(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175072
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】情報提供システム、及び、情報提供方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20241210BHJP
G01S 5/08 20060101ALI20241210BHJP
G01S 5/14 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
G06Q50/10
G01S5/08
G01S5/14
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024160836
(22)【出願日】2024-09-18
(62)【分割の表示】P 2022109941の分割
【原出願日】2022-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】田上 直紀
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 毅
(72)【発明者】
【氏名】松崎 宣敏
(72)【発明者】
【氏名】池原 正成
(72)【発明者】
【氏名】姫野 徹
(72)【発明者】
【氏名】内田 行紀
(72)【発明者】
【氏名】児玉 裕己
(72)【発明者】
【氏名】村上 輝
(57)【要約】
【課題】空間における人の所在に関する情報を出力することができる情報提供システムを提供する。
【解決手段】情報提供システム10は、施設内の空間60に位置する人が所持する第一通信装置20と空間60に設置された複数の第二通信装置30との無線通信の通信状態に基づいて計測された第一通信装置20の位置を示す位置情報を取得する第一取得部44と、空間60に含まれる1つ以上のエリアの定義を示すエリア設定情報を取得する第二取得部45と、取得された位置情報、及び、取得されたエリア設定情報に基づいて、1つ以上のエリアそれぞれにおける人の所在に関する所在情報を出力する出力部46とを備え、出力部46は、空間60に位置する人の属性情報に関する所定の要件が満たされた場合に、所在情報を出力する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設内の空間に位置する人が所持する第一通信装置と前記空間に設置された複数の第二通信装置との無線通信の通信状態に基づいて計測された前記第一通信装置の位置を示す位置情報を取得する第一取得部と、
前記空間に含まれる1つ以上のエリアの定義を示すエリア設定情報を取得する第二取得部と、
取得された位置情報、及び、取得された前記エリア設定情報に基づいて、前記1つ以上のエリアそれぞれにおける人の所在に関する所在情報を出力する出力部とを備え、
前記出力部は、前記空間に位置する人の属性情報に関する所定の要件が満たされた場合に、前記所在情報を出力する
情報提供システム。
【請求項2】
施設内の空間に位置する人が所持する第一通信装置と前記空間に設置された複数の第二通信装置との無線通信の通信状態に基づいて計測された前記第一通信装置の位置を示す位置情報を取得する第一取得部と、
前記空間に含まれる1つ以上のエリアの定義を示すエリア設定情報を取得する第二取得部と、
取得された位置情報、及び、取得された前記エリア設定情報に基づいて、前記1つ以上のエリアそれぞれにおける人の所在に関する所在情報を出力する出力部とを備え、
前記出力部は、所定の要件が満たされた場合に、前記所在情報を出力し、
前記所定の要件は、前記所在情報の出力先ごとに異なる
情報提供システム。
【請求項3】
前記複数の第二通信装置のそれぞれは、前記空間に設置された照明装置に備えられている
請求項1または2に記載の情報提供システム。
【請求項4】
前記第一通信装置の位置は、前記複数の第二通信装置のそれぞれが無線送信する信号の前記第一通信装置における受信状態に基づいて計測される
請求項1または2に記載の情報提供システム。
【請求項5】
前記第一通信装置の位置は、前記第一通信装置が無線送信する信号の前記複数の第二通信装置のそれぞれにおける受信状態に基づいて計測される
請求項1または2に記載の情報提供システム。
【請求項6】
前記所在情報は、前記1つ以上のエリアそれぞれにおける人の数を示す情報を含む
請求項1または2に記載の情報提供システム。
【請求項7】
前記所在情報は、前記1つ以上のエリアそれぞれに位置する人の属性情報を含む
請求項1または2に記載の情報提供システム。
【請求項8】
前記所在情報は、前記1つ以上のエリアそれぞれに位置する人の移動速度または加速度を示す情報を含む
請求項1または2に記載の情報提供システム。
【請求項9】
前記所在情報は、前記1つ以上のエリアそれぞれに位置する人の滞在回数または滞在時間を示す情報を含む
請求項1または2に記載の情報提供システム。
【請求項10】
前記所定の要件は、時期に応じて異なる
請求項1に記載の情報提供システム。
【請求項11】
前記所定の要件は、前記所在情報の出力先ごとに異なる
請求項1に記載の情報提供システム。
【請求項12】
前記出力部は、取得された現在の前記位置情報と、前記位置情報の履歴とに基づいて、前記空間における人の所在に異常があると判定した場合に、異常通知情報を出力する
請求項1または2に記載の情報提供システム。
【請求項13】
前記出力部は、照明システム、空調システム、電源システム、セキュリティシステム、通信システム、安全管理システム、及び、広告配信システムの少なくとも1つに前記所在情報を出力する
請求項1または2に記載の情報提供システム。
【請求項14】
コンピュータによって実行される情報提供方法であって、
施設内の空間に位置する人が所持する第一通信装置と前記空間に設置された複数の第二通信装置との無線通信の通信状態に基づいて計測された前記第一通信装置の位置を示す位置情報を取得する第一取得ステップと、
前記空間に含まれる1つ以上のエリアの区分を示すエリア設定情報を取得する第二取得ステップと、
取得された位置情報、及び、取得された前記エリア設定情報に基づいて、前記1つ以上のエリアそれぞれにおける人の所在に関する所在情報を出力する出力ステップと、
ユーザの操作に基づいて、前記エリア設定情報が示す前記1つ以上のエリアの区分を変更するステップとを含み、
前記出力ステップにおいては、前記空間に位置する人の属性情報に関する所定の要件が満たされた場合に、前記所在情報を出力する
情報提供方法。
【請求項15】
コンピュータによって実行される情報提供方法であって、
施設内の空間に位置する人が所持する第一通信装置と前記空間に設置された複数の第二通信装置との無線通信の通信状態に基づいて計測された前記第一通信装置の位置を示す位置情報を取得する第一取得ステップと、
前記空間に含まれる1つ以上のエリアの区分を示すエリア設定情報を取得する第二取得ステップと、
取得された位置情報、及び、取得された前記エリア設定情報に基づいて、前記1つ以上のエリアそれぞれにおける人の所在に関する所在情報を出力する出力ステップと、
ユーザの操作に基づいて、前記エリア設定情報が示す前記1つ以上のエリアの区分を変更するステップとを含み、
前記出力ステップにおいては、所定の要件が満たされた場合に、前記所在情報を出力し、
