(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175244
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】透明度測定装置及び透明度測定方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/47 20060101AFI20241211BHJP
【FI】
G01N21/47 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092862
(22)【出願日】2023-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】大山 達史
(72)【発明者】
【氏名】上原 聡司
【テーマコード(参考)】
2G059
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059BB08
2G059BB12
2G059EE02
2G059FF01
2G059GG02
2G059GG03
2G059HH01
2G059HH02
2G059KK04
2G059MM01
2G059MM03
(57)【要約】
【課題】測定対象物の透明度をより正確に測定することができる透明度測定装置及び透明度測定方法を提供する。
【解決手段】透明度測定装置1は、測定対象物10の遮光領域11を囲む遮光壁5と、測定対象物10の遮光領域11外の光照射領域12に光を照射する光源2と、測定対象物10の遮光領域11内の撮影領域13を撮影する撮像装置3と、を備え、撮像装置3の視野14には、遮光壁5の少なくとも一部が含まれる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物の遮光領域を囲む遮光壁と、
前記測定対象物の前記遮光領域外の第1光照射領域に光を照射する第1光源と、
前記測定対象物の前記遮光領域内の撮影領域を撮影する撮像装置と、を備え、
前記撮像装置の視野には、前記遮光壁の少なくとも一部が含まれる、
透明度測定装置。
【請求項2】
前記撮像装置の前記視野のサイズは、前記遮光領域のサイズと等しい、又は、前記遮光領域のサイズより大きい、
請求項1に記載の透明度測定装置。
【請求項3】
前記遮光領域の中心よりも前記撮像装置の前記視野の中心の方が前記第1光照射領域の中心に近い、
請求項1又は2に記載の透明度測定装置。
【請求項4】
前記第1光照射領域のサイズは、前記遮光領域のサイズよりも小さい、
請求項1又は2に記載の透明度測定装置。
【請求項5】
前記第1光照射領域のサイズは、前記撮影領域のサイズよりも小さい、
請求項1又は2に記載の透明度測定装置。
【請求項6】
前記透明度測定装置は、さらに、
前記撮像装置によって撮影された前記撮影領域の画像に基づいて、前記測定対象物の前記第1光照射領域の少なくとも一部を含む第1測定領域の透明度を算出する透明度算出部を備える、
請求項1又は2に記載の透明度測定装置。
【請求項7】
前記透明度算出部は、前記撮影領域の画像から得られる散乱光強度の前記第1光照射領域からの距離依存性に基づいて、前記第1測定領域の透明度を算出する、
請求項6に記載の透明度測定装置。
【請求項8】
前記第1光源は、前記透明度測定装置に着脱可能に構成される、
請求項1又は2に記載の透明度測定装置。
【請求項9】
前記第1光源及び前記遮光壁は、前記撮像装置に着脱可能に構成される、
請求項1又は2に記載の透明度測定装置。
【請求項10】
前記透明度測定装置は、さらに、前記測定対象物の前記遮光領域外の第2光照射領域に光を照射する第2光源を備える、
請求項1又は2に記載の透明度測定装置。
【請求項11】
前記撮影領域は、前記第1光照射領域及び前記第2光照射領域の間に位置する、
請求項10に記載の透明度測定装置。
【請求項12】
前記第2光照射領域のサイズは、前記遮光領域のサイズよりも小さい、
請求項10に記載の透明度測定装置。
【請求項13】
前記第2光照射領域のサイズは、前記撮影領域のサイズよりも小さい、
請求項10に記載の透明度測定装置。
【請求項14】
前記透明度測定装置は、さらに、
前記撮像装置によって撮影された前記撮影領域の画像に基づいて、前記測定対象物の、前記第1光照射領域の少なくとも一部を含む第1測定領域と前記第2光照射領域の少なくとも一部を含む第2測定領域との各々の透明度を算出する透明度算出部を備える、
請求項10に記載の透明度測定装置。
【請求項15】
前記透明度算出部は、前記撮影領域の画像から得られる散乱光強度の前記第1光照射領域からの距離依存性に基づいて、前記第1測定領域の透明度を算出し、前記撮影領域の画像から得られる散乱光強度の前記第2光照射領域からの距離依存性に基づいて、前記第2測定領域の透明度を算出する、
請求項14に記載の透明度測定装置。
【請求項16】
前記透明度測定装置は、さらに、前記撮影領域に接触するように前記撮像装置及び前記測定対象物の間に配置された透光部材を備える、
請求項1又は2に記載の透明度測定装置。
【請求項17】
前記透光部材は、前記測定対象物に接触する平面を含む、
請求項16に記載の透明度測定装置。
【請求項18】
測定対象物の遮光領域を囲むように遮光壁を配置し、
前記測定対象物の前記遮光領域外の光照射領域に光を照射し、
撮像装置の視野に前記遮光壁の少なくとも一部が含まれるように、前記測定対象物の前記遮光領域内の撮影領域を撮影し、
前記撮影領域の画像に基づいて前記測定対象物の前記光照射領域の少なくとも一部を含む測定領域の透明度を算出する、
透明度測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、透明度測定装置及び透明度測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、肌質の評価の重要な要素である透明度(透明感)を測定するための装置が提案されている(例えば、特許文献1~3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公昭63-14616号公報
【特許文献2】特開2002-248080号公報
【特許文献3】特開2013-22253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術では、測定対象物の透明度を正確に測定することが難しい場合がある。
【0005】
そこで、本開示は、測定対象物の透明度をより正確に測定することができる透明度測定装置及び透明度測定方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る透明度測定装置は、測定対象物の遮光領域を囲む遮光壁と、前記測定対象物の前記遮光領域外の第1光照射領域に光を照射する第1光源と、前記測定対象物の前記遮光領域内の撮影領域を撮影する撮像装置と、を備え、前記撮像装置の視野には、前記遮光壁の少なくとも一部が含まれる。
