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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017498
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 5/293 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
H02M5/293 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022120168
(22)【出願日】2022-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】一木 敏
(72)【発明者】
【氏名】吉住 秀夫
(72)【発明者】
【氏名】松原 雄一
【テーマコード(参考)】
5H750
【Fターム(参考)】
5H750AA02
5H750BA01
5H750CC02
5H750CC06
5H750DD14
5H750DD18
5H750FF05
5H750FF06
(57)【要約】
【課題】転流時における電圧の跳ね上がりを防ぐことができる電力変換装置を提供する。
【解決手段】本発明の一形態に係る電力変換装置は、双方向スイッチ回路と、制御部とを備える。前記双方向スイッチ回路は、3相交流電源から入力された3相交流電力の負荷への供給をON/OFFするスイッチング素子組を各相に有する。第1のスイッチング素子組および第2のスイッチング素子組は、負荷側に接続されて電力の供給をON/OFFする前段側半導体素子と、3相交流電源側に接続されて電力の供給をON/OFFする後段側半導体素子と、を夫々有する。制御部は、転流のためのスイッチングパターンとして、第2スイッチング素子組の前段側半導体素子をONにする第1ステップと、第1スイッチング素子組の前段側半導体素子又は第1スイッチング素子組の後段側半導体素子の何れか一方をOFFにする第2ステップとを順に実行させるスイッチングパターンを生成する。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3相交流電源から入力された3相交流電力の負荷への供給をON/OFFするスイッチング素子組を各相に有する双方向スイッチ回路と、
一のスイッチング素子組である第1スイッチング素子組から他のスイッチング素子組である第2スイッチング素子へ電流を転流するためのスイッチングパターンを生成する制御部と、を備え、
前記第1のスイッチング素子組および前記第2のスイッチング素子組は、前記負荷側に接続されて電力の供給をON/OFFする前段側半導体素子と、前記3相交流電源側に接続されて電力の供給をON/OFFする後段側半導体素子と、をそれぞれ有し、
前記制御部は、転流のためのスイッチングパターンとして、前記第2スイッチング素子組の前記前段側半導体素子をONにする第1ステップと、前記第1スイッチング素子組の前記前段側半導体素子又は前記第1スイッチング素子組の前記後段側半導体素子のいずれか一方をOFFにする第2ステップとを順に実行させるスイッチングパターンを生成する
電力変換装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電力変換装置であって、
前記制御部は、さらに、前記第2スイッチング素子組の前記後段側半導体素子をONにする第3ステップと、前記第1スイッチング素子組の前記後段側半導体素子をOFFにする第4ステップとを順に実行させるスイッチングパターンを生成する
電力変換装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電力変換装置であって、
前記前段側半導体素子および前記後段側半導体素子は、MOSFETである
電力変換装置。
【請求項4】
請求項3に記載の電力変換装置であって、
前記前段側半導体素子および前記後段側半導体素子は、還流ダイオードを有する
電力変換装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の電力変換装置であって、
前記制御部は、前記第1スイッチング素子組に接続される相電圧が前記第2スイッチング素子組に接続される相電圧よりも高いときに、前記第2ステップとして、前記第1スイッチング素子組の前記前段側半導体素子をOFFにする
電力変換装置。
【請求項6】
請求項1に記載の電力変換装置であって、
前記電力変換装置は、入力された3相交流電力を3相交流電力に直接変換して前記負荷に出力するマトリックスコンバータである
電力変換装置。
【請求項7】
請求項6に記載の電力変換装置であって、
前記制御部は、3相交流電力を3相交流電力に直接変換する際、前記入力された3相交流電力に対して、前記入力された3相交流電力における各相の電圧の大小関係に応じて区分された複数のモードに応じて異なる仮想AC/DC変換処理を行い、前記入力された3相交流電力のうち2相を選択し、選択された2相の線間電圧に対し、前記複数のモードに応じて異なる仮想DC/AC変換処理を行うように、前記双方向スイッチ回路のスイッチングパターンを生成する
電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置に関し、さらに詳しくは、マトリックスコンバータにおける転流技術に関する。
【背景技術】
【0002】
交流電力を直流電力に変換することなく直接交流電力に変換する電力変換装置は、一般的に、マトリックスコンバータとして知られている(例えば特許文献1参照)。マトリックスコンバータは、交流電力を直接交流電力に変換するため、交流電力を直流電力に変換するコンバータと直流電流を交流電力に変換するインバータを組み合わせた電力変換装置に比べて変換効率を高くすることができる。また、マトリックスコンバータには直流中間回路が無いことから平滑コンデンサも不要である。そのため、マトリックスコンバータは装置寿命を長くでき、信頼性を高くすることができる。
【0003】
例えば、入力された3相交流電力を3相交流電力に直接変換して負荷に出力するマトリックスコンバータとしては、双方向スイッチが用いられるものが知られている。双方向スイッチとして、負荷側に接続されて電力の供給をON/OFFするスイッチング素子(以下、前段側半導体素子ともいう)と、3相交流電源側に接続されて電力の供給をON/OFFするスイッチング素子(以下、後段側半導体素子ともいう)と、を有するスイッチング素子組が用いられる。これらのスイッチング素子組(双方向スイッチ)が負荷側の各相に対して3つずつ、合計9つ配置されることで、3相交流電力を3相交流電力に直接変換することが可能となる。なお、マトリックスコンバータが電力変換を行う際、交流電力と負荷の間を流れる電流を、ある相の双方向スイッチから他の相の双方向スイッチを流れるように切り替える(以下、転流ともいう)制御が行われる。
【0004】
例えば、入力された3相(R相、S相およびT相)の交流電力を3相(U相、V相およびW相)の交流電力に変換するマトリックスコンバータにおいては、R相、S相およびT相の交流電力からそれぞれU相の交流電力を生成する3つの双方向スイッチと、R相、S相およびT相の交流電力からそれぞれV相の交流電力を生成する3つの双方向スイッチと、R相、S相およびT相の交流電力からそれぞれW相の交流電力を生成する3つの双方向スイッチとの合計9つの双方向スイッチが用いられる。そして、R相、S相およびT相の電源電圧に基づいて生成されたスイッチングパターンによって、交流電力が直接交流電力に変換される。そして、例えばU相に対する電力供給側をR相からS相に切り替える際は、R相の双方向スイッチがON状態からOFF状態に切り替わると共に、S相の双方向スイッチがOFF状態からON状態に切り替わる。なお、双方向スイッチ間の転流は、転流のためのスイッチングパターンにより双方向スイッチがON/OFF制御されることで、実行される。
【0005】
一方、マトリックスコンバータでは、双方向スイッチのスイッチング時において、入力電流が短絡する短絡モードでの転流失敗と、負荷が交流電源から開放されるオープンモードでの転流失敗を回避する必要がある。例えば、短絡モードでの転流失敗では、双方向スイッチに大電流が流れることによるスイッチング素子の破壊が問題となる。また、オープンモードでの転流失敗では、電圧の跳ね上がりに起因するサージ電圧の発生が問題となる。
【0006】
これらの転流失敗に対しては、電源短絡を防止し、かつ負荷開放を回避する転流方式として、電圧転流方式と電流転流方式が知られている。電圧転流方式は、各相の電源電圧の大小関係をトリガーとして転流する方法であり、電流転流方式は、負荷電流の方向をトリガーにして転流する方法である。しかし、電圧転流方式は、電源電圧の大小関係の情報に基づいて転流を行うため、電源電圧を検出するセンサの検出遅れや電圧誤差によって、電源電圧の大小切り替わり付近で転流失敗が発生しやすい。一方、電流転流方式は、負荷電流のゼロクロス付近で転流失敗が発生しやすい。
【0007】
さらに、上記両方式の欠点を補い合う方式として、負荷電流のゼロクロス付近では電圧転流方式を適用し、その他の領域で電流転流方式を適用する複合転流方式が知られている。しかし、複合転流方式は、電流センサの追加によるコスト増という問題がある。なおこの問題に対しては、電圧情報を基に電流の方向を推定し、推定した電流方向に応じて転流パターンを決定する方式が提案されている(例えば非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第5672319号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】宅間春介、日下佳祐、伊藤淳一 「高周波単相マトリックスコンバータのサージ電圧抑制方式」 PE-17-036 PSE-17-036 SPC-17-085、インターネット<http://itohserver01.nagaokaut.ac.jp/itohlab/paper/2017/20170308_SPC%E4%B9%85%E7%B1%B3%E5%B3%B6/takuma.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
マトリックスコンバータにおける各双方向スイッチは、負荷側に接続されて電力の供給をON/OFFする前段側半導体素子と、交流電源側に接続されて電力の供給をON/OFFする後段側半導体素子と、をそれぞれ有する。例えば3相交流電源において、R相からU相への電力供給からS相からU相への電力供給へと切り替える転流制御を実行する場合、R相-U相間に配置された双方向スイッチ(以下、転流前スイッチともいう)をONからOFFに切り替え、S相-U相間に配置された双方向スイッチ(以下、転流後スイッチともいう)をOFFからONに切り替える。電圧転流方式および電流転流方式のいずれの場合にも、転流前スイッチの前段側および後段側の各半導体素子と、転流後スイッチの前段側および後段側の各半導体素子は、それぞれ同時にON/OFF制御されることはない。つまり、転流制御を実行する場合、転流前スイッチと転流後スイッチそれぞれの前段側および後段側の各半導体素子は交互にON/OFF制御される。
【0011】
しかしながら、前段側および後段側の2つの半導体素子を含む双方向スイッチを複数備える電力変換装置において、双方向スイッチをON/OFFする際に、半導体素子のON/OFF手順によっては大きなサージ電圧が発生する場合がある。
【0012】
例えば、U相へ供給される交流電源をR相からS相へ切り替える場合、いずれもON状態にあるR相の双方向スイッチ(転流前スイッチ)の半導体素子を先にOFFにすると、いずれもOFF状態にあるS相の双方向スイッチ(転流後スイッチ)の双方がONになるまでの間(S相とU相が導通するまでの間)は負荷電流が交流電源に還流されない。その結果、転流前スイッチと負荷との間で大きなサージ電圧が発生する(オープンモードでの転流失敗)。
【0013】
一方、双方向スイッチを形成する各半導体素子は、寄生ダイオードまたは別付けのダイオード(例えば、SBD(ショットキーバリアダイオード)など)からなる還流ダイオードが付加されるのが通常である。例えば、双方向スイッチを形成する半導体素子としてIGBTを用いた場合を考える。IGBTにゲート電圧が印加されると、IGBTの素子内をコレクタからエミッタに向けて電流が流れるが、エミッタからコレクタに向けた電流は流れない。従って、IGBTを用いた双方向スイッチの場合はゲート電圧のON、OFFに関わらず、エミッタからコレクタの向きに流れる電流はSBDなどの還流ダイオードを通じて流れる。次に、双方向スイッチを形成する半導体素子としてMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)を用いた場合を考える。MOSFETは、ゲート電圧を印加すると半導体素子内をドレイン(コレクタに相当)からソース(エミッタに相当)の方向へ電流が流れるだけでなく、ソースからドレインの方向へも電流が流れる。この場合、転流前スイッチにおける2つの半導体素子のうち電源側(ソース)から負荷側(ドレイン)へ電力を供給する半導体素子(後段側半導体素子)をOFFにすると、当該半導体素子内を電流が流れなくなる。従って、電源側(ソース)から負荷側(ドレイン)へ電流が流入するためには、SBDなどの外付けの還流ダイオードを介する必要がある。
【0014】
そして、電源側(ソース)から負荷側(ドレイン)へ電流が流入していた状態で上記後段側半導体素子がOFFした際、還流ダイオードを介して電流が流れるまでにタイムラグが生じ、負荷側へ流れる電流が瞬間的に遮断されることになる。このため、負荷側へ電流を流し続けようとする作用が働いて、負荷側の電圧が跳ね上がり、還流ダイオードを介しての負荷電流の還流が不可能となるという課題を本願の発明者らは見出した。この場合、オープンモードでの転流失敗が引き起こされる結果、負荷側の電圧の跳ね上がりが避けられない。
【0015】
上記課題に対し、本発明の目的は、転流時における電圧の跳ね上がりを防ぐことができる電力変換装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一形態に係る電力変換装置は、双方向スイッチ回路と、制御部とを備える。
前記双方向スイッチ回路は、3相交流電源から入力された3相交流電力の負荷への供給をON/OFFするスイッチング素子組を各相に有する。前記制御部は、一のスイッチング素子組である第1スイッチング素子組から他のスイッチング素子組である第2スイッチング素子へ電流を転流するためのスイッチングパターンを生成する。
