(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017522
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】情報処理装置、電子機器、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/26 20060101AFI20240201BHJP
G01C 21/34 20060101ALI20240201BHJP
G09B 29/10 20060101ALI20240201BHJP
A63B 71/06 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
G01C21/26 P
G01C21/34
G09B29/10 A
A63B71/06 T
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022120210
(22)【出願日】2022-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(72)【発明者】
【氏名】松本 康佑
【テーマコード(参考)】
2C032
2F129
【Fターム(参考)】
2C032HC27
2F129AA02
2F129BB03
2F129BB22
2F129BB26
2F129CC15
2F129CC16
2F129DD18
2F129DD29
2F129DD34
2F129EE02
2F129EE52
2F129EE62
2F129FF02
2F129FF11
2F129FF32
2F129FF52
2F129HH02
2F129HH12
(57)【要約】
【課題】ユーザの希望により合った経路を探索するための情報を生成することができる。
【解決手段】情報処理装置は、制御部210を備え、制御部210は、移動を伴う活動によって得られた位置又は領域に対応する統計情報を取得し、統計情報に基づいて得られた位置又は領域の特徴量を取得し、位置又は領域を代表する地点である代表点に対して特徴量に応じた説明情報を対応付ける、ことを特徴とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部を備え、
前記制御部は、
移動を伴う活動によって得られた位置又は領域に対応する統計情報を取得し、
前記統計情報に基づいて得られた前記位置又は領域の特徴量を取得し、
前記位置又は領域を代表する地点である代表点に対して前記特徴量に応じた説明情報を対応付ける、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記統計情報に基づいて特徴的な位置または領域を特徴点として取得し、
前記取得した特徴点をクラスタリングして得られた各クラスタから前記代表点を算出し、
前記算出した代表点のクラスタに属する前記特徴点の前記統計情報に基づいて前記代表点の特徴量を算出し、
前記代表点に対して前記算出した特徴量に応じた説明情報を対応付ける、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記統計情報の絶対量又は変化量が閾値を超えた位置を特徴点として抽出し、
前記クラスタに属する全ての特徴点の位置の重心を前記クラスタの代表点とする、
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、
特徴量対応テーブルを参照して、前記代表点の特徴量から前記説明情報を生成し、
前記生成した説明情報を前記代表点に対応付ける、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記特徴量対応テーブルは、前記特徴量についての条件である特徴量条件と説明基礎情報との対応が示されているテーブルであり、
前記制御部は、
前記代表点の前記特徴量が前記特徴量対応テーブルに示される前記特徴量条件を満たしている場合に、前記特徴量条件に対応する前記説明基礎情報に基づいて前記代表点に対応付ける前記説明情報を生成し、
前記生成した説明情報を前記代表点に対応付ける、
ことを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記説明情報を対応付けた前記代表点を説明地点として地図情報に記録する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記地図情報には、説明情報が付与された地点が特定地点として記録されており、
前記制御部は、前記説明地点も前記特定地点として前記地図情報に記録する、
ことを特徴とする請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記活動に関する条件を表す情報である条件情報を取得し、
前記条件情報に基づいて、前記説明地点を含む前記地図情報から前記活動により移動する経路を探索する、
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
現在位置を取得する位置取得部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
移動を伴う活動に関する条件を表す情報である条件情報を取得し、
前記条件情報を請求項8に記載の情報処理装置に送信し、
前記情報処理装置が探索した経路を取得し、
前記位置取得部で取得した現在位置が、前記説明地点の近傍に到達した場合、前記説明情報を出力する、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項10】
前記条件情報は、
ユーザが指定した条件、前記ユーザの活動履歴、前記ユーザに似ているユーザの活動履歴のうちの少なくとも1つの情報を含む、
ことを特徴とする請求項9に記載の電子機器。
【請求項11】
制御部が、
移動を伴う活動によって得られた位置又は領域に対応する統計情報を取得し、
前記統計情報に基づいて得られた前記位置又は領域の特徴量を取得し、
前記位置又は領域を代表する地点である代表点に対して前記特徴量に応じた説明情報を対応付ける、
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項12】
情報処理装置の制御部に、
移動を伴う活動によって得られた位置又は領域に対応する統計情報を取得し、
前記統計情報に基づいて得られた前記位置又は領域の特徴量を取得し、
前記位置又は領域を代表する地点である代表点に対して前記特徴量に応じた説明情報を対応付ける、
処理を実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、電子機器、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
地図を表示してユーザを目的地まで誘導するナビゲーション装置には、車を運転する際に利用するカーナビゲーション装置だけでなく、自転車用のナビゲーション装置、ウォーキングやランニングを行う際に利用するナビゲーション装置等、様々なナビゲーション装置が開発されている。例えば、特許文献1には、ユーザの移動方法として、歩行、ランニング、自転車等を用いた場合に、ユーザの健康面を考慮したルートの設定を行うナビゲーション装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているナビゲーション装置は、休憩地点情報を検索し、検索した休憩地点情報が示す休憩地点を経由地とする推奨移動経路を探索することで、ユーザの健康面を考慮したルートの設定を行えるようにしている。しかし、休憩地点を経由地とする経路が必ずしもユーザの希望する経路とは限らない。
