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  • 特開-カリウムイオン二次電池 図1
  • 特開-カリウムイオン二次電池 図2
  • 特開-カリウムイオン二次電池 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175225
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】カリウムイオン二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/40 20060101AFI20241211BHJP
   H01M 4/24 20060101ALI20241211BHJP
   H01M 4/26 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
H01M4/40
H01M4/24 Z
H01M4/26 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092807
(22)【出願日】2023-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】中野 広幸
(72)【発明者】
【氏名】海谷 裕之
(72)【発明者】
【氏名】奥村 素宜
【テーマコード(参考)】
5H050
【Fターム(参考)】
5H050AA07
5H050AA19
5H050BA11
5H050CA01
5H050CB12
5H050GA16
(57)【要約】
【課題】製造コストを抑制しつつ高電位であるカリウムイオン二次電池を提供する。
【解決手段】本開示に係るカリウムイオン二次電池は、KMnFe(2-x)(CN)を正極に含み、0.2≦x≦0.8である。x≦0.8とすることによって高価なマンガンの含有量を抑えることができるため、製造コストを抑えることができる。x≧0.2とすることによって低電位領域における活性化を抑えることができるため、高電位とすることができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
MnFe(2-x)(CN)を正極に含み、
0.2≦x≦0.8である、
カリウムイオン二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カリウムイオン二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カリウムイオンを利用した二次電池の開発が進められている。
例えば、非特許文献1には、プルシアンブルー誘導体(KMnFe(CN))を正極に含むカリウムイオン二次電池が開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Chemical Reviews 2022 120 6358(P.6379)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者らは、カリウムイオン二次電池について、以下の課題を見出した。
プルシアンブルー誘導体(KMnFe(CN))に含まれるマンガンの割合を増やすと、マンガンが鉄よりも高価であるため、二次電池の製造コストが高くなる。しかしながら、プルシアンブルー誘導体に含まれるマンガンの割合を減らす、すなわち、プルシアンブルー誘導体に含まれる鉄の割合を増やすと、低電位領域が活性化されるため、二次電池の電位を高くすることが難しい虞があった。
【0005】
本開示は、このような問題に鑑みなされたものであり、製造コストを抑制しつつ高電位であるカリウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する一態様は、
カリウムイオン二次電池であって、
MnFe(2-x)(CN)を正極に含み、
0.2≦x≦0.8である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、製造コストを抑制しつつ高電位であるカリウムイオン二次電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】KMnFe(2-x)(CN)の充放電曲線を示すグラフである。
図2】平均電位とFe(Mn)含有量との関係を示すグラフである。
図3】3サイクル時点におけるサイクル容量維持率とFe(Mn)含有量との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本開示の実施形態について説明する。ただし、本開示が以下の実施形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
【0010】
図面を参照して、実施形態に係るカリウムイオン二次電池が有する正極の組成について説明する。以下、実施形態に係るカリウムイオン二次電池を「二次電池」と称することがある。正極は、KMnFe(2-x)(CN)を正極に含む。尚、化学式中のxは、0.2以上0.8以下である。KMnFe(2-x)(CN)は、プルシアンブルー誘導体の一種である。
【0011】
図1~3は、三電極法によるKMnFe(2-x)(CN)の評価結果を示す。尚、作用極として、KMnFe(2-x)(CN)を用いた。参照極として、Ag|AgClを用いた。対極として、Tiを用いた。電解液として、62mol/kgのKFSI0.55OTf0.45水溶液を用いた。
【0012】
図1は、KMnFe(2-x)(CN)の充放電曲線を示すグラフである。図1に示すxは、KMnFe(2-x)(CN)中の数字である。xを変化させる、すなわち、KMnFe(2-x)(CN)に含まれる鉄及びマンガンの割合を変化させた際における充放電曲線の変化を図1に示す。図1に示すように、x=1すなわち鉄の含有量を低くすると、電位が0.5V以下の範囲における容量が増大するため、平均電圧が低下する。
【0013】
図2は、平均電位とFe(Mn)含有量との関係を示すグラフである。xを変化させた際における平均容量の変化を図2に示す。図2に示すように、x≧0.2の範囲において、平均電位が0.65V以上となり、高電位すなわち高エネルギーとすることができる。
【0014】
図3は、3サイクル時点におけるサイクル容量維持率とFe(Mn)含有量との関係を示すグラフである。xを変化させた際における容量維持率の変化を図3に示す。尚、サイクル試験として、電流を0.1Cとし、電位が0.2-1.3V(vs Ag|AgCl)の充放電を3サイクル行った。図3に示すように、x≦0.8の範囲において、容量維持率が70%以上となり、寿命を延ばすことができる。
【0015】
図2及び図3を参照して説明したように、0.2≦x≦0.8とすると、二次電池の製造コストを抑え、二次電池を高エネルギーとし、かつ、二次電池の寿命を延ばすことができる。このように、実施形態に係るカリウムイオン二次電池は、製造コストを抑制しつつ高電位である。
【0016】
尚、二次電池の電解液として、5mol/kg以上の濃厚水溶液が好適である。また、二次電池の負極として、NaTi(POが好適である。また、二次電池は、集電体にステンレス箔を用いたバイポーラ型電池であってもよい。
【0017】
なお、本開示は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
図1
図2
図3