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特開2024-174968品質スコアを画像に割り当てることによるプリンタの品質評価
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  • 特開-品質スコアを画像に割り当てることによるプリンタの品質評価 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174968
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】品質スコアを画像に割り当てることによるプリンタの品質評価
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/393 20060101AFI20241210BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
B41J29/393 105
H04N1/00 002A
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024154114
(22)【出願日】2024-09-06
(62)【分割の表示】P 2022520173の分割
【原出願日】2020-10-16
(31)【優先権主張番号】62/923,196
(32)【優先日】2019-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/704,842
(32)【優先日】2019-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ブルートゥース
2.BLUETOOTH
3.iPad
(71)【出願人】
【識別番号】500235870
【氏名又は名称】エレクトロニクス フォー イメージング,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】弁理士法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヨセフィ, ハナン
(72)【発明者】
【氏名】バレル, ダニ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本開示は、ユーザ/顧客が、プリンタの性能の客観的な評価を得ることを可能にするシステムである。
【解決手段】これは、早い時点の画像の品質スコアを遅い時点の画像の品質スコアと比較することによって実現される。プロセッサは、幾つかの基準に基づいて各画像を分析し、そして様々な画像分析方法を使用して、画像内のエラーにフラグを立てる。プリンタが劣化したか否かを客観的に評価する、エラーの数に基づく数値の品質スコアが、ユーザに提供される。したがって、ユーザは、ユーザが救済を受けるべきであるという議論を、販売員または製造業者に客観的に提示することが出来る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリンタとプロセッサを備えるプリンタ品質スコアリングシステムであって、
前記プリンタが、
インクをデポジットさせてプリントアウトを創成するように動作可能な1つ以上のプリントヘッドと、
第1のプリンタコンポーネントに取り付け可能であり、そして前記プリントアウトの画像をキャプチャすることが可能である画像キャプチャデバイスと、
第2のプリンタコンポーネントに取り付け可能であり、そして前記プリントアウトに向かって光を放出するように動作可能な光源であって、前記光源の角度および位置が調整可能である、光源と、
を含み、そして
前記プロセッサが、
前記プリンタに通信可能に結合されていて、
前記プリンタにより第1の時点で印刷されそして参照画像として格納される第1の時点のプリントアウトのプロパティを評価して、前記第1の時点のプリントアウトに対する第1の数値品質スコアを作成することが可能であり、
前記プリンタにより前記第1の時点に続く第2の時点で印刷される第2の時点のプリントアウトのプロパティを評価して、前記第2の時点のプリントアウトに対する第2の数値品質スコアを作成することが可能であり、そして
前記プリンタが劣化しているか否かを確立するために、前記評価されたプロパティに基づいて、前記第1の時点のプリントアウトに対して作成された前記第1の数値品質スコアを、前記第2の時点のプリントアウトに対する前記第2の数値品質スコアと比較することが可能である、
プリンタ品質スコアリングシステム。
【請求項2】
前記画像キャプチャデバイスが、エリアスキャンカメラ、ラインスキャンカメラ、またはスキャナの何れかを備える、請求項1に記載のプリンタ品質スコアリングシステム。
【請求項3】
前記第1の時点のプリントアウトおよび第2の時点のプリントアウトが同一の画像である、請求項1に記載のプリンタ品質スコアリングシステム。
【請求項4】
前記第1のプリンタコンポーネントおよび第2のプリンタコンポーネントが、プリントヘッドキャリッジまたはプリンティングテーブルの何れかを備える、請求項1に記載のプリンタ品質スコアリングシステム。
【請求項5】
前記第1の時点のプリントアウトおよび第2の時点のプリントアウトが、2つの異なるプリンタによって印刷される、請求項1に記載のプリンタ品質スコアリングシステム。
【請求項6】
複数の画像キャプチャデバイスが、前記第1のプリンタコンポーネントに取り付け可能である、請求項1に記載のプリンタ品質スコアリングシステム。
【請求項7】
前記プリンタが、ワンパスプリンタまたはマルチパスプリンタの何れかを備える、請求項1に記載のプリンタ品質スコアリングシステム。
【請求項8】
前記プロパティが、シャープネス、ノイズ、ダイナミックレンジ、トーン再現、コントラスト、色精度、歪み、口径食、露光精度、横色収差、レンズフレア、カラーモアレ、サイズ、周波数、不一致領域の数、またはそれらの任意の組み合わせである、請求項1に記載のプリンタ品質スコアリングシステム。
【請求項9】
前記プロセッサが、前記プリンタに搭載されている、請求項1に記載のプリンタ品質スコアリングシステム。
【請求項10】
前記プロセッサが、前記プリンタから構造的に分離されている、請求項1に記載のプリンタ品質スコアリングシステム。
【請求項11】
前記プロセッサが、更に、前記数値品質スコアに基づいて、今までに品質の低下があったか否かを評価する、請求項1に記載のプリンタ品質スコアリングシステム。
【請求項12】
前記品質スコアが、シャープネス、ノイズ、ダイナミックレンジ、トーン再現、コントラスト、色精度、歪み、口径食、露光精度、横色収差、レンズフレア、カラーモアレ、サイズ、周波数、不一致領域の数、またはそれらの任意の組み合わせである、請求項11に記載のプリンタ品質スコアリングシステム。