前記第1のスイッチング素子組および前記第2のスイッチング素子組は、前記負荷側に接続されて電力の供給をON/OFFする前段側半導体素子と、前記3相交流電源側に接続されて電力の供給をON/OFFする後段側半導体素子と、をそれぞれ有する。
前記制御部は、転流のためのスイッチングパターンとして、前記第2スイッチング素子組の前記前段側半導体素子をONにする第1ステップと、前記第1スイッチング素子組の前記前段側半導体素子又は前記第1スイッチング素子組の前記後段側半導体素子のいずれか一方をOFFにする第2ステップとを順に実行させるスイッチングパターンを生成する。
【0017】
前記制御部は、さらに、前記第2スイッチング素子組の前記後段側半導体素子をONにする第3ステップと、前記第1スイッチング素子組の前記後段側半導体素子をOFFにする第4ステップとを順に実行させるスイッチングパターンを生成してもよい。
【0018】
前記前段側半導体素子および前記後段側半導体素子は、MOSFETであってもよい。
【0019】
前記前段側半導体素子および前記後段側半導体素子は、還流ダイオードを有してもよい。
【0020】
前記制御部は、前記第1スイッチング素子組に接続される相電圧が前記第2スイッチング素子組に接続される相電圧よりも高いときに、前記第1ステップおよび前記第2ステップを実行してもよい。
【0021】
前記電力変換装置は、入力された3相交流電力を3相交流電力に直接変換して前記負荷に出力するマトリックスコンバータであってもよい。
【0022】
前記制御部は、3相交流電力を3相交流電力に直接変換する際、前記入力された3相交流電力に対して、前記入力された3相交流電力における各相の電圧の大小関係に応じて区分された複数のモードに応じて異なる仮想AC/DC変換処理を行い、前記入力された3相交流電力のうち2相を選択し、選択された2相の線間電圧に対し、前記複数のモードに応じて異なる仮想DC/AC変換処理を行うように、前記双方向スイッチ回路のスイッチングパターンを生成してもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、転流時における電圧の跳ね上がりを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態にかかるマトリックスコンバータの構成を示す図である。
図2】上記実施形態における双方向スイッチの構成を示す図である。
図3】上記実施形態における複数のモードを示す図である。
図4】上記実施形態における仮想AC/DC変換処理を示す図である。
図5】上記実施形態における電圧相の選択の考え方を示す図である。
図6】上記実施形態における仮想DC/AC変換処理を示す図である。
図7】上記実施形態における制御信号発生部及び制御部の構成例を示す図である。
図8】上記実施形態における制御部の構成例を示す図である。
図9】上記実施形態において、転流のためのスイッチングパターンを生成する制御部のブロック図である。
図10】比較例における転流制御シーケンスを示す図である。
図11】転流制御時における負荷側の電圧の跳ね上がりの様子を示す一実験結果である。
図12】上記実施形態における転流制御シーケンスを示す図である。
図13】転流のためのスイッチング信号の生成手順を示す図である。
図14】本実施形態および比較例の転流制御時における電圧および電流の波形を示す一実験結果である。
図15】上記実施形態における転流制御シーケンスの他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。本実施形態では、電力変換装置として、3相交流電力を3相交流電力に直接変換するマトリックスコンバータを例に挙げて説明する。
【0026】
[マトリクスコンバータ]
(全体構成)
図1は、本実施形態のマトリックスコンバータ1の構成を示す図である。図2は、双方向スイッチSRU~STWの構成を示す図である。
【0027】
マトリックスコンバータ1は、3相交流電源PSから3相の電力線Lr,Ls,Ltを介して3相交流電力が入力され、入力された3相交流電力を、一旦直流電力に変換することなく、3相交流電力に直接変換して3相の電力線Lu,Lv,Lw経由で負荷LDに出力する。入力された3相交流電力と変換された3相交流電力とは、電圧及び周波数が互いに異なる。入力された3相交流電力は、例えば、R相の交流電力、S相の交流電力、T相の交流電力を含む。変換された3相交流電力は、例えば、U相の交流電力、V相の交流電力、W相の交流電力を含む。
【0028】
マトリックスコンバータ1は、3相リアクトル40、入力コンデンサ50、双方向スイッチ回路10、制御信号発生部30、及び制御部20を備える。
【0029】
3相リアクトル40は、複数のリアクトル41~43を有する。リアクトル41は、R相の電力線Lrに直列に挿入されている。リアクトル42は、S相の電力線Lsに直列に挿入されている。リアクトル43は、T相の電力線Ltに直列に挿入されている。3相リアクトル40は、3相の電力線Lr,Ls,Ltにおける電流・電圧のリップルを低減する。
【0030】
入力コンデンサ50は、複数のコンデンサ51~53を有する。コンデンサ51は、一端がR相の電力線Lrに接続され、他端がコンデンサ52,53に接続されている。コンデンサ52は、一端がS相の電力線Lsに接続され、他端がコンデンサ51,53に接続されている。コンデンサ53は、一端がT相の電力線Ltに接続され、他端がコンデンサ51,52に接続されている。入力コンデンサ50は、3相の電力線Lr,Ls,Ltにおける電流・電圧のリップルを低減する。
【0031】
双方向スイッチ回路10は、入力された3相交流電力を3相交流電力へ変換するように、入力された3相交流電力の負荷への供給をON/OFFする。双方向スイッチ回路10は、9つの双方向スイッチSRU,SSU,STU,SRV,SSV,STV,SRW,SSW,STWを有する。双方向スイッチ回路10は、制御部20による制御のもと、9つの双方向スイッチSRU~STWがそれぞれ所定のタイミングでON/OFFすることで、入力された3相交流電力を3相交流電力へ変換する。
【0032】
双方向スイッチSRUは、R相の交流電力からU相の交流電力の一部を生成する。双方向スイッチSRUは、制御部20からスイッチング信号φSRUを受けて、スイッチング信号φSRUに応じて、R相の電力線LrとU相の電力線Luとの接続をON/OFFする。
双方向スイッチSSUは、S相の交流電力からU相の交流電力の一部を生成する。双方向スイッチSSUは、制御部20からスイッチング信号φSSUを受けて、スイッチング信号φSRUに応じて、S相の電力線LsとU相の電力線Luとの接続をON/OFFする。
双方向スイッチSTUは、T相の交流電力からU相の交流電力の一部を生成する。双方向スイッチSTUは、制御部20からスイッチング信号φSTUを受けて、スイッチング信号φSRUに応じて、T相の電力線LtとU相の電力線Luとの接続をON/OFFする。
【0033】
双方向スイッチSRU,SSU,STUは、U相の電力線Luに共通に接続されており、双方向スイッチSRU,SSU,STUから供給されたU相の交流電力は、U相の電力線Lu上で合成されU相の交流電力として負荷LDへ供給される。
【0034】
双方向スイッチSRVは、R相の交流電力からV相の交流電力の一部を生成する。双方向スイッチSRVは、制御部20からスイッチング信号φSRVを受けて、スイッチング信号φSRVに応じて、R相の電力線LrとV相の電力線Lvとの接続をON/OFFする。
双方向スイッチSSVは、S相の交流電力からV相の交流電力の一部を生成する。双方向スイッチSSVは、制御部20からスイッチング信号φSSVを受けて、スイッチング信号φSRVに応じて、S相の電力線LsとV相の電力線Lvとの接続をON/OFFする。
双方向スイッチSTVは、T相の交流電力からV相の交流電力の一部を生成する。双方向スイッチSTVは、制御部20からスイッチング信号φSTVを受けて、スイッチング信号φSRVに応じて、T相の電力線LtとV相の電力線Lvとの接続をON/OFFする。
【0035】
双方向スイッチSRV,SSV,STVは、V相の電力線Lvに共通に接続されており、双方向スイッチSRV,SSV,STVから供給されたV相の交流電力は、V相の電力線Lv上で合成されV相の交流電力として負荷LDへ供給される。
【0036】
双方向スイッチSRWは、R相の交流電力からW相の交流電力の一部を生成する。双方向スイッチSRWは、制御部20からスイッチング信号φSRWを受けて、スイッチング信号φSRWに応じて、R相の電力線LrとW相の電力線Lwとの接続をON/OFFする。
双方向スイッチSSWは、S相の交流電力からW相の交流電力の一部を生成する。双方向スイッチSSWは、制御部20からスイッチング信号φSSWを受けて、スイッチング信号φSRWに応じて、S相の電力線LsとW相の電力線Lwとの接続をON/OFFする。
双方向スイッチSTWは、T相の交流電力からW相の交流電力の一部を生成する。双方向スイッチSTWは、制御部20からスイッチング信号φSTWを受けて、スイッチング信号φSRWに応じて、T相の電力線LtとW相の電力線Lwとの接続をON/OFFする。
【0037】
双方向スイッチSRW,SSW,STWは、W相の電力線Lwに共通に接続されており、双方向スイッチSRW,SSW,STWから供給されたW相の交流電力は、W相の電力線Lw上で合成されW相の交流電力として負荷LDへ供給される。
【0038】
各双方向スイッチSRU~STWは、例えば、図2(a)に示すスイッチSと等価である。図2(a)に示すスイッチSは、制御部20から制御端子CT経由でスイッチング信号を受け、ONして端子T1と端子T2とを接続したり、OFFして端子T1と端子T2とを遮断したりする。スイッチSは、端子T1と端子T2との間で双方向に電流が流れ得る。
【0039】
図2(a)に示すスイッチSは、理想的なスイッチである。実際にスイッチを構成する素子は、スイッチング時間が存在するため、転流する時の開放モード、短絡モードを考慮して、本実施形態では、図2(b)に示すように接続されて構成されていてもよい。図2(b)に示す構成は、例えば、逆阻止機能が無い素子EL1,EL2を直列接続して実現された構成である。逆阻止機能が無い素子EL1,EL2は、例えば、還流ダイオードが両端に接続された絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)でもよいし、又は、電界効果トランジスタ(FET)でもよい。端子T1'は、図2(a)に示す端子T1に対応している。端子T2'は、図2(a)に示す端子T2に対応している。制御端子CT1,CT2は、図2(a)に示す制御端子CTに対応している。
【0040】
制御信号発生部30は、負荷側に出力する任意の3相交流電力に応じた制御信号(第2の制御信号)CSu,CSv,CSwを発生させて制御部20へ供給する。制御信号CSu,CSv,CSwは、本実施の形態では、正弦波である。制御信号CSuは、負荷LDに供給すべきU相の交流電圧に応じた交流波形(本実施の形態では正弦波)である。制御信号CSvは、負荷LDに供給すべきV相の交流電圧に応じた交流波形(本実施の形態では正弦波)である。制御信号CSwは、負荷LDに供給すべきW相の交流電圧に応じた交流波形(本実施の形態では正弦波)である。
【0041】
制御部20は、双方向スイッチ回路10における各双方向スイッチSRU~STWのスイッチングパターンを生成する。例えば、制御部20は、双方向スイッチ回路10が入力された3相交流電力に対して仮想AC/DC変換処理を行い、仮想AC/DC変換処理が行われた電力に対して仮想DC/AC変換処理を行うように、双方向スイッチ回路10のスイッチングパターン(すなわち、スイッチング信号のパターン)を生成する。以下において、「仮想AC/DC変換処理を行う」とは、仮想AC/DC変換処理を仮想的に行うことを意味し、「仮想DC/AC変換処理を行う」とは、仮想DC/AC変換処理を仮想的に行うことを意味しているものとする。
【0042】
制御部20は、入力された3相交流電力に対して、入力された3相交流電力における各相の電圧の大小関係に応じて区分された複数のモード(例えば、図3に示すモードI~VI)について互いに異なる仮想AC/DC変換処理を行うように、双方向スイッチ回路10のスイッチングパターンを生成する。
【0043】
具体的には、制御部20は、入力交流電圧(例えば、R相の交流電圧)を検出し、検出された入力交流電圧から、入力交流電圧のゼロクロス点を検出する。制御部20は、検出されたゼロクロス点に基づいて(例えば、検出されたゼロクロス点を基準として入力側の各相の位相を推定することにより)、入力側の各相(R相、S相、T相)の交流電圧を第1の制御信号として推定するとともに、推定された各相の交流電圧の大小関係に応じてそのときのモードが複数のモードにおけるどのモードであるかを認識する。
【0044】
このとき、制御部20は、入力された3相交流電力に対して、複数のモードに対し異なる第1のキャリア波形パターン(例えば、図4に示す第1のキャリア波形パターンCW11~CW13)を用いて仮想AC/DC変換処理を行うように双方向スイッチ回路10を制御する。
【0045】
すなわち、制御部20は、認識されたモードに応じて、仮想AC/DC変換処理に用いるべき第1のキャリア波形パターンを決定し、決定された第1のキャリア波形パターンと入力側の相に対応した第1の制御信号とを比較して、比較結果に応じて仮想的に各双方向スイッチSRU~STWが直流電力を発生させるような仮想的な複数のスイッチング信号(R相パルス、S相パルス、T相パルス)を発生させる。それとともに、制御部20は、仮想的な複数のスイッチング信号(R相パルス、S相パルス、T相パルス)のレベル(High、Low)の組み合わせに応じた複数の線間電圧発生区間(例えば、図4(a)に示す区間TS11,TS12,TS13)を求める。言い換えると、制御部20は、直流電力を発生させるような仮想的なスイッチング動作を各双方向スイッチSRU~STWが行うように制御し、各双方向スイッチSRU~STWに仮想的にAC/DC変換処理(仮想AC/DC変換処理)を行わせる。
【0046】
なお、仮想的なスイッチング動作とは、実際に各双方向スイッチSRU~STWが行うものとは異なるスイッチング動作であるが、仮想AC/DC変換→仮想DC/AC変換の途中段階における仮想的な直流電力を発生させることを考えるために各双方向スイッチSRU~STWが仮想的に行っているものとみなすスイッチング動作である。途中段階における仮想的な直流電力を発生させる処理は、あくまで仮想的なものであって、実際にその処理自体が行われるわけではない。
