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特開2024-175106マイクロニードルシートを使用する美容方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175106
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】マイクロニードルシートを使用する美容方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 37/00 20060101AFI20241210BHJP
【FI】
A61M37/00 510
A61M37/00 520
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024162325
(22)【出願日】2024-09-19
(62)【分割の表示】P 2019226590の分割
【原出願日】2019-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】劉 ▲シュ▼
(72)【発明者】
【氏名】ゴーラヴ・アガルワル
(57)【要約】      (修正有)
【課題】皮膚及び唇等のケラチン物質に永続的で均一な着色効果をもたらすことができる美容方法を提供すること。
【解決手段】皮膚又は唇等のケラチン物質のための美容方法であって、少なくとも1種の着色剤を含む少なくとも1種の組成物をケラチン物質上に適用する工程と、該組成物が適用されたケラチン物質上に、基材シート、及び該基材シート上の複数のマイクロニードルを備えたマイクロニードルシートを適用して、マイクロニードルがケラチン物質内へ貫入できるようにする工程とを含む、方法に関する。本発明によれば、マイクロニードルは、ケラチン物質内へ貫入して、ケラチン物質に永続的で均一な色効果をもたらすことができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚及び唇等のケラチン物質を着色するためのキットであって、
基材シート及び前記基材シート上の複数のマイクロニードルを備えたマイクロニードルシートと、
前記マイクロニードルシートをケラチン物質上に適用して、前記マイクロニードルがケラチン物質内へ貫入できるようにするためのデバイスと、
少なくとも1種の着色剤を含む組成物と
を備えた、キット。
【請求項2】
前記マイクロニードルが10~500ミクロンの高さを有する、請求項1に記載のキット。
【請求項3】
前記マイクロニードルが角錐体の形状である、請求項1又は2に記載のキット。
【請求項4】
前記マイクロニードルの底面が10~500ミクロンの幅を有する、請求項3に記載のキット。
【請求項5】
前記マイクロニードルの(角錐体の高さ)/(角錐体の底面の幅)の比が1以上である、請求項3又は4に記載のキット。
【請求項6】
前記マイクロニードルが無機材料から作製されている、請求項1から5のいずれか一項に記載のキット。
【請求項7】
前記デバイスが前記マイクロニードルシートを繰り返し適用することができる、請求項1から6のいずれか一項に記載のキット。
【請求項8】
前記マイクロニードルがケラチン物質内へ繰り返し貫入することができる、請求項1から7のいずれか一項に記載のキット。
【請求項9】
前記繰り返しが前記マイクロニードルシートの振動又は叩打に基づく、請求項7又は8に記載のキット。
【請求項10】
前記デバイスが前記マイクロニードルシートを振動させる又は叩打することができる少なくとも1つの要素を備えた、請求項9に記載のキット。
【請求項11】
前記着色剤が、染料、顔料及びこれらの混合物から選択される、請求項1から10のいずれか一項に記載のキット。
【請求項12】
前記着色剤の量が、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%である、請求項1から11のいずれか一項に記載のキット。
【請求項13】
前記ケラチン物質が濡れている、請求項1から12のいずれか一項に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のマイクロニードルを備えたマイクロニードルシートの、皮膚及び唇等のケラチン物質の美容処置のための、使用に関する。
【背景技術】
【0002】
着色剤を含む配合物を適用することによる、染料又は顔料等の着色剤の皮膚上での局所適用は、周知である。例えば、皮膚又は唇の表面は、ファンデーション及びリップスティック等のメイクアップ化粧料で着色される又は染色されることが多い。これらのメイクアップ化粧料は、皮膚、特に顔の皮膚、及び唇を、着色する又は染色するために広く使用されている。
【0003】
しかしながら、メイクアップ化粧料での着色又は染色は一時的であり、例えば皮脂、汗及び雨によって皮膚及び唇から除去されやすい。そのため、メイクアップ化粧料のユーザは、皮膚及び/又は唇を毎日着色する必要がある。したがって、そこには、永続的な着色効果をもたらす必要が存在する。
【0004】
永続的な着色効果の達成に可能な選択肢のうちの1つは、皮膚又は唇の内部に着色剤を送達することである。しかしながら、着色剤を含む配合物の局所適用は、皮膚又は唇内への着色剤の十分な貫入をもたらすことができない。皮膚又は唇の角質層の薄層は、物質が皮膚又は唇内へと貫入することに対する主要なバリアである。したがって、皮膚又は唇の内部に着色剤を送達するための最も重要な点は、角質層を通り抜けることである。更に、皮膚又は唇の内部での、着色剤の均一な分散もまた重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】EP-A-542669
【特許文献2】EP-A-787730
【特許文献3】EP-A-787731
【特許文献4】WO-A- 96/08537
【特許文献5】WO95/15144
【特許文献6】WO95/01772
【特許文献7】EP714954
【特許文献8】仏国特許第2189006号
【特許文献9】仏国特許第2285851号
【特許文献10】仏国特許第2140205号
【特許文献11】EP1378544
【特許文献12】EP1674073
【特許文献13】仏国特許第2830189号
【特許文献14】米国特許第6219574号
【特許文献15】カナダ特許出願第2226718号
【特許文献16】米国特許第6652478号
【特許文献17】WO2011/115602
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry、2004年出版、第7版、「Fluorescent Dyes」章
【非特許文献2】Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry (2002)、「Optical Brighteners」
【非特許文献3】Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology (1995): 「Fluorescent Whitening Agents」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、皮膚及び唇等のケラチン物質に永続的で均一な着色効果をもたらすことができる美容方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的は、皮膚及び唇等のケラチン物質のための美容方法であって、
少なくとも1種の着色剤を含む少なくとも1種の組成物をケラチン物質上に適用する工程と、
該組成物が適用されたケラチン物質上に、基材シート、及び該基材シート上の複数のマイクロニードルを備えたマイクロニードルシートを適用して、マイクロニードルがケラチン物質内へ貫入するようにする工程と
を含む、方法によって達成することができる。
【0009】
マイクロニードルは、10~500ミクロン、好ましくは30~300ミクロン、より好ましくは50~150ミクロンの高さを有してよい。
【0010】
マイクロニードルは、角錐体の形状にあってよい。
【0011】
