(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175136
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】虹彩撮像システム、虹彩撮像方法、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06V 40/60 20220101AFI20241210BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20241210BHJP
G06V 40/18 20220101ALI20241210BHJP
【FI】
G06V40/60
G06T7/00 510D
G06V40/18
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024166558
(22)【出願日】2024-09-25
(62)【分割の表示】P 2023508162の分割
【原出願日】2021-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【弁理士】
【氏名又は名称】江上 達夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(74)【代理人】
【識別番号】100131015
【弁理士】
【氏名又は名称】三輪 浩誉
(72)【発明者】
【氏名】大網 亮磨
(57)【要約】
【課題】明るさに応じて高解像度の虹彩画像を撮像する。
【解決手段】虹彩撮像システムは、生体の虹彩を含む画像を撮像する撮像手段と、画像を撮像する際の明るさを取得する照度取得手段と、画像を撮像する際の明るさに基づいて、適切な撮像距離を決定する実行手段と、前記撮像距離となるように前記生体への立ち位置誘導を行う立ち位置誘導手段とを備える。このような虹彩撮像システムによれば、虹彩の大きさが変動している場合でも適切に虹彩の画像を撮像することが可能である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体の虹彩を含む画像を撮像する撮像手段と、
前記画像を撮像する際の明るさを取得する照度取得手段と、
前記画像を撮像する際の明るさに基づいて、適切な撮像距離を決定する実行手段と、
前記撮像距離となるように前記生体への立ち位置誘導を行う立ち位置誘導手段と
を備えることを特徴とする虹彩撮像システム。
【請求項2】
前記実行手段は、前記画像上の顔の部位の大きさ、部位の位置関係、虹彩の大きさの少なくとも一つから前記生体までの距離を推定する
請求項1に記載の虹彩撮像システム。
【請求項3】
前記実行手段は、距離センサを用いて前記生体までの距離を測定する
請求項1に記載の虹彩撮像システム。
【請求項4】
前記立ち位置誘導手段は、前記生体の画像とともに、前記生体の移動を促すメッセージをディスプレイに表示して前記生体への立ち位置誘導を行う
請求項1から3のいずれか一項に記載の虹彩撮像システム。
【請求項5】
前記立ち位置誘導手段は、前記メッセージを前記ディスプレイに表示するとともに、スピーカにより音声でメッセージをアナウンスする
請求項4に記載の虹彩撮像システム。
【請求項6】
前記立ち位置誘導手段は、前記生体までの距離とともに前記メッセージを表示する
請求項4に記載の虹彩撮像システム。
【請求項7】
前記立ち位置誘導手段は、前記生体と前記撮像手段との位置関係に応じて対応するランプが点灯するインジケータを用いて前記生体への立ち位置誘導を行う
請求項1から3のいずれか一項に記載の虹彩撮像システム。
【請求項8】
前記立ち位置誘導手段は、ディスプレイに前記生体の輪郭を重畳して表示して前記生体への立ち位置誘導を行う
請求項1から3のいずれか1項に記載の虹彩撮像システム。
【請求項9】
生体の虹彩を含む画像を撮像する撮像手段を用いる虹彩撮像方法であって、
前記画像を撮像する際の明るさを取得し、
前記画像を撮像する際の明るさに基づいて、適切な撮像距離を決定し、
前記撮像距離となるように前記生体への立ち位置誘導を行う
ことを特徴とする虹彩撮像方法。
【請求項10】
生体の虹彩を含む画像を撮像する撮像手段を用いる虹彩撮像方法であって、
前記画像を撮像する際の明るさを取得し、
前記画像を撮像する際の明るさに基づいて、適切な撮像距離を決定し、
前記撮像距離となるように前記生体への立ち位置誘導を行う
ようにコンピュータを動作させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、生体の虹彩を撮像する虹彩撮像システム、虹彩撮像方法、及びコンピュータプログラムの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のシステムとして、例えば虹彩認証を行うために生体の虹彩の画像を撮像するものが知られている。例えば特許文献1では、瞳孔サイズに応じてディスプレイの輝度値を調整する技術が開示されている。特許文献2では、虹彩画像を撮像する際に、適切な位置にユーザを誘導する技術が開示されている。特許文献3では、虹彩画像に高解像度化処理を行う技術が開示されている。特許文献4では、固体撮像装置の内部においてフォーカスや露出に関する制御を完結させる技術が開示されている。特許文献5では、個々のアイリス構造によって、画像サイズや焦点を変えることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-073369号公報
【特許文献2】国際公開第2009/016846号
【特許文献3】特開2020-071627号公報
【特許文献4】特開2018-185749号公報
【特許文献5】特表2017-502366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この開示は、例えば上記各引用文献に鑑みてなされたものであり、虹彩の画像を適切に撮像することが可能な虹彩撮像システム、虹彩撮像方法、及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この開示の虹彩撮像システムの一の態様は、生体の虹彩を含む画像を撮像する撮像手段と、前記画像を撮像する際の明るさを取得する照度取得手段と、前記画像を撮像する際の明るさに基づいて、適切な撮像距離を決定する実行手段と、前記撮像距離となるように前記生体への立ち位置誘導を行う立ち位置誘導手段とを備える。
【0006】
この開示の虹彩撮像方法の一の態様は、生体の虹彩を含む画像を撮像する撮像手段を用いる虹彩撮像方法であって、前記画像を撮像する際の明るさを取得し、前記画像を撮像する際の明るさに基づいて、適切な撮像距離を決定し、前記撮像距離となるように前記生体への立ち位置誘導を行う。
【0007】
この開示のコンピュータプログラムの一の態様は、生体の虹彩を含む画像を撮像する撮像手段を用いる虹彩撮像方法であって、前記画像を撮像する際の明るさを取得し、前記画像を撮像する際の明るさに基づいて、適切な撮像距離を決定し、前記撮像距離となるように前記生体への立ち位置誘導を行うようにコンピュータを動作させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る虹彩撮像システムのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図2】第1実施形態に係る虹彩撮像システムの機能的構成を示すブロック図である。
【
図3】瞳孔が小さすぎる例と大きすぎる例とを示す概念図である。
【
図4】第1実施形態に係る虹彩撮像システムの動作の流れを示すフローチャートである。
【
図5】第1実施形態の変形例に係る虹彩撮像システムの機能的構成を示すブロック図である。
【
図6】第1実施形態の変形例に係る虹彩撮像システムの動作の流れを示すフローチャートである。
【
図7】明るさと撮像距離との関係を示すグラフ(その1)である。
【
図8】明るさと撮像距離との関係を示すグラフ(その2)である。
【
図9】明るさと撮像距離との関係を示すグラフ(その3)である。
【
図10】明るさと撮像距離との関係を示すグラフ(その4)である。
【
図11】第3実施形態に係る虹彩撮像システムの機能的構成を示すブロック図である。
【
図12】第3実施形態に係る虹彩撮像システムの動作の流れを示すフローチャートである。
【
図13】第4実施形態に係る虹彩撮像システムの機能的構成を示すブロック図である。
【
図14】第4実施形態に係る虹彩撮像システムの動作の流れを示すフローチャートである。
【
図15】第4実施形態の変形例に係る虹彩撮像システムの機能的構成を示すブロック図である。
【
図16】第5実施形態に係る虹彩撮像システムの機能的構成を示すブロック図である。
【
図17】立ち位置を誘導する際の表示例を示す概念図(その1)である。
【
