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特開2024-175105理想的な効果を長時間にわたり皮膚に与える化粧品メイクアップ組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175105
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】理想的な効果を長時間にわたり皮膚に与える化粧品メイクアップ組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/891 20060101AFI20241210BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20241210BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20241210BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20241210BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
A61K8/891
A61K8/06
A61Q1/02
A61K8/81
A61K8/73
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024162273
(22)【出願日】2024-09-19
(62)【分割の表示】P 2021527879の分割
【原出願日】2019-11-20
(31)【優先権主張番号】1871615
(32)【優先日】2018-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】500078211
【氏名又は名称】エル・ヴェ・エム・アッシュ ルシェルシュ
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】ビション,ヨハン
(72)【発明者】
【氏名】アザズ,レイラ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】長時間にわたり皮膚に理想的な効果があり、自然なツヤを肌の色に与える化粧品皮膚メイクアップ組成物を提供する。
【解決手段】エマルジョン状の、ケラチン物質、特に皮膚のための化粧品メイクアップ組成物であって、生理学的に許容できる媒体中に、少なくともa)下式で示されるフェニル化シリコーン油、b)脂溶性膜形成ポリマー、好ましくはシリコーン膜形成ポリマー、c)ビニルピロリドンのホモポリマーおよびコポリマーから選択される水溶性膜形成ポリマー、およびd)着色料、好ましくは顔料、を含む組成物とする。

[式中、R基は独立して、メチルまたはフェニルを示し、そのうちの少なくとも3つ、実際には少なくとも4つ、実際には少なくとも5つはフェニルである]
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長時間にわたり皮膚に理想的な効果と自然なツヤを肌の色に与える化粧品皮膚メイクアップ組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚メイクアップ組成物、特にファンデーションは、とりわけ、皮膚の可視的および/または触覚的な不規則さを減少させることによって皮膚の審美的な外観を改善するのに長年使用されてきた。今現在、消費者は、自然なメイクアップ結果をもたらすが、メイクアップ結果(覆われるが、自然に)および時間経過による持続性(好ましくは、24時間の持続性)を損なうことがない、快適で軽いガレヌス製剤を求めている。従来、皮膚に対する密着性の良好なシリコーン油と疎水性処理を施した顔料や、付着物(deposit)の持続性を改善するための膜形成ポリマーを含む油中水型エマルジョンの形態で使用されるファンデーションが知られているが、長時間にわたり皮膚に理想的な効果と自然なツヤを肌の色に与える新しい組成物の開発が求められている。当業者であれば、組成物の構成成分の性質、特に充填剤、顔料、油、および/または膜形成ポリマーの性質を調整することで、この結果を得るための複数の選択肢を自由に使用することができる。
【0003】
しかし、本出願人は、油、膜形成ポリマーおよび着色料を含むエマルジョン状の組成物において、他のシリコーン油または炭化水素グロス油と比較して、特定のフェニル化シリコーン油であるトリメチルペンタフェニルトリシロキサンを使用することにより、メイクアップの結果(自然なカバー率)またはその付着物の化粧品特性(ネバネバ感の無さおよび長時間にわたる付着)のいずれも損なうことなく、この自然な肌の色の輝き性能を達成することが可能になることを示した。
【発明の概要】
【0004】
したがって、本発明の第一目的は、エマルジョン状の、ケラチン物質、特に皮膚のための化粧品メイクアップ組成物であって、生理学的に許容できる媒体中に、少なくとも
a)式(I):
【化1】
[式中、R基は独立して、メチルまたはフェニルを示し、そのうちの少なくとも3つ、実際には少なくとも4つ、実際には少なくとも5つはフェニルである]
で示されるフェニル化シリコーン油、
b)脂溶性膜形成ポリマー、好ましくはシリコーン膜形成ポリマー、
c)ビニルピロリドンのホモポリマーおよびコポリマーから選択される水溶性膜形成ポリマー、および
(d)着色料、好ましくは顔料、を含む組成物である。
【0005】
本発明はまた、ケラチン物質、特に皮膚、好ましくは顔および/または首の皮膚の化粧品メイクアップ方法であって、本発明の少なくとも1つの化粧品組成物を、該ケラチン物質に適用することを含む方法に関する。
【0006】
この方法は、特に、理想的な効果を長時間にわたり皮膚に与え、肌の色に自然なツヤを与えるように設計されている。
【0007】
本発明によれば、「皮膚に理想的な効果」とは、皮膚の審美的な外観の改善、特に、皮膚の可視的および/または触覚的な不規則さの減少を意味する。
【0008】
本発明によれば、「長時間にわたる皮膚に理想的な効果」とは、この効果が12時間~24時間の範囲の時間、さらに好ましくは24時間、維持されることを意味する。
【0009】
本発明によれば、「肌の色に自然なツヤを与える」とは、マスク効果のない、みずみずしく明るい肌の色、健康的なツヤ効果を意味する。「ツヤ」または「健康的なツヤ」効果という用語はまた、この自然な光彩のある皮膚の色合いを特徴付けるためにも使用される。
【0010】
(本発明の詳細な説明)
したがって、本発明は、エマルジョン状の、特に、ケラチン物質、特に皮膚のための化粧品メイクアップ組成物であって、生理学的に許容できる媒体中に、少なくとも
