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特開2024-175273筐体構造およびその筐体構造を備えたアクチュエータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175273
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】筐体構造およびその筐体構造を備えたアクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20241211BHJP
   H05K 7/14 20060101ALI20241211BHJP
   H02K 11/33 20160101ALN20241211BHJP
【FI】
H05K7/20 B
H05K7/14 C
H02K11/33
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092929
(22)【出願日】2023-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】関 徹也
(72)【発明者】
【氏名】宮地 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】松井 隆之
【テーマコード(参考)】
5E322
5E348
5H611
【Fターム(参考)】
5E322AA02
5E322AA03
5E322AB04
5E322AB11
5E348AA03
5E348AA08
5E348AA13
5E348AA40
5H611AA09
5H611BB01
5H611TT01
5H611UA04
(57)【要約】
【課題】回路基板に実装された電子部品を効率良く放熱することが可能な筐体構造およびアクチュエータを提案する。
【解決手段】本発明の筐体構造は、第1ケーシング(110)および第2ケーシング(120)を有する筐体(130)と、筐体(130)の内部に配置される回路基板(900)と、を備え、第1ケーシング(110)は、第1ケーシング(110)から回路基板(900)に向かって延びる第1の壁(117)を有し、第2ケーシング(120)は、第2ケーシング(120)から回路基板(900)に向かって延びる第2の壁(127)を有し、回路基板(900)は、第1の壁(117)および第2の壁(127)と接触している。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ケーシングおよび第2ケーシングを有する筐体と、
前記筐体の内部に配置される回路基板と、
を備え、
前記第1ケーシングは、前記回路基板に向かって延びる第1の壁を有し、
前記第2ケーシングは、前記回路基板に向かって延びる第2の壁を有し、
前記回路基板は、前記第1の壁および前記第2の壁と接触している、
筐体構造。
【請求項2】
前記回路基板は、前記第1の壁および前記第2の壁に挟まれている
請求項1に記載の筐体構造。
【請求項3】
前記第1の壁または前記第2の壁の少なくともどちらか一方が前記回路基板に実装された電子部品と接触している
請求項1に記載の筐体構造。
【請求項4】
前記第1の壁または前記第2の壁の少なくともどちらか一方は、弾性を有し、かつ、前記回路基板の方向に付勢されている
請求項1に記載の筐体構造。
【請求項5】
前記第1の壁または前記第2の壁の少なくともどちらか一方は、前記回路基板の方向に突出する突出部を有し、
前記突出部が前記回路基板と接触している
請求項1に記載の筐体構造。
【請求項6】
請求項1乃至5のうち何れか1項に記載の筐体構造を有するアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体構造およびその筐体構造を備えたアクチュエータに関し、特に、車両用空調装置における送風経路切り換えドアを作動させるためのモータアクチュエータに適用される。
【背景技術】
【0002】
従来、モータアクチュエータのケーシング内部に、モータとギアと当該モータを制御するための回路基板が固定された構造が提案されている。この回路基板については、放熱性能をいかに向上するかが市場に求められており、簡易な構造で回路基板の冷却を行うことが課題であった(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5694729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1おいては、モータアクチュエータが駆動すると、制御回路基板に実装された電子部品(FET(Field Effect Transistor),IC(Integrated Circuit))等が発熱し、特に高温環境下で連続駆動した場合には長時間にわたり電子部品が高温になるおそれがあった。
【0005】