マイクロニードルの底面は、10~500ミクロン、好ましくは10~300ミクロン、より好ましくは10~100ミクロンの幅を有してよい。
【0012】
マイクロニードルの(角錐体の高さ)/(角錐体の底面の幅)の比は、1以上、好ましくは1.5以上、より好ましくは2.0以上であってよい。
【0013】
マイクロニードルは、無機材料、好ましくは金属又は非金属、より好ましくはケイ素から作製されうる。
【0014】
マイクロニードルは、ケラチン物質内へ繰り返し貫入することができうる。その繰り返しは、マイクロニードルシートの振動又は叩打に基づいていてよい。
【0015】
着色剤は、染料、顔料、及びこれらの混合物から選択することができる。
【0016】
着色剤の量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%~20質量%、好ましくは0.01質量%~15質量%、より好ましくは0.1質量%~10質量%であってよい。
【0017】
マイクロニードルシートは、ケラチン物質上で組成物を乾燥させる工程なしで、ケラチン物質上へ適用されうる。
【0018】
本発明はまた、
基材シート、及び該基材シート上の複数のマイクロニードルを備えたマイクロニードルシートと、
該マイクロニードルシートをケラチン物質上に適用して、マイクロニードルがケラチン物質内へ貫入できるようにするためのデバイスと、
少なくとも1種の着色剤を含む組成物と
を備えた、皮膚及び唇等のケラチン物質を着色するためのキットに関する。
【0019】
上記キット中のデバイスは、マイクロニードルシートを繰り返し適用することができうる。
【0020】
上記キット中のデバイスは、マイクロニードルシートを振動又は叩打することができる少なくとも1つの要素を備えていてよい。
【0021】
本発明はまた、基材シート、及び該基材シート上の複数のマイクロニードルを備えたマイクロニードルシートと組み合わせた、少なくとも1種の着色剤を含む少なくとも1種の組成物の使用であって、皮膚又は唇等のケラチン物質に永続的で均一な色を付与するための、使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明に好ましくは使用されるデバイスの模式図である。
図2】唇に本発明をどのように使用するかに関する例を示す図である。
図3】目の周りに本発明をどのように使用するかに関する例を示す図である。
図4】実施例1及び対照において使用される皮膚の表面の写真である。
図5】実施例2及び対照において使用される皮膚の断面の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
鋭意検討の結果、本発明者らは、皮膚及び唇等のケラチン物質に永続的で均一な着色効果をもたらすことができる美容方法を提供することが可能であることを発見した。
【0024】
そのため、本発明の一態様は、皮膚及び唇等のケラチン物質のための美容方法であって、
少なくとも1種の着色剤を含む少なくとも1種の組成物をケラチン物質上に適用する工程と、
上記組成物が適用されたケラチン物質上に、基材シート、及び該基材シート上の複数のマイクロニードルを備えたマイクロニードルシートを適用して、マイクロニードルがケラチン物質内へ貫入するようにする工程と
を含む、方法である。
【0025】
本発明によれば、マイクロニードルは、ケラチン物質内へ貫入して、ケラチン物質に永続的で均一な色効果をもたらすことができる。
【0026】
具体的には、マイクロニードルは、皮膚又は唇の表面を穿刺して、そこを通って着色剤が皮膚又は唇内に入ることができる微細な穴又は通路を創製することができる。そのため、着色剤は、微細な穴又は通路を通って皮膚又は唇内へ貫入することができ、その結果、着色剤は角質層内に入ることができ且つ/又は着色剤は角質層の底部に達することができる。更に、着色剤は、角質層を通って、表皮の、より下の層のうちの任意の1つ、例えば顆粒層、有棘層及び底部層に達することができる。したがって、着色剤は、皮膚又は唇内に長時間にわたり残存しうる。これは、永続的な着色効果をもたらすことができる。
【0027】
更に、角質層を通る着色剤は、表皮上で又は表皮内で比較的容易に放散して、皮膚又は唇内で均一に分布することができる。したがって、これは、均一な着色効果をもたらすことができる。
【0028】
マイクロニードルが痛みを一切引き起こさないため、本発明による美容方法は、痛みなしで、美容処置を提供することができる。
【0029】
加えて、本発明による美容方法は、比較的短時間で実施することができる。
【0030】
そのため、本発明は、美容処置又は非治療的処置に好都合である。
【0031】
これ以降、本発明による美容方法、キット等を、詳細に説明する。
【0032】
[美容方法]
皮膚及び唇等のケラチン物質のための本発明による美容方法は、
少なくとも1種の着色剤を含む少なくとも1種の組成物をケラチン物質上に適用する工程と、
該組成物が適用されたケラチン物質上へ、基材シート、及び該基材シート上の複数のマイクロニードルを備えたマイクロニードルシートを適用して、マイクロニードルがケラチン物質内へ貫入できるようにする工程と
を含む。
【0033】
少なくとも1種の着色剤を含む少なくとも1種の組成物をケラチン物質上に適用する工程は、ブラシ等の任意のアプリケータを使用することによって実施することができる。
【0034】
組成物の、ケラチン物質との良好な接触、及びケラチン物質の所望の部位上の良好な着色のために、少なくとも1種の着色剤を含む組成物が、織布又は不織布の布帛等の少なくとも1種の多孔質シートと組み合わせてケラチン物質上に適用されることが好ましい場合がある。
【0035】
多孔質シートは、少なくとも1種の着色剤を含む組成物を吸収し維持することができる。したがって、多孔質シートを適用することは、組成物がケラチン物質と良好に接触することを容易にすることができ、これは、ケラチン物質の良好な着色に寄与することができる。
【0036】
上記の組み合わせのタイプは限定されない。そのため、組成物をケラチン物質上に適用する前に多孔質シートをケラチン物質上に適用することができる。或いは、組成物をケラチン物質上に適用した後で多孔質シートをケラチン物質上に適用することができる。
【0037】
マイクロニードルシートをケラチン物質上に適用する工程が、ケラチン物質上の所望の領域について実施されることが好ましい。例えば、マイクロニードルがケラチン物質上の所望の領域内に貫入できるという条件において、マイクロニードルシートの適用部位が、ケラチン物質の表面上で動くことができることが好ましい。
【0038】
マイクロニードルシートが、ケラチン物質上で組成物を乾燥させる工程なしで、ケラチン物質上に適用できることが好ましい。換言すれば、組成物が乾く前に又はケラチン物質が濡れている間にマイクロニードルがケラチン物質内へ貫入するように、マイクロニードルシートがケラチン物質上に適用されることが好ましい。
【0039】
本発明による美容方法は、ケラチン物質の表面からマイクロニードルを除去する工程を更に含みうる。
【0040】
ケラチン物質の表面からマイクロニードルを除去する工程の後に、少なくとも1種の着色剤を含む組成物が、ケラチン物質の表面から除去されてよい。
【0041】
本発明による美容方法が、ケラチン物質の表面からマイクロニードルを除去する工程の後に、且つケラチン物質の表面から組成物を除去する工程の前に、少なくとも1種の着色剤を含む組成物を、ケラチン物質上で維持する又は放置する工程を更に含むことが好ましく、その理由は、ケラチン物質上及びケラチン物質内にマイクロニードルによって形成された穴を介して、組成物が、効果的に、ケラチン物質内へ貫入できるためである。
【0042】
本発明による美容方法は、皮膚又は唇、好ましくは皮膚、より好ましくは顔の皮膚等のケラチン物質の美容処置のためであることが意図されてよい。
【0043】
本発明による美容方法は、例えばケラチン物質を着色することによって、ケラチン物質の審美的外観を改善させるために使用することができる。
【0044】
