(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174977
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】自動バイオ製造システム、施設、及びプロセス
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20241210BHJP
【FI】
C12M1/00 D
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024155094
(22)【出願日】2024-09-09
(62)【分割の表示】P 2021547125の分割
【原出願日】2020-02-16
(31)【優先権主張番号】62/806,448
(32)【優先日】2019-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
2.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】518245799
【氏名又は名称】ジャスト-エヴォテック バイオロジックス、インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】522242018
【氏名又は名称】メルク・シャープ・アンド・ドーム・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンダイヴァー、マイケル、ウェイン
(72)【発明者】
【氏名】ジェフロー、エヴァ、ファン
(72)【発明者】
【氏名】マッコイ、レベッカ、アイリーン
(72)【発明者】
【氏名】パイパー、ロバート、ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】ブラウアー、マーク、エイ.
(72)【発明者】
【氏名】ピント、ヌーノ、ジェイ.ドス サントス
(72)【発明者】
【氏名】ナポリ、ウィリアム、エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】ストローグン、レイチェル、ワイ.
(72)【発明者】
【氏名】コネル - クロウリー、リサ、エイ.
(72)【発明者】
【氏名】マクルーア、メーガン、ジェイ.
(57)【要約】
【課題】自動バイオ製造システム、施設、及びプロセスの提供。
【解決手段】
1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタ、1つ又は複数の使い捨てサージ容器及び1つ又は複数のクロマトグラフィシステムを使用して精製した目的のタンパク質を製造するためのプロセス及び自動化設備が開示される。目的のタンパク質は、組換え又は天然に存在するタンパク質及び/又は治療用又は他の医学的に有用なタンパク質であってもよい。例えば、開示されたプロセス及び自動化設備は、精製タンパク質原薬を製造するのに有用である。
【選択図】
図22
【特許請求の範囲】
【請求項1】
精製した目的のタンパク質を製造するためのプロセスであって、以下のステップ、
(a)少なくとも10日の生成培養期間にわたって、液体培地を含む1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタ内で、細胞が前記液体培地中に前記タンパク質を分泌することを可能にする条件下で哺乳動物細胞を培養することであって、前記生成培養期間中に、定期的又は連続的に、新鮮な滅菌液体培地を1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタに添加して、透過液又は細胞ブリードの体積として灌流バイオリアクタの各々から連続的又は定期的に除去される培養物の体積に直接関連して、灌流バイオリアクタの各々において一定の培養体積を維持し、除去された透過液の体積は、1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタから使い捨てサージ容器に、次いで第1のクロマトグラフィシステムに自動的かつ流体的に供給され、それによって前記タンパク質がタンパク質単離物画分中に収集されること、を含む、プロセス。
【請求項2】
精製した目的のタンパク質を製造するためのプロセスであって、以下のステップ、
(a)少なくとも10日の生成培養期間にわたって、液体培地を含む1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタ内で、細胞が前記液体培地中に前記タンパク質を分泌することを可能にする条件下で哺乳動物細胞を培養することであって、前記生成培養期間中に、定期的又は連続的に、複数の異なる濃縮培地成分溶液及び水性希釈剤から同時に混合される新鮮な滅菌液体培地を1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタに添加して、透過液又は細胞ブリードの体積として灌流バイオリアクタの各々から連続的又は定期的に除去される培養物の体積に直接関連して、灌流バイオリアクタの各々において一定の培養体積を維持し、除去された透過液の体積は、1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタから使い捨てサージ容器に、次いで第1のクロマトグラフィシステムに自動的かつ流体的に供給され、それによって前記タンパク質がタンパク質単離物画分中に収集されること、を含む、プロセス。
【請求項3】
以下のステップ、
(b)前記タンパク質単離物画分を低pH又は界面活性剤ウイルス不活化システム、及び必要に応じて中和システムに切り替えて、前記タンパク質を含むウイルス不活化生成物プールを得ることを更に含む、請求項1又は請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
以下のステップ、
(c)前記ウイルス不活化生成物プールを第2のクロマトグラフィシステムに導入して、前記タンパク質を含む精製した生成物プールを得ることと、
(d)前記タンパク質を含む前記精製した生成物プールを任意の第3のクロマトグラフィシステム及び/又はウイルス濾過システムに切り替えて、前記タンパク質を含むウイルスフリーの濾液を得ることと、
(e)前記ウイルスフリーの濾液を限外濾過/透析濾過システムに切り替えて、精製した目的のタンパク質を含む組成物を得ることと、を更に含む、請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
前記目的のタンパク質が組換えタンパク質である、請求項1又は請求項2に記載のプロセス。
【請求項6】
前記目的のタンパク質が治療用タンパク質である、請求項1又は請求項2に記載のプロセス。
【請求項7】
前記第1のクロマトグラフィシステム、前記第2のクロマトグラフィシステム、前記第3のクロマトグラフィシステム、前記低pH又は界面活性剤ウイルス不活化システム、前記中和システム、前記ウイルス濾過システム、又は前記限外濾過/透析濾過システムのうちの1つ又は複数が、1つ又は複数の使い捨て構成要素を含む、請求項1、請求項2、又は請求項4に記載のプロセス。
【請求項8】
前記哺乳動物細胞が、2個、3個、4個、5個又は6個の使い捨て灌流バイオリアクタで培養される、請求項1又は請求項2に記載のプロセス。
【請求項9】
前記1つ又は複数の使い捨てバイオリアクタが、約50L~約4000Lの体積の液体培地を含むことができる、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項10】
前記複数の異なる濃縮培地成分溶液を互いに対して固定比で前記灌流バイオリアクタに直接注入することによって、前記新鮮な滅菌液体培地が前記1つ又は複数の灌流バイオリアクタに添加される一方で、水性希釈剤もまた、前記複数の異なる濃縮成分溶液に対して様々な比で添加されて、各灌流バイオリアクタ内の培養体積を一定に維持する、請求項2に記載のプロセス。
【請求項11】
前記複数の異なる濃縮培地成分溶液及び前記水性希釈剤を互いに対して固定比で前記灌流バイオリアクタに直接注入することによって、前記新鮮な滅菌液体培地が前記1つ又は複数の灌流バイオリアクタに添加されて、各灌流バイオリアクタ内の培養体積を一定に維持する、請求項2に記載のプロセス。
【請求項12】
前記複数の異なる濃縮培地成分溶液及び前記水性希釈剤を互いに対して固定比で混合チャンバに注入することによって、前記新鮮な滅菌液体培地が前記1つ又は複数の灌流バイオリアクタに添加されて、培養体積を一定に維持する、ここで、新鮮な滅菌液体培地は各灌流バイオリアクタに添加される前に同時に混合される、請求項2に記載のプロセス。
【請求項13】
検出器を含む自動制御装置を使用して、前記使い捨てサージ容器内の流体体積を測定し、プロセッサが、前記第1のクロマトグラフィシステムのポンプ速度を変化させて前記使い捨てサージ容器内の予め設定された体積範囲を維持する、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項14】
ステップ(b)、(c)、(d)、又は(e)のうちの1つ又は複数が、前のステップからの中断されない流れで自動的かつ流体的に実行され、1つ又は複数のステップの間にサージ容器が使用され、プロセッサが、後続のステップでポンプ速度を変化させて、後続のステップに先行するサージ容器の予め設定された体積範囲を調整する、請求項3又は請求項4に記載のプロセス。
【請求項15】
pH及び/又は導電率負荷のインライン又は容器内調整が、ステップ(b)、(c)、(d)、又は(e)のうちの1つ又は複数の間で行われる、請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
(i)プロセス自動化システムが、少なくとも前記1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタ、使い捨てサージ容器、及び前記第1のクロマトグラフィシステムと電子通信しており、
(ii)前記プロセス自動化システムが、前記1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタのうちの少なくとも1つの使い捨て灌流バイオリアクタの動作を制御するための制御モジュールの第1のセットを格納し、
(iii)前記プロセス自動化システムが、供給タンクの動作を制御するための制御モジュールの第2のセットを格納し、
(iv)前記プロセス自動化システムが、収集タンクの動作を制御するための制御モジュールの第3のセットを格納し、
(v)前記少なくとも1つの使い捨て灌流バイオリアクタが、1つ又は複数の供給タンク、1つ又は複数の収集タンク、又はフィルタバンクに連結されるように論理的に構成される、請求項1又は請求項2に記載のプロセス。
【請求項17】
前記少なくとも1つの使い捨て灌流バイオリアクタがスキッド上に配置され、前記スキッドが、前記少なくとも1つの使い捨て灌流バイオリアクタを複数の可搬式機器に電子的に連結するための複数の通信インターフェースを含む、請求項16に記載のプロセス。
【請求項18】
前記プロセス自動化システムによって、前記通信インターフェースを介して受信されたデータに基づいて、前記使い捨てサージ容器が前記複数の通信インターフェースのうちの1つの通信インターフェースに結合されたことを決定することであって、前記データが、前記使い捨てサージ容器の識別子及び前記使い捨てサージ容器の機能を示すことと、
前記使い捨てサージ容器の前記識別子及び前記機能に少なくとも部分的に基づいて、前記使い捨てサージ容器が収集タンクであり、前記制御モジュールの第3のセットが前記使い捨てサージ容器の動作を制御するためのものであることを決定することと、を更に含む、請求項17に記載のプロセス。
【請求項19】
前記プロセス自動化システムによって、追加の通信インターフェースを介して受信された追加のデータに基づいて、混合容器が前記複数の通信インターフェースのうちの追加の通信インターフェースに結合されたことを決定することであって、前記追加のデータが、前記混合容器の追加の識別子及び前記混合容器の追加の機能を示すことと、
前記混合容器の前記追加の識別子及び前記追加の機能に少なくとも部分的に基づいて、前記混合容器が供給タンクであり、前記制御モジュールの第2のセットが前記混合容器の動作を制御するためのものであることを決定することと、を更に含む、請求項18に記載のプロセス。
【請求項20】
前記使い捨てサージ容器の前記識別子及び前記使い捨てサージ容器の前記機能が、前記使い捨てサージ容器に結合されたドングルに格納される、請求項18に記載のプロセス。
【請求項21】
生成培養期間が少なくとも20日間である、請求項1又は請求項2に記載のプロセス。
【請求項22】
精製した目的のタンパク質を製造するための自動化設備であって、前記設備は、
(a)少なくとも10日の生成培養期間の間、培養細胞が液体培地中に前記タンパク質を分泌することを可能にする条件下で前記液体培地を含有することができる1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタであって、前記生成培養期間中に透過液又は細胞ブリードの体積として前記灌流バイオリアクタの各々から連続的又は定期的に除去される条件培地の体積に直接関連して、新鮮な滅菌液体培地を前記灌流バイオリアクタの各々に流体的に受け取るように適合されている、使い捨て灌流バイオリアクタと、
(b)前記除去された透過液の体積が前記1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタから自動的かつ流体的に供給される、第1の使い捨てサージ容器(SUSV1)と、
(c)前記SUSV1から無細胞透過液を自動的かつ流体的に受け取るように適合され、それによって前記タンパク質がタンパク質単離物画分中に捕捉される、第1のクロマトグラフィシステムと、を含み、
前記自動化された設備は、プロセス自動化システム(PAS)によって制御される、自動化設備。
【請求項23】
各々が濃縮培地成分溶液又は水性希釈剤を含むように適合された複数のリザーバを更に含み、複数のリザーバは、直接的に、又は前記複数のリザーバから所定の比で濃縮培地成分溶液及び水性希釈剤を受け取り、それらを同時に混合するように適合された任意の混合容器を介して間接的に灌流バイオリアクタに流体接続され、任意の混合容器は、前記灌流バイオリアクタに直接流体接続される、請求項22に記載の自動化設備。
【請求項24】
(d)前記第1のクロマトグラフィシステムから前記タンパク質単離物画分を自動的かつ流体的に受け取るように適合され、それによって前記タンパク質を含むウイルス不活性化生成物プールが得られる、低pH又は界面活性剤ウイルス不活化システム、及び必要に応じて中和システムと、
(e)前記ウイルス不活化生成物プールを受け取るように適合された保持容器又は第2の使い捨てサージ容器と、を更に含む、請求項22に記載の自動化設備。
【請求項25】
(f)前記保持容器又は前記第2の使い捨てサージ容器から前記ウイルス不活化生成物プールを流体的に受け取るように適合され、それによって前記タンパク質を含む精製した生成物プールが得られる、第2のクロマトグラフィシステムと、
(g)前記タンパク質を含む前記精製した生成物プールを前記第2のクロマトグラフィシステムから流体的に受け取るように適合され、それによって前記タンパク質を含むウイルスフリーの濾液が得られる、任意の第3のクロマトグラフィシステム及び/又はウイルス濾過システムと、
(h)前記第2のクロマトグラフィシステムから、又は前記第3のクロマトグラフィシステム及び/又は前記ウイルス濾過システムから前記ウイルスフリーの濾液を流体的に受け取るように適合され、それによって前記精製した目的のタンパク質が得られる、限外濾過/透析濾過システムと、を更に含む、請求項22に記載の自動化設備。
【請求項26】
1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタが、約50L~約4000Lの体積の液体培地を含むことができる、請求項22に記載の自動化設備。
【請求項27】
SUSV1の流体体積を測定するための検出器と、前記第1のクロマトグラフィシステムのポンプ速度を変化させてSUSV1の予め設定された体積範囲を維持するためのプロセッサとを含む自動制御装置を更に含む、請求項22に記載の自動化設備。
【請求項28】
前記第1のクロマトグラフィシステム、前記第2のクロマトグラフィシステム、前記第3のクロマトグラフィシステム、前記低pH又は界面活性剤ウイルス不活化システム、前記中和システム、前記ウイルス濾過システム、又は前記限外濾過/透析濾過システムのうちの1つ又は複数が、使い捨て構成要素を含む、請求項22に記載の自動化設備。
【請求項29】
前記第1のクロマトグラフィシステムの下流に直接流体接続され、
(i)第2の使い捨てサージ容器、又は
(ii)前記タンパク質単離物画分を受け取るように適合された、少なくとも2つの自動的に切り替え可能な代替の使い捨て収集容器(SUCV1及びSUCV2)とを更に含み、
(i)及び(ii)は、前記第1のクロマトグラフィシステムから前記タンパク質単離物画分を受け取り、前記タンパク質単離物画分を前記低pH又は界面活性剤ウイルス不活化システムに流体供給するように適合されている、請求項22に記載の自動化設備。
【請求項30】
前記低pH又は界面活性剤ウイルス不活化システム、及び必要に応じて前記中和システムが、
(i)前記タンパク質単離物画分を受け取るように適合された第2の使い捨てサージ容器、又は
(ii)前記タンパク質単離物画分を受け取るように適合された、少なくとも2つの自動的に切り替え可能な代替の使い捨て収集容器(SUCV1及びSUCV2)を含み、
ウイルス不活化、及び必要に応じて中和が、第2の使い捨てサージ容器内、又はSUCV1及びSUCV2内で行われる、請求項24に記載の自動化設備。
【請求項31】
前記透過液が前記SUSV1に自動的かつ流体的に供給される前に、中空繊維膜、一連のデプスフィルタ、又は濾過カートを更に含む、請求項22に記載の自動化設備。
【請求項32】
(e)において、前記ウイルス不活化生成物プールを受け取るために適合された使い捨てサージ容器を含む、請求項24に記載の自動化設備。
【請求項33】
前記SUSV1の上流に熱交換器を更に含む、請求項22に記載の自動化設備。
【請求項34】
前記SUSV1の上流に濾過システムを更に含む、請求項22に記載の自動化設備。
【請求項35】
(i)前記第2クロマトグラフィシステム、
(ii)前記任意の第3のクロマトグラフィシステム、
(iii)前記ウイルス濾過システム、及び
(iv)前記限外濾過/透析濾過システム、のうちの1つ又は複数が、
先行するシステムに自動的かつ流体的に接続され、前記接続されたシステム間の物質の中断されない流れを調整するためにサージ容器が任意選択的に使用される、請求項25に記載の自動化設備。
【請求項36】
前記少なくとも1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタ、SUSV1、前記第1のクロマトグラフィシステム、前記低pH又は界面活性剤ウイルス不活化システム、前記保持容器又は使い捨てサージ容器、前記第2のクロマトグラフィシステム、前記任意の第3のクロマトグラフィシステム及び/又はウイルス濾過システム、並びに限外濾過/透析濾過システムが、前記精製した目的のタンパク質の生成ラインの第1の構成に配置された第1の機器を含み、
第1の複数の制御モジュールが、前記第1の機器の動作を制御するために実装される、請求項22から25のいずれかに記載の自動化設備。
【請求項37】
第2の機器が、追加の精製した目的のタンパク質のための生成ラインの第2の構成に配置され、生成ラインの第2の構成が、少なくとも1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタ、第1のクロマトグラフィシステム、低pH又は界面活性剤ウイルス不活化システム、第2のクロマトグラフィシステム、限外濾過/透析濾過システム、及び複数の混合容器を含み、
前記生成ラインの第2の構成が、前記生成ラインの第1の構成とは異なり、
第2の複数の制御モジュールが、前記第2の機器の動作を制御するために実装され、
前記複数の混合容器のうちの少なくとも1つの混合容器が、前記第1の構成及び前記第2の構成の両方に含まれ、
前記少なくとも1つの混合容器が、前記第1の構成では第1の機能を有し、前記第2の構成では第2の機能を有し、前記第2の機能は前記第1の機能とは異なる、請求項36に記載の自動化設備。
【請求項38】
複数のフィルタアセンブリを含む可搬式フィルタバンクであって、前記複数のフィルタアセンブリの第1のフィルタアセンブリが第1のフィルタを含み、前記複数のフィルタアセンブリの第2のフィルタアセンブリが第2のフィルタを含む、可搬式フィルタバンクと、
生成設備制御システムであって、
材料が前記第1のフィルタアセンブリを通って流れるときに前記第1のフィルタアセンブリ内の圧力を監視し、
前記第1のフィルタアセンブリ内の前記圧力が少なくとも閾値であると判定し、
シグナルを送信して、前記第1のフィルタアセンブリ及び前記第2のフィルタアセンブリに連結されたダイバータバルブを動作させて、材料を第2のフィルタアセンブリに流入させる、生成設備制御システムと、を更に含む、請求項22から25のいずれかに記載の自動化設備。
【請求項39】
第1の期間中、前記フィルタバンクが前記第1の使い捨てサージ容器(SUSV1)と前記第1のクロマトグラフィシステムとの間に連結され、前記材料が前記透過液を含み、前記フィルタバンクが、前記フィルタバンクの第1の識別子及び前記フィルタバンクの第1の機能を示す第1のドングルに連結される、請求項38に記載の自動化設備。
【請求項40】
第2の期間中、前記フィルタバンクが前記限外濾過/透析濾過システムに含まれ、前記材料が前記ウイルスフリーの濾液であり、前記フィルタバンクが、前記フィルタバンクの第2の識別子及び前記フィルタバンクの第2の機能を示す第2のドングルに連結される、請求項39に記載の自動化設備。
【請求項41】
前記1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタが、少なくとも20日間の生成培養期間の間、培養細胞が前記培地中に前記タンパク質を分泌することを可能にする条件下で液体培地を含むことができる、請求項22に記載の自動化設備。
【請求項42】
前記目的のタンパク質が組換えタンパク質である、請求項22に記載の自動化設備。
【請求項43】
前記目的のタンパク質が治療用タンパク質である、請求項22に記載の自動化設備。
【請求項44】
目的のタンパク質を含む精製タンパク質原薬を製造するためのプロセスであって、以下のステップ、
(a)少なくとも10日の生成培養期間にわたって、液体培地を含む1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタ内で、細胞が前記液体培地中に前記タンパク質を分泌することを可能にする条件下で哺乳動物細胞を培養することであって、前記生成培養期間中に、定期的又は連続的に、新鮮な滅菌液体培地を1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタに添加して、透過液又は細胞ブリードの体積として灌流バイオリアクタの各々から連続的又は定期的に除去される培養物の体積に直接関連して、灌流バイオリアクタの各々において一定の培養体積を維持し、除去された透過液の体積は、1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタから使い捨てサージ容器に、次いで第1のクロマトグラフィシステムに自動的かつ流体的に供給され、それによって前記タンパク質がタンパク質単離物画分中に収集されることと、
(b)前記タンパク質単離物画分を低pH又は界面活性剤ウイルス不活化システム、及び必要に応じて中和システムに切り替えて、前記タンパク質を含むウイルス不活化生成物プールを得ることと、
(c)前記ウイルス不活化生成物プールを第2のクロマトグラフィシステムに導入して、前記タンパク質を含む精製した生成物プールを得ることと、
(d)前記タンパク質を含む前記精製した生成物プールを任意の第3のクロマトグラフィシステム及び/又はウイルス濾過システムに切り替えて、前記タンパク質を含むウイルスフリーの濾液を得ることと、
(e)前記ウイルスフリーの濾液を限外濾過/透析濾過システムに切り替えて、前記目的のタンパク質を含む前記精製タンパク質原薬を得ることと、を含む、プロセス。
【請求項45】
前記新鮮な滅菌液体培地が、前記1つ又は複数の灌流バイオリアクタに添加されて、前記灌流バイオリアクタの各々において培養体積を一定に維持する前に、複数の異なる濃縮培地成分溶液及び水性希釈剤から同時に混合される、請求項44に記載のプロセス。
【請求項46】
前記目的のタンパク質が組換えタンパク質である、請求項44に記載のプロセス。
【請求項47】
前記目的のタンパク質が治療用タンパク質である、請求項44に記載のプロセス。
【請求項48】
精製されたタンパク質原薬を製造するための自動化設備であって、前記設備が、
(a)培養哺乳動物細胞が少なくとも10日間の生成培養期間にわたって目的のタンパク質を培地中に分泌することを可能にする条件下で液体培地を含有することができる1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタであって、前記生成培養期間中に透過液又は細胞ブリードの体積として前記灌流バイオリアクタの各々から連続的又は定期的に除去される条件培地の体積に直接関連して、新鮮な滅菌液体培地を前記灌流バイオリアクタの各々に流体的に受け入れるように適合されている、前記使い捨て灌流バイオリアクタと、
(b)前記除去された透過液の体積が前記1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタから自動的かつ流体的に供給される、第1の使い捨てサージ容器(SUSV1)と、
(c)前記SUSV1から透過液を自動的かつ流体的に受け取るように適合され、それによって前記タンパク質がタンパク質単離物画分中に捕捉される、第1のクロマトグラフィシステムと、
(d)前記第1のクロマトグラフィシステムから前記タンパク質単離物画分を自動的かつ流体的に受け取るように適合され、それによって前記タンパク質を含むウイルス不活性化生成物プールが得られる、低pH又は界面活性剤ウイルス不活化システム、及び必要に応じて中和システムと、
(e)前記ウイルス不活化生成物プールを受け取るように適合された保持容器又は使い捨てサージ容器と、
(f)前記保持容器又は使い捨てサージ容器から前記ウイルス不活化生成物プールを流体的に受け取るように適合され、それによって前記タンパク質を含む精製した生成物プールが得られる、第2のクロマトグラフィシステムと、
(g)前記タンパク質を含む前記精製した生成物プールを前記第2のクロマトグラフィシステムから流体的に受け取るように適合され、それによって前記タンパク質を含むウイルスフリーの濾液が得られる、任意の第3のクロマトグラフィシステム及び/又はウイルス濾過システムと、
(h)前記第2のクロマトグラフィシステムから、又は前記第3のクロマトグラフィシステム及び/又は前記ウイルス濾過システムから前記ウイルスフリーの濾液を流体的に受け取るように適合され、それによって前記精製タンパク質原薬が得られる、限外濾過/透析濾過システムと、を含み、
前記自動化された設備は、プロセス自動化システム(PAS)によって制御される、自動化設備。
【請求項49】
各々が濃縮培地成分溶液又は水性希釈剤を含むように適合された複数のリザーバが、直接的に、又は複数のリザーバから所定の比で濃縮培地成分溶液及び水性希釈剤を受け取り、それらを同時に混合するように適合された任意の混合容器を介して間接的に灌流バイオリアクタに流体接続され、任意の混合容器は、灌流バイオリアクタに直接流体接続される、請求項48に記載の自動化設備。
【請求項50】
前記目的のタンパク質が組換えタンパク質である、請求項48に記載の自動化設備。
【請求項51】
前記目的のタンパク質が治療用タンパク質である、請求項48に記載の自動化設備。
【請求項52】
前記設備が連続形式で動作するように構成されている、請求項22から25又は請求項48のいずれかに記載の自動化設備。
【請求項53】
前記プロセスが連続形式で行われる、請求項1から4、請求項7、又は請求項44のいずれかに記載のプロセス。
【請求項54】
前記第1のクロマトグラフィシステムが、使用前に過酢酸を含む化学消毒剤溶液で消毒される、請求項1から4、請求項7、又は請求項44のいずれかに記載のプロセス。
【請求項55】
前記限外濾過/透析濾過システムが、シングルパスタンジェンシャルフロー濾過(SPTFF)を含み、前記SPTFFの作動圧力が約0.25psi~約60psiの範囲に制御される、請求項4又は請求項44に記載のプロセス。
【請求項56】
前記限外濾過/透析濾過システムが、インラインデプス濾過(ILDF)を含み、前記ILDFの前記作動圧力が約0.25psi~約60psiの範囲に制御される、請求項4又は請求項44に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年2月15日に米国特許商標庁に出願された米国仮特許出願第62/806,448号の優先権を主張し、その全体が参照により組み込まれる。
【0002】
本発明は、治療用タンパク質の生成のための自動化製造設備及びプロセスの分野に関する。
【背景技術】
【0003】
バイオ医薬品業界は、新しいバイオ治療薬の承認の急増、タンパク質発現率の上昇、及びバイオシミラー市場からの圧力の増加によって部分的に促され、大きな変化を受けている。
【0004】
(Levine et al.,Efficient,flexible facilities for the 21st century,BioProcess International 10(11):20-30(2012))
【0005】
生物製剤の医薬品市場シェアの急増(2002年の11%から2017年の約20%)は、世界の発展途上地域における手頃な価格の医薬品アクセスの必要性と相まって、迅速で持続可能かつ費用効果の高い製造方法の開発を必要としている。
【0006】
(Walsh,Biopharmaceutical benchmarks 2014,Nature biotechnology 32(10):992-1002(2014))
【0007】
その結果、従来のバッチ処理プラットフォームに代わる生物製剤製造技術の代替物を見つけて、より高いスループット、動作の柔軟性及びコスト削減、並びに環境への影響を低減したフットプリント削減などの重要な利点を活用する必要がある。上流及び下流を統合した連続製造プロセスを含むように設計されたバイオ処理プラントは、バッチ培養処理と比較して、迅速な設備転換、生成物及び容量の柔軟性、並びに製造コストの削減を可能にする。(例えば、Farid et al.,Evaluating the economic and operational feasibility of continuous processes for monoclonal antibodies,Continuous Processing in Pharmaceutical Manufacturing pp.433-456(2015);Kelley,Industrialization of mAb production technology:the bioprocessing industry at a crossroads,mAbs 1(5):443-452(2009);Croughan et al.,The future of industrial bioprocessing:Batch or continuous?,Biotechnology and Bioengineering 112:648-651(2015);Pollock et al.,Fed-batch and perfusion culture processes:Economic,environmental,and operational feasibility under instability,Biotechnology and Bioengineering 110(1):206-219(2013)を参照されたい)。
【0008】
連続灌流技術の出現は、連続モードで動作するために上流プロセス装置を接続する際のより大きな進歩を支援してきた。この処理戦略は、過去25年間にわたっていくつかの企業にとって価値があり、生成物に関連する安定性の問題を克服するのに役立ってきた。(Konstantinov et al.,White paper on continuous bioprocessing,Journal of Pharmaceutical Sciences 104(3):813-820(2015))
【0009】
最新の細胞株及び培地は、特にフェドバッチ処理と対比した場合に、より高い細胞密度を標的とするように操作されており、一部の培養物は1億細胞/mLを超える生細胞密度を達成している(Clincke et al.,Very high density of chinese hamster ovary cells in perfusion by alternating tangential flow or tangential flow filtration in wave bioreactor(商標)-part ii:Applications for antibody production and cryopreservation,Biotechnology Progress 29(3):768-777(2013))。この結果、典型的な生物製剤製造設備のボトルネックは、生成バイオリアクタ(上流プロセス)から精製トレイン(下流プロセス)、特にクロマトグラフィカラムへと、それらの寸法制限のためにシフトしている。現在の生成細胞株からのタンパク質の量の増加によって生成された大きな生成物バッチサイズを精製することは、些細な課題ではない。(Chon et al.,Advances in the production and downstream processing of antibodies,New Biotechnology 28(5):458-463(2011))したがって、上流の生物製剤製造プロセスと下流のプロセスとの統合の問題は、生物製剤製造業界を悩ませ続けている。
【0010】
Warikooらは、生成バイオリアクタの下流での連続捕捉クロマトグラフィステップを統合して、カラムサイズ及び緩衝液利用率を減少させることを報告した。(Warikoo et al.,Integrated continuous production of recombinant therapeutic proteins,Biotechnology and Bioengineering 109(12):3018-3029.(2012))
【0011】
Godawatらは、エンドツーエンドの連続的なバイオ処理が実現可能であるが、高い生成物品質を保証する堅牢なウイルスクリアランス及び自動化戦略の開発を含むいくつかの課題に依然として直面していることを実証した。(Godawat et al.,End-to-end integrated fully continuous production of recombinant monoclonal antibodies,Journal of Biotechnology 213:13-19(2015))
【0012】
本発明は、これらの課題に対する解決策を提供し、従来のバッチ処理プラットフォームに代わる自動化された生物製剤製造技術の必要性を満たしている。
【発明の概要】
【0013】
本発明は、限定されないが、治療用又は他の医学的に有用なタンパク質などの精製した目的のタンパク質を製造するのに有用な自動化設備及び方法に関する。タンパク質生成物の連続的な捕捉を伴う長期間の灌流培養の維持において直面する多くの課題がある。これらには、消費される大量の培地、並びに生成物収集の開始前の透過液及び生成物収集中の捕捉カラムのフロースルーから生成される大量の流体廃棄物が含まれる。廃棄物ラインの滅菌境界を維持する必要があり、消耗品のコスト及び労力が高いため、閉じたバッグシステムで廃棄物を収集することは法外なことである可能性がある。長時間の灌流培養では、汚染のリスクが高まり、連続的な捕捉動作中も含めて、全てが豊富な増殖培地が存在する中で、維持すべき滅菌境界が大きくなる。他の課題としては、高生存率培養物を長期間維持すること、及び接続されたユニット動作間、例えば、第1のクロマトグラフィシステムに接続された灌流バイオリアクタ、ウイルス不活化システムに接続された灌流バイオリアクタ、第2のクロマトグラフィシステムに接続された灌流バイオリアクタ、任意の第3のクロマトグラフィシステム及び/又はウイルス濾過システムに接続された灌流バイオリアクタ、限外濾過/透析濾過システムに接続された灌流バイオリアクタなどの間の不一致流量を管理することが挙げられる。
【0014】
精製した目的のタンパク質(例えば、限定されないが、治療用又は他の医学的に有用なタンパク質)を製造するための本発明の自動化設備及びプロセスは、これら及び他の課題を満たしている。一態様では、本発明は、少なくとも10日の生成培養期間にわたって、液体培地を含む1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタ内で、細胞が液体培地中にタンパク質を分泌することを可能にする条件下で哺乳動物細胞を培養することであって、生成培養期間中に、定期的又は連続的に、新鮮な滅菌液体培地を1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタに添加して、透過液又は細胞ブリードの体積として灌流バイオリアクタの各々から連続的又は定期的に除去される培養物の体積に直接関連して、灌流バイオリアクタの各々において一定の培養体積を維持し、除去された透過液の体積は、1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタから使い捨てサージ容器に、次いで第1のクロマトグラフィシステムに自動的かつ流体的に供給され、それによってタンパク質がタンパク質単離物画分中に収集されることを包含する。
【0015】
別の態様では、本発明は、同時に混合され、必要に応じて灌流バイオリアクタに送達される複数の異なる濃縮培地成分溶液及び水性希釈剤の使用を包含する。別の態様では、本発明は、ガンマ線照射又はオートクレーブされたすぐに使用可能な使い捨て用品、使い捨て無菌コネクタ、チューブ溶接機、及びカラム上の化学的低温滅菌剤の使用を使用する閉鎖処理を包含する。別の態様では、本発明は、ウイルス不活化及び様々なクロマトグラフィシステムなどの、流体的に接続されたユニット動作と連続的なユニット位動作との間の効果的な自動化及び調整された流量を包含する。
【0016】
一実施形態では、本発明は、精製した目的のタンパク質を製造するための自動化設備に関する。精製タンパク質は、組換えタンパク質又は天然に存在するタンパク質であってもよい。自動化設備は、プロセス自動化システム(PAS)によって制御され、以下を含む:
【0017】
(a)少なくとも10日の生成培養期間の間、培養細胞が液体培地中にタンパク質を分泌することを可能にする条件下で液体培地を含有することができる1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタであって、生成培養期間中に透過液又は細胞ブリードの体積として灌流バイオリアクタの各々から連続的又は定期的に除去される条件培地の体積に直接関連して、新鮮な滅菌液体培地を灌流バイオリアクタの各々に流体的に受け取るように適合されている、使い捨て灌流バイオリアクタ、
【0018】
(b)除去された透過液の体積が前記1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタから自動的かつ流体的に供給される、第1の使い捨てサージ容器(SUSV1)、及び
【0019】
(c)SUSV1から無細胞透過液を自動的かつ流体的に受け取るように適合され、それによってタンパク質がタンパク質単離物画分中に捕捉される、第1のクロマトグラフィシステム。
【0020】
本発明の自動化設備は、更に以下を含む:
【0021】
(d)第1のクロマトグラフィシステムからタンパク質単離物画分を自動的かつ流体的に受け取るように適合され、それによってタンパク質を含むウイルス不活化生成物プールが得られる、低pH又は界面活性剤ウイルス不活化システム、及び必要に応じて中和システム、および
【0022】
(e)ウイルス不活化生成物プールを受け取るように適合された保持容器又は第2の使い捨てサージ容器。
【0023】
いくつかの実施形態では、自動化設備は、以下を更に含むことができる:
【0024】
(f)保持容器又は第2の使い捨てサージ容器からウイルス不活化生成物プールを流体的に受け取るように適合され、それによってタンパク質を含む精製した生成物プールが得られる、第2のクロマトグラフィシステム、
【0025】
(g)タンパク質を含む精製した生成物プールを第2のクロマトグラフィシステムから流体的に受け取るように適合され、それによってタンパク質を含むウイルスフリーの濾液が得られる、任意の第3のクロマトグラフィシステム及び/又はウイルス濾過システム、及び
【0026】
(h)第2のクロマトグラフィシステムから、又は第3のクロマトグラフィシステム及び/又はウイルス濾過システムからウイルスフリーの濾液を流体的に受け取るように適合され、それによって精製した目的のタンパク質が得られる、限外濾過/透析濾過システム。
【0027】
いくつかの実施形態では、精製した目的のタンパク質を製造するための自動化設備はまた、各々が濃縮培地成分溶液又は水性希釈剤を含むように適合された複数のリザーバを含み、各リザーバは、直接的に、又は複数のリザーバから所定の比で濃縮培地成分溶液及び水性希釈剤を受け取り、それらを同時に混合するように適合された任意の混合容器を介して間接的に灌流バイオリアクタに流体接続され、任意の混合容器は、灌流バイオリアクタに直接流体接続される。
【0028】
本発明はまた、組換え又は天然に存在するタンパク質であってもよい精製した目的のタンパク質を製造する方法に関する。このプロセスは、以下のステップを含む:
【0029】
(a)少なくとも10日の生成培養期間にわたって、液体培地を含む1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタ内で、細胞が液体培地中にタンパク質を分泌することを可能にする条件下で哺乳動物細胞を培養することであって、生成培養期間中に、定期的又は連続的に、複数の異なる濃縮培地成分溶液及び水性希釈剤から同時に混合される新鮮な滅菌液体培地を1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタに添加して、透過液又は細胞ブリードの体積として灌流バイオリアクタの各々から連続的又は定期的に除去される培養物の体積に直接関連して、灌流バイオリアクタの各々において一定の培養体積を維持し、除去された透過液の体積は、1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタから使い捨てサージ容器に、次いで第1のクロマトグラフィシステムに自動的かつ流体的に供給され、それによってタンパク質がタンパク質単離物画分中に収集されること。
【0030】
本発明のプロセスは、以下のステップを更に含むことができる:
【0031】
(b)タンパク質単離物画分を低pH又は界面活性剤ウイルス不活化システム、及び必要に応じて中和システムに切り替えて、タンパク質を含むウイルス不活化生成物プールを得ること。
【0032】
さらに、本方法は、以下の更なる研磨ステップを含むことができる:
【0033】
(c)ウイルス不活化生成物プールを第2のクロマトグラフィシステムに導入して、タンパク質を含む精製した生成物プールを得ることであって、ウイルス不活化生成物プールを前記第2のクロマトグラフィシステムに導入すること、
【0034】
(d)タンパク質を含む精製した生成物プールを任意の第3のクロマトグラフィシステム及び/又はウイルス濾過システムに切り替えて、タンパク質を含むウイルスフリーの濾液を得ること、及び
【0035】
(e)ウイルスフリーの濾液を限外濾過/透析濾過システムに切り替えて、精製した目的のタンパク質を含む組成物を得ること。
【0036】
より特定の態様では、本発明は、精製タンパク質原薬、すなわち治療目的又は他の医療目的(例えば、予防目的又は診断目的)のための精製した目的のタンパク質を製造するための自動化設備に関する。設備は、以下を含む:
【0037】
(a)培養哺乳動物細胞が少なくとも10日間の生成培養期間にわたって目的のタンパク質を培地中に分泌することを可能にする条件下で液体培地を含有することができる1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタであって、生成培養期間中に透過液又は細胞ブリードの体積として灌流バイオリアクタの各々から連続的又は定期的に除去される条件培地の体積に直接関連して、新鮮な滅菌液体培地を灌流バイオリアクタの各々に流体的に受け入れるように適合され、各々が濃縮培地成分溶液又は水性希釈剤を含むように適合された複数のリザーバが、直接的に、又は複数のリザーバから所定の比で濃縮培地成分溶液及び水性希釈剤を受け取り、それらを同時に混合するように適合された任意の混合容器を介して間接的に灌流バイオリアクタに流体接続され、任意の混合容器は、灌流バイオリアクタに直接流体接続される、使い捨て灌流バイオリアクタ、
【0038】
(b)除去された透過液の体積(細胞を含まない)が1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタから自動的かつ流体的に供給される、第1の使い捨てサージ容器(SUSV1)、
【0039】
(c)SUSV1から無細胞透過液を自動的かつ流体的に受け取るように適合され、それによってタンパク質がタンパク質単離物画分中に捕捉される、第1のクロマトグラフィシステム、
【0040】
(d)第1のクロマトグラフィシステムからタンパク質単離物画分を自動的かつ流体的に受け取るように適合され、それによってタンパク質を含むウイルス不活化生成物プールが得られる、低pH又は界面活性剤ウイルス不活化システム、及び必要に応じて中和システム、
【0041】
(e)ウイルス不活化生成物プールを受け取るように適合された保持容器又は使い捨てサージ容器、
【0042】
(f)保持容器又は使い捨てサージ容器からウイルス不活化生成物プールを流体的に受け取るように適合され、それによってタンパク質を含む精製した生成物プールが得られる、第2のクロマトグラフィシステム、
【0043】
(g)タンパク質を含む精製した生成物プールを第2のクロマトグラフィシステムから流体的に受け取るように適合され、それによってタンパク質を含むウイルスフリーの濾液が得られる、任意の第3のクロマトグラフィシステム及び/又はウイルス濾過システム、及び
【0044】
(h)第2のクロマトグラフィシステムから、又は第3のクロマトグラフィシステム及び/又はウイルス濾過システムからウイルスフリーの濾液を流体的に受け取るように適合され、それによって前記精製タンパク質原薬が得られる、限外濾過/透析濾過システム。自動化設備の動作は、プロセス自動化システム(PAS)によって制御される。
【0045】
別のより特定の態様では、本発明は、精製タンパク質原薬、すなわち治療目的又は他の医療目的(例えば、予防目的又は診断目的)のための精製した目的のタンパク質を製造するプロセスに関する。精製タンパク質原薬は、組換えタンパク質又は天然に存在するタンパク質であってもよい。このプロセスは、以下のステップを含む:
【0046】
(a)少なくとも10日の生成培養期間にわたって、液体培地を含む1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタ内で、細胞が液体培地中にタンパク質を分泌することを可能にする条件下で哺乳動物細胞を培養することであって、生成培養期間中に、定期的又は連続的に、新鮮な滅菌液体培地を1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタに添加して、透過液又は細胞ブリードの体積として灌流バイオリアクタの各々から連続的又は定期的に除去される培養物の体積に直接関連して、灌流バイオリアクタの各々において一定の培養体積を維持し、除去された透過液の体積は、1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタから使い捨てサージ容器に、次いで第1のクロマトグラフィシステムに自動的かつ流体的に供給され、それによって前記タンパク質がタンパク質単離物画分中に収集されること、
【0047】
(b)タンパク質単離物画分を低pH又は界面活性剤ウイルス不活化システム、及び必要に応じて中和システムに切り替えて、タンパク質を含むウイルス不活化生成物プールを得ること、
