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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017506
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】操船システムおよび船舶
(51)【国際特許分類】
   B63H 21/21 20060101AFI20240201BHJP
   B63H 25/24 20060101ALI20240201BHJP
   B63H 20/00 20060101ALI20240201BHJP
   B63H 21/22 20060101ALI20240201BHJP
   B63H 25/02 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
B63H21/21
B63H25/24 Z
B63H20/00 803
B63H21/22 Z
B63H25/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022120183
(22)【出願日】2022-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001911
【氏名又は名称】弁理士法人アルファ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土屋 俊哉
(57)【要約】
【課題】操作子を用いた操船のしやすさをさらに向上させる。
【解決手段】操船システムは、操作子を含む操作部と、操作部に対する操作に応じて船舶の推進機が発生する推進力の大きさおよび向きを制御するコントローラとを備える。コントローラは、操作子に対する操作による操船中に操作部に対するホールド開始操作がなされた場合には、推進機が発生する推進力の大きさに相関する指標と、船舶の速度と、の少なくとも一方である制御指標を保持するホールド制御を行う第1操船状態に移行する。コントローラは、第1操船状態において操作子に対する転舵操作がなされた場合には、第1操船状態を維持しつつ、推進機が発生する推進力の向きを変更する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操船システムであって、
操作子を含む操作部と、
前記操作部に対する操作に応じて船舶の推進機が発生する推進力の大きさおよび向きを制御するコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
前記操作子に対する操作による操船中に前記操作部に対するホールド開始操作がなされた場合には、前記推進機が発生する推進力の大きさに相関する指標と、前記船舶の速度と、の少なくとも一方である制御指標を保持するホールド制御を行う第1操船状態に移行し、
前記第1操船状態において前記操作子に対する転舵操作がなされた場合には、前記第1操船状態を維持しつつ、前記推進機が発生する推進力の向きを変更する、操船システム。
【請求項2】
請求項1に記載の操船システムであって、
前記転舵操作は、前記操作子を捻る操作と前記操作子を転舵方向に傾倒させる操作との少なくとも一方である、操船システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の操船システムであって、
前記コントローラは、前記第1操船状態において前記操作子に対する加減速操作がなされた場合には、前記ホールド制御において保持する前記制御指標の大きさを変更する、操船システム。
【請求項4】
請求項3に記載の操船システムであって、
前記コントローラは、前記第1操船状態において、前記加減速操作の回数に応じて、前記ホールド制御において保持する前記制御指標の大きさを段階的に変更する、操船システム。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の操船システムであって、
前記加減速操作のうち、加速操作は、前記操作子を前記船舶の進行方向に傾倒させる操作であり、減速操作は、前記操作子を前記船舶の進行方向とは反対側に傾倒させる操作である、操船システム。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の操船システムであって、
前記コントローラは、前記第1操船状態において前記操作部に対する自動操船開始操作がなされた場合には、前記ホールド制御に加えて、前記船舶の方位または進路を保持する自動操船制御を行う第2操船状態に移行する、操船システム。
【請求項7】
請求項6に記載の操船システムであって、
前記コントローラは、前記第2操船状態において前記操作子に対する前記転舵操作がなされた場合には、前記第1操船状態に移行し、前記操作子に対する前記転舵操作が停止された場合には、前記第2操船状態に復帰する、操船システム。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の操船システムであって、
前記コントローラは、前記第1操船状態において前記操作子に対するホールド停止操作がなされた場合には、前記ホールド制御を停止する、操船システム。
【請求項9】
請求項8に記載の操船システムであって、
前記ホールド停止操作は、前記船舶の前進時においては前記操作子を後方に所定時間以上傾倒させる操作であり、前記船舶の後進時においては前記操作子を前方に所定時間以上傾倒させる操作である、操船システム。
【請求項10】
請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載の操船システムであって、
