(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017510
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】薄型筆記具及びそのセット
(51)【国際特許分類】
B43K 23/00 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
B43K23/00 200B
B43K23/00 200R
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022120187
(22)【出願日】2022-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】392005126
【氏名又は名称】ミクロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081547
【弁理士】
【氏名又は名称】亀川 義示
(72)【発明者】
【氏名】武藤 彩歌
(57)【要約】
【課題】複数の薄型筆記具を重ね合わせてセットできる薄型筆記具及びそれを用いた薄型筆記具セットを提供する。
【解決手段】薄型筆記具1は、幅方向に対して厚さ方向が薄く形成された薄型筆記具本体3と、上記薄型筆記具本体の先端部を収納する差込空間を形成したジョイント6を有する。該ジョイント6の第一平面部13には回転止めリブ14が設けられ、第二平面部15には該回転止めリブを受入可能で端縁に係止縁16を有する凹部17がある。第一平面部13と第二平面部15を組み合わせて一方のジョイントを回転した際、隣接する一方のジョイントの凹部17の係止縁16と他方のジョイント6の回転止めリブ14が当接するまでは隣接するジョイントは停止しているが、当接すると、隣接するジョイントは追従して回転する。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅方向に対して厚さ方向が薄く形成され、内部にリフィールを収納した薄型筆記具本体と、幅方向に対し厚さ方向が薄く形成され、上記薄型筆記具本体の先端部を収納する差込空間を形成したジョイントを有し、該ジョイントは両側面が平面部に形成され、一側の第一平面部には回転止めリブが設けられ、他側の第二平面部には該回転止めリブを受入可能で端縁に係止縁を有する凹部が設けられ、複数のジョイントを隣接して第一平面部と第二平面部を組み合わせた際、隣接する一方のジョイントの凹部の係止縁と、隣接する他方のジョイントの回転止めリブが当接する範囲内で相対的に回転可能である薄型筆記具。
【請求項2】
幅方向に対して厚さ方向が薄く形成され、内部にリフィールを収納した薄型筆記具本体と、幅方向に対し厚さ方向が薄く形成され、上記薄型筆記具本体の先端部を収納する差込空間を形成したジョイントを有し、該ジョイントは両側面が平面部に形成され、一側の第一平面部には回転止めリブが設けられ、他側の第二平面部には該回転止めリブを受入可能で端縁に係止縁を有する凹部が設けられ、複数のジョイントを隣接して第一平面部と第二平面部を組み合わせた際、隣接する一方のジョイントの凹部の係止縁と、隣接する他方のジョイントの回転止めリブが当接する範囲内で相対的に回転可能である薄型筆記具を具備し、該薄型筆記具は上記ジョイントを重ね合わせた状態で連結され、隣接する一方の薄型筆記具を回転した際、回転止めリブと凹部の係止縁が当接することにより隣接する他方の薄型筆記具が追従して回転するようにした薄型筆記具セット。
【請求項3】
上記ジョイントは接続孔を有し、該接続孔にロックピンを挿通することにより複数のジョイントが連結されている請求項2に記載の薄型筆記具セット。
【請求項4】
台板と該台板から立ち上がる起立板を有するスタンドを形成し、上記ロックピンを該スタンドの起立板に固定した請求項3に記載の薄型筆記具セット。
【請求項5】
上記ジョイントは第一平面部側に設けた組合せ用リムの外周に係合突起を有し、第二平面部側に該係合突起が弾性的に係合する受溝を有し、係合突起と受溝を係合させることにより複数のジョイントが連結されている請求項2に記載の薄型筆記具セット。
【請求項6】
上記ジョイントには、磁石が設けられ、該磁石により複数のジョイントが連結されている請求項2に記載の薄型筆記具セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、何種類かの薄型筆記具をバラバラにならずにセットでき、簡単に選択して使用できるようにした薄型筆記具及びそのセットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