図18】立ち位置を誘導する際の表示例を示す概念図(その2)である。
【
図19】第5実施形態に係る虹彩撮像システムの動作の流れを示すフローチャートである。
【
図20】第6実施形態に係る虹彩撮像システムの機能的構成を示すブロック図である。
【
図21】変更前及び変更後の合焦位置の一例を示す概念図である。
【
図22】第6実施形態に係る虹彩撮像システムの動作の流れを示すフローチャートである。
【
図23】第7実施形態に係る虹彩撮像システムの機能的構成を示すブロック図である。
【
図24】第7実施形態に係る虹彩撮像システムの動作の流れを示すフローチャートである。
【
図25】第8実施形態に係る虹彩撮像システムの機能的構成を示すブロック図である。
【
図26】第8実施形態に係る虹彩撮像システムの動作の流れを示すフローチャートである。
【
図27】第8実施形態の変形例に係る虹彩撮像システムの機能的構成を示すブロック図である。
【
図28】第8実施形態の変形例に係る虹彩撮像システムによる合焦位置の変更例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、虹彩撮像システム、虹彩撮像方法、及びコンピュータプログラムの実施形態について説明する。
【0010】
<第1実施形態>
第1実施形態に係る虹彩撮像システムについて、
図1から
図6を参照して説明する。
【0011】
(ハードウェア構成)
まず、
図1を参照しながら、第1実施形態に係る虹彩撮像システム10のハードウェア構成について説明する。
図1は、第1実施形態に係る虹彩撮像システムのハードウェア構成を示すブロック図である。
【0012】
図1に示すように、第1実施形態に係る虹彩撮像システム10は、プロセッサ11と、RAM(Random Access Memory)12と、ROM(Read Only Memory)13と、記憶装置14とを備えている。虹彩撮像システム10は更に、入力装置15と、出力装置16とを備えていてもよい。虹彩撮像システム10は更に、カメラ20と、センサ21とを備えていてもよい。プロセッサ11と、RAM12と、ROM13と、記憶装置14と、入力装置15と、出力装置16と、カメラ20と、センサ21とは、データバス17を介して接続されている。
【0013】
プロセッサ11は、コンピュータプログラムを読み込む。例えば、プロセッサ11は、RAM12、ROM13及び記憶装置14のうちの少なくとも一つが記憶しているコンピュータプログラムを読み込むように構成されている。或いは、プロセッサ11は、コンピュータで読み取り可能な記録媒体が記憶しているコンピュータプログラムを、図示しない記録媒体読み取り装置を用いて読み込んでもよい。プロセッサ11は、ネットワークインタフェースを介して、虹彩撮像システム10の外部に配置される不図示の装置からコンピュータプログラムを取得してもよい(つまり、読み込んでもよい)。プロセッサ11は、読み込んだコンピュータプログラムを実行することで、RAM12、記憶装置14、入力装置15及び出力装置16を制御する。本実施形態では特に、プロセッサ11が読み込んだコンピュータプログラムを実行すると、プロセッサ11内には、虹彩の画像を撮像する処理を実行するための機能ブロックが実現される。また、プロセッサ11として、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(field-programmable gate array)、DSP(Demand-Side Platform)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)のうち一つを用いてもよいし、複数を並列で用いてもよい。
【0014】
RAM12は、プロセッサ11が実行するコンピュータプログラムを一時的に記憶する。RAM12は、プロセッサ11がコンピュータプログラムを実行している際にプロセッサ11が一時的に使用するデータを一時的に記憶する。RAM12は、例えば、D-RAM(Dynamic RAM)であってもよい。
【0015】
ROM13は、プロセッサ11が実行するコンピュータプログラムを記憶する。ROM13は、その他に固定的なデータを記憶していてもよい。ROM13は、例えば、P-ROM(Programmable ROM)であってもよい。
【0016】
記憶装置14は、虹彩撮像システム10が長期的に保存するデータを記憶する。記憶装置14は、プロセッサ11の一時記憶装置として動作してもよい。記憶装置14は、例えば、ハードディスク装置、光磁気ディスク装置、SSD(Solid State Drive)及びディスクアレイ装置のうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0017】
入力装置15は、虹彩撮像システム10のユーザからの入力指示を受け取る装置である。入力装置15は、例えば、キーボード、マウス及びタッチパネルのうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0018】
出力装置16は、虹彩撮像システム10に関する情報を外部に対して出力する装置である。例えば、出力装置16は、虹彩撮像システム10に関する情報を表示可能な表示装置(例えば、ディスプレイ)であってもよい。
【0019】
カメラ20は、生体の虹彩を撮像可能なカメラである。カメラ20は、例えば近赤外線カメラとして構成されてよい。カメラ20は、その撮像範囲に生体の顔や目の周辺が含まれるような位置に配置されていればよい。カメラ20は、静止画を撮像するカメラであってもよいし、動画を撮像するカメラであってもよい。
【0020】
センサ21は、カメラ周辺の照度を検出可能なセンサである。センサ21は、検出した照度に関する情報を出力可能に構成されている。センサ21は、照度を直接検出可能なセンサであってもよいし、照度とは異なる情報を検出して、その情報から間接的に照度を検出可能なセンサであってもよい。
【0021】
(機能的構成)
次に、
図2を参照しながら、第1実施形態に係る虹彩撮像システム10の機能的構成について説明する。
図2は、第1実施形態に係る虹彩撮像システムの機能的構成を示すブロック図である。
【0022】
図2に示すように、第1実施形態に係る虹彩撮像システム10は、その機能を実現するための処理ブロックとして、撮像部110と、照度取得部120と、実行部130とを備えて構成されている。撮像部110は、例えば上述したカメラ20(
図1参照)を含んで構成されてよい。照度取得部120は、例えば上述したセンサ21(
図1参照)を含んで構成されてよい。実行部130は、例えば上述したプロセッサ11(
図1参照)において実現されてよい。
【0023】
撮像部110は、生体の虹彩を撮像可能に構成されている。撮像部110は、撮像された生体の虹彩の画像(以下、適宜「虹彩画像」と称する)をシステム外部に出力する機能を有していてよい。撮像部110で撮像された虹彩画像は、例えば虹彩認証に用いられてもよい。
【0024】
照度取得部120は、撮像部110が虹彩画像を撮像する際の明るさ(即ち、照度)を取得可能に構成されている。照度取得部120は、例えば照度センサ等から直接明るさに関する情報を取得してもよいし、照度とは直接関係のない情報から間接的に明るさに関する情報を取得してもよい。照度取得部120は、例えば時刻情報から明るさに関する情報を取得してよい。この場合、照度取得部120は、予め用意された時刻と明るさとの関係を示すマップ等を用いて明るさに関する情報を取得してよい。
【0025】
実行部130は、照度取得部120で取得された明るさに関する情報に基づいて、撮像部110が虹彩画像を撮像する際の生体の虹彩と撮像部110との間の距離(以下、適宜「撮像距離」)を近づける制御を実行可能に構成されている。実行部130は、例えば明るさに基づいて制御を実行するか否かを決定してもよいし、制御における制御量や制御内容を変更するようにしてもよい。実行部130が実行する制御の具体的な内容については、後述する他の実施形態において詳しく説明する。
【0026】
(虹彩の変化)
次に、
図3を参照しながら、環境に応じた虹彩の変化(特に、瞳孔の大きさの変化)について具体的に説明する。
図3は、瞳孔が小さすぎる例と大きすぎる例とを示す概念図である。
【0027】
図3に示すように、生体の瞳孔の大きさは、明るさに応じて変化する。具体的には、明るい環境では、瞳孔が小さくなる。一方、暗い環境では、瞳孔が大きくなる。このように瞳孔の大きさが変化すると、それに伴い虹彩の状態も変化する。よって、瞳孔の大きさの変化は、撮像部110が撮像する虹彩画像に少なからず影響を与える。その結果、虹彩画像が適切な状態で取得できなくなり、意図せぬ不都合が生じてしまう可能性がある。
【0028】
