(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000175
(43)【公開日】2024-01-05
(54)【発明の名称】評価装置、評価方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/0631 20230101AFI20231225BHJP
【FI】
G06Q10/06 302
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098785
(22)【出願日】2022-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(74)【代理人】
【識別番号】100172502
【弁理士】
【氏名又は名称】黒瀧 眞輔
(74)【代理人】
【識別番号】100092679
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 盛之助
(72)【発明者】
【氏名】加藤 洋介
(72)【発明者】
【氏名】八木 佳子
(72)【発明者】
【氏名】藤田 浩彰
(72)【発明者】
【氏名】坂本 恵子
(72)【発明者】
【氏名】浜中 麻衣
(72)【発明者】
【氏名】水谷 悠紀
(72)【発明者】
【氏名】大高 万奈
(72)【発明者】
【氏名】石塚 美晴
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA20
(57)【要約】
【課題】 組織における従業員の働き方を評価できる評価装置、評価方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】
複数の作業者に質問を提示する質問提示部と、質問に対する作業者の回答に基づいて組織の評価を示す評価値を算出する評価部と、算出した評価値を提示する評価提示部を備える評価装置において、評価値が、複数の作業者が集合して行う業務遂行に関する評価を示す集合・業務遂行評価値と、複数の作業者が分散して行う業務遂行に関する評価を示す分散・業務遂行評価値と、複数の作業者が集合して行う作業者同士の関係構築に関する評価を示す集合・関係構築評価値と、複数の作業者が分散して行う作業者同士の関係構築に関する評価を示す分散・関係構築評価値と、を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の作業者が所属する組織の評価を出力する評価装置であって、
前記複数の作業者の全部又は一部に複数の質問を提示する質問提示部と、
前記提示した質問に対する前記作業者の回答に基づいて前記組織の評価を示す評価値を算出する評価部と、
前記算出した評価値を提示する評価提示部と、
を備え、
前記評価値は、
前記複数の作業者が集合して行う業務遂行に関する前記評価を示す集合・業務遂行評価値と、
前記複数の作業者が分散して行う業務遂行に関する前記評価を示す分散・業務遂行評価値と、
前記複数の作業者が集合して行う前記作業者同士の関係構築に関する前記評価を示す集合・関係構築評価値と、
前記複数の作業者が分散して行う前記作業者同士の関係構築に関する前記評価を示す分散・関係構築評価値と、
を含む、評価装置。
【請求項2】
前記複数の質問は、
前記第1評価値を算出する前記回答を得るための質問であって、前記複数の作業者が集合して行う業務遂行に関する質問と、
前記第2評価値を算出する前記回答を得るための質問であって、前記複数の作業者が分散して行う業務遂行に関する質問と、
前記第3評価値を算出する前記回答を得るための質問であって、前記複数の作業者が集合して行う前記作業者同士の関係構築に関する質問と、
前記第4評価値を算出する前記回答を得るための質問であって、前記複数の作業者が分散して行う前記作業者同士の関係構築に関する質問と、
の各々を含む、請求項1記載の評価装置。
【請求項3】
前記集合・業務遂行評価値は、前記組織において集合して業務遂行する前記作業者を人数及び/又は頻度で示す値であり、
前記分散・業務遂行評価値は、前記組織において分散して業務遂行する前記作業者を人数及び/又は頻度で示す値であり、
前記集合・関係構築評価値は、前記組織において集合して関係構築を行う前記作業者を人数及び/又は頻度で示す値であり、
前記分散・関係構築評価値は、前記組織において分散して関係構築を行う前記作業者を人数及び/又は頻度で示す値である、請求項2記載の評価装置。
【請求項4】
前記評価値は、さらに、
前記複数の作業者が集合する場合における時間配分を示す時間配分評価値を含む、請求項1記載の評価装置。
【請求項5】
前記複数の質問は、前記複数の作業者が集合する場合における時間配分に関する質問を含む、請求項4記載の評価装置。
