(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175092
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】温度感知制御を伴う薬剤送達システム
(51)【国際特許分類】
A61M 5/168 20060101AFI20241210BHJP
A61M 5/172 20060101ALI20241210BHJP
A61M 5/145 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
A61M5/168 500
A61M5/172
A61M5/145 500
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024161945
(22)【出願日】2024-09-19
(62)【分割の表示】P 2022194648の分割
【原出願日】2014-10-22
(31)【優先権主張番号】61/895,285
(32)【優先日】2013-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500049716
【氏名又は名称】アムジエン・インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スコット・アール・ギブソン
(72)【発明者】
【氏名】マーク・カ・ライ・リー
(72)【発明者】
【氏名】ドナルド・バズビー
(72)【発明者】
【氏名】ステファニー・トイ
(72)【発明者】
【氏名】スハス・クリシュナ
(72)【発明者】
【氏名】フランシスカ・タン-マレツキ
(72)【発明者】
【氏名】フェリー・タムトロ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】温度感知制御を含む薬剤送達システムを提供する。
【解決手段】薬剤送達システムは、貯蔵器102と、貯蔵器102に組み合わされた薬剤送達装置104を含む。薬剤送達装置104は、少なくとも1つの温度感知部品と、ロック状態とロック解除状態を有する安全装置112をさらに含んでいてもよい。システムは、更に出力装置108、安全装置112に組み合わされた制御部110、及び出力装置108を含む。制御部110は、温度センサを含んでいてもよく、もしくは温度センサに組み合わされていてもよい。制御部110は、貯蔵器102に配置された薬剤もしくは温度感知部品の温度が上限より高いか、下限より低いか、上限と下限の間にあるかを判定し、これらいずれかの場合には安全装置112を起動させる。制御部110は、その後温度が上限と下限の間にあるか否かを直接もしくは間接的に判定し、その結果により安全装置112を解除する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤送達システムであって、
薬剤を入れられるようにした貯蔵器と、
貯蔵器から薬剤を送達するよう貯蔵器に組み合わされ、貯蔵器からの薬剤送達が制限されるロック状態と貯蔵器からの薬剤送達が制限されないロック解除状態を有する安全装置を備える薬剤送達装置と、
温度センサと、
出力装置と
安全装置、温度センサ、及び出力装置と組み合わされた制御部とを備え、
制御部が
(a)貯蔵器に配置された薬剤の温度が上限より高いか否かを判定し、温度が上限より高い場合には出力装置を少なくとも1回起動し、安全装置をロック状態にし、
(b)貯蔵器に配置された薬剤の温度が下限より低いか否かを判定し、温度が下限より低い場合には出力装置を少なくとも1回起動し、安全装置をロック状態にし、
(c)薬剤温度が(b)以降に上限と下限の間にあるか否かを判定し、温度が上限と下限の間にある場合には安全装置をロック解除状態にするようにプログラムされた、
薬剤送達システム。
【請求項2】
貯蔵器は薬剤送達システムから取り外し可能となっており、制御部は、(a)以降に貯蔵器が取り外され、薬剤を入れられるようにした別の貯蔵器と交換されたか否かを判定し、貯蔵器が取り外され別の貯蔵器と交換されている場合には安全装置をロック解除状態にするようにプログラムされた請求項1記載の薬剤送達システム。
【請求項3】
貯蔵器と薬剤送達装置の少なくとも一方の近傍で制御部に組み合わされたヒータをさらに備え、制御部は、薬剤温度が下限より低い場合にはヒータを起動し、薬剤温度が上限と下限の間にある場合にはヒータを停止するようプログラムされた請求項1又は2に記載の薬剤送達システム。
【請求項4】
制御部は、貯蔵器に配置された薬剤の温度が上限より高いか、下限より低いか、もしくは上限と下限の間にあるかを判定する前に、温度センサが正確か否かを判定するようプログラムされた請求項1ないし3のいずれか1項に記載の薬剤送達システム。
【請求項5】
温度センサが正確でない場合には温度判定を調整するように制御部がプログラムされた請求項4記載の薬剤送達システム。
【請求項6】
貯蔵器が予め充填された容器を備えた請求項1ないし5のいずれか1項に記載の薬剤送達システム。
【請求項7】
予め充填された容器が、予め充填された注射器もしくは予め充填されたカートリッジである請求項6記載の薬剤送達システム。
【請求項8】
貯蔵器は、穴と、貯蔵器内で穴に対して動かすことができ穴を通して薬剤を押し出すプランジャとを備え、薬剤送達装置は、第1端部がプランジャと接触するプランジャアームと、プランジャアームに組み合わされたアクチュエータを備えた請求項1ないし7のいずれか1項に記載の薬剤送達システム。
【請求項9】
せアクチュエータがプランジャアームと組み合わされた電気モータと電気モータに組み合わされたバッテリの組立部品を備えた請求項8記載の薬剤送達システム。
【請求項10】
貯蔵器が、穴と流路で連絡しているカニューレを備えた請求項8又は9に記載の薬剤送達システム。
【請求項11】
温度センサは、抵抗温度検出器、サーモカップル、赤外線サーモパイル、もしくは感温ラベルと光学検出器の組立部品のうちの少なくとも1つを備えた請求項1ないし10のいずれか1項に記載の薬剤送達システム。
【請求項12】
温度センサが制御部に内蔵された請求項1ないし11のいずれか1項に記載の薬剤送達システム。
【請求項13】
貯蔵器が貯蔵器と流路で連絡しているカニューレを備え温度センサがカニューレに組み合わされている請求項1ないし12のいずれか1項に記載の薬剤送達システム。
【請求項14】
カニューレが針を備えた請求項13記載の薬剤送達システム。
【請求項15】
薬剤もしくは薬物が貯蔵器内に配置され、貯蔵器は穴と、貯蔵器内で穴に対して動かすことができ穴を通して薬剤を押し出すプランジャとを備え、温度センサがプランジャに取り付けられている請求項1ないし14のいずれか1項に記載の薬剤送達システム。
【請求項16】
温度センサが薬剤と直接接触する請求項15記載の薬剤送達システム。
【請求項17】
温度センサが、薬剤と直接接触するプランジャの内側表面上に配置されている請求項16記載の薬剤送達システム。
【請求項18】
温度センサが薬剤と直接接触しない請求項15記載の薬剤送達システム。
【請求項19】
温度センサがプランジャ内部に配置される請求項18記載の薬剤送達システム。
【請求項20】
ヒータが、電気的ヒータ、化学的ヒータ、及び、熱源との選択可能な組み合わせのうちの少なくとも1つを備えた請求項3ないし19のいずれか1項に記載の薬剤送達システム。
【請求項21】
ヒータが、抵抗ヒータと熱電ヒータのうちの少なくとも1つを備えた請求項20記載の薬剤送達システム。
【請求項22】
熱源が、制御部、及び、薬剤送達システムが取り付けられる患者のうちの少なくとも一方を備えた請求項20記載の薬剤送達システム。
【請求項23】
出力装置が、ディスプレイ、発光体、及びスピーカーのうちの少なくとも1つを備えた請求項1ないし22のいずれか1項に記載の薬剤送達システム。
【請求項24】
薬剤もしくは薬物が貯蔵器内に配置される請求項1ないし23のいずれか1項に記載の薬剤送達システム。
【請求項25】
薬剤送達システムであって、
薬剤を入れられるようにした貯蔵器と
貯蔵器から薬剤を送達するよう貯蔵器に組み合わされ、
少なくとも1つの温度感知部品と貯蔵器からの薬剤送達が制限されるロック状態と貯蔵器からの薬剤送達が制限されないロック解除状態を有する安全装置とを備える薬剤送達装置と、
温度センサと、
出力装置と
安全装置、温度センサ、及び出力装置と組み合わされた制御部とを備え、
制御部が
(a)少なくとも1つの温度感知部品の温度が上限より高いか否かを判定し、温度が上限より高い場合には出力装置を少なくとも1回起動し、安全装置をロック状態にし、
(b)少なくとも1つの温度感知部品の温度が下限より低いか否かを判定し、温度が下限より低い場合には出力装置を少なくとも1回起動し、安全装置をロック状態にし、
(c)少なくとも1つの温度感知部品の温度が(b)以降に上限と下限の間にあるか否かを判定し、温度が上限と下限の間にある場合には安全装置をロック解除状態にするようにプログラムされた、
薬剤送達システム。
【請求項26】
少なくとも1つの温度感知部品がバッテリを備えた請求項25記載の薬剤送達システム。
【請求項27】
薬剤もしくは薬物が貯蔵器内に配置される請求項25又は26に記載の薬剤送達システム。
【請求項28】
薬剤送達システムであって、
薬剤を入れられるようにした貯蔵器と、
貯蔵器から薬剤を送達するよう貯蔵器に組み合わされ、貯蔵器からの薬剤送達が制限されるロック状態と貯蔵器からの薬剤送達が制限されないロック解除状態を有する安全装置を備える薬剤送達装置と、
温度センサと、
出力装置と
安全装置、温度センサ、及び出力装置と組み合わされた制御部とを備え、
制御部が
(a)貯蔵器に配置された薬剤の温度が上限より高いか否かを判定し、温度が上限より高い場合には出力装置を少なくとも1回起動し、安全装置をロック状態にし、
(b)貯蔵器に配置された薬剤の温度が下限より低いか否かを判定し、温度が下限より低い場合には出力装置を少なくとも1回起動し、安全装置をロック状態にし、
(c)(b)以降に一定の時間が経過したか否かを判定し、時間が経過した場合には安全装置をロック解除状態にするようにプログラムされた、
薬剤送達システム。
【請求項29】
薬剤もしくは薬物が貯蔵器内に配置される請求項28記載の薬剤送達システム。
【請求項30】
薬剤送達システムであって、
薬剤を入れられるようにした貯蔵器と、
貯蔵器から薬剤を送達するよう貯蔵器に組み合わされ、貯蔵器からの薬剤送達が制限されるロック状態と貯蔵器からの薬剤送達が制限されないロック解除状態を有する安全装置を備える薬剤送達装置と、
出力装置と
安全装置、及び出力装置と組み合わされた制御部とを備え、
制御部は温度センサを備え、
(a)貯蔵器に配置された薬剤の温度が下限より低いか否かを判定し、温度が下限より低い場合には出力装置を少なくとも1回起動し、安全装置をロック状態にし、
(b)薬剤温度が(a)以降に上限と下限の間にあるか否かを判定し、温度が上限と下限の間にある場合には安全装置をロック解除状態にするように構成された、
薬剤送達システム。
【請求項31】
薬剤もしくは薬物が貯蔵器内に配置される請求項30記載の薬剤送達システム。
【請求項32】
薬剤製品の送達方法であって、貯蔵器に配置された薬剤の温度が下限より低いか否かを判定し、温度が下限より低い場合には出力装置を少なくとも1回起動し、薬剤送達システムの使用者に対し、出力装置が起動した場合には、出力装置の作動後一定時間の経過を待ってから薬剤送達装置を操作するよう指示を与える方法。
【請求項33】
指示を与えることには、出力装置が起動した場合には、出力装置の作動後一定時間の経過を待ってから薬剤送達装置を操作することを伝える1又は複数の目印を薬剤送達システムのカバーにつけることを含む、請求項32記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2013年10月24日提出の米国仮出願第61/895285号の優先権を主張し、同出願の全内容は参照により本願に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
本特許は、薬剤送達システム、詳細には薬剤送達及び/又は薬剤送達システムの温度感知制御を含む薬剤送達システムに関する。
【0003】
広範な病状の治療のために患者は薬剤の投与を受ける。ある種の薬剤は、経口的、局所的、経粘膜的、もしくは吸入により投与され、他の薬は注射もしくは注入により投与される。これらの注射もしくは注入は皮内、皮下、筋肉内、静脈内、腹腔内に投与され得る。典型的には、注射もしくは注入には中空のカニューレもしくは針を用い、その中を通って薬剤が容器から患者に届く。
【0004】
皮下及び筋肉内注射に関しては、皮膚を通してカニューレもしくは針を挿入し、体内の適切な深さに針を位置させる際の動作の再現性を達成すること、そして、患者に対しカニューレもしくは針を介した投与を行う際の、送達速度の再現性を達成することについて多大な関心が払われてきた。しばしば、送達速度の再現性の達成には、注射器もしくはカートリッジ内部でプランジャを動かす際の動作の再現性が関係してくる。保存されたエネルギーを制御しながら開放し針を患者に刺し入れ、さらに、注射器もしくはカートリッジの中にプランジャを押し込むための様々な機械装置が設計されている。ばね、モータ、化学反応、相変化材料はいずれも針及び/又はプランジャを動かす推進力として検討されてきた。動作の再現性は安定した薬剤送達のために極めて重要と考えられる。
【0005】
そのような薬剤送達装置に制御部が含まれている場合には、制御部が保存エネルギー源を制御し、再現性を伴う方法でのエネルギー開放を確保する。このためには、種々のばねやモータを、その1つ1つの動作が所定の順序に従って起きるように確実に起動させ、それにより、カニューレもしくは針を用いた患者への安全で効果的な薬剤送達を確保することが関係し得る。
【発明の概要】
【0006】
本開示の一局面によれば、薬剤送達システムは、薬剤を入れられるようにした貯蔵器と、貯蔵器から薬剤を送達するよう貯蔵器に組み合わされた薬剤送達装置を含む。薬剤送達装置は、更に、貯蔵器からの薬剤送達が制限されるロック状態と貯蔵器からの薬剤送達が制限されないロック解除状態を有する安全装置を含む。システムは、更に、温度センサ、出力装置、ならびに、安全装置、温度センサ、及び出力装置に組み合わされた制御部を含む。制御部は、(a)貯蔵器に配置された薬剤の温度が上限より高いか否かを判定し、温度が上限より高い場合には出力装置を少なくとも1回起動し、安全装置をロック状態にし、(b)貯蔵器に配置された薬剤の温度が下限より低いか否かを判定し、温度が下限より低い場合には出力装置を少なくとも1回起動し、安全装置をロック状態にし、(c)薬剤温度が(b)以降に上限と下限の間にあるか否かを判定し、温度が上限と下限の間にある場合には安全装置をロック解除状態にするようにプログラムされる。
