いで、冷却装置93による冷却中に、センサー38を使用して、ヒートシンク20の実際の温度をモニタする。コントローラ30は次いで、冷却装置93によって提供された冷却量を制御し、実際の温度をターゲット温度と一致させる。ターゲット温度は、特定の熱勾配に達するように、ルックアップテーブル又は所与の特定のファクタを使用して設定されうる。例えば、ターゲット温度を設定することは、誘導コイル22に対する溶接界面エリア74の位置を決定し、溶接界面エリア74の位置に基づき、ターゲット温度を設定しうる。他のファクタは、任意の数のノズル96、ノズル96からの冷却剤流量、冷却装置93から誘導コイル22までの距離、誘導コイル22によって生成される磁場の強度、更には、第1のTPC12及び第2のTPC14の厚さ、炭素繊維の配向、及び誘導コイル22の溶接界面エリア74に対する移動速度を含みうる。別の例では、ターゲット温度は、華氏約-100度に設定される。この文脈では、「約」という用語が当業者に知られている。代替的には、「約」という用語は、華氏±25度を意味するとも読める。
【0123】
ブロック178で、溶接界面エリア74が誘導コイル22によって誘導加熱される。ブロック176で冷却されたヒートシンク20は、誘導コイル22に最も接近した部分76の温度を圧密温度未満に維持する一方で、溶接界面エリア74の温度が圧密温度を超えることができるようにする。
【0124】
ブロック179で、第1のローラー28A及び第2のローラー28Bが圧密圧力を第1のTPC12に及ぼし、界面エリア74で第1のTPC12を第2のTPC14と併合し、よって、冷却すると均一の溶融接着が形成される。別の例では、ベロー39(
図1A)又は他の手段が圧密圧力を第2のTPC14上に及ぼす。ブロック180で、溶接界面エリア74は、溶接線26に沿って誘導コイル22を移動させることによって、溶接線26に沿って誘導溶接され、第1のTPC12部分が第2のTPC14に溶接される。代替的には、溶接界面エリア74は、誘導コイル22に対して移動しうる。ブロック178、179、及び180は同時に起こりうると理解されたい。ブロック182で、誘導溶接プロセスをリアルタイムで調整するために、センサー38からのフィードバックが使用される。例えば、コントローラ30は、誘導コイル22に異なる電流を命令することができ、したがってリアルタイムで加熱量を調整し、誘導コイル22と溶接界面エリア74との間の速度を命令することなどができる。ブロック184で、溶接界面エリア74の冷却速度を制御するために、第2の冷却装置100及び/又は第2の誘導コイル102が使用される。センサー38(
図1)から受信したフィードバックに基づき、コントローラ30によってリアルタイムで冷却及び加熱の量を制御することによって、溶接界面エリア74における冷却速度が制御される。
【0125】
図19は、本開示の原理によるヒートシンク185の代替例を示す。ヒートシンク185は、第1のTPC12及び/又は第2のTPC14からの熱を吸収し放散するように構成される。ヒートシンク185は、接合部187によって柔軟に接続された任意の数のタイル186を含む。接合部187は、タイル186の間に配置される。タイル186は、タイル40に実質的に類似し、接合部187は、
図2に示すヒートシンク20の接合部42に実質的に類似する。しかしながら、ヒートシンク185は、それを通って形成された任意の数の流体チャネル188を更に含む。流体チャネル188は、タイル186の各々と接合部187の各々を通って延びる。隣接するタイル186と接合部187との間の流体チャネル188のセットは、互いに直列に接続されて、ヒートシンク185を通る複数の流体経路188Aを形成する。流体経路188Aは、好ましくは、一方向であり、かつ互いに平行である。しかしながら、流体経路188Aは、平行でない、又はずれているというように、他の構成を有していてもよい。提示される例では、各タイル186は、3つの流体チャネル188を含むが、任意の数の流体チャネル188が用いられてもよいと理解すべきである。流体チャネル188は、以下に記載されるように、それを通って冷却剤流体を伝達するようにサイズ決定される。1つの例では、流体チャネル188は、直径約0.042インチである。別の例では、流体チャネル188は、直径約0.082インチである。1つの態様では、マニホールド189がヒートシンク185に接続される。ヒートシンク185に単一の接続ポートを提供するために、マニホールド189は、複数の内側チャネル(図示せず)を介して流体チャネル188と連通するポート190を含む。
【0126】
図20は、