【請求項6】
前記評価装置は、さらに、前記時間配分に基づいて前記組織の施設における設備についての推奨面積を算出する、面積算出部を備える、請求項4記載の評価装置。
【請求項7】
コンピュータを請求項1~6のいずれかの評価装置として機能させるプログラム。
【請求項8】
コンピュータを用いて複数の作業者が所属する組織の評価を出力する評価方法であって、
前記複数の作業者の全部又は一部に複数の質問を提示する質問提示ステップと、
前記提示した質問に対する前記作業者の回答に基づいて前記組織の評価を示す評価値を算出する評価ステップと、
前記算出した評価値を提示する評価提示ステップと、
を備え、
前記評価値は、
前記複数の作業者が集合して行う業務遂行に関する前記評価を示す集合・業務遂行評価値と、
前記複数の作業者が分散して行う業務遂行に関する前記評価を示す分散・業務遂行評価値と、
前記複数の作業者が集合して行う前記作業者同士の関係構築に関する前記評価を示す集合・関係構築評価値と、
前記複数の作業者が分散して行う前記作業者同士の関係構築に関する前記評価を示す分散・関係構築評価値と、
を含む、評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は評価装置、評価方法、及びプログラムに関し、具体的には、組織における従業員の働き方を評価できる評価装置、評価方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、オフィス設計を情報処理システムによって支援する装置として、例えば特許文献1のオフィスレイアウトの自動設計提供システムが知られている。特許文献1の技術は、レイアウトに関する要求情報を顧客端末から入力されると、顧客端末とネットワーク接続されたシステム管理サーバにおいてオフィスレイアウトを自動設計するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
昨今では、企業における働き方が変化している。例えば、従来の企業ではオフィスその他の施設に、各従業員が使用する机や椅子その他の什器が固定的に割り当てられることが行われていたが、昨今ではいわゆるフリースペースとして、出勤した従業員その他の作業者が施設の何れの場所で業務を行うかを作業者が自由に決定することができるように施設の空間が設計されることがある。
【0005】
また、感染症の蔓延や天変地異、その他の事情に対応すべく、従業員が自宅やサテライトオフィスからネットワーク接続されたコンピュータを用いて業務を行う、いわゆるテレワークも勤務の一態様として認知されるようになっている。
【0006】
したがって、昨今のオフィスその他の施設の設計に際しては、従来技術のように単に顧客の要望のみに基づくものではなく、作業者が現在どのような態様で作業を行っているか、すなわち、企業における働き方を評価することが求められている。当該働き方の評価はオフィス設計の妥当性を検討する上でも重要な情報であり、当該評価を情報システムによって効果的に支援することが求められていた。
【0007】
本発明は上記の問題に鑑み、組織における従業員の働き方を評価できる評価装置、評価方法、及びプログラムを提供することを、その目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述の課題を解決するためになされた本発明に係る評価装置は、複数の作業者が所属する組織の評価を出力する評価装置であって、前記複数の作業者の全部又は一部に複数の質問を提示する質問提示部と、前記提示した質問に対する前記作業者の回答に基づいて前記組織の評価を示す評価値を算出する評価部と、前記算出した評価値を提示する評価提示部と、を備え、前記評価値は、前記複数の作業者が集合して行う業務遂行に関する前記評価を示す集合・業務遂行評価値と、前記複数の作業者が分散して行う業務遂行に関する前記評価を示す分散・業務遂行評価値と、前記複数の作業者が集合して行う前記作業者同士の関係構築に関する前記評価を示す集合・関係構築評価値と、前記複数の作業者が分散して行う前記作業者同士の関係構築に関する前記評価を示す分散・関係構築評価値と、を含むことを特徴としている。
【0009】
本発明に係る評価装置は、前記複数の質問が、前記第1評価値を算出する前記回答を得るための質問であって、前記複数の作業者が集合して行う業務遂行に関する質問と、前記第2評価値を算出する前記回答を得るための質問であって、前記複数の作業者が分散して行う業務遂行に関する質問と、前記第3評価値を算出する前記回答を得るための質問であって、前記複数の作業者が集合して行う前記作業者同士の関係構築に関する質問と、前記第4評価値を算出する前記回答を得るための質問であって、前記複数の作業者が分散して行う前記作業者同士の関係構築に関する質問と、の各々を含むようにしてもよい。