幅方向に対し厚さを薄く形成した薄型筆記具が用いられ、複数の薄型筆記具をまとめて収納する薄型筆記具ケースが知られている(例えば特許文献1参照)が、ケースに収納した状態の筆記具を取り出すのは面倒である。筒状の軸筒を有する通常の筆記具を、複数本まとめてリング等で連結した筆記具セットは知られている(例えば特許文献2参照)。特許文献2に記載の筆記具セットは、筆記具のキャップに貫通開口を設け、貫通開口にリングを挿通して複数の筆記具をまとめる構造である。しかし、筆記具どうしがバラバラであるので、嵩張り、持ち運びに不便であり、色の異なる筆記具をそろえても、所望の筆記具を選択しにくい。また、複数の筆記具のペン先やキャップを差し込みできるようにしたホルダーも知られている(例えば特許文献3参照)。しかし、複数の筆記具間に関連がないので、まとめた状態で一体感がなく、複数の中から所望の筆記具を取り出しにくい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平5-34957号公報(実用新案登録請求の範囲1、図面)
【特許文献2】特許第5756089号公報(段落0048、
図1)
【特許文献3】実開昭57-118886号公報(実用新案登録請求の範囲1、第1図、第2図、第5図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の解決課題は、複数の薄型筆記具をそろえてセットでき、使用の際に所望の筆記具を簡単に取り出して使用できるようにした薄型筆記具及びそのセットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、幅方向に対して厚さ方向が薄く形成され、内部にリフィールを収納した薄型筆記具本体と、幅方向に対し厚さ方向が薄く形成され、上記薄型筆記具本体の先端部を収納する差込空間を形成したジョイントを有し、該ジョイントは両側面が平面部に形成され、一側の第一平面部には回転止めリブが設けられ、他側の第二平面部には該回転止めリブを受入可能で端縁に係止縁を有する凹部が設けられ、複数のジョイントを隣接して第一平面部と第二平面部を組み合わせた際、隣接する一方のジョイントの凹部の係止縁と、隣接する他方のジョイントの回転止めリブが当接する範囲内で相対的に回転可能である薄型筆記具が提供され、上記課題が解決される。
【0006】
また、本発明によれば、幅方向に対して厚さ方向が薄く形成され、内部にリフィールを収納した薄型筆記具本体と、幅方向に対し厚さ方向が薄く形成され、上記薄型筆記具本体の先端部を収納する差込空間を形成したジョイントを有し、該ジョイントは両側面が平面部に形成され、一側の第一平面部には回転止めリブが設けられ、他側の第二平面部には該回転止めリブを受入可能で端縁に係止縁を有する凹部が設けられ、複数のジョイントを隣接して第一平面部と第二平面部を組み合わせた際、隣接する一方のジョイントの凹部の係止縁と、隣接する他方のジョイントの回転止めリブが当接する範囲内で相対的に回転可能である薄型筆記具を具備し、該薄型筆記具は上記ジョイントを重ね合わせた状態で連結され、隣接する一方の薄型筆記具を回転した際、回転止めリブと凹部の係止縁が当接することにより隣接する他方の薄型筆記具が追従して回転するようにした薄型筆記具セットが提供され、上記課題が解決される。
【発明の効果】
【0007】
本発明は上記のように構成され、薄型筆記具は、幅方向に対して厚さ方向が薄く形成され内部にリフィールを収納した薄型筆記具本体と、幅方向に対し厚さ方向が薄く形成され上記薄型筆記具本体の先端部を収納する差込空間を形成したジョイントを有している。該ジョイントの両側面は、平面部に形成され、一側の第一平面部に回転止めリブを設け、他側の第二平面部に該回転止めリブを受入可能で端縁に係止縁を有する凹部を設けてある。そして、上記複数の薄型筆記具のジョイントを隣接して第一平面部と第二平面部を組み合わせた状態で重ね合わせてセットして連結すると、隣接する一方のジョイントの凹部の係止縁と回転止めリブが当接する範囲内で、隣接する他方のジョイントに先端部を収納した薄型筆記具を相対的に回転できるので、隣接する一方の薄型筆記具を回転した際、回転止めリブと凹部の係止縁が当接するまでは隣接する薄型筆記具は停止しているが、当接すると、隣接する他方の薄型筆記具は追従して回転する。したがって、複数の薄型筆記具をバラバラにならない状態にセットでき、使用に際し、一つの薄型筆記具を回転すると、所定範囲回転したときに、隣接する薄型筆記具が追従して回転するから、複数の薄型筆記具が扇状に展開され、所望の筆記具を取り出しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の薄型筆記具の一実施例を示し、(A)は正面図、(B)は背面図。