【0047】
また、制御部20は、仮想AC/DC変換処理が行われた電力に対して、複数のモード(例えば、図3に示すモードI~VI)について互いに異なる仮想DC/AC変換処理を行うように、双方向スイッチ回路10のスイッチングパターン(すなわち、スイッチング信号のパターン)を制御する。
【0048】
具体的には、制御部20は、複数のモードに応じて異なる第2のキャリア波形パターン(例えば、図6に示す第2のキャリア波形パターンCW21~CW26)を用いて仮想DC/AC変換処理を行うように双方向スイッチ回路10を制御する。すなわち、制御部20は、認識されたモードに応じて、仮想DC/AC変換処理に用いる複数の線間電圧発生区間に対応した第2のキャリア波形パターンを生成する。このとき、複数の線間電圧発生区間は、仮想的な複数のスイッチング信号のレベルの組み合わせに応じたものとなっている。つまり、制御部20は、認識されたモードと、仮想的に各双方向スイッチSRU~STWが直流電力を発生させるような複数のスイッチング信号のレベルの組み合わせとに応じて、第2のキャリア波形パターンを生成する。
【0049】
また、制御部20は、制御信号CSu,CSv,CSwを出力側の相に対応した(例えば、U相、V相、W相の電圧波形に応じた正弦波の振幅に対応して大きさが変化する)第2の制御信号として制御信号発生部30から受ける。制御部20は、生成された第2のキャリア波形パターンと出力側の相に対応した第2の制御信号CSu,CSv,CSwとを比較して、双方向スイッチ回路10における各双方向スイッチSRU~STWのスイッチング信号φSRU~φSTWを生成する。このとき、各第2の制御信号CSu,CSv,CSwは、負荷LDに供給すべき交流電力に応じた3相交流波形である。これにより、双方向スイッチ回路10から負荷LDに、各第2の制御信号CSu,CSv,CSwに応じた3相交流の交流電力が出力されるように制御できる。言い換えると、制御部20は、各双方向スイッチSRU~STWに仮想的にDC/AC変換処理(仮想DC/AC変換処理)を行わせる。
【0050】
次に、制御部20により認識される複数のモードについて図3を用いて説明する。図3は、複数のモードI~VIを示す図である。
【0051】
制御部20は、推定された各相(R相、S相、T相)の交流電圧の大小関係に応じて、例えば図3に示すような6つのモードI~VIを認識する。
【0052】
モードIでは、R相が最大電圧相であり、T相が最小電圧相であり、S相が中間電圧相である。例えば、制御部20は、R相が最大電圧相であり、T相が最小電圧相であり、S相が中間電圧相であることを認識した場合、現在のモードがモードIであると認識する。
【0053】
モードIIでは、S相が最大電圧相であり、T相が最小電圧相であり、R相が中間電圧相である。例えば、制御部20は、S相が最大電圧相であり、T相が最小電圧相であり、R相が中間電圧相であることを認識した場合、現在のモードがモードIIであると認識する。
【0054】
モードIIIでは、S相が最大電圧相であり、R相が最小電圧相であり、T相が中間電圧相である。例えば、制御部20は、S相が最大電圧相であり、R相が最小電圧相であり、T相が中間電圧相であることを認識した場合、現在のモードがモードIIIであると認識する。
【0055】
モードIVでは、T相が最大電圧相であり、R相が最小電圧相であり、S相が中間電圧相である。例えば、制御部20は、T相が最大電圧相であり、R相が最小電圧相であり、S相が中間電圧相であることを認識した場合、現在のモードがモードIVであると認識する。
【0056】
モードVでは、T相が最大電圧相であり、S相が最小電圧相であり、R相が中間電圧相である。例えば、制御部20は、T相が最大電圧相であり、S相が最小電圧相であり、R相が中間電圧相であることを認識した場合、現在のモードがモードVであると認識する。
【0057】
モードVIでは、R相が最大電圧相であり、S相が最小電圧相であり、T相が中間電圧相である。例えば、制御部20は、R相が最大電圧相であり、S相が最小電圧相であり、T相が中間電圧相であることを認識した場合、現在のモードがモードVIであると認識する。
【0058】
(仮想AC/DC処理)
次に、複数のモードI~VIのそれぞれにおける仮想的なAC/DC変換処理(仮想AC/DC変換処理)について、図4を用いて説明する。図4(a)~(f)は、それぞれ、複数のモードI~VIにおける仮想AC/DC変換処理を示す。以下では、説明の簡略化のため、直流電圧設定値(変換目標となる仮想的な直流電圧)に応じて決定した直流電圧設定ゲインが1である場合について例示的に説明する。
【0059】
モードIでは、制御部20が、図4(a)に示すように、仮想AC/DC変換処理に用いるべき第1のキャリア波形パターンとして、立ち下がりの鋸歯状波1と立ち上がりの鋸歯状波2とを有する第1のキャリア波形パターンCW11を決定する。以下では、「立ち下がりの鋸歯状波」とは、時間の経過に応じて振幅が直線的に減少していく負の傾きを持った鋸歯状波を指し、「立ち上がりの鋸歯状波」とは、時間の経過に応じて振幅が直線的に増加していく正の傾きを持った鋸歯状波を指すものとする。
【0060】
そして、制御部20は、例えば、上記のように検出されたゼロクロス点に応じて、R相電圧a、S相電圧b、T相電圧cを推定する。例えば、制御部20は、検出されたゼロクロス点を基準として、あるタイミングでのR相、S相、T相の位相を推定し、推定されたR相、S相、T相の位相に応じて、R相電圧a、S相電圧b、T相電圧cを推定する。R相電圧a、S相電圧b、T相電圧cは、それぞれ、相電圧を「-1」と「1」の間に規格化したものである。このとき、図4(a)に示す区間(線間電圧発生区間)TS11,TS12,TS13の直流電圧は、それぞれ、ST間電圧=b-c、RT間電圧=a-c、RS間電圧=a-bとなる。
【0061】
モードIにおける各相のパルスについて説明する。モードIでは、R相が最大電圧相、T相が最小電圧相、S相が中間電圧相となる。最大電圧相と最小電圧相では、パルスはそれぞれの電位に比例する時間ONとなる。したがって、R相のパルス幅x=T|a|、T相のパルス幅z=T|c|となる。ここで、R相パルスがONとなるタイミング(区間TS11が終わるタイミング)は、R相電圧|a|と鋸歯状波1との交点から求められる。これにより、R相パルスが得られる。T相パルスがOFFとなるタイミング(区間TS11+区間TS12が終わるタイミング)は、T相電圧|c|と鋸歯状波2との交点から求められる。これにより、T相パルスが得られる。中間相パルスは、最大電圧相又は最小電圧相のパルスのどちらかがOFFのときにONする。したがって、S相パルスは、R相電圧|a|と鋸歯状波1との交点、およびT相電圧|c|と鋸歯状波2との交点から求められる。
【0062】
また、区間TS11、TS12、TS13の幅は、それぞれ、T×(1-|a|)、T×(|a|+|c|-1)、T×(1-|c|)となる。すなわち、仮想AC/DC変換処理により、仮想的な直流電圧を生成するための、区間TS11、TS12、TS13に対応した幅をそれぞれ有する仮想的な複数のスイッチング信号(R相パルス、S相パルス、T相パルス)が生成される。スイッチング周期Tの直流電圧の平均は、それぞれの区間ごとに直流電圧を積算しそれぞれを加算してスイッチング周期Tで除して、以下のように表すことができる。
【0063】
スイッチング周期Tの直流電圧の平均={(b-c)×T×(1-a)+(a-c)×T×(a-c-1)+(a-b)×T×(1+c)}/T
=a+c-b(a+c)・・・数式1
【0064】
ここで、a+b+c=0(3相条件)を考慮すると、数式1は次の数式2に変形できる。
【0065】
スイッチング周期Tの直流電圧の平均=a+b+c・・・数式2
【0066】
さらに、交流理論から、a+b+c=3/2より、数式2は次の数式3に変形できる。
【0067】
スイッチング周期Tの直流電圧の平均=3/2・・・数式3
【0068】
数式3に示されるように、スイッチング周期Tの仮想的な直流電圧の平均を、一定電圧とすることができる。
【0069】
モードIにおける入力電流について説明する。R相の入力電流は、R相電圧aの時間に比例する正の電流が流れる。T相の入力電流は、T相の電圧の大きさ|c|に比例する負の電流が流れる。S相の入力電流は、区間TS11で正の電流が流れ、区間TS13で負の電流が流れる。したがって、流れる電流は、T×(1-a)-T×(1+c)-T(-a-c)=Tbとなり、スイッチング周期Tで除すると、S相電圧bとなる。したがって、R相、S相、T相には、それぞれ、R相電圧a、S相電圧b、T相電圧cに比例する電流が流れることになり、入力交流電流の各相を正弦波とすることができる。
【0070】
モードIIでは、制御部20が、図4(b)に示すように、仮想AC/DC変換処理に用いるべき第1のキャリア波形パターンとして、立ち上がりの鋸歯状波2を有する第1のキャリア波形パターンCW12を決定する。そして、制御部20は、例えば、上記のように検出されたゼロクロス点に応じて、R相電圧a、S相電圧b、T相電圧cを推定する。R相電圧a、S相電圧b、T相電圧cは、それぞれ、相電圧を「-1」と「1」の間に規格化したものである。このとき、図4(b)に示す区間(線間電圧発生区間)TS21、TS22、TS23の直流電圧は、それぞれ、ST間電圧=b-c、RT間電圧=a-c、RS間電圧=b-aとなる。
【0071】
モードIIにおける各相のパルスについて説明する。モードIIでは、S相が最大電圧相、T相が最小電圧相、R相が中間電圧相となる。R,S,T相のパルスのON,OFF順序を変えずに、最大電圧相と最小電圧相でそれぞれの電位に比例する時間をONとするため、モードIIでは、変調波形3、2Bと鋸歯状波2を用いて、図4(b)に示す各相パルスのON,OFFタイミングを得る。
【0072】
また、区間TS21、TS22、TS23の幅は、それぞれ、T×(|b|+|c|-1)、T×(1-|b|)、T×(1-|c|)となる。すなわち、仮想AC/DC変換処理により、仮想的な直流電圧を生成するための、区間TS21、TS22、TS23に対応した幅をそれぞれ有する仮想的な複数のスイッチング信号(R相パルス、S相パルス、T相パルス)が生成される。スイッチング周期Tの直流電圧の平均は、以下のように表すことができる。
【0073】
スイッチング周期Tの直流電圧の平均={(b-c)×T×(-c+b-1)+(a-c)×T×(-b+1)+(b-a)×T×(1+c)}/T
=b+c-a(b+c)・・・数式4
【0074】
ここで、a+b+c=0(3相条件)を考慮すると、数式4は次の数式5に変形できる。
【0075】
スイッチング周期Tの直流電圧の平均=a+b+c・・・数式5
【0076】
さらに、交流理論から、a+b+c=3/2より、数式5は次の数式6に変形できる。
【0077】
スイッチング周期Tの直流電圧の平均=3/2・・・数式6
【0078】
数式6に示されるように、スイッチング周期Tの仮想的な直流電圧の平均を、一定電圧とすることができる。
【0079】
モードIIにおける入力電流について説明する。モードIIでは、S相が最大電圧相で、T相が最小電圧相なので、S相はS相電圧bの時間に比例する正の電流が流れ、T相は、T相電圧cの時間に比例する負の電流が流れる。R相は区間TS22で負の電流が流れ、区間TS23で正の電流が流れる。このため、流れる電流は、T×(1-b)-T×(1+c)=Taとなり、スイッチング周期Tで除するとR相電圧aとなる。従って、電圧に比例する電流が各相に流れ、入力交流電流の各相を正弦波とすることができる。
【0080】
モードIIIでは、制御部20が、図4(c)に示すように、仮想AC/DC変換処理に用いるべき第1のキャリア波形パターンとして、立ち下がりの鋸歯状波1を有する第1のキャリア波形パターンCW13を決定する。そして、制御部20は、例えば、上記のように検出されたゼロクロス点に応じて、R相電圧a、S相電圧b、T相電圧cを推定する。R相電圧a、S相電圧b、T相電圧cは、それぞれ、相電圧を「-1」と「1」の間に規格化したものである。このとき、図4(c)に示す区間(線間電圧発生区間)区間TS31、TS32、TS33の直流電圧は、それぞれ、ST間電圧=c-b、RT間電圧=a-c、RS間電圧=a-bとなる。
【0081】
モードIIIにおける各相のパルスについて説明する。モードIIIでは、S相が最大電圧相、R相が最小電圧相、T相が中間電圧相となる。R,S,T相のパルスのON、OFF順序を変えずに、最大電圧相と最小電圧相でそれぞれの電位に比例する時間ONとするため、モードIIIでは、変調波形1,2Aと鋸波状波1を用いて、図4(c)に示す各パルスのON,OFFタイミングを得る。
【0082】
また、区間TS31、TS32、TS33の幅は、それぞれ、T×(1-|a|)、T(1-|b|)、T×(|a|-|b|-1)となる。すなわち、仮想AC/DC変換処理により、仮想的な直流電圧を生成するための、区間TS31、TS32、TS33に対応した幅をそれぞれ有する仮想的な複数のスイッチング信号(R相パルス、S相パルス、T相パルス)が生成される。スイッチング周期Tの直流電圧の平均は、以下のように表すことができる。
【0083】
スイッチング周期Tの直流電圧の平均={(c-b)×T×(1-a)+(a-c)×T×(b+1)+(a-b)×T×(a-b-1)}/T
=a+b-c(a+b)・・・数式7
【0084】
ここで、a+b+c=0(3相条件)を考慮すると、数式7は次の数式8に変形できる。
【0085】
スイッチング周期Tの直流電圧の平均=a+b+c・・・数式8
【0086】
さらに、交流理論から、a+b+c=3/2より、数式8は次の数式9に変形できる。
【0087】
スイッチング周期Tの直流電圧の平均=3/2・・・数式9
【0088】
数式9に示されるように、スイッチング周期Tの仮想的な直流電圧の平均を、一定電圧とすることができる。
【0089】
モードIIIにおける入力電流について説明する。最大電圧相のS相には、S相電圧bの時間に比例する正の電流が流れる。最小電圧相のR相には、R相電圧aの時間に比例する負の電流が流れる。T相は、区間TS31で負の電流が流れ、区間TS32で正の電流が流れる。このため、流れる電流は、T×(1-a)-T×(1+b)=Tcとなり、スイッチング周期Tで除するとT相電圧cとなる。従って、電圧に比例する電流が各相に流れ、入力交流電流の各相を正弦波とすることができる。
【0090】
モードIVにおける仮想AC/DC変換処理は、図4(d)に示すように、モードIにおける仮想AC/DC変換処理(図4(a)参照)と同様である。区間(線間電圧発生区間)TS41、TS42、TS43も、モードIと同様にして求められる。
