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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017507
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】燃料残量計測装置、船舶および移動体
(51)【国際特許分類】
   G01G 23/01 20060101AFI20240201BHJP
   G01G 17/04 20060101ALI20240201BHJP
   G01F 23/20 20060101ALN20240201BHJP
【FI】
G01G23/01 A
G01G17/04 A
G01F23/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022120184
(22)【出願日】2022-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001911
【氏名又は名称】弁理士法人アルファ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】辻 幸一
【テーマコード(参考)】
2F014
【Fターム(参考)】
2F014AA01
(57)【要約】
【課題】燃料残量計測の精度を向上させる。
【解決手段】船舶の燃料残量計測装置は、燃料を収容する燃料タンクと、燃料タンクの重量を測定する荷重センサーと、荷重センサーによる燃料タンクの重量の測定値を対象として、船舶の移動と傾きとの少なくとも一方に起因する誤差を補正する補正装置とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶の燃料残量計測装置であって、
燃料を収容する燃料タンクと、
前記燃料タンクの重量を測定する荷重センサーと、
前記荷重センサーによる前記燃料タンクの重量の測定値を対象として、前記船舶の移動と傾きとの少なくとも一方に起因する誤差を補正する補正装置と、
を備える、燃料残量計測装置。
【請求項2】
請求項1に記載の燃料残量計測装置であって、
前記補正装置は、
前記船舶の加速度を検出する加速度センサーと、
前記加速度センサーの検出値に基づき、前記誤差を補正する演算装置と、
を含む、燃料残量計測装置。
【請求項3】
請求項2に記載の燃料残量計測装置であって、
前記加速度センサーは、少なくとも前記船舶の前後方向の傾きによる加速度を検出する、燃料残量計測装置。
【請求項4】
請求項2に記載の燃料残量計測装置であって、
前記加速度センサーは、前記船舶の複数の方向の加速度を検出する、燃料残量計測装置。
【請求項5】
請求項1に記載の燃料残量計測装置であって、
前記補正装置は、
ダミーウェイトと、
前記ダミーウェイトの重量を記憶する記憶装置と、
前記ダミーウェイトの重量を測定するダミー用荷重センサーと、
前記記憶装置に記憶された前記ダミーウェイトの重量と、前記ダミー用荷重センサーによる前記ダミーウェイトの重量の測定値とに基づき、前記誤差を補正する演算装置と、
を含む、燃料残量計測装置。
【請求項6】
請求項1に記載の燃料残量計測装置であって、
前記補正装置は、
前記船舶の傾斜を検出する傾斜センサーと、
前記傾斜センサーの検出値に基づき、前記誤差を補正する演算装置と、
を含む、燃料残量計測装置。
【請求項7】
請求項1に記載の燃料残量計測装置であって、
前記補正装置は、前記燃料が収容されていない状態の前記燃料タンクの重量を記憶する記憶装置を含む、燃料残量計測装置。
【請求項8】
請求項7に記載の燃料残量計測装置であって、
前記記憶装置は、前記燃料の比重を記憶する、燃料残量計測装置。
【請求項9】
請求項1に記載の燃料残量計測装置であって、
複数の前記荷重センサーを備える、燃料残量計測装置。
【請求項10】
請求項1に記載の燃料残量計測装置であって、
前記燃料タンクは、上下方向に沿った位置に応じて、水平方向の断面積が変化する形状である、燃料残量計測装置。
【請求項11】
船体と、
前記船体に取り付けられ、前記燃料タンクに収容される前記燃料を用いて推進力を発生させる推進機と、
請求項1に記載の燃料残量計測装置と、
を備える船舶。
【請求項12】
移動体の燃料残量計測装置であって、
燃料を収容する燃料タンクと、
前記燃料タンクの重量を測定する荷重センサーと、
前記荷重センサーによる前記燃料タンクの重量の測定値を対象として、前記移動体の移動と傾きとの少なくとも一方に起因する誤差を補正する補正装置と、
を備える、燃料残量計測装置。
【請求項13】
本体と、
前記本体に取り付けられ、前記燃料タンクに収容される前記燃料を用いて推進力を発生させる推進機と、
請求項12に記載の燃料残量計測装置と、
を備える移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術は、燃料残量計測装置、船舶および移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