【0005】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、ユーザの希望により合った経路を探索するための情報を生成することができる情報処理装置、電子機器、情報処理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る情報処理装置の一態様は、
制御部を備え、
前記制御部は、
移動を伴う活動によって得られた位置又は領域に対応する統計情報を取得し、
前記統計情報に基づいて得られた前記位置又は領域の特徴量を取得し、
前記位置又は領域を代表する地点である代表点に対して前記特徴量に応じた説明情報を対応付ける、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザの希望により合った経路を探索するための情報を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態に係る情報処理システムの概要を説明する図である。
【
図2】実施の形態に係る電子機器の機能構成を示すブロック図である。
【
図3】実施の形態に係るサーバの機能構成を示すブロック図である。
【
図5】ランナーデータベースの一例を示す図である。
【
図6】実施の形態に係る説明地点生成処理のフローチャートである。
【
図7】活動ログデータが取得された際の各ランナーの経路の例を示す図である。
【
図8】活動ログデータから抽出された特徴点の例を示す図である。
【
図9】特徴点のクラスタリングを説明する図である。
【
図10】特徴点のクラスタリングによって得られたクラスタの例を示す図である。
【
図11】実施の形態に係る特徴量対応テーブルの例を示す図である。
【
図12】クラスタの代表点の特徴量から説明情報が生成されることを説明する図である。
【
図13】実施の形態に係る経路案内処理のフローチャートである。
【
図14】実施の形態に係る経路案内処理において、ユーザの希望する経路の情報のうち、ユーザの走行レベルを設定するための画面の一例である。
【
図15】実施の形態に係る経路案内処理において、ユーザの希望する経路の情報のうち、ランニングコースの探索条件として、スタート地点、コース距離、経由地点等を設定するための画面の一例である。
【
図16】実施の形態に係る経路案内処理において、ランニングコースの探索結果を表示するための画面の一例である。
【
図17】実施の形態に係る経路探索処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態に係る情報処理システム等について、図面を参照して説明する。なお、図中同一又は相当する部分には同一符号を付す。
【0010】
(実施の形態)
実施の形態に係る情報処理システムは、電子機器100とサーバ200とを備える。そして、
図1に示すように、複数のランナー300がそれぞれランニングした時の経路310上の位置情報及び各種センサ情報をランニング統計情報として電子機器100が収集し、収集されたランニング統計情報をサーバ200が解析し、ランニング統計情報が特徴的な値を示す地点を説明地点320として抽出する。この説明地点320には、それぞれその地点の特徴を表す説明情報321を付与することができるので、いわゆるPOI(Point Of Interest)として扱うことができる。また、サーバ200は、ユーザ301の希望に合致した説明地点320を経由する経路311を探索することにより、ユーザが希望する条件に合致するランニングコースを提案することができる。
【0011】
電子機器100は、ランナー300(ユーザ301を含む)がランニングする際に身に付ける情報処理装置であり、例えばスマートウォッチである。電子機器100は、
図2に示すように、制御部110、記憶部120、入力部130、出力部140、通信部150、センサ部160を備える。
【0012】
制御部110は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサで構成される。制御部110は、記憶部120に記憶されているプログラムにより、スマートウォッチの各種機能を実現する処理や後述する経路案内処理等を実行する。
【0013】
記憶部120は、制御部110が実行するプログラムや、必要なデータを記憶する。記憶部120は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等を含み得るが、これらに限られるものではない。なお、記憶部120は、制御部110の内部に設けられていてもよい。
【0014】
入力部130は、押しボタンスイッチやタッチパネル等のユーザインタフェースであり、ユーザからの操作入力を受け付ける。入力部130がタッチパネルを備える場合は、出力部140のディスプレイと一体化したタッチパネルであってもよい。
【0015】
出力部140は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等のディスプレイを備え、電子機器100の機能を提供する表示画面や操作画面等を表示する。また、出力部140は、スピーカ等の音声出力手段も備えており、説明地点に付与されている説明情報を音声で出力することができる。
【0016】
通信部150は、例えば無線LAN(Local Area Network)、LTE(Long Term Evolution)等に対応したネットワークインタフェースである。電子機器100は、通信部150を介してサーバ200等の他の情報処理装置と通信することができる。
【0017】
センサ部160は、心拍センサ、温度センサ、気圧センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ、GPS(Global Positioning System)デバイス等、ユーザの活動(ランニング、ウォーキング等)に関係する各種値を検出するデバイスを備える。制御部110は、センサ部160が備える各デバイスで検出した値を検出値として任意のタイミングで取得することができる。ただし、センサ部160は、上記センサを全て備えていなければならないわけではなく、例えば、温度センサや気圧センサを備えていなくてもよい。
【0018】
心拍センサは、例えば、LED(Light Emitting Diode)及びPD(Photodiode)を備えるPPG(Photoplethysmography)センサにより、脈波を検出する。制御部110は、心拍センサで検出した脈波に基づき、単位時間(例えば1分間)当たりの脈拍数(心拍数)を計測することにより、心拍数を取得することができる。また、温度センサは、例えばサーミスタを備え、体温を計測することができる。気圧センサは、例えばピエゾ抵抗方式のIC(Integrated Circuit)を備え、周囲の気圧を計測することができる。
【0019】
加速度センサは電子機器100の直交する3軸(X軸、Y軸、Z軸)の各方向の加速度を検出する。また、ジャイロセンサは、電子機器100の直交する3軸(X軸、Y軸、Z軸)のそれぞれを回転軸とする回転の角速度を検出する。また、GPSデバイスは、電子機器100の現在位置(例えば緯度、経度、高度の3次元のデータ)を取得する。センサ部160は、電子機器100の現在位置を取得するとき、位置取得部として機能する。