a)式(I):
【化2】
[式中、R基は独立して、メチルまたはフェニルを示し、そのうちの少なくとも3つ、実際には少なくとも4つ、実際には少なくとも5つはフェニルである]
で示されるフェニル化シリコーン油、
b)脂溶性膜形成ポリマー、好ましくはシリコーン膜形成ポリマー、
c)ビニルピロリドンのホモポリマーおよびコポリマーから選択される水溶性膜形成ポリマー
d)着色料、好ましくは顔料、を含む組成物に関する。
【0011】
本発明の化粧品組成物は、有利には、水中油型エマルジョン状、油中水型エマルジョン状、シリコーン中水型エマルジョン状、水中シリコーン型エマルジョン状または多重エマルジョン状、例えば三重エマルジョン状である。
【0012】
特定の好ましい実施態様によれば、本発明の組成物は、油中水型エマルジョン、特にシリコーン中水型エマルジョンである。
【0013】
油相
本発明の組成物は、少なくとも1つの油相を含む。
【0014】
「油相」とは、油、または相互混合性油の混合物を意味する。
【0015】
本発明の文脈において、「油」とは、水に溶解せず、25℃、大気圧で液体である脂肪性物質を意味する。
【0016】
本発明による油相は、炭化水素、シリコーン、フッ素化または非フッ素化油、およびこれらの混合物を含むことができる、好ましくは、本発明の組成物は、少なくともシリコーン油を含む。
【0017】
これらの油は、揮発性油または非揮発性油、植物油、鉱物油または合成油であり得る。
【0018】
特定の好ましい実施態様によれば、揮発性油および非揮発性油の少なくとも1つの混合物を含む。
【0019】
本発明によれば、「揮発性油」とは、以下に定義される基準の少なくとも1つによって定義される揮発性の性質を有する油を意味する。
【0020】
揮発性は、本発明の文脈では、例えば、経験的方法によって25℃で測定可能な蒸気圧によって定義することができ、その値は、2.6Pa~40,000Pa、例えば、5Pa~20,000Pa、10Pa~8,000Pa、実際には15Pa~150Paである。蒸気圧は、対象の化合物に最も適した方法の一つ、特に文書“OECD Guidelines for the Testing of Chemicals - Vapour pressure”, (no. 104 adopted on 23 March 2006)で推奨されている方法によって測定される。あるいは、大気圧での沸騰温度が250℃未満、好ましくは230℃未満、好ましくは150℃~220℃である揮発性油を選択することができる。最後に、揮発性油はまた、35℃~100℃の範囲、好ましくは40℃~80℃の範囲の引火点を有する油と定義することもできる。
【0021】
本発明によれば、「非揮発性油」とは、上記で定義した揮発性の基準を満たさない油、特に、経験的な方法によって25℃で測定可能な蒸気圧、特に、上記の方法によって測定した蒸気圧が2.6Pa未満、好ましくは0.13Pa未満の油を意味する。
【0022】
本発明によれば、「炭化水素油」とは、主に水素および炭素原子を含有する油を意味する。
【0023】
本発明によれば、「シリコーン油」とは、少なくとも1つのケイ素原子、特に、少なくとも1つのSi-O基を含む油を意味する。
【0024】
本発明によれば、「フッ素化油」とは、少なくとも1つのフッ素原子を含む油を意味する。
【0025】
油は、本発明の組成物中に、組成物の総重量基準で10重量%~80重量%の範囲の含有量で存在してよい。本明細書の残りの部分では、非揮発性油または揮発性油として示される油含有量は、例えば、ゲル化剤、膜形成ポリマーおよび顔料などの、化合物を分散させるための溶媒として原料物質中に存在する油含有量も考慮されている。
【0026】
非揮発性油
非揮発性の炭化水素油としては、特に、炭化水素油、植物由来の炭化水素油、合成C10-C40エーテル、合成C10-C40エステル、C12-C26脂肪アルコール、C12-C22高級脂肪酸およびこれらの混合物が挙げられる。
【0027】
非揮発性シリコーン油としては、特に、フェニル化シリコーン油、非フェニル化シリコーン油およびこれらの混合物が挙げられる。
【0028】
フェニル化シリコーン油
本発明の組成物は、少なくとも1つのフェニル化シリコーン油を含む。本発明によれば、「フェニル化シリコーン油」は、少なくとも1つのフェニル基によって置換されているオルガノポリシロキサンを意味すると理解される。
【0029】
本発明の組成物は、式(I)
【化3】
[式中、Rは独立して、メチルまたはフェニルを示し、そのうちの少なくとも3つ、実際には少なくとも4つ、実際には少なくとも5つはフェニルである]
で示される少なくとも1つのフェニル化シリコーン油を含む。
【0030】
特定の好ましい実施態様によれば、本発明の組成物は、式(II)
【化4】
[式中、Meはメチルを示し、Phはフェニルを示す]
で示される、別称としてトリメチルペンタフェニルトリシロキサンであるフェニル化シリコーン油を含む。
【0031】
このようなフェニル化シリコーンは、特に、Dow Corningによって製品コードPH-1555 HRIまたはDow Corning 555の化粧品原料(化学名称:1,3,5-トリメチル1,1,3,5,5-ペンタフェニルトリシロキサン、INCI名称:トリメチルペンタフェニルトリシロキサン)で製造されている。Dow Corningの製品コード554の化粧品原料も使用され得る。好ましい実施態様によれば、製品コードPH-1555 HRI(INCI名称:トリメチルペンタフェニルトリシロキサン)が使用される。
【0032】
本発明による式(I)または式(II)で示されるシリコーン油は、本発明の組成物に、該組成物の総重量を基準として1重量%~12重量%の範囲、好ましくは3重量%~8重量%の範囲の含有量で存在する。
【0033】
追加のフェニル化シリコーン油
有利には、本発明の組成物はさらに、式(I)または式(II)で示される第一のシリコーン油とは異なる第二のフェニル化シリコーン油を含み、該第二のフェニル化シリコーン油は、特に、フェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン、2-フェニルエチルトリメチルシロキシシリケート、およびこれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは、フェニルトリメチコンから選択される。
【0034】
追加のフェニル化シリコーン油の含有量は、組成物の1重量%~12重量%の範囲であってよく、特に組成物の2重量%~8重量%であってよい。
【0035】
他の追加の非揮発性油
本発明の組成物はさらに、他の非揮発性油炭化水素油またはシリコーン油を含む。
【0036】
