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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175002
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】運転支援装置
(51)【国際特許分類】
   B60P 1/00 20060101AFI20241210BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20241210BHJP
   B60P 7/06 20060101ALI20241210BHJP
   G08B 21/00 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
B60P1/00 Z
B60W50/14
B60P7/06 Z
G08B21/00 U
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024157918
(22)【出願日】2024-09-12
(62)【分割の表示】P 2023500248の分割
【原出願日】2021-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 英毅
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康悟
(72)【発明者】
【氏名】清水 晃
(72)【発明者】
【氏名】城▲崎▼ 康夫
(72)【発明者】
【氏名】三浦 彬暉
(72)【発明者】
【氏名】福島 憲彦
(72)【発明者】
【氏名】須藤 隆徳
(72)【発明者】
【氏名】高橋 勲
(57)【要約】
【課題】荷崩れを抑制すること。
【解決手段】運転支援装置は、取得手段(23a)と、提示手段(23h)と、を備える。取得手段(23a)は、移動体の加速度を含む走行情報を取得する。提示手段(23h)は、取得手段(23a)により取得された走行情報に基づく移動体の加速度の複数軸の分布に基づいて特定される移動体での荷崩れに関する情報を運転手に提示する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の加速度を含む走行情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記走行情報に基づく前記移動体の加速度の複数軸の分布に基づいて特定される前記移動体での荷崩れに関する情報を運転手に提示する提示手段と、を備える
ことを特徴とする運転支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の加速度などを取得することにより、走行中の車両の荷台に積載されている荷物の荷崩れを予測する技術が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-224270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来技術では、荷崩れの予測精度に改善の余地があることから、車両での荷崩れを抑制する上でさらなる改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、たとえば、荷崩れを抑制することができる運転支援装置、運転支援方法および運転支援プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の運転支援装置は、取得手段と、提示手段と、を備える。取得手段は、移動体の加速度を含む走行情報を取得する。提示手段は、前記取得手段により取得された前記走行情報に基づく前記移動体の加速度の複数軸の分布に基づいて特定される前記移動体での荷崩れに関する情報を運転手に提示する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施の形態1に係る制御システムの構成の一例を示す説明図である。
図2図2は、実施の形態1に係るサーバの構成の一例を示す説明図である。
図3図3は、実施の形態1に係る車両の構成の一例を示す説明図である。
図4図4は、実施の形態1に係る加速度値分布図の一例を示す図である。
図5図5は、実施の形態1に係る路面状態推定処理の一例を説明するための図である。
図6図6は、実施の形態1に係る加速度値分布図の一例を示す図である。
図7図7は、実施の形態1に係る運転支援処理の一例を説明するための図である。
図8図8は、実施の形態1に係る運転支援処理の一例を説明するための図である。
図9図9は、実施の形態1に係る運転支援処理の一例を説明するための図である。
図10図10は、実施の形態2に係る車両の構成の一例を示す説明図である。
図11図11は、実施の形態1に係る路面状態推定処理の手順を示すフローチャートである。
図12図12は、実施の形態1に係る運転支援処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、図面を参照しつつ、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態)について説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。さらに、図面の記載において、同一の部分には同一の符号を付している。
【0009】
<制御システムの構成>
最初に、実施の形態1に係る制御システム1の構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、実施の形態1に係る制御システム1の構成の一例を示す説明図である。図1に示すように、実施の形態1に係る制御システム1は、サーバ2と、複数の車両3とを含む。車両3は、移動体の一例である。
【0010】
サーバ2は、複数の車両3を1つの制御ネットワークとして管理する。複数の車両3は、制御装置4をそれぞれ有する。
【0011】
これらサーバ2と複数の車両3とは、たとえば、無線LAN(Local Area Network)通信や、WAN(Wide Area Network)通信、携帯電話通信などによってネットワーク(たとえば、インターネット)Nを介して接続され、双方の間で各種情報の通信が可能である。
【0012】
<サーバの構成>
次に、実施の形態1に係るサーバ2の構成について、図2を参照しながら説明する。図2は、実施の形態1に係るサーバ2の構成の一例を示す説明図である。図2に示すように、サーバ2は、通信部11と、記憶部12と、制御部13とを備える。