図3のヒートシンク製造システム50を使用して、ヒートシンク185を形成するための方法200のフローチャートを示す。方法200は、流体チャネル188がタイル186の各々を通って形成されるブロック202で開始する。1つの例では、流体チャネル188は、超音波機械加工(図示せず)を使用して、タイル186を通して切削される。
【0127】
ブロック204で、流体チャネル188に、
図21に示される複数のロッド205が挿入される。ロッド193は、分離材料でコーティングされ、後にロッド193の除去を助ける。ロッド193は、流体チャネル188の直径に一致するようにサイズ決定される。ロッド193の各々が、位置合わせした流体チャネル188を有する複数のタイル186を通過する。ブロック206で、タイル186はあるパターンに配置される。例えば、タイル186は、治具58間の下地材料54上に載置される。治具58がタイル186を間隔を空けて配置する間、下地材料54はタイル186を適所に保持する。したがって、パターンは治具58によって画定される。タイル186は、下地材料54の上に配置される前に、下塗り剤により下塗りされうる。タイル186は、好ましくは、流体チャネル188が互いに位置合わせされるように、配置される。ブロック204及び206は、本開示の範囲を逸脱せずに、任意の順番で実行されうると理解されたい。
【0128】
ブロック208では、フレーム56及び治具58が除去され、したがって、タイル186の間に間隙44が残る。次に、ブロック210で、タイル40は、まとめて柔軟性接着剤45に柔軟に接合される。柔軟性接着剤45が、タイル186の間の間隙44内に塗布される。ロッド205は、柔軟性接着剤45の、タイル186に形成された流体チャネル188への進入を防止する。加えて、柔軟性接着剤45は、ロッド205周囲を流れ、接合部187を通して流体チャネル188を形成する。柔軟性接着剤45は次いで、好ましくは、ある期間にわたって硬化される。いったん硬化されると、ブロック212で、ロッド193が流体チャネル188から除去される。組み立てられたヒートシンク185が、下地材料54から取り外されうる。
【0129】
図22は、ツーリングベース16上の第1のTPC12、第2のTPC14、及びヒートシンク185のレイアップを示すシステム10の拡大部分断面図を示す。第1のTPC12は、第2のTPC14の頂部に配置される。ヒートシンク185は、誘導コイル22と第1のTPC12との間の第1のTPC12の頂部に配置される。第1のローラー28A及び第2のローラー28Bは、ヒートシンク185を通して第1のTPC12上に圧密圧力を印加し、第1のTPC12を第2のTPC14上に圧縮する。ヒートシンク185の流体経路188Aは、冷却剤をヒートシンク185に供給するポンプ220に接続される。ポンプ220は、ヒートシンク185の流体経路188Aを通って、水又は高温の伝達流体といった冷却剤をポンプで送るように構成される。高温の伝達流体の例は、DynaleneのDynalene SFである。1つの例では、ポンプ220は、マニホールド189のポート190(
図19)に接続される。
【0130】
誘導溶接中に、コントローラ30(
図1)は、誘導コイル22を通る電流に磁場25を生成するように命令する。磁場25は、第1のTPC12及び第2のTPC14内の炭素繊維を加熱する。誘導コイル22により接近している第1のTPC12の部分76は、溶接界面エリア74でよりも大幅に加熱される。冷却剤は、ポンプ220により、ヒートシンク185を通ってポンプで送られる。第1のTPC12で生成された熱は、ヒートシンク185によって吸収され、流体経路188Aの冷却剤内に放散される。冷却剤は、ヒートシンク185からポンプで送られ、第1のTPC12の熱を放散する。
【0131】
溶接界面エリア74の熱可塑性物質が材料の溶融点又は圧密温度を超えるまで加熱されると、第1のローラー28A及び第2のローラー28Bは、第1のTPC12に圧密圧力を及ぼし、溶接界面エリア74で第1のTPC12を第2のTPC14と併合し、よって、冷却すると均一の溶融接着が形成される。1つの例では、溶接界面エリア74は、圧密温度よりおよそ20度高く加熱される。
【0132】
いったん加熱されると、冷却剤は、ヒートシンク185を通ってポンプで送り戻され、溶接界面エリア74の冷却速度を制御する。1つの例では、冷却剤は、誘導溶接後に華氏約400度の温度でヒートシンク185を通り循環して戻され、溶接界面エリア74の冷却速度を制御する。ヒートシンク185を通る冷却剤の入力温度及び流量は、誘導コイル22に供給される電力と共に調整され、溶接界面エリア74の冷却速度を制御する。
【0133】
コントローラ30は次いで、ロボットアーム24に、溶接線26(
図1)に沿って第1の方向26A(