船舶は、推進機を有する。推進機は、例えば内燃機関を含み、燃料タンクに収容される燃料を用いて推進力を発生させる。
【0003】
一般に、燃料タンク内の燃料残量の計測は、フロートを使用して燃料タンク内の液面を検知することにより行われる。しかしながら、燃料タンクの形状によっては、単位体積の燃料の減少に伴う液面の低下量は一定にならない。また、船舶の移動や傾きにより燃料タンク内の液面は変化し得る。そのため、液面検知による燃料残量計測方法では、計測精度が低下するおそれがある。
【0004】
従来、燃料残量計測精度の向上のために、荷重センサーを用いて燃料タンクの重量を測定することにより、燃料残量を計測する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-37085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
荷重センサーを用いた燃料タンクの重量の測定値は、船舶の移動や傾きにより変化し得る。そのため、荷重センサーを用いた燃料タンクの重量の測定による従来の燃料残量計測方法でも、計測精度の点で向上の余地がある。なお、このような課題は、船舶に設置される燃料タンク内の燃料残量計測に限られず、車両や航空機を含む移動体に設置される燃料タンク内の燃料残量計測に共通の課題である。
【0007】
本明細書では、上述した課題を解決することが可能な技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書に開示される技術は、例えば、以下の形態として実現することが可能である。
【0009】
(1)本明細書に開示される燃料残量計測装置は、船舶の燃料残量計測装置であって、燃料を収容する燃料タンクと、前記燃料タンクの重量を測定する荷重センサーと、前記荷重センサーによる前記燃料タンクの重量の測定値を対象として、前記船舶の移動と傾きとの少なくとも一方に起因する誤差を補正する補正装置と、を備える。
【0010】
本燃料残量計測装置では、フロートを使用した燃料タンク内の液面検知を利用することなく、かつ、船舶の移動や傾きに起因する誤差を補正した燃料残量計測を実現することができ、燃料残量計測の精度を向上させることができる。
【0011】
(2)本明細書に開示される他の燃料残量計測装置は、移動体の燃料残量計測装置であって、燃料を収容する燃料タンクと、前記燃料タンクの重量を測定する荷重センサーと、前記荷重センサーによる前記燃料タンクの重量の測定値を対象として、前記移動体の移動と傾きとの少なくとも一方に起因する誤差を補正する補正装置と、を備える。
【0012】
本燃料残量計測装置では、フロートを使用した燃料タンク内の液面検知を利用することなく、かつ、移動体の移動や傾きに起因する誤差を補正した燃料残量計測を実現することができ、燃料残量計測の精度を向上させることができる。
【0013】
なお、本明細書に開示される技術は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、燃料残量計測装置、燃料残量計測装置を備える船舶または移動体、燃料残量計測方法等の形態で実現することが可能である。
【発明の効果】
【0014】
本明細書に開示される燃料残量計測装置によれば、フロートを使用した燃料タンク内の液面検知を利用することなく、かつ、船舶の移動や傾きに起因する誤差を補正した燃料残量計測を実現することができ、燃料残量計測の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態における船舶100の構成を概略的に示す説明図
図2】第1実施形態における燃料残量計測装置10の構成を示す説明図
図3】第1実施形態における燃料残量計測装置10により実行される燃料残量計測処理を示すフローチャート
図4】第2実施形態における燃料残量計測装置10aの構成を示す説明図
図5】第2実施形態における燃料残量計測装置10aにより実行される燃料残量計測処理を示すフローチャート
図6】第3実施形態における燃料残量計測装置10bの構成を示す説明図
図7】第3実施形態における燃料残量計測装置10bにより実行される燃料残量計測処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0016】
A.第1実施形態:
(船舶100の構成)
図1は、第1実施形態における船舶100の構成を概略的に示す説明図である。図1および後述する他の図面には、船舶100の位置を基準とした各方向を表す矢印を示している。より具体的には、各図には、前方(FRONT)、後方(REAR)、上方(UPPER)および下方(LOWER)のそれぞれを表す矢印を示している。
【0017】
船舶100は、船体50と、推進機60と、燃料残量計測装置10とを有する。船体50は、船舶100において乗員が搭乗する部分である。