本発明による美容方法は、ケラチン物質に、永続的で均一の色効果をもたらすことができる。したがって、例えば、本発明による美容方法によってもたらされるメイクアップ効果は、例えば皮脂、汗及び雨の付いた顔においてさえ、長時間維持されうる。
【0045】
しかしながら、本発明による美容方法は、半永久的着色である皮膚タトゥーには相当せず、その理由は、皮膚タトゥーは痛みを伴うからである。更に、本発明による美容方法は、皮膚及び唇等のケラチン物質の浅層を着色し、したがって、本発明による美容方法により付与される色は、例えば数週間のみ続くことができ、これは半永久的着色には相当しない。
【0046】
これ以降、本発明による美容方法のために使用される組成物、マイクロニードルシート等、及び本発明による美容方法をどのように実施するかの例を詳細に説明する。
【0047】
{組成物}
本発明による美容方法のために使用される組成物は、少なくとも1種の着色剤を含む。
【0048】
該組成物は、ケラチン物質のための予処置組成物として使用されてよい。
【0049】
(着色剤)
本発明では、「着色剤」は、任意の合成若しくは天然の、又は有機若しくは無機の、顔料、染料又はレーキ、並びにCTFA及びFDAにより認可された任意の他の着色料を含む。
【0050】
一実施形態では、着色剤は、染料、顔料、及びこれらの混合物から選択することができる。
【0051】
本発明では、着色剤は、水溶性若しくは水分散性、又は油溶性若しくは油分散性、又は限定的に水に可溶性であってよい。
【0052】
一実施形態では、着色剤は、着色顔料から選択することができる。
【0053】
用語「着色顔料」は、不溶性であり且つ皮膚又は唇を着色する又は染色することが意図された、白色又は有色の、無機又は有機の、任意の形状の粒子を意味すると理解されるべきである。
【0054】
顔料は、白色又は有色、無機及び/又は有機であることができる。
【0055】
使用されうる無機顔料の中で、任意選択で表面処理された二酸化チタン、酸化ジルコニウム若しくは酸化セリウム、並びに酸化亜鉛、(黒色、黄色若しくは赤色の)酸化鉄若しくは酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、クロム水和物及びフェリックブルー、又は金属粉末、例えばアルミニウム粉末若しくは銅粉末を、非限定的に挙げることができる。顔料はまた、金属酸化物から形成されたナノ顔料、例えば二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化ジルコニウム及び酸化セリウム、並びにこれらの混合物から選ぶことができる。用語「ナノ顔料」は、1nm~500nmの範囲の平均粒径、例えば10nm~100nmの範囲の粒径を有する顔料を意味すると理解される。
【0056】
使用されうる有機顔料の中で、カーボンブラック、D&Cタイプの顔料、及びレーキ、例えばコチニールカルミン系レーキ、及びバリウム、ストロンチウム、カルシウム又はアルミニウム系レーキを、非限定的に挙げることができる。例えば、Red 33(5-アミノ-4-ヒドロキシ-3-(フェニルアゾ)-ナフタレン-2,7-ジスルホン酸二ナトリウム)、及びRed 202(ビス[2-(3-カルボキシ-2-ヒドロキシネフチルアゾ)-5-メチルベンゼンスルホン酸カルシウム)を、D&Cタイプの顔料として使用することができる。
【0057】
有機顔料はまた、EP-A-542669、EP-A-787730、EP-A-787731及びWO-A- 96/08537に記載のもの等のジケトピロロピロール(DPP)であってよい。
【0058】
有機顔料は、フランスのBiotic Phocea社から提供されているBioChromaDerm(登録商標)又はBioChromaEyes(登録商標)等の生物顔料から選択することができる。
【0059】
好ましくは、着色顔料は、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化鉄及び酸化クロム等の金属酸化物、マンガンバイオレット、プルシャンブルー、ウルトラマリンブルー、クロム水和物、フェリックブルー、アルミニウム粉末、銅粉末、カーボングラック、D&Cタイプの顔料、レーキ、真珠光沢顔料、並びにこれらの混合物から選ぶことができる。
【0060】
用語「真珠光沢顔料」は、ある種の貝によってその貝殻の中で産出された、又はさもなければ合成された、粒子等の任意の形状の、虹色に輝く粒子を意味すると理解されるべきである。
【0061】
真珠光沢剤は、白色真珠光沢剤、例えば二酸化チタンで又はビスマスオキシクロリドで被覆されたマイカ;着色真珠光沢剤、例えば酸化鉄で被覆された酸化チタンコーティングマイカ、フェリックブルー又は酸化クロムで被覆された酸化チタンコーティングマイカ、又は上述のタイプの有機顔料で被覆された酸化チタンコーティングマイカ;並びにビスマスオキシクロリド系真珠光沢剤から選ぶことができる。
【0062】
一実施形態では、マイクロニードルは、高屈折率粒子、干渉粒子、反射粒子及び光吸収性粒子、特に非透明粒子、又は反射を阻止する着色顔料としての光の通路を変更する粒子を含むことができる。このような粒子は、粒子の光学的性質によって、皮膚又は唇の、着色又は真皮ピグメンティングを可能にすることができる。
【0063】
別の実施形態では、着色剤は、染料から選択することができる。染料は、天然直接染料及び合成直接染料から選択することができる。
【0064】
直接染料は、その色を顕色するために酸化剤の使用を必要としない着色物質を意味する。
【0065】
一実施形態では、着色剤は、天然直接染料から選択することができる。
【0066】
「天然直接染料」という表現は、天然に生じ、任意選択で灰又はアンモニア等の天然化合物の存在下で、植物マトリックス、又は昆虫等の動物からの抽出(任意選択で精製)により製造される、任意の染料又は染料前駆体を意味すると理解される。
【0067】
天然直接染料には、キノン染料(例えばローソン及びユグロン)、アリザリン、プルプリン、ラッカイン酸、カルミン酸、ケルメス酸、プルプロガリン、プロトカテクアルデヒド、インジゴ等のインジゴイド、モロコシ、イサチン、ベタニン、クルクミノイド(例えばクルクミン)、スピヌロシン、種々のタイプの葉緑素及びクロロフィリン、ヘマトキシリン、ヘマテイン、ブラジレイン、ブラジリン、ベニバナ染料(例えばカルタミン)、フラボノイド(例えばルチン、クエルセチン、カテキン、エピカテキン、モリン、アピゲニジン及びビャクダン)、アントシアン(例えばアピゲニニジン及びアピゲニン)、カロテノイド、タンニン、オルセイン、サンタリン並びにコチニールカルミンを挙げることができる。
【0068】
天然直接染料を含有する抽出物又は煎じ液、特にヘンナベース抽出物、ウコン(curcuma longa)抽出物、ソルガム葉鞘抽出物、アカミノキ(haematoxylon campechianum)抽出物、緑茶抽出物、マツ樹皮抽出物、ココア抽出物及びロッグウッド抽出物を使用することも可能である。
【0069】
天然直接染料が、クルクミノイド、サンタリン、クロロフィリン、ヘマトキシリン、ヘマテイン、ブラジレイン、ブラジリン、モロコシ、ラッカイン酸、ローソン、ユグロン、アリザリン、プルプリン、カルミン酸、ケルメス酸、プルプロガリン、プロトカテクアルデヒド、インジゴイド、イサチン、スピヌロシン、アピゲニン、オルセイン、ベタニン、フラボノイド、アントシアン、及びこれらの化合物を含有する抽出物又は煎じ液からなる群から選ばれることが好ましい。
【0070】
或いは、天然直接染料は、好ましくは、例えば、ヒドロキシル化キノン、インジゴイド、ヒドロキシフラボン、サンタリンA及びB、イサチン及びその誘導体、並びにブラジリン及びその水酸化誘導体から選ぶことができる。
【0071】
ヒドロキシル化キノンは、好ましくは、ベンゾキノン、ナフトキノン、及びモノ-又はポリヒドロキシル化アントラキノンであり、これらは、アルキル、アルコキシ、アルケニル、クロロ、フェニル、ヒドロキシアルキル及びカルボキシル等の基で任意選択で置換されている。
【0072】