図1)に移動し、第1のTPC12の一部を第2のTPC14に溶接するよう命令する。代替的には、溶接界面エリア74を誘導コイル22に対して移動させる。センサー38(
図1)からのフィードバックは、誘導コイル22に異なる電流を命令するために使用され、したがって、リアルタイムで加熱量が調整される。
【0134】
図23は、本開示の原理によるヒートシンク250の別の例を示す。ヒートシンク250は
図19に示すヒートシンク185に類似するが、流体チャネル188が接合部187内に配置されている。したがって、流体チャネル188は、タイル186を通るのではなく、タイル186の間に配置される。タイル186が切削されないため、ヒートシンク185内よりも大きな圧縮力に耐えることができる。流体チャネル188は、流体チャネル188をつまんで切断せずに、誘導溶接の間、圧密圧力に耐えることができる。
【0135】
図24は、本開示の原理によるヒートシンク300の更に別の例を示す。ヒートシンク250は
図19に示すヒートシンク185に類似するが、流体チャネル188が楕円形である。加えて、タイル186の各々に流体チャネル188が1つだけ形成される。楕円形の流体チャネル188は、ヒートシンク185と比較して、圧力降下を低減し、流体チャネル188内の制限の可能性を低減する。加えて、楕円形の流体チャネル188は、ヒートシンク185と比較して、流体チャネル188の表面積が大きいため、熱伝達が増加してる。本開示の範囲から逸脱することなく、正方形又は星形を含む他の形状が用いられてもよいと理解されたい。
【0136】
図25は、本開示の原理によるヒートシンク400の別の例の一部の上面図を示す。ヒートシンク400は、裏材404によって接続された任意の数のタイル402を含む。タイル402は、非導電性かつ熱伝導性材料から形成され、ヒートシンク20のタイル40(
図2)に類似するが、正方形ではなく、六角形である。しかしながら、タイル402は、本開示の範囲から逸脱することなく、任意の数の側部及び形状を有しうると理解されたい。タイル402は、裏材404によって適所に固定される。
【0137】
裏材404は、タイル402をまとめて柔軟に保持し、ヒートシンク400に柔軟性を提供し、したがって、ヒートシンク400を曲面(図示せず)に一致させることができる。タイル402は、単一の層内に寄木細工又は幾何学パターンで配置されている。タイル402の各々は、それらの間に空隙406を画定する。空隙406に、材料は含まれない。1つの例では、空隙406は、約0.005インチと約0.1インチとの間、好ましくは約0.040インチの幅407を有している。この文脈では、「約」という用語が当業者に知られている。代替的には、「約」という用語は、±0.005インチを意味するとも読める。空隙406は、以下に記載されるように、空気の流れを使用して、タイル402の冷却を高めることができる。裏材404は、好ましくは、交互配向繊維408から構成されるメッシュであり、その繊維の一部のみを
図25に示す。繊維408は、非導電性であり、誘導溶接の間、溶融しない。繊維408は、ガラス又は酸化物セラミックから構成されてもよく、シリコーン又は他の材料に埋め込まれうる。別の例では、裏材404は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を注入したグラスファイバークロス又はメッシュで構成される。
【0138】
1つの例では、ヒートシンク400は、ヒートシンク400の長手方向のエッジ412に沿って配置されたチューブ410を含む。1つの例では、チューブ410は裏材404に接着される。別の例では、チューブ410はPTFEから構成される。加えて又は代替的には、チューブ410は、長手方向のエッジ412に沿ってではなく、横方向のエッジ等のヒートシンク400の一部に配置されてもよい。チューブ410は、加圧ガス414の供給源と接続される。加圧ガス414の供給源は、ファン、ポンプ、又は加圧タンクを含みうる。加圧ガス414の供給源は、チューブ410を通して、空気又は冷たいCO2等のガスを伝達する。チューブ410は、それを通って配置される穴416を含む。穴416は、タイル402の間の空隙406と位置合わせされる。誘導溶接の間、加圧ガス414の供給源によって、ガスが供給され、チューブ410及び穴416を通って伝達される。ガスは次に空隙406を通過し、タイル402からの熱を吸収し放散する。
【0139】