【0091】
モードVにおける仮想AC/DC変換処理は、図4(e)に示すように、モードIIにおける仮想AC/DC変換処理(図4(b)参照)と同様である。区間(線間電圧発生区間)TS51、TS52、TS53も、モードIIと同様にして求められる。
【0092】
モードVIにおける仮想AC/DC変換処理は、図4(f)に示すように、モードIIIにおける仮想AC/DC変換処理(図4(c)参照)と同様である。区間(線間電圧発生区間)TS61、TS62、TS63も、モードIIIと同様にして求められる。
【0093】
(仮想DC/AC変換処理)
次に、複数のモードI~VIのそれぞれにおける仮想DC/AC変換処理について、図5,6を用いて説明する。図5は、仮想DC/AC変換処理における電圧相の選択の考え方を示す図である。図6(a)~(f)は、それぞれ、複数のモードI~VIにおける仮想DC/AC変換処理を示す。なお、図6における各区間TS11~TS63は、図4における各区間TS11~TS63に対応している(すなわち、区間の長さが等しい)が、図示の便宜上、各区間の長さを図4から変えてある。以下では、第2の制御信号がU相の制御信号CSuである場合について例示的に説明するが、第2の制御信号がV相の制御信号CSv又はW相の制御信号CSwである場合についても同様である。
【0094】
まず、電圧相の選択の考え方を説明する。仮に、図5(a)~(c)に示すように、「スイッチング周期Tの直流電圧=P相電圧-N相電圧」である場合を考える。このとき、線間電圧における2つの電圧相のうちレベルの大きい電圧相を+側相としレベルの小さい電圧相を-側相とすると、P相が+側相であり、N相が-側相である。
【0095】
例えば、図5(a)に示すように、スイッチング周期Tにおけるキャリア波形パターンが下山形のキャリア波形パターンCW1であるとき、制御部20は、キャリア波形パターンCW1とU相の制御信号CSuとを比較する。制御部20は、U相の制御信号CSuがキャリア波形パターンCW1より上側にある場合(例えば、図5(a)に示す区間TS2の場合)、+側相すなわちP相を選択し、P相選択信号をONレベルにするとともにN相選択信号をOFFレベルにする。制御部20は、U相の制御信号CSuがキャリア波形パターンCW1より下側にある場合(例えば、図5(a)に示す区間TS1,TS3の場合)、-側相すなわちN相を選択し、N相選択信号をONレベルにするとともにP相選択信号をOFFレベルにする。
【0096】
あるいは、例えば、図5(b)に示すように、スイッチング周期Tにおけるキャリア波形パターンが立ち下がりの鋸歯状のキャリア波形パターンCW2であるとき、制御部20は、キャリア波形パターンCW2とU相の制御信号CSuとを比較する。制御部20は、U相の制御信号CSuがキャリア波形パターンCW2より上側にある場合(例えば、図5(b)に示す区間TS5の場合)、+側相すなわちP相を選択し、P相選択信号をONレベルにするとともにN相選択信号をOFFレベルにする。制御部20は、U相の制御信号CSuがキャリア波形パターンCW2より下側にある場合(例えば、図5(b)に示す区間TS4の場合)、-側相すなわちN相を選択し、N相選択信号をONレベルにするとともにP相選択信号をOFFレベルにする。
【0097】
あるいは、例えば、図5(c)に示すように、スイッチング周期Tにおけるキャリア波形パターンが立ち上がりの鋸歯状のキャリア波形パターンCW3であるとき、制御部20は、キャリア波形パターンCW3とU相の制御信号CSuとを比較する。制御部20は、U相の制御信号CSuがキャリア波形パターンCW3より上側にある場合(例えば、図5(c)に示す区間TS6の場合)、+側相すなわちP相を選択し、P相選択信号をONレベルにするとともにN相選択信号をOFFレベルにする。制御部20は、U相の制御信号CSuがキャリア波形パターンCW3より下側にある場合(例えば、図5(c)に示す区間TS7の場合)、-側相すなわちN相を選択し、N相選択信号をONレベルにするとともにP相選択信号をOFFレベルにする。
【0098】
次に、各モードI~VIについて説明する。後述するように、第2のキャリア波形パターンは、複数の線間電圧発生区間のうち連続する2つの区間に跨って山型にレベルが変化するパターンを有するように決定される。また、第2のキャリア波形パターンは、複数の線間電圧発生区間のそれぞれにおける2つの電圧相のうち電圧値の大きい電圧相を+側相とし電圧値の小さい電圧相を-側相とするとき、モードが切り換わる際に+側相及び-側相に共通する相がある場合、切り換わる2つのモードに跨って山型にレベルが連続するパターンを有し、モードが切り換わる際に+側相及び-側相で反転する相がある場合、切り換わる2つのモードの境界で鋸歯状にレベルが変化するパターンを有するように決定される。
【0099】
図6(a)に示すように、モードIでは、制御部20が、仮想DC/AC変換処理に用いるべき第2のキャリア波形パターンとして、区間TS11,TS12,TS13に順に立ち上がりの鋸歯状波、立ち下がりの鋸歯状波、立ち上がりの鋸歯状波を有する第2のキャリア波形パターンCW21を決定する。そして、制御部20は、例えば、U相の制御信号CSuを制御信号発生部30から受ける。なお、図6(a)に示す区間TS11,TS12,TS13は、図4(a)に示す区間TS11,TS12,TS13に対応している(すなわち、区間の長さが等しい)が、図示の便宜上、各区間の長さを図4(a)から変えてある。
【0100】
このとき、仮想AC/DC変換処理における区間(線間電圧発生区間)TS11,TS12,TS13の直流電圧は、それぞれ、ST間電圧=b-c、RT間電圧=a-c、RS間電圧=a-bとなる。線間電圧における2つの電圧相のうちレベルの大きい電圧相を+側相としレベルの小さい電圧相を-側相とすると、区間(線間電圧発生区間)TS11,TS12,TS13において、それぞれ、S相,R相,R相が+側相であり、T相,T相,S相が-側相である。
【0101】
制御部20は、第2のキャリア波形パターンCW21とU相の制御信号CSuとを比較する。区間(線間電圧発生区間)TS11において、制御部20は、U相の制御信号CSuが第2のキャリア波形パターンCW21より上側にある場合(例えば、区間TS11の前半の場合)、+側相すなわちS相を選択し、S相選択信号としてスイッチング信号φSSUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSRU,φSTUをOFFレベルにする。制御部20は、U相の制御信号CSuが第2のキャリア波形パターンCW21より下側にある場合(例えば、区間TS11の後半の場合)、-側相すなわちT相を選択し、T相選択信号としてスイッチング信号φSTUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSRU,φSSUをOFFレベルにする。
【0102】
区間(線間電圧発生区間)TS12において、制御部20は、U相の制御信号CSuが第2のキャリア波形パターンCW21より下側にある場合(例えば、区間TS12の前半の場合)、-側相すなわちT相を選択し、T相選択信号としてスイッチング信号φSTUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSRU,φSSUをOFFレベルにする。制御部20は、U相の制御信号CSuが第2のキャリア波形パターンCW21より上側にある場合(例えば、区間TS12の後半の場合)、+側相すなわちR相を選択し、R相選択信号としてスイッチング信号φSRUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSSU,φSTUをOFFレベルにする。
【0103】
区間(線間電圧発生区間)TS13において、制御部20は、U相の制御信号CSuが第2のキャリア波形パターンCW21より上側にある場合(例えば、区間TS13の前半の場合)、+側相すなわちR相を選択し、R相選択信号としてスイッチング信号φSRUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSSU,φSTUをOFFレベルにする。制御部20は、U相の制御信号CSuが第2のキャリア波形パターンCW21より下側にある場合(例えば、区間TS13の後半の場合)、-側相すなわちS相を選択し、S相選択信号としてスイッチング信号φSSUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSRU,φSTUをOFFレベルにする。
【0104】
モードIにおける各相の選択信号すなわちスイッチング信号について説明する。R相の選択信号としてのスイッチング信号φSRUのパルス幅は、R相パルスのパルス幅x(図4(a)参照)を、U相の制御信号(すなわち、U相電圧の振幅に対応して大きさが変化する信号)CSuの信号レベルhに比例して縮めたhxとなる。S相の選択信号としてのスイッチング信号φSSUのパルス幅は、S相パルスのパルス幅y(図4(a)参照)を、U相の制御信号CSuの信号レベルhに比例して縮めたhyとなる。T相の選択信号としてのスイッチング信号φSTUのパルス幅は、T相パルスのパルス幅z(図4(a)参照)を、U相の制御信号CSuの信号レベルhに比例して縮めたhzとなる。
【0105】
また、各スイッチング信号φSRU,φSSU,φSTUは、択一的にONしているので、各スイッチング信号φSRU,φSSU,φSTUのパルス幅の期間では、それぞれ、R相電圧a、S相電圧b、T相電圧cが発生する。スイッチング周期Tの直流電圧の平均は、それぞれの期間ごとに電圧を積算しそれぞれを加算してスイッチング周期Tで除して、以下のように表すことができる。
【0106】
スイッチング周期Tの出力電圧の平均
={a(hx)+b(hy)+c(hz)}/T
=h(ax+by+cz)/T・・・数式10
【0107】
上記より、R相のパルス幅x=T|a|、S相のパルス幅y=T|b|、T相のパルス幅z=T|c|であるから、数式10は数式11に変形できる。
【0108】
スイッチング周期Tの出力電圧の平均=h(a+b+c)・・・数式11
【0109】
さらに、交流理論から、a+b+c=3/2より、数式11は次の数式12に変形できる。
【0110】
スイッチング周期Tの出力電圧の平均=h×3/2・・・数式12
【0111】
数式12に示されるように、スイッチング周期Tの出力電圧の平均を、U相の制御信号CSuの信号レベルhに比例したものとすることができる。すなわち、U相の制御信号CSuは、負荷LDに供給すべきU相の交流電圧に応じた交流波形(例えば、本実施の形態では正弦波)であり、所定のキャリア波形パターンでこの交流波形(例えば、正弦波)を変調して双方向スイッチ回路10のスイッチングパターンを生成することで、双方向スイッチ回路10から負荷LDに、U相の制御信号CSuに応じた(例えば、正弦波状の)交流電圧が出力されるように制御できる。
【0112】
図6(b)に示すように、モードIIでは、制御部20が、仮想DC/AC変換処理に用いるべき第2のキャリア波形パターンとして、区間TS21,TS22,TS23に順に立ち上がりの鋸歯状波、立ち下がりの鋸歯状波、立ち下がりの鋸歯状波を有する第2のキャリア波形パターンCW22を決定する。そして、制御部20は、例えば、U相の制御信号CSuを制御信号発生部30から受ける。なお、図6(b)に示す区間TS21,TS22,TS23は、図4(b)に示す区間TS21,TS22,TS23に対応している(すなわち、区間の長さが等しい)が、図示の便宜上、各区間の長さを図4(b)から変えてある。
【0113】
このとき、仮想AC/DC変換処理における区間(線間電圧発生区間)TS21,TS22,TS23の直流電圧は、それぞれ、ST間電圧=b-c、RT間電圧=a-c、SR間電圧=b-aとなる。線間電圧における2つの電圧相のうちレベルの大きい電圧相を+側相としレベルの小さい電圧相を-側相とすると、区間(線間電圧発生区間)TS21,TS22,TS23において、それぞれ、S相,R相,S相が+側相であり、T相,T相,R相が-側相である。
【0114】
制御部20は、第2のキャリア波形パターンCW22とU相の制御信号CSuとを比較する。区間(線間電圧発生区間)TS21において、制御部20は、U相の制御信号CSuが第2のキャリア波形パターンCW22より上側にある場合(例えば、区間TS21の前半の場合)、+側相すなわちS相を選択し、S相選択信号としてスイッチング信号φSSUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSRU,φSTUをOFFレベルにする。制御部20は、U相の制御信号CSuが第2のキャリア波形パターンCW22より下側にある場合(例えば、区間TS21の後半の場合)、-側相すなわちT相を選択し、T相選択信号としてスイッチング信号φSTUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSRU,φSSUをOFFレベルにする。
【0115】
区間(線間電圧発生区間)TS22において、制御部20は、U相の制御信号CSuが第2のキャリア波形パターンCW22より下側にある場合(例えば、区間TS22の前半の場合)、-側相すなわちT相を選択し、T相選択信号としてスイッチング信号φSTUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSRU,φSSUをOFFレベルにする。制御部20は、U相の制御信号CSuが第2のキャリア波形パターンCW22より上側にある場合(例えば、区間TS22の後半の場合)、+側相すなわちR相を選択し、R相選択信号としてスイッチング信号φSRUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSSU,φSTUをOFFレベルにする。
【0116】
区間(線間電圧発生区間)TS23において、制御部20は、U相の制御信号CSuが第2のキャリア波形パターンCW22より下側にある場合(例えば、区間TS23の前半の場合)、-側相すなわちR相を選択し、R相選択信号としてスイッチング信号φSRUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSSU,φSTUをOFFレベルにする。制御部20は、U相の制御信号CSuが第2のキャリア波形パターンCW22より上側にある場合(例えば、区間TS23の後半の場合)、+側相すなわちS相を選択し、S相選択信号としてスイッチング信号φSSUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSRU,φSTUをOFFレベルにする。