【0020】
通常、電子機器100は、ユーザの手首に装着され、制御部110は、センサ部160で検出した各種検出値に基づいて、ユーザの位置、速度、心拍、各種ラン指標等を算出し、ランニング統計情報として記憶部120に保存していく。そして、ユーザのランニング中又はランニング後に、制御部110は、記憶部120に保存したランニング統計情報を通信部150によりサーバ200に送信する。
【0021】
サーバ200は、電子機器100が収集したランニング統計情報を解析する情報処理装置である。サーバ200は、
図3に示すように、制御部210、記憶部220、入力部230、出力部240、通信部250を備える。
【0022】
制御部210は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサで構成される。制御部210は、記憶部220に記憶されているプログラムにより、サーバ200の各種機能を実現する処理や後述する説明地点生成処理等を実行する。
【0023】
記憶部220は、制御部210が実行するプログラムや、必要なデータ(例えば、後述するランナーデータベース221、地図情報、説明地点データベース等)を記憶する。記憶部120は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等を含み得るが、これらに限られるものではない。なお、記憶部220は、制御部210の内部に設けられていてもよい。
【0024】
記憶部220に記憶されている地図情報には、少なくともユーザがランニングを行うコース周辺の地図の情報が含まれる。また地図情報には、地物データ、道路ネットワークデータ、特定地点の情報(いわゆるPOIデータ)が含まれる。地物データには、道路、鉄道、店舗、施設、信号機、街路樹等の物理的に存在するもの(実在地物)と、境界線、地名、バスルート等の物理的に存在しないもの(仮想地物)とが含まれる。道路ネットワークデータは、経路探索やナビゲーション等で利用するデータであって、道路を示すリンクと複数のリンクを結びつけるノード(例えば交差点)とが含まれる。特定地点の情報(POIデータ)は、地物である一般道路や高速道路、コンビニエンスストア等の店舗、駅や公園等の施設を代表する点やある場所の位置を特定するためのデータであって、地物の位置の情報と、それら地物の説明情報(例えば、営業時間、電話番号、メールアドレス等)とが含まれる。そして、制御部210はユーザの希望するランニングコースを探索する際には、特定地点の情報も参考にしながら経由地を探索する。
【0025】
説明地点データベースは、後述する説明地点生成処理によって、説明地点の位置と特徴量と説明情報が記録されるデータベースである。
【0026】
入力部230は、キーボード、マウス、タッチパネル等のユーザインタフェースであり、ユーザからの操作入力を受け付ける。入力部230がタッチパネルを備える場合は、出力部240のディスプレイと一体化したタッチパネルであってもよい。
【0027】
出力部240は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等のディスプレイを備え、サーバ200の機能を提供する表示画面や操作画面等を表示する。
【0028】
通信部250は、例えば無線LAN(Local Area Network)、LTE(Long Term Evolution)等に対応したネットワークインタフェースである。サーバ200は、通信部250を介して電子機器100等の他の情報処理装置と通信することができる。
【0029】
ユーザが電子機器100を装着してランニングを開始すると、制御部110は記憶部120に、ユーザの活動履歴として、
図4に示すような活動ログデータ121を定期的(例えば1秒毎)に記録していく。
図4の例では、活動ログデータ121には、GPSデバイスで取得した位置の情報、加速度センサで取得した加速度の情報、ジャイロセンサで取得した角速度の情報、心拍センサで取得した心拍の情報、温度センサで取得した体温の情報、気圧センサで取得した気圧の情報だけでなく、これらの情報から算出される各種指標(進行方向、スコア、種々のラン指標(ペース、ストライド、ピッチ等))、これらの情報や各種指標の変化量(ペース変化、心拍変化等)、直近の行動に関するデータ(停止回数、静止時間等)も含まれている。
【0030】
しかし、活動ログデータにどのような情報を含めるかについては任意であり、例えば、位置、加速度、角速度、心拍のような、センサ部160で得られる値のみが活動ログデータ121として記録されていてもよい。また、センサ部160で得られる値等に基づいて推定された行動内容(休憩中、歩行中、走行中等)も活動ログデータ121として記録されてもよい。
【0031】
なお、
図4の例では、最初の活動ログデータ121として、2022年3月4日の17時35分からランニングを開始した時のデータが1秒毎に記録されている。この活動ログデータ121において、位置の情報は、経度、緯度及び高度の情報である。また、加速度の情報は、XYZの各軸方向の加速度であり、角速度の情報は、XYZの各軸を回転軸とする回転の角速度である。進行方向はユーザが進んでいる方向を、例えば真北方向を0°、真東方向を90°、真南方向を180°、真西方向を270°として表した場合の数値である。
【0032】
また、
図4に示されているスコアは、ユーザのランニングのレベルを数値化したものであり、センサ部160によって検出された値である検出値(加速度等)に基づいて算出される。例えば、ランニング時の姿勢(体全体の姿勢又は体の一部(胴、腕、腰、足、骨盤等)の姿勢)が良い場合、体(体全体又は体の一部)に負担の少ない走り方の場合、体全体又は体の一部がスムーズな動きの場合等は、スコアの値が高くなる。そして、これらの逆(例えば、ランニング時の姿勢が悪い、無駄な動きが多い等)の場合は、スコアの値が低くなる。
【0033】
また、
図4ではラン指標として、ペース(1km走るのにかかる時間)、ストライド(接地から次の接地までの1歩進む距離)、ピッチ(1分間あたりの歩数)が記録されているが、制御部110は、センサ部160から得られるデータに基づいて、ユーザのランニングを評価する様々な指標をラン指標として算出して活動ログデータ121として記録してもよい。
【0034】
また、
図4では、ペース変化(ペースの変化量。例えば1秒前のペースとの差。)、心拍変化(心拍の変化量。例えば1秒前の心拍との差。)が記録されているが、制御部110は、ラン指標や他の任意の情報について、その変化量(例えば1秒前の値との差)を算出して活動ログデータ121として記録してもよい。
【0035】
また、
図4では、直近の行動に関するデータとして停止回数(一定の範囲の狭い領域(例えば現在値から10m以内の領域)内での停止回数)、静止時間(例えば直近の3分間において静止していた時間)が記録されているが、制御部110は、位置、加速度、角速度、心拍等に基づいて、直近の行動に関する任意のデータを活動ログデータ121として記録してもよい。
【0036】
そして、電子機器100の制御部110は、記憶部120に記録した活動ログデータ121を、通信部150を介してサーバ200に送信することができる。
【0037】
サーバ200は、複数のランナーが電子機器100で記録した活動ログデータ121を、通信部250を介して電子機器100から受信し、