【0007】
本開示の別の一局面によれば、薬剤送達システムは、薬剤を入れられるようにした貯蔵器と、貯蔵器から薬剤を送達するよう貯蔵器に組み合わされた薬剤送達装置を含む。薬剤送達装置は、また、少なくとも1つの温度感知部品と、貯蔵器からの薬剤送達が制限されるロック状態と貯蔵器からの薬剤送達が制限されないロック解除状態を有する安全装置とを含む。システムは、更に、温度センサ、出力装置、ならびに、安全装置、温度センサ、及び出力装置に組み合わされた制御部を含む。制御部は、(a)少なくとも1つの温度感知部品の温度が上限より高いか否かを判定し、温度が上限より高い場合には出力装置を少なくとも1回起動し、安全装置をロック状態にし、(b)少なくとも1つの温度感知部品の温度が下限より低いか否かを判定し、温度が下限より低い場合には出力装置を少なくとも1回起動し、安全装置をロック状態にし、(c)少なくとも1つの温度感知部品の温度が(b)以降に上限と下限の間にあるか否かを判定し、温度が上限と下限の間にある場合には安全装置をロック解除状態にするようにプログラムされている。
【0008】
本開示の更に別の一局面によれば、薬剤送達システムは、薬剤を入れられるようにした貯蔵器と、貯蔵器から薬剤を送達するよう貯蔵器に組み合わされた薬剤送達装置を含む。薬剤送達装置は、また、貯蔵器からの薬剤送達が制限されるロック状態と貯蔵器からの薬剤送達が制限されないロック解除状態を有する安全装置を含む。システムは、更に、温度センサ、出力装置、ならびに、安全装置、温度センサ、及び出力装置に組み合わされた制御部を含む。制御部は、(a)貯蔵器に配置された薬剤の温度が上限より高いか否かを判定し、温度が上限より高い場合には出力装置を少なくとも1回起動し、安全装置をロック状態にし、(b)貯蔵器に配置された薬剤の温度が下限より低いか否かを判定し、温度が下限より低い場合には出力装置を少なくとも1回起動し、安全装置をロック状態にし、(c)(b)以降に一定の時間が経過したか否かを判定し、時間が経過した場合には安全装置をロック解除状態にするようにプログラムされている。
【0009】
本開示の更に別の一局面によれば、薬剤送達システムは、薬剤を入れられるようにした貯蔵器と、貯蔵器から薬剤を送達するよう貯蔵器に組み合わされた薬剤送達装置を含む。薬剤送達装置は、また、貯蔵器からの薬剤送達が制限されるロック状態と貯蔵器からの薬剤送達が制限されないロック解除状態を有する安全装置を含む。システムは、更に、出力装置、ならびに安全装置及び出力装置と組み合わされた制御部を含む。制御部は温度センサを含み、(a)貯蔵器に配置された薬剤の温度が下限より低いか否かを判定し、温度が下限より低い場合には出力装置を少なくとも1回起動し、安全装置をロック状態にし、(b)薬剤温度が、(a)以降に上限と下限の間にあるか否かを判定し、温度が上限と下限の間にある場合には安全装置をロック解除状態にするように構成されている。これに加え、あるいは、これに代えて、この制御部は薬剤が上限を超えているか否かを判定し、超えていた場合に適切な動作をするように構成してもよい。
【0010】
本開示の更に別の一局面によれば、薬剤製品の送達方法には、貯蔵器に配置された薬剤の温度が下限より低いか否かを判定し、温度が下限より低い場合には出力装置を少なくとも1回起動すること、及び、薬剤送達システムの使用者に対し、出力装置が起動した場合には、出力装置の作動後一定時間の経過を待ってから薬剤送達装置を操作するよう指示を与えることが含まれる。
【0011】
本開示は添付の図面と下記の記載からより完全に理解されるであろう。いくつかの図面は、他の要素をより明確に示すために、選択した要素を省略し単純化している場合がある。いかなる例示的な実施形態についても、要素のそのような省略は、対応する文章による説明によって明確に区別されている場合を除いて、必ずしも特定の要素の有無を示すものではない。どの図面も比率を一定にして描かれてはいない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の一実施形態による薬剤送達システムの該略図である。
【
図2】薬剤の高温、低温状態に対応し、温度に直接的に対応して送達を制御する実施形態における、
図1に示す薬剤送達システムの動作を示すブロック図である。
【
図3】薬剤の高温、低温状態に対応し、経過時間に直接的に対応し、温度に間接的に対応して送達を制御する実施形態における、
図1に示す薬剤送達システムの動作を示すブロック図である。
【
図4】薬剤の高温、低温状態に対応し、温度に対応して送達を制御する実施形態における、
図1に示す薬剤送達システムの動作を示すブロック図である。
【
図5】取り外し/交換により薬剤の高温状態に対応する実施形態における、
図1に示す薬剤送達システムの動作を示すブロック図である。
【
図6】ヒータの組み込みにより薬剤の低温状態に対応する実施形態における、
図1に示す薬剤送達システムの動作を示すブロック図である。
【
図7】取り外し/交換により薬剤の高温状態に対応し、ヒータの組み込みにより薬剤の低温状態に対応する実施形態における、
図1に示す薬剤送達システムの動作を示すブロック図である。
【
図8】本開示の一実施形態による薬剤送達システムの斜視図であり、装置の充填に用いられ得る注射器が添えられている。
【
図9】
図8の9-9線に沿った薬剤送達装置の断面図である。
【
図10】
図9の10-10線に沿った薬剤送達装置の断面図である。
【
図11】
図8の薬剤送達システムの駆動部の概略図である。
【
図12】針とともに用いられる、本開示によるバリアシステムの拡大部分断面図であり、針は格納時の位置にある。
【
図13】
図12のバリアシステムの拡大部分断面図であり、針は使用時の位置にある。
【
図16】薬剤の高温、低温状態に対応し、温度に直接的に対応して送達を制御する実施形態における、
図1に示す薬剤送達システムの動作を示すブロック図である。
【
図17】薬剤の高温、低温状態に対応し、温度に受動的に対応して送達を制御する実施形態における、
図1に示す薬剤送達システムの動作を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
薬剤は種々多様な方法、技術、システムを用いて注射又は注入することができる。例えば、薬剤を注射器のような貯蔵器に満たし、その注射器を皮下投与(注射)に用いることができる。或いは、薬剤を、注射器もしくはカートリッジ等の他の適当な主容器の形態の貯蔵器に満たし、この予め充填した注射器もしくは他の容器を自動注入器と組み合わせて用いることにより、注射器もしくは容器の内部でのプランジャの動作、及び、場合に応じカニューレもしくは針の患者への挿入を自動化することができる。一例として自動注入器には、アクチュエータの操作(例えばボタンを押す)により容器をハウジング内で動かし、かつ/又はプランジャを容器内で動かすための駆動部(例えばモータ、ばね、与圧型貯蔵器等)を備えてもよい。さらに別のやり方として、薬剤を貯蔵器(もしくは容器)に満たし、ポンプもしくは駆動部(モータ、ばね、与圧型貯蔵器等の形態を取り得る)で貯蔵器を操作し、針、カニューレもしくはカテーテルを介して患者に薬剤を注入することができる。ポンプと貯蔵器はハウジング内に配置してもよく、ハウジングは患者に取り付け、例えば体表面装着型薬剤送達システムとしてもよい。
【0014】
薬剤送達システムがどのような形態であれ、注射もしくは注入する薬剤の適切な保存方法に関する注意事項を守ることが重要である。そのような注意事項を守らない場合、医薬品の本来の効果が発揮できず、不完全な送達となる可能性があり、治療の失敗にもつながりかねない。例えば、例えばある種の医薬品は低温(2-8°C)での保存、即ち冷蔵が必要とされる。医薬品は推奨範囲外の温度にさらされると劣化し廃棄が必要となる場合がある。環境にさらされることで、自ずと推奨範囲外の温度にさらされることが起こり得る。
【0015】
薬剤が種々多様な方法、技術、システムによって送達されることから、薬剤とこれに関連する薬剤送達装置の保存方法には多くの異なる選択肢がある。例えば、薬剤は(主)容器もしくは貯蔵器(例えば予め充填した注射器、カートリッジ等)の中にいれて冷蔵し、関連する薬剤送達装置(例えば、自動注入器、体表面装着型薬剤送達システム)を室温で保存し、使用時に貯蔵器を薬剤送達装置の他の部分と組み合わせることができる。あるいは、薬剤(容器もしくは貯蔵器に入れてある)及び関連する薬剤送達装置を一緒に冷蔵することもできる。例えば、貯蔵器は、冷蔵前もしくは冷蔵中に関連する薬剤送達装置と組み合わせておき、保存場所から取り出すときには既に組み立てられた状態にしておくこともできる。また薬剤を充填した容器と薬剤送達装置を同じパッケージ内に(例えばキットとして)配置して保存し、他方、薬剤を充填した貯蔵器は薬剤送達装置内には配置しないようにもできる。
【0016】
ある種の薬剤製品(関連する薬剤送達装置と一緒のことも別のこともある)の低温保存は、薬効の低下や、不完全もしくは最適と言えない送達を防ぐために重要な場合がある。例えば、低温保存が薬剤製品の物理的特性、又は薬剤送達装置の動作に影響する場合がある。ある種の薬剤製品は低温で粘性の増加を示し、それにより低温下から取り出した直後は送達が妨げられ、或いは送達速度が予見しづらくなる。また、薬剤製品の中には温度上昇で粘性が増加し、室温下に置いておくにつれて送達の困難性が増し、或いは予見性が損なわれるものがある。更に、薬剤送達装置を薬剤と一緒に冷蔵保存した場合には、低温保存が薬剤送達装置の性能に影響する場合がある。例えば、バッテリの放電は温度とともに変化し、温度が下がると供給エネルギーが減ることが知られており、装置が内臓バッテリを使っている場合には、冷蔵保存から取り出した直後は、薬剤送達の困難性が増し、或いは予見性が損なわれる場合がある。また、低温保存は投与時に患者に不快感を与える場合がある。患者の中には低温の流体の投与に苦痛を感じる者がいる。更に、薬剤及び/又は装置に対する低温の影響で注射/注入速度が低下することで患者が苦痛を感じる場合がある。
【0017】
薬剤製品(及び場合に応じ薬剤送達装置)を保存場所から取り出すと、高温にさらされるために、最適と言えない送達や薬効の劣化した薬剤製品の送達となる場合がある。上述のとおり、保存上の注意事項の内容次第では、高温にさらされた薬剤製品は廃棄が必要になる場合がある。高温にさらすことは、バッテリなど、薬剤送達装置の部品にも影響を与える場合がある。
【0018】
本開示は薬剤及び/又は送達装置が被る温度変化を感知する薬剤送達システムに焦点を当て、薬剤送達及び/又は薬剤送達装置の動作の制御にあたって温度変化を考慮する。その結果、本開示による薬剤送達システムは、薬剤及び/又は装置の動作を温度に応じて変化させることができ、広範な環境的、動作的条件の下で、薬剤送達が安全、快適、かつ予見可能となることを確保する。
【0019】
図1は本開示の一実施形態による薬剤送達システム100の概要図である。薬剤送達システム100は、貯蔵器102、薬剤送達装置104、温度センサ106、出力装置108、制御部110等の部品もしくは小組立部品を含む。これら部品もしくは小組立部品の詳細を、限定を意図しない一連の例示を用いて以下で説明する。
【0020】
貯蔵器102は薬剤が入れられるようにしてある。薬剤送達装置104は貯蔵器102に組み合わされ貯蔵器102から薬剤を送達する。薬剤送達システム100は安全装置112を含み、安全装置112には、貯蔵器102からの薬剤送達が制限されるロック状態と、貯蔵器102からの薬剤送達が制限されないロック解除状態とがある。ある種の実施形態において、安全装置112は、薬剤送達装置104と貯蔵器102の間に物理的障壁を配置もしくは維持することにより、又は薬剤送達装置104の動作を妨げることにより、貯蔵器102からの薬剤送達を実質的に防止する。いくつかの実施形態において、貯蔵器102からの薬剤送達の実質的な防止とは、薬剤貯蔵器102から送達装置104を通る薬剤流量が、ロック解除状態において薬剤貯蔵器102から送達装置104を通る薬剤流量の約15%、10%、5%、もしくは1%未満であることを意味し得る。更に、いくつかの実施形態において、ロック解除状態の安全装置112は、薬剤送達装置104と貯蔵器102の間の物理的障壁を移動もしくは除去し、又は薬剤送達装置104の動作を許可することができる。ある種の実施形態において、貯蔵器102からの薬剤の送達を許可することとは、貯蔵器102から薬剤送達装置104を通る薬剤流量が、貯蔵器102から薬剤送達装置104を通る最大の薬剤流量の少なくとも約85%、90%、95%、もしくは99%であることを意味し得る。
【0021】
いくつかの実施形態において、制御部110は、安全装置112、温度センサ106、及び出力装置108に組み合わされる。制御部110はプロセッサとメモリを含み、前記プロセッサは温度センサ106からの1又は複数の信号を受信し、出力装置108と安全装置112を制御(例えば起動)するようプログラムしてもよい。或いは、制御部110は温度センサ106と安全装置112の機能を統合し、出力装置108を制御し又は作動させる機械的装置又は組立装置であってもよい。例えば、制御部110は特定の閾値以上もしくは以下の温度で特定の形状を帯びる形状記憶合金の一片を含み、前記金属片が貯蔵器102と薬剤送達装置104を結ぶ流体流路(例えばチューブ)に固定され、金属片が前記の形状を帯びるときに流体流路に押し当たって流体流路を開閉するようにしてもよい。この場合金属片は温度センサ106兼安全装置112として機能するとともに、制御部110の一部でもある。制御部は、機械的及び電気的な部品もしくは小組立部品だけでなく、化学的もしくは生物学的な部品もしくは小組立部品を含むようにしてもよいことが認識されるであろう。
【0022】
いくつかの実施形態において、
図1及び