【0117】
モードIIにおける各相の選択信号すなわちスイッチング信号について説明する。R相の選択信号としてのスイッチング信号φSRUのパルス幅は、R相パルスのパルス幅x(図4(b)参照)を、U相の制御信号CSuの信号レベル(すなわち、U相電圧の振幅に対応して大きさが変化する信号)hに比例して縮めたhxとなる。S相の選択信号としてのスイッチング信号φSSUのパルス幅は、S相パルスのパルス幅y(図4(b)参照)を、U相の制御信号CSuの信号レベルhに比例して縮めたhyとなる。T相の選択信号としてのスイッチング信号φSTUのパルス幅は、T相パルスのパルス幅z(図4(b)参照)を、U相の制御信号CSuの信号レベルhに比例して縮めたhzとなる。
【0118】
また、各スイッチング信号φSRU,φSSU,φSTUは、択一的にONしているので、各スイッチング信号φSRU,φSSU,φSTUのパルス幅の期間では、それぞれ、R相電圧a、S相電圧b、T相電圧cが発生する。スイッチング周期Tの直流電圧の平均は、それぞれの期間ごとに電圧を積算しそれぞれを加算してスイッチング周期Tで除して、以下のように表すことができる。
【0119】
スイッチング周期Tの出力電圧の平均
={a(hx)+b(hy)+c(hz)}/T
=h(ax+by+cz)/T・・・数式13
【0120】
上記より、R相のパルス幅x=T|a|、S相のパルス幅y=T|b|、T相のパルス幅z=T|c|であるから、数式13は数式14に変形できる。
【0121】
スイッチング周期Tの出力電圧の平均=h(a+b+c2)・・・数式14
【0122】
さらに、交流理論から、a+b+c=3/2より、数式14は次の数式15に変形できる。
【0123】
スイッチング周期Tの出力電圧の平均=h×3/2・・・数式15
【0124】
数式15に示されるように、スイッチング周期Tの出力電圧の平均を、U相の制御信号CSuの信号レベルhに比例したものとすることができる。すなわち、U相の制御信号CSuは、負荷LDに供給すべきU相の交流電圧に応じた交流波形(例えば、本実施の形態では正弦波)であり、所定のキャリア波形パターンでこの交流波形(例えば、正弦波)を変調して双方向スイッチ回路10のスイッチングパターンを生成することで、双方向スイッチ回路10から負荷LDに、U相の制御信号CSuに応じた(例えば、正弦波状の)交流電圧が出力されるように制御できる。
【0125】
図6(c)に示すように、モードIIIでは、制御部20が、仮想DC/AC変換処理に用いるべき第2のキャリア波形パターンとして、区間TS31,TS32,TS33に順に立ち上がりの鋸歯状波、立ち上がりの鋸歯状波、立ち下がりの鋸歯状波を有する第2のキャリア波形パターンCW23を決定する。そして、制御部20は、例えば、U相の制御信号CSuを制御信号発生部30から受ける。なお、図6(c)における各区間TS31,TS32,TS33は、図4(c)における各区間TS31,TS32,TS33に対応している(すなわち、区間の長さが等しい)が、図示の便宜上、各区間の長さを図4(c)から変えてある。
【0126】
このとき、仮想AC/DC変換処理における区間(線間電圧発生区間)TS31,TS32,TS33の直流電圧は、それぞれ、ST間電圧=b-c、TR間電圧=c-a、SR間電圧=b-aとなる。線間電圧における2つの電圧相のうちレベルの大きい電圧相を+側相としレベルの小さい電圧相を-側相とすると、区間(線間電圧発生区間)TS31,TS32,TS33において、それぞれ、S相,T相,S相が+側相であり、T相,R相,R相が-側相である。
【0127】
制御部20は、第2のキャリア波形パターンCW23とU相の制御信号CSuとを比較する。区間(線間電圧発生区間)TS31において、制御部20は、U相の制御信号CSuが第2のキャリア波形パターンCW23より上側にある場合(例えば、区間TS31の前半の場合)、+側相すなわちS相を選択し、S相選択信号としてスイッチング信号φSSUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSRU,φSTUをOFFレベルにする。制御部20は、U相の制御信号CSuが第2のキャリア波形パターンCW23より下側にある場合(例えば、区間TS31の後半の場合)、-側相すなわちT相を選択し、T相選択信号としてスイッチング信号φSTUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSRU,φSSUをOFFレベルにする。
【0128】
区間(線間電圧発生区間)TS32において、制御部20は、U相の制御信号CSuが第2のキャリア波形パターンCW23より上側にある場合(例えば、区間TS32の前半の場合)、+側相すなわちT相を選択し、T相選択信号としてスイッチング信号φSTUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSRU,φSSUをOFFレベルにする。制御部20は、U相の制御信号CSuが第2のキャリア波形パターンCW23より下側にある場合(例えば、区間TS32の後半の場合)、-側相すなわちR相を選択し、R相選択信号としてスイッチング信号φSRUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSSU,φSTUをOFFレベルにする。
【0129】
区間(線間電圧発生区間)TS33において、制御部20は、U相の制御信号CSuが第2のキャリア波形パターンCW23より下側にある場合(例えば、区間TS33の前半の場合)、-側相すなわちR相を選択し、R相選択信号としてスイッチング信号φSRUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSSU,φSTUをOFFレベルにする。制御部20は、U相の制御信号CSuが第2のキャリア波形パターンCW23より上側にある場合(例えば、区間TS33の後半の場合)、+側相すなわちS相を選択し、S相選択信号としてスイッチング信号φSSUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSRU,φSTUをOFFレベルにする。
【0130】
モードIIIにおける各相の選択信号すなわちスイッチング信号について説明する。R相の選択信号としてのスイッチング信号φSRUのパルス幅は、R相パルスのパルス幅x(図4(c)参照)を、U相の制御信号CSuの信号レベル(すなわち、U相電圧の振幅に対応して大きさが変化する信号)hに比例して縮めたhxとなる。S相の選択信号としてのスイッチング信号φSSUのパルス幅は、S相パルスのパルス幅y(図4(c)参照)を、U相の制御信号CSuの信号レベルhに比例して縮めたhyとなる。T相の選択信号としてのスイッチング信号φSTUのパルス幅は、T相パルスのパルス幅z(図4(c)参照)を、U相の制御信号CSuの信号レベルhに比例して縮めたhzとなる。
【0131】
また、各スイッチング信号φSRU,φSSU,φSTUは、択一的にONしているので、各スイッチング信号φSRU,φSSU,φSTUのパルス幅の期間では、それぞれ、R相電圧a、S相電圧b、T相電圧cが発生する。スイッチング周期Tの直流電圧の平均は、それぞれの期間ごとに電圧を積算しそれぞれを加算してスイッチング周期Tで除して、以下のように表すことができる。
【0132】
スイッチング周期Tの出力電圧の平均
={a(hx)+b(hy)+c(hz)}/T
=h(ax+by+cz)/T・・・数式16
【0133】
上記より、R相のパルス幅x=T|a|、S相のパルス幅y=T|b|、T相のパルス幅z=T|c|であるから、数式16は数式17に変形できる。
【0134】
スイッチング周期Tの出力電圧の平均=h(a+b+c)・・・数式17
【0135】
さらに、交流理論から、a+b+c=3/2より、数式17は次の数式18に変形できる。
【0136】
スイッチング周期Tの出力電圧の平均=h×3/2・・・数式18
【0137】
数式18に示されるように、スイッチング周期Tの出力電圧の平均を、U相の制御信号CSuの信号レベルhに比例したものとすることができる。すなわち、U相の制御信号CSuは、負荷LDに供給すべきU相の交流電圧に応じた交流波形(例えば、本実施の形態では正弦波)であり、所定のキャリア波形パターンでこの交流波形(例えば、正弦波)を変調して双方向スイッチ回路10のスイッチングパターンを生成することで、双方向スイッチ回路10から負荷LDに、U相の制御信号CSuに応じた(例えば、正弦波状の)交流電圧が出力されるように制御できる。
【0138】
図6(d)に示すように、モードIVでは、制御部20が、仮想DC/AC変換処理に用いるべき第2のキャリア波形パターンとして、区間TS41,TS42,TS43に順に立ち下がりの鋸歯状波、立ち上がりの鋸歯状波、立ち下がりの鋸歯状波を有する第2のキャリア波形パターンCW24を決定する。そして、制御部20は、例えば、U相の制御信号CSuを制御信号発生部30から受ける。なお、図6(d)における各区間TS41,TS42,TS43は、図4(d)における各区間TS41,TS42,TS43に対応している(すなわち、区間の長さが等しい)が、図示の便宜上、各区間の長さを図4(d)から変えてある。
【0139】
このとき、仮想AC/DC変換処理における区間(線間電圧発生区間)TS41,TS42,TS43の直流電圧は、それぞれ、TS間電圧=c-b、TR間電圧=c-a、SR間電圧=b-aとなる。線間電圧における2つの電圧相のうちレベルの大きい電圧相を+側相としレベルの小さい電圧相を-側相とすると、区間(線間電圧発生区間)TS41,TS42,TS43において、それぞれ、T相,T相,S相が+側相であり、S相,R相,R相が-側相である。
【0140】
制御部20は、第2のキャリア波形パターンCW24とU相の制御信号CSuとを比較する。区間(線間電圧発生区間)TS41において、制御部20は、U相の制御信号CSuが第2のキャリア波形パターンCW24より下側にある場合(例えば、区間TS41の前半の場合)、-側相すなわちS相を選択し、S相選択信号としてスイッチング信号φSSUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSRU,φSTUをOFFレベルにする。制御部20は、U相の制御信号CSuが第2のキャリア波形パターンCW24より上側にある場合(例えば、区間TS41の後半の場合)、+側相すなわちT相を選択し、T相選択信号としてスイッチング信号φSTUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSRU,φSSUをOFFレベルにする。
【0141】
区間(線間電圧発生区間)TS42において、制御部20は、U相の制御信号CSuが第2のキャリア波形パターンCW24より上側にある場合(例えば、区間TS42の前半の場合)、+側相すなわちT相を選択し、T相選択信号としてスイッチング信号φSTUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSRU,φSSUをOFFレベルにする。制御部20は、U相の制御信号CSuが第2のキャリア波形パターンCW24より下側にある場合(例えば、区間TS42の後半の場合)、-側相すなわちR相を選択し、R相選択信号としてスイッチング信号φSRUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSSU,φSTUをOFFレベルにする。
【0142】
区間(線間電圧発生区間)TS43において、制御部20は、U相の制御信号CSuが第2のキャリア波形パターンCW24より下側にある場合(例えば、区間TS43の前半の場合)、-側相すなわちR相を選択し、R相選択信号としてスイッチング信号φSRUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSSU,φSTUをOFFレベルにする。制御部20は、U相の制御信号CSuが第2のキャリア波形パターンCW24より上側にある場合(例えば、区間TS43の後半の場合)、+側相すなわちS相を選択し、S相選択信号としてスイッチング信号φSSUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSRU,φSTUをOFFレベルにする。
【0143】
モードIVにおける各相の選択信号すなわちスイッチング信号について説明する。R相の選択信号としてのスイッチング信号φSRUのパルス幅は、R相パルスのパルス幅x(図4(d)参照)を、U相の制御信号CSuの信号レベル(すなわち、U相電圧の振幅に対応して大きさが変化する信号)hに比例して縮めたhxとなる。S相の選択信号としてのスイッチング信号φSSUのパルス幅は、S相パルスのパルス幅y(図4(d)参照)を、U相の制御信号CSuの信号レベルhに比例して縮めたhyとなる。T相の選択信号としてのスイッチング信号φSTUのパルス幅は、T相パルスのパルス幅z(図4(d)参照)を、U相の制御信号CSuの信号レベルhに比例して縮めたhzとなる。
【0144】
また、各スイッチング信号φSRU,φSSU,φSTUは、択一的にONしているので、各スイッチング信号φSRU,φSSU,φSTUのパルス幅の期間では、それぞれ、R相電圧a、S相電圧b、T相電圧cが発生する。スイッチング周期Tの直流電圧の平均は、それぞれの期間ごとに電圧を積算しそれぞれを加算してスイッチング周期Tで除して、以下のように表すことができる。
【0145】
スイッチング周期Tの出力電圧の平均
={a(hx)+b(hy)+c(hz)}/T
=h(ax+by+cz)/T・・・数式19
【0146】
上記より、R相のパルス幅x=T|a|、S相のパルス幅y=T|b|、T相のパルス幅z=T|c|であるから、数式19は数式20に変形できる。
【0147】
スイッチング周期Tの出力電圧の平均=h(a+b+c)・・・数式20
【0148】
さらに、交流理論から、a+b+c=3/2より、数式20は次の数式21に変形できる。
【0149】
スイッチング周期Tの出力電圧の平均=h×3/2・・・数式21
【0150】
数式21に示されるように、スイッチング周期Tの出力電圧の平均を、U相の制御信号CSuの信号レベルhに比例したものとすることができる。すなわち、U相の制御信号CSuは、負荷LDに供給すべきU相の交流電圧に応じた交流波形(例えば、本実施の形態では正弦波)であり、所定のキャリア波形パターンでこの交流波形(例えば、正弦波)を変調して双方向スイッチ回路10のスイッチングパターンを生成することで、双方向スイッチ回路10から負荷LDに、U相の制御信号CSuに応じた(例えば、正弦波状の)交流電圧が出力されるように制御できる。
