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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175239
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】多孔質金属部材
(51)【国際特許分類】
   C25B 11/031 20210101AFI20241211BHJP
   C25B 11/081 20210101ALI20241211BHJP
   C25B 11/061 20210101ALI20241211BHJP
   C25B 3/26 20210101ALI20241211BHJP
   C25B 1/23 20210101ALI20241211BHJP
   C25B 11/052 20210101ALN20241211BHJP
【FI】
C25B11/031
C25B11/081
C25B11/061
C25B3/26
C25B1/23
C25B11/052
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092853
(22)【出願日】2023-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000006264
【氏名又は名称】三菱マテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100142424
【弁理士】
【氏名又は名称】細川 文広
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(72)【発明者】
【氏名】佐野 陽祐
(72)【発明者】
【氏名】大森 信一
(72)【発明者】
【氏名】若松 真理子
【テーマコード(参考)】
4K011
4K021
【Fターム(参考)】
4K011AA06
4K011AA22
4K011AA68
4K011DA11
4K021AA09
4K021DB10
4K021DC15
(57)【要約】
【課題】十分な強度を有するとともに気体や液体に対する圧力損失が低く、CO還元を効率的に行うことが可能な多孔質金属部材を提供する。
【解決手段】金属材料からなり、多孔質構造をなす部材本体と、この部材本体の少なくとも一面側に形成されたAg触媒層と、を備えており、気孔率が73%以上95%以下の範囲内とされ、COからCOを生成する際のファラデー効率が10%以上とされていることを特徴とする。前記Ag触媒層の厚さが100nm以上であることが好ましい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属材料からなり、多孔質構造をなす部材本体と、この部材本体の少なくとも一面側に形成されたAg触媒層と、を備えており、
気孔率が73%以上95%以下の範囲内とされ、
COからCOを生成する際のファラデー効率が10%以上とされていることを特徴とする多孔質金属部材。
【請求項2】
前記Ag触媒層の厚さが100nm以上であることを特徴とする請求項1に記載の多孔質金属部材。
【請求項3】
前記部材本体を構成する金属材料が、チタン、銅、ステンレス、銀のいずれかからなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の多孔質金属部材。
【請求項4】
圧力損失が1.0kPa未満であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の多孔質金属部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属骨格を有する多孔質金属部材に関するものであり、特にCO還元用の電極として適した多孔質金属部材に関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化が加速する現在において、特に大気中のCOガスなどのGHG削減が世界共通の課題である。
近年は、大気中の二酸化炭素を原料として、有用な化成品に利用する CCU(Carbon dioxide Capture,Utilization)技術の開発が加速している。二酸化炭素は炭素の酸化数は+4で最高酸化数状態であり、標準生成ギブスエネルギーが約400kJ/molと非常に安定な化合物である。二酸化炭素を有用な化成品に変換するためには、大量のエネルギーにより炭素を還元する必要がある。二酸化炭素をエネルギー効率よく還元できる技術の開発が求められている。
【0003】
近年になり、高分子性のイオン交換膜から構成された電解セルを用いた共電解法が着目されている(例えば、特許文献1、2参照)。共電解法とは電気化学セル中において、アノードで酸化反応による電解、カソードで還元反応による電解を同時に行う技術である。例えば、アノードに水、カソードにKHCO水溶液やCOガスを原料として用いることにより、HOの電解から生じたプロトンを用いて、COを還元することができる。触媒としてAgを用いた場合には、高ファラデー効率でCOからCOガスを得ることができる。
【0004】