ナフトキノンは、好ましくは、ローソン、ユグロン、フラビオリン、ナフタザリン、ナフトプルプリン、ラパコール、プルムバジン、クロロプルムバジン、ドロセロン、シコニン、2-ヒドロキシ-3-メチル-1,4-ナフトキノン、3,5-ジヒドロキシ-1,4-ナフトキノン、2,5-ジヒドロキシ-1,4-ナフトキノン、2-メトキシ-5-ヒドロキシ-1,4-ナフトキノン及び3-メトキシ-5-ヒドロキシ-1,4-ナフトキノンである。
【0073】
ベンゾキノンは、好ましくは、スピヌロシン、アトロメンチン、オーレンチオグリオクラジン、2,5-ジヒドロキシ-6-メチルベンゾキノン、2-ヒドロキシ-3-メチル-6-メトキシベンゾキノン、2,5-ジヒドロキシ-3,6-ジフェニルベンゾキノン、2,3-ジメチル-5-ヒドロキシ-6-メトキシベンゾキノン及び2,5-ジヒドロキシ-6-イソプロピルベンゾキノンである。
【0074】
アントラキノンは、好ましくは、アリザリン、キニザリン、プルプリン、カルミン酸、クリソファノール、ケルメス酸、レイン、アロエエモジン、シュードプルプリン、キニザリンカルボン酸、フラングラエモジン、2-メチルキニザリン、1-ヒドロキシアントラキノン及び2-ヒドロキシアントラキノンである。
【0075】
インジゴイドは、好ましくは、インジゴ、インジルビン、イソインジゴ及びチリアンパープルである。
【0076】
ヒドロキシフラボンは、好ましくは、クエルセチン及びモリンである。
【0077】
別の実施形態では、着色剤は、合成直接染料から選択することができる。
【0078】
「合成直接染料」という表現は、化学合成によって製造される任意の染料又は染料前駆体を意味すると理解される。
【0079】
直接染料は、酸性(アニオン性)直接染料、塩基性(カチオン性)直接染料、及び中性(非イオン性)直接染料からなる群から選択することができる。
【0080】
合成染料の非限定的な例としては、(非イオン性)中性の、アニオン性(酸性)の、及びカチオン性(塩基性)の染料、例えば、アゾ、メチン、カルボニル、アジン、ニトロ(ヘテロ)アリールタイプ又はトリ(ヘテロ)アリールメタンの直接染料、ポルフィリン及びフタロシアニンが、単独で又は混合物として挙げられる。
【0081】
より詳細には、アゾ染料は、-N=N-官能基を含み、この官能基の2個の窒素原子は、環の中に同時に含まれることはない。しかしながら、-N=N-配列のうちの2個の窒素原子の一方が環の中に含まれることは排除されない。
【0082】
メチン系統群の染料は、より詳細には、>C=C<及び-N=C<から選ばれる少なくとも1つの配列を含む化合物であり、これらの配列のうちの2個の原子は、環の中に同時に含まれることはない。しかしながら、これらの配列の窒素原子又は炭素原子のうちの1つが環の中に含まれうることが規定される。より詳細には、この系統群の染料は、以下のタイプの化合物から生じる:純粋なメチン(1つ又は複数の上述の-C=C-配列を含む)、アゾメチン(少なくとも1つ又は複数の-C=N-配列を含む)、例えば、アザカルボシアニン及びそれらの異性体、ジアザカルボシアニン及びそれらの異性体、テトラアザカルボシアニン、モノ-及びジアリールメタン、インドアミン(又はジフェニルアミン)、インドフェノール、インドアニリン。
【0083】
カルボニルの系統群の染料に関して、例えば、アクリドン、ベンゾキノン、アントラキノン、ナフトキノン、ベンゾアントロン、アントラントロン、ピラントロン、ピラゾールアントロン、ピリミジノアントロン、フラバントロン、インダントロン、フラボン、(イソ)ビオラントロン、イソインドリノン、ベンゾイミダゾロン、イソキノリノン、アントラピリドン、ピラゾロキナゾロン、ペリノン、キナクリドン、キノフタロン、ナフタルイミド、アントラピリミジン、ジケトピロロピロール又はクマリンの各染料から選ばれる合成染料を挙げることができる。
【0084】
環式アジンの系統群の染料に関して、特に、アジン、キサンテン、チオキサンテン、フルオリンジン、アクリジン、(ジ)オキサジン、(ジ)チアジン又はピロニンの染料を挙げることができる。
【0085】
ニトロ(ヘテロ)芳香族染料は、より詳細には、ニトロベンゼン又はニトロピリジンの直接染料である。
【0086】
ポルフィリン又はフタロシアニンのタイプの染料に関して、1種又は複数の金属又は金属イオン、例えば、アルカリ金属及びアルカリ土類金属、亜鉛及びケイ素等を任意選択で含む、カチオン性又は非カチオン性の化合物を使用することができる。
【0087】
特に好適である合成直接染料の例として、ニトロベンゼン染料、アゾ、アゾメチン又はメチン直接染料、アザカルボシアニン、例えばテトラアザカルボシアニン(テトラアザペンタメチン)、キノン、特にアントラキノン、ナフトキノン若しくはベンゾキノンの直接染料、又はアジン、キサンテン、トリアリールメタン、インドアミン、フタロシアニン及びポルフィリンの直接染料を、単独で又は混合物として挙げることができる。なおもより好ましくは、これらの合成直接染料は、ニトロベンゼン染料、アゾ、アゾメチン又はメチン直接染料及びテトラアザカルボシアニン(テトラアザペンタメチン)から、単独で又は混合物として選ばれる。
【0088】
本発明に従って使用されうるアゾ、アゾメチン、メチン又はテトラアザペンタメチンの直接染料の中で、特許出願WO95/15144、WO95/01772及びEP714954、仏国特許第2189006号、仏国特許第2285851号、仏国特許第2140205号、EP1378544及びEP1674073に記載のカチオン性染料を挙げることができる。
【0089】
そのため、以下の式に相当するカチオン性直接染料を、きわめて特に挙げることができる:
【0090】
【化1】
【0091】
[式中、
Dは、窒素原子又は-CH基を表し、
R1及びR2は、同一であり又は異なり、水素原子; -CN、-OH若しくは-NH2基で置換されうるC1~C4アルキル基を表し、又はベンゼン環の炭素原子と一緒になって、1つ若しくは複数のC1~C4アルキル基で置換されうる、任意選択で酸素を含む若しくは窒素を含む複素環、又は4'-アミノフェニル基を形成することができ、
R3及びR'3は、同一であり又は異なり、水素原子、塩素、臭素、ヨウ素及びフッ素から選択されるハロゲン原子、シアノ基、C1~C4アルキル基、C1~C4アルコキシ基、又はアセチルオキシ基を表し、
X-は、塩化物イオン、メチル硫酸イオン及び酢酸イオンから好ましくは選ばれるアニオンを表し、
Aは、以下の構造から選択される基を表し:
【0092】
【化2】
【0093】
(式中、R4は、ヒドロキシル基で置換されうるC1~C4アルキル基を表し;
【0094】
【化3】
【0095】
(式中、
R5は、水素原子、C1~C4アルコキシ基、又はハロゲン原子、例えば、臭素、塩素、ヨウ素若しくはフッ素を表し、
R6は、水素原子若しくはC1~C4アルキル基を表し、又はベンゼン環の炭素原子と一緒になって、任意選択で酸素を含む及び/若しくは任意選択で1つ若しくは複数のC1~C4アルキル基で置換された複素環を形成し、
R7は、水素原子、又はハロゲン原子、例えば、臭素、塩素、ヨウ素若しくはフッ素を表し、
D1及びD2は、同一であり又は異なり、窒素原子又は-CH基を表し、
m=0又は1であり、
X-は、塩化物イオン、メチル硫酸イオン及び酢酸イオンから好ましくは選ばれる、化粧料として許容されるアニオンを表し、
Eは、以下の構造から選ばれる基を表し:
【0096】
【化4】
【0097】
(式中、R'は、C1~C4アルキル基を表し、
m=0であり、D1が窒素原子を表すとき、Eはまた、以下の構造を有する基を示すことができる:
【0098】
【化5】
【0099】
(式中、R'は、C1~C4アルキル基を表す))))]。
【0100】
合成直接染料は、蛍光染料から選択することができる。2種以上のタイプの蛍光染料を組み合わせて使用してもよい。
【0101】
いくつかの蛍光染料の使用は、暗色の毛髪上に、従来の親水性又は疎水性の直接染料による色よりも視認性の高い色を得ることを可能にしうる。更に、これらの蛍光染料はまた、暗色の毛髪に適用された場合、それに損傷を与えることなく毛髪を明色化することを可能にしうる。
【0102】
本明細書で使用するとき、用語「蛍光染料」は、蛍光化合物及び光学的光沢剤を意味すると理解される。少なくとも1つの実施形態では、蛍光染料は、皮膚又は唇において可溶性である。
【0103】