【0010】
本発明に係る評価装置は、前記集合・業務遂行評価値が、前記組織において集合して業務遂行する前記作業者を人数及び/又は頻度で示す値であり、前記分散・業務遂行評価値が、前記組織において分散して業務遂行する前記作業者を人数及び/又は頻度で示す値であり、前記集合・関係構築評価値が、前記組織において集合して関係構築を行う前記作業者を人数及び/又は頻度で示す値であり、前記分散・関係構築評価値は、前記組織において分散して関係構築を行う前記作業者を人数及び/又は頻度で示す値であるようにしてもよい。
【0011】
本発明に係る評価装置は、前記評価値が、さらに、前記複数の作業者が集合する場合の時間配分を示す時間配分評価値を含むようにしてもよい。
【0012】
本発明に係る評価装置は、前記複数の質問が、前記複数の作業者が集合する場合の時間配分に関する質問を含むようにしてもよい。
【0013】
本発明に係る評価装置は、前記評価装置が、さらに、前記時間配分に基づいて前記組織の施設における設備についての推奨面積を算出する、面積算出部を備えるようにしてもよい。
【0014】
前述の課題を解決するためになされた本発明に係る評価方法は、コンピュータを用いて複数の作業者が所属する組織の評価を出力する評価方法であって、前記複数の作業者の全部又は一部に複数の質問を提示する質問提示ステップと、前記提示した質問に対する前記作業者の回答に基づいて前記組織の評価を示す評価値を算出する評価ステップと、前記算出した評価値を提示する評価提示ステップと、を備え、前記評価値は、前記複数の作業者が集合して行う業務遂行に関する前記評価を示す集合・業務遂行評価値と、前記複数の作業者が分散して行う業務遂行に関する前記評価を示す分散・業務遂行評価値と、前記複数の作業者が集合して行う前記作業者同士の関係構築に関する前記評価を示す集合・関係構築評価値と、前記複数の作業者が分散して行う前記作業者同士の関係構築に関する前記評価を示す分散・関係構築評価値と、を含むことを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明の構成によれば、複数の作業者の全部又は一部に提示した質問に対する作業者の回答に基づいて、複数の作業者が集合して行う業務遂行に関する前記評価を示す集合・業務遂行評価値と、前記複数の作業者が分散して行う業務遂行に関する前記評価を示す分散・業務遂行評価値と、前記複数の作業者が集合して行う前記作業者同士の関係構築に関する前記評価を示す集合・関係構築評価値と、前記複数の作業者が分散して行う前記作業者同士の関係構築に関する前記評価を示す分散・関係構築評価値を含む評価値を算出して提示する。これにより、本発明では組織における従業員の働き方を評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態の一例に係る評価装置の構成を示す図である。
【
図2】同実施形態の一例に係る評価装置における、第1評価画面の構成を示す図である。
【
図3】同実施形態の一例に係る評価装置における、第2評価画面の構成を示す図である。
【
図4】同実施形態の一例に係る評価装置における、設備の推奨面積算出処理の入出力の関係を示す図である。
【
図5】同実施形態の一例に係る評価装置における、質問の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施形態の例について説明する。
図1は、本発明の実施形態の一例に係る評価装置1の構成を示す図である。本実施形態の一例に係る評価装置1は、企業その他の組織において、当該組織に属する従業員その他の複数の作業者の働き方に関する評価を行う装置であり、
図1で示すように、質問提示部11と、評価部12と、評価提示部13と、面積算出部14と、データベース15を備えている。
【0018】
質問提示部11は、複数の作業者の全部又は一部に複数の質問を提示する。本実施形態の一例における評価装置1は、後述するように作業者が使用する作業者端末2とネットワーク4を介して通信可能に接続されている。質問提示部11は、後述するデータベース15から質問を取得し、作業者端末2の表示装置21に表示することで、当該作業者端末2を使用する作業者に質問を提示する。なお、質問を提示する対象となる作業者は、組織に属する作業者の全てであってもよいし、又は、その一部であってもよい。作業者の一部に対して質問を提示する場合に、当該質問を提示する作業者を抽出する方法も任意に周知の方法を選択してよく、例えば、全従業員から無作為に質問を提示する作業者を抽出してもよいし、或いは、過去の質問に対する回答率その他の情報に基づいて作業者を抽出してもよい。
【0019】