原料としてCOガスを用いた場合には、イオン交換膜が乾燥によるイオン伝導率が低下する課題がある。一方、イオン交換膜の含水率を保つことを目的に、カソード原料にKHCO水溶液中を原料に用いる場合には、COガスの拡散律速による反応速度の制限が課題となっている。またカソードには、CO原料のほかにイオン交換膜や触媒表面の洗浄を目的とし、液体もしくは気体状のリンス剤を電解装置に供給することもある(例えば、特許文献3参照)。
このため、カソードには、ガス・液体を効率的に反応面まで供給することを目的とした多孔質形状の拡散層が必要である。加えて多孔質拡散層には反応面への電流を供給する役割も求められる。現在では、表面にAg触媒を担持した厚み数百μm程度のカーボンペーパーが、多孔質形状の拡散層として用いられることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-049861号公報
【特許文献2】特開2022-040803号公報
【特許文献3】特開2022-141239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、Ag触媒を担持したカーボンペーパーにおいては、機械強度が弱いために、電解セル中でつぶれてしまうおそれがあった。また、気体や液体に対する圧力損失が高くなり、エネルギー効率が低下する課題があった。
【0007】
本発明は、以上のような事情を背景とてなされたものであって、十分な強度を有するとともに気体や液体に対する圧力損失が低く、CO還元を効率的に行うことが可能な多孔質金属部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような課題を解決して、前記目的を達成するために、本発明の態様1の多孔質金属部材は、金属材料からなり、多孔質構造をなす部材本体と、この部材本体の少なくとも一面側に形成されたAg触媒層と、を備えており、気孔率が73%以上95%以下の範囲内とされ、COからCOを生成する際のファラデー効率が10%以上とされていることを特徴としている。
【0009】
本発明の態様1の多孔質金属部材によれば、金属材料からなり、多孔質構造をなす部材本体を有しており、気孔率が73%以上95%以下の範囲内とされているので、気体および液体の圧力損失が低くなり、気体および液体を安定して流通することができる。また、強度を確保することができ、電極として安定して使用することができる。
そして、部材本体の少なくとも一面側に形成されたAg触媒層が形成され、COからCOを生成する際のファラデー効率が10%以上とされていることから、CO還元用の電極として利用した際に、CO還元を効率良く行うことが可能となる。
【0010】
本発明の態様2の多孔質金属部材は、本発明の態様1の多孔質金属部材において、前記Ag触媒層の厚さが100nm以上であることを特徴としている。
本発明の態様2の多孔質金属部材によれば、Agの触媒作用を確実に奏功せしめることができ、CO還元を効率良く行うことが可能となる。また、長期間使用した場合であっても、Agの触媒作用が劣化することを抑制でき、安定して使用することができる。
【0011】
本発明の態様3の多孔質金属部材は、本発明の態様1または態様2の多孔質金属部材において、前記部材本体を構成する金属材料が、チタン、銅、ステンレス、銀のいずれかからなることを特徴としている。
本発明の態様3の多孔質金属部材によれば、前記部材本体を構成する金属材料が、チタン、銅、ステンレス、銀のいずれかからなるものとされているので、多孔質金属部材の強度が十分に高く、安定して使用することができる。
【0012】
本発明の態様4の多孔質金属部材は、本発明の態様1から態様3のいずれかひとつの多孔質金属部材において、圧力損失が1.0kPa未満であることを特徴としている。
本発明の態様4の多孔質金属部材によれば、圧力損失が1.0kPa未満とされているので、気体および液体を確実に安定して流通することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、十分な強度を有するとともに気体や液体に対する圧力損失が低く、CO還元を効率的に行うことが可能な多孔質金属部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態である多孔質金属部材の一例を示す説明図である。
図2図1に示す多孔質金属部材の拡大説明図である。
図3】本発明の実施形態である多孔質金属部材を用いた電解セルの一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施形態である多孔質金属部材について、添付した図面を参照して説明する。
【0016】
本実施形態である多孔質金属部材10は、例えば、アノードで酸化反応による電解、カソードで還元反応による電解を行う共電解法に用いられる電解セルにおいて、カソード電極として使用されるものである。
【0017】
本実施形態である多孔質金属部材10は、図1及び図2に示すように、部材本体11と、この部材本体11の一面の最表面に形成されたAg触媒層16と、を備えている。
【0018】
本実施形態においては、金属材料からなる部材本体11は、図1に示すように、多孔質体とされており、3次元網目構造とされた骨格部12と、この骨格部12に囲まれた気孔部13と、を備えている。