本発明による組成物に使用され得る追加の非揮発性シリコーン油は、非揮発性ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリジメチルシロキサン、少なくとも1つのC2-24アルキルまたはアルコキシ基をシリコーン鎖のペンダントおよび/または末端に含有する、フェニル化シリコーン、例えばフェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン、2-フェニルエチルトリメチルシロキシシリケートであり得る。
【0037】
本発明の組成物中の非揮発性油の総量は、一般的には、組成物の総重量を基準として5重量%~20重量%の範囲、好ましくは、組成物の総重量を基準として10重量%~15重量%の範囲である。
【0038】
揮発性油
特定の好ましい実施態様によれば、本発明の組成物はさらに、1つまたはそれ以上の揮発性油を、好ましくは、組成物の総重量を基準として10重量%~30重量%の範囲の総含有量、好ましくは、組成物の総重量を基準として15重量%~25重量%の範囲の総含有量で含む。
【0039】
高いレベルの揮発性相、特に揮発性油により、皮膚に適用しやすい軽い組成物を可能にし、揮発性油は、適用中に皮膚に膜をセットアップするのに役立ち、これらが蒸発すると、皮膚に物質的な効果またはマスクの効果を与えることなく、素肌の感覚で皮膚に密着する膜を残す。
【0040】
特に水、C1-C5モノアルコールおよび揮発性油を含む、組成物の揮発性相は、有利には、組成物の総重量の30重量%~70重量%、特に40重量%~60重量%で存在し、好ましくは、組成物の総重量の45重量%~55重量%で存在する。
【0041】
揮発性炭化水素油として、分岐C8-C16アルカン、分岐C8-C16エステルおよびこれらの混合物が挙げられる。
【0042】
揮発性シリコーン油として、直鎖状または環状揮発性シリコーン油およびこれらの混合物が挙げられる。
【0043】
本発明の組成物に使用される揮発性油は、好ましくは揮発性シリコーンまたは分岐-鎖飽和炭化水素である。
【0044】
揮発油は、特に、シリコーン油、例えば、0.5~6cStの範囲の粘性を有するジメチコン(ポリジメチルシロキサン)、アルキルトリシロキサンおよびシクロメチコンから選択され得る。例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-(トリメチルシロキシ)トリシロキサン(別称、メチルトリメチコン)、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0045】
特定の好ましい実施態様によれば、本発明の組成物は、0.5~6cStの範囲の粘性を有するジメチコン、メチルトリメチコンおよびこれらの混合物から選択される少なくとも1つの揮発性シリコーン油を含む。
【0046】
揮発性炭化水素油は、イソ-ヘキシルネオペンタノエートまたは炭化水素、例えばイソドデカン、イソデカン、イソヘキサデカン、n-ドデカン(C12)およびn-テトラデカン(C14)またはこれらの混合物であり得る。
【0047】
特定の実施態様によれば、本発明の組成物は、少なくともイソドデカンを含む。
【0048】
特定の好ましい実施態様によれば、本発明の組成物は、少なくとも2つの揮発性シリコーン油(5cStのジメチコンおよびメチルトリメチコン)および揮発性炭化水素油(イソドデカン)を含む。
【0049】
本発明の組成物に中の揮発性シリコーン油の含有量は、一般的には、組成物の総重量を基準として10%~35重量%の範囲、好ましくは、組成物の総重量を基準として15重量%~30重量%の範囲である。
【0050】
本発明の組成物中の揮発性炭化水素油の含有量は、組成物の総重量を基準として2重量%~20重量%の範囲、好ましくは、組成物の総重量を基準として5重量%~12重量%の範囲であり得る。
【0051】
特定の好ましい実施態様によれば、本発明の組成物は、揮発性油対非揮発性油を重量比として1~3の範囲、好ましくは1.5~2.5の範囲で含む。
【0052】
脂溶性膜形成ポリマー
本発明の組成物はさらに、脂溶性膜形成ポリマーを含む。
【0053】
「膜形成ポリマー」とは、支持物上に連続した膜を形成することができるポリマーを意味する。本文中では、用語「ポリマー」とは、ホモポリマーまたはコポリマーを示す。「コポリマー」とは、同じ化学ファミリーであるが、構造が異なることがある少なくとも2つの異なるモノマーまたはブロックを含むポリマーを意味する。脂溶性膜形成ポリマーとは、液状脂肪相、例えば本発明によるフェニル化シリコーン油に可溶化する膜形成ポリマーを意味する。
【0054】
膜形成ポリマーは、天然由来または合成由来であってもよく、有利には、
-トリメチルシロキシシリケート、
-アルキル基が好ましくは1~6個の炭素原子を含むフェニルアルキルシロキシシリケート、例えばフェニルプロピルジメチルシロキシシリケート、
-シリコーンアクリレートポリマー、例えばアクリレート/ジメチコンコポリマー、特に シクロペンタシロキサン中のアクリレート/ジメチコンコポリマー(例えば、Shin-EtsuのKP-545など)、メチルトリメチコン中のアクリレート/ジメチコンコポリマー(例えば、Shin-EtsuのKP-549およびKP-579など)、およびイソドデカン中のアクリレート/ジメチコンコポリマー(例えば、Shin-EtsuのKP-550など);アクリレート/ポリトリメチルシロキシ-メタクリレートコポリマー、特にジメチコン中のアクリレート/ポリトリメチルシロキシ-メタクリレートコポリマー(例えば、Dow Corning(登録商標)FA-4003 DMなど)、イソドデカン中のアクリレート/ポリトリメチルシロキシ-メタクリレートコポリマー(例えば、Dow Corning(登録商標) FA-4004 IDなど)
-1~6個の炭素原子を含むポリアルキルシルセスキオキサン、好ましくは、ポリメチルシルセスキオキサン(例えば、MomentiveのSilform(登録商標)可撓性樹脂など)、
-アルキル基が1~6個の炭素原子を含むトリアルキルシロキシシリルカルバモイルプルラン、好ましくは、トリメチルシロキシシリルカルバモイルプルラン(例えば、Shin-EtsuのTSPL-30-IDなど)、
-ビニルピロリドン(VP)と2~20個の炭素原子を含むアルケンとのコポリマー、例えば、VP/エイコセンコポリマー、VP/ヘキサデセンコポリマー、VP/スチレンコポリマー、