【請求項13】
一連の条件の下でプリンタにより第1の時点で印刷される第1のプリントアウトの第1の画像をキャプチャするステップ、
前記第1の画像を参照画像として格納するステップ、
前記第1の画像を評価して、前記第1のプリントアウトのプロパティを表す第1の数値品質スコアを作成するステップ、
前記一連の条件の下で前記プリンタにより前記第1の時点に続く第2の時点で印刷される第2のプリントアウトの第2の画像をキャプチャするステップ、
前記第2の画像を評価して、前記第2のプリントアウトのプロパティを表す第2の数値品質スコアを作成するステップ、
前記第1の数値品質スコアを前記第2の数値品質スコアと比較するステップ、および
当該比較の結果に基づいて、前記プリンタが今までに品質低下を経験したか否かを決定するステップ
を備えるプリンタの品質をスコアリングするための方法。
【請求項14】
前記プロパティが、シャープネス、ノイズ、ダイナミックレンジ、トーン再現、コントラスト、色精度、歪み、口径食、露光精度、横色収差、レンズフレア、カラーモアレ、サイズ、周波数、不一致の領域の数、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(関連出願の相互参照)
この出願は、2019年10月18日に出願された米国仮特許出願第62/923,196号および2019年12月5日に出願された米国特許出願第16/704,842号の優先権を主張し、これらの米国特許出願は共に参照により完全に組み込まれている。
【技術分野】
【0002】
本明細書等で開示される教示は、プリンタシステムに関する。より具体的には、本明細書等で開示される教示は、プリンタの品質評価システムに関する。
【0003】
製造業者は、高品質の製品を提供することに多くの努力を集中する。製造プロセスの早い段階での投資は、顧客が、製品を購入しそして製品を使用している間にその製品に満足していることを確認することを助けることが出来る。それにもかかわらず、顧客は、部品の損傷、不十分な性能、または他の様々な苦情の様な苦情を販売者に申し立てることがある。
【0004】
具体的には、プリンタ製造事業において、企業は顧客からの苦情の対処に苦労する。苦情は、印刷品質の低下、ノイズ、応答速度の遅さの様な、様々な理由により発生し得る。しかしながら、プリンタ内には問題を発生させる可能性のある複雑な部品が多数存在するので、人間が目で問題の原因を特定することは困難である。さらに、印刷品質の低下を評価することはさらに困難である。換言すると、あるプリンタである時点で生成された印刷画像の品質が、同一または異なるプリンタで別の時点で印刷された同一の画像の品質に類似している、または事前に定義された許容範囲内にあるか否かを客観的に判断することは困難である。
【0005】
しかしながら、不満の可能性を減らすために、プリンタを購入しようとする顧客には、その販売の前に、プリンタの様々な特徴および能力が示される。プリンタを購入しようとする顧客には、この顧客が調べそして購入を決定するために使用するデモプリンタから、印刷サンプルが提供される場合もある。プリンタを購入しそして使用した後に、この顧客は、プリンタの品質が販売前に示された品質と同等ではない、または購入時から劣化していると不満を述べる場合がある。したがって、購入したプリンタの印刷品質を客観的に測定し、そしてそれをデモプリンタの品質とまたは購入したプリンタの以前の品質と比較する方法が必要である。
【発明の概要】
【0006】
本明細書等で開示される実施形態は、プリンタの品質評価システムおよび方法を含む。この品質評価システムは、スキャナおよびカメラの様な画像キャプチャデバイス、光源、およびプロセッサを含む。この品質評価システムは、プリンタ内に収容することが出来る。この画像キャプチャデバイスは、プリントヘッドキャリッジまたはプリンティングテーブル上に配置することが出来る。この光源は、画像キャプチャデバイスの近くに取り付けることが出来る。この光源は、画像キャプチャデバイスの画像を照らして、後で分析を実行するのに十分な詳細な画像をキャプチャするために使用することが出来る。
【0007】
プリンタの品質評価システムの実施形態は、複数の光源、および異なる複数の画像キャプチャデバイスも含む。使用される光源と画像キャプチャデバイスの数は、この画質評価システムの場所に基づく。例えば、このシステムは、プリンティングテーブルの上に配置された場合、複数の光源を備えたスキャナデバイスの使用を容易にすることが出来る。別の例では、このシステムは、プリントヘッドの近くに配置することが出来る。これは、1つの光源でカメラを使用することを容易にすることができる。
【0008】
さらに、本開示は、プリンタの品質を評価する方法も含む。この方法は、品質評価システムを使用して、ある時点で印刷された画像(すなわち、参照画像)と別の時点で印刷された画像の両方を評価することを含む。この参照画像は、別のプリンタおよび別の時点で印刷することが出来る。しかしながら、この画像は同一の画像でなければならない。評価が実行されつつあるプリンタは、プロセッサを使用して画像を評価し、そして各画像の客観的な数値品質スコアをユーザに提供することが出来る。このスコアは、画像の品質を表す数値とすることが出来る。
【0009】
この発明の概要は、以下の発明を実施するための形態で詳細に説明される簡略化された形式で、概念の選択を紹介するために提供される。この発明の概要は、請求項に記載された主題の主要な特徴または本質的な特徴を特定することを意図せず、また請求項に記載された主題の範囲を制限するために使用されることも意図されていない。本明細書等で開示される実施形態の他の態様は、添付の図面および発明を実施する形態の説明から明らかになるであろう。
【0010】
特定の要素または動作の議論を容易に識別するために、参照番号の最も重要な1つまたは複数の数字は、その要素が最初に導入された図面の番号を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】プリンタの品質評価システムの実施形態を包含するプリンタコンポーネントの正面図を示す。
図2】プリンタコンポーネント内のプリンタの品質評価システムの拡大図を示す。
図3】プリンタコンポーネント内のネットワーク接続された品質評価システムの全体図を示す。
図4】本明細書等に記載のシステムおよび方法を使用するより以前の、従来の顧客体験のブロック図である。
図5】本明細書等に記載されるシステムおよび方法を使用する際の、顧客体験のブロック図である。
図6】異なる時点で印刷された2つの画像を客観的に評価するために取られるステップの高レベルのブロック図である。