評価部12は、質問提示部11が提示した質問に対する作業者の回答に基づいて、組織の評価を示す評価値を算出する。前述のように、本実施形態の一例では質問提示部11が作業者端末2の表示装置21に質問を表示することで従業員に質問を提示する。質問を提示された従業員が作業者端末2を操作して、入力装置22により質問に回答すると、評価装置1は当該回答を受信してデータベース15に記録する。評価部12はデータベース15に記録された回答に基づいて、組織の評価を示す評価値を算出する。なお、評価部12が評価値を算出するタイミングは任意に設定してよいが、本実施形態の一例では、質問提示部11が質問を提示する際に回答期限を設けるように構成されており、当該回答期限を超えたタイミングで評価部12による評価値の算出が行われ、算出した評価値はデータベース15に格納される。
【0020】
評価提示部13は、評価部12が算出した評価値を提示する。本実施形態の一例における評価装置1は、後述するように管理者が使用する評価閲覧者端末3とネットワーク4を介して通信可能に接続されている。評価提示部13は、後述するデータベース15から評価部12が算出した評価値を取得して、評価閲覧者端末3の表示部31に表示することにより提示する。
【0021】
面積算出部14は、評価部12が算出した評価値に含まれる、複数の作業者が集合する場合及び分散する場合のそれぞれにおける時間配分を示す働き方評価値に基づいて、組織の施設における設備についての推奨面積を算出する。本実施形態の一例における前述の評価部12が算出する評価値には、オフィスその他の施設において作業者の時間配分を示す時間配分評価値が含まれる。面積算出部14は、当該時間配分評価値に基づいて、上記施設における部屋や区画、什器その他の設備の推奨面積を算出する。
【0022】
データベース15は、評価装置1の機能に必要な情報を格納するデータベースである。本実施形態の一例では、評価装置1にRDBMS(リレーショナル・データベース・マネージメント・システム)が構築されており、当該RDBMSをデータベース15として用いている。なお、データベース15の具体的な構成は任意に選択してよく、例えば、RDBMSに代えて、評価装置1が備えるHDDその他の記憶装置の領域の一部をもってデータベース15としてもよい。
【0023】
本実施形態の一例において、評価装置1は、サーバ用途のコンピュータを用いて構成されている。コンピュータのHDD(Hard Disk Drive)その他の記憶装置にコンピュータを評価装置として機能させるプログラムを記録しておき、当該プログラムをコンピュータのメモリにロードしてCPU(中央演算処理装置)が実行することにより、コンピュータを本実施形態の一例に係る評価装置1として機能させる。なお、本実施形態の一例において、前述の質問提示部11、評価部12、評価提示部13、及び面積算出部14はソフトウェアにより構成されている。
【0024】
なお、前述のように、本実施形態の一例における評価装置1はサーバ用途のコンピュータを用いて構成しているが、評価装置1として用いるコンピュータは周知のコンピュータを任意に選択してよく、例えば、評価装置1として要求される性能を満たす場合には、サーバ用途ではなく一般的なパーソナル・コンピュータを用いて評価装置1を構成するようにしてもよい。
【0025】
また、本実施形態の一例では、一台のコンピュータを用いて評価装置1を構成しているが、二台以上のコンピュータを用いて評価装置1を構成するようにしてもよい。例えば、評価装置1を質問提示部11、評価部12、評価提示部13、及び面積算出部14を備えるアプリケーションサーバと、データベース15を備えるデータベースサーバとして、各々を一又は二以上のコンピュータを用いて構成するようにしてもよい。
【0026】
評価装置1は、ネットワーク4を介して作業者端末2及び評価閲覧者端末3と通信可能に接続されている。
【0027】
作業者端末2は作業者が使用する端末である。前述のように、本実施形態の一例における評価装置1は複数の従業員の全部又は一部に対して質問を提示し、当該質問に対する従業員の回答に基づいて組織の評価を行う装置であり、評価装置1の質問提示部11により作業者端末2のディスプレイその他の表示部21に質問が表示されることにより、質問が従業員に提示される。また、作業者端末2はマウス、キーボード、タッチパネル、マイクその他の入力部22を備えており、当該入力部22を用いて作業者が上記質問に対する回答を入力する。
【0028】