【0048】
(c)ウイルス不活化生成物プールを第2のクロマトグラフィシステムに導入して、タンパク質を含む精製した生成物プールを得ること、
【0049】
(d)タンパク質を含む精製した生成物プールを任意の第3のクロマトグラフィシステム及び/又はウイルス濾過システムに切り替えて、タンパク質を含むウイルスフリーの濾液を得ること、及び
【0050】
(e)ウイルスフリーの濾液を限外濾過/透析濾過システムに切り替えて、目的のタンパク質を含む精製原薬を得ること。
【0051】
精製タンパク質原薬を製造するためのプロセスのいくつかの実施形態では、新鮮な滅菌液体培地は、複数の異なる濃縮培地成分溶液及び水性希釈剤から同時に混合された後、1つ又は複数の灌流バイオリアクタに添加されて、灌流バイオリアクタの各々において一定の培養体積を維持する。前述の概要は、本発明の全ての態様を定義することを意図するものではなく、追加の態様は、実施形態の詳細な説明などの他の項で説明される。文書全体は、統一された開示として関連することが意図されており、特徴の組み合わせがこの文書の同じ文、段落、又は項で一緒に見つからない場合でも、本明細書に記載された特徴の全ての組み合わせが企図されることを理解されたい。
【0052】
上記に加えて、本発明は、追加の態様として、上記の特定の段落によって定義された変形よりも何らかの方法で範囲が狭い本発明の全ての実施形態を含む。例えば、属として記載されている本発明の特定の態様は、属のあらゆるメンバーが個々に本発明の態様であることを理解されたい。また、属として記載される、又は属のメンバーを選択する態様は、その属の2つ以上のメンバーの組み合わせを包含すると理解されるべきである。本出願人は、本明細書に記載された本発明の全範囲を発明したが、本出願人は、他の先行技術文献に記載された主題を特許請求することを意図していない。したがって、特許請求の範囲内の法定の先行技術が特許庁又は他の団体若しくは個人によって出願人の注意を喚起された場合、出願人は、そのような特許請求の範囲の主題を再定義して、そのような法定の先行技術又は法定の先行技術の明白な変形をそのような特許請求の範囲から明確に除外するために、適用される特許法の下で補正権を行使する権利を留保する。そのような補正された特許請求の範囲によって定義される本発明の変形もまた、本発明の態様として意図される。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1A】500Lスケールの使い捨て灌流バイオリアクタ(ここでは「500L SUB」と呼ばれるバイオリアクタ)に流体接続された複数の使い捨てリザーバを示す本発明のプロセスの一実施形態の概略部分プロセスフロー図を示し、各リザーバは異なる滅菌濃縮培地成分(示されているリザーバは、ここではそれぞれその内容物である「50%グルコース」、「Cys/Tyrストック」、及び「600Lのトート7.5倍濃縮」と示されている。)又は水性希釈剤(「1kLのトートWFI」)を保持する。「AF」=バイオリアクタの発泡を最小限に抑えるために使用される消泡剤、「塩基」=バイオリアクタのpHを維持するために自動化によって添加された炭酸ナトリウム。
【0054】
【
図1B】500L使い捨てバイオリアクタ(「SUB」及び「バッチユニット(A)」)から、灌流システム(「灌流スキッド」及び「バッチユニット(A1)」)、使い捨てサージ容器(SUSV、「200L可搬式ミキサ」とラベル表示された「ノンバッチユニット(B1)」)、擬似移動床(SMB)第1クロマトグラフィシステム(「バッチユニット(B)」、ここでは「SMBクロムシステム」とラベル表示されたカート上の使い捨てマルチカラムクロマトグラフィシステムとして表される)、タンパク質単離物画分を収集するための溶出収集容器(「100L可搬式ミキサ」とラベル表示された「ノンバッチユニット(B3)」及び「ノンバッチユニット(B4)」)までの本発明のプロセスの半連続形式の実施形態の概略部分プロセスフロー図を示す。
図1Bに示す実施形態では、SUSVの上流で、任意の濾過システム(「フィルタバンク」とラベル表示された「ノンバッチユニット(B2)」)が第1のクロマトグラフィシステムを微粒子から保護し、任意の熱交換器は、クロマトグラフィシステムの成分及びタンパク質分子の安定性の必要性に応じて、第1のクロマトグラフィシステムに導入する前に、透過液材料を室温(RT)まで、あるいはいくつかの実施形態では4℃又は別の所望の温度まで冷却する。他の実施形態(ここでは
図1Bに示されていない)では、タンパク質単離物画分は、第2の使い捨てサージ容器(SUSV2)に、又は少なくとも2つの自動的に切り替え可能な代替使い捨て収集容器(SUCV1及びSUCV2)に、又は直接かつ連続的にウイルス不活化システム(例えば、低pH又は界面活性剤ウイルス不活化システム)に流体供給することができる。ここで
図1Bに示す実施形態の概略図では、第1のクロマトグラフィシステムの前の灌流動作の開始時に(SUB及び灌流スキッドの下流で)透過液を廃棄物に送り、第1のクロマトグラフィシステムの下流でフロースルー廃棄物を排出するために、使い捨てエアブレークアセンブリ(
図2も参照されたい)が使用される。灌流バンクとフィルタバンクとの間の追加のユニット動作(
図1Bに示すように)を、灌流透過液が第1のクロマトグラフィシステムに向かって更に下流に流れる前に、灌流透過液を濃縮するためのシングルパスタンジェンシャルフロー濾過(SPTFF)のために任意に含めることができる。
【0055】
【
図1C】2つの可搬式ミキサ(ここでは、それぞれ500Lの体積として示されている)が、ウイルス不活化システム(「ウイルス不活化スキッド」)の一部として動作するか、又はそれに流体供給する交互のSUCV1及びSUCV2としてそれぞれ機能する本発明のプロセスの一実施形態の概略部分プロセスフロー図を示し、異なる実施形態も
図20A、
図20C、及び
図20Dに概略的に示されている。この
図1Cでは、SUSVは、プール全体を収容するのに十分な大きさの500Lの可搬式ミキサとして示されている。あるいは、連続的又は半連続的な動作の実施形態では、示されているSUSVのいずれか(すなわち、SUSV2、SUSV3、又はSUSV4)は、代わりに、異なる好都合な体積(例えば、50L、75L、又は100L)又は任意であってもよい。例えば、UF/DFシステムスキッド(すなわち、SUSV4)の前に示されている使い捨てサージ容器は、代わりにUF/DFスキッド再循環タンクをサージ容器として使用するために、任意に排除することができる(例えば、
図20Eを参照されたい)。他の実施形態では、第2のクロマトグラフィシステムと第3のクロマトグラフィシステムとの間(すなわち、SUSV2)又は第2のクロマトグラフィシステムとウイルス濾過システムとの間(すなわち、SUSV2)の使い捨てサージ容器は、2つ以上の精製又は「研磨」ステップを並行して実行するために、排除することができる(例えば、
図20Fを参照されたい)。
【0056】
【
図1D】2つの可搬式ミキサ(それぞれ500Lの体積)が、ウイルス不活化システム(「ウイルス不活化スキッド」)の一部として動作するか、又はそれに流体供給する交互のSUCV1及びSUCV2としてそれぞれ機能する、本発明のプロセスの一実施形態の概略部分プロセスフロー図を示す。
図1Dに示される実施形態では、ウイルス不活化システム(例えば、低pHウイルス不活化システム及び中和システム)及びデプス濾過の下流で、ステップ又は動作の間に保持容器を用いてバッチ式でプロセスが進行する(HV1、HV2、HV3、及びHV4として示されている)。しかし、他の実施形態では、HV2、HV3、又はHV4のいずれかは、自動制御下で、ステップ又は動作の間の中断されない流れのために、サージ容器に置き換えるか、又は完全に排除することができる。
【0057】
【
図2】使い捨てエアブレークアセンブリの一実施形態を概略的に示す図である。示されているのは、(A)システムの廃棄物出口ラインへの接続、(B)流れている液体にエアブレークを導入するベントフィルタ、(C)エアブレークを維持するためのより大きい及びより小さい管の部分、(D)ドレインへの接続である。
図2のクロスハッチングで描かれたチューブ(例えば、C)は編組チューブを表すが、代わりに適切な直径の他の編組されていないチューブを使用することができる。
【0058】
【
図3】SUSV1(「SUSV」)体積制御の一実施形態の概略図である。制御動作が行われる
図3に示されている体積制限は単なる例示であり、システム構成要素の体積及び流量容量に基づいて変化し得る。
【0059】
【
図4】適切な化学消毒剤、例えば過酢酸(
図4では、「PAA」と示されている)を用いたクロマトグラフィ樹脂及びカラムハウジングの消毒の概略的な部分的プロセス設定を一実施形態について示す図である。この実施形態では、Cadence(商標)BioSMB(登録商標)PDシステム(Pall Life Sciences社)を表すために、使い捨てのマルチカラム連続クロマトグラフィシステム、例えば、擬似移動床(SMB)クロマトグラフィシステムを本明細書では「BioSMB」と呼ぶが、他の適切な使い捨てのマルチカラム連続捕捉クロマトグラフィシステムを代わりに使用することができる。この実施形態では、「無菌コネクタA」は、AseptiQuik(登録商標)Gコネクタ(Colder Products Company社)などであってもよく、「無菌コネクタB」は、Kleenpak(登録商標)Genderless Connector(Pall Biotech社)などであってもよく、チューブは、サイズ73のシリコーンチューブなどであってもよく、廃棄物用の閉じたバッグは、10Lの使い捨てバッグ、又は別の好都合な体積であってもよい。
【0060】
【
図5】システムの異なる構成要素間のデータの通信を可能にする精製タンパク質原薬などの精製した目的のタンパク質を製造するための本発明の自動化設備の実施形態の様々なハードウェア及びソフトウェア構成要素を概略的に示す。しかし、灌流システム及び連続クロマトグラフィシステムスキッドの灰色のボックスに示されている各構成要素、すなわちフィルタバンク、供給タンクA及び供給タンクB、並びに収集タンクA及び収集タンクBは、そのようなスキッド(バッチユニット)の構成要素として完全に任意である。本発明の他の実施形態では、これらの構成要素のいずれかは、特定の製造目的のために所望されるように、代わりにノンバッチユニット構成で存在してもよく、又は存在しなくてもよい。
【0061】
【
図6】500Lバイオリアクタの実行及び対応する2Lコンパレータサテライトバイオリアクタの生細胞密度を示す。2Lコンパレータサテライトバイオリアクタは、それぞれ「実行1 R17」、「実行2 R14」及び「実行3 R21」と指定される。
【0062】
【
図7】500Lバイオリアクタの実行及び対応する2Lサテライトバイオリアクタの生存率を示す。
【0063】
【
図8】500Lバイオリアクタの実行及び対応する2Lサテライトバイオリアクタの細胞ブリード速度を示す。
【0064】
【
図9】は、500Lバイオリアクタの実行及び対応する2Lサテライトバイオリアクタの透過液生産性を示す。
【0065】
【
図10】必要に応じて注射用水(WFI)を使用する500L使い捨てバイオリアクタ(SUB)の培養体積制御を示す。SUBレベル(右スケール、上のプロット)はキログラムで示され、WFI時間流速(左スケール、下のプロット及びステップ)は、mL/分で示される。WFI流速の段階的変化は、0.5~1.0、~2.0vvdへの灌流速度の上昇に対応する。
【0066】
【
図11】500LのSUBにおける重量オスモル濃度を2Lサテライトと比較する代表的なデータを示す(実行3を示す)。
【0067】
【
図12】500LのSUBのCO
2を2Lサテライトと比較した代表的なデータを示す(実行3を示す)。
【0068】
【
図13】500LのSUBにおける塩基使用量を2Lサテライトと比較した代表的なデータを示す(実行3)。500LのSUBのデータは、2Lバイオリアクタの作業体積(1.5L培養体積)に対して正規化されたmL/日単位の塩基使用量として示されている。
【0069】
【
図14】500LのSUBと2Lサテライトのラクタート比生成速度を比較した代表的なデータを示す(実行3を示す)。
【0070】
【
図15】500L使い捨て灌流バイオリアクタのグルコース比消費速度を2Lサテライトと比較した代表的なデータを示す(「実行3 R21」及び「実行3 R22」)。
【0071】
【
図16A】BioSMB上の3つの別個のプロテインAカラム(
図16A~
図16Bでは、「Col1」、「Col2」、及び「Col3」と指定される)の各々についてのプロテインAアフィニティクロマトグラフィの280nmでの吸光度のプロファイルの代表的な溶出プロファイル(A280、Y軸)(17日間の1日当たり1回の溶出サイクルとして示される、分、
図16A)、及び溶出サイクルごと(実行2を示す)のそれらのそれぞれの溶出カラム体積(CV、
図16B)を示す。
【
図16B】BioSMB上の3つの別個のプロテインAカラム(
図16A~
図16Bでは、「Col1」、「Col2」、及び「Col3」と指定される)の各々についてのプロテインAアフィニティクロマトグラフィの280nmでの吸光度のプロファイルの代表的な溶出プロファイル(A280、Y軸)(17日間の1日当たり1回の溶出サイクルとして示される、分、
図16A)、及び溶出サイクルごと(実行2を示す)のそれらのそれぞれの溶出カラム体積(CV、
図16B)を示す。
図16Bでは、太い実線のプロット線はCol1データを表し(17日目の中央のプロット)、細い実線のプロット線はCol3データを表し(17日目の上のプロット)、斜線のプロット線はCol2データを表す(17日目の下のプロット)。
【0072】
【
図17】代表的なプロテインAステップ収率データ(溶出収率)を示し、溶出サイクルの組み合わせた1日のプールとして示されている(実行2を示す)。累積溶出サイクル(「累積溶出サイクル」)も示す。
【0073】
【
図18】組み合わせた毎日の中和溶出プール中の代表的なプロセス関連不純物を示す(実行2を示す)。HCP=ELISAアッセイによって測定される宿主細胞タンパク質、DNA=qPCRアッセイによって測定される宿主細胞DNA、LPrA=ELISAアッセイによって測定される浸出プロテインA。
【0074】
【
図19A】代表的なSUSV1培養体積制御及びマルチカラム連続捕捉擬似移動床(SMB)第1クロマトグラフィシステム(ここでは「BioSMB」と呼ぶ)負荷流量(実行2を示す)を示す。
【
図19B】代表的なSUSV1培養体積制御及びマルチカラム連続捕捉擬似移動床(SMB)第1クロマトグラフィシステム(ここでは「BioSMB」と呼ぶ)負荷流量(実行2を示す)を示す。
図19Aでは、負荷流量(右y軸スケール、L/時間)が上段のプロットに示され、圧力(左y軸スケール、bar)がギザギザの下段のプロットに示され、SUSV制御範囲を維持するために流量を±10%変化させた。
図19Bでは、使い捨てサージ容器(SUSV)に含まれる体積(重量として測定、kg)が示されており、設定値は100kgであり、対照範囲は70kg~130kgであり、想定密度は1kg/Lであった。
【0075】
【
図20A】ウイルス不活化(必要に応じて中和)が行われる構造として、2つの交互の使い捨て収集容器(SUCV1及びSUCV2)が交互の手動バッチ形式で動作する本発明のプロセスの一実施形態の概略部分プロセスフロー図を示す。例えば、酸性化及び中和は、SUCV1及びSUCV2において交互に行うことができる。
【0076】
【
図20B】使い捨てサージ容器(SUSV2として示す)が、第1のクロマトグラフィシステム、例えば擬似移動床(SMB)クロマトグラフィシステム(「BioSMB」と呼ばれる)と、ウイルス不活化システム及び中和システムを中断されない流れ又は連続形式で含むウイルス不活性化/中和スキッドとの間に介在している、本発明のプロセスの一実施形態の概略部分プロセスフロー図を示す。別の連続流の実施形態では、SUSV2は、ウイルス不活化(必要に応じて中和)が起こる容器であってもよい。
【0077】
【
図20C】2つの交互の使い捨て収集容器(SUCV1及びSUCV2)がバッチ形式でウイルス不活化(「VI」)系及び中和(「Neut」)系を含むウイルス不活化/中和スキッドに供給する本発明のプロセスの一実施形態の概略部分プロセスフロー図を示す。ウイルス不活化/中和システムは、単一のタンク又は2つの交互のタンクで構成することができる。
図20Cに示す実施形態では、SUSVの上流(SUSV1)で、任意の(「任意」)フィルタバンクが、第1のクロマトグラフィシステムを微粒子から保護し、任意の熱交換器(「熱交換器(任意)」)は、クロマトグラフィシステムの成分及びタンパク質分子の安定性の必要性に応じて、第1のクロマトグラフィシステム(「BioSMB」と呼ばれる)に導入する前に、透過液材料を室温(RT)、又はいくつかの実施形態では4℃又は別の所望の温度に冷却する。
【0078】
【
図20D】2つの交互の使い捨て収集容器(SUCV1及びSUCV2)が、自動化されたバッチ形式のウイルス不活化システム及び中和システムを含むウイルス不活化/中和スキッドに単に供給するのではなく、その一部として動作する本発明のプロセスの一実施形態の概略部分プロセスフロー図を示す。酸性化及び中和プロセスは、SUCV1及びSUCV2のタンク内で交互に行われる。
【0079】
【
図20E】は、中断されない流れ又は連続的な流れの形式における本発明のプロセスの一実施形態の概略部分的なプロセスの流れ図を示す。この実施形態では、使い捨てサージ容器(「容器」として示される)は、例えば、第2のクロマトグラフィシステム(「クロム2」として示される)、任意の第3のクロマトグラフィシステム(「クロム3」として示される)、ウイルス濾過システム(「VF」として示される)、及び任意に(「
*任意」)、限外濾過/透析濾過(「UF/DF」)システムの前のプロセスステップ/動作の間に位置し、これは、代わりに、UF/DFスキッドの再循環タンクをサージ容器として使用できるためである。
図20Eに示すように、必要に応じて、次の動作の前に各動作からの流出物のpHの任意の(「任意」)インライン調整及び/又は導電率負荷の調整を自動的に行うことができる。他の代替的な実施形態では、各動作からの流出物のpH調整及び/又は導電率負荷の調整は、
図20Eの動作間に示されている「容器」又はSUSV(すなわち、容器内調整)の1つ又は複数で行うことができる。
【0080】
【
図20F】例えば(
図20Fでは)第2のクロマトグラフィシステム(「クロム2」として示される)、任意の第3のクロマトグラフィシステム(「クロム3」として示される)、及び/又はウイルス濾過システム(「VF」として示される)、又は例えば(
図20Gでは)ウイルス濾過システム(「VF」として示される)、インラインデプス濾過(
図20Gでは「インラインDF」として示され、ILDFとしても知られている)及びシングルパスタンジェンシャルフロー濾過(「SPTFF」として示される)の上流で、2つ以上のステップ/動作が使い捨てサージ容器を介在することなくタンデムで実行される、中断されない流れ又は連続的な流れの形式での本発明のプロセスの一実施形態の概略部分プロセスフロー図を示す。
【
図20G】例えば(
図20Fでは)第2のクロマトグラフィシステム(「クロム2」として示される)、任意の第3のクロマトグラフィシステム(「クロム3」として示される)、及び/又はウイルス濾過システム(「VF」として示される)、又は例えば(
図20Gでは)ウイルス濾過システム(「VF」として示される)、インラインデプス濾過(
図20Gでは「インラインDF」として示され、ILDFとしても知られている)及びシングルパスタンジェンシャルフロー濾過(「SPTFF」として示される)の上流で、2つ以上のステップ/動作が使い捨てサージ容器を介在することなくタンデムで実行される、中断されない流れ又は連続的な流れの形式での本発明のプロセスの一実施形態の概略部分プロセスフロー図を示す。シングルパスタンジェンシャルフロー濾過から、流れはUF/DFに連続することができるか、又はUF/DFのバッチ適用のために保持容器に収集することができる。本発明のプロセスが、ウイルスフリーの濾液を限外濾過/透析濾過システムに切り替えて、精製した目的のタンパク質を含む組成物を得ることを含む場合、SPTFFステップの作動圧力が約0.25psi~約60psi(又は約0.25psi~約45psi、又は約0.25psi~約30psi、又は約0.25psi~約15psi、又は約0.25psi~約5psi)の範囲に制御されること、及び/又はILDFステップの作動圧力が約0.25psi~約60psi(又は約0.25psi~約45psi、又は約0.25psi~約30psi、又は約0.25psi~約15psi、又は約0.25psi~約5psi)の範囲に制御されることが好ましい。
【0081】
【
図21】は、プロテインAクロマトグラフィ後のタンパク質単離物画分(「PrAEL HMW」)と低pHウイルス不活化及び中和ウイルス不活化生成物プール(「VI/中和プールHMW」)との間のサイズ排除高速液体クロマトグラフィ(SE-HPLC)によって測定された高分子量種(HMW)の比較を示す。
【0082】
【
図22】使い捨て灌流バイオリアクタ(「SUB」)から、二段階のシングルパスタンジェンシャルフロー濾過(「SPTFF」)及びインライン透析濾過(「ILDF」)モジュールを含む最終製剤化ステップまで、精製した目的のタンパク質又は精製タンパク質原薬を製造するための本発明のプロセスの連続的な一実施形態の概略図を示す。第1のクロマトグラフィシステムは、Cadence(商標)BioSMB(登録商標)PDシステム(Pall、「BioSMB」と呼ばれる)を使用して実施したプロテインAアフィニティクロマトグラフィ捕捉ステップであり、低pHウイルス不活化システム(「2-タンクVI」)をプロセスに含め、第2のクロマトグラフィシステムは、イオン交換クロマトグラフィ(「IEX」)を含んでいた。使い捨てのサージ容器(「SUSV」)が、ユニット動作の間に使用されて、示されている。
【0083】
【
図23】
図22に示す例のデプスフィルタカート及びその使用後水洗システムの概略図である。この実施形態におけるカートは、各々がデプスフィルタ(ここでは「DF-1」、「DF-2」と呼ばれる)を備え、その後に滅菌フィルタ(ここではそれぞれ「SF-1」及び「SF-2」と呼ばれる)が続く2つのフィルタトレインから構成された。圧力トランスデューサ(ここでは「P1」、「P2」、「P3」、及び「P4」と呼ばれる)を用いて各フィルタにわたって差圧を監視した。指定された差圧限界では、自動化バルブを使用してフィルタトレインを切り替えることができる(内側点の先端が接触した状態で互いを指す2つの三角形は二方向バルブを表す)。汚れたフィルタは、新しいフィルタが動作している間に、後で再使用するために交換及び洗浄することができる。
【0084】
【
図24】例5に記載されているような、例示的な連続形式の実施形態におけるSPTFF及びILDFシステムの詳細な概略図である。圧力トランスデューサ(ここでは「P1」、「P2」、「P3」、及び「P4」と呼ばれる)を用いて各フィルタにわたって差圧を監視した。任意の「ブレークタンク」は、任意のサージ容器を示す。指定された差圧限界では、自動化バルブ(内側点の先端が接触した状態で互いを指す2つの三角形は、二方向バブルを表し、内側点の先端が接触した状態で互いを指す3つの三角形は、三方向バルブを表す)を使用してフィルタトレインを切り替えることができる。汚れたフィルタは、新しいフィルタが動作している間に、後で再使用するために交換及び洗浄することができる。
【発明を実施するための形態】
【0085】
本明細書で使用される項の見出しは、構成上の目的のためだけであり、記載された主題を限定するものと解釈されるべきではない。
【0086】
定義
【0087】
本明細書で他に定義されない限り、本出願に関連して使用される科学的及び技術的用語は、当業者によって一般に理解される意味を有するものとする。さらに、文脈上別段の要求がない限り、単数形の用語は複数形を含み、複数形の用語は単数形を含むものとする。したがって、本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数の指示対象を含む。例えば、「タンパク質」への言及は、1つのタンパク質又は複数のタンパク質を含み、「バイオリアクタ」への言及は、1つのバイオリアクタ又は複数のバイオリアクタを含む。
【0088】
本発明は、精製した目的のタンパク質(例えば、限定されないが、精製タンパク質原薬)を製造するための統合された連続的又は半連続的な自動化プロセスに関する。本発明のプロセスは、無菌動作条件下で実施され、クロマトグラフィシステムの流量の自動制御調節を含む。(例えば、
図5を参照されたい)。
【0089】
プロセスの様々なステップは、単一のクリーンルーム又は複数の別個のモジュール式クリーンルームのいずれかで、自動化設備内で実行することができ、任意に自動化制御することができる。
【0090】
精製した目的のタンパク質(例えば、限定されないが、タンパク質原薬)を製造するためのプロセスに関連して「統合された」という用語は、製造プロセスの1つ又は複数の上流ステップ及び/又は下流ステップが、設定点又は流量に関する定義されたパラメータの現在のセンサーフィードバックによって修正されたプログラムされたコマンドに基づいて、共通又は協調制御下で実行されることを意味する。「協調された」という用語は、2つ以上の動作、ステップ、プロセス、構成要素、又はシステムが、単一の目的に向けたそれらの機能の効率又は調和を保証する関係で制御、調整、又は計画されることを意味する。
【0091】
「上流」プロセスには、例えば、組換え宿主細胞を培養すること、透過液から細胞を除去すること、及び1つ又は複数の灌流バイオリアクタからの無細胞透過液の体積を使い捨てサージ容器に流体供給することが含まれるが、これらに限定されない。「下流」プロセスステップには、例えば、第1のクロマトグラフィシステムにおける生成物の捕捉及び精製、タンパク質単離物画分をウイルス不活化システムに切り替えることであって、ウイルス不活化システムは、低pH又は界面活性剤ウイルス不活化システムであり、必要に応じて(例えば、低pHウイルス不活化システムの実施形態において、)中和システムであること、ウイルス不活化生成物プールを第2のクロマトグラフィシステムに導入すること、精製した生成物プールを第3のクロマトグラフィシステム及び/又はウイルス濾過システムに切り替えること、及び/又はウイルスフリーの濾液を限外濾過/透析濾過システムに切り替えることが含まれるが、これらに限定されない。
【0092】
「ウイルス不活化生成物プール」には、ウイルス不活化システム(及び必要に応じて中和システム)の操作によって得られたタンパク質生成物含有材料が含まれる。本発明の目的のために、「ウイルス不活化生成物プール」は、ウイルス不活化システム(及び必要に応じて中和システム)の操作によって得られ、その後、さらに下流の処理の前に、濾過されたウイルス不活化生成物プール(FVIP)を得るために(任意の)デプス濾過によって濾過されたそのような材料を包含する。
【0093】
製造プロセス又はシステムの「連続」形式は、灌流バイオリアクタが、バイオリアクタから(直接的に又は介在ユニット動作を介して間接的に)第1のクロマトグラフィシステムに来る、中断されない流れで連続捕捉クロマトグラフィステップ(例えば、第1のクロマトグラフィシステムによる処理)に流体接続され、続いて下流のウイルス不活性化ステップに、及び任意に、中断されない流れからデプス濾過に、中断されない流れで流体接続される処理様式を意味する。更なる下流の生成物精製ステップ(例えば、第2のクロマトグラフィシステム、任意の第3のクロマトグラフィシステム、ウイルス濾過、及び限外濾過/透析濾過による処理)は、任意の介在するサージ容器を用いて、全てが中断されない流れで前述の上流の処理ステップに、連続して互いに流体接続される。
【0094】
製造プロセスの「半連続」形式は、灌流バイオリアクタが、中断されない流れで連続捕捉クロマトグラフィステップ(例えば、第1のクロマトグラフィシステムによる処理)に、及びウイルス不活化システムによる処理に、並びに任意に中断されない流れでデプス濾過及び保持容器(HV1)へのウイルス不活化生成物プールの貯蔵に流体接続される処理様式を意味する。保持容器内のウイルス不活化生成物プールの一時的な貯蔵に続いて、1つ又は複数のバッチ下流処理ステップが続き、このステップは、中断されない流れで互いに連続的に流体接続することができ、例えば、第2のクロマトグラフィシステム、任意の第3のクロマトグラフィシステム、及び場合によっては任意の介在するサージ容器又は保持容器(すなわち、2つ以上のバッチ工程又は操作がある場合、保持容器)を用いた限外濾過/透析濾過による処理が続く。
【0095】
「灌流バイオリアクタ」は、細胞を培養するためのバイオリアクタであり、細胞がバイオリアクタ内に保持されている間に、等量の培地を添加してリアクタから除去することができる。灌流バイオリアクタは、バイオリアクタと、新鮮な栄養培地の安定した供給源及び細胞廃棄物の除去を提供する動作可能に取り付けられた灌流システムとを含む。バイオリアクタ、及び灌流バイオリアクタの灌流システムは、協調して動作する別個の機械的ユニットであってもよい。多数の市販の例としては、様々なXcellerex(登録商標)ブランドの使い捨てバイオリアクタ(SUB、GE Healthcare Life Sciences社)及びKrosFlo(登録商標)ブランドの灌流流路アセンブリ及びシステム(Spectrum、Repligen社)が挙げられるが、これらに限定されず、これらのバイオリアクタ及び灌流システムは、当業者によって灌流バイオリアクタに適切に組み合わせることができる。あるいは、バイオリアクタ及び灌流システムは、単一の機械的ユニット、例えば、これに限定されないが、3D Biotekブランドの灌流バイオリアクタ(Sigma-Aldrich社)に組み立てることができる。バイオリアクタ内の分泌タンパク質生成物は、灌流システムを介して培地を除去するプロセス中に精密濾過によって連続的に収集することができ、したがって目的のタンパク質は、灌流システムを出るマイクロフィルタ透過液中に単離される。
【0096】
自動製造設備内の製造プロセス又はシステムのステップは、目的のタンパク質を含有する材料が手動で負荷又は負荷軽減することなくステップ又はシステム間をパイプ、チューブ、又は他の閉鎖導管によって流れる場合、製造プロセスの別のステップ又は別のシステムから「流体的に」実行されるか、又は「流体的に接続」されるか、又は「流体的に」材料を受け取る。自動製造設備内の製造プロセス又はシステムのステップは、一般に「ユニット動作」と呼ばれる。OPCサーバと通信(例えば、配線接続又は無線接続によって)するように構成されたユニット動作は、「バッチユニット」又は「スキッド」と呼ばれる。典型的には、しかし必須ではないが、使い捨てバイオリアクタ、灌流システム、第1のクロマトグラフィシステム、第2のクロマトグラフィシステム、任意の第3のクロマトグラフィシステム、及び限外濾過/透析濾過システムは、「スキッド」として構成される。(例えば、
図1B~
図1Dを参照されたい。)ウイルス不活化システム、及び必要に応じて中和システムは、いくつかの実施形態ではスキッドであってもよい。(例えば、
図20Dを参照されたい。)ハード配線を介してではなく、ドングル及び/又はProfibus装置、又は同様のデジタル情報記憶装置及び電子ハードウェアコネクタを介して制御されるユニット動作は、「ノンバッチユニット」と呼ばれる。便宜上及び柔軟性のために、フィルタバンク、熱交換器、サージ容器、供給タンク、リザーバ、保持容器、収集容器又は収集タンク(例えば、溶出収集容器)、及び可搬式ミキサ及び他の混合容器は、必要に応じて存在する場合、典型的にはノンバッチユニットとして構成されるが、いくつかの実施形態では、これらのようなユニット動作はまた、ハード配線又は無線接続を介した制御を含む「スキッド」に含まれてもよい。(例えば、
図5及び
図20Dを参照されたい。)
【0097】
「自動化された(automated)」、「自動制御された(automation-controlled)」、又は「自動的に(automatically)」という用語は、製造プロセス又は設備に関連して互換的に使用され、1つ又は複数のプロセスステップの実施又は実行、あるいは製造設備の構成要素又はシステムの動作のコンピュータ制御を指し、場合により、プロセスステップ又は動作の付随するフィードバック制御を伴う。典型的には、コンピュータ化された制御装置は、制御される物理的又は化学的パラメータの検出器からデジタルシグナルを受信し、システム又はサブシステムに応答デジタル命令を発する。
【0098】
「治療用タンパク質」という用語は、ヒトの疾患又は状態の予防、治療、又は治癒に適用可能な薬理学的に活性なタンパク質を意味する。治療用タンパク質の例としては、モノクローナル抗体、天然タンパク質の組換え形態(例えば、受容体、リガンド、ホルモン、酵素又はサイトカイン)、融合タンパク質、ペプチボディ、及び/又は例えばLDL受容体Aドメイン、トロンボスポンジンドメイン、サイログロブリンドメイン、トレフォイル/PDドメイン、VEGF結合ドメイン、EGFドメイン、アナトドメイン、ノッチ/LNRドメイン、DSLドメイン、インテグリンベータドメイン、及びCa-EGFドメインから選択されるドメインに基づくモノマードメイン結合タンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。上記は単なる例示であり、治療用タンパク質は、任意の臨床的に関連するポリペプチド標的部分又はポリペプチドリガンドを含むことができる。「誘導体」という用語は、目的の治療用タンパク質に関連して使用される場合、治療薬又は診断薬へのコンジュゲーション、標識(例えば、放射性核種又は様々な酵素を用いて)、PEG化(ポリエチレングリコールによる誘導体化)などのポリマー共有結合、並びに天然又は非天然アミノ酸の挿入又は置換によって共有結合的に修飾されたタンパク質を指す。
【0099】
「原薬」は、疾患の診断、治癒、緩和、治療、又は予防において薬理活性又は他の直接的な効果をもたらすこと、あるいは身体の構造又は任意の機能に影響を及ぼすことを意図した活性医薬成分(API)である。原薬は、緩衝剤、担体、及び/又は賦形剤と共に更に製剤化又は再製剤化することができ、原薬は、臨床使用に適した及び/又は承認された製剤形態で更に投与することができる。
【0100】
所望のタンパク質を「精製する」又は「精製」という用語は、組成物又は溶液から少なくとも1つの夾雑物を(完全に又は部分的に)除去することによって、目的のタンパク質(すなわち、「POI」、例えば、治療用又は他の医学的に有用なタンパク質)及び1つ又は複数の夾雑物を含む組成物又は溶液から所望のタンパク質の純度を増加させることを意味する。「単離」タンパク質は、その天然環境又は産生細胞によって分泌された培地の1つ又は複数の成分から同定及び分離されたものである。いくつかの実施形態では、単離タンパク質は、その治療的、診断的、予防的、研究的又は他の使用を妨げるであろうその天然又は培地環境に見出されるタンパク質又はポリペプチド又は他の夾雑物を実質的に含まない。その天然環境又は培地の「夾雑物」成分は、目的のタンパク質の工業的、研究的、治療的、予防的又は診断的使用を妨げる材料であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質性又は非タンパク質性(例えば、ポリヌクレオチド、脂質、炭水化物)溶質を含み得る。典型的には、「単離タンパク質」又は互換的に「タンパク質単離物」は、所与の試料の少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約25%、又は少なくとも約50%を構成する。いくつかの実施形態では、目的の単離タンパク質は、(1)タンパク質の95重量%超、最も好ましくは99重量%超まで、又は(2)場合により染色剤、例えばクマシーブルー又は銀染色剤を使用して、還元又は非還元条件下でSDS-PAGE又は他の適切な技術によって均一になるまで「精製」される。単離された天然に存在する抗体は、タンパク質の天然環境の少なくとも1つの成分が存在しないので、組換え細胞内のインサイチュでの抗体を含む。しかし、典型的には、単離又は精製した目的のタンパク質(例えば、精製タンパク質原薬)は、少なくとも1つの精製ステップによって調製される。
【0101】
治療用又は他の医学的に有用なタンパク質などの本発明の目的のための目的のタンパク質は、バリアント又は親抗体アミノ酸配列を含むかどうかにかかわらず、典型的には組換え発現技術によって生成されるが、天然に存在するタンパク質であってもよい。
【0102】
「ポリペプチド」及び「タンパク質」は、本明細書では互換的に使用され、ペプチド結合を介して共有結合した2つ以上のアミノ酸の分子鎖を含む。これらの用語は、生成物の特定の長さを指すものではない。したがって、「ペプチド」及び「オリゴペプチド」は、ポリペプチドの定義内に含まれる。この用語は、ポリペプチドの翻訳後修飾、例えば、グリコシル化、アセチル化、リン酸化などを含む。さらに、タンパク質断片、類似体、変異又はバリアントタンパク質、融合タンパク質などは、ポリペプチドの意味の範囲内に含まれる。この用語はまた、既知のタンパク質工学技術を使用して組換え発現することができるように、1つ又は複数のアミノ酸類似体又は非標準若しくは非天然アミノ酸が含まれる分子を含む。さらに、タンパク質は、本明細書に記載されるように、及び他の公知の有機化学技術によって誘導体化することができる。
【0103】
ペプチド又はタンパク質「類似体」という用語は、少なくとも1つのアミノ酸の少なくとも1つのアミノ酸残基置換、内部付加、又は内部欠失、及び/又はアミノ末端若しくはカルボキシ末端の短縮化、又は付加によって、天然に存在するペプチド配列とは異なる配列を有するポリペプチドを指す。「内部欠失」は、N末端又はC末端以外の位置で、天然に存在する配列からアミノ酸が存在しないことを指す。同様に、「内部付加」は、N末端又はC末端以外の位置で、天然に存在する配列中のアミノ酸が存在することを指す。
【0104】
ポリペプチドの「バリアント」(例えば、免疫グロブリン、又は抗体、又は融合タンパク質)は、別のポリペプチド参照配列と比較して1つ又は複数のアミノ酸残基がアミノ酸配列に挿入、欠失及び/又は置換されているアミノ酸配列を含む。バリアントは、融合タンパク質のバリアントを含むことができる。
【0105】
「融合タンパク質」という用語は、タンパク質が2つ以上の親タンパク質又はポリペプチドに由来するポリペプチド成分を含むことを示す。典型的には、融合タンパク質は、1つのタンパク質由来のポリペプチド配列をコードするヌクレオチド配列が、異なるタンパク質由来のポリペプチド配列をコードするヌクレオチド配列とインフレームで付加され、場合によりリンカーによって分離されている「融合遺伝子」から発現される。次いで、融合遺伝子を、単一のタンパク質として組換え宿主細胞によって発現することができる。抗体又はその抗原結合部分を組み込んだ融合タンパク質が知られている。
【0106】
本発明のプロセスは、目的の分泌タンパク質を生成することができる哺乳動物細胞、例えば組換え宿主細胞を培養することを含む。「分泌」タンパク質は、分泌シグナルペプチド配列の結果として小胞体(ER)、分泌小胞、又は細胞外空間に指向することができるタンパク質、並びに必ずしもシグナル配列を含まずに細胞外空間に放出されるタンパク質を指す。分泌タンパク質が細胞外空間に放出されると、分泌タンパク質は細胞外プロセシングを受けて「成熟」タンパク質を生成することができる。細胞外空間への放出は、エキソサイトーシス及びタンパク質分解性切断を含む多くの機構によって生じることができる。いくつかの他の実施形態では、目的の抗体タンパク質は、分泌タンパク質として宿主細胞によって合成することができ、次いで、細胞外空間及び/又は培地から更に精製することができる。
【0107】
宿主細胞において組換えDNA技術によって生成されるタンパク質に関して本明細書で使用される場合、「可溶性」は、水溶液中に存在するタンパク質であり、タンパク質がツインアルギニンシグナルアミノ酸配列を含む場合、可溶性タンパク質は、グラム陰性細菌宿主において細胞膜周囲空間に排出されるか、又は分泌能を有する真核生物宿主細胞(すなわち、「タンパク質分泌」細胞、例えば、タンパク質分泌哺乳動物細胞)によって、又は適切な遺伝子(例えば、kil遺伝子)を有する細菌宿主によって培地中に分泌される。したがって、可溶性タンパク質は、宿主細胞内の封入体には見られないタンパク質である。あるいは、文脈に応じて、可溶性タンパク質は、細胞膜に組み込まれて見出されないか、又はインビトロで溶解するか、又は生理学的条件下で目的の水性緩衝液、例えばドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、尿素、塩酸グアニジニウム、又は過塩素酸リチウムなどのイオン性界面活性剤又はカオトロピック剤を含まない緩衝液中に他のタンパク質なしで懸濁された場合、生理学的条件下で有意な量の不溶性凝集体を形成することなく(すなわち、総タンパク質の10%未満、典型的には約5%未満の凝集体を形成する)、水性緩衝液に溶解することができるタンパク質である。対照的に、不溶性タンパク質は、宿主細胞中の細胞質顆粒(封入体と呼ばれる)の内部に変性した形態で存在するものであり、又は同様に文脈に応じて、不溶性タンパク質は、細胞質膜、ミトコンドリア膜、葉緑体膜、小胞体膜などを含むがこれらに限定されない細胞膜中に存在するか、又は生理学的条件下で目的の水性緩衝液、例えばドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、尿素、塩酸グアニジニウム、又は過塩素酸リチウムなどのイオン性界面活性剤又はカオトロピック剤を含まない緩衝液中に(生理学的に適合性の温度で)他のタンパク質なしで懸濁された場合、生理学的条件下でインビトロ水性緩衝液中で有意な量の不溶性凝集体を形成する(すなわち、総タンパク質の約10%以上の凝集体を形成する)タンパク質である。
【0108】
タンパク質の「安定」製剤は、その中のタンパク質が、抗体原薬及び/又は製剤の加工(例えば、限外濾過、透析濾過、他の濾過ステップ、バイアル充填)、輸送及び/又は貯蔵の際に、その物理的安定性及び/又は化学的安定性及び/又は生物学的活性を本質的に保持するものである。合わせて、製剤中のタンパク質の物理的、化学的及び生物学的安定性は、製剤化された製剤(DP)が貯蔵される条件に特異的なタンパク質製剤の「安定性」を具体化する。例えば、零下温度で保存された製剤は、化学的、物理的又は生物学的活性のいずれにも有意な変化がないと予想されるが、40℃で保存された製剤は、その物理的、化学的及び生物学的活性の変化を有すると予想され、変化の程度は原薬又は製剤の保存時間に依存する。タンパク質製剤の構成も変化率に影響を及ぼし得る。例えば、凝集体形成は、タンパク質濃度によって大きく影響され、より高いタンパク質濃度でより高い凝集速度が観察される。賦形剤はまた、例えば、いくつかのタンパク質の凝集速度を増加させる塩の添加により製剤の安定性に影響を及ぼすことが知られており、一方、スクロースなどの他の賦形剤は、貯蔵中の凝集速度を減少させることが知られている。不安定性はまた、pHによって大きく影響され、修飾の種類及びpH依存性に応じて、より高い及びより低い分解速度の両方を生じさせる。
【0109】
タンパク質安定性を測定するための様々な分析技術が当技術分野で利用可能であり、例えば、Wang,W.(1999),Instability,stabilization and formulation of liquid protein pharmaceuticals,Int J Pharm 185:129-188で概説されている。安定性は、選択された温度で選択された期間にわたって測定することができる。迅速なスクリーニングのために、例えば、製剤を40℃で2週間~1ヶ月間維持してもよく、その時点で安定性を測定する。製剤を2~8℃で保存する場合、一般に、製剤は、30℃で少なくとも1ヶ月間、又は40℃で少なくとも1週間、及び/又は2~8℃で少なくとも2年間安定でなければならない。
【0110】
色及び/又は透明度の目視検査で、あるいはUV光散乱又はサイズ排除クロマトグラフィ又は他の適切な方法で測定して、二次及び/又は三次構造(すなわち、固有構造)への変化、又は凝集、及び/又は沈殿及び/又は変性の最小の徴候を示す場合、製剤中でタンパク質は、「その物理的安定性を保持する」。タンパク質の物理的不安定性、すなわち物理的安定性の喪失は、オリゴマー化によって引き起こされ、二量体及びより高次の凝集体、肉眼不可視及び可視粒子形成、並びに沈殿をもたらす可能性がある。物理的分解の程度は、目的の分解物の種類に応じて様々な技術を使用して確認することができる。二量体及びより高次の可溶性凝集体は、サイズ排除クロマトグラフィを使用して定量化することができるが、肉眼不可視の粒子は、光散乱、光遮蔽又は他の適切な技術を使用して定量化することができる。
【0111】
所与の時点での化学的安定性が、共有結合が形成又は切断されず、タンパク質成分の一次構造に変化をもたらすようなものである場合、製剤中でタンパク質は、「その化学的安定性を保持する」。一次構造の変化は、タンパク質の二次及び/又は三次及び/又は四次構造の修飾をもたらし得、凝集体の形成又は既に形成された凝集体の逆転をもたらし得る。典型的な化学修飾としては、異性化、脱アミド、N末端環化、骨格加水分解、メチオニン酸化、トリプトファン酸化、ヒスチジン酸化、ベータ脱離、ジスルフィド形成、ジスルフィドスクランブル化、ジスルフィド切断、及びD-アミノ酸形成を含む一次構造の変化をもたらす他の変化を挙げることができる。化学的不安定性、すなわち化学的安定性の喪失は、イオン交換クロマトグラフィ、キャピラリー等電点電気泳動、ペプチド消化物の分析、及び複数のタイプの質量分析技術を含む様々な技術によって調べることができる。化学的安定性は、タンパク質の化学的に変化した形態を検出及び定量することによって評価することができる。化学的変化は、例えば、サイズ排除クロマトグラフィ、SDS-PAGE及び/又はマトリックス支援レーザー脱離イオン化/飛行時間型質量分析(MALDI/TOF MS)を使用して評価することができるサイズ変化(例えば、クリッピング)を含み得る。他の種類の化学的変化としては、イオン交換クロマトグラフィ、キャピラリー等電点電気泳動、又はペプチドマッピングなどであるが、これらに限定されない、電荷に基づく方法によって評価することができる電荷変化(例えば、脱アミドの結果として生じる)が挙げられる。
【0112】
物理的及び/又は化学的安定性の喪失は、修飾及び修飾されるタンパク質に応じて、目的の生物学的活性の増加又は減少のいずれかとして生物学的活性の変化をもたらし得る。所与の時点でのタンパク質の生物学的活性が、製剤が調製された時点で示された生物学的活性の約30%以内である場合、製剤中でタンパク質は、「その生物学的活性を保持する」。活性がその開始値の70%未満である場合、活性は低下したと見なされる。生物学的アッセイは、リガンド結合、効力、細胞増殖又はその生物医薬活性の他の代用測定などのインビボ及びインビトロベースのアッセイの両方を含み得る。
【0113】
「天然に存在する」という用語は、ポリペプチド、核酸、宿主細胞などの生物学的材料に関連して本明細書で生じる場合、自然界で見出される材料を指す。
【0114】
「組換え」という用語は、材料(例えば、核酸又はポリペプチド)がヒトの介入によって人工的又は合成的に(すなわち、非天然に)変化されたことを示す。変化は、その自然環境又は状態内の材料に、又はその自然環境又は状態から除去した材料に行うことができる。例えば、「組換え核酸」は、例えばクローニング、DNAシャッフリング又は他の公知の分子生物学的手順の間に核酸を組み換えることによって作製されるものである。そのような分子生物学的手順の例は、Maniatis et al.,Molecular Cloning.A Laboratory Manual.Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,N.Y.(1982)に見られる。「組換えDNA分子、」は、そのような分子生物学的技術によって一緒に接合されたDNAのセグメントから構成される。
【0115】
本明細書で使用される「組換えタンパク質」又は「組換えポリペプチド」という用語は、組換えDNA分子を使用して発現されるタンパク質分子、例えば目的のタンパク質を指す。「組換え宿主細胞」は、組換え核酸を含有及び/又は発現する細胞である。
【0116】