図7】本明細書等で論じられる方法の1つまたは複数をマシンに実行させるための一連の命令を実行することが出来るコンピュータシステムの例示的な形態におけるマシンの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、様々な例示的な実施形態が説明される。以下の説明は、これらの例を完全に理解し、そして説明を可能にするための特定の詳細を提供する。しかしながら、当該技術の当業者は、本明細書等で開示される実施形態の幾つかが、これらの詳細の多くが無くても実施することができることを理解するであろう。
【0013】
同様に、当業者は、実施形態の幾つかが、本明細書等で詳細に説明されていない他の多くの明白な特徴を含み得ることも理解するであろう。加えて、幾つかの周知の構造または機能は、様々な例の関連する説明を不必要に曖昧にすることを避けるために、以下では詳細に示されていない、または説明されていない場合がある。
【0014】
以下で使用される用語は、実施形態の特定の例の詳細な説明と併せて使用されている場合でも、その最も広い合理的な方法で解釈されるべきである。実際、特定の用語が、以下で強調されることさえある。しかしながら、その解釈を制限することを意図した用語は、発明を実施するための形態のこのセクションにおけるように、明確かつ具体的に定義されるであろう。
【0015】
プリンタの品質評価システムには幾つかのコンポーネントが存在する。このシステムは、カラーカメラ、エリアまたはライン、1つまたは複数のカラースキャナ、またはその両方の様な、1つまたは複数の画像キャプチャデバイスを含むことが出来る。この画像キャプチャデバイスは、プリントヘッドまたはプリンティングテーブルの近くまたはそれらの上に取り付けることが出来る。この画像キャプチャデバイスは、色の変化や解像度の様な違いを検出することができる十分な解像度で画像をキャプチャすることが出来る。通常、画像間の違いを検出するには、40umの解像度で十分である。例えば、このシステムは、エリアスキャンカラーカメラ(つまり、Basler acA1920-40gc)を含むことが出来る。このカメラはプリンタのプリントヘッドキャリッジに取り付けることが出来る。この配置では、このカメラは、プリントヘッドがタスクを完了した後に、印刷された画像の写真を撮ることが出来る。
【0016】
別の実施形態では、このシステムは、異なる場所の複数のカメラ:プリンティングテーブルに取り付けられたラインスキャンカメラおよびプリントヘッドに取り付けられたエリアスキャンカメラ、を含むことが出来る。この配置は、1台のカメラに障害が発生した場合のフェイルセーフとして機能する、または分析の二重検証を可能にすることが出来る。例えば、印刷された画像は、先ず、プリントヘッドに取り付けられたエリアスキャンカメラからのデータに基づいて、処理することができる。このカメラからの分析は、特定の数値品質スコアをユーザに提供することが出来る。続いて、この印刷された画像は、プリンティングテーブルに取り付けられたラインスキャンカメラからのデータに基づいて、処理することが出来る。その後、ユーザは、別の数値品質スコアを受け取ることが出来る。次で、このユーザは、2つの数値品質スコアを比較して、画像の数値品質スコアが正確であることを確認することが出来る。もし、それらが許容範囲内で類似していない場合、ユーザは、分析を再度行う、別の画像を使用する、別のプリンタを使用する等を決定することが出来る。
【0017】
別の実施形態では、品質評価システムは、媒体をスキャンしそして画像を印刷するワイドフォーマットインクジェットプリンタのヘッドキャリッジに取り付けられたエリアスキャンカラーカメラ(すなわち、Basler acA1920-40gc)を備えたマルチパスプリンタを含むことが出来る。このエリアスキャンカラーカメラは、印刷された画像が、この画像が乾燥または硬化された後にレンズの下にあるような位置に、設置されている。
例えば、プリントヘッドキャリッジが画像の印刷を終了した後、ワイドフォーマットプリンタは、エリアスキャンカラーカメラが印刷された画像の写真を撮るまで、この印刷された画像をプリンタトレイに移動させないこともできる。逆に、このエリアスキャンカラーカメラは、プリンタが画像の部分の印刷を完了したときに複数の写真を撮影することができる。この場合、プリンタは、プリントヘッドが画像の一部を印刷する際に、印刷された画像を印刷ベルトに沿って移動させることができる。エリアスキャンカラーカメラは、各印刷部分について複数の写真を撮ることができる。その後、プロセッサは、分析のために画像をコンパイルすることが出来る。
【0018】
図1は、プリンタの品質評価システムの実施形態を包含するプリンタの正面図を示す。図1は、プリンタ102、光源104およびカメラ106を備えた品質評価システム100を示す。このシステムは、ある時点で1つのプリンタによって印刷された画像、および同一または異なるプリンタによって同一または異なる時点で印刷された同一の画像の印刷を評価することを可能にする。
【0019】
図1の品質評価システム100の実施形態では、図1に示されるように、カメラ106は、Teledyne/Dalsa LA-GC-02K05B-00-R 2048x2カラーGIGEの様なラインスキャンカメラとすることが出来る。このラインスキャンカメラは、上述のエリアスキャンカメラと同様に取り付けそして操作することが出来る。この実施形態では、このラインスキャンカメラは、2m/秒のキャリッジ速度とともに、例えば、45kHzでラインをキャプチャすることが出来る。これにより、約44umのサンプリング分解能が可能になる。
【0020】
画像キャプチャデバイスに加えて、品質評価システム100は、1つまたは複数の光源104を含むことが出来る。1つまたは複数の光源104は、好ましくは、光が、カメラを遮蔽する、または媒体にホットスポットを発生させたりすることなく、媒体から反射されるような距離と角度で、カメラ106の近くに取り付けられるべきである。換言すると、光源104は、媒体を均一に照らすべきである。これが不可能な場合、光の減衰により、カメラ106が十分な詳細で画像をキャプチャすることが妨げられない限り、光拡散器を使用することができる。加えて、光源104は、印刷された画像の色を歪ませるべきではない。例えば、光源104は、実質的に赤色である印刷された画像に、緑色の光を放出することは出来ない。これは、カメラ106が写真を撮るときに画像の変色をもたらす可能性が高いであろう。
【0021】
