(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175221
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】計測システム
(51)【国際特許分類】
G08C 15/06 20060101AFI20241211BHJP
G08C 15/00 20060101ALI20241211BHJP
G08C 17/00 20060101ALI20241211BHJP
G01R 11/00 20060101ALI20241211BHJP
G06Q 50/06 20240101ALI20241211BHJP
【FI】
G08C15/06 F
G08C15/00 E
G08C17/00 Z
G01R11/00 A
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092800
(22)【出願日】2023-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100182936
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 直樹
(72)【発明者】
【氏名】橋本 真伊知
(72)【発明者】
【氏名】滝澤 勇輝
【テーマコード(参考)】
2F073
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
2F073AA01
2F073AB01
2F073AB05
2F073BB01
2F073BC02
2F073CC03
2F073CC12
2F073CC14
2F073CD11
2F073DD07
2F073GG01
2F073GG06
2F073GG08
5L049CC06
5L050CC06
(57)【要約】
【課題】電力量を含む物理量を計測するシステムにおけるデータ上の測定位置の追加や変更を簡便に行えるようにする。
【解決手段】計測システム(1)は、物理量の計測、及び無線信号の送信が可能な測定器(2)と、測定器による物理量の測定値を収集するサーバ装置(5)と、測定器からの無線信号を受信し、受信した無線信号に含まれる物理量の測定値と測定器を識別する情報とを含む測定データをサーバ装置に転送する中継機(3)と、を備え、測定器は、物理量の計測位置を変更自在であり、中継機は、物理量を計測する測定エリア(7)と関連付けられ、測定器を設置する測定エリアが変更されたときに、サーバ装置が、測定データを転送した中継機を識別する情報に基づいて、測定器と、測定器が設置された測定エリアとの関連付けを変更する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物理量の計測、及び無線信号の送信が可能な測定器と、
前記測定器による物理量の測定値を収集するサーバ装置と、
前記測定器からの無線信号を受信し、受信した前記無線信号に含まれる前記物理量の測定値と前記測定器を識別する情報とを含む測定データを前記サーバ装置に転送する中継機と、を備え、
前記測定器は、前記物理量の計測位置を変更自在であり、
前記中継機は、前記物理量を計測する測定エリアと関連付けられ、
前記測定器を設置する測定エリアが変更されたときに、前記サーバ装置が、前記測定データを転送した前記中継機を識別する情報に基づいて、前記測定器と、前記測定器が設置された測定エリアとの関連付けを変更する、
計測システム。
【請求項2】
前記物理量の計測位置と関連付けられる情報を提供する情報提供部品、をさらに備え、
前記測定器は、前記情報提供部品により提供される前記情報を取得する取得部を有し、取得した前記情報と、前記物理量の測定値及び前記測定器を識別する情報とを含む無線信号を送信する、
請求項1に記載の計測システム。
【請求項3】
前記測定器は、建物内に設置され、前記測定器は、前記建物で使用される電力を利用して自身の動作電力を生成する、
請求項1に記載の計測システム。
【請求項4】
前記測定器は、前記無線信号を送信する無線通信部を含む本体部と、前記物理量を計測する計測部と、を備え、
前記計測部が伝送ケーブルにより前記本体部と接続されている、
請求項1に記載の計測システム。
【請求項5】
前記測定器は、前記無線信号を送信する無線通信部を含む本体部と、前記物理量を計測する計測部と、を備え、
前記計測部が前記本体部と一体的に設けられている、
請求項1に記載の計測システム。
【請求項6】
前記中継機は、無線信号を受信する測定器を識別する測定器情報を格納する記憶部を有し、
前記中継機は、前記測定器情報に基づいて無線信号を受信すると判定した測定器からの無線信号に含まれる前記物理量の測定値と前記測定器を識別する情報との組を含む測定データを前記サーバ装置に転送する、
請求項1に記載の計測システム。
【請求項7】
前記サーバ装置は、前記中継機において無線信号を受信する測定器を識別する測定器情報を格納する記憶部を有し、
前記サーバ装置は、転送された前記測定データと、前記測定データを転送した前記中継機を識別する情報とに基づいて、前記測定器情報を更新する、
請求項6に記載の計測システム。
【請求項8】
前記中継機は、無線信号を受信する測定器を識別する測定器情報を格納する記憶部を有し、
前記サーバ装置は、前記測定器情報を前記中継機に送信し、
前記中継機は、前記測定器情報に基づいて無線信号を受信する測定器とは異なる測定器からの無線信号を受信したときに、前記異なる測定器を識別する情報を含む前記測定データを前記サーバ装置に転送する、
請求項7に記載の計測システム。
【請求項9】
前記測定器は、電力量を測定する電力計を含む、
請求項1に記載の計測システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力量等の物理量の計測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