例えば、虹彩画像を虹彩認証に用いる場合、虹彩の状態が変化すると正常な認証動作が行えなくなるおそれがある。具体的には、瞳孔が小さくなりすぎると、瞳孔のすぐ外側に位置する虹彩の模様が収縮し、瞳の円周方向の解像度が低下してしまう。一方、瞳孔が大きくなりすぎると、虹彩全体が瞳の半径方向に圧縮され、半径方向の解像度が低下してしまう。本実施形態に係る虹彩撮像システム10は、上述したように瞳孔の大きさが変化した場合でも、適切な虹彩画像(具体的には、十分な解像度の虹彩画像)を取得することを目的としている。
【0029】
(動作の流れ)
次に、
図4を参照しながら、第1実施形態に係る虹彩撮像システム10の動作の流れについて説明する。
図4は、第1実施形態に係る虹彩撮像システムの動作の流れを示すフローチャートである。
【0030】
図4に示すように、第1実施形態に係る虹彩撮像システム10が動作する際には、まず照度取得部120が、撮像部110周辺の照度を取得する(ステップS101)。照度取得部120は、取得した照度を実行部130に出力する。
【0031】
続いて、実行部130が、照度取得部120が取得した照度に基づいて、撮像距離を近づける制御を実行する(ステップS102)。そして、撮像部110は、実行部130が撮像距離を近づける制御を実行した後に、生体の虹彩画像を撮像する(ステップS103)。よって、虹彩画像は、照度に応じて撮像距離が近づけられた状態で撮像されることになる。
【0032】
なお、実行部130が撮像距離を近づける制御を実行せずともよいと判断した場合(撮像距離を近づけずともよい照度である場合)は、撮像部110は、実行部130による制御が実行されていない状態で虹彩画像を撮像してもよい。
【0033】
(変形例)
次に、
図5及び
図6を参照しながら、第1実施形態の変形例に係る虹彩撮像システム10について説明する。
図5は、第1実施形態の変形例に係る虹彩撮像システムの機能的構成を示すブロック図である。
図5では、
図2で示した構成要素と同様の要素に同一の符号を付している。
図6は、第1実施形態の変形例に係る虹彩撮像システムの動作の流れを示すフローチャートである。
図6では、
図4で示した処理と同様の処理に同一の符号を付している。
【0034】
なお、以下で説明する変形例は、第1実施形態と比べて一部の構成及び動作が異なるのみであり、その他の部分については第1実施形態(
図1から
図4参照)と同一であってよい。このため、以下では、すでに説明した第1実施形態と異なる部分について詳細に説明し、その他の重複する部分については適宜説明を省略するものとする。
【0035】
図5に示すように、第1実施形態の変形例に係る虹彩撮像システム10は、その機能を実現するための処理ブロックとして、撮像部110と、照度取得部120と、実行部130と、虹彩検出部210と、虹彩特徴量抽出部220と、虹彩特徴量照合部230と、虹彩特徴量登録データベース240とを備えて構成されている。即ち、変形例に係る虹彩撮像システム10は、第1実施形態に係る虹彩撮像システム10の構成(
図2参照)に加えて虹彩検出部210と、虹彩特徴量抽出部220と、虹彩特徴量照合部230と、虹彩特徴量登録データベース240とを更に備えて構成されている。なお、虹彩検出部210、虹彩特徴量抽出部220、及び虹彩特徴量照合部230の各々は、例えば上述したプロセッサ11(
図1参照)において実現されてよい。虹彩特徴量登録データベース240は、上述した記憶装置14(
図1参照)を含んで構成されてよい。
【0036】
虹彩検出部210は、虹彩画像から虹彩が存在する領域(言い換えれば、画像中の虹彩の位置)を検出可能に構成されている。虹彩検出部210は、検出した虹彩の位置に関する情報を、虹彩特徴量抽出部220に出力される構成となっている。
【0037】
虹彩特徴量抽出部220は、虹彩検出部210で検出した虹彩が存在する領域から、虹彩の特徴量を抽出可能に構成されている。ここでの特徴量は、虹彩認証(即ち、登録データとの照合処理)に用いられる情報である。虹彩特徴量抽出部220は、複数種類の特徴量を抽出するようにしてもよい。虹彩特徴量抽出部220が抽出した特徴量は、虹彩特徴量照合部230に出力される構成となっている。
【0038】
虹彩特徴量照合部230は、虹彩特徴量抽出部220が抽出した特徴量(以下、適宜「抽出特徴量」と称する)と、後述する虹彩特徴量登録データベース240に登録されている特徴量(以下、適宜「登録特徴量」と称する)とを照合して、虹彩に関する照合結果を出力可能に構成されている。虹彩特徴量照合部230は、例えば抽出特徴量と、登録特徴量との一致度に基づいて照合結果を出力する。例えば、虹彩特徴量照合部230は、抽出特徴量と登録特徴量との一致度が所定閾値以上である場合には、照合OKという結果を出力し、所定値未満である場合には照合NGという結果を出力してよい。
【0039】
虹彩特徴量登録データベース240は、虹彩特徴量照合部230で照合に用いる登録特徴量を蓄積可能に構成されている。登録特徴量は、事前に登録されたデータであってもよい。虹彩特徴量登録データベース240に蓄積されている登録特徴量は、虹彩特徴量照合部230によって適宜読み出し可能に構成されている。
【0040】
図6に示すように、第1実施形態の変形例に係る虹彩撮像システム10が動作する際には、まず照度取得部120が、撮像部110周辺の照度を取得する(ステップS101)。照度取得部120は、取得した照度を実行部130に出力する。
【0041】
続いて、実行部130が、照度取得部120が取得した照度に基づいて、撮像距離を近づける制御を実行する(ステップS102)。そして、撮像部110は、実行部130が撮像距離を近づける制御を実行した後に、生体の虹彩画像を撮像する(ステップS103)。
【0042】
続いて、虹彩検出部210が、虹彩画像から虹彩が存在する領域を検出する(ステップS104)。そして、虹彩特徴量抽出部220が、虹彩が存在する領域から虹彩の特徴量を抽出する(ステップS105)。
【0043】
続いて、虹彩特徴量照合部230が、虹彩特徴量抽出部220で抽出した抽出特徴量と、虹彩特徴量登録データベース240に記憶された登録特徴量とを照合する(ステップS106)。そして、虹彩特徴量照合部230は、照合結果を出力する(ステップS107)。
【0044】
(技術的効果)
次に、第1実施形態に係る虹彩撮像システム10によって得られる技術的効果について説明する。
【0045】
図1から
図6で説明したように、第1実施形態に係る虹彩撮像システム10では、虹彩画像を撮像する際の照度(明るさ)に基づいて、撮像距離(即ち、生体の虹彩と、撮像部110との間の距離)を近づける制御が実行される。撮像距離が近づくと、より近くで虹彩が撮像されることになる。よって、撮像距離を近づける前と比較して、虹彩画像の解像度は高くなる。従って、第1実施形態に係る虹彩撮像システム10によれば、明るさに応じて変動する瞳孔の大きさを考慮して、高解像度の虹彩画像を撮像することが可能となる。特に、変形例で説明した虹彩認証(即ち、虹彩の特徴量の照合)を実行する構成では、特徴量を正確に抽出するために高解像度の虹彩画像が要求される場合が多い。よって、上述した技術的効果は、虹彩認証を行うような場合に顕著に発揮される。
【0046】
<第2実施形態>
第2実施形態に係る虹彩撮像システム10について、
図7から
図10を参照して説明する。なお、第2実施形態は、上述した第1実施形態で実行される制御(即ち、実行部130が実行する制御の具体例)を説明するものであり、システムの構成や動作の流れ等については、第1実施形態(
図1から
図6参照)と同一であってよい。このため、以下では、すでに説明した第1実施形態と重複する部分について適宜説明を省略するものとする。
【0047】
(撮像距離の設定方法)
まず、
図7から
図10を参照しながら、第2実施形態に係る虹彩撮像システム10における撮像距離の設定方法について具体的に説明する。
図7は、明るさと撮像距離との関係を示すグラフ(その1)である。
図8は、明るさと撮像距離との関係を示すグラフ(その2)である。
図9は、明るさと撮像距離との関係を示すグラフ(その3)である。
図10は、明るさと撮像距離との関係を示すグラフ(その4)である。
【0048】
図7に示すように、実行部130は、虹彩画像を撮像する際の環境が明るくなるほど、撮像距離(即ち、生体の虹彩と撮像部110との間の距離)が近づくように制御を実行してもよい。なお、実行部130は、所定の範囲内で撮像距離を変更するように制御を行ってもよい。例えば、
図7に示す例では、撮像距離がDmax~Dminの範囲内で制御されている。
【0049】
図8に示すように、実行部130は、虹彩画像を撮像する際の明るさが所定の閾値を超えた段階で撮像距離を変更するように制御を行ってもよい。例えば、
図8に示す例では、明るさが所定の閾値未満である場合には、撮像距離がDmaxとなるように、明るさが所定の閾値以上である場合には、撮像距離がDminとなるように制御されている。
【0050】
図9に示すように、実行部130は、2つ以上の閾値を用いて、撮像距離を変更するように制御を行ってもよい。例えば、