【0007】
なお、この包括的又は具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能な記録媒体で実現されてもよく、装置、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、例えばCD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory)等の不揮発性の記録媒体を含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、測定対象物の透明度をより正確に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係る透明度測定システムの外観図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1に係る透明度測定システムの機能構成図である。
【
図3】
図3は、実施の形態1に係る透明度測定装置の断面図である。
【
図4】
図4は、実施の形態1における領域及び視野の形状、サイズ及び位置関係を示す図である。
【
図5】
図5は、実施の形態1に係る透明度測定方法を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施の形態1に係る透明度測定方法の透明度算出処理を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施の形態1に係る透明度測定装置で撮影された画像の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施の形態1に係る透明度測定装置で撮影された画像における散乱光強度の距離依存性の一例を示すグラフである。
【
図9】
図9は、実施の形態1に係る透明度測定装置で測定される透明度のばらつきを示すグラフである。
【
図10A】
図10Aは、実施の形態1に係る透明度測定装置で測定される透明度の正確性を示すグラフである。
【
図10B】
図10Bは、比較例に係る透明度測定装置で測定される透明度の正確性を示すグラフである。
【
図11】
図11は、実施の形態1の変形例1における領域及び視野の形状、サイズ及び位置関係を示す図である。
【
図12】
図12は、実施の形態1の変形例2における領域及び視野の形状、サイズ及び位置関係を示す図である。
【
図13】
図13は、実施の形態1の変形例3における領域及び視野の形状、サイズ及び位置関係を示す図である。
【
図14】
図14は、実施の形態1の変形例4における領域及び視野の形状、サイズ及び位置関係を示す図である。
【
図15】
図15は、実施の形態1の変形例5における領域及び視野の形状、サイズ及び位置関係を示す図である。
【
図16】
図16は、実施の形態2に係る透明度測定装置の断面図である。
【
図17】
図17は、実施の形態2における領域及び視野の形状、サイズ及び位置関係を示す図である。
【
図18】
図18は、実施の形態2に係る透明度測定装置で撮影された画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。
【0011】
なお、各図は、適宜強調、省略、又は比率の調整を行った模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではなく、実際の形状、位置関係、及び比率とは異なる場合がある。各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡素化される場合がある。
【0012】
以下の各図において、x軸及びy軸は、測定対象物の表面と平行な平面上で互いに直交する軸である。また、z軸は、測定対象物の表面に垂直な軸であり、その正方向を上方向と呼び、その負方向を下方向と呼ぶ場合がある。なお、z軸の原点は測定対象物の表面とする。
【0013】
また、以下の説明において、「平行」及び「垂直」などの要素間の関係性を示す用語、及び、「矩形」などの要素の形状を示す用語、並びに、数値範囲は、厳格な意味のみを表すのではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度の誤差をも含むことを意味する。
【0014】
(実施の形態1)
まず、実施の形態1について説明する。
【0015】
[1-1.透明度測定システム100の構成]
本実施の形態に係る透明度測定システム100の構成について
図1及び
図2を参照しながら説明する。
図1は、本実施の形態に係る透明度測定システム100の外観図である。
図2は、本実施の形態に係る透明度測定システム100の機能構成図である。
【0016】
透明度測定システム100は、測定対象物10の透明度を測定することができる。具体的には、透明度測定システム100は、測定対象物10の外部から内部へ光を照射して測定対象物10の内部で光を散乱させることができる。さらに、透明度測定システム100は、測定対象物10の内部で散乱した光の強さを測定することで、測定対象物10の透明度を測定することができる。
【0017】
本実施の形態では、測定対象物10は、例えば、動物や人の肌であり、典型的には人の頬である。なお、測定対象物10は、これらに限定されず、例えば木材などであってもよい。
【0018】
透明度測定システム100は、
図1及び
図2に示すように、透明度測定装置1及び情報処理装置7を備える。透明度測定装置1は、光源2と、撮像装置3と、制御部4と、を備える。
【0019】
光源2は、第1光源の一例であり、測定対象物10の表面に光を照射することができる点光源である。点光源とは、発光部の面積が非常に小さく、点に近い光源を意味する。なお、光源2の発光部は、完全な点でなくてもよい。光源2として、例えば、数平方ミリメートルの発光面積を持つLED(Light Emitting Diode)が用いられてもよく、小型の白熱球が用いられてもよい。なお、光源2の発光方式は、特に限定される必要はない。
【0020】
撮像装置3は、レンズ及びイメージセンサなどを含み、測定対象物10の遮光壁5で囲まれた領域の少なくとも一部を撮影することができる。具体的には、撮像装置3は、測定対象物10の内部で散乱して測定対象物10の表面から出射した光を集光して測定対象物10の像を形成することができる。イメージセンサとしては、例えば、CMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)イメージセンサ又はCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサが用いられる。
