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特開2024-175089端末装置、セカンダリ基地局および通信システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175089
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】端末装置、セカンダリ基地局および通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04W 24/04 20090101AFI20241210BHJP
   H04W 16/32 20090101ALI20241210BHJP
   H04W 72/0457 20230101ALI20241210BHJP
【FI】
H04W24/04
H04W16/32
H04W72/0457 110
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024161615
(22)【出願日】2024-09-19
(62)【分割の表示】P 2021561373の分割
【原出願日】2020-11-20
(31)【優先権主張番号】P 2019213179
(32)【優先日】2019-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.3GPP
2.WCDMA
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】下田 忠宏
(72)【発明者】
【氏名】望月 満
(57)【要約】
【課題】信頼性の確保およびTSCの維持を可能とする技術を提供する。
【解決手段】端末装置と無線通信する複数の基地局装置であって、マスタセルグループ(Master Cell Group、MCG)を構成するマスタ基地局と、セカンダリセルグループ(Secondary Cell Group、SCG)を構成するセカンダリ基地局とを含む複数の基地局装置とを備える通信システムにおいて、端末装置は、マスタ基地局及びセカンダリ基地局に接続するデュアルコネクティビティを実行するように構成され、端末装置は、MCG故障が発生した場合において、SCGを介してセカンダリ基地局と通信を行うように構成される。
【選択図】図26
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置、
前記端末装置と無線通信する複数の基地局装置であって、マスタセルグループ(Master Cell Group、MCG)を構成するマスタ基地局と、セカンダリセルグループ(Secondary Cell Group、SCG)を構成するセカンダリ基地局とを含む複数の基地局装置
を備える通信システムにおける前記端末装置であって、
前記端末装置は、前記マスタ基地局及び前記セカンダリ基地局に接続するデュアルコネクティビティを実行するように構成され、
前記端末装置は、MCG故障が発生した場合において、前記SCGを介して前記セカンダリ基地局と通信を行うように構成される、
端末装置。
【請求項2】
前記端末装置は、前記MCG故障が発生した場合において、前記MCG故障に関する情報を含むRRC(Radio Resource Control)シグナリングを前記セカンダリ基地局に送信するように構成される、
請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記端末装置は、SRB3(Signal Radio Bearer 3)を用いて、前記RRCシグナリングを前記セカンダリ基地局に送信するように構成される、
請求項2に記載の端末装置。
【請求項4】
前記端末装置は、前記MCG故障が発生した場合において、RRC接続状態を維持しながら、前記RRCシグナリングを前記セカンダリ基地局に送信するように構成される、
請求項2に記載の端末装置。
【請求項5】
前記MCG故障に関する前記情報は、前記セカンダリ基地局から前記マスタ基地局に送信される、
請求項2に記載の端末装置。
【請求項6】
前記端末装置は、前記MCG故障に関する前記情報の受信に応じて前記マスタ基地局から送信された、前記MCG故障から復旧するためのシグナリングを受信するように構成される、
請求項5に記載の端末装置。
【請求項7】
前記端末装置は、前記MCG故障が発生した後において、前記マスタ基地局と異なるマスタ基地局に接続するように構成される、
請求項1に記載の端末装置。
【請求項8】
端末装置、
前記端末装置と無線通信する複数の基地局装置であって、
マスタセルグループ(Master Cell Group、MCG)を構成するマスタ基地局と、
セカンダリセルグループ(Secondary Cell Group、SCG)を構成するセカンダリ基地局とを含む複数の基地局装置
を備える通信システムにおける前記セカンダリ基地局であって、
前記マスタ基地局及び前記セカンダリ基地局は、前記端末装置のためのデュアルコネクティビティをサポートするように構成され、
前記端末装置においてMCG故障が発生した場合において、前記セカンダリ基地局は、前記SCGを介して前記端末装置と通信を行うように構成される、
セカンダリ基地局。
【請求項9】
端末装置、
前記端末装置と無線通信する複数の基地局装置であって、マスタセルグループ(Master Cell Group、MCG)を構成するマスタ基地局と、セカンダリセルグループ(Secondary Cell Group、SCG)を構成するセカンダリ基地局とを含む複数の基地局装置
を備える通信システムであって、
前記端末装置は、前記マスタ基地局及び前記セカンダリ基地局に接続するデュアルコネクティビティを実行するように構成され、
前記端末装置は、MCG故障が発生した場合において、前記SCGを介して前記セカンダリ基地局と通信を行うように構成される、
通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信技術に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体通信システムの規格化団体である3GPP(3rd Generation Partnership Project)において、無線区間についてはロングタームエボリューション(Long Term Evolution:LTE)と称し、コアネットワークおよび無線アクセスネットワーク(以下、まとめて、ネットワークとも称する)を含めたシステム全体構成については、システムアーキテクチャエボリューション(System Architecture Evolution:SAE)と称される通信方式が検討されている(例えば、非特許文献1~5)。この通信方式は3.9G(3.9 Generation)システムとも呼ばれる。
【0003】
LTEのアクセス方式としては、下り方向はOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)、上り方向はSC-FDMA(Single Carrier Frequency Division Multiple Access)が用いられる。また、LTEは、W-CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)とは異なり、回線交換を含まず、パケット通信方式のみになる。
【0004】
非特許文献1(5章)に記載される、3GPPでの、LTEシステムにおけるフレーム構成に関する決定事項について、図1を用いて説明する。図1は、LTE方式の通信システムで使用される無線フレームの構成を示す説明図である。図1において、1つの無線フレーム(Radio frame)は10msである。無線フレームは10個の等しい大きさのサブフレーム(Subframe)に分割される。サブフレームは、2個の等しい大きさのスロット(slot)に分割される。無線フレーム毎に1番目および6番目のサブフレームに下り同期信号(Downlink Synchronization Signal)が含まれる。同期信号には、第一同期信号(Primary Synchronization Signal:P-SS)と、第二同期信号(Secondary Synchronization Signal:S-SS)とがある。
【0005】
3GPPでの、LTEシステムにおけるチャネル構成に関する決定事項が、非特許文献1(5章)に記載されている。CSG(Closed Subscriber Group)セルにおいてもnon-CSGセルと同じチャネル構成が用いられると想定されている。
【0006】
物理報知チャネル(Physical Broadcast Channel:PBCH)は、基地局装置(以下、単に「基地局」という場合がある)から移動端末装置(以下、単に「移動端末」という場合がある)などの通信端末装置(以下、単に「通信端末」という場合がある)への下り送信用のチャネルである。BCHトランスポートブロック(transport block)は、40ms間隔中の4個のサブフレームにマッピングされる。40msタイミングの明白なシグナリングはない。
【0007】
物理制御フォーマットインジケータチャネル(Physical Control Format Indicator Channel:PCFICH)は、基地局から通信端末への下り送信用のチャネルである。PCFICHは、PDCCHsのために用いるOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)シンボルの数を、基地局から通信端末へ通知する。PCFICHは、サブフレーム毎に送信される。
【0008】
物理下り制御チャネル(Physical Downlink Control Channel:PDCCH)は、基地局から通信端末への下り送信用のチャネルである。PDCCHは、後述のトランスポートチャネルの1つである下り共有チャネル(Downlink Shared Channel:DL-SCH)のリソース割り当て(allocation)情報、後述のトランスポートチャネルの1つであるページングチャネル(Paging Channel:PCH)のリソース割り当て(allocation)情報、DL-SCHに関するHARQ(Hybrid Automatic Repeat reQuest)情報を通知する。PDCCHは、上りスケジューリンググラント(Uplink Scheduling Grant)を運ぶ。PDCCHは、上り送信に対する応答信号であるAck(Acknowledgement)/Nack(Negative Acknowledgement)を運ぶ。PDCCHは、L1/L2制御信号とも呼ばれる。
【0009】
物理下り共有チャネル(Physical Downlink Shared Channel:PDSCH)は、基地局から通信端末への下り送信用のチャネルである。PDSCHには、トランスポートチャネルである下り共有チャネル(DL-SCH)、およびトランスポートチャネルであるPCHがマッピングされている。
【0010】
物理マルチキャストチャネル(Physical Multicast Channel:PMCH)は、基地局から通信端末への下り送信用のチャネルである。PMCHには、トランスポートチャネルであるマルチキャストチャネル(Multicast Channel:MCH)がマッピングされている。
【0011】
物理上り制御チャネル(Physical Uplink Control Channel:PUCCH)は、通信端末から基地局への上り送信用のチャネルである。PUCCHは、下り送信に対する応答信号(response signal)であるAck/Nackを運ぶ。PUCCHは、CSI(Channel State Information)を運ぶ。CSIは、RI(Rank Indicator)、PMI(Precoding Matrix Indicator)、CQI(Channel Quality Indicator)レポートで構成される。RIとは、MIMOにおけるチャネル行列のランク情報である。PMIとは、MIMOにて用いるプリコーディングウェイト行列の情報である。CQIとは、受信したデータの品質、もしくは通信路品質を示す品質情報である。またPUCCHは、スケジューリングリクエスト(Scheduling Request:SR)を運ぶ。
【0012】
物理上り共有チャネル(Physical Uplink Shared Channel:PUSCH)は、通信端末から基地局への上り送信用のチャネルである。PUSCHには、トランスポートチャネルの1つである上り共有チャネル(Uplink Shared Channel:UL-SCH)がマッピングされている。
【0013】
物理HARQインジケータチャネル(Physical Hybrid ARQ Indicator Channel:PHICH)は、基地局から通信端末への下り送信用のチャネルである。PHICHは、上り送信に対する応答信号であるAck/Nackを運ぶ。物理ランダムアクセスチャネル(Physical Random Access Channel:PRACH)は、通信端末から基地局への上り送信用のチャネルである。PRACHは、ランダムアクセスプリアンブル(random access preamble)を運ぶ。
【0014】
下り参照信号(リファレンスシグナル(Reference Signal):RS)は、LTE方式の通信システムとして既知のシンボルである。以下の5種類の下りリファレンスシグナルが定義されている。セル固有参照信号(Cell-specific Reference Signal:CRS)、MBSFN参照信号(MBSFN Reference Signal)、UE固有参照信号(UE-specific Reference Signal)であるデータ復調用参照信号(Demodulation Reference Signal:DM-RS)、位置決定参照信号(Positioning Reference Signal:PRS)、チャネル状態情報参照信号(Channel State Information Reference Signal:CSI-RS)。通信端末の物理レイヤの測定として、リファレンスシグナルの受信電力(Reference Signal Received Power:RSRP)測定がある。
【0015】
上り参照信号についても同様に、LTE方式の通信システムとして既知のシンボルである。以下の2種類の上りリファレンスシグナルが定義されている。データ復調用参照信号(Demodulation Reference Signal:DM-RS)、サウンディング用参照信号(Sounding Reference Signal:SRS)である。
【0016】
非特許文献1(5章)に記載されるトランスポートチャネル(Transport channel)について、説明する。下りトランスポートチャネルのうち、報知チャネル(Broadcast Channel:BCH)は、その基地局(セル)のカバレッジ全体に報知される。BCHは、物理報知チャネル(PBCH)にマッピングされる。
【0017】
下り共有チャネル(Downlink Shared Channel:DL-SCH)には、HARQ(Hybrid ARQ)による再送制御が適用される。DL-SCHは、基地局(セル)のカバレッジ全体への報知が可能である。DL-SCHは、ダイナミックあるいは準静的(Semi-static)なリソース割り当てをサポートする。準静的なリソース割り当ては、パーシステントスケジューリング(Persistent Scheduling)ともいわれる。DL-SCHは、通信端末の低消費電力化のために通信端末の間欠受信(Discontinuous reception:DRX)をサポートする。DL-SCHは、物理下り共有チャネル(PDSCH)へマッピングされる。
【0018】
ページングチャネル(Paging Channel:PCH)は、通信端末の低消費電力を可能とするために通信端末のDRXをサポートする。PCHは、基地局(セル)のカバレッジ全体への報知が要求される。PCHは、動的にトラフィックに利用できる物理下り共有チャネル(PDSCH)のような物理リソースへマッピングされる。
【0019】
マルチキャストチャネル(Multicast Channel:MCH)は、基地局(セル)のカバレッジ全体への報知に使用される。MCHは、マルチセル送信におけるMBMS(Multimedia Broadcast Multicast Service)サービス(MTCHとMCCH)のSFN合成をサポートする。MCHは、準静的なリソース割り当てをサポートする。MCHは、PMCHへマッピングされる。
【0020】
上りトランスポートチャネルのうち、上り共有チャネル(Uplink Shared Channel:UL-SCH)には、HARQ(Hybrid ARQ)による再送制御が適用される。UL-SCHは、ダイナミックあるいは準静的(Semi-static)なリソース割り当てをサポートする。UL-SCHは、物理上り共有チャネル(PUSCH)へマッピングされる。
【0021】
ランダムアクセスチャネル(Random Access Channel:RACH)は、制御情報に限られている。RACHは、衝突のリスクがある。RACHは、物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)へマッピングされる。
【0022】
HARQについて説明する。HARQとは、自動再送要求(Automatic Repeat reQuest:ARQ)と誤り訂正(Forward Error Correction)との組合せによって、伝送路の通信品質を向上させる技術である。HARQには、通信品質が変化する伝送路に対しても、再送によって誤り訂正が有効に機能するという利点がある。特に、再送にあたって初送の受信結果と再送の受信結果との合成をすることで、更なる品質向上を得ることも可能である。
【0023】
再送の方法の一例を説明する。受信側にて、受信データが正しくデコードできなかった場合、換言すればCRC(Cyclic Redundancy Check)エラーが発生した場合(CRC=NG)、受信側から送信側へ「Nack」を送信する。「Nack」を受信した送信側は、データを再送する。受信側にて、受信データが正しくデコードできた場合、換言すればCRCエラーが発生しない場合(CRC=OK)、受信側から送信側へ「Ack」を送信する。「Ack」を受信した送信側は次のデータを送信する。
【0024】
非特許文献1(6章)に記載される論理チャネル(ロジカルチャネル:Logical channel)について、説明する。報知制御チャネル(Broadcast Control Channel:BCCH)は、報知システム制御情報のための下りチャネルである。論理チャネルであるBCCHは、トランスポートチャネルである報知チャネル(BCH)、あるいは下り共有チャネル(DL-SCH)へマッピングされる。
【0025】
ページング制御チャネル(Paging Control Channel:PCCH)は、ページング情報(Paging Information)およびシステム情報(System Information)の変更を送信するための下りチャネルである。PCCHは、通信端末のセルロケーションをネットワークが知らない場合に用いられる。論理チャネルであるPCCHは、トランスポートチャネルであるページングチャネル(PCH)へマッピングされる。
【0026】
共有制御チャネル(Common Control Channel:CCCH)は、通信端末と基地局との間の送信制御情報のためのチャネルである。CCCHは、通信端末がネットワークとの間でRRC接続(connection)を有していない場合に用いられる。下り方向では、CCCHは、トランスポートチャネルである下り共有チャネル(DL-SCH)へマッピングされる。上り方向では、CCCHは、トランスポートチャネルである上り共有チャネル(UL-SCH)へマッピングされる。
【0027】
マルチキャスト制御チャネル(Multicast Control Channel:MCCH)は、1対多の送信のための下りチャネルである。MCCHは、ネットワークから通信端末への1つあるいはいくつかのMTCH用のMBMS制御情報の送信のために用いられる。MCCHは、MBMS受信中の通信端末のみに用いられる。MCCHは、トランスポートチャネルであるマルチキャストチャネル(MCH)へマッピングされる。
【0028】
個別制御チャネル(Dedicated Control Channel:DCCH)は、1対1にて、通信端末とネットワークとの間の個別制御情報を送信するチャネルである。DCCHは、通信端末がRRC接続(connection)である場合に用いられる。DCCHは、上りでは上り共有チャネル(UL-SCH)へマッピングされ、下りでは下り共有チャネル(DL-SCH)にマッピングされる。
【0029】
個別トラフィックチャネル(Dedicated Traffic Channel:DTCH)は、ユーザ情報の送信のための個別通信端末への1対1通信のチャネルである。DTCHは、上りおよび下りともに存在する。DTCHは、上りでは上り共有チャネル(UL-SCH)へマッピングされ、下りでは下り共有チャネル(DL-SCH)へマッピングされる。
【0030】
マルチキャストトラフィックチャネル(Multicast Traffic channel:MTCH)は、ネットワークから通信端末へのトラフィックデータ送信のための下りチャネルである。MTCHは、MBMS受信中の通信端末のみに用いられるチャネルである。MTCHは、マルチキャストチャネル(MCH)へマッピングされる。
【0031】
CGIとは、セルグローバル識別子(Cell Global Identifier)のことである。ECGIとは、E-UTRANセルグローバル識別子(E-UTRAN Cell Global Identifier)のことである。LTE、後述のLTE-A(Long Term Evolution Advanced)およびUMTS(Universal Mobile Telecommunication System)において、CSG(Closed Subscriber Group)セルが導入される。
【0032】
通信端末の位置追跡は、1つ以上のセルからなる区域を単位に行われる。位置追跡は、待受け状態であっても通信端末の位置を追跡し、通信端末を呼び出す、換言すれば通信端末が着呼することを可能にするために行われる。この通信端末の位置追跡のための区域をトラッキングエリアと呼ぶ。
【0033】
また3GPPでは、リリース10として、ロングタームエボリューションアドヴァンスド(Long Term Evolution Advanced:LTE-A)の規格策定が進められている(非特許文献3、非特許文献4参照)。LTE-Aは、LTEの無線区間通信方式を基本とし、それにいくつかの新技術を加えて構成される。
【0034】
LTE-Aシステムでは、100MHzまでのより広い周波数帯域幅(transmission bandwidths)をサポートするために、二つ以上のコンポーネントキャリア(Component Carrier:CC)を集約する(「アグリゲーション(aggregation)する」とも称する)、キャリアアグリゲーション(Carrier Aggregation:CA)が検討されている。CAについては、非特許文献1に記載されている。
【0035】
CAが構成される場合、UEはネットワーク(Network:NW)と唯一つのRRC接続(RRC connection)を有する。RRC接続において、一つのサービングセルがNASモビリティ情報とセキュリティ入力を与える。このセルをプライマリセル(Primary Cell:PCell)と呼ぶ。下りリンクで、PCellに対応するキャリアは、下りプライマリコンポーネントキャリア(Downlink Primary Component Carrier:DL PCC)である。上りリンクで、PCellに対応するキャリアは、上りプライマリコンポーネントキャリア(Uplink Primary Component Carrier:UL PCC)である。
【0036】
UEの能力(ケーパビリティ(capability))に応じて、セカンダリセル(Secondary Cell:SCell)が、PCellとともに、サービングセルの組を形成するために構成される。下りリンクで、SCellに対応するキャリアは、下りセカンダリコンポーネントキャリア(Downlink Secondary Component Carrier:DL SCC)である。上りリンクで、SCellに対応するキャリアは、上りセカンダリコンポーネントキャリア(Uplink Secondary Component Carrier:UL SCC)である。
【0037】
一つのPCellと一つ以上のSCellとからなるサービングセルの組が、一つのUEに対して構成される。
【0038】
また、LTE-Aでの新技術としては、より広い帯域をサポートする技術(Wider bandwidth extension)、および多地点協調送受信(Coordinated Multiple Point transmission and reception:CoMP)技術などがある。3GPPでLTE-Aのために検討されているCoMPについては、非特許文献1に記載されている。
【0039】
また、3GPPにおいて、将来の膨大なトラフィックに対応するために、スモールセルを構成するスモールeNB(以下「小規模基地局装置」という場合がある)を用いることが検討されている。例えば、多数のスモールeNBを設置して、多数のスモールセルを構成することによって、周波数利用効率を高めて、通信容量の増大を図る技術などが検討されている。具体的には、UEが2つのeNBと接続して通信を行うデュアルコネクティビティ(Dual Connectivity;DCと略称される)などがある。DCについては、非特許文献1に記載されている。
【0040】
デュアルコネクティビティ(DC)を行うeNBのうち、一方を「マスタeNB(MeNBと略称される)」といい、他方を「セカンダリeNB(SeNBと略称される)」という場合がある。
【0041】
モバイルネットワークのトラフィック量は、増加傾向にあり、通信速度も高速化が進んでいる。LTEおよびLTE-Aが本格的に運用を開始されると、更に通信速度が高速化されることが見込まれる。
【0042】
さらに、高度化する移動体通信に対して、2020年以降にサービスを開始することを目標とした第5世代(以下「5G」という場合がある)無線アクセスシステムが検討されている。例えば、欧州では、METISという団体で5Gの要求事項がまとめられている(非特許文献5参照)。