「制御配列」又は「制御シグナル」という用語は、特定の宿主細胞において、それが連結されるコード配列の発現及びプロセシングに影響を及ぼし得るポリヌクレオチド配列を指す。そのような制御配列の性質は、宿主生物に依存し得る。特定の態様では、原核生物の制御配列は、プロモーター、リボソーム結合部位、及び転写終結配列を含み得る。真核生物の制御配列は、転写因子のための1つ又は複数の認識部位、転写エンハンサー配列又はエレメント、ポリアデニル化部位、及び転写終結配列を含むプロモーターを含み得る。制御配列は、リーダー配列及び/又は融合パートナー配列を含み得る。プロモーター及びエンハンサーは、転写に関与する細胞タンパク質と特異的に相互作用するDNAの短いアレイからなる(Maniatis,et al.,Science 236:1237(1987))。プロモーター及びエンハンサーエレメントは、酵母、昆虫及び哺乳動物細胞中の遺伝子を含む種々の真核生物源並びにウイルスから単離されている(類似の制御エレメント、すなわちプロモーターも原核生物に見られる)。特定のプロモーター及びエンハンサーの選択は、目的のタンパク質を発現するためにどの細胞型が使用されるかに依存する。一部の真核生物プロモーター及び真核生物エンハンサーは広い宿主範囲を有するが、他の真核生物プロモーター及び真核生物エンハンサーは限られた細胞型のサブセットにおいて機能的である(総説については、Voss,et al.,Trends Biochem.Sci.,11:287(1986)及びManiatis,et al.,Science 236:1237(1987)を参照されたい)。
【0117】
「プロモーター」は、RNAポリメラーゼが結合して、1つ又は複数の下流の構造遺伝子によるメッセンジャーRNAの転写を開始する部位を含むDNAの領域である。プロモーターは、遺伝子の転写開始部位の近く、同じ鎖上及びDNAの上流(センス鎖の5’領域に向かって)に位置する。プロモーターは、典型的には約100~1000bp長である。
【0118】
「エンハンサー」は、遺伝子の転写を活性化するために1つ又は複数の活性化タンパク質(転写因子)と結合することができるDNAの短い(50~1500bp)領域である。
【0119】
本明細書で使用される「作動可能な組み合わせで」、「作動可能な順序で」及び「作動可能に連結される」という用語は、所与の遺伝子の転写及び/又は所望のタンパク質分子の合成を指令することができる核酸分子が生成されるような方法での核酸配列の連結を指す。この用語はまた、機能性タンパク質が生成されるような様式でのアミノ酸配列の連結を指す。例えば、タンパク質コード配列に「作動可能に連結される」ベクター中の制御配列は、制御配列の転写活性と適合する条件下でタンパク質コード配列の発現が達成されるように、それに連結される。
【0120】
「ポリヌクレオチド」又は「核酸」という用語は、2つ以上のヌクレオチド残基を含む一本鎖及び二本鎖の両方のヌクレオチドポリマーを含む。ポリヌクレオチドを含むヌクレオチド残基は、リボヌクレオチド又はデオキシリボヌクレオチド、あるいはいずれかのタイプのヌクレオチドの修飾形態であってもよい。当該修飾としては、ブロモウリジン及びイノシン誘導体などの塩基修飾、2’,3’-ジデオキシリボースなどのリボース修飾、並びにホスホロチオアート、ホスホロジチオアート、ホスホロセレノアート、ホスホロジセレノアート、ホスホロアニロチオアート、ホスホロアニラダート及びホスホロアミダートなどのヌクレオチド間結合修飾が挙げられる。
【0121】
「オリゴヌクレオチド」という用語は、200個以下のヌクレオチド残基を含むポリヌクレオチドを意味する。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、10~60塩基長である。他の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20~40ヌクレオチド長である。オリゴヌクレオチドは、例えば突然変異遺伝子の構築に使用するために、一本鎖又は二本鎖であってもよい。オリゴヌクレオチドは、センスオリゴヌクレオチド又はアンチセンスオリゴヌクレオチドであってもよい。オリゴヌクレオチドは、検出アッセイのために、放射性標識、蛍光標識、ハプテン又は抗原標識を含む標識を含むことができる。オリゴヌクレオチドは、例えば、PCRプライマー、クローニングプライマー又はハイブリダイゼーションプローブとして使用され得る。
【0122】
本明細書で互換的に使用される「ポリヌクレオチド配列」又は「ヌクレオチド配列」又は「核酸配列」は、文脈に応じて、オリゴヌクレオチド、DNA及びRNA、核酸、又はヌクレオチド残基の一次配列を表す文字列を含む、ポリヌクレオチド中のヌクレオチド残基の一次配列である。任意の特定のポリヌクレオチド配列から、所与の核酸又は相補的ポリヌクレオチド配列のいずれかを決定することができる。一本鎖又は二本鎖であってもよく、センス鎖又はアンチセンス鎖を表すゲノム又は合成起源のDNA又はRNAが含まれる。別段特定されない限り、本明細書中で論じられる任意の一本鎖ポリヌクレオチド配列の左端は5’末端であり、二本鎖ポリヌクレオチド配列の左方向を5’方向と呼ぶ。新生RNA転写物の5’から3’への付加の方向は、転写方向と称され、RNA転写物の5’末端に対して5’側であるRNA転写物と同じ配列を有するDNA鎖上の配列領域は、「上流配列」と称され、RNA転写物の3’末端に対して3’側であるRNA転写物と同じ配列を有するDNA鎖上の配列領域は、「下流配列」と称される。
【0123】
本明細書で使用される場合、「単離核酸分子」又は「単離核酸配列」は、(1)核酸の天然源において通常会合している少なくとも1つの夾雑核酸分子から同定及び分離されるか、又は(2)目的の核酸の配列を決定することができるように、バックグラウンド核酸からクローニング、増幅、タグ付け、若しくはそうでなければ区別されるかのいずれかである核酸分子である。単離核酸分子は、それが自然界で見出される形態又は状況以外である。しかし、単離核酸分子は、通常免疫グロブリン(例えば、抗体)を発現する細胞に含まれる核酸分子を含み、例えば、核酸分子は、天然の細胞とは異なる染色体位置にある。
【0124】
本明細書で使用される場合、「をコードする核酸分子、」、「をコードするDNA配列、」及び「をコードするDNA」という用語は、デオキシリボ核酸の鎖に沿ったデオキシリボヌクレオチドの順序又は配列を指す。これらのデオキシリボヌクレオチドの順序は、mRNA鎖に沿ったリボヌクレオチドの順序を決定し、ポリペプチド(タンパク質)鎖に沿ったアミノ酸の順序も決定する。したがって、DNA配列は、RNA配列及びアミノ酸配列をコードする。
【0125】
「遺伝子」という用語は、生物学的機能に関連する任意の核酸を指すために広く使用される。遺伝子は、典型的には、コード配列及び/又はそのようなコード配列の発現に必要な調節配列を含む。「遺伝子」という用語は、特定のゲノム配列又は組換え配列、並びにその配列によってコードされるcDNA又はmRNAに適用される。遺伝子には、例えば、他のタンパク質に対する認識配列を形成する非発現核酸セグメントも含まれる。非発現調節配列は、転写因子などの調節タンパク質が結合し、隣接又は近傍の配列の転写をもたらす転写制御要素を含む。
【0126】
「遺伝子の発現」又は「核酸の発現」は、文脈によって示されるように、DNAのRNAへの転写(RNAの修飾、例えばスプライシングを場合により含む)、RNAのポリペプチドへの翻訳(おそらくポリペプチドのその後の翻訳後修飾を含む)、又は転写と翻訳の両方を意味する。
【0127】
発現カセットは、組換え発現技術の典型的な特徴である。発現カセットは、目的のタンパク質をコードする遺伝子、例えば、免疫グロブリン軽鎖及び/又は重鎖配列などの抗体配列をコードする遺伝子を含む。真核生物「発現カセット」は、哺乳動物細胞などの真核生物細胞におけるタンパク質の生成を可能にする発現ベクターの一部を指す。それは、mRNA転写のために真核細胞で作動可能なプロモーター、目的のタンパク質をコードする1つ又は複数の遺伝子、並びにmRNA終結シグナル及びプロセシングシグナルを含む。発現カセットは、コード配列の中に、選択マーカーとして有用な遺伝子を有用に含むことができる。発現カセットでは、プロモーターは、目的の外因性タンパク質をコードするオープンリーディングフレームに5’で作動可能に連結されており、ポリアデニル化部位は、オープンリーディングフレームに3’で作動可能に連結されている。発現カセットが作動可能なままである限り、他の適切な制御配列も含めることができる。オープンリーディングフレームは、場合により、2つ以上の目的のタンパク質のコード配列を含むことができる。
【0128】
本明細書で使用される場合、構造遺伝子に関して使用される場合の「コード領域」又は「コード配列」という用語は、mRNA分子の翻訳の結果として新生ポリペプチドに見られるアミノ酸をコードするヌクレオチド配列を指す。コード領域は、真核生物において、5’側では開始剤メチオニンをコードするヌクレオチドトリプレット「ATG」によって、3’側では終止コドンを指定する3つのトリプレット(すなわち、TAA、TAG、TGA)のうちの1つによって囲まれている。
【0129】
組換え発現技術は、典型的には、発現カセットを含む組換え発現ベクターと、例えば宿主細胞ゲノムに組み込まれ得る発現カセット又は少なくとも発現カセットを有する組換え発現ベクターを含む哺乳動物宿主細胞との使用を含む。
【0130】
「ベクター」という用語は、タンパク質コード情報を宿主細胞に移入するために使用される任意の分子又は実体(例えば、核酸、プラスミド、バクテリオファージ又はウイルス)を意味する。
【0131】
本明細書で使用される「発現ベクター」又は「発現構築物」という用語は、所望のコード配列及び特定の宿主細胞における作動可能に連結されたコード配列の発現に必要な適切な核酸制御配列を含む組換えDNA分子を指す。発現ベクターは、転写、翻訳に影響を及ぼすか又は制御し、イントロンが存在する場合、それに作動可能に連結されたコード領域のRNAスプライシングに影響を及ぼす配列を含み得るが、これらに限定されない。原核生物における発現に必要な核酸配列には、プロモーター、場合によりオペレータ配列、リボソーム結合部位及びおそらく他の配列が含まれる。真核細胞は、プロモーター、エンハンサー、並びに終結シグナル及びポリアデニル化シグナルを利用することが公知である。分泌シグナルペプチド配列はまた、所望であれば、目的のポリペプチドを細胞からより容易に単離するために、発現ポリペプチドが組換え宿主細胞によって分泌され得るように、場合により、目的のコード配列に作動可能に連結された発現ベクターによってコードされ得る。そのような技術は当技術分野で公知である。(例えば、Goodey,Andrew R.;et al.,Peptide and DNA sequences,米国特許第5,302,697号;Weiner et al.,Compositions and methods for protein secretion,米国特許第6,022,952号及び米国特許第6,335,178号;Uemura et al.,Protein expression vector and utilization thereof,米国特許第7,029,909号;Ruben et al.,27 human secreted proteins,米国特許出願公開第2003/0104400号を参照されたい)目的のマルチサブユニットタンパク質の発現のために、各々が異なるサブユニットモノマーの各々に対するコード配列を含む、適切な数及び割合の別々の発現ベクターを使用して、宿主細胞を形質転換することができる。他の実施形態では、単一の発現ベクターを使用して、目的のタンパク質の異なるサブユニットを発現させることができる。
【0132】
「宿主細胞」という用語は、核酸で形質転換されているか、又は形質転換することができ、それによって目的の遺伝子又はコード配列を発現する細胞を意味する。この用語は、目的の遺伝子が存在する限り、子孫が元の親細胞と形態又は遺伝的構成が同一であるか否かにかかわらず、親細胞の子孫を含む。多数の利用可能で公知の宿主細胞のいずれかが、抗体バリアントを得るために本発明の実施において使用され得るが、抗体を翻訳後グリコシル化することが可能な哺乳動物宿主細胞が好ましい。特定の宿主の選択は、当技術分野で認識されている多くの因子に依存する。これらには、例えば、選択された発現ベクターとの適合性、DNA分子によってコードされるペプチドの毒性、形質転換率、ペプチドの収集の容易さ、発現特性、生物学的安全性及びコストが含まれる。全ての宿主が特定のDNA配列の発現に等しく有効であるとは限らないという理解の下で、これらの因子のバランスをとらなければならない。改変は、DNAレベルでも行うことができる。ペプチドをコードするDNA配列は、選択された宿主細胞とより適合性の高いコドンに変更され得る。コドンは、制限部位を排除するために、又はサイレント制限部位を含むために置換することができ、これは、選択された宿主細胞におけるDNAのプロセシングを補助し得る。次に、形質転換された宿主を培養し、精製する。宿主細胞は、所望の化合物が発現されるように従来の発酵条件下で培養され得る。そのような発酵条件は、当技術分野で公知である。
【0133】
これらの一般的なガイドライン内で、培養中の微生物宿主細胞、例えば細菌(大腸菌(Escherichia coli)種など)及び酵母細胞株(例えば、サッカロミセス属(Saccharomyces)、ピキア属(Pichia)、シゾサッカロミセス属(Schizosaccharomyces)、クルイベロミセス属(Kluyveromyces))並びにヒト化グリコシル化経路を組み込むように改変された他の真菌細胞、藻類又は藻類様細胞、昆虫細胞、植物細胞を使用して、完全機能性グリコシル化抗体を生成することもできる。しかし、哺乳動物(ヒトを含む)宿主細胞、例えばCHO細胞及びHEK-293細胞は、本発明のプロセスにおいて特に有用である。
【0134】
有用な哺乳動物宿主細胞株の例は、CHO-K1細胞(例えば、ATCC CCL61)、CHO-S、DXB-11、DG-44を含むチャイニーズハムスター卵巣細胞、及びチャイニーズハムスター卵巣細胞/-DHFR(CHO、Urlaub et al,Proc.Natl.Acad.Sci.USA77:4216(1980));SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1株(COS-7、ATCC CRL1651);ヒト胎児腎臓株(懸濁培養における増殖のためにサブクローニングされた293又は293細胞(Graham et al,J.Gen Virol.36:59(1977));ベビーハムスター腎臓細胞(BHK、ATCC CCL 10);マウスセルトリ細胞(TM4、Mather,Biol.Reprod.23:243-251(1980));サル腎臓細胞(CVl ATCC CCL 70);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76、ATCC CRL-1587);ヒト子宮頸癌細胞(HELA、ATCC CCL2);イヌ腎臓細胞(MDCK、ATCC CCL 34);バッファローラット肝臓細胞(BRL3A、ATCC CRL 1442);ヒト肺細胞(W138、ATCC CCL 75);ヒト肝細胞癌細胞(Hep G2、HB 8065);マウス乳房腫瘍(MMT 060562、ATCC CCL 51);TRI細胞(Mather et al,Annals N.Y Acad.Sci.383:44-68(1982));MRC 5細胞又はFS4細胞;又は哺乳動物骨髄腫細胞、例えば、NS0又はsp2/0マウス骨髄腫細胞である。
【0135】
「細胞」、「細胞株」及び「細胞培養物」は、しばしば互換的に使用され、本明細書におけるそのような呼称は全て細胞子孫を含む。例えば、CHO細胞に「由来する」細胞は、チャイニーズハムスター卵巣細胞の細胞子孫であり、任意の数の世代によって元の初代細胞親から除去され得、形質転換子孫細胞も含み得る。形質転換体及び形質転換細胞には、導入の回数に関係なく、初代対象細胞及びそれに由来する培養物が含まれる。また、全ての子孫が、意図的又は偶発的な変異のために、DNA含有量が正確に同一でない場合があることも理解される。最初に形質転換された細胞においてスクリーニングされたものと同じ機能又は生物学的活性を有する変異子孫が含まれる。
【0136】
宿主細胞は、ポリペプチド(抗体などの抗原結合タンパク質を含む)の生成のために上記の核酸又はベクターで形質転換又はトランスフェクトされ、プロモーターの誘導、形質転換体の選択、又は所望の配列をコードする遺伝子の増幅のために適切に改変された従来の栄養培地で培養される。さらに、選択マーカーによって分離された複数コピーの転写単位を有する新規ベクター及びトランスフェクト細胞株は、抗体などのポリペプチドの発現に特に有用である。
【0137】
「トランスフェクション」という用語は、細胞による外来又は外因性DNAの取り込みを意味し、外因性DNAが細胞膜の内側に導入された場合、細胞は「トランスフェクト」されている。いくつかのトランスフェクション技術が当技術分野で公知であり、本明細書に開示される。例えば、Graham et al.,1973,Virology 52:456;Sambrook et al.,2001,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,上記;Davis et al.,1986,Basic Methods in Molecular Biology,Elsevier;Chu et al.,1981,Gene 13:197を参照されたい。そのような技術を使用して、1つ又は複数の外因性DNA部分を適切な宿主細胞に導入することができる。
【0138】
「形質転換」という用語は、細胞の遺伝的特徴の変化を指し、細胞は、新しいDNA又はRNAを含有するように改変されている場合に形質転換されている。例えば、細胞は、トランスフェクション、形質導入、又は他の技術を介して新しい遺伝物質を導入することによってその天然の状態から遺伝子改変される場合に形質転換される。トランスフェクション又は形質導入の後、形質転換DNAは、細胞の染色体に物理的に組み込まれることによって細胞のDNAと再結合し得るか、又は複製されずにエピソーム要素として一時的に維持され得るか、又はプラスミドとして独立して複製し得る。形質転換DNAが細胞の分裂と共に複製される場合、細胞は「安定に形質転換した」と考えられる。
【0139】
本発明のプロセスは、少なくとも10日間の生成培養期間の間、細胞が目的のタンパク質を培地に分泌することを可能にする条件下で、液体培地を含む1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタで哺乳動物細胞を培養することを含む。
【0140】
CHO及びBHK細胞などの哺乳動物細胞は、一般に懸濁培養として培養される。すなわち、細胞は、固体支持体に接着するのではなく、液体細胞培地に懸濁される。別の有用な生成様式は、接着性細胞株を有する中空繊維バイオリアクタである。多孔性マイクロキャリアは好適であり得、Cytoline(登録商標)、Cytopore(登録商標)又はCytodex(登録商標)(GE Healthcare Biosciences社)などのブランドで市販されている。
【0141】
「細胞培養」は、細胞外培地(新鮮又は条件)及びその中で培養された哺乳動物細胞を意味する。
【0142】
本明細書で互換的に使用される「細胞培地」又は「培地」は、インビトロ細胞培養での細胞、好ましくは動物細胞、より好ましくは哺乳動物細胞(例えば、CHO細胞)の増殖に適した滅菌水性媒体である。「供給媒体」は、細胞を細胞培地に接種し、細胞増殖を開始した後に細胞培養物に添加された新鮮な細胞培地である。
【0143】
「生成培養期間」という用語は、タンパク質分泌哺乳動物細胞が、目的のタンパク質の連続生成を生理学的に可能にするバイオリアクタ内のインキュベーション条件下で維持される期間を意味する。いくつかの実施形態では、タンパク質の発現は構成的であってもよく、他の実施形態では、タンパク質の発現を誘導可能であるように操作することができる(例えば、TetO調節発現)。そのような誘導可能な発現では、生成培養期間は、誘導分子(例えば、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、又は他のテトラサイクリン類似体)が目的のタンパク質の発現を誘導するのに十分な量で培地中に存在する場合、バイオリアクタでの培養期間のみを含む。特許請求される方法の目的のために、生成培養期間は、少なくとも10日間又はそれ以上、又は少なくとも20日間又はそれ以上、例えば10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、22日間、23日間、24日間、25日間、26日間、27日間、28日間、29日間、30日間又はそれ以上であるか、あるいは10~20日間又はそれ以上、又は20~30日間又はそれ以上、又は30~45日間又はそれ以上、又は45~60日間又はそれ以上、又は60~75日間又はそれ以上である。
【0144】
生成培養期間中、新鮮な滅菌液体培地が、1つ又は複数の灌流バイオリアクタに自動的に添加され、複数の異なる濃縮培地成分溶液及び水性希釈剤から同時に混合される。「同時に混合された」という語句は、濃縮培地成分及び希釈剤が、一緒に混合されて、新鮮な培養培地を作製することを意味し、灌流バイオリアクタの各々から取り出された培地の体積を、透過液又は細胞ブリードの体積のいずれかとして交換するのに必要な場合、数秒又は数分(≦2分)以内に混合することを意味する。バイオリアクタは、バイオリアクタ及びインペラの設計、並びに撹拌速度に基づいて、特徴的な混合時間を有する。例えば、Xcellerex(登録商標)XDR 500-L SUBは、95~150rpmの撹拌速度で30~55秒のブレンド時間を有する。撹拌を増加させることによって、より短いブレンド時間も可能である。「透過液」は、全ての細胞を除去するために精密濾過によって濾過され、目的のタンパク質を含有する一定量の条件細胞培地である。細胞除去マイクロフィルタの上流の条件培地は「保持液」と呼ばれ、マイクロフィルタの下流の条件培地は「透過液」であり、これは灌流バイオリアクタの灌流システムから現れ、例えば第1のクロマトグラフィシステムによる更なる処理の準備ができている。「細胞ブリード」は、いくつかの細胞及び培地を含む細胞培養物の体積であり、バイオリアクタから廃棄及び/又は分析のために排出される。新鮮な培地は、バイオリアクタからの細胞培養物の体積の除去が断続的に(すなわち、「周期的に」)又は連続的に行われるかに応じて、定期的又は連続的にバイオリアクタに添加される。
【0145】
本発明のプロセス(及び設備)のいくつかの実施形態では、新鮮な滅菌液体培地は、複数の異なる濃縮成分溶液を互いに対して固定比で灌流バイオリアクタに直接注入することによって、1つ又は複数の灌流バイオリアクタに添加される一方で、水性希釈剤(適切な緩衝液又は水)もまた、複数の異なる濃縮培地成分溶液に対して様々な比で添加されて、各灌流バイオリアクタ内の一定の培養体積を維持する(すなわち、各灌流バイオリアクタから除去されている透過液又は細胞ブリードの体積を説明するために)。他の実施形態では、複数の異なる濃縮成分溶液及び水性希釈剤(適切な緩衝液又は水)を互いに対して固定比で灌流バイオリアクタに直接注入することによって、新鮮な滅菌液体培地が1つ又は複数の灌流バイオリアクタに添加されて、各灌流バイオリアクタ内の一定の培養体積を維持する。さらに他の実施形態では、複数の異なる濃縮成分溶液及び水性希釈剤(適切な緩衝液又は水)を互いに対して固定比で混合チャンバに注入することによって、新鮮な滅菌液体培地が1つ又は複数の灌流バイオリアクタに添加されて、ここで、新鮮な滅菌液体培地が(バイオリアクタに流体接続された滅菌混合容器内で)同時に混合された後、各灌流バイオリアクタに添加されて、一定の培養体積を維持する。
【0146】
培地成分及び希釈剤が適切に混合される特定の比は、使用される培地レシピ及び使用される濃縮培地成分ストックの濃度に応じて異なり、適切な比は、当業者によって好都合に計算することができる。
【0147】
本発明によれば、異なる濃縮培地成分溶液及び水性希釈剤の水面下添加は回避されることが好ましい。別個のポートを介した、全ての培地成分溶液及び水性希釈剤の必要に応じた送達は、手動(例えば、必要に応じて、周期的な調整を伴う事前に設定された圧送流量によって)又は自動(例えば、比率制御された圧送スキッド及び自動化を使用して灌流バイオリアクタ内の培養体積を維持することによって)で達成することができる。
【0148】
「緩衝液」又は「緩衝溶液」という用語は、その共役酸塩基範囲の作用によるpHの変化に抵抗する溶液を指す。有用な緩衝剤の例としては、アセタート、MES、シトラート、トリス、ビス-トリス、ヒスチジン、アルギニン、スクシナート、シトラート、グルタマート及びラクタート、又はこれらの2種以上の組み合わせ、又は他の鉱酸又は有機酸緩衝剤が挙げられ、ホスファートは有用な緩衝剤の別の例である。ナトリウム、アンモニウム及びカリウム陽イオンを含有する塩は、緩衝溶液の作製にしばしば使用される。
【0149】
ポリヌクレオチドの「ドメイン」又は「領域」(本明細書では互換的に使用される)は、完全なポリヌクレオチドまで、及び完全なポリヌクレオチドを含むが、典型的には完全なポリヌクレオチド未満を含む、ポリヌクレオチド全体の任意の部分である。ドメインは、ポリヌクレオチド鎖の残りの部分とは独立して折り畳むことができ(例えば、DNAヘアピンフォールディング)、及び/又はコード領域又は調節領域などの特定の生物学的、生化学的、あるいは構造的機能又は位置と相関することができるが、必ずしもそうである必要はない。
【0150】
タンパク質の「ドメイン」又は「領域」(本明細書では互換的に使用される)は、完全なタンパク質まで、及び完全なタンパク質を含むが、典型的には完全なタンパク質未満を含む、タンパク質全体の任意の部分である。ドメインは、タンパク質鎖の残りの部分とは独立して折り畳むことができ、及び/又は特定の生物学的、生化学的、あるいは構造的機能又は位置(例えば、リガンド結合ドメイン、あるいは細胞質、膜貫通又は細胞外ドメイン)と相関することができるが、必ずしもそうである必要はない。
【0151】
目的のタンパク質の定量は、生成及び収量を追跡するために、あるいは更なる処理又は貯蔵のためにタンパク質又は原薬を適切に製剤化するために有用又は必要であることが多い。したがって、目的のタンパク質のドメインに特異的に結合する抗体、特に特異的モノクローナル抗体は、これらの目的に有用であり得る。
【0152】
「抗体」又は互換的に「Ab」という用語は、最も広い意味で使用され、完全に組み立てられた抗体、モノクローナル抗体(ヒト抗体、ヒト化抗体又はキメラ抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び所望の生物学的活性を示す限り、前述のものの相補性決定領域(CDR)を含む、抗原に結合することができる抗体断片(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、単鎖抗体、二重特異性抗体)を含む。化学的に誘導体化された抗体を含む、無傷の分子及び/又は断片の多量体又は凝集体が企図される。IgG、IgM、IgD、IgA、及びIgE、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2、又は任意のアロタイプを含む、任意のアイソタイプクラス又はサブクラスの抗体が企図される。異なるアイソタイプは異なるエフェクター機能を有し、例えば、IgG1及びIgG3アイソタイプは、抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性を有する。
【0153】
本明細書で使用される「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち、集団を含む個々の抗体は、少量存在し得る天然に存在する可能性のある変異を除いて同一である。抗原結合タンパク質であるモノクローナル抗体は、典型的には異なるエピトープに対する異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、個々の抗原部位又はエピトープに対する高度に特異的な結合剤である。モノクローナル抗体の非限定的な例には、マウス、ウサギ、ラット、ニワトリ、キメラ、ヒト化、又はヒト抗体、完全に組み立てられた抗体、多重特異性抗体(二重特異性抗体を含む)、抗原に結合することができる抗体断片(Fab、Fab’、F(ab)2、Fv、単鎖抗体、二重特異性抗体を含む)、マキシボディ、ナノボディ、及び所望の生物学的活性を示す限り、前述のCDRを含む組換えペプチド、又はそのバリアント若しくは誘導体が含まれる。
【0154】
修飾語「モノクローナル」は、実質的に均一な抗体集団から得られる抗体の特徴を示し、任意の特定の方法による抗体の生成を必要とすると解釈されるべきではない。例えば、モノクローナル抗体は、Kohler et al.,Nature,256:495(1975)によって最初に記載されたハイブリドーマ法によって作製され得るか、又は組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号を参照されたい)によって作製され得る。「モノクローナル抗体」はまた、例えば、Clackson et al.,Nature,352:624-628(1991)及びMarks et al.,J.Mol.Biol.,222:581-597(1991)に記載されている技術を使用してファージ抗体ライブラリーから単離され得る。
【0155】
「免疫グロブリン」という用語は、それぞれが軽鎖(LC)に共有結合した2つの二量体化重鎖(HC)、単一の非二量体化免疫グロブリン重鎖及び共有結合軽鎖(HC+LC)、又はキメラ免疫グロブリン(軽鎖+重鎖)-Fcヘテロ三量体(いわゆる「ヘミボディ」)、あるいは二量体化又は非二量体化Fcドメインを含む融合タンパク質、例えばペプチボディを含む完全又は部分抗体を包含する。「免疫グロブリン」はタンパク質であるが、必ずしも抗原結合タンパク質、例えば臨床的に関連する標的結合部分に共有結合した担体抗体ではない。一方、免疫グロブリンは、複数の臨床的に関連する標的の二重特異性又は多重特異性結合剤であるように設計することができる。「ペプチボディ」という用語は、抗体CH1、CL、VH及びVLドメイン並びにFab及びF(ab)2を除く抗体Fcドメイン(すなわち、少なくともCH2及びCH3抗体ドメイン)を含む融合タンパク質分子であって、Fcドメインが1つ又は複数のペプチド、好ましくは薬理学的に活性なペプチドに結合している融合タンパク質分子を指す。ペプチボディの生成は、一般にPCT公開WO00/24782に記載されている。
【0156】
「抗体」では、各四量体は、2つの同一の対のポリペプチド鎖から構成され、各対は、約220アミノ酸(約25kDa)の1つの「軽」鎖及び約440アミノ酸(約50~70kDa)の1つの「重」鎖を有する。各鎖のアミノ末端部分は、抗原認識を主に担う約100~110個以上のアミノ酸の「可変」(「V」)領域を含む。各鎖のカルボキシ末端部分は、主にエフェクター機能を担う定常領域を画定する。可変領域は、異なる抗体間で異なる。定常領域は、異なる抗体間で同じである。各重鎖又は軽鎖の可変領域内には、抗原結合タンパク質である抗体の場合、抗原に対する抗体の特異性を決定するのに役立つ3つの超可変サブ領域が存在する。超可変領域間の可変ドメイン残基はフレームワーク残基と呼ばれ、一般に、異なる抗体間でいくらか相同である。免疫グロブリンは、それらの重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて異なるクラスに割り当てることができる。ヒト軽鎖は、カッパ(.カッパ.)及びラムダ(.ラムダ.)軽鎖として分類される。軽鎖及び重鎖内で、可変領域及び定常領域は、約12個以上のアミノ酸の「J」領域によって連結されており、重鎖はまた、約10個以上のアミノ酸の「D」領域を含む。一般に、Fundamental Immunology,Ch.7(Paul,W.,ed.,2nd ed.Raven Press,N.Y.(1989))を参照されたい。「抗体」はまた、組換え作製された抗体、及びグリコシル化されているか又はグリコシル化を欠く抗体を包含する。
【0157】
「軽鎖」又は「免疫グロブリン軽鎖」という用語は、完全長軽鎖及び結合特異性を付与するのに十分な可変領域配列を有するその断片を含む。完全長軽鎖は、可変領域ドメインVL及び定常領域ドメインCLを含む。軽鎖の可変領域ドメインは、ポリペプチドのアミノ末端にある。軽鎖には、カッパ鎖及びラムダ鎖が含まれる。
【0158】
「重鎖」又は「免疫グロブリン重鎖」という用語は、完全長重鎖及び結合特異性を付与するのに十分な可変領域配列を有するその断片を含む。完全長重鎖は、可変領域ドメインVH、並びに3つの定常領域ドメインCH1、CH2及びCH3を含む。VHドメインはポリペプチドのアミノ末端にあり、CHドメインはカルボキシル末端にあり、CH3はポリペプチドのカルボキシ末端に最も近い。重鎖は、ミュー(μ)、デルタ(δ)、ガンマ(γ)、アルファ(α)及びイプシロン(ε)として分類され、抗体のアイソタイプをそれぞれIgM、IgD、IgG、IgA及びIgEと定義する。重鎖は、IgG(IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4サブタイプを含む)、IgA(IgA1及びIgA2サブタイプを含む)、IgM及びIgEを含む任意のアイソタイプであってもよい。これらのいくつかは、サブクラス又はアイソタイプ、例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2に更に分割され得る。異なるIgGアイソタイプは、抗体依存性細胞傷害(ADCC)及び補体依存性細胞傷害(CDC)などの異なるエフェクター機能(Fc領域によって媒介される)を有し得る。ADCCでは、抗体のFc領域は、ナチュラルキラー及びマクロファージなどの免疫エフェクター細胞の表面上のFc受容体(FcγRs)に結合し、標的細胞の食作用又は溶解をもたらす。CDCでは、抗体は、細胞表面で補体カスケードを引き起こすことによって標的細胞を死滅させる。
【0159】
「Fc領域」又は本明細書で互換的に使用される「Fcドメイン」又は「免疫グロブリンFcドメイン」は、完全抗体において抗体のCH1及びCH2ドメインを含む2つの重鎖断片を含む。2つの重鎖断片は、2つ以上のジスルフィド結合及びCH3ドメインの疎水性相互作用によって一緒に保持される。
【0160】
「サルベージ受容体結合エピトープ」という用語は、IgG分子のインビボ血清半減期の増加に関与するIgG分子(例えば、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4)のFc領域のエピトープを指す。
【0161】
抗体の構造及び生成の詳細な説明については、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるRoth,D.B.,and Craig,N.L.,Cell,94:411-414(1998)を参照されたい。簡潔には、重鎖及び軽鎖免疫グロブリン配列をコードするDNAを生成するためのプロセスは、主に発生中のB細胞で行われる。様々な免疫グロブリン遺伝子セグメントの再配列及び連結の前に、V、D、J及び定常(C)遺伝子セグメントは、一般に、単一の染色体上に比較的近接して見出される。B細胞分化中、V、D、J(又は軽鎖遺伝子の場合はV及びJのみ)遺伝子セグメントの適切なファミリーメンバーの各々の1つが組み換えられて、重及び軽免疫グロブリン遺伝子の機能的に再構成された可変領域を形成する。この遺伝子セグメント再配列プロセスは連続的であるように思われる。最初に、重鎖D-to-Jジョイントが生成され、続いて重鎖V-to-DJジョイント及び軽鎖V-to-Jジョイントが生成される。V、D及びJセグメントの再配列に加えて、免疫グロブリン重鎖及び軽鎖の一次レパートリーにおいて、軽鎖のV及びJセグメントが連結されている位置、並びに重鎖のD及びJセグメントが連結されている位置での可変組換えによって更なる多様性が生じる。このような軽鎖の変異は、典型的には、V遺伝子セグメントの最後のコドン及びJセグメントの最初のコドン内で起こる。同様の連結の不正確さは、DセグメントとJHセグメントとの間の重鎖染色体上で起こり、10ヌクレオチドもの範囲に及ぶことがある。更に、いくつかのヌクレオチドが、ゲノムDNAによってコードされていないD遺伝子セグメントとJH遺伝子セグメントとの間及びVH遺伝子セグメントとD遺伝子セグメントとの間に挿入され得る。これらのヌクレオチドの付加は、N領域多様性として知られている。可変領域遺伝子セグメントにおけるそのような再配列及びそのような連結中に起こり得る可変組換えの正味の効果は、一次抗体レパートリーの生成である。
【0162】
「超可変」領域という用語は、抗原結合に関与する抗体のアミノ酸残基を指す。超可変領域は、相補性決定領域又はCDR由来のアミノ酸残基(すなわち、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD(1991)に記載されているように、軽鎖可変ドメイン中の残基24~34(L1)、50~56(L2)及び89~97(L3)並びに重鎖可変ドメイン中の残基31~35(H1)、50~65(H2)及び95~102(H3))を含む。単一のCDRでさえ、抗原を認識及び結合し得るが、全てのCDRを含む抗原結合部位全体よりも低い親和性である。
【0163】
超可変「ループ」由来の残基の代替的な定義は、Chothia et al.,J.Mol.Biol.196:901-917(1987)により、軽鎖可変ドメイン中の残基26~32(L1)、50~52(L2)及び91~96(L3)並びに重鎖可変ドメイン中の残基26~32(H1)、53~55(H2)及び96~101(H3)として記載されている。
【0164】
「フレームワーク」又は「FR」残基は、超可変領域残基以外の可変領域残基である。
【0165】
目的のタンパク質はまた、1つ又は複数の抗体断片であってもよいか、又はそれを含むことができる。「抗体断片」は、インタクトな完全長抗体の一部、好ましくはインタクトな抗体の抗原結合領域又は可変領域を含む。抗体断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFv断片;二重特異性抗体;直鎖抗体(Zapata et al.,Protein Eng.,8(10):1057-1062(1995));単鎖抗体分子;及び抗体断片から形成された多重特異性抗体が挙げられる。
【0166】
抗体のパパイン消化は、各々が単一の抗原結合部位を有する「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗原結合断片と、定常領域を含む残留「Fc」断片とを生成する。Fab断片は、全ての可変ドメイン、並びに軽鎖の定常ドメイン及び重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)を含む。Fc断片は炭水化物を提示し、抗体のあるクラスを別のクラスと区別する多くの抗体エフェクター機能(結合補体及び細胞受容体など)を担う。
【0167】
ペプシン処理により、抗体のVH及びVLドメインを含む2つの「単鎖Fv」又は「scFv」抗体断片を有するF(ab’)2フラグメントが得られ、これらのドメインは単一のポリペプチド鎖に存在する。Fab断片は、抗体ヒンジ領域由来の1つ又は複数のシステインを含む重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端にいくつかの追加の残基を含むことでFab’断片とは異なる。好ましくは、Fvポリペプチドは、Fvが抗原結合のための所望の構造を形成することを可能にする、VHドメインとVLドメインとの間のポリペプチドリンカーを更に含む。scFvの総説については、Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.,Springer-Verlag,New York,pp.269-315(1994)を参照されたい。
【0168】
「Fab断片」は、1つの軽鎖並びに1つの重鎖のCH1及び可変領域から構成される。Fab分子の重鎖は、別の重鎖分子とジスルフィド結合を形成することができない。
【0169】
「Fab’断片」は、1つの軽鎖と、VHドメイン及びCH1ドメイン並びにCH1ドメインとCH2ドメインとの間の領域も含む1つの重鎖の一部とを含み、その結果、2つのFab’断片の2つの重鎖の間に鎖間ジスルフィド結合を形成してF(ab’)2分子を形成することができる。
【0170】
「F(ab’)2断片」は、2つの軽鎖と、CH1ドメインとCH2ドメインとの間の定常領域の一部を含む2つの重鎖とを含み、その結果、2つの重鎖の間に鎖間ジスルフィド結合が形成される。したがって、F(ab’)2断片は、2つの重鎖間のジスルフィド結合によって一緒に保持された2つのFab’断片から構成される。
【0171】
「Fv」は、完全な抗原認識及び結合部位を含む最小抗体断片である。この領域は、1つの重鎖可変ドメインと1つの軽鎖可変ドメインとが密接に非共有結合した二量体からなる。この構成では、各可変ドメインの3つのCDRが相互作用して、VH VL二量体の表面上に抗原結合部位を規定する。単一の可変ドメイン(又は抗原に特異的な3つのCDRのみを含むFvの半分)は、結合部位全体よりも低い親和性ではあるが、抗原を認識して結合する能力を有する。
【0172】
「単鎖抗体」は、重鎖可変領域と軽鎖可変領域とが柔軟なリンカーによって連結されて、抗原結合領域を形成する単一のポリペプチド鎖を形成しているFv分子である。単鎖抗体は、国際公開第88/01649号並びに米国特許第4,946,778号及び同第5,260,203号に記載されており、これらの開示は参照によりその全体が組み込まれる。
【0173】
「単鎖Fv」又は「scFv」抗体断片は、抗体のVH及びVLドメインを含み、これらのドメインは単一のポリペプチド鎖に存在し、場合により、Fvが抗原結合のための所望の構造を形成することを可能にするポリペプチドリンカーをVHドメインとVLドメインとの間に含む(Bird et al.,Science242:423-426,1988、及びHuston et al.,Proc.Nati.Acad.Sci.USA85:5879-5883,1988)。「Fd」断片は、VHドメイン及びCH1ドメインからなる。
【0174】
「二重特異性抗体」という用語は、2つの抗原結合部位を有する小さな抗体断片を指し、この断片は、同じポリペプチド鎖(VH VL)中の軽鎖可変ドメイン(VL)に連結された重鎖可変ドメイン(VH)を含む。同じ鎖上の2つのドメイン間の対形成を可能にするには短すぎるリンカーを使用することによって、ドメインは、別の鎖の相補的ドメインと対形成するように強制され、2つの抗原結合部位を生成する。二重特異性抗体は、例えば、欧州特許第404097号、国際公開第93/11161、及びHollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:6444-6448(1993)により完全に記載されている。
【0175】
「ドメイン抗体」は、重鎖の可変領域又は軽鎖の可変領域のみを含む免疫学的に機能的な免疫グロブリン断片である。いくつかの例では、2つ以上のVH領域をペプチドリンカーと共有結合させて、二価ドメイン抗体を生成する。二価ドメイン抗体の2つのVH領域は、同じ又は異なる抗原を標的とし得る。
【0176】
「抗原結合タンパク質」(ABP)という用語は、目的の標的リガンド又は抗原に特異的に結合する、本明細書で定義される抗体又は抗体断片を含む。
【0177】
一般に、抗原結合タンパク質、例えば免疫グロブリンタンパク質などの目的のタンパク質、あるいは抗体又は抗体断片は、同様の結合アッセイ条件下で、他の無関係なタンパク質に対する親和性と比較して、その標的リガンド又は抗原に対して有意に高い結合親和性を有し、その結果、その標的リガンド又は抗原を区別することができる場合、目的の標的リガンド又は抗原に「特異的に結合する」。典型的には、抗原結合タンパク質は、解離定数(KD)が10-8M以下である場合、その標的抗原を「特異的に結合する」と言われる。抗原結合タンパク質は、KDが10-9M以下である場合、「高い親和性」、KDが10-10M以下である場合、「非常に高い親和性」で抗原と特異的に結合する。
【0178】
「抗原結合領域」又は「抗原結合部位」は、特定の標的リガンド又は抗原に特異的に結合するタンパク質の一部を意味する。例えば、標的リガンド又は抗原と相互作用し、抗原に対するその特異性及び親和性を抗原結合タンパク質に付与するアミノ酸残基を含む抗原結合タンパク質のその部分は、「抗原結合領域」と呼ばれる。抗体では、抗原結合領域は、典型的には、1つ又は複数の「相補的結合領域」(「CDR」)を含む。特定の抗原結合領域はまた、1つ又は複数の「フレームワーク」領域(「FR」)を含む。「CDR」は、抗原結合特異性及び親和性に寄与するアミノ酸配列である。「フレームワーク」領域は、抗原結合領域と抗原との間の結合を促進するためにCDRの適切な立体配座を維持するのを助けることができる。従来の抗体では、CDRは、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のフレームワーク内に埋め込まれ、抗原結合及び認識に関与する領域を構成する。免疫グロブリン抗原結合タンパク質の可変領域は、上記を参照して(Kabat et al.,1991,Sequences of Proteins of Immunological Interest,Public Health Service N.I.H.,Bethesda,Md.;Chothia and Lesk,1987,J.Mol.Biol.196:901-917;Chothia et al.,1989,Nature342:877-883も参照されたい)、フレームワーク領域内(Kabat et al.,1991によりフレームワーク領域1~4、FR1、FR2、FR3及びFR4と指定され;Chothia and Lesk,1987も参照されたい)に少なくとも3つの重鎖又は軽鎖CDRを含む。
【0179】
「標的」又は「抗原」という用語は、抗原結合タンパク質(例えば、抗体、又は抗体の免疫学的に機能的な断片を含む)などの選択的結合剤によって結合することができ、更にその抗原に結合することができる抗体を生成するために動物において使用することができる分子又は分子の一部を指す。抗原は、異なる抗原結合タンパク質、例えば抗体と相互作用することができる1つ又は複数のエピトープを有し得る。
【0180】
「エピトープ」という用語は、抗原結合タンパク質(例えば、抗体又は抗体断片)によって結合される標的分子の部分である。この用語は、抗体又はT細胞受容体などの抗原結合タンパク質に特異的に結合することができる任意の決定因子を含む。エピトープは、連続的又は非連続的(例えば、単鎖ポリペプチドでは、ポリペプチド配列中で互いに連続していないが、分子の文脈内では抗原結合タンパク質によって結合されるアミノ酸残基)であってもよい。特定の実施形態では、エピトープは、抗原結合タンパク質を生成するために使用されるエピトープと同様の三次元構造を含むが、抗原結合タンパク質を生成するために使用されるエピトープに見られるアミノ酸残基を含まないか、又はその一部のみを含むという点で模倣物であってもよい。ほとんどの場合、エピトープはタンパク質上に存在するが、いくつかの例では、核酸などの他の種類の分子上に存在してもよい。エピトープ決定因子は、アミノ酸、糖側鎖、ホスホリル又はスルホニル基などの分子の化学的に活性な表面基を含んでもよく、特定の三次元構造特性及び/又は特定の電荷特性を有してもよい。一般に、特定の標的に特異的な抗原結合タンパク質は、タンパク質及び/又は高分子の複雑な混合物中の標的上のエピトープを優先的に認識する。
【0181】