【0021】
制御部4は、光源2及び撮像装置3を制御することができる。制御部4は、例えば半導体集積回路に実装することができる。なお、制御部4は、メモリに格納されたソフトウェアプログラムを実行するプロセッサによって実現されてもよい。
【0022】
情報処理装置7は、有線及び/又は無線で透明度測定装置1と通信可能に接続されている。情報処理装置7としては、例えばプロセッサ及びメモリを備えるコンピュータを用いることができ、携帯機器(例えばスマートフォン、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ等)を用いることもできる。情報処理装置7は、透明度算出部8と、表示部9と、を備える。
【0023】
透明度算出部8は、撮像装置3によって撮影された画像に基づいて、測定対象物10の透明度を算出することができる。透明度算出部8は、メモリに格納されたソフトウェアプログラムを実行するプロセッサによって実現される。なお、透明度算出部8は、専用回路(ハードウェア)によって実現されてもよい。
【0024】
表示部9は、透明度算出部8によって算出された透明度を表示することができる。表示部9は、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display)又は有機ELディスプレイ(Organic Light-Emitting Diode display)で実現することができる。
【0025】
なお、
図2は、透明度測定システム100の例示的な機能構成を示しており、透明度測定システム100の機能構成は
図2に限定されない。例えば、透明度算出部8は、透明度測定装置1に含まれてもよい。また、透明度算出部8及び表示部9は、互いに異なる装置に含まれてもよい。この場合、透明度算出部8は、例えばクラウドサーバ(図示せず)に含まれてもよい。
【0026】
[1-2.透明度測定装置1の構造]
次に、透明度測定装置1の構造について
図3を参照しながら説明する。
図3は、本実施の形態に係る透明度測定装置1の断面図である。なお、
図3は、透明度測定装置1の例示的な構造を示しており、透明度測定装置1の構造は
図3に限定されない。
【0027】
透明度測定装置1は、光源2と、撮像装置3と、制御部4と、筐体4aと、遮光壁5と、透光部材6と、を備える。
【0028】
光源2は、z軸の負側に配置される測定対象物10に光を照射可能なように、遮光壁5に取り付けられる。なお、光源2は、遮光壁5に取り付けられなくてもよい。例えば、光源2は、筐体4aに取り付けられてもよい。
【0029】
撮像装置3は、遮光壁5に囲まれた測定対象物10の領域を撮影可能なように、筐体4aに取り付けられ、遮光壁5内に配置されている。
【0030】
筐体4aは、制御部4を格納している。筐体4aは、遮光壁5の開口部5aを塞いでおり、開口部5aから光が入射することを妨げることができる。
【0031】
制御部4は、透明度測定装置1の筐体4a内に格納されており、光源2及び撮像装置3に接続される。
【0032】
遮光壁5は、測定対象物10の表面の一部を囲んでいる。遮光壁5は、光源2からの直接光及び室内照明などの外乱光を遮ることができ、光源2によって光が照射される領域と撮像装置3によって撮影される領域とを分けることができる。
【0033】
遮光壁5の形状は、円形の開口部5a及び5bを有する円筒形状である。なお、遮光壁5の形状は、円筒形状に限定されない。例えば、遮光壁5の形状は、多角筒形状又は楕円筒形状であってもよい。遮光壁5は、筐体4aと一体に成形されてもよく、筐体4aと分離可能であってもよい。
【0034】
遮光壁5は、光を透過しなければよく、その厚みは特に限定されない。例えば、0.5mmから1mmの厚みを有する遮光壁5を用いることができる。また、遮光壁5の表面は、光を反射しないことが望ましく、例えば艶消しの黒色であってもよい。
【0035】
透光部材6は、撮像装置3及び測定対象物10の間に配置され、測定対象物10内で散乱した光を透過することができる。透光部材6の材料は、特に限定されないが、例えば透明なガラス又は樹脂であってもよい。また、透光部材6の表面には、反射防止膜が含まれてもよい。透光部材6は、遮光壁5の開口部5bに取り付けられ、測定対象物10と接触する平面6aを含む。透光部材6は、透明度測定装置1に含まれなくてもよい。
【0036】
なお、「AがB及びCの間に配置される」とは、B内の任意の点とC内の任意の点とを結ぶ複数の線分のうちの少なくとも1つがAを通ることを意味する。
【0037】
[1-3.領域及び視野の形状、サイズ及び位置関係]
ここで、遮光領域11、光照射領域12、撮影領域13、視野14及び測定領域15の形状、サイズ及び位置関係について、
図4を参照しながら説明する。
図4は、本実施の形態における領域及び視野の形状、サイズ及び位置関係を示す図である。
【0038】
遮光領域11は、遮光壁5に囲まれた領域である。本実施の形態では、遮光領域11は、円形状を有するが、遮光領域11の形状は矩形状に限定されない。
【0039】
光照射領域12は、第1光照射領域の一例であり、光源2によって光を照射可能な領域である。光照射領域12は、遮光壁5によって遮光領域11と分離されている。本実施の形態では、光照射領域12は、円形状を有するが、光照射領域12の形状は円形状に限定されない。
【0040】
撮影領域13は、撮像装置3が撮影可能な領域である。撮影領域13は、遮光領域11に含まれており、遮光壁5によって光照射領域12と分離されている。本実施の形態では、撮影領域13は、矩形状を有するが、撮影領域13の形状は矩形状に限定されない。
【0041】
視野14は、撮像装置3と測定対象物10との間に光を遮る物体が存在しない場合に撮像装置3が撮影可能な領域である。視野14は、撮影領域13と等しい。本実施の形態では、視野14は、矩形状を有するが、視野14の形状は矩形状に限定されない。
【0042】
視野14は、遮光壁5の少なくとも一部を含んでいる。つまり、撮像装置3の視野14の少なくとも一部は、測定対象物10の表面に遮光壁5が正投影された領域の少なくとも一部と重なっている。
図4では、視野14の頂点が遮光壁5と重なっている。
【0043】
測定領域15は、第1測定領域の一例であり、光照射領域12の少なくとも一部を含む。具体的には、測定領域15は、光源2から照射された光によって測定対象物10の内部で生じた散乱光が通過する測定対象物10の内部の支配的な領域を表す。つまり、光源2から光照射領域12に照射された光が測定対象物10の内部を通って遮光壁5に囲われた遮光領域11から出射するまでの光の経路に相当する。
【0044】