【0043】
5G無線アクセスシステムでは、LTEシステムに対して、システム容量は1000倍、データの伝送速度は100倍、データの処理遅延は10分の1(1/10)、通信端末の同時接続数は100倍として、更なる低消費電力化、および装置の低コスト化を実現することが要件として挙げられている。
【0044】
このような要求を満たすために、3GPPでは、リリース15として、5Gの規格検討が進められている(非特許文献6~18参照)。5Gの無線区間の技術は「New Radio Access Technology」と称される(「New Radio」は「NR」と略称される)。
【0045】
NRシステムは、LTEシステム、LTE-Aシステムを基にして検討が進められているが、以下の点でLTEシステム、LTE-Aシステムからの変更および追加が行われている。
【0046】
NRのアクセス方式としては、下り方向はOFDM、上り方向はOFDM、DFT-s-OFDM(DFT-spread-OFDM)が用いられる。
【0047】
NRでは、伝送速度向上、処理遅延低減のために、LTEに比べて高い周波数の使用が可能となっている。
【0048】
NRにおいては、狭いビーム状の送受信範囲を形成する(ビームフォーミング)とともにビームの向きを変化させる(ビームスイーピング)ことで、セルカバレッジの確保が図られる。
【0049】
NRのフレーム構成においては、様々なサブキャリア間隔、すなわち、様々なヌメロロジ(Numerology)がサポートされている。NRにおいては、ヌメロロジによらず、1サブフレームは1ミリ秒であり、また、1スロットは14シンボルで構成される。また、1サブフレームに含まれるスロット数は、サブキャリア間隔15kHzのヌメロロジにおいては1つであり、他のヌメロロジにおいては、サブキャリア間隔に比例して多くなる(非特許文献13(TS38.211 V15.7.0)参照)。
【0050】
NRにおける下り同期信号は、同期信号バースト(Synchronization Signal Burst;以下、SSバーストと称する場合がある)として、所定の周期で、所定の継続時間をもって基地局から送信される。SSバーストは、基地局のビーム毎の同期信号ブロック(Synchronization Signal Block;以下、SSブロックと称する場合がある)により構成される。基地局はSSバーストの継続時間内において各ビームのSSブロックを、ビームを変えて送信する。SSブロックは、P-SS、S-SS、およびPBCHによって構成される。
【0051】
NRにおいては、NRの下り参照信号として、位相追尾参照信号(Phase Tracking Reference Signal:PTRS)の追加により、位相雑音の影響の低減が図られている。上り参照信号においても、下りと同様にPTRSが追加されている。
【0052】
NRにおいては、スロット内におけるDL/ULの切替えを柔軟に行うために、PDCCHに含まれる情報にスロット構成通知(Slot Format Indication:SFI)が追加された。
【0053】
また、NRにおいては、キャリア周波数帯のうちの一部(以下、Bandwidth Part(BWP)と称する場合がある)を基地局がUEに対して予め設定し、UEが該BWPにおいて基地局との送受信を行うことで、UEにおける消費電力の低減が図られる。
【0054】
3GPPでは、DCの形態として、EPCに接続するLTE基地局とNR基地局によるDC、5Gコアシステムに接続するNR基地局によるDC、また、5Gコアシステムに接続するLTE基地局とNR基地局によるDCが検討されている(非特許文献12、16、19参照)。
【0055】
また、3GPPでは、いくつかの新たな技術が検討されている。例えば、通信経路に冗長性を持たせ(以下、冗長経路と称する場合がある)、信頼性を確保する技術が検討されている(非特許文献20(TR23.725)参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0056】
【非特許文献1】3GPP TS 36.300 V15.7.0
【非特許文献2】3GPP S1-083461
【非特許文献3】3GPP TR 36.814 V9.2.0
【非特許文献4】3GPP TR 36.912 V15.0.0
【非特許文献5】“Scenarios, requirements and KPIs for 5G mobile and wireless system”、ICT-317669-METIS/D1.1
【非特許文献6】3GPP TR 23.799 V14.0.0
【非特許文献7】3GPP TR 38.801 V14.0.0
【非特許文献8】3GPP TR 38.802 V14.2.0
【非特許文献9】3GPP TR 38.804 V14.0.0
【非特許文献10】3GPP TR 38.912 V15.0.0
【非特許文献11】3GPP RP-172115
【非特許文献12】3GPP TS 37.340 V15.7.0
【非特許文献13】3GPP TS 38.211 V15.7.0
【非特許文献14】3GPP TS 38.213 V15.7.0
【非特許文献15】3GPP TS 38.214 V15.7.0
【非特許文献16】3GPP TS 38.300 V15.7.0
【非特許文献17】3GPP TS 38.321 V15.7.0
【非特許文献18】3GPP TS 38.212 V15.7.0
【非特許文献19】3GPP RP-161266
【非特許文献20】3GPP TR23.725 V16.2.0
【非特許文献21】3GPP S1-192758
【非特許文献22】3GPP TS 38.331 V15.7.0
【非特許文献23】3GPP TS 36.331 V15.7.0
【非特許文献24】3GPP TS 23.501 V16.2.0
【非特許文献25】3GPP TS 23.502 V16.2.0
【非特許文献26】3GPP TS 38.401 V15.6.0
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0057】
3GPPにおいて、通信の冗長経路を設けることで、通信の信頼性を向上させることが検討されている(非特許文献20、21参照)。ところが、ある冗長経路において通信断が発生した場合に、残りの冗長経路における通信断を回避する方法が開示されていない。そのため、いずれの冗長経路においても通信断が発生する可能性があり、その結果、通信の信頼性を確保できないという問題が生じる。また、タイムセンシティブ通信(Time Sensitive Communication;TSC)が損なわれるという問題が生じる。
【0058】
本発明は、上記課題に鑑み、信頼性の確保およびTSCの維持を可能とする技術を提供することを、目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0059】
本発明の端末装置は、前記端末装置、前記端末装置と無線通信する複数の基地局装置であって、マスタセルグループ(Master Cell Group、MCG)を構成するマスタ基地局と、セカンダリセルグループ(Secondary Cell Group、SCG)を構成するセカンダリ基地局とを含む複数の基地局装置を備える通信システムにおける前記端末装置であって、前記マスタ基地局及び前記セカンダリ基地局に接続するデュアルコネクティビティを実行するように構成され、MCG故障が発生した場合において、前記SCGを介して前記セカンダリ基地局と通信を行うように構成される。
【0060】
本発明のセカンダリ基地局は、端末装置、前記端末装置と無線通信する複数の基地局装置であって、マスタセルグループ(Master Cell Group、MCG)を構成するマスタ基地局と、セカンダリセルグループ(Secondary Cell Group、SCG)を構成するセカンダリ基地局とを含む複数の基地局装置を備える通信システムにおける前記セカンダリ基地局であって、前記マスタ基地局及び前記セカンダリ基地局が、前記端末装置のためのデュアルコネクティビティをサポートするように構成され、前記端末装置においてMCG故障が発生した場合において、前記セカンダリ基地局が、前記SCGを介して前記端末装置と通信を行うように構成される。
【0061】
本発明の通信システムは、端末装置、前記端末装置と無線通信する複数の基地局装置であって、マスタセルグループ(Master Cell Group、MCG)を構成するマスタ基地局と、セカンダリセルグループ(Secondary Cell Group、SCG)を構成するセカンダリ基地局とを含む複数の基地局装置を備える通信システムであって、前記端末装置が、前記マスタ基地局及び前記セカンダリ基地局に接続するデュアルコネクティビティを実行するように構成され、前記端末装置が、MCG故障が発生した場合において、前記SCGを介して前記セカンダリ基地局と通信を行うように構成される。
【発明の効果】
【0062】
本発明によれば、信頼性の確保およびTSCの維持が可能になる。
【0063】
本発明の目的、特徴、局面、および利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
図1】LTE方式の通信システムで使用される無線フレームの構成を示す説明図である。
図2】3GPPにおいて議論されているLTE方式の通信システム200の全体的な構成を示すブロック図である。
図3】3GPPにおいて議論されているNR方式の通信システム210の全体的な構成を示すブロック図である。
図4】EPCに接続するeNBおよびgNBによるDCの構成図である。
図5】NGコアに接続するgNBによるDCの構成図である。
図6】NGコアに接続するeNBおよびgNBによるDCの構成図である。
図7】NGコアに接続するeNBおよびgNBによるDCの構成図である。
図8図2に示す移動端末202の構成を示すブロック図である。
図9図2に示す基地局203の構成を示すブロック図である。
図10】MMEの構成を示すブロック図である。
図11】5GCの構成を示すブロック図である。
図12】LTE方式の通信システムにおいて通信端末(UE)が行うセルサーチから待ち受け動作までの概略を示すフローチャートである。
図13】NRシステムにおけるセルの構成の一例を示す図である。
図14】実施の形態1について、複数のUEを用いた冗長経路を用いた通信の確立を示すシーケンス図である。
図15】実施の形態1について、複数のUEを用いた冗長経路を用いた通信の確立を示すシーケンス図である。
図16】実施の形態1について、複数のUEを用いた冗長経路を用いた通信の確立を示すシーケンス図である。
図17】実施の形態1について、一の冗長経路においてハンドオーバが発生することによって、他の冗長経路においてハンドオーバを抑制する動作およびその抑制を解除する動作を示すシーケンス図である。
図18】実施の形態1について、一の冗長経路においてハンドオーバが発生することによって、他の冗長経路においてハンドオーバを抑制する動作およびその抑制を解除する動作を示すシーケンス図である。
図19】実施の形態1について、一の冗長経路においてハンドオーバが発生することによって、他の冗長経路においてハンドオーバを抑制する動作およびその抑制を解除する動作を示すシーケンス図である。
図20】実施の形態1の変形例1について、一の冗長経路の通信断に伴って、他の冗長経路におけるハンドオーバをキャンセルする動作およびハンドオーバを開始する動作を示すシーケンス図である。
図21】実施の形態1の変形例1について、一の冗長経路の通信断に伴って、他の冗長経路におけるハンドオーバをキャンセルする動作およびハンドオーバを開始する動作を示すシーケンス図である。
図22】実施の形態2について、DCによる冗長経路を用いたUEが、マスタ基地局のハンドオーバ前後で、セカンダリ基地局のセキュリティーキーを維持する動作を示すシーケンス図である。
図23】実施の形態2について、DCによる冗長経路を用いたUEが、マスタ基地局のハンドオーバ前後で、セカンダリ基地局のセキュリティーキーを維持する動作を示すシーケンス図である。
図24】実施の形態2について、DCによる冗長経路を用いたUEが、マスタ基地局のハンドオーバに先立って、セカンダリ基地局のセキュリティーキーを変更する動作を示すシーケンス図である。
図25】実施の形態2について、DCによる冗長経路を用いたUEが、マスタ基地局のハンドオーバに先立って、セカンダリ基地局のセキュリティーキーを変更する動作を示すシーケンス図である。
図26】実施の形態2の変形例1について、MCG故障後においてセカンダリ基地局との通信を継続する動作の第1例を示すシーケンス図である。
図27】実施の形態2の変形例1について、MCG故障後においてセカンダリ基地局との通信を継続する動作の第2例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
実施の形態1.
図2は、3GPPにおいて議論されているLTE方式の通信システム200の全体的な構成を示すブロック図である。図2について説明する。無線アクセスネットワークは、E-UTRAN(Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network)201と称される。通信端末装置である移動端末装置(以下「移動端末(User Equipment:UE)」という)202は、基地局装置(以下「基地局(E-UTRAN NodeB:eNB)」という)203と無線通信可能であり、無線通信で信号の送受信を行う。
【0066】
ここで、「通信端末装置」とは、移動可能な携帯電話端末装置などの移動端末装置だけでなく、センサなどの移動しないデバイスも含んでいる。以下の説明では、「通信端末装置」を、単に「通信端末」という場合がある。
【0067】
移動端末202に対する制御プロトコル、例えばRRC(Radio Resource Control)と、ユーザプレイン(以下、U-Planeと称する場合もある)、例えばPDCP(Packet Data Convergence Protocol)、RLC(Radio Link Control)、MAC(Medium Access Control)、PHY(Physical layer)とが基地局203で終端するならば、E-UTRANは1つあるいは複数の基地局203によって構成される。
【0068】
移動端末202と基地局203との間の制御プロトコルRRC(Radio Resource Control)は、報知(Broadcast)、ページング(paging)、RRC接続マネージメント(RRC connection management)などを行う。RRCにおける基地局203と移動端末202との状態として、RRC_IDLEと、RRC_CONNECTEDとがある。
【0069】
RRC_IDLEでは、PLMN(Public Land Mobile Network)選択、システム情報(System Information:SI)の報知、ページング(paging)、セル再選択(cell re-selection)、モビリティなどが行われる。RRC_CONNECTEDでは、移動端末はRRC接続(connection)を有し、ネットワークとのデータの送受信を行うことができる。またRRC_CONNECTEDでは、ハンドオーバ(Handover:HO)、隣接セル(Neighbor cell)の測定(メジャメント(measurement))などが行われる。
【0070】
基地局203は、1つあるいは複数のeNB207により構成される。またコアネットワークであるEPC(Evolved Packet Core)と、無線アクセスネットワークであるE-UTRAN201とで構成されるシステムは、EPS(Evolved Packet System)と称される。コアネットワークであるEPCと、無線アクセスネットワークであるE-UTRAN201とを合わせて、「ネットワーク」という場合がある。
【0071】
eNB207は、移動管理エンティティ(Mobility Management Entity:MME)、あるいはS-GW(Serving Gateway)、あるいはMMEおよびS-GWを含むMME/S-GW部(以下「MME部」という場合がある)204とS1インタフェースにより接続され、eNB207とMME部204との間で制御情報が通信される。一つのeNB207に対して、複数のMME部204が接続されてもよい。eNB207間は、X2インタフェースにより接続され、eNB207間で制御情報が通信される。
【0072】
MME部204は、上位装置、具体的には上位ノードであり、基地局であるeNB207と、移動端末(UE)202との接続を制御する。MME部204は、コアネットワークであるEPCを構成する。基地局203は、E-UTRAN201を構成する。
【0073】
基地局203は、1つのセルを構成してもよいし、複数のセルを構成してもよい。各セルは、移動端末202と通信可能な範囲であるカバレッジとして予め定める範囲を有し、カバレッジ内で移動端末202と無線通信を行う。1つの基地局203が複数のセルを構成する場合、1つ1つのセルが、移動端末202と通信可能に構成される。
【0074】
図3は、3GPPにおいて議論されている5G方式の通信システム210の全体的な構成を示すブロック図である。図3について説明する。無線アクセスネットワークは、NG-RAN(Next Generation Radio Access Network)211と称される。UE202は、NR基地局装置(以下「NR基地局(NG-RAN NodeB:gNB)」という)213と無線通信可能であり、無線通信で信号の送受信を行う。また、コアネットワークは、5Gコア(5G Core:5GC)と称される。
【0075】
UE202に対する制御プロトコル、例えばRRC(Radio Resource Control)と、ユーザプレイン(以下、U-Planeと称する場合もある)、例えばSDAP(Service Data Adaptation Protocol)、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)、RLC(Radio Link Control)、MAC(Medium Access Control)、PHY(Physical layer)とがNR基地局213で終端するならば、NG-RANは1つあるいは複数のNR基地局213によって構成される。
【0076】
UE202とNR基地局213との間の制御プロトコルRRC(Radio Resource Control)の機能はLTEと同様である。RRCにおけるNR基地局213とUE202との状態として、RRC_IDLEと、RRC_CONNECTEDと、RRC_INACTIVEとがある。
【0077】
RRC_IDLE、RRC_CONNECTEDは、LTE方式と同様である。RRC_INACTIVEは5GコアとNR基地局213との間の接続が維持されつつ、システム情報(System Information:SI)の報知、ページング(paging)、セル再選択(cell re-selection)、モビリティなどが行われる。
【0078】
gNB217は、アクセス・移動管理機能(Access and Mobility Management Function:AMF)、セッション管理機能(Session Management Function:SMF)、あるいはUPF(User Plane Function)、あるいはAMF、SMFおよびUPFを含むAMF/SMF/UPF部(以下「5GC部」という場合がある)214とNGインタフェースにより接続される。gNB217と5GC部214との間で制御情報および/あるいはユーザデータが通信される。NGインタフェースは、gNB217とAMFとの間のN2インタフェース、gNB217とUPFとの間のN3インタフェース、AMFとSMFとの間のN11インタフェース、および、UPFとSMFとの間のN4インタフェースの総称である。一つのgNB217に対して、複数の5GC部214が接続されてもよい。gNB217間は、Xnインタフェースにより接続され、gNB217間で制御情報および/あるいはユーザデータが通信される。
【0079】
NR基地局213も、基地局203同様、1つあるいは複数のセルを構成してもよい。1つのNR基地局213が複数のセルを構成する場合、1つ1つのセルが、UE202と通信可能に構成される。
【0080】
gNB217は、中央ユニット(Central Unit;以下、CUと称する場合がある)218と分散ユニット(Distributed Unit;以下、DUと称する場合がある)219に分割されていてもよい。CU218は、gNB217の中に1つ構成される。DU219は、gNB217の中に1つあるいは複数構成される。CU218は、DU219とF1インタフェースにより接続され、CU218とDU219との間で制御情報および/あるいはユーザデータが通信される。
【0081】
5G方式の通信システムにおいて、非特許文献24(3GPP TS23.501 V16.2.0)に記載の統合データ管理(Unified Data Management; UDM)機能、ポリシー制御機能(Policy Control Function; PCF)が含まれてもよい。UDMおよび/あるいはPCFは、図3における5GC部に含まれるとしてもよい。
【0082】
5G方式の通信システムにおいて、非特許文献24(3GPP TS23.501 V16.2.0)に記載の非3GPP相互動作機能(Non-3GPP InterworkingFunction; N3IWF)が含まれてもよい。N3IWFは、UEとの間における非3GPPアクセスにおいて、アクセスネットワーク(Access Network; AN)をUEとの間で終端してもよい。
【0083】
図4は、EPCに接続するeNBおよびgNBによるDCの構成を示した図である。図4において、実線はU-Planeの接続を示し、破線はC-Planeの接続を示す。図4において、eNB223-1がマスタ基地局となり、gNB224-2がセカンダリ基地局となる(このDC構成を、EN-DCと称する場合がある)。図4において、MME部204とgNB224-2との間のU-Plane接続がeNB223-1経由で行われる例について示しているが、MME部204とgNB224-2との間で直接行われてもよい。
【0084】
図5は、NGコアに接続するgNBによるDCの構成を示した図である。図5において、実線はU-Planeの接続を示し、破線はC-Planeの接続を示す。図5において、gNB224-1がマスタ基地局となり、gNB224-2がセカンダリ基地局となる(このDC構成を、NR-DCと称する場合がある)。図5において、5GC部214とgNB224-2との間のU-Plane接続がgNB224-1経由で行われる例について示しているが、5GC部214とgNB224-2との間で直接行われてもよい。
【0085】
図6は、NGコアに接続するeNBおよびgNBによるDCの構成を示した図である。図6において、実線はU-Planeの接続を示し、破線はC-Planeの接続を示す。図6において、eNB226-1がマスタ基地局となり、gNB224-2がセカンダリ基地局となる(このDC構成を、NG-EN-DCと称する場合がある)。図6において、5GC部214とgNB224-2との間のU-Plane接続がeNB226-1経由で行われる例について示しているが、5GC部214とgNB224-2との間で直接行われてもよい。
【0086】
図7は、NGコアに接続するeNBおよびgNBによるDCの、他の構成を示した図である。図7において、実線はU-Planeの接続を示し、破線はC-Planeの接続を示す。図7において、gNB224-1がマスタ基地局となり、eNB226-2がセカンダリ基地局となる(このDC構成を、NE-DCと称する場合がある)。図7において、5GC部214とeNB226-2との間のU-Plane接続がgNB224-1経由で行われる例について示しているが、5GC部214とeNB226-2との間で直接行われてもよい。
【0087】
図8は、図2に示す移動端末202の構成を示すブロック図である。図8に示す移動端末202の送信処理を説明する。まず、プロトコル処理部301からの制御データ、およびアプリケーション部302からのユーザデータが、送信データバッファ部303へ保存される。送信データバッファ部303に保存されたデータは、エンコーダー部304へ渡され、誤り訂正などのエンコード処理が施される。エンコード処理を施さずに、送信データバッファ部303から変調部305へ直接出力されるデータが存在してもよい。エンコーダー部304でエンコード処理されたデータは、変調部305にて変調処理が行われる。変調部305にて、MIMOにおけるプリコーディングが行われてもよい。変調されたデータは、ベースバンド信号に変換された後、周波数変換部306へ出力され、無線送信周波数に変換される。その後、アンテナ307-1~307-4から基地局203に送信信号が送信される。図8において、アンテナの数が4つである場合について例示したが、アンテナ数は4つに限定されない。
【0088】
また、移動端末202の受信処理は、以下のように実行される。基地局203からの無線信号がアンテナ307-1~307-4により受信される。受信信号は、周波数変換部306にて無線受信周波数からベースバンド信号に変換され、復調部308において復調処理が行われる。復調部308にて、ウェイト計算および乗算処理が行われてもよい。復調後のデータは、デコーダー部309へ渡され、誤り訂正などのデコード処理が行われる。デコードされたデータのうち、制御データはプロトコル処理部301へ渡され、ユーザデータはアプリケーション部302へ渡される。移動端末202の一連の処理は、制御部310によって制御される。よって制御部310は、図8では省略しているが、各部301~309と接続している。図8において、移動端末202が送信に用いるアンテナ数と受信に用いるアンテナ数は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0089】
図9は、図2に示す基地局203の構成を示すブロック図である。図9に示す基地局203の送信処理を説明する。EPC通信部401は、基地局203とEPC(MME部204など)との間のデータの送受信を行う。5GC通信部412は、基地局203と5GC(5GC部214など)との間のデータの送受信を行う。他基地局通信部402は、他の基地局との間のデータの送受信を行う。EPC通信部401、5GC通信部412、および他基地局通信部402は、それぞれプロトコル処理部403と情報の受け渡しを行う。プロトコル処理部403からの制御データ、ならびにEPC通信部401、5GC通信部412、および他基地局通信部402からのユーザデータおよび制御データは、送信データバッファ部404へ保存される。