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、回路基板に実装された電子部品を効率良く放熱することが可能な筐体構造およびその筐体構造を備えたアクチュエータを提案することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、以下の本発明により解決される。すなわち、本発明の筐体構造は、第1ケーシングおよび第2ケーシングを有する筐体と、前記筐体の内部に配置される回路基板と、を備え、前記第1ケーシングは、当該第1ケーシングから前記回路基板に向かって延びる第1の壁を有し、前記第2ケーシングは、当該第2ケーシングから前記回路基板に向かって延びる第2の壁を有し、前記回路基板は、前記第1の壁および前記第2の壁と接触している。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の第1の実施の形態にかかる筐体構造を有するアクチュエータの全体構成を示す斜視図である。
図2】本発明の第1の実施の形態にかかるアクチュエータの筐体の構成を示す分解斜視図である。
図3】本発明の第1の実施の形態にかかるアクチュエータの上側筐体の構成を示す斜視図である。
図4】本発明の第1の実施の形態にかかる筐体構造による第1の壁と回路基板とが接触した状態を示す斜視図(A)、および、第2の壁と回路基板とが接触した状態を示す斜視図(B)である。
図5】本発明の第2の実施の形態にかかる筐体構造を有するアクチュエータの全体構成を示す斜視図である。
図6】本発明の第2の実施の形態にかかるアクチュエータの下側筐体の構成を示す分解斜視図である。
図7】本発明の第2の実施の形態にかかるアクチュエータの上側筐体の構成を示す斜視図である。
図8】本発明の第2の実施の形態にかかる筐体構造による第1の壁および第2の壁と回路基板とが接触した状態を示す斜視図である。
図9】本発明の第3の実施の形態にかかる筐体構造を有するアクチュエータの全体構成を示す斜視図である。
図10】本発明の第3の実施の形態にかかるアクチュエータの下側筐体の構成を示す斜視図である。
図11】本発明の第3の実施の形態にかかるアクチュエータの上側筐体の構成を示す斜視図である。
図12】本発明の第3の実施の形態にかかる筐体構造による第1の壁の構造を示す部分拡大斜視図(A)、および、第1の壁および第2の壁と回路基板とが接触した状態を示す断面図(B)である。
図13】本発明の第4の実施の形態にかかる筐体構造を有するアクチュエータの全体構成を示す斜視図である。
図14】本発明の第4の実施の形態にかかるアクチュエータの下側筐体の構成を示す斜視図である。
図15】本発明の第4の実施の形態にかかるアクチュエータの上側筐体の構成を示す斜視図である。
図16】本発明の第4の実施の形態にかかる筐体構造による第1の壁が電子部品と接触し、第2の壁が第1の壁を押圧した状態を示す斜視図である。
図17】本発明の他の実施の形態にかかる筐体構造による第1の壁の構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<実施の形態>
以下、本発明の一例である第1の実施の形態乃至第4の実施の形態についてそれぞれ具体的に説明する。
【0009】
<第1の実施の形態>
最初に第1の実施の形態について以下の図1乃至図4を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる筐体構造を有するアクチュエータの全体構成を示す斜視図である。図2は、本発明の第1の実施の形態にかかるアクチュエータの下側筐体の構成を示す分解斜視図である。図3は、本発明の第1の実施の形態にかかるアクチュエータの上側筐体の構成を示す斜視図である。図4は、本発明の第1の実施の形態にかかる筐体構造による第1の壁と回路基板とが接触した状態を示す斜視図(A)、および、第2の壁と回路基板とが接触した状態を示す斜視図(B)である。
【0010】
なお、以下の説明において、第1の実施の形態において共通する構成要素には同一の参照符号を付し、繰り返しの説明を省略する。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。因みに、後述する第2乃至第4の実施の形態においても同様とする。
【0011】
第1の実施の形態の説明において、説明の便宜上、矢印a方向を上側または一方側とし、矢印b方向を下側または他方側とする。ここで、矢印ab方向を上下方向と称する。ただし、上下方向は、鉛直方向とは必ずしも一致しない。また、矢印cd方向を延び方向または長手方向と称し、矢印c方向を左側または一端側、矢印d方向を右側または他端側と称する。さらに、矢印ef方向を短手方向または幅方向と称し、矢印e方向を奥側、矢印f方向を手前側と称する。このことは、第2の実施の形態乃至第4の実施の形態においても同様である。
【0012】
図1に示すように、アクチュエータ100は、当該アクチュエータ100の駆動源となる図示しないモータ装置やその他種々の構成要素を内部に有する構造体である。アクチュエータ100は、第1ケーシングとしての下側筐体110、および、第2ケーシングとしての上側筐体120からなる筐体130を有している。
