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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175250
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】防音装置
(51)【国際特許分類】
   E01F 8/00 20060101AFI20241211BHJP
【FI】
E01F8/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092869
(22)【出願日】2023-06-06
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000002462
【氏名又は名称】積水樹脂株式会社
(72)【発明者】
【氏名】雪上 義生
(72)【発明者】
【氏名】萩原 徹
(72)【発明者】
【氏名】岡田 拓也
【テーマコード(参考)】
2D001
【Fターム(参考)】
2D001AA01
2D001BA02
2D001BB01
2D001CA01
2D001CB01
2D001CD01
(57)【要約】
【課題】傾斜状の設置場所においても支柱や防音パネルの形状を変更せずに水平な設置場所と同様に設置できる防音装置を提供する。
【解決手段】幅方向へ間隔をあけて複数個配置する前記支持部材の間に梁材を架設し、この梁材に固定する防音パネルを備え、支持部材の支持部へ梁材の両側の端部を上下に重なるように配置して固定すると共に、前記梁材と支持部との間に取り付けた間隔調整材によって前記梁材の一方の端部と支持部との間隔を他方の端部と支持部との間隔よりも大きく設ける。設置場所が坂などの傾斜状となっている場合でも間隔調整材で梁材の端部の上下方向の位置を調整し前記梁材をより水平に近い配置として、防音パネルを設置することができる。
【選択図】 図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延びる支持部材と、幅方向へ間隔をあけて複数個配置された前記支持部材の間に架設される梁材と、該梁材に固定される防音パネルとを備える防音装置であって、
前記各支持部材は設置場所へ固定される設置部と前記梁材の端部が固定される支持部を有すると共に、該支持部と前記設置部との上下方向の間隔が各支持部材で同じ大きさに形成されており、
前記各支持部へ前記梁材の両側の端部が上下に重なるように配置されて固定されると共に、前記梁材と支持部との間に取り付けられた間隔調整材によって前記梁材の一方の端部と支持部との間隔が他方の端部と支持部との間隔よりも大きく設けられていることを特徴とする防音装置。
【請求項2】
前記梁材は、ウェブと、該ウェブの両縁から延設される2個のフランジを有する溝形鋼で形成され、
平面状に形成された前記支持部の支持面と前記梁材のウェブとの間に取り付けられた前記間隔調整材が前記各フランジの間に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の防音装置。
【請求項3】
前記各フランジの間に前記間隔調整材が配置され、該間隔調整材とフランジとの間の隙間に対応する位置に配置されるカバー体を有していることを特徴とする請求項2に記載の防音装置。
【請求項4】
前記各支持部材に前記支持部が上下方向に間隔をあけて2個形成され、各支持部にそれぞれ異なる梁材の端部が固定されており、
上下方向に配置された前記各梁材の一方の端部と前記各支持部との間に間隔調整材が取り付けられ、
前記各梁材に前記防音パネルの上下の端部がそれぞれ固定されていることを特徴とする請求項1に記載の防音装置。
【請求項5】
前記支持部材が高架構造物の下方に設置され、該高架構造物を上下方向に貫通する孔部を囲うように前記防音パネルが配置されていることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の防音装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、傾斜状の設置場所へ防音パネルを良好に設置できる防音装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両からの騒音を低減する防音壁などの防音装置においては、支柱等の支持部材に防音パネルを取り付けて設ける構成が従来からよく利用されており、種々の発明が開示されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、防音パネルの周枠材に取付孔を形成する一方、支柱の前記取付孔に対応する位置に予め取付用ボルトを立設固着しておき、施工現場において前記取付孔に取付用ボルトを嵌め合わせてナットで締結固定する防音壁の発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平06-033425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載される防音壁は、枠付き防音パネルを支柱側の取付ボルトに合わせて装着し、ナットがけするだけでその取付けを完了できるようにしたものであるが、支柱の設置場所が坂などの傾斜状であった場合に、支柱に予め取り付ける取付用ボルトの位置や、防音パネルの周枠材に形成する取付孔の位置などを設置場所に対応して移動させる必要があり、多大な準備が必要であった。
【0006】
本発明は、水平な設置場所に設置する支柱や防音パネルの形状を変更せずに傾斜状の設置場所において設置できる防音装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は以下のような構成としている。
すなわち本発明に係る防音装置は、上下方向に延びる支持部材と、幅方向へ間隔をあけて複数個配置された前記支持部材の間に架設される梁材と、該梁材に固定される防音パネルとを備える防音装置であって、前記各支持部材は設置場所へ固定される設置部と前記梁材の端部が固定される支持部を有すると共に、該支持部と前記設置部との上下方向の間隔が各支持部材で同じ大きさに形成されており、前記各支持部へ前記梁材の両側の端部が上下に重なるように配置されて固定されると共に、前記梁材と支持部との間に取り付けられた間隔調整材によって前記梁材の一方の端部と支持部との間隔が他方の端部と支持部との間隔よりも大きく設けられていることを特徴とするものである。
【0008】
本発明に係る防音装置によれば、上下方向に延びる支持部材と、幅方向へ間隔をあけて配置した前記各支持部材の間に架設する梁材と、この梁材に固定する防音パネルとを備えるので、梁材を介して防音パネルを支持部材へ取り付け設置することができる。
また、前記各支持部材が設置場所へ固定する設置部と前記梁材の端部を固定する支持部を有すると共に、この支持部と前記設置部との上下方向の間隔が各支持部材で同じ大きさに形成するので、梁材の両側の端部を設置場所から所定の間隔に配置して各支持部へ固定することも可能である。
また、前記各支持部へ前記梁材の両側の端部を上下に重なるように配置して固定すると共に、前記梁材と支持部との間に取り付けた間隔調整材によって前記梁材の一方の端部と支持部との間隔を他方の端部と支持部との間隔よりも大きく設けるので、設置場所が坂などの傾斜状となっている場合でも間隔調整材で梁材の端部の上下方向の位置を調整し前記梁材をより水平に近い配置として、防音パネルを設置することができる。
【0009】
また、前記梁材を、ウェブと、このウェブの両縁から延設される2個のフランジを有する溝形鋼で形成し、平面状に形成された前記支持部の支持面と梁材の前記ウェブとの間に取り付けた前記間隔調整材を前記各フランジの間に配置すれば、梁材の端部を支持部へ固定する作業において間隔調整材が移動した場合でも、前記フランジに当接することで間隔調整材が下方へ落下しにくくなされるので、好ましい。
【0010】
また、前記各フランジの間に前記間隔調整材を配置し、この間隔調整材とフランジとの間の隙間に対応する位置にカバー体を配置すれば、前記隙間を通過して外方へ至る騒音を低減できるので、好ましい。
【0011】
また、前記支持部を上下方向に間隔をあけて2個形成し、各支持部にそれぞれ異なる梁材の端部を固定すると共に、上下方向に配置した前記各梁材の一方の端部と前記各支持部との間に間隔調整材を取り付ければ、上下方向に配置した前記各梁材が平行となされて支持部材に固定される。そして、前記各梁材に前記防音パネルの上下の端部をそれぞれ固定すれば、2個の梁材を介して防音パネルを支持部材へ強固に固定できるので、好ましい。
【0012】
また、前記支持部材を高架構造物の下方に設置し、この高架構造物を上下方向に貫通する孔部を囲うように前記防音パネルが配置すれば、高架構造物が傾いている場所と水平な場所とに同じ形状の支持部材を固定して防音パネルを設置できるので、好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の防音装置によれば、水平な設置場所に設置する支柱や防音パネルの形状を変更せずに傾斜状の設置場所においても設置できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の防音装置の実施の一形態を示す図である。
図2図1の防音装置1付近の縦断面図である。
図3図1のA-A断面図である。
図4図3の防音装置から防音パネルを取り外した状態を示す図である。