【0090】
送信データバッファ部404に保存されたデータは、エンコーダー部405へ渡され、誤り訂正などのエンコード処理が施される。エンコード処理を施さずに、送信データバッファ部404から変調部406へ直接出力されるデータが存在してもよい。エンコードされたデータは、変調部406にて変調処理が行われる。変調部406にて、MIMOにおけるプリコーディングが行われてもよい。変調されたデータは、ベースバンド信号に変換された後、周波数変換部407へ出力され、無線送信周波数に変換される。その後、アンテナ408-1~408-4より一つもしくは複数の移動端末202に対して送信信号が送信される。図9において、アンテナの数が4つである場合について例示したが、アンテナ数は4つに限定されない。
【0091】
また、基地局203の受信処理は以下のように実行される。一つもしくは複数の移動端末202からの無線信号が、アンテナ408により受信される。受信信号は、周波数変換部407にて無線受信周波数からベースバンド信号に変換され、復調部409で復調処理が行われる。復調されたデータは、デコーダー部410へ渡され、誤り訂正などのデコード処理が行われる。デコードされたデータのうち、制御データはプロトコル処理部403あるいは5GC通信部412あるいはEPC通信部401、他基地局通信部402へ渡され、ユーザデータは5GC通信部412、EPC通信部401および他基地局通信部402へ渡される。基地局203の一連の処理は、制御部411によって制御される。よって制御部411は、図9では省略しているが、各部401~410と接続している。図9において、基地局203が送信に用いるアンテナ数と受信に用いるアンテナ数は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0092】
図9は、基地局203の構成について示したブロック図であるが、基地局213についても同様の構成としてもよい。また、図8および図9について、移動端末202のアンテナ数と、基地局203のアンテナ数は、同じであってもよいし、異なってもよい。
【0093】
図10は、MMEの構成を示すブロック図である。図10では、前述の図2に示すMME部204に含まれるMME204aの構成を示す。PDN GW通信部501は、MME204aとPDN GWとの間のデータの送受信を行う。基地局通信部502は、MME204aと基地局203との間のS1インタフェースによるデータの送受信を行う。PDN GWから受信したデータがユーザデータであった場合、ユーザデータは、PDN GW通信部501から、ユーザプレイン通信部503経由で基地局通信部502に渡され、1つあるいは複数の基地局203へ送信される。基地局203から受信したデータがユーザデータであった場合、ユーザデータは、基地局通信部502から、ユーザプレイン通信部503経由でPDN GW通信部501に渡され、PDN GWへ送信される。
【0094】
PDN GWから受信したデータが制御データであった場合、制御データは、PDN GW通信部501から制御プレイン制御部505へ渡される。基地局203から受信したデータが制御データであった場合、制御データは、基地局通信部502から制御プレイン制御部505へ渡される。
【0095】
制御プレイン制御部505には、NASセキュリティ部505-1、SAEベアラコントロール部505-2、アイドルステート(Idle State)モビリティ管理部505-3などが含まれ、制御プレイン(以下、C-Planeと称する場合もある)に対する処理全般を行う。NASセキュリティ部505-1は、NAS(Non-Access Stratum)メッセージのセキュリティなどを行う。SAEベアラコントロール部505-2は、SAE(System Architecture Evolution)のベアラの管理などを行う。アイドルステートモビリティ管理部505-3は、待受け状態(アイドルステート(Idle State);LTE-IDLE状態、または、単にアイドルとも称される)のモビリティ管理、待受け状態時のページング信号の生成および制御、傘下の1つあるいは複数の移動端末202のトラッキングエリアの追加、削除、更新、検索、トラッキングエリアリスト管理などを行う。
【0096】
MME204aは、1つまたは複数の基地局203に対して、ページング信号の分配を行う。また、MME204aは、待受け状態(Idle State)のモビリティ制御(Mobility control)を行う。MME204aは、移動端末が待ち受け状態のとき、および、アクティブ状態(Active State)のときに、トラッキングエリア(Tracking Area)リストの管理を行う。MME204aは、UEが登録されている(registered)追跡領域(トラッキングエリア:Tracking Area)に属するセルへ、ページングメッセージを送信することで、ページングプロトコルに着手する。MME204aに接続されるeNB207のCSGの管理、CSG IDの管理、およびホワイトリストの管理は、アイドルステートモビリティ管理部505-3で行われてもよい。
【0097】
図11は、5GCの構成を示すブロック図である。図11では、前述の図3に示す5GC部214の構成を示す。図11は、図5にて示す5GC部214に、AMFの構成、SMFの構成およびUPFの構成が含まれた場合について示している。Data Network通信部521は、5GC部214とData Networkとの間のデータの送受信を行う。基地局通信部522は、5GC部214と基地局203との間のS1インタフェース、および/あるいは、5GC部214と基地局213との間のNGインタフェースによるデータの送受信を行う。Data Networkから受信したデータがユーザデータであった場合、ユーザデータは、Data Network通信部521から、ユーザプレイン通信部523経由で基地局通信部522に渡され、1つあるいは複数の、基地局203および/あるいは基地局213へ送信される。基地局203および/あるいは基地局213から受信したデータがユーザデータであった場合、ユーザデータは、基地局通信部522から、ユーザプレイン通信部523経由でData Network通信部521に渡され、Data Networkへ送信される。
【0098】
Data Networkから受信したデータが制御データであった場合、制御データは、Data Network通信部521からユーザプレイン通信部523経由でセッション管理部527へ渡される。セッション管理部527は、制御データを制御プレイン制御部525へ渡す。基地局203および/あるいは基地局213から受信したデータが制御データであった場合、制御データは、基地局通信部522から制御プレイン制御部525に渡す。制御プレイン制御部525は、制御データをセッション管理部527へ渡す。
【0099】
制御プレイン制御部525は、NASセキュリティ部525-1、PDUセッションコントロール部525-2、アイドルステート(Idle State)モビリティ管理部525-3などを含み、制御プレイン(以下、C-Planeと称する場合もある)に対する処理全般を行う。NASセキュリティ部525-1は、NAS(Non-Access Stratum)メッセージのセキュリティなどを行う。PDUセッションコントロール部525-2は、移動端末202と5GC部214との間のPDUセッションの管理などを行う。アイドルステートモビリティ管理部525-3は、待受け状態(アイドルステート(Idle State);RRC_IDLE状態、または、単にアイドルとも称される)のモビリティ管理、待受け状態時のページング信号の生成および制御、傘下の1つあるいは複数の移動端末202のトラッキングエリアの追加、削除、更新、検索、トラッキングエリアリスト管理などを行う。
【0100】
5GC部214は、1つまたは複数の基地局203および/あるいは基地局213に対して、ページング信号の分配を行う。また、5GC部214は、待受け状態(Idle State)のモビリティ制御(Mobility Control)を行う。5GC部214は、移動端末が待ち受け状態のとき、インアクティブ状態(Inactive State)および、アクティブ状態(Active State)のときに、トラッキングエリア(Tracking Area)リストの管理を行う。5GC部214は、UEが登録されている(registered)追跡領域(トラッキングエリア:Tracking Area)に属するセルへ、ページングメッセージを送信することで、ページングプロトコルに着手する。
【0101】
次に通信システムにおけるセルサーチ方法の一例を示す。図12は、LTE方式の通信システムにおいて通信端末(UE)が行うセルサーチから待ち受け動作までの概略を示すフローチャートである。通信端末は、セルサーチを開始すると、ステップST601で、周辺の基地局から送信される第一同期信号(P-SS)、および第二同期信号(S-SS)を用いて、スロットタイミング、フレームタイミングの同期をとる。
【0102】
P-SSとS-SSとを合わせて、同期信号(Synchronization Signal:SS)という。同期信号(SS)には、セル毎に割り当てられたPCIに1対1に対応するシンクロナイゼーションコードが割り当てられている。PCIの数は504通りが検討されている。この504通りのPCIを用いて同期をとるとともに、同期がとれたセルのPCIを検出(特定)する。
【0103】
次に同期がとれたセルに対して、ステップST602で、基地局からセル毎に送信される参照信号(リファレンスシグナル:RS)であるセル固有参照信号(Cell-specific Reference Signal:CRS)を検出し、RSの受信電力(Reference Signal Received Power:RSRP)の測定を行う。参照信号(RS)には、PCIと1対1に対応したコードが用いられている。そのコードで相関をとることによって他セルと分離できる。ステップST601で特定したPCIから、該セルのRS用のコードを導出することによって、RSを検出し、RSの受信電力を測定することが可能となる。
【0104】
次にステップST603で、ステップST602までで検出された一つ以上のセルの中から、RSの受信品質が最もよいセル、例えば、RSの受信電力が最も高いセル、つまりベストセルを選択する。
【0105】
次にステップST604で、ベストセルのPBCHを受信して、報知情報であるBCCHを得る。PBCH上のBCCHには、セル構成情報が含まれるMIB(Master Information Block)がマッピングされる。したがって、PBCHを受信してBCCHを得ることで、MIBが得られる。MIBの情報としては、例えば、DL(ダウンリンク)システム帯域幅(送信帯域幅設定(transmission bandwidth configuration:dl-bandwidth)とも呼ばれる)、送信アンテナ数、SFN(System Frame Number)などがある。
【0106】
次にステップST605で、MIBのセル構成情報をもとに該セルのDL-SCHを受信して、報知情報BCCHの中のSIB(System Information Block)1を得る。SIB1には、該セルへのアクセスに関する情報、セルセレクションに関する情報、他のSIB(SIBk;k≧2の整数)のスケジューリング情報が含まれる。また、SIB1には、トラッキングエリアコード(Tracking Area Code:TAC)が含まれる。
【0107】
次にステップST606で、通信端末は、ステップST605で受信したSIB1のTACと、通信端末が既に保有しているトラッキングエリアリスト内のトラッキングエリア識別子(Tracking Area Identity:TAI)のTAC部分とを比較する。トラッキングエリアリストは、TAIリスト(TAI list)とも称される。TAIはトラッキングエリアを識別するための識別情報であり、MCC(Mobile Country Code)と、MNC(Mobile Network Code)と、TAC(Tracking Area Code)とによって構成される。MCCは国コードである。MNCはネットワークコードである。TACはトラッキングエリアのコード番号である。
【0108】
通信端末は、ステップST606で比較した結果、ステップST605で受信したTACがトラッキングエリアリスト内に含まれるTACと同じならば、該セルで待ち受け動作に入る。比較して、ステップST605で受信したTACがトラッキングエリアリスト内に含まれなければ、通信端末は、該セルを通して、MMEなどが含まれるコアネットワーク(Core Network,EPC)へ、TAU(Tracking Area Update)を行うためにトラッキングエリアの変更を要求する。
【0109】
図12に示す例においては、LTE方式におけるセルサーチから待ち受けまでの動作の例について示したが、NR方式においては、ステップST603において、ベストセルに加えてベストビームを選択してもよい。また、NR方式においては、ステップST604において、ビームの情報、例えば、ビームの識別子を取得してもよい。また、NR方式においては、ステップST604において、リメイニングミニマムSI(Remaining Minimum SI:RMSI)のスケジューリング情報を取得してもよい。NR方式においては、ステップST605において、RMSIを受信するとしてもよい。
【0110】
コアネットワークを構成する装置(以下「コアネットワーク側装置」という場合がある)は、TAU要求信号とともに通信端末から送られてくる該通信端末の識別番号(UE-IDなど)をもとに、トラッキングエリアリストの更新を行う。コアネットワーク側装置は、通信端末に更新後のトラッキングエリアリストを送信する。通信端末は、受信したトラッキングエリアリストに基づいて、通信端末が保有するTACリストを書き換える(更新する)。その後、通信端末は、該セルで待ち受け動作に入る。
【0111】
スマートフォンおよびタブレット型端末装置の普及によって、セルラー系無線通信によるトラフィックが爆発的に増大しており、世界中で無線リソースの不足が懸念されている。これに対応して周波数利用効率を高めるために、小セル化し、空間分離を進めることが検討されている。
【0112】
従来のセルの構成では、eNBによって構成されるセルは、比較的広い範囲のカバレッジを有する。従来は、複数のeNBによって構成される複数のセルの比較的広い範囲のカバレッジによって、あるエリアを覆うように、セルが構成されている。
【0113】
小セル化された場合、eNBによって構成されるセルは、従来のeNBによって構成されるセルのカバレッジに比べて範囲が狭いカバレッジを有する。したがって、従来と同様に、あるエリアを覆うためには、従来のeNBに比べて、多数の小セル化されたeNBが必要となる。
【0114】
以下の説明では、従来のeNBによって構成されるセルのように、カバレッジが比較的大きいセルを「マクロセル」といい、マクロセルを構成するeNBを「マクロeNB」という。また、小セル化されたセルのように、カバレッジが比較的小さいセルを「スモールセル」といい、スモールセルを構成するeNBを「スモールeNB」という。
【0115】
マクロeNBは、例えば、非特許文献7に記載される「ワイドエリア基地局(Wide Area Base Station)」であってもよい。
【0116】
スモールeNBは、例えば、ローパワーノード、ローカルエリアノード、ホットスポットなどであってもよい。また、スモールeNBは、ピコセルを構成するピコeNB、フェムトセルを構成するフェムトeNB、HeNB、RRH(Remote Radio Head)、RRU(Remote Radio Unit)、RRE(Remote Radio Equipment)またはRN(Relay Node)であってもよい。また、スモールeNBは、非特許文献7に記載される「ローカルエリア基地局(Local Area Base Station)」または「ホーム基地局(Home Base Station)」であってもよい。
【0117】
図13は、NRにおけるセルの構成の一例を示す。NRのセルでは、狭いビームを形成し、方向を変えて送信する。図13に示す例において、基地局750は、ある時間において、ビーム751-1を用いて移動端末との送受信を行う。他の時間において、基地局750は、ビーム751-2を用いて移動端末との送受信を行う。以下同様にして、基地局750はビーム751-3~751-8のうち1つあるいは複数を用いて移動端末との送受信を行う。このようにすることで、基地局750は広範囲のセルを構成する。
【0118】
図13において、基地局750が用いるビームの数を8とする例について示したが、ビームの数は8とは異なっていてもよい。また、図13に示す例において、基地局750が同時に用いるビームの数を1つとしたが、複数であってもよい。
【0119】
冗長経路を用いた通信において、同じデータが各経路を通って送受信されてもよい。送信側ホストは、データを複製して各経路上の装置にそれぞれ送信してもよい。受信側ホストは、送信側ホストから受信した該データのうち1つを残して、他を削除してもよい。送信側ホストは、DN(Data Network)と接続しているホストであってもよいし、UEと接続しているホストであってもよい。受信側ホストは、UEと接続しているホストであってもよいし、DNと接続しているホストであってもよい。
【0120】
冗長経路を用いた通信は、1つのUEを用いたものであってもよいし、複数のUEを用いたものであってもよい。
【0121】
複数のUEを用いた冗長経路の構成において、各UEは互いに異なる基地局と接続してもよい。各基地局は、互いに異なるUPFと接続してもよい。各UPFは、同じDNに接続してもよいし、互いに異なるDNに接続してもよい。各基地局は、同じAMFに接続してもよいし、異なるAMFに接続してもよい。各UPFは、同じSMFに接続してもよいし、互いに異なるSMFに接続してもよい。該冗長経路の構成において、各UEと各UPFとの間でそれぞれPDUセッションが確立されてもよい。
【0122】
複数のUEを用いた冗長経路の構成が、スモールデータ(非特許文献9(TR38.804))の送受信において用いられてもよい。例えば、上り通信において、UEから基地局、AMF、SMF、UPF経由でDNにデータを送信する経路が、複数設けられてもよい。他の例として、下り通信において、DNからUPF、SMF、AMF、基地局経由でUEにデータを送信する経路についても、同様としてもよい。前述において、各経路における基地局は、互いに異なっていてもよい。AMF、SMF、UPFについても、同様であってもよい。このことにより、例えば、スモールデータ送受信における信頼性向上が可能となる。
【0123】
複数のUEを用いた冗長通信において、以下に示す問題が生じる。ある経路において通信断となっている状態で、残りの経路上のUEのモビリティが発生する場合、全ての冗長経路において通信が止まり、その結果、通信の信頼性を確保できなくなるとともに、TSC(Time Sensitive Communication)を実現できないという問題が生じる。
【0124】
本実施の形態1では、前述の問題を解決する方法を開示する。
【0125】
基地局は、他の冗長経路にて通信ができない場合において、UEのモビリティを行わない。他の例として、該基地局は、前述の場合において、UEとのRRC接続を解放しないとしてもよいし、休止しないとしてもよい。
【0126】
前述の、通信ができない場合とは、他の冗長経路におけるUEがモビリティ中である場合であってもよいし、他の冗長経路におけるUEがRRC_CONNECTEDおよび/あるいはCM_CONNECTEDでない場合であってもよいし、他の冗長経路におけるNWの各装置の電源が切れた場合であってもよいし、他の冗長経路におけるUEがRLF(Radio Link Failure)および/あるいはビームフェイリャ(Beam Failure)を検出した場合であってもよいし、他の冗長経路において基地局とコアネットワークとの間の通信断および/あるいはコアネットワークにおける通信断が発生した場合であってもよいし、前述の組合せであってもよい。前述の、基地局とコアネットワークとの間の通信断は、基地局とAMFとの間の通信断(例えば、N2インタフェース上の通信断)であってもよいし、基地局とUPFとの間の通信断(例えば、N3インタフェース上の通信断)であってもよい。前述の、コアネットワークにおける通信断は、UPFとSMFとの間の通信断(例えば、N4インタフェース上の通信断)であってもよいし、UPFとDNとの間の通信断(例えば、N6インタフェース上の通信断)であってもよいし、UPF間の通信断(例えば、N9インタフェース上の通信断)であってもよいし、AMFとSMFとの間の通信断(例えば、N11インタフェース上の通信断)であってもよいし、前述の組合せであってもよい。
【0127】
前述の、通信ができない冗長経路(以下、通信断冗長経路と称する場合がある)の基地局は、自経路上のUEとの間で通信ができないことを示す情報を、他の冗長経路(以下、非通信断冗長経路と称する場合がある)上の基地局に通知する。該情報は、例えば、後述の冗長経路に関する情報を含んでもよいし、通信ができない理由を含んでもよい。冗長経路に関する該情報は、例えば、該経路の識別子であってもよいし、該経路上のUEに関する情報であってもよいし、該経路上の基地局に関する情報であってもよいし、該経路上のUPFに関する情報であってもよいし、該経路のPDUセッションに関する情報であってもよいし、前述の組合せであってもよい。通信ができない理由は、例えば、他の冗長経路におけるUEがモビリティ中であることであってもよいし、他の冗長経路におけるUEがRRC_CONNECTEDおよび/あるいはCM_CONNECTEDでないことであってもよいし、他の冗長経路におけるNWの各装置の電源が切れたことであってもよいし、他の冗長経路におけるUEがRLF(Radio Link Failure)および/あるいはビームフェイリャ(Beam Failure)を検出したことであってもよいし、他の冗長経路において基地局とコアネットワークとの間の通信断および/あるいはコアネットワークにおける通信断が発生したことであってもよいし、前述の組合せであってもよい。
【0128】
通信断冗長経路上の基地局は、自経路上のUEとの間で通信ができないことを示す該情報を、AMF経由で通知してもよい。AMFは、該情報を、非通信断冗長経路上の基地局に通知してもよい。AMFから非通信断冗長経路上の基地局への該通知は、非通信断冗長経路上のAMFを経由して行われてもよい。他の例として、通信断冗長経路上の基地局は、該情報を、非通信断冗長経路上のAMFを経由して、通信断冗長経路上の基地局に通知してもよい。
【0129】
非通信断冗長経路上の基地局は、該情報を用いて、自基地局に接続するUEのモビリティ(例えば、ハンドオーバ)を行わないとしてもよいし、UEとのRRC接続を解放しないとしてもよいし、休止しないとしてもよい。
【0130】
メジャメント報告停止の指示に用いられるシグナリングが新たに設けられてもよい。該シグナリングは、例えば、報告停止の対象となるメジャメントを示す情報(例えば、メジャメントオブジェクト(Measurement Object))を含んでもよい。このことにより、例えば、UEは、メジャメント報告を停止すべきメジャメントオブジェクトを、迅速に把握可能となる。該シグナリングは、例えば、RRCシグナリングであってもよい。このことにより、例えば、基地局は多くの情報をUEに通知可能となる。他の例として、該シグナリングはMACシグナリングであってもよい。このことにより、例えば、基地局はメジャメント報告停止をUEに対して迅速に指示可能となる。他の例として、該シグナリングはL1/L2シグナリングであってもよい。このことにより、例えば、基地局はメジャメント報告停止をUEに対してさらに迅速に指示可能となる。
【0131】
他の経路上の基地局は、自基地局に接続するUEに対し、メジャメント報告の停止を指示してもよい。該指示には、例えば、前述の新たに設けられたシグナリングが用いられてもよいし、既存のシグナリングが用いられてもよい。該基地局は、該情報を契機として、該UEに対してメジャメント報告停止を指示してもよい。UEは、該指示を契機として、該基地局に対するメジャメント報告の送信を停止してもよい。該メジャメント報告は、非特許文献22(TS38.331)および/あるいは非特許文献23(TS36.331)において開示されたイベント契機によるメジャメントの報告であってもよい。このことにより、例えば、UEのモビリティ抑制中におけるUEからのメジャメント報告の抑制が可能となる。その結果、基地局とUEとの間のシグナリング量を削減可能となる。
【0132】
他の例として、通信断冗長経路上の該基地局は、自基地局に接続するUEに対するメジャメント設定を解放してもよい。該メジャメント設定は、例えば、非特許文献22(TS38.331)および/あるいは非特許文献23(TS36.331)において開示されたイベント契機によるメジャメントの設定であってもよい。該基地局は、該解放を、RRCシグナリングを用いて行ってもよいし、MACシグナリングを用いて行ってもよいし、L1/L2シグナリングを用いて行ってもよい。該UEは、該解放のシグナリングを用いて、自UEに対するメジャメント設定を解放してもよい。このことにより、例えば、基地局および/あるいはUEにおけるメモリ使用量削減が可能となる。
【0133】
通信ができない冗長経路上の該基地局は、自経路上のUEとの間の通信が復旧したことを示す情報を、他の経路上の基地局に通知してもよい。通信が復旧したことを示す該情報は、例えば、該UEのモビリティの完了を示す情報であってもよいし、該UEのRRC_CONNECTEDへの復帰を示す情報であってもよい。他の経路上の該基地局は、該情報を用いて、自基地局に接続するUEのモビリティ(例えば、ハンドオーバ)を実行可能としてもよいし、UEのRRC接続を解放可能としてもよいし、休止可能としてもよい。
【0134】