「同一性」という用語は、配列を整列させて比較することによって決定される、2つ以上のポリペプチド分子又は2つ以上の核酸分子の配列間の関係を指す。「パーセント同一性」は、比較される分子中のアミノ酸又はヌクレオチド間の同一の残基のパーセントを意味し、比較される分子の最小のサイズに基づいて計算される。これらの計算のために、整列におけるギャップ(もしあれば)は、特定の数学的モデル又はコンピュータプログラム(すなわち、「アルゴリズム」)によって対処されなければならない。整列された核酸又はポリペプチドの同一性を計算するために使用され得る方法としては、Computational Molecular Biology,(Lesk,A.M.編),1988,New York:Oxford University Press;Biocomputing Informatics and Genome Projects,(Smith,D.W.編),1993,New York:Academic Press;Computer Analysis of Sequence Data,Part I,(Griffin,A.M.,and Griffin,H.G.編),1994,New Jersey:Humana Press;von Heinje,G.,1987,Sequence Analysis in Molecular Biology,New York:Academic Press;Sequence Analysis Primer,(Gribskov,M.and Devereux,J.編),1991,New York:M.Stockton Press;及びCarillo et al.,1988,SIAM J.Applied Math.48:1073に記載される方法が挙げられる。例えば、配列同一性は、2つのポリペプチドのアミノ酸の位置の類似性を比較するために一般的に使用される標準的な方法によって決定することができる。BLAST又はFASTAなどのコンピュータプログラムを使用して、2つのポリペプチド又は2つのポリヌクレオチド配列を、それらのそれぞれの残基の最適なマッチングのために整列させる(一方又は両方の配列の全長に沿って、あるいは一方又は両方の配列の所定の部分に沿って)。プログラムは、デフォルトのオープニングペナルティ及びデフォルトのギャップペナルティを提供し、PAM 250(標準的なスコアマトリックス;Dayhoff et al.,in Atlas of Protein Sequence and Structure,vol.5,supp.3(1978)を参照されたい)などのスコアマトリックスをコンピュータプログラムと共に使用することができる。例えば、同一性パーセントは、次に、同一のマッチの総数に100を乗じ、次いで、マッチしたスパン内のより長い配列の長さと、2つの配列を整列させるためにより長い配列に導入されたギャップの数との和で割ることによって計算することができる。同一性パーセントを計算する際、比較される配列は、配列間の最大マッチを与えるように整列される。
【0182】
GCGプログラムパッケージは、同一性パーセントを決定するために使用することができるコンピュータプログラムであり、このパッケージはGAPを含む(Devereux et al.,1984,Nucl.Acid Res.12:387;Genetics Computer Group,University of Wisconsin,Madison,Wis.)。コンピュータアルゴリズムGAPは、パーセント配列同一性が決定される2つのポリペプチド又は2つのポリヌクレオチドを整列させるために使用される。配列は、それらのそれぞれのアミノ酸又はヌクレオチドの最適なマッチングのために整列される(アルゴリズムによって決定される「一致したスパン」)。ギャップオープニングペナルティ(これは、平均対角線の3倍として計算され、ここで、「平均対角線」は、使用されている比較マトリックスの対角線の平均であり、「対角線」は、特定の比較マトリックスによって各完全アミノ酸マッチに割り当てられたスコア又は数である)及びギャップ伸長ペナルティ(通常、ギャップオープニングペナルティの1/10倍)、並びにPAM 250又はBLOSUM 62などの比較マトリックスがアルゴリズムと共に使用される。特定の実施形態では、標準比較マトリックス(PAM 250比較マトリックスについては、Dayhoff et al.,1978,Atlas of Protein Sequence and Structure 5:345-352;BLOSUM 62比較マトリックスについてはHenikoff et al.,1992,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.89:10915-10919を参照されたい)もアルゴリズムによって使用される。
【0183】
GAPプログラムを使用してポリペプチド又はヌクレオチド配列の同一性パーセントを決定するための推奨されるパラメータには、以下が含まれる。
【0184】
アルゴリズム:Needleman et al.,1970,J.Mol.Biol.48:443-453;
【0185】
比較マトリックス:Henikoff et al.によるBLOSUM 62,1992,上記;
【0186】
ギャップペナルティ:12(しかし、エンドギャップに対するペナルティなし)
【0187】
ギャップ長ペナルティ:4
【0188】
類似度の閾値:0
【0189】
2つのアミノ酸配列を整列させるための特定の整列スキームは、2つの配列の短い領域のみのマッチングをもたらし得、この小さい整列された領域は、2つの全長配列間に有意な関係がない場合であっても、非常に高い配列同一性を有し得る。したがって、選択された整列方法(GAPプログラム)は、所望であれば、標的ポリペプチドの少なくとも50個の連続するアミノ酸にわたる整列をもたらすように調整することができる。
【0190】
「改変」という用語は、目的のタンパク質に関連して使用される場合、1つ又は複数のアミノ酸変化(置換、挿入又は欠失を含む);化学的改変;治療剤又は診断剤への結合体化による共有結合改変;標識(例えば、放射性核種又は種々の酵素を用いる);PEG化(ポリエチレングリコールを用いる誘導体化)及び非天然アミノ酸の化学合成による挿入又は置換などの共有結合ポリマー結合を含むが、これらに限定されない。当業者に公知の方法によって、タンパク質は、「操作された」タンパク質のコード配列が発現カセットに含まれる前に、改善された標的親和性、選択性、安定性、及び/又は製造可能性のために「操作され」得る又は改変され得る。
【0191】
タンパク質単離物画分、精製した生成物プール、ウイルスフリーの濾液、又は別のプール、画分、溶出液、あるいはプロセスステップ又は設備構成要素からの結果として生じる液体流出に関して、本明細書で互換的に使用される「切り替える」又は「切り替え」という用語は、その流出物を後続のプロセスステップ又は設備構成要素に流体的に誘導、分流、向ける、流す、又は運搬することを意味する。そのような切り替えは、コンピュータ及び/又はロボット機構(例えば、バルブ又はポンプ)の自動制御及び調整下で行うことができ、又は手動で制御及び調整することができる。
【0192】
収集容器、サージ容器、保持容器、混合容器、タンク、バッグ、導管、パイプ、チューブ、又は他の搬送手段に関連して、液体が出入りする、又は液体が流れることができる「切り替え可能」という用語は、そのような流れが、異なる容器、タンク、導管、パイプ、チューブ、又は搬送手段に切り替えられ、誘導され、分流され、向けられ、流され、又は流体的に搬送され得ることを意味する。そのような切り替えは、コンピュータ及び/又はロボット機構(例えば、バルブ又はポンプ)の自動制御及び調整下で行うことができ、又は手動で制御及び調整することができる。
【0193】
「サージ容器」という用語は、2つの流体接続されたユニット動作間の不一致流量、例えば、バイオリアクタから来る透過液の流量と、本発明の連続又は半連続形式プロセス実施形態における自動制御下の第1のクロマトグラフィシステムの流量とを吸収するための、導管、フィーダ、ダム、パイプ、又はチューブの下流端にある貯蔵リザーバ、混合容器、供給タンク、又は収集容器(又は互換的に「収集タンク」)を意味する。サージ容器は、流体接続されたユニット動作間の予め設定された体積範囲限界内で体積をサージさせることによって流量の変化又は差を吸収する(例えば、
図3を参照されたい)。本発明の目的のために、サージ容器は、典型的には、最大50~650Lの体積を含み、半連続プロセスの実施形態では、100L~650Lの容器が最も有用であるが、連続プロセスの実施形態では、50L~200Lの容器で通常十分である。本発明のいくつかの実施形態では、ウイルス不活化システム/中和システムの下流での操作は、ウイルス不活化生成物プールのバッチ式処理(これは場合により、デプス濾過によって濾過して、濾過されたウイルス不活化生成物プール(FVIP)を得ることもできる)を伴い、そのような実施形態では、収集容器に収集し、その後のバッチ式ステップ又は操作では精製した生成物プール又はウイルスフリーの濾液をステップ間に他の収集容器に収集することができる。このような別個の操作、バッチ式又はバッチモードの処理では、1つのステップからの収集容器又は互換的に「収集タンク」(特定の実施形態では、後続のステップのために「供給タンク」とも見なされ得る)は、サージ容器の自動制御を欠いており、収集容器(又は供給タンク)はサージ容器に物理的に類似し得るが、本発明の目的のために、このような収集容器(又は互換的に「収集タンク」)又は供給タンクは、「保持容器」又は互換的に「HV」(例えば、HV1、HV2、HV3、HV4、又はHV5)と呼ばれる。「保持容器」は、製造プロセスステップ又は操作の連続又は半連続形式セットにおける使い捨て収集容器(SUCV、例えばSUCV1又はSUCV2)とは異なる使い捨て保持容器(SUHV)であってもよい。
【0194】
「クロマトグラフィシステム」は、少なくとも1つのクロマトグラフィマトリックスからの流体の出入りのための閉じた導管ハードウェア(例えば、パイプ又はチューブ)を有する、少なくとも1つの密閉されたクロマトグラフィマトリックスの配置である。クロマトグラフィシステムは、流体の流量及び圧力を自動的に又は手動で制御するための1つ又は複数のポンプ及び/又はバルブを含む。本発明のプロセス及び設備の第1、第2及び第3のクロマトグラフィシステムは、様々な種類のクロマトグラフィマトリックスを組み込むことができ、当業者は、目的のタンパク質に適切であるように、どのように選択して順番に使用するかを知っている。本発明の方法の目的のために、関連する共有結合したクロマトグラフィリガンド(例えば、プロテインA、プロテインG、又は他のアフィニティクロマトグラフィリガンド、例えば標的リガンド、荷電部分、又は疎水性部分など)を有する樹脂、ビーズ、ナノ粒子、ナノファイバー、ヒドロゲル、膜(例えば、膜吸着体(MA))、及びモノリス、又は任意の他の物理的マトリックスが「マトリックス」という用語に包含される。親和性標的リガンドが結合するマトリックスは、ほとんどの場合アガロースであるが、他のマトリックスも利用可能である。例えば、制御細孔ガラス、メタクリラート(例えば、Amsphere(商標)A3樹脂、JRS Life Sciences社)又はポリ(スチレンジビニル)ベンゼンなどの機械的に安定なマトリックスは、アガロースで達成できるよりも高い安定性、速い流速及び短い処理時間を可能にする。タンパク質がCH3免疫グロブリンドメインを含む場合、Bakerbond ABX(商標)(J.T.Baker、Phillipsburg、N.J.)樹脂は精製に有用であり得る。アフィニティクロマトグラフィマトリックスは、タンパク質の精製に有用なカラムに配置又は充填され得る。例えば第1のクロマトグラフィシステムにおけるアフィニティクロマトグラフィマトリックスへの無細胞培養画分の負荷は、好ましくはほぼ中性pHで行われる。
【0195】
プロテインA又はプロテインAマトリックス又は別の(異なる)アフィニティクロマトグラフィマトリックスに分子が「結合する」又は「結合すること」という用語は、適切な条件下(例えば、pH及び選択された塩/緩衝液組成物)で、固体基質(例えば、樹脂)に共有結合したアフィニティクロマトグラフィリガンドに分子を曝露することを意味し、その結果、関与し得る親和性の物理的機構にかかわらず、目的の分子が、それらの条件下でのその結合親和性によってアフィニティクロマトグラフィリガンド内又は上に可逆的に固定化される。(例えば、Jendeberg,L.et al.,The Mechanism of Binding Staphylococcal Protein A to Immunoglobin G Does Not Involve Helix Unwinding,Biochemistry35(1):22-31(1996);Nelson,J.T.et al.,Mechanism of Immobilized Protein A Binding to Immunoglobulin G on Nanosensor Array Surfaces,Anal.Chem.,87(16):8186-8193(2015)を参照されたい)。
【0196】
イオン交換マトリックス(例えば、CEX樹脂又は膜吸着体などのCEXマトリックス、あるいはAEX樹脂又は膜吸着器などのAEXマトリックス)に分子が「結合する」又は「結合すること」という用語は、分子とイオン交換マトリックスの荷電基(複数可)(すなわち、荷電リガンド)との間のイオン相互作用によって分子がイオン交換マトリックス内又はイオン交換マトリックス上に可逆的に固定化されるように、適切な条件下(例えば、pH及び選択された塩/緩衝液組成物)で分子をイオン交換マトリックスに曝露することを意味する。
【0197】
「ローディングバッファ」又は「平衡緩衝液」という用語は、場合によっては、プロテインAマトリックス又は他のアフィニティクロマトグラフィマトリックス上に、あるいはイオン交換マトリックス(例えば、CEXマトリックス又はAEXマトリックス)上に、又は疎水性相互作用クロマトグラフィ(HIC)マトリックス上にタンパク質調製物を負荷するために、タンパク質調製物(例えば、バッチ細胞培養物又は灌流細胞培養物の透過液又は濾液、あるいは目的のタンパク質を含有する溶出液プール)と混合される緩衝液及び塩を指す。この緩衝液はまた、負荷前にクロマトグラフィマトリックスを平衡化し、タンパク質を充填した後に洗浄するために使用される。
【0198】
「洗浄緩衝液」という用語は、本明細書では、場合によっては、タンパク質調製物の負荷後及び目的のタンパク質の溶出前又はフロースルー後に、プロテインAマトリックス又は別のアフィニティクロマトグラフィマトリックス、又はイオン交換マトリックス(例えば、CEXマトリックス又はAEXマトリックス)、又は疎水性相互作用クロマトグラフィ(HIC)マトリックスを通過する緩衝液を指すために使用される。洗浄緩衝液は、所望のタンパク質の実質的な溶出なしに1つ又は複数の夾雑物を除去するのに役立ち得るか、又は非結合タンパク質を洗浄するために使用することができる。
【0199】
「溶出緩衝液」又は「溶出液」という用語は、マトリックスに可逆的に結合した目的のタンパク質を溶出するために使用される緩衝液を指す。本明細書で使用される場合、「溶液」という用語は、水を含む緩衝溶液又は非緩衝溶液のいずれかを指す。
【0200】
「溶出プール」又は「溶出液プール」という用語は、マトリックスから溶出した物質を意味し、この物質は目的の組換えタンパク質を含む。
【0201】
プロテインAマトリックス又は他のアフィニティクロマトグラフィマトリックス、又はイオン交換マトリックス(例えば、CEXマトリックス)、又は疎水性相互作用クロマトグラフィ(HIC)マトリックスに関して「負荷する」という用語は、プロテインAマトリックス又は別のアフィニティクロマトグラフィマトリックス、又はイオン交換マトリックス、又はHICマトリックスにタンパク質調製物(例えば、バッチ細胞培養物又は灌流細胞培養物の透過液若しくは濾液、又は目的のタンパク質を含有する溶出液プール)を充填することを意味する。
【0202】
プロテインAマトリックス又は他のアフィニティクロマトグラフィマトリックス、又はイオン交換マトリックス(例えば、CEXマトリックス又はAEXマトリックス)、又はHICマトリックスに関して「洗浄」という用語は、場合によっては、プロテインAマトリックス又はイオン交換マトリックス又はHICマトリックス又は他のクロマトグラフィマトリックスに適切な緩衝液を通過させることを意味する。
【0203】
プロテインAマトリックス又は別のアフィニティクロマトグラフィマトリックス、又はイオン交換マトリックス(例えば、CEXマトリックス又はAEXマトリックス)、又はHICマトリックスからの分子(例えば、所望の組換えタンパク質又は夾雑物)の「溶出」という用語は、典型的には溶出緩衝液をクロマトグラフィマトリックス上に通過させることによって、そのような材料から分子を除去することを意味する。
【0204】
互換的に使用される「使い捨て(single-use)」又は「使い捨て(single use)」構成要素という用語は、本発明の自動化設備で、又は本発明のプロセスを実行する際に使用される特定の無菌生成ライン構成要素、すなわち無菌の機器が、単一の生成運転に使用されるように構築又は構成されていることを意味する(しかし、品質及び無菌衛生が複数の実行に対して保証され得る場合は再使用されてもよい)。次いで、使い捨て構成要素は、処分することができ、生成運転の間に構成要素の洗浄及び消毒を必要とせずに、同じ又は変更された構成の別の使い捨て構成要素によって、後続の生成運転のために交換することができる。本発明で使用することができる使い捨て構成要素の例としては、灌流バイオリアクタ、第1のクロマトグラフィシステム、第2のクロマトグラフィシステム、第3のクロマトグラフィシステム、低pH又は界面活性剤ウイルス不活化システム、中和システム、ウイルス濾過システム、又は限外濾過/透析濾過システムが挙げられるが、これらに限定されない。そのような使い捨て構成要素は、例えば、以下に限定されないが、商業的に構築又は入手することができる。
【0205】
使い捨てバイオリアクタ:XCelleex(登録商標)XDR使い捨てバイオリアクタバッグ(例えば、500L、1000L、又は2000Lの体積;GE Healthcare Life Sciences社);BIOSTAT STR(登録商標)撹拌タンク使い捨てバイオリアクタシステム(例えば、500L~2000Lの体積;Sartorius Stedim Biotech社);HyPerforma使い捨てバイオリアクタ(例えば、50L、100L、200L、500L、1000L及び2000Lの体積;Thermo Fisher Scientific社);Allegro(商標)使い捨て撹拌タンクバイオリアクタ(例えば、500L~2000Lの体積;Pall社);Millipore Mobius(登録商標)使い捨てバイオリアクタ(例えば、500L~2000Lの体積;MilliporeSigma社)、限定されないが、Wave Bioreactor(登録商標)Bag(GE Healthcare Life Sciences社)又はRIM Bio Rocker Bagsを含む50Lのロッキングバイオリアクタバッグ;あるいはPall社又はSartorius社から市販されているミキサバッグ(例えば、100L、200L、650L、1000L又は2000Lの体積);
【0206】
使い捨て灌流システム:Spectrum Krosflo(登録商標)中空繊維システム又はRepligen交互タンジェンシャルフロー(ATF-6及び10)システム;
【0207】
使い捨て熱交換器:Thermo Scientific(商標)ThermoFlex(商標)再循環チラーを備えたThermo Scientific(商標)DHX(商標)熱交換器、及びThermo Scientific(商標)DHX(商標)バッグアセンブリ;
【0208】
フィルタ(MilliporeSigma社又はSartorius Stedim Biotech社製の様々な膜及び孔径)、シリコーン及び/又はc-フレックスチューブ、及び無菌コネクタ(Pall社、Colder社、GE Healthcare Life Sciences社、Sartorius Stedim Biotech社製)を含む使い捨てフィルタアセンブリシステム;
【0209】
使い捨て無菌コネクタ、シリコーン及び/又はc-フレックスタイプのチューブを使用する様々な寸法、長さ及び構成の使い捨て移送ラインは、Thermo Fisher Scientific社(ASI)又はAdvantapure社から市販されている;
【0210】
使い捨て培地成分溶液又は水性希釈剤(例えば、緩衝液)溶液トート貯蔵バッグは、Advanced Scientific社(ASI;Thermo Fisher Scientific社)、MilliporeSigma社、Sartorius社、又はRIM Bio社によって市販されている;
【0211】
使い捨てウイルス不活化システム:Cadence(登録商標)ウイルス不活化システムマニホールド(Pall Life Sciences社)、低pHウイルス不活化のためのFlexAct(登録商標)(「VI」;Sartorius社);使い捨てクロマトグラフィシステム:Cadence(商標)BioSMB(登録商標)PD(Pall Life Sciences社);Allegro(商標)使い捨てクロマトグラフィ(Pall Biotech社);Mobius(登録商標)FlexReadyクロマトグラフィ(MilliporeSigma社);AKTA(商標)Ready使い捨てクロマトグラフィ(GE Healthcare Life Sciences社);又はSartobind(登録商標)IEX膜吸着体(Sartorius Stedim Biotech社);
【0212】
使い捨てウイルス濾過システム:Allegro(商標)MVP使い捨てシステムマニホールド(Pall Biotech社);ウイルス濾過のためのMobius(登録商標)FlexReady(MilliporeSigma);ウイルス濾過のためのFlexAct(登録商標)(Sartorius社)、Planova(商標)使い捨てウイルス濾過(SU-VFS;Asahi Kasei Bioprocess America社)、又はViresolve(登録商標)Proウイルス濾過(MilliporeSigma社);
【0213】
使い捨てUF/DFシステム:Allegro(商標)使い捨てタンジェンシャルフロー濾過システム(Pall Biotech社);Mobius(登録商標)FlexReady TFFシステム(MilliporeSigma社);UF/DF用のFlexAct(登録商標)(Sartorius社);AKTA(商標)Readyflux使い捨て濾過(GE Healthcare Life Sciences社);及び
【0214】
使い捨て無菌コネクタ:AseptiQuik(登録商標)コネクタ(Colder Products Company社)、Kleenpak(登録商標)Presto滅菌コネクタ(Pall Biotech社);Lynx(登録商標)STコネクタ(MilliporeSigma)。
【0215】
互換的に使用される「フィルタバンク」又は「フィルタアセンブリシステム」という用語は、各フィルタアセンブリが少なくとも1つのフィルタを含む複数のフィルタアセンブリを含む装置を指す。フィルタアセンブリに含まれるフィルタは、使い捨てフィルタであり、一定期間後及び/又は使用量後に交換することができる。フィルタバンクは、可搬式機器とすることができる。例えば、フィルタバンクは、自動化設備内の様々な場所に移動することができる濾過カート上に配置することができる。フィルタバンクに含まれるフィルタは、デプスフィルタ、0.2マイクロメートルフィルタ、メンブレンフィルタ、20ナノメートル(nm)フィルタ、ウイルス濾過装置、限外濾過装置、透析濾過装置、又はそれらの組み合わせを含む濾過システムを含むことができる。フィルタバンクは、材料がフィルタバンクの少なくとも1つのフィルタを通って流れている間、フィルタバンクの別のフィルタが未使用のままであるように構成することができる。様々な実施形態では、フィルタバンクは、フィルタバンクに含まれるフィルタへの材料の流れを制御するために、ダイバータバルブ又は他の流量制御装置に結合することができる。ダイバータバルブ又は流量制御装置は、空気圧で制御することができる。
【0216】
上記は、本発明の当業者に利用可能な使い捨てシステム及びコネクタの単なる例示であり、網羅的なリストではない。
【0217】
目的のタンパク質
【0218】
本発明を使用して製造される目的のタンパク質は、限定されないが、薬理学的に活性なタンパク質又はペプチドなどの任意の工業的又は医学的に有用なタンパク質であってもよい。
【0219】
例えば、目的のタンパク質は、模倣ペプチド又はアゴニストペプチドであってもよい。「模倣ペプチド」、「ペプチド模倣物」及び「-アゴニストペプチド」という用語は、目的の天然に存在するタンパク質に匹敵する生物学的活性を有するペプチド又はタンパク質を指す。これらの用語は、天然に存在する分子の効果を増強することなどにより、天然に存在するペプチド分子の活性を間接的に模倣するペプチドを含む。
【0220】
目的のタンパク質は、アンタゴニストペプチド又は阻害剤ペプチドであってもよい。「-アンタゴニストペプチド、」、「ペプチドアンタゴニスト」及び「阻害剤ペプチド」という用語は、目的の受容体の生物学的活性をブロックするか又は何らかの方法で妨害するか、あるいは目的の受容体(例えば、限定されないが、イオンチャネル又はGタンパク質共役受容体(GPCR))の既知のアンタゴニスト又は阻害剤に匹敵する生物学的活性を有するペプチド又はタンパク質を指す。
【0221】
本発明によって製造することができる薬理学的に活性なタンパク質の例としては、IL-6結合ペプチド、CD3結合タンパク質、CD19結合タンパク質、CD20結合タンパク質、CD22結合タンパク質、HER2結合タンパク質、HER3結合タンパク質、血管内皮増殖因子-A(VEGF-A)結合タンパク質、TNF-α結合タンパク質、EGFR結合タンパク質、RANKリガンド結合タンパク質、IL-1α結合タンパク質、IL-1β結合タンパク質、IL-17A結合タンパク質、EPCAM(CD326)結合タンパク質、CGRPペプチドアンタゴニスト、ブラジキニンB1受容体ペプチドアンタゴニスト、毒素ペプチド、胎盤増殖因子(PIGF)結合タンパク質、副甲状腺ホルモン(PTH)アゴニストペプチド、副甲状腺ホルモン(PTH)アンタゴニストペプチド、ang-1結合ペプチド、ang-2結合ペプチド、ミオスタチン結合ペプチド、エリスロポエチン模倣(EPO模倣)ペプチド、FGF21ペプチド、トロンボポエチン模倣(TPO模倣)ペプチド(例えば、AMP2又はAMPS)、神経成長因子(NGF)結合ペプチド、B細胞活性化因子(BAFF)結合ペプチド、及びグルカゴン様ペプチド(GLP)-1又はそのペプチド模倣物あるいはGLP-2又はそのペプチド模倣物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0222】
タンパク質及びそのようなタンパク質のコード配列は、その一部が既に規制上の承認を受けており、当技術分野で公知である。しかし、本発明は、創薬、研究開発及び臨床試験の方法によって未だ革新されていない原薬の製造にも適用することができる。
【0223】
DNAのクローニング
【0224】
DNAのクローニングは、標準的な技術(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Sambrook et al.(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Guide,Vols 1-3,Cold Spring Harbor Pressを参照されたい)を用いて行われる。例えば、cDNAライブラリーは、ポリA+mRNA、好ましくは膜結合mRNAの逆転写によって構築し、ヒト免疫グロブリンポリペプチド遺伝子配列に特異的なプローブを用いてライブラリーをスクリーニングすることができる。しかし、一実施形態では、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して、目的の免疫グロブリン遺伝子セグメント(例えば、軽鎖可変セグメント又は重鎖可変セグメント)をコードするcDNA(又は全長cDNAの一部)を増幅する。増幅された配列は、任意の適切なベクター、例えば発現ベクター、ミニ遺伝子ベクター、又はファージディスプレイベクターに容易にクローニングすることができる。目的のタンパク質のいくつかの部分の配列を決定することが可能である限り、使用される特定のクローニング方法は重要ではないことが理解されよう。
【0225】
抗体核酸の1つの供給源は、目的の抗原で免疫化された動物からB細胞を得て、それを不死細胞に融合することによって生成されるハイブリドーマである。あるいは、核酸は、免疫化動物のB細胞(又は脾臓全体)から単離することができる。抗体をコードする核酸の更に別の供給源は、例えばファージディスプレイ技術によって生成されたそのような核酸のライブラリーである。目的のペプチド、例えば所望の結合特性を有する可変領域ペプチドをコードするポリヌクレオチドは、パニングなどの標準的な技術によって同定することができる。
【0226】
DNAの配列決定は、標準的な技術(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Sambrook et al.(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Guide,Vols 1-3,Cold Spring Harbor Press、及びSanger,F.et al.(1977)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 74:5463-5467)を用いて行われる。クローニングされた核酸の配列を遺伝子及びcDNAの公開された配列と比較することによって、当業者は、配列決定された領域に応じて容易に決定することができるであろう。遺伝子配列情報の1つの供給源は、メリーランド州ベセズダにあるアメリカ国立衛生研究所国立医学図書館の国立生物工学情報センターである。遺伝子配列決定は、例えば、標準的な方法によって、又はトランスフェクション前の操作されたDNA構築物のいわゆる「次世代」配列決定によって行うこともできる。(例えば、Buermans,H.P.J.,&den Dunnen,J.T.,Next generation sequencing technology:Advances and applications,Biochimica et Biophysica Acta-Molecular Basis of Disease 1842(10):1932-1941(2014)を参照されたい)。
【0227】
所望のタンパク質変化を反映するコドンを含有するコード領域の一部又は全部の化学合成は、制限酵素消化によって生成され、目的ベクターに適合性であるヌクレオチドオーバーハングを含有する断片又はオープンリーディングフレーム(ORF)全体の5’及び3’末端の制限消化及びライゲーションのいずれかによって発現ベクターにクローニングすることができる。断片又はインサートは、典型的には、T4リガーゼ又は他の一般的な酵素を使用して目的ベクターに連結される。他の有用な方法は、制限酵素の切断部位が認識配列とは異なる位置にあることを除いて、上記と同様である。あるいは、断片又はORFの合成中にヌクレオチドオーバーハングが生じる等温アセンブリ(すなわち、「Gibson Assembly」)を使用することができ、エキソヌクレアーゼによる消化が使用される。あるいは、ヌクレオチドオーバーハングは、リガーゼ又はポリメラーゼによってエクスビボで、あるいは細胞内プロセスによってインビボで連結され得る。
【0228】
あるいは、T4 DNAリガーゼのエキソヌクレアーゼ活性をインサート及びベクターの両方に使用することができ、ライゲーションをインビボで行うことができることを除いて、等温アセンブリと同様に、相同組換えを使用することができる。
【0229】
別の有用なクローニング方法は、3’アデノシンオーバーハング(Taqポリメラーゼによって生成される)を含有する完全なインサートが存在し、トポイソメラーゼIがそのインサートをTOPOベクターに連結する、いわゆる「TOPO」法である。
【0230】
別の有用なクローニング方法は、縮重プライマー及び/又は特定の反応条件内でポリメラーゼによって引き起こされる熱的に安定な低忠実度ポリメラーゼを利用する縮重又はエラープローンPCRである。次いで、断片又はインサートを発現ベクターにクローニングする。
【0231】
上記は既知のクローニング技術の単なる例であり、当業者は任意の他の適切なクローニング技術を使用する方法を知っている。
【0232】
単離されたDNAは、制御配列に作動可能に連結され得るか、又は発現ベクターに配置され得、その後、免疫グロブリンタンパク質を生成しない宿主細胞にトランスフェクトされて、組換え宿主細胞におけるモノクローナル抗体の合成を指示する。抗体の組換え生成は当技術分野で公知である。
【0233】
核酸は、別の核酸配列と機能的関係に配置された際に作動可能に連結される。例えば、プレ配列又は分泌リーダーのためのDNAは、ポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発現される場合、ポリペプチドのためのDNAに作動可能に連結され、プロモーター又はエンハンサーは、配列の転写に影響を及ぼす場合、コード配列に作動可能に連結され、又はリボソーム結合部位は、翻訳を促進するように配置されている場合、コード配列に作動可能に連結されている。一般に、作動可能に連結されているとは、連結されているDNA配列が連続していることを意味し、分泌リーダーの場合、連続しており、読み取り段階にあることを意味する。しかし、エンハンサーは連続している必要はない。連結は、好都合な制限部位でのライゲーションによって達成される。そのような部位が存在しない場合、合成オリゴヌクレオチドアダプター又はリンカーが従来の慣例に従って使用される。
【0234】
多くのベクターが当技術分野で公知である。ベクトル成分は、以下の、シグナル配列(例えば、組換え宿主細胞による発現されたタンパク質の直接的な分泌であってもよい)、複製起点、1つ又は複数の選択マーカー遺伝子(例えば、抗生物質又は他の薬物耐性を付与し得るか、栄養要求性欠乏を補完するか、又は培地中で利用できない重要な栄養素を供給し得る)、エンハンサーエレメント、プロモーター及び転写終結配列の1つ又は複数を含み得、これらは全て当技術分野で公知である。
【0235】
タンパク質発現
【0236】
精製した目的のタンパク質(例えば、限定されないが、タンパク質原薬)を製造するための本発明の方法は、タンパク質分泌哺乳動物細胞を培養することを含む。そのような培養哺乳動物細胞は、典型的には、一過性又は安定なトランスフェクションを含む組換えDNA技術によって作製され、例えば、クローニングステップからのプールされたプラスミド構築物(発現ベクター)は、陽イオン性脂質、ポリエチレンイミン、Lipofectamine(商標)又はExpiFectamine(商標)、又はエレクトロポレーションを使用して、発現のために複数の宿主細胞(例えば、哺乳動物、例えばHEK293又はCHO、細菌、昆虫、酵母細胞)にトランスフェクトすることができる。当業者は、組換え抗体の発現を達成するためにトランスフェクトするための多数の適切な手段を認識している。あるいは、目的のタンパク質をコードする発現カセットの安定なゲノムの組み込みのための方法を用いて、タンパク質分泌哺乳動物細胞の生成細胞株を作成することができる。(例えば、Zhang,Crispr-Cas Systems and Methods for Altering Expression Of Gene Products、国際公開第2014093661号;Frendewey et al.,Methods and Compositions for Targeted Modification of a Genome、米国特許第9228208号;Church et al.,Multiplex Automated Genome Engineering、国際公開第2008052101号、米国特許第8153432号;Bradley et al.,Methods Cells and Organisms、米国特許出願公開第2015/0079680号;Begemann et al.,Compositions and Methods for Modifying Genomes、国際公開第2017141173号;Gill et al.,Nucleic acid-guided nucleases、米国特許第9982279号;Minshull et al.,Enhanced nucleic acid constructs for eukaryotic gene expression、米国特許第9428767号、米国特許第9580697号、米国特許第9574209号;Minshull et al.,DNA Vectors,Transposons And Transposases For Eukaryotic Genome Modification、米国特許第10041077号を参照のこと)。
【0237】
場合により、トランスフェクタント又は形質転換体細胞には、選択可能なマーカー、例えば、限定されないが、グルタミンシンターゼ、ジヒドロ葉酸レダクターゼ、ピューロマイシン-Nアセチルトランスフェラーゼ、ブラスチシジン-Sデアミナーゼ、ハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ、アミノグリコシドホスホトランスフェラーゼ、ノウルセオトリシン(nourseothircin)N-アセチルトランスフェラーゼ、又はゼオシンに結合するタンパク質の1つ又は複数のための組換え発現カセットが提供される。
【0238】
目的のタンパク質は、典型的には、細胞が組換えタンパク質を発現することを可能にする生理学的条件下でトランスフェクト又は形質転換された宿主細胞を培養することによって得られる。最も簡便には、発現された組換えタンパク質は、(適切な分泌指向性シグナルペプチドを使用することによって)細胞外培地に直接分泌され、そこから収集され、そうでなければ、発現された抗体を細胞抽出物から単離するために更なるステップが必要とされる。
【0239】
組換え発現の所望の規模は、発現系の種類及びタンパク質生成物の所望の量に依存する。ExpiCHO(商標)などのいくつかの発現系は、通常、いくつかの初期のHEK293技術と比較してより高い収率を生じる。したがって、HEK293システムと比較して、より小規模なExpiCHO(商標)で十分である可能性がある。トランスフェクションの効率はまた、適切な発現系を選択する際の考慮事項であり得る。エレクトロポレーションは、その有効性、比較的低コスト、及びこのステップ中のハイスループットが重要ではないという事実を考慮すると、適切な方法であり得る。さらに、免疫グロブリン軽鎖対重鎖の比は、特定のバリアントの発現を改善するために同時トランスフェクション中に変化させることができる。所与のバリアントの生成物収率は、多数の取り扱いステップに耐え、選択された蛍光検出器によって検出されるのに十分高いシグナルを生成するのに十分でなければならない。
【0240】
一般に、トランスフェクト又は形質転換された宿主細胞は、典型的には、バッチ、フェドバッチ、強化フェドバッチ、又は連続などの任意の従来の種類の培養によって培養される。適切な連続培養には、反復バッチ、ケモスタット、タービドスタット又は生成物及び細胞保持又は細胞保持のみを伴う灌流培養が含まれた。しかし、本発明の目的のために、培養は、各々が所望に応じて約50L~約4000L(例えば、50L、60L、75L、100L、250L、500L、650L、750L、1000L、1250L、1500L、1750L、2000L、2250L、2500L、2750L、3000L、3250L、3500L、3750L又は4000L)の体積の液体培地を含むことができる1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタで行われる。細胞を培養するために使用される使い捨てバイオリアクタの数は、所望の体積の1、2、3、4、5、又は6つの使い捨て灌流バイオリアクタである。
【0241】
本発明において目的のタンパク質又は「POI」(例えば、非グリコシル化又はグリコシル化タンパク質)を生成するために使用される宿主細胞は、様々な培地中で培養することができる。Ham’s F10(Sigma社)、基礎培地((MEM)、(Sigma社)、RPMI-1640(Sigma社)、及びダルベッコ変法イーグル培地((DMEM)、Sigma社)などの市販の培地は、宿主細胞の培養に適している。さらに、Ham et al.,Meth.Enz.58:44(1979)、Barnes et al.,Anal.Biochem.102:255(1980)、米国特許第4,767,704号;同第4,657,866号;同第4,927,762号;同第4,560,655号;又は同第5,122,469号;国際公開第90103430号;国際公開第87/00195;又は米国特許第30985号に記載される任意の培地が、宿主細胞のための培養培地として使用され得る。これらの培地のいずれにも、培地中又は培地上の細胞の生理学的条件が宿主細胞による目的のタンパク質の発現を促進するように、ホルモン及び/又は他の成長因子(インスリン、トランスフェリン、又は上皮成長因子など)、塩(塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、リン酸塩など)、緩衝液(HEPESなど)、ヌクレオチド(アデノシン及びチミジンなど)、抗生物質(ゲンタマイシン(商標)薬物など)、微量元素(通常、マイクロモル範囲の最終濃度で存在する無機化合物として定義される)及びグルコース又は同等のエネルギー源を必要に応じて補充することができ、任意の他の必要な補助剤もまた、当業者に知られているであろう適切な濃度で含まれ得る。
【0242】
温度(哺乳動物細胞の場合、必ずしもそうとは限らないが、典型的には、約37±1℃)、pH(必ずしもそうとは限らないが、典型的には、細胞培地は約pH6.5~7.5の範囲内に維持される)、酸素化などの所定の培養条件は、当業者には明らかであろう。所定の培養条件で「培養する」又は「維持する」とは、プロセス制御システムが、その条件について特定の値に、言い換えれば、目的の細胞株及びタンパク質生成物について最も適した狭い範囲(すなわち、「狭いデッドバンド」)内で、各パラメータについて所定の設定値に維持される、意図された体積、目標温度、pH、酸素化レベルなどが設定されることを意味する。明らかに、温度、pH、又は他の培養条件の経時的な、及び培養容器(すなわち、バイオリアクタ)を通る場所ごとの小さな変動があるであろう。(例えば、Oguchi et al.,pH Condition in temperature shift cultation enhances cell longevity and specific hMab productivity in CHO culture,Cytotechnology.52(3):199-207(2006);Al-Fageeh et al.,The cold-shock response in cultured mammalian cells:Harnessing the response for improvement of recombinant protein production,Biotechnol.Bioeng.93:829-835(2006);Marchant,R.J.et al.,Metabolic rates,growth phase,and mRNA levels influence cell-specific antibody production levels from in vitro cultured mammalian cells at sub-physical temperature,Mol.Biotechnol.39:69-77(2008)も参照されたい)。
【0243】
デジタル制御ユニット及びセンサーモニタは市販されているか、又は当業者によって構築することができる。細胞培養プロセスを制御及び監視する代替的なデジタル制御ユニット(DCU)は、B.Braun社、New Brunswickun社、Sartorius社、又はThermo Fisher Scientific社などの会社によって製造され、市販されている。表1A(下記)は、細胞培養条件を監視するために使用することができるデジタル制御及び感覚装置のいくつかの例を列挙している。他のオンライン又はオフライン分析としては、質量分析によるオフガス測定、培地組成(アミノ酸、ビタミン、微量ミネラル)の詳細な決定、並びにCO2及び乳酸以外の細胞代謝生成物の拡大検査を挙げることができる。
【0244】
【0245】
培地は、ウシ胎児血清(FBS)などの適切な量の血清を含むことができ、又は好ましくは、宿主細胞は、無血清培地での培養に適合させることができる。いくつかの実施形態では、宿主細胞が液体培地内の細胞懸濁液中で培養されるように、水性培地は液体である。宿主細胞は、好ましくは使い捨て用に設計された連続(灌流)細胞培養系で有用に増殖させることができる。
【0246】
本発明によれば、新鮮な培地は、複数の濃縮成分溶液及び水性希釈剤から同時に混合される。細胞培地は、各成分の広範囲の濃度並びに1つの成分対別の成分の固有の比を含む複雑な混合物である。任意の細胞培地製剤を濃縮することができる因子は、その最も可溶性が低い、最も安定性が低い、又は最も濾過性が低い成分の溶解性、安定性、又は濾過性によって制限される。成分を化学的に適合性のサブグループとして溶解することによって、全ての成分が一緒に溶解した場合には不可能であった濃度因子の増加を達成することができる。例えば、一部の成分は酸性pHでより可溶性であり、他の成分はアルカリ性pHでより可溶性である。この例では、酸性pHで可溶性の成分を1つの溶液中に一緒にまとめ、一方、アルカリ性pHで可溶性の成分を別の溶液中に一緒にまとめて、それらを再結合すると完全な培地を形成することができる。より高い濃度を達成するためのpHグループ化に加えて、又はその代わりに、アルコール又はジメチルスルホキシド(DMSO)などの他の溶媒を利用することができ、又は、バイオリアクタに添加されるまで他の成分からの除外する必要がある特殊な溶解度又は貯蔵要件を有する個々の成分のストック溶液を作成することができる。任意の所与の細胞培地製剤についての適合成分の正確なグループ分け及びそれらの最大濃度は、当業者によって容易に決定される。
【0247】
典型的には、生細胞密度は、約1.0×106~約2×108細胞/mL、例えば1.0×106~2.0×107細胞/mLの範囲、又は約4×107細胞/mL~約5×107細胞/mLの範囲、又は約1×108細胞/mL~約2×108細胞/mLの範囲で使用することができる。好ましい範囲の上限に向かって細胞の濃度を増加させると、体積生産性を改善できることが知られている。それにもかかわらず、範囲の下端又は上端として上記の点値のいずれかを含む細胞密度の範囲が想定される。組換え発現及び細胞培養の所望の規模は、発現系の種類及び所望の原薬の量に依存する。
【0248】
特許請求される発明の目的のために、トランスフェクト又は形質転換された宿主細胞を培養すると、組換えポリペプチド又はタンパク質が培地に直接分泌される。組換えタンパク質を収集することは、宿主細胞、細胞凝集体、及び/又は溶解された細胞断片を含み得る粒子状物質から、宿主細胞及び細胞残屑を含まない無細胞画分、すなわち無細胞「透過液」にそれを分離することを含む。そのような細胞及び細胞残屑は、例えば、遠心分離及び/又は精密濾過によって条件培地から除去される。例えば、透過液を作るために、中空繊維膜(孔径0.2μm)又はデプス濾過などの一連の濾過ステップを使用することができ、これは移動式、交換式及び/又は使い捨て及び「濾過カート」で構成することができる。
【0249】
本発明のいくつかの実施形態は、灌流バイオリアクタから除去された透過液の体積を受け取るように適合された第1の使い捨てサージ容器(SUSV1)を含み、透過液の体積は無細胞である。これらの透過液の体積は、1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタからSUV1に自動的かつ流体的に供給される。いくつかの実施形態では、SUSV1の流体体積を測定するための検出器と、第1のクロマトグラフィシステムのポンプ速度を変化させてSUSV1の予め設定された体積範囲を維持するためのプロセッサとを含む自動制御装置がある。
【0250】
本発明のいくつかの実施形態では、プロセスを実施するための設備は、透過液が自動的かつ流体的にSUSV1に供給される前に透過液を無細胞にするために、中空繊維膜、一連のデプスフィルタ、又は濾過カートを更に含む。
【0251】
タンパク質精製及びウイルス不活化
【0252】
一般に、タンパク質(例えば、組換え又は天然に存在するタンパク質)の精製は、通常、陰イオン交換クロマトグラフィ、陽イオン交換クロマトグラフィ、アフィニティクロマトグラフィ(プロテインA又はプロテインG又はプロテインLをアフィニティリガンド又は別の異なるアフィニティリガンドとして使用する)、疎水性相互作用クロマトグラフィ(HIC)、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィ、逆相HPLC、及びサイズ排除クロマトグラフィなどの任意の一連のクロマトグラフィステップによって達成される。上記は、第1のクロマトグラフィシステム、第2のクロマトグラフィシステム、及び/又は第3のクロマトグラフィシステムのいずれかに含めることができるクロマトグラフィ様式の非限定的な例である。第1、第2又は第3のクロマトグラフィシステムの各々は、目的のタンパク質に必要に応じて、好ましくは連続して流体連結された1つ、2つ、3つ又はそれ以上の異なるクロマトグラフィマトリックス(例えば、クロマトグラフィカラム)を用いて構成することができ、任意に、移動式、交換式又は使い捨ての使い捨てユニット、スキッド又は「カート」に配置することができる。さらに、精製プロセスは、1つ又は複数の限外濾過、ナノ濾過又は透析濾過ステップを含み得る。