図26は、ヒートシンク400の部分断面図を示す。タイル402は、接着剤420によって裏材404に付着する。裏材404が柔軟であるため、接着剤420は柔軟である必要がない。適した接着剤の例は、シリコーン、PTFE、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、高性能ポリアミド(HPPA)、ポリアミド(PI)、ポリアミドミド(PAI)、ポリケトン、ポリスルホン誘導体-a、フルオロポリマ、ポリエーテルミド(PEI)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレニサルファイド、シンジオタクチックポリスチレン、及びポリシクロヘキサンジメチルテレフタレート(PCT)を含む。適した接着剤の別の例は、液体樹脂と粉末硬化剤を有する、熱硬化されるエポキシの2成分システムである。例えば、接着剤は、Elantas PDG、IncのEPOXYLITE(登録商標)5403又はEPOXYLITE(登録商標)5302でありうる。別の例では、接着剤420は、シリコーン感圧接着剤でありうる。別の例では、接着剤420は、ヒートシンク20の接合部42(
図2)で使用される同種のシリコーンから構成される。
図27は、タイル402が接着剤420内に埋め込まれている別種のヒートシンク450の断面図を示す。この例では、空隙406は、接着剤420で満たされる。
【0140】
図28及び
図29は、ヒートシンク400を使用して第1のTPC12を第2のTPC14に誘導溶接するためのシステム500の部分断面図を示す。システム500は、上記システム10(
図1)に類似した方法で動作する。提示される例において、第1のTPC12及び第2のTPC14は曲げられており、よって、第1のTPC12が曲がった接触面502を画定する。第1のTPC12及び第2のTPC14は、曲がったツーリングベース504によって支持される。誘導溶接の間、ベロー506によって、圧密圧力が曲がったツーリングベース504を通して印加される。代替的には、空気圧シリンダ、又はバネ、ストラップ、又はレバーなどの機械的アクチュエータが、圧密圧力を印加するために使用されてもよい。
【0141】
ヒートシンク400は、誘導コイル22と第2のTPC14との間の第1のTPC12の上に配置される。タイル402が曲がった接触面502に接触できるように、裏材404は曲がる。タイル402と曲がった接触面502との間の接触は、熱伝達を最大にする。別の例(図示せず)では、裏材404にはPTFEが注入され、裏材404が曲がった接触面502と接触する。PTFEにより、裏材404は分離膜として作用することができ、誘導溶接の間、ヒートシンク400が第1のTPC12に付着するのを防止する。
【0142】
ヒートシンク400は、ヒートシンクホルダ508によって適所に保持される。代替的に、又は追加的には、真空バッグ70(
図1)は、ヒートシンク400が曲がった接触面502と接触した状態で維持するために使用されてもよい。
図28に示される1つの例では、裏材404が曲げられるときにだけ、空隙510が溶接界面エリア74の反対側に形成される。この例では、タイル402の冷却を助けるために気流は使用されず、ヒートシンクは、2次元(つまり、x座標とy座標)の曲面にのみ対応しうる。
図29に示される別の例では、空隙512はまた、裏材404が曲げられると、曲がった接触面502に隣接して形成される。この例では、タイル402の冷却を助けるために、気流が空隙510、512を通して使用される。加えて、ヒートシンク400は、3次元(即ち、x、y及びz座標)の曲面に対応しうる。誘導溶接は、
図1を参照して先ほど記載された方法に類似した方法で実行される。
【0143】
上記システム10及び500、ヒートシンク20、185、250、300、及び400、並びに方法60、80、110、130、150、及び170はすべて、第1のTPC12及び第2のTPC14の誘導加熱を制御し、溶接界面エリア74に沿って加熱を集中させるために作用する。したがって、圧密温度を超える温度は、誘導コイル22に最も接近した第1のTPC12の部分76、更には第2のTPC14の部分88で回避される。
【0144】
システム10及び500、並びに方法60、80、110、130、150、及び170の態様は、
図30に示す航空機の製造及び保守方法1000及び
図31に示す航空機1002の文脈で用いられうる。製造前段階において、例示的な方法1000は、航空機1002の仕様及び設計1004と、材料の調達1006とを含みうる。製造段階では、航空機1002の、構成要素及びサブアセンブリの製造1008とシステムインテグレーション1010とが行われる。その後、航空機1002は、認可及び納品1012を経て、運航1014に供されうる。顧客によって運航されている期間中、航空機1002には、定期的な整備及び保守1016(改変、再構成、改修なども含みうる)が予定される。本明細書で実施される装置及び方法は、方法1000に記載の製造及び保守の1つ又は複数の任意の適切な段階(例えば、仕様及び設計1004、材料の調達1006、構成要素及びサブアセンブリの製造1008、システムインテグレーション1010、認可及び納品1012、運航1014、整備及び保守1016)及び/又は航空機1002の任意の適切な構成要素(例えば、機体1018、システム1020、内装1022、推進システムシステム1024、電気システムシステム1026、油圧システム1028、環境システム1030)で用いられうる。