なお、作業者端末2は周知のコンピュータを用いて構成してよく、例えば据置型のパーソナル・コンピュータを用いてもよいし、或いは、作業者が所持するスマートフォンやタブレット型コンピュータを用いて構成してもよい。また、作業者の数と作業者端末2の数は一致していてもよいし、或いは、複数の作業者が一又は二以上の作業者端末2を共有するようにしてもよい。表示部21に質問に提示する方法、及び、回答を入力する方法についても任意に選択してよく、例えば、評価装置1をWEBアプリケーションサーバとして構成し、作業者端末2が備えるWEBブラウザから所定のURL(Uniform Resource Locator)にアクセスするよう構成してもよいし、或いは、評価装置1と所定の通信規約で通信を行うアプリケーション・プログラムを作業者端末2にあらかじめインストールしておき、当該アプリケーション・プログラムを作業者端末2で実行することにより、評価装置1による質問の提示及び回答の受信を行うようにしてもよい。
【0029】
評価閲覧者端末3は評価閲覧者が使用する端末である。前述のように、本実施形態の一例における評価装置1は、評価部12により組織の評価を示す評価値を算出し、評価提示部13により当該算出した評価値を提示する。評価提示部13は評価閲覧者端末3の表示部31に評価値を表示することにより、組織の評価を提示する。また、評価閲覧者は複数の作業者の一部又は全部であってもよいし、作業者とは別の人物であってもよい。例えば、評価装置1において組織に属する従業員その他の人員の各々に作業者権限及び/又は評価閲覧者権限を付与し、作業者権限が付与された従業員を作業者とし、評価閲覧者権限が付与された従業員を評価閲覧者としてよい。
【0030】
評価閲覧者端末3は、作業者端末2と同様に周知のコンピュータを構成してよく、また、評価値を表示装置31に表示する方法についても作業者端末2と同様に周知の方法を任意に選択してよい。評価者端末3と作業者端末2は同一のコンピュータであってもよいし、異なるコンピュータによりそれぞれを構成してもよい。例えば、前述の様に組織の従業員に作業者権限と評価閲覧者権限を付与する場合に、作業者権限が付与された従業員が使用する際には従業者端末2として機能し、評価者権限が付与された従業員が使用する際には評価閲覧者端末3として機能するプログラムを任意のコンピュータで実行させることにより、当該コンピュータを作業者端末2及び/又は評価閲覧者端末3として機能させるように構成してもよい。
【0031】
本実施形態の一例では、前述のように評価装置1がネットワーク4を介して作業者端末2及び評価閲覧者端末3と通信可能に接続されている。ネットワーク4の具体的な構成は周知のコンピュータ・ネットワークを用いてよく、例えばいわゆるインターネットその他の広域ネットワークをネットワーク4として用いてよい。評価装置1、作業者端末2及び評価閲覧者端末3がオフィスその他の施設内に設置される場合は広域ネットワークに替えてLAN(Local Area Network)を用いてよく、また、一部又は全部を遠隔地に設置する等の場合に、広域ネットワーク上に構築したVPN(Virtual Private Netowork)を用いてよい。
【0032】
以上が、本実施形態の一例における評価装置1の構成である。次いで、本実施形態の一例における評価について説明する。
【0033】
前述のように、本実施形態の一例では、評価装置1の評価部12が算出した評価値は、評価提示部13により評価閲覧者端末3の表示部31に表示されることにより提示される。また、前述のように、本実施形態の一例における評価装置1は、複数の作業者が所属する組織の評価を出力する評価装置であり、本実施形態の一例では、企業その他の組織における、複数の従業員その他の作業者の働き方に関する評価を評価値として算出し、提示する装置である。本実施形態の一例における上記評価値は、作業者の組織における働き方を、所定の働き方種別の比重として表す第1評価値と、オフィスその他の施設における作業の時間配分として表す第2評価値と、を含んでいる。
【0034】
図2は、本実施形態の一例において、評価装置1の評価提示部13により評価閲覧者端末3の表示装置31に表示される第1評価画面W1の構成を示す図である。本実施形態の一例における第1評価画面W1は、前述の第1評価値を提示する画面である。
【0035】
図2で示すように、第1評価画面W1は、座標系W11と、当該座標系W11により構成される第1象限W113~第4象限W116のそれぞれについて、人数W12aと、頻度W12bが表示される。
【0036】
本実施形態の一例における評価装置1が算出する評価値は、前述のように、組織における作業者の働き方を所定の働き方種別の比重として表す第1評価値を含んでいる。本実施形態の一例において、上記所定の働き方種別は、座標系W11の第1象限W113~第4象限W116のそれぞれによって示されるように構成されている。
【0037】