【0013】
アクチュエータ100の筐体130は、下側筐体110と上側筐体120とが一体に結合されることにより形成され、その内部空間にモータ装置が配置されると共に、そのモータ装置を駆動制御するための回路基板900(図1図2および図4)についても内部空間に立設した状態で保持している。
【0014】
筐体130は、下側筐体110と上側筐体120とが一体に結合された状態において、当該筐体130の長手方向における一端側(矢印c方向)の端部に、下側筐体110および上側筐体120の双方に跨る開口孔130hを有している。すなわち筐体130は、開口孔130hに、複数のピンが植設されたコネクタ(図示せず)が配置されており、このコネクタにより、回路基板900と外部機器とが接続可能に構成されている。
【0015】
図2に示すように、下側筐体110は上側(矢印a方向)が開口した箱筒状の金属または樹脂等で形成されている。下側筐体110は、下壁部111および側壁部112からなり、その下壁部111および側壁部112によって筐体130の内部空間を構成する内側空間を形成している。
【0016】
図3および図4に示すように、上側筐体120は、下側(矢印b方向)が開口した箱筒状の金属または樹脂等で形成されている。上側筐体120は、上壁部121および側壁部122からなり、その上壁部121および側壁部122によって筐体130の内部空間を構成する内側空間を形成している。
【0017】
かかる構成に加えて下側筐体110は、当該下壁部111の底壁面から上側(矢印a方向)に向かって延びる平面視長方形状の板状部材からなる第1の壁117(図2および図4)を有している。
【0018】
第1の壁117は、下壁部111と一体に形成されており、下側(矢印b方向)から上側(矢印a方向)に向かって延びているが、上側筐体120の上壁部121に到達することのない程度の長さを有している。なお、第1の壁117は、下壁部111と別体に形成された後に、両者が結合されるようにしてもよい。
【0019】
また、第1の壁117の厚さは、回路基板900の厚さと同じである。ただし、これに限るものではなく、第1の壁117の厚さは、回路基板900の厚さよりも薄くてもよいし、または、厚くてもよい。
【0020】
また、第1の壁117は、回路基板900と隣接して配置されており、回路基板900のほぼ中央に実装された電子部品910を完全に隠すことができるように当該電子部品910と面接触した状態で配置されている。
【0021】
すなわち、第1の壁117は、回路基板900の電子部品910と面接触しているが、回路基板900の電子部品910が実装されている表側(矢印d方向)の面であって、当該電子部品910が実装されていない部分とは非接触である。
【0022】
なお、第1の壁117は、電子部品910を完全に隠すことができる程度の大きさに形成されているが、これに限るものではなく、電子部品910を部分的に隠す程度の大きさであってもよく、または、電子部品910だけではなく、回路基板900の表側(矢印d方向)の面をほぼ全部隠すことができる程度の大きさに形成されていてもよい。
【0023】
さらに第1の壁117は、電子部品910と接触することなく回路基板900の表側(矢印d方向)の面と部分的に接触していてもよい。要は、第1の壁117は、少なくとも回路基板900の電子部品910、または、回路基板900の表側(矢印d方向)の面のどちらかと接触していればよい。ただし、第1の壁117は、電子部品910の発熱を放熱することを考慮すると、電子部品910と直接接触していることが好ましい。
【0024】
一方、上側筐体120は、上壁部121の上壁面から下側(矢印b方向)に向かって延びる平面視長方形状の板状部材からなる第2の壁127を有している。第2の壁127は、回路基板900を間に挟んで第1の壁117とは反対側に配置されている。
【0025】
第2の壁127は、上側筐体120の上壁部121と一体に形成されており、上側(矢印a方向)から下側(矢印b方向)に向かって延びるが、下側筐体110の下壁部111に到達することのない程度の長さを有している。なお、第2の壁127においても、上壁部121と別体に形成された後に、両者が結合されるようにしてもよい。
【0026】
また、第2の壁127の厚さは、回路基板900の厚さと同じである。ただし、これに限るものではなく、第2の壁127の厚さは、回路基板900の厚さよりも薄くてもよいし、または、厚くてもよい。さらに、第2の壁127は、第1の壁117と同じであってもよいし、第1の壁117よりも薄くてもよいし、または、厚くてもよい。
【0027】
第2の壁127は、回路基板900よりも小さく、当該回路基板900の裏側(矢印c方向)の面と部分的に接触する程度の大きさである。第2の壁127は、第1の壁117と同じ面積を有する大きさに形成されているが、これに限るものではなく、第1の壁117よりも大きくてもよいし、または、小さくてもよい。例えば、第2の壁127は、回路基板900の裏側(矢印c方向)の面をほぼ全部隠すことができる程度の大きさに形成されていてもよい。