【0013】
なお、サーバ2は、かかるサーバ2を利用する管理者などから各種操作を受け付ける入力部(たとえば、キーボードやマウスなど)や、各種情報を表示するための表示部(たとえば、液晶ディスプレイなど)を有してもよい。
【0014】
通信部11は、たとえば、NIC(Network Interface Card)などによって実現される。通信部11は、ネットワークNと有線または無線で接続され、ネットワークNを介して、複数の車両3との間で情報の送受信を行う。
【0015】
記憶部12は、たとえば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスクなどの記憶装置によって実現される。図2に示すように、記憶部12は、道路情報記憶部12aと、路面情報記憶部12bと、荷崩れ情報記憶部12cとを有する。
【0016】
道路情報記憶部12aは、道路の位置を示す道路位置情報、たとえば地図情報を記憶する。路面情報記憶部12bは、道路の路面状態に関する情報(以下、「路面情報」とも呼称する。)を記憶する。かかる路面情報記憶部12bには、たとえば、凹凸が存在する路面の位置に関する情報と、かかる凹凸の詳細(たとえば、形状など)に関する情報とが対応付けて記憶される。
【0017】
荷崩れ情報記憶部12cは、車両3での荷崩れに関する情報(以下、荷崩れ情報とも呼称する。)を記憶する。かかる荷崩れ情報記憶部12cには、たとえば、荷崩れに与える影響の度合いが大きい位置に関する情報と、荷崩れに与える影響の度合いに関する情報とが対応付けて記憶される。
【0018】
制御部13は、コントローラ(controller)であり、たとえば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などによって、サーバ2内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部13は、たとえば、コントローラであり、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路により実現される。
【0019】
図2に示すように、制御部13は、取得手段13aと、送信手段13bとを有し、以下に説明する各種処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部13の内部構成は、図2に示した構成に限られず、後述する各種処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。
【0020】
取得手段13aは、車両3の制御装置4で推定され、この制御装置4より送信された路面情報を取得し、路面情報記憶部12bに記憶する。また、取得手段13aは、車両3の制御装置4で特定され、この制御装置4より送信された荷崩れ情報を取得し、荷崩れ情報記憶部12cに記憶する。
【0021】
送信手段13bは、車両3の制御装置4からの指令に基づいて、路面情報記憶部12bに記憶された路面情報、および荷崩れ情報記憶部12cに記憶された荷崩れ情報を制御装置4に送信する。
【0022】
<路面状態推定処理>
次に、実施の形態1に係る車両3の構成、およびこの車両3で実施される路面状態推定処理の詳細について、図3図6を参照しながら説明する。図3は、実施の形態1に係る車両3の構成の一例を示す説明図である。
【0023】
図3に示すように、車両3は、制御装置4と、3軸加速度センサ5と、GPS(Global Positioning System)センサ6と、速度センサ7と、表示部8とを有する。制御装置4は、路面状態推定装置の一例であり、また、運転支援装置の一例である。
【0024】
3軸加速度センサ5は、たとえば、X軸(たとえば、車両3の前後方向)、Y軸(たとえば、車両3の左右方向)、およびZ軸(たとえば、車両3の上下方向)の各方向の加速度を検出するセンサであり、その検出信号を制御装置4へ供給する。なお、3軸加速度センサ5は、さらに車両3の動作の角速度や角加速度などを検出してもよい。
【0025】
GPSセンサ6は、複数のGPS衛星から測位用データを含む下り回線データを搬送する電波を受信し、かかる測位用データを制御装置4へ供給する。制御装置4は、かかる測位用データに含まれる位置情報(たとえば、緯度および経度)から、車両3の絶対的な位置を検出することができる。
【0026】
速度センサ7は、たとえば、車両3の速度を検出するセンサであり、その検出信号を制御装置4へ供給する。表示部8は、たとえば、車両3のインストルメントパネルに設けられており、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)素子などで構成される。
【0027】
制御装置4は、通信部21と、記憶部22と、制御部23とを備える。通信部21は、たとえば、NICなどによって実現される。通信部21は、ネットワークNと有線または無線で接続され、ネットワークNを介して、サーバ2との間で情報の送受信を行う。
【0028】
記憶部22は、たとえば、RAM、フラッシュメモリなどの半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスクなどの記憶装置によって実現される。
【0029】
制御部23は、コントローラであり、たとえば、CPUやMPUなどによって、制御装置4内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部23は、たとえば、コントローラであり、ASICやFPGAなどの集積回路により実現される。
【0030】
図3に示すように、制御部23は、取得手段23aと、生成手段23bと、測定手段23cと、推定手段23dと、記憶手段23eと、抽出手段23fと、特定手段23gと、提示手段23hとを備え、以下に説明する各種処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部23の内部構成は、図3に示した構成に限られず、以下に説明する各種処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。
【0031】
取得手段23aは、車両3の走行に関する情報(以下、走行情報とも呼称する。)を取得する。取得手段23aは、かかる走行情報として、たとえば、3軸加速度センサ5から、車両3の前後方向、左右方向および上下方向の加速度に関する情報を取得する。
【0032】