図9に示す例では、明るさが閾値A未満である場合には、撮像距離がDmaxとなるように、明るさが閾値A以上、B未満である場合には撮像距離がD1となるように、明るさが閾値B以上である場合には、撮像距離がDminとなるように制御されている。
【0051】
図10に示すように、実行部130は、虹彩画像を撮像する際の環境が明るくなった場合だけでなく、暗くなった場合にも撮像距離を近づける制御を行ってもよい。すでに説明したように、瞳孔の大きさは、明るい場合に小さくなりすぎるだけでなく、暗い場合に大きくなりすぎることもある(
図3参照)。よって、虹彩画像を撮像する際の環境が暗く、瞳孔の大きさが大きくなりすぎることが想定される状況においては、同様に撮像距離を近づける制御を行ってよい。
【0052】
なお、ここまでは、目標とする一つの撮像距離に近づける制御について述べたが、目標とする距離はある程度の幅を持っていてもよい。例えば、上述の目標とする撮像距離の前後一定の範囲内の距離に収まるように制御を行ってもよい。
【0053】
(技術的効果)
次に、第2実施形態に係る虹彩撮像システム10によって得られる技術的効果について説明する。
【0054】
図7から
図10で説明したように、第2実施形態に係る虹彩撮像システム10では、画像を撮像する際の環境が明るいほど、撮像距離が近づけられる。このようにすれば、明るさに応じた瞳孔の大きさの変動を考慮して、高解像度の虹彩画像を撮像することが可能となる。同様に、暗い場合にも同様の制御を行えば、暗さに応じた瞳孔の大きさの変動を考慮して、高解像度の虹彩画像を撮像することが可能となる。
【0055】
<第3実施形態>
第3実施形態に係る虹彩撮像システム10について、
図11及び
図12を参照して説明する。なお、第3実施形態は、上述した第1及び第2実施形態と比べて一部の構成及び動作が異なるのみで、その他の部分については第1及び第2実施形態と同一であってよい。このため、以下では、すでに説明した実施形態と重複する部分について適宜説明を省略するものとする。
【0056】
(機能的構成)
まず、
図11を参照しながら、第3実施形態に係る虹彩撮像システム10の機能的構成について説明する。
図11は、第3実施形態に係る虹彩撮像システムの機能的構成を示すブロック図である。なお、
図11では、
図2で示した構成要素と同様の要素に同一の符号を付している。
【0057】
図11に示すように、第3実施形態に係る虹彩撮像システム10は、その機能を実現するための処理ブロックとして、撮像部110と、照度取得部120と、実行部130とを備えて構成されている。そして特に、第3実施形態に係る虹彩撮像システム10は、実行部130が、瞳孔径推定部131を備えている。
【0058】
瞳孔径推定部131は、画像を撮像する際の明るさから生体の瞳孔径を推定可能に構成されている。生体の瞳孔の大きさは、すでに説明したように、環境の明るさに応じて変化する(
図3参照)。よって、明るさに関する情報を用いれば、その際の生体の瞳孔径を推定することが可能である。なお、瞳孔径推定部131は、明るさに関する情報に加えて、時刻情報等を用いて瞳孔径を推定可能に構成されていてもよい。瞳孔径推定部131によって推定された瞳孔径の情報は、実行部130が実行する制御に用いられる。即ち、第3実施形態では、明るさから推定された瞳孔径に基づいて、撮像距離を近づける制御が実行される。例えば、明るい場合には、瞳孔の円周の画素数がある一定値以上となり、かつ、虹彩全体が適切な大きさで撮像される撮像距離を求めておき、その撮像距離に近づけるように制御する。一方、暗い場合には、虹彩と瞳孔の間の半径方向の画素数がある一定値以上となり、かつ、虹彩全体が適切な大きさで撮像される撮像距離を求めておき、その撮像距離に近づけるように制御する。ここで、虹彩は大きく撮像した方が解像度が上がり、虹彩の模様が鮮明になる一方、虹彩の位置が少しでもずれると画面外にはみ出てしまい、全体が撮像できない可能性が生じる。また、近づきすぎると合焦可能は範囲を超える場合もあり得る。このため、これらのトレードオフを考慮して適切な虹彩の大きさを定め、撮像距離を決定する。
【0059】
(動作の流れ)
次に、
図12を参照しながら、第3実施形態に係る虹彩撮像システム10の動作の流れについて説明する。
図12は、第3実施形態に係る虹彩撮像システムの動作の流れを示すフローチャートである。なお、
図12では、
図4で示した処理と同様の処理に同一の符号を付している。
【0060】
図12に示すように、第3実施形態に係る虹彩撮像システム10が動作する際には、まず照度取得部120が、撮像部110周辺の照度を取得する(ステップS101)。照度取得部120は、取得した照度を実行部130に出力する。
【0061】
続いて、実行部130における瞳孔径推定部131が、照度取得部120が取得した照度から生体の瞳孔径を推定する(ステップS301)。そして、実行部130は、瞳孔径推定部131で推定した瞳孔径に基づいて、撮像距離を近づける制御を実行する(ステップS302)。
【0062】
その後、撮像部110は、実行部130が撮像距離を近づける制御を実行した後に、生体の虹彩画像を撮像する(ステップS103)。なお、実行部130が撮像距離を近づける制御を実行せずともよいと判断した場合(撮像距離を近づけずともよい瞳孔径である場合)は、撮像部110は、実行部130による制御が実行されていない状態で虹彩画像を撮像してもよい。
【0063】
(技術的効果)
次に、第3実施形態に係る虹彩撮像システム10によって得られる技術的効果について説明する。
【0064】
図11及び
図12で説明したように、第3実施形態に係る虹彩撮像システム10では、画像を撮像する際の明るさから瞳孔径が推定され、その瞳孔径に基づいて撮像距離を近づけるための制御が実行される。このようにすれば、明るさに応じた瞳孔の大きさの変動をより具体的に考慮して、高解像度の虹彩画像を撮像することが可能となる。
【0065】
<第4実施形態>
第4実施形態に係る虹彩撮像システム10について、
図13から
図15を参照して説明する。なお、第4実施形態は、上述した第3実施形態と比べて一部の構成及び動作が異なるのみで、その他の部分については第1から第3実施形態と同一であってよい。このため、以下では、すでに説明した実施形態と重複する部分については適宜説明を省略するものとする。
【0066】
(機能的構成)
まず、
図13を参照しながら、第4実施形態に係る虹彩撮像システム10の機能的構成について説明する。
図13は、第4実施形態に係る虹彩撮像システムの機能的構成を示すブロック図である。なお、
図13では、
図11で示した構成要素と同様の要素に同一の符号を付している。
【0067】
図13に示すように、第4実施形態に係る虹彩撮像システム10は、その機能を実現するための処理ブロックとして、撮像部110と、照度取得部120と、瞳孔径推定部131を有する実行部130と、瞳孔径データベース140とを備えて構成されている。即ち、第4実施形態に係る虹彩撮像システム10は、第3実施形態の構成(
図11参照)に加えて、瞳孔径データベース140を更に備えている。瞳孔径データベース140は、例えば上述した記憶装置14(
図1参照)を含んで構成されてよい。
【0068】
瞳孔径データベース140は、虹彩画像を撮像する際の明るさと、生体の瞳孔径との関係を示す情報を蓄積可能に構成されている。瞳孔径データベース140は、例えば明るさと瞳孔径との関係をマップとして記憶しておいてもよいし、明るさから瞳孔径を算出するための数式等を記憶しておいてもよい。瞳孔径データベース140に蓄積されている情報は、予め用意されている(即ち、事前の実験やシミュレーション等によって蓄積されている)ものであってよいが、蓄積された情報を適宜更新可能に構成されていてもよい。瞳孔径データベース140は、明るさ及び時刻情報と、瞳孔径との関係を蓄積するようにしてもよい。
【0069】
(動作の流れ)
次に、
図14を参照しながら、第4実施形態に係る虹彩撮像システム10の動作の流れについて説明する。
図14は、第4実施形態に係る虹彩撮像システムの動作の流れを示すフローチャートである。なお、
図14では、
図12に示した処理と同様の処理に同一の符号を付している。
【0070】
図14に示すように、第4実施形態に係る虹彩撮像システム10が動作する際には、まず照度取得部120が、撮像部110周辺の照度を取得する(ステップS101)。照度取得部120は、取得した照度を実行部130に出力する。
【0071】
続いて、実行部130における瞳孔径推定部131が、照度取得部120が取得した照度と、瞳孔径データベース140に蓄積された情報とを用いて、生体の瞳孔径を推定する(ステップS401)。そして、実行部130は、瞳孔径推定部131で推定した瞳孔径に基づいて、撮像距離を近づける制御を実行する(ステップS302)。
【0072】