【0028】
このように筐体130においては、下側筐体110の下壁部111から上側(矢印a方向)に向かって延びた第1の壁117と、上側筐体120の上壁部121から下側(矢印b方向)に向かって延びた第2の壁127とによって、電子部品910の実装された回路基板900を挟持した状態で保持している。
【0029】
以上の構成において、第1の実施の形態における筐体130の筐体構造では、下側筐体110の下壁部111から上側(矢印a方向)に向かって立設された第1の壁117と、上側筐体120の上壁部121から下側(矢印b方向)に向かって立設された第2の壁127との双方により回路基板900を面接触状態で挟持している。
【0030】
したがって、筐体130では、モータ装置(図示せず)を駆動することにより回路基板900の電子部品910に生じた熱を、第1の壁117を経由して下側筐体110から逃がすことができる。
【0031】
同時に筐体130では、電子部品910に生じた熱を回路基板900の裏側(矢印c方向)の面および第2の壁127を経由して上側筐体120から逃がすことができる。この場合、第2の壁127は、電子部品910の熱を回路基板900のスルーホール(図示せず)を経由して上側筐体120へ効率的に逃がすことができる。
【0032】
すなわち、筐体130では、第1の壁117から下側筐体110を介して電子部品910の熱を逃がす第1の放熱経路、および、第2の壁127から上側筐体120を介して電子部品910の熱を逃がす第2の放熱経路を有することになるので、電子部品910の熱を下側筐体110および上側筐体120の双方から効率的に逃がすことができる。
【0033】
また、筐体130では、下側筐体110における第1の壁117が回路基板900の表側(矢印d方向)の面に実装された電子部品910と面接触する一方、上側筐体120における第2の壁127が回路基板900の裏側(矢印c方向)の面と面接触している。
【0034】
すなわち筐体130では、下側筐体110における第1の壁117、または、上側筐体120における第2の壁127のどちらか一方が必ず電子部品910と接触している構造である。
【0035】
筐体130では、回路基板900の表側(矢印d方向)の面において第1の壁117と電子部品910とが直接接触しているので、第1の壁117から熱を逃がし易いことに加えて、回路基板900の裏側(矢印c方向)の面に伝達された熱に対しては第2の壁127から効率的に逃がすことができる。
【0036】
<第2の実施の形態>
続いて、第2の実施の形態について以下の図5乃至図8を参照しながら説明する。図5は、本発明の第2の実施の形態にかかる筐体構造を有するアクチュエータの全体構成を示す斜視図である。図6は、本発明の第2の実施の形態にかかるアクチュエータの下側筐体の構成を示す分解斜視図である。図7は、本発明の第2の実施の形態にかかるアクチュエータの上側筐体の構成を示す斜視図である。図8は、本発明の第2の実施の形態にかかる筐体構造による第1の壁および第2の壁と回路基板とが接触した状態を示す斜視図である。
【0037】
図5に示すように、第2の実施の形態におけるアクチュエータ200は、第1の実施の形態におけるアクチュエータ100と同様に、当該アクチュエータ200の駆動源となる図示しないモータ装置やその他種々の構成要素を内部に有する構造体である。アクチュエータ200は、第1ケーシングとしての下側筐体210、および、第2ケーシングとしての上側筐体220からなる筐体230を有している。
【0038】
アクチュエータ200の筐体230は、下側筐体210と上側筐体220とが一体に結合されることにより形成され、その内部空間にモータ装置が配置されると共に、そのモータ装置を駆動制御するための回路基板900(図5図6および図8)についても内部空間に立設した状態で保持している。
【0039】
筐体230は、下側筐体210と上側筐体220とが一体に結合された状態において、当該筐体230の長手方向における一端側(矢印c方向)の端部に、下側筐体210および上側筐体220の双方に跨る開口孔230h(図5)を有している。
【0040】
すなわち筐体230は、開口孔230hに、複数のピンが植設されたコネクタ(図示せず)が配置されており、このコネクタにより、回路基板900と外部機器とが接続可能に構成されている。
【0041】
図6に示すように、下側筐体210は上側(矢印a方向)が開口した箱筒状の金属または樹脂等で形成されている。下側筐体210は、下壁部211および側壁部212からなり、その下壁部211および側壁部212によって筐体230の内部空間を構成する内側空間を形成している。
【0042】
また、下側筐体210の下壁部211は、筐体230の開口孔230hの側には、第1の実施の形態における第2の壁127(図4)を有しておらず、回路基板900における複数のスルーホール901が開口孔230hから露出している。
【0043】
図7に示すように、上側筐体220は、下側(矢印b方向)が開口した箱筒状の金属または樹脂等で形成されている。上側筐体220は、上壁部221および側壁部222からなり、その上壁部221および側壁部222によって筐体230の内部空間を構成する内側空間を形成している。