また、取得手段23aは、走行情報として、たとえば、GPSセンサ6から車両3の位置情報を取得し、速度センサ7から車両3の速度情報を取得する。
【0033】
生成手段23bは、取得手段23aにより取得された車両3の前後方向、左右方向および上下方向の加速度に関する情報を用いて、所定の単位時間における加速度の3軸の分布を3次元座標系にプロットした図である加速度値分布図を生成する。かかる加速度値分布図の詳細について以下に説明する。
【0034】
図4は、実施の形態1に係る加速度値分布図の一例を示す図である。たとえば、車両3がエンジンを切って停止している場合、加速度値分布図のプロット範囲は、3次元座標系の原点近傍のプロット範囲D1となる。
【0035】
また、車両3がエンジンをアイドリングしながら停止している場合、加速度値分布図のプロット範囲は、3次元座標系の原点を中心とし、上記のプロット範囲D1よりも広い球状のプロット範囲D2となる。
【0036】
さらに、車両3が平坦な路面を走行している場合、加速度値分布図のプロット範囲は、3次元座標系の原点を中心とし、上記のプロット範囲D2よりも広い球状のプロット範囲D3となる。なお、図4または本文では、原点に重力加速度を加味した点(上下方向で1gを初期値とする)をとっている。
【0037】
次に、この加速度値分布図を用いた路面状態推定処理について説明する。図5は、実施の形態1に係る路面状態推定処理の一例を説明するための図である。図5に示すように、車両3が、アスファルトのひび割れなどがある路面劣化区間Xを通過するとする。
【0038】
この場合、車両3の左前輪FLおよび左後輪RLが順に路面劣化区間Xを通過する一方、車両3の右前輪FRおよび右後輪RRは路面劣化区間Xを通過しないことから、車両3は前後方向に揺さぶられるとともに、右方向よりも左方向に大きく揺さぶられる。
【0039】
すると、かかる路面劣化区間Xを通過する際の単位時間において、生成手段23bは、図6に示すような加速度値分布図を生成する。図6は、実施の形態1に係る加速度値分布図の一例を示す図である。
【0040】
路面劣化区間Xを通過する際の単位時間において、生成手段23bは、図6に示すように、前後方向および上下方向に広がるとともに、右方向よりも左方向に大きく広がったプロット範囲D4の加速度値分布図を生成する。
【0041】
図3の説明に戻る。制御部23の測定手段23cは、車両3の加速度の複数軸の分布(たとえば、生成手段23bにより生成された加速度値分布図)に基づいて、車両3の振動に関する情報(以下、振動情報とも呼称する。)を測定する。
【0042】
測定手段23cが測定する振動情報としては、たとえば、図6に示すプロット範囲D4の加速度値分布図における前後方向の大きさの絶対値|A|が挙げられる。また、測定手段23cが測定する振動情報としては、たとえば、プロット範囲D4の加速度値分布図における左右方向の大きさの絶対値|B|が挙げられる。
【0043】
また、測定手段23cが測定する振動情報としては、たとえば、プロット範囲D4の加速度値分布図における左右方向の大きさBと、原点を基準として広がりが大きい横方向(図では左方向)の大きさCとの比率の絶対値|B/C|が挙げられる。
【0044】
また、測定手段23cが測定する振動情報としては、たとえば、プロット範囲D4の加速度値分布図における上下方向の大きさの絶対値|D|が挙げられる。
【0045】
図3の説明に戻る。制御部23の推定手段23dは、測定手段23cにより測定された振動情報に基づいて、車両3が走行した路面の路面状態を推定する。
【0046】
たとえば、推定手段23dは、測定手段23cにより測定された上述の絶対値|A|の値が大きいほど、路面劣化区間Xの劣化度合い(たとえば、凹凸など)が大きいと推定する。
【0047】
また、推定手段23dは、たとえば、測定手段23cにより測定された上述の絶対値|B|の値が大きいほど、路面劣化区間Xの劣化度合い(たとえば、凹凸など)が大きいと推定する。
【0048】
また、推定手段23dは、たとえば、測定手段23cにより測定された上述の絶対値|B/C|の値が大きいほど、路面劣化区間Xの部分的な劣化が進行していると推定する。
【0049】
また、推定手段23dは、たとえば、測定手段23cにより測定された上述の絶対値|B/C|の値に基づいて、路面劣化区間Xの横位置(車両3に対する路面劣化区間Xの左右方向の相対位置)を推定することができる。
【0050】
また、推定手段23dは、測定手段23cにより測定された上述の絶対値|D|のゆらぎの値が大きい場合、絶対値|B/C|の値に与える路面劣化区間Xの劣化度合いの寄与が、路面劣化区間Xの横位置よりも部分的な劣化による影響の方が大きいと推定することができる。
【0051】
ここまで説明したように、実施の形態1では、車両3の加速度の複数軸の分布(たとえば、加速度値分布図)に基づいて車両3の振動情報を測定し、かかる車両3の振動情報に基づいて路面状態を推定する。これにより、路面状態を精度よく推定することができる。
【0052】
また、実施の形態1では、推定手段23dが、車両3の振動の大きさ(たとえば、絶対値|A|、絶対値|B|、絶対値|D|)および車両3の振動位置の偏り(たとえば、絶対値|B/C|)、振動の時間的な長さ、に基づいて、路面状態を推定するとよい。
【0053】
このように、路面劣化区間Xの劣化度合いをさまざまなパラメータで推定することにより、路面状態をさらに精度よく推定することができる。
【0054】
また、実施の形態1では、測定手段23cが、生成手段23bで生成された加速度値分布図の形状に基づいて、車両3の振動の大きさおよび車両3の振動位置の偏りを測定するとよい。
【0055】
これにより、車両3の振動の大きさおよび車両3の振動位置の偏りを精度よく測定することができる。したがって、実施の形態1によれば、路面状態をさらに精度よく推定することができる。
【0056】
また、実施の形態1では、推定手段23dが、車両3の振動の大きさに基づいて路面表面の起伏を推定し、車両3の振動位置の偏りに基づいて走行車線において路面状態が傷んだ地点の横位置を推定するとよい。
【0057】
これにより、路面劣化区間Xの劣化度合いをさまざまなパラメータで推定することができるとともに、路面劣化区間Xの横位置も推定することができる。したがって、実施の形態1によれば、路面状態をさらに精度よく推定することができる。
【0058】
また、実施の形態1では、生成手段23bで生成された加速度値分布図の形状に基づいて、推定手段23dが路面状態を直接推定してもよい。たとえば、推定手段23dは、加速度値分布図の形状に基づいて、路面に段差があるか、あるいは路面にひび割れがあるか、などを推定することができる。したがって、実施の形態1によれば、路面状態をさらに精度よく推定することができる。