その後、撮像部110は、実行部130が撮像距離を近づける制御を実行した後に、生体の虹彩画像を撮像する(ステップS103)。
【0073】
(データ蓄積時の構成例)
次に、
図15を参照しながら、瞳孔径データベース140にデータを蓄積する際の構成例について説明する。
図15は、第4実施形態の変形例に係る虹彩撮像システムの機能的構成を示すブロック図である。なお、
図15では、
図5及び
図13で示した構成要素と同様の要素に同一の符号を付している。
【0074】
図15に示すように、第4実施形態の変形例に係る虹彩撮像システム10は、その機能を実現するための処理ブロックとして、撮像部110と、照度取得部120と、瞳孔径推定部131を有する実行部130と、瞳孔径データベース140と、虹彩検出部210と、虹彩特徴量抽出部220と、虹彩特徴量照合部230と、虹彩特徴量登録データベース240と、瞳孔径算出部250とを備えて構成されている。即ち、第4実施形態の変形例に係る虹彩撮像システム10は、第4実施形態の構成(
図13参照)に加えて、虹彩検出部210と、虹彩特徴量抽出部220と、虹彩特徴量照合部230と、虹彩特徴量登録データベース240と、瞳孔径算出部250とを更に備えている。なお、虹彩検出部210、虹彩特徴量抽出部220、虹彩特徴量照合部230、及び虹彩特徴量登録データベース240の各々については、第1実施形態の変形例(
図5参照)で説明したものと同様であってよい。また、瞳孔径算出部250は、例えば上述したプロセッサ11(
図1参照)において実現されてよい。
【0075】
瞳孔径算出部250は、虹彩検出部210で検出された瞳孔が存在する領域から、瞳孔径を算出可能に構成されている。なお、画像から瞳孔径を算出する具体的な方法については、既存の技術を適宜採用することができるため、ここでの詳細な説明は省略する。瞳孔径算出部250は、算出した瞳孔径に関する情報を、瞳孔径データベース140に適宜蓄積可能に構成されている。よって、瞳孔径データベース140には、瞳孔径算出部250で瞳孔径が算出される度に(言い換えれば、撮像部110で虹彩画像が撮像される度に)、新たな情報が蓄積されていく。このように、瞳孔径データベース140は、撮像部110の撮像結果を用いて、瞳孔径に関する新たな情報を蓄積するようにしてもよい。ただし、瞳孔径データベース140は、瞳孔径算出部250で算出された瞳孔径以外の情報を蓄積するようにしてもよい。そして、ある程度情報が蓄積された時点で、新たに蓄積された情報に対して統計処理を行って、明るさと瞳孔径の関係を表すマップや数式を更新してもよい。例えば、照度ごとに瞳孔径の統計量(平均値や中央値、最頻値などの代表値)を算出し、照度から瞳孔径を求めるマップを更新してもよい。この際、新たに追加した値のみで求めるのではなく、すでに蓄積されている情報も加味して対応関係を算出してもよい。また、時刻情報と対応付けて瞳孔径が蓄積されている場合には、時間帯ごとに同様の統計処理を行ってもよい。この場合は、明るさと時間帯の関係を利用して、明るさの代わりに、時間帯の情報から瞳孔径を求めるマップや数式を求めるようにしてもよい。
【0076】
(技術的効果)
次に、第4実施形態に係る虹彩撮像システム10によって得られる技術的効果について説明する。
【0077】
図13から
図15で説明したように、第4実施形態に係る虹彩撮像システム10では、瞳孔径データベース140に蓄積された情報を用いて瞳孔径が推定される。このようにすれば、蓄積された情報を用いて精度よく瞳孔径を推定することができるため、より適切に撮像距離を近づける制御を実行することが可能である。
【0078】
<第5実施形態>
第5実施形態に係る虹彩撮像システム10について、
図16から
図19を参照して説明する。なお、第5実施形態は、上述した第1から第4実施形態と比べて一部の構成及び動作が異なるのみで、その他の部分については第1から第4実施形態と同一であってよい。このため、以下では、すでに説明した実施形態と重複する部分については適宜説明を省略するものとする。
(機能的構成)
まず、
図16を参照しながら、第5実施形態に係る虹彩撮像システム10の機能的構成について説明する。
図16は、第5実施形態に係る虹彩撮像システムの機能的構成を示すブロック図である。なお、
図16では、
図2で示した構成要素と同様の要素に同一の符号を付している。
【0079】
図16に示すように、第5実施形態に係る虹彩撮像システム10は、その機能を実現するための処理ブロックとして、撮像部110と、照度取得部120と、実行部130とを備えて構成されている。そして特に、第5実施形態に係る虹彩撮像システム10は、実行部130が、立ち位置誘導部132を備えている。
【0080】
立ち位置誘導部132は、生体(即ち、虹彩画像を撮像される対象者)に対して移動を促す通知を行うことが可能に構成されている。立ち位置誘導部132は、対象者に対して撮像部110に近づくことを促す通知を行えばよい。なお、立ち位置誘導部132は、例えば出力装置16(
図1参照)を介して、対象者に通知を行うようにしてもよい。具体的には、立ち位置誘導部132は、ディスプレイに対象者の移動を促すような画像やメッセージを表示するようにしてもよい。或いは、立ち位置誘導部132は、マイクから対象者の移動を促すような音声を出力するようにしてもよい。立ち位置誘導部132による誘導方法の具体例については、以下でより詳しく説明する。
【0081】
(誘導する際の表示例)
次に、
図17及び
図18を参照しながら、上述した立ち位置誘導部132によって立ち位置を誘導する際の表示例について具体的に説明する。
図17は、立ち位置を誘導する際の表示例を示す概念図(その1)である。
図18は、立ち位置を誘導する際の表示例を示す概念図(その2)である。
【0082】
図17に示すように、立ち位置誘導部132は、対象者の画像と共に、対象者の移動を促すメッセージを表示するようにしてもよい。
図17に示す例では、「もう少しカメラに近づいてください」というメッセージを表示しているが、具体的にどれだけ近づけばよいのかを表示してもよい。例えば、「あと10cm近づいてください」のように具体的な移動量を表示するようにしてもよい。或いは、ディスプレイに対象者の目安位置を示す枠を重畳表示し、「枠内に収まるように移動してください」等のメッセージを表示してもよい。また、表示するメッセージの内容は、対象者の移動に伴い変化するようにしてもよい。例えば、対象者がちょうどよい位置まで近づいた場合には、「その場所でOKです」等のメッセージを表示してもよい。また、ユーザが近づきすぎてしまった場合には、「近づきすぎです。もう少し離れてください」等のメッセージを表示してもよい。また、さらにスピーカを接続して、メッセージを表示すると同時に、音声でメッセージをアナウンスしてもよい。あるいは、メッセージは表示せずに、音声によるアナウンスだけをするようにしてもよい。なお、対象者までの距離は、画像上の顔の部位の大きさや部位の位置関係、あるいは虹彩の大きさから推定してもよいし、別途距離センサ等を用いて測定するようにしてもよい。そして、得られた距離も用いて、上述の誘導メッセージを変更してもよい。例えば、合焦可能な範囲の中で、適切な撮像距離を求め、その距離に近づくように制御してもよい。
【0083】
図18に示すように、立ち位置誘導部132は、インジゲータを用いて対象者の移動を促してもよい。インジゲータは、例えば赤、橙、黄、緑のランプを備えており、対象者と撮像部110との位置関係に応じて、対応するランプが点灯するように構成されている。具体的には、対象者が撮像部110と近すぎる場合や遠すぎる場合には、赤いランプが点灯する。そして、対象者が撮像部110に近づいていくと、橙、黄の順で点灯するランプが変化していき、ちょうどよい近さになった場合に緑のランプが点灯する。なお、インジゲータは、ランプの色ではなく、ランプの明滅パターンによって立ち位置を誘導するような構成でもよい。例えば、立ち位置が離れている場合は、明滅する周期が早くなり、立ち位置が適切な位置に近づくと、明滅する周期が遅くなり、立ち位置が適切な位置となると明滅が停止するようにしてもよい。上記のようなインジゲータは、例えばLEDランプを用いて構成されてもよいし、ディスプレイ等による画像表示によって実現されてもよい。
【0084】
上述したインジゲータに代えて、ディスプレイに対象者の輪郭を重畳して表示し、対象者がその輪郭内にちょうど収まるように誘導を行ってもよい。この場合、重畳表示する輪郭は、虹彩画像を撮像する際の明るさ、又は現在の対象者の瞳孔径に応じて大きさが変化するものであってよい。より具体的には、撮像環境が非常に明るい場合や非常に暗い場合には、対象者を大きく近づけるために大きめの輪郭を表示する一方で、少しだけ明るい場合や少しだけ暗い場合には、対象者を少しだけ近づけるために、やや大きめの輪郭を表示するようにしてもよい。同様に、対象者の瞳孔径が適切な値から大きく外れている場合には、対象者を大きく近づけるために大きめの輪郭を表示する一方で、少しだけ外れている場合には、対象者を少しだけ近づけるために、やや大きめの輪郭を表示するようにしてもよい。