図5に示すようなランナーデータベース221として記憶部220に記録する。ランナーデータベース221には、ユーザID毎に当該ユーザIDに対応する活動ログデータだけでなく、当該ユーザIDに対応する身体的特徴(性別、身長、体重等)やレベル(マラソンタイム、平均ペース、短距離走タイム等)が記録されている。各ユーザは電子機器100でサーバ200にアクセスしたり、サーバ200の入力部230を介したりして、各ユーザのユーザIDに対応する身体的特徴やレベルの情報を任意のタイミングでランナーデータベース221に登録することができる。
【0038】
サーバ200は、ランナーデータベース221に登録された活動ログデータを統計情報として用いて、何らかの特徴がある地点を抽出し、その地点に対する説明情報を生成することができる。この処理(説明地点生成処理)について、
図6を参照して説明する。この説明地点生成処理の起動タイミングは任意であるが、例えばサーバ200が、新たな活動ログデータを電子機器100から受信し終えると起動する。ただし、電子機器100によっては、活動ログデータとしてセンサ部160から取得したデータ(例えば、位置、加速度、角速度、心拍等)だけしか記録しない場合がある。この場合は、サーバ200は受信したデータから、他のデータ(例えば
図5に記載されている進行方向、スコア、ペース、ストライド、ピッチ、ペース変化、心拍変化、停止回数、静止時間等)を算出して、活動ログデータに追加する。
【0039】
まず、制御部210は、各活動ログデータを解析し、特徴的な位置を特徴点として抽出する(ステップS101)。特徴的な位置とは、例えば以下のような位置であり、このような位置(緯度、経度、高度)を特徴点として、ユーザ毎に(ユーザIDと紐付けて)記憶部220に保存する。なお、この抽出で用いられた活動ログデータの値は、その特徴点の特徴量と考えることができる。
-活動ログデータに含まれる値(絶対量)が閾値に達する(例えば、心拍が心拍閾値(例えば200)を超える、停止回数が停止回数閾値(例えば3回)以上になる、静止時間が静止時間閾値(例えば1分)を超える、ペースが停止閾値(例えば120分/km)より遅くなる、等)。
-活動ログデータに含まれる値の変化量が閾値に達する(例えば、進行方向が角度変化閾値(例えば60°)以上変化する、ペースの変化量がペース変化閾値(例えば20分/km)以上、ペースの変化量がペース安定閾値(例えば1分/km)未満、心拍の変化量が心拍変化閾値(例えば20bpm)を超える、等)。
【0040】
上記の特徴点のうち、進行方向が角度変化閾値以上変化する地点は、経路を表す形状の特徴を示す特徴点と考えることができるため、形状特徴点とも呼ばれる。なお、制御部210は、形状特徴点を、上述のように進行方向の角度変化に基づいて抽出してもよいし、Douglas-Peuckerアルゴリズム等を利用して抽出してもよい。また、特徴点は特徴的な位置だけでなく、特徴的な領域(例えば基準となる位置から10m以内の狭い領域)であってもよい。上述した停止回数等、一定の範囲の狭い領域において取得される特徴量もあり得るからである。
【0041】
そして、制御部210は、特徴点の抽出が終了したか否かを判定する(ステップS102)。例えば、制御部210は、ランナーデータベース221に記録されている全ての活動ログデータを解析し終えたなら、特徴点の抽出が終了したと判定する。特徴点の抽出が終了していないなら(ステップS102;No)、ステップS101に戻る。
【0042】
例えば
図7(A)~(C)に示すように、各ランナー300A,300B,300Cは、同一のエリア内にあるそれぞれの経路310A,310B,310Cをランニングする。そして、これによって得られた活動ログデータがサーバ200の記憶部220のランナーデータベース221に記録されているとする。すると、ステップS101及びステップS102の処理により、例えば
図8に示すような特徴点312が抽出される。ここで、
図8(A)~(C)に示す特徴点312は、
図7(A)~(C)に示す経路310A,310B,310Cにおける特徴点をそれぞれ表している。
【0043】
特徴点の抽出が終了したなら(ステップS102;Yes)、制御部210は、抽出した特徴点群を各特徴点の位置に基づいてクラスタリングする(ステップS103)。例えば、
図8(A)~(C)のそれぞれに示す各特徴点312は、地図において同一のエリア内にある
図7(A)~(C)に示すそれぞれの経路310A,310B,310C上に存在する。したがって、
図8(A)~(C)のそれぞれに示す各特徴点312には、位置情報が対応付けられている。そこで、制御部210は、
図8(A)~(C)のそれぞれに示す各特徴点312の位置情報に基づいて、
図8(A)~(C)の当該各特徴点312を空間上にプロットし、プロットされた特徴点に対してクラスタリングを行うと、例えば
図9に示すように比較的位置の近い複数の特徴点が1つのクラスタに含まれる。
図10は、クラスタリングされた結果として、クラスタA、B、C、D、Eの5つのクラスタに分類されたことを示す。なお、
図9に示すクラスタリングでは、各クラスタには複数の特徴点が含まれるようにクラスタリングが行われているが、1つしか特徴点を含まないクラスタが存在してもよいようにクラスタリングが行われてもよい。なお、クラスタリングの手法については、既知の技術であるため、ここでの説明を省略する。
【0044】
なお、ステップS101及びステップS102で抽出した特徴点には、ユーザ毎に偏りが生じる場合がある(例えばユーザ1は何回もランニングを行っていて活動ログデータが大量に存在するが、ユーザ2は1回しかランニングを行っておらず活動ログデータがその1回分しかない場合等)。そこで、ユーザ毎の偏りを無くすために、それぞれのユーザ毎に1回分のランニングについての活動ログデータのみから特徴点を抽出するようにしてもよい(例えば、各ユーザについて、最新のランニング時の活動ログデータのみを特徴点の抽出に使う)。このようにしても、サーバ200は、大量のランナーから活動ログデータを収集することで、十分な量の特徴点を抽出することが可能である。
【0045】
そして、制御部210は、クラスタリングして得られた全てのクラスタについて、クラスタiの代表点FPiを算出し、記憶部220の説明地点データベースに記録する(ステップS104)。クラスタの代表点の算出方法は任意であるが、例えば、クラスタに属する全ての特徴点の位置の重心を代表点とすることができる。
図10では、クラスタAに属する3つの特徴点の重心をクラスタAの代表点FP
Aとし、クラスタBに属する3つの特徴点の重心をクラスタBの代表点FP
Bとし、クラスタCに属する2つの特徴点の重心をクラスタCの代表点FP
Cとしている。クラスタDの代表点FP
D、クラスタEの代表点FP
Eも同様である。
【0046】
また、これらの重心は、特徴点の各座標の平均値を座標とする点であるが、各座標の中央値を座標とする点を代表点としてもよいし、各座標の最頻値を座標とする点を代表としてもよい。より一般的には、クラスタリングして得られたクラスタのうち、当該クラスタに属する特徴点(クラスタ構成点)の数が閾値(例えば2)以上のクラスタにおいて、クラスタ構成点の座標の代表値(平均値、中央値、最頻値等)を座標とする点を当該クラスタの代表点とすればよい。
【0047】