図5図3、4の支持部材を示す正面図である。
図6図5の左側面図である。
図7図5の平面図である。
図8図5のB-B断面図である。
図9図5の上部付近の拡大図である。
図10図4の梁材を示す正面図である。
図11図10の平面図である。
図12図10の左側面図である。
図13図4の上部付近を拡大して示す部分断面図である。
図14図13のC-C断面図である。
図15図13のD-D断面図である。
図16】カバー体の実施の一形態を示す、(イ)は平面図であり、(ロ)は正面図である。
図17図16の左側面図である。
図18図13の梁材に図16、17のカバー体を取り付けた状態を示す図である。
図19図18のE-E断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明の実施の形態を図面に基づき具体的に説明する。
図1は本発明の防音装置1の実施の一形態を示す図であり、図2図1の防音装置1付近の縦断面図であり、図3図1のA-A断面図である。図2は、図1の図中左側に配置された防音装置1付近の断面図である。図3においては、高架構造物9の図示を省略して、図面を簡略化している。
図1~3は、高架構造物9に防音装置1を設置させた状態を示している。
高架構造物9は、支脚91の上部に配置された車両走行部92の上を車両が走行する高架橋であり、車両走行部92の両側の端部には騒音を低減するための防音壁94がそれぞれ設けられている。車両走行部92の中央と両側の端部には、上下方向に貫通する矩形穴状の開口部93が形成されている。各開口部93は、車両走行部92の上に積もった雪を下方へ排出する目的で設けられており、車両走行部92の車両の進行方向である長手方向に沿って間隔をあけて複数形成されている。
【0016】
防音装置1は、車両走行部92から下方へ突出するように設置している。
防音装置1は、中空部分が上下方向に開口する矩形筒状に設けており、その上部を車両走行部92へ接続させて設置している。具体的には、防音装置1は、その上端を前記孔部93の内側に挿入させ、孔部93の内周面へ固定して設置している。
【0017】
防音装置1は、支持部材2と、梁材3と、防音パネル10を備えている。支持部材2は上下方向に延びる長尺体であり、前記孔部93の内周面へ沿うように間隔をあけて複数個配置し、その上端を前記内周面に取り付けた埋設ボルトB1によって固定している。図1に示す各防音装置1はそれぞれ6個の支持部材2を有している。
【0018】
梁材3は前記支持部材2の間に架設するように設けた長尺体であり、その長手方向の端部を各支持部材2へ固定している。図1~3に示す防音装置1は、上下方向に間隔をあけて平行に配置した2個の梁材3を、前記各支持部材の上部と下部とに固定し架設させている。
【0019】
防音パネル10は吸音部材と遮音部材とを組み合わせて形成しており、その外形を縦長の略矩形板状に設けている。防音パネル10は上下の端部をそれぞれ前記各梁材3へボルトからなる雄ねじ部材B3によって固定しており、図2、3に示す防音装置1では、1個の梁材3へ2個の防音パネル1の端部を取り付けている。
防音装置1は、各支持部材2へ架設させた各梁材3へ防音パネル10を取り付けて固定することで、並設させた各防音パネル10が矩形筒状の筒壁を構成して、前記孔部93の内周面に沿うように配置される。防音装置1は、高架構造物9の車両走行部92で発生し孔部93を通過する騒音を、並設させた各防音パネル1によって低減するように設けている。
尚、図2、3においては、間隔をあけて配置した各支持部材2の間に、それぞれ防音パネル10を2個ずつ配置して設置しているが、防音パネル10を1個設置してもよく、3個以上の防音パネル10を並べて設置してもよい。
また、図2、3に示す防音装置1は、各支持部材2に隣接する防音パネル10との間の隙間を塞ぐためのカバーを取り付けているが、図示を省略している。
【0020】
図4図3の防音装置1から防音パネル10を取り外した状態を示す図である。
図4に示す各支持部材2は、その長手方向を水平方向に対し垂直に配置して、それぞれ平行に配置している。
また、図4に示す各梁材3は、その長手方向を水平方向へ向けて配置しており、両側の端部をボルトからなる雄ねじ部材B2によって支持部材2へ固定している。
【0021】
図5図3、4の支持部材2を示す正面図であり、図6図5の左側面図であり、図7図5の平面図であり、図8図5のB-B断面図であり、図9図5の上部付近の拡大図である。
以降において、図5の図中上下方向を上下方向とし、上下方向に対して垂直な図中左右方向を幅方向とし、上下方向と左右方向に対して垂直な方向を前後方向として、説明する。