【0085】
(動作の流れ)
次に、
図19を参照しながら、第5実施形態に係る虹彩撮像システム10の動作の流れについて説明する。
図19は、第5実施形態に係る虹彩撮像システムの動作の流れを示すフローチャートである。なお、
図19では、
図4に示した処理と同様の処理に同一の符号を付している。
【0086】
図19に示すように、第5実施形態に係る虹彩撮像システム10が動作する際には、まず照度取得部120が、撮像部110周辺の照度を取得する(ステップS101)。照度取得部120は、取得した照度を実行部130に出力する。
【0087】
続いて、実行部130が、照度取得部120が取得した照度に基づいて、適切な撮像距離を決定する(ステップS501)。そして、立ち位置誘導部132は、決定した撮像距離となるように、対象者への立ち位置誘導を行う(ステップS502)。
【0088】
その後、撮像部110は、立ち位置誘導部132によって対象者が適切な位置に移動したことを確認して、生体の虹彩画像を撮像する(ステップS103)。なお、立ち位置誘導を行ったにもかかわらず、対象者が適切な位置に移動しない場合には、撮像処理を中止して、システム管理者等への通知を行ってもよい。
【0089】
(技術的効果)
次に、第5実施形態に係る虹彩撮像システム10によって得られる技術的効果について説明する。
【0090】
図16から
図19で説明したように、第5実施形態に係る虹彩撮像システム10では、撮像距離を近づけるために、対象者の立ち位置を誘導する制御が実行される。このようにすれば、対象者の立ち位置を誘導することで、明るさに応じた適切な撮像距離を実現することが可能となる。第5実施形態の構成は、例えば対象者が撮像部110の前で立ち止まって撮像するような場合に特に有効である。
【0091】
<第6実施形態>
第6実施形態に係る虹彩撮像システム10について、
図20から
図22を参照して説明する。なお、第6実施形態は、上述した第1から第5実施形態と比べて一部の構成及び動作が異なるのみで、その他の部分については第1から第5実施形態と同一であってよい。このため、以下では、すでに説明した実施形態と重複する部分については適宜説明を省略するものとする。
【0092】
(機能的構成)
まず、
図20を参照しながら、第6実施形態に係る虹彩撮像システム10の機能的構成について説明する。
図20は、第6実施形態に係る虹彩撮像システムの機能的構成を示すブロック図である。なお、
図20では、
図2で示した構成要素と同様の要素に同一の符号を付している。
【0093】
図20に示すように、第6実施形態に係る虹彩撮像システム10は、その機能を実現するための処理ブロックとして、撮像部110と、照度取得部120と、実行部130とを備えて構成されている。そして特に、第6実施形態に係る虹彩撮像システム10は、実行部130が、合焦位置変更部133を備えている。
【0094】
合焦位置変更部133は、撮像部110の合焦位置を変更可能に構成されている。合焦位置変更部133は、撮像部110の合焦位置を、撮像部110自身に近づけるように変更する。合焦位置変更部133は、撮像部110の合焦位置をどの程度近づけるかを調整可能に構成されてよい。合焦位置変更部133は、撮像部110の合焦位置が複数設定されている場合、その少なくとも1つを変更可能に構成されていればよい。合焦位置変更部133による合焦位置の具体的な変更方法については、以下でより詳しく説明する。
【0095】
(合焦位置の変更例)
次に、
図21を参照しながら、上述した合焦位置変更部133による撮像部110の合焦位置の変更例について具体的に説明する。
図21は、変更前及び変更後の合焦位置の一例を示す概念図である。
【0096】
図21に示すように、撮像部110に1回目、2回目、3回目の合焦位置が設定されているとする。この場合、合焦位置変更部133は、1回目、2回目、3回目の合焦位置の各々を、撮像距離が小さくなる側に変更する。合焦位置変更部133は、画像を撮像する際の環境が明るいほど、撮像距離が小さくなるように合焦位置を変更してよい。合焦位置変更部133は、明るさに基づいて定まる撮影範囲に収まるように合焦位置を変更してもよい。なお、
図21に示す例では、1回目、2回目、3回目の合焦位置をまとめて同じ量だけ変更しているが、複数の合焦位置を、それぞれ独立して変更するようにしてもよい。
【0097】
(動作の流れ)
次に、
図22を参照しながら、第6実施形態に係る虹彩撮像システム10の動作の流れについて説明する。
図22は、第6実施形態に係る虹彩撮像システムの動作の流れを示すフローチャートである。なお、
図22では、
図4に示した処理と同様の処理に同一の符号を付している。
【0098】
図22に示すように、第6実施形態に係る虹彩撮像システム10が動作する際には、まず照度取得部120が、撮像部110周辺の照度を取得する(ステップS101)。照度取得部120は、取得した照度を実行部130に出力する。
【0099】
続いて、実行部130が、照度取得部120が取得した照度に基づいて、撮影範囲を決定する(ステップS601)。そして、合焦位置変更部133は、決定した撮像範囲に収まるように、撮像部110の合焦位置を変更する(ステップS602)。
【0100】
その後、撮像部110は、合焦位置変更部133で変更された合焦位置で、生体の虹彩画像を撮像する(ステップS103)。なお、合焦位置変更部113は、合焦位置の変更に加えて又は代えて、撮像部110の倍率を変更するようにしてもよい。
【0101】
(技術的効果)
次に、第6実施形態に係る虹彩撮像システム10によって得られる技術的効果について説明する。
【0102】
図20から
図22で説明したように、第6実施形態に係る虹彩撮像システム10では、撮像距離を近づけるために、撮像部110の合焦位置を変更する制御が実行される。このようすれば、撮像部110の合焦地点を変更することで撮像距離が変化し、明るさに応じた適切な撮像距離を実現することが可能となる。第6実施形態の構成は、例えば対象者が撮像部110の撮像範囲内を移動しながら複数回撮像するような場合に特に有効である。すなわち、対象者がカメラに近づく方向に移動する場合、その移動に伴って合焦位置をずらしながら、複数回撮像する場合に有効である。
【0103】
<第7実施形態>
第7実施形態に係る虹彩撮像システム10について、
図23及び
図24を参照して説明する。なお、第7実施形態は、上述した第1から第6実施形態と比べて一部の構成及び動作が異なるのみで、その他の部分については第1から第6実施形態と同一であってよい。このため、以下では、すでに説明した実施形態と重複する部分については適宜説明を省略するものとする。
【0104】
(機能的構成)
まず、
図23を参照しながら、第7実施形態に係る虹彩撮像システム10の機能的構成について説明する。
図23は、第7実施形態に係る虹彩撮像システムの機能的構成を示すブロック図である。なお、
図23では、
図2で示した構成要素と同様の要素に同一の符号を付している。
【0105】
図23に示すように、第7実施形態に係る虹彩撮像システム10は、その機能を実現するための処理ブロックとして、撮像部110と、照度取得部120と、実行部130と、高解像度化判定部150と、高解像度化実行部160とを備えて構成されている。即ち、第7実施形態に係る虹彩撮像システム10は、第1実施形態の構成(
図2参照)に加えて、高解像度化判定部150、及び高解像度化実行部160の各々は、例えば上述したプロセッサ11(
図1参照)において実現されてよい。
【0106】
高解像度化判定部150は、照度取得部120で取得される照度に基づいて、高解像度化処理を実行するか否かを判定可能に構成されている。高解像度化判定部150は、照度高いことに起因して虹彩画像の円周方向の解像度が低くなってしまうような場合に、高解像度化処理を実行すると判定する。或いは、高解像度化判定部150は、照度が低いことに起因して虹彩画像の半径方向の解像度が低くなってしまうような場合に、高解像度化処理を実行すると判定してもよい。高解像度判定部150は、例えば照度に対して設定された閾値を記憶しており、取得された照度が閾値以上である場合に高解像度化処理を実行すると判定し、取得された照度が閾値未満である場合に高解像度化処理を実行しないと判定する。
【0107】
高解像度化実行部160は、高解像度化判定部150が高解像度化処理を実行すると判定した場合に、撮像部110が撮像した画像を用いて高解像度化処理を実行する。高解像度化実行部160は、1枚の虹彩画像を用いて高解像度化処理を実行してもよいし、複数枚の虹彩画像を用いて高解像度化処理を実行してもよい。高解像度化実行部160は、瞳孔の収縮度合いを考慮した高解像度化処理を実行してもよい。高解像度化実行部160は、例えば既存の超解像技術を利用した高解像度化処理を実行してもよい。また、高解像度化実行部160は、拡大や鮮鋭化等の処理を実行してもよいし、深層学習に基づく超解像手法を用いてもよい。ただし、高解像度化実行部160が実行する高解像度化処理については、その手法が特に限定されるものではない。