【0145】
本明細書に記載のシステム及び方法の各プロセスは、システムインテグレータ、第三者、及び/又はオペレーター(例えば、顧客)によって実施又は実行されうる。本明細書の適用上、システムインテグレータは、任意の数の航空機製造業者及び主要システムの下請業者を含むがこれらに限定されず、第三者は、任意の数のベンダー、下請業者及び供給業者を含むがこれらに限定されず、且つ、オペレータは、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス機関等でありうる。
【0146】
図31に示すように、例示的な方法1000によって製造された航空機1002は、複数のシステム1020及び内装1022を備えた機体1018を含みうる。システム1020の例は、推進システム1024、電気システム1026、油圧システム1028、及び環境システム1030のうちの1つ又は複数を含む。任意の数の他のシステムも含まれうる。航空宇宙産業の例を示しているが、本開示の原理は、他の産業(自動車産業など)にも適用されうる。
【0147】
上記のシステム及び方法は、例示的な方法1000の段階の任意の1つ又は複数の間に用いられうる。例えば、構成要素及びサブアセンブリの製造1008に対応する構成要素又はサブアセンブリは、航空機1002の運航中に製造される構成要素又はサブアセンブリと同様の方法で製作又は製造されうる。また、1つ又は複数の装置の態様、方法の態様、又はそれらの組み合わせは、コンポーネント及びサブアセンブリの製造1008及びシステムインテグレーション1010において、例えば、実質的に航空機1002の組立てを効率化すること又は航空機1002のコストを削減することによって、利用することができる。同様に、装置の態様、方法の態様、又はこれらの組み合わせのうちの1つ又は複数は、航空機1002の運航中、例えば、限定しないが、整備及び保守1016に利用することができる。例えば、本明細書に記載の技術及びシステムは、材料の調達1006、コンポーネント及びサブアセンブリの製造208、システムインテグレーション1010、サービス1014、及び/又は整備及び保守1016のために使用されてもよく、及び/又は機体1018及び/又は内装1022に使用されてもよい。これらの技術及びシステムは、例えば、推進システム1024、電気システム1026、油圧システム1028、及び/又は環境システム1030を含むシステム1020に更に利用されてもよい。
【0148】
本開示の説明は、本質的に単なる例示であり、本開示の要旨から逸脱しない変形例は、本開示の範囲内にあることが意図されている。そのような変形例は、本開示の主旨及び範囲から逸脱していると見なされるべきではない。
【手続補正書】
【提出日】2024-09-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接で使用するためのヒートシンク(20)であって、
非導電性かつ熱伝導性の任意の数のタイル(40)と、
前記タイル(40)を単一層にまとめて柔軟に接合する機械的ヒンジ(47)と
を備えるヒートシンク(20)。
【請求項2】
前記機械的ヒンジ(47)が、スロット(67)内に枢動可能に配置されたタブ(65)を含む、請求項1に記載のヒートシンク(20)。
【請求項3】
前記タイル(40)が、側部(68)を有する第1のタイル(40A)を含み、前記タブ(65)が、前記第1のタイル(40A)の前記側部(68)上に配置される、請求項2に記載のヒートシンク(20)。
【請求項4】
前記タイル(40)が、側部(68)を有する第2のタイル(40B)を含み、前記スロット(67)が、前記第2のタイル(40B)の前記側部(68)上に配置される、請求項3に記載のヒートシンク(20)。
【請求項5】
前記溶接が誘導溶接である、請求項1から4のいずれか一項に記載のヒートシンク(20)。
【請求項6】
前記機械的ヒンジ(47)が、前記タイルのインターロッキングを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のヒートシンク(20)。
【請求項7】
第1のタイル(40A)及び第2のタイル(40B)が3つ以上の側部を有しうる、請求項1から6のいずれか一項に記載のヒートシンク(20)。
【外国語明細書】