次に、制御部210は、代表点FPiのクラスタ(クラスタi)に属する特徴点の数Fniをカウントし、説明地点データベースに記録する(ステップS105)。そして、制御部210は、算出した各代表点の特徴量を算出し、説明地点データベースに記録する(ステップS106)。この特徴量の算出方法は任意であるが、例えば、代表点のクラスタに属する各特徴点の特徴量の平均値を特徴量とする。ただし、特徴点の特徴量の分散(若しくは標準偏差)が大きい場合には平均値が意味を持たなくなる。そこで、基本的には平均値を特徴量とするが、その特徴量(平均値)の信頼性も算出し(例えば、信頼性=1/(分散+1)とする)、信頼性が高い特徴量を用いて後述する説明情報の生成や類似度の計算を行うようにする。
【0048】
例えば、代表点FPAがクラスタAに属しており、クラスタAには特徴点P1と特徴点P2と特徴点P3が属しているものとする。そして、特徴点P1の特徴量(特徴点P1の位置での活動ログデータ)が、ストライド=150、ペース=6、心拍変化=30であり、特徴点P2の特徴量(特徴点P2の位置での活動ログデータ)が、ストライド=160、ペース=5、心拍変化=10であり、特徴点P3の特徴量(特徴点P3の位置での活動ログデータ)が、ストライド=140、ペース=7、心拍変化=-10であるとすると、代表点の特徴量はこれらの平均値から求められるので、ストライド=150、ペース=6、心拍変化=10となる。ただし、この例の場合、ストライドとペースの分散は比較的小さいが、心拍変化の分散が大きすぎるため、ストライドとペースの信頼性は高いが、心拍変化の信頼性は低いということがわかる。
【0049】
そして、制御部210は、ステップS106で算出した特徴量やステップS105でカウントした特徴点の数に基づいて各代表点の説明情報を生成し、説明地点データベースに記録し(ステップS107)、説明地点生成処理を終了する。以上の説明地点生成処理により、記憶部220の説明地点データベースには、各説明地点(代表点)の、位置、特徴量及び説明情報が記憶されることになる。
【0050】
なお、地図情報には既存の特定地点の情報(いわゆるPOI情報)が記録されているが、制御部210は、説明地点生成処理により生成した説明地点データベースの情報(各代表点の位置情報と説明情報)を地図情報に記録するようにしてもよい。そして制御部210は、説明地点(新たに生成されたPOIとみなすことができる)を既存の特定地点(既存のPOI)と同様に扱えるようにしてもよい。このようにすることにより、元々の地図情報に存在しなかった説明地点の情報が新たなPOI情報として地図情報に追加されることになる。また、新たにPOI情報を地図情報に追加する場合、制御部210は、説明地点データベース内の情報のうち、説明地点の位置及び説明情報を、特定地点の情報(POI情報)として地図情報に記録してもよい。つまり、説明地点の特徴量は地図情報に記録する必要はない。
【0051】
ステップS107での各代表点の説明情報の生成について、より詳細に説明する。まず、制御部210は、代表点の特徴量に基づいて、
図11に示すような、特徴量の条件(特徴量条件)と説明基礎情報との対応が定義されている特徴量対応テーブル222を参照して、説明基礎情報を取得し、説明基礎情報から説明情報を生成する。
図11では、説明の便宜上、特徴量条件は「多い」「少ない」等、具体的な値を示していないが、実際には例えば閾値を設定して、閾値より大きい場合、閾値より小さい場合、ある値の範囲に入る場合等と、任意の条件を設定可能である。
【0052】
また、
図11では「要因」という項目も記載されているが、これは特徴量条件と説明基礎情報との対応をわかりやすく説明するためのものであり、実際の特徴量対応テーブル222においては、「要因」の項目は不要である。また、説明基礎情報には、その右欄に示されているように、統計ログデータ等から得られる統計情報と絡めた表現も含まれうる。
【0053】
例えば各クラスタの代表点の特徴量として、
図12に示すような値が算出されたとする。ただし、ここでは説明の便宜上、具体的な数値は示していない。また、分散が大きくて信頼性が低い特徴量は「-」で示している。そして、変化に関する特徴量についてはプラス方向の変化を(+)で、マイナス方向の変化を(-)で示している。
【0054】
図12に示す例では、クラスタ代表点FP
Aの特徴量のうち、心拍変化が「プラス方向に大」になっている。そして
図11に示す特徴量対応テーブル222を参照すると、心拍変化がプラス方向に大きい場合には、説明基礎情報として、「(坂なら)心拍数○○の心臓破りの坂です。(坂か不明なら)心拍への負荷がかかりやすいエリアです」が得られる。
【0055】
サーバ200は記憶部220に地図情報も記憶しているため、クラスタ代表点FP
Aの付近の地形も地図情報から取得でき、クラスタ代表点FP
Aの付近が坂であるか否かを判定可能である。ここではクラスタ代表点FP
Aの付近が坂であった場合を考える。また、
図12ではクラスタ代表点FP
Aの心拍は「大」と記載されているが、実際には具体的な値(例えば180)が得られているので、制御部210は、説明基礎情報と、地形情報や心拍の情報とに基づき、例えば「心拍数180の心臓破りの坂です。」というような説明情報を生成することができる。
【0056】
同様に、クラスタ代表点FP
Bでは、特徴量のうち、静止時間が「長」になっている。そして
図11に示す特徴量対応テーブル222では、静止時間が長い場合には、説明基礎情報として、「休憩しやすい場所です」と「平均休憩時間は○分です」が得られる。
【0057】
図12ではクラスタ代表点FP
Bの静止時間は「長」となっているが、実際には具体的な値(例えば5分)が得られているので、制御部210は、説明基礎情報と、静止時間等(例えば、ランナーデータベース221中の統計ログデータを解析して、より正確な休憩時間を求めてもよい)の情報に基づき、例えば「休憩しやすい場所です。平均休憩時間は5分です。」というような説明情報を生成することができる。
【0058】
同様に、クラスタ代表点FP
Cでは、特徴量のうち、ペースが「速」になっている。そして
図11に示す特徴量対応テーブル222では、ペースが速い場合には、説明基礎情報として、「ペースの速い人が多く、走りやすいエリアです」と「ペース○ならここを通過したランナーの中で□番目の速さです」が得られる。
【0059】
図12ではクラスタ代表点FP
Cのペースは「速」となっているが、実際には具体的な値(例えば6分/km)が得られている。また、制御部210は、クラスタ代表点FP
Cのクラスタに属する特徴点を通過した全ランナーがどの程度のペースで走ったかについて順位付けした情報を作成し、このペース(例えば6分/km)なら、何位になるかを算出(例えば3位)する。制御部210は、これらの情報に基づき、例えば「ペースの速い人が多く、走りやすいエリアです。ペース6分/kmなら、ここを通過したランナーの中で3番目の速さです。」というような説明情報を生成することができる。
【0060】
制御部210は、このようにして生成した説明情報を説明地点データベースに記録、すなわち、クラスタの代表点に付与(代表点に対応付けて記憶部220に記憶)する。これにより、制御部210は、例えば
図1に示すように、クラスタの代表点を説明地点320として説明情報321とともに経路上に表示させることができる。
【0061】
なお、
図11に示す特徴量対応テーブル222では、特徴量条件として1種類の特徴量についての条件に対して説明基礎情報が定義されているが、複数の特徴量の条件に対して説明基礎情報が定義されてもよい。また、
図11に示す特徴量対応テーブル222に記載されている特徴量条件は一例であり、ここに記載されていない特徴量についての条件も任意に定義することが可能である。