視野14のサイズD14は、遮光領域11のサイズD11と等しい。また、光照射領域12のサイズD12は、視野14のサイズD14よりも小さく、かつ、撮影領域13のサイズD13よりも小さい。
【0045】
なお、領域又は視野のサイズは、領域又は視野の端縁を結ぶ複数の線分のうち最も長い線分の長さで表される。領域の形状が円形であれば、領域のサイズは直径の長さで表される。領域の形状が矩形であれば、領域のサイズは対角線の長さで表される。
【0046】
[1-4.透明度測定方法]
以上のような透明度測定システム100によって行われる透明度測定方法について
図5~
図8を参照しながら説明する。
図5は、本実施の形態に係る透明度測定方法を示すフローチャートである。
【0047】
まず、ステップS102において、遮光壁5は、測定対象物10の遮光領域11を囲むように配置される。つまり、光源2によって透明度を測定する光照射領域12に光が照射されるように、透明度測定装置1が測定対象物10の表面に配置される。
【0048】
次に、ステップS104において、光源2は、光照射領域12に光を照射する。続いて、ステップS106において、撮像装置3は、撮影領域13を撮影する。つまり、制御部4は、光源2に光を照射させ、撮像装置3に撮影させる。これにより、撮影領域13の画像が取得され、情報処理装置7に送信される。
【0049】
ステップS108では、透明度算出部8は、撮像装置3によって撮影された撮影領域13の画像20に基づいて、測定対象物10の測定領域15の透明度を算出する。
【0050】
ここで、透明度算出処理(S108)の詳細について、
図6~
図8を参照しながら説明する。
図6は、本実施の形態に係る透明度測定方法の透明度算出処理を示すフローチャートである。
図7は、本実施の形態に係る透明度測定装置1で撮影された画像20の一例を示す図である。
図8は、本実施の形態に係る透明度測定装置1で撮影された画像20における散乱光強度の距離依存性の一例を示すグラフである。
【0051】
まず、ステップS112において、透明度算出部8は、透明度測定装置1で撮影された画像20の画像領域21内のy方向の輝度平均をx位置ごとに算出する。画像領域21は、画像20内の予め定められた領域であり、測定対象物10の測定領域15に対応する領域である。
【0052】
画像20に含まれる複数の画素の各々は、赤、緑及び青の輝度値を有する。つまり、画像20は、RGB画像である。ステップS112の処理によって、
図8に示すような散乱光強度の距離依存性を示すグラフが得られる。
図8において、縦軸は散乱光強度を表し、横軸は距離を表す。散乱光強度は、画像領域21内のy方向の輝度平均に対応する。距離は、光照射領域12からの距離を表し、画像領域21内のx位置の値が増加すると増加する。データ21R、21G及び21Bは、それぞれ赤、緑及び青の散乱光強度の距離依存性を表す。
【0053】
なお、画像20は、RGB画像でなくてもよく、例えば赤の輝度値のみを有する画像であってもよい。その場合、赤の輝度平均だけが算出されればよい。また、画像20は、赤、緑及び青のいずれでもない周波数の輝度値を有してもよい。例えば、画像20は、赤外画像であってもよい。
【0054】
次に、ステップS114において、透明度算出部8は、散乱光強度の距離依存性を指数関数で近似する。具体的には、透明度算出部8は、以下の関数(1)を用いて、赤、緑又は青の散乱光強度の距離依存性に対してカーブフィッティングを行う。
【0055】
【0056】
ここで、Pは散乱光強度を示し、Nは距離を示し、Kは係数を示し、αは透明度を示す。なお、ステップS114で用いられる指数関数は、関数(1)に限定されない。
【0057】
最後に、ステップS116において、透明度算出部8は、近似された指数関数から透明度αを導出する。
【0058】
以上のステップS112~S116の処理により測定対象物10の測定領域15の透明度αが算出される。
【0059】
なお、
図5及び
図6は、透明度測定方法の例示的なフローチャートを示しており、透明度測定方法のフローチャートは
図5及び
図6に限定されない。例えば、画像の輝度が安定するまで光の照射(S104)及び撮影領域13の撮影(S106)が繰り返されてもよい。輝度の安定性は、例えば輝度の時間的なばらつきが5%未満であるか否かによって判定され得る。この場合、透明度算出部8は、輝度が安定した画像に基づいて透明度を算出することができる。
【0060】
[1-5.効果など]
以上のように、本実施の形態に係る透明度測定装置1は、測定対象物10の遮光領域11を囲む遮光壁5と、測定対象物10の遮光領域11外の光照射領域12に光を照射する光源2と、測定対象物10の遮光領域11内の撮影領域13を撮影する撮像装置3と、を備え、撮像装置3の視野14には、遮光壁5の少なくとも一部が含まれる。
【0061】
これによれば、撮像装置3の視野14に遮光壁5の少なくとも一部が含まれるので、撮影領域13を遮光壁5まで広げることができる。したがって、遮光領域11内で撮影領域13を光照射領域12に近づけることができ、測定される透明度のばらつきを抑制することができる。
図9に示すように、光源2(光照射領域12)からの距離が異なる撮影領域13の画像を用いて複数回透明度を測定した場合に、光源2からの距離が長い撮影領域13よりも光源2からの距離が短い撮影領域13の方が透明度のばらつきが小さい。このように、遮光領域11内で撮影領域13を光照射領域12に近づけることで、測定される透明度のばらつきを抑制することができ、測定対象物10の透明度をより正確に測定することができる。
【0062】
また例えば、本実施の形態に係る透明度測定装置1において、撮像装置3の視野14のサイズD14は、遮光領域11のサイズD11と等しくてもよい。
【0063】
これによれば、撮影領域13を遮光壁5まで容易に広げることができ、遮光領域11内で撮影領域13を光照射領域12に容易に近づけることができる。
【0064】
また例えば、本実施の形態に係る透明度測定装置1において、光照射領域12のサイズD12は、遮光領域11のサイズD11よりも小さくてもよい。
【0065】
これによれば、光照射領域12のサイズD12を比較的小さくすることができるので、より局所的な領域の透明度を測定することができ、測定対象物10の透明度の空間分布を得ることも可能となる。
【0066】
また例えば、本実施の形態に係る透明度測定装置1において、光照射領域12のサイズD12は、撮影領域13のサイズD13よりも小さくてもよい。
【0067】
これによれば、光照射領域12のサイズD12を比較的小さくすることができるので、より局所的な領域の透明度を測定することができ、測定対象物10の透明度の空間分布を得ることも可能となる。
【0068】
また例えば、本実施の形態に係る透明度測定装置1は、さらに、撮像装置3によって撮影された撮影領域13の画像20に基づいて、測定対象物10の光照射領域12の少なくとも一部を含む測定領域15の透明度を算出する透明度算出部8を備えてもよい。