メジャメント報告開始あるいは再開の指示に用いられるシグナリングが新たに設けられてもよい。該シグナリングは、例えば、報告開始あるいは報告再開の対象となるメジャメントを示す情報(例えば、メジャメントオブジェクト)を含んでもよい。このことにより、例えば、UEは、メジャメント報告を再開すべきメジャメントオブジェクトを迅速に把握可能となる。該シグナリングは、例えば、RRCシグナリングであってもよい。このことにより、例えば、基地局は多くの情報をUEに通知可能となる。他の例として、該シグナリングはMACシグナリングであってもよい。このことにより、例えば、基地局はメジャメント報告再開をUEに対して迅速に指示可能となる。他の例として、該シグナリングはL1/L2シグナリングであってもよい。このことにより、例えば、基地局はメジャメント報告再開をUEに対してさらに迅速に指示可能となる。
【0135】
基地局はUEに対し、メジャメント報告の再開を指示してもよい。該指示には、例えば、前述の新たに設けられたシグナリングが用いられてもよいし、既存のシグナリングが用いられてもよい。該基地局は、他の冗長経路上の基地局とUEとの間の通信が復旧したことを示す情報を用いて、UEに対してメジャメント報告再開を指示してもよい。UEは、該指示を契機として、該基地局に対するメジャメント報告の送信を再開してもよい。このことにより、例えば、冗長経路の通信品質の安定性の向上が可能となる。
【0136】
メジャメント報告停止の指示に用いられるシグナリングと、メジャメント報告開始あるいは再開の指示に用いられるシグナリングが、同じシグナリングであってもよい。例えば、該シグナリングは、メジャメント報告の停止を示す情報を含んでもよいし、メジャメント報告停止の対象となるメジャメントに関する情報(例えば、メジャメントオブジェクト)を含んでもよいし、メジャメント報告の開始あるいは再開を示す情報を含んでもよいし、メジャメント報告の開始あるいは再開の対象となるメジャメントに関する情報(例えば、メジャメントオブジェクト)を含んでもよい。このことにより、例えば、シグナリング種別の追加数を少なくできる。その結果、通信システムにおける、メジャメント報告停止/再開に関する機能追加の複雑性緩和が可能となる。
【0137】
他の例として、通信断冗長経路上の該基地局は、自基地局に接続するUEに対するメジャメント設定を再度行ってもよい。前述の、再度の設定は、該基地局がUEに対してメジャメント設定を解放した場合に行われるとしてもよい。前述の再度の設定は、解放前の設定と異なっていてもよい。該メジャメント設定は、例えば、非特許文献22(TS38.331)および/あるいは非特許文献23(TS36.331)において開示されたイベント契機によるメジャメントの設定であってもよい。該基地局は、該設定を、例えば、RRCシグナリングを用いて行ってもよい。該UEは、該解放のシグナリングを用いて、自UEに対するメジャメントを再度設定してもよい。このことにより、例えば、メジャメント設定における柔軟性向上が可能となる。
【0138】
基地局は、冗長構成を用いるUEのメジャメント報告開始/停止条件と、冗長構成を用いないUEのメジャメント報告開始/停止条件を異ならせてもよい。該メジャメント報告は、例えば、非特許文献22(TS38.331)および/あるいは非特許文献23(TS36.331)において開示されたイベント契機によるメジャメントの報告であってもよい。基地局は、該開始/停止条件を異ならせる動作を、例えば、該開始/停止の閾値を異ならせることによって行ってもよい。基地局は、例えば、冗長経路の情報として後述する(1)の情報を、該開始/停止条件を異ならせるかどうかの判断に用いてもよい。
【0139】
基地局は、例えば、冗長構成を用いるUEのメジャメント報告開始/停止条件を、冗長構成を用いないUEのメジャメント報告開始/停止条件よりも、緩和してもよい。このことにより、例えば、冗長構成を用いない場合に比べて、通信品質が悪化する前のハンドオーバが可能となる。その結果、自冗長構成のハンドオーバ抑制中の通信品質悪化による自冗長構成のリンク断の防止が可能となる。
【0140】
他の例として、基地局は、冗長構成を用いるUEのメジャメント報告開始/停止条件を、冗長構成を用いないUEのメジャメント報告開始/停止条件よりも、厳しくしてもよい。このことにより、例えば、ハンドオーバの頻度を削減可能とし、その結果、通信効率を向上可能とする。
【0141】
基地局は、冗長経路を用いるUEのRLF検出前において、他の冗長経路上の基地局に対し、自基地局のUEがRLFになりそうな旨を通知してもよいし、自基地局のUEからの上り信号を所定の時間受信できない旨を通知してもよい。該通知は、AMF経由で行われてもよい。基地局は、例えば、該UEからの上り信号を所定の時間受信できない場合において、該通知を行ってもよい。他の冗長経路上の基地局は、該通知を用いて、UEのハンドオーバ抑制を行ってもよいし、UEに対してメジャメント報告の抑制を行ってもよい。このことにより、例えば、他の冗長経路におけるハンドオーバ開始後に自冗長経路がRLFあるいはビームフェイリャとなることの防止が可能となる。その結果、両方の通信路が断となることの防止が可能となる。
【0142】
該所定の時間は、規格で決められてもよい。例えば、該所定の時間は、TSCの周期よりも短い時間として定められてもよい。他の例として、該所定の時間を、基地局が決定してもよい。例えば、基地局は、該所定の時間を、TSCの周期よりも短い時間として決定してもよい。基地局は該所定の時間を、準静的に、例えば、RRCシグナリングを用いて、UEに通知してもよい。このことにより、例えば、該所定の時間の通知における信頼性の向上が可能となる。他の例として、基地局は該所定の時間を、動的に、例えば、MACシグナリングを用いて、UEに通知してもよい。このことにより、例えば、基地局は該所定の時間の迅速な通知が可能となる。他の例として、基地局は該所定の時間を、L1/L2シグナリングを用いて通知してもよい。このことにより、例えば、基地局は該所定の時間のさらに迅速な通知が可能となる。
【0143】
前述の基地局は、UEからの上り信号受信を契機として、他の冗長経路上の基地局に対し、自基地局のUEとの通信が回復したことを示す情報を通知してもよい。該通知は、AMF経由で行われてもよい。基地局は該通知を、例えば、該UEからの上り信号を所定の時間受信できないことを示す情報を他の冗長経路上の基地局に送信した場合に行うとしてもよい。他の冗長経路上の基地局は、該通知を用いて、UEのハンドオーバ抑制を解除してもよいし、UEに対してメジャメント報告の抑制を解除してもよい。このことにより、例えば、UEとの通信経路が回復した場合において、他の冗長経路においてUEがハンドオーバを出来ない状態が継続することの防止が可能となる。
【0144】
UEは基地局に対し、冗長経路に関する情報を通知してもよい。例えば、UEは該情報を、RRCシグナリングを用いて通知してもよい。基地局はAMFに対し、該情報を転送してもよい。例えば、基地局は該情報を、N2インタフェース上のシグナリングを用いて、AMFに転送してもよい。他の例として、UEはAMFに対し、該情報を通知してもよい。UEは該情報を、NASシグナリングを用いてAMFに転送してもよい。
【0145】
冗長経路に関する情報の例として、以下の(1)~(17)を開示する。
【0146】
(1)冗長経路を用いた通信の有無に関する情報。
【0147】
(2)冗長経路の形態に関する情報。
【0148】
(3)送受信ホストにおける冗長経路の個数に関する情報。
【0149】
(4)自UEが用いる冗長経路の識別子。
【0150】
(5)自UEの識別子。例として、以下(5-1)~(5-5)を開示する。
【0151】
(5-1)自UEのIMSI(International Mobile Subscriber Identity;国際加入者識別番号)。
【0152】
(5-2)自UEのMSISDN(Mobile Subscriber Integrated Services Digital Network Number)。
【0153】
(5-3)自UEの5G-S-TMSI(5G S-Temporary Mobile Subscription Identifier)。
【0154】
(5-4)自UEのUE-ID。
【0155】
(5-5)前述の(5-1)~(5-4)の組合せ。
【0156】
(6)冗長経路の組合せに関する情報。
【0157】
(7)他の冗長経路の識別子。
【0158】
(8)他の冗長経路上のUEの識別子。例として、以下(8-1)~(8-5)を開示する。
【0159】
(8-1)他の冗長経路上のUEのIMSI(International Mobile Subscriber Identity;国際加入者識別番号)。
【0160】
(8-2)他の冗長経路上のUEのMSISDN(Mobile Subscriber Integrated Services Digital Network Number)。
【0161】
(8-3)他の冗長経路上のUEの5G-S-TMSI(5G S-Temporary Mobile Subscription Identifier)。
【0162】
(8-4)他の冗長経路上のUEのUE-ID。
【0163】
(8-5)前述の(8-1)~(8-4)の組合せ。
【0164】
(9)自冗長経路において接続される基地局に関する情報。
【0165】
(10)自冗長経路において接続されるAMFに関する情報。
【0166】
(11)自冗長経路において接続されるUPFに関する情報。
【0167】
(12)自冗長経路において接続されるSMFに関する情報。
【0168】
(13)他冗長経路において接続される基地局に関する情報。
【0169】
(14)他冗長経路において接続されるAMFに関する情報。
【0170】
(15)他冗長経路において接続されるUPFに関する情報。
【0171】
(16)他冗長経路において接続されるSMFに関する情報。
【0172】
(17)前述の(1)~(16)の組合せ。
【0173】
前述の(1)の情報は、例えば、自UEは冗長通信を構成するかどうかを示す情報であってもよい。NW装置は、該情報を、該UEに対するメジャメント設定に用いてもよい。このことにより、例えば、冗長経路を構成するUEに対してモビリティの発生回数を削減可能となり、その結果、モビリティによる通信断の回数の削減が可能となる。
【0174】
前述の(2)の情報は、例えば、複数のUEのそれぞれが、異なる基地局、UPFに接続されることによって冗長経路が構成されていることを示す情報であってもよいし、1つのUEが複数の基地局、複数のUPFに接続されることによって冗長経路が構成されていることを示す情報であってもよいし、1つのUEが1つの基地局、1つあるいは複数のUPFに接続されることによって冗長経路が構成されていることを示す情報であってもよい。UEは、自UEが取ることのできる構成に関する情報を、UEケーパビリティとして保持してもよいし、SIMに保持してもよい。コアNW装置は、前述の(2)の情報を用いて、UEの冗長構成を決定してもよい。このことにより、例えば、送受信ホスト間において、通信環境等に応じて最適な冗長経路の構成が可能となる。
【0175】
前述の(3)に関する冗長経路は、例えば、2個であってもよいし、3個以上であってもよい。NW装置は、該情報を用いて、他のNWに対して他の冗長経路に関する情報を問い合わせてもよい。このことにより、例えば、NW装置は、他の冗長経路に関する情報の問合せを必要な数だけ実行可能となる。その結果、通信システムにおけるシグナリング効率が向上可能となる。
【0176】
前述の(4)の情報は、例えば、0または1から始まる連番によって表現されてもよいし、ビットマップを用いたフラグの形態によって表現されてもよいし、他の形態によって表現されてもよい。NW装置は、該情報を用いて、他のNW装置からのシグナリング(例えば、問合せ)が自冗長経路に関するかどうかを判断してもよい。このことにより、例えば、通信システムにおけるシグナリング効率が向上可能となる。
【0177】
前述の(5)の情報として、例えば、(5-1)および/あるいは(5-2)の情報を用いてもよい。このことにより、各冗長経路において用いるNW(例えば、PLMN)が異なる場合においても、他の経路上のUEを特定可能となり、その結果、冗長経路の制御における複雑性の回避が可能となる。他の例として、(5-3)および/あるいは(5-4)の情報を用いてもよい。このことにより、UEを迅速に特定可能となる。前述の(5)の情報に、該識別子の種別に関する情報が含まれてもよい。このことにより、例えば、NW装置は、該識別子の種別を迅速に把握可能となり、その結果、通信システムにおける処理を迅速に実行可能となる。
【0178】
前述の(6)の情報は、例えば、冗長経路の組を識別する識別子であってもよい。このことにより、例えば、NW装置は自冗長経路と組となる冗長経路を迅速に識別可能となる。他の例として、冗長経路の組を構成するUEの識別子、例えば、前述の(5-1)、(5-2)、(8-1)、(8-2)あるいは前述の組合せを用いてもよい。このことにより、例えば、前述と同様の効果が得られる。
【0179】
前述の(7)の情報は、前述の(4)の情報と同様であってもよい。このことにより、例えば、前述の(4)と同様の効果が得られる。
【0180】
前述の(8)の情報は、前述の(5)の情報と同様であってもよい。このことにより、例えば、前述の(5)と同様の効果が得られる。
【0181】
前述の(9)の情報は、例えば、非特許文献16(TS38.300)に開示されたgNB-IDであってもよいし、NRセルグローバルIDであってもよいし、グローバルgNB-IDであってもよいし、該基地局のネットワークアドレス(例、IPアドレス)であってもよい。
【0182】
基地局は、自冗長経路に関する(9)の情報を、他の冗長経路の各装置に通知してもよい。該通知に、前述の(5)の情報が含まれてもよい。該通知を、AMFが行ってもよいし、SMFが行ってもよい。他の冗長経路の各装置、例えば、他の冗長経路の基地局は、(9)の情報が自基地局を指していること、また、接続しようとしているUEが(5)の情報において示されるUEであることを用いて、該UEからの接続要求を拒否してもよい。このことにより、例えば、複数の冗長経路において基地局が重複することによって冗長度が低下するのを防止可能となる。
【0183】
前述の(10)の情報は、例えば、非特許文献16(TS38.300)に開示されたAMF名(AMF Name)であってもよいし、非特許文献24(TS23.501)に開示されたGUAMI(Globally Unique AMF Identifier)であってもよいし、該AMFのネットワークアドレス(例、IPアドレス)であってもよい。あるいは、前述の(10)の情報は、例えば、非特許文献24に開示された、AMFリージョンID、AMFセットID、AMFポインタのうちの1つまたは複数から構成される識別子であってもよい。
【0184】
基地局は、自冗長経路に関する(10)の情報を、他の冗長経路の各装置に通知してもよい。該通知を、AMFが行ってもよいし、SMFが行ってもよい。他の冗長経路の各装置、例えば、他の冗長経路の基地局は、(10)の該情報と同じAMFに接続してもよい。このことにより、例えば、冗長経路を用いた通信を効率的に実行可能となる。他の例として、他の冗長経路の該基地局は、(10)の該情報と異なるAMFに接続してもよい。このことにより、例えば、Cプレインにおける冗長度を向上可能となり、その結果、通信システムの堅牢性を向上可能となる。
【0185】
前述の(11)の情報は、例えば、非特許文献25(TS23.502)に開示されたUPF IDであってもよいし、該UPFのネットワークアドレス(例、IPアドレス)であってもよい。
【0186】
基地局は、自冗長経路に関する(11)の情報を、他の冗長経路の各装置に通知してもよい。該通知を、AMFが行ってもよいし、SMFが行ってもよい。他の冗長経路の各装置、例えば、他の冗長経路のSMFは、自SMFの冗長経路において用いるUPFを制限してもよい。例えば、該SMFは、該情報に含まれるUPFに接続しないとしてもよい。このことにより、例えば、複数の冗長経路においてUPFが重複することによって冗長度が低下するのを防止可能となる。
【0187】
前述の(12)の情報は、例えば、非特許文献25(TS23.502)に開示されたSMF IDであってもよいし、該基地局のネットワークアドレス(例えば、IPアドレス)であってもよい。
【0188】
基地局は、自冗長経路に関する(12)の情報を、他の冗長経路の各装置に通知してもよい。該通知を、AMFが行ってもよいし、SMFが行ってもよい。他の冗長経路の各装置、例えば、他の冗長経路のAMFは、(12)の該情報と同じSMFに接続してもよい。このことにより、例えば、冗長経路を用いた通信を効率的に制御可能となる。他の例として、該AMFは、(12)の該情報と異なるSMFに接続してもよい。このことにより、例えば、Cプレインにおける冗長度を向上可能となり、その結果、通信システムの堅牢性を向上可能となる。
【0189】
前述の(13)の情報は、例えば、前述の(9)の情報と同様であってもよい。UEは、前述の(13)の情報を用いて、接続先基地局を決定してもよい。このことにより、例えば、複数の冗長経路において基地局が重複することによって冗長度が低下するのを防止可能となる。
【0190】
前述の(14)の情報は、例えば、前述の(10)の情報と同様であってもよい。基地局は、前述の(14)の情報を用いて、UEのN1インタフェース上での接続先となるAMFを決定してもよい。例えば、基地局は、UEの接続先AMFを、前述の(14)と同じAMFに決定してもよい。このことにより、例えば、冗長経路を用いた通信を効率的に実行可能となる。他の例として、基地局は、UEの接続先AMFを、前述の(14)と異なるAMFに決定してもよい。このことにより、例えば、Cプレインにおける冗長度を向上可能となり、その結果、通信システムの堅牢性を向上可能となる。
【0191】
前述の(15)の情報は、例えば、前述の(11)の情報と同様であってもよい。SMFは、前述の(15)の情報を用いて、自SMFの冗長経路において用いるUPFを制限してもよく、例えば、該情報に含まれるUPFに接続しないとしてもよい。このことにより、例えば、複数の冗長経路においてUPFが重複することによって冗長度が低下するのを防止可能となる。
【0192】
前述の(16)の情報は、例えば、前述の(12)の情報と同様であってもよい。AMFは、前述の(16)の情報と同じSMFに接続してもよい。このことにより、例えば、冗長経路を用いた通信を効率的に制御可能となる。他の例として、AMFは、(16)の該情報と異なるSMFに接続してもよい。このことにより、例えば、Cプレインにおける冗長度を向上可能となり、その結果、通信システムの堅牢性を向上可能となる。
【0193】
前述の(1)~(8)の情報は、例えば、UEケーパビリティに含まれてもよいし、UEのSIMの中に含まれてもよい。
【0194】
UEは冗長経路に関する該情報を、NWへの登録(Registration)の時に通知してもよい。UEは該情報を、例えば、基地局に対して通知してもよい。例えば、UEは、該情報を、Registration Requestのシグナリングに含めて通知してもよい。他の例として、UEは該情報を、PDUセッション確立時に通知してもよい。他の例として、UEは該情報を、サービスリクエスト時に通知してもよい。他の例として、UEは該情報を、AMFとの間の接続確立時に通知してもよい。例えば、UEは該情報を、AMFに対して通知してもよい。
【0195】
基地局は、該情報を用いて、UEの接続先のAMFを決定してもよい。該AMFは、該情報を用いて、SMFを決定してもよい。SMFは、該情報を用いて、UEの接続先のUPFを決定してもよい。AMF、SMF、および/あるいはUPFの該決定は、NWへの登録(Registration)のプロシージャにおいて行われてもよいし、PDUセッション確立のプロシージャにおいて行われてもよいし、サービスリクエストのプロシージャにおいて行われてもよい。このことにより、例えば、AMF、SMF、および/あるいはUPFの該決定後においてAMF、SMF、および/あるいはUPFの変更の可能性の減少が可能となる。その結果、通信システムにおけるプロシージャの発生によるシグナリング量を削減可能となる。
【0196】
AMF、SMF、および/あるいはUPFの決定に関する他の例として、デフォルトの接続先となるAMF、SMF、および/あるいはUPFが存在してもよい。デフォルトの接続先に関する情報を、例えば、UEが有してもよいし、基地局が有してもよいし、AMFが有してもよいし、SMFが有してもよい。例えば、基地局は、デフォルトの接続先となるAMFを有してもよいし、AMFは、デフォルトの接続先となるSMFを有してもよいし、SMFは、デフォルトの接続先となるUPFを有してもよい。前述の各装置は、冗長経路に関する情報を用いて、接続先のAMF、SMF、および/あるいはUPFを決定しなおしてもよい。このことにより、例えば、通信システムにおける複雑性を回避可能となる。
【0197】
冗長経路に関する情報に関する他の例として、冗長経路に関する情報を、NW装置が導出してもよい。前述のNW装置は、基地局であってもよいし、AMFであってもよいし、SMFであってもよいし、UDMであってもよい。例えば、AMFは、導出した該情報を、基地局に通知してもよいし、SMFに通知してもよい。他の例として、UDMは、導出した該情報を、AMFに通知してもよいし、SMFに通知してもよい。AMFは、UDMが導出した該情報を、基地局に通知してもよいし、SMFに通知してもよい。このことにより、例えば、UEと基地局との間のシグナリング量を削減可能となる。
【0198】
他の例として、UEからの冗長経路に関する情報の通知と、NW装置における該情報の導出が組合せて用いられてもよい。例えば、UEはNW装置に対し、冗長経路に関する情報の例として開示した(1)~(8)あるいはその組合せを通知してもよい。UEからNW装置に対して通知する前述の(8)の情報は、例えば、(8-1)および/あるいは(8-2)であってもよい。NW装置は、UEからの該情報を用いて、冗長経路に関する情報の例として開示した(8)~(16)あるいはその組合せを導出してもよい。NW装置が導出する前述の(8)の情報は、例えば、(8-3)および/あるいは(8-4)であってもよい。このことにより、例えば、UEと基地局との間のシグナリング量を削減可能としつつ、NW装置における処理量が削減可能となる。
【0199】
基地局は、他の冗長経路に関する情報を取得してもよい。基地局が取得する該情報は、例えば、前述において冗長経路に関する情報の例として開示した(8)~(16)あるいはその組合せであってもよい。基地局は、該情報、例えば、他の冗長経路において用いられる基地局の情報を用いて、自冗長経路におけるUEが接続する基地局を切替えてもよいし、該UEのハンドオーバ先基地局を選択してもよい。例えば、基地局は、自冗長経路におけるUEのハンドオーバ先決定にあたり、他の冗長経路において使用中の基地局をハンドオーバ先から除外してもよい。このことにより、例えば、複数の冗長経路上のUEが、異なる基地局に接続することを可能とし、その結果、冗長経路の堅牢性を向上可能となる。
【0200】
基地局は、該情報をAMFに要求してもよい。基地局は、例えば、冗長経路に関する情報の例として開示した(1)の情報が是であることを用いて、該要求を行ってもよい。基地局は、該要求に、冗長経路に関する情報の一部、例えば、前述において冗長経路に関する情報の例として開示した(1)~(8)あるいはその組合せを含めてもよい。AMFは、該要求を用いて、該情報を導出してもよい。AMFは、該要求を契機として、該情報を基地局に通知してもよい。このことにより、例えば、基地局における該情報の導出に係る処理量を削減可能となる。
【0201】
AMFは、該情報をUDMに要求してもよい。AMFは、例えば、冗長経路に関する情報の例として開示した(1)の情報が是であることを用いて、該要求を行ってもよい。AMFは、該要求に、冗長経路に関する情報の一部、例えば、前述において冗長経路に関する情報の例として開示した(8-1)および/あるいは(8-2)を含めてもよい。UDMは、AMFからの該情報を用いて、冗長経路に関する情報を導出してもよい。例えば、UDMは、AMFから通知された前述の(8-1)および/あるいは(8-2)の情報を用いて、他冗長経路において接続されるAMFに関する情報、例えば、該AMFの識別子を導出してもよい。UDMは、導出した該情報をAMFに通知してもよい。AMFは、該情報を用いて、他の冗長経路に関する情報を、他冗長経路上のAMFに要求してもよい。他冗長経路上のAMFは、該要求を用いて、該AMFが接続する自冗長経路に関する情報、例えば、該冗長経路が用いる基地局を導出してもよい。他冗長経路上のAMFは、導出した該情報を、AMFに通知してもよい。AMFは、通知された該情報を、基地局に通知してもよい。このことにより、例えば、他冗長経路で用いるAMFが自AMFと異なる場合においても、自冗長経路におけるNW装置は他冗長経路に関する情報を取得可能となる。
【0202】
基地局は該情報を、UEのNWへの登録(Registration)の時に要求してもよい。例えば、基地局は、UEからRegistration Requestのシグナリングを受信したことを契機として、該情報を要求してもよい。基地局は、該要求を、自基地局からAMFに送信するRegistration Requestのシグナリングに含めてもよい。AMFは該情報を、UEのNWへの登録(Registration)の時に要求してもよい。例えば、AMFは、基地局からRegistration Requestのシグナリングを受信したことを契機として、該情報を要求してもよい。
【0203】
他の例として、基地局は該情報を、UEのサービスリクエスト時に要求してもよい。例えば、基地局は、UEからService Requestのシグナリングを受信したことを契機として、該情報を要求してもよい。AMFは該情報を、UEのNWへの登録(Registration)の時に要求してもよい。基地局は、該要求を、自基地局からAMFに送信するService Requestのシグナリングに含めてもよい。AMFは該情報を、UEのサービスリクエスト時に要求してもよい。例えば、AMFは、基地局からService Requestのシグナリングを受信したことを契機として、該情報を要求してもよい。
【0204】
他の例として、AMFは該情報を、UEのPDUセッション確立時に要求してもよい。例えば、AMFは、UEからPDUセッション確立要求(PDU Session Establishment Request)を受信したことを契機として、該情報を要求してもよい。
【0205】