蛍光染料は、可視光線、例えば400~800nmの範囲の波長を吸収し、より高い波長の可視領域において光を再発光することができる蛍光化合物である。
【0104】
一実施形態によれば、本発明に有用な蛍光染料は、オレンジ色の蛍光を再発光する。それらは、例としては、500~700nmの範囲の最大再発光波長を呈する。
【0105】
蛍光染料の非限定的な例には、当技術分野で既知の化合物、例えば、Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry、2004年出版、第7版、「Fluorescent Dyes」章に記載されているものが挙げられる。
【0106】
本開示の光学的光沢剤はまた、「光沢剤」若しくは「蛍光光沢剤(fluorescent brighteners)」若しくは「蛍光光沢剤(fluorescent brightening agents)」若しくは「FWA」若しくは「蛍光美白剤(fluorescent whitening agents)」若しくは「美白剤」若しくは「蛍光美白剤(fluorescent whiteners)」の名称で知られ、無色透明の化合物であり、その理由は、それらが、可視光を吸収せず、紫外光(200~400ナノメートルの範囲の波長)のみを吸収し、吸収されたエネルギーを、スペクトルの可視部分、一般に青色及び/又は緑色、すなわち400~550ナノメートルの範囲の波長で発光されるよりも高い波長の蛍光に変換するからである。
【0107】
光学的光沢剤は当技術分野において既知であり、例えば、それらは、Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry (2002)、「Optical Brighteners」、及びKirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology (1995):「Fluorescent Whitening Agents」に記載されている。
【0108】
本発明において使用されうる蛍光染料には、当技術分野から既知の化合物、例えば仏国特許第2830189号に記載のものが挙げられる。
【0109】
特に挙げることができる可溶性蛍光化合物には、以下の系統群に属するものがある:ナフタルイミド、クマリン、キサンテン、特に、キサンテノジキノリジン及びアザキサンテン;ナフトラクタム、アズラクトン、オキサジン、チアジン、ジオキサジン、アゾ化合物、アゾメチン、メチン、ピラジン、スチルベン、ケトピロール及びピレン。
【0110】
存在する場合、蛍光染料が好ましく、より詳細には、オレンジ色の蛍光を再発光するものが好ましい。
【0111】
イオンの性質の観点から、直接染料は、酸性直接染料、塩基性直接染料及び中性直接染料からなる群から選択することができ、これはあらゆる可能なタイプの直接染料、例えば、いわゆるニトロ染料及びHC染料を包含する。酸性直接染料は、それらの化学構造中にアニオン性部分を有する。塩基性直接染料は、それらの化学構造中にカチオン性部分を有する。中性直接染料は、非イオン性である。
【0112】
好ましい一実施形態では、着色剤は、染料、好ましくは天然直接染料、より好ましくは着色植物抽出物から選択することができる。
【0113】
着色植物抽出物は、本明細書では、着色することができる植物抽出物を意味する。着色植物抽出物として、天然直接染料について上で説明したものに加えて、ニンジン抽出物、クチナシ果実エキス、サフラン抽出物、オレンジ抽出物及びトマト抽出物を挙げることができる。
【0114】
特に、着色剤は、以下の化合物及びそれらの混合物から選択することができる。
【0115】
【表1A】
【0116】
【表1B】
【0117】
本発明によるマイクロニードルシートのマイクロニード中の着色剤の量は、限定されない。
【0118】
本発明による美容方法のために使用される組成物中の着色剤の量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であってよい。
【0119】
本発明による美容方法のために使用される組成物中の着色剤の量は、組成物の総質量に対して、20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下であってよい。
【0120】
そのため、本発明による美容方法のために使用される組成物中の着色剤の量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%~20質量%、好ましくは0.01質量%から15質量%、より好ましくは0.1質量%~10質量%の範囲であってよい。
【0121】
(ビヒクル)
本発明による美容方法のために使用される組成物は、少なくとも1種のビヒクルを含んでよい。
【0122】
本発明による美容方法のために使用される組成物中のビヒクルは、限定されない。
【0123】
例えば、ビヒクルは、親水性媒体及び疎水性媒体から選ぶことができる。
【0124】
この親水性媒体は、アルコールであってよく、特に一価アルコール、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール及びフェニルエチルアルコール;ジオール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール及びブチレングリコール;他のポリオール、例えばグリセロール、糖及び糖アルコール;並びにエーテル、例えばエチレングリコールモノメチル、モノエチル及びモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチル、モノエチル及びモノブチルエーテル、並びにブチレングリコールモノメチル、モノエチル及びモノブチルエーテルであってよい。
【0125】
疎水性媒体は、油から選択することができる。
【0126】
本発明による美容方法のために使用される組成物が水を含むことが好ましい場合がある。
【0127】
本発明のために使用される組成物中のビヒクルの量は、組成物の総質量に対して、50質量%以上、好ましくは55質量%以上、より好ましくは60質量%以上であってよい。
【0128】
本発明のために使用される組成物中のビヒクルの量は、組成物の総質量に対して、99質量%以下、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下であってよい。
【0129】
本発明のために使用される組成物中のビヒクルの量は、組成物の総質量に対して、50質量%~99質量%、好ましくは55質量%~95質量%、より好ましくは60質量%~90質量%の範囲であってよい。
【0130】
(任意選択の成分)
本発明による美容方法のために使用される組成物は、前述の成分に加えて、化粧料において典型的に利用される成分、具体的には界面活性剤又は乳化剤、親水性又は疎水性増粘剤、動物又は植物に由来する天然抽出物、ワックス等を、本発明の効果を損なわない範囲内で含んでよい。
【0131】
本発明による美容方法のために使用される組成物は、上記の任意選択の添加剤を、組成物の総質量に対して、0.01質量%~50質量%、好ましくは0.05質量%~30質量%、より好ましくは0.1質量%~10質量%の量で含んでよい。
【0132】
(調製)
本発明のために使用される組成物は、上に説明した通り、例えば、必須成分としての着色剤及びビヒクルと、必要な場合に任意選択の成分とを、混合することによって調製することができる。
【0133】
上記の必須成分と任意選択の成分とを混合する方法及び手段は、限定されない。任意の従来の方法及び手段を用いて、上記の必須成分と任意選択の成分とを混合して本発明のために使用される組成物を調製することができる。
【0134】
{マイクロニードルシート}
本発明による方法のために使用されるマイクロニードルシートは、基材シート、及び該基材シート上の複数のマイクロニードルを備える。
【0135】
本発明のために使用されるマイクロニードルシートは、美容デバイス、好ましくはケラチン物質のための美容デバイス、より好ましくは皮膚、特に顔の皮膚、及び唇のための美容デバイスであってよい。
【0136】
(マイクロニードル)