-ビニルエステルの脂溶性コポリマー、好ましくは、ビニルアセテート/アリルステアレートの脂溶性コポリマー、ビニルアセテート/ビニルラウレートの脂溶性コポリマー、ビニルアセテート/ビニルステアレートの脂溶性コポリマー、ビニルアセテート/オクタデセンの脂溶性コポリマー、ビニルアセテート/オクタデシルビニルエーテルの脂溶性コポリマー、ビニルプロピオネート/アリルラウレートの脂溶性コポリマー、ビニルプロピオネート/ビニルラウレートの脂溶性コポリマー、ビニルステアレート/オクタデセン-1の脂溶性コポリマー、ビニルアセテート/ドデセン-1の脂溶性コポリマー、ビニルステアレート/エチルビニルエーテルの脂溶性コポリマー、ビニルプロピオネート/アセチルビニルエーテルの脂溶性コポリマー、ビニルステアレート/アリルアセテートの脂溶性コポリマー、ビニルジメチル-2,2-オクタノエート/ビニルラウレートの脂溶性コポリマー、アリルジメチル-2,2-ペンタノエート/ビニルラウレートの脂溶性コポリマー、ビニルジメチルプロピオネート/ビニルステアレートの脂溶性コポリマー、アリルジメチルプロピオネート/ビニルステアレートの脂溶性コポリマー、
-水添または非水添ポリオレフィン、好ましくは、2~20個の炭素原子を含むアルケンポリマーまたはコポリマー、例えば、ポリブテン、ポリイソブテンおよびポリデセン、
-アルキルセルロース、好ましくは、2~6個の炭素原子を含むアルキル基を有するアルキルセルロース、例えば、エチルセルロースおよびプロピルセルロース、
-ポリビニルアルコール、および
-これらの混合物、からなる群から選択される。
【0055】
好ましくは、脂溶性膜形成ポリマーは、
-トリメチルシロキシシリケート、
-アルキル基が好ましくは、1~6個の炭素原子を含むフェニルアルキルシロキシシリケート、例えば、フェニルプロピルジメチルシロキシシリケート、
-シリコーンアクリレートポリマー、例えば、アクリレート/ジメチコンコポリマー、特に、シクロペンタシロキサン中のアクリレート/ジメチコンコポリマー(例えば、Shin-EtsuのKP-545など)、メチルトリメチコン中のアクリレート/ジメチコンコポリマー(例えば、Shin-EtsuのKP-549およびKP-579など)、およびイソドデカン中のアクリレート/ジメチコンコポリマー(例えば、Shin-EtsuのKP-550など);アクリレート/ポリトリメチルシロキシ-メタクリレートコポリマー、特に、ジメチコン中のアクリレート/ポリトリメチルシロキシ-メタクリレートコポリマー(例えば、Dow Corning(登録商標)FA-4003 DMなど)、イソドデカン中のアクリレート/ポリトリメチルシロキシ-メタクリレートコポリマー(例えば、Dow Corning(登録商標)FA-4004 IDなど)
-1~6個の炭素原子を含むポリアルキルシルセスキオキサン、好ましくは、ポリメチルシルセスキオキサン(例えば、MomentiveのSilform(登録商標)の可撓性樹脂など)、
-アルキル基が1~6個の炭素原子を含むトリアルキルシロキシシリルカルバモイルプルラン、好ましくは、トリメチルシロキシシリルカルバモイルプルラン(例えば、Shin-EtsuのTSPL-30-IDなど)、
およびこれらの混合物、からなる群から選択されるシリコーン膜形成ポリマーである。
【0056】
さらに好ましくは、脂溶性膜形成ポリマーb)は、トリメチルシロキシシリケート、シリコーンアクリレートポリマーおよびこれらの混合物から選択される。
特定の好ましい実施態様によれば、本発明の組成物は、特に、メチルトリメチコン中のアクリレート/ジメチコンのコポリマー(例えば、Shin-EtsuのKP-549およびKP-579など)から選択される少なくとも1つのシリコーンアクリレートポリマーを含む。
【0057】
脂溶性膜形成ポリマーb)は、組成物の総重量を基準として1重量%~7重量%の範囲の含有量、好ましくは、組成物の総重量を基準として2重量%~5重量%の範囲の含有量で存在する。脂溶性膜形成ポリマーb)の%は、組成物の総重量を基準としての乾燥抽出物(活性材料物質、a.m.)の重量%で示される。
【0058】
水相
本発明による組成物の水相は一般的に、組成物の総重量を基準として1重量%~80重量%、特に20重量%~60重量%で存在する。
【0059】
水相は、水を含み、場合により水溶性溶媒を含んでよい。
【0060】
本発明によれば、「水溶性溶媒」とは、室温で液体であり、水と混和できる(25℃、大気圧での水への混和性が50重量%超)化合物を意味する。特に、
-低級C1-C5モノアルコール、例えば、エタノール、イソプロパノールおよびこれらの混合物、好ましくはエタノール;
-C2-C8グリコール、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、およびこれらの混合物;
-C2-C32ポリオール、例えば、グリセロール、ポリグリセロール、ポリエチレングリコール、およびこれらの混合物、
およびこれらの混合物が挙げられる。
【0061】
したがって、本発明の化粧品組成物はさらに、C1-C5低級モノアルコール、C2-C8グリコール、C2-C32ポリオール、およびこれらの混合物から選択される少なくとも1つの水溶性溶媒を、好ましくは、組成物の総重量を基準として10重量%~25重量%の範囲、特に15重量%~20重量%の範囲の含有量で含む。
【0062】
特定の好ましい実施態様によれば、本発明の組成物は、少なくともエタノールを、好ましくは、組成物の総重量基準で5重量%~15重量%の範囲の含有量で含み、みずみずしい効果を与える。
【0063】
この組成物は、有利には、油性の影響を受けずに、光彩のある肌の色を促進する保湿効果(「ツヤ(glowy)」効果)のために、少なくともポリオールおよび/またはグリコールを、組成物の総重量を基準として、3~12重量%、特に5~10重量%の範囲の総含有量でさらに含む。
【0064】
水溶性膜形成ポリマー
本発明の組成物は、水溶性膜形成ポリマーを含む。
水溶性膜形成ポリマーは、本発明の組成物の水相またはヒドロアルコール相に溶解できる。特に、「溶解できる」とは、ポリマーを、室温で、一般的に80重量%未満またはこれと同程度でアルコール溶媒または水性溶媒に溶解することが可能であることを意味する。実施態様によれば、本発明による水溶性膜形成ポリマーは、ビニルポリマー、ポリアクリレート、ポリウレタンおよびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0065】
特に、本発明による水溶性膜形成ポリマーc)は、ビニルピロリドンホモポリマーおよびコポリマーならびにこれらの混合物から選択される。
【0066】
ホモポリマーでは、さまざまな分子量のポリビニルピロリドン(PVP)が挙げられ、該ホモポリマーの重量平均分子量は光回折によって測定される。より詳細には、ポリビニルピロリドン(PVP)は、2000ダルトン~3000000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有するポリビニルピロリドンから選択され、より詳細には、30000ダルトン~2000000ダルトンの範囲の重量平均分子量有するポリビニルピロリドンから選択され、好ましくは、40000ダルトン~1500000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有するポリビニルピロリドンから選択される。