【0062】
また、複数の特徴量条件に合致する場合には、それぞれの特徴量条件に対応する説明基礎情報に基づいて生成される説明情報を全て表示するようにしてもよい。例えば、ある代表点における特徴量のうち、ストライドが長く、停止回数が多い場合、制御部210は「ストライド走法に適しているエリアです。周囲に何か珍しいものがあるかもしれません。」というような説明情報を生成してもよい。
【0063】
また、制御部210は、説明情報を生成する際に、必ず特徴量対応テーブル222を用いなければいけないわけではない。例えば、代表点の属するクラスタ内の特徴点(クラスタ構成点)全てにおいて、基準値を超える(又は下回る)特徴量の種類を抽出し、抽出された特徴量に基づいて説明文章を生成してもよい。例えば、制御部210は、クラスタ構成点の全てにおいて心拍数が120以上であれば、「心拍数が120以上になる地点」というような説明文章を生成してもよい。
【0064】
次に、ユーザがランニング時に身に付ける電子機器100において、上述の説明情報を出力する処理(経路案内処理)について、
図13を参照して説明する。経路案内処理は、ユーザが電子機器100に対し、経路案内処理の実行を指示すると、実行が開始される。
【0065】
まず、電子機器100の制御部110は、入力部130を介してユーザから、ユーザの希望する条件を満たすランニングコースの情報(条件情報)を取得する(ステップS201)。このステップで制御部110は、例えば
図14及び
図15に示す画面を出力部140のディスプレイに表示し、ユーザによって入力されたランニングコースの情報(条件情報)を取得する。
【0066】
そして、制御部110は、取得した条件情報を、通信部150を介してサーバ200に送信する(ステップS202)。するとサーバ200は、条件情報に基づいてランニングコースの探索を行い、条件情報に合致する経路情報(ランニングコースの候補等の情報)を電子機器100に送信する。そして、電子機器100の制御部110は、この経路情報をサーバ200から受信し、経路情報に基づいてランニングコースを出力部140のディスプレイに表示する(ステップS203)。
【0067】
このステップで制御部110は、例えば
図16に示すように、ランニングコースの候補を出力部140のディスプレイに表示する。
図16では、ランニングコースの経路311がスタート地点313からゴール地点314まで破線で示されており、経路311の途中に存在する代表点が説明地点320として旗のマークで示されている。
【0068】
そして、制御部110は、ユーザにこの経路が希望する経路であるかを確認する(ステップS204)。希望する経路でないなら(ステップS204;No)、ステップS201に戻る。
【0069】
希望する経路なら(ステップS204;Yes)、制御部110は、ユーザがランニングを開始するまで待機するために、ランニングが開始されたか否かを判定する(ステップS205)。制御部110は、ランニング開始の判定について、例えばセンサ部160からの検出値に基づいて判定してもよいが、単純にユーザが入力部130の「ランニング開始」を知らせるボタンを押下したらランニングが開始されたと判定してもよい。
【0070】
ランニングが開始されていないなら(ステップS205;No)、ステップS205に戻る。ランニングが開始されたなら(ステップS205;Yes)、制御部110は、センサ部160からセンサ情報を取得し(ステップS206)、統計情報としてセンサ情報を記憶部120に保存する(ステップS207)。
【0071】
そして、制御部110は、説明地点の近傍に到達した(現在位置が説明地点の近傍である)か否かを判定する(ステップS208)。このステップで制御部110は、例えばセンサ部160のGPSデバイスで取得した現在位置と説明地点の位置情報とを照合することで、説明地点の近傍に到達したか否かの判定を行うことができる。
【0072】
制御部110は、現在位置が説明地点の近傍に到達していないなら(ステップS208;No)、ステップS210に進む。現在位置が説明地点の近傍に到達しているなら(ステップS208;Yes)、制御部110は、当該説明地点に対応する説明情報を出力部140のスピーカから音声で出力し(ステップS209)、ステップS210に進む。
【0073】
ステップS210では、制御部110はゴール地点に到着したか否かを判定する。ゴール地点に到着していなければ(ステップS210;No)、ステップS206に戻る。ゴール地点に到着したら(ステップS210;Yes)、経路案内処理を終了する。
【0074】
上記ステップS202で送信された条件情報に基づいて、サーバ200はユーザが希望する経路を探索するが、この処理(経路探索処理)について
図17を参照して説明する。経路探索処理は、基本的には、条件情報に基づいて条件を満たす説明地点を抽出し、抽出した説明地点を経由するコースのうち、条件を満たすコースを電子機器100に送信する処理である。
【0075】
まず、サーバ200の制御部210は、電子機器100から送信された条件情報を、通信部250を介して受信する(ステップS301)。
【0076】
次に、制御部210は、受信した条件情報に合致する説明地点を抽出する(ステップS302)。サーバ200では事前に説明地点生成処理(
図6)が行われており、記憶部220の説明地点データベースには、特徴量や説明情報が付与された説明地点が記憶されている。したがって、このステップで制御部210は、各説明地点の特徴量や説明情報に基づいて、条件情報と合致する説明地点を抽出する。
【0077】
そして、制御部210は、条件情報に含まれているスタート地点及びゴール地点の情報と、記憶部220に記憶されている地図情報と、に基づき、スタート地点からゴール地点までの経路のうち、ステップS302で抽出された説明地点を経由し、条件情報に含まれる経路の条件(例えばコース距離)に合致する経路を探索する(ステップS303)。
【0078】
そして、制御部210は、探索された経路の情報(経路情報)を、電子機器100に送信し(ステップS304)、経路探索処理を終了する。
【0079】
例えば、
図14に示す「ユーザの走行レベル設定」では、平均ペース約5分/kmが選択されている。したがって、条件情報としてこの設定を受信したサーバ200の制御部210は、ランナーデータベース221から、各ランナーのレベルの情報を参照し、平均ペースが約5分/kmのランナー(例えば、ペースが5分30秒/kmより速く、4分30秒/kmより遅いランナー)を探索対象ランナーとして抽出する。もし、ここで「設定しない」が選択されていたら、探索対象ランナーはランナーデータベース221中の全ランナーとなる。
【0080】
また、
図15に示す「ランニングコースの探索条件設定」では、「スタート地点」として「現在値」が、「コース距離」として「5km」が設定されている。そして、「ゴール地点を指定」にチェックが入っていないので、ゴール地点には何も設定されていないが、この場合にはデフォルトのゴール地点(例えば自宅)がゴール地点となる。そして、「経由地点」として「ランニングPOIをできるだけ多く含む」、「同レベルのランナーが経由する地点を含む」、「ランナーが頻繁に立ち寄る休憩地を含む」が設定されている。なお、ランニングPOIとは、探索対象ランナーに紐付けられている特徴点の属するクラスタの代表点である説明地点のことを意味する。このような説明地点(ランニングPOI)は、探索対象ランナーに紐付けられている説明地点と考えることもできる。