【0069】
これによれば、透明度測定装置1で測定対象物10の透明度を算出することができる。
【0070】
また例えば、本実施の形態に係る透明度測定装置1において、透明度算出部8は、撮影領域13の画像20から得られる散乱光強度の光照射領域12からの距離依存性に基づいて、測定領域15の透明度を算出してもよい。
【0071】
これによれば、散乱光強度の距離依存性に基づいて測定領域15の透明度を算出することができ、測定対象物10の透明度をより正確に測定することができる。
【0072】
また例えば、本実施の形態に係る透明度測定装置1は、さらに、撮影領域13に接触するように撮像装置3及び測定対象物10の間に配置された透光部材6を備えてもよい。
【0073】
これによれば、撮像装置3は測定対象物10から透光部材6を介して散乱光を受光することができるので、透光部材6を測定対象物10の表面に押し付け可能なように配置することができる。したがって、測定対象物10の表面から撮像装置3までの距離を均一化することができ、測定対象物10の表面形状が散乱光強度に与える影響を低減することができる。その結果、
図10A及び
図10Bに示すように、測定対象物10の透明度をより正確に測定することができる。
図10A及び
図10Bにおいて、縦軸は、透明度の基準値を示し、横軸は、実施の形態1及び比較例において測定された透明度を示す。比較例では、実施の形態1に係る透明度測定装置1から透光部材6が省略されている。
図10A及び
図10Bの決定係数R
2の値からも明らかなように、比較例よりも実施の形態1の方が、測定された透明度のばらつきが抑えられており、測定対象物10の透明度をより正確に測定することができる。
【0074】
また例えば、本実施の形態に係る透明度測定装置1において、透光部材6は、測定対象物10に接触する平面6aを含んでもよい。
【0075】
これによれば、平面6aを測定対象物10に接触させることができ、測定対象物10の表面形状が散乱光強度に与える影響をより安定して低減することができる。
【0076】
また、本実施の形態に係る透明度測定方法は、測定対象物10の遮光領域11を囲むように遮光壁5を配置し、測定対象物10の遮光領域11外の光照射領域に光を照射し、撮像装置3の視野14に遮光壁5の少なくとも一部が含まれるように、測定対象物10の遮光領域11内の撮影領域13を撮影し、撮影領域13の画像20に基づいて測定対象物10の光照射領域の少なくとも一部を含む測定領域の透明度を算出する。
【0077】
これによれば、撮像装置3の視野14に遮光壁5の少なくとも一部が含まれるので、撮影領域13を遮光壁5まで広げることができる。したがって、遮光領域11内で撮影領域13を光照射領域12に近づけることができ、測定される透明度のばらつきを抑制することができる。その結果、測定対象物10の透明度をより正確に測定することができる。
【0078】
(実施の形態1の変形例1)
次に、実施の形態1の変形例1について説明する。本変形例では、視野のサイズが実施の形態1と主として異なる。以下に、本変形例について、実施の形態1と異なる点を中心に
図11を参照しながら説明する。
【0079】
図11は、本変形例における領域及び視野の形状、サイズ及び位置関係を示す図である。
【0080】
撮影領域13Aは、撮像装置3が撮影可能な領域である。撮影領域13Aは、遮光領域11に含まれており、遮光壁5によって光照射領域12と分離されている。撮影領域13Aは、視野14Aと遮光領域11とが重なる領域である。
【0081】
視野14Aは、撮像装置3と測定対象物10との間に光を遮る物体が存在しない場合に撮像装置3が撮影可能な領域である。視野14Aは、遮光壁5の少なくとも一部を含んでいる。
図11では、視野14Aの一部は遮光壁5の一部と重なっている。
【0082】
視野14AのサイズD14Aは、遮光領域11のサイズD11より大きい。また、光照射領域12のサイズD12は、視野14AのサイズD14Aよりも小さく、かつ、撮影領域13AのサイズD13Aよりも小さい。
【0083】
以上のように、本変形例に係る透明度測定装置1において、撮像装置3の視野14AのサイズD14Aは、遮光領域11のサイズD11よりも大きくてもよい。
【0084】
これによれば、撮影領域13Aを遮光壁5まで容易に広げることができ、遮光領域11内で撮影領域13Aを光照射領域12に容易に近づけることができる。
【0085】
(実施の形態1の変形例2)
次に、実施の形態1の変形例2について説明する。本変形例では、領域及び視野の位置関係が実施の形態1と主として異なる。以下に、本変形例について、実施の形態1と異なる点を中心に
図12を参照しながら説明する。
【0086】
図12は、本変形例における領域及び視野の形状、サイズ及び位置関係を示す図である。
【0087】
撮影領域13Bは、撮像装置3が撮影可能な領域である。撮影領域13Bは、遮光領域11に含まれており、遮光壁5によって光照射領域12と分離されている。撮影領域13Bは、視野14Bと遮光領域11とが重なる領域である。
【0088】
視野14Bは、撮像装置3と測定対象物10との間に光を遮る物体が存在しない場合に撮像装置3が撮影可能な領域である。視野14Bは、遮光壁5の少なくとも一部を含んでいる。
図12では、視野14Bの一部は遮光壁5の一部と重なっている。
【0089】
本変形例では、視野14Bは、光照射領域12側にシフトしている。つまり、遮光領域11の中心C11よりも視野14Bの中心C14Bの方が光照射領域12の中心C12に近い。なお、領域又は視野の中心とは、領域又は視野の重心を意味する。
【0090】
視野14BのサイズD14Bは、遮光領域11のサイズD11以下である。また、光照射領域12のサイズD12は、視野14BのサイズD14Bよりも小さく、かつ、撮影領域13BのサイズD13Bよりも小さい。
【0091】
以上のように、本変形例に係る透明度測定装置1において、遮光領域11の中心C11よりも撮像装置3の視野14Bの中心C14Bの方が光照射領域12の中心C12に近くてもよい。
【0092】
これによれば、遮光領域11内で撮影領域13Bを光照射領域12側にシフトさせることができ、撮影領域13Bのサイズが小さくても撮影領域13Bを光照射領域12に近づけることができる。
【0093】
(実施の形態1の変形例3)
次に、実施の形態1の変形例3について説明する。本変形例では、遮光壁の形状が異なり、それに伴って領域の形状が実施の形態1と主として異なる。以下に、本変形例について、実施の形態1と異なる点を中心に
図13を参照しながら説明する。
【0094】
図13は、本変形例における領域及び視野の形状、サイズ及び位置関係を示す図である。
【0095】