建物等におけるエネルギーの使用量を一元的に管理するBEMS(Building Energy Management System)は、例えば、建物内での電力の使用量の最適化を可能にする。電力の使用量の最適化のために、BEMSでは、例えば、建物内の複数の測定位置のそれぞれにおいて測定した電力量をサーバ装置で収集して分析する。関連する技術として、特許文献1には、計測した電力データを、インターネットを介して電力計測データ蓄積サーバに転送する技術が記載されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したBEMSでは、電力量を測定する電力計と、測定した電力量をサーバ装置に転送する通信機器とが伝送ケーブルで接続されている。このため、電力量の追加又は測定位置を変更するときに、電力計、計測した電力量をサーバ装置に転送するための通信機器等の設置及び配線に関する各種工事、並びに各種設定の変更作業により高額の費用が発生する。また、各種工事を行う際に対象となる計測システムを一時停止する必要があり、計測データを収集できない期間が生じる。
【0005】
本発明は、電力量等の物理量を計測するシステムにおけるデータ上の測定位置の追加や変更を簡便に行えるようにすることを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの態様に係る計測システムは、物理量の計測、及び無線信号の送信が可能な測定器と、前記測定器による物理量の測定値を収集するサーバ装置と、前記測定器からの無線信号を受信し、受信した前記無線信号に含まれる前記物理量の測定値と前記測定器を識別する情報とを含む測定データを前記サーバ装置に転送する中継機と、を備え、前記測定器は、前記物理量の計測位置を変更自在であり、前記中継機は、前記物理量を計測する測定エリアと関連付けられ、前記測定器を設置する測定エリアが変更されたときに、前記サーバ装置が、前記測定データを転送した前記中継機を識別する情報に基づいて、前記測定器と、前記測定器が設置された測定エリアとの関連付けを変更する。
【発明の効果】
【0007】
上述の態様によれば、電力量等の物理量を計測するシステムにおけるデータ上の測定位置の追加や変更を簡便に行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態に係る計測システムの構成例を説明する図である。
【
図3】測定器であり得る電力計の設置方法の例を示す図である。
【
図4】サーバ装置の構成例を示すブロック図である。
【
図6】中継機からサーバ装置への測定データの転送方法の例を説明するシーケンス図である。
【
図7】中継機からサーバ装置に転送される測定データの構成例を示す図である。
【
図8】サーバ装置が受信する測定データの例を示す図である。
【
図9】
図8に例示した測定データを受信したときにサーバ装置の記憶部に格納される測定データの例を示す図である。
【
図10】第1の時点でサーバ装置の記憶部に格納されている測定データの例を示す図である。
【
図11】第1の時点よりも後の第2の時点でサーバ装置の記憶部に格納されている測定データの例を示す図である。
【
図12】一実施形態に係る計測システムにおけるサーバ装置の別の構成例を示すブロック図である。
【
図13】
図12のサーバ装置に格納される測定器情報の例を示す図である。
【
図14】
図12に例示したサーバ装置と組み合わせて用いられる中継機の構成例を示すブロック図である。
【
図15】
図14の中継機に格納される測定器情報の例を示す図である。
【
図16】中継機からサーバ装置への測定データの転送方法の別の例を説明するシーケンス図である。
【
図17】
図16のデータ収集処理の例を説明するフローチャートである。
【
図18】中継機からサーバ装置への測定データの転送方法の更に別の例を説明するシーケンス図である。
【
図19】
図18のシーケンスによって更新された測定器情報の一例を示す図である。
【
図20】測定器の設置位置の例を説明する図である。
【
図21】測定器により設置位置を取得する方法の例を説明する図である。
【
図23】電子タグを利用した測定器の設置位置の認識方法の例を説明する図である。
【
図24】中継機からサーバ装置に送信される測定データの例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る計測システムの実施形態を詳細に説明する。
【0010】
図1は、一実施形態に係る計測システムの構成例を説明する図である。
図1に例示した計測システム1は、例えば、建物における電力量等の物理量を計測するシステムであり、計測した物理量はその建物に対するBEMSで利用される。
図1に例示した計測システム1は、測定器2と、中継機3と、親機4と、サーバ装置5とを含む。
【0011】
測定器2は、物理量の計測と、無線通信とが可能な装置である。測定器2は、例えば、電力量を計測することができる。測定器2により計測可能な物理量は、特定の物理量に限定されない。測定器2は、複数の物理量を計測可能であってもよい。測定器2は、例えば、周知の無線通信規格に従った無線通信を行うことができる。測定器2は、例えば、Bluetooth(登録商標)、BLE(Bluetooth Low Energy(登録商標))、Wi-Fi(登録商標)、及びZigBee(登録商標)のいずれかに従った無線通信を行うことができる。測定器2には、物理量の計測位置を変更自在な(言い換えると、簡易な方法、作業により計測位置を変更可能な)周知の構成のものを利用することができる。例えば、電力量を計測する測定器2として、無線通信機能を有する周知のクランプ式の電力計を利用することができる。本明細書及び参照図面において、複数の測定器2は、符号2に続く識別情報(「(#A)」、「(#B)」等)により区別される。
【0012】