本発明のために使用されるマイクロニードルシートは、複数のマイクロニードルを備える。
【0137】
マイクロニードルは、基材シートの表面上に存在する。マイクロニードルは、基材シートの表面の50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上の上に存在してよい。
【0138】
マイクロニードルが基材シートの表面の一方の上に存在することが好ましい。
【0139】
本発明のために使用されるマイクロニードルシートのマイクロニードルが、皮膚、特に顔の皮膚、及び唇の、角質層内へ貫入する又は入るように設計されることが好ましい。
【0140】
マイクロニードルは、角質層を穿刺するのに好適な任意のサイズ及び形状でありうる。マイクロニードルが角質層を穿刺して横断するように設計されることが好ましい場合がある。マイクロニードルは、角質層内に開口部又は通路を創製できる場合がある。
【0141】
必要な場合、マイクロニードルの高さは、皮膚の表皮及び/又は真皮内への、好ましくは表皮への、より好ましくは表皮内の層のうちの任意の1つへの貫入を可能にするように調節されてよい。
【0142】
マイクロニードルの形状は、その形状が「針」である限り限定されない。本発明のためのマイクロニードルが、角錐体、円錐体、棒状及び/又は柱状が含まれるがこれらに限定されない任意の合理的な形状をとりうることが、当業者には明らかとなる。そのため、マイクロニードルは、先端部が底部と同一の直径を有していてよく、又は直径が底部から先端部の方向に先細りしていてよい。
【0143】
例えば、マイクロニードルの形状は、三角錐、四角錐又は五角錐の形態であってよい。或いは、マイクロニードルは、好ましくは先端部を有する円柱の形態であってよく、円柱を対角線で切断して形成することができる。マイクロニードルの断面は、円形、三角形、正方形、長方形、多角形、定形又は非定形の形態等を含む任意の幾何学的形態をとってよい。一実施形態では、マイクロニードルの群は、中空ミクロキャピラリーの形態をとってよい。しかしながら、本発明のためには、固体(非中空)マイクロニードルが好ましい場合がある。
【0144】
このように、利用される微細突出部又は微細突起部の種類として「マイクロニードル」が参照されている。多くの事例において、同じ発明原理が、皮膚を貫入するための他の微細突出部又は微細突起部の使用に当てはまることが、当業者には理解されるであろう。他の微細突出部又は微細突起部には、例えば米国特許第6219574号及びカナダ特許出願第2226718号に記載されているマイクロブレード、並びに米国特許第6652478号に記載されているエッジ付きマイクロニードルが挙げられる。
【0145】
本発明のために使用されるマイクロニードルシートのマイクロニードルの高さ又は長さは、10~500ミクロン、好ましくは30~300ミクロン、より好ましくは50~150ミクロンであってよい。
【0146】
本発明の一実施形態によれば、マイクロニードルは円錐体の形態である。
【0147】
円錐体は、先端部等の遠位端、及び底面を含んでよい。底面の形状は、円形又は楕円形でありうる。
【0148】
本発明のために使用されるマイクロニードルシートのマイクロニードルの円錐体の高さ又は長さは、10~500ミクロン、好ましくは30~300ミクロン、より好ましくは50~150ミクロンであってよい。
【0149】
本発明のために使用されるマイクロニードルシートのマイクロニードルの円錐体の底面は、10~500ミクロン、好ましくは10~300ミクロン、より好ましくは10~100ミクロンの直径又は幅を有してよい。本発明のために使用されるマイクロニードルシートのマイクロニードルの円錐体の底面が楕円形又は長円形の形状にある場合、その楕円形の主軸又は幅の長さは、10~500ミクロン、好ましくは10~300ミクロン、より好ましくは10~100ミクロンであってよい。
【0150】
マイクロニードルは、少なくとも約3:1、少なくとも約2:1又は少なくとも約1:1のアスペクト比(底部における長さ/幅)を有しうる。マイクロニードルの(円錐体の高さ)/(円錐体の底面の直径)の比は、1以上、好ましくは1.5以上、より好ましくは2.0以上であってよい。
【0151】
本発明の別の実施形態によれば、マイクロニードルは、角錐体、例えば三角錐又は四角錐の形態にある。
【0152】
角錐体は、先端部等の遠位端、及び底面を含んでよい。底面の形状は、三角形又は正方形でありうる。
【0153】
本発明のために使用されるマイクロニードルシートのマイクロニードルの角錐体の高さ又は長さは、10~500ミクロン、好ましくは30~300ミクロン、より好ましくは50~150ミクロンであってよい。
【0154】
本発明のために使用されるマイクロニードルシートのマイクロニードルの角錐体の底面は、10~500ミクロン、好ましくは10~300ミクロン、より好ましくは10~100ミクロンの幅を有してよい。本発明のために使用されるマイクロニードルシートのマイクロニードルの角錐体の底面が三角形又は正方形の形状にある場合、その三角形又は正方形の側長又は幅は、10~500ミクロン、好ましくは10~300ミクロン、より好ましくは10~100ミクロンであってよい。
【0155】
マイクロニードルは、少なくとも約3:1、少なくとも約2:1又は少なくとも約1:1のアスペクト比(底部における長さ/幅)を有しうる。マイクロニードルの(角錐体の高さ)/(角錐体の底面の幅)の比は、1以上、好ましくは1.5以上、より好ましくは2.0以上であってよい。
【0156】
マイクロニードルが、200ミクロン以下、好ましくは180ミクロン以下、より好ましくは160ミクロン以下の深さまで、皮膚及び唇等のケラチン物質内へ貫入できることが好ましい場合がある。
【0157】
マイクロニードルの非常に狭いピッチは、マイクロニードルに、十分な表面積を付与することができず、その結果、マイクロニードルは皮膚の内部に貫入できない。他方で、広すぎるピッチもまた問題を引き起こすことがあり、それは、個々のマイクロニードルが、貫入するのに十分な圧力を得られないという問題である。そのため、マイクロニードルアレイのピッチが、400~700ミクロン、より好ましくは400~500ミクロンであることが好ましい場合がある。
【0158】
マイクロニードルの数、及びマイクロニードル同士の間のピッチは、マイクロニードルの所望の色パターン及び幅等のいくつかの要因に依存する。例えば、0.5ミクロンの幅を有する色パターンが所望である場合、0.5mmピッチを伴うマイクロニードルアレイ(2×2)を有するマイクロニードルシートの使用が最も適当でありうる。
【0159】
一実施形態では、マイクロニードルの密度は、100~2000マイクロニードル/cm2、好ましくは200~1000マイクロニードル/cm2、更により好ましくは200~500マイクロニードル/cm2であってよい。
【0160】
マイクロニードルが可溶性でないことが好ましい。
【0161】
「可溶性でない」マイクロニードルは、マイクロニードルが、例えば自然の湿潤因子又は外部水分によって、皮膚及び唇等のケラチン物質の内部で破壊しえない又は崩壊しえないことを意味する。
【0162】
マイクロニードルが水溶性でないことが、より好ましい。
【0163】
マイクロニードルは、有機又は無機材料から作製することができる。有機材料の例として、ポリエチレン、ポリプロピレンを含む合成ポリマー、及びフォトレジスト、生分解性プラスチック、セルロース誘導体、及びこれらの混合物を挙げることができる。無機材料の例として、ステンレス鋼を含む金属、ケイ素、ガラス及びセラミクス等の非金属、並びにこれらの混合物を挙げることができる。更に、皮膚又は体に埋め込み可能な任意の他の材料を使用することができる。
【0164】
マイクロニードルが、使用前に、無菌である又は無菌化されていることが好ましい。マイクロニードルが、1回のみ使用されること、したがってディスポーザブルであることがより好ましい。
【0165】
マイクロニードルが、無機材料、より好ましくは金属又は非金属、更により好ましくはケイ素(特に単一結晶ケイ素)から作製されることが好ましい。
【0166】
