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特開2024-175231内燃機関の制御方法及び内燃機関の制御装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175231
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】内燃機関の制御方法及び内燃機関の制御装置
(51)【国際特許分類】
   F02P 5/15 20060101AFI20241211BHJP
   F02D 45/00 20060101ALI20241211BHJP
   F02P 5/152 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
F02P5/15 B
F02D45/00 368A
F02D45/00 368Z
F02P5/152
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092831
(22)【出願日】2023-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】高橋 翔
(72)【発明者】
【氏名】小島 周二
【テーマコード(参考)】
3G022
3G384
【Fターム(参考)】
3G022AA03
3G022DA02
3G022EA02
3G022GA01
3G022GA06
3G022GA13
3G022GA14
3G384AA01
3G384AA07
3G384BA24
3G384DA26
3G384EA05
3G384EB04
3G384ED07
3G384FA01
3G384FA33
3G384FA58
3G384FA68
(57)【要約】
【課題】クランクシャフトが撓むことに起因する振動の発生を抑制する。
【解決手段】コントロールユニット21は、特定振動が発生する可能性がある予め設定された所定の特定運転領域に運転状態があるときに、特定振動が発生する可能性がある特定気筒で特定振動判定閾値を超える振動がノックセンサ23で検出されると、特定気筒を所定量だけリタード(遅角)する第2点火時期制御を実施する。特定気筒の燃焼タイミングは、クランクシャフト7のクランク角を用いて判定できる。内燃機関1は、全気筒で出力性能(燃焼圧力)を下げることなく、特定振動を抑制することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多気筒の内燃機関の振動を検出可能なノックセンサで検出された振動が所定のノック閾値よりも大きい場合には、上記ノックセンサで検出される振動が上記ノック閾値以下となるように各気筒の点火時期をリタードする第1点火時期制御を実施し、
クランクシャフトの撓みに起因する特定振動に関与する特定気筒を予め特定し、
上記特定振動が発生する可能性がある所定の特定運転領域内に運転状態があるときに、上記ノック閾値よりも小さい所定の特定振動判定閾値を用い、上記ノックセンサで検出された上記特定気筒の振動が上記特定振動判定閾値よりも大きい場合には、上記特定気筒の点火時期のみを所定量リタードする第2点火時期制御を実施することを特徴とする内燃機関の制御方法。
【請求項2】
上記第2点火時期制御の実施により上記ノックセンサで検出される振動が小さくなった場合、上記ノックセンサで検出される振動が上記特定振動判定閾値以下になるまで上記特定気筒の点火時期のみをリタードする第3点火時期制御を実施することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御方法。
【請求項3】
上記第2点火時期制御の実施により上記ノックセンサで検出される振動が小さくならない場合、上記特定気筒の点火時期を上記所定量進角して上記第2点火時期制御の開始前の点火時期に戻す第4点火時期制御を実施することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御方法。
【請求項4】
上記第2点火時期制御における点火時期のリタード量は、上記ノックセンサで検出された振動の大きさに比例して設定されることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御方法。
【請求項5】