中継機3及び親機4は、測定器2により計測した物理量を取得してサーバ装置5に転送する通信機器である。中継機3は、測定器2と無線通信が可能であり、かつ親機4と有線又は無線接続される。中継機3には、例えば、無線通信する(すなわち、無線信号を受信する)測定器2の組み合わせを変更自在な(言い換えると、簡易な方法、作業により、又は自動的に無線通信する測定器2を変更可能な)周知の通信機器を利用することができる。親機4は、中継機3との有線又は無線の無線接続、及びインターネット等の通信ネットワーク6との有線又は無線接続が可能である。中継機3は、測定器2から取得した物理量等の情報を、親機4及び通信ネットワーク6を介してサーバ装置5に転送可能なデータ形式の情報(例えば、IPパケット)に変換してサーバ装置5に向けて送信することができる。本明細書及び参照図面において、複数の中継機3は、符号3に続く識別情報(「(#1)」、「(#2)」等)により区別される。なお、複数の中継機3の内の1つ以上の中継機3は、親機4を介することなく通信ネットワーク6と有線又は無線接続されてもよい。また、中継機3は、親機4及び通信ネットワーク6を介することなくサーバ装置5と有線又は無線接続されてもよい。
【0013】
サーバ装置5は、中継機3から転送された情報を蓄積する。サーバ装置5は、蓄積した情報を分析することが可能であってもよい。
【0014】
本実施形態の計測システム1における中継機3は、例えば、建物内に設定される測定エリア7と関連付けられる。複数の測定エリア7は、符号7に続く識別情報(「(#1)」、「(#2)」等)により区別される。例えば、測定エリア7(#1)は、建物の1階部分であり得、測定エリア7(#2)は、建物の2階部分であり得る。なお、本明細書及び参照図面における1つの測定エリア7は、空間的な範囲を意図するものに限らず、単一の中継機3と無線通信を行う測定器2のグループを意図するものであってもよい。例えば、中継機3(#1)と無線通信可能な空間的な範囲の一部が中継機3(#2)と無線通信可能な空間的な範囲の一部と重複しており、中継機3(#1)と無線通信可能な空間的な範囲内に設置された測定器2が、中継機3(#2)と無線通信を行うように設定されてもよい。
【0015】
なお、本実施形態の計測システム1における中継機3は、2つに限定されない。中継機3は、3つ以上であってもよい。また、後述する測定器2の設置位置に関する情報も収集する計測システム1等では、中継機3が1つであってもよい。
【0016】
図2は、測定器の構成例を示すブロック図である。
図3は、測定器であり得る電力計の設置方法の例を示す図である。
【0017】
図2に例示した測定器2は、本体部200と、計測部280とを備える。本体部200は、制御部210と、記憶部220と、入力部230と、表示部240と、無線通信部250とを含む。
【0018】
制御部210は、測定器2の動作を制御する。例えば、制御部210は、計測部280による計測、及び無線通信部250を介した中継機3との無線通信を制御する。記憶部220は、自装置の識別情報、制御部210による制御に利用されるプログラム、計測部280により計測された測定値等を記憶する。入力部230は、測定器2の動作設定等の各種情報の入力を受け付ける。表示部240は、測定器2の動作設定、計測部280により計測された測定値等を表示する。無線通信部250は、アンテナ251を含み、測定器2から中継機3に送信する信号の無線信号への変調、中継機3から受信した無線信号の復調等を行う。
【0019】
測定器2の計測部280は、例えば、建物における電力の使用量を、計測位置を変更自在な方法で直接的に、又は間接的に計測するものであり得る。電力の使用量を計測する測定器2は、例えば、クランプ式の電力計等の周知の電力計であってよい。測定器2としてクランプ式の電力計を用いる場合、例えば、
図3に例示するように、分電盤8と負荷9(例えば、空調機器、照明機器等)との間の配線10にクランプ式の計測部280を取り付けて負荷9で使用(消費)される電力量を計測することができる。計測部280で計測した電力量は、本体部200から中継機3に、無線通信によって送信される。
【0020】
なお、測定器2としての電力計によって電力量を計測する位置は、特定の位置に限定されない。クランプ式の計測部280は、配線10の任意の位置に対して簡易な方法で着脱することができ、電力量を計測する位置を容易に変更することができる。クランプ式の計測部280を備えた測定器2を用いると、電力量の計測位置を、例えば、配線10のうちの負荷9に近い部分から分電盤8に近い部分に変更する作業を容易に行うことができる。また、例えば、分電盤8と配電盤11との間の配線12で電力量を計測してもよい。更に、計測システム1の測定器2は、上述した電力計に限定されない。例えば、計測システム1の測定器2は、電流計、温度計、湿度計、騒音計等を含んでもよく、1つの測定器2が複数の物理量を計測可能なものであってもよい。
【0021】
測定器2における本体部200のハードウェア構成は、
図2を参照して上述した各ブロックの機能を実現可能な構成であればよい。測定器2は、測定エリア7への設置作業、測定位置の変更作業等を容易に行うことが可能な小型で軽量のものであることが好ましいが、特定の構成のものに限定されない。測定器2は、例えば、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)により策定された標準規格IEEE802.15.4に従う無線通信が可能なマイコンモジュール(例えば、TWELITE(登録商標))を備えたものであってもよい。測定器2は、バッテリで動作するものに限らず、建物内の配線により供給されるその建物で使用される電力を利用して(例えば、測定対象の自己誘電を利用することで測定器2で使用する電力を生成して)動作するものであってもよい。また、計測部280は、伝送ケーブルにより本体部200と接続されるものであってもよいし、本体部200と一体的に設けられたものであってもよい。
【0022】
本実施形態の計測システム1では、例えば、計測タイミングに関する所定のルールに従って測定器2で計測して得た測定値は、中継機3(及び親機4)を介してサーバ装置5に転送される。
【0023】
図4は、サーバ装置の構成例を示すブロック図である。
図5は、測定データの例を示す図である。
【0024】