【0059】
また、実施の形態1では、取得手段23aが、車両3の内部に位置する1つの3軸加速度センサ5から走行情報を取得するとよい。これにより、車両3の加速度値分布図を簡便に生成することができることから、低コストで路面状態を推定することができる。
【0060】
なお、3軸加速度センサ5は、車両3に搭載されている場合に限られず、たとえば、スマートフォンなどの情報端末に搭載され、車両3内に載置される3軸加速度センサであってもよい。
【0061】
また、本開示において、車両3の加速度を計測する3軸加速度センサ5の数は1つに限られず、複数であってもよい。これにより、車両3の加速度を精度よく計測することができることから、路面状態をさらに精度よく推定することができる。
【0062】
図3の説明に戻る。制御部23の記憶手段23eは、取得手段23aにより取得された車両3の位置情報と、推定手段23dにより推定された路面状態とを関連付けて、サーバ2(図2参照)の路面情報記憶部12b(図2参照)に記憶する。
【0063】
これにより、路面状態が悪い場所に関する情報がサーバ2の路面情報記憶部12bに記憶されることから、かかる路面状態が悪い場所に関する情報を、ネットワークNに接続された複数の車両3で活用することができる。かかる路面状態の活用例については後述する。
【0064】
また、実施の形態1では、車両3の速度、車両3の車種および車両3が搭載しているタイヤの種類などによって、生成される加速度値分布図の形状や大きさが異なる場合がある。
【0065】
そこで、実施の形態1では、上述した各種振動情報に加え、路面劣化区間Xを通過する際の車両3の速度、車両3の車種および車両3が搭載しているタイヤの種類などの情報に基づいて路面状態を推測してもよい。
【0066】
たとえば、あらかじめ凹凸の形状が分かっている路面を車両3に走行させることにより、各車両3にキャリブレーション処理を施してもよい。
【0067】
また、サーバ2や制御装置4は、1台の車両3の加速度値分布図の集合に基づいて、加速度値分布図を入力情報とし、路面の劣化度合いを出力情報とした学習モデルを生成する。そして、推定手段23dは、加速度値分布図を生成するごとに、この学習モデルを用いて路面の劣化度合いを推測してもよい。
【0068】
また、サーバ2は、ネットワークNに接続される複数の車両3の加速度値分布図の集合に基づいて、加速度値分布図を入力情報とし、路面の劣化度合いを出力情報とした学習モデルを生成する。そして、推定手段23dは、加速度値分布図を生成するごとに、この学習モデルを用いて路面の劣化度合いを推測してもよい。
【0069】
また、実施の形態1では、生成手段23bが、走行時のすべての走行時間において単位時間ごとに加速度値分布図を生成してもよいし、3軸加速度センサ5が特異な加速度を検出した時点から加速度値分布図を生成してもよい。
【0070】
<運転支援処理>
次に、実施の形態1に係る運転支援処理の詳細について、図3および図6図9を参照しながら説明する。
【0071】
図3に示す制御部23の取得手段23aは、車両3の走行情報を取得する。取得手段23aは、かかる走行情報として、たとえば、3軸加速度センサ5から、車両3の前後方向、左右方向および上下方向の加速度に関する情報を取得する。
【0072】
また、取得手段23aは、走行情報として、たとえば、GPSセンサ6から車両3の位置情報を取得し、速度センサ7から車両3の速度情報を取得する。
【0073】
生成手段23bは、取得手段23aにより取得された車両3の前後方向、左右方向および上下方向の加速度に関する情報を用いて、所定の単位時間における加速度の3軸の分布を3次元座標系にプロットした加速度値分布図を生成する。
【0074】
測定手段23cは、車両3の加速度の複数軸の分布(たとえば、生成手段23bにより生成された加速度値分布図)に基づいて、車両3の振動情報を測定する。
【0075】
測定手段23cは、たとえば、上述した路面状態推定処理と同様に、車両3の振動の大きさ(たとえば、絶対値|A|、絶対値|B|、絶対値|D|)および車両3の振動位置の偏り(たとえば、絶対値|B/C|)を測定する。
【0076】
特定手段23gは、各種の情報に基づいて、車両3での荷崩れに関する情報(すなわち、荷崩れ情報)を特定する。かかる荷崩れ情報としては、たとえば、荷崩れが発生する確率や、発生した荷崩れの程度などである。
【0077】
なお、以下の説明では、荷崩れ情報に含まれる荷崩れが発生する確率および発生した荷崩れの程度を総称して、「荷崩れに与える影響の度合い」と呼称する。
【0078】
特定手段23gは、たとえば、測定手段23cにより測定された車両3の振動情報を用いて、車両3の荷崩れ情報を特定する。
【0079】
たとえば、特定手段23gは、加速度値分布図における前後方向の大きさの絶対値|A|(図6参照)の値が大きいほど、荷崩れに与える影響の度合いが大きいと特定する。この場合、特定手段23gは、車両3における前後方向の振動の継続時間も加味して、荷崩れに与える影響の度合いを特定してもよい。
【0080】
なお、特定手段23gは、車両3における前後方向の振動に対して不感帯を設けてもよい。これにより、荷崩れに与える影響の度合いを精度よく特定することができる。
【0081】
また、特定手段23gは、たとえば、加速度値分布図における左右方向の大きさの絶対値|B|(図6参照)の値が大きいほど、荷崩れに与える影響の度合いが大きいと特定する。この場合、特定手段23gは、車両3における左右方向の振動の継続時間も加味して、荷崩れに与える影響の度合いを特定してもよい。
【0082】
また、特定手段23gは、たとえば、車両3の振動位置の偏りを示す上述の絶対値|B/C|(図6参照)の値が大きいほど、荷崩れに与える影響の度合いが大きいと特定する。この場合、特定手段23gは、車両3の振動位置の偏りの継続時間も加味して、荷崩れに与える影響の度合いを特定してもよい。
【0083】
また、特定手段23gは、測定手段23cにより測定された振動情報とは異なる情報を用いて、車両3の荷崩れ情報を特定してもよい。図7は、実施の形態1に係る運転支援処理の一例を説明するための図であり、加速度の3軸の分布がプロットされた3次元座標系において、各時間でのそれぞれの加速度の推移をプロットしたものである。
【0084】
具体的には、図7では、最初に、加速度の3軸の分布がプロットP1の位置にプロットされ、つづいて、加速度の3軸の分布がプロットP2、プロットP3、プロットP4、プロットP5およびプロットP6の順にプロットされる。