【0253】
エタノール沈殿、等電点電気泳動、SDS-PAGE及び硫酸アンモニウム沈殿などのタンパク質精製のための他の任意の公知の技術もまた、収集されるタンパク質に応じて可能である。
【0254】
精製した目的のタンパク質(例えば、タンパク質原薬)を製造するための本発明のプロセスでは、無細胞透過液中の目的のタンパク質(例えば、限定されないが、タンパク質薬物)は、タンパク質を部分的に精製及び/又は濃縮することができる第1のクロマトグラフィシステム、例えば、限定されないが、プロテインA又はプロテインG又はプロテインLアフィニティクロマトグラフィ、あるいは固体マトリックスに共有結合した異なるアフィニティリガンドを使用するアフィニティクロマトグラフィの1つ又は複数のクロマトグラフィ捕捉ステップによって捕捉される。(例えば、Frank,M.B.,’’Antibody Binding to Protein A and Protein G beads’’5.In:Frank,M.B.,ed.,Molecular Biology Protocols.Oklahoma City(1997)を参照されたい)。第1のクロマトグラフィシステムとしては、任意に、陰イオン交換クロマトグラフィ(AEX)、陽イオン交換クロマトグラフィ(CEX)、アフィニティクロマトグラフィ(アフィニティリガンド又は別の特定の標的部分としてプロテインA又はプロテインG又はプロテインLを使用する)、疎水性相互作用クロマトグラフィ(HIC)、ヒドロキシアパタイト(HA)クロマトグラフィ及びサイズ排除クロマトグラフィ(SEC)を挙げることができる。第1のクロマトグラフィシステムの上流にあり、第1のクロマトグラフィシステムに流体接続されたサージ容器、例えば第1の使い捨てサージ容器(SUSV1)を含むいくつかの実施形態では、サージ容器、例えばSUSV1の流体体積を測定するための検出器と、第1のクロマトグラフィシステムのポンプ速度を変化させてサージ容器(例えば、SUSV1)の予め設定された体積範囲を維持するためのプロセッサとを含む自動制御装置がある。SUSV1の体積は、典型的には約200Lであるが、プロセスの流量及び所望の滞留時間(プロセスの混乱に反応することができる時間枠に影響を与える)に応じてより小さく又はより大きく設定することができる。第1のクロマトグラフィシステムの操作は、タンパク質単離物画分中の目的のタンパク質を収集又は捕捉する。
【0255】
第1のクロマトグラフィシステム、第2のクロマトグラフィシステム、及び/又は任意の第3のクロマトグラフィシステムは、目的のタンパク質に対する必要に応じて、好ましくは連続して流体連結された1つ、2つ、3つ又はそれ以上の異なるクロマトグラフィマトリックス(例えば、クロマトグラフィカラム)を用いて構成され、任意に、移動式、交換式、又は使い捨ての使い捨てユニット、スキッド又は「カート」に配置することができる。
【0256】
本発明のいくつかの実施形態では、第2のクロマトグラフィシステムは、表面官能化膜などの使い捨て膜吸着体(MA)を含む。このような膜吸着体は、陰性モードでのmAb研磨操作のための陰イオン交換基を含むことができ、ここで、微量の不純物は、目的のタンパク質に結合することなく除去される(いわゆる「フロースルークロマトグラフィ」)。例としては、Sartobind(登録商標)Q又はSartobind STIC(登録商標)(Sartorius Stedim Biotech社)、又はMustang(登録商標)Q(Pall Life Sciences社)、又はNatriFlo(登録商標)HD-Q(Natrix Separations社)が挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、膜吸着体としては、陽イオン交換基、例えば、Sartobind(登録商標)S(Sartorius Stedim Biotech社)、又はMustang(登録商標)S(Pall Life Sciences社)、又はNatrix(登録商標)HD-Sb(Natrix Separations社)を挙げることができる。いくつかの実施形態では、疎水性相互作用クロマトグラフィ(HIC)を実施するために、他の官能基を有する膜を使用することができる。
【0257】
本発明のプロセス(及び自動化設備)の実施形態は、その後、第1のクロマトグラフィシステムから得られた又は収集されたタンパク質単離物画分を低pH又は界面活性剤ウイルス不活化システム及び中和システム(すなわち、低pHによるウイルス不活化に続いて中和が必要な場合)に切り替えて、目的のタンパク質(例えば、限定されないが、タンパク質薬物)を含むウイルス不活化生成物プールを得ることを含む。しかし、場合により、タンパク質単離物画分が低pH又は界面活性剤ウイルス不活化システムに流体的に供給される前に、タンパク質単離物画分を第1のクロマトグラフィシステムから、
(i)第2の使い捨てサージ容器、又は
(ii)少なくとも2つの自動的に切り替え可能な代替使い捨て収集容器(SUCV1及びSUCV2)のいずれかに流体供給することができる。(i)使い捨てサージ容器、又は(ii)SUCV1及びSUCV2は、第1のクロマトグラフィシステムからタンパク質単離物画分を受け取り、タンパク質単離物画分を低pH又は界面活性剤ウイルス不活化システムに流体供給するように適合されている。
【0258】
代替的な実施形態では、低pH又は界面活性剤ウイルス不活化システム、及び必要に応じて中和システム(すなわち、低pHによるウイルス不活化に続いて中和が必要な場合)は、
(i)(第3の)使い捨てサージ容器、又は
(ii)少なくとも2つの自動的に切り替え可能な代替使い捨て収集容器(SUCV1及びSUCV2)を含む。(i)使い捨てサージ容器、又は(ii)低pH又は界面活性剤ウイルス不活化システム及び必要に応じて中和システムに含まれるSUCV1及びSUCV2は、第1のクロマトグラフィシステムからタンパク質単離物画分を受け取るように適合される。
【0259】
SUSV2及びSUCV1及びSUCV2の体積は、典型的にはそれぞれ約100Lの体積であるが、プールを更に処理する頻度に応じて、これをより小さく又はより大きくすることができる。例えば、約20~25Lの溶出プールでは、50Lの容器がSUCV1及びSUCV2として効果的に使用された。低pHウイルス不活化システムを使用した後、溶液中の単離タンパク質をほぼ中性pHに回復させるために中和システムが必要である。「低pH」という用語は、タンパク質単離物画分が(典型的には少なくとも30~90分間)保持されて汚染ウイルス粒子を不活化する約pH3.7以下のpH値を意味する。(例えば、Chinniah,S et al.,Characterization of operating parameters for XMuLV inactivation by low pH treatment,Biotechnol Prog.32(1):89-97(2016)を参照されたい)。界面活性剤(例えば、Triton-X-100及び/又はトリ(n-ブチル)ホスファート(「TNBP」))ウイルス不活化システムが使用される場合、ウイルス不活化生成物プールの更なる効果的な精製又は安定な貯蔵を妨げる、中性pH条件よりも低い条件も使用されない限り、中和システムによるタンパク質単離物画分の処理は通常必要ではない。(例えば、Dichtelmuller et al.,Effective virus inactivation and removal by steps of Biotest Pharmaceuticals,Result in Immunology 2:19-24(2012);Ellgard et al.,Evaluation of the virus clearance capacity and robustness of the manufacturing process for the recombinant factor VIII protein,turoctocog alfa IGIV production process,Protein Expression and Purification 129:94-100(2017))を参照されたい)。
【0260】
続いて、得られたウイルス不活化生成物プールを温度制御又はチルド保持容器(HV1)内の第2のクロマトグラフィシステム(いくつかの実施形態では、少なくとも10日間又は少なくとも20日間又は少なくとも30日間貯蔵された後で)に導入して、目的のタンパク質を含む精製した生成物プールを得る。第2のクロマトグラフィシステムは、目的のタンパク質の更なる精製のために必要に応じて、好ましくは連続して流体連結された1つ、2つ、3つ又はそれ以上の異なるクロマトグラフィマトリックス(例えば、クロマトグラフィカラム)を用いて構成され、任意に、移動式、交換式又は使い捨ての使い捨てユニット、スキッド又は「カート」に配置することができる。
【0261】
ウイルス不活化生成物プールを第2のクロマトグラフィシステムに導入することは、場合により、培養ステップ及びウイルス不活化ステップに関して調整されたスケジュールに従って制御される。調整されたスケジュールは、ウイルス不活化生成物プールの第2のクロマトグラフィシステムへの効率的なルーティングを最大化するように計算される。ウイルス不活化生成物プールの第2のクロマトグラフィシステムへの調整されたスケジュールに従ったこの負荷は、自動(連続形式)又はバッチ式手動制御(半連続形式)によるものである。(Garcia,FA and Vandiver,MW,Throughput Optimization of Continuous Biopharmaceutical Manufacturing Facilities,PDA J Pharm Sci Technol 71(3):189-205(2017)も参照されたい)。
【0262】
第2のクロマトグラフィシステムから、目的のタンパク質を含む得られた精製した生成物プールを任意の第3のクロマトグラフィシステム及び/又はウイルス濾過システムに流体的に切り替えて、タンパク質を含むウイルスフリーの濾液を得る。精製した生成物プールの任意のクロマトグラフィシステム及び/又はウイルス濾過システムへの切り替えは、自動又は手動制御によるものである。任意の第3のクロマトグラフィシステムは、目的のタンパク質の更なる精製のために必要に応じて、好ましくは連続して流体連結された1つ、2つ、3つ又はそれ以上の異なるクロマトグラフィマトリックス(例えば、クロマトグラフィカラム)を用いて構成され、任意に、移動式、交換式又は使い捨ての使い捨てユニット、スキッド又は「カート」に配置することができる。第3のクロマトグラフィシステムが本発明のプロセス(又は設備)で使用されない場合、精製した生成物プールは、ウイルス濾過システムに、切り替えられ、流体的に直接流れる。使い捨てウイルス濾過システムを含む有用なウイルスシステムが市販されている。
【0263】
続いて、得られたウイルスフリーの濾液を限外濾過/透析濾過システムに流体的に切り替えて、精製した目的のタンパク質(例えば、精製タンパク質原薬)を含む組成物を得る。ウイルスフリーの濾液の限外濾過/透析濾過システムへの切り替えは、自動又は手動制御によるものである。
【0264】
限外濾過/透析濾過システムの有用な例としては、限外濾過カセット、限定されないが、Pellicon(登録商標)3 Ultracel 30 kDa膜(Millipore Sigma社)、Sartocon(登録商標)ECO Hydrosart(登録商標)30-kDa再生セルロース膜(Sartorius社)、Delta 30-kDa再生セルロース膜(Pall Biotech社)などが挙げられる。
【0265】
プロセスの最後に、精製タンパク質(例えば、タンパク質原薬)は、限定されないが、使い捨て滅菌容器(例えば、Celsius(登録商標)-FFTシステム、Sartorius社)、すぐに使用できるカーボイなどの滅菌容器に保存することができるか、又は製剤に直接加工することができる。
【0266】
本発明のプロセス(及び自動化設備)のいくつかの実施形態では、第1のクロマトグラフィシステム、第2のクロマトグラフィシステム、第3のクロマトグラフィシステム、低pH又は界面活性剤ウイルス不活化システム、中和システム、ウイルス濾過システム、又は限外濾過/透析濾過システムの1つ又は複数は、使い捨て構成要素を含む。使い捨て構成要素を使用することは、効率、安全性をもたらし、本発明のプロセスを実施する最終的なコストを低下させる。
さらに、複数の使い捨て灌流バイオリアクタが精製した目的のタンパク質(例えば、限定されないが、精製タンパク質原薬)の生成のための設備で利用されるシナリオでは、各バイオリアクタに関して行われる複数の操作を同時に行うことができる。例えば、第1の灌流バイオリアクタからウイルスフリーの濾液に関して限外濾過/透析濾過操作が行われる一方で、第2の使い捨て灌流バイオリアクタでの培養に由来する無細胞透過液の第1のクロマトグラフィシステムによる処理後に受け取ったタンパク質単離物画分を処理するウイルス不活化システム(及び、必要に応じて、中和システム)によって生成されたウイルス不活化生成物プールに関して、クロマトグラフィ操作を行うことができる。別の例では、第1の使い捨て灌流バイオリアクタでの培養から本発明の方法によって最終的に生成されたウイルスフリーの濾液に関して限外濾過/透析濾過操作が行われる一方で、第2の灌流バイオリアクタでの培養から本発明の方法によって最終的に生成されたウイルス不活化生成物プールに関して、ウイルス濾過操作を行うことができる。更なる実施形態では、第1の灌流バイオリアクタから生成されたウイルスフリーの濾液に対して行われる少なくとも1つのクロマトグラフィプロセス及び/又はウイルス濾過プロセスは、本発明のプロセスに従って第2の使い捨てバイオリアクタによって生成された無細胞透過液体積に対して行われる連続クロマトグラフィ捕捉又はウイルス不活性化プロセスの間に行うことができる。
【0267】
水及び他の成分の純度。精製原薬の製剤を発現、精製及び製造するために本発明のプロセスのステップで使用される水及び他の全ての成分は、好ましくは、例えば米国薬局方(USP)、欧州薬局方、日本薬局方、又は中国薬局方などの対象となる管轄において、そのような医薬組成物及び医薬品に要求される適用可能な法的又は薬局方基準を満たす純度レベルである。例えば、USPによれば、注射用水は、生成物のエンドトキシン含有量を制御しなければならない非経口及び他の製剤の製造、並びに特定の機器及び非経口生成物と接触する構成要素の洗浄などの他の医薬用途において賦形剤として使用され、注射用水を生成するための供給源又は供給水の最低品質は、米国環境保護庁(EPA)、EU、日本又はWHOによって定義される飲料水である。
【0268】
自動化及び制御システム
【0269】
従来の生成設備制御システムは、典型的には、設備の予め設定された構成を制御するように設計される。これらのシナリオでは、機器間の論理結合及びハードウェア結合は変化しない。したがって、各機器に対して実行可能な識別子及び制御動作は静的である。本明細書に記載の生成設備制御システムの実装は、精製した目的のタンパク質(例えば、限定されないが、タンパク質原薬)を製造するための本発明の自動化設備及びプロセスに関して、生成ライン内の機器の可変構成をサポートする。これらの状況では、機器は、異なる機能を有し、異なる動作を実行し、及び/又は生成ライン内の機器の位置に基づいて異なる制御コマンド及び/又は変数のセットを使用して制御することができる。したがって、本明細書に記載の生成ライン及び制御システムは、従来のシステムとは異なるソフトウェア構成及び物理ハードウェアを含む。生成ライン上の機器の構成が異なる同じグループの制御モジュールを使用して、自動化設備内に生成ラインを構成する能力は、いわゆる「FlexTrain」自動化の実装であり得る。
【0270】
本明細書に記載の実施態様は、プロセスの各ステップを通る材料の流れを自動的に制御して、限定されないが、タンパク質原薬などの目的のタンパク質を生成することができる1つ又は複数のシステムによって実行することができる。あるいは、制御機能の少なくとも一部は、オペレータの介入によって実行することができ、オペレータの介入を必要とし得る状況(特にプロセスの中断)が存在し得る。制御機能は、精製した目的のタンパク質の生成に使用される様々な機器に結合されたセンサから得られたプロセスデータを使用して実行することができる。センサは、温度センサ、pHセンサ、流量センサ、重量センサ(例えば、ロードセル)、体積センサ(例えば、誘導波レーダセンサ)、圧力センサ、タイマ、静電容量センサ、光学密度センサ、又はそれらの組み合わせを含むことができる。センサによって生成されたデータは、機器によってローカルに収集することができる。特定の実施形態では、機器は、センサデータを生成設備制御システムに転送することができる。生成設備制御システムは、精製した目的のタンパク質(例えば、精製タンパク質原薬)を製造するために使用されているいくつかの機器のセンサからデータを収集することができる。生成設備制御システムは、互いに電子通信する1つ又は複数のコンピューティングデバイス及び/又は1つ又は複数のデータストアを含むことができる。いくつかのシナリオでは、1つ又は複数のコンピューティングデバイス及び/又は1つ又は複数のデータストアの少なくとも一部を同じ場所に配置することができる。さらに、1つ又は複数のコンピューティングデバイス及び/又は1つ又は複数のデータストアの少なくとも一部は、生成設備に含まれる機器から遠隔に配置することができる。この状況では、生成設備制御システムによって実行される動作の少なくとも一部は、クラウドコンピューティングアーキテクチャで実施することができる。
【0271】
センサから収集されたデータは、本明細書では「データヒストリアン」と呼ぶことができる電子データストアに格納することができる。様々な実施態様では、第1のデータヒストリアンは、精製タンパク質生成設備で動作する機器の少なくともサブセット(例えば、精製されたタンパク質原薬又は他の目的のタンパク質の生成のために)のデータを収集及び記憶することができる。第1のデータヒストリアンは、一定期間データを記憶し、次いで、生成設備制御システムに結合された機器の動作に関して収集されたデータのリポジトリである第2のデータヒストリアンにデータを転送することができる。DeltaVヒストリアン及び/又はPiヒストリアンは、タンパク質原薬の商業製造プラントで一般的に使用される冗長データヒストリアンシステムの例である。特定の状況では、次いで、第1のデータヒストリアンをリセットし、追加の期間にわたって精製タンパク質生成設備(例えば、精製されたタンパク質原薬の製造のために)から追加のデータの収集及び保存を開始することができる。生成設備制御システムはまた、精製した目的のタンパク質(例えば、限定されないが、タンパク質原薬)の特定のバッチを生成するための生成設備に含まれる機器の動作に関連するデータを収集及び記憶する1つ又は複数のバッチヒストリアンを含むことができる。データヒストリアンは、生成設備制御システムによってアクセスされ、生成設備制御システムの制御下に含まれる機器の動作のためのパラメータを決定するために分析することができる。
【0272】
生成設備制御システムは、センサから得られたデータを分析し、1つ又は複数の機器の動作条件を決定することができる。場合によっては、機器の動作のための設定値及び許容可能な動作パラメータ、及び/又は実行レシピは、オペレータによってシステムに入力することができる。他の状況では、機器の動作のための設定値及び許容可能な動作パラメータ、及び/又は実行レシピを、精製タンパク質生成ライン(例えば、精製されたタンパク質原薬の製造のために)で利用される1つ又は複数の機器に自動的に送信することができる。アラート及びアラーム通知は、センサデータに基づいて生成することもできる。例えば、精製タンパク質生成ライン内の機器の動作状態が閾値範囲外であることをセンサデータが示す状況では、システムはアラームをトリガし、オペレータに通知を送信することができる。
【0273】
精製した目的のタンパク質(例えば、精製タンパク質原薬)を生成するために使用される様々な機器は、機器間及び/又は生成設備制御システムとの通信を可能にする1つ又は複数の通信インターフェースを含むことができる。いくつかの実施態様では、生成設備制御システムは、プロセス自動化システム(PAS)として動作することができる。通信インターフェースは、精製タンパク質生成ラインで使用される機器間及び/又は生成設備制御システムとのデータの通信を可能にするハードウェア装置、ファームウェア装置、及び/又はソフトウェア実装システムを含むことができる。通信インターフェースは、ローカルエリア有線ネットワーク、ローカルエリア無線ネットワーク、ワイドエリア無線ネットワーク、及び/又はワイドエリア有線ネットワークなどの多数のネットワークを介したデータの通信を可能にすることができる。特定の例では、通信インターフェースとしては、イーサネットネットワーク通信インターフェース、インターネットプロトコルネットワーク通信インターフェース、米国電気電子技術者協会(IEEE)802.11ワイヤレスネットワーク通信インターフェース、Bluetooth通信インターフェース、又はそれらの組み合わせを挙げることができる。
【0274】
精製した目的のタンパク質(例えば、限定されないが、タンパク質原薬)を生成するために使用される機器は、1つ又は複数のプロセッサ及び1つ又は複数のメモリデバイスを含むことができる。1つ又は複数のプロセッサは、コンピューティングシステムの動作に必要な算術演算及び論理演算を実行する標準的なプログラマブルプロセッサなどの中央処理装置とすることができる。1つ又は複数のメモリデバイスは、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、又は他のデータなどの情報を記憶するための任意の種類の技術で実装された揮発性及び不揮発性メモリ並びに/又はリムーバブル及び非リムーバブル媒体を含むことができる。そのようなコンピュータ可読記憶媒体は、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ又は他のメモリ技術、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)又は他の光学記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、固体記憶装置、磁気ディスク記憶装置、RAID記憶システム、記憶アレイ、ネットワーク接続記憶装置、ストレージエリアネットワーク、クラウドストレージ、リムーバブル記憶媒体、又は所望の情報を記憶するために使用することができ、かつ生成設備制御システム又は精製タンパク質生成ラインに含まれる個々の機器によってアクセスすることができる任意の他の媒体を含むことができるが、これらに限定されない。
【0275】
精製した目的のタンパク質(例えば、限定されないが、タンパク質原薬)を製造するための本発明の自動化設備及びプロセスによれば、精製タンパク質生成ラインに含まれる機器の少なくとも一部、及び生成設備制御システムは、精製タンパク質生成ラインに含まれる機器の動作を制御するために実行することができる1つ又は複数のモジュールを格納することができる。モジュールは、精製タンパク質生成ラインに含まれる機器に1つ又は複数の動作を行わせるために実行することができるコンピュータ可読命令を含むことができる。モジュールは、精製タンパク質生成ラインに含まれる機器が連続的又は半連続的に精製タンパク質(例えば、精製タンパク質原薬)を生成することを可能にするフレームワークの一部とすることができる。精製タンパク質生成ラインに含まれる様々な機器によって実行される動作は、始動プロセス、保持プロセス、停止プロセス、供給プロセス、又は生成プロセスの終了に関連し得る。
【0276】
特定の実施形態では、本明細書に記載の制御システムは、柔軟な構成を有する生成ラインを制御するために使用することができる。すなわち、本明細書に記載の制御システムは、生成ラインの他の構成要素に結合することができる可搬式機器を利用する複数の構成に対応することができる。様々な実施形態では、生成ラインは、使い捨てバイオリアクタシステム、灌流システム、又は連続クロマトグラフィシステムなどの元の製造業者の機器を含む1つ又は複数のスキッドを含むことができる。スキッドはまた、ポンプなどの流量制御装置を含むことができる。さらに、スキッドは、本明細書では「ドロップ」とも呼ばれる、可搬式機器をスキッドに物理的に結合することを可能にする1つ又は複数の通信インターフェースを含むことができる。可搬式機器とスキッドとの間の物理的結合は、電気ケーブルを使用して達成することができる。電気ケーブルは、イーサネット通信を可能にするように構成することができる。特定の例では、電気ケーブルは、推奨規格232(RS-232)ケーブルであってもよい。
【0277】
可搬式機器は、それぞれの可搬式機器と生成設備制御システムとの間の通信を可能にするネットワークゲートウェイハードウェアデバイスを含むか、そうでなければこれに結合することができる。各可搬式機器のネットワークゲートウェイハードウェアデバイスは、それぞれのスキッドの通信インターフェースに結合することができる。さらに、スキッドの少なくともいくつかは、様々な可搬式機器に結合されるように論理的に構成することができる。このようにして、可搬式機器は、特定の生成ラインの構成に基づいて特定のスキッドに物理的に接続することができ、スキッドは、スキッドに結合された異なる機器に基づいて異なる構成で動作するように構成することができる。
【0278】
さらに、可搬式機器は、ドングルなどの少なくとも1つの情報通信及び/又は記憶装置に結合することができる。情報通信及び/又は記憶装置は、生成設備制御システムを介してそれぞれの機器の制御を可能にする、それが結合されているそれぞれの機器に提供される情報を記憶することができる。情報通信及び/又は記憶装置は、それぞれの機器の1つ又は複数の識別子、それぞれの機器の1つ又は複数の機能、それぞれの機器に対応する1つ又は複数の制御シグナル、それぞれの機器に関連する1つ又は複数のステータスフラグ、又はそれらの組み合わせを含む情報を記憶することができる。いくつかの例では、情報通信及び/又は記憶装置によって記憶されたデータは、それぞれの機器の機能又は種類に少なくとも部分的に基づくことができる。可搬式機器が生成ラインに沿った異なる場所に配置され、及び/又は異なる機能を有する状況では、可搬式機器の情報通信及び/又は記憶装置は、可搬式機器の異なる機能及び異なる識別子を示す追加の情報通信及び/又は記憶装置に切り替えることができる。
【0279】
さらに、本明細書に記載の制御システムは、従来の制御ソフトウェア及びシステムの上で使用することができる追加の論理レイヤを含むことができる。特定の実施態様では、本明細書に記載の制御システムは、生成ラインに沿った特定の位置にある特定の機器のための特定の機能のセットに対応する様々な識別子、タグ、動作条件、及びフラグへの可搬式機器の「バインディング」とも呼ばれる割り当てを可能にする追加の抽象化レイヤを含むことができる。このようにして、機器の位置及び機能が分かるまで、機器は制御システム内で論理的に表示されない。したがって、可搬式機器は、スキッドの構成要素を制御し、また可搬式機器を制御するために利用されている基礎となる制御ソフトウェアを変更する必要なく、様々な組み合わせでスキッドと結合することができる。
【0280】
例示的な例では、精製した目的のタンパク質(例えば、限定されないが、精製タンパク質原薬)を製造するための本発明の自動化設備による生成ラインは、使い捨てバイオリアクタシステムを含む第1のスキッドと、灌流システムを含む第2のスキッドと、連続的な第1のクロマトグラフィシステムを含む第3のスキッドとを含むことができる。スキッドは、複数の可搬式機器の可搬式部分に結合するように構成することができる。例えば、スキッドは、可搬式混合タンク、フィルタバンク、貯蔵コンテナ、サージ容器、保持容器、ダイバータバルブシステム(自動的に切り替え可能な代替のデュアル流路又はマルチ流路ユニットの動作、例えばSUCV1及びSUCV2を切り替えるため)、及び/又は他の流量制御装置に結合するためのインターフェース及び物理ハードウェアを含むことができる。混合タンク(又は互換的に、「混合容器」)又は貯蔵容器の一部は、連続又は半連続形式の製造プロセスにおいてサージ容器として機能することができるか、又はバッチモード形式の製造プロセスにおいて保持容器として機能することができる供給タンク又は収集容器として機能することができる。
【0281】
可搬式機器をスキッドに連結した後、可搬式機器を生成設備制御システムに登録することができる。可搬式機器は、可搬式機器が生成設備制御システムに通信することができる固有のアドレスを有することができる。固有のアドレスは、可搬式機器の種類及びユニット識別子を生成設備制御システムに示すことができる。可搬式機器に結合されたドングルは、可搬式機器が結合されるスキッドの位置及び可搬式機器の1つ又は複数の機能的役割に対応する追加の識別子を格納することができる。例えば、混合タンクは、可搬式機器の位置及び可搬式機器が結合されているドロップの論理的関連付けに基づいて、供給タンク又は収集タンクとして識別され得る。別の例では、フィルタバンクは、生成ラインの第1の構成ではウイルス濾過装置として識別され、次いで生成ラインの第2の構成では透析濾過装置として識別され得る。これらの状況では、第1のドングルを生成ラインの第1の構成のフィルタバンクに結合することができ、第2のドングルを生成ラインの第2の構成のフィルタバンクに結合することができる。さらに、フィルタバンクに使用されるフィルタの種類は、フィルタバンクが生成ラインの異なる場所で使用される場合に変更することができる。
【0282】
スキッドに連結された後に可搬式機器から情報を取得することに応答して、生成設備制御システムは、可搬式機器の位置及び機能を決定し、対応する制御テンプレートを可搬式機器に割り当てることができる。例えば、混合タンクが収集タンクとして機能している状況では、生成設備制御システムは、タグ、フラグ、識別子、及びセットポイントの第1のセットを混合タンクに割り当てることができ、混合タンクが供給タンクとして機能している状況では、生成設備制御システムは、タグ、フラグ、識別子、及び設定値の第2のセットを混合タンクに割り当てることができる。次いで、生成設備制御システムは、スキッドに結合された後に可搬式機器から得られた情報に基づいて、特定の制御モジュールのセットを可搬式機器に割り当てることができる。
【0283】
様々な実施形態では、大型の収集タンクなどの可搬式ではないと考えられる機器もスキッドに結合することができる。これらのシナリオでは、非可搬式機器は、生成設備制御システムに対する非可搬式機器の動的構成を可能にするハードウェア及び/又は通信及び記憶装置を含まなくてもよい。非可搬式機器が動的構成用に構成されていない場合、生成設備制御システムのオペレータは、非可搬式機器の動作を制御するために使用されるテンプレート及び/又は制御モジュールを手動で確立することができる。
【0284】
生成ラインに含まれる機器の制御に加えて、生成設備制御システムはまた、精製した目的のタンパク質(例えば、限定されないが、精製タンパク質原薬)の生成中のバッチの減衰率を追跡することができる。「減衰率」は、サブロットの生成に使用される材料を識別し追跡することができる期間である。例えば、多く存在し得る、得られたクロマトグラフィステップ溶出液プール収集物で使用される材料(例えば、緩衝液、細胞培地など)は、「減衰率」によって動的に同定及び追跡することができる。連続バッチ生成プロセスでは、生成設備制御システムは、精製タンパク質生成プロセスの減衰率を推定することができる。様々な実施態様では、生成設備制御システムは、バッチの生成の特定の部分にバッチ識別子を割り当て、現在のバッチ識別子が新しいバッチ識別子に変更され、新しいバッチ識別子に対して新しい減衰モニタが実施されるまで、減衰モニタを開始することができる。
【0285】
例示的な例では、生成設備制御システムは、フィルタバンクに結合されたドングルから得られた情報に基づいて、フィルタバンクが灌流バイオリアクタと第1のクロマトグラフィシステムとの間に結合されていると判定することができる。これらの状況では、フィルタバンクはデプスフィルタとして動作することができる。生成設備制御システムは、フィルタバンクが生成ラインで使用されている間に、デプスフィルタの1つ又は複数の制御モジュール、フラグ、及び/又は状態識別子を識別し、1つ又は複数の制御モジュールを実行することができる。生成設備制御システムは、フィルタアセンブリに含まれる圧力センサから得られた圧力値に基づいて、フィルタバンクのフィルタアセンブリ内の圧力を監視することができる。生成設備制御システムは、材料が流れている第1のフィルタアセンブリ内の圧力が少なくとも閾値レベルに達したと判定することができる。圧力の閾値レベルは、フィルタによって処理することができる材料の量の減少のために、第1のアセンブリに含まれるフィルタを交換する必要があることを示すことができる。次いで、生成設備制御システムは、フィルタバンクに結合されたダイバータバルブを制御するためのシグナルを送信して、材料をフィルタバンクの第2のフィルタアセンブリを通して流すことができる。次いで、第1のフィルタアセンブリに含まれるフィルタを交換することができる。
【0286】
更なる例示として、本発明の以下の実施形態が列挙される。
【0287】
実施形態1:精製した目的のタンパク質を製造するためのプロセスであって、以下のステップを含むプロセス:
【0288】
(a)少なくとも10日の生成培養期間にわたって、液体培地を含む1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタ内で、細胞が液体培地中にタンパク質を分泌することを可能にする条件下で哺乳動物細胞を培養することであって、生成培養期間中に、定期的又は連続的に、新鮮な滅菌液体培地を1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタに添加して、透過液又は細胞ブリードの体積として灌流バイオリアクタの各々から連続的又は定期的に除去される培養物の体積に直接関連して、灌流バイオリアクタの各々において一定の培養体積を維持し、除去された透過液の体積は、1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタから使い捨てサージ容器に、次いで第1のクロマトグラフィシステムに自動的かつ流体的に供給され、それによってタンパク質がタンパク質単離物画分中に収集されること。
【0289】
実施形態2:精製した目的のタンパク質を製造するためのプロセスであって、以下のステップを含むプロセス:
【0290】
(a)少なくとも10日の生成培養期間にわたって、液体培地を含む1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタ内で、細胞が液体培地中にタンパク質を分泌することを可能にする条件下で哺乳動物細胞を培養することであって、生成培養期間中に、定期的又は連続的に、複数の異なる濃縮培地成分溶液及び水性希釈剤から同時に混合される新鮮な滅菌液体培地を1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタに添加して、透過液又は細胞ブリードの体積として灌流バイオリアクタの各々から連続的又は定期的に除去される培養物の体積に直接関連して、灌流バイオリアクタの各々において一定の培養体積を維持し、除去された透過液の体積は、1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタから使い捨てサージ容器に、次いで第1のクロマトグラフィシステムに自動的かつ流体的に供給され、それによってタンパク質がタンパク質単離物画分中に収集されること。
【0291】
実施形態3:実施形態1から2に記載のプロセスであって、以下のステップを更に含むプロセス:
【0292】
(b)タンパク質単離物画分を低pH又は界面活性剤ウイルス不活化システム、及び必要に応じて中和システムに切り替えて、タンパク質を含むウイルス不活化生成物プールを得ること。
【0293】
実施形態4:実施形態1から3に記載のプロセスであって、以下のステップを更に含むプロセス:
【0294】
(c)ウイルス不活化生成物プールを第2のクロマトグラフィシステムに導入して、タンパク質を含む精製した生成物プールを得ること、
【0295】
(d)タンパク質を含む精製した生成物プールを任意の第3のクロマトグラフィシステム及び/又はウイルス濾過システムに切り替えて、タンパク質を含むウイルスフリーの濾液を得ること、及び
【0296】
(e)ウイルスフリーの濾液を限外濾過/透析濾過システムに切り替えて、精製した目的のタンパク質を含む組成物を得ること。
【0297】
実施形態5:目的のタンパク質が組換えタンパク質である、実施形態1から4のいずれかに記載のプロセス。
【0298】
実施形態6:目的のタンパク質が治療用タンパク質(又は他の医学的に有用なタンパク質)である、実施形態1から5のいずれかに記載のプロセス。
【0299】
実施形態7:第1のクロマトグラフィシステム、第2のクロマトグラフィシステム、第3のクロマトグラフィシステム、低pH又は界面活性剤ウイルス不活化システム、中和システム、ウイルス濾過システム、又は限外濾過/透析濾過システムの1つ又は複数が、1つ又は複数の使い捨て構成要素を含む、実施形態1から6のいずれかに記載のプロセス。
【0300】
実施形態8:哺乳動物細胞が、2個、3個、4個、5個又は6個の使い捨て灌流バイオリアクタで培養される、実施形態1から7のいずれかに記載のプロセス。
【0301】
実施形態9:1つ又は複数の使い捨てバイオリアクタが、約50L~約4000Lの体積の液体培地を含むことができる、実施形態1から8のいずれかに記載のプロセス。
【0302】
実施形態10:複数の異なる濃縮培地成分溶液を互いに対して固定比で灌流バイオリアクタ内に直接注入することによって、新鮮な滅菌液体培地が1つ又は複数の灌流バイオリアクタに添加される一方で、水性希釈剤もまた、複数の異なる濃縮成分溶液に対して様々な比で添加されて、各灌流バイオリアクタ内の培養体積を一定に維持する、実施形態2から9のいずれかに記載のプロセス。
【0303】
実施形態11:複数の異なる濃縮培地成分溶液及び水性希釈剤を互いに対して固定比で灌流バイオリアクタ内に直接注入することによって、新鮮な滅菌液体培地が1つ又は複数の灌流バイオリアクタに添加されて、各灌流バイオリアクタ内の培養体積を一定に維持する、実施形態2から9のいずれかに記載のプロセス。
【0304】
実施形態12:複数の異なる濃縮培地成分溶液及び水性希釈剤を互いに対して固定比で混合チャンバに注入することによって、新鮮な滅菌液体培地が1つ又は複数の灌流バイオリアクタに添加されて、ここで、新鮮な滅菌液体培地が同時に混合された後、各灌流バイオリアクタに添加されて、培養体積を一定に維持する、実施形態2から9のいずれかに記載のプロセス。
【0305】
実施形態13:検出器を含む自動制御装置を使用して、使い捨てサージ容器内の流体体積を測定し、プロセッサが、第1のクロマトグラフィシステムのポンプ速度を変化させて使い捨てサージ容器内の予め設定された体積範囲を維持する、実施形態1から12のいずれかに記載のプロセス。
【0306】
実施形態14:ステップ(b)、(c)、(d)、又は(e)のうちの1つ又は複数が、前のステップからの中断されない流れで自動的かつ流体的に実行され、1つ又は複数のステップの間にサージ容器が使用され、プロセッサが、後続のステップでポンプ速度を変化させ、後続のステップに先行するサージ容器の予め設定された体積範囲を調整する、実施形態3から13のいずれかに記載のプロセス。
【0307】
実施形態15:pH及び/又は導電率負荷のインライン又は容器内調整が、ステップ(b)、(c)、(d)、又は(e)のうちの1つ又は複数の間で実行される、実施形態3から14のいずれかに記載のプロセス。
【0308】
実施形態16:実施形態1から15のいずれかに記載のプロセスであって、
【0309】
(i)プロセス自動化システムは、少なくとも1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタ、使い捨てサージ容器、及び第1のクロマトグラフィシステムと電子通信し、
【0310】
(ii)プロセス自動化システムは、1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタのうちの少なくとも1つの使い捨て灌流バイオリアクタの動作を制御するための制御モジュールの第1のセットを格納し、
【0311】
(iii)プロセス自動化システムは、供給タンクの動作を制御するための制御モジュールの第2のセットを格納し、
【0312】
(iv)プロセス自動化システムは、収集タンクの動作を制御するための制御モジュールの第3のセットを格納し、
【0313】
(v)少なくとも1つの使い捨て灌流バイオリアクタは、1つ又は複数の供給タンク、1つ又は複数の収集タンク、又はフィルタバンクに連結されるように論理的に構成されている、プロセス。
【0314】
実施形態17:少なくとも1つの使い捨て灌流バイオリアクタがスキッド上に配置され、スキッドが、少なくとも1つの使い捨て灌流バイオリアクタを複数の可搬式機器に電子的に連結するための複数の通信インターフェースを含む、実施形態16に記載のプロセス。
【0315】
実施形態18:実施形態17のプロセスであって、以下を更に含むプロセス:
【0316】
(vi)プロセス自動化システムによって、通信インターフェースを介して受信されたデータに基づいて、使い捨てサージ容器が複数の通信インターフェースのうちの1つの通信インターフェースに結合されたことを決定することであって、データが、使い捨てサージ容器の識別子及び使い捨てサージ容器の機能を示すこと、及び
【0317】
(vii)使い捨てサージ容器の識別子及び機能に少なくとも部分的に基づいて、使い捨てサージ容器が収集タンクであり、制御モジュールの第3のセットが使い捨てサージ容器の動作を制御するためのものであることを決定すること。
【0318】
実施形態19:実施形態18のプロセスであって、以下を更に含むプロセス:
【0319】
(viii)プロセス自動化システムによって、追加の通信インターフェースを介して受信された追加のデータに基づいて、混合容器が複数の通信インターフェースのうちの追加の通信インターフェースに結合されたことを決定することであって、追加のデータが、混合容器の追加の識別子及び混合容器の追加の機能を示すこと、及び
【0320】
(ix)混合容器の追加の識別子及び追加の機能に少なくとも部分的に基づいて、混合容器が供給タンクであり、制御モジュールの第2のセットが混合容器の動作を制御するためのものであることを決定すること。
【0321】
実施形態20:使い捨てサージ容器の識別子及び使い捨てサージ容器の機能が、使い捨てサージ容器に結合されたドングルに格納される、実施形態18から19のいずれかに記載のプロセス。
【0322】
実施形態21:生成培養期間が少なくとも20日間である、実施形態1から20のいずれかに記載のプロセス。
【0323】
実施形態22:精製した目的のタンパク質を製造するための自動化設備であって、
【0324】
(a)少なくとも10日の生成培養期間の間、培養細胞が液体培地中にタンパク質を分泌することを可能にする条件下で液体培地を含有することができる1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタであって、生成培養期間中に透過液又は細胞ブリードの体積として灌流バイオリアクタの各々から連続的又は定期的に除去される条件培地の体積に直接関連して、新鮮な滅菌液体培地を灌流バイオリアクタの各々に流体的に受け取るように適合されている、使い捨て灌流バイオリアクタ、
【0325】
(b)除去された透過液の体積が前記1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタから自動的かつ流体的に供給される、第1の使い捨てサージ容器(SUSV1)、及び
【0326】
(c)SUSV1からの無細胞透過液を自動的かつ流体的に受け取るように適合され、それによってタンパク質がタンパク質単離物画分中に捕捉される、第1のクロマトグラフィシステムを含み、
【0327】
プロセス自動化システム(PAS)によって制御される、自動化設備。
【0328】
実施形態23:各々が濃縮培地成分溶液又は水性希釈剤を含むように適合された複数のリザーバを更に含み、複数のリザーバは、直接的に、又は複数のリザーバから所定の比で濃縮培地成分溶液及び水性希釈剤を受け取り、それらを同時に混合するように適合された任意の混合容器を介して間接的に灌流バイオリアクタに流体接続され、任意の混合容器は、灌流バイオリアクタに直接流体接続される、実施形態22に記載の自動化設備。
【0329】
実施形態24:実施形態22から23の自動化設備であって、以下を更に含む自動化設備:
【0330】
(d)第1のクロマトグラフィシステムからタンパク質単離物画分を自動的かつ流体的に受け取るように適合され、それによってタンパク質を含むウイルス不活化生成物プールが得られる、低pH又は界面活性剤ウイルス不活化システム、及び必要に応じて中和システム、及び
【0331】
(e)ウイルス不活化生成物プールを受け取るように適合された保持容器又は第2の使い捨てサージ容器。
【0332】
実施形態25:実施形態22から24の自動化設備であって、以下を更に含む自動化設備:
【0333】
(f)保持容器又は第2の使い捨てサージ容器からウイルス不活化生成物プールを流体的に受け取るように適合され、それによってタンパク質を含む精製した生成物プールが得られる、第2のクロマトグラフィシステム、
【0334】
(g)タンパク質を含む精製した生成物プールを第2のクロマトグラフィシステムから流体的に受け取るように適合され、それによってタンパク質を含むウイルスフリーの濾液が得られる、任意の第3のクロマトグラフィシステム及び/又はウイルス濾過システム、及び
【0335】
(h)第2のクロマトグラフィシステムから、又は第3のクロマトグラフィシステム及び/又はウイルス濾過システムからウイルスフリーの濾液を流体的に受け取るように適合され、それによって精製した目的のタンパク質が得られる、限外濾過/透析濾過システム。
【0336】
実施形態26:1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタが、約50L~約4000Lの体積の液体培地を含むことができる、実施形態22から25のいずれかに記載の自動化設備。
【0337】
実施形態27:SUSV1の流体体積を測定するための検出器と、第1のクロマトグラフィシステムのポンプ速度を変化させてSUSV1の予め設定された体積範囲を維持するためのプロセッサとを含む自動制御装置を更に含む、実施形態22から26のいずれかに記載の自動化設備。
【0338】
実施形態28:第1のクロマトグラフィシステム、第2のクロマトグラフィシステム、第3のクロマトグラフィシステム、低pH又は界面活性剤ウイルス不活化システム、中和システム、ウイルス濾過システム、又は限外濾過/透析濾過システムの1つ又は複数が、使い捨て構成要素を含む、実施形態24から27のいずれかに記載の自動化設備。
【0339】
実施形態29:第1のクロマトグラフィシステムの下流に直接流体接続され、
【0340】
(i)第2の使い捨てサージ容器;又は
【0341】
(ii)タンパク質単離物画分を受け取るように適合された、少なくとも2つの自動的に切り替え可能な代替の使い捨て収集容器(SUCV1及びSUCV2)を更に含み、
【0342】
(i)及び(ii)は、第1のクロマトグラフィシステムからタンパク質単離物画分を受け取り、タンパク質単離物画分を低pH又は界面活性剤ウイルス不活化システムに流体供給するように適合されている、実施形態24から28のいずれかに記載の自動化設備。
【0343】
実施形態30:低pH又は界面活性剤ウイルス不活化システム、及び必要に応じて中和システムが、
【0344】
(i)タンパク質単離物画分を受け取るように適合された第2の使い捨てサージ容器、又は
【0345】
(ii)タンパク質単離物画分を受け取るように適合された、少なくとも2つの自動的に切り替え可能な代替の使い捨て収集容器(SUCV1及びSUCV2)を含み、
【0346】
ウイルス不活化、及び必要に応じて中和は、第2の使い捨てサージ容器内、又はSUCV1及びSUCV2内で行われる、実施形態24から28のいずれかに記載の自動化設備。
【0347】
実施形態31:透過液がSUSV1に自動的かつ流体的に供給される前に、中空繊維膜、一連のデプスフィルタ、又は濾過カートを更に含む、実施形態22から30のいずれかに記載の自動化設備。
【0348】