図2に示すように、制御部110は、ブロック130において、貯蔵器102内に配置された薬剤の温度が上限より高いか否かを判定するように構成する(例えば電気的な実施形態においては、判定するようにプログラムする)ことができる。いくつかの実施形態において、この判定は制御部110が温度センサ106から受信した信号に基づいて行うことができる。ブロック130において、温度が上限を超えている場合には、ブロック132において、制御部110は、(例えば、薬剤温度が安全性を損なうほど高いと使用者に警告するため)出力装置108を少なくとも1回作動させ、ブロック134で安全装置112をロック状態にするようにしてもよい。ブロック130において、温度が上限より低い場合には、制御部110は、ブロック136において、貯蔵器102内に配置された薬剤の温度が下限よりも低いか否かを判定する(或いは判定するようにプログラムされる)ようにし、温度が下限より低い場合には、ブロック138において(例えば、安全性、及び/又は送達時の快適さ、及び/又は送達の予見性を損なうほど薬剤温度が低いと使用者に警告するため)出力装置108を少なくとも1回作動させ、ブロック140において安全装置112をロック状態にする。更に、制御部110は、ブロック142において、ブロック136(及びブロック138、140)以降に薬剤温度が上限と下限の間にあるか否かを判定し(判定するようプログラムされ)、温度が上限と下限の間である場合には、ブロック144において安全装置112をロック解除の状態にし、ブロック146において動作を許可する。この最終ステップは装置が送達のための許容範囲にあることを使用者に知らせる出力装置108の作動と結び付けてもよい。
【0023】
他の実施形態において、
図1及び
図3に示すように、制御部110は、ブロック150において、(例えば、信号温度センサ106からの信号を受信することにより)貯蔵器102に配置された薬剤の温度が上限より高いか否かを判定し、温度が上限より高い場合には、ブロック152において出力装置108を少なくとも1回起動し、ブロック154において安全装置112をロック状態にするようにしてもよい。また、制御部110は、ブロック156において、(例えば、温度センサ106からの信号を受信することにより)貯蔵器102に配置された薬剤の温度が下限より低いか否かを判定するようにプログラムされ、温度が下限より低い場合には、ブロック158において出力装置108を少なくとも1回起動し、ブロック160において安全装置112をロック状態にするようにしてもよい。更に、制御部110は、ブロック162においてブロック156(及び158、160)以降に所定の時間が経過したか否かを判定し、所定の時間が経過した場合にはブロック164において安全装置112をロック解除状態にし、ブロック166において動作を許可するようにしてもよい。いくつかの実施形態において、制御部110がプロセッサを含む場合には、制御部110は、
図3に示す前述の判定と起動を実行するようにプログラムしてもよく、これらの動作を実行するような構成のものとすることでもよい。
【0024】
他の実施形態において、
図1及び
図4に示すように、薬剤送達装置104は、場合に応じ、少なくとも1つの温度感知部品(「感温部品」)114、ならびに、貯蔵器102からの薬剤送達が制限されるロック状態及び貯蔵器102からの薬剤送達が制限されないロック解除状態を有する安全装置112を含むようにしてもよい。そのような実施形態においては、制御部110は、安全装置112、選択的な(もしくは付加的な)温度センサ106、及び出力装置108と組み合わされ、ブロック170において、少なくとも1つの温度感知部品114の温度が上限より高いか否かを判定し、温度が上限より高い場合には、ブロック172において出力装置108を少なくとも1回起動し、ブロック174において安全装置112をロック状態にする。また、制御部110は、ブロック176において、少なくとも1つの温度感知部品114の温度が下限より低いか否かを判定し、温度が下限より低い場合には、ブロック178において出力装置108を少なくとも1回起動し、ブロック180において安全装置112をロック状態にするようにしてもよい。また、制御部110は、ブロック182において少なくとも1つの温度感知部品114の温度が、ブロック176以降に上限と下限の間にあるか否かを決定し、温度が上限と下限の間であればブロック184において安全装置112をロック解除状態にし、ブロック186において動作を許可するようにしてもよい。ここでも、制御部110がプロセッサを含む場合は、制御部110は、前述の判定と起動を実行するようにプログラムすることでもよく、これらの動作を実行するような他の構成としてもよい。そのような実施形態において、少なくとも1つの温度感知部品114はバッテリとし得る。
【0025】
前述のいずれの実施形態についても更なる改善を加えることができる。
【0026】
例えば、貯蔵器102は薬剤送達システム100から取り外せるようにしてもよい。そのような実施形態において、
図1及び
図5に示すように、制御部110は、ブロック190において貯蔵器102内の薬剤温度が特定の温度を越えているか否かを判定するように構成され、又はプログラムされる。ブロック190において、温度が閾値温度を越えていると判定した後に(そしてブロック192において出力装置を、ブロック194において安全装置を起動した後に)、制御部110は、ブロック196において、ブロック190以降に貯蔵器102が取り除かれ薬剤を貯蔵する別の貯蔵器102と交換されたか否かを判定するようにし(或いは判定するようにプログラムされ)てもよい。貯蔵器102が取り除かれ別の貯蔵器102と交換済みの場合には、制御部110はブロック198において安全装置112をロック解除状態にする。その後、装置は今一度ブロック190において、貯蔵器102内に配置された薬剤の温度が上限より高いか否かを判定し、高くない場合には、ブロック200において、貯蔵器102内に配置された薬剤の温度が下限より低いか否かを判定することができる。貯蔵器102内の薬剤温度が下限より低い場合には、装置は、ブロック202において出力装置108を少なくとも1回起動し、ブロック204において安全装置112をロック状態にする。更に、制御部110は、ブロック206において、ブロック200以降(そしてブロック202、204以降)、薬剤温度が上限と下限の間にあるか否かを判定し(或いは判定するようにプログラムされ)、薬剤温度が上限と下限の間にある場合には、ブロック208において安全装置112をロック解除状態にし、ブロック210において動作を許可することができる。このような方法は、温度薬剤送達システムの温度感知部品114(例えばバッテリ)の高温状態の判定、バッテリ交換の監視、その後のシステム200の動作に対しても適合させ得ることが認識されるであろう。
【0027】
他の実施形態において、薬剤送達システム100は、貯蔵器102と薬剤送達装置104の少なくとも一方の近くで制御部110に組み合わされた(
図1参照)ヒータ116を含むこととしてもよい。
図1及び
図6に示すように、制御部110は、ブロック230において、貯蔵器102に配置された薬剤の温度が、例えば上限を超えているか否かを判定する(或いは電気的な実施形態の場合は、判定するようプログラムされる)ようにしてもよい。温度が上限より高い場合は、制御部110は、ブロック232において出力装置108を少なくとも1回起動し、ブロック234において安全装置112をロック状態にする。温度が上限より低い場合は、制御部110はブロック236において貯蔵器102に配置された薬剤の温度が下限より低いか否かを判定し(判定するようプログラムされ)、温度が下限より低い場合には、ブロック238において出力装置108を少なくとも1回起動し、ブロック240において安全装置112をロック状態にするようにしてもよい。さらに制御部110は、ブロック242において、ブロック236以降(そしてブロック238、240以降)、薬剤温度が上限と下限の間にあるか否かを判定し(或いは判定するようプログラムされ)、薬剤温度が下限より低い場合には、制御部110はブロック244においてヒータ116を起動し、薬剤温度が上限と下限の間にある場合は、ブロック246においてヒータ116を停止させる。ブロック246におけるヒータ116の停止後もしくは停止と同時に、制御部110はブロック248において安全装置112を解除し、ブロック250において動作を許可する。
【0028】
図2から
図6で説明したシステム100の動作方法は、互いに組み合わせることが可能であることが認識されるであろう。例えば、本システムにおいては、
図2、
図3のいずれの方法も、
図4の方法と組み合わせて実行することができる、同様に、
図4については、ブロック182において特定の範囲の温度を参照することに代えて、(
図3で貯蔵器に関して示したものと同様に、)特定の時間経過を参照して実行することもできる。更に、
図3のブロック156から164のステップは
図5のブロック200から208と入れ替えてもよい。また、上述の説明から認識されるであろうが、
図6のブロック244及び246で示した、ヒータを起動、停止させるステップは、
図2から
図5で示した動作方法のいずれと組み合わせてもよい(例えば、
図7を
図5と比較しつつ参照)。
【0029】
薬剤送達システムの構成と動作の概要を説明したので(
図1から
図7参照)、更に、貯蔵器、薬剤送達装置、温度センサ、出力装置、制御部、安全装置、及びヒータについて例示的な詳細を説明する。詳細には、
図1の特徴を組み入れ、更に詳細を加えた薬剤送達システム300の実施形態を
図8から
図10に示す。
【0030】
図8は薬剤送達システム300を示す。システム300は装着可能で使い捨てのシステムである。システム300は、例えば粘着剤で患者もしくは装着者に取り付けられる使い捨てのハウジング302を含むようにしてもよい。
【0031】
使い捨てのハウジング302は可塑性素材で形成してもよい。
図9に示すように、ハウジング302は、装着者の皮膚に当てるプレート304と、プレート304に取り付けたドーム306という2つのセクションから形成してもよい。ドームの取り付けにあたっては、好ましくはプレート304の周縁308とドーム306の周縁310との接触面をシールする。
【0032】
図9に示すように、ハウジング302は内部空間314を画成する内部表面312と外部表面316を有する。詳細には、プレート304は内部表面318と外部表面320を有し、ドーム306は内部表面322と外部表面324を有する。図示した実施形態において、ハウジング302の内部表面312はプレート304とドーム306の内部表面318、322により画成され、ハウジング302の外部表面316はプレート304とドーム306の外部表面320、324により画成される。
【0033】
上記のとおり、ハウジング302は装着者の皮膚に取り付けるようにしてもよい。いくつかの実施形態において、粘着剤を用いてもよい。粘着剤は、1回の使用中にハウジングを皮膚に固定しかつ取り外せるようなものとすることができる。
図9に示すように、粘着剤は、ハウジング302の外部表面316、詳細にはプレート304の外部表面320の一部328上の層326に配置する。ハウジング302を装着者の皮膚に装着する前は、粘着剤は、取り外し可能な使い捨てシート330で覆われている。
【0034】
図9及び
図10に示すように、貯蔵器340、駆動部342、針344、及びインジェクタ346がハウジング302内に配置される。
図1に示す実施形態との関連では、貯蔵器340は貯蔵器102に対応し、駆動部342、針344、インジェクタ346は、薬剤送達装置104に対応し得る。薬剤送達装置104に対応する追加的な部品と小組立部品が提供され得ることが認識されるであろう。
【0035】
いくつかの実施形態において、貯蔵器340は、少なくとも部分的には、ポート362を第1端364に設けた剛性壁のシリンダもしくはボア360と、シリンダ360の長手軸368に沿って第2端370と第1端364の間を移動可能に嵌合され貯蔵器340からポート362を通して薬剤を押し出すプランジャ366との組み合わせにより画成される(
図9)。プランジャ366は、駆動部342の操作により作動させることができる。
【0036】
駆動部342は、米国特許第6,656,158号、第6,656,159号、第7,128,727号、第7,144,384号に見られるシリンダのプランジャを動かす装置と構造と動作が類似したものであってもよい。これらの特許は、全ての目的上、参照により本明細書に組み入れられる。
図11に示すように、駆動部342はプランジャアーム372、モータ374、伝動装置376、バッテリ378を含むようにしてもよい。プランジャアーム372はプランジャ366と少なくとも第1端で接触し、プランジャ366をシリンダ360に沿って押す。伝動装置376はプランジャアーム366とモータ374に組み合わされ、プランジャアーム372をモータ374の動作に応じて動かす。バッテリ378はモータ374のための電力源となる。モータ374、伝動装置376、バッテリ378の組み合わせもまたアクチュエータの一例と言うことができる。
【0037】
他の実施形態において、
図9の剛性壁のシリンダ360とプランジャ366は、変形できる非剛性パウチに替えてもよい。貯蔵器360が変形できる非剛性パウチである場合、貯蔵器を圧縮し与圧するためにばねによる機械的システムを用いてもよいことが認識されるであろう。更に他の形態では、プランジャ366を動かし又はバッグを圧縮するため非機械的システムを用いてもよい。例えば、成分を隔てておき、ガス生成が必要なときに結合させる2成分システムを含む、ガス生成システムを用いてもよい。他の実施形態において、膨潤性ジェルを用いてもよい。この場合、装置内部の供給源から水を導き入れてジェルの体積を増やし、プランジャを動かし、又はパウチを圧縮する。更なる例として与圧剤貯蔵器を開けて与圧剤を放出させプランジャ366を動かし、又はパウチを圧縮するようにしてもよい。このような装置の例は米国特許第5,957,895号、第5,858,001号、第5,814,020号に見られる。これらの特許は、全ての目的上、参照により本明細書に組み入れられる。
【0038】
ある種の実施形態において、貯蔵器340は、予め充填したカートリッジ、もしくは予め充填した注射器等の、予め充填した容器としてもよい。或いは、送達システム300は、貯蔵器340と流体経路で連絡された充填ポート380を含んでいてもよい。充填ポート380は、注射器(例えば
図8に示す注射器)のルアーチップを受け止めるようにしてあるが、例えばゴム製の隔壁を代わりに用いてもよい。使用時には、医療提供者は注射器から充填ポート380を通して貯蔵器340に薬剤を注入することができる。注射器は、システム300をキットとして、(充填には本明細書に記載したいずれの素材を用いてもよいが)予め充填した注射器として医療提供者に提供されてもよい。