【0151】
図6(e)に示すように、モードVでは、制御部20が、仮想DC/AC変換処理に用いるべき第2のキャリア波形パターンとして、区間TS51,TS52,TS53に順に立ち下がりの鋸歯状波、立ち上がりの鋸歯状波、立ち上がりの鋸歯状波を有する第2のキャリア波形パターンCW25を決定する。そして、制御部20は、例えば、U相の制御信号CSuを制御信号発生部30から受ける。なお、図6(e)における各区間TS51,TS52,TS53は、図4(e)における各区間TS51,TS52,TS53に対応している(すなわち、区間の長さが等しい)が、図示の便宜上、各区間の長さを図4(e)から変えてある。
【0152】
このとき、仮想AC/DC変換処理における区間(線間電圧発生区間)TS51,TS52,TS53の直流電圧は、それぞれ、TS間電圧=c-b、TR間電圧=c-a、RS間電圧=a-bとなる。線間電圧における2つの電圧相のうちレベルの大きい電圧相を+側相としレベルの小さい電圧相を-側相とすると、区間(線間電圧発生区間)TS51,TS52,TS53において、それぞれ、T相,T相,R相が+側相であり、S相,R相,S相が-側相である。
【0153】
制御部20は、第2のキャリア波形パターンCW25とU相の制御信号CSuとを比較する。区間(線間電圧発生区間)TS51において、制御部20は、U相の制御信号CSuが第2のキャリア波形パターンCW25より下側にある場合(例えば、区間TS51の前半の場合)、-側相すなわちS相を選択し、S相選択信号としてスイッチング信号φSSUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSRU,φSTUをOFFレベルにする。制御部20は、U相の制御信号CSuが第2のキャリア波形パターンCW25より上側にある場合(例えば、区間TS51の後半の場合)、+側相すなわちT相を選択し、T相選択信号としてスイッチング信号φSTUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSRU,φSSUをOFFレベルにする。
【0154】
区間(線間電圧発生区間)TS52において、制御部20は、U相の制御信号CSuが第2のキャリア波形パターンCW25より上側にある場合(例えば、区間TS52の前半の場合)、+側相すなわちT相を選択し、T相選択信号としてスイッチング信号φSTUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSRU,φSSUをOFFレベルにする。制御部20は、U相の制御信号CSuが第2のキャリア波形パターンCW25より下側にある場合(例えば、区間TS52の後半の場合)、-側相すなわちR相を選択し、R相選択信号としてスイッチング信号φSRUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSSU,φSTUをOFFレベルにする。
【0155】
区間(線間電圧発生区間)TS53において、制御部20は、U相の制御信号CSuが第2のキャリア波形パターンCW25より上側にある場合(例えば、区間TS53の前半の場合)、+側相すなわちR相を選択し、R相選択信号としてスイッチング信号φSRUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSSU,φSTUをOFFレベルにする。制御部20は、U相の制御信号CSuが第2のキャリア波形パターンCW25より下側にある場合(例えば、区間TS53の後半の場合)、-側相すなわちS相を選択し、S相選択信号としてスイッチング信号φSSUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSRU,φSTUをOFFレベルにする。
【0156】
モードVにおける各相の選択信号すなわちスイッチング信号について説明する。R相の選択信号としてのスイッチング信号φSRUのパルス幅は、R相パルスのパルス幅x(図4(e)参照)を、U相の制御信号CSuの信号レベル(すなわち、U相電圧の振幅に対応して大きさが変化する信号)hに比例して縮めたhxとなる。S相の選択信号としてのスイッチング信号φSSUのパルス幅は、S相パルスのパルス幅y(図4(e)参照)を、U相の制御信号CSuの信号レベルhに比例して縮めたhyとなる。T相の選択信号としてのスイッチング信号φSTUのパルス幅は、T相パルスのパルス幅z(図4(e)参照)を、U相の制御信号CSuの信号レベルhに比例して縮めたhzとなる。
【0157】
また、各スイッチング信号φSRU,φSSU,φSTUは、択一的にONしているので、各スイッチング信号φSRU,φSSU,φSTUのパルス幅の期間では、それぞれ、R相電圧a、S相電圧b、T相電圧cが発生する。スイッチング周期Tの直流電圧の平均は、それぞれの期間ごとに電圧を積算しそれぞれを加算してスイッチング周期Tで除して、以下のように表すことができる。
【0158】
スイッチング周期Tの出力電圧の平均
={a(hx)+b(hy)+c(hz)}/T
=h(ax+by+cz)/T・・・数式22
【0159】
上記より、R相のパルス幅x=T|a|、S相のパルス幅y=T|b|、T相のパルス幅z=T|c|であるから、数式22は数式23に変形できる。
【0160】
スイッチング周期Tの出力電圧の平均=h(a+b+c)・・・数式23
【0161】
さらに、交流理論から、a+b+c=3/2より、数式23は次の数式24に変形できる。
【0162】
スイッチング周期Tの出力電圧の平均=h×3/2・・・数式24
【0163】
数式24に示されるように、スイッチング周期Tの出力電圧の平均を、U相の制御信号CSuの信号レベルhに比例したものとすることができる。すなわち、U相の制御信号CSuは、負荷LDに供給すべきU相の交流電圧に応じた交流波形(例えば、本実施の形態では正弦波)であり、所定のキャリア波形パターンでこの交流波形(例えば、正弦波)を変調して双方向スイッチ回路10のスイッチングパターンを生成することで、双方向スイッチ回路10から負荷LDに、U相の制御信号CSuに応じた(例えば、正弦波状の)交流電圧が出力されるように制御できる。
【0164】
図6(f)に示すように、モードVIでは、制御部20が、仮想DC/AC変換処理に用いるべき第2のキャリア波形パターンとして、区間TS61,TS62,TS63に順に立ち下がりの鋸歯状波、立ち下がりの鋸歯状波、立ち上がりの鋸歯状波を有する第2のキャリア波形パターンCW26を決定する。そして、制御部20は、例えば、U相の制御信号CSuを制御信号発生部30から受ける。なお、図6(f)における各区間TS61,TS62,TS63は、図4(f)における各区間TS61,TS62,TS63に対応している(すなわち、区間の長さが等しい)が、図示の便宜上、各区間の長さを図4(f)から変えてある。
【0165】
このとき、仮想AC/DC変換処理における区間(線間電圧発生区間)TS61,TS62,TS63の直流電圧は、それぞれ、TS間電圧=c-b、RT間電圧=a-c、RS間電圧=a-bとなる。線間電圧における2つの電圧相のうちレベルの大きい電圧相を+側相としレベルの小さい電圧相を-側相とすると、区間(線間電圧発生区間)TS61,TS62,TS63において、それぞれ、T相,R相,R相が+側相であり、S相,T相,S相が-側相である。
【0166】
制御部20は、第2のキャリア波形パターンCW26とU相の制御信号CSuとを比較する。区間(線間電圧発生区間)TS61において、制御部20は、U相の制御信号CSuが第2のキャリア波形パターンCW26より下側にある場合(例えば、区間TS61の前半の場合)、-側相すなわちS相を選択し、S相選択信号としてスイッチング信号φSSUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSRU,φSTUをOFFレベルにする。制御部20は、U相の制御信号CSuが第2のキャリア波形パターンCW26より上側にある場合(例えば、区間TS61の後半の場合)、+側相すなわちT相を選択し、T相選択信号としてスイッチング信号φSTUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSRU,φSSUをOFFレベルにする。
【0167】
区間(線間電圧発生区間)TS62において、制御部20は、U相の制御信号CSuが第2のキャリア波形パターンCW26より下側にある場合(例えば、区間TS62の前半の場合)、-側相すなわちT相を選択し、T相選択信号としてスイッチング信号φSTUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSRU,φSSUをOFFレベルにする。制御部20は、U相の制御信号CSuが第2のキャリア波形パターンCW25より上側にある場合(例えば、区間TS62の後半の場合)、+側相すなわちR相を選択し、R相選択信号としてスイッチング信号φSRUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSSU,φSTUをOFFレベルにする。
【0168】
区間(線間電圧発生区間)TS63において、制御部20は、U相の制御信号CSuが第2のキャリア波形パターンCW26より上側にある場合(例えば、区間TS63の前半の場合)、+側相すなわちR相を選択し、R相選択信号としてスイッチング信号φSRUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSSU,φSTUをOFFレベルにする。制御部20は、U相の制御信号CSuが第2のキャリア波形パターンCW25より下側にある場合(例えば、区間TS63の後半の場合)、-側相すなわちS相を選択し、S相選択信号としてスイッチング信号φSSUをONレベルにするとともに他のスイッチング信号φSRU,φSTUをOFFレベルにする。
【0169】
モードVIにおける各相の選択信号すなわちスイッチング信号について説明する。R相の選択信号としてのスイッチング信号φSRUのパルス幅は、R相パルスのパルス幅x(図4(f)参照)を、U相の制御信号CSuの信号レベル(すなわち、U相電圧の振幅に対応して大きさが変化する信号)hに比例して縮めたhxとなる。S相の選択信号としてのスイッチング信号φSSUのパルス幅は、S相パルスのパルス幅y(図4(f)参照)を、U相の制御信号CSuの信号レベルhに比例して縮めたhyとなる。T相の選択信号としてのスイッチング信号φSTUのパルス幅は、T相パルスのパルス幅z(図4(f)参照)を、U相の制御信号CSuの信号レベルhに比例して縮めたhzとなる。
【0170】
また、各スイッチング信号φSRU,φSSU,φSTUは、択一的にONしているので、各スイッチング信号φSRU,φSSU,φSTUのパルス幅の期間では、それぞれ、R相電圧a、S相電圧b、T相電圧cが発生する。スイッチング周期Tの直流電圧の平均は、それぞれの期間ごとに電圧を積算しそれぞれを加算してスイッチング周期Tで除して、以下のように表すことができる。
【0171】
スイッチング周期Tの出力電圧の平均
={a(hx)+b(hy)+c(hz)}/T
=h(ax+by+cz)/T・・・数式25
【0172】
上記より、R相のパルス幅x=T|a|、S相のパルス幅y=T|b|、T相のパルス幅z=T|c|であるから、数式25は数式26に変形できる。
【0173】
スイッチング周期Tの出力電圧の平均=h(a+b+c)・・・数式26
【0174】
さらに、交流理論から、a+b+c=3/2より、数式26は次の数式27に変形できる。
【0175】
スイッチング周期Tの出力電圧の平均=h×3/2・・・数式27
【0176】
数式27に示されるように、スイッチング周期Tの出力電圧の平均を、U相の制御信号CSuの信号レベルhに比例したものとすることができる。すなわち、U相の制御信号CSuは、負荷LDに供給すべきU相の交流電圧に応じた交流波形(例えば、本実施の形態では正弦波)であり、所定のキャリア波形パターンでこの交流波形(例えば、正弦波)を変調して双方向スイッチ回路10のスイッチングパターンを生成することで、双方向スイッチ回路10から負荷LDに、U相の制御信号CSuに応じた(例えば、正弦波状の)交流電圧が出力されるように制御できる。
【0177】
このようにして、図6に示すように、双方向スイッチ回路10における各双方向スイッチSRU~STUのスイッチング信号φSRU~φSTUが生成される。図6に示されるように、各スイッチング信号φSRU~φSTUが整然とつながるようにU相の制御信号CSuが所定のキャリア波形パターンで変調されるとともに、パルス幅がスイッチング素子のスイッチング時間より長く確保されているため、転流の失敗を抑制できる。なお、図6では、スイッチング信号φSRU~φSTUについて説明しているが、他の双方向スイッチSRV~STV,SRW~STWの各スイッチング信号φSRV~φSTV,φSRW~φSTWについても同様である。
【0178】
例えば、スイッチング素子(例えば、図2(b)に示す素子EL1,LE2)のスイッチング時間に比べて十分大きなパルス幅のスイッチングパターンを有するスイッチング信号φSRU~φSTWでスイッチングされる。なお、上記スイッチング素子のON/OFF制御手順の詳細については後述する。
【0179】
(制御部の内部構成)
次に、制御部20及び制御信号発生部30の内部構成例、すなわち仮想AC/DC変換処理及び仮想DC/AC変換処理を行うための内部構成例について説明する。なお、仮想的な直流電圧を生成する処理はあくまで仮想的な処理であって実際にその処理自体が行われるわけではない。
【0180】
制御部20及び制御信号発生部30の内部構成例を、図7および図8に示す。図7で第2のキャリア波形パターンを予め生成し、第2のキャリア波形パターンと第2の制御信号(U相制御信号CSu、V相制御信号CSv、W相制御信号CSw)とをコンパレートし、コンパレート結果φUH~φWL及び現在どの区間であるかを示すデータφP1~φP18を図8に示す回路へ出力し、図8に示す回路で各双方向スイッチSRU~STWのスイッチング信号φSRU~φSTWを生成する。
【0181】
具体的には、制御部20において、入力電圧をゼロクロス検出器21により検出し、カウンタ23を初期化しスタートする。カウンタ23は、キャリア用クロック発生器22で発生されたキャリアクロックに同期して、ゼロクロス点をカウントする。ROM24は、入力電圧の1スイッチング周期Tの第2のキャリア波形パターンごとのデータを格納している。コンパレータ25~27及び位相データ発生器28は、カウンタ23のデータ(第1のキャリア波形パターン)に応じて、キャリアクロック単位のROM24からキャリアデータを読み出すことによって図6(a)~(f)の1スイッチング周期Tごとのキャリアデータ(第2のキャリア波形パターン)がコンパレータ25~27及び位相データ発生器28へ出力される。