実施形態32:(e)において、ウイルス不活化生成物プールを受け取るように適合された使い捨てサージ容器を含む、実施形態22から31のいずれかに記載の自動化設備。
【0349】
実施形態33:SUSV1の上流に熱交換器を更に含む、実施形態22から32のいずれかに記載の自動化設備。
【0350】
実施形態34:SUSV1の上流に濾過システムを更に含む、実施形態22から33のいずれかに記載の自動化設備。
【0351】
実施形態35:実施形態24から34のいずれかに記載の自動化設備であって、
【0352】
(i)第2のクロマトグラフィシステム、
【0353】
(ii)任意の第3のクロマトグラフィシステム、
【0354】
(iii)ウイルス濾過システム、及び
【0355】
(iv)限外濾過/透析濾過システムのうちの1つ又は複数が、
【0356】
先行するシステムに自動的かつ流体的に接続され、接続されたシステム間の物質の中断されない流れを調整するためにサージ容器が任意選択的に使用される、自動化設備。
【0357】
実施形態36:実施形態22から35のいずれかに記載の自動化設備であって、
【0358】
少なくとも1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタ、SUSV1、第1のクロマトグラフィシステム、低pH又は界面活性剤ウイルス不活化システム、保持容器又は使い捨てサージ容器、第2のクロマトグラフィシステム、任意の第3のクロマトグラフィシステム及び/又はウイルス濾過システム、並びに限外濾過/透析濾過システムが、精製した目的のタンパク質の生成ラインの第1の構成に配置された第1の機器を含み、
【0359】
第1の複数の制御モジュールが、第1の機器の動作を制御するために実装される、自動化設備。
【0360】
実施形態37:実施形態36に記載の自動化設備であって、
【0361】
第2の機器が、追加の精製した目的のタンパク質のための生成ラインの第2の構成に配置され、生成ラインの第2の構成が、少なくとも1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタ、第1のクロマトグラフィシステム、低pH又は界面活性剤ウイルス不活化システム、第2のクロマトグラフィシステム、限外濾過/透析濾過システム、及び複数の混合容器を含み、
【0362】
生成ラインの第2の構成が、生成ラインの第1の構成とは異なり、
【0363】
第2の複数の制御モジュールが、第2の機器の動作を制御するために実装され、
【0364】
複数の混合容器のうちの少なくとも1つの混合容器が、第1の構成及び第2の構成の両方に含まれ、
【0365】
少なくとも1つの混合容器が、第1の構成では第1の機能を有し、第2の構成では第2の機能を有し、第2の機能は第1の機能とは異なる、自動化設備。
【0366】
実施形態38:複数のフィルタアセンブリを含む可搬式フィルタバンクであって、
【0367】
複数のフィルタアセンブリの第1のフィルタアセンブリが第1のフィルタを含み、複数のフィルタアセンブリの第2のフィルタアセンブリが第2のフィルタを含む、可搬式フィルタバンク、
【0368】
生成設備制御システムであって、
【0369】
材料が前記第1のフィルタアセンブリを通って流れるときに第1のフィルタアセンブリ内の圧力を監視し、
【0370】
第1のフィルタアセンブリ内の圧力が少なくとも閾値であると判定し、
【0371】
シグナルを送信して、第1のフィルタアセンブリ及び第2のフィルタアセンブリに連結されたダイバータバルブを動作させて、材料を第2のフィルタアセンブリに流入させる、生成設備制御システムを更に含む、実施形態22から37のいずれかに記載の自動化設備。
【0372】
実施形態39:第1の期間中、フィルタバンクが第1の使い捨てサージ容器(SUSV1)と1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタとの間に連結され、材料が透過液を含み、フィルタバンクが、フィルタバンクの第1の識別子及びフィルタバンクの第1の機能を示す第1のドングルに連結される、実施形態38に記載の自動化設備。
【0373】
実施形態40:第2の期間中、フィルタバンクが低pH又は界面活性剤ウイルス不活化システムに含まれ、材料がウイルスフリーの濾液であり、フィルタバンクが、フィルタバンクの第2の識別子及びフィルタバンクの第2の機能を示す第2のドングルに結合されている、実施形態39に記載の自動化設備。
【0374】
実施形態41:1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタが、少なくとも20日間の生成培養期間の間、培養細胞が培地中にタンパク質を分泌することを可能にする条件下で液体培地を含むことができる、実施形態22から40のいずれかに記載の自動化設備。
【0375】
実施形態42:目的のタンパク質が組換えタンパク質及び/又は治療用タンパク質である、実施形態1から21のいずれかに記載のプロセス又は実施形態22から41のいずれかに記載の自動化設備。
【0376】
実施形態43:目的のタンパク質を含む精製タンパク質原薬を製造するプロセスであって、以下のステップを含むプロセス:
【0377】
(a)少なくとも10日の生成培養期間にわたって、液体培地を含む1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタ内で、細胞が液体培地中にタンパク質を分泌することを可能にする条件下で哺乳動物細胞を培養することであって、生成培養期間中に、定期的又は連続的に、新鮮な滅菌液体培地を1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタに添加して、透過液又は細胞ブリードの体積として灌流バイオリアクタの各々から連続的又は定期的に除去される培養物の体積に直接関連して、灌流バイオリアクタの各々において一定の培養体積を維持し、除去された透過液の体積は、1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタから使い捨てサージ容器に、次いで第1のクロマトグラフィシステムに自動的かつ流体的に供給され、それによって前記タンパク質がタンパク質単離物画分中に収集されること、
【0378】
(b)タンパク質単離物画分を低pH又は界面活性剤ウイルス不活化システム、及び必要に応じて中和システムに切り替えて、タンパク質を含むウイルス不活化生成物プールを得ること、
【0379】
(c)ウイルス不活化生成物プールを第2のクロマトグラフィシステムに導入して、タンパク質を含む精製した生成物プールを得ること、
【0380】
(d)タンパク質を含む精製した生成物プールを任意の第3のクロマトグラフィシステム及び/又はウイルス濾過システムに切り替えて、タンパク質を含むウイルスフリーの濾液を得ること、及び
【0381】
(e)ウイルスフリーの濾液を限外濾過/透析濾過システムに切り替えて、目的のタンパク質を含む精製されたタンパク質原薬を得ること。
【0382】
実施形態44:新鮮な滅菌液体培地が、複数の異なる濃縮培地成分溶液及び水性希釈剤から同時に混合された後、1つ又は複数の灌流バイオリアクタに添加されて、灌流バイオリアクタの各々において一定の培養体積を維持する、実施形態42から43のいずれかに記載のプロセス。
【0383】
実施形態45:精製タンパク質原薬を製造するための自動化設備であって、
【0384】
(a)少なくとも10日間の生成培養期間にわたって培養哺乳動物細胞が目的のタンパク質を培地中に分泌することを可能にする条件下で液体培地を含有することができる1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタであって、生成培養期間中に透過液又は細胞ブリードの体積として灌流バイオリアクタの各々から連続的又は定期的に除去される条件培地の体積に直接関連して、新鮮な滅菌液体培地を灌流バイオリアクタの各々に流体的に受け入れるように適合されている、使い捨て灌流バイオリアクタ、
【0385】
(b)当該除去された体積の透過液が1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタから自動的かつ流体的に供給される第1の使い捨てサージ容器(SUSV1)、
【0386】
(c)SUSV1からの透過液を自動的かつ流体的に受け取るように適合され、それによってタンパク質がタンパク質単離物画分に捕捉される、第1のクロマトグラフィシステム、
【0387】
(d)第1のクロマトグラフィシステムからタンパク質単離物画分を自動的かつ流体的に受け取るように適合され、それによってタンパク質を含むウイルス不活化生成物プールが得られる、低pH又は界面活性剤ウイルス不活化システム、及び必要に応じて中和システム、
【0388】
(e)ウイルス不活化生成物プールを受け取るように適合された保持容器又は使い捨てサージ容器、
【0389】
(f)保持容器又は使い捨てサージ容器からウイルス不活化生成物プールを流体的に受け取るように適合され、それによってタンパク質を含む精製した生成物プールが得られる、第2のクロマトグラフィシステム、
【0390】
(g)タンパク質を含む精製した生成物プールを第2のクロマトグラフィシステムから流体的に受け取るように適合され、それによってタンパク質を含むウイルスフリーの濾液が得られる、任意の第3のクロマトグラフィシステム及び/又はウイルス濾過システム、および
【0391】
(h)第2のクロマトグラフィシステムから、又は第3のクロマトグラフィシステム及び/又はウイルス濾過システムからウイルスフリーの濾液を流体的に受け取るように適合され、それによって精製タンパク質原薬が得られる、限外濾過/透析濾過システムを含み、
【0392】
プロセス自動化システム(PAS)によって制御される、自動化設備。
【0393】
実施形態46:各々が濃縮培地成分溶液又は水性希釈剤を含むように適合された複数のリザーバが、直接的に、又は複数のリザーバから所定の比で濃縮培地成分溶液及び水性希釈剤を受け取り、それらを同時に混合するように適合された任意の混合容器を介して間接的に灌流バイオリアクタに流体接続され、任意の混合容器は、灌流バイオリアクタに直接流体接続される、実施形態45に記載の自動化設備。
【0394】
実施形態47:目的のタンパク質が組換えタンパク質及び/又は治療用タンパク質である、実施形態42から44のいずれかに記載のプロセス又は実施形態45から46のいずれかに記載の自動化設備。
【0395】
実施形態48:目的のタンパク質が組換えタンパク質及び/又は治療用タンパク質である、実施形態45から46のいずれかに記載の自動化設備。
【0396】
実施形態49:設備が連続形式で動作するように構成されている、実施形態22から42のいずれか、又は実施形態45から46のいずれか、又は実施形態48から49のいずれかに記載の自動化設備。
【0397】
実施形態50:プロセスが連続形式で行われる、実施形態1から21のいずれか又は実施形態42から44のいずれかに記載のプロセス。
【0398】
実施形態51:第1のクロマトグラフィシステムが、使用前に過酢酸を含む化学消毒剤溶液で消毒される、実施形態1から21のいずれか又は実施形態42から44のいずれかに記載のプロセス。
【0399】
実施形態52:限外濾過/透析濾過システムがシングルパスタンジェンシャルフロー濾過(SPTFF)を含み、SPTFFの作動圧力が約0.25psi~約60psiの範囲に制御される、実施形態4又は実施形態43から44のいずれかに記載のプロセス。
【0400】
実施形態53:限外濾過/透析濾過システムがインラインデプス濾過ILDF)を含み、ILDFの作動圧力が約0.25psi~約60psiの範囲に制御される、実施形態4又は実施形態43から44のいずれかに記載のプロセス。
【0401】
実施形態54:SPTFF及び/又はILDFの作動圧力が、約0.25psi~約45psi、約0.25psi~約30psi、約0.25psi~約15psi及び約0.25psi~約5psiからなる群から選択される範囲で制御される、実施形態52から53のいずれかに記載のプロセス。
【0402】
以下の例は例示であり、本発明の範囲を限定するものとして決して解釈されるべきではない。
【0403】
例
例1.長期生成培養期間のための連続灌流培養及びタンパク質生成物捕捉クロマトグラフィの実証。
【0404】
材料及び方法
【0405】
同時に混合された濃縮培地成分の使用を含む精製タンパク質(この例では、組換え治療用タンパク質原薬)を製造するための本発明のプロセスを実証するために、一連の3回の工学的操作を500Lバイオリアクタスケールで実施した。対応する2Lサテライトバイオリアクタを操作して、比較のために小規模で1倍の送達培地を使用してデータを生成した。
【0406】
目的のタンパク質、宿主細胞、培地。実証目的のために生成及び単離された目的の組換え治療用タンパク質は、化学的に定義された細胞培地中で培養された、組換えCHO-K1細胞株によって生成されたIgG1κアイソタイプモノクローナル抗体であった。
【0407】
灌流バイオリアクタ及び第1のクロマトグラフィシステム。灌流バイオリアクタは、Spectrum Krosflo(登録商標)KPS-600灌流システム(Repligen社)に接続したXcellerex(登録商標)XDR 500-L使い捨て(撹拌タンク)バイオリアクタ(SUB、GE Healthcare Life Sciences社)を使用した。Xcellerex(登録商標)XDR 500-L SUBは、95~150rpmの撹拌速度で30~55秒のブレンド時間を有していた。撹拌を増加させることによって、ブレンド時間を短くすることも可能であるが、これらは特徴付けられなかった。灌流システムには、保持液側に細胞を保持し、透過液側に高い生成物通過を可能にする孔径0.2μmの中空繊維フィルタを設置した。灌流培養の最初の始動中に、透過液流体廃棄物は、使い捨てエアブレークアセンブリを介してドレインに直接送られた。プロテインAクロマトグラフィ生成物の捕捉操作を開始した際、透過液流をフィルタカートに迂回させ、使い捨てエアブレークアセンブリをMinncare Sterilant過酢酸溶液(Mar Cor Purification社)に保存した。DeltaV自動化によるフィルタカートには、一次捕捉クロマトグラフィカラムのガードフィルタとして作用する一次及び予備滅菌グレードフィルタ(Express(登録商標)SHC、0.2μm、MilliporeSigma社)が含まれていた。フィルタカートに使用できる他の0.2μmフィルタとしては、Sartopore(登録商標)2(Sartorius)、Pall Fluorodyne(登録商標)EXグレードのEDFフィルタなどが挙げられる。使い捨てバッグアセンブリを備えた任意の熱交換器は、クロマトグラフィ負荷材料の温度を効果的に制御することができるが、これらの実行には使用されなかった。しかし、プロセス及び自動化設備の他の実施形態では、使い捨て熱交換器が使用される(Thermo Scientific(商標)ThermoFlex(商標)再循環チラーを備えたThermo Scientific(商標)DHX(商標)熱交換器、及びThermo Scientific(商標)DHX(商標)バッグアセンブリ)。
【0408】
200Lの可搬式ミキサは、使い捨てサージ容器(SUSV)として機能し、これは、灌流システムのポンプと第1のクロマトグラフィシステムとの間の圧力遮断として、これらの2つの流体接続された連続ユニット動作間の不一致流量を管理するために使用された。マルチカラム捕捉クロマトグラフィシステムは、完全な使い捨て流路を備えて設計されたマルチカラム連続クロマトグラフィシステム(MCC)である連続使い捨てマルチカラムクロマトグラフィシステム(Cadence(商標)BioSMB(登録商標)PD(以下、「BioSMB」と略す)、Pall Life Sciences社)を使用し、このプロセスのために、プロテインA樹脂を充填した3つの14cm-D×5cm-Hアクリルカラムを操作する。BioSMBシステムの溶出出口を2つの交互の溶出プール収集容器に接続して、低pHウイルス不活化及び中和ステップをさらに処理しながら溶出プールの同時収集を可能にした。システムの概略部分プロセスフロー図を
図1Bに示す。
図1Bでは、フィルタカートは、SUSVの上流に位置し(
図1Bにおいて「ノンバッチユニット(B1)」又は「200L可搬式ミキサ」と標識されている)、灌流透過液が第1のクロマトグラフィシステムのプロテインAアフィニティクロマトグラフィカラムに充負荷される前に灌流透過液を濾過するための0.2μmフィルタ(例えば、Millipore Express SHC、Sartorius Sartopore2、Pall Fluorodyne EDF)を含み、フィルタはガードフィルタとして作用し、第1のクロマトグラフィシステムを微粒子から保護する。
図1Bには、使い捨てプレート及びフレーム設計の任意の熱交換器も示されており、これを使用して、温かい灌流透過液流体を室温又はSUSV及び第1のクロマトグラフィシステムの異なる所望の目標温度まで冷却することができる。
【0409】
本発明のプロセスの無菌操作は、ガンマ線照射された使い捨て構成要素又は予め組み立てられたオートクレーブ構成要素のいずれかを、接続された流路全体にわたって使用してバイオバーデンを制御することによって保証された。ガンマ線照射された構成要素の例としては、Xcellerex(登録商標)SUBバッグ、SUB及び灌流システムに関連するアセンブリ、エアブレークアセンブリ(
図2)、フィルタカートに設置された滅菌グレードのフィルタ、SUSVミキサバッグ、溶出収集バッグ、BioSMBマニホールド、並びに培地及び緩衝液用のための全ての関連するトートバッグが挙げられる。予め組み立てられたオートクレーブされた構成要素の例としては、樹脂消毒手順を実行するためにクロマトグラフィカラムに接続された中空繊維フィルタ及びバルブブロックが挙げられる。システム境界全体は、使い捨て無菌コネクタを使用することによって、又は化学的低温滅菌剤を使用することを通してシステムを機能的に閉鎖させることによって、完全閉鎖システムとして維持された。
【0410】
500-L使い捨てバイオリアクタ(SUB)の操作及びモニタリング。500LのSUB培養物の対照パラメータ、目標設定値及び許容される作動範囲を以下の表1Bに列挙する。
【0411】
【0412】
生成培養溶存酸素(DO)制御及びpCO2ストリッピング戦略を以下の表2に示す。T型スパージャへの空気が10SLPMに増加したとき、オーバーレイは0SLPMに減少した。オフラインpCO2が152mmHgのとき、追加の空気を5SLPM増分(合計10SLPM以下)でT型スパージャに添加した。500L使い捨てバイオリアクタ(SUB)スパージャ仕様は以下の通りであった:
【0413】
T型スパージャ:2mmの穿孔、撹拌機ベース:2μm焼結ディスク。
【0414】
【0415】
500L(450L作業容量)培養物を毎日最小限にサンプリングした。生細胞密度、培養物の生存率、オフラインpH、オフラインpCO2、グルコース濃度、ラクタート濃度及び重量オスモル濃度を測定し、記録した。オンライン撹拌、温度、pH、溶存酸素及び背圧を記録し、消泡剤添加、空気及び酸素ガス発生速度、細胞ブリード、及び灌流速度も記録した。無菌試料もバイオリアクタ及び灌流透過液から採取して、力価を決定した。細胞ブリード液を、1mL当たり約5000万個の生細胞(MVC)の生細胞密度を維持するように調整した。これは、Excel(商標)ソフトウェア(Microsoft社)を使用して開発された細胞ブリード計算機ツールを使用して行った。細胞ブリード速度を調整したので、2.0作業体積/日で灌流した際に総流出速度が625mL/分以下に維持されるように灌流速度も調整した。
【0416】
培地濃縮物の使い捨てバイオリアクタ(SUB)への送達。滅菌灌流培地は、室温で安定な濃縮ストック溶液となるように設計した。これらの設計要件を満たすために、一実施形態では、培地を以下の3つの滅菌濃縮培地成分溶液及び水性希釈剤成分に分割し、各々を使い捨てリザーバに保存した:
【0417】
(濃縮培地成分溶液#1)7.5倍(w/w)濃縮培地溶液(2倍~10倍が典型的には有用であるが、上限は培地の組成及び添加される乾燥成分の量によって決定されるため、これは培地の配合に依存する)、
【0418】
(濃縮培地成分溶液#2)シスチン、チロシン及び界面活性剤を含有する、20倍(w/w)濃縮補充ストック溶液(CSSS、20倍~100倍濃縮補充ストック溶液が典型的には有用である)、
【0419】
(濃縮培地成分溶液#3)50%(w/v)グルコース、及び
【0420】
(4)水性希釈剤としての注射用水(WFI)。
【0421】
500Lスケールでの培地濃縮物送達戦略の概略部分プロセスフロー図を
図1Aに示す。上に列挙した4つの成分をバイオリアクタに直接送達し、バイオリアクタ内の撹拌に依存して4つの成分を混合した。7.5倍培地、20倍CSSS、及び50%グルコースコンセントレートの流量は、較正された蠕動ポンプを使用して手動で設定し、インラインSonotec IL.52流量計を使用して流量を監視し、正確な送達を保証した。水性希釈剤(注射用水(WFI))は、バイオリアクタレベルの設定値を維持するために、必要に応じてバイオリアクタに送達された。7.5倍培地及び50%グルコース溶液をバイオリアクタの上部の別々のポートに送達した。WFI及び20×CSSS溶液を別のポートに結び付け、CSSS溶液の沈殿を最小限に抑えた。本発明によれば、異なる濃縮培地成分溶液及び水性希釈剤の水面下添加は回避されることが好ましい。別々のポートを介した、全ての培地成分溶液及び水性希釈剤(例えば、WFI、7.5倍(w/w)濃縮培地溶液、20倍(w/w)シスチン/チロシン/界面活性剤(CSSS)ストック溶液及び50%(w/v)グルコース)の必要に応じた送達は、比率制御された圧送スキッド及び自動化を使用して灌流バイオリアクタ内の培養体積を維持することによって達成することもできる。
【0422】
実証運転のために、灌流を生成の2日目に0.5容器体積/日(vvd)で開始し、4日目に1vvdに、6日目に2vvdに傾斜させた。濃縮培地成分溶液の入口流量を、WFIトリムの推定流量(平均予想入口流量)と共に以下の表3に示す。表3では、流量はまた、細胞ブリードを開始する前の透過液流速について、及びいくつかの例示的な細胞ブリード速度で示される。
【0423】
【0424】
第1のクロマトグラフィシステムの操作及びクロマトグラフィカラム消毒。第1のクロマトグラフィシステムを、3回の例示的な実証運転において目的の組換え治療用タンパク質をタンパク質単離物画分に捕捉するように構成した。第1のクロマトグラフィシステムは、Cadence(商標)BioSMB PD連続使い捨てマルチカラムクロマトグラフィシステム(本明細書では「BioSMB」とも予備、Pall Life Sciences社)に3つのプロテインAアフィニティ捕捉カラム(直径14cm×高さ5cm)を含んだ。高架橋アガロース樹脂(GE Healthcare Life Sciences社)のMabSelect(商標)SuRe(商標)プロテインAアフィニティマトリックスを最初の2回の実行に使用し、Amsphere(商標)A3プロテインAクロマトグラフィ樹脂(JSR Life Sciences社)を3回目の実行に使用した。透過液中の力価は約0.6g/Lであると予想されたので、MabSelect(商標)SuRe(商標)については50g/Lr負荷で83カラム容量(CV)に設定し、Amsphere(商標)A3については65g/Lr負荷で108CVに設定した。方法パラメータを以下の表4に要約する。溶出収集は、280nm波長でのベースラインからベースラインまでの吸光度に基づく動的ピークコレクションを使用した(ピーク収集は、0.1吸光度単位(AU)からピークを開始し、0.1AUで終了する)。
【0425】
BioSMB法は、負荷流量が高流量、中流量、及び低流量の間で切り替わることを可能にするように設計された。流量のこの切り替えは、接続されたユニット動作間の不一致流量、すなわち灌流システムからの透過液流量とBioSMBシステムの負荷流量とを管理するのに役立つ。これらの実証運転は、入口培地成分溶液をバイオリアクタに固定流量で添加して操作したが、細胞ブリード及び透過液の出口流量は毎日変更した。潜在的な細胞ブリード速度の範囲を表3に示し、それにより、SUSV1への透過液流量の範囲を531~609mL/分に設定した。BioSMBの中負荷流量は実証運転間でわずかに変化したが、高及び低流量は中流量の±10%に設定され、透過流量の予想範囲よりも広く設定された。SUSV体積制御の概略図を以下の表4及び
図3に示し、例示的な流量を実証運転の1つで使用する。流量を切り替えるために使用される自動化の説明は、次の項にある。
【0426】
各実行のためのBioSMB捕捉ステップの開始前に、樹脂をガラスカラムハウジングに充填し、樹脂及びハウジングを無菌的に化学的に消毒して、BioSMB流路を機能的に閉じた状態にした。オートクレーブ処理したバルブブロックアセンブリを各カラムハウジングの入口及び出口に取り付け、無菌コネクタを使用してカラムをBioSMBマニホールド、消毒溶液バッグ、及びゴミ袋に取り付けた。30mM過酢酸(PAA)溶液を化学消毒剤として使用し、殺芽胞剤としてのその有効性のために選択したが、樹脂機能に対するいかなる損傷も最小限に抑えるのに十分に穏やかであった。(例えば、Jungbauer et al.,Method for sterilizing liquid chromatography resins highly resistant to oxidation and a sterilization solution for use in therein,米国特許第5,676,837号を参照されたい。)一実施形態のカラムハウジングの化学消毒設定の概略図を
図4に示す。
【0427】
簡潔には、カラムハウジングにアフィニティクロマトグラフィ樹脂(空気に開放)を充填した。バルブブロックをオートクレーブ処理した。
図4を参照すると、BioSMBスキッドのオフラインの各カラムを以下の方法で処理した:独立型蠕動ポンプを使用して、ベントバルブ(
図4において、V4からV3)に取り付けられた使い捨てバッグにPAAをプライミングした。PAAを、PAA入口バルブ及びPAA出口バルブを通して、無菌コネクタAに取り付けられた使い捨て収集バッグに3カラム容量(CV)で洗い流した(
図4において、V4~V2~V5~V7)。PAAを各カラムに15分間以上保持し、次いで、カラムを3CVの平衡化緩衝液(EQ)又は保存緩衝液で再度洗い流した(
図4において、V4~V2~V5~V7)。次いで、各カラムを、無菌コネクタBコネクタを介してプロセス入口(
図4において、V1)及びプロセス出口(
図4において、V6)を通してクロマトグラフィスキッドに取り付けた。この後、スキッドラインをベントバルブを通して使い捨てバッグにプライミングし(
図4において、V1~V3)、カラムをBioSMBの実行に対して準備をし、この消毒手順で機能的に閉じた状態にした。
【0428】
あるいは、充填クロマトグラフィカラムのPAA消毒は、上記のようにオフラインで行うことができるが、擬似移動床(SMB)スキッド上でEQ又は保存緩衝液を洗い流して行うことができる(
図4において、V1~V2~V5~V6へ洗い流す)。PAA溶液を含む使い捨てバッグをカラム入口に取り付けることができ(
図4において、V2)、消毒及び洗い流し手順は全てSMBスキッドのカラムで行うことができる。PAA以外の消毒剤を代わりに使用することができるが、これらは殺芽胞性でなければならない。(例えば、Jungbauer et al.,Method for sanitizing liquid chromatography resins highly resistant to oxidation and a sterilization solution for use therein、米国特許第5676837号、Monie et al.,Sanitization method for affinity chromatography matrices、国際公開第2016/139128号及び米国特許出願公開第2018/036445号を参照されたい)。
【0429】
実証運転中の化学消毒手順は、各運転の開始時に1回のみ実施した。プロテインAアフィニティクロマトグラフィ法自体は、0.1M NaOH再生洗浄手順を使用したが、この消毒剤は、殺菌性及び殺芽胞性の能力を有するほど強力であるとは予想されなかった。実証運転では、化学消毒手順をBioSMBスキッドのオフラインで行ったが、消毒手順はBioSMBマニホールドを備えたスキッドで行うことができる。
【0430】
【0431】
自動化及び使い捨てサージ容器体積制御。プロセス自動化システム(PAS)を採用して、スケーラブルな連続的捕捉生物学的生成キャンペーンを支援する、スキッドベース及び可搬式生成設備の柔軟なプロセス制御及び管理を提供した。自動化はまた、自律的なバッチ報告、データ収集、及び材料追跡を提供する。これは、同じクラス及び構成の生成設備にわたって迅速に展開することができる、再利用可能なクラスベースの設計及びアーキテクチャであった。機器の種類間の通信を示す高レベルのプロセス自動化の概要が、本発明の一実施形態の概略図に示されている(
図5)。
【0432】
図5は、システムの異なる構成要素間のデータの通信を可能にする精製治療用タンパク質原薬を製造するための本発明の自動化設備の例示的な実施形態の様々なハードウェア及びソフトウェア構成要素の概略図を示す。特に、
図5は、使い捨てバイオリアクタシステム、灌流システム、及び連続的な第1のクロマトグラフィシステムのスキッドに含まれるいくつかの接続インターフェース(例えば、Profibusドロップ)を示す。接続インターフェースは、システムの構成要素間の論理接続及び/又は物理接続を提供することができる。インターフェースが物理的接続を可能にする状況では、接続インターフェースは、イーサネット/インターネットプロトコル(IP)ゲートウェイなどのハードウェア構成要素に接続することができる。1つ又は複数のドングルを、フィルタバンク、第1の混合タンク、及び第2の混合タンクなどの可搬式機器に結合することができる。ドングルは、可搬式機器の制御に関連する情報を格納及び/又は生成設備制御システムに伝達することができる。特定の状況では、可搬式機器の1つ又は複数は、ドングルに格納された情報を内部に格納することができ、内部ドングルとして機能することができる。
【0433】
図5の例示的な例では、様々なデバイスは、1つ又は複数のProfibus通信プロトコルを使用して通信することができる。様々な実施態様では、灌流システム及び連続的な第1のクロマトグラフィシステムの制御は、フィルタバンク、供給タンクA、供給タンクB、収集タンクA、及び収集タンクBの中からの少なくとも1つの任意のユニットの動作に関する情報に基づいて設定及び/又は調整されるように構成することができる。
図5の例示的な例では、収集タンクAは、第1の可搬式混合タンクに結合されたドングル1との論理的に導出されたソフトウェア接続を有することができる。更に、連続クロマトグラフィシステムのスキッドは、ゲートウェイ装置を介してフィルタバンク及び第1の可搬式混合タンクに物理的に接続することができる。ドングル2は、フィルタバンクに結合され、フィルタバンクの動作及び識別子に関する情報を提供することができる。特定の状況では、フィルタバンクの動作に関連するデータを連続クロマトグラフィシステムの制御に使用することができる。更に、ドングル3は、第2の混合タンクに結合され、第2の混合タンクの動作及び識別子に関する情報を提供することができる。例えば、ドングル1は、第1の混合タンクが灌流システム用の収集タンクとして機能することを示すことができ、ドングル3は、第2の混合タンクが連続クロマトグラフィシステム用の収集タンクとして機能することを示すことができる。
【0434】
図5の例示的な例は、精製治療用タンパク質原薬を製造するための本発明の自動化設備の構成要素間の様々なソフトウェア接続及び物理的接続を示しているが、物理的接続は、ソフトウェア接続、特に精製治療用タンパク質原薬生成ラインの追加の実装によって置き換えることができ、一方、ソフトウェア接続のいくつかは、精製治療用タンパク質原薬生成ラインのいくつかの追加の実装においてハードウェア接続として実装することができることを理解されたい。
【0435】
簡潔には、SUSV1レベル制御の自動化は、制御動作が実行される予め設定された体積範囲制限の仕様に依存する。例えば、
図3では、SUSV1、あるいは連続的又は半連続的なプロセスフローにおける任意の他のSUSV、例えば、SUSV2又はSUSV3又はSUSV4又はSUSV5など(
図3の「SUSV」)の体積が低体積アラーム及び高体積アアラームに達すると、SMB(又は他のプロセススキッド、例えばウイルス濾過又はUF/DFスキッド)は、それぞれ低流量方法及び高流量方法に自動的に切り替わる。SMBの低流量及び高流量は、SUSV1に入る予想透過液流量の範囲外になるように選択されるため、結果として、SUSV1体積は、中心点体積に戻される。中心点体積に達すると、SMB流量はその中間流量の方法に戻る。SUSV1が低/低(「LL」)アラームに達すると、SMB流量は停止され、逆に、SUSVが高/高(「HH」)アラームに達すると、灌流透過液流量が停止される。
【0436】
500Lバイオリアクタと比較するための2Lバイオリアクタサテライトの動作。バイオリアクタサテライトを、BPS-i100灌流システム(Levitronix社)を使用して2Lオートクレーブ可能ガラスバイオリアクタ(Applikon社)中で行った。滅菌バッグを使用して、細胞培養物を500LのSUBから接種細胞密度を標的とする2Lバイオリアクタに移した。全ての濃縮培地成分溶液及びWFIを製造施設から供給し、1×製剤に再構成した。生成中の細胞密度の範囲に対応するために、8g/L及び12g/Lグルコースで2つの異なる1×製剤を作成した。サテライトは、SUBと同じ目標設定値に制御されるか、又はそれに応じてスケールダウンされた。O2、CO2、及び空気流を、ロータメータを使用して制御し、CO2ストリッピングのためのオーバーレイ及び空気スパージ流量を、1分当たりの容器体積(VVM)によってスケーリングした。撹拌を単位体積当たりの出力(P/V)によってスケーリングした。±0.02不感帯を使用してpHを制御した。2つの0.02m2中空繊維灌流フィルタ(孔径0.2μm)を並行して使用し、実行1を、透過液をバイオリアクタに再循環させることによってフィルタを通る透過液流束と一致させた。透過液再循環は、操作を容易にするためにその後の実行のために破棄された。細胞ブリード計算機を使用して、大規模及び小規模の両方で細胞密度を制御した。この式は、特定の標的生細胞密度で制御するために必要な見かけの増殖速度及び必要な細胞ブリード速度を計算するために、現在及び前日のオフライン細胞数を使用した。
【0437】
結果及び考察
【0438】
連続灌流培養の性能。細胞培養性能の結果を3回の500L実証運転及び対応する2Lサテライト運転について示し、生細胞密度(VCD)を
図6に示し、生存率を
図7に示し、細胞ブリード率を
図8に示し、透過液生産性を
図9に示す。
【0439】
細胞密度は、約5000万個の生細胞/mL(MVC/mL)の目標にうまく制御され、培養の開始時により高いブリード率が使用され、培養期間にわたってより低いブリード率に漸減した。わずかに異なる細胞ブリード戦略を実行1で使用したところ、より可変的な増殖プロファイルが得られた。その後の実行は、前日の増殖速度に基づく細胞ブリード戦略に移行し、これにより、より厳密に制御されたVCDが得られた。細胞培養の期間中、生存率は26日間まで70%を超えて維持された。透過液生産性は、この細胞株及びプロセスについて約1g/L/日を達成し、灌流フィルタは、実行の全期間にわたって高い生成物通過を維持することができた(データは示さず)。
【0440】
培地濃縮物送達の性能。複数の性能マーカーを評価して、500Lスケールでの培地濃縮物送達の精度を評価した。まず、インライン流量計が正確な読み取り値を提供していることを確実にするために、個々の培地成分溶液について流量検証を行った。次に、
図10は、バイオリアクタ内の培養量を450Lに維持し、培養量を維持するために必要に応じてWFIトリム流量をオンにした状態で、SUBレベル制御が意図したように動作したことを示す。これらの操作チェックに加えて、
図6、
図7、
図8及び
図9に示す細胞培養データは、濃縮培地成分溶液で操作した500Lスケールと1x送達培地で操作した2Lの比較サテライトとの間の細胞増殖、生存率及び生産性に関して同様の性能を示す。
【0441】
500Lの実証運転3をその2Lの比較サテライトと比較した追加の代謝データである、
図11の重量オスモル濃度、
図12のCO
2レベル、
図13のpH制御のための塩基使用量、
図14のラクタート比生成、及び
図15の特異的グルコース消費が提示されている。これらの傾向は全て、濃縮培地成分溶液で操作される500Lスケールと1x送達培地で操作される2Lサテライトとの間で同様の性能を示し、特に、培地成分濃縮物のバイオリアクタへの添加及び細胞による消費の指標である浸透圧プロファイルに重点が置かれている(
図11を参照されたい)。
【0442】
連続捕獲擬似移動床(SMB)第1のクロマトグラフィシステムの性能。擬似移動床(SMB)第1のクロマトグラフィシステムBioSMB連続捕捉性能の結果は、3回の実行のうちで最長の動作期間を有し、17日間の連続動作にわたってカラムあたり合計72サイクル(合計216回の完了した溶出サイクル)を完了する実証運転2について示される。プロテインA溶出紫外線(UV)吸光度(A280)プロファイルは、各溶出サイクルの溶出カラム体積(CV)(
図16B)と共に、各カラムの毎日のスナップショットとして示されている(
図16A)。溶出ピーク幅は3つのカラム間で類似していたが、全てのカラムは、実行の後半部分に向かってある程度のピークの広がりを示した。これは、実行期間中の透過液力価、したがって溶出質量の増加に起因する可能性があるが、樹脂の経年によるカラム性能の変化にも起因する可能性がある。この実行における樹脂は、以前は60サイクルであったので、実行2の終了時の総サイクルは132であった。
図17に組み合わせた毎日の溶出サイクルのプールとして示されているプロテインAのステップ収率は、72サイクルの経過にわたって同様であった。組み合わせた毎日の溶出プール(pH5に中和し、0.2μm濾過)のプロセス関連不純物を
図18に示す。不純物のレベルは、毎日の溶出プール間で比較的一貫しており、樹脂の寿命にわたって樹脂の一貫した性能を示した。
【0443】
SUSVのレベル制御及びBioSMBの負荷流量の対応する変化を
図19A~19Bに示す。SUSV1体積及びBioSMB負荷流量の傾向に従って、SUSV1が70Lの低体積に達すると、BioSMB流量は低流量設定値にシフトし、130Lの高体積では、BioSMB流量は高流量設定値にシフトした。より低い又はより高いBioSMB流量がSUSV1体積を100Lに戻した後、流れは中心点に戻った。
【0444】
バイオバーデン制御。バイオバーデン及びエンドトキシン試験を、実施期間にわたって複数の試料位置で実施した。実証運転2の結果を表5に示す。この運転のために、生成バイオリアクタを25日間運転し、第1のクロマトグラフィシステム(ここでは、BioSMB)を合計17日間運転した。灌流を2日目に開始し、プロテインAカラムを7日目に消毒し、BioSMBを8日目に開始し、第1の中和プロテインAプールを9日目にサンプリングした。バイオリアクタ試料はバイオリアクタからの全ブロスであり、PERM試料は灌流フィルタの透過液側から採取し、SUSV1は容器から直接採取し、NPRAは毎日の中和溶出収集容器から直接採取し、2ndPは2回目の通過フロースルーのためにBioSMB出口から採取した。全てのバイオバーデンの結果は陰性であった(0CFU/10mL)。最も低い希釈でいくらかのゲル凝固を示した18秒間通過フロースルーを除いて、全てのエンドトキシン結果は陰性であった。システムは、その試料の前後の日にクリーンなエンドトキシン結果を有し、対応するバイオバーデン試料はクリーンであったため、これはサンプリングの問題であった可能性がある。
【0445】
これらの結果は、閉鎖無菌系境界が、使い捨てバイオリアクタ及びその関連する複数の異なる濃縮培地成分溶液及び水性希釈剤から、BioSMB及びその関連するカラム、緩衝液及び溶出容器まで維持されたことを確認する。更に、結果は、透過液及びクロマトグラフィシステム廃棄ラインのための使い捨てエアブレークドレインの使用、並びに過酢酸消毒剤を使用したカラム及び樹脂の殺芽胞性消毒を検証する。
【0446】
要約すると、上記の実証運転は、500L連続灌流プロセスの一貫した性能を示し、灌流フィルタを通過する高い生存率及び高い生成物通過率で、標的生細胞胞密度(VCD)を少なくとも26日間維持する能力を実証した。培地濃縮物の正確な送達が実証された、すなわち、複数の異なる濃縮培地成分溶液及び水性希釈剤で動作する500LのSUBと、1x培地送達で動作する2Lの比較サテライトバイオリアクタとの間で同等の性能があった。溶出収率及び不純物レベルに関して、プロテインAアフィニティクロマトグラフィ捕捉ステップを含む第1のクロマトグラフィシステムの一貫した性能があった。第1のクロマトグラフィシステム負荷の流量トグリングによる自動化SUSV1体積制御の動作を、使い捨てのエアブレークドレインと同様に実証した。
【0447】
本発明のプロセス及び自動化設備を使用することにより、無菌閉鎖システムを維持することが可能になる。本発明の実施は、使い捨て構成要素、例えば、使い捨てバイオリアクタ、使い捨てミキサバッグ、使い捨てアセンブリ、使い捨て擬似移動床流路の使用、並びにクロマトグラフィシステムのクロマトグラフィ樹脂及びカラムハウジングのための殺芽胞性消毒方法の使用を介してシステムを機能的に閉鎖及び無菌にする実証された能力によって促進される。
【0448】
【0449】
例2.ウイルス不活化及び中和システム並びに更なる下流処理。
【0450】
第1のクロマトグラフィシステムを介したプロテインAアフィニティクロマトグラフィの後、下流のユニット動作は、バッチモードで、又は連続的もしくは半連続的に実行することができる。
【0451】
例示的な一実施形態では、2タンク自動ウイルス不活化システムをBioSMBシステムの溶出出口に接続して、連続入口流で操作されるバッチ低pHウイルス不活化ステップを評価した。BioSMBプロテインAアフィニティクロマトグラフィ(第1のクロマトグラフィシステム)からの溶出収集を、2つの50L使い捨てミキサ容器の間で交互に行った。一方の容器内の体積がその所定の値、この場合は約20Lの目標に達したとき、その容器内で低pHウイルス不活化プロセスのための酸滴定を開始し、溶出収集を他方の容器に切り替えた。バッチウイルス不活化操作のために、2M酢酸を標的pH3.5まで段階的に添加し、容器を底部撹拌機及び再循環ポンプで混合した。プールを60分間インキュベートし、次いで、酸滴定と同様の方法で2Mトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(「Tris」)塩基を標的pH5.0まで添加した。その後、中和されたウイルス不活化生成物プールをシステムから移した。各タンクで3回、合計6サイクルを実施し、低pH及び中和設定値の両方が±0.1の目標pH範囲内で達成された。酸及び塩基の添加の滴定時間は、それぞれ約10分であった。
【0452】
図21は、プロテインAクロマトグラフィ後のタンパク質単離物画分と低pHウイルス不活化及び中和(VI/Neut)ウイルス不活化生成物プールとの間の、SE-HPLCによって測定した高分子量(HMW)の比較を示す。ウイルス不活化ステップは、生成10日目に手動で行ったのに対して、11~16日目は自動化システムで行った。
図21の結果は、プロテインAクロマトグラフィ後のタンパク質単離物画分とVI/Neut後のウイルス不活化生成物プールとの間の高分子量(HMW)が同程度であることを示しており、ウイルス不活化システムの酸及び塩基滴定操作が生成物の品質に影響を及ぼさなかったことを示している。
【0453】
以下は、下流バッチモード動作の別の非限定的な例であり、全てのステップが使い捨て(使い捨て)構成要素を使用する。
【0454】
プロテインAアフィニティクロマトグラフィを含む数日間のBioSMB(第1のクロマトグラフィシステム)操作を、ウイルス不活化(VI)のためのタンパク質単離物画分にプールする。ウイルス不活化は、2M酢酸を用いてプールをpH3.5に低下させることによって行う。酸性化プールを1時間保持する。低pH保持後、ウイルス不活化生成物プールを2M Tris塩基でpH5.0に中和する。中和されたウイルス不活化生成物プールを、Millistak+(登録商標)HC Pod A1HCデプスフィルタ(MilliporeSigma社)及びその後の滅菌グレードフィルタを通して濾過して、ウイルス不活化生成物プールを第2のクロマトグラフィシステムに導入する前に清澄化する。
【0455】
第2のクロマトグラフィシステムは、フロースルーモードの陽イオン交換(CEX)カラムを含む。この工程は、Fractogel(登録商標)EMD(M)COO-樹脂(MilliporeSigma社)を利用する。CEXの後、Capto(商標)Adhere(GE Healthcare Life Sciences社)樹脂を用いた混合モードクロマトグラフィ(MM)などであるがこれに限定されない第3のクロマトグラフィシステムを介した更なるクロマトグラフィ精製を行う。MMカラムへの負荷(インライン又はバッチ)の前に、pH及び/又は導電率の負荷調整を行うことができる。このステップは、フロースルーモードで実行される。
【0456】
ウイルス濾過(VF)は、組換え治療用タンパク質を含むウイルスフリーの濾液を得るために、サイズによってウイルス粒子を除去するための直交法としてMMフロースループールで行われる。ウイルス濾過は、例えば、Planova(商標)20Nフィルタ(旭化成社)を用いることができるが、これに限定されない。ウイルスフリーの濾液プールを濃縮し、例えば、限定されないが、30kD再生セルロースフィルタ(MilliporeSigma社)を使用して透析濾過して、精製した治療用タンパク質原薬を目標生成物濃度で製剤緩衝液中に入れる。
【0457】
例3.プロテインAマトリックスの過酢酸(PAA)消毒。
【0458】
連続プロセスの成功は、滅菌エンベロープを灌流バイオリアクタからプロテインAアフィニティクロマトグラフィ捕捉ステップ(又は第1のクロマトグラフィシステム)に、及び滅菌使い捨ての構成要素及び機器の使用によって下流プロセスに拡張することによって促進することができる。しかし、社内で充填されたクロマトグラフィカラムの無菌性を保証することは困難であり、ガンマ照射カラムは高価であり、広く市販されていない。滅菌クロマトグラフィカラムの必要性に対処するために、本発明者らは、無菌コネクタの使用を想定して、システム内の任意の溶接部の完全性を徹底的に検査しながら、捕捉ステップを滅菌方式で連続的に実行することを可能にする化学カラム消毒プロセスを開発した。
【0459】
材料及び方法。表6に列挙される材料を、この例3に記載される充填及び消毒手順において使用し、表6に列挙した個々の細菌種の再水和接種材料は、BioBall(登録商標)Multishot 10E8キット(bioMerieux SA社)から製造業者の指示に従って調製し、平均は0.7~1.5x108cfuであり、標準偏差は平均の20%以下である。再水和を1.1mLのBioBall(登録商標)再水和液に入れて、10x100μL用量の107cfuを得た。
【0460】
【0461】
一次カラム充填及び消毒手順。エタノール(70%v/v)を空のカラムハウジングに添加した。蠕動ポンプを用いてカラム出口を通して底部フリットを吸引し、小さなパドルを用いて手動で気泡を向けることによって、底部フリットの下から空気を除去した。全ての空気が除去されたら、5cm又は10cmの樹脂床のいずれかを充填するための適切な量のMabSelect(登録商標)SuReプロテインA樹脂をBPG 140/500ガラスクロマトグラフィカラムハウジングに添加した。蠕動ポンプを使用して、カラムの出口を通して保存緩衝液を除去した。表6に示す保存緩衝液は単なる例であり、あるいは、保存緩衝液は、樹脂が輸送された任意に緩衝液、例えば20%エタノールを含有する緩衝液であってもよく、又は樹脂の沈降/デカンテーションが、微粒子を除去するため、又は正確なスラリーパーセンテージを得るために以前に使用された場合、EQ又は他の緩衝液又は脱イオン水であってもよい。
【0462】
約3カラム体積(CV、沈降床高さに基づく)のMilli-Q(登録商標)精製水又はプロテインA平衡化緩衝液(EQ)のいずれかを沈降床の上部に添加した。この体積を、蠕動ポンプを用いて沈降床を通して吸引し、残留保存緩衝液を除去した。約2CVのMilli-Q(登録商標)精製水又はEQ緩衝液を沈降床に添加し、床を小さなパドルでゆっくりスラリー化した。バイオバーデンのレベルを保証し、消毒手順の有効性を実証するために、B.subtilis又は生物のカクテル(表6を参照されたい)を、約100CFU/mLのスラリー体積でスラリーに添加した。蠕動ポンプを使用して床を沈降させ、過剰量を除去した。