カメラ106および光源104を使用することにより、品質評価システム100は、印刷された画像を分析することが出来る。一般的に、カメラ106は、画像を分析するためにキャプチャされた画像をプロセッサに送信する。プロセッサは、印刷された画像と前の画像(つまり、参照画像)の両方を評価することが出来る。このような評価は、同一の媒体(つまり、画像)、環境条件(つまり、温度、湿度、照明など)、およびプリンタ設定(つまり、ヘッドのステータス、システム電源等)の様な同様の条件下で実行されることが重要である。加えて、画像を正確に評価するために、カメラ、プリンタ等の較正が必要となる可能性があることは、当技術分野では既知である。
【0022】
一実施形態では、品質評価システム100は、プリンタ102のプリントヘッドキャリッジに取り付けられたカメラ106を有することが出来る。画像がカメラ106のレンズの下に到着すると、カメラ106は、画像のフレームを標準露光時間で迅速にキャプチャすることが出来る。通常、キャリッジは2m/秒の速度で移動する。露光時間は、ぼやけた画像を避けるために10us以下にすることが出来る。しかしながら、露光時間が短いため、プリントを照らすために高輝度の光源が必要になる場合がある。これは、10usの持続時間の光パルスで行うことが出来る。カメラ106のシャッタが光に曝されたときに画像が確実に照らされるように、光パルスは、カメラ106の露光時間と同期されるべきである。
【0023】
別の実施形態では、光パルスのタイミングは、印刷された画像を十分な解像度でキャプチャし、かつキャリッジが、カメラ106のレンズの視野(FOV)以下の距離を移動するように、プログラムすることが出来る。例えば、2m/秒のキャリッジ速度と75mmのFOVでは、2つのトリガーパルス間の時間は37.5ms以下とすべきである。
【0024】
加えて、カメラ106および光源104によるトリガーパルスは、プリンタ102に接続された制御コンピュータ(図示せず)によって生成することが出来る。制御コンピュータとプリンタとの間の関係は、既知の方法により確立することが出来る。例えば、コンピュータは、プリンタ102の外部に置き、そしてユニバーサルシリアルバス(USB)、ブルートゥース、WiFi、または他の通信方法を介して接続させることが出来る。別の実施形態では、コンピュータは、プリンタ102に搭載することが出来る。プリンタ102は、ユーザがコンピュータと対話してデータを受信するためのインターフェースを有することが出来る。
【0025】
品質評価システム100がフレームで画像をキャプチャした後、このフレームはコンピュータに転送することが出来る。コンピュータは、遅い時点の画像と早い時点の画像(つまり、参照画像)の両方を評価することが出来る。この参照画像は、遅い時点の画像と同一の解像度を有することが好ましい。しかしながら、もし、スキャナやカメラが、画像を重複して撮影してしまう様なエラーがある場合、評価する前に、既知の方法を使用してそれらを解決する必要がある。
【0026】
スキャナまたはカメラ106が、同一のフレーム内の連続する画像または隣接する媒体をキャプチャするときに、画像が重複して撮影されてしまうことが起こる。このエラーは、例えば、上述のトリガーパルスがキャリッジ速度と同期していない場合に発生し得る。重複画像の問題を解決する1つの方法は、連続するフレーム間と2つの隣接するスキャンライン間の両方で、フレーム内の重複するピクセルをマッピングし、そして重複する部分を1回しか格納しないことである。例えば、第1のフレーム(つまり、最右端のピクセル)の重複部分のみを保存し、そして次のフレーム(つまり、最左端のピクセル)からそれを破棄する、または1つのスキャンライン(つまり、フレームの下部)の第1のフレームからの重複部分を格納し、そして次のスキャンライン(つまり、フレームの上部)の同一の位置のフレームからそれを破棄する。印刷された画像の外側にある部分を破棄するために、画像のバウンディングのフレームに特別な処理が必要になる場合がある。重複する問題を解決する別の方法は、キャプチャされたフレームを参照画像にマッピングし、そしてピクセルを1回だけ格納することである。
【0027】
両方の画像を評価するために、カメラ106は、コンピュータまたはプロセッサに接続されるべきであるが、これは、必ずしもプリンタ102を制御する制御コンピュータまたはプロセッサと同一である必要はない。カメラ106およびコンピュータは、有線通信(つまり、イーサネットケーブル)またはワイヤレス(つまり、Bluetooth)を介しての様な、様々な既知の方法によって接続することが出来る。例えば、分析は、USBによってカメラ106に接続された外部のラップトップで実行することが出来る。カメラ106は、分析のためにUSBを介してこのラップトップに情報を送信することが出来る。このラップトップは、独自の分析ツールを有する、カメラ106に固有のポータルを有する、または他の分析手段を有することができる。一般的に、分析は既知の画質評価方法で行うことが出来る。
【0028】
例えば、品質評価システム100は、先ず、様々なパラメータに基づいて、画像またはパターンの数値品質スコアを計算することができる。次いで、この品質スコアは、参照画像の品質スコアと比較することが出来る。別の実施形態では、品質評価システム100は、プリントアウトの特定の特性の品質スコアを割り当てそして比較することが出来る。例えば、プリントアウト内のカラーパッチのデルタEに、品質スコアを割り当て、そしてパントン(Panton)の様な事前設定されたカラーブックの品質スコアと比較することが出来る。別の実施形態では、画像は、二値画像に変換することが出来る。その後、このシステムは、評価プロセス中にハフ(Hough)変換またはソーベル(Sobel)フィルタの様なアルゴリズムを使用してエッジ検出を実行することが出来る。
【0029】
図2は、画像キャプチャデバイス(すなわち、カメラ206)および光源204を含むプリンタコンポーネント202内の品質評価システム200の拡大図を示す。光源204は、調整可能なレールシステム208に取り付けることが出来る。調整可能なレールシステム208は、光源204がレールシステム208に沿ってスライドし、そして印刷された画像に対してその角度を変更することを可能にすることが出来る。例えば、光源204が印刷された画像に近すぎたために、カメラ206によってキャプチャされた画像が、ホットスポットを含む場合がある。制御コンピュータは、光源204をレールシステム208に沿ってスライドさせることによって、印刷された画像に対する光源204の角度を変更することによっての何れかによって、またはその両方によって、光源204に、印刷された画像から離れるように命令することが出来る。
【0030】