遮光領域11Cは、遮光壁5Cに囲まれた領域である。本変形例では、遮光壁5Cは、四角筒形状であり、遮光領域11Cは、矩形状を有する。
【0096】
撮影領域13Cは、撮像装置3が撮影可能な領域である。撮影領域13Cは、遮光領域11Cに含まれており、遮光壁5Cによって光照射領域12と分離されている。本変形例では、撮影領域13Cは、矩形状を有する。撮影領域13Cは、視野14Cと遮光領域11Cとが重なる領域である。
【0097】
視野14Cは、撮像装置3と測定対象物10との間に光を遮る物体が存在しない場合に撮像装置3が撮影可能な領域である。本変形例では、視野14Cは、矩形状を有し、撮影領域13Cと一致している。
【0098】
視野14CのサイズD14Cは、遮光領域11CのサイズD11Cと等しい。また、光照射領域12のサイズD12は、視野14CのサイズD14Cよりも小さく、かつ、撮影領域13CのサイズD13Cよりも小さい。
【0099】
以上のように、本変形例に係る透明度測定装置1は、遮光壁5Cの形状が角筒形状であっても、実施の形態1と同様の効果を実現することができる。
【0100】
(実施の形態1の変形例4)
次に、実施の形態1の変形例4について説明する。本変形例では、視野のサイズが変形例3と主として異なる。以下に、本変形例について、変形例3と異なる点を中心に
図14を参照しながら説明する。
【0101】
図14は、本変形例における領域及び視野の形状、サイズ及び位置関係を示す図である。
【0102】
撮影領域13Dは、撮像装置3が撮影可能な領域である。撮影領域13Dは、遮光領域11Cに含まれており、遮光壁5Cによって光照射領域12と分離されている。本変形例では、撮影領域13Dは、矩形状を有する。撮影領域13Dは、視野14Dと遮光領域11Cとが重なる領域である。
【0103】
視野14Dは、撮像装置3と測定対象物10との間に光を遮る物体が存在しない場合に撮像装置3が撮影可能な領域である。本変形例では、視野14Dは、矩形状を有する。
【0104】
視野14DのサイズD14Dは、遮光領域11CのサイズD11Cよりも大きい。また、光照射領域12のサイズD12は、視野14DのサイズD14Dよりも小さく、かつ、撮影領域13DのサイズD13Dよりも小さい。
【0105】
以上のように、本変形例に係る透明度測定装置1は、遮光壁5Cの形状が角筒形状であっても、変形例1と同様の効果を実現することができる。
【0106】
(実施の形態1の変形例5)
次に、実施の形態1の変形例5について説明する。本変形例では、領域及び視野の位置関係が変形例3と主として異なる。以下に、本変形例について、変形例3と異なる点を中心に
図15を参照しながら説明する。
【0107】
図15は、本変形例における領域及び視野の形状、サイズ及び位置関係を示す図である。
【0108】
撮影領域13Eは、撮像装置3が撮影可能な領域である。撮影領域13Eは、遮光領域11Cに含まれており、遮光壁5Cによって光照射領域12と分離されている。撮影領域13Eは、視野14Eと遮光領域11Cとが重なる領域である。
【0109】
視野14Eは、撮像装置3と測定対象物10との間に光を遮る物体が存在しない場合に撮像装置3が撮影可能な領域である。視野14Eは、遮光壁5Cの少なくとも一部を含んでいる。
図15では、視野14Eの一部は遮光壁5Cの一部と重なっている。
【0110】
本変形例では、視野14Eは、光照射領域12側にシフトしている。つまり、遮光領域11Cの中心C11Cよりも視野14Eの中心C14Eの方が光照射領域12の中心C12に近い。
【0111】
視野14EのサイズD14Eは、遮光領域11のサイズD11C以下である。また、光照射領域12のサイズD12は、視野14EのサイズD14Eよりも小さく、かつ、撮影領域13EのサイズD13Eよりも小さい。
【0112】
以上のように、本変形例に係る透明度測定装置1は、遮光壁5Cの形状が角筒形状であっても、変形例2と同様の効果を実現することができる。
【0113】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。本実施の形態では、透明度測定装置が互いに異なる領域に光を照射可能な複数の光源を備える点が、実施の形態1と主として異なる。以下に、本実施の形態について、実施の形態1と異なる点を中心に図面を参照しながら説明する。
【0114】
[2-1.透明度測定装置1Fの構造]
次に、透明度測定装置1Fの構造について
図16を参照しながら説明する。
図16は、本実施の形態に係る透明度測定装置1Fの断面図である。なお、
図16は、透明度測定装置1Fの例示的な構造を示しており、透明度測定装置1Fの構造は
図16に限定されない。
【0115】
透明度測定装置1Fは、光源2及び2Fと、撮像装置3と、制御部4と、筐体4aと、遮光壁5と、透光部材6と、を備える。
【0116】
光源2Fは、z軸の負側に配置される測定対象物10に光を照射可能なように、遮光壁5に取り付けられる。なお、光源2Fは、遮光壁5に取り付けられなくてもよい。例えば、光源2Fは、筐体4aに取り付けられてもよい。
【0117】
[2-2.領域及び視野の形状、サイズ及び位置関係]
ここで、遮光領域11、光照射領域12及び12F、撮影領域13、視野14、並びに、測定領域15の形状、サイズ及び位置関係について、
図17を参照しながら説明する。
図17は、本実施の形態における領域及び視野の形状、サイズ及び位置関係を示す図である。
【0118】
光照射領域12Fは、第2光照射領域の一例であり、光源2Fによって光を照射可能な領域である。光照射領域12Fは、遮光壁5によって遮光領域11と分離されている。本実施の形態では、光照射領域12Fは、円形状を有する。
【0119】
光照射領域12Fは、撮影領域13を挟んで光照射領域12と反対側に位置する。つまり、撮影領域13は、光照射領域12及び12Fの間に位置する。
図17では、光照射領域12及び12Fは、撮影領域13の中心に対して点対称に配置されているが、光照射領域12及び12Fの配置はこれに限定されない。
【0120】
光照射領域12FのサイズD12Fは、光照射領域12のサイズD12と同様に、視野14のサイズD14よりも小さく、かつ、撮影領域13のサイズD13よりも小さい。
【0121】
測定領域15Fは、第2測定領域の一例であり、光照射領域12Fの少なくとも一部を含む。具体的には、測定領域15Fは、光源2Fから照射された光によって測定対象物10の内部で生じた散乱光が通過する測定対象物10の内部の支配的な領域を表す。つまり、光源2Fから光照射領域12Fに照射された光が測定対象物10の内部を通って遮光壁5に囲われた遮光領域11から出射するまでの光の経路に相当する。
【0122】
[2-3.透明度測定方法]
以上のような本実施の形態に係る透明度測定装置1Fを用いて行われる透明度測定方法について