【0039】
針344には、先端390(実際は針344全体)がハウジング302内部に引き込まれる格納位置と、ハウジング302から先端390が突き出ている使用位置とがあり(
図12と
図13参照)、インジェクタ346が針344を格納位置から使用位置まで移動させる。例示的なインジェクタの例は米国特許第7128,727号と第714,4384に見られる。これらの特許は、全ての目的上、参照により本明細書に組み入れられる。
【0040】
針344は、中空であってよく、患者に薬剤を直接投与するために用いてもよい。或いは、針344はカニューレもしくはカテーテル392とともに用いてもよく、針344はカテーテル392を注入部位で患者に挿入するため用い、投与時に薬剤がカテーテル392を通って患者に流入する(
図9と
図10参照)。少し言い換えると、ある種の例示的実施形態において、システム300はソフトカニューレを皮下組織に自動挿入するようにし得る。
【0041】
図9、
図12、及び
図13に示すように、ハウジング302(具体的にはプレート304)には、針344(及びカテーテル392)を通す開口部もしくは穴394を形成してもよい。ある種の実施形態において、開口部394は、針344(及びカテーテル392)が穴394を通って動く上での妨害や障害のない、遮られないものとしてもよい。しかし、針344の無菌性と装置の容器密閉性(CCI)をより良く維持するため開口部394を覆う隔壁396(
図12と
図13に示す)を配置してもよい。
【0042】
隔壁396はゴム製としてもよく、針344(及び空間314)と患者の皮膚の間に配置される。針344は格納位置にある(
図12)。使用位置(
図13)においては、少なくとも針344の一部(即ち先端390)が空間314から隔壁396を通して下りている。このように、隔壁396は常に内部空間314と外部環境との間に障壁として存在している。
【0043】
また、システム300は少なくとも1つの温度センサ400を含む。
【0044】
図14に示すように、少なくとも1つの温度センサ400はハウジング302の様々な場所に配置することができる。例えば、貯蔵器340が、ポート362のあるシリンダ360と、ポート362から薬剤を押し出すためにシリンダ360内部でポート362に対して可動としたプランジャ366を含む実施形態においては、温度センサ400はプランジャ366に取り付けることができる。その場合、温度センサ400は薬剤と直接接触させてもよく(プランジャ366の内部表面に薬剤と直接接触させて配置する等)、又は間接的に接触させてもよい(プランジャ366内部に配置ないし埋め込む等)。或いは、センサ400は、例えば貯蔵器340の壁の近傍もしくはこれに接触させて配置するなどして、貯蔵器340の近傍もしくはこれに接触させて配置してもよい。これは貯蔵器がシステム300の他の部分から取り外せる場合に特に有益である。更に、センサは制御部の近傍に、もしくは内蔵させて配置してもよい。また、センサ400はバッテリ378の近傍もしくはこれに接触させて配置してもよい(
図11参照)。貯蔵器340が貯蔵器340と流路で連絡しているカニューレもしくはチューブを含んでいる場合には、温度センサ400はカニューレと組み合わせてもよい。
図14においては、温度センサ400は、針344の形態のカニューレに組み合わされている。
【0045】
温度センサ400は様々な形態を取り得る。例えば、温度センサは、抵抗温度検出器、サーモカップル、赤外線サーモパイル、及び、感熱性ラベルと光学検出器を備えた組立部品のうちの少なくとも1つとすることができる。これらのセンサはソリッドステート装置とすることも可能であるが、RFID型としてもよい。RFIDセンサはソリッドステート装置に比べ、電源や装置との電気的接触を必要としない点で優れている。ソリッドステート装置は一組の接点を通じて電源(例えばバッテリ)に接続できる。
【0046】
上記の例に関し、ある種のプロセッサチップは、通常、温度センサを含んでいる。動作中にプロセッサ内部で熱が発生するが、内蔵センサを用いた温度判定に際して、この局所的温度上昇は計算できる。内蔵センサを用いて、センサとの距離を基に、送達装置の他の部品の温度、貯蔵器の温度さえも、推測することができる。発生する熱が大きく、離れた場所にある部品の温度判定に影響が大きすぎる場合には、装置内及び/又は貯蔵器の熱伝導特性を計算し、様々な場所における内部温度のレファレンスマップの作成に利用することができる。このレファレンスマップは、部品及び/又は貯蔵器の温度判定に用いるため制御部に保存しておくことができる。
【0047】
温度センサがプランジャに固定されている実施形態に関して、センサが薬剤製品と間接的な接触に置かれた場合(例えばセンサがプランジャに埋め込まれた場合)でも、センサと薬剤製品は、特に長期冷蔵保存の間には同じ温度で平衡する。薬剤製品の温度が上がるにつれて、プランジャにおける判定温度は概ね貯蔵器内の薬剤の温度変化に追随するはずである。2つの温度の差が小さくなるように、貯蔵器内の薬剤とプランジャに固定されたセンサとの間の介在物として熱伝導性の高い素材を用いることができる。正確性及び/又は薬剤製品温度との相関性を改善するため、測定温度に加え、変化率情報(例えば温度変化率)を用いてもよい。
【0048】
貯蔵器と関連付けられ、もしくは近接している温度センサ(もしくは温度感知部品)に関する実施形態について、センサは例えば赤外線サーモパイルチップとしてもよい。そのようなセンサは熱源の赤外線シグネチャを測定し、しかも熱源との直接接触を必要としない。これらの赤外線サーモパイルは0.7μmから1000μmの波長帯域で作動し、2mm×2mm以下のフットプリントを有することができる。例示的なサーモパイルチップはTexas Instruments(テキサス州ダラス)製のTMP006チップで、電力消費低減のために最適化されており、必要な供給電流は200μA未満である。このようなセンサが提供するのは、典型的には外気温の判定であるので、外気温を用いて、薬剤(もしくは温度感知部品)が閾値より高い温度に達するための所要時間を予測することができる。この予測は、外気温に加えて薬剤(もしくは温度感知部品)の熱質量と熱伝達特性に基づくようにしてもよく、プロセッサが計算を実行するようプログラムするか、又は外気温が判定されたときにプロセッサがアクセスするレファレンステーブルをメモリに保存することができる。
【0049】
同じく、貯蔵器と関連付けられ、もしくは近接している温度センサ(もしくは温度感知部品)に関する実施形態について、センサは光ピックアップもしくは光センサとともに(組み合わせて)用いる感温ラベルとしてもよい。感温ラベルは閾値温度に達すると外観が変化する。ラベルには、例えば、固形のラベル、ワックス、ラッカー様塗料、液晶ポリマーフィルムの形態がある。この外見上の変化を判定するため光ピックアップを用いることができる。次にこの外見上の変化を閾値温度と関連付け、温度を判定することができる。光ピックアップは2.5mm×2.5mmのフットプリントを有し、電力消費は活性モードで20μA未満、低電力の非活性モードで0.5μA未満であり得る。光ピックアップもしくは光センサの例としてMaxim Integrated(カルフォルニア州サンノゼ)の販売するMAX44005センサがある。このような実施形態において、ラベルとピックアップの組み合わせは非接触型であり、ラベルとピックアップ間の物理的相互作用を防ぐ。
【0050】
カニューレもしくは針に固定された温度センサの関係する実施形態について、そのようなセンサは薄膜センサ(RTDs)細線(サーモカップル)を用いて形成することができる。そのような技術を用いると、針部品との一体化により、センサを針と熱接触させつつ薬剤製品とは間接的に接触させることができる。針部品はしばしば熱伝導性の高い素材で形成されるので、センサを針に配置すれば、針の温度と針の中を通る薬剤製品の温度差が小さくなる。加えて、カニューレにセンサを配置すれば患者の注射部位の体温/組織温の監視が可能になり得る。
【0051】
システム300は、さらに、駆動部342及びインジェクタ346と組み合わされた制御部450を含み、制御部212は、駆動部342を操作して貯蔵器340から所定量の薬剤を送達し、インジェクタ346を操作して針344を格納位置と使用位置の間で動かす。
図10に示すように、制御部はセンサ400、出力装置452、安全装置454、及びヒータ456とも組み合わされている。
【0052】
図10に示す実施形態において、制御部450は、プログラム可能なマイクロプロセッサ470、メモリ472、電源474を含んでいてもよい。電源474は1又は複数のバッテリを含んでいてもよい。ある種の実施形態において、制御部450は、貯蔵器340内に配置された薬剤もしくは薬剤送達装置(例えば駆動部342、インジェクタ346)の温度が上限より高いか、下限より低いか、それとも上限と下限の間にあるかを判定する前に、温度センサ400が正確か否かを判定するようにプログラムしてもよい。この正確性の判定には、温度センサ400が接続されていることの判定を含めてもよく、或いは、温度センサ400からの信号を用いた温度判定を他の温度センサからの信号を用いた温度判定と比較することを含めてもよい。さらに、制御部450は、温度センサが正確でない場合には、メモリに保存されたテーブルを参照し、もしくは補正係数を使って温度判定を修正するようプログラムしてもよい。
【0053】
出力装置452は、ディスプレイ、発光体、及びスピーカーのうちの少なくとも1つを含むようにしてもよい。いくつかの実施形態によれば、出力装置452は、ディスプレイ、発光体、及び/又はスピーカーのうちの2つ以上を含むようにしてもよい。出力装置452の目的は、使用者に対しシステムの動作状態の変化を警告することであり、上記の実施形態においては、使用者に対して少なくとも2つの異なる動作状態、即ち、高温の場合と低温の場合に警告を発する。従って、出力装置452は、高温による動作状態の変化及び低温による動作状態の変化について異なる警告を使用者に発するため、複数のディスプレイ、発光体、及び/又はスピーカーを含むようにしてもよい。単一の出力装置452を制御部450により制御し、動作状態の変化が高温、低温のいずれによるものかに応じて異なる動作をする(例えば異なる色を表示し、異なる音や音色を発する)ようにしてもよい。
【0054】
ヒータ456は多くの異なる種類のうちの1つとすることができる。例えば、ヒータ456は、機械的ヒータ(例えば形状記憶アクチュエータからの熱)、電気的ヒータ、化学的ヒータ、及び、熱源との選択可能な組み合わせのうちの少なくとも1つとしてもよい。いくつかの実施形態において、電気的ヒータは、抵抗ヒータ及び熱電ヒータ(即ち赤外線加熱をするヒータ)のうちの少なくとも1つを含むようにしてもよい。いくつかの実施形態において、熱源は、制御部(例えばプロセッサ回路基板からの廃熱)、及び、薬剤送達システムを装着した患者(この場合に熱伝導性の粘着剤を使用してもよい)の少なくとも一方を含むようにしてもよい。使用されるヒータが何であれ、ヒータ近くで流体流路を延長もしくは拡幅することで、流体の貯蔵器と注射/注入部位との間での加熱を改善するようにしてもよい。或いは、パッケージに加熱機能をもたせてもよく、又は、粘着剤のライナーを加熱に用いてもよい(例えば、粘着剤のライナーをはがすとアクリル系粘着剤が発熱する)。
【0055】
抵抗ヒータについては、そのようなヒータは、比較的抵抗の大きな抵抗体に電力を加え、電気エネルギーが熱エネルギーに変換されることにより構成される。この熱は、伝導もしくは対流により、熱源から、隣接する薬剤製品もしくは温度感知部品に伝わる。プロセッサ回路基板からの廃熱は、例えば導体トレースの抵抗熱から発生し得る。
【0056】
熱電ヒータについては、そのようなヒータは、ペルチェ効果を利用し2つの異なる金属に電気エネルギーをかけて接合点に熱の移動を起こすものである。熱電ヒータには、場合に応じ、加熱だけでなく冷却にも同じ構造が使えるという意味において一定の利点がある。さらに、可動部がないため構造が単純で長寿命が期待できる。
【0057】
化学的ヒータについては、そのようなヒータは、発熱反応する2以上の化学物質を含み得る。例えば、過飽和させた酢酸ナトリウムの結晶化を利用してもよい。この反応は使用時の核形成により開始され、反応物の量により20分から2時間までの間、熱を供給できる。
【0058】
制御部450は、機械装置、機械装置の組み合わせ、電気的装置の組み合わせ(ハードワイヤード回路もしくは回路部品)、もしくは機械的装置と電気的装置の組み合わせとすることができる。
図15は、機械的制御部500を、貯蔵器502、針504、及び、貯蔵器502と針504の間の流体流路508に配置した弁506と組み合わせた具体的実施形態を示す。制御部500、貯蔵器502、針504、及び弁506を含む装置は、更に他の装置(貯蔵器502の駆動部、及び/又は針504のアクチュエータ等)を含むようにしてもよいが、説明を容易にするためこれらの構造は省略する。上記実施形態において、弁506は安全装置として機能するようにしてもよく、弁の閉じた状態がロック状態、弁の開いた状態がロック解除状態に相当する。
【0059】
制御部500は、弁/安全装置506のロック状態を変化させるために用いることのできる感温材料で形成されたアクチュエータ510を含み、前記アクチュエータ510は、監視対象の薬剤及び/又は温度感知部品の近傍に配置される。アクチュエータ510は、例えば、ニタノール(ニッケル・チタン)等の一片の形状記憶合金を含むようにしてもよい。前記一片の形状記憶合金は、温度に応じて第1の形状、もしくは第2の形状を取る。前記金属片が第1の形状と第2の形状の間で変化する温度は、下限温度閾値に対応させることができる。前記金属片が第1の形状のとき、前記金属片が弁506に当接して弁506が閉じた状態になるようにできる。前記金属片が第2の形状のとき、前記金属片が弁506から離れ弁506が開いた状態になるようにできる。従って、前記金属片が低温閾値より低いときには、前記金属片は弁506が閉じる(ロックされる)ことを確保し、前記金属片が下限温度閾値より高いときには、前記金属片は弁506が開く(ロック解除)ことを確保する。
【0060】
図2及び