【0085】
この場合、制御部23の抽出手段23fは、たとえば、車両3における3軸の加速度の推移から、車両3の加速度の左右方向成分に関する情報を抽出する。たとえば、抽出手段23fは、図7に示す各プロット(たとえば、プロットP5)における横方向成分の大きさの絶対値|E|の値を抽出する。
【0086】
そして、特定手段23gは、かかる横方向成分の大きさの絶対値|E|の値が大きいほど、荷崩れに与える影響の度合いが大きいと特定する。
【0087】
また、抽出手段23fは、たとえば、図7に示す各プロット(たとえば、プロットP5)における横方向成分の大きさの絶対値|E|に、かかるプロットP5と原点との距離を加味した値を抽出する。
【0088】
そして、特定手段23gは、かかる原点との距離を加味した横方向成分の大きさの絶対値|E|の値が大きいほど、荷崩れに与える影響の度合いが大きいと特定する。
【0089】
また、抽出手段23fは、たとえば、図7に示す各プロットにおける偏差(直前のプロットとの差分、たとえばプロットP6における直前のプロットP5との差分)の絶対値|F|の値を抽出する。
【0090】
そして、特定手段23gは、かかる偏差の絶対値|F|の値が大きいほど、荷崩れに与える影響の度合いが大きいと特定する。
【0091】
また、実施の形態1では、車両3の1運行での加速度値分布図を生成し、かかる1運行での加速度値分布図に基づいて荷崩れに与える影響の度合いを特定してもよい。図8は、実施の形態1に係る運転支援処理の一例を説明するための図であり、車両3の1運行での加速度値分布図の一例を示した図である。
【0092】
図8に示す車両3の1運行での加速度値分布図(プロット範囲D5)は、制御部23の生成手段23bによって生成される。そして、抽出手段23fは、かかるプロット範囲D5のいびつ度合い(たとえば、原点に対する偏り)を抽出する。
【0093】
そして、特定手段23gは、かかる1運行での加速度値分布図のいびつ度合いが大きいほど、荷崩れに与える影響の度合いが大きいと特定する。
【0094】
また、実施の形態1では、取得手段23aにより取得された車両3の走行情報から車両3に積載される荷物に加わるモーメントを抽出し、かかる荷物に加わるモーメントに基づいて荷崩れに与える影響の度合いを特定してもよい。図9は、実施の形態1に係る運転支援処理の一例を説明するための図であり、荷物に加わるモーメントについて説明するための図である。
【0095】
図9の例において、初期段階での荷物の重心Gの位置は、原点(たとえば、車両3の重心位置)と一致している。次に、車両3が右に旋回し、荷物の重心Gは原点から左後方に移動している場合を考える。
【0096】
この場合、抽出手段23fは、以下の式(1)に基づいて、荷物に加わるモーメントMを抽出することができる。
M∝F×L ・・・(1)
:遠心力
L:原点と重心Gとの距離
【0097】
そして、特定手段23gは、かかる荷物に加わるモーメントMの値が大きい(Lが大きい、即ち重心の初期値の差が大きい、および/またはFの遠心力が大きい、即ち速度が大きい・急カーブ)ほど、荷崩れに与える影響の度合いが大きいと特定する。なお、荷物の重心Gの位置は、3軸加速度センサ5により検出される加速度や角速度、角加速度などにより求めることができる。
【0098】
図3の説明に戻る。制御部23の提示手段23hは、特定手段23gにより特定された車両3の荷崩れ情報を、かかる車両3の運転手に提示する。たとえば、提示手段23hは、車両3の荷崩れ情報を表示部8に表示することにより、車両3の荷崩れ情報を運転手に提示する。
【0099】
たとえば、提示手段23hは、荷崩れに与える影響の度合いが所与の閾値よりも大きい場合に、荷崩れが発生する可能性が高いことを運転手に提示する。これにより、制御装置4は、荷崩れが発生しやすい運転が行われることを抑制することができる。
【0100】
また、提示手段23hは、たとえば、荷崩れに与える影響の度合いが所与の閾値よりも大きい場合に、発生した荷崩れの程度を運転手に提示してもよい。これによっても、制御装置4は、荷崩れの程度がさらに大きくなりやすい運転が行われることを抑制することができる。
【0101】
したがって、実施の形態1によれば、車両3での荷崩れを抑制することができる。
【0102】
また、実施の形態1では、上述した各種要因(たとえば、絶対値|A|、絶対値|B|、絶対値|B/C|、絶対値|E|、絶対値|F|、モーメントM)のうち、荷崩れに与える影響の度合いの大きい要因を個別に運転手に提示してもよい。
【0103】
また、実施の形態1では、上述した各種要因(たとえば、絶対値|A|、絶対値|B|、絶対値|B/C|、絶対値|E|、絶対値|F|、モーメントM)を総合的に加味して、この総合的に加味された影響の度合いの大きさを運転手に提示してもよい。
【0104】
また、実施の形態1では、荷崩れに与える影響の度合いが大きい地点の情報をサーバ2に蓄積してもよい。たとえば、記憶手段23eは、取得手段23aにより取得された車両3の位置情報と、特定手段23gにより特定された荷崩れ情報とを関連付けて、サーバ2の荷崩れ情報記憶部12cに記憶する。
【0105】
これにより、荷崩れが発生しやすい場所に関する情報がサーバ2の荷崩れ情報記憶部12cに記憶されることから、かかる荷崩れが発生しやすい場所に関する情報を、ネットワークNに接続された複数の車両3で活用することができる。
【0106】
たとえば、制御装置4は、サーバ2の路面情報記憶部12bおよび荷崩れ情報記憶部12cに記憶された情報に基づいて、車両3が走行予定のルート案内を運転手に提示してもよい。
【0107】
具体的には、制御装置4は、たとえば、路面情報記憶部12bに記憶された路面状態が悪い場所、および荷崩れ情報記憶部12cに記憶された荷崩れが発生しやすい場所(たとえば、荷崩れに与える影響の度合いが所与の閾値よりも大きい場所)を回避するルート案内を運転手に提示するとよい。
【0108】
これにより、路面状態が悪い場所(たとえば、路面に大きい凹凸が生じている場所など)や荷崩れが発生しやすい場所(たとえば、曲率の小さいカーブなど)に車両3が進入することを未然に防ぐことができる。したがって、実施の形態1によれば、車両3での荷崩れを効果的に抑制することができる。
【0109】
また、制御装置4は、路面情報記憶部12bを参照して、路面状態が良好であるとあらかじめ分かった路面を走行中に、荷崩れに与える影響の度合いが所与の閾値よりも大きくなった場合、かかる影響の度合いの上昇が、路面状態ではなく運転手の運転の仕方に起因すると推定する。