座標系W11は、第1座標軸W111及び第2座標軸W112から構成された二次元座標系である。本実施形態の一例において、第1座標軸W111は、一方が作業者の集合、他方が作業者の分散を示す座標軸であり、例えば、複数の作業者がオフィスその他に集まって作業を行う場合を集合とし、サテライトオフィスや自宅等に分散して作業を行う場合を分散としている。第2座標軸W112は、一方が組織の業務遂行、他方が作業者間の関係構築を示す座標軸であり、例えば、組織の業務内容を直接行う場合や業務内容についての会議等、組織の業務遂行に資する行為を業務遂行とし、人事的な面談やプロジェクトメンバーとの雑談、レクリエーション等、業務を直接遂行する行為ではないが、業務遂行をする組織の形成に資する行為を関係構築としている。
【0038】
第1座標軸W111及び第2座標軸W112により構成される座標系W11は、第1象限W113が、作業者がオフィスその他の施設に集合して業務遂行を行う働き方種別である集合・業務遂行を示し、第2象限W114が、各作業者がサテライトオフィスや自宅等に分散して業務遂行を行う働き方種別である分散・業務遂行を示し、第3象限W115が、作業者が分散して作業者間の関係構築を行う働き方種別である分散・関係構築を示し、第4象限W116が、作業者が集合して作業者間の関係構築を行う働き方種別である集合・関係構築を示している。本実施形態の一例では、組織の評価として、作業者が第1象限W113~第4象限W116で示す所定の働き方種別のいずれに比重をおく働き方を行っているかを示す第1評価値を算出し、提示する。なお、本実施形態の一例では、第1評価画面W1において、第1象限W113~第4象限W116の各働き方種別を「オフィスでこつこつ」、「テレワークでこつこつ」、「テレワークでわいわい」、及び「オフィスでわいわい」と表している。
【0039】
座標系W11の第1象限W113~第4象限W116のそれぞれには、各象限が示す働き方種別における評価値W12として、人数W12aと、頻度W12bが表示される。前述の通り、本実施形態の一例では、評価装置1の評価部12において質問に対する複数の作業者の回答に基づいて評価値を算出する。一の作業者の回答から、当該作業者の働き方が第1象限W113~第4象限W116で示す働き方種別の何れに該当するかを判定し、各働き方種別ごとに該当する人数を計上することにより算出される評価値が人数W12aである。また、各象限における人数W12aを総人数における比率として算出した値が頻度W12bである。本実施形態の一例では、第1象限W113における評価値W12は、組織において、複数の作業者が集合して行う業務遂行に関する評価を示す集合・業務遂行評価値であり、第2象限W114における評価値W12は、組織において、複数の作業者が分散して行う業務遂行に関する評価を示す分散・業務遂行評価値であり、第3象限W115における評価値W12は、組織において、複数の作業者が分散して行う作業者同士の関係構築に関する評価を示す分散・関係構築評価値であり、第4象限W116における評価値W12は、組織において、複数の作業者が集合して行う作業者同士の関係構築に関する評価を示す集合・関係構築評価値である。
【0040】
座標系W11の第1象限W113~第4象限W116のそれぞれには、比重W13が表示される。比重W13は、作業者の現在における比重を実線で示す現在比重と、作業者の希望する比重を破線で示す希望比重から構成されている。比重W13は、前述の評価値W12に含まれる人数W12a及び/又は頻度W12bを面積で図示するものである。
【0041】
また、前述の第1評価値W12を構成する人数W12a及び頻度W12bの外側には、第1象限W113~第4象限W116のそれぞれが示す働き方種別における、組織のパフォーマンスW14が表示される。
【0042】
図3は、本実施形態の一例における第2評価画面W2の構成を示す図である。本実施形態の一例における第2評価画面W2は、前述の第2評価値、すなわち、作業者の組織における働き方を、オフィスその他の施設における作業者の時間配分として算出したものである。
図3で示すように、第2評価画面W2は、画面構成として、働き方種別W21a~W21dの各々について、第2評価値として、出社日数W22、滞在時間W23及び時間配分W24を備えている。
【0043】
働き方種別W21a~W21dは、前述の第1評価画面W1における第1象限W113~第4象限W116で示す働き方種別に対応しており、各働き方種別を表す名称及び人数によって構成されている。なお、人数は、前述の第1評価画面W1における人数W12と同一の値であり、前述の質問に対する回答に基づいて、回答を行った作業者が働き方種別W21a~W21dの何れに該当するかを判定し、当該判定された人数を働き方種別ごとに計上することにより算出される値である。
【0044】