【0182】
一方、制御信号発生部30において、電圧振幅・位相演算器31は、目的に応じて生成されるべき出力電圧、すなわち負荷LDに出力すべきU相、V相、W相の電圧を演算し、演算結果を3相波形発生器32へ出力する。3相波形発生器32は、演算結果に応じて、U相、V相、W相の制御信号(第2の制御信号)を発生させてコンパレータ25~27へ出力する。
【0183】
制御部20において、コンパレータ25~27は、それぞれ、U相、V相、W相の制御信号と第2のキャリア波形パターンとをコンパレートし、コンパレート結果φUH,φVH,φWHを図8に示す回路へ出力する。コンパレート結果φUHは、例えば、U相制御信号CSuが第2のキャリア波形パターンより上側にあれば、アクティブレベル(例えば、「1」)であり、U相制御信号CSuが第2のキャリア波形パターンより下側にあれば、ノンアクティブレベル(例えば、「0」)である。コンパレート結果φVHは、例えば、V相制御信号CSvが第2のキャリア波形パターンより上側にあれば、アクティブレベル(例えば、「1」)であり、V相制御信号CSvが第2のキャリア波形パターンより下側にあれば、ノンアクティブレベル(例えば、「0」)である。コンパレート結果φWHは、例えば、W相制御信号CSwが第2のキャリア波形パターンより上側にあれば、アクティブレベル(例えば、「1」)であり、W相制御信号CSwが第2のキャリア波形パターンより下側にあれば、ノンアクティブレベル(例えば、「0」)である。
【0184】
また、インバータINV1~INV3は、それぞれ、コンパレート結果φUH,φVH,φWHを論理反転させたコンパレート結果φUL,φVL,φWLを生成し図8に示す回路へ出力する。
【0185】
位相データ発生器28は、第2のキャリア波形パターンを受けて、第2のキャリア波形パターンに応じて現在の区間がどの区間であるのかを示すデータφP1~φP18を発生させて図8に示す回路へ出力する。例えば、位相データ発生器28は、現在の区間が区間TS11であると認識した場合、区間TS11用データφP1をアクティブレベル(例えば、「1」)にし、他のデータφP2~φP18をノンアクティブレベル(例えば、「0」)にして、図8に示す回路へ出力する。
【0186】
図8に示す回路は、例えば、コンパレート結果φUH~φWLと、現在どの区間であるかを示すデータφP1~φP18とを用いて論理演算を行い、各双方向スイッチSRU~STWのスイッチング信号φSRU~φSTWを生成する。
【0187】
例えば、双方向スイッチSRUは、R相とU相とを接続する双方向スイッチである。図6(a)~(f)の中で、R相を正側として選択するのは、区間TS12,TS13,TS22,TS53,TS62,TS63である。図8に示す回路では、この区間TS12,TS13,TS22,TS53,TS62,TS63用のデータφP2,φP3,φP5,φP15,φP17,φP18をORゲートOR1~OR3でOR演算し、そのOR演算の結果とコンパレート結果φUHとをANDゲートAND1でAND演算する。
【0188】
また、図6(a)~(f)の中で、R相を負側として選択するのは、区間TS23,TS32,TS33,TS42,TS43,TS52である。図8に示す回路では、この区間TS23,TS32,TS33,TS42,TS43,TS52用のデータφP6,φP8,φP9,φP11,φP12,φP14をORゲートOR4~OR6でOR演算し、そのOR演算の結果とコンパレート結果φULとをANDゲートAND2でAND演算する。
【0189】
そして、ANDゲートAND1の出力とANDゲートAND2の出力とをORゲートOR7でOR演算してその演算結果がスイッチング信号φSRUとして双方向スイッチSRUへ出力される。
【0190】
このような演算について、OR演算を+で表し、AND演算を*で表すと、スイッチング信号φSRUは、下記の数式28で表される。
【0191】
φSRU=φUH*(φP2+φP3+φP5+φP15+φP17+φP18)+φUL*(φP6+φP8+φP9+φP11+φP12+φP14)・・・数式28
【0192】
同様にして、双方向スイッチSRV,SRW,SSU,SSV,SSW,STU,STV,STWにそれぞれ出力されるスイッチング信号φSRV,φSRW,φSSU,φSSV,φSSW,φSTU,φSTV,φSTWは、下記の数式29~数式36が表される。
【0193】
φSRV=φVH*(φP2+φP3+φP5+φP15+φP17+φP18)+φVL*(φP6+φP8+φP9+φP11+φP12+φP14)・・・数式29
【0194】
φSRW=φWH*(φP2+φP3+φP5+φP15+φP17+φP18)+φWL*(φP6+φP8+φP9+φP11+φP12+φP14)・・・数式30
【0195】
φSSU=φUH*(φP1+φP4+φP6+φP7+φP9+φP12)+φUL*(φP3+φP10+φP13+φP15+φP16+φP18)・・・数式31
【0196】
φSSV=φVH*(φP1+φP4+φP6+φP7+φP9+φP12)+φVL*(φP3+φP10+φP13+φP15+φP16+φP18)・・・数式32
【0197】
φSSW=φWH*(φP1+φP4+φP6+φP7+φP9+φP12)+φWL*(φP3+φP10+φP13+φP15+φP16+φP18)・・・数式33
【0198】
φSTU=φUH*(φP8+φP10+φP11+φP13+φP14+φP16)+φUL*(φP1+φP2+φP4+φP5+φP7+φP17)・・・数式34
【0199】
φSTV=φVH*(φP8+φP10+φP11+φP13+φP14+φP16)+φVL*(φP1+φP2+φP4+φP5+φP7+φP17)・・・数式35
【0200】
φSTW=φWH*(φP8+φP10+φP11+φP13+φP14+φP16)+φWL*(φP1+φP2+φP4+φP5+φP7+φP17)・・・数式36
【0201】
数式28~数式36は、図8に示す回路の構成を示す式であるとみなすこともできる。
【0202】
本実施形態では、図7によって、ゼロクロスを起点として1スイッチング周期の第2のキャリア波形パターンがROMから読み出され、コンパレート結果、及び、18個の区間信号が出力される。この信号が、図8に示す回路よって合成され、図1の双方向スイッチをON・OFFさせる。これにより、入力電流が正弦波となり、出力電圧が正弦波となる。
【0203】
[転流制御について]
本実施形態のマトリックスコンバータ1において、双方向スイッチ回路10は、3相交流電源PSから入力された3相交流電力の負荷LDへの供給をON/OFFするスイッチング素子組を各相に有する。例えば図9に、双方向スイッチ回路10として、R相、S相およびT相の交流電力からそれぞれU相の交流電力を生成する3つの双方向スイッチSRU、SSU、STUを示す。
【0204】
(スイッチング素子組)
双方向スイッチSRUは、負荷LD側に接続されて電力の供給をON/OFFするスイッチング素子としての前段側半導体素子FRUと、3相交流電源PS側に接続されて電力の供給をON/OFFするスイッチング素子としての後段側半導体素子BRUとを有し、これら前段側半導体素子FRUのドレインが後段側半導体素子BRUのドレインに接続されたスイッチング素子組である。
【0205】
双方向スイッチSSUは、負荷LDのU相の端子側に接続されて電力の供給をON/OFFするスイッチング素子としての前段側半導体素子FSUと、3相交流電源PS側に接続されて電力の供給をON/OFFするスイッチング素子としての後段側半導体素子BSUとを有し、これら前段側半導体素子FSUのドレインが後段側半導体素子BSUのドレインに接続されたスイッチング素子組である。
【0206】
双方向スイッチSTUは、負荷LDのU相の端子側に接続されて電力の供給をON/OFFするスイッチング素子としての前段側半導体素子FTUと、3相交流電源PS側に接続されて電力の供給をON/OFFするスイッチング素子としての後段側半導体素子BTUとを有し、これら前段側半導体素子FTUのドレインが後段側半導体素子BTUのドレインに接続されたスイッチング素子組である。
【0207】
なお図示せずとも、R相、S相およびT相の交流電力からそれぞれV相の交流電力を生成する3つの双方向スイッチSRV、SSV、STVについても同様に、それぞれ負荷LD側に接続されて電力の供給をON/OFFするスイッチング素子としての前段側半導体素子と、3相交流電源PS側に接続されて電力の供給をON/OFFするスイッチング素子としての後段側半導体素子とを有するスイッチング素子組である。
同様に、R相、S相およびT相の交流電力からそれぞれW相の交流電力を生成する3つの双方向スイッチSRW、SSW、STWについても同様に、それぞれ負荷LD側に接続されて電力の供給をON/OFFするスイッチング素子としての前段側半導体素子と、3相交流電源PS側に接続されて電力の供給をON/OFFするスイッチング素子としての後段側半導体素子とを有するスイッチング素子組である。
【0208】
(スイッチングパターン生成部)
図9に示すように制御部20はスイッチングパターン生成部29を備える。ここでは、双方向スイッチSRU、SSU、STUをON/OFFするスイッチングパターンについて説明する。
【0209】
スイッチングパターン生成部29は、ゼロクロス検出器21(211~213)の出力と、スイッチング信号φSRU、φSSU、φSTUに基づいて、双方向スイッチSRU、SSU、STUをON/OFFさせるスイッチングパターンを生成する。
【0210】
ゼロクロス検出器21として図9の例では、Vstゼロクロス検出器211と、Vtrゼロクロス検出器212と、Vrsゼロクロス検出器213とが用いられる。Vstゼロクロス検出器211は、S相とT相の線間電圧がゼロになるタイミングを検出する。Vtrゼロクロス検出器212は、T相とR相の線間電圧がゼロになるタイミングを検出する。Vrsゼロクロス検出器213は、R相とS相の線間電圧がゼロになるタイミングを検出する。
【0211】
スイッチングパターン生成部29は、これら3つのゼロクロス検出器211~213の出力に基づいて、図3に示す複数のモードI~VIのうち、現在のモードがいずれに属するかを判定する。スイッチングパターン生成部29はさらに、ゼロクロス検出器211~213の出力と各スイッチング信号φSRU,φSSU,φSTUの出力との組み合わせに基づいて、3つの双方向スイッチSRU、SSU、STUの間で電流を転流するためのスイッチングパターンを生成する。このスイッチングパターンは、各双方向スイッチSRU,SSU,STUの前段側半導体素子FRU,FSU,FTUおよび後段側半導体素子BRU,BSU,BTUのゲートにそれぞれ供給されるスイッチング信号φFRUP,φFSUP,φFTUP,φBRUP,φBSUP,φBTUPのスイッチング信号の組み合わせであり、より具体的には図6の各区間TS11~TS63に示されるR相パルス、T相パルスおよびS相パルスのレベル(立ち上がり/立ち下がり)を切り替える制御信号である。
【0212】
なお、スイッチングパターン生成部29は、3相交流電源PSと負荷LDのV相との間を接続する3つの双方向スイッチSRV、SSV、STVについて、ゼロクロス検出器211~213の出力と、スイッチング信号φSRV、φSSV、φSTVに基づいて、双方向スイッチSRV,SSV、STVをON/OFFさせるスイッチングパターンを生成する。
同様に、スイッチングパターン生成部29は、3相交流電源PSと負荷LDのW相との間を接続する3つの双方向スイッチSRW、SSW、STWについて、ゼロクロス検出器211~213の出力と、スイッチング信号φSRW、φSSW、φSTWに基づいて、双方向スイッチSRW,SSW、STWをON/OFFさせるスイッチングパターンを生成する。
【0213】
マトリックスコンバータ1においては、交流電力と負荷の間を流れる電流を、ある相の双方向スイッチから他の相の双方向スイッチを流れるように切り替える(以下、転流ともいう)制御が行われる。例えば、U相に対する電力供給側をR相からS相に切り替える際は、R相の双方向スイッチSRUとS相の双方向スイッチSSUが転流のためのスイッチングパターンでON/OFF制御されて転流が行われる。つまり、R相からU相への電力供給からS相からU相への電力供給へと切り替える転流制御を実行する場合、R相-U相間に配置された双方向スイッチSRU(以下、転流前スイッチともいう)をONからOFFに切り替え、S相-U相間に配置された双方向スイッチSSU(以下、転流後スイッチともいう)をOFFからONに切り替える。
【0214】
なお、上記とは逆に、S相からU相への電力供給からR相からU相への電力供給へと切り替える転流制御を実行する場合は、R相-U相間に配置された双方向スイッチSRUが転流後スイッチに該当し、S相-U相間に配置された双方向スイッチSSUが転流前スイッチに該当する。
【0215】
上述のようにマトリックスコンバータにおける各双方向スイッチは、負荷側に接続されて電力の供給をON/OFFする前段側半導体素子と、交流電源側に接続されて電力の供給をON/OFFする後段側半導体素子と、をそれぞれ有する。例えば3相交流電源において、転流前スイッチの前段側半導体素子FRUと後段側半導体素子BRU、および、転流後スイッチの前段側半導体素子FSUと後段側半導体素子BSUは、それぞれ同時にON/OFF制御されることなく、転流前スイッチと転流後スイッチそれぞれの前段側および後段側の各半導体素子は交互にON/OFF制御される。
【0216】
一方、マトリックスコンバータでは、双方向スイッチのスイッチング時において、入力電流が短絡する短絡モードでの転流失敗と、負荷が交流電源から開放されるオープンモードでの転流失敗を回避する必要がある。例えば、短絡モードでの転流失敗では、双方向スイッチに大電流が流れることによるスイッチング素子の破壊が問題となる。また、オープンモードでの転流失敗では、電圧の跳ね上がりに起因するサージ電圧の発生が問題となる。
【0217】
これらの転流失敗に対しては、電源短絡を防止し、かつ負荷開放を回避する転流方式として、電圧転流方式と電流転流方式が知られている。電圧転流方式は、各相の電源電圧の大小関係をトリガーとして転流する方法であり、電流転流方式は、負荷電流の方向をトリガーにして転流する方法である。
【0218】