前記所定の要件は、前記所在情報の出力先ごとに異なる
情報提供方法。
【請求項16】
請求項14または15に記載の情報提供方法を前記コンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提供システム、及び、情報提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、簡便な構成で、移動体の位置を精度よく測定できる測位装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、空間における人の所在に関する情報を出力することができる、情報提供システム、及び、情報提供方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る情報提供システムは、施設内の空間に位置する人が所持する第一通信装置と前記空間に設置された複数の第二通信装置との無線通信の通信状態に基づいて計測された前記第一通信装置の位置を示す位置情報を取得する第一取得部と、前記空間に含まれる1つ以上のエリアの定義を示すエリア設定情報を取得する第二取得部と、取得された位置情報、及び、取得された前記エリア設定情報に基づいて、前記1つ以上のエリアそれぞれにおける人の所在に関する所在情報を出力する出力部とを備え、前記出力部は、前記空間に位置する人の属性情報に関する所定の要件が満たされた場合に、前記所在情報を出力する。
【0006】
本発明の一態様に係る情報提供システムは、施設内の空間に位置する人が所持する第一通信装置と前記空間に設置された複数の第二通信装置との無線通信の通信状態に基づいて計測された前記第一通信装置の位置を示す位置情報を取得する第一取得部と、前記空間に含まれる1つ以上のエリアの定義を示すエリア設定情報を取得する第二取得部と、取得された位置情報、及び、取得された前記エリア設定情報に基づいて、前記1つ以上のエリアそれぞれにおける人の所在に関する所在情報を出力する出力部とを備え、前記出力部は、所定の要件が満たされた場合に、前記所在情報を出力し、前記所定の要件は、前記所在情報の出力先ごとに異なる。
【0007】
本発明の一態様に係る情報提供方法は、コンピュータによって実行される情報提供方法であって、施設内の空間に位置する人が所持する第一通信装置と前記空間に設置された複数の第二通信装置との無線通信の通信状態に基づいて計測された前記第一通信装置の位置を示す位置情報を取得する第一取得ステップと、前記空間に含まれる1つ以上のエリアの区分を示すエリア設定情報を取得する第二取得ステップと、取得された位置情報、及び、取得された前記エリア設定情報に基づいて、前記1つ以上のエリアそれぞれにおける人の所在に関する所在情報を出力する出力ステップと、ユーザの操作に基づいて、前記エリア設定情報が示す前記1つ以上のエリアの区分を変更するステップとを含み、前記出力ステップにおいては、前記空間に位置する人の属性情報に関する所定の要件が満たされた場合に、前記所在情報を出力する。
【0008】
本発明の一態様に係る情報提供方法は、コンピュータによって実行される情報提供方法であって、施設内の空間に位置する人が所持する第一通信装置と前記空間に設置された複数の第二通信装置との無線通信の通信状態に基づいて計測された前記第一通信装置の位置を示す位置情報を取得する第一取得ステップと、前記空間に含まれる1つ以上のエリアの区分を示すエリア設定情報を取得する第二取得ステップと、取得された位置情報、及び、取得された前記エリア設定情報に基づいて、前記1つ以上のエリアそれぞれにおける人の所在に関する所在情報を出力する出力ステップと、ユーザの操作に基づいて、前記エリア設定情報が示す前記1つ以上のエリアの区分を変更するステップとを含み、前記出力ステップにおいては、所定の要件が満たされた場合に、前記所在情報を出力し、前記所定の要件は、前記所在情報の出力先ごとに異なる。
【0009】
本発明の一態様に係るプログラムは、前記情報提供方法を前記コンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の情報提供システム、及び、情報提供方法は、空間における人の所在に関する情報を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る情報提供システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る情報提供システムが適用される空間を示す図である。
【
図3】
図3は、エリアの定義の変更の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、所在情報の出力動作のフローチャートである。
【
図6】
図6は、見守り動作のフローチャートである。
【
図7】
図7は、変形例に係る情報提供システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、変形例に係る情報提供システムが適用される室内空間を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0013】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
【0014】
(実施の形態)
[構成]
まず、実施の形態に係る情報提供システムの構成について説明する。
図1は、実施の形態に係る情報提供システムの機能構成を示すブロック図である。
図2は、実施の形態に係る情報提供システムが適用される空間を示す図である。
【0015】
情報提供システム10は、空間60における第一通信装置20を所持する人(例えば、
図2の人Aまたは人B)の位置を計測し、計測した人の位置に関する所在情報を他のシステムに提供することができるシステムである。第一通信装置20を所持する人の位置は、第一通信装置20と空間60に設置された複数の第二通信装置30それぞれとの通信状態に基づいて計測される。空間60は、例えば、オフィス空間であるが、商業施設内の空間、または、住宅内の空間などのその他の施設内の室内空間であってもよい。また、第一通信装置20は物体(非生命体)に取り付けられていてもよい。物体は、例えば、フォークリフトなどである。
【0016】
図1及び
図2に示されるように、情報提供システム10は、複数の第一通信装置20と、複数の第二通信装置30と、サーバシステム40と、情報端末50とを備える。なお、情報提供システム10は、少なくとも1つの第一通信装置20を備えればよい。
図1には、情報提供システム10以外の他のシステムとして、照明システム51、空調システム52、電源システム53、セキュリティシステム54、通信システム55、及び、安全管理システム56などの他のシステムも図示されている。情報提供システム10は、他のシステムをさらに備えてもよい。
【0017】
第一通信装置20は、複数の第二通信装置30のそれぞれが電波通信によって送信するビーコン信号を受信するビーコン受信機(スキャナ)である。ビーコン信号の周波数帯域は、例えば、2.4GHz帯であるが特に限定されない。
【0018】