【0067】
本発明の別の実施態様において、あらゆる種類の水溶性ビニルピロリドンコポリマーを使用することができる。ここで、「コポリマー」とは、ビニルピロリドンを1種類のモノマーで重合化して得られるポリマーと、ビニルピロリドンを複数種類のモノマーで重合化して得られるポリマーの両方を意味し、例えば、2種類のモノマーを用いてターポリマーを得ることができる。
【0068】
ビニルピロリドンの水溶性コポリマーの中では、有利な物として、
-少なくともビニルピロリドンおよびビニルアセテートモノマーを含むコポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン/ビニルアセテート(PVP/VA)コポリマー、ポリビニルピロリドン/ビニルアセテート/イタコン酸コポリマー、ポリビニルピロリドン/ビニルアセテート/ビニルプロピオネートコポリマー、
-ポリビニルピロリドン/(メト)アクリル酸/C8-C20アルキルメタクリレートコポリマー、特にラウリルが挙げられる。
【0069】
例として、本発明によるポリビニルピロリドンは、SIP社から、PVP K 30L(登録商標)またはPVP K 90(登録商標)などの商品名PVP-KまたはPVPAが入手可能である。
【0070】
適し得るビニルアセテートコポリマーの例として、Ashland Specialty ChemicalによりPVP/VA 6-630(国際専門製品)またはPVP-VA S-630(INCI名称:ビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマーまたはVP/VAコポリマー、化学名称:ポリ(ビニルピロリドン-コ-ビニルアセテート))というブランド名で市販されている。プラスドンTM S-630 VP/VAコポリマーは、N-ビニル-2-ピロリドン(PVP)とビニルアセテートの60:40の比の直鎖状コポリマーである。
【0071】
特に、ビニルピロリドン/ビニルアセテート(PVP/VA)コポリマーから選択される水溶性膜形成ポリマーc)は、特に、組成物の総重量を基準として0.05重量%~2重量%の範囲の含有量、好ましくは、組成物の総重量を基準として0.1重量%~1重量%の範囲の含有量で存在する。水溶性膜形成ポリマーc)の%は、組成物の総重量を基準としての乾燥抽出物(活性材料物質、a.m.)の重量%で示される。
【0072】
充填剤(filler)
本発明の組成物はさらに、少なくとも1つの充填剤、好ましくはソフトフォーカス(soft-focus)効果の充填剤を含む。
【0073】
本発明の文脈において、「充填剤」とは、鉱物または有機物、天然または合成の無色または白色の粒子であり、不溶性の形態で組成物の媒体中に分散されていると理解される。本発明による充填剤は、表面がコーティングされていてもいなくてもよく、特に、シリコーン、アミノ酸、フッ素系誘導体、または組成物中の充填剤の分散と適合性を促進するその他の物質で表面処理されていてもよい。
【0074】
充填剤は、特に、天然または合成由来のシリカ、雲母類、カオリン、酸化亜鉛および酸化チタン;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムおよび炭酸水素マグネシウム;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム;合成ポリマー粉末、例えば、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド(例えば、ナイロン);ポリアクリルまたはポリメタクリル酸の粉末、シリコーン樹脂の粉末;鉱物粉末、例えば、球状シリカ;球状二酸化チタン;ガラスおよびセラミックスビーズ;天然由来の有機材料物質の粉末、例えば、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン(架橋されているかされていない)、およびこれらの混合物から選択される。
【0075】
本発明による組成物は、有利には、少なくとも1つのソフトフォーカス効果の充填剤を含む。本発明の意味では、「ソフトフォーカス効果」とは、皮膚のマイクロレリーフを隠し、それによって、光学的補正効果により、しわ、小皺、毛穴および吹き出物などのレリーフおよび/または色の欠陥を軽減することを可能とする効果を意味する。
【0076】
本明細書の残りの部分では、「ソフトフォーカス効果の充填剤」または「ソフトフォーカス充填剤」という用語を互換的に使用している。
【0077】
本発明による「ソフトフォーカス効果の充填剤」として、有利には、セルロース粉末、セルロースビーズ;微結晶セルロース粉末;シリカおよびシリケート粉末、非晶質シリカマイクロスフェア、シリカマイクロビーズ;シリカ/TiO2複合粉末;タルク/TiO2/アルミナ/シリカ複合粉末;ポリメチルメタクリレート(PMMA)粉末;窒化ホウ素粉末;場合によりシリコーン樹脂によってコーティングされてよい架橋エラストマーオルガノポリシロキサン粉末;疎水性シリカエーロゲル粉末;ナイロン粉末;デンプン粉末;植物由来の粉末、例えば米の粉末、綿の粉末、絹の粉末;およびこれらの混合物からなる群から選択される充填剤が挙げられる。
【0078】
本発明の好ましい実施態様によれば、化粧品組成物は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)粉末、場合によりシリコーン樹脂によってコーティングされてよい架橋エラストマーオルガノポリシロキサンおよびこれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも1つのソフトフォーカス効果の充填剤を含む。ポリメチルメタクリレート(PMMA)粉末として、INCI名称が「メチルメタクリレートクロスポリマー」の粉末、例えば、SunjinのSUNPMMA-XまたはDaito Kasei社のMAKIBEADS 150が挙げられる。
【0079】
シリコーン樹脂コーティング架橋エラストマーオルガノポリシロキサン粉末として、特許US 5,538,793の実施例に記載されているシルセスキオキサン樹脂コーティング架橋エラストマーオルガノポリシロキサン粉末が挙げられる。このようなエラストマー粉末は、SHIN ETSU社により、KSP-100(登録商標)、KSP-101(登録商標)、KSP-102(登録商標)、KSP-103(登録商標)、KSP-104(登録商標)およびKSP-105(登録商標)という名称で市販されている。