前記コントローラは、前記第1操船状態において前記船舶の速度が所定値未満となった場合には、前記ホールド制御に加えて、前記推進機が推進力を発生するオン状態と前記推進機が推進力を発生しないオフ状態とを交互に切り替えるパターン制御を行う第3操船状態に移行し、前記船舶の速度が前記所定値以上となった場合には、前記第1操船状態に復帰する、操船システム。
【請求項11】
請求項1から請求項10までのいずれか一項に記載の操船システムであって、
前記ホールド開始操作は、所定のスイッチを所定時間以上押下する操作である、操船システム。
【請求項12】
請求項1から請求項11までのいずれか一項に記載の操船システムであって、
前記操作子は、操作者に把持されて操作されるスティック部と、前記スティック部を傾倒操作可能かつ捻り操作可能に支持する支持部と、を含むジョイスティックである、操船システム。
【請求項13】
操船システムであって、
操作子を含む操作部と、
前記操作部に対する操作に応じて船舶の推進機が発生する推進力の大きさおよび向きを制御するコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
前記操作子に対する操作による操船中に前記操作部に対するホールド開始操作がなされた場合には、前記推進機が発生する推進力の大きさに相関する指標と、前記船舶の速度と、の少なくとも一方である制御指標を保持するホールド制御を行う第1操船状態に移行し、
前記第1操船状態において前記操作子に対する操作がなされた場合には、前記第1操船状態を維持しつつ、前記推進機が発生する推進力の大きさと向きとの少なくとも一方を変更する、操船システム。
【請求項14】
船体と、
前記船体に取り付けられた前記推進機と、
請求項1から請求項13までのいずれか一項に記載の操船システムと、
を備える船舶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術は、操船システムおよび船舶に関する。
【背景技術】
【0002】
船舶の操縦は、例えばリモートコントローラやステアリングホイールを用いて行われる。また、例えば低速航行時において、操作子(例えば、ジョイスティック)による操縦が可能な船舶が知られている。
【0003】
従来、操作子による操船のしやすさを向上させるため、操作子による操船時に所定のスイッチが押下されると、その時点での操作子の出力信号を保持するホールド制御を行う技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭60-166043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術では、ホールド制御中に操船の微調整を行うことができず、操船のしやすさの点で向上の余地がある。
【0006】
本明細書では、上述した課題を解決することが可能な技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に開示される技術は、例えば、以下の形態として実現することが可能である。
【0008】
(1)本明細書に開示される操船システムは、操作子を含む操作部と、前記操作部に対する操作に応じて船舶の推進機が発生する推進力の大きさおよび向きを制御するコントローラとを備える。前記コントローラは、前記操作子に対する操作による操船中に前記操作部に対するホールド開始操作がなされた場合には、前記推進機が発生する推進力の大きさに相関する指標と、前記船舶の速度と、の少なくとも一方である制御指標を保持するホールド制御を行う第1操船状態に移行する。前記コントローラは、前記第1操船状態において前記操作子に対する転舵操作がなされた場合には、前記第1操船状態を維持しつつ、前記推進機が発生する推進力の向きを変更する。
【0009】
本操船システムによれば、操作子に対する操作による操船中に操作部に対するホールド開始操作がなされた場合には、推進機が発生する推進力の大きさに相関する指標と、船舶の速度と、の少なくとも一方である制御指標を保持するホールド制御を行う第1操船状態となるため、船舶の速度を維持するために操作子に対する操作を継続する必要がなく、操船のしやすさを向上させることができる。さらに、本操船システムによれば、第1操船状態において操作子に対する転舵操作がなされた場合には、第1操船状態が維持されつつ、推進機が発生する推進力の向きが変更されるため、第1操船状態においても所望の進路を選択することができ、操作子を用いた操船のしやすさをさらに向上させることができる。
【0010】
(2)上記操船システムにおいて、前記転舵操作は、前記操作子を捻る操作と前記操作子を転舵方向に傾倒させる操作との少なくとも一方である構成としてもよい。本構成を採用すれば、ホールド制御が行われる第1操船状態において、より直感的に転舵操作を行うことができ、操作子を用いた操船のしやすさをさらに向上させることができる。
【0011】
(3)上記操船システムにおいて、前記コントローラは、前記第1操船状態において前記操作子に対する加減速操作がなされた場合には、前記ホールド制御において保持する前記制御指標の大きさを変更する構成としてもよい。本構成を採用すれば、第1操船状態において操作子に対する加減速操作がなされた場合には、ホールド制御において保持される制御指標の大きさが変更されるため、第1操船状態においても船舶の速度を微調整することができ、操作子を用いた操船のしやすさをさらに向上させることができる。
【0012】