第一通信装置20は、受信したビーコン信号の受信信号強度(RSSI:Received Signal Strength Indicator)を計測し、計測した受信信号強度に基づいて、空間60における第一通信装置20の位置を計測する。第一通信装置20は、例えば、数秒~1時間程度の所定の時間間隔で第一通信装置20の位置を計測し、計測した位置を示す位置情報をサーバシステム40へ送信する。位置情報には、計測した位置(座標)と、第一通信装置20を他の第一通信装置20と区別するための第一識別情報とが含まれる。
【0019】
第一通信装置20は、具体的には、複数のビーコン信号それぞれの受信信号強度を、複数の第二通信装置30までの距離に変換することにより、第一通信装置20の空間60における位置を計測することができる。なお、第一通信装置20は、空間60における複数の第二通信装置30の配置(設置位置)を示す配置情報を記憶しており、位置の計測には、この配置情報が用いられる。なお、位置を計測する方法については、既存のどのようなアルゴリズムが用いられてもよい。アルゴリズムは、例えば、3点測位などである。
【0020】
第一通信装置20は、例えば、ビーコン受信機として動作することが可能な携帯型の情報端末(スマートフォンなど)であるが、専用のビーコン受信機であってもよい。
図2に示されるように、第一通信装置20は、空間60に位置する人によって所持される。
【0021】
なお、第一通信装置20は、受信信号強度に加えて、ビーコン信号の受信角度(AoA:Angle of Arrival)を用いて第一通信装置20の位置を計測してもよい。第一通信装置20は、上記ビーコン信号を用いた測位手法に、第一通信装置20が備える加速度センサ等(第一通信装置20の位置の変化を検出するセンサ)を用いたPDR(Pedestrian Dead Reckoning)と呼ばれる測位手法を組み合わせて第一通信装置20の位置を計測してもよい。また、第一通信装置20は、UWB(Ultra Wide Band)通信に基づいて第一通信装置20の位置を計測してもよい。
【0022】
また、第一通信装置20の位置を計測するための第一通信装置20と第二通信装置30との電波通信の通信規格としては、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)を想定しているが、通信規格としてWi-Fi(登録商標)が用いられてもよい。
【0023】
第二通信装置30は、電波通信によってビーコン信号を送信するビーコン送信機である。ビーコン信号には、第二通信装置30の第二識別情報が含まれる。
図2に示されるように、第二通信装置30は、例えば、空間60の天井に設置された照明装置31が有する給電端子に着脱自在に接続され、照明装置31から給電を受けて動作する。給電端子は、例えば、USB端子である。
【0024】
なお、第二通信装置30は、照明装置31に外付けされるのではなく、照明装置31に内蔵されていてもよい。第二通信装置30は、照明装置31以外の機器に備えられていてもよいし、機器を介さずに空間60の天井に直接固定されていてもよい。また、第二通信装置30は、壁などに固定されていてもよい。なお、
図2に示されるように、複数の第二通信装置30は、上方から見て二次元的に分散配置されている。複数の第二通信装置30の配置(設置位置)は、配置情報としてあらかじめ第一通信装置20の記憶部(図示せず)に記憶されている。
【0025】
サーバシステム40は、複数の第一通信装置20のそれぞれから当該第一通信装置20の位置情報を取得し、取得した位置情報を記憶部43に記憶する。つまり、サーバシステム40は、複数の第一通信装置20の位置情報を管理する。サーバシステム40は、1つまたは複数のサーバ装置によって実現され、以下で説明されるサーバシステム40の構成要素は、1つまたは複数のサーバ装置にどのように振り分けられてもよい。1つまたは複数のサーバ装置のそれぞれは、例えば、空間60を構成する施設(建物)外に設けられたクラウドコンピュータであるが、施設内に設けられたエッジコンピュータであってもよい。サーバシステム40は、通信部41と、情報処理部42と、記憶部43とを備える。
【0026】
通信部41は、サーバシステム40が、複数の第一通信装置20と通信するための通信モジュール(通信回路)である。通信部41は、例えば、複数の第一通信装置20のそれぞれから当該第一通信装置20の位置情報を受信する。通信部41によって行われる通信は、無線通信であってもよいし、有線通信であってもよい。通信に用いられる通信規格についても特に限定されない。
【0027】
情報処理部42は、複数の第一通信装置20の位置情報を記憶部43に記憶する。複数の第一通信装置20のそれぞれの位置情報は、例えば、数秒~1時間程度の所定の時間間隔で記憶(更新)される。
【0028】
情報処理部42は、具体的には、プロセッサまたはマイクロコンピュータによって実現される。情報処理部42は、機能的な構成要素として、第一取得部44、第二取得部45、出力部46、及び、設定部47を備える。第一取得部44、第二取得部45、出力部46、及び、設定部47の機能は、情報処理部42を構成するプロセッサまたはマイクロコンピュータ(ハードウェア)が記憶部43に記憶されたコンピュータプログラム(ソフトウェア)を実行することによって実現される。第一取得部44、第二取得部45、出力部46、及び、設定部47の機能の詳細については後述する。
【0029】
記憶部43は、通信部41によって受信された位置情報、及び、情報処理部42が実行するコンピュータプログラムなどが記憶される記憶装置である。また、記憶部43には、情報処理部42によって計測された複数の第一通信装置20それぞれの位置情報も記憶されている。記憶部43は、具体的には、半導体メモリまたはHDD(Hard Disk
Drive)などによって実現される。
【0030】
情報端末50は、サーバシステム40に対して各種設定を行うために、設定者が操作する情報端末である。情報端末50は、例えば、スマートフォンまたはタブレット端末などの携帯型の情報端末であるが、パーソナルコンピュータなどの据え置き型の情報端末であってもよい。なお、以下の実施の形態では、設定者は、空間60を構成する施設(以下、単に施設と記載される)の管理者であると説明される場合もあるし、他のシステムを使用する事業者の従業者、サーバシステム40を提供(管理)する事業者の従業者、または、他のシステムを提供(管理)する事業者の従業者であると説明される場合もある。
【0031】
照明システム51、空調システム52、電源システム53、セキュリティシステム54、通信システム55、安全管理システム56、及び、広告配信システム57の少なくとも1つである他のシステムは、空間60における機器の制御などを実行するシステムである。他のシステムは、例えば、施設内に設けられた制御装置、及び、施設外に設けられたサーバ装置(クラウドサーバ)の少なくとも一方によって実現される。なお、他のシステムは、位置情報を管理するサーバシステム40と同一サーバ上に存在してもよい。
【0032】
照明システム51は、空間60に設けられた複数の照明装置31の発光制御を行うシステムである。ここでの発光制御には、点灯制御、消灯制御、調光制御、及び、調色制御などが含まれる。
【0033】
空調システム52は、空間60に設けられた複数の空気調和機(図示せず)の制御を行うシステムである。
【0034】