図4に例示したサーバ装置5は、制御部510と、記憶部520と、入力部530と、出力部540と、通信部550とを含む。
【0025】
制御部510は、サーバ装置5の動作を制御する。例えば、制御部510は、記憶部520に記憶された図示しないOS(Operationg System)のプログラム、その他のアプリケーションプログラムを読み出して実行することにより、サーバ装置5の各種動作を制御する。制御部510が実行するアプリケーションプログラムは、中継機3から転送される計測情報を測定データ521として記憶部520に蓄積する処理を実行するプログラムを含む。測定データ521は、例えば、
図5に例示したように、測定器2による計測日時と測定値とを含む測定データが、中継機3と関連付けられる測定エリア毎にグループ分けされている。
図5の測定データ521における測定日時を示す文字列(例えば、TF001、TS001等)は、測定日時を示す情報が特定の形式の情報に限定されないことを意図する。例えば、測定データ521における測定日時の情報は、年、月、日、時、分、及び秒で表される具体的な日時であってもよいし、ある基準日時からの経過時間であってもよいことを意図する。
図5の測定データ521における測定値を示す文字列(例えばYA001、YB001、YC001、YD001等)は、測定値を示す情報が特定の形式の情報に限定されないことを意図する。例えば、測定データ521における測定値の情報は、計測した物理量の具体的な値であってもよいし、任意単位での基準値に対する相対的な値であってもよいことを意図する。なお、測定データ521のデータ形式は、
図5に例示した形式に限定されない。
【0026】
入力部530は、例えば、キーボードやマウスなどの入力装置であり得る。出力部540は、例えば、液晶ディスプレイ等の表示装置やプリンタ等の出力装置であり得る。通信部550は、有線又は無線通信によりサーバ装置5をインターネット等の通信ネットワーク6と接続する通信制御装置であり得る。
【0027】
図6は、中継機からサーバ装置への測定データの転送方法の例を説明するシーケンス図である。
図7は、中継機からサーバ装置に転送される測定データの構成例を示す図である。
【0028】
計測システム1の中継機3は、例えば、あらかじめ定められた計測タイミングに関する所定のルールに従って、
図6に例示したステップS101~S104の処理を定期的に行う。
図6には1つの中継機3(#1)のみを示しているが、計測システム1に含まれるすべての中継機3がステップS101~S104の処理を定期的に行う。
【0029】
ステップS101では、中継機3は、測定器2の探索を行う。中継機3は、測定器2との無線通信のためのアドバタイズを行い、測定器2からの応答又は接続要求を待つ。例えば、Bluetooth又はBLEにより測定器2との無線通信が行われる場合、中継機3はビーコンを発信する。中継機3は、測定器2を検出するまでアドバタイズを繰り返す(ステップS102;NO)。中継機3は、ステップS101のアドバタイズを開始してから所定の時間が経過するまでに測定器2を検出しなかった場合、ステップS103及びS104の処理を省略してもよい。
【0030】
測定器2を検出すると(ステップS102;YES)、中継機3は、検出した測定器2と無線通信を行い、測定器2で測定した物理量の測定値を取得する(ステップS103)。その後、中継機3は、自装置を識別する情報(中継機ID)と、検出した測定器2を識別する情報(測定器ID)と、その測定器2から取得した測定値とを含む測定データをサーバ装置5に送信する。測定データは、例えば、
図7に例示したIPパケット13により中継機3からサーバ装置5に送信される。IPパケット13のIPデータ部には、中継機3を識別する中継機IDと、測定日時と、測定器2を識別する測定器ID及び測定値とが含まれる。1つの中継機3において複数の測定器2から測定値を取得した場合、IPデータ部には、測定器2毎の測定器IDと測定値との組が格納される。
【0031】
中継機3からの測定データを受信したサーバ装置5は、受信した測定データに含まれる中継機ID、測定日時、測定器ID及び測定値を識別し(ステップS105)、測定データ521内に格納する(ステップS106)。測定データ521内の情報は、デジタルデータであり、通常、項目を指定してソートする(並び替える)ことが可能である。このため、受信した測定データを測定データ521内に追加する方式は特定の方式に限定されない。言い換えると、サーバ装置5の記憶部520内の測定データ521における測定日時及び測定値の並び順は、例えば、
図5に例示したような測定器2毎に分類されていてもよいし、測定器2(#1)のデータと測定器2(#2)のデータとが交互に又はランダムなっていてもよい。
【0032】
図8は、サーバ装置が受信する測定データの例を示す図である。
図9は、
図8に例示した測定データを受信したときにサーバ装置の記憶部に格納される測定データの例を示す図である。
【0033】
図8の(a)には、中継機3(#1)と関連付けられる測定エリア7(#1)内に測定器2(#A)のみが設置されている場合に、中継機3(#1)からサーバ装置5に転送されるIPパケット13を例示している。IPパケット13のIPデータ部には、中継機IDとしての「#1」及び測定日時に続けて、測定器2(#A)を識別する測定器ID及び測定値の組としての「#A,YA001」のみが格納されている。このようなIPパケット13を受信したサーバ装置5は、測定器2(#A)で測定して得た測定値のみを記憶部520の測定データ521に追加する。このため、例えば、測定日時がTF001からTF026までの期間、測定エリア7(#1)内に測定器2(#A)のみが設置されていると、測定日時がTF026であるIPパケット13を受信したときの測定データ521は、
図9の(a)に例示したようになる。
【0034】
そして、例えば、測定日時がTF0026とTF027との間で測定エリア7(#1)内に測定器2(#B)が新たに設置されたとする。この場合、