出社日数W22は、働き方種別W21a~W21dのそれぞれにおいて、各働き方種別に該当すると判定された作業者がオフィスその他の施設で勤務する日数を週平均の値として算出したものである。滞在時間W23は、働き方種別W21a~W21dのそれぞれにおいて、各働き方種別に該当すると判定された作業者がオフィスその他の施設で勤務する時間を一日平均の値として算出したものである。
【0045】
時間配分W24は、働き方種別W21a~W21dのそれぞれにおいて、各働き方種別に該当すると判定された作業者の施設における作業の時間配分を比率として算出した値を示すグラフである。第2評価画面W2の下部には凡例W25によって、時間配分W24を構成する各作業を示しており、本実施形態の一例における凡例W25は、デスクワークW25a、ミーティングW25b、上司部下の面談W25c、業務に必要な会話W25d、雑談W25e、リフレッシュW25f、在宅/外出W25gから構成されている。本実施形態の一例では、作業W25a~W25gの時間配分を評価値として算出し、グラフで示している。なお、本実施形態の一例における第2評価提示画面W2は、前述のように、第2評価値すなわち、作業者が施設に集合して行う作業の時間配分を示す評価であるが、作業者が自宅やサテライトオフィス等に分散して行う作業の時間配分についても算出するようにしてもよい。
【0046】
本実施形態の一例における評価提示画面の説明は以上である。次いで、本実施形態の一例における推奨面積の算出について説明する。前述のとおり、本実施形態の一例における評価装置1は、算出した評価値に基づいてオフィスその他の施設における部屋や区画その他の設備の推奨面積を算出する面積算出部14を備えている。
【0047】
図4は、本実施形態の一例における、面積算出部14の入出力関係を示す図である。本実施形態の一例では、前述の通り、評価値として作業者の施設における時間配分を算出している。
図4で示すように、面積算出部14では、時間を配分する対象となる作業としてデスクワークD1、集中ワークD2、ミーティングD3、業務に必要な会話D4、上司部下の面談D5、雑談D6、リフレッシュD7のいずれか一又は二以上を入力値とし、施設を構成する部屋や区域その他の設備として、フリーアドレスA1、集中スペースA2、WEB会議スペースA3、ディスカッションスペースA4、1体1スペースA5、雑談スペースA6、会議スペースA7のそれぞれの推奨面積を算出する。算出の方法は任意に選択してよく、例えば、入力値となる時間配分種別の合計時間の比率を各設備ごとに求め、当該比率と施設の総面積に基づいて各設備の推奨面積を算出するようにしてよい。なお、本実施形態の一例において、デスクワークD1及び集中ワークD2は前述の第2評価画面W2におけるデスクワークW25aに対応し、ミーティングD3~リフレッシュD7は前述の第2評価画面W2におけるミーティングW25b~リフレッシュW25fに対応している。また、本実施形態の一例では、ミーティングD3、業務に必要な会話D4、上司部下の面談D5、雑談D6の各作業については、当該作業の時間と、その内、参加者の一部又は全部がオンライン、すなわち分散して参加した時間を別個の入力値として扱っているが、施設に集合して行う作業と、分散して行う作業を同一の入力値とみなすか、或いは別個の入力値としてみなすかは任意に選択してよく、また、本実施形態の一例のように、入力値の一部について、分散して作業を行う時間を別個の入力値として扱うようにしてよい。
【0048】
次いで、本実施形態の一例における質問の構成について説明する。
図5は、本実施形態の一例において、質問提示部11が作業者に提示する質問の構成例を示す図である。本実施形態の一例において、質問は評価装置1のデータベース15に格納されている。
図5で示すように、各質問は、質問番号Q11と、分類Q12と、関連指標Q13と、質問文Q14と、回答方法Q15から構成されている。また、本実施形態の一例では、二以上の質問を一の質問グループQ2に紐づけることができるように構成されている。質問グループQ2は、グループ質問文Q21を備えている。なお、本実施形態の一例では、一の質問が任意の質問グループQ2に紐づく場合と、何れの質問グループQ2にも紐づかない場合の双方が許容されるように構成されている。
【0049】
質問は、前述の評価部12による算出の入力値となる回答を求める質問を含むように構成されている。本実施形態の一例では、質問として、複数の作業者が施設に集合して行う業務遂行に関する質問と、複数の作業者が分散して行う業務遂行に関する質問と、複数の作業者が分散して行う作業者同士の関係構築に関する質問と、複数の作業者が集合して行う作業者同士の関係構築に関する質問を含むように構成されており、前述の第1象限W113~第4象限W116で示す働き方種別のそれぞれについて、時間配分、日数、割合その他の形式で回答を求める質問が含まれている。