図5、
図6及び
図18を参照しながら説明する。
図18は、本実施の形態に係る透明度測定装置1Fで撮影された画像20Fの一例を示す図である。
【0123】
実施の形態1と同様にステップS102で遮光壁5が配置された後に、本実施の形態では、ステップS104において、光源2が光照射領域12に光を照射し、かつ、光源2Fが光照射領域12Fに光を照射する。そして、実施の形態1と同様に、ステップS106において、撮像装置3は、撮影領域13を撮影する。その後、ステップS108において、透明度算出部8は、撮像装置3によって撮影された撮影領域13の画像20Fに基づいて、測定領域15及び15Fの各々の透明度を算出する。
【0124】
透明度算出処理(S108)では、まず、ステップS112において、透明度算出部8は、透明度測定装置1Fで撮影された画像20Fの画像領域21F内のy方向の輝度平均と画像領域22F内のy方向の輝度平均とをx位置ごとに算出する。画像領域21Fは、画像20F内の予め定められた領域であり、測定対象物10の測定領域15に対応する領域である。画像領域22Fは、画像20F内の予め定められた領域であり、測定対象物10の測定領域15Fに対応する領域である。
【0125】
そして、ステップS114において、透明度算出部8は、画像領域21F及び22Fの各々について、実施の形態1と同様に、散乱光強度の距離依存性を指数関数で近似する。なお、
図18では、画像領域22Fにおいて、距離は、光照射領域12Fからの距離を表し、画像領域22F内のx位置の値が減少すると増加する。
【0126】
最後に、ステップS116において、透明度算出部8は、画像領域21Fにおいて近似された指数関数から測定領域15の透明度αを導出し、画像領域22Fにおいて近似された指数関数から測定領域15Fの透明度αを導出する。
【0127】
[2-4.効果など]
以上のように、本実施の形態に係る透明度測定装置1Fは、測定対象物10の遮光領域11を囲む遮光壁5と、測定対象物10の遮光領域11外の光照射領域12に光を照射する光源2と、測定対象物10の遮光領域11内の撮影領域13を撮影する撮像装置3と、を備え、撮像装置3の視野14には、遮光壁5の少なくとも一部が含まれ、透明度測定装置1Fは、さらに、測定対象物10の遮光領域11外の光照射領域12Fに光を照射する光源2Fを備える。
【0128】
これによれば、光照射領域12及び12Fに光を同時に照射することができ、1回の測定で、2つの領域の透明度を測定することができる。
【0129】
また例えば、本実施の形態に係る透明度測定装置1Fにおいて、撮影領域13は、光照射領域12及び12Fの間に位置してもよい。
【0130】
これによれば、光照射領域12及び12Fを離すことができ、2つの光源2及び2Fからの光が干渉することを抑制することができる。その結果、2つの測定領域15及び15Fの各々の透明度をより正確に測定することができる。
【0131】
また例えば、本実施の形態に係る透明度測定装置1Fにおいて、光照射領域12FのサイズD12Fは、遮光領域11のサイズD11よりも小さくてもよい。
【0132】
これによれば、光照射領域12FのサイズD12Fを比較的小さくすることができるので、より局所的な領域の透明度を測定することができ、測定対象物10の透明度の空間分布を得ることも可能となる。
【0133】
また例えば、本実施の形態に係る透明度測定装置1Fにおいて、光照射領域12FのサイズD12Fは、撮影領域13のサイズD13よりも小さくてもよい。
【0134】
これによれば、光照射領域12FのサイズD12Fを比較的小さくすることができるので、より局所的な領域の透明度を測定することができ、測定対象物10の透明度の空間分布を得ることも可能となる。
【0135】
また例えば、本実施の形態に係る透明度測定装置1Fは、さらに、撮像装置3によって撮影された撮影領域13の画像20Fに基づいて、測定対象物10の、光照射領域12の少なくとも一部を含む測定領域15と光照射領域12Fの少なくとも一部を含む測定領域15Fとの各々の透明度を算出する透明度算出部8を備えてもよい。
【0136】
これによれば、透明度測定装置1Fで測定対象物10の測定領域15及び15Fの各々の透明度を算出することができる。
【0137】
また例えば、本実施の形態に係る透明度測定装置1Fにおいて、透明度算出部8は、撮影領域13の画像20Fから得られる散乱光強度の光照射領域12からの距離依存性に基づいて、測定領域15の透明度を算出してもよく、撮影領域13の画像20Fから得られる散乱光強度の光照射領域12Fからの距離依存性に基づいて、測定領域15Fの透明度を算出してもよい。
【0138】
これによれば、散乱光強度の距離依存性に基づいて測定領域15及び15Fの透明度を個別に算出することができ、測定対象物10の局所領域の透明度をより正確に測定することができる。
【0139】
(他の実施の形態)
以上、透明度測定装置について、実施の形態及びその変形例に基づいて説明したが、本開示に係る透明度測定装置は、上記実施の形態及び上記変形例に限定されるものではない。上記実施の形態及び上記変形例における任意の構成要素を組み合わせて実現される別の実施の形態や、上記実施の形態及び上記変形例に対して本開示の主旨を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例も本開示に含まれる。
【0140】
例えば、実施の形態1の変形例1~5の各々と実施の形態2とは、組み合わせられてもよい。つまり、上記実施の形態1の変形例1~5に係る透明度測定装置1は、光源2に加えて光源2Fを備えてもよい。
【0141】
なお、上記実施の形態2において、光源の数は2つであったが、これに限定されない。例えば、透明度測定装置は、3つの光源、4つの光源、又は、5つ以上の光源を備えてもよい。
【0142】
なお、上記各実施の形態に係る透明度測定装置の一部は、透明度測定装置に着脱可能に構成されてもよい。例えば、
図19A及び
図19Bに示すように、実施の形態1に係る透明度測定装置1において、光源2は、透明度測定装置1に着脱可能に構成されてもよい。
図19A及び
図19Bは、他の実施の形態に係る透明度測定装置1の断面図である。
図19Aは、光源2が透明度測定装置1に取り付けられた状態を示し、
図19Bは、光源2が透明度測定装置1から取り外された状態を示す。
【0143】
これによれば、測定対象物10によって光源2を容易に取り替えることなどが可能となり、測定対象物10の透明度をより正確に測定することができる。
【0144】
なお、
図19A及び
図19Bは、透明度測定装置の例示的な構造を示しており、透明度測定装置の構造は
図19A及び