図8の(b)に例示するように、測定日時がTF027となるIPパケット13のIPデータ部には、通信機IDとしての「#1」及び測定日時に続けて、測定器2(#A)を識別する測定器ID及び測定値の組としての「#A,YA027」と、測定器2(#B)を識別する測定器ID及び測定値の組としての「#B,YB001」とが格納されている。このようなIPパケット13を受信したサーバ装置5は、測定器2(#A)で測定して得た測定値と、測定器2(#B)で測定して得た測定値とを記憶部520の測定データ521に追加する。このため、測定日時がTF027であるIPパケット13を受信すると、測定データ521は、
図9の(b)に例示したようになる。すなわち、測定データ521における測定エリア7(#1)に対する測定データは、測定器2(#A)で測定して得た測定値と、測定器2(#B)で測定して得た測定値とを含むものになる。このため、本実施形態に係る計測システム1では、測定エリア7に新たに設置された測定器2を自動的に検出し、その測定器2により測定した物理量(例えば、電力量)の測定値を自動的に収集することができる。
【0035】
図10は、第1の時点でサーバ装置の記憶部に格納されている測定データの例を示す図である。
図11は、第1の時点よりも後の第2の時点でサーバ装置の記憶部に格納されている測定データの例を示す図である。第1の時点は、測定器2(#B)の設置位置が変更される前の計測期間における任意の時点であり、第2の時点は、測定器2(#B)の設置位置が変更された後の最初の測定タイミングである。
【0036】
図10には、2つの測定器2(#A)及び測定器2(#B)が測定エリア7(#1)に設置されており、別の2つの測定器2(#C)及び測定器2(#D)が別の測定エリア7(#2)に設置されている場合に、サーバ装置5の記憶部520に格納される測定データ521の一例を示している。すなわち、中継機3(#1)からサーバ装置5に送信されるIPパケット13は、
図8の(b)に例示したように、測定器2(#A)で測定して得た測定値と、測定器2(#B)で測定して得た測定値とを含む。
【0037】
本実施形態のような計測システム1を利用して建物内の物理量(例えば、電力量)を計測している場合、例えば、測定エリア7(#1)に設置されている測定器2(#B)を別の測定エリア7(例えば、測定エリア7(#2))に移動させることがある。測定器2(#B)を設置する測定エリア7を変更する場合、通常、サーバ装置5において測定器2(#B)が無線通信を行う中継機3を、測定エリア7(#1)と関連付けられる中継機3(#1)から測定エリア7(#2)と関連付けられる中継機3(#2)に変更する作業が発生する。また、測定器2(#B)と中継機3との通信が有線で行われる従来の計測システムでは、測定器2(#B)を中継機3(#2)と接続するための工事が発生する。
【0038】
しかしながら、本実施形態の計測システム1では、測定器2(#B)の設置場所を測定エリア7(#1)から測定エリア7(#2)に変更すると、測定エリア7(#1)と関連付けられる中継機3(#1)は測定器2(#B)との無線通信を行わなくなる。このため、中継機3(#1)からサーバ装置5に送信される測定データのIPパケット13は、
図8の(b)に例示したものから、
図8の(a)に例示したもの(すなわち、測定器2(#A)で測定して得た測定値のみを含むもの)に変更される。また、測定器2(#B)が測定エリア7(#2)に設置され、測定器2(#B)と中継機3(#2)との無線通信が行われると、中継機3(#2)からサーバ装置5に送信されるIPパケット13は、測定器2(#C)で測定して得た測定値と、測定器2(#D)で測定して得た測定値と、測定器2(#B)で測定して得た測定値とを含む。このため、測定器2(#B)の設置場所を測定エリア7(#1)から測定エリア7(#2)に変更した後、サーバ装置5の記憶部520に格納される測定データ521は、
図11に例示したようになる。すなわち、本実施形態の計測システム1では、測定器2の設置位置(測定器2による計測を行う測定エリア)が変更されたことを自動的に検出し、その測定器2により測定した物理量(例えば、電力量)の測定値を変更後の測定エリアと関連付けて自動的に収集することができる。また、測定器2が上述したクランプ式の電力計であれば、工事不要で、測定器2の設置位置を簡単に変更することができる。
【0039】
このように、本実施形態の計測システム1では、測定器2の追加、又は測定器2を設置する測定エリア7が変更されたときに、測定エリア7(中継機3)と関連付けられる測定器2の組み合わせが自動的に変更される。このため、例えば、サーバ装置5の記憶部520等に記憶されるデータ上の測定器2の設置位置(計測位置)の追加や変更を簡便に行うことができる。例えば、上述した計測システム1では、サーバ装置5のオペレータ等が、
図13を参照して後述するような測定器2の設置場所を示す情報を含む測定器情報を編集することができる。本実施形態の計測システム1では、測定器2の設置場所(計測位置)が変更されたときに測定器情報に含まれる測定器2の設置場所を示す情報が更新され得るので、測定器情報を編集作業の手間が軽減される。
【0040】
なお、本発明に係る計測システム1は、上述した実施形態に従うものに限定されない。
【0041】
図12は、一実施形態に係る計測システムにおけるサーバ装置の別の構成例を示すブロック図である。
図13は、
図12のサーバ装置に格納される測定器情報の例を示す図である。
【0042】
図12に例示したサーバ装置5は、制御部510と、記憶部520と、入力部530と、出力部540と、通信部550とを含む。
図12に例示したサーバ装置5の記憶部520には、上述した測定データ521に加え、測定器情報522が格納される。測定データ521には、上述した通り、中継機3からサーバ装置5に転送された測定器2による物理量の測定値が格納される。測定器情報522は、例えば、