UE、基地局、AMFおよび/あるいはSMFは、自冗長経路に関する情報を、他の冗長経路上のNW装置に通知してもよい。UE、基地局、AMFおよび/あるいはSMFが通知する該情報は、例えば、前述において冗長経路に関する情報の例として開示した(1)~(17)のうちの一部または全部(例えば、(1)~(6)、(9)~(12)あるいはその組合せ)であってもよい。該情報の通知を、AMFが行ってもよいし、SMFが行ってもよい。他の冗長経路上のNW装置は、該情報を用いて、自冗長経路において接続する基地局、UPF、AMF、および/あるいはSMFを決定してもよいし、切替えてもよい。例えば、他の冗長経路上のNW装置は、該情報に含まれる基地局および/あるいはUPFを除外して、自冗長経路において用いる基地局および/あるいはUPFを決定してもよい。このことにより、例えば、複数の冗長経路上のUEが、異なる基地局および/あるいはUPFに接続することを可能とし、その結果、冗長経路の堅牢性を向上可能となる。
【0206】
例えば、UEのハンドオーバにおいて、UEは、自UEの冗長経路とは異なる冗長経路上の基地局に接続できないとしてもよい。該基地局は、該UEの移動元基地局からのハンドオーバ要求(Handover Request)を拒否する旨を、移動元基地局に通知してもよい。拒否する旨の該通知は、例えば、HANDOVER PREPARATION FAILUREのシグナリングを用いて行われてもよい。拒否する旨の該通知に、理由が含まれてもよい。該理由は、例えば、他の冗長経路上のUEと接続済みであることを示す情報を含んでもよい。
【0207】
他の例として、UEのセル選択および/あるいはセル再選択において、UEは、自UEの冗長経路とは異なる冗長経路上の基地局に接続できないとしてもよい。該基地局は、UEとの間のランダムアクセス処理において、自基地局と接続できない旨をUEに通知してもよい。該通知は、例えば、ランダムアクセスのメッセージ4を用いて行われてもよいし、メッセージ2を用いて行われてもよい。該通知に、理由が含まれてもよい。該理由は、例えば、他の冗長経路上のUEと接続済みであることを示す情報を含んでもよい。
【0208】
他の例として、UEのハンドオーバにおいて、他の冗長経路上のUEの新たな接続先となった基地局は、接続中の他のUEに対して、ハンドオーバを指示してもよい。基地局は接続中の他のUEに対し、該指示を、RRCシグナリング、例えば、RRC再設定(RRCReconfiguration)を用いて行ってもよい。該指示には、理由が含まれてもよい。該理由は、例えば、他の冗長経路上のUEと接続済みであることを示す情報を含んでもよい。
【0209】
基地局は、自基地局へのUEのハンドオーバの拒否と、接続中のUEのハンドオーバの指示のいずれを行うかを判断してもよい。基地局は、例えば、各UEからのメジャメント報告を用いて、該判断を行ってもよい。移動元基地局は、該基地局に対し、UEのメジャメント報告を通知してもよい。基地局は、移動元基地局に対し、UEのメジャメント報告を要求してもよい。このことにより、例えば、両方の冗長経路における通信品質の安定性を向上可能となる。
【0210】
基地局は、UEへのメジャメント設定において、自冗長経路において接続可能な基地局あるいはセルを、測定対象の基地局あるいはセルとして設定してもよいし、測定結果報告対象の基地局あるいはセルとして設定してもよい。前述の、自冗長経路において接続可能な基地局あるいはセルは、例えば、他の冗長経路において用いられていない基地局あるいはセルであってもよい。このことにより、例えば、複数の冗長経路において基地局が重複することによって冗長度が低下するのを防止可能となる。他の例として、他の冗長経路において用いられている基地局あるいはセルが、自冗長経路において接続可能な基地局あるいはセルに含まれてもよい。このことにより、例えば、自冗長経路におけるハンドオーバ先基地局の候補が、他の冗長経路において用いられている基地局以外に見つからない場合においても、ハンドオーバが可能となる。その結果、両方の冗長経路における通信品質の安定性を向上可能となる。
【0211】
基地局からUEへのメジャメント設定における他の例として、自冗長経路において接続不可能な基地局あるいはセルを、測定対象の基地局あるいはセルから除外してもよいし、測定結果報告対象の基地局あるいはセルから除外してもよい。このことにより、例えば、接続可能な基地局あるいはセルの数が少ない場合において、メジャメント設定に係るシグナリング量を削減可能となる。前述の、自冗長経路において接続不可能な基地局あるいはセルは、例えば、他の冗長経路において用いられている基地局あるいはセルであってもよい。
【0212】
UE、基地局、AMFおよび/あるいはSMFから他の冗長経路上のNW装置への通知は、UE側のホストを経由して行われてもよいし、UE間通信(例えば、サイドリンク)を経由して行われてもよい。他の例として、該通知は、基地局を経由して、例えば、Xnインタフェースを経由して行われてもよい。他の例として、該通知は、AMFを経由して行われてもよく、例えば、基地局、AMF、他の冗長経路上の基地局を経由して行われてもよいし、AMF間インタフェースを経由して行われてもよい。AMF間インタフェースが設けられてもよい。他の例として、該通知は、SMFを経由して、例えば、SMF間インタフェースを用いて行われてもよい。他の例として、該通知は、AMFから他の冗長経路上のSMFを経由して行われてもよい。他の例として、該通知は、UPFを経由して行われてもよいし、DNを経由して行われてもよい。該通知は、自経路上のUEとの間で通信ができないことを示す情報の通知であってもよいし、自経路上のUEとの間の通信が復旧したことを示す情報の通知であってもよいし、冗長経路に関する情報の通知であってもよい。
【0213】
基地局はUEに、UEが接続できないセルあるいは基地局に関する情報(例えば、セルあるいは基地局のブラックリスト)を、個別に通知してもよいし、報知してもよい。該報知は、例えば、システム情報を用いて行われてもよい。基地局は、他の冗長経路から通知された、該冗長経路に関する情報を用いて、UEが接続できないセルに関する情報を構成してもよい。基地局は、セルに接続できないUEに関する情報、例えば、UEの識別子を、UEに通知あるいは報知する情報に含めてもよい。UEは、該情報を用いて、基地局への接続を行ってもよい。このことにより、例えば、UEは、接続できないセルを迅速に把握可能となる。
【0214】
基地局は、自基地局が含まれる冗長経路に関する情報を、UEに通知してもよいし、報知してもよい。該情報は、自基地局が接続可能な冗長経路に関する情報であってもよい。該報知は、例えば、システム情報を用いて行われてもよい。該情報は、例えば、自基地局が含まれる信頼性グループ(Reliability Group)(非特許文献24(TS23.501)参照)の情報であってもよいし、自基地局が含まれる冗長経路に関する(1)~(17)の情報あるいはその組合せであってもよい。UEは、該情報を用いて、基地局への接続を行ってもよい。例えば、UEは、該基地局が自冗長経路において接続可能である場合において、該基地局に接続してもよい。このことにより、例えば、UEは接続可能な基地局を迅速に把握可能となる。
【0215】
図14図16は、複数のUEを用いた冗長経路を用いた通信の確立を示すシーケンス図である。図14図16は境界線BL1415、BL1516の位置でつながっている。図14図16は、2つの冗長経路が用いられ、1つの冗長経路(以下、冗長経路#1と称する場合がある)においてUE#1、基地局#1、AMF#1、UPF#1、SMF#1が用いられ、もう1つの冗長経路(以下、冗長経路#2と称する場合がある)においてUE#2、基地局#2、AMF#2、UPF#2、SMF#2が用いられ、端末側のホストにおいて互いに異なるUE#1、UE#2がそれぞれ基地局#1、基地局#2と接続し、ネットワーク側のホストとの間の通信に用いられる場合について示している。なお、図14図16では「基地局#1」、「基地局#2」を「BS#1」、「BS#2」と表記している。図14図16は、UE#1およびUE#2におけるPDUセッション確立について示している。
【0216】
図14に示すステップST1401において、UE#1はAMF#1に対してPDUセッション確立を要求する。該要求は、UE#1および/あるいはUE#2を用いた冗長経路に関する情報を含んでもよい。
【0217】
図14に示すプロシージャ1402において、PDUセッション確立が行われる。
【0218】
図14に示すステップST1403において、AMF#1は、SMF選択を行う。ステップST1405において、AMF#1はSMF#1に対し、PDUセッションの生成を要求する。ステップST1407において、SMF#1はUDM#1との間で、加入者情報の問い合わせおよび取得を行う。ステップST1409において、SMF#1はAMF#1に対し、PDUセッション作成要求に対する応答を通知する。ステップST1411において、PDUセッションの認証/認可が行われる。
【0219】
図14に示すステップST1413において、SMF#1はUE#1との接続に用いるPCFを選択する。ステップST1415において、SMF#1とPCF#1との間で、セッション管理ポリシー関連情報の確立を行う。ステップST1417において、SMF#1は、UE#1の通信に用いるUPFを選択する。ステップST1418において、SMF#1とPCF#1との間で、セッション管理ポリシー関連情報の変更が行われてもよい。ステップST1418において、例えば、SMF#1がPCF#1に対して、UEに割当てたIPアドレスに関する情報を送信してもよい。図15に示すステップST1419において、SMF#1はUPF#1に対して、N4セッション確立を要求する。ステップST1421において、UPF#1はSMF#1に対して、ステップST1419の要求に対する応答を通知する。
【0220】
図15に示すステップST1423において、SMF#1とAMF#1との間で、コアNWにおいて導出したRANパラメータを送受信する。ステップST1425において、AMF#1は基地局#1に対して、N2インタフェース上のPDUセッション要求を送信する。ステップST1425の要求は、ステップST1423において送受信されたパラメータを含んでもよい。ステップST1427において、基地局#1はUE#1に対し、RAN設定要求を送信する。該要求は、PDUセッション確立要求に対する応答を含んでもよい。ステップST1427は、例えば、RRC再設定(RRCReconfiguration)のシグナリングを用いて行われてもよい。ステップST1429において、基地局#1はAMF#1に対し、N2インタフェース上のPDUセッション要求に対する応答を通知する。
【0221】
図15に示すステップST1431において、UE#1はUPF#1に対して最初の上りデータを送信する。
【0222】
図15に示すステップST1433において、AMF#1はSMF#1に対して、PDUセッションの更新を要求してもよい。該要求は、基地局#1から受信したセッション管理情報を含んでもよい。
【0223】
図15に示すステップST1435において、SMF#1はUPF#1に対して、N4セッション変更(modification)を要求してもよい。ステップST1437において、UPF#1はSMF#1に対して、N4セッション変更要求に対して応答してもよい。
【0224】
図16に示すステップST1439において、UPF#1はUE#1に対して最初の下りデータを送信する。
【0225】
図16に示すステップST1441において、SMF#1はAMF#1に対して、PDUセッションの更新の要求に対する応答を通知してもよい。
【0226】
図16に示すステップST1443およびST1444において、SMF#1はUE#1に対して、IPv6ルータアドバタイズメントを、UPF#1経由で通知する。
【0227】
図16に示すステップST1450において、AMF#1はAMF#2に対して、冗長経路#1に対する情報を通知する。該通知は、例えば、冗長経路#1のPDUセッションに関する通知でもよい。該通知に用いられるシグナリングが新たに設けられてもよい。該情報は、冗長経路に関する情報として開示した(1)~(17)の情報を含んでもよい。ステップST1452において、AMF#2は基地局#2に対し、該情報を転送してもよい。ステップST1454において、基地局#2はUE#2に対し、該情報を転送してもよい。
【0228】
図16に示すステップST1456において、UE#2はAMF#2に対して、PDUセッション確立を要求する。該要求は、UE#1および/あるいはUE#2を用いた冗長経路に関する情報を含んでもよい。
【0229】
図16に示すプロシージャ1460において、プロシージャ1402と同様の処理が行われる。
【0230】
図16に示すステップST1470において、AMF#2はAMF#1に対して、冗長経路#2に対する情報を通知する。該通知は、例えば、ステップST1450と同様の通知であってもよい。該情報は、冗長経路に関する情報として開示した(1)~(17)の情報を含んでもよい。ステップST1472において、AMF#1は基地局#1に対し、該情報を転送してもよい。ステップST1474において、基地局#1はUE#1に対し、該情報を転送してもよい。
【0231】
図14図16において、冗長経路#1において用いられるAMF#1が、冗長経路#2において用いられるAMF#2とは異なる場合について示したが、同じAMFを利用してもよい。このことにより、例えば、冗長経路#1、#2の制御における複雑性を回避可能となる。
【0232】
図14図16において、AMF#1からの冗長経路#1に関する情報を、AMF#2経由で基地局#2に通知する場合について示したが、AMF#1から直接、基地局#2に該情報を通知してもよい。このことにより、例えば、冗長経路に関する通知を迅速に実行可能となる。
【0233】
図14図16において、冗長経路#1に関する情報をAMF#1が通知する場合について示したが、該情報を基地局#1が通知してもよい。基地局#1は該通知を、AMF#2に対して行ってもよいし、AMF#2経由で基地局#2に対して行ってもよいし、基地局#2に対して直接行ってもよい。このことにより、例えば、通信システムにおける柔軟性を向上可能となる。
【0234】
図17図19は、冗長経路#1のUE#1がハンドオーバする場合において、冗長経路#2を用いるUE#2のハンドオーバを抑制する動作およびその抑制を解除する動作を示す図である。図17図19は境界線BL1718、BL1819の位置でつながっている。図17図19は、UE#1が基地局#1-1から基地局#1-2にハンドオーバする場合について示している。なお、図17図19では「基地局#1-1」、「基地局#1-2」、「基地局#2」を「BS#1-1」、「BS#1-2」、「BS#2」と表記している。
【0235】
図17に示すステップST1501、ST1502において、UPF#1とUE#1との間でユーザデータの送受信が行われる。ステップST1501はUE#1と基地局#1-1との間のデータ送受信を示し、ステップST1502は基地局#1-1とUPF#1との間のデータ送受信を示す。
【0236】
図17に示すステップST1504において、AMF#1は基地局#1-1に対して、モビリティ制御情報を通知する。ステップST1506において、基地局#1-1はUE#1に対してメジャメント制御情報を通知し、UE#1は該制御情報を用いてメジャメントを行うとともに基地局#1-1に対してメジャメント報告を送信する。ステップST1510において、基地局#1-1は、UE#1を基地局#1-2にハンドオーバさせることを決定する。
【0237】
図17に示すステップST1512において、基地局#1-1はAMF#1に対して、UE#1がハンドオーバすることを通知する。該通知は、実施の形態1において冗長経路に関する情報として開示した(1)~(17)の情報を含んでもよい。基地局#1-1は、UE#1が冗長経路を用いた通信を行っているかどうかを、ステップST1512の通知の有無によって判断してもよい。ステップST1514において、AMF#1はAMF#2に対して、ステップST1512の情報を転送する。ステップST1516において、AMF#2は基地局#2に対して、ステップST1512の情報を転送する。
【0238】
図17において破線で示すプロシージャ1520において、基地局#2によるハンドオーバ決定抑止と、UE#2によるメジャメント報告抑止が行われる。
【0239】
図17に示すステップST1522において、基地局#2はUE#2のハンドオーバを抑止する。該指示は、ステップST1516を用いて行われてもよい。ステップST1524において、基地局#2はUE#2に対して、メジャメント報告の抑止を指示する。該指示は、RRCシグナリング、例えば、RRC再設定(RRCReconfiguration)を用いて行われてもよい。ステップST1526において、UE#2はメジャメント報告を抑止する。
【0240】
図17に示すステップST1530において、基地局#1-1は基地局#1-2に対して、UE#1に関するハンドオーバ要求を行う。ステップST1532において、基地局#1-2はUE#1の受け入れ制御(アドミッション制御)を行う。ステップST1534において、基地局#1-2は基地局#1-1に対して、ハンドオーバ要求に対する肯定応答を送信する。
【0241】
図17に示すステップST1536において、基地局#1-1とUE#1との間のハンドオーバが開始される。ステップST1536において、基地局#1-1はUE#1に対してハンドオーバを指示する。該指示は、例えば、RRC再設定(RRCReconfiguration)を用いて行われてもよい。ステップST1538において、UE#1は、該指示を用いて、基地局#1-1のセルとの接続を解放し、基地局#1-2のセルとの同期を行う。
【0242】
図17に示すステップST1540において、基地局#1-1は、UE#1との間で送受信したパケットのシーケンス番号に関するステータスを、基地局#1-2に転送する。図18に示すステップST1542、ST1543において、基地局#1-1は、UPF#1から受信したユーザデータを、基地局#1-2に転送する。ステップST1542はUPF#1から基地局#1-1へのユーザデータ送信を示し、ステップST1543は基地局#1-1から基地局#1-2へのユーザデータ転送を示す。ステップST1545において、基地局#1-2はST1543のデータを保持する。
【0243】
図18に示すステップST1550において、UE#1は基地局#1-2に対してハンドオーバ完了を通知する。ステップST1552、ST1553において、UE#1とUPF#1との間のデータ送受信が、基地局#1-2経由で行われる。ステップST1552はUE#1と基地局#1-2との間の上りデータ送信およびステップST1543で保持された下りデータ送信を示し、ステップST1553は基地局#1-2からUPF#1への上りデータ送信を示す。
【0244】
図18に示すステップST1555において、基地局#1-2はAMF#1に対してパス切替要求を行う。ステップST1557において、UPF#1は、UE#1に対する経路を、基地局#1-1から基地局#1-2に切替える。ステップST1559において、UPF#1はエンドマーカーパケットを基地局#1-1に送信する。ステップST1560において、基地局#1-1は基地局#1-2に対してエンドマーカーパケットを転送する。エンドマーカーパケット以降のパケットは、ステップST1562において、UPF#1と基地局#1-2との間で送受信される。
【0245】
図18に示すステップST1565において、AMF#1は基地局#1-2に対して、パス切替要求の肯定応答を送信する。ステップST1567において、基地局#1-2は基地局#1-1に対して、UEコンテキスト解放を指示する。基地局#1-1は該指示を用いてUE#1のUEコンテキストを解放する。
【0246】
図19において一点鎖線で示すプロシージャ1570において、UE#1のハンドオーバ完了の通知、基地局#2によるハンドオーバ決定の再開、およびUE#2によるメジャメント報告の再開が行われる。
【0247】
図19に示すステップST1572において、基地局#1-2はAMF#1に対し、UE#1のハンドオーバの完了を通知する。ステップST1574において、AMF#1はAMF#2に対して、UE#1のハンドオーバの完了を通知する。ステップST1576において、AMF#2は基地局#2に対して、UE#1のハンドオーバの完了を通知する。
【0248】
図19において二点鎖線で示すプロシージャ1577において、基地局#2によるハンドオーバ決定およびUE#2によるメジャメント報告が再開される。
【0249】
図19において示すステップST1578において、基地局#2はUE#2のハンドオーバ抑止を解除する。該解除は、ステップST1576を用いて行われてもよい。ステップST1580において、基地局#2はUE#2に対して、メジャメント報告の抑止解除を通知する。該通知は、RRCシグナリング、例えば、RRC再設定(RRCReconfiguration)を用いて行われてもよい。ステップST1582において、UE#2はメジャメント報告の抑止を解除する。
【0250】
複数の冗長経路上のUEが接続する基地局および/あるいはUPFを、AMFが決定あるいは調停してもよい。基地局はAMFに対し、複数の冗長経路上のUEが接続する基地局の決定あるいは調停を要求してもよい。基地局は、複数の冗長経路上のUEから接続要求(例えば、RRC確立のシグナリング)を受信した場合に、該要求を行ってもよい。あるいは、基地局は、ある冗長経路上のUEと接続中において他の冗長経路のUEからの接続要求を受信した場合において、該要求を行ってもよい。基地局は該要求に、該UEが用いる冗長経路に関する情報を含めてもよい。AMFは、例えば、冗長経路に関する該情報として開示した(1)~(17)の一部あるいは全部(例えば、(5)、(8)、(9)、および/あるいは(13))の情報を用いて、該決定あるいは調停を行ってもよい。他の例として、SMFはAMFに対し、複数の冗長経路上のUEが接続するUPFの決定あるいは調停を要求してもよい。SMFは該要求に、該UEが用いる冗長経路に関する情報を含めてもよい。AMFは、例えば、冗長経路に関する該情報として開示した(1)~(17)の一部あるいは全部(例えば、(5)、(8)、(11)、および/あるいは(15))の情報を用いて、該決定あるいは調停を行ってもよい。該決定あるいは調停は、例えば、複数の冗長経路において同じAMFが用いられる場合に行われてもよい。AMFは、例えば、自AMFに対して先に接続要求を行ったUEを優先してもよい。
【0251】
AMFは、基地局に対し、優先したUEに関する情報を通知してもよいし、優先しなかったUEに関する情報を通知してもよい。基地局は、該通知を用いて、優先したUEとの間の接続を確立してもよいし、優先しなかったUEからの接続要求を拒否してもよい。優先されなかった該UEは、該拒否の通知を用いて、他の基地局との間の接続を試みてもよい。他の例として、AMFはSMFに対し、優先したUEに関する情報を通知してもよいし、優先しなかったUEに関する情報を通知してもよい。SMFは、該通知を用いて、優先したUEが用いるUPFを決定してもよいし、優先しなかったUEが用いるUPFの決定をやり直してもよい。
【0252】
他の例として、複数の冗長経路上のUEが接続する基地局を、基地局自身が決定してもよい。基地局は、例えば、冗長経路に関する該情報として開示した(1)~(17)の一部あるいは全部(例えば、(5)、(8)、(9)、および/あるいは(13))の情報を用いて、該決定を行ってもよい。基地局は、例えば、自基地局に対して先に接続されたUEを優先してもよい。
【0253】
他の例として、複数の冗長経路上のUEが接続するUPFを、SMFが決定してもよい。SMFは、例えば、冗長経路に関する該情報として開示した(5)、(8)、(11)、および/あるいは(15)の情報を用いて、該決定を行ってもよい。該決定は、例えば、複数の冗長経路において同じSMFが用いられる場合に行われてもよい。
【0254】
他の例として、AMFは他のAMFに対して、複数の冗長経路上のUEが接続する基地局および/あるいはUPFに関する情報を問合せてもよい。他のAMFは、複数の冗長経路上のUEが接続する基地局、SMFおよび/あるいはUPFに関する情報を、該AMFに通知してもよい。該AMFは、該通知を用いて、配下のUEが接続する基地局、SMF、および/あるいはUPFを決定してもよい。
【0255】
他の例として、SMFは他のSMFに対して、複数の冗長経路上のUEが接続するUPFに関する情報を問合せてもよい。他のSMFは、複数の冗長経路上のUEが接続するUPFに関する情報を、該SMFに通知してもよい。該SMFは、該通知を用いて、配下のUEが接続するUPFを決定してもよい。
【0256】
他の例として、複数の冗長経路に優先順位が設けられてもよい。例えば、プライマリ冗長経路、セカンダリ冗長経路が設けられてもよい。該優先順位は静的に与えられてもよい。例えば、該優先順位はUEのSIMに格納されていてもよい。他の例として、該優先順位をNW装置、例えば、AMFが決定してもよいし、基地局が決定してもよい。
【0257】
複数の冗長経路におけるハンドオーバについて、先に開始されたハンドオーバが優先されてもよい。基地局は他の冗長経路上の基地局に対して、UEのハンドオーバに関する情報を通知してもよい。該通知は、AMFを経由して行われてもよい。
【0258】
他の例として、複数の冗長経路におけるハンドオーバについて、先に開始されたハンドオーバが優先されてもよい。基地局は他の冗長経路上の基地局に対して、UEのハンドオーバに関する情報を通知してもよい。該通知は、AMFを経由して行われてもよい。
【0259】
他の例として、プライマリ冗長経路におけるUEのハンドオーバが、セカンダリ冗長経路におけるUEのハンドオーバよりも優先されるとしてもよい。
【0260】
本実施の形態1において開示した、冗長経路に関する情報の、他の冗長経路の装置への通知が、冗長経路の装置の変更、例えば、基地局、AMF、SMF、および/あるいはUPFの切替を契機として行われてもよい。該通知を、基地局が行ってもよいし、AMFが行ってもよいし、SMFが行ってもよい。このことにより、例えば、各冗長経路において用いられる装置に関する情報を、冗長経路間で共有可能となる。その結果、複数の冗長経路において同じ装置を使用することによる冗長性の低下を防止可能となる。
【0261】
本実施の形態1によって、ある冗長経路において通信ができない間、他の冗長経路におけるハンドオーバを抑制可能となる。その結果、全ての冗長経路における通信断を防止可能となる。
【0262】
実施の形態1の変形例1.