図4に示した実施形態の場合、制御部500は、形状記憶合金の形状に基づき、薬剤もしくは温度感知部品の温度が低温閾値より低いか否かを判定する。金属片の温度が、金属片の形状が変化する温度より低い場合には、金属片は弁506を動かす。これは安全装置の起動に相当する。制御部500は、金属片の形状が第1の形状から第2の形状に変化した場合には、薬剤もしくは温度感知部品の温度が低温閾値より高いか否かを判定する。これが起きた場合、金属片が弁506から離れることにより、制御部500は安全装置を解除し、弁は開いた状態になり、この時点で薬剤は貯蔵器402から針504に流れるようになる。
【0061】
様々な実施形態において、安全装置の起動には安全装置が起動前にロック解除状態になっていることは必要ない。いくつかの実施形態において、安全装置の起動は、安全装置を初期設定のロック状態に維持することを含み、もしくは包含し得る。
図16に示すように、制御部は、ブロック530において貯蔵器内に配置された薬剤の温度が上限より高いか否かを判定する(又は、電気的な実施形態の場合には、判定するようプログラムされる)ようにしてもよい。温度が上限を超えた場合には、制御部は、ブロック532において、(例えば、使用者に薬剤温度が高すぎて安全性が損なわれることを警告するため)出力装置を少なくとも1回起動し、ブロック534において安全装置をロック状態にするようにしてもよい。いくつかの実施形態においては、初期設定で安全装置がロック状態になっているため、ブロック534において安全装置をロック状態にすることは、制御部が何もしないことを含む。温度が上限より低い場合には、制御部は、ブロック536において、貯蔵器に配置された薬剤の温度が下限より低いか否かを判定し(又は判定するようプログラムされ)、温度が下限より低い場合には(例えば、安全性、及び/又は送達時の快適さ、及び/又は送達の予見性を損なうほど薬剤温度が低いと使用者に警告するため)ブロック538において、出力装置を少なくとも1回起動し、ブロック540において安全装置をロック状態にするようにしてもよい。上記と同様に、いくつかの実施形態においては、初期設定で安全装置がロック状態になっているため、ブロック540において安全装置をロック状態にすることは、制御部が何もしないことを含む。更に、制御部は、ブロック542において、ブロック536以降(そしてブロック538、540以降)薬剤温度が上限と下限の間にあるか否かを判定する(もしくは判定するようプログラムされる)ようにしてもよい。温度が上限と下限の間にある場合、制御部はブロック544において安全装置をロック解除状態にし、ブロック546において動作を許可する。初期設定で安全装置がロック状態になっている実施形態においては、ブロック548において制御部が安全装置をロック解除状態にすることも必要となろう。
【0062】
図16の方法のステップは、例えば、薬剤もしくは温度感知部品の温度が上限温度閾値より高くなく、下限温度閾値より低くないことが判定された場合に、制御部が安全装置をロック解除するステップを実行する必要があるという点を除けば、
図2の方法と同様に表すことができる。ステップ548は、
図2から
図7に示したいずれの方法についても組み入れることができ、初期設定で安全装置がロック状態にある実施形態において同様の効果をもたらす。
【0063】
装置の動作方法の、更に別の実施形態を
図17に示す。これらの実施形態は、安全装置が必ず起動されるとは限らない点が、これまでに説明した実施形態と異なる。従って、
図17に示すように、制御部は、ブロック560において、貯蔵器内に配置された薬剤の温度が上限より高いか否かを判定する(もしくは判定するようプログラムされる)ようにしてもよい。温度が上限を超えた場合には、制御部は、ブロック562において、(例えば使用者に薬剤温度が高すぎて安全性が損なわれることを警告するため)少なくとも1回出力装置を起動し、ブロック564において安全装置をロック状態にするようにしてもよい。温度が上限より低い場合には制御部は、ブロック566において、貯蔵器に配置された薬剤の温度が下限より低いか否かを判定し(もしくは判定するようプログラムされ)、温度が下限より低い場合には、ブロック568において、(例えば、安全性、及び/又は送達時の快適さ、及び/又は送達の予見性を損なうほど薬剤温度が低いと使用者に警告するため)少なくとも1回出力装置を起動する。装置の外部表面(例えばカバー)に記された目印(例えば注意書き)により、使用者は、例えば、出力装置が起動した場合には一定時間(例えば、5、10、もしくは20分間)待ってから装置を操作しなければならない旨が伝えられる。しかし、ブロック570に示されるように、ブロック568において出力装置が起動した後も装置がロックされることはなく操作は可能である。
【0064】
図17に示すような実施形態の前提をなす仮定は、
図3の実施形態と同様である。即ち、十分な時間が経過すれば周囲の熱が薬剤ないし感知部品の温度を下限温度閾値以上に上昇させるということである。
図3の実施形態とは異なり、システムの使用を妨げる安全装置の起動はない。場合に応じ、
図17の方法の実施形態はブロック564のステップを省略することで更に簡略化でき、この場合、出力装置の起動により使用者に薬剤もしくは温度感知部品が上限温度閾値を超えたことを警告する。このような実施形態においては、ブロック562における出力装置の起動をブロック568における出力装置の起動と異なるようにして、使用者が2つの警告を区別できるようにしてもよい。更に、ブロック562もしくはブロック568における出力装置の起動後も装置の操作を可能とすることもできる。
【0065】
装置の構造と動作を説明したので、次に貯蔵器内に納める例示的な薬剤、薬物、もしくは医薬品を説明する。
【0066】
例えば、薬剤送達装置、より具体的には、装置の貯蔵器はG-CSF等のコロニー刺激因子で満たすことができる。そのようなG-CSF剤には以下が含まれるが、これらに限定されない。Neupogen(登録商標)(フィルグラスチム)、Neulasta(登録商標)(ペグフィルグラスチム)。他の様々な実施形態において薬剤送達装置は、赤血球造血刺激因子製剤(ESA)等の種々の医薬品とともに用いることができる。ESAは液体形態もしくは凍結乾燥形態であり得る。ESAは、赤血球造血を刺激するあらゆる分子を意味し、例えばEpogen(登録商標)(エポエチンアルファ)、Aranesp(登録商標)(ダルベポエチンアルファ)、Dynepo(登録商標)(エポエチンデルタ)、Mircera(登録商標)(メトキシポリエチレングリコール-エポエチンベータ)、Hematide(登録商標)、MRK-2578、INS-22、Retacrit(登録商標)(エポエチンゼータ)、Neorecormon(登録商標)(エポエチンベータ)、Silapo(登録商標)(エポエチンゼータ)、Binocrit(登録商標)(エポエチンアルファ)、エポエチンアルファヘキサル、Abseamed(登録商標)(エポエチンアルファ)、Ratioepo(登録商標)(エポエチンシータ)、Eporatio(登録商標)(エポエチンシータ)、Biopoin(登録商標)(エポエチンシータ)、エポエチンアルファ、エポエチンベータ、エポエチンゼータ、エポエチンシータ、及びエポエチンデルタ、さらに以下の特許もしくは特許出願に開示された分子又はその変異体もしくは類似体を含み、これら各文献はその全体が本明細書中に参照により組み入れられる。米国特許第4,703,008号、第5,441,868号、第5,547,933号、第5,618,698号、第5,621,080号、第5,756,349号、第5,767,078号、第5,773,569号、第5,955,422号、第5,986,047号、第6,583,272号、第7,084,245号、第7,271,689号、PCT国際公開第91/05867号、第95/05465号、第96/40772号、第00/24893号、第01/81405号、及び第2007/136752号。
【0067】
ESAは赤血球造血刺激タンパク質であり得る。本明細書中で用いる場合、「赤血球造血刺激タンパク質」は、直接的もしくは間接的に、エリスロポエチン受容体の活性化を、例えば、受容体に結合し二量体化させることにより、引き起こす任意のタンパク質を意味する。赤血球造血刺激タンパク質には、エリスロポエチン、エリスロポエチン受容体と結合し活性化させるその変異体、類似体もしくは誘導体、エリスロポエチン受容体と結合し活性化させる抗体、又はエリスロポエチン受容体と結合し活性化させるペプチドが含まれる。赤血球造血刺激タンパク質には以下が含まれるが、これらに限定されない。エポエチンアルファ、エポエチンベータ、エポエチンデルタ、エポエチンオメガ、エポエチンイオタ、エポエチンゼータ、及びその類似体、ペグ化エリスロポエチン、カルバミル化エリスロポエチン、ミメティックペプチド(EMP1/ヘマタイドを含む)、及びミメティック抗体。例示的な赤血球造血刺激タンパク質には、エリスロポエチン、ダルベポエチン、エリスロポエチンのアゴニスト変異体、エリスロポエチン受容体に結合し活性化させるペプチドもしくは抗体(米国公開第2003/0215444号及び第2006/0040858号に記載の化合物を含む。これら各文献による開示はその全体が本明細書中に参照により組み入れられる。)。さらに以下の特許もしくは特許出願に開示されたエリスロポエチン分子又はその変異体もしくは類似体を含む。これら各文献はその全体が本明細書中に参照により組み入れられる。米国特許第4,703,008号、第5,441,868号、第5,547,933号、第5,618,698号、第5,621,080号、第5,756,349号、第5,767,078号、第5,773,569号、第5,955,422号、第5,830,851号、第5,856,298号、第5,986,047号、第6,030,086号、第6,310,078号、第6,391,633号、第6,583,272号、第6,586,398号、第6,900,292号、第6,750,369号、第7,030,226号、第7,084,245号、及び7,217,689号、米国公開第2002/0155998号、第2003/0077753号、第2003/0082749号、第2003/0143202号、第2004/0009902号、第2004/0071694号、第2004/0091961号、第2004/0143857号、第2004/0157293号、第2004/0175379号、第2004/0175824号、第2004/0229318号、第2004/0248815号、第2004/0266690号、第2005/0019914号、第2005/0026834号、第2005/0096461号、第2005/0107297号、第2005/0107591号、第2005/0124045号、第2005/0124564号、第2005/0137329号、第2005/0142642号、第2005/0143292号、第2005/0153879号、第2005/0158822号、第2005/0158832号、第2005/0170457号、第2005/0181359号、第2005/0181482号、第2005/0192211号、第2005/0202538号、第2005/0227289号、第2005/0244409号、第2006/0088906号、及び2006/0111279号、及びPCT国際公開第91/05867号、第95/05465号、第99/66054号、第00/24893号、第01/81405号、第00/61637号、第01/36489号、第02/014356号、第02/19963号、第02/20034号、第02/49673号、第02/085940号、第03/029291号、第2003/055526号、第2003/084477号、第2003/094858号、第2004/002417号、第2004/002424号、第2004/009627号、第2004/024761号、第2004/033651号、第2004/035603号、第2004/043382号、第2004/101600号、第2004/101606号、第2004/101611号、第2004/106373号、第2004/018667号、第2005/001025号、第2005/001136号、第2005/021579号、第2005/025606号、第2005/032460号、第2005/051327号、第2005/063808号、第2005/063809号、第2005/070451号、第2005/081687号、第2005/084711号、第2005/103076号、第2005/100403号、第2005/092369号、第2006/50959号、第2006/02646号、及び第2006/29094号。
【0068】
本装置とともに使用する医薬品の例には以下が含まれるが、これらに限定されない。Vectibix(登録商標)(パニツムマブ)、Xgeva(商標)(デノスマブ)、Prolia(商標)(デノサマブ)等の抗体、Enbrel(登録商標)(エタネルセプト、TNF受容体/Fc融合タンパク、TNF阻害薬)、Neulasta(登録商標)(ペグフィルグラスチム、ペグ化フィルガストリム、ペグ化G-CSF、ペグ化hu-Met-G-CSF)、Neupogen(登録商標)(フィルグラスチム、G-CSF、hu-MetG-CSF)、Nplate(登録商標)(ロミプロスチム)等の生物学的薬剤、Sensipar(登録商標)(シナカルセト)等の小分子薬。本装置は、治療用抗体、ポリペプチド、タンパク質、もしくは、鉄等の他の化学薬品、例えばフェルモキシトール、デキストラン鉄、グルコン酸第二鉄、スクロース鉄等とともに用いることができる。医薬品は、液体形態もしくは凍結乾燥形態から復元したものを用いることができる。
【0069】
具体的例示的なタンパク質には以下に挙げる特異的タンパク質とその融合体、断片、類似体、変異体、誘導体が含まれる。
【0070】
OPGLに特異的な抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等(RANKL特異的抗体、ペプチボディ等とも言う)。これには、OPGLに特異的な完全ヒト化抗体及びヒト抗体、詳細には、完全ヒト化モノクローナル抗体が含まれる。これには、PCT国際公開第03/002713号に記載の抗体が含まれるが、これらに限定されない。(前記文献はOPGLに特異的な抗体及び抗体関連タンパク質に関して全体が本明細書中に参照により組み入れられる。)詳細には、前記文献に掲載された配列を有するもの。また詳細には、前記文献中で名称が記載されているもの、即ち、9H7、18B2、2D8、2E11、16E1、及び22B3。ただしこれらに限定されない。これには、前記文献の
図2に記載の配列番号2のL鎖及び/又は前記文献の