多気筒の内燃機関の振動を検出するノックセンサと、
各気筒の点火時期を個別に制御可能な制御部と、を有し、
クランクシャフトの撓みに起因する特定振動に関与する特定気筒を予め特定し、
上記制御部は、上記ノックセンサで検出される振動が所定のノック閾値以下となるように各気筒の点火時期をリタードする第1点火時期制御と、上記ノック閾値よりも小さい所定の特定振動判定閾値を用いてクランクシャフトの撓みに起因する特定振動に関与する上記特定気筒の点火時期のみをリタードする第2点火時期制御と、を実施可能であり、
上記第1点火時期制御は、上記ノックセンサで検出された振動が上記ノック閾値よりも大きい場合に実施し、
上記第2点火時期制御は、上記特定振動が発生する可能性がある所定の特定運転領域内に運転状態あるときに、上記ノックセンサで検出された上記特定気筒の振動が上記特定振動判定閾値よりも大きい場合に実施することを特徴とする内燃機関の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の制御方法及び内燃機関の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、プレイグニッションによるノッキング抑制するために、内燃機関のノックセンサにより検出したノッキング状態に応じて、点火時期を気筒別に遅角制御する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭62-247177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、内燃機関には、運転時に、主運動系が燃焼圧力を受け、クランクシャフトが撓むことに起因する振動が発生する可能性ある。
【0005】
つまり、内燃機関の生じる振動には、プレイグニッションに起因するものや、運転時にクランクシャフトが撓むことに起因するものがある。
【0006】
そのため、クランクシャフトが撓むことに起因する振動の発生を抑制するためには、更なる改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の内燃機関は、クランクシャフトの撓みに起因する特定振動に関与する特定気筒を予め特定し、上記特定振動が発生する可能性がある特定運転領域内に運転状態があるときに、ノックセンサで検出された振動が特定振動判定閾値よりも大きい場合には、上記特定気筒の点火時期のみを所定量リタードする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の内燃機関は、全気筒の点火時期をリタードさせることなく、該当気筒の点火時期をリタードさせることで、内燃機関の出力性能の低下を抑制しつつ、特定振動の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明が適用される内燃機関のシステム構成を模式的に示す説明図。
図2】クランクシャフトとその周囲の部材を模式的に示した説明図。
図3】内燃機関の特定運転領域を模式的に示した説明図。
図4】ノックセンサのセンサ出力とそのときのクランク角とを示した説明図。
図5】ノックセンサのセンサ出力とそのときのクランク角とを示した説明図。
図6】本発明が適用された内燃機関の制御の流れの一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明が適用されるポート噴射方式の火花点火式内燃機関1のシステム構成を模式的に示す説明図である。多気筒の内燃機関1は、複数のシリンダ(ボア)3が設けられたシリンダブロック2と、このシリンダブロック2の上側に固定されるシリンダヘッド4とを有している。なお、この図1では、内燃機関1の一つの気筒のシリンダ3のみを描いている。内燃機関1は、実際には気筒列方向に並んだ複数のシリンダ3を有している。
【0012】
各シリンダ3にはピストン5が摺動可能に配置されている。各ピストン5は、コネクティングロッド6を介して内燃機関1のクランクシャフト7と連結されている。
【0013】
各ピストン5の上方には、シリンダヘッド4の下面との間に燃焼室8が形成されている。各燃焼室8には、吸気弁9を介して吸気ポート10が接続されているとともに、排気弁11を介して排気ポート12が接続されている。各燃焼室8には、混合気を火花点火する点火プラグ13が配置されている。