図3は、プリンタコンポーネント302内のネットワーク接続された品質評価システム300の実施形態の全体図を示す。ネットワーク接続された品質評価システム300は、ネットワーク接続することにより、他のネットワーク接続されたプリンタと通信することが出来る。ネットワーク接続されたプリンタは、参照画像、品質評価パラメータ、カメラ設定、照明設定の詳細、または他の関連する詳細を通信することが出来る。例えば、このプリンタコンポーネント302は、WiFi接続されたプリンタの一部とすることが出来る。このプリンタは、特定の参照画像と数値の品質スコアを使用して品質を評価している可能性がある。次で、このプリンタは、同一または他のWiFiネットワーク内の他のプリンタに参照画像の詳細を提供することができる。これにより、他のプリンタは、参照画像とそのスコアを同様の状況で使用することが出来る。別の例では、このプリンタは、この現在のプリンタが機能していないときに、同一ネットワーク内の別のプリンタが、最適に機能していることをユーザに示すことができる。加えて、障害のあるプリンタは、最適に機能しているプリンタに印刷コマンドを送信しそしてユーザに転送についてのアラートを送ることができる。
【0031】
図4は、本明細書等に記載のシステムおよび方法を使用する以前の顧客体験のブロック図である。この図は、従来技術を説明するものに過ぎず、本明細書等で説明する本システムおよび方法の特徴を示すものではない。ステップ410において、購入検討中の顧客は、同一のモデルのデモプリンタに基づいてプリンタモデルの品質を評価する。このデモには、様々な画像の色、サイズ、解像度、または他の特性で画像を印刷することを含めることが出来る。例えば、営業担当者は、購入検討中の顧客のために夕日の画像を印刷しても良い。購入検討中の顧客は、この印刷された画像には、夕日の様々な色が明確に表示されていることを確認することができる。
【0032】
したがって、ステップ415において、購入検討中の顧客は、デモプリンタの機能評価に基づいて、デモプリンタと同一のモデルのプリンタを購入することを決定することができる。逆に、状況によっては、この顧客は、このデモプリンタを購入することも出来る。ステップ420において、この顧客は、このプリンタをセットアップし、そしてこれの使用を開始することが出来る。この顧客は、ユーザマニュアル、以前の経験と知識、または関連するスキルの組み合わせに従って自宅でこのプリンタを設定することが出来る。インストール後、この顧客は、このプリンタを大きな問題もなく一定期間使用し、そしてこの間この顧客はこのプリンタに満足している可能性がある。将来のある時点であるテップ425において、この顧客は、このプリンタによって印刷された画像の品質の低下に気付く。この劣化は、ぼやけた線、インクの汚れ、低解像度、または他のエラーである可能性がある。
【0033】
この場合、顧客は、購入したプリンタに欠陥があると判断する可能性がある。従来技術では、顧客は、ステップ430またはステップ435の2つのオプションを有する。ステップ430において、顧客は、新しいプリンタを購入する、または現在のプリンタを整備するかを決定する。この決定は、コスト、時間、必要性の様な複数の要因に基づかせることが出来る。ステップ435で、顧客は、故障したプリンタを新しいプリンタと交換することができるまたは払い戻しを受けることを期待して、販売員または製造業者に劣化の証拠を提示することが出来る。例えば、顧客は、インクのにじみおよびぼやけた線が付いた最近印刷された画像を営業担当者に見せることが出来る。これに対して、営業担当者または製造業者は、プリンタは期待どおりに機能していること、障害がユーザエラーによるものであること、インストールの誤りによるものであること、または他の幾つかの応答の1つを主張または提示することが出来る。顧客は営業担当者の回答の一部に反論できるかもしれないが、顧客は、適切な結論に達するために、時間、エネルギ、およびリソースを費やす必要がある。換言すれば、顧客の問題は、容易には解決されない可能性がある。
【0034】
逆に、図5は、本明細書等に記載の方法およびシステムが使用される際の顧客の改善された経験を示す。顧客が、欠陥のある可能性のあるプリンタの補償および返品の様な解決策を求めた場合に、客観的な評価は、プリンタの性能に関する議論および法的な争いさえ排除することが出来る。
【0035】
ステップ505、510、515、520、および525は、図4において顧客が取るステップと同様である。要約すると、顧客は、販売前のデモ中に、同様のモデルのプリンタの機能に基づいてプリンタを購入する。残念ながら、顧客は、プリンタを購入しそして使用した後、プリンタの性能に不満を抱き、そしてプリンタの販売員または製造業者に解決策を求めると決める。ステップ530において、この顧客は、販売員または製造業者に提示するための客観的な数値品質スコアを取得することができる。この証拠により、顧客は、例えば、返金または交換用のマシンを得ることによって、問題を容易に解決することができる。
【0036】
例えば、顧客は、自宅で、彼らのプリンタがもはや高品質の画像を印刷しないこと(すなわち、インクの汚れ、ぼやけた線など)に気付く場合がある。次に、顧客は、本明細書等に記載されている評価方法およびシステムの使用を決定することができる。このシステムは、最近印刷された画像と参照画像または以前に印刷された画像の両方の評価に基づいて、客観的な数値品質スコアを顧客に提供することが出来る。ステップ535において、もし、数値品質スコアによって示される劣化が存在する場合、顧客は、両方の数値品質スコアを販売員に提示し、そして問題を解決することが出来る。例えば、このシステムは1~10(10は高品質を示す)のスケールで品質スコアの数値を提供する。このシステムは、参照画像に対して9の品質スコアを提供し、そして最近印刷された画像に対して4の品質スコアを提供する場合、顧客は、劣化の客観的な証拠を持つことになる。
【0037】
別の実施形態では、プリンタの販売員または製造業者は、プリンタが新品であったときに計算された画像およびその品質スコアを提供することができる。この場合、顧客は、参照画像を使用せずに、このスコアを参照として使用することが出来る。したがって、この顧客は、この参照スコアを最近印刷された画像の品質スコアと直接比較することが出来る。例えば、プリンタの製造業者は、プリンタの最適な設定とともに、数値の品質スコアと対応する画像を顧客に(つまり、マニュアルで)提供することができる。次いで、この顧客は、同様の設定を使用しそして遅い時点で同一の画像を印刷して、このプリンタが劣化しているか否かを確認することが出来る。
【0038】
一実施形態では、この品質評価システムは、評価のレポートをユーザに提供することが出来る。このレポートは、新しい画像上の歪んでいる可能性のある場所、自宅でのトラブルシューティングのアイデア、問題の考えられる原因、他の関連情報の組み合わせの様な、詳細を含むことが出来る。別の実施形態では、このシステムは、WiFiの様な通信ネットワークに接続することができる。このシステムは、ネットワークを使用して、自身のトラブルシューティング、製造業者への連絡、地域の営業担当者へのアラートの送信、ネットワーク内の他のプリンタへの連絡、またはユーザのネットワーク接続デバイス(モバイルデバイス、ラップトップなど)への連絡を行うことが出来る。