図4に記載の配列番号4のH鎖を有するOPGL特異的抗体が含まれる。これらは各々、個別かつ具体的に参照により前記文献の開示のとおり本明細書に全体が完全に組み入れられる。
【0071】
ミオスタチンに結合するタンパク質、ペプチボディ、及び関連タンパク質等。これには、ミオスタチン特異ペプチボディ、詳細には、米国公開第2004/0181033号、及びPCT国際公開第2004/058988号に記載のものが含まれる。(これら文献は、特にミオスタチン特異的なペプチボディに関する部分について全体が本明細書中に参照により組み入れられる。)これには以下が含まれるが、これらに限定されない。mTN8-19ファミリーのペプチボディ、例えば、配列番号305-351のもの、TN8-19-1からTN8-19-40まで、TN8-19con1、及びTN8-19con2、ならびに、配列番号357-383のmL2ファミリーのペプチボディ、配列番号384-409のmL15ファミリー、配列番号410-438のmL17ファミリー、配列番号439-446のmL20ファミリー、配列番号447-452のmL21ファミリー、配列番号453-454のmL24ファミリー、及び配列番号615-631のもの。これらは各々、個別かつ具体的に参照により前記文献の開示のとおり本明細書にその全体が完全に組み入れられる。
【0072】
IL-4受容体に特異的な抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等、詳細にはIL-4及び/又はIL-13と受容体との結合により仲介される活性を抑制するもの。これには、PCT国際公開第2005/047331号もしくはPCT出願PCT/US2004/037242号、および米国公開第2005/112694号に記載されたものが含まれる。(これら文献は、特にIL-4受容体特異的抗体に関する部分について全体が本明細書中に参照により組み入れられる。)詳細には、前記文献に記載された抗体。また詳細には、前記文献中で名称が記載されているもの、即ち、L1H1、L1H2、L1H3、L1H4、L1H5、L1H6、L1H7、L1H8、L1H9、L1H10、L1H11、L2H1、L2H2、L2H3、L2H4、L2H5、L2H6、L2H7、L2H8、L2H9、L2H10、L2H11、L2H12、L2H13、L2H14、L3H1、L4H1、L5H1、L6H1。ただしこれらに限られない。これらは各々、個別かつ具体的に参照により前記文献の開示のとおり本明細書にその全体が完全に組み入れられる。
【0073】
インターロイキン1-受容体1(「IL1-R1」)に特異的な、抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等。これには、米国公開第2004/097712A1号に記載されたものが含まれるが、これらに限定されない。(前記文献は、特にIL1-R1特異的結合タンパク質、モノクローナル抗体に関する部分について、全体が本明細書中に参照により組み入れられる。)また特に、前記文献中で特定されたもの、15CA、26F5、27F2、24E12および10H7、ただしこれらに限定されない。これらは各々、個別かつ具体的に参照により前記米国文献の開示のとおり本明細書にその全体が完全に組み入れられる。
【0074】
Ang2に特異的な抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等。これにはPCT国際公開第03/057134号及び米国公開第2003/0229023号に記載のものを含むが、それらに限定されない。(前記各文献は、特にAng2に特異的な抗体及びペプチボディ等に関する部分について、全体が本明細書中に参照により組み入れられる。)詳細には、これら文献に記載された配列のもの。これには以下が含まれるが、これらに限定されない。L1(N)、L1(N)WT、L1(N)1K WT、2xL1(N)、2xL1(N)WT、Con4(N)、Con4(N)1K WT、2xCon4(N)1K、L1C、L1C 1K、2xL1C、Con4C、Con4C 1K、2xCon4C 1K、Con4-L1(N)、Con4-L1C、TN-12-9(N)、C17(N)、TN8-8(N)、TN8-14(N)、Con1(N)。また、これには、PCT国際公開第2003/030833号に記載されたものを含む抗Ang2抗体及び製剤が含まれる。(前記文献は、同じ点について全体が本明細書中に参照により組み入れられる。)詳細には、前記文献に記載されたAb526、Ab528、Ab531、Ab533、Ab535、Ab536、Ab537、Ab540、Ab543、Ab544、Ab545、Ab546、A551、Ab553、Ab555、Ab558、Ab559、Ab565、AbF1AbFD、AbFE、AbFJ、AbFK、AbG1D4、AbGC1E8、AbH1C12、AblA1、AblF、AblK、AblP、AblP、及びこれらの種々の置換体。これらは各々、個別かつ具体的に参照により前記文献の開示のとおり本明細書にその全体が完全に組み入れられる。
【0075】
NGFに特異的な抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等。これには詳細には米国公開第2005/0074821号、及び米国特許第6,919,426号に記載のものが含まれるが、これらに限定されない。(これら文献は、特にNGF特異的抗体、及びこれに関連するタンパク質に関する部分について全体が本明細書中に参照により組み入れられる。)これには、詳細には、同文献中で特定されたNGF特異的抗体、即ち4D4、4G6、6H9、7H2、14D10、14D11が含まれるが、これらに限られない。これらは各々、個別かつ具体的に参照により前記文献の開示のとおり本明細書にその全体が完全に組み入れられる。
【0076】
CD22に特異的な抗体、ペプチボディおよび関連タンパク質等。例えば、米国特許第5,789,554号に記載されたもの。(前記文献は、ヒトCD22特異的抗体及び関連タンパク質について全体が本明細書中に参照により組み入れられる。)詳細にはヒトCD22特異的抗体、例えばヒト化および完全ヒト抗体。但しこれらに限定されない。これにはヒト化および完全ヒトモノクローナル抗体を含むが、これらに限定されない。これには詳細には、ヒトCD22特異的IgG抗体を含むが、これらに限定されない。例えば、ヒト-マウスモノクローナルhLL2カッパ鎖と連結されたヒト-マウスモノクローナルhLL2ガンマ鎖ジスルフィドの二量体等。これには、例えばエプラツズマブにおけるヒトCD22特異的完全ヒト化抗体(CAS登録番号501423-23-0)が含まれるが、これらに限定されない。
【0077】
IGF-1受容体に特異的な抗体、ペプチボディおよび関連タンパク質等、例えばPCT国際公開第06/069202号に記載されたもの。(前記文献は、IGF-1受容体特異的抗体および関連タンパク質に関し全体が本明細書中に参照により組み入れられる。)これには前記文献で特定された以下のIGF-1特異的抗体が含まれるが、これらに限定されない。L1H1、L2H2、L3H3、L4H4、L5H5、L6H6、L7H7、L8H8、L9H9、L10H10、L11H11、L12H12、L13H13、L14H14、L15H15、L16H16、L17H17、L18H18、L19H19、L20H20、L21H21、L22H22、L23H23、L24H24、L25H25、L26H26、L27H27、L28H28、L29H29、L30H30、L31H31、L32H32、L33H33、L34H34、L35H35、L36H36、L37H37、L38H38、L39H39、L40H40、L41H41、L42H42、L43H43、L44H44、L45H45、L46H46、L47H47、L48H48、L49H49、L50H50、L51H51、L52H52、及びこれらのIGF-1R結合断片および誘導体。これらは各々、個別かつ具体的に参照により前記国際文献の開示のとおり本明細書にその全体が完全に組み入れられる。
【0078】
さらにまた、本発明の方法および構造とともに用いられる抗IGF-1R抗体の非限定的な例には、以下の文献に記載されるものの各々、そしてすべてが含まれる。
(i)米国公開第2006/0040358号(2006年2月23日公開)、第2005/0008642号(2005年1月13日公開)、第2004/0228859号(2004年11月18日公開)。これには例えば以下が含まれるが、これらに限定されない。前記文献記載の、抗体1A(DSMZ寄託番号DSM ACC2586)、抗体8(DSMZ寄託番号DSM ACC2589)、抗体23(DSMZ寄託番号DSM ACC2588)及び抗体18。
(ii)PCT国際公開第06/138729号(2006年12月28日公開)、及び第05/016970号(2005年2月24日公開)、ならびにLu et al., 2004, J Biol. Chem. 279:2856-65。これには、前記文献記載の抗体2F8、A12、及びIMC-A12が含まれるが、これらに限定されない。
(iii)PCT国際公開第07/012614号(2007年2月1日公開)、第07/000328号(2007年1月4日公開)、第06/013472号(2006年2月9日公開)、第05/058967号(2005年6月30日公開)、及び第03/059951号(2003年7月24日公開)。
(iv)米国公開第2005/0084906号(2005年4月21日公開)。これには、前記文献記載の、抗体7C10、キメラ抗体C7C10、抗体h7C10、抗体7H2M、キメラ抗体*7C10、抗体GM607、ヒト化抗体7C10バージョン1、ヒト化抗体7C10バージョン2、ヒト化抗体7C10バージョン3、及び抗体7H2HMが含まれるが、これらに限定されない。(v)米国公開第2005/0249728号(2005年11月10日公開)、第2005/0186203号(2005年8月25日公開)、第2004/0265307号(2004年12月30日公開)、及び第2003/0235582号(2003年12月25日公開)、ならびにMaloney et al., 2003, Cancer Res. 63:5073-83。これには、前記文献記載の、抗体EM164、表面再形成したEM164、ヒト化EM164、huEM164v1.0、huEM164v1.1、huEM164v1.2、及びhuEM164v1.3が含まれるが、これらに限定されない。
(vi)米国特許第7,037,498号(2006年5月2日発行)、米国公開第2005/0244408号(2005年11月30日公開)及び第2004/0086503号(2004年5月6日公開)、ならびにCohen, et al., 2005, Clinical Cancer Res. 11:2063-73。例えば、抗体CP-751,871。例えば、前記文献記載の、ATCC寄託番号PTA-2792、PTA-2788、PTA-2790、PTA-2791、PTA-2789、PTA-2793のハイブリドーマにより産生される各抗体、及び抗体2.12.1、2.13.2、2.14.3、3.1.1、4.9.2、及び4.17.3が含まれるが、これらに限定されない。
(vii)米国公開第2005/0136063号(2005年6月23日公開)、及び第2004/0018191号(2004年1月29日公開)。以下が含まれるが、これらに限定されない。前記文献記載の、抗体19D12、ならびに、ATCC番号PTA-5214で寄託されたプラスミド15H12/19D12 HCA(γ4)のポリヌクレオチドによりコードされるH鎖、およびATCC番号PTA-5220で寄託されたプラスミド15H12/19D12 LCF(κ)のポリヌクレオチドによりコードされるL鎖を含む抗体。
(viii)米国公開第2004/0202655号(2004年10月14日公開)。以下が含まれるが、これらに限定されない。前記文献記載の、抗体PINT-6A1、PINT-7A2、PINT-7A4、PINT-7A5、PINT-7A6、PINT-8A1、PINT-9A2、PINT-11A1、PINT-11A2、PINT-11A3、PINT-11A4、PINT-11A5、PINT-11A7、PINT-11A12、PINT-12A1、PINT-12A2、PINT-12A3、PINT-12A4、及びPINT-12A5。これらの各々及びすべては、とりわけIGF-1受容体を標的にする抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等に関して、本明細書にその全体が参照により組み入れられる。
【0079】
B-7関連タンパク質1に特異的な抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等(「B7RP-1」は文献中では、B7H2、ICOSL、B7hおよびCD275としても言及される)。詳細には、B7RP-特異的完全ヒトモノクローナルIgG2抗体、詳細には、B7RP-1の第一免疫グロブリン様ドメインにおけるエピトープと結合する完全ヒトIgG2モノクローナル抗体。とりわけ活性化T細胞においてB7RP-1とその先天的受容体ICOSとの相互作用を抑制するもの。とりわけ、これらすべてとの関連において、米国公開第2008/0166352号及びPCT国際公開第07/011941号に開示されているもの。(前記文献は、そのような抗体及び関連タンパク質について、全体が本明細書中に参照により組み入れられる。)前記文献で特定された以下の抗体を含むが、これらに限定されない。16H(配列番号1のL鎖可変配列と配列番号7のH鎖可変配列を有する)、5D(配列番号2のL鎖可変配列と配列番号9のH鎖可変配列を有する)、2H(配列番号3のL鎖可変配列と配列番号10のH鎖可変配列を有する)、43H(配列番号6のL鎖可変配列と配列番号14のH鎖可変配列を有する)、41H(配列番号5のL鎖可変配列と配列番号13のH鎖可変配列を有する)、及び15H(配列番号4のL鎖可変配列と配列番号12のH鎖可変配列を有する)。これらは各々、個別かつ具体的に参照により前記米国公開文献の開示のとおり本明細書にその全体が完全に組み入れられる。
【0080】
IL-15に特異的な抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等。例えば、詳細にはヒト化モノクローナル抗体、詳細には、米国公開第2003/0138421号、第2003/023586号、及び第2004/0071702号、ならびに米国特許第7,153,507号に開示されたもの。(これら各文献は、IL-15に特異的な抗体及びペプチボディを含む関連タンパク質について、全体が本明細書中に参照により組み入れられる。)詳細には、例えば、HuMax IL-15抗体、及び関連タンパク質、例えば146B7が含まれるが、これらに限定されない。