(4)上記操船システムにおいて、前記コントローラは、前記第1操船状態において、前記加減速操作の回数に応じて、前記ホールド制御において保持する前記制御指標の大きさを段階的に変更する構成としてもよい。本構成を採用すれば、第1操船状態においても船舶の速度を容易に微調整することができ、操作子を用いた操船のしやすさをさらに向上させることができる。
【0013】
(5)上記操船システムにおいて、前記加減速操作のうち、加速操作は、前記操作子を前記船舶の進行方向に傾倒させる操作であり、減速操作は、前記操作子を前記船舶の進行方向とは反対側に傾倒させる操作である構成としてもよい。本構成を採用すれば、ホールド制御が行われる第1操船状態において、より直感的に加減速操作を行うことができ、操作子を用いた操船のしやすさをさらに向上させることができる。
【0014】
(6)上記操船システムにおいて、前記コントローラは、前記第1操船状態において前記操作部に対する自動操船開始操作がなされた場合には、前記ホールド制御に加えて、前記船舶の方位または進路を保持する自動操船制御を行う第2操船状態に移行する構成としてもよい。本構成を採用すれば、ホールド制御に加えて、船舶の方位または進路を保持する自動操船制御を行う第2操船状態に移行することができ、操作子を用いた操船のしやすさをさらに向上させることができる。
【0015】
(7)上記操船システムにおいて、前記コントローラは、前記第2操船状態において前記操作子に対する前記転舵操作がなされた場合には、前記第1操船状態に移行し、前記操作子に対する前記転舵操作が停止された場合には、前記第2操船状態に復帰する構成としてもよい。本構成を採用すれば、ホールド制御に加えて、船舶の方位または進路を保持する自動操船制御を行う第2操船状態において、一時的な転舵操作を実現することができ、操作子を用いた操船のしやすさをさらに向上させることができる。
【0016】
(8)上記操船システムにおいて、前記コントローラは、前記第1操船状態において前記操作子に対するホールド停止操作がなされた場合には、前記ホールド制御を停止する構成としてもよい。本構成を採用すれば、所望のタイミングでホールド制御を停止することができ、操作子を用いた操船のしやすさをさらに向上させることができる。
【0017】
(9)上記操船システムにおいて、前記ホールド停止操作は、前記船舶の前進時においては前記操作子を後方に所定時間以上傾倒させる操作であり、前記船舶の後進時においては前記操作子を前方に所定時間以上傾倒させる操作である構成としてもよい。本構成を採用すれば、より直感的にホールド停止操作を行うことができ、操作子を用いた操船のしやすさをさらに向上させることができる。
【0018】
(10)上記操船システムにおいて、前記コントローラは、前記第1操船状態において前記船舶の速度が所定値未満となった場合には、前記ホールド制御に加えて、前記推進機が推進力を発生するオン状態と前記推進機が推進力を発生しないオフ状態とを交互に切り替えるパターン制御を行う第3操船状態に移行し、前記船舶の速度が前記所定値以上となった場合には、前記第1操船状態に復帰する構成としてもよい。本構成を採用すれば、ホールド制御が行われる第1操船状態から、より低速に操船を行う第3操船状態に移行することができ、操作子を用いた操船のしやすさをさらに向上させることができる。
【0019】
(11)上記操船システムにおいて、前記ホールド開始操作は、所定のスイッチを所定時間以上押下する操作である構成としてもよい。本構成を採用すれば、意図しない第1操船状態への移行(誤操作)を抑制することができ、操作子を用いた操船のしやすさをさらに向上させることができる。
【0020】
(12)上記操船システムにおいて、前記操作子は、操作者に把持されて操作されるスティック部と、前記スティック部を傾倒操作可能かつ捻り操作可能に支持する支持部と、を含むジョイスティックである構成としてもよい。本構成を採用すれば、ジョイスティックを用いた操船のしやすさをさらに向上させることができる。
【0021】
(13)本明細書に開示される他の操船システムは、操作子を含む操作部と、前記操作部に対する操作に応じて船舶の推進機が発生する推進力の大きさおよび向きを制御するコントローラとを備える。前記コントローラは、前記操作子に対する操作による操船中に前記操作部に対するホールド開始操作がなされた場合には、前記推進機が発生する推進力の大きさに相関する指標と、前記船舶の速度と、の少なくとも一方である制御指標を保持するホールド制御を行う第1操船状態に移行する。前記コントローラは、前記第1操船状態において前記操作子に対する操作がなされた場合には、前記第1操船状態を維持しつつ、前記推進機が発生する推進力の大きさと向きとの少なくとも一方を変更する。
【0022】
本操船システムによれば、操作子に対する操作による操船中に操作部に対するホールド開始操作がなされた場合には、推進機が発生する推進力の大きさに相関する指標と、船舶の速度と、の少なくとも一方である制御指標を保持するホールド制御を行う第1操船状態となるため、船舶の速度を維持するために操作子に対する操作を継続する必要がなく、操船のしやすさを向上させることができる。さらに、本操船システムによれば、第1操船状態において操作子に対する操作がなされた場合には、第1操船状態が維持されつつ、推進機が発生する推進力の大きさと向きとの少なくとも一方が変更されるため、第1操船状態においても所望の進路を選択することができ、操作子を用いた操船のしやすさをさらに向上させることができる。
【0023】
(14)本明細書に開示される船舶は、船体と、前記船体に取り付けられた前記推進機と、上記操船システムと、を備える。本船舶によれば、操作子を用いた操船のしやすさをさらに向上させることができる。
【0024】