【0014】
各気筒の吸気ポート10に接続された吸気通路14には、吸気コレクタ15の上流側に、吸気量(吸入空気量)を調整する電子制御式のスロットル弁16及び各気筒の吸気ポート10へ向けて燃料を噴射する燃料噴射弁17が設けられている。なお、本発明は、このようなポート噴射型の内燃機関に限らず、燃焼室内に直接燃料を噴射する筒内直接噴射式の内燃機関にも適用可能である。また、スロットル弁16の上流側には、吸気量を検出するエアフローメータ18と、吸気中の異物を捕集するエアクリーナ19と、が設けられている。
【0015】
各気筒の排気ポート12には、排気通路20が接続されている。
【0016】
制御部としてのコントロールユニット21は、CPU、ROM、RAM及び入出力インターフェースを備えた周知のデジタルコンピュータである。コントロールユニット21には、上述したエアフローメータ18の他に、クランク角センサ22、ノックセンサ23等の各種センサ類の検出信号が入力されている。
【0017】
クランク角センサ22は、クランクシャフト7のクランク角を検出するものであり、内燃機関1の機関回転数を検出可能なものである。
【0018】
ノックセンサ23は、内燃機関1の振動を検出するものであり、シリンダブロック2に取り付けられている。
【0019】
コントロールユニット21は、各種センサ類の検出信号に基づいてスロットル弁16、点火プラグ13、燃料噴射弁17等へ制御信号を出力して、その動作を制御する。
【0020】
コントロールユニット21は、ノックセンサ23で検出された振動(センサ出力)が所定のノック閾値よりも大きい場合にノッキングが発生していると判定し、ノックセンサ23で検出される振動が上記ノック閾値以下になるように各気筒の点火時期をリタード(遅角)する第1点火時期制御を実施する。上記ノック閾値は、内燃機関1の異常燃焼によるノッキングを検出するために設定されたものである。
【0021】
具体的には、コントロールユニット21は、例えばノックセンサ23の出力信号から抽出されるノッキング振動周波数成分の信号強度(大きさ)が、上記ノック閾値に相当する第1の閾値を超える場合に、ノッキングが発生していると判定する。このようにノッキングの発生を検知した場合、このノッキングの発生を抑制もしくは解消するように、点火時期のリタードが行われる。
【0022】
また、内燃機関1は、運転中に、主運動系が特定気筒からの燃焼圧力を受け、クランクシャフト7が撓むことに起因する振動である特定振動(打音)が発生する可能性ある。特定振動は、クランクシャフト7が撓み、スラスト方向でクランクシャフト7とシリンダブロック2とが衝突(干渉)して発生する。
【0023】
図2は、クランクシャフト7とその周囲の部材を模式的に示した説明図である。図2においては、便宜的に、図2の左側から♯1気筒のシリンダ3a、♯2気筒のシリンダ3b、♯3気筒のシリンダ3c、♯4気筒のシリンダ3dとしている。
【0024】
クランクシャフト7は、各気筒間を仕切るように形成されたシリンダブロック2の複数の隔壁31を貫通している。図2においては、便宜的に、図2の左側から♯1気筒と♯2気筒とを仕切る隔壁31a、♯2気筒と♯3気筒とを仕切る隔壁31b、♯3気筒と♯4気筒とを仕切る隔壁31cとする。
【0025】
ここでクランクシャフト7には、気筒列方向に沿った動きを規制するために、♯2気筒と♯3気筒の間に位置する隔壁31bの両側に、スラストワッシャ32が取り付けられている。
【0026】
内燃機関1は、♯2気筒または♯3気筒からの燃焼圧力を受けてクランクシャフト7が撓み、図2中に矢示するようにクランクシャフト7が気筒列方向に変動すると、クランクシャフト7のカウンタウェイト33がスラストワッシャ32に衝突して上述した特定振動が発生する可能性ある。つまり、この特定振動の振動源は、スラストワッシャ32が取り付けられた隔壁31bとなる。従って、図2に示すようにスラストワッシャ32が配置された内燃機関1において、特定振動に関与する特定気筒は、隔壁31bの両側に位置する♯2気筒及び♯3気筒ということになる。
【0027】
そこで、内燃機関1は、スラストワッシャ32が配置された付近において、クランクシャフト7の撓みを抑制し、特定振動の発生を抑制する。
【0028】