【0080】
本発明による組成物は、組成物の総重量基準で0.1重量%~20重量%の範囲、好ましくは組成物の総重量基準で1重量%~10重量%の範囲の充填剤を含む。
【0081】
着色料
本発明による組成物は、水溶性または非水溶性着色料、脂溶性または非脂溶性着色料、有機または無機着色料、光学的効果の材料物質およびこれらの混合物から選択され得る少なくとも1つまたはそれ以上の着色料を含む。
【0082】
本発明の文脈では、「着色料」とは、適切な化粧品媒体に十分な量で製剤化されると、有色の光学的効果を生じさせることができる化合物を意味する。
【0083】
特定の実施態様によれば、着色料は、特に鉱物および/または有機顔料、(鉱物および/または有機材料物質に基づく)複合顔料、染料、真珠層顔料または真珠光沢顔料およびこれらの混合物から選択される。
【0084】
好ましくは、着色料は顔料である。
【0085】
顔料とは、白色または有色の無機(鉱物)または有機の粒子で、分散されている液体有機相に溶解しなく、組成物および/または組成物で製造される付着物を有色および/または不透明にすることを目的としていると理解すべきである。
【0086】
鉱物顔料の中で、場合によっり表面処理されていてよい二酸化チタン(ルチルまたはアナターゼ)、黒色、黄色、赤色および褐色の酸化鉄、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、酸化クロム、クロム水和酸化物、フェリックブルー(ferric blue)などが挙げられる。
【0087】
有機顔料の例として、D&C Red No. 19;D&C Red No. 9;D&C Red No. 22;D&C Red No. 21;D&C Red No. 28;D&C Yellow No. 6;D&C Orange No. 4;D&C Orange No. 5;D&C Red No. 27;D&C Red No. 13;D&C Red No. 7;D&C Red No. 6;D&C Yellow No. 5;D&C Red No. 36;D&C Red No. 33;D&C Orange No. 10;D&C Yellow No. 6;D&C Red No. 30;D&C Red No. 3;D&C Blue 1;カーボンブラック、およびコチニールカーマインを基にするラッカー(cochineal carmine-based lacquer)が挙げられる。
【0088】
水溶性染料の中で、Yellow 5、Yellow 6、Blue 1、Green 5、Green 3、Green 6、Orange 4、Red 4、Red 21、Red 22、Red 27、Red 28、Red 33、Red 40、コチニールカーマイン(cochineal carmine)(Cl 15850, Cl 75470)が挙げられる。
【0089】
脂溶性染料には、例えば、スーダンレッド、D&C Red 17、D&C Green 6、β-カロテン、ダイズ油、スダンブラウン、D&C Yellow 11、D&C Violet 2、D&C Orange 5、キノリンイエロー(quinoline yellow)、アナットーがある。
【0090】
真珠層顔料または真珠光沢顔料は、特に白色の真珠層顔料、例えば酸化チタンでコーティングされている雲母、オキシ塩化ビスマス;および有色の真珠光沢顔料、例えば酸化鉄を含むチタンマイカ、フェリックブルーまたは酸化クロムを含むチタンマイカ、上述の類型の有機顔料を含むチタンマイカ、ならびにオキシ塩化ビスマスに基づく顔料から選択され得る。市販の真珠層顔料分野のReflecks(登録商標)、Ronastar(登録商標)、Timiron(登録商標)およびSyncristal(登録商標)が挙げられる。
【0091】
有利には、着色料、特に顔料は、油相への分散性を高めるために、少なくとも1つの疎水性または親油性の処理物質で表面処理されている。疎水性処理物質は、特にシリコーン界面活性剤;フッ素化界面活性剤;フルオロシリコーン界面活性剤;金属セッケン、N-アシル化アミノ酸またはその塩;レシチンおよびその誘導体; イソプロピルトリソステアリルチタナート(isopropyl trisostearyl titanate);ジイソステアリルセバケート;天然植物または動物ワックス、極性合成ワックス;脂肪エステル;リン脂質、およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0092】
特に、着色料は、組成物に、組成物の総重量を基準として2重量%~30重量%の範囲の含有量、好ましくは組成物の総重量を基準として4重量%~15重量%の範囲の含有量で存在する。
【0093】
特定の実施態様によれば、本発明の組成物は、顔料、特に鉱物顔料を、組成物の総重量を基準として5重量%~25重量%、特に10重量%~20重量%の範囲の含有量で含む。
【0094】
ガレヌス形態(GALENICAL FORM)
本発明の組成物は、好ましくは、皮膚、特に顔および/または首の皮膚に適用することを意図しており、好ましくは、水中油型、油中水型またはシリコーン中水型エマルジョン状である。好ましくは、油中水型エマルジョン、特にシリコーン中水型エマルジョン状であることが好ましい。
【0095】
本発明の組成物は、例えば顔用液体(facial fluid)、ファンデーション、ファンデーション基礎(foundation base)、仕上げ剤(finisher)状である。好ましくは、顔用メイクアップ組成物、特にファンデーションである。
【0096】
本発明の組成物はさらに、化粧品に慣用的に使用されるいずれかの添加剤、例えば、UVフィルター、抗酸化剤、界面活性剤、ゲル化剤、防腐剤、膜形成ポリマー、香料、化粧品活性剤、例えば、皮膚軟化剤、保湿剤、ビタミン、老化防止剤、美白剤、およびこれらの混合物を含む
【0097】
化粧方法
本発明はまた、ケラチン物質、特に皮膚、好ましくは顔および/または首の皮膚のための化粧品メイクアップ方法であって、本発明で上記に定義した少なくとも1つの化粧品組成物を、該ケラチン物質に適用することを含む方法に関する。
【0098】
特に、本方法は、皮膚に長時間の皮膚における理想的な効果を与え、肌の色に自然な光彩を与えることを意図している。
【0099】
本発明は、以下の非限定的な実施例で説明される。特に断らない限り、%は、組成物の総重量を基準としての重量%で示される。
【実施例0100】
実施例1:本発明のフェニル化シリコーン油の選択
シリコーン中水型エマルジョン状の本発明の組成物において、異なるグロス油を試験した。該組成物において、水相は水溶性膜形成ポリマー(VP/VAコポリマー)を含み、油相はシリコーン油および脂溶性膜形成ポリマー(アクリレート/ジメチコンコポリマー)を含み、顔料(二酸化チタンおよび酸化鉄)は疎水的に処理されている。