なお、本明細書に開示される技術は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、操船システム、操船システムを備える船舶、操船方法等の形態で実現することが可能である。
【発明の効果】
【0025】
本明細書に開示される操船システムによれば、操作子を用いた操船のしやすさをさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本実施形態における船舶10の構成を概略的に示す説明図
図2】操船システム100の構成を示すブロック図
図3】ジョイスティック140の外観構成を示す説明図
図4】操船モード切替処理を示すフローチャート
図5】操船モード切替処理における操船モードの遷移図
図6】ジョイスティックホールドモードM10におけるジョイスティック140への操作に応じた制御内容を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0027】
A.実施形態:
(船舶10の構成)
図1は、本実施形態における船舶10の構成を概略的に示す説明図である。図1には、船舶10の位置を基準とした、前方(FRONT)、後方(REAR)、左方(LEFT)および右方(RIGHT)のそれぞれを表す矢印を示している。
【0028】
図1に示すように、船舶10は、船体20と、船外機30と、操船システム100とを有する。船体20は、船舶10において乗員が搭乗する部分である。
【0029】
船外機30は、船舶10を航行させる推進力を発生する装置である。船外機30は、例えばブラケットを介して船体20の後部に取り付けられている。船外機30は、例えばエンジンやモータ等の駆動力を発生する動力源32と、動力源32からの駆動力により駆動されて推進力を発生するプロペラ等の推進力発生機構34とを有する。また、船外機30は、いずれも図示しない転舵機構とシフト機構とを有する。転舵機構は、転舵軸周りに船外機30を回転させる機構である。シフト機構は、船舶10が前進する方向に動力源32からの駆動力を推進力発生機構34に伝達する前進状態と、船舶10が後進する方向に動力源32からの駆動力を推進力発生機構34に伝達する後進状態と、動力源32からの駆動力を推進力発生機構34に伝達しない中立状態とを切り替える機構である。本実施形態では、船舶10は、2つの船外機30を有する。船外機30は、推進機の一例である。
【0030】
操船システム100は、船舶10の操縦を行うためのシステムである。図2は、操船システム100の構成を示すブロック図である。図1および図2に示すように、操船システム100は、操作者による操作を受け付ける操作部110を有する。操作部110は、例えば船舶10の操船席に配置されている。操作部110は、ステアリングホイール120と、リモートコントローラ130と、ジョイスティック140と、自動操船ボタン150と、モニタ160とを含む。
【0031】
ステアリングホイール120は、船舶10の転舵操作を行うための操作デバイスである。リモートコントローラ130は、例えばスロットルレバーを含み、船舶10のシフト操作や推進力変更操作を行うための操作デバイスである。モニタ160は、例えば液晶ディスプレイにより構成され、船舶10に関する各種の画像(操作用画像等)を表示する。モニタ160がタッチパネルを有していてもよい。
【0032】
ジョイスティック140は、後述するジョイスティックモード等において船舶10の操縦を行うための操作デバイスである。ジョイスティック140は、操作子の一例である。
【0033】
図3は、ジョイスティック140の外観構成を示す説明図である。図2および図3に示すように、ジョイスティック140は、操作者に把持されて操作されるスティック部141と、スティック部141を傾倒操作可能かつ捻り操作可能に支持する支持部142とを含む。スティック部141は、操作力が加えられていないときには中立状態(スティック部141が直立した状態)に自動的に復帰するように、ばね等の付勢部材により付勢されている。スティック部141は、中立状態から、少なくとも前後の2方向に傾倒可能である。スティック部141は、3つ以上の方向に傾倒可能であってもよく、全方向への傾倒が可能であってもよい。また、スティック部141は、時計回りおよび反時計回りに捻り操作可能である。
【0034】
ジョイスティックモードでは、スティック部141を傾倒させる操作がなされると、スティック部141が傾倒した方向および量に応じて、船外機30が発生する推進力の大きさおよび/または向きが制御される。例えば、スティック部141を前方に傾倒させる操作がなされると、船舶10を前進させるように、船外機30が発生する推進力の向きが制御される。反対に、スティック部141を後方に傾倒させる操作がなされると、船舶10を後進させるように、船外機30が発生する推進力の向きが制御される。このとき、スティック部141の傾倒量が大きいほど、船外機30が発生する推進力が大きくなるように制御される。また、スティック部141を捻る(回転させる)操作がなされると、スティック部141が回転した方向および量に応じて船舶10が転舵するように、船外機30が発生する推進力の向きが制御される。
【0035】
ジョイスティック140は、さらに、各種ボタン143を有する。各種ボタン143は、ジョイスティックボタン144と、セットポイントボタン145と、推進力調整ボタン146とを含む。ジョイスティックボタン144は、後述するジョイスティックモードへの移行操作等を行うためのボタンである。セットポイントボタン145は、後述するセットポイントモードへの移行操作等を行うためのボタンである。後述するように、セットポイントモードは、ステイポイントモードと、ドリフトポイントモードと、フィッシュポイントモードとの総称であり、セットポイントボタン145は、各モードに対応したボタンを含む。