支持部材2は、上下へ延びる基部21を備えている。基部21は金属製の長尺体であり、具体的にはH型鋼で形成している。即ち、基部21は、平板状のウェブ21aと、その両端に接続する平板状のフランジ21bを備えており、各フランジ21bを前後方向側に配置している。
支持部材2の上端には設置部22を形成している。設置部22は矩形平板状の金属板であり、後方側のフランジ21bに溶接で固定している。設置部22には前後へ貫通する貫通孔(図示せず)を形成しており、この貫通孔へ前記埋設ボルトB1の雄ねじを挿通させ設置部22の後面を孔部93の内周面へ当接させて、前記孔部93へ設置するように設けている。
【0022】
支持部材2は、基部21の上部と下部とに前記梁材3の端部を固定する支持部23を形成している。上下に1個ずつ2個1組に配置した各支持部23は、同一形状の略矩形平板状の金属板でそれぞれ形成しており、基部21の幅方向側に溶接で固定している。各支持部23は、基部21の長手方向に対して垂直に配置しており、基部21の長手方向を上下方向へ向けて設置したときに、各支持部23が水平方向へ向けて突出するように設けている。
各支持部23は、上下方向に貫通する略小判型の貫通孔23aを形成しており、この貫通孔23aへ挿通させた前記雄ねじ部材B2によって前記梁材3の端部を固定するように設けている。
【0023】
図10図4の梁材3を示す正面図であり、図11図10の平面図であり、図12図10の左側面図である。梁材3は幅方向に長い金属製の長尺体であり、具体的には溝形鋼で形成している。即ち、梁材3は、平板状のウェブ31aと、その両端から延設される平板状のフランジ31bを備えており、各フランジ31bを前後方向側に配置している。
【0024】
梁材3の前方側のフランジ31bには前記雄ねじ部材B3を取り付けており、雄ねじ部材B3の雄ねじ部をフランジ31bから前方側へ突出させている。
前記各防音パネル10は、この雄ねじ部を上端と下端とに挿通させ、ナット部材を螺結させて梁材3へ固定するように設けている。
【0025】
梁材3の幅方向の両端には、ウェブ31aを上下方向に貫通する円形の貫通孔33を形成している。各貫通孔33は支持部材2の支持部23の前記貫通孔23aに対応する配置に設けており、梁材3はウェブ31aを前記支持部23に重ね、貫通孔33と貫通孔23aとに前記雄ねじ部材B2を挿通しナット部材へ螺結させて、その端部を支持部材2へ固定するように設けている。各支持部23は、その上面を支持面として上側に重ねた梁材3のウェブ31aを支持するように設けている。
【0026】
図13図4の上部付近を拡大して示す部分断面図である。図13は、図中左側に配置した梁材3のフランジ31bの両端部分を切り欠くように描いた部分断面図である。また、図13においては、図中左側の支持部材2の左側に固定した梁材3と、図中右側の支持部材の右側に固定した梁材3の図示を省略して、図面を簡略化している。
図13に示す各支持部材2は、その設置部22を設置場所である高架構造物9の車両走行部92の傾斜に対応するように配置している。図3に示す前記防音装置1は、図中左側から右側へ至るほど上方へ向かう傾斜状の車両走行部92に設置しており、図4及び図13に示す各支持部材2はこの傾斜に対応して図中右側の支持部材2が図中左側の支持部材2よりも上方に設置している。
即ち、図4及び13に示す各支持部材2は、各梁材3の図中右側の端部を固定する支持部23が図中左側の端部を固定する支持部23よりも上方に配置されている。
【0027】
図14図13のC-C断面図である。図14及び後述する図15、16においては、雄ねじ部材B3や、支持部23以外の支持部材2の図示を省略して、図面を簡略化している。
図14に示す梁材3は、ウェブ31aの下面を支持面となされる支持部23の上面へ当接させ、前記貫通孔33及び貫通孔23aに挿通させた雄ねじ部材B2にナット部材を螺結させて固定している。図4及び図13に示す各梁材3は、図中右側の端部を図14に示すように支持部材2の支持部23へ固定している。
図14に示すように梁材3の各フランジ31bの間に支持部23を収納するように配置することで、梁材3の端部を支持部23へ固定する作業おいて梁材3が前後方向へ移動した場合でも、前記フランジ31bが支持部23へ当接することで支持部23から外れるような位置ずれが規制され、梁材3の落下を防止できる。
【0028】
図15図13のD-D断面図である。
図15に示す梁材3のウェブ31aと支持部23との間には、間隔調整材4を配置して取り付けている。間隔調整材4は前後方向の大きさが支持部23と略同一の矩形平板状に設けた金属板であり、前記貫通孔33と貫通孔23aに対応する配置で上下方向に貫通する貫通孔(図示せず)を形成している。