電源システム53は、空間60における電源の制御を行うシステムである。電源システム53は、例えば、空間60に設けられたコンセントに接続されるスイッチ装置と通信を行い、スイッチ装置のオンオフを制御することにより、コンセントからスイッチ装置に接続される機器への電力供給のオンオフを制御する。電源システム53は、空間60に設けられた壁スイッチと通信を行い、壁スイッチへの電力供給のオンオフを制御してもよい。また、電源システム53は、空間60の電気設備を制御する配電盤と通信を行い、電力供給のオンオフを制御してもよい。
【0035】
セキュリティシステム54は、セキュリティサービスを提供する事業者によって提供されるシステムである。セキュリティシステム54は、空間60において侵入者(空間60にいるはずの無い人)がいると判定した場合に、セキュリティサービスを提供する事業者(より詳細には、当該事業者に所属するオペレータなど)、及び、施設の管理者等に通知を行うシステムである。セキュリティシステム54は、侵入者がいると判定した場合に、空間60に設けられた警報機を制御することにより、空間60において警報を発してもよいし、空間60に設けられた扉をロックしてもよい。
【0036】
通信システム55は、施設に設けられた機器の制御を仲介するシステムであり、言い換えれば、機器を制御するための情報を中継するシステムである。通信システム55は、例えば、音声認識システムであり、空間60における人の音声を機器の制御コマンドに変換して、機器制御システム(照明システム51または空調システム52など)へ提供する。
【0037】
安全管理システム56は、安全管理サービスを提供する事業者によって提供されるシステムである。安全管理システム56は、空間60において不安全者(空間60の危険なエリアに居る人)がいると判定した場合に、安全管理サービスを提供する事業者(より詳細には、当該事業者に所属するオペレータなど)、及び、施設の管理者等に通知を行うシステムである。安全管理システム56は、不安全者がいると判定した場合に、空間60に設けられた警報機を制御することにより、空間60において警報を発してもよいし、空間60に設置された機器または移動体を停止させてもよい。
【0038】
広告配信システム57は、マーケティングサービスを提供する事業者によって提供されるシステムである。広告配信システム57は、空間60において買物客(空間60の特定商業エリアに居る人)がいると判定した場合に、買物客に広告の配信を行うシステムである。広告配信システム57は、買物客がいると判定した場合に、買物客が持つ携帯型の情報端末(スマートフォンなど)に広告を配信してもよいし、空間60に設けられたデジタルサイネージ装置などの表示装置に広告などを表示させてもよい。
【0039】
[所在情報の出力動作]
情報提供システム10は、空間60に含まれる1つ以上のエリアのそれぞれにおける人の所在に関する所在情報を生成し、生成した所在情報を他のシステムに出力(提供)することができる。以下、情報提供システム10の所在情報の出力動作について説明する。
【0040】
まず、空間60に含まれる1つ以上のエリアについて説明する。サーバシステム40の記憶部43には、1つ以上のエリアの定義を示すエリア設定情報が記憶されている。エリア設定情報は、空間60に含まれる1つ以上のエリアの数、並びに、各エリアの位置、大きさ、及び、形状を示す情報である。
【0041】
1つ以上のエリアの定義(空間60をどのように1つ以上のエリアに区分するか)は、施設の管理者等によって、任意に変更することができる。管理者等が情報端末50へ設定変更操作を行うと、変更要求が情報端末50からサーバシステム40へ送信される。サーバシステム40の設定部47は、通信部41によって受信された変更要求に基づいて、エリア設定情報が示す1つ以上のエリアの定義を変更する。
図3は、エリアの定義の変更の一例を示す図である。
【0042】
図3に示されるように、管理者等は、例えば、空間60をエリアA1、エリアA2、及び、エリアA3の3つに区分するか、エリアA1及びエリアA4の2つに区分するか等を自由に変更することができる。なお、管理者等は、円形や楕円形のエリア(曲線で規定されるエリア)を設定することも可能である。また、管理者等は、空間60の一部のみに1つ以上のエリアを設定する(つまり、空間60の中にエリアが設定されない場所が含まれる)ことも可能である。
【0043】
このように、空間60におけるエリアの定義が定められていることを前提として、情報提供システム10は、
図4のフローチャートにしたがって、所在情報を生成し、生成した所在情報を出力する。
図4は、所在情報の出力動作のフローチャートである。
【0044】
上述のように、サーバシステム40の情報処理部42は、複数の第一通信装置20それぞれの空間60における位置を示す位置情報を記憶部43に記憶している。第一取得部44は、記憶部43から複数の第一通信装置20それぞれの位置情報を取得する(S11)。また、第二取得部45は、記憶部43からエリア設定情報を取得する(S12)。ステップS11において取得される位置情報、及び、ステップS12において取得されるエリア設定情報は、最新の(直近の)情報である。
【0045】
出力部46は、取得された位置情報、及び、取得されたエリア設定情報に基づいて所在情報を生成する(S13)。出力部46は、位置情報が示す第一通信装置20の位置を、第一通信装置20を所持する人の位置とみなし、エリア設定情報が示す各エリアにどのような人がどのような状態で位置しているかを集計する。
図5は、所在情報の一例を示す図である。
【0046】
図5に示されるように、所在情報には、1つ以上のエリアそれぞれにおける人の数を示す情報が含まれる。人の数を示す情報は、1つ以上のエリアそれぞれにおける人の有無を示す情報でもある。人の数を示す情報は、集計された人の数そのものを示してもよいし、例えば、0~1人を1人、2~5人を5人、6~10人を10人というように、概略の人の数(集計された数を切り捨てまたは切り上げした数。以下同様)を示してもよい。
【0047】
また、所在情報には、1つ以上のエリアそれぞれに位置する人の属性情報が含まれる。上述のように、複数の第一通信装置20は、複数の第一通信装置20それぞれの第一識別情報によって区別される。ここで、情報提供システム10のユーザ登録(初期設定)などの際に、第一識別情報と第一通信装置20の属性情報とが対応付けられた登録情報が記憶部43に記憶されていれば、出力部46は、第一識別情報と登録情報とを照合することにより、第一通信装置20を所持している人の属性情報を特定し、特定した人の属性情報を所在情報に含めることができる。
【0048】
なお、属性情報は、具体的には、年齢及び性別であるが、これ以外の情報を含んでいてもよい。例えば、属性情報として温冷感の申告値または好みの設定温度が含まれれば、空調システム52は、温冷感の申告値または好みの設定温度を、空気調和機の設定温度の決定に利用することができる。温冷感の申告値とは、人が暑がりである、または、寒がりであることの程度を示す値を意味する。なお、属性情報に含まれる年齢は、正確な年齢である必要はなく、40代というように概略の年齢を示してもよい。
【0049】
所在情報には、1つ以上のエリアそれぞれに位置する人の移動速度を示す情報が含まれる。出力部46は、位置情報の履歴を参照し、位置情報が示す位置の時間変位に基づいて、人(第一通信装置20)の移動速度を特定し、特定した人の移動速度を所在情報に含めることができる。人の移動速度を示す情報は、特定された移動速度そのものを示してもよいし、概略の移動速度を示してもよい。