【0036】
自動操船ボタン150は、後述する自動操船モードへの移行操作を行うためのボタンである。後述するように、自動操船モードは、方位ホールドモードと進路ホールドモードとの総称であり、自動操船ボタン150は、各モードに対応したボタン(方位ホールドボタン151および進路ホールドボタン152)を含む。
【0037】
操船システム100は、さらに、コントローラ180を有する。コントローラ180は、例えば、CPU、マルチコアCPU、プログラマブルなデバイス(Field Programmable Gate Array(FPGA)、Programmable Logic Device(PLD)等)を用いて構成される。コントローラ180は、船舶10の動作を制御する。例えば、コントローラ180は、操作部110に対する操作に応じて、船舶10の船外機30が発生する推進力の大きさおよび向きを制御する。コントローラ180は、ジョイスティック140に対する操作に応じて、船外機30が発生する推進力の大きさおよび向きを制御する。
【0038】
コントローラ180は、記憶装置182を含む。記憶装置182は、例えばROMやRAM、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)等により構成される。記憶装置182は、各種のプログラムやデータを記憶したり、各種の処理を実行する際の作業領域やデータの記憶領域として利用されたりする。例えば、記憶装置182には、後述する操船モード切替処理を実行するためのコンピュータプログラムが格納されている。該コンピュータプログラムは、例えば、CD-ROMやDVD-ROM、USBメモリ等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体(不図示)に格納された状態で提供され、あるいは、通信インターフェース(不図示)を介して外部装置(例えば、クラウド上のサーバ)から取得可能な状態で提供され、操船システム100上で動作可能な状態で記憶装置182に格納される。
【0039】
(操船モード切替処理)
次に、操船システム100のコントローラ180により実行される操船モード切替処理について説明する。操船モード切替処理は、船舶10の操船モードを切り替える処理である。図4は、操船モード切替処理を示すフローチャートであり、図5は、操船モード切替処理における操船モードの遷移図である。
【0040】
本実施形態では、コントローラ180は、デフォルトで操船モードを通常操船モードM0に設定する(S110)。通常操船モードM0は、主としてステアリングホイール120およびリモートコントローラ130を用いて操船を行うモードである。
【0041】
通常操船モードM0において、コントローラ180は、操作者によるジョイスティックモード開始操作がなされたか否かを監視し(S120)、ジョイスティックモード開始操作がなされると(S120:YES)、操船モードを通常操船モードM0からジョイスティックモードM1に移行する(S130、図5のa1参照)。ジョイスティックモードM1は、ジョイスティック140を用いて操船を行うモードである。ジョイスティックモードM1は、例えば、比較的低速で(例えば10km/h程度以下で)船舶10を航行させる際に使用される。ジョイスティックモードM1では、船外機30の動力源32が発生する駆動力が所定値以下に制限されてもよい。例えば動力源32がエンジンにより構成される場合には、ジョイスティックモードM1では、エンジン回転数が2000rpm程度以下に制限されてもよい。上述したジョイスティックモード開始操作は、例えばジョイスティックボタン144の短押しである。なお、短押しとは、所定時間以下、ボタンを押下する操作である。また本実施形態では、ジョイスティックモードM1への移行は、所定の要件を満たす状態においてジョイスティックモード開始操作がなされた場合に限られる。この所定の要件を満たす状態は、例えば、船外機30が発生する推進力がゼロの状態であることである。
【0042】
ジョイスティックモードM1において、コントローラ180は、操作者によるジョイスティックモード停止操作がなされたか否かを監視し(S140)、ジョイスティックモード停止操作がなされると(S140:YES)、操船モードをジョイスティックモードM1から通常操船モードM0に移行する(S110、図5のa2参照)。ジョイスティックモード停止操作は、例えばジョイスティックボタン144の単押しである。
【0043】
また、ジョイスティックモードM1において、コントローラ180は、操作者によるホールド開始操作がなされたか否かを監視し(S150)、ホールド開始操作がなされると(S150:YES)、操船モードをジョイスティックモードM1からジョイスティックホールドモードM10に移行する(S160、図5のa3参照)。ジョイスティックホールドモードM10では、ホールド開始操作時のジョイスティック140の出力信号(スティック部141の傾倒状態を示す信号)が保持される。これにより、コントローラ180は、船外機30が発生する推進力の大きさに相関する指標(例えば、スロットルバルブ開度、エンジン回転数、モータ出力等)を保持するホールド制御を行う。ジョイスティックホールドモードM10では、操作者は、スティック部141に力を加えて傾倒させ続ける必要がなく、スティック部141から手を離して操船を行うことができ、操船の煩わしさを軽減することができる。上述したホールド開始操作は、例えばジョイスティックボタン144の長押しである。なお、長押しとは、所定時間以上、ボタンを押下する操作である。また本実施形態では、ジョイスティックモードM1からジョイスティックホールドモードM10への移行は、所定の要件を満たす状態においてホールド開始操作がなされた場合に限られる。この所定の要件を満たす状態は、例えば、ジョイスティック140のスティック部141がおおよそ前方またはおおよそ後方に傾倒されている状態であることである。なお、ジョイスティックホールドモードM10と後述するジョイスティックホールド複合モードM11とを合わせて、ジョイスティックホールドモード群という。ジョイスティックホールドモードM10での操船状態は、第1操船状態の一例である。