【0039】
図6は、異なる時点で印刷された2つの画像を客観的に評価するためにシステムが取るステップの高レベルのフローチャートである。ステップ605において、参照画像つまり第1の画像が、カメラによってキャプチャされる。ステップ610において、遅い時点のつまり第2の画像がキャプチャされる。上術したように、両方の画像は、好ましくは、同一の解像度、同一の画像であり、そして同様の条件下で撮影されるべきである。
【0040】
ステップ615において、カメラは、分析のために、キャプチャされた画像をコンピュータに送信する。このコンピュータは、プリンタに搭載されている場合と、プリンタの外部にある場合がある。外部コンピュータは、無線または有線で、そしてUSB、WiFi、Bluetoothの様な既知の方法を介して接続することができる。ステップ620で、このコンピュータは、画像を評価して、両方の画像の品質スコアに到達する。このコンピュータは、例えば、完全参照モデル、構造的類似性指数、視覚情報忠実度システム、人間の視覚システム、参照を減らした方法、不一致領域のクラスタのグループ化、または他の画像品質評価方法の様な、複数の既知の分析方法を使用することが出来る。これらの方法は、シャープネス、ノイズ、ダイナミックレンジ、トーン再現、コントラスト、色精度、歪み、ビグネッティング、バンディング、インク滴、ノズルの欠落、露出精度、横方向の色彩収差、レンズフレア、カラーモアレ、サイズ、周波数、不一致領域の数の様な、様々な画像およびプリンタの特性を評価するために使用することが出来る。複数の評価基準を使用することにより、このプロセスは、一時的なノイズおよび製品の許容範囲内の条件の違いによる誤アラームを排除する。
【0041】
一実施形態では、この品質評価システムは、エラーとしてフラグを立てることなく、基準内において一定量の劣化(すなわち、許容レベル)を許容することが出来る。このしきい値許容値は、画像のコンテンツまたは画像の視距離に適合するようにプログラムすることが出来る。さらに、各基準には、重みの数値に反映される異なる重要性を与えることができる。最終的な品質スコアは、各基準の全ての加重スコアを合計する方法、全ての基準のスコアを平均化する方法、または他の同様の計算法の様な、様々な方法を使用して計算することが出来る。最終スコアをユーザにレポートする前に、このシステムは、平均二乗誤差、標準偏差計算の様な統計誤差分析を適用する、または回帰モデルを使用して偽陽性を回避することも出来る。
【0042】
一実施形態では、この品質評価システムは、各基準を異なる方法(すなわち、異なる、許容誤差、重量、スケールなど)で分析することができる。例えば、このプロセッサは、0~100のスケールでシャープネスを分析することができる。画像の分析中に、このプロセッサが、あるピクセルのクラスタから別のピクセルのクラスタへ5単位のシャープネスの低下を検出する場合がある。しかしながら、このプロセッサは、シャープネスに対して10単位の許容誤差を持つようにプログラムすることが出来る。したがって、このプロセッサが、あるクラスタから別のクラスタに5単位の損失を検出した場合、このプロセッサはそれをエラーとしてフラグ付けしないであろう。しかしながら、もし、10単位を超えるシャープネスの低下が検出された場合は、それは品質スコアに含まれるであろう。
【0043】
さらに、この品質評価システムは、最終的な品質スコアを計算するために全ての基準のスコアを平均化するようにプログラムすることができる。例えば、このプロセッサは、幾つかのプロパティを0~100のスケールで評価するようにプログラムすることができる。分析後、このプロセッサは、シャープネスが40、コントラストが50、バンディングが60、カラーディストーションが70、ノイズが80のスコアに到達する場合がある。この場合、このプロセッサは、各プロパティのスコアの平均である全体的な品質スコア(100点中60点)を提供することが出来る。そして、ユーザは、この品質スコアを参照スコアと比較することが出来る。
【0044】
一実施形態では、この品質評価システムは、k最近傍法、局所外れ値因子、外れ値検知、ベイジアン(Bayesian)ネットワーク、隠れマルコフ(Hidden Markov)モデル、クラスタ分析、アンサンブル技術などの様な、異常検出技術を使用するようにプログラムすることが出来る。さらに、この品質評価システムは、異常検出データセット(Outlier Detection DataSets)の様な既知のデータセットを使用してトレーニングすることが出来る。したがって、この品質スコアは、プロセッサが検出した異常の数に基づかせることが出来る。例えば、このプロセッサは、クラスタ分析を使用して、それらの共通性(すなわち、色、位置、オブジェクトなど)に基づいてピクセルを共にクラスタ化することができる。しかしながら、もし、ピクセルまたはピクセルのグループが、より大きなクラスタの何れとも共通性を持たない場合、このプロセッサは、ピクセルに異常のフラグを立てることができる。この品質スコアは、検出された異常の数と同一にすることが出来る。
【0045】
一実施形態では、この品質スコアは、事前設定されたエラーのリストに基づかせることが出来る。このリストは、インクのしみ、インクのにじみ、カラーバンディング、ノズルの欠落、シャープネスの急激な変化、誤った色の使用、他の印刷エラーの様なエラーを含むことが出来る。事前設定されたエラーのリストは、例えば、販売前のトレーニング中に作成し、そしてプロセッサのメモリに保存することが出来る。このプロセッサは、画像分類、オブジェクト検出、セマンティックセグメンテーション、インスタンスセグメンテーションの様な方法を使用して、これらのエラーを検出することができる。このコンピュータは、検出されたエラーごとに、事前設定された値から減算する、または合計にポイントを追加するようにプログラムすることができる。
【0046】