【0018】
推進機60は、船舶100を航行させる推進力を発生する装置である。本実施形態では、推進機60の少なくとも一部は、船体50における下部空間に配置されている。推進機60は、他の場所(例えば、船体50の後方)に配置されていてもよい。推進機60は、例えば内燃機関により構成される動力源62と、動力源62からの駆動力により駆動されて推進力を発生するプロペラ等の推進力発生機構64とを有する。また、推進機60は、いずれも図示しない転舵機構とシフト機構とを有してもよい。転舵機構は、船舶100の転舵を実現するための機構である。シフト機構は、船舶100が前進する方向に動力源62からの駆動力を推進力発生機構64に伝達する前進状態と、船舶100が後進する方向に動力源62からの駆動力を推進力発生機構64に伝達する後進状態と、動力源62からの駆動力を推進力発生機構64に伝達しない中立状態とを切り替える機構である。
【0019】
燃料残量計測装置10は、船舶100における燃料残量を計測するための装置である。図2は、第1実施形態における燃料残量計測装置10の構成を示す説明図である。図1および図2に示すように、燃料残量計測装置10は、燃料タンク20と、荷重センサー30と、補正装置40とを含む。
【0020】
燃料タンク20は、推進機60の動力源62に供給する燃料F(例えば、軽油やガソリン)を収容するための容器である。本実施形態では、燃料タンク20は、船体50における下部空間に配置されている。図2に示すように、燃料タンク20は、上下方向に沿った位置に応じて、水平方向の断面積が変化する形状の異形タンクである。より具体的には、燃料タンク20は、上側部分においては、略直方体形状である一方、下側部分においては、下方の位置ほど水平方向の断面積が小さくなるように絞られた形状となっている。そのため、燃料Fの液面が燃料タンク20の上側部分に位置する状態では、単位体積の燃料Fの減少に伴う液面の低下量は一定であるのに対し、燃料Fの液面が燃料タンク20の下側部分に位置する状態では、単位体積の燃料Fの減少に伴う液面の低下量は、液面の低下に伴い漸増する。このように、本実施形態の燃料タンク20は、フロートを使用して燃料タンク20内の液面を検知することにより燃料残量の計測を行う方法では、計測精度が低下するおそれがある形状の燃料タンクである。
【0021】
荷重センサー30は、燃料タンク20の重量を測定するためのセンサーであり、例えばロードセルを用いて構成される。なお、本明細書において、燃料タンク20の重量とは、燃料タンク20内に収容された燃料Fの重量を含む重量を意味する。すなわち、燃料タンク20の重量は、燃料タンク20内の燃料Fの残量に応じて増減する。本実施形態では、燃料残量計測装置10は、n個(nは2以上の整数)の荷重センサー30(30(1)、30(2)、・・・、30(n))を含んでいる。各荷重センサー30は、燃料タンク20の下方において燃料タンク20を支持しつつ、燃料タンク20の重量に応じた荷重測定値(LC(1)、LC(2)、・・・、LC(n))を出力する。荷重センサー30による燃料タンク20の重量の測定値T1は、下記の式(1)に示すように、各荷重センサー30の出力値LCの総和である。
T1=LC(1)+LC(2)+・・・+LC(n) ・・・(1)
【0022】
補正装置40は、荷重センサー30による燃料タンク20の重量の測定値T1を対象として、船舶100の移動と傾きとの少なくとも一方に起因する誤差を補正する装置である。すなわち、荷重センサー30による燃料タンク20の重量の測定値T1は、船舶100の移動と傾きとの少なくとも一方に起因する誤差を包含し得る。補正装置40は、該誤差を補正して、基準状態(船舶100の速度および傾きがゼロの状態)における燃料タンク20の重量T0を算出する。補正装置40は、加速度センサー41と、演算装置42と、記憶装置43とを含む。
【0023】
加速度センサー41は、船舶100の加速度を検出するセンサーであり、船体50に取り付けられている。本実施形態では、加速度センサー41は、複数の方向の加速度を検出するように構成されている。具体的には、加速度センサー41は、互いに直交する3つの軸(x軸、y軸、z軸)のそれぞれの方向の加速度(gx、gy、gz)を検知して出力する。
【0024】
演算装置42は、誤差補正の演算を行う装置であり、例えば、CPU、マルチコアCPU、プログラマブルなデバイス(Field Programmable Gate Array(FPGA)、Programmable Logic Device(PLD)等)を用いて構成される。また、記憶装置43は、例えばROMやRAM、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)等を用いて構成される。記憶装置43は、各種のプログラムやデータを記憶したり、各種の処理を実行する際の作業領域やデータの記憶領域として利用されたりする。例えば、記憶装置43には、燃料Fが収容されていない(すなわち燃料残量がゼロの)燃料タンク20の基準状態における重量Teの値と、基準状態における加速度センサー41の各軸についての出力値(gx0、gy0、gz0)と、燃料タンク20に収容される燃料Fの比重dとが記憶されている。