【0463】
約3CVの0.7%(v/v)PAAを沈降床の上に添加し、この体積を、蠕動ポンプを用いて沈降床を通して吸引し、残留水(又はプロテインA EQ)を除去した。過酢酸(0.7%v/v)をカラムに添加して、樹脂及びPAAの約50%スラリーを生成した。樹脂をパドルでスラリー化した。樹脂スラリーを、カラム上部アダプタをアダプタOリングの上方まで覆うのに十分な大きさの液体層を床の上部に生成するのに十分長く沈降させた。上部カラムアダプタを所定の位置に置き、OリングがPAA溶液によって覆われるまで下げた。上部アダプタを操作してフリット及びOリングから残留空気を除去した。上部アダプタを0.7%PAA溶液に約20分間浸漬させ、次いでOリングを締めた。上部アダプタをPAA溶液中に下降させて、PAA溶液を中央カラムチューブに押し上げた。次いで、中心カラムチューブを0.7%PAA充填溶液に接続した。カラムには、0.7%PAA溶液を380~550cm/時で充填したが、より高い充填率、例えば600cm/時も可能である。
【0464】
以下の手順を使用して、優良医薬品製造基準(GMP)生成運転において充填カラムが経るステップを模倣した。全ての工程を約150cm/時の流速で行った。10CVの脱イオン水をカラムに流して、PAA溶液を除去した。理論板相当高さ(HETP)試験をシミュレートするために、3CVの滅菌0.1M NaClをカラムに流した。3CVの保存緩衝液をカラムに流し、カラムを一晩保存した後、PAAで消毒した。
【0465】
カラムを0.2%(v/v)PAAで消毒した。5CVの0.2%PAAをカラムを通してダウンフロー方向に流し、5CVの0.2%(v/v)PAAをカラムを通してアップフロー方向に流した。カラムを0.2%PAA中に60分間保持し、その後、プロテインA EQ緩衝液をカラムに流してPAA溶液を除去した。試料を5CV及び7CVで採取し、バイオバーデン分析に供した。次いで、カラムを、BAK培地を含有する2Lバイオリアクタに接続した。蠕動ポンプを用いて約50mL/分でカラムを通して培地を再循環させた。カラムの入口圧力をSciLog(登録商標)(Parker Hannifin社)圧力トランスデューサで監視した。20ポンド/平方インチ差(psid)の最大圧力差に達した場合、ポンプはオフになるように設定した。カラムをリアクタに10~14日間接続したままにした。再循環後の試料を実験の完了時にカラムから取り出し、バイオバーデン分析に供した。
【0466】
代替の充填及び消毒手順1。スラリー化、充填、及び消毒に0.7%(v/v)PAAを使用したことを除いて、上記の一次充填及び消毒手順に従って、代替の充填及び消毒手順も使用した。
【0467】
代替の充填及び消毒手順2。カラムのスラリー化及び充填のために0.1M NaClを含む0.2%(v/v)PAAを使用する第2の代替の充填及び消毒手順も試みた。上記の一次充填及び消毒手順と同様に、充填後にカラムを0.2%PAAで消毒し、充填性能を改善するために塩化ナトリウムを添加した。しかし、塩化ナトリウムはPAA溶液と相互作用し、カラムに空気を発生させた。したがって、塩化ナトリウムをPAAと一緒に添加することは推奨されない。
【0468】
代替の充填及び消毒手順3。第3の代替の充填及び消毒手順では、樹脂をスラリー化し、PAAを含まない0.1M NaClに充填した。充填前の最初のスラリーステップ中に、バイオバーデンカクテル(表6を参照)を樹脂に約120CFU/mLまで添加した。約3CVの水(又はProA EQ)をカラムに流すことによって0.1M NaClを除去し、次いで、カラムを0.2%(v/v)PAA(5CVダウン、5CVアップ、60分保持)で消毒し、プロテインA EQ緩衝液で洗い流し、2Lバイオリアクタに接続した。一次消毒手順(上記)を使用した以前の実験と同様に、フラッシュ試料及びバイオリアクタ再循環後試料を実験の完了時にカラムから取り出し、バイオバーデン分析に供した。バイオバーデン試験のために、約100~200mLの試料を滅菌試料バッグに入れ、バイオバーデンを以下に記載されるように分析した。
【0469】
充填及び消毒手順のプロセス規模の確認。BioSMBを利用して目的の免疫グロブリンの連続的捕捉を行う2回の500L工学的操作を製造プラントで行った。この生成プロセスは、バイオリアクタ透過液の捕捉のために直径14cmx床高10cmのMabSelect(商標)SuRe(商標)プロテインAアフィニティーマトリックスカラムを4つ使用した。最初の実行では、樹脂を0.7%(v/v)PAAでスラリー化し、カラムを0.7%(v/v)PAAで充填し、続いて0.2%(v/v)PAA消毒ステップを行う一次充填及び消毒手順を使用した。2回目の実行のためにカラムを再充填しなかった。2回目の実行は、カラムを稼働させる前に0.2%PAA消毒ステップのみを使用した。
【0470】
バイオバーデン分析。バイオバーデン試験は、USP<61>に従って実施した。簡潔には、10mLの試料を、100mLの全採取試料を含む試料バッグから無菌的に取り出し、少なくとも90mLの滅菌リン酸緩衝生理食塩水(PBS)又は滅菌水(又は生成物が1:10を超えて希釈されないような体積の試料及び希釈剤)に添加した。総アリコート体積をMilliflex(登録商標)濾過システム(MilliporeSigma社)に流し込み、濾過し、次いでMilliflex(登録商標)寒天プレート上で、トリプシン大豆寒天(TSA)については30~35℃、サブローデキストロース寒天(SabDex;SDA)については20~25℃で、それぞれ3日以上及び5日以上インキュベートした。
【0471】
結果表7(下記)は、カラム消毒実験で用いた試験条件の各々についての結果を含む。試験した全ての条件で、完全に消毒されたカラムが得られた。どのフラッシュ試料にもバイオバーデンは見られず、全ての条件で、2Lバイオリアクタに接続した場合、少なくとも10日間の滅菌操作が行われた。カラムを2Lバイオリアクタに接続した最短時間は10日間であった。10日間のインキュベーション期間を選択したのは、クロマトグラフィカラム上及びバイオリアクタ内で微生物の増殖が遅い場合でも検出可能な増殖が可能になるためである。
【0472】
0.7%(v/v)PAAスラリー及び充填手順(すなわち、上記の一次カラム充填及び消毒手順)は、プロセス規模での消毒のための最も厳しい選択肢と見なされ、工学的操作での使用に選択された。0.2%PAAが芽胞形成細菌に対して有効であることが示されており、充填プロセス中に全ての樹脂及びカラム部分が0.7%PAAと接触していたので、カラムをBioSMBバルブブロックに接続した後に、0.2%(v/v)PAA消毒ステップのカラム後性能試験を行った。0.7%のPAA曝露によるプロテインA寿命への影響の完全な評価は、これらの実験の時点では実施されていなかったため、PAA消毒剤の濃度が高いために予測できない結果を制限するために、より低い濃度も選択した。
【0473】
表8(下記)は、最初の工学的操作のプロテインAアフィニティクロマトグラフィステップからのバイオバーデンの結果を含む。試験した全ての試料は、上記のようにバイオバーデンについて陰性であり、0.7%(v/v)スラリー/充填手順がバイオバーデンの排除に有効であり、14日間の連続下流処理の滅菌下流処理を可能にしたことを示している。
【0474】
表9(下記)は、2回目の工学的操作のプロテインAアフィニティクロマトグラフィステップからのバイオバーデンの結果を含む。試験した全ての試料はバイオバーデンが陰性であり、システムは14日間の連続下流処理に成功した。しかし、これらのカラムは、前のプロセスから滅菌状態のままであった可能性があることに留意されたい。
【0475】
0.7%(v/v)PAA樹脂スラリー及び充填手順、続いて2回の工学的操作で使用された0.2%(v/v)PAA消毒は、カラムを効果的に消毒し、14日間にわたるタンパク質生成物の連続的なプロテインAアフィニティクロマトグラフィ捕捉を可能にした。プロテインAステップ又は工学的操作のための下流プロセスのいずれにおいてもバイオバーデンは検出されず(以下の表8及び表9を参照されたい。)、BioSMBスキッドは14日間にわたって設計通りに実行された。
【0476】
【0477】
【0478】
【0479】
例4.使い捨てバイオリアクタ(SUB)から最終タンジェンシャルフロー濾過(TFF)までの連続プロセス
【0480】
使い捨て灌流バイオリアクタから最終製剤化ステップまで、目的のタンパク質を含む精製タンパク質原薬を得るための精製した目的のタンパク質又は精製タンパク質原薬を製造するための本発明のプロセスの連続的な実施形態を実証するために、2回の実行のセットを500Lの灌流バイオリアクタスケールで行った。例示的なプロセスのフロー図を
図22に示す。灌流バイオリアクタの下流で、以下のステップであるCadence(商標)BioSMB(登録商標)PDシステム(Pall社)でのプロテインAアフィニティクロマトグラフィ捕捉ステップ、2タンクPall Cadence(商標)ウイルス不活化システムでの低pHウイルス不活化(VI)ステップ、デプス濾過ステップ、イオン交換研磨ステップ、並びに2段階のシングルパスタンジェンシャルフロー濾過(SPTFF)及びインライン透析濾過(ILDF)モジュールからなる連続最終製剤化ステップを流体的に接続し、連続モードで操作した。フィルタの追加コストと、得られた材料が非臨床又は臨床研究用ではないという事実を考慮して、ウイルスフィルタをこれらの実行から除外したが、臨床用途を意図した目的のタンパク質の製造にはウイルス濾過を含めることができる。各ユニット動作の間に、プロセスにおける流れの不一致を管理し、プロセスの混乱に対応するために、使い捨てサージ容器(SUSV)が使用された。更に、IEXステップ前のサージ容器を塩基でpH設定値まで滴定し、IEXステップ後のサージ容器を酸でpH設定値まで滴定した。結果は、全体的な連続プロセス性能について提示されているが、連続トレインに新たに追加されたステップとしてのデプス濾過及びIEXステップに焦点を当てている。SPTFF-ILDFプロセス及び結果は、以下の例5で論じられる。
【0481】
材料及び方法。500L使い捨て灌流バイオリアクタを、本明細書中上記の例1に記載の方法と同様の様式で操作した。下流プロセスは14日間連続して操作した。使用した最初のクロマトグラフィシステムはプロテインAアフィニティクロマトグラフィであり、これはCadence(商標)BioSMB(登録商標)PDシステム(Pall;「BioSMB」)連続クロマトグラフィシステムで実施し、4つのカラムを使用した。樹脂を0.7%(v/v)PAAでスラリー化し、樹脂を0.7%(v/v)PAAで充填することによってカラムを充填した。充填性能は、理論板相当高(HETP)及び非対称分析を行うことによって試験した。充填手順は非滅菌ステップであるため、プロセスを開始する直前にBioSMBに取り付けた後、カラムを0.2%(v/v)PAAで消毒した(本明細書の例3を参照されたい)。プロテインAアフィニティクロマトグラフィステップは、バイオリアクタとプロテインAシステムとの間のサージ容器(SUSV1)の使用を含む、例1に記載の方法と同様の方法で操作した。
【0482】
低pHウイルス不活化(VI)を、収集、酸性化及び中和のための2つの使い捨て混合タンクを含むCadence(商標)ウイルス不活化システム(Pall)を用いて行った。ウイルス不活化ステップを、本明細書中上記の例2に記載される方法と同様の様式で操作した。複数のプロテインA溶出液を2つのVI使い捨て混合タンクのうちの1つに収集した。プロテインA溶出プールを酸で低pHに調整し、存在する可能性があるウイルスを不活性化するために標的インキュベーション時間にわたってこのpHで維持した。ウイルス不活化後、プールを塩基で中性pHに調整した。次いで、この中和されたウイルス不活化生成物プール(NVIP)を混合タンクから、デプスフィルタカートの前に配置されたSUSV2にポンプ輸送した。酸性化、保持及び中和の間、次の一連のプロテインA溶出液をウイルス不活化システムの第2のVI使い捨て混合タンクに収集した。交互の収集タンクのサイクルをプロテインAプロセスの期間にわたって繰り返した。
【0483】
中和されたウイルス不活化生成物プール(NVIP)を、デプス濾過カート(
図22を参照されたい)を使用してデプスフィルタ及び0.22μmフィルタで濾過した。
図22に示すSUSV2とSUSV3との間のデプス濾過カートのより詳細な概略図を
図23に示す。使用前に、デプスフィルタを123.1℃で60分間オートクレーブ処理して、潜在的なバイオバーデンを低減した。次いで、デプスフィルタをフィルタホルダに設置し、フラッシュし、0.5N NaOHで消毒し、緩衝液で平衡化した。次いで、フィルタホルダをデプス濾過カートに設置した。2つのデプスフィルタ/最終フィルタアセンブリをカートに取り付けることができる。NVIP材料を、最大デプスフィルタスループットに達するまで片面(DF-1)を通して濾過した。この時点で、第2のデプスフィルタ/最終フィルタアセンブリをオンラインにして負荷物質を受け取った。負荷目標に到達した後、第1のデプスフィルタアセンブリを緩衝液でフラッシュして、デプスフィルタから残留生成物を収集した。これは、デプスフィルタアセンブリ及び緩衝液バッグに接続された第2のポンプによる処理と同時にインラインで行われた。フラッシュが完了すると、新しいデプスフィルタアセンブリを設置した。デプスフィルタの各セットは、システムに設置する前にオートクレーブ処理及び洗浄した。このプロセスは、プロテインAサイクルが完了するまでスループット限界で繰り返される。
【0484】
図22に示されるように、濾過された中和ウイルス不活化生成物プール(FNVIP)を、イオン交換(IEX)カラムである第2のクロマトグラフィシステムに負荷する前に、適切な体積までSUSV3に収集した。IEXフロースルーステップは、AKTA(商標)Ready(GE Healthcare Life Sciences社)使い捨てクロマトグラフィシステムで実行した。使用前にカラム及び樹脂を0.5N NaOHで消毒した。IEXクロマトグラフィステップの開始前に、ウイルス不活化生成物プールを、必要に応じてSUSV3に滴定剤を連続的に添加することによってpH調整した。IEXカラム溶出液の吸光度を280nmの波長でオンラインでモニタリングし、IEXプールを収集するために使用し、タンパク質を含むこの精製した生成物プールを、継続的な処理のために、必要に応じて、SUSV4中に滴定剤を連続的に添加することによってpH調整し、濾過して(0.22μm)、最終UF/DFの前の濾液を得たが、これは、例えば、臨床的に使用可能なタンパク質原薬を得るためのウイルス濾過システムを含む実施形態においてウイルスフリーの濾液であった。(
図22を参照されたい。)この連続IEXステップのために、単一のカラムを使用した。無負荷ステップ(平衡化、洗浄、ストリップ、再生)は、カラムを負荷から取り出す必要があるため、これは、ステップの無負荷フェーズ中にSUSV3体積の増加をもたらした。SUSV3のレベル制御を維持するために、負荷フェーズが再開されると、流入するサージ容器の体積流量よりも高い流量を使用して、サージ容器の体積を減少させた。自動化を使用してIEXクロマトグラフィシステムのポンプ速度を変化させて使い捨てサージ容器内の予め設定された体積範囲を維持することによって、SUSV3でもレベル制御を維持した。
【0485】
本明細書で説明するように、本発明のプロセスは、連続ユニット動作間のSUSVを活用して、流れの差を管理し、ユニット動作間の圧力遮断を提供し、システム内の変調に反応する時間を提供する。これらのサージ容器の自動化制御戦略は、例1に記載したように操作した。2回の実行である実行#1及び実行#2を実施し、上流のユニット動作を同様に行った。下流処理のために、実行#1は、実行#1のユニット動作がIEXステップを通じて連続的に接続されて実行されたという点で、実行#2とわずかに異なっていた。実行#1では、SPTFF/ILDFは上流のユニット動作に接続されず、半連続形式で別々に実行された。実行#2では、全てのユニット動作を連結し、灌流バイオリアクタからSPTFF/ILDFステップまで連続形式で実行して、目的のタンパク質を含む精製タンパク質原薬を得た。いくつかの制御態様(SUSV1のレベル制御など)も、実行#1では機能しなかったが、そうでなければ、プロセスステップ及び動作パラメータは同様の方法で構成された。
【0486】
結果灌流培養プロセスを22~23日間の生成のために操作した。連続下流プロセスを500L灌流バイオリアクタに接続し、合計14日間操作した。実行#1及び実行#2の結果は同様であった。実行#2の全体的な要約として、カラムあたり39回のプロテインAサイクル(合計156回の溶出ピーク)、2つのタンク間で交互に行われる53回のVIサイクル、4回のデプスフィルタサイクル(サイクル間で新しいフィルタへの切り替えあり)、及び70回のIEXサイクルがあった。
【0487】
上流及び下流のステップは全て、完全に閉鎖されたシステム/機能的に閉鎖されたシステムとして操作された。「完全に閉鎖された」システムは、生成物を室内環境に曝さないプロセスシステムとして定義され、閉鎖システムに材料を添加することにより、室内環境への生成物の曝露が回避される。例えば、上流バイオリアクタは完全に閉鎖されたシステムであり、環境に開放されることはない。「機能的に閉鎖された」システムは、開放され得る(例えば、フィルタ又はカラムを設置するために、)が、生成物導入前にシステムを消毒することによって閉鎖状態に戻されるプロセスシステムとして定義され、例えば、下流のシステムは、消毒剤の使用によって閉鎖されることによって機能的に閉鎖される。(Palberg et al.,Challenging the Cleanroom Paradigm for Biopharmaceutical Manufacturing of Bulk Drug,Substances,BioPharm International Volume 24,Issue 8(2011))全てのシステムは、ガンマ線照射及びオートクレーブ処理された構成要素、無菌コネクタ又は接続用の溶接可能なチューブ、及び各ステップの閉じたシステム境界を確立するための廃棄ライン用の使い捨てエアブレークアセンブリを用いて構成された。ガンマ線照射又はオートクレーブ処理することができなかった構成要素を消毒することによって、システムを機能的に閉じた。この例4の方法の項に記載されるように、プロテインAカラム及び樹脂を過酢酸(PAA)で消毒し、デプスフィルタ膜、IEXカラム及び樹脂、並びにSPTFF-ILDF膜を0.5N NaOHで消毒した。異なる日のプロセスの複数の時点からサンプリングされたバイオバーデン及びエンドトキシンデータを以下の表10及び表11に要約する。結果は、連続プロセスを完全に閉じたシステム/機能的に閉じたシステムとして動作させるための適切な手順を使用することにより、低いバイオバーデン制御の状態を首尾よく達成することができることを実証している。
【0488】
【0489】
【0490】
例5.シングルパスタンジェンシャルフロー濾過/インライン透析濾過(SPTFF/ILDF)
【0491】
この例では、例4に記載された本発明のプロセスの2回の実行のセットを、シングルパスタンジェンシャルフロー濾過(SPTFF)及びインライン透析濾過(ILDF)を含むバイオリアクタから最終製剤化ステップまでの完全連続モードで実施した。SPTFF及びILDFの利点には、大型のプロセス中の保持容器又はタンクの必要性を最小限に抑えること、並びに生成物プールを最終製剤条件よりも安定性が低い可能性がある条件で保持する必要がある時間を短縮することが含まれる。また、潜在的に、従来のバッチプロセスよりも少ないフィルタ領域を使用することができる。しかし、連続プロセス形式の実施には課題があり、これには、SPTFF及びILDF装置の両方のための長時間の動作、及び長期間にわたるこれまで知られていなかった付着物特性、サージタンク体積を維持するための自動化によって行われた調整、並びに異なるユニット動作間の流量の一致による、様々な流入供給流量のこれまで知られていなかった影響、並びに長時間にわたる清浄な処理の維持が含まれる。以下でさらに説明するように、本発明は、これら全ての課題を解決した。
【0492】
方法及び材料。SPTFF/ILDFステップの前の先行する製造プロセスステップ及び消毒は、上記の例3及び例4に記載されている。下流のシングルパスタンジェンシャルフロー濾過(SPTFF)及びインライン透析濾過ユニット動作のために、Cadence(商標)シングルパスTFFモジュール(SPTFF、Pall)及びCadence(商標)インライン透析濾過(ILDF、Pall)装置を両方の実行に使用した。両方の装置は多段タンジェンシャルフロー濾過(TFF)カセットであり、新しい膜を各実行に使用した。SPTFF及びILDF装置並びに流路は、
図24に概略的に示されている。実行#1でのセットアップでは、全てのチューブアセンブリをシステムのSPTFF部分のためにオートクレーブ処理したが、システムのILDF部分については、システムのいくつかの部分を0.5N NaOHでのみ消毒し、オートクレーブ処理を行わず、これにより、ILDFプール中にバイオバーデンが観察された。実行#2ではこの問題を軽減するために、オートクレーブ可能ではない導電率センサを除いて、全てのライン、流量計及び圧力センサをオートクレーブ処理した。導電率センサに消毒剤(Minncare(登録商標))を噴霧し、滅菌フード内のラインに取り付けた。プロセスラインをSPTFF及びILDF装置に取り付けた後、膜及び流路を0.5N NaOHで使用する前に消毒した。使用前のフラッシングは、圧力を20psi未満に保ちながら、より速い流速で行った。消毒後、システムは機能的に閉鎖されたものとして動作し、全ての接続は溶接可能なチューブ又は市販のAseptiQuik(登録商標)接続(Colder Products Company社)によって行われた。(SUSV4からの)SPTFFの供給流量は、先行するカラムステップからの生成物流出流量と一致した。保持液ポンプが保持液流量を制御し、したがってSPTFF装置における生成物濃度因子を制御した。SPTFFステップでは、生成物はフィルタ中で濃縮される。設定された保持液流量(例えば、所望の濃度因子に応じて供給流量より5~10倍低い)は、透過液を通して除去される緩衝液の量を決定し、保持された生成物を濃縮する。ILDF供給を、ステップ間に任意のブレークタンク、すなわちサージ容器を用いてSPTFFの保持液に接続した。この例では、実行#1において、ミキサを備えたオートクレーブ処理された2Lバイオリアクタが、SPTFFステップとILDFステップとの間の任意のサージ容器として機能したが、別のタイプのサージ容器、例えば使い捨てサージ容器(SUSV)を使用することもできる。SPTFF/ILDFセットアップの概略図(
図24)は、SPTFFとILDFとの間のミキサを備えたオートクレーブ処理された2Lサージ容器(
図24において「ブレークタンク」と呼ばれる)が実行の大部分に使用された実行#1セットアップを示す。以下のデータに示すように、サージ容器を実行の最後の数日間取り外した。実行#2では、SPTFFユニット動作とILDFユニット動作との間にサージ容器は配置されなかった。実行#2は、ILDF供給ラインに直接接続されたSPTFF保持液ラインを有していた。この接続は、サージ容器の必要性を排除しただけでなく、ポンプ2をセットアップから排除した。ILDFの供給流量は、SPTFFの保持流量と一致した。ILDFの保持流量は、供給流量と同じ速度で制御された。別個の透析濾過ポンプが配合緩衝液をILDF装置の複数のチャネルに供給した。製剤緩衝液への変換は、透析濾過供給流とILDF供給/保持液流との比によって制御した。両方の装置の透過液は、前の例で説明したように、エアブレークを通して排出された。
【0493】
結果SPTFF及びILDFモジュールは、両方の実行の期間にわたって完全に連続したモードで一貫して実行され、実行期間を通じてSPTFFについては5psi未満の一貫した圧力及びILDFについては15psi未満の一貫した圧力によって証明されるように、12日間にわたって付着物又は性能低下の明らかな兆候はなかった。両方のシステムは、全てのポンプを停止させた中断後に迅速に回復した。生成物の濃度係数は、所望の濃度係数に基づいて、供給流量よりも約5~10倍低い所定の値で実行期間を通して維持され、プールの最終導電率は、開始透析濾過緩衝液と一致した。実行1では合計4.8kgの生成物の質量出力が処理され、実行#2では7.3kgの生成物の質量出力が処理された。実行1の全収率は98%であり、実行2の全収率は計算されなかった。
【0494】
上記は単なる例示であり、本発明の当業者は、目的の特定の組換え治療用タンパク質原薬について必要に応じて成分及び操作パラメータを容易に変更することができる。
本発明には以下の好ましい態様が含まれる。
(1)
精製した目的のタンパク質を製造するためのプロセスであって、以下のステップ、
(a)少なくとも10日の生成培養期間にわたって、液体培地を含む1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタ内で、細胞が前記液体培地中に前記タンパク質を分泌することを可能にする条件下で哺乳動物細胞を培養することであって、前記生成培養期間中に、定期的又は連続的に、複数の異なる濃縮培地成分溶液及び水性希釈剤から同時に混合される新鮮な滅菌液体培地を1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタに添加して、透過液又は細胞ブリードの体積として灌流バイオリアクタの各々から連続的又は定期的に除去される培養物の体積に直接関連して、灌流バイオリアクタの各々において一定の培養体積を維持し、除去された透過液の体積は、1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタから使い捨てサージ容器に、次いで第1のクロマトグラフィシステムに自動的かつ流体的に供給され、それによって前記タンパク質がタンパク質単離物画分中に収集されること、を含む、プロセス。
(2)
以下のステップ、
(b)前記タンパク質単離物画分を低pH又は界面活性剤ウイルス不活化システム、及び必要に応じて中和システムに切り替えて、前記タンパク質を含むウイルス不活化生成物プールを得ることを更に含む、(1)に記載のプロセス。
(3)
以下のステップ、
(c)前記ウイルス不活化生成物プールを第2のクロマトグラフィシステムに導入して、前記タンパク質を含む精製した生成物プールを得ることと、
(d)前記タンパク質を含む前記精製した生成物プールを任意の第3のクロマトグラフィシステム及び/又はウイルス濾過システムに切り替えて、前記タンパク質を含むウイルスフリーの濾液を得ることと、
(e)前記ウイルスフリーの濾液を限外濾過/透析濾過システムに切り替えて、精製した目的のタンパク質を含む組成物を得ることと、を更に含む、(2)に記載のプロセス。
(4)
前記目的のタンパク質が組換えタンパク質である、(1)に記載のプロセス。
(5)
前記目的のタンパク質が治療用タンパク質である、(1)に記載のプロセス。
(6)
前記第1のクロマトグラフィシステム、前記第2のクロマトグラフィシステム、前記第3のクロマトグラフィシステム、前記低pH又は界面活性剤ウイルス不活化システム、前記中和システム、前記ウイルス濾過システム、又は前記限外濾過/透析濾過システムのうちの1つ又は複数が、1つ又は複数の使い捨て構成要素を含む、(1)、(2)、又は(3)に記載のプロセス。
(7)
前記哺乳動物細胞が、2個、3個、4個、5個又は6個の使い捨て灌流バイオリアクタで培養される、(1)に記載のプロセス。
(8)
前記1つ又は複数の使い捨てバイオリアクタが、約50L~約4000Lの体積の液体培地を含むことができる、(1)に記載のプロセス。
(9)
前記複数の異なる濃縮培地成分溶液を互いに対して固定比で前記灌流バイオリアクタに直接注入することによって、前記新鮮な滅菌液体培地が前記1つ又は複数の灌流バイオリアクタに添加される一方で、水性希釈剤もまた、前記複数の異なる濃縮成分溶液に対して様々な比で添加されて、各灌流バイオリアクタ内の培養体積を一定に維持する、(1)に記載のプロセス。
(10)
前記複数の異なる濃縮培地成分溶液及び前記水性希釈剤を互いに対して固定比で前記灌流バイオリアクタに直接注入することによって、前記新鮮な滅菌液体培地が前記1つ又は複数の灌流バイオリアクタに添加されて、各灌流バイオリアクタ内の培養体積を一定に維持する、(1)に記載のプロセス。
(11)
前記複数の異なる濃縮培地成分溶液及び前記水性希釈剤を互いに対して固定比で混合チャンバに注入することによって、前記新鮮な滅菌液体培地が前記1つ又は複数の灌流バイオリアクタに添加されて、培養体積を一定に維持する、ここで、新鮮な滅菌液体培地は各灌流バイオリアクタに添加される前に同時に混合される、(1)に記載のプロセス。
(12)
検出器を含む自動制御装置を使用して、前記使い捨てサージ容器内の流体体積を測定し、プロセッサが、前記第1のクロマトグラフィシステムのポンプ速度を変化させて前記使い捨てサージ容器内の予め設定された体積範囲を維持する、(1)に記載のプロセス。
(13)
ステップ(b)、(c)、(d)、又は(e)のうちの1つ又は複数が、前のステップからの中断されない流れで自動的かつ流体的に実行され、1つ又は複数のステップの間にサージ容器が使用され、プロセッサが、後続のステップでポンプ速度を変化させて、後続のステップに先行するサージ容器の予め設定された体積範囲を調整する、(2)又は(3)に記載のプロセス。
(14)
pH及び/又は導電率負荷のインライン又は容器内調整が、ステップ(b)、(c)、(d)、又は(e)のうちの1つ又は複数の間で行われる、(13)に記載のプロセス。
(15)
(i)プロセス自動化システムが、少なくとも前記1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタ、使い捨てサージ容器、及び前記第1のクロマトグラフィシステムと電子通信しており、
(ii)前記プロセス自動化システムが、前記1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタのうちの少なくとも1つの使い捨て灌流バイオリアクタの動作を制御するための制御モジュールの第1のセットを格納し、
(iii)前記プロセス自動化システムが、供給タンクの動作を制御するための制御モジュールの第2のセットを格納し、
(iv)前記プロセス自動化システムが、収集タンクの動作を制御するための制御モジュールの第3のセットを格納し、
(v)前記少なくとも1つの使い捨て灌流バイオリアクタが、1つ又は複数の供給タンク、1つ又は複数の収集タンク、又はフィルタバンクに連結されるように論理的に構成される、(1)に記載のプロセス。
(16)
前記少なくとも1つの使い捨て灌流バイオリアクタがスキッド上に配置され、前記スキッドが、前記少なくとも1つの使い捨て灌流バイオリアクタを複数の可搬式機器に電子的に連結するための複数の通信インターフェースを含む、(15)に記載のプロセス。
(17)
前記プロセス自動化システムによって、前記通信インターフェースを介して受信されたデータに基づいて、前記使い捨てサージ容器が前記複数の通信インターフェースのうちの1つの通信インターフェースに結合されたことを決定することであって、前記データが、前記使い捨てサージ容器の識別子及び前記使い捨てサージ容器の機能を示すことと、
前記使い捨てサージ容器の前記識別子及び前記機能に少なくとも部分的に基づいて、前記使い捨てサージ容器が収集タンクであり、前記制御モジュールの第3のセットが前記使い捨てサージ容器の動作を制御するためのものであることを決定することと、を更に含む、(16)に記載のプロセス。
(18)
前記プロセス自動化システムによって、追加の通信インターフェースを介して受信された追加のデータに基づいて、混合容器が前記複数の通信インターフェースのうちの追加の通信インターフェースに結合されたことを決定することであって、前記追加のデータが、前記混合容器の追加の識別子及び前記混合容器の追加の機能を示すことと、
前記混合容器の前記追加の識別子及び前記追加の機能に少なくとも部分的に基づいて、前記混合容器が供給タンクであり、前記制御モジュールの第2のセットが前記混合容器の動作を制御するためのものであることを決定することと、を更に含む、(17)に記載のプロセス。
(19)
生成培養期間が少なくとも20日間である、(1)に記載のプロセス。
(20)
精製した目的のタンパク質を製造するための自動化設備であって、前記設備は、
(a)少なくとも10日の生成培養期間の間、培養細胞が液体培地中に前記タンパク質を分泌することを可能にする条件下で前記液体培地を含有することができる1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタであって、前記生成培養期間中に透過液又は細胞ブリードの体積として前記灌流バイオリアクタの各々から連続的又は定期的に除去される条件培地の体積に直接関連して、新鮮な滅菌液体培地を前記灌流バイオリアクタの各々に流体的に入口を通って受け取るように適合されている、使い捨て灌流バイオリアクタと、
(b)各々が濃縮培地成分溶液又は水性希釈剤を含むように適合された複数のリザーバであって、直接的に、又は前記複数のリザーバから所定の比で濃縮培地成分溶液及び水性希釈剤を受け取り、それらを同時に混合するように適合された任意の混合容器を介して間接的に各々の灌流バイオリアクタへの入口に流体接続され、任意の混合容器は、各々の灌流バイオリアクタへの入口に直接流体接続される、複数のリザーバと、
(c)前記除去された透過液の体積が前記1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタから自動的かつ流体的に供給される、第1の使い捨てサージ容器(SUSV1)と、
(d)前記SUSV1から無細胞透過液を自動的かつ流体的に受け取るように適合され、それによって前記タンパク質がタンパク質単離物画分中に捕捉される、第1のクロマトグラフィシステムと、を含み、
前記自動化された設備は、プロセス自動化システム(PAS)によって制御される、自動化設備。
(21)
(e)前記第1のクロマトグラフィシステムから前記タンパク質単離物画分を自動的かつ流体的に受け取るように適合され、それによって前記タンパク質を含むウイルス不活性化生成物プールが得られる、低pH又は界面活性剤ウイルス不活化システム、及び必要に応じて中和システムと、
(f)前記ウイルス不活化生成物プールを受け取るように適合された保持容器又は第2の使い捨てサージ容器と、を更に含む、(20)に記載の自動化設備。
(22)
(g)前記保持容器又は前記第2の使い捨てサージ容器から前記ウイルス不活化生成物プールを流体的に受け取るように適合され、それによって前記タンパク質を含む精製した生成物プールが得られる、第2のクロマトグラフィシステムと、
(h)前記タンパク質を含む前記精製した生成物プールを前記第2のクロマトグラフィシステムから流体的に受け取るように適合され、それによって前記タンパク質を含むウイルスフリーの濾液が得られる、任意の第3のクロマトグラフィシステム及び/又はウイルス濾過システムと、
(i)前記第2のクロマトグラフィシステムから、又は前記第3のクロマトグラフィシステム及び/又は前記ウイルス濾過システムから前記ウイルスフリーの濾液を流体的に受け取るように適合され、それによって前記精製した目的のタンパク質が得られる、限外濾過/透析濾過システムと、を更に含む、(20)に記載の自動化設備。
(23)
1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタが、約50L~約4000Lの体積の液体培地を含むことができる、(20)に記載の自動化設備。
(24)
SUSV1の流体体積を測定するための検出器と、前記第1のクロマトグラフィシステムのポンプ速度を変化させてSUSV1の予め設定された体積範囲を維持するためのプロセッサとを含む自動制御装置を更に含む、(20)に記載の自動化設備。
(25)
前記第1のクロマトグラフィシステム、前記第2のクロマトグラフィシステム、前記第3のクロマトグラフィシステム、前記低pH又は界面活性剤ウイルス不活化システム、前記中和システム、前記ウイルス濾過システム、又は前記限外濾過/透析濾過システムのうちの1つ又は複数が、使い捨て構成要素を含む、(20)に記載の自動化設備。
(26)
前記第1のクロマトグラフィシステムの下流に直接流体接続され、
(i)第2の使い捨てサージ容器、又は
(ii)前記タンパク質単離物画分を受け取るように適合された、少なくとも2つの自動的に切り替え可能な代替の使い捨て収集容器(SUCV1及びSUCV2)とを更に含み、
(i)及び(ii)は、前記第1のクロマトグラフィシステムから前記タンパク質単離物画分を受け取り、前記タンパク質単離物画分を前記低pH又は界面活性剤ウイルス不活化システムに流体供給するように適合されている、(20)に記載の自動化設備。
(27)
前記低pH又は界面活性剤ウイルス不活化システム、及び必要に応じて前記中和システムが、
(i)前記タンパク質単離物画分を受け取るように適合された第2の使い捨てサージ容器、又は
(ii)前記タンパク質単離物画分を受け取るように適合された、少なくとも2つの自動的に切り替え可能な代替の使い捨て収集容器(SUCV1及びSUCV2)を含み、
ウイルス不活化、及び必要に応じて中和が、第2の使い捨てサージ容器内、又はSUCV1及びSUCV2内で行われる、(21)に記載の自動化設備。
(28)
前記透過液が前記SUSV1に自動的かつ流体的に供給される前に、中空繊維膜、一連のデプスフィルタ、又は濾過カートを更に含む、(20)に記載の自動化設備。
(29)
(f)において、前記ウイルス不活化生成物プールを受け取るために適合された使い捨てサージ容器を含む、(21)に記載の自動化設備。
(30)
前記SUSV1の上流に熱交換器を更に含む、(20)に記載の自動化設備。
(31)
前記SUSV1の上流に濾過システムを更に含む、(20)に記載の自動化設備。
(32)
(i)前記第2クロマトグラフィシステム、
(ii)前記任意の第3のクロマトグラフィシステム、
(iii)前記ウイルス濾過システム、及び
(iv)前記限外濾過/透析濾過システム、のうちの1つ又は複数が、
先行するシステムに自動的かつ流体的に接続され、前記接続されたシステム間の物質の中断されない流れを調整するためにサージ容器が任意選択的に使用される、(22)に記載の自動化設備。
(33)
前記少なくとも1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタ、SUSV1、前記第1のクロマトグラフィシステム、前記低pH又は界面活性剤ウイルス不活化システム、前記保持容器又は使い捨てサージ容器、前記第2のクロマトグラフィシステム、前記任意の第3のクロマトグラフィシステム及び/又はウイルス濾過システム、並びに限外濾過/透析濾過システムが、前記精製した目的のタンパク質の生成ラインの第1の構成に配置された第1の機器を含み、
第1の複数の制御モジュールが、前記第1の機器の動作を制御するために実装される、(20)から(22)のいずれかに記載の自動化設備。
(34)
第2の機器が、追加の精製した目的のタンパク質のための生成ラインの第2の構成に配置され、生成ラインの第2の構成が、少なくとも1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタ、第1のクロマトグラフィシステム、低pH又は界面活性剤ウイルス不活化システム、第2のクロマトグラフィシステム、限外濾過/透析濾過システム、及び複数の混合容器を含み、
前記生成ラインの第2の構成が、前記生成ラインの第1の構成とは異なり、
第2の複数の制御モジュールが、前記第2の機器の動作を制御するために実装され、
前記複数の混合容器のうちの少なくとも1つの混合容器が、前記第1の構成及び前記第2の構成の両方に含まれ、
前記少なくとも1つの混合容器が、前記第1の構成では第1の機能を有し、前記第2の構成では第2の機能を有し、前記第2の機能は前記第1の機能とは異なる、(33)に記載の自動化設備。
(35)
複数のフィルタアセンブリを含む可搬式フィルタバンクであって、前記複数のフィルタアセンブリの第1のフィルタアセンブリが第1のフィルタを含み、前記複数のフィルタアセンブリの第2のフィルタアセンブリが第2のフィルタを含む、可搬式フィルタバンクと、
生成設備制御システムであって、
材料が前記第1のフィルタアセンブリを通って流れるときに前記第1のフィルタアセンブリ内の圧力を監視し、
前記第1のフィルタアセンブリ内の前記圧力が少なくとも閾値であると判定し、
シグナルを送信して、前記第1のフィルタアセンブリ及び前記第2のフィルタアセンブリに連結されたダイバータバルブを動作させて、材料を第2のフィルタアセンブリに流入させる、生成設備制御システムと、を更に含む、(20)から(22)のいずれかに記載の自動化設備。
(36)
前記1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタが、少なくとも20日間の生成培養期間の間、培養細胞が前記培地中に前記タンパク質を分泌することを可能にする条件下で液体培地を含むことができる、(20)に記載の自動化設備。
(37)
前記目的のタンパク質が組換えタンパク質である、(20)に記載の自動化設備。
(38)
前記目的のタンパク質が治療用タンパク質である、(20)に記載の自動化設備。
(39)
目的のタンパク質を含む精製タンパク質原薬を製造するためのプロセスであって、以下のステップ、
(a)少なくとも10日の生成培養期間にわたって、液体培地を含む1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタ内で、細胞が前記液体培地中に前記タンパク質を分泌することを可能にする条件下で哺乳動物細胞を培養することであって、前記生成培養期間中に、定期的又は連続的に、新鮮な滅菌液体培地を1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタに添加して、透過液又は細胞ブリードの体積として灌流バイオリアクタの各々から連続的又は定期的に除去される培養物の体積に直接関連して、灌流バイオリアクタの各々において一定の培養体積を維持し、除去された透過液の体積は、1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタから使い捨てサージ容器に、次いで第1のクロマトグラフィシステムに自動的かつ流体的に供給され、それによって前記タンパク質がタンパク質単離物画分中に収集されることと、
(b)前記タンパク質単離物画分を低pH又は界面活性剤ウイルス不活化システム、及び必要に応じて中和システムに切り替えて、前記タンパク質を含むウイルス不活化生成物プールを得ることと、
(c)前記ウイルス不活化生成物プールを第2のクロマトグラフィシステムに導入して、前記タンパク質を含む精製した生成物プールを得ることと、
(d)前記タンパク質を含む前記精製した生成物プールを任意の第3のクロマトグラフィシステム及び/又はウイルス濾過システムに切り替えて、前記タンパク質を含むウイルスフリーの濾液を得ることと、
(e)前記ウイルスフリーの濾液を限外濾過/透析濾過システムに切り替えて、前記目的のタンパク質を含む前記精製タンパク質原薬を得ることと、を含む、プロセス。
(40)
前記新鮮な滅菌液体培地が、前記1つ又は複数の灌流バイオリアクタに添加されて、前記灌流バイオリアクタの各々において培養体積を一定に維持する前に、複数の異なる濃縮培地成分溶液及び水性希釈剤から同時に混合される、(39)に記載のプロセス。
(41)
前記目的のタンパク質が組換えタンパク質である、(39)に記載のプロセス。
(42)
前記目的のタンパク質が治療用タンパク質である、(39)に記載のプロセス。
(43)
精製されたタンパク質原薬を製造するための自動化設備であって、前記設備が、
(a)培養哺乳動物細胞が少なくとも10日間の生成培養期間にわたって目的のタンパク質を培地中に分泌することを可能にする条件下で液体培地を含有することができる1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタであって、前記生成培養期間中に透過液又は細胞ブリードの体積として前記灌流バイオリアクタの各々から連続的又は定期的に除去される条件培地の体積に直接関連して、新鮮な滅菌液体培地を前記灌流バイオリアクタの各々に流体的に受け入れるように適合されている、前記使い捨て灌流バイオリアクタと、
(b)前記除去された透過液の体積が前記1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタから自動的かつ流体的に供給される、第1の使い捨てサージ容器(SUSV1)と、
(c)前記SUSV1から透過液を自動的かつ流体的に受け取るように適合され、それによって前記タンパク質がタンパク質単離物画分中に捕捉される、第1のクロマトグラフィシステムと、
(d)前記第1のクロマトグラフィシステムから前記タンパク質単離物画分を自動的かつ流体的に受け取るように適合され、それによって前記タンパク質を含むウイルス不活性化生成物プールが得られる、低pH又は界面活性剤ウイルス不活化システム、及び必要に応じて中和システムと、
(e)前記ウイルス不活化生成物プールを受け取るように適合された保持容器又は使い捨てサージ容器と、
(f)前記保持容器又は使い捨てサージ容器から前記ウイルス不活化生成物プールを流体的に受け取るように適合され、それによって前記タンパク質を含む精製した生成物プールが得られる、第2のクロマトグラフィシステムと、
(g)前記タンパク質を含む前記精製した生成物プールを前記第2のクロマトグラフィシステムから流体的に受け取るように適合され、それによって前記タンパク質を含むウイルスフリーの濾液が得られる、任意の第3のクロマトグラフィシステム及び/又はウイルス濾過システムと、
(h)前記第2のクロマトグラフィシステムから、又は前記第3のクロマトグラフィシステム及び/又は前記ウイルス濾過システムから前記ウイルスフリーの濾液を流体的に受け取るように適合され、それによって前記精製タンパク質原薬が得られる、限外濾過/透析濾過システムと、を含み、
前記自動化された設備は、プロセス自動化システム(PAS)によって制御される、自動化設備。
(44)
各々が濃縮培地成分溶液又は水性希釈剤を含むように適合された複数のリザーバが、直接的に、又は複数のリザーバから所定の比で濃縮培地成分溶液及び水性希釈剤を受け取り、それらを同時に混合するように適合された任意の混合容器を介して間接的に灌流バイオリアクタに流体接続され、任意の混合容器は、灌流バイオリアクタに直接流体接続される、(43)に記載の自動化設備。
(45)
前記目的のタンパク質が組換えタンパク質である、(43)に記載の自動化設備。
(46)
前記目的のタンパク質が治療用タンパク質である、(43)に記載の自動化設備。
(47)
前記設備が連続形式で動作するように構成されている、(20)から(22)又は(43)のいずれかに記載の自動化設備。
(48)
前記プロセスが連続形式で行われる、(1)から(3)、(6)、又は(39)のいずれかに記載のプロセス。
(49)
前記第1のクロマトグラフィシステムが、使用前に過酢酸を含む化学消毒剤溶液で消毒される、(1)から(3)、(6)、又は(39)のいずれかに記載のプロセス。
(50)
前記限外濾過/透析濾過システムが、シングルパスタンジェンシャルフロー濾過(SPTFF)を含み、前記SPTFFの作動圧力が約0.25psi~約60psiの範囲に制御される、(3)又は(39)に記載のプロセス。
(51)
前記限外濾過/透析濾過システムが、インラインデプス濾過(ILDF)を含み、前記ILDFの前記作動圧力が約0.25psi~約60psiの範囲に制御される、(3)又は(39)に記載のプロセス。
【手続補正書】
【提出日】2024-09-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
精製した目的のタンパク質を製造するためのプロセスであって、以下のステップ、
(a)少なくとも10日の生成培養期間にわたって、液体培地を含む1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタ内で、細胞が前記液体培地中に前記タンパク質を分泌することを可能にする条件下で哺乳動物細胞を培養することであって、前記生成培養期間中に、定期的又は連続的に、新鮮な滅菌液体培地を1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタに添加して、透過液又は細胞ブリードの体積として灌流バイオリアクタの各々から連続的又は定期的に除去される培養物の体積に直接関連して、灌流バイオリアクタの各々において一定の培養体積を維持し、除去された透過液の体積は、1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタから使い捨てサージ容器に、次いで第1のクロマトグラフィシステムに自動的かつ流体的に供給され、それによって前記タンパク質がタンパク質単離物画分中に収集されること、を含む、プロセス。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0494