【0044】
本実施形態では、ジョイスティックホールドモードM10において、ジョイスティック140への操作を行うことにより、操船の微調整を行うことができる。図6は、ジョイスティックホールドモードM10におけるジョイスティック140への操作に応じた制御内容を示す説明図である。
【0045】
ジョイスティックホールドモードM10において、転舵操作として、スティック部141を捻る(回転させる)操作がなされると、コントローラ180は、スティック部141が回転した方向および量に応じて船舶10が転舵するように、船外機30が発生する推進力の向きを変更する。なお、転舵操作は、スティック部141を捻る操作に限られず、他の操作(例えば、スティック部141を転舵方向に傾倒させる操作)であってもよい。
【0046】
また、船舶10が前進しているときに、加速操作として、スティック部141を前方に短倒しする操作がなされると、コントローラ180は、加速操作の回数に応じて、船外機30が発生する推進力の大きさに相関する指標(例えば、スロットルバルブ開度、エンジン回転数、モータ出力等)の大きさを段階的に大きくすることにより、船舶10の速度を増加させる。なお、短倒しとは、所定時間以下、スティック部141を傾倒させる操作である。例えば、1回の加速操作がなされた場合には、上記指標の大きさが1段階大きくなって船舶10が1段階加速し、2回の加速操作がなされた場合には、上記指標の大きさが2段階大きくなって船舶10が2段階加速する。
【0047】
また、船舶10が前進しているときに、減速操作として、スティック部141を後方に短倒しする操作がなされると、コントローラ180は、減速操作の回数に応じて、船外機30が発生する推進力の大きさに相関する指標の大きさを段階的に小さくすることにより、船舶10の速度を減少させる。例えば、1回の減速操作がなされた場合には、上記指標の大きさが1段階小さくなって船舶10が1段階減速し、2回の減速操作がなされた場合には、上記指標の大きさが2段階小さくなって船舶10が2段階減速する。
【0048】
なお、船舶10が後進しているときの加減速操作は、船舶10が前進しているときの加減速操作と反対の操作となる。すなわち、船舶10が後進しているときの加速操作は、スティック部141を後方に短倒しする操作であり、船舶10が後進しているときの減速操作は、スティック部141を前方に短倒しする操作である。
【0049】
このように、本実施形態では、ジョイスティックホールドモードM10においてジョイスティック140に対する転舵操作や加減速操作がなされると、コントローラ180はジョイスティックホールドモードM10を維持しつつ、船舶10の転舵や加減速を行う。そのため、操作者は、ジョイスティックホールドモードM10において、操船の微調整を行うことができる。
【0050】
ジョイスティックホールドモードM10において、コントローラ180は、操作者によるホールド停止操作がなされたか否かを監視し(S170)、ホールド停止操作がなされると(S170:YES)、操船モードをジョイスティックホールドモードM10からジョイスティックモードM1に移行する(S130、図5のa4参照)。ホールド停止操作は、例えばジョイスティックボタン144の単押しである。また、本実施形態では、図6に示すように、船舶10が前進しているときにおけるスティック部141を後方に長倒しする操作、および、船舶10が後進しているときにおけるスティック部141を前方に長倒しする操作も、ホールド停止操作として認識される。なお、長倒しとは、所定時間以上、スティック部141を傾倒させる操作である。
【0051】
また、ジョイスティックホールドモードM10において、コントローラ180は、ジョイスティック解除条件が満たされたか否かを監視し(S180)、ジョイスティック解除条件が満たされると(S180:YES)、操船モードをジョイスティックホールドモードM10から通常操船モードM0に移行する(S110、図5のa3参照)。ジョイスティック解除条件は、例えば、リモートコントローラ130やステアリングホイール120への操作がなされたこと、船外機30の動力源32が停止されたこと、ジョイスティック140の通信エラー等のエラーが発生したこと等が含まれる。なお、ジョイスティック解除条件が満たされた場合の通常操船モードM0への移行は、ジョイスティックホールドモードM10に限らず、ジョイスティックモードM1においても実行される。
【0052】
また、ジョイスティックホールドモードM10において、コントローラ180は、複合モード開始条件が満たされたか否かを監視し(S190)、複合モード開始条件が満たされると(S190:YES)、操船モードをジョイスティックホールドモードM10からジョイスティックホールド複合モードM11に移行する(S200、図5のa6~a8参照)。ジョイスティックホールド複合モードM11は、ジョイスティックホールドモードM10と共にジョイスティックホールドモード群を構成するモードであり、上述したホールド制御(船外機30が発生する推進力の大きさに相関する指標を保持する制御)に加えて、他の制御を実行するモードである。
