(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175228
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】自動車外装用洗浄剤
(51)【国際特許分類】
C11D 7/50 20060101AFI20241211BHJP
C11D 7/10 20060101ALI20241211BHJP
C11D 7/08 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
C11D7/50
C11D7/10
C11D7/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092815
(22)【出願日】2023-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000150073
【氏名又は名称】株式会社プロスタッフ
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 徳蔵
【テーマコード(参考)】
4H003
【Fターム(参考)】
4H003DA11
4H003DB01
4H003EA02
4H003EA22
4H003EB04
4H003ED02
4H003FA04
(57)【要約】
【課題】 自動車外装用の洗浄剤を提供する。
【解決手段】 高沸点水溶性溶剤および/または高沸点油溶性溶剤を含有することにより、露天に駐車された自動車を洗浄する際に被洗浄面が高温となっても、ムラやシミの防止効果を一層高める事ができた。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水、酸性フッ化アンモニウム、無機酸、高沸点水溶性溶剤および/または高沸点油溶性溶剤を含有することを特徴とする自動車外装用洗浄剤。
【請求項2】
水分量を75重量%以下とすることを特徴とする請求項1に記載の自動車外装用洗浄剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車外装用の洗浄剤であって、強く擦ることなくミネラル成分汚れを溶解除去可能な洗浄剤に関するものである。ここでミネラル成分汚れとは、洗浄等に使用する水道水等に含まれるカルシウム、マグネシウム、珪酸分等が乾燥して被洗浄面に固着したものを指す。
【背景技術】
【0002】
ミネラル成分汚れの洗浄に関する先行技術として、特許文献1に記載の洗浄剤が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の洗浄剤は、珪酸分、錆、油脂汚れが付着したレンガ等の石材、金属類、プラスチック類用の洗浄剤であって、自動車外装のミネラル成分汚れの除去に対しては、露天に駐車された自動車を洗浄する際には被洗浄面が高温となるため、ムラやシミを発生する懸念があり必ずしも最適ではなかった。
【0005】
この発明は、上記のような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、塗装面、樹脂成型未塗装部品等の自動車外装用のミネラル成分汚れ用の洗浄剤であって、露天に駐車された自動車を洗浄する際にも、ムラやシミを発生する恐れの少ない洗浄剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の洗浄剤は、水、酸性フッ化アンモニウム、無機酸、高沸点水溶性溶剤および/または高沸点油溶性溶剤を含有する。
とりわけ高沸点水溶性溶剤および高沸点油溶性溶剤を同時に含有すると、ムラやシミの防止効果を一層高める事ができる。
【0007】
さらに、水分量を75重量%以下、さらに好適には50重量%以下とすることで、ムラやシミの防止効果を高める事ができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の請求項1に記載の洗浄剤は、水、酸性フッ化アンモニウム、無機酸、高沸点水溶性溶剤または高沸点油溶性溶剤を含有することができる。酸性フッ化アンモニウムは、ミネラル成分で構成される無機汚れに対して卓越した効果を示すが、配合量に規制があるため、補助的に無機酸を併用する。無機酸としては、塩酸、硫酸、硝酸やスルファミン酸等が挙げられこれらを共に水溶液として使用できる。
【0009】
高沸点水溶性溶剤または高沸点油溶性溶剤は、露天に駐車された自動車を洗浄する際にムラやシミの防止効果を高める目的で配合される。高沸点の基準は水の沸点より高い化合物であって、高沸点水溶性溶剤の例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等が使用できる。これらの高沸点水溶性溶剤は水よりも揮発が遅いため、洗浄中の水の揮発により酸性フッ化アンモニウムおよび無機酸の濃度が初期濃度より著しく高くなりムラやシミが発生することを防止できる。
【0010】
高沸点油溶性溶剤の例としては、流動パラフィン等の高度に精製された石油系溶剤が塗装への悪影響が少なく好適である。高沸点油溶性溶剤も水の揮発により酸性フッ化アンモニウムおよび無機酸の濃度が初期濃度より著しく高くなりムラやシミが発生することを防止できる。
【0011】
とりわけ高沸点水溶性溶剤および高沸点油溶性溶剤を同時に含有すると、表面張力の低い高沸点油溶性溶剤が被洗浄面を覆い、ガラスなど本洗浄剤が誤って付着した場合にムラやシミの防止効果を一層高める事ができる。
【0012】
さらに、本発明の請求項2に記載の洗浄剤においては、水分量を75重量%以下としたことにより洗浄中の水の揮発により酸性フッ化アンモニウムおよび無機酸の濃度が初期濃度より著しく高くなりムラやシミが発生することを防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下にこの発明を具体化した一実施形態に基づいて詳細に説明する。
【実施例0014】
〔実施例1〕
水90重量%、酸性フッ化アンモニウム3重量%に、無機酸としてスルファミン酸2重量%、高沸点水溶性溶剤としてエチレングリコール5%を混ぜて、本発明の自動車外装用洗浄剤を調整した。
【0015】
〔実施例2〕
水50重量%、酸性フッ化アンモニウム3重量%に、無機酸としてスルファミン酸2重量%、高沸点水溶性溶剤としてエチレングリコール45%を混ぜて、本発明の自動車外装用洗浄剤を調整した。
【0016】
〔実施例3〕
水85重量%、酸性フッ化アンモニウム3重量%に、無機酸としてスルファミン酸2重量%、高沸点水溶性溶剤としてエチレングリコール5%を、高沸点油溶性溶剤として流動パラフィン5%を混ぜて、本発明の自動車外装用洗浄剤を調整した。
【0017】
〔比較例〕
水95重量%、酸性フッ化アンモニウム3重量%に、無機酸としてスルファミン酸2重量%を混ぜて、自動車外装用洗浄剤を調整した。
【0018】
〔比較試験〕
自動車塗装面および樹脂成型未塗装部品としてのバンパーに、水道水を掛けミネラル汚れを作成し、これに本発明の自動車外装用洗浄剤を塗布し10分後に水で流すことにより、洗浄作業を行った。
比較例では、塗布した洗浄液が傾斜によって垂れ、速やかに水分が蒸発したため、洗浄ムラがシミとなって残った。
一方で、本発明の実施例ではいずれも乾燥が抑制され、水で流すまで濡れた状態であったため、洗浄ムラは生じなかった。