【0108】
(動作の流れ)
次に、
図24を参照しながら、第7実施形態に係る虹彩撮像システム10の動作の流れについて説明する。
図24は、第7実施形態に係る虹彩撮像システムの動作の流れを示すフローチャートである。なお、
図24では、
図4に示した処理と同様の処理に同一の符号を付している。
【0109】
図24に示すように、第7実施形態に係る虹彩撮像システム10が動作する際には、まず照度取得部120が、撮像部110周辺の照度を取得する(ステップS101)。照度取得部120は、取得した照度を実行部130に出力する。
【0110】
続いて、実行部130が、照度取得部120が取得した照度に基づいて、撮像距離を近づける制御を実行する(ステップS102)。そして、撮像部110は、実行部130が撮像距離を近づける制御を実行した後に、生体の虹彩画像を撮像する(ステップS103)。
【0111】
続いて、高解像度化判定部150が、照度取得部120が取得した照度に基づいて、高解像度化処理を実行するか否かを判定する(ステップS701)。高解像度化処理を実行すると判定した場合(ステップS701:YES)、高解像度化実行部160が撮像部110で撮像した画像を用いて高解像度化処理を実行する(ステップS702)。一方、高解像度化処理を実行しないと判定した場合(ステップS701:NO)、高解像度化実行部160は高解像度化処理を実行しない(即ち、ステップS702の処理は省略される)。
【0112】
(技術的効果)
次に、第7実施形態に係る虹彩撮像システム10によって得られる技術的効果について説明する。
【0113】
図23及び
図24で説明したように、第7実施形態に係る虹彩撮像システム10では、撮像部110で撮像した虹彩画像に対して高解像度化する処理が実行される。このようすれば、高解像度化処理によって虹彩画像の解像度が高められるため、明るさによる解像度の低下を抑制して、適切な虹彩画像を取得することが可能である。
【0114】
なお、上述した例では、明るさに応じて撮像距離を変更する制御に加えて、高解像度化の処理を実行する構成について説明したが、撮像距離を変更する制御を行わずに、高解像度化の処理を実行するようにしてもよい。即ち、虹彩画像を撮像する際の明るさに応じて、高解像度化の処理のみを実行するようにしてもよい。このようにする場合であっても、上述した技術的効果は相応に発揮される。
【0115】
<第8実施形態>
第8実施形態に係る虹彩撮像システム10について、
図25から
図28を参照して説明する。なお、第8実施形態に係る推定システム10は、上述した第1から第7実施形態と比べて一部の構成及び動作が異なるのみで、その他の部分については第1から第7実施形態と同一であってよい。このため、以下では、すでに説明した実施形態と重複する部分については適宜説明を省略するものとする。
【0116】
(機能的構成)
まず、
図25を参照しながら、第8実施形態に係る虹彩撮像システム10の機能的構成について説明する。
図25は、第8実施形態に係る虹彩撮像システムの機能的構成を示すブロック図である。なお、
図25では、
図2で示した構成要素と同様の要素に同一の符号を付している。
【0117】
図25に示すように、第8実施形態に係る虹彩撮像システム10は、その機能を実現するための処理ブロックとして、撮像部110と、瞳孔径取得部310と、実行部130とを備えて構成されている。即ち、第8実施形態に係る虹彩撮像システム10は、第1実施形態の構成(
図2参照)の照度取得部120に代えて、瞳孔径取得部310を備えている。瞳孔径取得部310は、例えば上述したプロセッサ11(
図1参照)において実現されてよい。
【0118】
瞳孔径取得部310は、生体の瞳孔径に関する情報を取得可能に構成されている。瞳孔径取得部310は、例えば生体の瞳孔を撮像した画像から瞳孔径に関する情報を取得してよい。この場合、瞳孔径取得部310は、撮像部110で撮像した画像から瞳孔径を取得してもよいし、他の撮像部110で撮像した画像から瞳孔径を取得してもよい。なお、瞳孔径を取得するための画像は、ピントが合った画像でなくてもよい。よって、撮像部110の合焦位置とは異なる地点、時刻で撮像された画像を用いて瞳孔径を取得するようにしてもよい。なお、画像から瞳孔径を取得する具体的な手法については、既存の技術を適宜採用できるため、ここでの詳しい説明は省略するものとする。
【0119】
(動作の流れ)
次に、
図26を参照しながら、第8実施形態に係る虹彩撮像システム10の動作の流れについて説明する。
図26は、第8実施形態に係る虹彩撮像システムの動作の流れを示すフローチャートである。なお、
図26では、
図4に示した処理と同様の処理に同一の符号を付している。
【0120】
図26に示すように、第8実施形態に係る虹彩撮像システム10が動作する際には
、まず瞳孔径取得部310が、生体の瞳孔径に関する情報を取得する(ステップS801)。瞳孔径取得部310は、取得した瞳孔径を実行部130に出力する。
【0121】
続いて、実行部130が、瞳孔径取得部310が取得した瞳孔径に基づいて、撮像距離を近づける制御を実行する(ステップS802)。実行部130は、例えば瞳孔径が小さくなりすぎている場合には、瞳孔径が小さいほど撮像距離が近くなるような制御を行ってよい。或いは、実行部130は、例えば瞳孔径が虹彩径に比して大きくなりすぎている場合には、瞳孔径が大きいほど撮像距離が近くなるような制御を行ってよい。また、実行部130は、瞳孔径が所定の閾値を超えている場合にのみ、撮像距離を近づける制御を行うようにしてもよい。
【0122】
続いて、撮像部110は、実行部130が撮像距離を近づける制御を実行した後に、生体の虹彩画像を撮像する(ステップS103)。よって、虹彩画像は、瞳孔径に応じて撮像距離が近づけられた状態で撮像されることになる。なお、実行部130が撮像距離を近づける制御を実行せずともよいと判断した場合(撮像距離を近づけずともよい瞳孔径である場合)は、撮像部110は、実行部130による制御が実行されていない状態で虹彩画像を撮像してもよい。
【0123】
(変形例)
次に、
図27及び
図28を参照しながら、第8実施形態の変形例に係る虹彩撮像システム10について説明する。
図27は、第8実施形態の変形例に係る虹彩撮像システムの機能的構成を示すブロック図である。
図27では、
図5及び
図25で示した構成要素と同様の要素に同一の符号を付している。
図28は、第8実施形態の変形例に係る虹彩撮像システムによる合焦位置の変更例を示す概念図である。
【0124】
なお、以下で説明する変形例は、第8実施形態と比べて一部の構成及び動作が異なるのみであり、その他の部分については第8実施形態(
図25及び
図26参照)と同一であってよい。このため、以下では、すでに説明した第8実施形態と異なる部分について詳細に説明し、その他の重複する部分については適宜説明を省略するものとする。
【0125】
図27に示すように、第8実施形態の変形例に係る虹彩撮像システム10は、その機能を実現するための処理ブロックとして、撮像部110と、瞳孔径取得部310と、実行部130と、虹彩検出部210と、虹彩特徴量抽出部220と、虹彩特徴量照合部230と、虹彩特徴量登録データベース240とを備えて構成されている。即ち、変形例に係る虹彩撮像システム10は、第8実施形態の構成(
図25参照)に加えて虹彩検出部210と、虹彩特徴量抽出部220と、虹彩特徴量照合部230と、虹彩特徴量登録データベース240とを更に備えて構成されている。
【0126】
第8実施形態の変形例では特に、虹彩検出部210で検出された虹彩が存在する領域に基づいて、瞳孔径取得部310が瞳孔径に関する情報を取得する。この場合、瞳孔径取得部310は、最初に虹彩画像が取得されたタイミングでのみ、瞳孔径を取得するようにしてもよいし、虹彩画像が取得される度に瞳孔径を取得するようにしてもよい。
【0127】
図28に示す例は、第6実施形態で説明したように、合焦位置変更部133(
図20参照)が撮像部110の合焦位置を変更する例である。第8実施形態の変形例に係る虹彩撮像システム10では、瞳孔径取得部310が取得した瞳孔径に基づいて、合焦位置変更部133が合焦位置を変更する。
【0128】
この場合、瞳孔径取得部310は、まず1回目の合焦位置で撮像した虹彩画像から瞳孔径を取得する。よって、1回目の撮像タイミングでは、合焦位置の変更は行われていない。一方、2回目及び3回目の撮像については、1回目の撮像で取得した瞳孔径に基づいて合焦位置が変更されているため、変更前と比べると撮像距離が近づいている。このように、実際に撮像した画像から瞳孔径を取得して合焦位置を変更する場合には、1回目の合焦位置は変更せず、2回目以降の合焦位置を変更するようにすればよい。