【
図4】ジョイントの一実施例を示し、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は側面図、(D)は拡大断面図、(E)は背面図。
【
図5】ジョイントの斜視図を示し、(A)は平面からの斜視図、(B)は背面からの斜視図。
【
図6】ジョイントの他の実施例を示し、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は側面図、(D)は拡大断面図、(E)は背面図。
【
図7】ジョイントの凹部と回転止めリブの関係を示し、(A)は凹部における可動範囲を示す説明図、(B)は回転止めリブの回動範囲を示す説明図、(C)は可動限界位置の説明図。
【
図8】ロックピンの一実施例を示し、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は側面図、(D)は断面図、(E)は斜視図。
【
図9】複数の薄型筆記具を隣接状態にセットしたときの正面図。
【
図10】
図9に示す状態のジョイントの連結部を示す断面図。
【
図11】
図6に示すジョイントを用いた場合のジョイントの連結部の断面図。
【
図12】スタンドの一実施例を示し、(A)は正面からの斜視図、(B)は背面からの斜視図、(C)は正面図、(D)は側面図。
【
図13】使用状態を示し、(A)は1つの薄型筆記具を引き上げることにより2本目の薄型筆記具が追従し始めた状態の説明図、(B)は隣接する2本目の薄型筆記具が大きく回転したときの説明図、 (C)は3本目の薄型筆記具が2本目の薄型筆記具に追従して回転したときの説明図、(D)はジョイントから筆記具本体を取り出した状態の説明図。
【
図14】使用状態の他の態様を示し(A)は筆記具本体が扇形に展開している状態を示す斜視図、(B)は側面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1~
図3を参照し、本発明の薄型筆記具1は、幅方向に対して厚さ方向が薄く形成され、内部にリフィール2を収納した薄型筆記具本体3と、幅方向に対し厚さ方向が薄く形成され、上記薄型筆記具本体3の先端部4を収納する差込空間5を形成したジョイント6を有している。上記薄型筆記具本体3の後端には、
図1に示すように、着脱可能に尾栓7が取り付けられ、該尾栓7にリフィールの後部を嵌合し、該リフィールの先端を薄型筆記具本体3の先端部4から突出して筆記できるようにしてある。なお、適宜のノック式繰出機構を設けてリフィールの先端をノック操作で出没可能に設けることもできる(図示略)。
【0010】
上記薄型筆記具本体3の先端部4は中実に形成され、一部がジョイント6に形成した切欠き部から表面に表れ、その後方に外壁部8が連続して設けられている。
図1に示す実施例では、外壁部8の内側は中空状に形成され、リフィール2が挿通している。
図3に示す実施例では、リフィール2が挿通する中心孔を設けた内部本体9を透明性のあるプラスチック材料で構成し、該内部本体9を外壁部8で覆い、該外壁部8の長手方向に沿って上記リフィール2を透視できる窓10を設けて、リフィールの色を外部から視認できるようにしてある。上記先端部4の外面には、上記ジョイント6の差込空間5に差し込んだ際、ジョイント6の内部に形成した係合突起11に着脱可能に係合する係合凹部12を形成してある。
【0011】
図4、
図5を参照し、上記ジョイント6は両側面が平面部に形成され、一側の第一平面部13には回転止めリブ14が設けられ、他側の第二平面部15には該回転止めリブ15を受入可能で端縁に係止縁16を起立させた凹部17が設けられている。また、複数のジョイント6を連結手段で連結できるよう第一平面部13と第二平面部15を連通する接続孔18が形成され、内部にはリフィール2の筆記先端を受け入れる受孔19が設けられている。
【0012】
上記接続孔18の周縁には、ジョイント6を位置合わせて組合せできるよう第一平面部13側に組合せ用リム20が突設され、第二平面部15側の周縁には、該組合せ用リム20が嵌合する拡大孔21が形成されている。
図4、
図5に示すジョイントでは、複数組み合わせた際、組合せ用リム20が拡大孔21に嵌入して内接するだけであるが、組合せ用リム20を弾性的に拡大孔21に係合させることもできる。