図4及び図13に示す各梁材3は、図中左側の端部を図15に示すように、支持部23の上面に取り付けた間隔調整材4の上面にウェブ31aの下面を当接させ、前記貫通孔33及び貫通孔23aに挿通させると共に前記間隔調整材4を上下方向に貫通する雄ねじ部材B2にナット部材を螺結させて固定している。
図15に示すように梁材3の各フランジ31bの間に支持部23を収納するように配置することで、図14に示す梁材3と同様に、梁材3が前後方向へ移動した場合でも、前記フランジ31bの支持部23への当接によって位置ずれが規制され、梁材3の落下を防止できる。また、図15に示すように、間隔調整材4を前記各フランジ31bの間に配置することで、梁材3の端部を支持部23へ固定する作業において間隔調整材4が移動した場合でも、前記フランジ31bに当接することで間隔調整材4の移動が規制され、下方へ落下を防止できる。
【0029】
尚、図13図15においては、図4の図中上側に配置した各梁材3と支持部材2とを拡大して図示しているが、図4の図中下側に配置した各梁材3も図中上側に配置した前記梁材3と同様に支持部23へ固定している。即ち、下側に配置した各梁材3は、各フランジ31bがウェブ31aの両端から下方へ延びるように配置し、幅方向の一方の端部を図15に示す前記梁材3と同様に、支持面となされる支持部23の上面に取り付けた間隔調整材4の上面にウェブ31aの下面を当接させ、前記貫通孔33及び貫通孔23aに挿通させると共に前記間隔調整材4を上下方向に貫通する雄ねじ部材B2にナット部材を螺結させて固定している。また、幅方向の他方の端部を図14に示す前記梁材3と同様に、ウェブ31aの下面を支持面となされる支持部23の上面へ当接させ、前記貫通孔33及び貫通孔23aに挿通させた雄ねじ部材B2にナット部材を螺結させて固定している。
各梁材3を上記のように支持部材2へ固定することで、支持部23と梁材3との間に間隔調整材4を配置して取り付けた場合においても上下に配置された各梁材3が水平且つ平行に配置されるので、前記防音パネル10の上端と下端とを前記各梁材3へ良好に固定できる。
【0030】
前記防音装置1は、図4及び図13において図中右側の支持部材2よりも下方に配置される図中左側の各梁材3の支持部23と梁材3との間に前記間隔調整材4を配置して取り付けることで、傾斜状となされた高架構造物9の設置場所において各梁材3をより水平に近い配置で設置している。
換言すると、間隔調整材4によって梁材3の一方の端部の上下方向の配置を他方の端部に合わせているので、支持部材2、梁材3、及び防音パネル10の形状を変更することなく水平な設置場所のみならず傾斜状の設置場所に防音装置1を設置することができる。
【0031】
前記防音装置1は、梁材3の一方の端部と支持部材2の支持部23との間に前記間隔調整材4を取り付けることで、梁材3をより水平に近い配置に設置しているが、間隔調整材4を取り付けることで、図15に示すように、梁材3の各フランジ31bと間隔調整材4との間に小さな隙間Sが生じる。このような隙間Sが生じた場合、上方の車両走行部92で生じて孔部93へ入り込む騒音が隙間Sを通過して防音パネル10の後方へ至り、防音装置1の外側へ漏れる可能性がある。
このため、間隔調整材4により生じる隙間Sをカバーなどで塞ぐことが好ましい。
【0032】
図16はカバー体5の実施の一形態を示す、(イ)は平面図であり、(ロ)は正面図であり、図17図16の左側面図である。
カバー体5は、金属板を曲げ加工し略L字型の外形に形成した金具であり、矩形平板状の基板51と、基板51の端部から垂直下方へ延設する覆部52を備えている。
基板51には上下方向に貫通する円形の貫通孔51aを形成しており、貫通孔51aは前記貫通孔33及び貫通孔23aに対応する配置に設けている。
覆部52はその下端から上方へ向かう矩形の切欠部52aを形成している。切欠部52aは、その前後方向の大きさを前記間隔調整材4及び支持部23の前後方向の大きさよりも若干大きく形成しており、切欠き部52aの内側へ支持部23を挿入可能に設けている。
【0033】
図18図13の梁材3に図16、17のカバー体5を取り付けた状態を示す図であり、図19図18のE-E断面図である。
カバー体5は図13の梁材3の前記図中左側の端部に取り付けており、図18、19に示すように基板51の下面を梁材3のウェブ31aの上面へ当接させ、貫通孔51aへ挿通させた前記雄ねじ部材B2によって固定している。
基板51から延設する覆部52は切欠部52aの内側に支持部23を挿入させており、支持部23の前後方向の端部の近傍に覆部52の縁が配置されるように設けている。
このようにカバー体5を取り付けることで、梁材3の各フランジ31bと間隔調整材4との間に生じる前記隙間Sが覆部52で塞がるので、隙間Sを通過して防音装置1の外方へ漏れる騒音を低減できる。
【0034】