【0081】
したがって、条件情報としてこれらの設定を受信したサーバ200の制御部210は、まず現在地からスタートしてゴール地点(例えば自宅)に戻る約5kmのランニングコースの候補を抽出する。そして、抽出された候補に対して、経由地点の設定を考慮してさらにランニングコースの絞り込みを行う。
【0082】
例えば、「ランニングPOIをできるだけ多く含む」という条件を満たすために、ランニングコースの候補の中で、
図14の設定で抽出された探索対象ランナーに紐付けられている説明地点をできるだけ多く経由するコースを抽出する。そして、「同レベルランナーが経由する地点を含む」や「ランナーが頻繁に立ち寄る休憩地を含む」という条件を満たすために、ランナーデータベース221中で、ユーザと同レベルのランナーが経由している地点や、ランナーが頻繁に立ち寄る休憩地の地点を抽出して、そのような地点を経由するコースを、それまでに抽出したコースからさらに抽出する。
【0083】
そして、ユーザが「探索」ボタンをクリックしたことをサーバ200が受信したら、サーバ200はそれまでに抽出されたコースに関しての経路情報を電子機器100に送信する。すると、電子機器100の出力部140のディスプレイには、
図16に示すように「ランニングコースの探索結果」として、それまでに設定した条件に合致するランニングコースの候補が表示される。
【0084】
図16では、スタート地点313は現在値の○△公園で、ゴール地点314は自宅で、この間の経路311の距離は5kmで、3つの説明地点320を経由するコースであることが確認できる。そして、「ランニングPOIをマーク表示」にチェックが入っているので、説明地点データベースに記録されている説明地点320が旗のマークで示されていることが確認できる。また、「ランニングPOI以外のPOIをマーク表示」にもチェックが入っているので、元々地図情報に含まれていた特定地点322も旗のマークで示されていることが確認できる。また、スタート地点を現在時刻である12:00:00にスタートすると、ユーザの今までの活動ログデータに基づき、ゴール地点には12:32:00に到着することが推定されることも示されている。
【0085】
なお、上述の経路探索処理(
図17)のステップS302では、制御部210は説明地点データベースから説明地点を抽出しているので、説明地点生成処理によって生成された新規POIのうち条件情報に合致する説明地点が抽出される。しかし、ステップS302では、制御部210は、説明地点データベースから抽出するだけでなく、記憶部220に地図情報として記憶されている既存POIからも条件情報に合致する説明地点を抽出してよい。
【0086】
以上説明したように、説明地点生成処理により、制御部210は、ユーザの希望により合った経路を探索するための情報として、特徴量及び説明情報が付加された説明地点の情報を生成することができる。また、経路探索処理により、制御部210は、ユーザの条件情報に基づいて、ユーザの希望する条件により合った経路を探索することができる。また、経路案内処理により、制御部110は、説明地点の近傍にてユーザに当該説明地点を説明する情報を報知することができる。
【0087】
なお、
図14及び
図15に示したランニングコースの探索条件はあくまでも一例に過ぎない。例えば、探索条件として「信号が少ないコース」という設定があってもよい。この場合、制御部210は、地図情報に信号の位置の情報が含まれる場合には、その情報に基づいて信号が少ないエリアの重心等を説明地点(信号が少ない説明地点)として説明地点データベースに記録し、この説明地点を経由するコースを探索する。地図情報に信号の情報が含まれていない場合は別途信号の位置の情報が得られるデータをダウンロードして信号が少ないエリアの重心等を説明地点(信号が少ない説明地点)として説明地点データベースに記録してもよいし、記憶部220に記憶されているランナーデータベース221中の活動ログデータに基づき、ランナーの停止が少ないエリアの重心等を説明地点(信号が少ない説明地点)として説明地点データベースに記録してもよい。
【0088】
また、
図14では、平均ペースに基づいてフィルタリングしたランナーを探索対象ランナーとしているが、例えばスコア、身長、体重、性別等でフィルタリングをしたり、これらの条件を組み合わせた条件でフィルタリングをしたりしたランナーを探索対象ランナーとしてもよい。そして、制御部210は、このようにフィルタリング(条件フィルタリング)をして得られた探索対象ランナーが利用している(ランニング時に通過している)説明地点を経路途中で経由するようなランニングコースを探索する。
【0089】
また、ユーザの今までのコースの選択履歴や実際の走行履歴に存在する説明地点の特徴量と似た特徴量を持つ説明地点を、経路途中で経由する地点とするフィルタリング(コンテンツフィルタリング)をしてもよい。似た特徴量の説明地点を検索する際には、説明地点の複数の特徴量を正規化して1つのベクトルにまとめて当該説明地点の特徴ベクトルを算出し、特徴ベクトルの類似度(例えばコサイン類似度)が高いものを似た特徴量の説明地点とする。なお、正規化後の特徴量は、例えば以下の式(1)のようにして算出することができる。
正規化後の特徴量a’=(特徴量a-特徴量aの平均)/特徴量aの分散 …(1)
また、式(1)の右辺に特徴量aの信頼性(例えば1/(1+特徴量aの標準偏差))を乗算することにより、信頼性の低い特徴量の影響度を下げてもよい。
【0090】
また信頼性が低い特徴量(
図12のクラスタ代表点FP
AやFP
Bにおける停止回数のように「-」となっている特徴量)が含まれる場合もある。この場合、信頼性が低い特徴量の数が一定数以下の特徴ベクトルのみを類似度計算の対象としたり、信頼性が低い特徴量を除いた状態で類似度を算出し、他のベクトルの要素に基づいて信頼性が低い特徴量を推定してから類似度を算出したりしてもよい。
【0091】
また、ユーザと似たユーザがよく利用している説明地点を経路途中で経由する地点とするフィルタリング(協調フィルタリング)をしてもよい。また、これらの3種類のフィルタリング(条件フィルタリング、コンテンツフィルタリング、協調フィルタリング)を組み合わせて(例えば、各フィルタリングの結果に対してAND演算やOR演算を行って)フィルタリングを行ってもよい。これはハイブリッド型のフィルタリングとなる。
【0092】
なお、一般に地図情報に含まれている特定地点(既存のPOI)には上述の説明地点に付与されているような特徴量は付与されていない。しかし、フィルタリングの対象にしたい特定地点に対して手動で特徴量を付与したり、特定地点の情報(POIデータ)に基づいて特徴量を付与したりすることにより、説明地点だけでなく、特徴量が付与された特定地点も上述のフィルタリングの対象とすることができる。また、手動で既存のPOIに特徴量を付与した場合、制御部210は、その特徴量及び特徴量対応テーブル222に基づいて生成した説明情報を、記憶部220に地図情報として記憶されている既存のPOIに対応付けることができる。
【0093】
また、上記実施の形態では、ユーザの活動として主にランニングを例として説明したが、電子機器100やサーバ200で扱うユーザの活動はランニングに限定されない。例えば、ユーザの活動はウォーキングであってもよいし、サイクリングであってもよい。つまり、ユーザの活動は、移動を伴う任意の活動である。同様に、上述の条件情報は、ユーザが希望する条件を満たすランニングコースの情報に限定されず、移動を伴う活動に関する任意の条件を表す情報である。