図19Bに限定されない。例えば、実施の形態1の変形例1~5に係る透明度測定装置1も、実施の形態1に係る透明度測定装置1と同様に、着脱可能な光源2を備えることができる。また例えば、実施の形態2に係る透明度測定装置1Fも、実施の形態1に係る透明度測定装置1と同様に、着脱可能な光源2及び2Fを備えることができる。
【0145】
また例えば、
図20A及び
図20Bに示すように、実施の形態1に係る透明度測定装置1において、光源2及び遮光壁5は、撮像装置3に着脱可能に構成されてもよい。
図20A及び
図20Bは、他の実施の形態に係る透明度測定装置1の側面図及び正面図である。
図20Aでは、光源2及び遮光壁5は、撮像装置3から取り外されている。
図20A及び
図20Bでは、撮像装置3として、スマートフォンのカメラが用いられ、情報処理装置7としてスマートフォンが用いられている。
【0146】
これによれば、撮像装置3に光源2及び遮光壁5を取り付けることで測定対象物10の透明度を測定することができ、既存の撮像装置3を透明度測定装置1に利用することができる。
【0147】
なお、
図20A及び
図20Bは、透明度測定装置の例示的な構造を示しており、透明度測定装置の構造は
図20A及び
図20Bに限定されない。例えば、実施の形態1の変形例1~5に係る透明度測定装置1も、実施の形態1に係る透明度測定装置1と同様に、撮像装置3に着脱可能な光源2及び遮光壁5を備えることができる。また例えば、実施の形態2に係る透明度測定装置1Fも、実施の形態1に係る透明度測定装置1と同様に、撮像装置3に着脱可能な光源2及び2F並びに遮光壁5を備えることができる。
【0148】
以下に、上記各実施の形態及び変形例に基づいて説明した透明度測定装置及び透明度測定方法の特徴を示す。
【0149】
<1>
測定対象物の遮光領域を囲む遮光壁と、
前記測定対象物の前記遮光領域外の第1光照射領域に光を照射する第1光源と、
前記測定対象物の前記遮光領域内の撮影領域を撮影する撮像装置と、を備え、
前記撮像装置の視野には、前記遮光壁の少なくとも一部が含まれる、
透明度測定装置。
【0150】
<2>
前記撮像装置の前記視野のサイズは、前記遮光領域のサイズと等しい、又は、前記遮光領域のサイズより大きい、
<1>に記載の透明度測定装置。
【0151】
<3>
前記遮光領域の中心よりも前記撮像装置の前記視野の中心の方が前記第1光照射領域の中心に近い、
<1>又は<2>に記載の透明度測定装置。
【0152】
<4>
前記第1光照射領域のサイズは、前記遮光領域のサイズよりも小さい、
<1>~<3>のいずれか1つに記載の透明度測定装置。
【0153】
<5>
前記第1光照射領域のサイズは、前記撮影領域のサイズよりも小さい、
<1>~<4>のいずれか1つに記載の透明度測定装置。
【0154】
<6>
前記透明度測定装置は、さらに、
前記撮像装置によって撮影された前記撮影領域の画像に基づいて、前記測定対象物の前記第1光照射領域の少なくとも一部を含む第1測定領域の透明度を算出する透明度算出部を備える、
<1>~<5>のいずれか1つに記載の透明度測定装置。
【0155】
<7>
前記透明度算出部は、前記撮影領域の画像から得られる散乱光強度の前記第1光照射領域からの距離依存性に基づいて、前記第1測定領域の透明度を算出する、
<6>に記載の透明度測定装置。
【0156】
<8>
前記第1光源は、前記透明度測定装置に着脱可能に構成される、
<1>~<7>のいずれか1つに記載の透明度測定装置。
【0157】
<9>
前記第1光源及び前記遮光壁は、前記撮像装置に着脱可能に構成される、
<1>~<7>のいずれか1つに記載の透明度測定装置。
【0158】
<10>
前記透明度測定装置は、さらに、前記測定対象物の前記遮光領域外の第2光照射領域に光を照射する第2光源を備える、
<1>~<5>のいずれか1つに記載の透明度測定装置。
【0159】
<11>
前記撮影領域は、前記第1光照射領域及び前記第2光照射領域の間に位置する、
<10>に記載の透明度測定装置。
【0160】
<12>
前記第2光照射領域のサイズは、前記遮光領域のサイズよりも小さい、
<10>又は<11>に記載の透明度測定装置。
【0161】
<13>
前記第2光照射領域のサイズは、前記撮影領域のサイズよりも小さい、
<10>~<12>のいずれか1つに記載の透明度測定装置。
【0162】
<14>
前記透明度測定装置は、さらに、
前記撮像装置によって撮影された前記撮影領域の画像に基づいて、前記測定対象物の、前記第1光照射領域の少なくとも一部を含む第1測定領域と前記第2光照射領域の少なくとも一部を含む第2測定領域との各々の透明度を算出する透明度算出部を備える、
<10>~<13>のいずれか1つに記載の透明度測定装置。
【0163】
<15>
前記透明度算出部は、前記撮影領域の画像から得られる散乱光強度の前記第1光照射領域からの距離依存性に基づいて、前記第1測定領域の透明度を算出し、前記撮影領域の画像から得られる散乱光強度の前記第2光照射領域からの距離依存性に基づいて、前記第2測定領域の透明度を算出する、
<14>に記載の透明度測定装置。
【0164】
<16>
前記透明度測定装置は、さらに、前記撮影領域に接触するように前記撮像装置及び前記測定対象物の間に配置された透光部材を備える、
<1>~<15>のいずれか1つに記載の透明度測定装置。
【0165】
<17>
前記透光部材は、前記測定対象物に接触する平面を含む、
<16>に記載の透明度測定装置。
【0166】
<18>
測定対象物の遮光領域を囲むように遮光壁を配置し、
前記測定対象物の前記遮光領域外の光照射領域に光を照射し、
撮像装置の視野に前記遮光壁の少なくとも一部が含まれるように、前記測定対象物の前記遮光領域内の撮影領域を撮影し、
前記撮影領域の画像に基づいて前記測定対象物の前記光照射領域の少なくとも一部を含む測定領域の透明度を算出する、
透明度測定方法。
【産業上の利用可能性】
【0167】
本開示に係る透明度測定装置は、肌診断装置として利用することができ、美顔器、又は、美容機器などに組み込むこともできる。
【符号の説明】
【0168】
1、1F 透明度測定装置
2、2F 光源
3 撮像装置
4 制御部
4a 筐体
5、5C 遮光壁
5a、5b 開口部
6 透光部材
6a 平面
7 情報処理装置
8 透明度算出部
9 表示部
10 測定対象物
11、11C 遮光領域
12、12F 光照射領域
13、13A、13B、13C、13D、13E 撮影領域
14、14A、14B、14C、14D、14E 視野
15、15F 測定領域
20、20F 画像
21、21F、22F 画像領域
21R、21G、21B データ
C11、C11C、C12、C14B、C14E 中心
D11、D11C、D12、D12F、D13、D13A、D13B、D13C、D13D、D13E、D14、D14A、D14B、D14C、D14D、D14E サイズ
100 透明度測定システム