【0050】
なお、出力部46は、移動速度に代えて、または、移動速度に加えて、人の加速度を示す情報を所在情報に含めてもよい。出力部46は、移動速度の時間変位に基づいて、人(第一通信装置20)の加速度を特定し、特定した人の加速度を所在情報に含めることができる。サーバシステム40が、第一通信装置20が備える加速度センサによって計測された加速度を第一通信装置20から取得できる場合には、所在情報には、加速度センサによって計測された加速度を示す情報が含まれてもよい。加速度を示す情報は、特定された加速度そのものを示してもよいし、概略の加速度を示してもよい。
【0051】
所在情報には、1つ以上のエリアそれぞれに位置する人の滞在回数を示す情報が含まれる。ここでの滞在回数は、所在情報が生成される当日の滞在回数であるが、1週間または1ヶ月などの所定期間における滞在回数であってもよい。出力部46は、例えば、位置情報の履歴を参照し、人(第一通信装置20)がそのエリア外からエリア内へ移動した場合に滞在回数をカウントアップ(+1回)することで、当該人の当該エリアにおける滞在回数を管理することができる。滞在回数を示す情報は、カウントされた滞在回数そのものを示してもよいし、概略の滞在回数を示してもよい。
【0052】
所在情報には、滞在時間を示す情報が含まれる。ここでの滞在時間は、例えば、直近の1回の滞在における滞在時間であるが、所在情報が生成される当日の累計の滞在時間であってもよいし、1週間または1ヶ月などの所定期間における累計の滞在時間であってもよい。出力部46は、位置情報の履歴を参照することで、滞在時間を算出することができる。滞在時間を示す情報は、算出された滞在時間そのものを示してもよいし、概略の滞在時間を示してもよい。
【0053】
なお、
図5の所在情報は一例であり、所在情報は、
図5に示される複数の情報の少なくとも1つを含んでいればよい。また、所在情報の内容は、所在情報の出力先(出力先が照明システム51であるか空調システム52であるかなど)に応じて異なってもよい。例えば、所在情報の内容を、当該所在情報を取得する他のシステムを使用する事業者が任意に設定できる構成であってもよい。
【0054】
また、所在情報の内容は、所在情報が出力される時期に応じて異なってもよい。例えば、所在情報の内容は、1日のうち時間帯に応じて、例えば、昼間と夜間とで異なってもよい。また、所在情報の内容は、曜日ごとに異なってもよいし、季節ごとに異なってもよい。この場合も、時期に応じた所在情報の内容を、当該所在情報を取得する他のシステムを使用する事業者が任意に設定できる構成であってもよい。
【0055】
次に、出力部46は、生成した所在情報を出力する(S14)。出力部46は、通信部41を用いて、照明システム51、空調システム52、電源システム53、セキュリティシステム54、及び、通信システム55の少なくとも1つに所在情報を出力する。
【0056】
これにより、照明システム51、空調システム52、電源システム53、セキュリティシステム54、及び、通信システム55の少なくとも1つ(他のシステム)は、所在情報を受信し、受信した所在情報に基づいて、機器の制御を行うことができる。つまり、所在情報は、他のシステムが実行する制御のトリガ情報として使用される。
【0057】
例えば、照明システム51は、所在情報に基づいて、人の数が多いエリアほど明るく照明する(人がいないエリアは消灯する)といった制御を行うことができる。同様に、空調システム52は、所在情報に基づいて、人の数が多いエリアほど冷房または暖房の設定温度を低くする、といった制御を行うことができる。
【0058】
また、電源システム53は、空間60のうち人がいないエリアにおける電力供給をオフする、といった制御を行うことができる。セキュリティシステム54は、所在情報に基づいて侵入者の有無を判定し、侵入者の有無に応じた制御(通知、発報、及び、扉のロックなどの少なくとも1つ)を行うことができる。
【0059】
通信システム55(音声認識システム)は、空間60のうち人がいないエリアにおいては音声らしきものが取得されても制御コマンドを出力しない、といった制御を行うことで、機器の誤作動を抑制することができる。
【0060】
なお、所在情報は、コマンド情報とは異なり、他のシステムへ機器の制御を指令するような情報ではなく、所在情報を使用してどのような制御を行うかについては、他のシステム側で決定される。しかしながら、所在情報は、コマンド情報のように他のシステムへ機器の制御を指令するような情報であってもよい。
【0061】
所在情報が、他のシステムへ機器の制御を指令する情報である場合、制御の内容は、所在情報に含めることができる各種情報(人の数を示す情報など)によって定められる。例えば、集計された人の数が0~1人である場合には、機器のオンを指令する所在情報を出力し、集計された人の数が2~5人である場合には、機器のオフを指令する所在情報を出力し、集計された人の数が6~10人である場合には、現在の状態の維持を指令する所在情報を出力する、というように、人の数に応じて制御の内容が定められる。
【0062】
以上説明したように、情報提供システム10は、施設内の空間60に位置する人が所持する第一通信装置20と空間60に設置された複数の第二通信装置30との無線通信の通信状態に基づいて計測された第一通信装置20の位置を示す位置情報を取得する第一取得部44と、空間60に含まれる1つ以上のエリアの定義を示すエリア設定情報を取得する第二取得部45と、取得された位置情報、及び、取得されたエリア設定情報に基づいて、1つ以上のエリアそれぞれにおける人の所在に関する所在情報を出力する出力部46とを備える。
【0063】
このような情報提供システム10は、空間60に複数の人感センサ(例として、人の体から発せられる赤外線を感知するセンサ)を設置するようなシステムに比べて、人の位置を高い精度で検出することができる。また、このような人感センサを用いたシステムでは、エリアごとに人の所在を把握したいような場合に、エリアの定義(間取り)の変更と合わせて人感センサの設置位置を見直す必要がある。これに対し、情報提供システム10においては、エリア設定情報によるエリアの定義の変更が行われれば、第二通信装置30の設置位置の変更は(原則として)不要であるという利点がある。
【0064】
[所在情報の出力タイミング]
次に、所在情報の出力タイミングについて説明する。サーバシステム40(出力部46)は、例えは、1時間に1回、というように、定期的に(所定の時間間隔で)所在情報を出力する。また、出力部46は、例えは、他のシステムからの求めに応じて所在情報を出力してもよく、例えば、通信部41によって他のシステムからの所在情報の要求が受信されたことを契機に、当該他のシステムへ所在情報を出力してもよい。
【0065】
また、出力部46は、空間60において人の存否に関する所定の要件が満たされたか否かを判定し、所定の要件が満たされたことを契機に所在情報を出力してもよい。所定の要件は、人の数、人の属性情報、人の移動速度、人の加速度、人の滞在回数、及び、人の滞在時間の少なくとも1つに関連する要件(つまり、空間60における人の存否に関連する要件)である。
【0066】