図6はそのような実施例を示し、組合せ用リム20の周囲に係合突起22を設け、かつ該組合せ用リム20が弾性的に内方に撓むことができるよう組合せ用リム20にスリット23を形成してある。拡大孔21の内面には、該組合せ用リム20に対応して、該組合せ用リム20を拡大孔21に挿入した際、上記係合突起22が係合する受溝24を設けてある。この構成により、第一平面部13と第二平面部15を組み合せた状態で薄型筆記具1をセットすると、各ジョイント6部分で連続して複数個連結することができる。この実施例によれば、上記係合突起22と受溝24により連結手段を構成しているが、その他適宜の連結手段を用いることができる。
【0013】
上記ジョイント6の凹部17と回転止めリブ14の関係を説明すると、
図7(A)に示すように、上記凹部17は、好ましくは、扇形に形成され、凹部17の両端が起立して係止縁16が設けられているから、回転止めリブ14に当接する係止縁16間の距離が凹部17からみたジョイント6の可動範囲となる。また、
図7(B)に示すように、回転止めリブ14の可動範囲は、回転止めリブ14を回転した際、上記係止縁16に回転止めリブ14が当接する距離が、回転止めリブ14からみたジョイントの可動範囲である。この構成により、複数のジョイント6を隣接して第一平面部13と第二平面部15を組み合わせた際、隣接する一方のジョイント6の凹部17の係止縁16と他方のジョイント6の回転止めリブ14が当接する範囲内で隣接する他方のジョイント6の回転止めリブ14は、相対的に回転可能である。したがって、隣接する一方のジョイント6を回転するとき、係止縁16と回転止めリブ14が当接するまでは、隣接する他方のジョイント6の回転は停止しているが、回転止めリブ14と係止縁16が当接すると、隣接する側のジョイントは連動して追従して回転することになる。
【0014】
上記のようにジョイントは連結手段で連結でき、
図8には連結手段の一実施例であるロックピン25が示されている。ロックピン25は、上記接続孔18に嵌合する外径を有する円筒状に形成され、一端側に、接続孔18の一端側の開口縁に当接するフランジ26を有し、他端側には接続孔18の他端側の周縁に係合する係止爪27があり、係止爪27側の側面にはスリット28を設けて内方に撓み可能になっている。この構成により
図9に示すように、複数の薄型筆記具1を隣接する状態に重ねあわせ、接続孔18に上記ロックピン25を挿通させると、
図10に示すように、複数の薄型筆記具1をジョイント6の部分で連結して回転可能に組み合わせた状態にセットすることができる。
【0015】
図6に示すように、連結手段として、弾性的に係合する係合突起22と受溝24を設けた場合には、
図11に示すように、ロックピンを用いずに係合突起22と受溝24の係合により複数の薄型筆記具1をジョイント6部分で連結することもできる。また、図示を省略したが、連結手段としては、例えば上記接続孔18部分に磁石を固定し、磁力によりジョイント6を回転可能に連結したり、その他適宜の構成により連結することもできる。
【0016】
図12は、ロックピン25で構成した連結手段の他の実施例をとして、スタンド29を併設した連結手段が示されている。該スタンド29は、上記ロックピン25を固定した起立板30と、その下方に位置する台板31を有し、台板31を机やテーブル等(図示略)に載置すると、安定的であり、体裁もよい。
【0017】
図9は、複数の薄型筆記具を重ね合わせてセットにした使用状態を示し、使用するには、
図13(A)に示すように、最初に1つの薄型筆記具1を回転させながら引き上げる。そして、回転止めリブ14と凹部17の係止縁16が当接するまでは、隣接する2本目の薄型筆記具1は停止しているが、当接すると2本目の薄型筆記具は追従して回転し始める。さらに回転すると、
図13(B)に示すように、2本目の薄型筆記具1が立ち上がりながら大きく回転し、さらに同様にして、
図13(C)に示すように、3本目の薄型筆記具1も追従して回転して立ち上がる。そして、所望の色の筆記具があらわれたら、
図13(D)に示すように、ジョイント6から薄型筆記具本体3を取り出して使用することができる。
【0018】
図14は、使用状態を説明する斜視図であり、スタンドを用いると、安定感があり、体裁よく使用することができる。
【符号の説明】
【0019】
1 薄型筆記具
2 リフィール
3 薄型筆記具本体
6 ジョイント
13 第一平面部
14 回転止めリブ
15 第二平面部
16 係止縁
17 凹部
18 接続孔
25 ロックピン
29 スタンド