【0101】
組成物は、室温において、以下のプロトコールによって調製する:
-メインビーカーにおいて、A1相、A2相およびA3相を攪拌しながら混合し(Ultra-Turrax);
-第二ビーカーにおいて、B1相をRayneriで攪拌して均一な相を得て;その後、Rayneriで攪拌しながらB2相を導入してB1相およびB2相の混合物をホモジナイズし;続いて、乳化直前に、B3相をRayneriで攪拌しながらこの混合物に添加し;
-Rayneriで撹拌しながら900rpmまで徐々に速度を上げて、B相をA相中にて15分間乳化させる。
【0102】
次に、組成物を、皮膚に適用した後、その「ネバネバ感の無さ」効果と、別名「健康的なツヤまたは自然な輝き効果」として知られている「ツヤ効果」について評価する。
【表1】


【0103】
結果として、本発明による式(I)で示されるフェニル化シリコーン油、特にトリメチルペンタフェニルトリシロキサンは、本発明の組成物において、試験された他の油、特にフェニル基を有する他のシリコーン油または樹脂と比較して、ネバネバ感影響のない付着物の輝き(ツヤ効果、光彩のある肌の色)という基準で最良の結果を提示する。
【0104】
また、本発明による組成物(試験1)は、以下のプロトコールによって、熱/湿度条件を交互に変えながら、経時的な持続性(wear)、特に24時間での持続性を評価する:
-T0で、顔に組成物を塗布し、T0で、顔の写真を撮影し;
-その後、対象を、T10hまで2時間ごと(T2h、T4h、T6h、T8hおよびT10h)に、交互の熱(平均温度25.8℃)/湿度(平均湿度69%)状態に10分間かけ、T12hで顔写真を撮影し、T24hでさらに顔の写真を撮影し;
-T0、T12hおよびT24hで撮影した写真を比較する。
【0105】
結果としては、本発明の組成物は、メイクアップ効果が24時間持続し、期待に応えるものであった。
【0106】
実施例2:製剤の実施例
以下の製剤例は、本発明の非限定的な例示である。組成物は、実施例1に記載のプロトコールによって調製する。
【表2】


【0107】
このシリコーン中水型エマルジョン状のファンデーションは、実施例1に記載されているように調製する。顔の皮膚に適用すると、このフェニル化シリコーン油と保湿剤(グリコール)の存在により、皮膚における理想的な効果、素肌感および自然な光彩の肌の色を備えた長時間(24時間)のメイクアップを得られる。
【表3】


【0108】
シリコーン中水型エマルジョン状のファンデーションは、実施例1に記載されているように調製する。顔の皮膚に適用すると、皮膚理想的な効果、素肌感、自然なつやのある肌の色を備えた長時間の(24時間)メイクアップを得られる。
さらに、本願発明は次の態様を含む。
1. エマルジョン状の、ケラチン物質、特に皮膚のための化粧品メイクアップ組成物であって、生理学的に許容できる媒体中に、少なくとも
a)式(I)
【化5】
[式中、R基は独立して、メチルまたはフェニルを示し、そのうちの少なくとも3つ、実際には少なくとも4つ、実際には少なくとも5つがフェニルである]
で示されるフェニル化シリコーン油、
b)脂溶性膜形成ポリマー、好ましくはシリコーン膜形成ポリマー、
c)ビニルピロリドンのホモポリマーおよびコポリマーから選択される水溶性膜形成ポリマー、および
d)着色料、好ましくは顔料、を含む組成物。
2. 好ましくは組成物の総重量を基準として10重量%~30重量%の範囲の総含有量、好ましくは組成物の総重量を基準として15重量%~25重量%の範囲の総含有量で、さらに1つまたはそれ以上の揮発性油を含むことを特徴とする、項1に記載の化粧品組成物。
3. フェニル化シリコーン油が、式(II):
【化6】
[式中、Meはメチルを示し、Phはフェニルを示す]
で示され、別称としてトリメチルペンタフェニルトリシロキサンであることを特徴とする、項1または2に記載の化粧品組成物。
4. 式(I)または式(II)で示されるフェニル化シリコーン油が、組成物中に、組成物の総重量を基準として1重量%~12重量%の範囲の含有量、好ましくは3重量%~8重量%の範囲の含有量で存在することを特徴とする、項1~3のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
5. 具体的には、フェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン、2-フェニルエチルトリメチルシロキシシリケートおよびこれらの混合物からなる群から選択され油、好ましくはフェニルトリメチコンである、式(I)または(II)の第一のシリコーン油と異なる第二のフェニル化シリコーン油を、さらに含むことを特徴とする、項1~4のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
6. 脂溶性膜形成ポリマーb)が、トリメチルシロキシシリケート、アルキル基が好ましくは1~6個の炭素原子を含むフェニルアルキルシロキシシリケート、シリコーンアクリレートポリマー、1~6個の炭素原子を含むポリアルキルシルセスキオキサン、アルキル基が1~6個の炭素原子を含むトリアルキルシロキシシリルカルバモイルプルラン、ビニルピロリドン(VP)と2~20個の炭素原子を含むアルケンとのコポリマー、ビニルエステルのコポリマー、水添または非水添ポリオレフィン、アルキルセルロース、ポリビニルアルコールおよびこれらの混合物からなる群、特に、トリメチルシロキシシリケート、アルキル基が好ましくは1~6個の炭素原子を含むフェニルアルキルシロキシシリケート、シリコーンアクリレートポリマー、1~6個の炭素原子を含むポリアルキルシルセスキオキサン、アルキル基が1~6個の炭素原子を含むトリアルキルシロキシシリルカルバモイルプルランおよびこれらの混合物からなる群、より好ましくは、トリメチルシロキシシリケート、シリコーンアクリレートポリマーおよびこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、項1~5のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
7. 脂溶性膜形成ポリマーb)が、組成物の総重量を基準として1重量%~7重量%の範囲の含有量、好ましくは組成物の総重量を基準として2重量%~5重量%の範囲の含有量で存在することを特徴とする、項1~6のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