ある冗長経路においてハンドオーバが発生した後に、他の冗長経路において、RLF、ビームフェイリャ、基地局とコアネットワークとの間の通信断、他の冗長経路におけるNWの各装置の電源切れ、および/あるいは、コアネットワーク間の通信断が発生した場合、いずれの冗長経路においても通信断が発生し、その結果、信頼性が確保できないという問題が生じる。
【0263】
本変形例1では、前述の問題を解決する方法を開示する。
【0264】
ハンドオーバのプロシージャを実行中の基地局は、ハンドオーバをキャンセルする。
【0265】
通信断冗長経路上の基地局は、非通信断冗長経路上の基地局に対し、通信断に関する情報を通知する。該情報は、例えば、実施の形態1において開示した、自経路のUEとの間で通信ができないことを示す情報と同様であってもよい。通信断冗長経路上の基地局は、非通信断冗長経路上の基地局に対し、自冗長経路に関する情報を通知してもよい。該情報は、実施の形態1において冗長経路に関する情報の例として開示した(1)~(17)の情報であってもよい。非通信断冗長経路上の基地局は、接続するUEについての移動前基地局であってもよい。
【0266】
非通信断冗長経路上の基地局は、通信断冗長経路上の基地局からの情報を用いて、ハンドオーバキャンセルの可否を判断する。該基地局は、移動先基地局に対して、ハンドオーバキャンセルを通知する。該基地局からのハンドオーバキャンセルの通知は、移動先基地局に対してハンドオーバ要求(Handover Request)を通知した場合において行うとしてもよい。
【0267】
該基地局から移動先基地局に対するハンドオーバキャンセル通知に、理由を含めてもよい。該理由は、例えば、他の冗長経路における通信断に関する情報であってもよい。移動先基地局は、該理由を用いて、例えば、ハンドオーバに係るUEに関する情報を保持してもよい。このことにより、例えば、移動先基地局へのハンドオーバ再開時における処理を迅速に実行可能となる。他の例として、ハンドオーバに係るUEの関する情報を解放してもよい。このことにより、例えば、移動先基地局におけるメモリ使用量を削減可能となる。
【0268】
非通信断冗長経路上の基地局は、ハンドオーバを抑制してもよい。該基地局は、UEに対し、メジャメント報告の抑制を指示してもよい。UEは、該指示を用いて、メジャメント報告を抑制してもよい。基地局および/あるいはUEにおける前述の動作は、通信断冗長経路上の基地局から通信断に関する情報を受信したことを契機として行ってもよい。該ハンドオーバ抑制およびメジャメント報告抑制は、実施の形態1と同様であってもよい。このことにより、例えば、UEにおける消費電力を削減可能となるとともに、UEと基地局との間のインタフェースにおけるシグナリング量を削減可能となる。
【0269】
他の例として、非通信断冗長経路上のUEは、基地局に対し、メジャメント報告を送信し続けてもよい。基地局は、該メジャメント報告を無視してもよい。このことにより、例えば、通信システムにおける複雑性を回避可能となる。
【0270】
通信断冗長経路上の基地局は、非通信断冗長経路上の基地局に対し、通信断からの回復に関する情報を通知してもよい。通信断冗長経路上の基地局は、非通信断冗長経路上の基地局に対し、自冗長経路に関する情報を通知してもよい。該情報は、実施の形態1において冗長経路に関する情報の例として開示した(1)~(17)の一部または全部の情報であってもよい。非通信断冗長経路上の基地局は、接続するUEについての移動前基地局であってもよい。
【0271】
非通信断冗長経路上の基地局は、ハンドオーバの抑制を解除してもよい。該基地局は、UEに対し、メジャメント報告の抑制解除を指示してもよい。UEは、該指示を用いて、メジャメント報告の抑制を解除してもよい。基地局および/あるいはUEにおける前述の動作は、通信断冗長経路上の基地局から通信断からの回復に関する情報を受信したことを契機として行ってもよい。該ハンドオーバ抑制解除およびメジャメント報告抑制解除は、実施の形態1と同様であってもよい。このことにより、例えば、UEはメジャメントを迅速に再開することが可能となる。
【0272】
他の例として、基地局は、該メジャメント報告の受信を再開してもよい。該再開の処理は、例えば、基地局が該メジャメント報告を無視する前述の例に適用されるとしてもよい。このことにより、例えば、通信システムにおける複雑性を回避可能となる。
【0273】
非通信断冗長経路上の基地局は、通信断冗長経路上の基地局からの情報を用いて、ハンドオーバを開始してもよい。該基地局は、移動先基地局として、キャンセル前の移動先基地局を選択してもよいし、異なる基地局を選択してもよい。このことにより、例えば、移動前基地局は、UEとの間の通信品質が良い基地局を、移動先基地局として選択可能となる。その結果、基地局とUEとの間の通信品質を維持可能となる。
【0274】
非通信断冗長経路上の基地局は、UEのハンドオーバのプロシージャが所定のステップまで進んだ場合には、UEのハンドオーバキャンセルを行わないとしてもよい。すなわち、該UEのハンドオーバを続行してもよい。このことにより、例えば、通信システムの複雑性を回避可能となる。
【0275】
前述の所定のステップは、例えば、該基地局がUEに対してハンドオーバ指示を送信するステップであってもよい。このことにより、例えば、該基地局からUEに対するハンドオーバキャンセルを送信不要となり、その結果、UEと基地局との間のシグナリングを削減可能となる。
【0276】
他の例として、前述の所定のステップは、例えば、該基地局からUEに対するハンドオーバ指示の送信後、所定時間の経過時点であってもよい。該所定の時間は、規格で静的に決められてもよい。あるいは、該所定の時間は、基地局が決定してUEに個別に通知あるいは報知されてもよい。基地局は該所定の時間を、RRCシグナリングで通知してもよい。例えば、基地局は該所定の時間を、UEへのハンドオーバ指示に含めて通知してもよい。このことにより、例えば、UEと基地局との間のシグナリング量を削減可能となる。他の例として、基地局は該所定の時間を、MACシグナリングを用いて通知してもよい。このことにより、例えば、基地局は該所定の時間を迅速に通知可能となる。他の例として、基地局は該時間を、L1/L2シグナリングを用いて通知してもよい。このことにより、例えば、基地局は該時間をさらに迅速に通知可能となる。
【0277】
基地局はUEに対して、ハンドオーバのキャンセルを指示してもよい。基地局は該指示を、例えば、該基地局からUEに対するハンドオーバ指示の送信後、所定の時間の経過前に通知してもよい。基地局はキャンセルの該指示を、RRCシグナリングで通知してもよい。このことにより、例えば、キャンセルの該指示の通知における信頼性を向上可能となる。他の例として、基地局は該指示を、MACシグナリングを用いて通知してもよい。このことにより、例えば、基地局は該指示を迅速に通知可能となる。他の例として、基地局は該指示を、L1/L2シグナリングを用いて通知してもよい。このことにより、例えば、基地局は該指示をさらに迅速に通知可能となる。
【0278】
UEは、ハンドオーバキャンセルの該指示を用いて、移動先基地局へのハンドオーバ処理を取り消してもよい。UEは、移動元基地局との接続を継続してもよい。
【0279】
非通信断冗長経路上のUEのハンドオーバが続行されるとしてもよい。該続行は、例えば、該基地局からUEに対するハンドオーバ指示の送信後、所定時間が経過した場合に行われてもよい。移動元基地局は移動先基地局に、下りデータを転送してもよい。
【0280】
UEは、該所定時間が経過するまでの間、移動元基地局との間の同期を維持してもよいし、移動先基地局からの同期信号を受信してもよい。UEは、該所定時間経過後において、移動先基地局との間の接続処理を開始してもよい。該接続処理は、同期信号の受信であってもよいし、ランダムアクセス処理であってもよい。
【0281】
移動元基地局からUEへのハンドオーバ指示は、移動先基地局にて使用可能なビームに関する情報を含んでもよい。該情報は、例えば、該ビームの識別子であってもよいし、該ビームが送信されるタイミングに関する情報であってもよい。ハンドオーバ指示は、移動先基地局の位置に関する情報を含んでもよい。UEは、該情報を用いて、移動先基地局との間の接続を開始してもよい。このことにより、例えば、UEは移動先基地局に迅速に接続可能となり、その結果、通信不能となる時間を短縮可能となる。
【0282】
UEから移動先基地局への接続において、2ステップのランダムアクセスが行われてもよい。移動元基地局は移動先基地局に、2ステップのランダムアクセス処理を指示してもよい。移動元基地局はUEに対して、2ステップのランダムアクセス処理を指示してもよい。移動元基地局からUEへの該指示は、例えば、該UEへのハンドオーバ指示に含まれてもよい。UEは、該指示を用いて、移動先基地局との間で2ステップランダムアクセスを行ってもよい。このことにより、例えば、UEは移動先基地局に迅速に接続可能となり、その結果、通信不能となる時間を短縮可能となる。
【0283】
図20図21は、冗長経路#2におけるUE#2の通信断に伴って、冗長経路#1におけるハンドオーバをキャンセルする動作、および、UE#2の通信断からの回復に伴って、冗長経路#1におけるハンドオーバを開始する動作を示す図である。図20図21は境界線BL2021の位置でつながっている。図20図21は、UE#1が基地局#1-1から基地局#1-2にハンドオーバする場合について示している。なお、図20図21では「基地局#1-1」、「基地局#1-2」、「基地局#2」を「BS#1-1」、「BS#1-2」、「BS#2」と表記している。図20図21において、図17図19と同様の処理には同じステップ番号を付し、共通する説明を省略する。
【0284】
図20におけるステップST1501~ST1532は、図17と同様である。
【0285】
図20におけるステップST1634において、UE#2はRLFを検出する。ステップST1636において、基地局#2は、UE#2においてRLFが発生したことを検出する。基地局#2におけるUE#2のRLF検出は、例えば、UE#2からの信号、例えば、参照信号を受信できないことを用いて行ってもよい。
【0286】
図20におけるステップST1638において、基地局#2はAMF#2に対して、UE#2がRLFとなったことを通知する。ステップST1640において、AMF#2はAMF#1に対して、該通知を転送する。ステップST1642において、AMF#1は基地局#1-1に対して、該通知を転送する。基地局#1-1は、ステップST1642を用いて、UE#1のハンドオーバのキャンセルを決定する。
【0287】
図21に示すプロシージャ1643において、図17に示すプロシージャ1520と同様の処理を、基地局#1-1とUE#1について行う。
【0288】
図21におけるステップST1534は、図17と同様である。ステップST1645において、基地局#1-1は基地局#1-2に対して、UE#1のハンドオーバのキャンセルを通知する。ステップST1645の通知に、UE#2のRLFに関する情報を含めてもよい。
【0289】
図21におけるステップST1650において、UE#2と基地局#2との間の接続が回復する。ステップST1652において、基地局#2はAMF#2に対して、UE#2との間の接続が回復したことを通知する。ステップST1654において、AMF#2はAMF#1に対して、該通知を転送する。ステップST1656において、AMF#1は基地局#1-1に対して、該通知を転送する。
【0290】
図21におけるプロシージャ1577は、図19と同様である。プロシージャ1577において、基地局#1-1によるハンドオーバ決定およびUE#1によるメジャメント報告が再開される。
【0291】
図21に示すステップST1660において、UE#1の、基地局#1-1から基地局#1-2へのハンドオーバが開始される。ステップST1660の処理は、ステップST1530~ST1565と同様の処理であってもよい。
【0292】
図21に示すプロシージャ1570は、図19と同様である。
【0293】
実施の形態1と同様、基地局は、冗長構成を用いるUEのメジャメント報告開始/停止条件と、冗長構成を用いないUEのメジャメント報告開始/停止条件を異ならせてもよい。例えば、冗長構成を用いるUEのメジャメント報告開始/停止条件を、冗長構成を用いないUEのメジャメント報告開始/停止条件よりも、緩和することにより、通信品質が悪化する前にハンドオーバ可能となる。その結果、自冗長構成のハンドオーバ抑制中の通信品質悪化による自冗長構成のリンク断を防止可能となる。他の例として、冗長構成を用いるUEのメジャメント報告開始/停止条件を、冗長構成を用いないUEのメジャメント報告開始/停止条件よりも、厳しくすることにより、ハンドオーバの頻度を削減可能とし、その結果、通信効率を向上可能とする。
【0294】
本変形例1によって、ハンドオーバプロシージャ開始後に、ある冗長経路において通信断となった場合においても、ハンドオーバのキャンセルが可能となる。その結果、全ての冗長経路における通信断を防止可能となる。
【0295】
実施の形態2.