【0050】
前述のように、本実施形態の一例における評価部14は、質問に対する解答に基づいて組織の評価を示す評価値を算出する。上記の例における質問は、前述の第1評価値を算出する入力値となる回答を得るための質問であり、評価部14では、当該質問に対する回答に基づいて、当該回答を行った作業者が前述の集合・業務遂行、分散・業務遂行、分散・関係構築、及び集合・関係構築のいずれの働き方種別に該当するかを判定し、各働き方種別のそれぞれに該当する作業者の人数及び頻度を第1評価値として算出する。
【0051】
また、本実施形態の一例では、質問として、複数の作業者が施設に集合する場合及び分散する場合のそれぞれにおける時間配分に関する質問を含むように構成されており、例えば、前述のデスクワークW25a~在宅/外出W25gの何れか一又は二以上の作業について、作業者が施設に集合して当該種別の作業を行う場合及び作業者が分散して当該種別の作業する場合それぞれの時間の回答を求める質問が含まれている。
【0052】
前述のように、本実施形態の一例では、組織の評価を示す評価値として、作業者のオフィスその他の施設における作業の時間配分として表す第2評価値を含んでいる。上記の例における質問は、第2評価値を算出する入力値となる回答を得るための質問である。本実施形態の一例における評価装置1の評価部14では、当該質問に対する回答、すなわち、各作業に対する時間配分に基づいて、前述の働き方種別ごとに時間配分の比率を第2評価値として算出する。
【0053】
また、本実施形態の一例では、同一の内容を問う質問について、作業員の現在に関する質問と、作業員の希望に関する質問を備えるように構成されている。例えば、分散して作業を行う割合について、作業員の現状を問う質問と、作業員の希望を問う質問を含んでいる。なお、現在及び希望に関する質問は、単一の質問を現在及び希望について問うように構成してもよいし、二以上の質問を含む質問グループG2を、現在及び希望について問うように構成してもよい。
【0054】
前述のとおり、本実施形態の一例における第1評価提示画面W1では、各象限W113~W116のそれぞれについて、作業員の現在及び希望における比重W13が表示される。上記の例における質問は、当該比重W13を算出する入力値となる回答を得るための質問である。
【0055】
本実施形態の一例において、質問の構成は任意に変更してよく、また、一の観点についての質問が、他の観点についての質問を兼ねていてもよい。例えば、前述のデスクワークW25aは、働き方種別としては第1象限W111が示す集合・業務遂行又は第2象限W112が示す分散・業務遂行のいずれかである。デスクワークW25aについて、施設に集合する場合と自宅その他に分散する場合についての時間配分を問う質問は、時間配分を観点とする質問あると共に、いずれの働き方種別に属する働き方かを問う質問として構成してよい。
【0056】
また、質問は、前述の評価値を算出する入力値となる質問に加えて、他の値その他を算出する質問を含むように構成してよい。例えば、本実施形態の一例では、前述の第1評価画面W1において各働き方種別ごとのパフォーマンスW14を表示するが、当該パフォーマンスW14を算出するために、作業者のパフォーマンスを推測する質問を質問として含むように構成してもよい。質問への回答を行った作業者それぞれが何れの働き方種別に該当するかを判定した後、各働き方種別ごとに該当する作業者のパフォーマンスの総計を算出して、上記パフォーマンスW14として表示するように構成してよい。本実施形態の一例では、前述のように組織における設備の推奨面積を算出するが、当該推奨面積が、現状の組織の評価に基づく推奨面積と、上記パフォーマンスW14に基づいて、組織のパフォーマンスとして業務効率を最適化する場合の推奨面積を算出するようにしてもよい。
【0057】
本実施形態の一例の説明は以上である。なお、本発明の実施の形態はこれに限られない。例えば、本実施形態の一例における評価装置1は企業を組織とし、従業員を作業者としているが、組織として評価を行う対象は企業に限られず、非営利団体や教育機関その他の団体であってもよいし、或いは、企業における一部、例えば任意の部署等を組織としてもよい。また、作業者として扱う対象は正規社員に限られず、契約社員その他の人員を含めるようにしてもよい。
【0058】
その他の具体的な構成も本実施の形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 評価装置
11 質問提示部
12 評価部
13 評価提示部
14 面積算出部
15 データベース
2 作業者端末
21 表示装置
22 入力装置
3 評価閲覧者端末
31 表示装置
4 ネットワーク