所定の要件は、具体的には、1以上のエリアの中に人が不在の(誰もいない)エリアが発生したという要件、または、1以上のエリアの中に人が所定数以上のエリアが発生した(つまり、混雑しているエリアが発生した)という要件である。所定の要件は、1以上のエリアのうち特定エリアに特定の属性情報を有する人が入った、というような要件であってもよい。
【0067】
所定の要件は、時期によらずに同一の要件であってもよいし、時期に応じて異なってもよい。例えば、所定の要件は、1日のうち時間帯に応じて、例えば、昼間と夜間とで異なってもよい。また、所定の要件は、曜日ごとに異なってもよいし、季節ごとに異なってもよい。
【0068】
所定の要件は、所在情報の出力先によらずに同一の要件であってもよいし、所在情報の出力先ごとに異なってもよい。
【0069】
このような所定の要件は、例えば、情報提供システム10の設計者等によってあらかじめ定められるが、他のシステムを使用する事業者により、情報端末50を通じて任意に設定可能であってもよい。具体的には、照明システム51には、要件Aが満たされたときに所在情報が出力され、空調システム52には、要件Aと異なる要件Bが満たされたときに所在情報が出力される、といったように、所在情報の出力先に応じて所定の要件を変更することが考えられる。
【0070】
なお、このように、所定の要件が満たされたことを契機に出力部46が所在情報を出力する場合、空間60における人の存否に関する具体的な内容(
図5)が所在情報に含まれる必要はない。例えば、所定の要件が1以上のエリアのうちエリアAにおいて人が不在となったこと、というような要件である場合に、所在情報においてエリアAに含まれる人数が規定されている必要はなく、所在情報は、単に所定の要件が満たされたことを示す情報(実体的な内容を含まない情報)であってもよい。
【0071】
[見守り動作]
空間60が住宅内の空間であり、第一通信装置20が見守りの対象となる人(高齢者または子供など)によって保持されている場合、情報提供システム10は、見守り動作を行うことができる。
図6は、見守り動作のフローチャートである。
【0072】
サーバシステム40の情報処理部42は、第一通信装置20の空間60における位置を示す位置情報を、所定の時間間隔で記憶部43に記憶している。第一取得部44は、記憶部43から第一通信装置20の最新の位置情報を取得する(S21)。また、第二取得部45は、記憶部43からエリア設定情報を取得する(S22)。
【0073】
出力部46は、取得された最新の位置情報と、記憶部43に記憶されている位置情報の履歴(より詳細には、位置情報の履歴によって定まる判定基準)に基づいて、空間60における人の所在に異常が有るか否かを判定する(S23)。例えば、出力部46は、空間60における特定エリア(例えば、エリア設定情報において規定される1つのエリア)における直近の1日における滞在回数が、それまでの1日当たりの平均滞在回数よりも明らかに多いときに、人の所在に異常があると判定する。出力部46は、例えば、直近の1日における滞在回数が、平均滞在回数+所定回数以上である場合、または、平均滞在回数の所定倍数以上などである場合に、異常があると判定することができる。
【0074】
なお、出力部46は、空間60の特定エリア(例えば、エリア設定情報において規定されるエリア)における直近の1日における滞在回数が、それまでの1日当たりの平均滞在回数よりも明らかに少ないときに、人の所在に異常があると判定してもよい。
【0075】
出力部46は、空間60における人の所在に異常が有ると判定すると(S23でYes)、異常通知情報(異常を通知するための情報)を出力する(S24)。出力された異常通知情報は、通信部41により、あらかじめ登録された通知先(見守り対象の人の家族の携帯端末など)へ送信される。また、セキュリティシステム54が見守りサービスを提供する事業者によって使用されるシステムである場合、異常通知情報は、セキュリティシステム54へ送信されてもよい。一方、出力部46は、空間60における人の所在に異常が無いと判定すると(S23でNo)、異常通知情報の出力を行わない。
【0076】
なお、滞在回数に基づいて異常の有無が判定されることは必須ではない。例えば、空間60に含まれる複数のエリアをどのように移動したかを意味する移動順序に基づいて、異常の有無が判定されてもよい。出力部46は、直近の移動順序が、位置情報の履歴によって定まる標準的な移動順序と異なる場合、空間60における人の所在に異常が有ると判定することができる。
【0077】
また、異常の有無の判定は、人の位置(第一通信装置20の位置)が長時間動かない(あるいは、ほとんど動かない)ことに基づいて判定されてもよい。つまり、出力部46は、人の20の位置が長時間動かない(あるいは、ほとんど動かない)ときに異常が有ると判定してもよい。
【0078】
以上説明したように、情報提供システム10は、見守り動作を行うことができる。
【0079】
[健康管理動作]
また、情報提供システム10は、健康管理動作を行うことができる。サーバシステム40の出力部46は、第一取得部44によって取得された位置情報が示す位置の経時変化に基づいて、人の移動距離を計測し、記憶部43に記憶することができる。つまり、情報提供システム10は、人の移動距離を管理することができる。
【0080】
また、出力部46は、第一取得部44によって取得された位置情報に基づいて、特定のエリアにおける人の滞在時間を特定することができる、出力部46は、寝室(特定のエリアの一例)における人の滞在時間を人の睡眠時間とみなし、睡眠時間を記憶部43に記憶することができる。つまり、情報提供システム10は、人の睡眠時間を管理することができる。
【0081】
[情報提供システムの利用]
ところで、情報提供システム10を使用(運営)する第一事業者と、他のシステムを使用(運営)する第二事業者とは、互いに異なる事業者であることを想定している。ここで、第一事業者は、第二事業者へ情報取得手段(第二事業者が第一事業者から情報提供を受けるための手段)を提供する。情報取得手段は、例えば、API(Application Programming Interface)またはWebhookなどである。また、第一事業者は、第二事業者にSDKを提供することで、他のシステムは、情報提供システム10から所在情報の受信、処理を行うシステムを簡易に構築することができるつまり、第一事業者は、情報提供システム10を比較的オープンなシステムとすることができる。
【0082】
また、第一事業者は、エリア設定、所在情報の内容、及び、所在情報の出力タイミングなどを設定するための設定用プログラムを開発するためのSDKを第二事業者へ提供してもよい。第二事業者は、このようなSDKを用いて、設定用のプログラムを作成し、情報端末50へインストールすることで、情報端末50は、(SDKによって規定された)所定の形式の設定要求等を情報提供システム10へ送信することができる。つまり、第二事業者は、SDKの提供により、所在情報に関する設定変更を容易に行うことができる。
【0083】
[システム構成の変形例]
情報提供システム10(第一通信装置20)は、複数の第二通信装置30のそれぞれが送信するビーコン信号の第一通信装置20における受信信号強度に基づいて、第一通信装置20の位置を計測した。しかしながら、情報提供システム10は、第一通信装置20が送信するビーコン信号の、複数の第二通信装置30のそれぞれにおける受信信号強度に基づいて第一通信装置の位置を計測してもよい。以下、このような変形例に係る情報提供システム10の機能構成について説明する。