【0044】
かかる構成に加えて下側筐体210は、図6に示すように、下壁部211の底壁面から上側(矢印a方向)に向かって延びる平面視直角三角形状の板状部材からなる第1の壁217を有している。第1の壁217は、回路基板900よりも内側に配置されており、開口孔230hから露出することはない。
【0045】
第1の壁217は、下側筐体210の下壁部211と一体に形成されており、下側(矢印b方向)から上側(矢印a方向)に向かって延びているが、直角三角形の頂部が上側筐体220の上壁部221に到達することのない程度の長さを有している。なお、第1の壁217は、下壁部211と別体に形成された後に、両者が結合されるようにしてもよい。
【0046】
第1の壁217の厚さは、回路基板900の厚さと同じである。ただし、これに限るものではなく、第1の壁217の厚さは、回路基板900の厚さより薄くてもよいし、または、厚くてもよい。
【0047】
第1の壁217は、下側筐体210と上側筐体220とが結合されて、下壁部211と上壁部221との間に挟持された回路基板900と長手方向(矢印cd方向)において隣接して配置されている。
【0048】
また、第1の壁217は、回路基板900に実装された電子部品910の対角線に対して当該第1の壁217の直角三角形の斜辺が沿った状態で、電子部品910の下側半分程度を隠すことができるように当該電子部品910と密着した状態で面接触している。
【0049】
すなわち、第1の壁217は、回路基板900の電子部品910の一部と接触しているが、回路基板900のうち電子部品910が実装されていない表側(矢印d方向)の面とは非接触である。
【0050】
なお、第1の壁217は、電子部品910の下側半分程度を隠す程度の大きさに形成されているが、これに限るものではなく、電子部品910と部分的に接触していれば、下側半分以上または下側半分以下の面積を隠すことができる程度の大きさ、および、形状であってもよい。
【0051】
さらに第1の壁217は、電子部品910と接触することなく回路基板900の表側(矢印d方向)の面と部分的に接触していてもよい。要は、第1の壁217は、少なくとも回路基板900の電子部品910、または、回路基板900の表側(矢印d方向)の面のどちらかと接触していればよい。ただし、第1の壁217は、電子部品910の発熱を放熱することを考慮すると、電子部品910と直接接触していることが好ましい。
【0052】
一方、図7および図8に示すように、上側筐体220は、上壁部221の上壁面から下側(矢印b方向)に向かって延びる平面視直角三角形状の板状部材からなる第2の壁227を有している。第2の壁227は、回路基板900に対して第1の壁217と同じ側に配置されている。
【0053】
第2の壁227は、上側筐体220の上壁部221と一体に形成されており、上側(矢印a方向)から下側(矢印b方向)に向かって延びているが、直角三角形の頂部が下側筐体210の下壁部211に到達することのない程度の長さを有している。なお、第2の壁227においても、上壁部221と別体に形成された後に、両者が結合されるようにしてもよい。
【0054】
第2の壁227の厚さは、回路基板900の厚さと同じである。ただし、これに限るものではなく、第2の壁227の厚さは、回路基板900の厚さより薄くてもよいし、または、厚くてもよい。
【0055】
また、第2の壁227は、下側筐体210と上側筐体220とが結合された状態において、回路基板900と長手方向(矢印cd方向)において隣接して配置されている。
【0056】
第2の壁227は、回路基板900に実装された電子部品910の対角線に対して当該第2の壁227の直角三角形の斜辺が沿った状態で、電子部品910の上側半分程度を隠すことができるように密着した状態で面接触している。
【0057】
すなわち、第2の壁227についても、回路基板900の電子部品910の一部と接触しているが、回路基板900のうち電子部品910が実装されていない表側(矢印d方向)の面とは非接触である。
【0058】
なお、第2の壁227は、電子部品910の上側半分程度を隠すことができる程度の大きさに形成されているが、これに限るものではなく、電子部品910と部分的に接触していれば、上側半分以上または上側半分以下の面積を隠すことができる程度の大きさ、および、形状であってもよい。
【0059】
さらに第2の壁227は、電子部品910に接触することなく回路基板900の表側(矢印d方向)の面と部分的に接触していてもよい。要は、第2の壁227は、少なくとも回路基板900の電子部品910、または、回路基板900の表側(矢印d方向)の面のどちらかと接触していればよい。ただし、第2の壁227についても、電子部品910の発熱を放熱することを考慮すると、電子部品910と直接接触していることが好ましい。
【0060】