【0110】
そしてこの場合、提示手段23hは、荷崩れに与える影響の度合いを小さくするための運転方法を運転手に提示(アドバイス)するとよい。たとえば、図8に示した1運行での加速度値分布図のいびつ度合いが大きい場合、提示手段23hは、1運行が終了した休憩時に、加速度値分布図のいびつ度合いを小さくする運転方法を運転手に提示するとよい。
【0111】
これにより、制御装置4は、荷崩れが発生しやすい運転が行われることを抑制することができる。したがって、実施の形態1によれば、車両3での荷崩れを抑制することができる。
【0112】
また、実施の形態1では、荷物の重心Gの位置が徐々に移動している場合、運転手にガイダンスを提示してもよい。さらに、積み荷のバランスが著しく崩れていることが想定される場合、提示手段23hは、一旦車両3を停止させて積み荷を確認するよう運転手に提示してもよい。
【0113】
<実施の形態2>
次に、実施の形態2に係る車両3Aの構成について、図10を参照しながら説明する。図10は、実施の形態2に係る車両3Aの構成の一例を示す説明図である。この実施の形態2の車両3Aは、ネットワークN(図1参照)に接続されていないスタンドアローン型の車両である。
【0114】
図10に示すように、車両3Aは、制御装置4Aと、3軸加速度センサ5と、GPSセンサ6と、速度センサ7と、表示部8とを有する。制御装置4Aは、路面状態推定装置の別の一例であり、また、運転支援装置の別の一例である。
【0115】
3軸加速度センサ5は、たとえば、X軸、Y軸、およびZ軸の各方向の加速度を検出するセンサであり、その検出信号を制御装置4Aへ供給する。なお、3軸加速度センサ5は、さらに車両3Aの動作の角速度や角加速度を検出してもよい。
【0116】
GPSセンサ6は、複数のGPS衛星から測位用データを含む下り回線データを搬送する電波を受信し、かかる測位用データを制御装置4Aへ供給する。制御装置4Aは、かかる測位用データに含まれる位置情報(たとえば、緯度および経度)から、車両3Aの絶対的な位置を検出することができる。
【0117】
速度センサ7は、たとえば、車両3Aの速度を検出するセンサであり、その検出信号を制御装置4Aへ供給する。表示部8は、たとえば、車両3Aのインストルメントパネルに設けられており、液晶ディスプレイ、有機EL素子などで構成される。
【0118】
図10に示すように、制御装置4Aは、記憶部31と、制御部32とを備える。記憶部31は、たとえば、RAM、フラッシュメモリなどの半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスクなどの記憶装置によって実現される。図10に示すように、記憶部31は、道路情報記憶部31aと、路面情報記憶部31bと、荷崩れ情報記憶部31cとを有する。
【0119】
道路情報記憶部31aは、道路の位置を示す道路位置情報、たとえば地図情報を記憶する。路面情報記憶部31bは、道路の路面情報を記憶する。荷崩れ情報記憶部31cは、荷崩れ情報を記憶する。
【0120】
なお、道路情報記憶部31a、路面情報記憶部31bおよび荷崩れ情報記憶部31cは、図2に示した実施の形態1の道路情報記憶部12a、路面情報記憶部12bおよび荷崩れ情報記憶部12cとそれぞれ同様の構成を有することから、詳細な説明は省略する。
【0121】
制御部32は、コントローラであり、たとえば、CPUやMPUなどによって、制御装置4A内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部32は、たとえば、コントローラであり、ASICやFPGAなどの集積回路により実現される。
【0122】
図10に示すように、制御部32は、取得手段32aと、生成手段32bと、測定手段32cと、推定手段32dと、記憶手段32eと、抽出手段32fと、特定手段32gと、提示手段32hとを備え、以下に説明する各種処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部32の内部構成は、図10に示した構成に限られず、以下に説明する各種処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。
【0123】
取得手段32aは、車両3Aの走行情報を取得する。取得手段32aは、かかる走行情報として、たとえば、3軸加速度センサ5から、車両3Aの前後方向、左右方向および上下方向の加速度に関する情報を取得する。
【0124】
また、取得手段32aは、走行情報として、たとえば、GPSセンサ6から車両3Aの位置情報を取得し、速度センサ7から車両3Aの速度情報を取得する。
【0125】
生成手段32bは、取得手段32aにより取得された車両3Aの前後方向、左右方向および上下方向の加速度に関する情報を用いて、所定の単位時間における加速度の3軸の分布を3次元座標系にプロットした加速度値分布図を生成する。
【0126】
測定手段32cは、車両3Aの加速度の複数軸の分布(たとえば、生成手段32bにより生成された加速度値分布図)に基づいて、車両3Aの振動情報を測定する。推定手段32dは、測定手段32cにより測定された振動情報に基づいて、車両3Aが走行した路面の路面状態を推定する。
【0127】
記憶手段32eは、取得手段32aにより取得された車両3Aの位置情報と、推定手段32dにより推定された路面状態とを関連付けて、記憶部31の路面情報記憶部31bに記憶する。
【0128】
なお、取得手段32a、生成手段32b、測定手段32c、推定手段32dおよび記憶手段32eは、図3に示した実施の形態1の取得手段23a、生成手段23b、測定手段23c、推定手段23dおよび記憶手段23eとそれぞれ同様の構成を有することから、詳細な説明は省略する。
【0129】
このように、実施の形態2では、上述の実施の形態1と同様に、車両3Aの加速度の複数軸の分布(たとえば、加速度値分布図)に基づいて車両3Aの振動情報を測定し、かかる車両3Aの振動情報に基づいて路面状態を推定する。これにより、路面状態を精度よく推定することができる。
【0130】
また、実施の形態2では、推定手段32dが、車両3Aの振動の大きさ(たとえば、絶対値|A|、絶対値|B|、絶対値|D|)および車両3Aの振動位置の偏り(たとえば、絶対値|B/C|)に基づいて、路面状態を推定するとよい。
【0131】
このように、路面劣化区間Xの劣化度合いをさまざまなパラメータで推定することにより、路面状態をさらに精度よく推定することができる。
【0132】