マイクロニードルが固体(非中空)であることもまた好ましい。
【0167】
マイクロニードルそれら自体は、任意の色を有していてよい。しかしながら、マイクロニードルが、ケラチン物質を着色するために着色剤を一切含んでいないことが好ましい場合がある。
【0168】
(基材シート)
本発明によるマイクロニードルシートは、その上にマイクロニードルが存在する又は載置される基材シートを備える。
【0169】
基材シートとマイクロニードルとは、別々であっても一体化されていてもよい。
【0170】
例えば、基材シートとマイクロニードルとは、少なくとも1種の共通の材料を含みうる。そのため、一実施形態では、基材シートとマイクロニードルとは、少なくとも1種の共通の材料を含む単一の要素でありうる。好ましくは、単一の要素は、同一の材料を使用することによって調製することができる。
【0171】
その一方で、基材シートは、マイクロニードルと異なっていてもよく又は別個であってもよい。例えば、基材シートとマイクロニードルとは、異なる材料から作製されてもよい。この事例では、基材シートは、例えばマスク、ワイプ、パッチ及び一般に全てのタイプの多孔質基材シートから選ぶことができる。好ましくは、これらの基材シートは長円構造を有し、すなわち、それらが画定される平面の寸法よりも小さい厚みを有する。
【0172】
基材シートは、パッチ、ディスク、マスク、タオル、グローブ、プレカットロールの形態、又は美容上の使用に好適な任意の他の形態であるように切断されてもよい。
【0173】
(調製)
本発明のために使用されるマイクロニードルシートをどのように調製するかについて、限定はない。本発明のために使用されるマイクロニードルシートを、例えば成型、3Dプリンティング、金属加工等の従来の技術に基づいて調製することが可能である。
【0174】
本発明のために使用されるマイクロニードルシートの形状は限定されず、それは、マイクロニードルシートを適用する標的に応じて、唇の形状、又は目の下への適用に好適な形状等の任意の形状であってよい。
【0175】
{デバイス}
本発明による美容方法では、マイクロニードルシートは、マイクロニードルがケラチン物質内へ貫入することができるように、皮膚及び唇等のケラチン物質上に適用される。
【0176】
マイクロニードルが、ケラチン物質内へ繰り返し貫入できることが好ましい。
【0177】
マイクロニードルの、ケラチン物質内への繰り返しの貫入をどのように実施するかは、限定されない。例えば、繰り返しの貫入は、基材シートの前面上のマイクロニードルがケラチン物質内へ繰り返し貫入できるように、マイクロニードルシートの基材シートの裏面を指で数回叩打することにより実施することができる。
【0178】
更に、皮膚及び唇等のケラチン物質に向かって振動を用いることによって、マイクロニードルの繰り返しの貫入を実施することが好ましい。
【0179】
例えば、図1に示す通り、マイクロニードルシート1は、ケラチン物質の表面に向かって振動を生成できる振動子2に連結することができ、この振動は、図1中の上方向及び下方向に相当する。振動子2の種類は、それが振動を生成できる限り、限定されない。例えば、振動子2は、ピエゾ素子により構成されていてよい。当然ながら、ケラチン物質に向かって繰り返し動くことができる、好ましくは振動することができる任意の他のアクチュエータを、振動子2の代わりに使用することができる。
【0180】
図1では、マイクロニードルシート1は、振動子2により引き起こされる振動に基づいて上下に動くことができ、したがって、マイクロニードルシート1のマイクロニードルは、皮膚及び唇等のケラチン物質内へ繰り返し貫入することができる。
【0181】
振動子2が、マイクロニードルシート1のためのレセプタとして機能できるヘッドと結合していること、及びマイクロニードルシート1の基材シートがヘッドに取り付けられていることが好ましい。そのため、振動子2により引き起こされた振動は、ヘッドに伝わりうる。次いで、マイクロニードルシート1もまた、ヘッドを介して振動しうる。
【0182】
マイクロニードルシート1を振動させるために、デバイスを使用することが好ましい。例えば、デバイスは、振動子2と、振動子2と結合しているヘッド、及び乾電池等のバッテリーとを備えてよく、該バッテリーは、振動子2及び制御手段を駆動させて、振動子2により引き起こされる振動の周波数を制御することができる。例として、WO2011/115602(その内容は参照により本明細書に組み込まれる)に開示されているデバイスを、上記デバイスとして使用することができる。
【0183】
上記デバイスを使用するとき、マイクロニードルシート1のマイクロニードルがケラチン物質内へ繰り返し貫入できるように、マイクロニードルシート1はデバイスのヘッド上にマウントされ、皮膚及び唇等のケラチン物質上に適用されうる。
【0184】
振動又は叩打の周波数は限定されない。例えば、周波数は、1分当たり1000~10000、好ましくは1分当たり1000~8000、より好ましくは1分当たり3000~6000であってよい。
【0185】
マイクロニードルをケラチン物質内へ貫入させるために使用される圧力を調整することが好ましい場合がある。該圧力は、マイクロニードルの種類及び着色の種類等のいくつかの要因に依存しうる。
【0186】
マイクロニードルの叩打する又は振動する貫入は、連続的で安定な皮膚穿刺を可能にし、マイクロニードルをケラチン物質内に駆動するために必要とされる力を低減させることができる。それは、ケラチン物質の、処置される領域にマッサージ効果を更にもたらして、ケラチン物質内への着色剤のより良好な放散又は分散を可能にすることができる。
【0187】
{美容方法をどのように実施するかの例}
図2及び図3は、本発明による美容方法をどのように実施するかのいくつかの例を示す。
【0188】
図2は、永続的な唇の着色のいくつかの方法を例示している。図2(a)は、ヒトの唇を示す。この図の長手方向に沿った唇の、それぞれの幅は約15mmである。
【0189】
図2(b)は、唇の着色の例を示し、ここで、第1に、少なくとも1種の着色剤を含む組成物が適用され、次いでマイクロニードルのアレイ(2×2)を有するマイクロニードルシートが、唇の両端の幅0.4mmに沿って適用される。図2(b)に示す通り、唇の端が着色されうる。
【0190】
図2(c)は、唇の着色の別の例を示し、ここで、第1に、少なくとも1種の着色剤を含む組成物が適用され、次いでマイクロニードルのアレイ(10×10)を有するマイクロニードルシートが、唇の全体の上に適用される。図2(c)に示す通り、唇の全体が着色されうる。
【0191】
図3は、目の下の永続的な着色のいくつかの方法を例示している。図3(a)は、ヒトの目を示す。陰の領域は暗く、本明細書では「目のくま」と呼ばれ、これは約15mmの、図の長手方向に沿った幅を有する。
【0192】
図3(b)は、目の下の着色の例を示し、ここで、第1に、少なくとも1種の着色剤(通常の皮膚の色を有する)を含む組成物が適用され、次いでマイクロニードルのアレイ(2×2)を有するマイクロニードルシートが、目のくまの両端の幅0.4mmに沿って適用される。図3(b)に示す通り、目のくまの両端が着色剤によって被覆され、したがって、目のくまの領域が小さくなっているように見える。
【0193】
図3(c)は、目の下の着色の別の例を示し、ここで、第1に、少なくとも1種の着色剤(通常の皮膚の色を有する)を含む組成物が適用され、次いでマイクロニードルのアレイ(10×10)を有するマイクロニードルシートが、目のくまの全体の上に適用される。図3(c)に示す通り、目のくまの全体が着色剤によって被覆され、したがって、目のくまが存在しないように見える。
【0194】
[キット、方法及び使用]
本発明はまた、
基材シート、及び該基材シート上の複数のマイクロニードルを備えたマイクロニードルシートと、
マイクロニードルシートをケラチン物質上に適用して、マイクロニードルがケラチン物質内へ貫入できるようにするためのデバイスと、
少なくとも1種の着色剤を含む組成物と
を含む、皮膚及び唇等のケラチン物質を着色するためのキットに関する。
【0195】