図13に示すように、測定器2を識別する情報(測定器ID)と、種別と、測定方法と、設置場所とが、その測定器2が設置された測定エリア7を識別する情報と関連付けられて格納される。測定器2の種別は、計測する物理量を示す情報であり得る。設置場所は、測定エリア7と関連付けられる建物内の位置情報であり得る。設置場所は、測定器2により物理量を計測する位置を示す情報であってもよい。測定器情報522は、測定器2がどの物理量を計測し、どの測定エリア7に設置される(どの中継機3と無線通信する)ものであるかを管理することができればよく、データ形式は特定の形式に限定されない。測定器情報522は、例えば、サーバ装置5のオペレータが、入力部530であり得るキーボードやマウスを操作して入力して記憶部520に格納することができる。サーバ装置5の記憶部520に格納した測定器情報522は、例えば、測定エリア7毎に、測定エリア7と関連付けられる中継機3に送信される。
【0043】
図14は、
図12に例示したサーバ装置と組み合わせて用いられる中継機の構成例を示すブロック図である。
図15は、
図14の中継機に格納される測定器情報の例を示す図である。
【0044】
図14に例示した中継機3は、制御部310と、記憶部320と、入力部330と、表示部340と、第1通信部350と、第2通信部360とを備える。
【0045】
制御部310は、中継機3の動作を制御する。例えば、制御部310は、記憶部320に記憶された図示しないOSのプログラム、その他のアプリケーションプログラムを読み出して実行することにより、中継機3の各種動作を制御する。制御部310が実行するアプリケーションプログラムは、サーバ装置5から転送される測定器情報を測定器情報321として記憶部320に格納する処理を実行するプログラム、測定器情報321を参照して測定器2から測定値を取得する処理を実行するプログラムを含む。測定器情報321は、その測定器情報321を参照する中継機3が無線通信を行う測定器2に関する情報を含む。測定器情報321は、例えば、
図15に示したように、測定器2を識別する測定器IDと、種別と、測定方法等の情報を含む。なお、測定器情報321のデータ形式は、
図15に例示した形式に限定されない。
【0046】
入力部330は、中継機3の動作設定等の各種情報の入力を受け付ける。表示部340は、中継機3の動作設定及び動作状態等を表示する。第1通信部350は、例えば、有線又は無線通信により中継機3を親機4又はインターネット等の通信ネットワーク6と接続する通信制御装置であり得る。なお、中継機3は、上述のように、親機4を介さずに通信ネットワーク6と接続されてもよいし、親機4及び通信ネットワーク6を介さずにサーバ装置5と接続されてもよい。
【0047】
第2通信部360は、アンテナ361を含み、中継機3から測定器2に向けて送信(発信)する信号の無線信号への変調、測定器2から受信した無線信号の復調等を行う。
【0048】
図16は、中継機からサーバ装置への測定データの転送方法の別の例を説明するシーケンス図である。
図17は、
図16のデータ収集処理の例を説明するフローチャートである。
図16には、
図14及び
図15を参照して上述した中継機3と、
図12及び
図13を参照して上述したサーバ装置5との間で行われる測定データの転送処理に関するシーケンスを示している。
【0049】
図12及び
図13を参照して上述したサーバ装置5は、例えば、サーバ装置5のオペレータによる所定の操作を契機として、測定器情報を抽出し(ステップS201)、抽出した測定器情報を対象の中継機3に送信する(ステップS202)。サーバ装置5は、例えば、
図13に例示した測定器情報522から測定エリア7(#1)と関連付けられる測定器2(#A)及び測定器2(#B)の情報を含む測定器情報を抽出し、中継機3(#1)に送信する。サーバ装置5からの測定器情報を受信した中継機3(#1)は、受信した測定器情報を測定器情報321として記憶部320に格納する(図示せず)。
【0050】
測定器情報321を記憶部320に格納した後、中継機3は、測定器2で測定した測定値を含む測定データを収集するデータ収集処理(ステップS230)を行い、収集した測定データをサーバ装置5に送信する(ステップS204)。ステップS204において中継機3からサーバ装置5に送信される測定データは、上述したIPパケット13の形式であり得る。中継機3からの測定データを受信したサーバ装置5は、受信した測定データに含まれる中継機ID、測定日時、測定器ID及び測定値を識別し(ステップS205)、測定データ521内に格納する(ステップS206)。
【0051】
図16を参照して上述した一連の処理におけるデータ収集処理(ステップS203)は、例えば、
図17に示したフローチャートに沿った処理であり得る。
【0052】
データ収集処理を開始した中継機3は、まず、測定器2との無線通信のためのアドバタイズを開始し(ステップS211)、測定器2からの応答又は接続要求を待つ(ステップS212)。中継機3は、測定器2を検出するまでアドバタイズを繰り返す(ステップS212;NO)。中継機3は、アドバタイズを開始してから所定の時間が経過するまでに測定器2を検出しなかった場合、ステップS217のアドバタイズを終了する処理に移行してデータ収集処理を終了してもよい。
【0053】
測定器2を検出すると(ステップS212;YES)、中継機3は、検出した測定器2と無線通信を行い、検出した測定器2を識別する測定器IDが測定器情報321に登録されているか否かを判定する(ステップS213)。登録されていない場合(ステップS213;NO)、中継機3は、検出した測定器2から測定値を取得せずにステップS212の判定に戻る。
【0054】
検出した測定器2が測定器情報321に登録されている場合(ステップS213;YES)、中継機3は、その測定器2から測定データを取得済みであるか否かを判定する(ステップS214)。取得済みである場合(ステップS214;YES)、中継機3は、検出した測定器2から測定値を取得せずにステップS212の判定に戻る。
【0055】