【0094】
(その他の変形例)
なお、電子機器100は、スマートウォッチに限らず、センサ部160を備えたスマートフォン、携帯型のタブレットやPC(Personal Computer)等のコンピュータによっても実現することができる。また、サーバ200は、PC等のコンピュータによっても実現することができる。具体的には、上記実施の形態では、制御部110が実行する経路案内処理等のプログラムが記憶部120に予め記憶されており、制御部210が実行する説明地点生成処理等のプログラムが記憶部220に予め記憶されているものとして説明した。しかし、プログラムを、フレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)、MO(Magneto-Optical disc)、メモリカード、USBメモリ等の非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、そのプログラムをコンピュータに読み込んでインストールすることにより、上述の各処理を実行することができるコンピュータを構成してもよい。
【0095】
さらに、プログラムを搬送波に重畳し、インターネットなどの通信媒体を介して適用することもできる。例えば、通信ネットワーク上の掲示板(BBS:Bulletin Board System)にプログラムを掲示して配信してもよい。そして、このプログラムを起動し、OS(Operating System)の制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、上述の各処理を実行できるように構成してもよい。
【0096】
また、制御部110や制御部210は、シングルプロセッサ、マルチプロセッサ、マルチコアプロセッサ等の任意のプロセッサ単体で構成されるものの他、これら任意のプロセッサと、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field‐Programmable Gate Array)等の処理回路とが組み合わせられて構成されてもよい。
【0097】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明は係る特定の実施の形態に限定されるものではなく、本発明には、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲とが含まれる。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0098】
(付記1)
制御部を備え、
前記制御部は、
移動を伴う活動によって得られた位置又は領域に対応する統計情報を取得し、
前記統計情報に基づいて得られた前記位置又は領域の特徴量を取得し、
前記位置又は領域を代表する地点である代表点に対して前記特徴量に応じた説明情報を対応付ける、
ことを特徴とする情報処理装置。
【0099】
(付記2)
前記制御部は、
前記統計情報に基づいて特徴的な位置または領域を特徴点として取得し、
前記取得した特徴点をクラスタリングして得られた各クラスタから前記代表点を算出し、
前記算出した代表点のクラスタに属する前記特徴点の前記統計情報に基づいて前記代表点の特徴量を算出し、
前記代表点に対して前記算出した特徴量に応じた説明情報を対応付ける、
ことを特徴とする付記1に記載の情報処理装置。
【0100】
(付記3)
前記制御部は、
前記統計情報の絶対量又は変化量が閾値を超えた位置を特徴点として抽出し、
前記クラスタに属する全ての特徴点の位置の重心を前記クラスタの代表点とする、
ことを特徴とする付記2に記載の情報処理装置。
【0101】
(付記4)
前記制御部は、
特徴量対応テーブルを参照して、前記代表点の特徴量から前記説明情報を生成し、
前記生成した説明情報を前記代表点に対応付ける、
ことを特徴とする付記1から3のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【0102】
(付記5)
前記特徴量対応テーブルは、前記特徴量についての条件である特徴量条件と説明基礎情報との対応が示されているテーブルであり、
前記制御部は、
前記代表点の前記特徴量が前記特徴量対応テーブルに示される前記特徴量条件を満たしている場合に、前記特徴量条件に対応する前記説明基礎情報に基づいて前記代表点に対応付ける前記説明情報を生成し、
前記生成した説明情報を前記代表点に対応付ける、
ことを特徴とする付記4に記載の情報処理装置。
【0103】
(付記6)
前記制御部は、
前記説明情報を対応付けた前記代表点を説明地点として地図情報に記録する、
ことを特徴とする付記1に記載の情報処理装置。
【0104】
(付記7)
前記地図情報には、説明情報が付与された地点が特定地点として記録されており、
前記制御部は、前記説明地点も前記特定地点として前記地図情報に記録する、
ことを特徴とする付記6に記載の情報処理装置。
【0105】
(付記8)
前記制御部は、
前記活動に関する条件を表す情報である条件情報を取得し、
前記条件情報に基づいて、前記説明地点を含む前記地図情報から前記活動により移動する経路を探索する、
ことを特徴とする付記6又は7に記載の情報処理装置。
【0106】
(付記9)
現在位置を取得する位置取得部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
移動を伴う活動に関する条件を表す情報である条件情報を取得し、
前記条件情報を付記8に記載の情報処理装置に送信し、
前記情報処理装置が探索した経路を取得し、
前記位置取得部で取得した現在位置が、前記説明地点の近傍に到達した場合、前記説明情報を出力する、
ことを特徴とする電子機器。
【0107】
(付記10)
前記条件情報は、
ユーザが指定した条件、前記ユーザの活動履歴、前記ユーザに似ているユーザの活動履歴のうちの少なくとも1つの情報を含む、
ことを特徴とする付記9に記載の電子機器。
【0108】
(付記11)
制御部が、
移動を伴う活動によって得られた位置又は領域に対応する統計情報を取得し、
前記統計情報に基づいて得られた前記位置又は領域の特徴量を取得し、
前記位置又は領域を代表する地点である代表点に対して前記特徴量に応じた説明情報を対応付ける、
ことを特徴とする情報処理方法。
【0109】
(付記12)
情報処理装置の制御部に、
移動を伴う活動によって得られた位置又は領域に対応する統計情報を取得し、
前記統計情報に基づいて得られた前記位置又は領域の特徴量を取得し、
前記位置又は領域を代表する地点である代表点に対して前記特徴量に応じた説明情報を対応付ける、
処理を実行させることを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0110】
100…電子機器、110,210…制御部、120,220…記憶部、121…活動ログデータ、130,230…入力部、140,240…出力部、150,250…通信部、160…センサ部、200…サーバ、221…ランナーデータベース、222…特徴量対応テーブル、300,300A,300B,300C…ランナー、301…ユーザ、310,310A,310B,310C,311…経路、312…特徴点、313…スタート地点、314…ゴール地点、320…説明地点、321…説明情報、322…特定地点