尚、本発明に係る防音装置1は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、図1~3に示す前記防音装置1は、図13~15や図18~19に示すように、溝形鋼からなる梁材3の向きを、各フランジ31bがウェブ31aから下方へ突出するように配置しているが、これに限るものではない。各フランジ31bがウェブ31aから上方へ突出するように梁材3を配置し、前記ウェブ31aの下面を支持部23の支持面となされる上面へ重ねて支持部材2へ固定してもよい。この場合においても、間隔調整材4を前記ウェブ31aと支持部23との間に配置して取り付けることで、前記防音装置1と同様の効果を得ることができる。
【0035】
また、図16、17に示す前記カバー体5は、切欠部52aの前後方向の大きさを支持部23よりも若干大きく形成して、その内側に支持部23を挿入させているが、これに限るものではない。例えば、覆部52の下端が支持部23よりも上方に配置されるようにカバー体5を形成すれば、切欠部52aの前後方向の大きさを支持部23よりも小さく形成してもよく、切欠部52aを形成しなくてもよい。
【0036】
また、図1~3に示す前記防音装置1は、図13~15や図18、19に示すように、支持部材2の支持部23の上面を支持面とし、その上方に各梁材3の端部のウェブ31aが重なるように配置して雄ねじ部材B2で固定しているが、これに限るものではない。例えば、梁材3の端部のウェブ31aを支持部23の下方に重なるように配置して、雄ねじ部材B2で固定してもよい。
【0037】
また、図1~3に示す前記防音装置1は、図13図15、及び図19に示すように、支持部材2の支持部23と梁材3との間に矩形平板状に形成した間隔調整材4を1個配置して取り付けているが、これに限るものではない。例えば、間隔調整材4を厚みの小さな矩形平板状に形成し、上下方向に複数個重ねた間隔調整材4を支持部23と梁材3との間に配置して取り付けても良い。このように間隔調整材4を設けることで、設置場所の傾斜の勾配が変化した場合でも、取り付ける間隔調整材4の個数を調整して前記防音装置1を水平に設置できる。
【0038】
また、図1~3に示す前記防音装置1は、溝形鋼からなる各梁材3の各フランジ31bがウェブ31aから下方へ向かって延びるように配置しているが、これに限るものではない。各フランジ31bがウェブ31aから上方へ向かって延びるように溝形鋼からなる各梁材3を配置し、その端部のウェブ31aを支持部23の上下方向に重ねて、雄ねじ部材B2によって固定してもよい。
【0039】
前記防音装置1は、上方に配置する梁材3と、その真下に配置する梁材3について、幅方向の一方側の各端部のウェブ31aと支持部23との上下方向の間隔を一致させると共に、幅方向の他方側の各端部のウェブ31aと支持部23との上下方向の間隔を一致させることで、前記各梁材3を平行に配置できる。また、上方に配置する梁材3と、その真下に配置する梁材3を上記のように配置して支持部材2へ固定することで、坂などの傾斜状の設置場所に設置するために前記各梁材3の端部と支持部23との間に前記間隔調整材4を取り付ける場合において、水平な設置場所に設置するために前記間隔調整材4を取り付けない場合と比較して、平行に配置した前記各梁材3の上下方向の間隔の大きさが変化しない。このため、傾斜状の設置場所に設置する防音装置1において、防音パネル10の形状等を変更することなく、水平な設置場所に設置する防音装置1と同様にその上端と下端とを前記各梁材3へ固定することができる。尚、上記の「各端部のウェブ31aと支持部23との上下方向の間隔を一致させる」とは、間隔の大きさだけではなく、ウェブ31aと支持部23との上下方向の配置も一致させることを意味する。
【0040】
また、図1~3に示す前記防音装置1は、梁材3の幅方向の一方の端部と支持部23との間にのみ間隔調整材4を取り付けているが、これに限るものではなく、梁材3の両側の端部と各支持部23との間に間隔調整材4を取り付けてもよい。このような場合においては、前記各間隔調整材4の形状や個数を変更することで、梁材3の一方の端部と他方の端部のそれぞれの上下方向の位置を調整し、坂などの傾斜状の設置場所において梁材3を水平に配置して設置することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 防音装置
10 防音パネル
2 支持部材
21 基部
22 設置部
23 支持部
3 梁材
4 間隔調整材
5 カバー体
51 基板
52 覆部
9 高架構造物
91 支脚
92 車両走行部
93 孔部
94 防音壁

図1
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