【0025】
(燃料残量計測処理)
図3は、第1実施形態における燃料残量計測装置10により実行される燃料残量計測処理を示すフローチャートである。燃料残量計測処理は、燃料タンク20内の燃料Fの残量を計測する処理である。
【0026】
はじめに、補正装置40の演算装置42が、荷重センサー30による燃料タンク20の重量の測定値T1を取得する(S110)。上述したように、荷重センサー30による燃料タンク20の重量の測定値T1は、船舶100の移動と傾きとの少なくとも一方に起因する誤差を包含し得る。また、演算装置42は、加速度センサー41による加速度の検出値gx、gy、gzを取得する(S120)。
【0027】
次に、補正装置40の演算装置42は、加速度センサー41の検出値に基づき上記誤差を補正して、基準状態における燃料タンク20の重量T0を算出する(S130)。例えば、図2に示すy軸方向の加速度(前後方向の傾きによる加速度)についての補正を行う場合、演算装置42は、下記の式(2)に従い基準状態における燃料タンク20の重量T0を算出する。なお、gyは、加速度センサー41により出力される現時点でのy軸方向の加速度値であり、gy0は記憶装置43に記憶された、基準状態において加速度センサー41により出力されるy軸方向の加速度値である。
T0=T1×(gy0/gy) ・・・(2)
【0028】
次に、補正装置40の演算装置42は、下記の式(3)に従い、燃料タンク20内に残っている燃料Fの重量(基準状態における重量)E0を算出する(S140)。なお、Teは、記憶装置43に記憶された、燃料Fが収容されていない燃料タンク20の重量(基準状態における重量)である。
E0=T0-Te ・・・(3)
【0029】
次に、補正装置40の演算装置42は、下記の式(4)に従い、燃料タンク20内に残っている燃料Fの体積V0を算出する(S150)。なお、dは、記憶装置43に記憶された、燃料Fの比重である。
V0=E0/d ・・・(4)
【0030】
補正装置40の演算装置42は、このようにして算出された燃料タンク20内の燃料Fの残量(体積V0)に基づき、図示しない表示装置を介して燃料残量表示を行う(S160)。
【0031】
上述したように燃料残量計測装置10による燃料残量計測を行うことにより、フロートを使用した燃料タンク20内の液面検知を利用することなく、かつ、船舶100の移動や傾きに起因する誤差を補正した燃料残量計測を実現することができ、燃料残量計測の精度を向上させることができる。
【0032】
B.第2実施形態:
図4は、第2実施形態における燃料残量計測装置10aの構成を示す説明図である。以下では、第2実施形態の燃料残量計測装置10aの構成のうち、上述した第1実施形態の燃料残量計測装置10と同一の構成については、同一の符号を付すことによってその説明を適宜省略する。
【0033】
第2実施形態の燃料残量計測装置10aは、ダミーウェイト22と、ダミー用荷重センサー32とを有する。ダミーウェイト22は、基準状態における重量M0が既知のおもりである。ダミーウェイト22の基準状態における重量M0は、補正装置40の記憶装置43に記憶されている。ダミー用荷重センサー32は、ダミーウェイト22の重量M1を測定するためのセンサーであり、例えばロードセルを用いて構成される。ダミー用荷重センサー32は、ダミーウェイト22の下方においてダミーウェイト22を支持しつつ、ダミーウェイト22の重量M1に応じた荷重測定値LC(s)を出力する。本実施形態では、燃料残量計測装置10aが1つのダミー用荷重センサー32を含むため、ダミー用荷重センサー32によるダミーウェイト22の重量の測定値M1は、ダミー用荷重センサー32の出力値LC(s)に等しい。なお、燃料残量計測装置10aが複数のダミー用荷重センサー32を含み、複数のダミー用荷重センサー32によりダミーウェイト22の重量M1を測定するものとしてもよい。また、第2実施形態では、補正装置40が加速度センサー41を含んでいない。
【0034】
図5は、第2実施形態における燃料残量計測装置10aにより実行される燃料残量計測処理を示すフローチャートである。以下では、第2実施形態の燃料残量計測処理の各ステップのうち、上述した第1実施形態の燃料残量計測処理と同一の内容のステップについては、同一の符号を付すことによってその説明を適宜省略する。
【0035】
第2実施形態の燃料残量計測処理では、補正装置40の演算装置42が、加速度センサー41による加速度の検出値を取得する処理(図1のS120)に代えて、ダミー用荷重センサー32によるダミーウェイト22の重量の測定値M1を取得する処理を実行する(S122)。
【0036】