【0053】
図5に示すように、本実施形態では、ジョイスティックホールド複合モードM11として、ジョイスティックホールド+方位ホールドモードM13と、ジョイスティックホールド+進路ホールドモードM14と、ジョイスティックホールド+パターンシフトモードM15との3つのモードが用意されている。
【0054】
ジョイスティックホールド+方位ホールドモードM13は、上述したホールド制御に加えて、船舶10の方位を保持する方位ホールド制御を実行するモードである。このモードでは、船舶10の方位が保持されるように、コントローラ180が、船外機30が発生する推進力の大きさおよび向きを制御する。本実施形態では、図5に示すように、ジョイスティックホールド+方位ホールドモードM13は、上述したホールド制御および方位ホールド制御に加えて、後述するパターン制御も実行するモード(ジョイスティックホールド+方位ホールド+パターンシフトモード)を含んでいる。また、ジョイスティックホールド+進路ホールドモードM14は、上述したホールド制御に加えて、船舶10の進路を保持する進路ホールド制御を実行するモードである。このモードでは、船舶10の進路が保持されるように、コントローラ180が、船外機30が発生する推進力の大きさおよび向きを制御する。本実施形態では、図5に示すように、ジョイスティックホールド+進路ホールドモードM14は、上述したホールド制御および進路ホールド制御に加えて、後述するパターン制御も実行するモード(ジョイスティックホールド+進路ホールド+パターンシフトモード)を含んでいる。なお、本明細書では、方位ホールド制御と進路ホールド制御とをまとめて自動操船制御といい、ジョイスティックホールド+方位ホールドモードM13とジョイスティックホールド+進路ホールドモードM14とをまとめてジョイスティックホールド自動操船モードM12という。ジョイスティックホールドモードM10からジョイスティックホールド自動操船モードM12への移行のための複合モード開始条件は、例えば、自動操船ボタン150(方位ホールドボタン151または進路ホールドボタン152)が押下されたことを含む。ジョイスティックホールド自動操船モードM12での操船状態は、第2操船状態の一例であり、自動操船ボタン150の押下は、自動操船開始操作の一例である。
【0055】
また、ジョイスティックホールド複合モードM11のうち、ジョイスティックホールド+パターンシフトモードM15は、上述したホールド制御に加えて、船外機30が推進力を発生するオン状態と船外機30が推進力を発生しないオフ状態とを交互に切り替えるパターン制御を実行するモードである。このモードによれば、船舶10を極低速で操縦することができる。ジョイスティックホールドモードM10からジョイスティックホールド+パターンシフトモードM15への移行のための複合モード開始条件は、例えば、船舶10の速度が所定値未満(例えば、3km/h程度未満)になったことを含む。ジョイスティックホールド+パターンシフトモードM15での操船状態は、第3操船状態の一例である。
【0056】
ジョイスティックホールド複合モードM11においても、ジョイスティックホールドモードM10と同様に、コントローラ180は、操作者によるホールド停止操作がなされたか否かを監視し(S210)、ホールド停止操作がなされると(S210:YES)、操船モードをジョイスティックホールド複合モードM11からジョイスティックモードM1に移行する(S130、図5のa4参照)。また、ジョイスティックホールド複合モードM11においても、ジョイスティックホールドモードM10と同様に、コントローラ180は、ジョイスティック解除条件が満たされたか否かを監視し(S220)、ジョイスティック解除条件が満たされると(S220:YES)、操船モードをジョイスティックホールド複合モードM11から通常操船モードM0に移行する(S110、図5のa5参照)。
【0057】
ジョイスティックホールド複合モードM11において、コントローラ180は、単独モード復帰条件が満たされたか否かを監視し(S230)、単独モード復帰条件が満たされると(S230:YES)、操船モードをジョイスティックホールド複合モードM11からジョイスティックホールドモードM10に移行する(S160、図5のa9~a11参照)。
【0058】
例えば、ジョイスティックホールド複合モードM11のうち、ジョイスティックホールド自動操船モードM12においては、単独モード復帰条件として、アクティブな自動操船ボタン150(方位ホールドボタン151または進路ホールドボタン152)が押下されたことを含む。すなわち、ジョイスティックホールド+方位ホールドモードM13においては、方位ホールドボタン151が押下されたことが、単独モード復帰条件として認識される。同様に、ジョイスティックホールド+進路ホールドモードM14においては、進路ホールドボタン152が押下されたことが、単独モード復帰条件として認識される。
【0059】