なお、骨格部12に囲まれた気孔部13は、互いに連通するとともに、部材本体11の外部に向けて開口した構造とされている。
【0019】
そして、この部材本体11は、その気孔率Pが73%以上95%以下の範囲内とされている。部材本体11の気孔率Pは、以下の式で算出される。
P(%)=(1-(W/(V×D)))×100
W:部材本体11の質量(g)
V:部材本体11の体積(cm
:部材本体11を構成する金属材料の真密度(g/cm
【0020】
本実施形態においては、多孔質体からなる部材本体11を構成する金属材料は、例えば、チタン、銅、ステンレス、銀のいずれかからなることが好ましい。
また、部材本体11の一面の最表面に形成されたAg触媒層16は、その厚さが100μm以上であることが好ましい。
なお、部材本体11が銀で構成されている場合には、Ag触媒層12と部材本体11とが特に区別されていなくてもよい。
【0021】
そして、本実施形態である多孔質金属部材10においては、電解セルのカソード電極として電解還元反応によりCOからCOを生成する際のファラデー効率が10%以上とされている。なお、本実施形態では、ファラデー効率は以下のようにして測定した。
多孔質金属部材10からなる電極を1cmサイズに切り出し、共電解セルに設置する。共電解セルのアノードに液体の水を10ml/min、カソードにCOガスを10ml/min流す。アノードとカソード間に外部電源を用いて、40mA電流を流し、CO還元を行った。実験時の温度は室温、圧力は大気圧である。単位時間当たりに生成したCOガスと、未反応のCOガスを採取し、ガス検知管(ガステック;気体検知管、1H)にてCOガス濃度を測定した。そして、測定したCOガス濃度から、ファラデー効率を算出した。
【0022】
また、本実施形態である多孔質金属部材10においては、気体または液体を流通させた際の圧力損失が1.0kPa未満とされていることが好ましい。なお、本実施形態では、圧力損失は以下のようにして測定した。
40mm×20mm、深さ0.2mmの溝が掘られた圧損測定用プレート(80mm角×厚み15mm)に、40mm×20mmサイズに切り出した多孔質金属部材10を設置した。また、中央部を40mm×20mmのサイズに切り抜いたフッ素ゴム製のガスケット(80mm×80mm、厚み0.3mm)を多孔質金属部材10の外枠として設置した。
上部から80mm×80mmの金属板をかぶせ、ばねを組み込んだねじを用いて、面圧0.25MPaで押さえた。
圧損測定用プレートには、深さ10mmのマニフォールドを、金属部材の左右両側に設けた。マニフォールドに内径φ4mmのフッ素樹脂(PFA)チューブを接続し、圧損測定用プレートに空気を流す。空気の流量は、マスフローメーターでコントロールした。圧損測定用プレート前後での圧力差を、デジタル微微差圧計(GC63 長野計器)で測定した。なお、空気の流速を0.2m/sとした。
【0023】
さらに、本実施形態である多孔質金属部材10においては、圧縮強度が1.0MPa以上であることが好ましい。
【0024】
次に、本実施形態である多孔質金属部材10を用いた共電解装置の概略図を図2に示す。なお、本実施形態の共電解装置は、固体高分子形型の共電解装置とされている。
【0025】
本実施形態の水電解装置30は、図3に示すように、対向配置されたアノード極32及びカソード極33と、これらアノード極32とカソード極33との間に配置されたイオン透過膜34と、触媒層35と、を備えた水電解セル31を備えている。
ここで、アノード極32、イオン透過膜34、触媒層35については、従来の一般的な固体高分子形水電解装置で使用されているものを適用することができる。
【0026】
そして、上述のカソード極33が、本実施形態である多孔質金属部材10で構成されており、金属材料からなる部材本体11と、この部材本体11の表面に形成されたAg触媒層16と、を備えている。また、部材本体11が、多孔質体とされており、3次元網目構造とされた骨格部12と、この骨格部12に囲まれた気孔部13と、を備えた構造とされている。
【0027】
上述の共電解装置30(電解セル31)においては、図3に示すように、アノード極32側に水(HO)が供給されるとともに、カソード極33側にCOが供給される。そして、アノード極32およびカソード極33通電される。
すると、アノード極32において水が電解され、生じた酸素(O)がアノード極32から排出され、水素(H)がカソード極33へと移動する。
そして、カソード極33においてCOが還元されてCOが生成される。
【0028】
以上のような構成とされた本実施形態である多孔質金属部材10によれば、金属材料からなる部材本体11を有しており、その気孔率が73%以上95%以下の範囲内とされているので、気体および液体の圧力損失が低くなり、気体および液体を安定して流通することができる。また、強度を確保することができ、電極として安定して使用することができる。
そして、部材本体11の少なくとも一面の最表面にはCOからCOを生成する際に触媒となるAg触媒層16が形成されており、COからCOを生成する際のファラデー効率が10%以上とされていることから、CO還元用の電極として利用した際に、CO還元を効率良く行うことが可能となる。
【0029】