具体的には、内燃機関1は、特定振動が発生した場合、特定気筒の点火時期のみをリタードして当該特定気筒の燃焼圧力が下げることでクランクシャフト7の撓みを抑制し、クランクシャフト7の気筒列方向に沿った変動を抑制して隔壁31bに対するスラストワッシャ32の衝突を抑制する。つまり、特定振動は、燃焼圧力を抑制することで、改善(抑制)することができる。
【0029】
内燃機関1は、特定振動の発生要因が特定気筒に限定されることから、特定振動が発生した場合、特定気筒の燃焼圧力のみを調整(抑制)することで対応できる。つまり、内燃機関1は、全気筒で出力性能(燃焼圧力)を下げることなく、特定振動を抑制することができる。
【0030】
コントロールユニット21は、特定振動が発生する可能性がある予め設定された所定の特定運転領域に運転状態があるときに、特定気筒で上記ノック閾値とは異なる特定振動判定閾値を超える振動がノックセンサ23で検出されると、特定気筒の点火時期を運転状態に応じて決定される基準点火時期である現在の点火時期から所定量だけリタードする第2点火時期制御を実施する。
【0031】
詳述すると、コントロールユニット21は、例えばノックセンサ23の出力信号から抽出される特定振動の周波数成分の信号強度(大きさ)が、特定気筒で特定振動判定閾値に相当する第2の閾値を超える場合に、特定振動が発生していると判定する。なお、特定振動の振動周波数成分の大きさを閾値と比較して特定振動の発生を判定する方法としては、特定振動の振動周波数成分そのものの大きさを閾値と比較し判定してもよい。
【0032】
特定運転領域は、図3に示すように、所定の中回転中負荷の所定の運転領域であり、例えば内燃機関毎に適合等によって設定される。図3は、内燃機関1の特定運転領域を模式的に示した説明図である。特定運転領域は、例えば、クランクシャフト7の剛性、シリンダ3に入力される圧力、ピストン5の面積等に応じてその領域が決定される。特定振動判定閾値は、内燃機関1の特定振動を検出するために設定されたものであり、上記ノック閾値よりも小さい値となる。
【0033】
特定気筒に対応するノックセンサ23のセンサ出力は、クランク角センサ22で検出されるクランクシャフト7のクランク角から判定できる。換言すると、特定気筒の燃焼タイミングは、クランクシャフト7のクランク角を用いて判定できる。
【0034】
特定振動は、特定気筒の膨張行程(燃焼行程)に対応するクランク角範囲(特性振動発生範囲)で検出される。従って、内燃機関1は、運転状態が特定運転領域内にあり、かつ図4に示すようにクランク角が特定振動発生範囲内にある場合に、ノックセンサ23のセンサ出力が特定振動判定閾値を超えると特定振動が発生した可能がある。図4は、ノックセンサ23のセンサ出力とそのときのクランク角とを示した説明図である。
【0035】
コントロールユニット21は、このような特定振動が発生した可能がある場合に、特定気筒の点火時期のみを所定量リタードする第2点火時期制御を実施する。
【0036】
そして、コントロールユニット21は、第2点火時期制御を実施した結果、図5に示すように、クランク角が特定振動発生範囲内におけるノックセンサ23のセンサ出力が小さくなった(改善された)場合には、第2点火時期制御を実施するきっかけとなったノックセンサ23のセンサ出力が特定振動によるものと判定する。図5は、ノックセンサ23のセンサ出力とそのときのクランク角とを示した説明図である。
【0037】
ノックセンサ23は、特定気筒以外の振動を特定気筒の特定振動と混同して検出する可能性がある。しかしながら、第2点火時期制御によりノックセンサ23で検出された特定振動発生範囲内の振動が小さくなれば、点火時期をリタードした特定気筒に起因する特定振動が抑制されたものと判別できる。
【0038】
これにより、内燃機関1は、全気筒の点火時期をリタードさせることなく、該当気筒の点火時期をリタードさせることで、内燃機関1の出力性能の低下を抑制しつつ、クランクシャフト7の撓みによる特定振動の発生を抑制することができる。
【0039】
コントロールユニット21は、第2点火時期制御を実施した結果、クランク角が特定振動発生範囲内におけるノックセンサ23のセンサ出力が小さくなった(改善された)場合には、クランク角が特定振動発生範囲内におけるノックセンサ23のセンサ出力が特定振動判定閾値以下になるまで特定気筒の点火時期のみをリタードする第3点火時期制御を実施する。
【0040】