【0129】
また、上述した合焦位置の変更に加えて、照明の強さを変化させることで、意図的に瞳孔の大きさを変化させてもよい。例えば、
図28に示した1回目の撮像タイミングで撮像した後に照明を明るくして、瞳孔を収縮させた状態で2回目及び3回目の撮像が行われるようにしてもよい。
【0130】
(技術的効果)
次に、第8実施形態に係る虹彩撮像システム10によって得られる技術的効果について説明する。
【0131】
図25から
図28で説明したように、第8実施形態に係る虹彩撮像システム10では、生体の瞳孔径に基づいて、撮像距離(即ち、生体の虹彩と、撮像部110との間の距離)を近づける制御が実行される。撮像距離が近づくと、より近くで虹彩が撮像されることになる。よって、撮像距離を近づける前と比較して、虹彩画像の解像度は高くなる。従って、第8実施形態に係る虹彩撮像システム10によれば、瞳孔の大きさを考慮して、高解像度の虹彩画像を撮像することが可能となる。
【0132】
<具体的な適用例>
次に、上述した各実施形態に係る虹彩撮像システム10の具体的な適用例について説明する。
【0133】
(施設の入退管理)
上述した各実施形態に係る虹彩撮像システム10は、施設の入退管理を行うシステムに適用されてよい。具体的には、虹彩認証が成功した場合に、その対象者の入退を許可し、虹彩認証が失敗した場合に、その対象者の入退を許可しない(禁止する)ように動作するシステムに適用されてよい。この場合、対象者の入退管理は、ウォークスルーの認証ゲートによって実現されてよく、虹彩認証の結果に応じてゲートが開閉するように制御されてよい。そして、撮像する際の明るさや瞳孔径に応じて、すでに説明した合焦位置を変化させる制御(例えば、
図21や
図22を参照)が実施されればよい。
【0134】
(決済端末)
上述した各実施形態に係る虹彩撮像システム10は、決済処理を行うシステムに適用されてよい。具体的には、虹彩認証が成功した場合に、その対象者と紐付けられた決済方法で決済処理が実行され、虹彩認証が失敗した場合には、決済処理を許可しない(或いは、対象者に紐付けられていないその他の決済方法(例えば、現金支払い)を選択させる)ように動作するシステムに適用されてよい。この場合、撮像する際の明るさや瞳孔径に応じて、すでに説明した対象者の立ち位置を誘導する制御(例えば、
図17や
図18を参照)が実施されてよい。
【0135】
(スマートフォン)
上述した各実施形態に係る虹彩撮像システム10は、対象者が保有するスマートフォン(或いは、その他の携帯端末)における各種認証処理に適用されてよい。例えば、虹彩画像を用いて、スマートフォンのロック画面を解除するための認証処理が実行されてよい。この場合、例えばスマートフォンの内蔵カメラで虹彩画像が撮像された後、虹彩認証が成功した場合にロック画面が解除され、虹彩認証が失敗した場合にロック画面が維持されるようにしてもよい。なお、スマートフォンは、対象者が手に持って操作することが想定されるため、撮像部110と対象者との距離を調整するために、手に持ったスマートフォンを顔に近づける或いは顔から遠ざけるような誘導情報が表示されてよい。
【0136】
上述した各実施形態の機能を実現するように該実施形態の構成を動作させるプログラムを記録媒体に記録させ、該記録媒体に記録されたプログラムをコードとして読み出し、コンピュータにおいて実行する処理方法も各実施形態の範疇に含まれる。すなわち、コンピュータ読取可能な記録媒体も各実施形態の範囲に含まれる。また、上述のプログラムが記録された記録媒体はもちろん、そのプログラム自体も各実施形態に含まれる。
【0137】
記録媒体としては例えばフロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、磁気テープ、不揮発性メモリカード、ROMを用いることができる。また該記録媒体に記録されたプログラム単体で処理を実行しているものに限らず、他のソフトウェア、拡張ボードの機能と共同して、OS上で動作して処理を実行するものも各実施形態の範疇に含まれる。
【0138】
この開示は、請求の範囲及び明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨又は思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う虹彩撮像システム、虹彩撮像方法、及びコンピュータプログラムもまたこの開示の技術思想に含まれる。
【0139】
<付記>
以上説明した実施形態に関して、更に以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0140】
(付記1)
付記1に記載の虹彩撮像システムは、生体の虹彩を含む画像を撮像する撮像手段と、前記画像を撮像する際の明るさを取得する照度取得手段と、前記画像を撮像する際の明るさに基づいて、前記画像を撮像する際の前記生体の虹彩と前記撮像手段との間の距離を近づける制御を実行する実行手段とを備えることを特徴とする虹彩撮像システムである。
【0141】
(付記2)
付記2に記載の虹彩撮像システムは、前記実行手段は、前記画像を撮像する際の環境が明るいほど、前記画像を撮像する際の前記生体の虹彩と前記撮像手段との間の距離を近づけることを特徴とする付記1に記載の虹彩撮像システムである。
【0142】
(付記3)
付記3に記載の虹彩撮像システムは、前記実行手段は、前記画像を撮像する際の明るさから前記生体の瞳孔径を推定し、前記推定した瞳孔径に基づいて、前記画像を撮像する際の前記生体の虹彩と前記撮像手段との間の距離を近づけることを特徴とする付記1又は2に記載の虹彩撮像システムである。
【0143】
(付記4)
付記4に記載の虹彩撮像システムは、前記推定手段は、前記画像を撮像する際の明るさと前記生体の瞳孔径との関係を示す情報を蓄積する蓄積手段を更に備え、前記調整手段は、前記蓄積手段に蓄積された情報を用いて前記生体の瞳孔径を推定することを特徴とする付記3に記載の虹彩撮像システムである。
【0144】
(付記5)
付記5に記載の虹彩撮像システムは、前記実行手段は、前記画像を撮像する際の前記生体の虹彩と前記撮像手段との間の距離を近づけるために、前記生体に対して移動を促す通知を行うことを特徴とする付記1から4のいずれか一項に記載の虹彩撮像システムである。
【0145】
(付記6)
付記6に記載の虹彩撮像システムは、前記実行手段は、前記画像を撮像する際の前記生体の虹彩と前記撮像手段との間の距離を近づけるために、前記撮像手段の合焦位置を変更することを特徴とする付記1から5のいずれか一項に記載の虹彩撮像システムである。
【0146】
(付記7)
付記7に記載の虹彩撮像システムは、前記画像を撮像する際の明るさに基づいて、前記撮像手段で撮像された画像から高解像度画像を生成する高解像度化手段を更に備えることを特徴とする付記1から6のいずれか一項に記載の虹彩撮像システムである。
【0147】
(付記8)
付記8に記載の虹彩撮像システムは、生体の虹彩を含む画像を撮像する撮像手段と、前記生体の瞳孔径に関する情報を取得する瞳孔径取得手段と、前記生体の瞳孔径に関する情報に基づいて、前記画像を撮像する際の前記生体の虹彩と前記撮像手段との間の距離を近づける制御を実行する実行手段とを備えることを特徴とする虹彩撮像システムである。
【0148】
(付記9)
付記9に記載の虹彩撮像方法は、生体の虹彩を含む画像を撮像する撮像手段を用いる虹彩撮像方法であって、前記画像を撮像する際の明るさを取得し、前記画像を撮像する際の明るさに基づいて、前記画像を撮像する際の前記生体の虹彩と前記撮像手段との間の距離を近づける制御を実行することを特徴とする虹彩撮像方法である。
【0149】
(付記10)
付記10に記載のコンピュータプログラムは、生体の虹彩を含む画像を撮像する撮像手段を用いる虹彩撮像方法であって、前記画像を撮像する際の明るさを取得し、前記画像を撮像する際の明るさに基づいて、前記画像を撮像する際の前記生体の虹彩と前記撮像手段との間の距離を近づける制御を実行するようにコンピュータを動作させることを特徴とするコンピュータプログラムである。
【0150】
(付記11)
付記11に記載の記録媒体は、付記10に記載のコンピュータプログラムを記録していることを特徴とする記録媒体である。
【符号の説明】
【0151】
10 虹彩撮像システム
11 プロセッサ
20 カメラ
21 センサ
110 撮像部
120 照度取得部
130 実行部
131 瞳孔径推定部
132 立ち位置誘導部
133 合焦位置変更部
140 瞳孔径データベース
150 高解像度化判定部
160 高解像度化実行部
210 虹彩検出部
220 虹彩特徴量抽出部
230 虹彩特徴量照合部
240 虹彩特徴量登録データベース
250 瞳孔径算出部
310 瞳孔径取得部