一実施形態では、このプロセッサは、プリンタに搭載し、そして画像分類技術を使用してエラーを検出するようにプログラムすることが出来る。画像分類とは、画像内のパターンを認識し、そしてこのパターンを既知のカテゴリに分類するようにコンピュータをトレーニングする方法である。適用可能な技術分野には、畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Networks)の様な、公知の幾つかの画像分類技術が存在する。画像分類手法の大部分は、約120万の高解像度トレーニング画像を含むデータセットであるImageNetの様なデータベースを使用してトレーニングされる。品質評価システムに画像分類を適用する一例は、ユーザが、赤い車の画像を印刷し、そしてその印刷物に青い斑点のある車があることに気付く場合である。この場合、ユーザは、本明細書等で説明されている品質評価システムの使用を決定することが出来る。このプロセッサは、画像キャプチャデバイスから画像を受信した後、画像分類手法を適用して、クラスタを「赤い車」のカテゴリに分類することが出来る。しかしながら、このプロセッサは、ピクセルのより大きな「赤い車」カテゴリのバウンディング内に、「赤い車」カテゴリに分類することが出来ない幾つかのピクセルが、存在することにも気付くことが出来る。したがって、このプロセッサは、「赤い車」クラスタのバウンディング内にあるが「赤い車」として分類されるべきではないピクセルの各クラスタに、1ポイントを追加することが出来る。誤って分類されたピクセルクラスタの総数は、画像の品質スコアと言う結果になり得る。
【0047】
別の実施形態では、プロセッサは、ラップトップの様なプリンタの外部にあるものとすることが出来る。このプロセッサは、例えば、USBを介してプリンタに接続し、そしてオブジェクト検出を使用するようにプログラムすることが出来る。オブジェクトの検出中、このプロセッサは、リージョンベースの畳み込みニューラルネットワーク(R-CNN: Region-based Convolutional Neural Network)、高速R-CNN、リージョン提案ネットワーク(Region Proposal Network)の様な手法を適用することが出来る。一般的に、オブジェクトの検出は、画像をオブジェクトバウンディングボックスと非オブジェクトバウンディングボックスに分離する。このオブジェクトバウンディングボックスは、画像内のオブジェクトを囲み、そしてこの非オブジェクトバウンディングボックスは、他の領域を囲む。したがって、このプロセッサは、他の異常検出方法を使用して、バウンディング領域内の異常を検出することが出来る。
【0048】
別の実施形態では、外部プロセッサは、セマンティックセグメンテーションを使用するようにプログラムすることが出来る。このセマンティックセグメンテーションは、画像内の各ピクセルの役割を理解しようとする。例えば、ユーザは、歩行者、車、一時停止の標識、樹木などがあるにぎやかな通りの画像を印刷することが出来る。このプロセッサは、画像内の各ピクセルを、歩行者、車、一時停止の標識、樹木などであると分類する試みをすることが出来る。したがって、もし、この画像が、歩行者に分類されたピクセルを含むが、歩行者とラベル付けされたクラスタ内のピクセルのサブセットが、この分類と一致しない場合、このプロセッサは、それにエラーとフラグ付けすることが出来る。加えて、このプロセッサは、エラーとして分類することが出来ないクラスタにフラグを立てることもできる。前述したように、このプロセッサは、値を加算または減算して、品質スコアに到達することが出来る。
【0049】
ステップ625および630において、顧客は、品質スコアを受け取り、そしてそれを参照スコアと比較する。その後、この顧客は、プリンタが劣化したか否かを客観的に見ることが出来る。評価の結果は、コンピュータ画面、印刷物、またはモバイルアプリケーションからの通知の様な、様々な方法で顧客に示すことが出来る。結果を評価することにより、顧客は、例えば、第2の印刷のどこで品質の低下が発生したか、またはこの印刷のどの特性が低下したかを見ることができる。さらに、この顧客は、各基準の統計データを含む他のデータを取得することも出来る。
【0050】
一般的に、参照スコアは、以前に印刷された同一の画像の印刷に基づかせることが出来る。以前の印刷は、同一のプリンタまたは別のプリンタで印刷することが出来る。例えば、参照スコアは、販売前の活動中にユーザに表示されたデモプリンタによる印刷に基づかせることが出来る。この参照スコアは、同一のモデルの別のプリンタによる印刷に基づかせることも出来る。同一のモデルのプリンタは、WiFi、イーサネット、Bluetooth、および他の既知の通信方法を介して、参照スコアを通信することが出来る。さらに、このプリンタは、品質スコア、品質スコアの基になっている画像、印刷中にプリンタが使用した設定、および他の情報を含むデータベースにワイヤレスでアクセスすることができる。
【0051】
例えば、本明細書等で説明されるシステムおよび方法は、2つの異なるプリンタによって印刷された画像を評価することができる。別のプリンタにより別の時点で印刷された同一の画像を使用して、あるプリンタによりある時点で印刷された画像を評価するために、第1の時点の印刷からの情報は、第2のプリンタに転送することが出来る。このプリンタは、WiFi、Bluetooth、クラウドサービスなどの様な、様々な既知の方法で、相互にデータを転送することが出来る。例えば、プリンタ製造業者は、プリンタ、デモサイト、顧客などを接続するグローバルネットワークを創成することが出来る。したがって、顧客およびプリンタは、プリンタの品質を評価するための情報を共有することができる。
【0052】
一実施形態では、プリンタは、問題について考えられる原因を改善するために自己修正手段を実行することが出来る。例えば、品質の違いは、画像のインクのしみが原因である可能性がある。プリンタは、このデータをレポートで顧客に提供することが出来る。その後、顧客は、例えば、プリンタを返品するか、払い戻しを要求するかを選択することが出来る。これに代えて、顧客は、ノズル、プリントヘッド、および他の考えられる問題の原因に対して診断チェックを実行する様な、自己修正手段の実行をプリンタに許可することができる。これにより、プリンタは、例えば、自身をリセットする、デフォルト設定を選択する、セーフモードに入ったりすることによりエラーを解決することができる。
【0053】
別の実施形態では、プリンタは定期的に品質チェックを実行することができる。例えば、このプリンタは、参照画像をメモリに格納し、そして月に1回、参照画像を印刷し、そして印刷出力の品質スコアを参照画像の品質スコアと比較することができる。これにより、必要に応じて、このプリンタは、自動的に自己修正手段を実行する、または上述の方法(WiFi、Bluetoothなど)を使用して、情報を顧客に伝えることができる。
【0054】
図7は、本明細書等で説明される実施形態の幾つかの特定の特徴を実施するために使用することができるコンピュータシステムのブロック図である。このコンピュータシステムは、サーバーコンピューティング、クライアントコンピュータ、パーソナルコンピュータ(PC)、ユーザデバイス、タブレットPC、ラップトップコンピュータ、携帯情報端末(PDA)、携帯電話、iPad、ブラックベリー、プロセッサ、電話、Webアプライアンス、ネットワークルータ、スイッチまたはブリッジ、コンソール、ハンドヘルドコンソール、(ハンドヘルド)ゲームデバイス、音楽プレーヤ、ポータブルモバイル、ハンドヘルドデバイス、ウェアラブルデバイス、またはそのマシンによって実行されるアクションを指定する一連の命令(シーケンシャルまたは他)を実行することができる、または実行する任意のマシンとすることができる。