【0081】
IFNガンマに特異的な抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等。とりわけ、ヒトIFNガンマ特異的抗体、詳細には完全ヒト抗IFNガンマ抗体、例えば米国公開第2005/0004353号に記載されたもの。(前記文献は、IFNガンマ特異的抗体について、全体が本明細書中に参照により組み入れられる。)詳細には、例えば、前記文献で特定された1118、1118*、1119、1121、及び1121*抗体。これら各抗体のH鎖及びL鎖の全配列、ならびにそれらのH鎖及びL鎖の可変領域及び相補性決定領域の配列は、各々、個別かつ特定的に参照により前記米国文献及びThakur et al., Mol. Immunol. 36:1107-1115 (1999)の開示のとおり本明細書にその全体が完全に組み入れられる。さらに、前記米国文献中のこれら抗体の性質についての記載も、本明細書にその全体が組み入れられる。具体的な抗体には、前記米国文献で開示された以下のものが含まれる。配列番号17のH鎖および配列番号18のL鎖を有するもの、配列番号6のH鎖可変領域および配列番号8のL鎖可変領域を有するもの、配列番号19のH鎖および配列番号20のL鎖を有するもの、配列番号10のH鎖可変領域および配列番号12のL鎖可変領域を有するもの、配列番号32のH鎖および配列番号20のL鎖を有するもの、配列番号30のH鎖可変領域および配列番号12のL鎖可変領域を有するもの、配列番号21のH鎖配列および配列番号22のL鎖配列を有するもの、配列番号14のH鎖可変領域および配列番号16のL鎖可変領域を有するもの、配列番号21のH鎖および配列番号33のL鎖を有するもの、及び配列番号14のH鎖可変領域および配列番号31のL鎖可変領域を有するもの。意図される具体的な抗体の1つは、前記米国特許文献で開示された配列番号17の完全H鎖と、同文献で開示された配列番号18の完全L鎖とを有する、同文献に開示された抗体1119である。
【0082】
TALL-1に特異的な抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等、ならびに、米国公開第2003/0195156号、及び第2006/0135431号に記載されているもの等の、他のTALL特異的結合タンパク質。(これら各文献は、TALL結合タンパク質について、全体が本明細書中に参照により組み入れられる。)詳細には、表4及び表5Bの分子。これらは各々、個別かつ具体的に参照により前記文献の開示のとおり本明細書にその全体が完全に組み入れられる。
【0083】
副甲状腺ホルモン(「PTH」)に特異的な抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等。例えば米国特許第6,756,480号に記載されているもの。前記文献は、特にPTH結合タンパク質関連部分について、全体が本明細書中に参照により組み入れられる。
【0084】
トロンボポエチン受容体(「TPO-R」)に特異的な抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等。例えば米国特許第6,835,809号に記載されているもの。前記文献は、特にTPO-R結合タンパク質関連部分について、全体が本明細書中に参照により組み入れられる。
【0085】
肝細胞成長因子(「HGF」)に特異的な抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等。これにはHGF/SF:cMet軸(HGF/SF:c-Met)を標的にするものを含む。例えば、米国公開第2005/0118643号及びPCT国際公開第2005/017107号に記載の、肝細胞増殖因子/細胞分散因子(HGF/SF)を中和する完全ヒトモノクローナル抗体、米国特許第7,220,410号に記載のhuL2G7、米国特許第5,686,292号及び第6,468,529号、ならびにPCT国際公開第96/38557号に記載のOA-5d5。これら各文献は、特にHGF結合タンパク質関連部分について、全体が本明細書中に参照により組み入れられる。
【0086】
TRAIL-R2に特異的な抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等。例えば、米国特許第7,521,048号に記載のもの。前記文献は、特にTRAIL-R2結合タンパク質関連部分について、全体が本明細書中に参照により組み入れられる。
【0087】
アクチビンAに特異的な抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等。これには米国公開第2009/0234106号に記載のものが含まれるが、これらに限定されない。前記文献は、特に、アクチビンA結合タンパク質関連部分について、全体が本明細書中に参照により組み入れられる。
【0088】
TGFベータに特異的な抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等。これには米国特許第6,803,453号及び米国公開第2007/0110747号に記載のものが含まれるが、これらに限定されない。これら各文献は、特に、TGFベータ結合タンパク質関連部分について、全体が本明細書中に参照により組み入れられる。
【0089】
アミロイドベータタンパク質に特異的な抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等。これにはPCT国際公開第2006/081171号に記載のものが含まれるが、これらに限定されない。前記文献は、特に、アミロイドベータタンパク質と結合するタンパク質に関連の部分について、全体が本明細書中に参照により組み入れられる。意図された抗体の1つは、前記国際文献で開示された、配列番号8を含むH鎖可変領域と配列番号6を有するL鎖可変領域を有する抗体である。
【0090】
c-Kitに特異的な抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等。これには米国公開第2007/0253951号に記載のものが含まれるが、これらに限定されない。前記文献は、特に、c-Kit及び/又は他の幹細胞因子受容体と結合するタンパク質関連部分について、全体が本明細書中に参照により組み入れられる。
【0091】
OX40Lに特異的な抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等。これには米国出願第11/086,289号に記載のものが含まれるが、これらに限定されない。前記文献は、特に、OX40L及び/又は他のOX40受容体リガンドと結合するタンパク質関連部分について、全体が本明細書中に参照により組み入れられる。
【0092】
他の例示的タンパク質には以下のものが含まれる。Activase(登録商標)(アルテプラーゼ、tPA)、Aranesp(登録商標)(ダルベポエチンアルファ)、Epogen(登録商標)(エポエチンアルファもしくはエリスロポエチン)、GLP-1、Avonex(登録商標)(インターフェロンベータ-1a)、Bexxar(登録商標)(トシツモマブ、抗CD22モノクローナル抗体)、Betaseron(登録商標)(インターフェロンベータ)、Campath(登録商標)(アレムツズマブ、抗CD52モノクローナル抗体)、Dynepo(登録商標)(エポエチンデルタ)、Velcade(登録商標)(ボルテゾミブ)、MLN0002(抗α4β7mAb)、MLN1202(抗CCR2ケモカイン受容体mAb)、Enbrel(登録商標)(エタネルセプト、TNF-受容体/Fc融合タンパク質、TNF阻害剤)、Eprex(登録商標)(エポエチンアルファ)、Erbitux(登録商標)(セツキシマブ、抗EGFR/HER1/c-ErbB-1)、Genotropin(登録商標)(ソマトロピン、ヒト成長ホルモン)、Herceptin(登録商標)(トラスツズマブ、抗HER2/neu(erbB2)受容体mAb)、Humatrope(登録商標)(ソマトロピン、ヒト成長ホルモン)、Humira(登録商標)(アダリムマブ)、インスリン溶液、Infergen(登録商標)(インターフェロンアルファコン-1)、Natrecor(登録商標)(ネシリチド、組換えヒトB型ナトリウム利尿ペプチド(hBNP)、Kineret(登録商標)(アナキンラ)、Leukine(登録商標)(サルガモスチム、rhuGM-CSF)、LymphoCide(登録商標)(エピラツズマブ、抗CD22mAb)、Benlysta(商標)(リンフォスタットB、ベリムバブ、抗BlySmAb)、Metalyse(登録商標)(テネクテプラーゼ、t-PA類似体)、Mircera(登録商標)(メトキシポリエチレングリコール-エポエチンベータ)、Mylotarg(登録商標)(ゲムツズマブオゾガマイシン)、Raptiva(登録商標)(エファリズマブ)、Cimzia(登録商標)(セルトリズマブペゴル、CDP870)、Soliris(商標)(エクリズマブ)、パキセリズマブ(抗C5補体)、Numax(登録商標)(MEDI-524)、Lucentis(登録商標)(ラニビズマブ)、Panorex(登録商標)(17-1A、エドレコロマブ)、Trabio(登録商標)(レルデリムマブ)、TheraCim hR3 (ニモツズマブ)、Omnitarg(ペルツズマブ、2C4)、Osidem(登録商標)(IDM-1)、OvaRex(登録商標)(B43.13)、Nuvion(登録商標)(ビジリズマブ)、カンツズマブメルタンシン(huC242-DM1)、NeoRecormon(登録商標)(エポエチンベータ)、Neumega(登録商標)(オプレルベキン、ヒトインターロイキン-11)、Neulasta(登録商標)(ペグ化フィルガストリム、ペグ化G-CSF、ペグ化hu-Met-G-CSF)、Neupogen(登録商標)(フィルグラスチム、G-CSF、hu-MetG-CSF)、OrthocloneOKT3(登録商標)(ムロモナブ-CD3、抗CD3モノクローナル抗体)、Procrit(登録商標)(エポエチンアルファ)、Remicade(登録商標)(インフリキシマブ、抗TNFαモノクローナル抗体)、Reopro(登録商標)(アブシキシマブ、抗GP lIb/Ilia受容体モノクローナル抗体)、Actemra(登録商標)(抗IL6受容体mAb)、Avastin(登録商標)(ベバシズマブ)、HuMax-CD4(ザノリブマブ)、Rituxan(登録商標)(リツキシマブ、抗CD20mAb)、Tarceva(登録商標)(エルロチニブ)、Roferon-A(登録商標)-(インターフェロンアルファ-2a)、Simulect(登録商標)(バシリキシマブ)、Prexige(登録商標)(ルミラコキシブ)、Synagis(登録商標)(パリビズマブ)、146B7-CHO(抗IL15抗体、米国特許7,153,507参照)、Tysabri(登録商標)(ナタリズマブ、抗α4インテグリンmAb)、Valortim(登録商標)(MDX-1303、抗B.anthracis感染防御抗原mAb)、ABthrax(商標)、Vectibix(登録商標)(パニツムマブ)、Xolair(登録商標)(オマリズマブ)、ETI211(抗MRSAmAb)、IL-1トラップ(ヒトIgG1のFc部分と両IL-1受容体成分(タイプI受容体及び受容体アクセサリタンパク質)の細胞外ドメイン)、VEGFトラップ(IgG1のFcと融合させたVEGFR1のIgドメイン)、Zenapax(登録商標)(ダクリズマブ)、Zenapax(登録商標)(ダクリズマブ、抗IL-2RαmAb)、Zevalin(登録商標)(イブリツモマブチウキセタン)、Zetia(登録商標)(エゼチミブ)、Orencia(登録商標)(アタシセプト、TACI-Ig)、抗CD80モノクローナル抗体(ガリキシマブ)、抗CD23mAb(ルミリキシマブ)、BR2-Fc(huBR3/huFc融合タンパク質、可溶性BAFF阻害薬)、CNTO148(ゴリムマブ、抗TNFα mAb)、HGS-ETR1(マパツムマブ)、ヒト抗TRAIL受容体-1mAb)、HuMax-CD20(オクレリズマブ、抗CD20ヒトmAb)、HuMax-EGFR(ザルツムマブ)、M200(ボロシキシマブ、抗α5β1インテグリンmAb)、MDX-010(イピリムマブ、抗CTLA-4mAb及びVEGFR-1(IMC-18F1)、抗BR3mAb、抗C.ディフィーシレ毒素A及び毒素BCmAbs MDX-066(CDA-1)及びMDX-1388)、抗CD22dsFv-PE38複合体(CAT-3888及びCAT-8015)、抗CD25mAb(HuMax-TAC)、抗CD3mAb(NI-0401)、アデカツムマブ、抗CD30mAb(MDX-060)、MDX-1333(抗IFNAR)、抗CD38mAb(HuMax CD38)、抗CD40LmAb、抗クリプトmAb、抗CTGF突発性肺繊維症I期ファイブロジェン(FG-3019)、抗CTLA4mAb、抗エオタキシン1mAb(CAT-213)、抗FGF8mAb、抗ガングリオシドGD2mAb、抗ガングリオシドGM2mAb、抗GDF-8ヒトmAb(MYO-029)、抗GM-CSF受容体mAb(CAM-3001)、抗HepCmAb(HuMax HepC)、抗IFNαmAb(MEDI-545、MDX-1103)、抗IGF1RmAb、抗IGF-1RmAb(HuMax-Inflam)、抗IL12mAb(ABT-874)、抗IL12/IL23mAb(CNTO1275)、抗IL13mAb(CAT-354)、抗IL2Ra mAb(HuMax-TAC)、抗IL5受容体mAb、抗インテグリン受容体mAb(MDX-018、CNTO95)、抗IP10潰瘍性大腸炎mAb(MDX-1100)、抗LLY抗体、BMS-66513、抗マンノース受容体/hCGβmAb(MDX-1307)、抗メソテリンdsFv-PE38複合体(CAT-5001)、抗PD1mAb(MDX-1106(ONO-4538))、抗PDGFRα抗体(IMC-3G3)、抗TGFβmAb(GC-1008)、抗TRAIL受容体-2ヒトmAb(HGS-ETR2)、抗TWEAKmAb、抗VEGFR/Flt-1mAb、抗ZP3mAb(HuMax-ZP3)、NVS抗体#1、及びNVS抗体#2.