図7は、変形例に係る情報提供システムの機能構成を示すブロック図である。
図8は、変形例に係る情報提供システムが適用される空間60を示す図である。
【0084】
図7及び
図8に示されるように、情報提供システム10aは、複数の第一通信装置20aと、複数の第二通信装置30aと、サーバシステム40aと、情報端末50とを備える。なお、情報提供システム10aは、少なくとも1つの第一通信装置20aを備えればよい。
図7には、情報提供システム10a以外の他のシステムとして、照明システム51、空調システム52、電源システム53、セキュリティシステム54、及び、通信システム55等の他のシステムも図示されている。情報提供システム10aは、他のシステムをさらに備えてもよい。
【0085】
第一通信装置20aは、ビーコン信号を送信するビーコン送信機である。第一通信装置20aは、例えば、ビーコン送信機として動作することが可能な携帯型の情報端末(スマートフォンなど)であるが、ビーコンタグなどの専用のビーコン送信機であってもよい。
図8に示されるように、第一通信装置20aは、空間60に位置する人に保持される。ビーコン信号には、第一通信装置20aの第一識別情報が含まれる。
【0086】
第二通信装置30aは、第一通信装置20aによって送信されるビーコン信号を受信するビーコン受信機(スキャナ)である。また、第二通信装置30aは、受信したビーコン信号の受信信号強度(RSSI)を計測し、計測した受信信号強度に、ビーコン信号に含まれる第一識別情報、及び、第二通信装置30a自体の第二識別情報を対応付けた信号強度情報をサーバシステム40aへ送信する。
【0087】
図8に示されるように、第二通信装置30aは、例えば、空間60の天井に設置された照明装置31が有する給電端子に着脱自在に接続され、照明装置31から給電を受けて動作する。給電端子は、例えば、USB端子である。第二通信装置30aは、照明装置31以外の機器に備えられていてもよいし、機器を介さずに空間60の天井に直接固定されていてもよい。また、第二通信装置30aは、壁などに固定されていてもよい。なお、
図8に示されるように、複数の第二通信装置30aは、上方から見て二次元的に分散配置されている。複数の第二通信装置30aの配置(設置位置)は、配置情報としてあらかじめ記憶部43aに記憶されている。
【0088】
サーバシステム40aは、複数の第二通信装置30aに対応する複数の信号強度情報を複数の第二通信装置30aから取得し、取得した複数の信号強度情報に基づいて、空間60に位置する第一通信装置20aの位置を計測する。サーバシステム40aは、1つまたは複数のサーバ装置によって実現され、以下で説明されるサーバシステム40aの構成要素は、1つまたは複数のサーバ装置にどのように振り分けられてもよい。1つまたは複数のサーバ装置のそれぞれは、例えば、施設外に設けられたクラウドコンピュータであるが、施設内に設けられたエッジコンピュータであってもよい。サーバシステム40aは、通信部41aと、情報処理部42aと、記憶部43aとを備える。
【0089】
通信部41aは、サーバシステム40aが、複数の第二通信装置30aと通信するための通信モジュール(通信回路)である。通信部41aは、例えば、複数の第二通信装置30aのそれぞれから、複数の第二通信装置30aに対応する複数の信号強度情報を受信する。通信部41aによって行われる通信は、無線通信であってもよいし、有線通信であってもよい。通信に用いられる通信規格についても特に限定されない。
【0090】
情報処理部42aは、複数の第一通信装置20aそれぞれの空間60における位置を計測し、計測した位置を記憶部43aに記憶する。例えば、情報処理部42aは、複数の第二通信装置30aによって送信された、複数の第二通信装置30aに対応する複数の信号強度情報と、空間60における複数の第二通信装置30aの配置(設置位置)を示す配置情報とに基づいて、第一通信装置20aの位置を計測し、計測した位置に第一通信装置20aの第一識別情報を対応付けた位置情報を記憶部43aに記憶する。複数の第一通信装置20aのそれぞれの位置情報は、例えば、数秒~1時間程度の所定の時間間隔で計測及び記憶される。なお、複数の信号強度情報及び配置情報に基づいて位置を計測する方法については、既存のどのようなアルゴリズムが用いられてもよい。アルゴリズムは、例えば、3点測位などである。
【0091】
情報処理部42aは、具体的には、プロセッサまたはマイクロコンピュータによって実現される。情報処理部42aは、機能的な構成要素として、第一取得部44、第二取得部45、出力部46、及び、設定部47を備える。第一取得部44、第二取得部45、出力部46、及び、設定部47の機能は、情報処理部42aを構成するプロセッサまたはマイクロコンピュータ(ハードウェア)が記憶部43aに記憶されたコンピュータプログラム(ソフトウェア)を実行することによって実現される。第一取得部44、第二取得部45、出力部46、及び、設定部47の機能の詳細については上述の通りである。
【0092】
記憶部43aは、通信部41aによって受信された信号強度情報、複数の第二通信装置30aの配置を示す配置情報、及び、情報処理部42aが実行するコンピュータプログラムなどが記憶される記憶装置である。また、記憶部43aには、情報処理部42aによって計測された複数の第一通信装置20aそれぞれの位置情報も記憶されている。記憶部43aは、具体的には、半導体メモリまたはHDDなどによって実現される。
【0093】
このように情報提供システム10aは、複数の第二通信装置30aのそれぞれが送信するビーコン信号の第一通信装置20aにおける受信信号強度に基づいて、第一通信装置20aの位置を計測することができる。上記実施の形態における情報提供システム10は、適宜、情報提供システム10aに読み替えられてもよい。
【0094】
[効果等]
以下、本明細書の開示内容から得られる発明を例示し、当該発明から得られる効果等について説明する。
【0095】
発明1は、施設内の空間60に位置する人が所持する第一通信装置20と空間60に設置された複数の第二通信装置30との無線通信の通信状態に基づいて計測された第一通信装置20の位置を示す位置情報を取得する第一取得部44と、空間60に含まれる1つ以上のエリアの定義を示すエリア設定情報を取得する第二取得部45と、取得された位置情報、及び、取得されたエリア設定情報に基づいて、1つ以上のエリアそれぞれにおける人の所在に関する所在情報を出力する出力部46とを備える、情報提供システム10である。
【0096】
このような情報提供システム10は、空間60における人の所在に関する情報を出力することができる。
【0097】
発明2は、複数の第二通信装置30のそれぞれは、空間60に設置された照明装置31に備えられている、発明1の情報提供システム10である。
【0098】
このような情報提供システム10は、照明装置31を利用して計測された第一通信装置20の位置を示す位置情報を取得することができる。
【0099】
発明3は、第一通信装置20の位置は、複数の第二通信装置30のそれぞれが無線送信する信号の第一通信装置20における受信状態に基づいて計測される、発明1または2の情報提供システム10である。
【0100】