しかしながら、前段側および後段側の2つの半導体素子を含む双方向スイッチを複数備える電力変換装置において、双方向スイッチをON/OFFする際に、半導体素子のON/OFF手順によっては大きなサージ電圧が発生する場合がある。例えば図10に、比較例として、U相へ供給される交流電力をR相からS相へ切り替える転流制御手順の一例を示す。図において、「×」印はOFF状態のスイッチング素子を示している。
【0219】
(比較例)
図10は、U相へ供給される交流電力を電流転流方式でR相からS相へ切り替える際の各半導体素子のスイッチ状態を示している。転流前スイッチである双方向スイッチSRUは前段側および後段側のいずれの半導体素子もがON状態であり、転流後スイッチである双方向スイッチSSUは前段側および後段側のいずれの半導体素子もがOFF状態である(Before)。
【0220】
電流方向が3相交流電源側から負荷側への方向の場合では、まず、転流前スイッチ(SRU)の後段側半導体素子BRUがOFF(Step1)、次いで転流後スイッチ(SSU)の前段側半導体素子FSUがON(Step2)、次いで転流前スイッチ(SRU)の前段側半導体素子FRUがOFF(Step3)、最後に転流後スイッチ(SSU)の後段側半導体素子BSUがON(Step4)にそれぞれ切り替わることで転流のための制御シーケンスが完了する。
【0221】
図10に示す転流制御シーケンスでは、いずれもON状態にある転流前スイッチ(SRU)の後段半導体素子BRUを先にOFFにするため(ステップ1)、いずれもOFF状態にある転流後スイッチ(SSU)の前段側半導体素子FSUおよび後段側半導体素子BSUがすべてON状態になるまでの間(S相とU相が導通するまでの間)は負荷電流であるU相電流が交流電源に還流されない。その結果、転流前スイッチ(SRU)と負荷との間で大きなサージ電圧が発生する(オープンモードでの転流失敗)。
【0222】
ここで、双方向スイッチを形成する各半導体素子は、還流ダイオードとして別付けのダイオード(例えば、SBD(ショットキーバリアダイオード)など)がソースとドレインの間に付加されるのが通常である。例えば、MOSFETは、ゲート電圧を印加するとドレインからソースの方向へ電流が流れるだけでなく、ソースからドレインの方向へも電流が流れる。転流前スイッチ(SRU)における2つの半導体素子(FRU,BRU)のうち電源側(ソース)から負荷側(ドレイン)へ電力を供給する後段側半導体素子BRUをOFFにすると、当該半導体素子内を電流が流れなくなる。従って、後段側半導体素子BRUがOFFのとき電源側(ソース)から負荷側(ドレイン)へ電流が流入するためには、SBDなどの還流ダイオードを介する必要がある。
【0223】
そして、転流前スイッチ(SRU)の後段側半導体素子BRUがONで電源側(ソース)から負荷側(ドレイン)へ電流が流入していた状態で、転流前スイッチ(SRU)の後段側半導体素子BRUがOFFした際、還流ダイオードを介して電流が流れるまでにタイムラグが生じる。このタイムラグの間、負荷側へ流れる電流が瞬間的に遮断されることになる。このため、自己誘導により負荷側へ電流を流し続けようとする作用が働いて、負荷側の電圧が跳ね上がり、還流ダイオードを介しての負荷電流の還流が不可能となる。
【0224】
このような問題は、U相へ供給される交流電力をS相とT相との間で、また、T相とR相との間で切り替える場合も同様に発生するとともに、V相およびW相におけるR,T,S相間の転流時にも同様に生じ得る。例えば図11に、転流制御時における負荷側の電圧の跳ね上がりの様子を示す一実験結果である。同図において(a)はR相とV相間の線間電圧波形、(b)はU相とV相間の線間電圧波形、そして(c)はV相の電流波形をそれぞれ示している。同図(a)、(b)に示すように、転流制御においてOFF状態の半導体素子に負荷電流が電源側へ還流する還流モード時において顕著な電圧の跳ね上がりが認められる。
【0225】
(本実施形態における転流制御)
上記問題を解消するため、本実施形態では、以下のように各双方向スイッチのスイッチングパターンが生成される。
【0226】
ここでは、転流前スイッチである双方向スイッチにおける前段側および後段側の2つの半導体素子(一のスイッチング素子組)を第1スイッチング素子組とし、転流後スイッチである双方向スイッチにおける前段側および後段側の2つの半導体素子(他のスイッチング素子組)を第2スイッチング素子組とする。スイッチングパターン生成部29は、第1スイッチング素子組から第2スイッチング素子組へ電流を転流するためのスイッチングパターンとして、第2スイッチング素子組の前段側半導体素子をONにする第1ステップと、第1スイッチング素子組の前段側半導体素子をOFFにする第2ステップと、を順に実行させるスイッチングパターンを生成する。
続いて、スイッチングパターン生成部29は、第2スイッチング素子組の後段側半導体素子をONにする第3ステップと、第1スイッチング素子組の後段側半導体素子をOFFにする第4ステップと、を順に実行させるスイッチングパターンを生成する。
【0227】
以下、具体例を挙げて説明する。図12は、本実施形態における転流制御シーケンスを示す図であり、図13はスイッチングパターン生成部29において実行されるスイッチング信号の生成手順を示す図である。この例では、U相へ供給される交流電力を電圧転流方式でR相からS相へ切り替える際の各半導体素子のスイッチ状態を示している。図12において、「×」印はOFF状態のスイッチング素子を示している。転流前スイッチである双方向スイッチSRUは前段側および後段側のいずれの半導体素子もON状態であり、転流後スイッチである双方向スイッチSSUは前段側および後段側のいずれの半導体素子もOFF状態である(Before)。
【0228】
ここでは、R相の電圧がS相よりも高い場合(Vr>Vs)について説明する。マトリックスコンバータ1においては、区間TS13(図6(a)、区間T53(図6(e))および区間T63(図6(f))のそれぞれにおけるR相パルスからS相パルスへの切り替え時に相当する。
この場合、上記第1スイッチング素子組は、転流前スイッチ(SRU)における前段側半導体素子FRUおよび後段側半導体素子BRUに相当し、上記第2スイッチング素子組は、転流後スイッチ(SSU)における前段側半導体素子FSUおよび後段側半導体素子BSUに相当する。
【0229】
スイッチングパターン生成部29は、まず、転流前スイッチ(SRU)から転流後スイッチ(SSU)へ電流を転流するためのスイッチングパターンとして、転流後スイッチ(SSU)の前段側半導体素子FSUをONにする第1ステップ(Step1)と、転流前スイッチ(SRU)の前段側半導体素子FRUをOFFにする第2ステップ(Step2)と、を順に実行させるスイッチングパターンを生成する。
【0230】
続いてスイッチングパターン生成部29は、転流後スイッチ(SSU)の後段側半導体素子BSUをONにする第3ステップ(Step3)と、転流前スイッチ(SRU)の後段側半導体素子BRUをOFFにする第4ステップ(Step4)と、を順に実行させるスイッチングパターンを生成することで、転流前スイッチ(SRU)から転流後スイッチ(SSU)への転流のための制御シーケンスが完了する。
【0231】
上記第1ステップ(Step1)では、転流後スイッチ(SSU)の前段側半導体素子FSUがON状態とされるため、比較例(図10)のStep1と比較して、転流前スイッチ(SRU)はON状態のままであり、負荷側から電源側へ向かう電流(還流)が遮断されることはない。また、上記第2ステップ(Step2)では、転流前スイッチ(SRU)の前段側半導体素子FRUがOFF状態とされることで、還流ダイオードを介して電流が流れるまでにタイムラグが生じる。このタイムラグの間、U相の電流が瞬間的に遮断されるが、次の第3ステップ(Step3)で転流後スイッチ(SSU)の後段側半導体素子BSUがON状態に切り替わるため、上記電流の遮断が速やかに解除される。
【0232】
このため本実施形態では、入力側と出力側との間を流れる電流が遮断される期間を第2ステップのみの期間に短縮することができる。つまり、図10に示した比較例では入力側と出力側で電流が遮断される期間がStep1~Step3であったのに対して、本実施形態では当該電流が遮断される期間をStep2の実行中の期間のみに制限できる。これにより、サージ電圧の発生を抑制できる。
【0233】
図14上は、本実施形態の転流制御時における電圧および電流の波形を示す一実験結果である。同図において(a)はU相の電流波形、(b)はR相とS相間の線間電圧波形、そして(c)はU相とV相間の線間電圧波形をそれぞれ示している。比較として図14下に、図10に示した比較例の手順での転流制御時における図14上と同様な電圧および電流の波形を示す。同図上、下の(c)を比較して明らかなように、本実施形態によれば転流時における電圧の跳ね上がりを抑えられていることが認められる。
【0234】
本実施形態における転流制御は、R相の双方向スイッチSRUとS相の双方向スイッチSSUとの間の転流だけでなく、S相の双方向スイッチSSUとT相の双方向スイッチSTUとの間の転流、および、T相の双方向スイッチSTUとR相の双方向スイッチSRUとの間の転流にも同様に適用される。また、U相に限られず、V相およびW相におけるR,T,S相間の転流時にも同様に適用される。
【0235】
図12に示した本実施形態の転流制御シーケンスでは、入力電圧が高い相(図12においてR相)側から低い相(図12においてS相)側での転流を例に挙げた電圧転流方式が採用される。第1ステップから第4ステップへの切り替えは、あらかじめ設定された時間間隔で行うことができる。
【0236】
なお図15は、入力電圧が高い相がS相側、低い相がR相側の場合(Vr<Vs)の転流制御シーケンスである。マトリックスコンバータ1においては、区間TS23(図6(b)、区間T33(図6(c))および区間T43(図6(d))のそれぞれにおけるR相パルスからS相パルスへの切り替え時に相当する。
【0237】
図15の例ではまず、転流後スイッチ(SSU)の前段側半導体素子FSUがON(Step1)、次いで転流前スイッチ(SRU)の後段側半導体素子BRUがOFF(Step2)、次いで転流後スイッチ(SSU)の後段側半導体素子BSUがON(Step3)、最後に転流前スイッチ(SRU)の前段側半導体素子FRUがOFF(Step4)にそれぞれ切り替わることで転流が終了する。
【0238】
Step1で転流後スイッチ(SSU)の前段側半導体素子FSUがON状態になることで、OFF状態に維持された後段側半導体素子BSUの還流ダイオードを介してS相からU相へ電流が流れる。また、Step2で転流前スイッチ(SRU)の後段側半導体素子BRUがOFF状態になり、U相の電流が遮断されるが、次の第3ステップ(Step3)で転流後スイッチ(SSU)の後段側半導体素子BSUがON状態に切り替わるため、上記電流の遮断が解除される。したがって、この場合にも負荷側での電圧の跳ね上がりが抑えられる。
【0239】
以上のように本実施形態によれば、転流のためのスイッチングパターンとして、図12に示すように転流後スイッチ(SSU)の前段側半導体素子FSUをONにする第1ステップと、転流前スイッチ(SRU)の前段側半導体素子FRUをOFFにする第2ステップとを順に実行させるスイッチングパターンを生成するため、入力側と出力側とで電流が遮断される期間を第2ステップのみの期間に短縮することができる。これにより、負荷側でのサージ電圧の発生を抑制できる。
【0240】
さらに、上記第2のステップの後、転流後スイッチ(SSU)の後段側半導体素子BSUをONにする第3ステップと、転流前スイッチ(SRU)の後段側半導体素子BRUをOFFにする第4ステップとを順に実行させるスイッチングパターンを生成することで、入力側と出力側とで電流が遮断される期間を第2ステップの期間のみに制限できる。これにより、負荷側でのサージ電圧の発生をさらに抑制できる。
【0241】
また本実施形態では、電圧転流方式の転流制御を行うに際して、マトリックスコンバータ1におけるゼロクロス検出器21(211~213)の出力を用いて各双方向スイッチに供給されるスイッチングパターンを生成するようにしているため、電圧転流のための特別な電源電圧検出センサを不要とすることができる。
【0242】
一方、本実施形態では、制御部20は、入力された3相交流電力に対して、入力された3相交流電力における各相の電圧の大小関係に応じて区分された複数のモードI~VIに応じて異なる仮想AC/DC変換処理を行い、仮想AC/DC変換処理が行われた電力に対して、複数のモードI~VIに応じて異なる仮想DC/AC変換処理を行うように、双方向スイッチ回路10のスイッチングパターンを生成する。具体的には、制御部20は、入力された3相交流電力に対して、複数のモードI~VIに応じて異なる第1のキャリア波形パターンCW11~CW13(図4参照)を用いて仮想AC/DC変換処理を行い、仮想AC/DC変換処理が行われた電力に対して、複数のモードI~VIに応じて異なる第2のキャリア波形パターンCW21~CW26(図6参照)を用いて仮想DC/AC変換処理を行うように、双方向スイッチ回路10のスイッチングパターンを生成する。これにより、マトリックス演算のような複雑な演算を行うことなく、簡易な処理で交流電力を交流電力に直接変換できる。
【0243】
なお、上記の実施形態では、入力された3相交流電力のうち1つの相の交流電力を検出し、検出された交流電力のゼロクロス点を演算し、そのゼロクロス点を起点として入力側の各相の交流電圧を推定しているが、入力された3相交流電力をそれぞれ検出することで認識してもよい。
【0244】
また、上記の実施形態では、双方向スイッチSRU,SSU,STU,SRV,SSV,STV,SRW,SSW,STWとして、SiC-MOSFETが用いられたが、これ以外にも、例えばSi-MOSFET、GaN-MOSFETなどが採用可能である。
【0245】
さらに、上記実施形態では電力変換装置として3相交流電力を3相交流電力に直接変換するマトリックスコンバータを例に挙げて説明したが、これに限られず、例えば3相交流電力を直流電力に変換する3相整流器にも本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0246】
1…マトリックスコンバータ
10…双方向スイッチ回路
20…制御部
30…制御信号発生部
40…3相リアクトル
50…入力コンデンサ
LD…負荷
PS…3相交流電源
FRU,FSU,FTU…前段側半導体素子
BRU,BSU,BTU…後段側半導体素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15