測定データをまだ取得していない場合(ステップS214;NO)、中継機3は、測定器2と無線通信を行って測定データを取得し(ステップS215)、全測定データを取得済みであるか否かを判定する(ステップS216)。ステップS215で取得したデータは、記憶部320に一時的に格納される。ステップS216において、中継機3は、測定器情報321に含まれる全ての測定器2のそれぞれから測定データを取得したか否かを判定する。測定データを取得していない測定器2がある場合(ステップS216;NO)、中継機3は、ステップS212の判定に戻る。
【0056】
すべての測定器2のそれぞれから測定データを取得した場合(ステップS216;YES)、中継機3は、アドバタイズを終了し(ステップS217)、データ収集処理を終了する。
【0057】
図16及び
図17を参照して上述した中継機3からサーバ装置5への測定データの転送処理において、中継機3は、無線通信を行うべき測定器2を示す測定器情報321を参照して測定器2から測定データを取得する。このため、例えば、中継機3からサーバ装置5に転送された測定データに基づいて、その中継機3が無線通信を行うべき複数の測定器2のうちのいくつかの測定器2と無線通信できなかったことを早期に検知することができる。
【0058】
また、中継機3に測定器情報321を提供する計測システム1は、測定器情報321に基づいて、サーバ装置5の記憶部520に格納された測定器情報522の更新を容易に行うことができる。
【0059】
図18は、中継機からサーバ装置への測定データの転送方法の更に別の例を説明するシーケンス図である。
図19は、
図18のシーケンスによって更新された測定器情報の一例を示す図である。
【0060】
図18に例示したシーケンスにおけるステップS201~S203は、それぞれ、
図16を参照して上述したステップS201~S203の通りでよい。また、ステップS203のデータ収集処理は、
図17に例示したステップS211~S217を含む処理であってよい。なお、
図18に例示したシーケンスで実施されるデータ収集処理では、ステップS213で測定器情報312に登録されていないと判定したときに、その登録されていない測定器2を識別する情報(測定器ID)を記憶部320に一時的に格納する。そして、データ収取処理の後、中継機3は、測定データをサーバ装置5に送信するときに、測定器情報312に登録されている測定器2から取得した測定データとともに、測定器情報312に登録されていない測定器2の測定器IDをフィードバック情報として送信する(ステップS204a)。
【0061】
中継機3からの測定データを受信したサーバ装置5は、受信した測定データに含まれる中継機ID、測定日時、測定器ID及び測定値を識別し(ステップS205)、測定データ521内に格納する(ステップS206)。また、サーバ装置5は、測定データとともに受信した中継機3からのフィードバック情報に基づいて、測定器情報522を更新する(ステップS207)。測定器情報522を更新した場合、サーバ装置5は、無線信号を受信する測定器2の組み合わせが変更された中継機3についての測定器情報を抽出してその中継機3に送信する。
【0062】
図18を参照して上述した中継機3(#1)からサーバ装置5への測定データの転送処理において、中継機3(#1)が測定器情報321に登録されていない測定器2(#G)を検出したとする。この場合、中継機3(#1)は、計測データとともに、測定器2(#G)を検出したことを示すフィードバック情報をサーバ装置5に送信する。これにより、サーバ装置5は、ステップS207において測定器情報522を更新する。更新された測定器情報522は、
図19に例示したように、測定器2(#G)の測定器ID、種別、測定方法、設置場所等が測定エリア7(#1)と関連付けられる。このとき、測定器2(#G)の種別、測定方法、設置場所等は未設定であり、例えば、サーバ装置5のオペレータが後に入力部430を利用して設定することができる。
【0063】
このように、
図18及び
図19を参照して上述した処理を行う計測システム1では、測定器情報312に登録されていない測定器2が存在することをサーバ装置5に通知(フィードバック)することができる。このため、サーバ装置5の出力部540に表示される測定器情報522の編集画面は、測定器2の追加や測定エリア7の変更が反映されたものになっており、オペレータによる確認作業の手間が省け編集作業が容易になる。また、例えば、サーバ装置5の測定器情報522に登録されていない測定器2の存在を早期に知ることができ、未登録の測定器2による測定が無駄になってしまうことを抑制することができる。
【0064】
なお、
図18及び
図19を参照して上述した処理を行う計測システム1では、例えば、中継機3からサーバ装置5に測定データとともに送信するフィードバック情報が、未登録の測定器2を示す情報(測定器ID)と、その測定器2から取得した測定値とを含んでもよい。この場合、サーバ装置5は、フィードバック情報に含まれる測定器IDと測定値との組を測定データ521に格納することができ、未登録の測定器2による測定の無駄をなくすことができる。例えば、
図19に例示した未登録の測定器2(#G)から取得した測定値を測定データ521に格納しておくと、測定器情報522の測定器2(#G)の種別、測定方法等、及び設置場所を設定した後、測定データ521に格納しておいた測定値をBEMSの分析等に利用することができる。
【0065】
また、上述した計測システム1における測定器2の設置位置を示す情報は、サーバ装置5のオペレータが入力する代わりに、例えば、測定器2が取得してもよい。
【0066】
図20は、測定器の設置位置の例を説明する図である。
図21は、測定器により設置位置を取得する方法の例を説明する図である。
図22は、
図21の測定器の構成例を示すブロック図である。
【0067】
図20に例示した測定エリア7(#1)において、分電盤8から負荷911~913に電力を供給する配線10は、一端が分電盤8に接続された第1の部分10Aと、第1の部分10Aの他端から分岐した第2の部分10B、第3の部分10C、及び第4の部分10Dとを含む。第2の部分10Bは第1の負荷911に電力を供給し、第3の部分10Cは第2の負荷912に電力を供給し、第4の部分10Dは第3の負荷913に電力を供給している。このような配線がなされた測定エリア7(#1)における電力量の計測は、例えば、下記(1)~(4)の位置のうちの1つ以上で行われる。