【0093】
同じく含まれ得るのものとして、ロモソズマブ、ブロソズマブ、もしくはBPS804(ノバルチス)等のスクレロスチン抗体があるが、これらに限られない。更に含まれ得るのものとして、リロツムマブ、ビキサロマー、トレバナニブ、ガニツマブ、コナツムマブ、モテサニブ二リン酸塩、ブロダルマブ、ブズピプラント、パニツムマブ、デノスマブ、NPLATE、PROLIA、VECTIBIX、もしくはXGEVA等の治療薬がある。また、本装置に含まれ得るものとして、ヒトプロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)と結合するモノクローナル抗体(IgG)、例えばUS8,030,547、US13/469,032、WO2008/057457、WO2008/057458、WO2008/057459、WO2008/063382、WO2008/133647、WO2009/100297、WO2009/100318、WO2011/037791、WO2011/053759、WO2011/053783、WO2008/125623、WO2011/072263、WO2009/055783、WO2012/0544438、WO2010/029513、WO2011/111007、WO2010/077854、WO2012/088313、WO2012/101251、WO2012/101252、WO2012/101253、WO2012/109530、及びWO2001/031007がある。
【0094】
同じく含まれ得るものとして、メラノーマ等のがん治療のためのタリモジーン・ラハーパレプベックもしくは他の腫瘍崩壊性HSVがある。腫瘍崩壊性HSVの例としては、タリモジーン・ラハーパレプベック(US7,223,593及びUS7,537,924)、OncoVEXGALV/CD(US7,981,669)、OrienX010(Lei et al., 2013, World Journal of Gastroenterology, 19:5138-5143)、G207、1716、NV1020、NV12023、NV1034、及びNV1042 (Vargehes et al. 2002, Cancer Gene Ther, 2002, 9 (12): 967-978)が含まれるが、これらに限られない。
【0095】
また、これにはTIMPsも含まれる。TIMPsはメタロプロテアーゼの内因性組織阻害因子(TIMPs)であり、多くの自然のプロセスにおいて重要である。TIMP-3は種々の細胞により発現され、細胞外マトリックスに存在する。すべての主要な軟骨分解メタロプロテアーゼを阻害し、リウマチ性関節炎、変形性関節炎、さらに、がんや心血管の病状を含む多くの結合組織分解性疾患において役割を果たす可能性がある。TIMP-3のアミノ酸配列、及びTIMP-3をコードするDNAの核酸配列が2003年5月13日発行の米国特許第6,562,596号に開示されており、その開示は参照により本明細書に組み入れられる。TIMPの変異の記載はUS61/782,613、US61/798,160、US61/802,988、及びUS61/940,67号に見られる。
【0096】
また、ヒトカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)受容体を阻害する抗体、ならびにCGRP受容体及び他の頭痛に関する標的を標的とする二重特異性抗体分子も含まれる。これらの分子に関する追加的情報はWO2A075238A1に見られる。
【0097】
さらに、二重特異性T細胞誘導抗体(BiTe)、例えばブリノツモマブを本装置に用いることができる。あるいは、APJ大分子アゴニスト、例えばアペリンもしくはその類似体を本装置に含めることができる。そのような分子に関する情報はPCT/2013/075773に見られる。
【0098】
ここまでの本文中で種々の実施形態を詳しく説明したが、本発明の法的範囲は本特許の末尾に記載される請求の範囲の文言によって定義されることが理解されるべきである。詳細な実施形態は例示としてのみ解釈されるべきであり、あらゆる可能な実施形態の記述は不可能ではないにしても実際的でないため、あらゆる可能な実施形態の記述はしない。現在の技術もしくは本特許の出願日以降に開発される技術を用いて多くの別の実施形態が実施可能であるが、それらも本発明を定義する請求の範囲の範囲内となるであろう。
【0099】
また、ある用語を用いる場合、「本明細書において、『‐‐‐』という語は...を意味するとここに定義する」という文もしくは類似表現を用いて明確に本特許において定義されない限り、その用語の平易かつ通常の意味を超えて、明示的にも黙示的にも意味を限定する意図はないこと、及び、その用語は(請求の範囲の文言を除き)本特許中のいかなる部分におけるいかなる言明に基づいても、範囲を限定するように解釈されるべきでないことが理解されるべきである。本特許の末尾の請求の範囲に記載されたいかなる用語についても、それが本特許において単一の意味にしたがって統一的に言及されたとしても、それは読み手を混乱させないよう明確さを保つためのみにしたことであって、黙示であれそれ以外であれ、そのような請求項の文言をその単一の意味に限定することを意図していない。最後に、請求項の構成要件は、それが、構造の記述を伴わずに「手段」という語と機能の記述で定義されているのでない限り、請求項のいずれの要件についても、その範囲が米国特許法112条パラグラフ6を適用して解釈されることは意図されていない。
【手続補正書】
【提出日】2024-10-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤送達システムであって、
薬剤を入れられるようにした貯蔵器と、
貯蔵器内で可動に配置されたプランジャと、
貯蔵器から薬剤を送達するよう貯蔵器に組み合わされた薬剤送達装置であって、薬剤送達装置は、貯蔵器からの薬剤送達が制限されるロック状態、および、貯蔵器からの薬剤送達が制限されないロック解除状態、を有する、当該薬剤送達装置と、
安全装置と、
形状記憶合金部を有するアクチュエータであって、該アクチュエータが、記憶合金部の温度が低温閾値より低いときに安全装置と当接する第1の形状を有し、且つ、記憶合金部の温度が低温閾値より高いときに安全装置がアクチュエータに対して移動することを可能にする第2の形状を有する、当該アクチュエータとを備え、
前記薬剤送達装置は、アクチュエータが第1の形状にあるときにロック状態にあり、アクチュエータが第2の形状にあるときにロック解除状態にある、
薬剤送達システム。
【請求項2】
アクチュエータが第1の形状にあるときの閉じた状態と、アクチュエータが第2の形状にあるときの開いた状態との間に可動な弁をさらに含む、請求項1記載の薬剤送達システム。
【請求項3】
形状記憶合金部は、ニッケル・チタンからなる、請求項1に記載の薬剤送達システム。
【請求項4】
形状記憶合金部は、アクチュエータが第1の形状にあるときのロック状態と、アクチュエータが第2の形状にあるときのロック解除状態との間で可動な一片を含む、請求項1記載の薬剤送達システム。
【請求項5】
貯蔵器が予め充填された容器を含む、請求項1記載の薬剤送達システム。
【請求項6】
予め充填された容器が、予め充填された注射器もしくは予め充填されたカートリッジである請求項5記載の薬剤送達システム。
【請求項7】
貯蔵器は、穴と、貯蔵器内で穴に対して動かすことができ穴を通して薬剤を貯蔵器外に押し出すプランジャとを含む、請求項1記載の薬剤送達システム。
【請求項8】
薬剤送達装置が、穴と流路で連絡しているカニューレを含む、請求項7記載の薬剤送達システム。
【請求項9】
カニューレが針を含む、請求項8記載の薬剤送達システム。
【請求項10】
薬剤送達装置は、貯蔵器内でプランジャを動かし与圧剤を解放するのに適合した与圧剤貯蔵器を含む、請求項6記載の薬剤送達システム。
【請求項11】
薬剤送達装置は、自動注入器として構成されている、請求項1記載の薬剤送達システム。
【請求項12】
薬剤送達装置は、貯蔵器を収容し且つ患者の皮膚に着脱可能な外部表面を有するハウジングを含む、請求項1記載の薬剤送達システム。
【請求項13】
薬剤送達装置は、皮下送達部材を含み、皮下送達部材は、ハウジング内に引き込まれている格納位置と、患者への注射のためハウジングの外部表面にある穴を通して展開される使用位置とを有する、請求項12記載の薬剤送達システム。
【請求項14】
薬剤送達装置は、1回の使用後に処分される、請求項1記載の薬剤送達システム。
【請求項15】
自動注入器であって、
薬剤を入れられるようにした貯蔵器と、
貯蔵器内で可動に配置されたプランジャと、
貯蔵器から薬剤を送達するよう貯蔵器に組み合わされた薬剤送達装置であって、薬剤送達装置は、貯蔵器からの薬剤送達が制限されるロック状態、および、貯蔵器からの薬剤送達が制限されないロック解除状態、を有する、当該薬剤送達装置と、
形状記憶合金部を有するアクチュエータであって、該アクチュエータが、記憶合金部の温度が低温閾値より低いときに第1の形状を有し、且つ、記憶合金部の温度が低温閾値より高いときに第2の形状を有する、当該アクチュエータとを備え、
前記薬剤送達装置は、アクチュエータが第1の形状にあるときにロック状態にあり、アクチュエータが第2の形状にあるときにロック解除状態にある、
自動注入器。
【請求項16】
アクチュエータが第1の形状にあるときの閉じた状態と、アクチュエータが第2の形状にあるときの開いた状態との間に可動な弁をさらに含む、請求項15記載の自動注入器。
【請求項17】
形状記憶合金部は、ニッケル・チタンからなる、請求項15に記載の自動注入器。
【請求項18】
形状記憶合金部は、アクチュエータが第1の形状にあるときのロック状態と、アクチュエータが第2の形状にあるときのロック解除状態との間で可動な一片を含む、請求項15記載の自動注入器。
【請求項19】
薬剤送達装置は、自動注入器として構成されている、請求項15記載の自動注入器。
【請求項20】
安全装置を備え、アクチュエータが第1の形状にあるときにアクチュエータは安全装置と当接し、アクチュエータが第2の形状にあるときにアクチュエータは安全装置がアクチュエータに対して移動することを可能にする、請求項15記載の自動注入器。