また、コントロールユニット21は、第2点火時期制御を実施した結果、クランク角が特定振動発生範囲内におけるノックセンサ23のセンサ出力が小さくならない(改善されない)場合には、第2点火時期制御を実施するきっかけとなったノックセンサ23のセンサ出力が特定振動によるものではなく特定気筒以外の振動を拾ったものと判定する。
【0041】
コントロールユニット21は、第2点火時期制御を実施した結果、クランク角が特定振動発生範囲内におけるノックセンサ23のセンサ出力が小さくならなかった(改善されなかった)場合には、特定気筒の点火時期を上記所定量進角して第2点火時期制御の開始前の点火時期に戻す第4点火時期制御を実施する。つまり、第4点火時期制御は、第2点火時期制御によりリタードさせた特定気筒の点火時期を第2点火時期制御の実施直前の点火時期に戻すものである。
【0042】
図6は、上述した実施例における内燃機関1の制御の流れの一例を示すフローチャートである。
【0043】
ステップS1では、運転領域が特定運転領域であるか否かを判定する。ステップS1において、運転領域が特定運転領域と判定された場合は、ステップS2へ進む。ステップS1において、運転領域が特定運転領域ではない判定された場合は、ステップS8へ進む。
【0044】
ステップS2では、既に特定気筒の点火時期をリタードしているか否かを判定する。ステップS2において、既に特定気筒の点火時期をリタードしていると判定された場合は今回のルーチンを終了する。ステップS2において、特定気筒の点火時期をリタードしていないと判定された場合はステップS3へ進む。
【0045】
ステップS3では、ノックセンサ23のセンサ出力が特定振動判定閾値よりも大きいか否かを判定する。ステップS3においてノックセンサ23のセンサ出力が特定振動判定閾値よりも大きいと判定された場合は、ステップS4へ進む。ステップS3においてノックセンサ23のセンサ出力が特定振動判定閾値以下と判定された場合は、今回のルーチンを終了する。
【0046】
ステップS4では、特定振動が発生する特定気筒を推定し、推定された特定気筒の点火時期を所定量リタードする。
【0047】
ステップS5では、ノックセンサ23のセンサ出力が改善された否かを判定する。ステップS5においてクランク角が特定振動発生範囲内におけるノックセンサ36のセンサ出力が小さくなった(改善された)と判定された場合は、ステップS6へ進む。ステップS5においてクランク角が特定振動発生範囲内におけるノックセンサ36のセンサ出力が小さくならなかった(改善されなかった)と判定された場合は、ステップS10へ進む。
【0048】
ステップS6では、特定振動が発生したと判定する。
【0049】
ステップS7では、クランク角が特定振動発生範囲内におけるノックセンサ23のセンサ出力が特定振動判定閾値以下になるまで特定気筒の点火時期をリタードする。
【0050】
ステップS8では、既に特定気筒の点火時期をリタードしているか否かを判定する。ステップS8において、既に特定気筒の点火時期をリタードしていると判定された場合はステップS9へ進む。ステップS8において、特定気筒の点火時期をリタードしていないと判定された場合は今回のルーチンを終了する。
【0051】
ステップS10では、特定振動が発生していないと判定する。
【0052】
ステップS11では、リタードさせた特定気筒の点火時期を元に戻す。つまり、ステップS11では、特定気筒の点火時期を運転状態に応じて決定される通常の点火時期に戻す。
【0053】
以上、本発明の具体的な実施例を説明してきたが、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0054】
例えば、第2点火時期制御における点火時期のリタード量は、ノックセンサ23で検出された振動の大きさに比例して設定するようにしてもよい。すなわち、第2点火時期制御における点火時期のリタード量は、ノックセンサ23のセンサ出力が大きくなるほど大きくなるように設定してもよい。
【0055】
上述した実施例は、内燃機関の制御方法及び内燃機関の制御装置に関する。
【符号の説明】
【0056】
1…内燃機関
2…シリンダブロック
5…ピストン
7…クランクシャフト
13…点火プラグ
21…コントロールユニット
22…クランク角センサ
23…ノックセンサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6