(1)配線10の第2の部分10Bのうちの第1の負荷911に近い位置P101。
(2)配線10の第3の部分10Cのうちの第2の負荷912に近い位置P102。
(3)配線10の第4の部分10Dのうちの第3の負荷913に近い位置P103。
(4)配線10の第1の部分10Aのうちの中間位置P104。
【0068】
図20の測定エリア7(#2)における電力量の計測もまた、例えば、上記(1)~(4)の位置のうちの1つ以上で行われる。
【0069】
このように、計測する物理量が同一である複数の測定器2を測定エリア7に設置する場合、例えば、追加された、又は設定位置が変更された測定器2を検出したときに、その測定器2がどの位置に設置されているかをサーバ装置5のオペレータが認識することは難しい。
【0070】
計測システム1において測定器2の設置位置を正しく認識するための方法の1つとして例えば、
図21に示すように、建物の壁14における配線10の近傍に電子タグ15等を貼り付けておき、測定器2により電子タグ15を識別する情報を読み取る方法が挙げられる。電子タグ15は、壁14のうちの、例えば、上記の各位置P101~104に貼り付ける。各位置に貼り付けられた複数の電子タグ15は、チップのシリアルナンバー等により識別可能である。このため、上記の各位置P101~104の何れかに設置された測定器2で電子タグ15の識別情報を読み取り、読み取った識別情報を測定した測定値とともに中継機3を介してサーバ装置5に送信することにより、サーバ装置5において測定器2が設置された位置を容易に認識することができるようになる。なお、上述した電子タグ15を利用して認識する位置は、測定器2による計測位置(計測部280の位置)と読み替えてもよい。
【0071】
電子タグ15を読み取り可能な測定器2は、例えば、
図22に示したような構成であり得る。
図22に例示した測定器2は、本体部200と、計測部280とを備える。本体部は、制御部210と、記憶部220と、入力部230と、表示部240と、アンテナ251を含む無線通信部250と、読取部260とを備える。制御部210、記憶部220、入力部230、表示部240、及び無線通信部250は、それぞれ、
図2を参照して上述した通りであってよい。読取部260は、例えば、RFID(Radio Frequency Identification)リーダであってよい。
【0072】
図23は、電子タグを利用した測定器の設置位置の認識方法の例を説明する図である。
図24は、中継機からサーバ装置に送信される測定データの例を説明する図である。
【0073】
電子タグ15を利用して測定器2の設置位置を認識する場合、例えば、
図23に示したタグ設置位置情報523を作成して記憶部520に格納しておく。タグ設置位置情報523は、測定エリア7毎に、電子タグ15を貼り付けた位置と電子タグ15を識別する情報(タグID)との組が格納されている。
【0074】
例えば、測定エリア7(#1)の2つの位置P101及びP103に電力を計測する測定器2がそれぞれ設置されている場合、中継機3(#1)からサーバ装置5に送信される測定データ(IPパケット13)は、
図24に示したように、タグIDを含む。タグIDを含む測定データを受信したサーバ装置5は、例えば、
図23に例示したようなタグIDを含む測定データ521を蓄積する。このようなサーバ装置5では、測定データ521におけるタグIDと、タグ設置位置情報523のタグIDとにより、測定器2の設置位置をように認識(特定)することができる。
【0075】
このように、電子タグ15を利用して測定器2の設置位置を認識することにより、追加された測定器2の設置位置、及び設置位置が変更された測定器2の変更後の設置位置をサーバ装置5において容易に認識することができる。また、電子タグ15を識別するタグIDに基づいて測定器2の設置位置を認識するため、例えば、測定器2の設置位置の誤りや意図しない変更等を早期に発見することができる。
【0076】
上述した電子タグ15は、測定器2による物理量の計測位置と関連付けられる情報を提供する情報提供部品の一例に過ぎない。情報提供部品は、例えば、測定器2に設けた端子、又は測定器2に接続された伝送ケーブルの端子を、差し込むことにより測定器2に対して識別情報が伝送される電子装置であってもよい。上述した測定器2の読取部260は、情報提供部品により提供される情報を取得する取得部であり、そのハードウェア構成は、情報提供部品による情報の提供方法に応じて変更される。また、例えば、測定器2の読取部260は、情報提供部品の表面に印刷された文字情報やバーコード等の図形情報を光学的に、又は磁気的に読み取るものであってもよい。
【0077】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらに、技術の進歩又は派生する別技術によって、技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その仕方を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
【符号の説明】
【0078】
1 計測システム
2 測定器
200 本体部
210 制御部
220 記憶部
230 入力部
240 表示部
250 無線通信部
251 アンテナ
260 読取部
280 計測部
3 中継機
310 制御部
320 記憶部
321 測定器情報
330 入力部
340 表示部
350 第1通信部
360 第2通信部
361 アンテナ
4 親機
5 サーバ装置
510 制御部
520 記憶部
521 測定データ
522 測定器情報
523 タグ設置位置情報
530 入力部
540 出力部
550 通信部
6 通信ネットワーク
7 測定エリア
8 分電盤
9、911~913、921~923 負荷
10、12 配線
11 配電盤
13 IPパケット
15 電子タグ