また、実施の形態2では、測定手段32cが、生成手段32bで生成された加速度値分布図の形状に基づいて、車両3Aの振動の大きさおよび車両3Aの振動位置の偏りを測定するとよい。
【0133】
これにより、車両3Aの振動の大きさおよび車両3Aの振動位置の偏りを精度よく測定することができる。したがって、実施の形態2によれば、路面状態をさらに精度よく推定することができる。
【0134】
また、実施の形態2では、推定手段32dが、車両3Aの振動の大きさに基づいて路面表面の起伏を推定し、車両3Aの振動位置の偏りに基づいて走行車線において路面状態が傷んだ地点の横位置を推定するとよい。
【0135】
これにより、路面劣化区間Xの劣化度合いをさまざまなパラメータで推定することができるとともに、路面劣化区間Xの横位置も推定することができる。したがって、実施の形態2によれば、路面状態をさらに精度よく推定することができる。
【0136】
また、実施の形態2では、生成手段32bで生成された加速度値分布図の形状に基づいて、推定手段32dが路面状態を直接推定してもよい。たとえば、推定手段32dは、加速度値分布図の形状に基づいて、路面に段差があるか、あるいは路面にひび割れがあるか、などを推定することができる。したがって、実施の形態2によれば、路面状態をさらに精度よく推定することができる。
【0137】
また、実施の形態2では、取得手段32aが、車両3Aの内部に位置する1つの3軸加速度センサ5から走行情報を取得するとよい。これにより、車両3Aの加速度値分布図を簡便に生成することができることから、低コストで路面状態を推定することができる。
【0138】
なお、3軸加速度センサ5は、車両3Aに搭載されている場合に限られず、たとえば、スマートフォンなどの情報端末に搭載され、車両3A内に載置される3軸加速度センサであってもよい。
【0139】
また、本開示において、車両3Aの加速度を計測する3軸加速度センサ5の数は1つに限られず、複数であってもよい。これにより、車両3Aの加速度を精度よく計測することができることから、路面状態をさらに精度よく推定することができる。
【0140】
また、実施の形態2では、記憶手段32eが、取得手段32aにより取得された車両3Aの位置情報と、推定手段32dにより推定された路面状態とを関連付けて、記憶部31の路面情報記憶部31bに記憶するとよい。
【0141】
これにより、路面状態が悪い場所が路面情報記憶部31bに記憶されることから、車両3Aが推定した路面状態に関する情報を、次回以降の車両3Aの走行時に活用することができる。
【0142】
また、実施の形態2では、上述の実施の形態1と同様に、車両3Aの速度、車両3Aの車種および車両3Aが搭載しているタイヤの種類などによって、生成される加速度値分布図の形状や大きさが異なる場合がある。
【0143】
そこで、実施の形態2では、上述した各種振動情報に加え、路面劣化区間Xを通過する際の車両3Aの速度、車両3Aの車種および車両3Aが搭載しているタイヤの種類などの情報に基づいて路面状態を推測してもよい。
【0144】
たとえば、あらかじめ凹凸の形状が分かっている路面を車両3Aに走行させることにより、車両3Aにキャリブレーション処理を施してもよい。
【0145】
また、制御装置4Aは、車両3Aの加速度値分布図の集合に基づいて、加速度値分布図を入力情報とし、路面の劣化度合いを出力情報とした学習モデルを生成する。そして、推定手段32dは、加速度値分布図を生成するごとに、この学習モデルを用いて路面の劣化度合いを推測してもよい。
【0146】
また、実施の形態2では、生成手段32bが、走行時のすべての走行時間において単位時間ごとに加速度値分布図を生成してもよいし、3軸加速度センサ5が特異な加速度を検出した時点から加速度値分布図を生成してもよい。
【0147】
抽出手段32fは、たとえば、車両3Aにおける3軸の加速度の推移から、車両3Aの加速度の左右方向成分に関する情報などを抽出する。特定手段32gは、各種の情報に基づいて、車両3Aの荷崩れ情報を特定する。
【0148】
提示手段32hは、特定手段32gにより特定された車両3Aの荷崩れ情報を、かかる車両3Aの運転手に提示する。たとえば、提示手段32hは、車両3Aの荷崩れ情報を表示部8に表示することにより、車両3Aの荷崩れ情報を運転手に提示する。
【0149】
なお、抽出手段32f、特定手段32gおよび提示手段32hは、図3に示した実施の形態1の抽出手段23f、特定手段23gおよび提示手段23hとそれぞれ同様の構成を有することから、詳細な説明は省略する。
【0150】
このように、実施の形態2では、上述の実施の形態1と同様に、特定手段32gにより特定された車両3Aの荷崩れ情報を、かかる車両3Aの運転手に提示する。
【0151】
たとえば、提示手段32hは、荷崩れに与える影響の度合いが所与の閾値よりも大きい場合に、荷崩れが発生する可能性が高いことを運転手に提示する。これにより、制御装置4Aは、荷崩れが発生しやすい運転が行われることを抑制することができる。
【0152】
また、提示手段32hは、たとえば、荷崩れに与える影響の度合いが所与の閾値よりも大きい場合に、発生した荷崩れの程度を運転手に提示してもよい。これによっても、制御装置4Aは、荷崩れの程度がさらに大きくなりやすい運転が行われることを抑制することができる。
【0153】
したがって、実施の形態2によれば、車両3Aでの荷崩れを抑制することができる。
【0154】
また、実施の形態2では、上述の実施の形態1で示した各種要因(たとえば、絶対値|A|、絶対値|B|、絶対値|B/C|、絶対値|E|、絶対値|F|、モーメントM)のうち、荷崩れに与える影響の度合いの大きい要因を個別に運転手に提示してもよい。
【0155】
また、実施の形態2では、上述した各種要因(たとえば、絶対値|A|、絶対値|B|、絶対値|B/C|、絶対値|E|、絶対値|F|、モーメントM)を総合的に加味して、この総合的に加味された影響の度合いの大きさを運転手に提示してもよい。
【0156】
また、実施の形態2では、荷崩れに与える影響の度合いが大きい地点の情報を記憶部31に蓄積してもよい。たとえば、記憶手段32eは、取得手段32aにより取得された車両3Aの位置情報と、特定手段32gにより特定された荷崩れ情報とを関連付けて、記憶部31の荷崩れ情報記憶部31cに記憶する。
【0157】
これにより、荷崩れが発生しやすい場所に関する情報が路面情報記憶部31bに記憶されることから、かかる荷崩れが発生しやすい場所に関する情報を、次回以降の車両3Aの走行時に活用することができる。
【0158】
たとえば、制御装置4Aは、記憶部31の路面情報記憶部31bおよび荷崩れ情報記憶部31cに記憶された情報に基づいて、車両3Aが走行予定のルート案内を運転手に提示してもよい。