さらに、ジョイスティックホールド自動操船モードM12においては、単独モード復帰条件として、ジョイスティック140に対する転舵操作(スティック部141を捻る操作とスティック部141を転舵方向に傾倒させる操作との少なくとも一方)があったことを含む。そのため、ジョイスティックホールド自動操船モードM12において、ジョイスティック140に対する転舵操作がなされると、操船モードがジョイスティックホールドモードM10に移行される。これにより、自動操船制御が一時的に停止され、ジョイスティック140に対する転舵操作に応じた転舵制御が実行される。その後、ジョイスティック140に対する転舵操作が停止されると、複合モード開始条件が満たされたと判断され(S190:YES)、操船モードがジョイスティックホールド複合モードM11に移行する。このように、ジョイスティックホールド複合モードM11での操船時に、ジョイスティック140に対する転舵操作を行うことにより、一時的に手動で転舵操作を行い、その後、ジョイスティック140に対する転舵操作を停止することにより、自動操船に復帰させることができ、操船性を向上させることができる。
【0060】
また、例えば、ジョイスティックホールド複合モードM11のうち、ジョイスティックホールド+パターンシフトモードM15においては、単独モード復帰条件として、船舶10の速度が所定値以上(例えば、3km/h程度以上)になったことを含む。
【0061】
なお、図5に示すように、本実施形態では、ジョイスティックホールド+方位ホールドモードM13とジョイスティックホールド+進路ホールドモードM14との間での直接的な移行が可能となっている(図5のa12~a13参照)。すなわち、ジョイスティックホールド+方位ホールドモードM13において、進路ホールドボタン152が押下されると、ジョイスティックホールド+進路ホールドモードM14に移行する。反対に、ジョイスティックホールド+進路ホールドモードM14において、方位ホールドボタン151が押下されると、ジョイスティックホールド+方位ホールドモードM13に移行する。
【0062】
また、図5に示すように、本実施形態では、操船モードとしてセットポイントモードM2が設定されている。上述したように、セットポイントモードM2は、ステイポイントモードと、ドリフトポイントモードと、フィッシュポイントモードとの総称である。ステイポイントモードは、船舶10の位置および方位を保持するモードであり、フィッシュポイントモードは、船舶10の位置を保持するモードであり、ドリフトポイントモードは、船舶10の方位を保持するモードである。ジョイスティックモードM1において、セットポイントボタン145が押下されると、セットポイントモードM2に移行し(図5のa14参照)、セットポイントモードM2において、セットポイントボタン145が押下されると、ジョイスティックモードM1に移行する(図5のa15参照)。また、ジョイスティックホールドモードM10やジョイスティックホールド複合モードM11においても、セットポイントボタン145が押下されると、セットポイントモードM2に移行する(図5のa16参照)。
【0063】
コントローラ180は、上述した処理を繰り返し実行する。所定の終了条件が満たされると(例えば、船舶10の主スイッチが切状態となると)、コントローラ180による操船モード切替処理は終了する。
【0064】
B.変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
【0065】
上記実施形態における船舶10の構成は、あくまで一例であり、種々変形可能である。例えば、上記実施形態では、船舶10が2つの船外機30を有しているが、船舶10が1つの船外機30を有していてもよいし、船舶10が3つ以上の船外機30を有していてもよい。
【0066】
上記実施形態において、操作部110を構成する複数の要素の一部が省略されてもよいし、操作部110が他の要素を含んでもよい。また、上記実施形態におけるジョイスティック140の構成は、あくまで一例であり、種々変形可能である。また、上記実施形態では、操作部110が操作子としてのジョイスティック140を有するが、操作部110がジョイスティック140以外の操作子を有するとしてもよい。
【0067】
上記実施形態における操船モード切替処理の内容は、あくまで一例であり、種々変形可能である。例えば、上記実施形態では、ホールド制御において、船外機30が発生する推進力の大きさに相関する指標(例えば、スロットルバルブ開度、エンジン回転数、モータ出力等)が保持されるが、これと共に、あるいは、これに代えて、船舶10の速度が保持されてもよい。
【0068】
上記実施形態では、ジョイスティックホールドモードM10において、ジョイスティック140に対する転舵操作と加減速操作との両方が可能であるが、ジョイスティック140に対する転舵操作と加減速操作との少なくとも一方が可能であるとしてもよい。すなわち、ジョイスティックホールドモードM10において、ジョイスティック140に対する操作がなされた場合に、コントローラ180は、ジョイスティックホールドモードM10を維持しつつ、船外機30が発生する推進力の大きさと向きとの少なくとも一方を変更するとしてもよい。
【0069】
上記実施形態において、各操船モードの開始および停止操作や、各操船モードの移行条件は、あくまで一例であり、種々変形可能である。また、上記実施形態において、複数の操船モードの一部が省略されてもよいし、他の操船モードが含まれてもよい。
【符号の説明】
【0070】
10:船舶 20:船体 30:船外機 32:動力源 34:推進力発生機構 100:操船システム 110:操作部 120:ステアリングホイール 130:リモートコントローラ 140:ジョイスティック 141:スティック部 142:支持部 143:各種ボタン 144:ジョイスティックボタン 145:セットポイントボタン 146:推進力調整ボタン 150:自動操船ボタン 151:方位ホールドボタン 152:進路ホールドボタン 160:モニタ 180:コントローラ 182:記憶装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6