8. 水溶性膜形成ポリマーc)が、ポリビニルピロリドン(PVP)ホモポリマー、少なくともビニルピロリドンおよびビニルアセテートモノマーを含むコポリマー、例えばポリビニルピロリドン/ビニルアセテート(PVP/VA)、ポリビニルピロリドン/ビニルアセテート/イタコン酸、ポリビニルピロリドン/ビニルアセテート/ビニルプロピオネートコポリマー、ポリビニルピロリドン/(メト)アクリル酸/C8-C20アルキルメタクリレートコポリマー、特にラウリル、好ましくはポリビニルピロリドン/ビニルアセテート(PVP/VA)コポリマーからなる群から選択されることを特徴とする、項1~7のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
9. 水溶性膜形成ポリマーc)が、組成物の総重量を基準として0.05重量%~2重量%の範囲の含有量、好ましくは組成物の総重量を基準として0.1重量%~1重量%の範囲の含有量で存在することを特徴とする、項1~8のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
10. 好ましくは、組成物の総重量を基準として10重量%~25重量%、特に15重量%~20重量%の範囲の総含有量で、C1-C5低級モノアルコール、C2-C8グリコール、C2-C32ポリオールおよびこれらの混合物から選択される少なくとも1つの水溶性溶媒を含むことを特徴とする、項1~9のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
11. さらに、少なくとも1つの充填剤、好ましくはソフトフォーカス効果の充填剤を含むことを特徴とする、項1~10のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
12. 油中水型エマルジョン、特にシリコーン中水型エマルジョンであることを特徴とする、項1~11のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
13. 顔用メイクアップ組成物、特にファンデーションであることを特徴とする、項1~12のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
14. ケラチン物質、特に皮膚、好ましくは顔および/または首の皮膚のための化粧品メイクアップ方法であって、項1~13のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化粧品組成物を、該ケラチン物質に適用することを含む方法。
15. 長時間にわたり皮膚に理想的な効果および自然なツヤを皮膚に与えるための、項14に記載の方法。
【手続補正書】
【提出日】2024-10-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーン中水型エマルジョン状の、ケラチン物質のための化粧品組成物であって、生理学的に許容できる媒体中に、少なくとも
a)該組成物の総重量を基準として3重量%~8重量%の範囲の含有量の、式(II)
【化1】
[式中、Meはメチルを示し、Phはフェニルを示す]
で示され、別称としてトリメチルペンタフェニルトリシロキサンである、フェニル化シリコーン油、
b)該組成物の総重量を基準として2重量%~5重量%の範囲の含有量の、アクリレート/ジメチコンコポリマーおよびアクリレート/ポリトリメチルシロキシ-メタクリレートコポリマーから選択される脂溶性シリコーン膜形成ポリマー、
c)該組成物の総重量を基準として0.1重量%~1重量%の範囲の含有量の、ポリビニルピロリドン/ビニルアセテート(PVP/VA)コポリマーから選択される水溶性膜形成ポリマー、および
d)着色料、を含む化粧品組成物。
【請求項2】
ケラチン物質が、皮膚であることを特徴とする、請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項3】
前記脂溶性シリコーン膜形成ポリマーが、メチルトリメチコン中のアクリレート/ジメチコンコポリマー、およびイソドデカン中のアクリレート/ポリトリメチルシロキシ-メタクリレートコポリマーから選択されることを特徴とする、請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項4】
前記着色料が、顔料であることを特徴とする、請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項5】
さらに1つまたはそれ以上の揮発性油を含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項6】
前記揮発性油が、該組成物の総重量を基準として10重量%~30重量%の範囲の総含有量であることを特徴とする、請求項5に記載の化粧品組成物。
【請求項7】
フェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン、2-フェニルエチルトリメチルシロキシシリケートおよびこれらの混合物からなる群から選択される、式(II)の第一のシリコーン油と異なる第二のフェニル化シリコーン油を、さらに含むことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項8】
C1-C5低級モノアルコール、C2-C8グリコール、C2-C32ポリオールおよびこれらの混合物から選択される少なくとも1つの水溶性溶媒をさらに含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項9】
該組成物の総重量を基準として10重量%~25重量%の範囲の総含有量で、C1-C5低級モノアルコール、C2-C8グリコール、C2-C32ポリオールおよびこれらの混合物から選択される少なくとも1つの水溶性溶媒をさらに含むことを特徴とする、請求項8に記載の化粧品組成物。
【請求項10】
さらに、少なくとも1つの充填剤を含むことを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項11】
油中水型エマルジョンであることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項12】
顔用メイクアップ組成物であることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項13】
ケラチン物質のための化粧方法であって、請求項1~12のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化粧品組成物を、該ケラチン物質に適用することを含む方法。
【請求項14】
長時間にわたり皮膚に理想的な効果および自然なツヤを皮膚に与えるための、請求項13に記載の方法。