【0159】
具体的には、制御装置4Aは、たとえば、路面情報記憶部31bに記憶された路面状態が悪い場所、および荷崩れ情報記憶部31cに記憶された荷崩れが発生しやすい場所(たとえば、荷崩れに与える影響の度合いが所与の閾値よりも大きい場所)を回避するルート案内を運転手に提示するとよい。
【0160】
これにより、路面状態が悪い場所(たとえば、路面に大きい凹凸が生じている場所など)や荷崩れが発生しやすい場所(たとえば、曲率の大きいカーブなど)に車両3Aが進入することを未然に防ぐことができる。したがって、実施の形態2によれば、車両3Aでの荷崩れを効果的に抑制することができる。
【0161】
また、制御装置4Aは、路面情報記憶部31bを参照して、路面状態が良好であるとあらかじめ分かった路面を走行中に、荷崩れに与える影響の度合いが所与の閾値よりも大きくなった場合、かかる影響の度合いの上昇が、路面状態ではなく運転手の運転の仕方に起因すると推定する。
【0162】
そしてこの場合、提示手段32hは、荷崩れに与える影響の度合いを小さくするための運転方法を運転手に提示(アドバイス)するとよい。たとえば、1運行での加速度値分布図のいびつ度合いが大きい場合、提示手段32hは、1運行が終了した休憩時に、加速度値分布図のいびつ度合いを小さくする運転方法を運転手に提示するとよい。
【0163】
これにより、制御装置4Aは、荷崩れが発生しやすい運転が行われることを抑制することができる。したがって、実施の形態2によれば、車両3Aでの荷崩れを抑制することができる。
【0164】
また、実施の形態2では、荷物の重心Gの位置が徐々に移動している場合、運転手にガイダンスを提示してもよい。さらに、積み荷のバランスが著しく崩れていることが想定される場合、提示手段32hは、一旦車両3Aを停止させて積み荷を確認するよう運転手に提示してもよい。
【0165】
<処理の手順>
続いては、実施の形態1に係る各種処理の手順について、図11および図12を参照しながら説明する。図11は、実施の形態1に係る路面状態推定処理の手順を示すフローチャートである。
【0166】
最初に、取得手段23aは、車両3の走行情報を取得する(ステップS101)。取得手段23aは、かかる走行情報として、たとえば、3軸加速度センサ5から、車両3の前後方向、左右方向および上下方向の加速度に関する情報を取得する。
【0167】
次に、生成手段23bは、取得手段23aにより取得された車両3の前後方向、左右方向および上下方向の加速度に関する情報を用いて、所定の単位時間における加速度の3軸の分布を3次元座標系にプロットした加速度値分布図を生成する(ステップS102)。
【0168】
次に、測定手段23cは、車両3の加速度の複数軸の分布(たとえば、生成手段23bにより生成された加速度値分布図)に基づいて、車両3の振動情報を測定する(ステップS103)。
【0169】
次に、推定手段23dは、測定手段23cにより測定された振動情報に基づいて、車両3が走行した路面の路面状態を推定する(ステップS104)。
【0170】
最後に、記憶手段23eは、取得手段23aにより取得された車両3の位置情報と、推定手段23dにより推定された路面状態とを関連付けて、サーバ2の路面情報記憶部12bに記憶し(ステップS105)、一連の路面状態推定処理を終了する。
【0171】
図12は、実施の形態1に係る運転支援処理の手順を示すフローチャートである。最初に、取得手段23aは、車両3の走行情報を取得する(ステップS201)。取得手段23aは、かかる走行情報として、たとえば、3軸加速度センサ5から、車両3の前後方向、左右方向および上下方向の加速度に関する情報を取得する。
【0172】
次に、特定手段23gは、取得手段23aにより取得された走行情報に基づく車両3の加速度の複数軸の分布に基づいて、車両3の荷崩れ情報を特定する(ステップS202)。
【0173】
特定手段23gは、たとえば、測定手段23cにより測定される車両3の振動情報や、抽出手段23fにより抽出される各種の情報(上述の絶対値|E|や絶対値|F|など)に基づいて、車両3の荷崩れ情報を特定する。
【0174】
最後に、提示手段23hは、特定手段23gにより特定された車両3の荷崩れ情報を、かかる車両3の運転手に提示し(ステップS203)、一連の運転支援処理を終了する。
【0175】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。たとえば、上記の実施の形態では、車両3で実施する各種処理について示したが、本開示が実施される対象は車両に限られず、各種の移動体(たとえば、バイクや電車など)に対しても適用可能である。
【0176】
また、上記の実施の形態では、提示手段23hが車両3の運転手に荷崩れ情報を提示する例について示したが、提示手段23hが荷崩れ情報を提示する対象は車両3の運転手に限られず、別の車両3の運転手やサーバ2の管理者などであってもよい。
【0177】
また、上記の実施の形態では、3軸加速度センサ5により、所定の単位時間における加速度の3軸の分布を3次元座標系にプロットした図である加速度値分布図を生成し、かかる加速度値分布図に基づいて路面状態推測処理や運転支援処理を実施する例について示した。
【0178】
しかしながら、上記の実施の形態はかかる例に限られず、たとえば、加速度センサで測定されたX軸方向およびY軸方向の2軸の加速度を用いて、所定の単位時間における加速度の2軸の分布を2次元座標系にプロットした図である加速度値分布図を生成し、かかる加速度値分布図に基づいて路面状態推測処理や運転支援処理を実施してもよい。
【0179】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施の形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0180】
1 制御システム
2 サーバ
3、3A 車両(移動体の一例)
4、4A 制御装置(路面状態推定装置および運転支援装置の一例)
5 3軸加速度センサ
6 GPSセンサ
7 速度センサ
8 表示部
12、22、31 記憶部
13、23、32 制御部
23a、32a 取得手段
23b、32b 生成手段
23c、32c 測定手段
23d、32d 推定手段
23e、32e 記憶手段
23f、32f 抽出手段
23g、32g 特定手段
23h、32h 提示手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12