1つのUEを用いた冗長経路の構成において、該UEは複数の基地局と接続してもよいし、1つの基地局と接続してもよい。
【0296】
1つのUEが複数の基地局と接続する冗長経路の構成において、該UEは複数の該基地局とマルチコネクティビティ(Multi Connectivity)を構成してもよい。複数の該基地局は、2つであってもよいし、3つ以上であってもよい。例えば、該UEが2つの基地局と接続する場合において、該UEは2つの該基地局とDC(Dual Connectivity)を構成してもよい。
【0297】
1つのUEが複数の基地局と接続する冗長経路の構成において、各基地局は互いに異なるUPFと接続してもよい。該UEと、各基地局を経由した各UPFとの接続において、互いに異なるPDUセッションが確立されてもよい。各UPFは、互いに異なるSMFと接続してもよいし、同じSMFと接続してもよい。各UPFは、同じDNに接続してもよいし、互いに異なるDNに接続してもよい。
【0298】
1つのUEが複数の基地局と接続する冗長経路の構成の設定は、例えばDC確立時に行われてもよい。該設定は、UEが冗長経路を用いた通信を行う場合に行われるとしてもよい。該設定は、UEケーパビリティを用いて行われてもよいし、基地局の決定により行われてもよい。該設定は、例えば、マスタ基地局からセカンダリ基地局に対するセカンダリ基地局追加要求のシグナリングを用いて行われてもよい。該設定において、例えば、実施の形態1において、冗長構成に関する情報として開示した(1)~(17)のうち一部および全部が含まれてもよい。このことにより、例えば、セカンダリ基地局は冗長経路の構成に関する情報を迅速に取得可能となり、その結果、冗長経路の構成を迅速に実行可能となる。
【0299】
1つのUEが複数の基地局と接続する冗長経路の構成の設定の通知が、マスタ基地局からUEに対して行われてもよいし、セカンダリ基地局からUEに対して行われてもよい。該通知には、冗長経路を用いることを示す情報が含まれてもよい。UEは、該情報を用いて、冗長経路の構成の設定を行ってもよい。このことにより、例えば、UEは、冗長経路を用いたDCか、通常のDCかを迅速に識別可能となり、その結果、DC確立処理を迅速に実行可能となる。
【0300】
1つのUEが複数の基地局と接続する冗長経路の構成が、スモールデータ(非特許文献9(TR38.804))の送受信において用いられてもよい。例えば、上り通信において、UEからマスタ基地局、AMF、SMF、UPF経由でDNにデータを送信する経路と、UEからセカンダリ基地局、マスタ基地局、AMF、SMF、UPF経由でDNにデータを送信する経路が設けられてもよい。他の例として、下り通信において、DNからUPF、SMF、AMF、マスタ基地局経由でUEにデータを送信する経路と、DNからUPF、SMF、AMF、マスタ基地局、セカンダリ基地局経由でUEにデータを送信する経路が設けられてもよい。このことにより、例えば、スモールデータ送受信における信頼性向上が可能となる。
【0301】
前述において、以下に示す問題が生じる。すなわち、セカンダリ基地局のセキュリティーキー(S-KgNB)は、マスタ基地局が導出する。マスタ基地局のハンドオーバにより、S-KgNBが切替り、その結果、マスタ基地局、セカンダリ基地局ともに通信断となる時間が発生するという問題が生じる。
【0302】
本実施の形態2では、前述の問題を解決する方法を開示する。
【0303】
セカンダリ基地局のセキュリティーキーを、マスタ基地局のハンドオーバ前後で変えないとする。移動先マスタ基地局は、ハンドオーバ前のセカンダリ基地局のセキュリティーキーをそのまま用いてもよい。移動元マスタ基地局は移動先マスタ基地局に、セカンダリ基地局のセキュリティーキーに関する情報を通知してもよい。該情報は、セカンダリ基地局のセキュリティーキーの値を含んでもよいし、セカンダリ基地局のセキュリティーキーを維持することを示す情報を含んでもよい。移動元マスタ基地局は該情報を、ハンドオーバ要求(Handover Request)のシグナリングに含めて、移動先マスタ基地局に通知してもよい。
【0304】
移動元マスタ基地局は、該UEが冗長経路を構成していることに関する情報を、ハンドオーバ要求のシグナリングに含めて、移動先マスタ基地局に通知してもよい。該情報は、例えば、実施の形態1において開示した冗長経路に関する情報の一部あるいは全部であってもよい。例えば、実施の形態1において開示した冗長経路に関する情報の(2)が、1つのUEが複数の基地局と接続する冗長経路の構成を示す情報であってもよい。移動先マスタ基地局は、該情報を用いて、UEが冗長経路を構成していることを把握してもよい。移動先マスタ基地局は、該情報を用いて、ハンドオーバ前のセカンダリ基地局のセキュリティーキーをそのまま用いると判断してもよい。このことにより、例えば、移動先マスタ基地局は前述の判断を迅速に実行可能となり、その結果、マスタ基地局のハンドオーバ処理を迅速に実行可能となる。
【0305】
移動元マスタ基地局は、移動先マスタ基地局への該通知を実行するか否かを、UEが冗長経路を用いた通信を行うかどうかに基づいて判断してもよい。このことにより、例えば、冗長経路を用いないUEにおけるハンドオーバ動作の複雑化を回避可能となる。
【0306】
セカンダリ基地局のセキュリティーキーは、マスタ基地局のハンドオーバ後に変更されてもよい。このことにより、例えば、ハンドオーバ後における、セキュリティーキーの管理における複雑性を回避可能となる。
【0307】
セカンダリ基地局のセキュリティーキーの変更を、セカンダリ基地局が通知してもよい。このことにより、例えば、移動後のマスタ基地局におけるユーザデータの通信レートを向上可能となる。他の例として、移動後のマスタ基地局が、セカンダリ基地局のセキュリティーキーの変更を通知してもよい。このことにより、例えば、ハンドオーバ直後の電波環境の良い基地局を用いることが可能となり、その結果、シグナリングの信頼性を向上可能となる。
【0308】
図22図23は、DCによる冗長経路を用いたUEが、マスタ基地局のハンドオーバ前後で、セカンダリ基地局のセキュリティーキーを維持する動作を示すシーケンス図である。図22図23は境界線BL2223の位置でつながっている。図22図23は、セカンダリ基地局(SN)は変わらないまま、マスタ基地局がS-MNからT-MNに切替る例について示す。
【0309】
図22に示すステップST1705において、S-MNはT-MNに対し、ハンドオーバ要求を通知する。S-MNは該通知に、セカンダリ基地局を変えないことを示す情報を含めてもよい。S-MNは該通知に、セカンダリ基地局のセキュリティーキーを維持することを示す情報を含めてもよい。UEが冗長経路を用いた通信を行っている場合において、S-MNはセカンダリ基地局のセキュリティーキーを維持するとしてもよい。T-MNは、ステップST1705の通知に含まれる情報を用いて、ハンドオーバ後のセカンダリ基地局をSNのまま変更しないとしてもよいし、セカンダリ基地局のセキュリティーキーを維持してもよい。
【0310】
図22に示すステップST1707において、T-MNはSNに対し、セカンダリ基地局の追加を要求する。T-MNは該要求に、ハンドオーバ前のセカンダリ基地局のセキュリティーキーを含めてもよいし、セカンダリ基地局のセキュリティーキーを維持することを示す情報を含めてもよい。ステップST1709において、SNはT-MNに対して、セカンダリ基地局の追加の要求に対する肯定応答を通知する。ステップST1711において、T-MNはS-MNに対し、ステップST1705のハンドオーバ要求に対する肯定応答を通知する。
【0311】
図22に示すステップST1713において、S-MNはSNに対し、セカンダリ基地局の解放を要求する。ステップST1715において、SNはS-MNに対し、ステップST1713に対する肯定応答を通知する。
【0312】
図22に示すステップST1720において、S-MNはUEに対して、マスタ基地局をT-MNへ切替える指示を通知する。S-MNは該通知に、セカンダリ基地局のセキュリティーキーを維持することを示す情報を含めてもよい。UEは、ステップST1720の通知に含まれる情報を用いて、S-MNとの間の接続を解放してT-MNとの間の下り同期を確立する。UEは、ステップST1720の通知に含まれる該情報を用いて、SCGベアラを維持する。
【0313】
図22に示すステップST1725において、UEとT-MNとはランダムアクセス処理を行い、UEとT-MNとの間の上り同期を確立する。ステップST1727において、UEはT-MNに対して、マスタ基地局の切替えの完了を通知する。ステップST1729において、T-MNはSNに対して、セカンダリ基地局の再設定の完了を通知する。
【0314】
図23に示すステップST1731において、S-MNは、UEとの間で送受信したパケットのシーケンス番号に関するステータスを、T-MNに転送する。ステップST1733、ST1734において、S-MNは、UPFから受信したユーザデータを、T-MNに転送する。ステップST1733はUPFからS-MNへのユーザデータ送信を示し、ステップST1734はS-MNからT-MNへのユーザデータ転送を示す。
【0315】
図23に示すステップST1735において、T-MNはAMFに対してパス切替要求を通知する。ステップST1737において、AMFとUPFとの間で、UEとの間のデータ送受信に係るベアラが変更される。ステップST1739において、UPFからマスタ基地局側の下りデータの経路が、S-MNからT-MNに切替る。ステップST1741において、AMFはT-MNに対し、ステップST1735に対する肯定応答を通知する。
【0316】
図23に示すステップST1743において、T-MNはS-MNに対して、UEコンテキスト解放を指示する。S-MNは該指示を用いてUEコンテキストを解放する。ステップST1745において、S-MNはSNに対し、S-MNに係るUEコンテキスト解放を指示する。SNは該指示を用いて、該UEコンテキストを解放する。
【0317】
マスタ基地局の切替の完了後、セカンダリ基地局のセキュリティーキーが変更されてもよい。図23に示すステップST1750において、T-MNはセカンダリ基地局の新しいセキュリティーキーを導出する。ステップST1752において、T-MNはSNに対し、セカンダリ基地局のセキュリティーキー変更を通知する。ステップST1754において、SNはUEに対し、セカンダリ基地局のセキュリティーキー変更を通知する。該通知は、例えば、RRC再設定(RRCReconfiguration)を用いて行われてもよい。該通知は、例えば、SNとUEとの間のシグナリングベアラ(例えば、SRB3)を用いて行われてもよい。ステップST1756において、UEはSNに対し、セカンダリ基地局のセキュリティーキー変更の完了を通知する。該通知は、例えば、RRC再設定完了(RRCReconfigurationComplete)を用いて行われてもよい。該通知は、例えば、SNとUEとの間のシグナリングベアラ(例えば、SRB3)を用いて行われてもよい。ステップST1758において、SNはT-MNに対して、ステップST1752に対する肯定応答を通知する。
【0318】
図22図23において、セカンダリ基地局のセキュリティーキー変更をSNが通知する例について示したが、T-MNがセカンダリ基地局のセキュリティーキー変更を通知してもよい。このことにより、例えば、ハンドオーバ直後においてUEとの間の電波環境が良いT-MNを用いて、UEへのシグナリングが可能となる。その結果、シグナリングの信頼性向上が可能となる。
【0319】
他の解決策を開示する。セカンダリ基地局のセキュリティーキーを、マスタ基地局のハンドオーバに先立って変更する。移動先マスタ基地局は、セカンダリ基地局の変更後のセキュリティーキーを導出してもよい。
【0320】
移動先マスタ基地局はセカンダリ基地局に対し、変更後の該セキュリティーキーを通知してもよい。該通知は、例えば、移動先マスタ基地局からセカンダリ基地局へのセカンダリ基地局追加要求(SN Addition Request)に含まれてもよい。
【0321】
セカンダリ基地局は、自基地局の変更後のセキュリティーキーを、UEに通知してもよい。セカンダリ基地局からUEへの該通知は、例えば、RRC再設定(RRCReconfiguration)に含まれてもよい。セカンダリ基地局は、移動先マスタ基地局からのセカンダリ基地局追加要求(SN Addition Request)を契機として、UEに対する該通知を行ってもよい。RRC再設定のシグナリングに、理由に関する情報が含まれてもよい。理由に関する該情報は、マスタ基地局切替に関する情報、例えば、マスタ基地局切替に先立つセカンダリ基地局セキュリティーキー変更であってもよい。このことにより、例えば、UEは、マスタ基地局の切替が発生することを把握可能となり、その結果、通信システムにおいてハンドオーバ処理の円滑な実行が可能となる。
【0322】
他の例として、セカンダリ基地局のセキュリティーキーの変更を、移動元のマスタ基地局がUEに通知してもよい。移動先のマスタ基地局は移動元のマスタ基地局に対し、セカンダリ基地局の変更後のセキュリティーキーを通知してもよい。このことにより、例えば、セカンダリ基地局とUEとの間のユーザデータの通信レートの向上が可能となる。
【0323】
UEは、該通知を用いて、セカンダリ基地局用のセキュリティーキーを変更してもよい。UEは、該セキュリティーキー変更完了をセカンダリ基地局に通知してもよい。UEからの該通知は、例えば、RRC再設定完了(RRCReconfigurationComplete)に含まれてもよい。他の例として、UEは、該セキュリティーキー変更完了を、移動元のマスタ基地局に通知してもよい。
【0324】
セカンダリ基地局は、移動先のマスタ基地局に、UEにおける該セキュリティーキーの変更完了を通知してもよい。該通知は、例えば、セカンダリ基地局追加要求肯定応答(SN Addition Request Acknowledgment)のシグナリングに含まれてもよい。移動先マスタ基地局は、該通知の受信を契機として、移動元マスタ基地局に対し、ハンドオーバ要求肯定応答(Handover Request Acknowledgment)を通知してもよい。移動元マスタ基地局は、該通知の受信を契機として、セカンダリ基地局を解放してもよい。移動元マスタ基地局は、セカンダリ基地局の解放を契機として、UEに対してハンドオーバを指示してもよい。
【0325】
図24図25は、DCによる冗長経路を用いたUEが、マスタ基地局のハンドオーバに先立って、セカンダリ基地局のセキュリティーキーを変更する動作を示す。図24図25は境界線BL2425の位置でつながっている。図24図25は、セカンダリ基地局(SN)は変わらないまま、マスタ基地局がS-MNからT-MNに切替る例について示す。図24図25において、図22図23と同様の処理には同じステップ番号を付して、共通する説明を省略する。
【0326】
図24に示すステップST1705は、図22と同様である。
【0327】
図24に示すステップST1806において、T-MNはセカンダリ基地局のセキュリティーキーを導出する。ステップST1807において、T-MNはSNに対し、セカンダリ基地局の追加を要求する。T-MNは、該要求に、ステップST1806にて導出したセキュリティーキーを含めて、該要求を通知する。
【0328】
図24に示すステップST1809、ST1811は、図23におけるステップST1754、ST1756と同様の処理である。
【0329】
図24に示すステップST1709~図25に示すステップST1745は、図22図23と同様である。
【0330】
図24図25において、セカンダリ基地局のセキュリティーキー変更をSNが通知する例について示したが、S-MNがセカンダリ基地局のセキュリティーキー変更を通知してもよい。このことにより、例えば、SNにおけるユーザデータの通信レートの向上が可能となる。
【0331】
セカンダリ基地局のセキュリティーキーをハンドオーバ前に変更するかハンドオーバ後に変更するかについて、切替可能としてもよい。該切替を、例えば、移動元マスタ基地局が判断してもよい。移動元マスタ基地局は、例えば、自基地局とUEとの間の通信品質(例えば、無線品質)を用いて該判断を行ってもよい。例えば、移動元マスタ基地局は、UEとの間の無線品質が急速に悪化する場合において、セカンダリ基地局のセキュリティーキーをハンドオーバ後に変更するとしてもよい。他の例として、移動元マスタ基地局は、UEとの間の無線品質の悪化が緩やかな場合において、セカンダリ基地局のセキュリティーキーをハンドオーバ前に変更するとしてもよい。このことにより、例えば、無線品質が急速に悪化する場合におけるハンドオーバを迅速に実行可能となり、その結果、UEと基地局との間の通信品質維持が可能となる。
【0332】
移動元マスタ基地局は移動先マスタ基地局に対し、該判断結果を通知してもよい。該通知は、例えば、移動元マスタ基地局から移動先マスタ基地局へのハンドオーバ要求(Handover Request)のシグナリングに含まれてもよい。移動先マスタ基地局は、該通知を用いて、セカンダリ基地局のセキュリティーキーを導出するタイミングを決定してもよい。移動先マスタ基地局は、該タイミングにおいて、該セキュリティーキーを導出してもよい。このことにより、例えば、移動先マスタ基地局におけるセカンダリ基地局のセキュリティーキー導出に係る処理の効率向上が可能となる。
【0333】
他の例として、該切替を、移動先マスタ基地局が判断してもよい。移動先マスタ基地局は、例えば、移動元マスタ基地局が導出したセカンダリ基地局のセキュリティーキーを用いて、該判断を行ってもよい。例えば、移動元マスタ基地局が導出した該セキュリティーキーを、移動先マスタ基地局に接続するいずれかのUEが使用中である場合において、セカンダリ基地局のセキュリティーキーをハンドオーバ前に変更するとしてもよい。他の例として、移動元マスタ基地局が導出した該セキュリティーキーを、移動先マスタ基地局に接続するいずれのUEも使用中でない場合において、セカンダリ基地局のセキュリティーキーをハンドオーバ後に変更するとしてもよい。このことにより、例えば、セキュリティーキーのUE間での重複防止が可能となり、その結果、UEにおける誤受信可能性低減が可能となる。
【0334】
移動元マスタ基地局は、該セキュリティーキーを、移動先マスタ基地局に通知してもよい。該通知は、例えば、移動元マスタ基地局から移動先マスタ基地局へのハンドオーバ要求(Handover Request)のシグナリングに含まれてもよい。
【0335】
本実施の形態2において開示した動作は、冗長経路を用いたUEに対して適用されるとしてもよい。マスタ基地局は、実施の形態1において冗長経路に関する情報として開示した(1)~(17)を用いて、UEにおけるセキュリティーキーの維持可否を判断してもよい。このことにより、例えば、通信システムにおいて従来のUEを引き続き使用可能となり、その結果、通信システムにおける複雑性回避が可能となる。
【0336】
本実施の形態2によって、マスタ基地局のハンドオーバ中におけるセカンダリ基地局とUEとの間の通信断を防止可能となる。その結果、信頼性向上が可能となる。
【0337】
実施の形態2の変形例1.
MCG故障(MCG Failure)が発生する場合においても、セカンダリ基地局との間の接続が解放される。その結果、UEとNW装置との間の通信が途絶えるという問題が発生する。
【0338】
本変形例1では、前述の問題を解決する方法を開示する。
【0339】
MCG故障時において、SNとの間のデータ送受信を可能とする。冗長経路を用いた通信を実行している場合に、MCG故障時のSNとの間のデータ送受信を可能としてもよい。MCG故障時において、SNとの間でのみデータ送受信を可能としてもよい。SNとの間のデータ送受信は、例えば、SCGベアラを用いたデータ送受信であってもよい。
【0340】
MCG故障時においてSNとの間のデータ送受信を可能とする設定は、例えばDC確立時に行われてもよい。該設定は、UEが冗長経路を用いた通信を行う場合に行われるとしてもよい。該設定は、UEケーパビリティを用いて行われてもよいし、基地局の決定により行われてもよい。
【0341】
UEは、MCG故障に関する情報を、セカンダリ基地局に通知してもよい。セカンダリ基地局はマスタ基地局に対し、該情報を転送してもよい。マスタ基地局は、該情報を用いて、UEとの間の接続復旧に関する動作、例えば、該UEに対するリファレンス信号の送信を行ってもよい。このことにより、例えば、UEはMCG故障から迅速に復旧可能となる。
【0342】
図26は、MCG故障後においてセカンダリ基地局との通信を継続する動作の第1例を示すシーケンス図である。図26において、UEは、MNおよびUPF#1を通る経路と、SNおよびUPF#2を通る経路とを用いて、通信を行う。図26は、MCG故障後においてUEが同じMNとの間で接続を再開する例について示している。
【0343】
図26に示すステップST1905、ST1906において、UEとUPF#1との間でユーザデータの送受信が行われる。ステップST1905はUEとMNとの間のユーザデータ送受信を示し、ステップST1906はMNとUPF#1との間のユーザデータ送受信を示す。ステップST1908、ST1909において、UEとUPF#2との間でユーザデータの送受信が行われる。ステップST1908はUEとSNとの間のユーザデータ送受信を示し、ステップST1909はSNとUPF#2との間のユーザデータ送受信を示す。
【0344】
図26に示すステップST1911において、UEはMCG故障を検出する。ステップST1913、ST1914において、UEは、SNを経由したUPF#2との間の通信を維持する。ステップST1913、ST1914は、それぞれステップST1908、ST1909と同様である。
【0345】
図26に示すステップST1916において、UEはSNに対して、MCG故障が発生したことを通知してもよい。該通知は、例えば、RRCシグナリングを用いて行われてもよい。該通知は、例えば、SNとUEとの間のシグナリングベアラ(例えば、SRB3)を用いて行われてもよい。ステップST1918において、SNはMNに対して、UEのMCG故障発生を通知してもよい。ステップST1920において、MNはUEに対し、同期信号を送信する。MNは、ステップST1918の受信を契機として、ステップST1920を実行してもよい。
【0346】
図26に示すステップST1921において、UEはMNに対して、PRACHを送信する。ステップST1923において、MNはUEに対してランダムアクセス応答(Random Access Response;RAR)を送信する。
【0347】
図26に示すステップST1925において、UEはMNに対して、RRCの立ち上げを要求する。該要求には、RRCシグナリング、例えば、非特許文献22(TS38.331)のRRC立ち上げ要求(RRCSetupRequest)が用いられてもよい。ステップST1927において、MNはUEに対して、RRC立ち上げを指示する。該指示には、RRCシグナリング、例えば、非特許文献22(TS38.331)のRRC立ち上げ(RRCSetup)が用いられてもよい。
【0348】
図26に示すステップST1929において、UEはMNに対して、RRC立ち上げの完了を通知する。該通知には、RRCシグナリング、例えば、非特許文献22(TS38.331)のRRC立ち上げ完了(RRCSetupComplete)が用いられてもよい。
【0349】
図26に示すステップST1931において、MNはSNに対して、UEのMCG故障からの回復を通知する。ステップST1935、ST1936において、UEとUPF#1との間でユーザデータの送受信が行われる。ステップST1935、ST1936は、それぞれステップST1905、ST1906と同様である。ステップST1938、ST1939において、UEとUPF#2との間でユーザデータの送受信が行われる。ステップST1938、ST1939は、それぞれステップST1908、ST1909と同様である。
【0350】
MCG故障検出後のUEは、検出時のマスタ基地局とは異なるマスタ基地局に接続しなおしてもよい。
【0351】
該UEは、接続しなおすマスタ基地局の候補から、セカンダリ基地局を除外してもよい。このことにより、例えば、冗長経路における冗長性維持が可能となる。
【0352】
図27は、MCG故障後においてセカンダリ基地局との通信を継続する動作の第2例を示すシーケンス図である。図27において、UEは、MN#1およびUPF#1を通る経路と、SNおよびUPF#2を通る経路とを用いて、通信を行う。図27は、MCG故障後においてUEがMN#2との間で接続を再開する例について示している。図27において、図26と同様の処理には同じステップ番号を付し、共通する説明を省略する。
【0353】
図27に示すステップST1905~ST1920は、図26と同様である。
【0354】
図27に示すステップST2020において、MN#2はUEに対して同期信号を送信する。図27に示す例において、UEは、ステップST1920、ST2020の受信結果を用いて、MN#2に再接続することを決定する。
【0355】
図27に示すステップST2021~ST2025において、図26のステップST1921~ST1925と同様の動作が、UEとMN#2との間で行われる。ステップST2025のRRC立ち上げ要求に、MCG故障に関する情報が含まれてもよい。該情報は、例えば、MCG故障からの復旧であることを示す情報を含んでもよいし、MCG故障となった基地局に関する情報を含んでもよい。
【0356】
図27に示すステップST2026において、MN#2はMN#1に対して、UEコンテキストを要求する。MN#2は、ステップST2025のRRC立ち上げ要求に含まれるMCG故障に関する情報を用いて、MN#1に対するUEコンテキスト要求を行ってもよい。ステップST2027において、MN#1はMN#2に対し、UEコンテキストを通知する。
【0357】
図27に示すステップST1927~ST1929において、図26のステップST1927~ST1929と同様の動作が、UEとMN#2との間で行われる。図27に示すステップST2031において、図26のステップST1931と同様の動作が、MN#2とSNとの間で行われる。
【0358】
図27に示すステップST2033において、MN#2はMN#1に対して、UEコンテキストの解放を要求する。MN#1は、ステップST2033の要求によって、UEコンテキストを解放する。
【0359】
MCG故障時においてSCGとの間のデータ送受信を可能とする場合において、UEのRRCステートはRRC_CONNECTEDを維持するとしてもよい。他の例として、UEのRRCステートは、RRC_INACTIVEに遷移するとしてもよいし、RRC_IDLEに遷移するとしてもよい。
【0360】
本変形例1において開示した動作は、冗長経路を用いたUEに対して適用されるとしてもよい。例えば、セカンダリ基地局は、実施の形態1において冗長経路に関する情報として開示した(1)~(17)を用いて、MCG故障検出後のUEとの間の通信継続可否を判断してもよい。このことにより、例えば、通信システムにおいて従来のUEを引き続き使用可能となり、その結果、通信システムにおける複雑性の回避が可能となる。
【0361】
本変形例1において開示した方法が、マスタ基地局側の各NW装置電源が切れた場合に用いられてもよいし、マスタ基地局とコアネットワーク(例えば、UPF)との間の通信断、および/あるいは、コアネットワークにおける通信断(例えば、UPFとSMF)が発生した場合に用いられてもよい。このことにより、例えば、前述と同様の効果が得られる。
【0362】
本変形例1により、MCG故障時においてもセカンダリ基地局を用いたデータ送受信が可能となり、その結果、TSCの維持が可能となる。
【0363】
実施の形態3.