このような情報提供システム10は、複数の第二通信装置30のそれぞれが無線送信する信号の第一通信装置20における受信状態に基づいて計測された第一通信装置20の位置を示す位置情報を取得することができる。
【0101】
発明4は、第一通信装置20の位置は、第一通信装置20が無線送信する信号の複数の第二通信装置30のそれぞれにおける受信状態に基づいて計測される、発明1または2の情報提供システム10である。発明4は、言い換えれば、情報提供システム10aに相当するシステムである。
【0102】
このような情報提供システム10は、第一通信装置20が無線送信する信号の複数の第二通信装置30のそれぞれにおける受信状態に基づいて計測された第一通信装置20の位置を示す位置情報を取得することができる。
【0103】
発明5は、さらに、エリア設定情報が示す1つ以上のエリアの定義を変更する設定部47を備える、発明1~4のいずれかの情報提供システム10である。
【0104】
このような情報提供システム10は、空間60に含まれる1つ以上のエリアの定義を変更することができる。
【0105】
発明6は、所在情報は、1つ以上のエリアそれぞれにおける人の数を示す情報を含む、発明1~5のいずれかの情報提供システム10である。
【0106】
このような情報提供システム10は、空間60における人の数を示す情報を出力することができる。
【0107】
発明7は、所在情報は、1つ以上のエリアそれぞれに位置する人の属性情報を含む、発明1~6のいずれかの情報提供システム10である。
【0108】
このような情報提供システム10は、空間60に位置する人の属性情報を出力することができる。
【0109】
発明8は、所在情報は、1つ以上のエリアそれぞれに位置する人の移動速度または加速度を示す情報を含む、発明1~7のいずれかの情報提供システム10である。
【0110】
このような情報提供システム10は、空間60における人の移動速度または加速度を示す情報を出力することができる。
【0111】
発明9は、所在情報は、1つ以上のエリアそれぞれに位置する人の滞在回数または滞在時間を示す情報を含む、発明1~8のいずれかの情報提供システム10である。
【0112】
このような情報提供システム10は、空間60に含まれる1つ以上のエリアそれぞれに位置する人の滞在回数または滞在時間を示す情報を出力することができる。
【0113】
発明10は、出力部46は、所定の要件が満たされた場合に、所在情報を出力する、発明1~9のいずれかの情報提供システム10である。
【0114】
このような情報提供システム10は、所定の要件にしたがって、空間60における人の所在に関する情報を出力することができる。
【0115】
発明11は、所定の要件は、時期に応じて異なる、発明10の情報提供システム10である。
【0116】
このような情報提供システム10は、時期に応じて異なる要件にしたがって、空間60における人の所在に関する情報を出力することができる。
【0117】
発明12は、出力部46は、取得された現在の位置情報と、位置情報の履歴とに基づいて、空間60における人の所在に異常があると判定した場合に、異常通知情報を出力する、発明1~11のいずれかの情報提供システム10である。
【0118】
このような情報提供システム10は、空間60における人の所在に異常があることを通知することができる。
【0119】
発明13は、出力部46は、照明システム51、空調システム52、電源システム53、セキュリティシステム54、通信システム55、安全管理システム56、及び、広告配信システム57の少なくとも1つに所在情報を出力する、発明1~12のいずれかの情報提供システム10である。
【0120】
このような情報提供システム10は、空間60における人の所在に関する情報を、照明システム51、空調システム52、電源システム53、セキュリティシステム54、通信システム55、安全管理システム56、及び、広告配信システム57の少なくとも1つのシステムへ出力することができる。
【0121】
発明14は、情報提供システム10などのコンピュータによって実行される情報提供方法である。情報提供方法は、施設内の空間60に位置する人が所持する第一通信装置20と空間60に設置された複数の第二通信装置30との無線通信の通信状態に基づいて計測された第一通信装置20の位置を示す位置情報を取得する第一取得ステップと、空間60に含まれる1つ以上のエリアの定義を示すエリア設定情報を取得する第二取得ステップと、取得された位置情報、及び、取得されたエリア設定情報に基づいて、1つ以上のエリアそれぞれにおける人の所在に関する所在情報を出力する出力ステップとを含む。
【0122】
このような情報提供方法は、空間60における人の所在に関する情報を出力することができる。
【0123】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態に係る情報提供システム、及び、情報提供方法について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0124】
また、上記実施の形態では、情報提供システムは、複数の装置によって実現された。この場合、情報提供システムが備える各構成要素は、複数の装置にどのように振り分けられてもよい。例えば、人の位置を計測する機能と所在情報を提供する機能とが互いに異なるサーバ装置に備えられてもよい。
【0125】
また、情報提供システムは、単一の装置として実現されてもよい。例えば、情報提供システムは、サーバシステムに含まれるサーバ装置に相当する単一の装置として実現されてもよい。
【0126】
また、上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよいし、複数の処理が並行して実行されてもよい。
【0127】
また、上記実施の形態において、各構成要素は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0128】
また、各構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。例えば、各構成要素は、回路(または集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0129】
また、本発明の全般的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0130】
例えば、本発明は、情報提供システムなどのコンピュータによって実行される情報提供方法として実現されてもよい。また、本発明は、情報提供方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよいし、このようなプログラムが記憶された、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。
【0131】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0132】
10、10a 情報提供システム
20、20a 第一通信装置
30、30a 第二通信装置
31 照明装置
44 第一取得部
45 第二取得部
46 出力部
47 設定部
51 照明システム
52 空調システム
53 電源システム
54 セキュリティシステム
55 通信システム
56 安全管理システム
57 広告配信システム
60 空間