次に、補正装置40の演算装置42は、記憶装置43に記憶されたダミーウェイト22の基準状態における重量M0と、ダミー用荷重センサー32によるダミーウェイト22の重量の測定値M1とに基づき上記誤差を補正して、基準状態における燃料タンク20の重量T0を算出する(S132)。具体的には、演算装置42は、下記の式(5)に従い基準状態における燃料タンク20の重量T0を算出する。その後の処理(S140~)は、第1実施形態の燃料残量計測処理と同一である。
T0=T1×(M0/M1) ・・・(5)
【0037】
第2実施形態においても、上述したように燃料残量計測装置10aによる燃料残量計測を行うことにより、フロートを使用した燃料タンク20内の液面検知を利用することなく、かつ、船舶100の移動や傾きに起因する誤差を補正した燃料残量計測を実現することができ、燃料残量計測の精度を向上させることができる。
【0038】
C.第3実施形態:
図6は、第3実施形態における燃料残量計測装置10bの構成を示す説明図である。以下では、第3実施形態の燃料残量計測装置10bの構成のうち、上述した第1実施形態の燃料残量計測装置10と同一の構成については、同一の符号を付すことによってその説明を適宜省略する。
【0039】
第3実施形態の燃料残量計測装置10bは、補正装置40が、加速度センサー41に代えて傾斜センサー45を有する。傾斜センサー45は、船舶100の傾斜を検出するセンサーであり、船体50に取り付けられている。また、補正装置40の記憶装置43には、予め設定された、傾斜センサー45の出力(すなわち、船舶100の傾斜)に応じた補正係数αの値が記憶されている。
【0040】
図7は、第3実施形態における燃料残量計測装置10bにより実行される燃料残量計測処理を示すフローチャートである。以下では、第3実施形態の燃料残量計測処理の各ステップのうち、上述した第1実施形態の燃料残量計測処理と同一の内容のステップについては、同一の符号を付すことによってその説明を適宜省略する。
【0041】
第3実施形態の燃料残量計測処理では、補正装置40の演算装置42が、加速度センサー41による加速度の検出値を取得する処理(図1のS120)に代えて、傾斜センサー45による船舶100の傾斜の検出値を取得する処理を行う(S124)。
【0042】
次に、補正装置40の演算装置42は、傾斜センサー45の検出値に基づき上記誤差を補正して、基準状態における燃料タンク20の重量T0を算出する(S134)。具体的には、演算装置42は、下記の式(6)に従い基準状態における燃料タンク20の重量T0を算出する。なお、αは、記憶装置43に記憶された、予め設定された傾斜センサー45の出力に応じた補正係数である。その後の処理(S140~)は、第1実施形態の燃料残量計測処理と同一である。
T0=T1×α ・・・(6)
【0043】
第3実施形態においても、上述したように燃料残量計測装置10bによる燃料残量計測を行うことにより、フロートを使用した燃料タンク20内の液面検知を利用することなく、かつ、船舶100の移動や傾きに起因する誤差を補正した燃料残量計測を実現することができ、燃料残量計測の精度を向上させることができる。
【0044】
D.変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
【0045】
上記実施形態の船舶100や燃料残量計測装置10の構成は、あくまで一例であり、種々変形可能である。例えば、上記実施形態では、燃料残量計測装置10が複数の荷重センサー30を有するが、燃料残量計測装置10が1つの荷重センサー30を有するとしてもよい。また、上記第1実施形態では、加速度センサー41は、互いに直交する3つの軸(x軸、y軸、z軸)のそれぞれの方向の加速度を検出するものであるが、加速度センサー41が、1つまたは複数の任意の方向の加速度を検出するものであってよい。
【0046】
上記実施形態の燃料残量計測処理の内容は、あくまで一例であり、種々変形可能である。例えば、上記実施形態では、燃料残量を最終的に体積として算出して燃料残量表示を行っているが、燃料残量を重量として算出し、該重量に基づき燃料残量表示を行ってもよい。
【0047】
上記実施形態では、燃料タンク20が上下方向に沿った位置に応じて水平方向の断面積が変化する形状の異形タンクであるが、本明細書に開示される技術は、任意の形状の燃料タンク内の燃料残量計測に同様に適用可能である。
【0048】
上記実施形態では、船舶100の燃料タンク20内の燃料残量計測について説明したが、本明細書に開示される技術は、例えば車両や航空機等を含む移動体の燃料タンク内の燃料残量計測に同様に適用可能である。
【符号の説明】
【0049】
10:燃料残量計測装置 20:燃料タンク 22:ダミーウェイト 30:荷重センサー 32:ダミー用荷重センサー 40:補正装置 41:加速度センサー 42:演算装置 43:記憶装置 45:傾斜センサー 50:船体 60:推進機 62:動力源 64:推進力発生機構 100:船舶
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7