【0055】
コンピューティングシステム700は、1つまたは複数の中央処理ユニット(「プロセッサ」)705、メモリ710、入力/出力デバイス720(例えば、キーボードおよびポインティングデバイス、タッチデバイス、ディスプレイデバイス)、格納デバイス715(例えば、 ディスクドライブ)、および相互接続730に接続されたネットワークアダプタ725(例えば、ネットワークインターフェース)を含むことができる。相互接続730は、任意の1つまたは複数の別個の物理バス、ポイントツーポイント接続、または適切なブリッジ、アダプタ、またはコントローラによって接続される両者wを表す抽象として示されている。したがって、相互接続730は、例えば、システムバス、ペリフェラルコンポーネントインターコネクト(PCI)バスまたはPCI-Expressバス、ハイパートランスポート(HyperTransport)または業界標準アーキテクチャ(ISA)バス、小型コンピュータシステムインターフェース(SCSI)バス、ユニバーサルシリアルバス(USB)、IIC(I2C)バス、または電気電子技術者協会(IEEE: Institute of Electrical and Electronics Engineers)の標準1394バス(「Firewire」とも呼ばれる)を含むことができる。
【0056】
メモリ710および格納デバイス715は、様々な実施形態の少なくとも一部を実行する命令を格納することができるコンピュータ可読格納媒体である。加えて、このデータ構造およびメッセージ構造は、データ伝送媒体、例えば、通信リンク上の信号を介して格納または送信させることができる。インターネット、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、またはポイントツーポイントダイヤルアップ接続のような、様々な通信リンクが、使用可能である。したがって、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読格納媒体(例えば、「非一時的」媒体」)およびコンピュータ可読伝送媒体を含むことが出来る。
【0057】
メモリ710に格納された命令は、上述のアクションを実行するようにプロセッサ705をプログラムするためのソフトウェアおよび/またはファームウェアとして実装させることが出来る。幾つかの実施形態では、このようなソフトウェアまたはファームウェアは、リモートシステムからコンピューティングシステム700を介して(例えば、ネットワークアダプタ725を介して)ダウンロードすることによって、最初に、処理システム700に提供することができる。
【0058】
本明細書等で紹介される様々な実施形態は、例えば、ソフトウェアおよび/またはファームウェアでプログラムされたプログラム可能な回路(例えば、1つまたは複数のマイクロプロセッサ)によって、または完全に専用の有線(プログラム不可能な)回路で、またはそのような形式の組み合わせで、実装させることが出来る。特殊用途のハードワイヤード回路は、例えば、1つまたは複数のASIC、PLD、PFGAなどの形式にすることができる。
【0059】
(備考)
上述の説明および図面は、例示的なものであり、そして限定的なものとして解釈されるべきではない。本開示の完全な理解を提供するために、多数の特定の詳細が説明されている。しかしながら、説明がわかりにくくなるのを避けるために、周知の詳細は、説説明されていない。さらに、実施形態の範囲から逸脱することなく、様々な修正を行うことができる。
【0060】
本明細書等における「一実施形態」または「実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本明細書等の様々な場所での「一実施形態において」という句の出現は、必ずしも全てが、同一の実施形態、また他の実施形態を相互に排除する別個のまたは代替の実施形態を参照しているわけではない。さらに、幾つかの実施形態によって示され、そして他の実施形態によって示されない可能性がある様々な特徴が、記載されている。同様に、幾つかの実施形態の要件であり得るが、他の実施形態の要件ではない様々な要件が、記載されている。
【0061】
本明細書等で使用される用語は、一般的に、当技術分野において、本開示の文脈内で、そして各用語が使用される特定の文脈において、それらの通常の意味を有する。本開示を説明するために使用される特定の用語は、本開示の説明に関して医療従事者術に追加のガイダンスを提供するために、上術したようにまたは本明細書等の他の場所で論じられている。便宜上、特定の用語は、例えば、イタリックや引用符を使用して強調表示されている。ハイライトの使用は、用語の範囲と意味に影響を与えない。用語の範囲と意味は、強調表示されているか否かに関係なく、同一のコンテキスト内で同一である。同一であることが、複数の状況でも言えることは、理解されるであろう。「メモリ」は「ストレージ(格納)」の一形態であり、これらの用語が、時々同一の意味で使用することができることは、認識されるであろう。
【0062】
したがって、本明細書等で論じられる用語の何れか1つまたは複数に代替の言語および同義語を使用することができるが、用語が本明細書等で詳述または論じられているか否かに関わらず、これに特別な意味を持たせることはない。特定の用語の同義語が、提供されている。1つ以上の同義語の使用は、他の同義語の使用を除外しない。本明細書等で論じられる任意の用語の例を含む本明細書等の任意の場所での例の使用は、例示にすぎず、そして本開示または任意の例示された用語の範囲および意味をさらに限定することを意図するものではない。同様に、この開示は、本明細書等で与えられる様々な実施形態に限定されるものではない。
【0063】
本開示の範囲をさらに限定することを意図することなく、本開示の実施形態による機器、装置、方法、およびそれらの関連する結果の例が、上述したように与えられている。読者の便宜のために、タイトルまたはサブタイトルが、例で使用されているが、これは決して開示の範囲を制限するものではないことに注意すべきである。別段の定義がない限り、本明細書等で使用される全ての技術用語および科学用語は、本開示が関係する当業者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有する。競合が発生した場合は、定義を含む本文書が優先されるであろう。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7