1つのUEが1つの基地局と接続する冗長経路の構成において、基地局は1つのUPFと接続してもよいし、複数のUPFと接続してもよい。該冗長経路の構成において、PDUセッションは1つであってもよい。該PDUセッションは、複数のN3トンネルを含んでもよい。
【0364】
1つのUEが1つの基地局と接続する冗長経路の構成が、スモールデータ(非特許文献9(TR38.804))の送受信において用いられてもよい。例えば、上り通信において、UEから基地局、AMF、SMF、UPF経由でDNにデータを送信する経路において、複数のN2インタフェース、複数のN11インタフェース、複数のN4インタフェース、および/あるいは複数のN9インタフェースが用いられてもよい。複数のN9インタフェースは、例えば、DNまでの経路が複数のUPFを有する場合に用いられてもよい。このことにより、例えば、スモールデータ送受信における信頼性向上が可能となる。
【0365】
また、実施の形態1において開示した、複数のUEのそれぞれが、異なる基地局と接続する冗長経路の構成が用いられてもよいし、実施の形態2において開示した、1つのUEが複数の基地局と接続する冗長経路の構成が用いられてもよい。
【0366】
前述において、以下に示す問題が生じる。すなわち、伝搬状況、NW負荷状況の変化により、現在の冗長経路の形態では信頼性および/あるいはTSCを維持することが困難となる可能性がある。ところが、冗長経路の形態の切替えについて開示されていない。その結果、冗長経路の形態を切替えられず、信頼性および/あるいはTSCを維持できないという問題が生じる。
【0367】
本実施の形態3では、前述の問題を解決する方法を開示する。
【0368】
1つのUEが1つの基地局と接続する冗長経路の構成から、1つのUEが複数の基地局と接続する冗長経路の構成への切替えを可能とする。該切替えは、セカンダリ基地局の追加(SN Addition)、PDUセッション確立(PDU session establishment)、およびPDUセッション変更(PDU session modification)を用いて行われてもよい。例えば、冗長経路構成切替のプロシージャにおいて、セカンダリ基地局の追加(SN Addition)と、PDUセッション確立(PDU session establishment)と、PDUセッション変更(PDU session modification)とが、この順に行われてもよい。あるいは、セカンダリ基地局の追加の後に、PDUセッション確立とPDUセッション変更が同時に行われてもよい。あるいは、セカンダリ基地局追加と、PDUセッション確立と、PDUセッション変更が同時に行われてもよい。
【0369】
冗長経路構成切替を、基地局が決定してもよい。基地局は、UEからのメジャメント報告、基地局とUPFとの間の通信のQoSに関する情報、および/あるいは基地局間バックホール通信のQoSに関する情報を用いて、冗長経路構成切替を決定してもよい。基地局とUPFとの間の通信のQoSに関する情報は、例えば、伝送レートに関する情報を含んでもよいし、レイテンシに関する情報を含んでもよいし、パケットロス率に関する情報を含んでもよい。基地局間バックホール通信のQoSに関する情報は、例えば、通信媒体に関する情報(例えば、有線、無線)を含んでもよいし、基地局とUPFとの間の通信のQoSに関する情報と同様の情報を含んでもよい。基地局が冗長経路構成切替を決定することにより、例えば、UEと基地局との間および/あるいは基地局とUPFとの間の通信環境の変動を迅速に反映して、冗長経路構成を切替可能となる。
【0370】
基地局は、自基地局とUPFとの間の通信のQoSに関する前述の情報を取得してもよい。例えば、基地局は、自基地局とUPFとの間の通信のモニタリングにより、該情報を取得してもよい。基地局は、基地局間バックホール通信のQoSに関する前述の情報を取得してもよい。例えば、基地局は、自基地局と他の基地局との間のバックホール通信のモニタリングにより、該情報を取得してもよい。基地局は、取得した該情報を、冗長経路構成切替の決定に用いてもよい。このことにより、例えば、該情報の通知に要するシグナリング量の削減が可能となる。
【0371】
基地局は、冗長経路構成切替に関する情報をAMFに通知してもよい。AMFは該情報を、SMFに通知してもよい。基地局は該情報に、冗長経路構成切替の理由に関する情報を含めてもよい。該理由は、例えば、無線通信路(例えば、UEと基地局の間の通信路)のQoSに関する理由であってもよいし、有線通信路(例えば、基地局とUPFの間の通信路)のQoSに関する理由であってもよいし、基地局間バックホールのQoSに関する理由であってもよい。SMFは、該情報を用いて、冗長経路構成切替に伴い追加するUPFを決定してもよい。このことにより、例えば、冗長経路構成切替後の通信システムにおけるQoSを確保可能となる。
【0372】
他の例として、冗長経路構成切替を、AMFが決定してもよい。AMFは、前述の、基地局による決定と同様の情報を用いて、冗長経路構成切替を決定してもよい。AMFは基地局に対し、該情報を要求してもよい。基地局はAMFに対し、該情報を通知してもよい。AMFは基地局に対し、冗長経路構成切替に関する情報を通知してもよい。基地局は、該情報を用いて、UEのセカンダリ基地局追加に関する動作を実行してもよい。AMFはSMFに、該情報を通知してもよい。SMFは該情報を用いて、冗長経路構成切替に伴い追加するUPFを決定してもよい。AMFが冗長経路構成切替を決定することにより、例えば、通信システムにおける制御を容易に実行可能となる。
【0373】
他の例として、冗長経路構成切替を、SMFが決定してもよい。SMFは、前述の、基地局による決定と同様の情報を用いて、冗長経路構成切替を決定してもよい。SMFはAMF経由で基地局に対し、該情報を要求してもよい。基地局はAMF経由でSMFに対し、該情報を通知してもよい。SMFはAMFに対し、冗長経路構成切替に関する情報を通知してもよい。AMFは基地局に対して、該情報を通知してもよい。基地局は、該情報を用いて、UEのセカンダリ基地局追加に関する動作を実行してもよい。SMFは該情報を用いて、冗長経路構成切替に伴い追加するUPFを決定してもよい。SMFが冗長経路構成切替を決定することにより、例えば、冗長経路において用いるUPFを迅速に決定可能となり、その結果、冗長経路構成を迅速に切替可能となる。
【0374】
基地局とUPFとの間の通信のQoSに関する前述の情報の通知に用いられる新たなシグナリングが設けられてもよい。該シグナリングは、例えば、N3インタフェース上のシグナリングであってもよいし、N4インタフェース上のシグナリングであってもよいし、基地局と、AMFを経由してSMFとの間で通知されるシグナリングであってもよいし、UPFと、SMF、AMFを経由して基地局との間で通知されるシグナリングであってもよいし、UPFと、SMFを経由してAMFとの間で通知されるシグナリングであってもよいし、UPFと、基地局を経由してAMFとの間で通知されるシグナリングであってもよいし、UPFと、基地局、AMFを経由してSMFとの間で通知されるシグナリングであってもよい。このことにより、例えば、該情報の通知による通信システム設計の複雑性を回避可能となる。
【0375】
基地局とUPFとの間の通信のQoSに関する前述の情報を、該UPFが取得してもよい。例えば、UPFは、基地局と自UPFとの間の通信のモニタリングにより、該情報を取得してもよい。UPFは、取得した該情報を、基地局に通知してもよいし、AMFに通知してもよいし、SMFに通知してもよい。UPFから基地局への該情報の通知は、例えば、N3インタフェースを用いて直接行われてもよいし、UPFからSMF、AMFを経由して行われてもよい。UPFからAMFへの該情報の通知は、SMF経由で行われてもよいし、基地局を経由して行われてもよい。UPFからSMFへの該情報の通知は、N4インタフェースを用いて直接行われてもよいし、UPFから基地局、AMFを経由して行われてもよい。このことにより、例えば、基地局は該情報の取得が不要となり、その結果、基地局における処理量を削減可能となる。
【0376】
冗長経路構成の切替において、セカンダリ基地局が追加されてもよい。セカンダリ基地局の追加は、例えば、非特許文献12(TS37.340)の10.2.2節において開示されたプロシージャを用いて行われてもよい。冗長経路構成切替前の基地局は、変更後のマスタ基地局であってもよい。該基地局からセカンダリ基地局に通知するセカンダリ基地局追加要求に、理由を示す情報が含まれてもよい。該理由は、例えば、冗長構成の変更であってもよいし、冗長構成の変更の理由(例えば、無線区間のQoSの確保、および/あるいは有線区間のQoSの確保)であってもよい。セカンダリ基地局は、該通知を用いて、UEとの間のSCGベアラを設定してもよい。このことにより、例えば、通信システムにおいて冗長経路構成を迅速に切替可能となる。
【0377】
追加されるセカンダリ基地局は、例えば、マスタ基地局と同じ信頼性グループの基地局であってもよい。このことにより、例えば、冗長経路構成を迅速に切替可能となる。他の例として、追加されるセカンダリ基地局は、マスタ基地局と異なる信頼性グループの基地局であってもよい。このことにより、例えば、冗長経路構成の切替における柔軟性向上が可能となる。
【0378】
該基地局はUEに対し、冗長経路構成切替に関する情報を通知してもよい。該情報は、例えば、基地局からUEに対して通知する、セカンダリ基地局の追加指示に含められて通知されてもよい。該情報は、例えば、該指示の理由として含まれてもよい。基地局からUEに対する該指示は、RRCシグナリング(例えば、RRC再設定(RRCReconfiguration))を用いて行ってもよい。該情報は、冗長経路構成切替の理由に関する情報を含んでもよい。冗長経路構成切替の理由に関する情報は、例えば、無線区間のQoSの確保、および/あるいは有線区間のQoSの確保であってもよい。UEは、冗長経路構成切替に関する情報を用いて、AMFに対してPDUセッション追加を要求してもよい。このことにより、例えば、冗長経路構成切替のプロシージャの迅速な実行が可能となる。
【0379】
冗長経路構成の切替において、PDUセッションが確立されてもよい。PDUセッションの確立は、例えば、非特許文献25(TS23.502)の4.3.2.2.1節において開示されたプロシージャを用いて行われてもよい。新たに確立されるPDUセッションは、例えば、セカンダリ基地局を通るPDUセッションであってもよい。
【0380】
基地局はUEに対して、PDUセッション確立プロシージャの起動を要求してもよい。該要求は、例えば、RRCシグナリングを用いて行われてもよい。該要求に用いるRRCシグナリングは、例えば、基地局からUEに対するセカンダリ基地局追加の指示のRRCシグナリングと同じであってもよいし、異なるRRCシグナリングであってもよい。UEは、該要求を用いて、AMFに対してPDUセッション確立を要求してもよい。このことにより、例えば、通信システムにおける冗長経路構成の迅速な切替が可能となる。
【0381】
他の例として、AMFがPDUセッション確立プロシージャを起動してもよい。AMFは、例えば、非特許文献25(TS23.502)の4.3.2.2.1節において開示されたUEからのPDUセッション確立要求がなくとも、PDUセッション確立プロシージャを起動してもよい。AMFは、セカンダリ基地局追加のプロシージャの完了を用いて、PDUセッション確立プロシージャを起動してもよい。このことにより、例えば、通信システムにおいて冗長経路構成の迅速な切替が可能となる。
【0382】
冗長経路構成の切替において、PDUセッション変更(modification)が行われてもよい。PDUセッション変更は、例えば、非特許文献25(TS23.502)の4.3.3.2節において開示されたプロシージャを用いて行われてもよい。該PDUセッション変更は、例えば、セカンダリ基地局側に設けられたPDUセッションを通るN3トンネルおよび/あるいはQoSフローに関する情報を、マスタ基地局側に設けられたPDUセッションから解放する動作であってもよい。
【0383】
本実施の形態3により、伝搬状況、NW負荷状況が変化する場合においても、信頼性および/あるいはTSCを維持可能となる。
【0384】
実施の形態3の変形例1.
実施の形態3においては、1つのUEが1つの基地局と接続する冗長経路の構成から、1つのUEが複数の基地局と接続する冗長経路の構成への切替えについて開示した。本変形例1では、1つのUEが複数の基地局と接続する冗長経路の構成から、1つのUEが1つの基地局と接続する冗長経路の構成への切替えについて開示する。
【0385】
1つのUEが複数の基地局と接続する冗長経路の構成から、1つのUEが1つの基地局と接続する冗長経路の構成への切替えは、PDUセッション変更(PDU session modification)、PDUセッション解放(PDU session release)、セカンダリ基地局の解放(SN Release)を用いて行われてもよい。例えば、冗長経路構成切替のプロシージャにおいて、PDUセッション変更と、PDUセッション解放と、セカンダリ基地局の解放とが、この順に行われてもよい。あるいは、PDUセッション変更とPDUセッション解放が同時に行われた後に、セカンダリ基地局の解放が行われてもよい。あるいは、PDUセッション変更の後に、PDUセッション解放とセカンダリ基地局の解放が同時に行われてもよい。あるいは、PDUセッション変更と、PDUセッション解放と、セカンダリ基地局の解放が同時に行われてもよい。
【0386】
実施の形態3と同様、冗長経路構成切替を、基地局が決定してもよいし、AMFが決定してもよいし、SMFが決定してもよい。該決定に、UEからのメジャメント報告、基地局とUPFとの間の通信のQoSに関する情報、および/あるいは基地局間バックホール通信のQoSに関する情報が用いられてもよい。前述の情報は、実施の形態3と同様であってもよい。実施の形態3と同様、基地局が該情報を取得してもよいし、基地局が該情報をAMFに通知してもよい。冗長経路構成切替に関する情報の通知についても、実施の形態3と同様であってもよい。
【0387】
冗長経路構成の切替において、PDUセッション変更(modification)が行われてもよい。PDUセッション変更は、例えば、非特許文献25(TS23.502)の4.3.3.2節において開示されたプロシージャを用いて行われてもよい。該PDUセッション変更は、例えば、セカンダリ基地局側に設けられたPDUセッションを通るN3トンネルおよび/あるいはQoSフローに関する情報を、マスタ基地局側に設けられたPDUセッションに追加する動作であってもよい。
【0388】
基地局はAMFに対して、PDUセッション変更要求を通知してもよい。AMFはSMFに対して、PDUセッション変更要求を通知してもよい。前述の該通知に、理由を示す情報が含まれてもよい。該理由は、例えば、冗長構成の変更であってもよいし、冗長構成の変更の理由(例えば、無線区間のQoSの確保、および/あるいは有線区間のQoSの確保)であってもよい。SMFは、該通知を用いて、PDUセッションの解放に関する動作、例えば、PDUセッション解放のための準備を行ってもよい。このことにより、例えば、通信システムにおいて冗長経路構成の迅速な切替が可能となる。
【0389】
冗長経路構成の切替において、PDUセッションが解放されてもよい。PDUセッションの解放は、例えば、非特許文献25(TS23.502)の4.3.4.2節において開示されたプロシージャを用いて行われてもよい。解放されるPDUセッションは、例えば、セカンダリ基地局を通るPDUセッションであってもよい。
【0390】
冗長経路構成の切替において、セカンダリ基地局が解放されてもよい。セカンダリ基地局の解放は、例えば、非特許文献12(TS37.340)の10.4.2節において開示されたプロシージャを用いて行われてもよい。
【0391】
該基地局はUEに対し、冗長経路構成切替に関する情報を通知してもよい。該情報は、例えば、基地局からUEに対して通知する、セカンダリ基地局の解放指示に含められて通知されてもよい。該情報は、例えば、該指示の理由として含まれてもよい。基地局からUEに対する該指示は、RRCシグナリング(例えば、RRC再設定(RRCReconfiguration))を用いて行ってもよい。該情報は、冗長経路構成切替の理由に関する情報を含んでもよい。冗長経路構成切替の理由に関する情報は、例えば、無線区間のQoSの確保、および/あるいは有線区間のQoSの確保であってもよい。UEは、冗長経路構成切替に関する情報を用いて、セカンダリ基地局を解放してもよいし、ベアラ設定変更(例えば、SCGベアラから、冗長経路構成切替後の基地局を通るベアラへの設定変更)を行ってもよい。このことにより、例えば、冗長経路構成切替のプロシージャの迅速な実行が可能となる。
【0392】
本変形例1において開示した方法が、セカンダリ基地局側の各NW装置電源が切れた場合に用いられてもよいし、セカンダリ基地局とコアネットワーク(例えば、UPF)との間の通信断、および/あるいは、コアネットワークにおける通信断(例えば、UPFとSMF)が発生した場合に用いられてもよい。このことにより、例えば、前述と同様の効果が得られる。
【0393】
本変形例1により、伝搬状況、NW負荷状況が変化する場合においても、信頼性および/あるいはTSCを維持可能となる。
【0394】
実施の形態4.
低レイテンシが要求される通信システムにおいて、基地局とUPFが1つの装置で構成されてもよい。例えば、非特許文献26(TS38.401)に開示されたgNB-CU-UPとUPFが、1つの装置であってもよい(以下、統合UPFと称する場合がある)。統合UPFに、他の基地局が接続されてもよい。
【0395】
前述において、以下に示す問題が生じる。Cプレインシグナリングの遅延は依然として残っている。また、スモールデータの送受信が、Cプレインを用いて行われることが検討されている。このことにより、スモールデータについてはレイテンシを削減できないという問題が生じる。
【0396】
本実施の形態4では、前述の問題を解決する方法を開示する。
【0397】
基地局とAMFを、1つの装置で構成する。例えば、gNB-CU-CPとAMFを、1つの装置で構成する(以下、統合AMFと称する場合がある)。統合AMFに、他の基地局が接続してもよい。
【0398】
統合AMFが、SMFに関する機能を含んでもよい。このことにより、例えば、PDUセッションに関するプロシージャに要する時間を短縮可能となる。
【0399】
統合AMFが、UPFに関する機能を含んでもよい。このことにより、例えば、スモールデータをCプレインからUプレインに導通させるための時間を短縮可能となる。
【0400】
統合AMFは、自装置が統合AMFであることを、UEに、報知してもよいし、個別に通知してもよい。該報知は、例えば、システム情報を用いて行われてもよい。UEは、該情報を用いて、接続しようとする基地局が統合AMFであることを認識してもよい。例えば、UEは、該情報を用いて、他のセルよりも優先的に、統合AMFに接続するとしてもよい。前述のUEは、例えば、低レイテンシの通信が要求されるUEであってもよい。UEは、自UEがサポートするQoSに関する情報を用いて、優先的な該接続を行うかどうかを判断してもよい。このことにより、例えば、他のUEが統合AMFに多数接続することによる輻輳発生の防止が可能となり、その結果、レイテンシ低減が可能となる。
【0401】
統合UPFが、自装置が統合UPFであることを、UEに、報知および/あるいは個別に通知してもよい。UEは、該情報を用いて、接続しようとする基地局が統合UPFであることを認識してもよい。例えば、UEは、該情報を用いて、他のセルよりも優先的に、統合UPFに接続するとしてもよい。前述のUEは、例えば、低レイテンシの通信が要求されるUEであってもよい。UEは、自UEがサポートするQoSに関する情報を用いて、優先的な該接続を行うかどうかを判断してもよい。このことにより、例えば、他のUEが統合UPFに多数接続することによる輻輳発生の防止が可能となり、その結果、Uプレインのレイテンシ低減が可能となる。
【0402】
統合AMFと統合UPFとの間で、優先度が設けられてもよい。UEは、自UEがサポートするQoSに関する情報を用いて、統合AMFと統合UPFとの間でどちらに優先して接続するかを決定してもよい。例えば、低レイテンシの通信が求められるデータのサイズが小さく、かつ、該データ送信の頻度が低い場合において、UEは統合AMFに優先して接続するとしてもよい。他の例として、低レイテンシの通信が求められるデータが大きい、または該データ送信の頻度が高い場合において、UEは統合UPFに優先して接続するとしてもよい。このことにより、例えば、UEの通信におけるQoS確保が可能となる。
【0403】
本実施の形態4により、Cプレインシグナリングのレイテンシを削減可能となり、その結果、スモールデータの送受信におけるレイテンシを削減可能となる。
【0404】
前述の各実施の形態およびその変形例は、本発明の例示に過ぎず、本発明の範囲内において、各実施の形態およびその変形例を自由に組合せることができる。また各実施の形態およびその変形例の任意の構成要素を適宜変更または省略することができる。
【0405】
例えば、前述の各実施の形態およびその変形例において、サブフレームは、第5世代基地局通信システムにおける通信の時間単位の一例である。スケジューリング単位であってもよい。前述の各実施の形態およびその変形例において、サブフレーム単位として記載している処理を、TTI単位、スロット単位、サブスロット単位、ミニスロット単位として行ってもよい。
【0406】
本発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、本発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、本発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0407】
200,210 通信システム、202 通信端末装置、203 基地局装置。
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