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0494】
上記は単なる例示であり、本発明の当業者は、目的の特定の組換え治療用タンパク質原薬について必要に応じて成分及び操作パラメータを容易に変更することができる。
本発明には以下の好ましい態様が含まれる。
(1)
精製した目的のタンパク質を製造するためのプロセスであって、以下のステップ、
(a)少なくとも10日の生成培養期間にわたって、液体培地を含む1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタ内で、細胞が前記液体培地中に前記タンパク質を分泌することを可能にする条件下で哺乳動物細胞を培養することであって、前記生成培養期間中に、定期的又は連続的に、複数の異なる濃縮培地成分溶液及び水性希釈剤から同時に混合される新鮮な滅菌液体培地を1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタに添加して、透過液又は細胞ブリードの体積として灌流バイオリアクタの各々から連続的又は定期的に除去される培養物の体積に直接関連して、灌流バイオリアクタの各々において一定の培養体積を維持し、除去された透過液の体積は、1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタから使い捨てサージ容器に、次いで第1のクロマトグラフィシステムに自動的かつ流体的に供給され、それによって前記タンパク質がタンパク質単離物画分中に収集されること、を含む、プロセス。
(2)
以下のステップ、
(b)前記タンパク質単離物画分を低pH又は界面活性剤ウイルス不活化システム、及び必要に応じて中和システムに切り替えて、前記タンパク質を含むウイルス不活化生成物プールを得ることを更に含む、(1)に記載のプロセス。
(3)
以下のステップ、
(c)前記ウイルス不活化生成物プールを第2のクロマトグラフィシステムに導入して、前記タンパク質を含む精製した生成物プールを得ることと、
(d)前記タンパク質を含む前記精製した生成物プールを任意の第3のクロマトグラフィシステム及び/又はウイルス濾過システムに切り替えて、前記タンパク質を含むウイルスフリーの濾液を得ることと、
(e)前記ウイルスフリーの濾液を限外濾過/透析濾過システムに切り替えて、精製した目的のタンパク質を含む組成物を得ることと、を更に含む、(2)に記載のプロセス。
(4)
前記目的のタンパク質が組換えタンパク質である、(1)に記載のプロセス。
(5)
前記目的のタンパク質が治療用タンパク質である、(1)に記載のプロセス。
(6)
前記第1のクロマトグラフィシステム、前記第2のクロマトグラフィシステム、前記第3のクロマトグラフィシステム、前記低pH又は界面活性剤ウイルス不活化システム、前記中和システム、前記ウイルス濾過システム、又は前記限外濾過/透析濾過システムのうちの1つ又は複数が、1つ又は複数の使い捨て構成要素を含む、(1)、(2)、又は(3)に記載のプロセス。
(7)
前記哺乳動物細胞が、2個、3個、4個、5個又は6個の使い捨て灌流バイオリアクタで培養される、(1)に記載のプロセス。
(8)
前記1つ又は複数の使い捨てバイオリアクタが、約50L~約4000Lの体積の液体培地を含むことができる、(1)に記載のプロセス。
(9)
前記複数の異なる濃縮培地成分溶液を互いに対して固定比で前記灌流バイオリアクタに直接注入することによって、前記新鮮な滅菌液体培地が前記1つ又は複数の灌流バイオリアクタに添加される一方で、水性希釈剤もまた、前記複数の異なる濃縮成分溶液に対して様々な比で添加されて、各灌流バイオリアクタ内の培養体積を一定に維持する、(1)に記載のプロセス。
(10)
前記複数の異なる濃縮培地成分溶液及び前記水性希釈剤を互いに対して固定比で前記灌流バイオリアクタに直接注入することによって、前記新鮮な滅菌液体培地が前記1つ又は複数の灌流バイオリアクタに添加されて、各灌流バイオリアクタ内の培養体積を一定に維持する、(1)に記載のプロセス。
(11)
前記複数の異なる濃縮培地成分溶液及び前記水性希釈剤を互いに対して固定比で混合チャンバに注入することによって、前記新鮮な滅菌液体培地が前記1つ又は複数の灌流バイオリアクタに添加されて、培養体積を一定に維持する、ここで、新鮮な滅菌液体培地は各灌流バイオリアクタに添加される前に同時に混合される、(1)に記載のプロセス。
(12)
検出器を含む自動制御装置を使用して、前記使い捨てサージ容器内の流体体積を測定し、プロセッサが、前記第1のクロマトグラフィシステムのポンプ速度を変化させて前記使い捨てサージ容器内の予め設定された体積範囲を維持する、(1)に記載のプロセス。
(13)
ステップ(b)、(c)、(d)、又は(e)のうちの1つ又は複数が、前のステップからの中断されない流れで自動的かつ流体的に実行され、1つ又は複数のステップの間にサージ容器が使用され、プロセッサが、後続のステップでポンプ速度を変化させて、後続のステップに先行するサージ容器の予め設定された体積範囲を調整する、(2)又は(3)に記載のプロセス。
(14)
pH及び/又は導電率負荷のインライン又は容器内調整が、ステップ(b)、(c)、(d)、又は(e)のうちの1つ又は複数の間で行われる、(13)に記載のプロセス。
(15)
(i)プロセス自動化システムが、少なくとも前記1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタ、使い捨てサージ容器、及び前記第1のクロマトグラフィシステムと電子通信しており、
(ii)前記プロセス自動化システムが、前記1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタのうちの少なくとも1つの使い捨て灌流バイオリアクタの動作を制御するための制御モジュールの第1のセットを格納し、
(iii)前記プロセス自動化システムが、供給タンクの動作を制御するための制御モジュールの第2のセットを格納し、
(iv)前記プロセス自動化システムが、収集タンクの動作を制御するための制御モジュールの第3のセットを格納し、
(v)前記少なくとも1つの使い捨て灌流バイオリアクタが、1つ又は複数の供給タンク、1つ又は複数の収集タンク、又はフィルタバンクに連結されるように論理的に構成される、(1)に記載のプロセス。
(16)
前記少なくとも1つの使い捨て灌流バイオリアクタがスキッド上に配置され、前記スキッドが、前記少なくとも1つの使い捨て灌流バイオリアクタを複数の可搬式機器に電子的に連結するための複数の通信インターフェースを含む、(15)に記載のプロセス。
(17)
前記プロセス自動化システムによって、前記通信インターフェースを介して受信されたデータに基づいて、前記使い捨てサージ容器が前記複数の通信インターフェースのうちの1つの通信インターフェースに結合されたことを決定することであって、前記データが、前記使い捨てサージ容器の識別子及び前記使い捨てサージ容器の機能を示すことと、
前記使い捨てサージ容器の前記識別子及び前記機能に少なくとも部分的に基づいて、前記使い捨てサージ容器が収集タンクであり、前記制御モジュールの第3のセットが前記使い捨てサージ容器の動作を制御するためのものであることを決定することと、を更に含む、(16)に記載のプロセス。
(18)
前記プロセス自動化システムによって、追加の通信インターフェースを介して受信された追加のデータに基づいて、混合容器が前記複数の通信インターフェースのうちの追加の通信インターフェースに結合されたことを決定することであって、前記追加のデータが、前記混合容器の追加の識別子及び前記混合容器の追加の機能を示すことと、
前記混合容器の前記追加の識別子及び前記追加の機能に少なくとも部分的に基づいて、前記混合容器が供給タンクであり、前記制御モジュールの第2のセットが前記混合容器の動作を制御するためのものであることを決定することと、を更に含む、(17)に記載のプロセス。
(19)
生成培養期間が少なくとも20日間である、(1)に記載のプロセス。
(20)
精製した目的のタンパク質を製造するための自動化設備であって、前記設備は、
(a)少なくとも10日の生成培養期間の間、培養細胞が液体培地中に前記タンパク質を分泌することを可能にする条件下で前記液体培地を含有することができる1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタであって、前記生成培養期間中に透過液又は細胞ブリードの体積として前記灌流バイオリアクタの各々から連続的又は定期的に除去される条件培地の体積に直接関連して、新鮮な滅菌液体培地を前記灌流バイオリアクタの各々に流体的に入口を通って受け取るように適合されている、使い捨て灌流バイオリアクタと、
(b)各々が濃縮培地成分溶液又は水性希釈剤を含むように適合された複数のリザーバであって、直接的に、又は前記複数のリザーバから所定の比で濃縮培地成分溶液及び水性希釈剤を受け取り、それらを同時に混合するように適合された任意の混合容器を介して間接的に各々の灌流バイオリアクタへの入口に流体接続され、任意の混合容器は、各々の灌流バイオリアクタへの入口に直接流体接続される、複数のリザーバと、
(c)前記除去された透過液の体積が前記1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタから自動的かつ流体的に供給される、第1の使い捨てサージ容器(SUSV1)と、
(d)前記SUSV1から無細胞透過液を自動的かつ流体的に受け取るように適合され、それによって前記タンパク質がタンパク質単離物画分中に捕捉される、第1のクロマトグラフィシステムと、を含み、
前記自動化された設備は、プロセス自動化システム(PAS)によって制御される、自動化設備。
(21)
(e)前記第1のクロマトグラフィシステムから前記タンパク質単離物画分を自動的かつ流体的に受け取るように適合され、それによって前記タンパク質を含むウイルス不活性化生成物プールが得られる、低pH又は界面活性剤ウイルス不活化システム、及び必要に応じて中和システムと、
(f)前記ウイルス不活化生成物プールを受け取るように適合された保持容器又は第2の使い捨てサージ容器と、を更に含む、(20)に記載の自動化設備。
(22)
(g)前記保持容器又は前記第2の使い捨てサージ容器から前記ウイルス不活化生成物プールを流体的に受け取るように適合され、それによって前記タンパク質を含む精製した生成物プールが得られる、第2のクロマトグラフィシステムと、
(h)前記タンパク質を含む前記精製した生成物プールを前記第2のクロマトグラフィシステムから流体的に受け取るように適合され、それによって前記タンパク質を含むウイルスフリーの濾液が得られる、任意の第3のクロマトグラフィシステム及び/又はウイルス濾過システムと、
(i)前記第2のクロマトグラフィシステムから、又は前記第3のクロマトグラフィシステム及び/又は前記ウイルス濾過システムから前記ウイルスフリーの濾液を流体的に受け取るように適合され、それによって前記精製した目的のタンパク質が得られる、限外濾過/透析濾過システムと、を更に含む、(20)に記載の自動化設備。
(23)
1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタが、約50L~約4000Lの体積の液体培地を含むことができる、(20)に記載の自動化設備。
(24)
SUSV1の流体体積を測定するための検出器と、前記第1のクロマトグラフィシステムのポンプ速度を変化させてSUSV1の予め設定された体積範囲を維持するためのプロセッサとを含む自動制御装置を更に含む、(20)に記載の自動化設備。
(25)
前記第1のクロマトグラフィシステム、前記第2のクロマトグラフィシステム、前記第3のクロマトグラフィシステム、前記低pH又は界面活性剤ウイルス不活化システム、前記中和システム、前記ウイルス濾過システム、又は前記限外濾過/透析濾過システムのうちの1つ又は複数が、使い捨て構成要素を含む、(20)に記載の自動化設備。
(26)
前記第1のクロマトグラフィシステムの下流に直接流体接続され、
(i)第2の使い捨てサージ容器、又は
(ii)前記タンパク質単離物画分を受け取るように適合された、少なくとも2つの自動的に切り替え可能な代替の使い捨て収集容器(SUCV1及びSUCV2)とを更に含み、
(i)及び(ii)は、前記第1のクロマトグラフィシステムから前記タンパク質単離物画分を受け取り、前記タンパク質単離物画分を前記低pH又は界面活性剤ウイルス不活化システムに流体供給するように適合されている、(20)に記載の自動化設備。
(27)
前記低pH又は界面活性剤ウイルス不活化システム、及び必要に応じて前記中和システムが、
(i)前記タンパク質単離物画分を受け取るように適合された第2の使い捨てサージ容器、又は
(ii)前記タンパク質単離物画分を受け取るように適合された、少なくとも2つの自動的に切り替え可能な代替の使い捨て収集容器(SUCV1及びSUCV2)を含み、
ウイルス不活化、及び必要に応じて中和が、第2の使い捨てサージ容器内、又はSUCV1及びSUCV2内で行われる、(21)に記載の自動化設備。
(28)
前記透過液が前記SUSV1に自動的かつ流体的に供給される前に、中空繊維膜、一連のデプスフィルタ、又は濾過カートを更に含む、(20)に記載の自動化設備。
(29)
(f)において、前記ウイルス不活化生成物プールを受け取るために適合された使い捨てサージ容器を含む、(21)に記載の自動化設備。
(30)
前記SUSV1の上流に熱交換器を更に含む、(20)に記載の自動化設備。
(31)
前記SUSV1の上流に濾過システムを更に含む、(20)に記載の自動化設備。
(32)
(i)前記第2クロマトグラフィシステム、
(ii)前記任意の第3のクロマトグラフィシステム、
(iii)前記ウイルス濾過システム、及び
(iv)前記限外濾過/透析濾過システム、のうちの1つ又は複数が、
先行するシステムに自動的かつ流体的に接続され、前記接続されたシステム間の物質の中断されない流れを調整するためにサージ容器が任意選択的に使用される、(22)に記載の自動化設備。
(33)
前記少なくとも1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタ、SUSV1、前記第1のクロマトグラフィシステム、前記低pH又は界面活性剤ウイルス不活化システム、前記保持容器又は使い捨てサージ容器、前記第2のクロマトグラフィシステム、前記任意の第3のクロマトグラフィシステム及び/又はウイルス濾過システム、並びに限外濾過/透析濾過システムが、前記精製した目的のタンパク質の生成ラインの第1の構成に配置された第1の機器を含み、
第1の複数の制御モジュールが、前記第1の機器の動作を制御するために実装される、(20)から(22)のいずれかに記載の自動化設備。
(34)
第2の機器が、追加の精製した目的のタンパク質のための生成ラインの第2の構成に配置され、生成ラインの第2の構成が、少なくとも1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタ、第1のクロマトグラフィシステム、低pH又は界面活性剤ウイルス不活化システム、第2のクロマトグラフィシステム、限外濾過/透析濾過システム、及び複数の混合容器を含み、
前記生成ラインの第2の構成が、前記生成ラインの第1の構成とは異なり、
第2の複数の制御モジュールが、前記第2の機器の動作を制御するために実装され、
前記複数の混合容器のうちの少なくとも1つの混合容器が、前記第1の構成及び前記第2の構成の両方に含まれ、
前記少なくとも1つの混合容器が、前記第1の構成では第1の機能を有し、前記第2の構成では第2の機能を有し、前記第2の機能は前記第1の機能とは異なる、(33)に記載の自動化設備。
(35)
複数のフィルタアセンブリを含む可搬式フィルタバンクであって、前記複数のフィルタアセンブリの第1のフィルタアセンブリが第1のフィルタを含み、前記複数のフィルタアセンブリの第2のフィルタアセンブリが第2のフィルタを含む、可搬式フィルタバンクと、
生成設備制御システムであって、
材料が前記第1のフィルタアセンブリを通って流れるときに前記第1のフィルタアセンブリ内の圧力を監視し、
前記第1のフィルタアセンブリ内の前記圧力が少なくとも閾値であると判定し、
シグナルを送信して、前記第1のフィルタアセンブリ及び前記第2のフィルタアセンブリに連結されたダイバータバルブを動作させて、材料を第2のフィルタアセンブリに流入させる、生成設備制御システムと、を更に含む、(20)から(22)のいずれかに記載の自動化設備。
(36)
前記1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタが、少なくとも20日間の生成培養期間の間、培養細胞が前記培地中に前記タンパク質を分泌することを可能にする条件下で液体培地を含むことができる、(20)に記載の自動化設備。
(37)
前記目的のタンパク質が組換えタンパク質である、(20)に記載の自動化設備。
(38)
前記目的のタンパク質が治療用タンパク質である、(20)に記載の自動化設備。
(39)
目的のタンパク質を含む精製タンパク質原薬を製造するためのプロセスであって、以下のステップ、
(a)少なくとも10日の生成培養期間にわたって、液体培地を含む1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタ内で、細胞が前記液体培地中に前記タンパク質を分泌することを可能にする条件下で哺乳動物細胞を培養することであって、前記生成培養期間中に、定期的又は連続的に、新鮮な滅菌液体培地を1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタに添加して、透過液又は細胞ブリードの体積として灌流バイオリアクタの各々から連続的又は定期的に除去される培養物の体積に直接関連して、灌流バイオリアクタの各々において一定の培養体積を維持し、除去された透過液の体積は、1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタから使い捨てサージ容器に、次いで第1のクロマトグラフィシステムに自動的かつ流体的に供給され、それによって前記タンパク質がタンパク質単離物画分中に収集されることと、
(b)前記タンパク質単離物画分を低pH又は界面活性剤ウイルス不活化システム、及び必要に応じて中和システムに切り替えて、前記タンパク質を含むウイルス不活化生成物プールを得ることと、
(c)前記ウイルス不活化生成物プールを第2のクロマトグラフィシステムに導入して、前記タンパク質を含む精製した生成物プールを得ることと、
(d)前記タンパク質を含む前記精製した生成物プールを任意の第3のクロマトグラフィシステム及び/又はウイルス濾過システムに切り替えて、前記タンパク質を含むウイルスフリーの濾液を得ることと、
(e)前記ウイルスフリーの濾液を限外濾過/透析濾過システムに切り替えて、前記目的のタンパク質を含む前記精製タンパク質原薬を得ることと、を含む、プロセス。
(40)
前記新鮮な滅菌液体培地が、前記1つ又は複数の灌流バイオリアクタに添加されて、前記灌流バイオリアクタの各々において培養体積を一定に維持する前に、複数の異なる濃縮培地成分溶液及び水性希釈剤から同時に混合される、(39)に記載のプロセス。
(41)
前記目的のタンパク質が組換えタンパク質である、(39)に記載のプロセス。
(42)
前記目的のタンパク質が治療用タンパク質である、(39)に記載のプロセス。
(43)
精製されたタンパク質原薬を製造するための自動化設備であって、前記設備が、
(a)培養哺乳動物細胞が少なくとも10日間の生成培養期間にわたって目的のタンパク質を培地中に分泌することを可能にする条件下で液体培地を含有することができる1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタであって、前記生成培養期間中に透過液又は細胞ブリードの体積として前記灌流バイオリアクタの各々から連続的又は定期的に除去される条件培地の体積に直接関連して、新鮮な滅菌液体培地を前記灌流バイオリアクタの各々に流体的に受け入れるように適合されている、前記使い捨て灌流バイオリアクタと、
(b)前記除去された透過液の体積が前記1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタから自動的かつ流体的に供給される、第1の使い捨てサージ容器(SUSV1)と、
(c)前記SUSV1から透過液を自動的かつ流体的に受け取るように適合され、それによって前記タンパク質がタンパク質単離物画分中に捕捉される、第1のクロマトグラフィシステムと、
(d)前記第1のクロマトグラフィシステムから前記タンパク質単離物画分を自動的かつ流体的に受け取るように適合され、それによって前記タンパク質を含むウイルス不活性化生成物プールが得られる、低pH又は界面活性剤ウイルス不活化システム、及び必要に応じて中和システムと、
(e)前記ウイルス不活化生成物プールを受け取るように適合された保持容器又は使い捨てサージ容器と、
(f)前記保持容器又は使い捨てサージ容器から前記ウイルス不活化生成物プールを流体的に受け取るように適合され、それによって前記タンパク質を含む精製した生成物プールが得られる、第2のクロマトグラフィシステムと、
(g)前記タンパク質を含む前記精製した生成物プールを前記第2のクロマトグラフィシステムから流体的に受け取るように適合され、それによって前記タンパク質を含むウイルスフリーの濾液が得られる、任意の第3のクロマトグラフィシステム及び/又はウイルス濾過システムと、
(h)前記第2のクロマトグラフィシステムから、又は前記第3のクロマトグラフィシステム及び/又は前記ウイルス濾過システムから前記ウイルスフリーの濾液を流体的に受け取るように適合され、それによって前記精製タンパク質原薬が得られる、限外濾過/透析濾過システムと、を含み、
前記自動化された設備は、プロセス自動化システム(PAS)によって制御される、自動化設備。
(44)
各々が濃縮培地成分溶液又は水性希釈剤を含むように適合された複数のリザーバが、直接的に、又は複数のリザーバから所定の比で濃縮培地成分溶液及び水性希釈剤を受け取り、それらを同時に混合するように適合された任意の混合容器を介して間接的に灌流バイオリアクタに流体接続され、任意の混合容器は、灌流バイオリアクタに直接流体接続される、(43)に記載の自動化設備。
(45)
前記目的のタンパク質が組換えタンパク質である、(43)に記載の自動化設備。
(46)
前記目的のタンパク質が治療用タンパク質である、(43)に記載の自動化設備。
(47)
前記設備が連続形式で動作するように構成されている、(20)から(22)又は(43)のいずれかに記載の自動化設備。
(48)
前記プロセスが連続形式で行われる、(1)から(3)、(6)、又は(39)のいずれかに記載のプロセス。
(49)
前記第1のクロマトグラフィシステムが、使用前に過酢酸を含む化学消毒剤溶液で消毒される、(1)から(3)、(6)、又は(39)のいずれかに記載のプロセス。
(50)
前記限外濾過/透析濾過システムが、シングルパスタンジェンシャルフロー濾過(SPTFF)を含み、前記SPTFFの作動圧力が約0.25psi~約60psiの範囲に制御される、(3)又は(39)に記載のプロセス。
(51)
前記限外濾過/透析濾過システムが、インラインデプス濾過(ILDF)を含み、前記ILDFの前記作動圧力が約0.25psi~約60psiの範囲に制御される、(3)又は(39)に記載のプロセス。
本発明にはさらに以下の好ましい態様が含まれる。
(1)精製した目的のタンパク質を製造するためのプロセスであって、以下のステップ、
(a)少なくとも10日の生成培養期間にわたって、液体培地を含む1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタ内で、細胞が前記液体培地中に前記タンパク質を分泌することを可能にする条件下で哺乳動物細胞を培養することであって、前記生成培養期間中に、定期的又は連続的に、新鮮な滅菌液体培地を1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタに添加して、透過液又は細胞ブリードの体積として灌流バイオリアクタの各々から連続的又は定期的に除去される培養物の体積に直接関連して、灌流バイオリアクタの各々において一定の培養体積を維持し、除去された透過液の体積は、1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタから使い捨てサージ容器に、次いで第1のクロマトグラフィシステムに自動的かつ流体的に供給され、それによって前記タンパク質がタンパク質単離物画分中に収集されること、を含む、プロセス。
(2)精製した目的のタンパク質を製造するためのプロセスであって、以下のステップ、
(a)少なくとも10日の生成培養期間にわたって、液体培地を含む1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタ内で、細胞が前記液体培地中に前記タンパク質を分泌することを可能にする条件下で哺乳動物細胞を培養することであって、前記生成培養期間中に、定期的又は連続的に、複数の異なる濃縮培地成分溶液及び水性希釈剤から同時に混合される新鮮な滅菌液体培地を1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタに添加して、透過液又は細胞ブリードの体積として灌流バイオリアクタの各々から連続的又は定期的に除去される培養物の体積に直接関連して、灌流バイオリアクタの各々において一定の培養体積を維持し、除去された透過液の体積は、1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタから使い捨てサージ容器に、次いで第1のクロマトグラフィシステムに自動的かつ流体的に供給され、それによって前記タンパク質がタンパク質単離物画分中に収集されること、を含む、プロセス。
(3)
以下のステップ、
(b)前記タンパク質単離物画分を低pH又は界面活性剤ウイルス不活化システム、及び必要に応じて中和システムに切り替えて、前記タンパク質を含むウイルス不活化生成物プールを得ることを更に含む、(1)又は(2)に記載のプロセス。
(4)
以下のステップ、
(c)前記ウイルス不活化生成物プールを第2のクロマトグラフィシステムに導入して、前記タンパク質を含む精製した生成物プールを得ることと、
(d)前記タンパク質を含む前記精製した生成物プールを任意の第3のクロマトグラフィシステム及び/又はウイルス濾過システムに切り替えて、前記タンパク質を含むウイルスフリーの濾液を得ることと、
(e)前記ウイルスフリーの濾液を限外濾過/透析濾過システムに切り替えて、精製した目的のタンパク質を含む組成物を得ることと、を更に含む、(3)に記載のプロセス。
(5)
前記目的のタンパク質が組換えタンパク質である、(1)又は(2)に記載のプロセス。
(6)
前記目的のタンパク質が治療用タンパク質である、(1)又は(2)に記載のプロセス。
(7)
前記第1のクロマトグラフィシステム、前記第2のクロマトグラフィシステム、前記第3のクロマトグラフィシステム、前記低pH又は界面活性剤ウイルス不活化システム、前記中和システム、前記ウイルス濾過システム、又は前記限外濾過/透析濾過システムのうちの1つ又は複数が、1つ又は複数の使い捨て構成要素を含む、(1)、(2)、又は((4)に記載のプロセス。
(8)
前記哺乳動物細胞が、2個、3個、4個、5個又は6個の使い捨て灌流バイオリアクタで培養される、(1)又は(2)に記載のプロセス。
(9)
前記1つ又は複数の使い捨てバイオリアクタが、約50L~約4000Lの体積の液体培地を含むことができる、(1)又は(2)に記載のプロセス。
(10)
前記複数の異なる濃縮培地成分溶液を互いに対して固定比で前記灌流バイオリアクタに直接注入することによって、前記新鮮な滅菌液体培地が前記1つ又は複数の灌流バイオリアクタに添加される一方で、水性希釈剤もまた、前記複数の異なる濃縮成分溶液に対して様々な比で添加されて、各灌流バイオリアクタ内の培養体積を一定に維持する、(2)に記載のプロセス。
(11)
前記複数の異なる濃縮培地成分溶液及び前記水性希釈剤を互いに対して固定比で前記灌流バイオリアクタに直接注入することによって、前記新鮮な滅菌液体培地が前記1つ又は複数の灌流バイオリアクタに添加されて、各灌流バイオリアクタ内の培養体積を一定に維持する、(2)に記載のプロセス。
(12)
前記複数の異なる濃縮培地成分溶液及び前記水性希釈剤を互いに対して固定比で混合チャンバに注入することによって、前記新鮮な滅菌液体培地が前記1つ又は複数の灌流バイオリアクタに添加されて、培養体積を一定に維持する、ここで、新鮮な滅菌液体培地は各灌流バイオリアクタに添加される前に同時に混合される、(2)に記載のプロセス。
(13)
検出器を含む自動制御装置を使用して、前記使い捨てサージ容器内の流体体積を測定し、プロセッサが、前記第1のクロマトグラフィシステムのポンプ速度を変化させて前記使い捨てサージ容器内の予め設定された体積範囲を維持する、(1)又は(2)に記載のプロセス。
(14)
ステップ(b)、(c)、(d)、又は(e)のうちの1つ又は複数が、前のステップからの中断されない流れで自動的かつ流体的に実行され、1つ又は複数のステップの間にサージ容器が使用され、プロセッサが、後続のステップでポンプ速度を変化させて、後続のステップに先行するサージ容器の予め設定された体積範囲を調整する、(3)又は(4)に記載のプロセス。
(15)
pH及び/又は導電率負荷のインライン又は容器内調整が、ステップ(b)、(c)、(d)、又は(e)のうちの1つ又は複数の間で行われる、(14)に記載のプロセス。
(16)
(i)プロセス自動化システムが、少なくとも前記1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタ、使い捨てサージ容器、及び前記第1のクロマトグラフィシステムと電子通信しており、
(ii)前記プロセス自動化システムが、前記1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタのうちの少なくとも1つの使い捨て灌流バイオリアクタの動作を制御するための制御モジュールの第1のセットを格納し、
(iii)前記プロセス自動化システムが、供給タンクの動作を制御するための制御モジュールの第2のセットを格納し、
(iv)前記プロセス自動化システムが、収集タンクの動作を制御するための制御モジュールの第3のセットを格納し、
(v)前記少なくとも1つの使い捨て灌流バイオリアクタが、1つ又は複数の供給タンク、1つ又は複数の収集タンク、又はフィルタバンクに連結されるように論理的に構成される、(1)又は(2)に記載のプロセス。
(17)
前記少なくとも1つの使い捨て灌流バイオリアクタがスキッド上に配置され、前記スキッドが、前記少なくとも1つの使い捨て灌流バイオリアクタを複数の可搬式機器に電子的に連結するための複数の通信インターフェースを含む、(16)に記載のプロセス。
(18)
前記プロセス自動化システムによって、前記通信インターフェースを介して受信されたデータに基づいて、前記使い捨てサージ容器が前記複数の通信インターフェースのうちの1つの通信インターフェースに結合されたことを決定することであって、前記データが、前記使い捨てサージ容器の識別子及び前記使い捨てサージ容器の機能を示すことと、
前記使い捨てサージ容器の前記識別子及び前記機能に少なくとも部分的に基づいて、前記使い捨てサージ容器が収集タンクであり、前記制御モジュールの第3のセットが前記使い捨てサージ容器の動作を制御するためのものであることを決定することと、を更に含む、(17)に記載のプロセス。
(19)
前記プロセス自動化システムによって、追加の通信インターフェースを介して受信された追加のデータに基づいて、混合容器が前記複数の通信インターフェースのうちの追加の通信インターフェースに結合されたことを決定することであって、前記追加のデータが、前記混合容器の追加の識別子及び前記混合容器の追加の機能を示すことと、
前記混合容器の前記追加の識別子及び前記追加の機能に少なくとも部分的に基づいて、前記混合容器が供給タンクであり、前記制御モジュールの第2のセットが前記混合容器の動作を制御するためのものであることを決定することと、を更に含む、(18)に記載のプロセス。
(20)
前記使い捨てサージ容器の前記識別子及び前記使い捨てサージ容器の前記機能が、前記使い捨てサージ容器に結合されたドングルに格納される、(18)に記載のプロセス。
(21)
生成培養期間が少なくとも20日間である、(1)又は(2)に記載のプロセス。
(22)
精製した目的のタンパク質を製造するための自動化設備であって、前記設備は、
(a)少なくとも10日の生成培養期間の間、培養細胞が液体培地中に前記タンパク質を分泌することを可能にする条件下で前記液体培地を含有することができる1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタであって、前記生成培養期間中に透過液又は細胞ブリードの体積として前記灌流バイオリアクタの各々から連続的又は定期的に除去される条件培地の体積に直接関連して、新鮮な滅菌液体培地を前記灌流バイオリアクタの各々に流体的に受け取るように適合されている、使い捨て灌流バイオリアクタと、
(b)前記除去された透過液の体積が前記1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタから自動的かつ流体的に供給される、第1の使い捨てサージ容器(SUSV1)と、
(c)前記SUSV1から無細胞透過液を自動的かつ流体的に受け取るように適合され、それによって前記タンパク質がタンパク質単離物画分中に捕捉される、第1のクロマトグラフィシステムと、を含み、
前記自動化された設備は、プロセス自動化システム(PAS)によって制御される、自動化設備。
(23)
各々が濃縮培地成分溶液又は水性希釈剤を含むように適合された複数のリザーバを更に含み、複数のリザーバは、直接的に、又は前記複数のリザーバから所定の比で濃縮培地成分溶液及び水性希釈剤を受け取り、それらを同時に混合するように適合された任意の混合容器を介して間接的に灌流バイオリアクタに流体接続され、任意の混合容器は、前記灌流バイオリアクタに直接流体接続される、(22)に記載の自動化設備。
(24)
(d)前記第1のクロマトグラフィシステムから前記タンパク質単離物画分を自動的かつ流体的に受け取るように適合され、それによって前記タンパク質を含むウイルス不活性化生成物プールが得られる、低pH又は界面活性剤ウイルス不活化システム、及び必要に応じて中和システムと、
(e)前記ウイルス不活化生成物プールを受け取るように適合された保持容器又は第2の使い捨てサージ容器と、を更に含む、(22)に記載の自動化設備。
(25)
(f)前記保持容器又は前記第2の使い捨てサージ容器から前記ウイルス不活化生成物プールを流体的に受け取るように適合され、それによって前記タンパク質を含む精製した生成物プールが得られる、第2のクロマトグラフィシステムと、
(g)前記タンパク質を含む前記精製した生成物プールを前記第2のクロマトグラフィシステムから流体的に受け取るように適合され、それによって前記タンパク質を含むウイルスフリーの濾液が得られる、任意の第3のクロマトグラフィシステム及び/又はウイルス濾過システムと、
(h)前記第2のクロマトグラフィシステムから、又は前記第3のクロマトグラフィシステム及び/又は前記ウイルス濾過システムから前記ウイルスフリーの濾液を流体的に受け取るように適合され、それによって前記精製した目的のタンパク質が得られる、限外濾過/透析濾過システムと、を更に含む、(22)に記載の自動化設備。
(26)
1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタが、約50L~約4000Lの体積の液体培地を含むことができる、(22)に記載の自動化設備。
(27)
SUSV1の流体体積を測定するための検出器と、前記第1のクロマトグラフィシステムのポンプ速度を変化させてSUSV1の予め設定された体積範囲を維持するためのプロセッサとを含む自動制御装置を更に含む、(22)に記載の自動化設備。
(28)
前記第1のクロマトグラフィシステム、前記第2のクロマトグラフィシステム、前記第3のクロマトグラフィシステム、前記低pH又は界面活性剤ウイルス不活化システム、前記中和システム、前記ウイルス濾過システム、又は前記限外濾過/透析濾過システムのうちの1つ又は複数が、使い捨て構成要素を含む、(22)に記載の自動化設備。
(29)
前記第1のクロマトグラフィシステムの下流に直接流体接続され、
(i)第2の使い捨てサージ容器、又は
(ii)前記タンパク質単離物画分を受け取るように適合された、少なくとも2つの自動的に切り替え可能な代替の使い捨て収集容器(SUCV1及びSUCV2)とを更に含み、
(i)及び(ii)は、前記第1のクロマトグラフィシステムから前記タンパク質単離物画分を受け取り、前記タンパク質単離物画分を前記低pH又は界面活性剤ウイルス不活化システムに流体供給するように適合されている、(22)に記載の自動化設備。
(30)
前記低pH又は界面活性剤ウイルス不活化システム、及び必要に応じて前記中和システムが、
(i)前記タンパク質単離物画分を受け取るように適合された第2の使い捨てサージ容器、又は
(ii)前記タンパク質単離物画分を受け取るように適合された、少なくとも2つの自動的に切り替え可能な代替の使い捨て収集容器(SUCV1及びSUCV2)を含み、
ウイルス不活化、及び必要に応じて中和が、第2の使い捨てサージ容器内、又はSUCV1及びSUCV2内で行われる、(24)に記載の自動化設備。
(31)
前記透過液が前記SUSV1に自動的かつ流体的に供給される前に、中空繊維膜、一連のデプスフィルタ、又は濾過カートを更に含む、(22)に記載の自動化設備。
(32)
(e)において、前記ウイルス不活化生成物プールを受け取るために適合された使い捨てサージ容器を含む、(24)に記載の自動化設備。
(33)
前記SUSV1の上流に熱交換器を更に含む、(22)に記載の自動化設備。
(34)
前記SUSV1の上流に濾過システムを更に含む、(22)に記載の自動化設備。
(35)
(i)前記第2クロマトグラフィシステム、
(ii)前記任意の第3のクロマトグラフィシステム、
(iii)前記ウイルス濾過システム、及び
(iv)前記限外濾過/透析濾過システム、のうちの1つ又は複数が、
先行するシステムに自動的かつ流体的に接続され、前記接続されたシステム間の物質の中断されない流れを調整するためにサージ容器が任意選択的に使用される、(25)に記載の自動化設備。
(36)
前記少なくとも1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタ、SUSV1、前記第1のクロマトグラフィシステム、前記低pH又は界面活性剤ウイルス不活化システム、前記保持容器又は使い捨てサージ容器、前記第2のクロマトグラフィシステム、前記任意の第3のクロマトグラフィシステム及び/又はウイルス濾過システム、並びに限外濾過/透析濾過システムが、前記精製した目的のタンパク質の生成ラインの第1の構成に配置された第1の機器を含み、
第1の複数の制御モジュールが、前記第1の機器の動作を制御するために実装される、(22)から(25)のいずれかに記載の自動化設備。
(37)
第2の機器が、追加の精製した目的のタンパク質のための生成ラインの第2の構成に配置され、生成ラインの第2の構成が、少なくとも1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタ、第1のクロマトグラフィシステム、低pH又は界面活性剤ウイルス不活化システム、第2のクロマトグラフィシステム、限外濾過/透析濾過システム、及び複数の混合容器を含み、
前記生成ラインの第2の構成が、前記生成ラインの第1の構成とは異なり、
第2の複数の制御モジュールが、前記第2の機器の動作を制御するために実装され、
前記複数の混合容器のうちの少なくとも1つの混合容器が、前記第1の構成及び前記第2の構成の両方に含まれ、
前記少なくとも1つの混合容器が、前記第1の構成では第1の機能を有し、前記第2の構成では第2の機能を有し、前記第2の機能は前記第1の機能とは異なる、(36)に記載の自動化設備。
(38)
複数のフィルタアセンブリを含む可搬式フィルタバンクであって、前記複数のフィルタアセンブリの第1のフィルタアセンブリが第1のフィルタを含み、前記複数のフィルタアセンブリの第2のフィルタアセンブリが第2のフィルタを含む、可搬式フィルタバンクと、
生成設備制御システムであって、
材料が前記第1のフィルタアセンブリを通って流れるときに前記第1のフィルタアセンブリ内の圧力を監視し、
前記第1のフィルタアセンブリ内の前記圧力が少なくとも閾値であると判定し、
シグナルを送信して、前記第1のフィルタアセンブリ及び前記第2のフィルタアセンブリに連結されたダイバータバルブを動作させて、材料を第2のフィルタアセンブリに流入させる、生成設備制御システムと、を更に含む、(22)から(25)のいずれかに記載の自動化設備。
(39)
第1の期間中、前記フィルタバンクが前記第1の使い捨てサージ容器(SUSV1)と前記第1のクロマトグラフィシステムとの間に連結され、前記材料が前記透過液を含み、前記フィルタバンクが、前記フィルタバンクの第1の識別子及び前記フィルタバンクの第1の機能を示す第1のドングルに連結される、(38)に記載の自動化設備。
(40)
第2の期間中、前記フィルタバンクが前記限外濾過/透析濾過システムに含まれ、前記材料が前記ウイルスフリーの濾液であり、前記フィルタバンクが、前記フィルタバンクの第2の識別子及び前記フィルタバンクの第2の機能を示す第2のドングルに連結される、(39)に記載の自動化設備。
(41)
前記1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタが、少なくとも20日間の生成培養期間の間、培養細胞が前記培地中に前記タンパク質を分泌することを可能にする条件下で液体培地を含むことができる、(22)に記載の自動化設備。
(42)
前記目的のタンパク質が組換えタンパク質である、(22)に記載の自動化設備。
(43)
前記目的のタンパク質が治療用タンパク質である、(22)に記載の自動化設備。
(44)
目的のタンパク質を含む精製タンパク質原薬を製造するためのプロセスであって、以下のステップ、
(a)少なくとも10日の生成培養期間にわたって、液体培地を含む1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタ内で、細胞が前記液体培地中に前記タンパク質を分泌することを可能にする条件下で哺乳動物細胞を培養することであって、前記生成培養期間中に、定期的又は連続的に、新鮮な滅菌液体培地を1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタに添加して、透過液又は細胞ブリードの体積として灌流バイオリアクタの各々から連続的又は定期的に除去される培養物の体積に直接関連して、灌流バイオリアクタの各々において一定の培養体積を維持し、除去された透過液の体積は、1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタから使い捨てサージ容器に、次いで第1のクロマトグラフィシステムに自動的かつ流体的に供給され、それによって前記タンパク質がタンパク質単離物画分中に収集されることと、
(b)前記タンパク質単離物画分を低pH又は界面活性剤ウイルス不活化システム、及び必要に応じて中和システムに切り替えて、前記タンパク質を含むウイルス不活化生成物プールを得ることと、
(c)前記ウイルス不活化生成物プールを第2のクロマトグラフィシステムに導入して、前記タンパク質を含む精製した生成物プールを得ることと、
(d)前記タンパク質を含む前記精製した生成物プールを任意の第3のクロマトグラフィシステム及び/又はウイルス濾過システムに切り替えて、前記タンパク質を含むウイルスフリーの濾液を得ることと、
(e)前記ウイルスフリーの濾液を限外濾過/透析濾過システムに切り替えて、前記目的のタンパク質を含む前記精製タンパク質原薬を得ることと、を含む、プロセス。
(45)
前記新鮮な滅菌液体培地が、前記1つ又は複数の灌流バイオリアクタに添加されて、前記灌流バイオリアクタの各々において培養体積を一定に維持する前に、複数の異なる濃縮培地成分溶液及び水性希釈剤から同時に混合される、(44)に記載のプロセス。
(46)
前記目的のタンパク質が組換えタンパク質である、(44)に記載のプロセス。
(47)
前記目的のタンパク質が治療用タンパク質である、(44)に記載のプロセス。
(48)
精製されたタンパク質原薬を製造するための自動化設備であって、前記設備が、
(a)培養哺乳動物細胞が少なくとも10日間の生成培養期間にわたって目的のタンパク質を培地中に分泌することを可能にする条件下で液体培地を含有することができる1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタであって、前記生成培養期間中に透過液又は細胞ブリードの体積として前記灌流バイオリアクタの各々から連続的又は定期的に除去される条件培地の体積に直接関連して、新鮮な滅菌液体培地を前記灌流バイオリアクタの各々に流体的に受け入れるように適合されている、前記使い捨て灌流バイオリアクタと、
(b)前記除去された透過液の体積が前記1つ又は複数の使い捨て灌流バイオリアクタから自動的かつ流体的に供給される、第1の使い捨てサージ容器(SUSV1)と、
(c)前記SUSV1から透過液を自動的かつ流体的に受け取るように適合され、それによって前記タンパク質がタンパク質単離物画分中に捕捉される、第1のクロマトグラフィシステムと、
(d)前記第1のクロマトグラフィシステムから前記タンパク質単離物画分を自動的かつ流体的に受け取るように適合され、それによって前記タンパク質を含むウイルス不活性化生成物プールが得られる、低pH又は界面活性剤ウイルス不活化システム、及び必要に応じて中和システムと、
(e)前記ウイルス不活化生成物プールを受け取るように適合された保持容器又は使い捨てサージ容器と、
(f)前記保持容器又は使い捨てサージ容器から前記ウイルス不活化生成物プールを流体的に受け取るように適合され、それによって前記タンパク質を含む精製した生成物プールが得られる、第2のクロマトグラフィシステムと、
(g)前記タンパク質を含む前記精製した生成物プールを前記第2のクロマトグラフィシステムから流体的に受け取るように適合され、それによって前記タンパク質を含むウイルスフリーの濾液が得られる、任意の第3のクロマトグラフィシステム及び/又はウイルス濾過システムと、
(h)前記第2のクロマトグラフィシステムから、又は前記第3のクロマトグラフィシステム及び/又は前記ウイルス濾過システムから前記ウイルスフリーの濾液を流体的に受け取るように適合され、それによって前記精製タンパク質原薬が得られる、限外濾過/透析濾過システムと、を含み、
前記自動化された設備は、プロセス自動化システム(PAS)によって制御される、自動化設備。
(49)
各々が濃縮培地成分溶液又は水性希釈剤を含むように適合された複数のリザーバが、直接的に、又は複数のリザーバから所定の比で濃縮培地成分溶液及び水性希釈剤を受け取り、それらを同時に混合するように適合された任意の混合容器を介して間接的に灌流バイオリアクタに流体接続され、任意の混合容器は、灌流バイオリアクタに直接流体接続される、(48)に記載の自動化設備。
(50)
前記目的のタンパク質が組換えタンパク質である、(48)に記載の自動化設備。
(51)
前記目的のタンパク質が治療用タンパク質である、(48)に記載の自動化設備。
(52)
前記設備が連続形式で動作するように構成されている、(22)から(25)又は(48)のいずれかに記載の自動化設備。
(53)
前記プロセスが連続形式で行われる、(1)から(4)、(7)、又は(44)のいずれかに記載のプロセス。
(54)
前記第1のクロマトグラフィシステムが、使用前に過酢酸を含む化学消毒剤溶液で消毒される、(1)から(4)、(7)、又は(44)のいずれかに記載のプロセス。
(55)
前記限外濾過/透析濾過システムが、シングルパスタンジェンシャルフロー濾過(SPTFF)を含み、前記SPTFFの作動圧力が約0.25psi~約60psiの範囲に制御される、(4)又は(44)に記載のプロセス。
(56)
前記限外濾過/透析濾過システムが、インラインデプス濾過(ILDF)を含み、前記ILDFの前記作動圧力が約0.25psi~約60psiの範囲に制御される、(4)又は(44)に記載のプロセス。
【外国語明細書】