本発明による美容方法のためのマイクロニードルシート及び組成物のための上記の説明はまた、本発明によるキットにおける説明にも当てはめることができる。加えて、本発明による美容方法のために使用されうる上記デバイスに関する説明はまた、本発明によるキットにおける説明にも当てはめることができる。
【0196】
少なくとも1種の着色剤を含む組成物は、美容目的のために通常使用される容器(vessel)等の任意の容器(container)中に収容されてよい。
【0197】
キットは、好ましくは、本発明による美容方法を実施するために使用することができる。
【0198】
本発明によるキット中のデバイスが、マイクロニードルシートを繰り返し適用することができることが好ましい。例えば、デバイスは、マイクロニードルシートを振動させる又は叩打することができる少なくとも1つの要素を含んでよい。この要素は、マイクロニードルのケラチン物質内への貫入を繰り返すために指での叩打が使用される場合、基材シートの裏面に相当してもよく、且つマイクロニードルのケラチン物質内への貫入を繰り返すために振動が使用される場合、上で説明した振動子2に相当してもよい。
【0199】
本発明はまた、基材シート、及び該基材シート上の複数のマイクロニードルを備えたマイクロニードルシートと組み合わせた、少なくとも1種の着色剤を含む少なくとも1種の組成物の使用であって、皮膚又は唇等のケラチン物質に永続的で均一な色を付与するための、使用に関する。
【0200】
詳細には、本発明による使用は、
皮膚又は唇等のケラチン物質に永続的で均一な色を付与するための、
少なくとも1種の着色剤を含む少なくとも1種の組成物の、ケラチン物質上への、第1の適用と、
該組成物が適用されたケラチン物質上への、マイクロニードルがケラチン物質内へ貫入できるような、基材シート、及び該基材シート上の複数のマイクロニードルを備えたマイクロニードルシートの第2の適用と
を含みうる。
【0201】
マイクロニードルが、ケラチン物質内へ繰り返し貫入できることが好ましい。繰り返しは、マイクロニードルシートの振動又は叩打に基づいてよい。
【0202】
本発明による使用の別の態様は、皮膚及び唇等のケラチン物質の永続的で均一な着色における、基材シート、及び該基材シート上の複数のマイクロニードルを備えたマイクロニードルシートと組み合わせた使用のための、少なくとも1種の着色剤を含む組成物であって、マイクロニードルは、ケラチン物質内へ貫入することができる、組成物であってよい。
【0203】
本発明による上記キット及び使用によれば、マイクロニードルシートのマイクロニードルは、着色剤を、皮膚及び唇等のケラチン物質内へ送達し、ケラチン物質に永続的着色を付与することができる。更に、本発明による上記キット及び使用は、皮膚及び唇等のケラチン物質に均一の着色を付与することができる。
【実施例0204】
本発明を、実施例によって、より詳細に説明することにする。しかしながら、これらの実施例が本発明の範囲を限定するものとは解釈すべきでない。以下の実施例は、本発明の技術分野における非限定的な例示として提示される。
【0205】
(実施例1)
ex vivoの着色試験1
(マイクロニードルデバイス)
基材シート上に7×7のマイクロニードルを有する正方形のマイクロニードルシートを使用した。各マイクロニードルは、長さ又は高さが80μmで、底面の幅が40μmの角錐体の形状を有していた。マイクロニードルは、単一結晶ケイ素から作製した。
【0206】
正方形のマイクロニードルシートを、WO2011/115602に示す通り、デバイスのヘッド(第1端)(ここで、ヘッドは、デバイスの軸に沿って振動することができる)上にマウントさせ、マイクロニードルがケラチン物質内へ繰り返し貫入できるように皮膚に向かう振動作用でマイクロニードルシートを皮膚上に適用できるマイクロニードルデバイスを調製した。
【0207】
(組成物)
0.1質量%のRed 33の水性溶液を使用した。
【0208】
(評価)
第1に、1.5cm×1.5cm平方の形のヒトの死体の皮膚を用意した。
【0209】
第2に、濃度0.1質量%のRed 33を有する水性溶液の形態にある上記組成物を、皮膚部位上に適用した。
【0210】
第3に、マイクロニードルデバイスを使用して、マイクロニードルが上記皮膚部位内へ繰り返し貫入するように、マイクロニードルシートを上記皮膚部位上に、1分当たり5000回の周波数の振動で5分間適用した。
【0211】
適用後、上記組成物を放置し、上記皮膚部位上に15分間維持した。上記皮膚部位の表面の写真を、組成物を上記皮膚部位から濡れた及び乾いた綿棒で拭い取った直後に撮影した。24時間後、上記皮膚部位の表面上でテープ剥離を20回実施して上記皮膚部位の角質層を除去し、上記皮膚部位の表面の写真を撮影した。
【0212】
他方で、対照として、皮膚の別の部位についてテープ剥離を施し、ここで、上記組成物は適用せず(着色処置なし)、この皮膚部位の表面の写真を撮影した。
【0213】
上記写真を図4に示す。
【0214】
図4の「対照」に示す通り、皮膚を拭い取った直後(T0を参照のこと)に、着色処理なしで、皮膚部位上にわずかな赤色を観察した。しかしながら、その色は、「20回のテープ剥離後24時間」の顕微鏡図に示す通り、角質層をテープ剥離で除去した後にはもはや観察されなかった。
【0215】
対照的に、図4の「実施例1」に示す通り、着色処置した皮膚部位は、全ての処置領域上で首尾よく赤色で着色された。その上、「20回のテープ剥離後T24時間」の顕微鏡図に示す通り、角質層の除去後でさえ、赤色は依然として明白であり、均一に観察された。これらの結果は、実施例1における、永続的な着色効能、及び表皮への均一な着色を明示している。
【0216】
(実施例2)
ex vivoの着色試験2
(マイクロニードルデバイス)
基材シート上に7×7のマイクロニードルを有する正方形のマイクロニードルシートを使用した。各マイクロニードルは、長さ又は高さが80μmで底面の幅が40μmの角錐体の形状を有していた。マイクロニードルは、単一結晶ケイ素から作製した。
【0217】
正方形のマイクロニードルシートを、WO2011/115602に示す通り、デバイスのヘッド(第1端)(ここで、ヘッドは、デバイスの軸に沿って振動することができる)上にマウントさせ、マイクロニードルがケラチン物質内へ繰り返し貫入できるように皮膚に向かう振動作用でマイクロニードルシートを皮膚上に適用できるマイクロニードルデバイスを調製した。
【0218】
(組成物)
0.1質量%のRed 33の水性溶液を使用した。
【0219】
(評価)
第1に、1.5cm×1.5cm平方の形のヒトの死体の皮膚を用意した。
【0220】
第2に、濃度0.1質量%のRed 33を有する水性溶液の形態にある上記組成物を、皮膚部位上に適用した。
【0221】
第3に、マイクロニードルデバイスを使用して、マイクロニードルが上記皮膚部位内へ繰り返し貫入するように、マイクロニードルシートを上記皮膚部位上に、1分当たり5000回の周波数の振動で5分間適用した。
【0222】
適用後、上記組成物を放置し、上記皮膚部位上に15分間維持した。次いで、その皮膚を切り裂き、O.C.T.(最適切断温度)化合物(サクラファインテックジャパン株式会社)中に入れ、-20℃~-80℃で凍結させた。5~15μmの厚さの皮膚の断面試料を、クリオスタットで調製した。断面試料を顕微鏡で観察し、その写真を撮影し、断面方向に沿ったRed 33の貫入深さを評価した。
【0223】
その上に組成物を適用しなかった皮膚の断面試料もまた、対照として調製し、顕微鏡で観察し、その写真を撮影した。
【0224】
上記写真を図5に示す。
【0225】
図5の「対照」に示す通り、着色処置なしで、Red 33は、皮膚内へ貫入することができなかった。対照的に、図5の「実施例2」に示す通り、着色処置した皮膚部位は、全体の処置領域上で首尾よく赤色で着色され、Red 33の貫入深さは、角質層を通って真皮までに至った(矢印を参照のこと)。これらの結果はまた、実施例2における、永続的な着色効能、及び表皮への均一な着色を明示している。
【符号の説明】
【0226】
1 マイクロニードルシート
2 振動子
図1
図2
図3
図4
図5
【外国語明細書】