本実施形態である多孔質金属部材10において、Ag触媒層16の厚さが100μm以上である場合には、Agの触媒作用を確実に奏功せしめることができ、CO還元を効率良く行うことが可能となる。また、長期間使用した場合であっても、Agの触媒作用が劣化することを抑制でき、安定して使用することができる。
【0030】
本実施形態である多孔質金属部材10において、部材本体11を構成する金属が、チタン、銅、ステンレス、銀のいずれかからなる場合には、多孔質金属部材10の強度が十分に高く、安定して使用することができる。
本実施形態である多孔質金属部材10において、圧力損失が1.0kPa未満であることを特徴としている場合には、気体および液体を確実に安定して流通することができる。
【0031】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【実施例0032】
以下に、本発明の効果を確認すべく行った確認実験の結果について説明する。
まず、表1に示す部材本体を準備する。用意した各部材本体の寸法は、幅50mm×長さ60mmで、厚さは表1示すものとした。
この部材本体の一面に、表1に示す厚さのAg触媒層をめっきによって形成した。なお、比較例1は、部材本体としてカーボンペーパーを用いた。
なお、部材本体の厚さはマイクロメータによって測定した。また、Ag触媒層の厚さは、以下の手順で断面SEM観察により測定した。
得られた多孔質金属部材を垂直に切断し、その断面を卓上SEM(日本電子株式会社製JCM-7000)を用いて観測した。加速電圧15kV、測定倍率2万倍としてSEM画像を撮影し、装置の計測モードを用いて被膜厚みを測定・算出した。
【0033】
部材本体の気孔率は、部材本体の質量および体積から、以下の式で算出した。
P(%)=(1-(W/(V×D)))×100
W:部材本体11の質量(g)
V:部材本体11の体積(cm
:部材本体11を構成する金属材料の真密度(g/cm
【0034】
得られた多孔質金属部材の圧力損失は以下のようにして測定した。評価結果を表1に示す。
40mm×20mm、深さ0.2mmの溝が掘られた圧損測定用プレート(80mm角×厚み15mm)に、40mm×20mmサイズに切り出した多孔質金属部材(本発明例1-4および比較例1-2)を設置した。また、中央部を40mm×20mmのサイズに切り抜いたフッ素ゴム製のガスケット(80mm×80mm、厚み0.3mm)を金属部材の外枠として設置した。
上部から80mm×80mmの金属板をかぶせ、ばねを組み込んだねじを用いて、面圧0.25MPaで押さえた。
圧損測定用プレートには、深さ10mmのマニフォールドを、金属部材の左右両側に設けた。マニフォールドに内径φ4mmのフッ素樹脂(PFA)チューブを接続し、圧損測定用プレートに空気を流す。空気の流量は、マスフローメーターでコントロールした。圧損測定用プレート前後での圧力差を、デジタル微微差圧計(GC63 長野計器)で測定した。なお、空気の流速を0.2m/sとした。
【0035】
得られた多孔質金属部材をカソード極として電解セルに組み込み、電解によりCOからCOを生成する際のファラデー効率を測定した。評価結果を表1に示す。
1cmサイズに切り出した多孔質金属部材(本発明例1-4および比較例1-2)を共電解セルに設置する。共電解セルのアノードに液体の水を10ml/min、カソードにCOガスを10ml/min流す。アノードとカソード間に外部電源を用いて、40mA電流を流し、CO還元を行った。実験時の温度は室温、圧力は大気圧である。単位時間当たりに生成したCOガスと、未反応のCOガスを採取し、ガス検知管(ガステック;気体検知管 1H)にてCOガス濃度を測定した。測定されたCOガス濃度をXとし、以下の式からファラデー効率FEを算出した。
FE=(x×F×n×f)/I
I:ガス採取する間に流れた電流量(As)
F:ファラデー定数
n:反応電子数(n=2)
f:COガスの流速(L/s)
【0036】
【表1】
【0037】
比較例1においては、カーボンペーパーを用いており、気孔率が75%とされていても、電解セル中でつぶれるように変形してしまい、圧力損失が高くなり、気体および液体を安定して流通することができなかった。このため、電解を安定して行うことができず、ファラデー効率については評価しなかった。
比較例2においては、ステンレスで構成された部材本体を用いたが、気孔率が41%と低く、圧力損失が高くなり、気体および液体を安定して流通することができなかった。このため、電解を安定して行うことができず、ファラデー効率については評価しなかった。
【0038】
これに対して、金属材料からなる部材本体にAg触媒層を形成し、気孔率が73%以上95%以下の範囲内とされた本発明例1~4においては、圧力損失が十分に低く、気体および液体を安定して流通することができた。また、電解によりCOからCOを生成する際のファラデー効率が10%以上とされており、効率良く電解を行うことができた。
【0039】
以上の確認実験の結果から、本発明例によれば、十分な強度を有するとともに気体や液体に対する圧力損失が低く、CO還元を効率的に行うことが可能な多孔質金属部材を提供可能であることが確認された。
【符号の説明】
【0040】
10 多孔質金属部材
16 Ag触媒層
図1
図2
図3