この場合、下側筐体210における第1の壁217と、上側筐体220における第2の壁227とが、直角三角形における互いの斜辺同士が接触した状態、または、非常に近接した状態となり、あたかも1枚の矩形状の壁が電子部品910を全体的に隠すことができるように配置されている。
【0061】
このように筐体230においては、第1の壁217および第2の壁227の双方が、回路基板900の電子部品910と面接触しているものの、回路基板900の裏側(矢印c方向)の面には、当該回路基板900と接触する壁は存在していない構成である。
【0062】
このように筐体230においては、下側筐体210の下壁部211から上側(矢印a方向)に向かって延びた第1の壁217、および、上側筐体220の上壁部221から下側(矢印b方向)に向かって延びた第2の壁227の双方により、回路基板900の電子部品910と面接触した状態で保持している。
【0063】
以上の構成において、第2の実施の形態における筐体230の筐体構造では、下側筐体210の下壁部211から上側(矢印a方向)に向かって立設された第1の壁217、および、上側筐体220の上壁部221から下側(矢印b方向)に向かって立設された第2の壁227の双方が回路基板900の電子部品910と面接触している。
【0064】
したがって、筐体230では、モータ装置(図示せず)を駆動することにより回路基板900の電子部品910に生じた熱を、下側筐体210における第1の壁217を経由して下側筐体210から逃がすことができる。同時に筐体230では、電子部品910に生じた熱を、上側筐体220における第2の壁227を経由して上側筐体220から逃がすことができる。
【0065】
すなわち、筐体230では、電子部品910が実装された回路基板900の表側(矢印d方向)において、第1の壁217から下側筐体210を介して電子部品910の熱を逃がす第1の放熱経路、および、第2の壁227から上側筐体220を介して電子部品910の熱を逃がす第2の放熱経路を有することになるので、電子部品910の熱を下側筐体210および上側筐体220の双方から効率的に逃がすことができる。
【0066】
また、筐体230では、回路基板900の表側(矢印d方向)の面に対してのみ第1の壁217および第2の壁227を配置するようにした。これにより筐体230では、回路基板900の裏側(矢印c方向)の面には何ら壁を設ける必要がなくなるので、省スペース化を図ることができる。
【0067】
また、筐体230では、下側筐体210における第1の壁217が回路基板900の表側(矢印d方向)の面に実装された電子部品910と面接触し、上側筐体220における第2の壁227についても回路基板900の表側(矢印d方向)の面と面接触している。
【0068】
このため、筐体230は、第1の壁217および第2の壁227によって、回路基板900の電子部品910を全て隠すことができる程度の広い面積にわたって接触していることになるので、電子部品910の熱を第1の壁217および第2の壁227の双方から効率的に逃がすことができる。
【0069】
<第3の実施の形態>
続いて、第3の実施の形態について以下の図9乃至図12を参照しながら説明する。図9は、本発明の第3の実施の形態にかかる筐体構造を有するアクチュエータの全体構成を示す斜視図である。図10は、本発明の第3の実施の形態にかかるアクチュエータの下側筐体の構成を示す斜視図である。図11は、本発明の第3の実施の形態にかかるアクチュエータの上側筐体の構成を示す斜視図である。図12は、本発明の第3の実施の形態にかかる筐体構造による第1の壁の構造を示す部分拡大斜視図(A)、および、第1の壁および第2の壁と回路基板とが接触した状態を示す断面図(B)である。
【0070】
図9に示すように、第3の実施の形態におけるアクチュエータ300は、第1および第2の実施の形態におけるアクチュエータ100、200と同様に、当該アクチュエータ300の駆動源となる図示しないモータ装置やその他種々の構成要素を内部に有する構造体である。アクチュエータ300は、第1ケーシングとしての下側筐体310、および、第2ケーシングとしての上側筐体320からなる筐体330を有している。
【0071】
アクチュエータ300の筐体330は、下側筐体310と上側筐体320とが一体に結合されることにより形成され、その内部空間にモータ装置が配置されると共に、そのモータ装置を駆動制御するための回路基板900(図9図10および図12)についても内部空間に立設した状態で保持している。
【0072】
筐体330は、下側筐体310と上側筐体320とが一体に結合された状態において、当該筐体330の長手方向における一端側(矢印c方向)の端部に下側筐体310および上側筐体320の双方に跨る開口孔330h(図9)を有している。
【0073】
すなわち筐体330は、開口孔330hに、複数のピンが植設されたコネクタ(図示せず)が配置されており、このコネクタにより、回路基板900と外部機器とが接続可能に構成されている。因みに、第3の実施の形態においては、第1の実施の形態における筐体130と同様に、第2の壁127の存在によって回路基板900が隠れている状態である。
【0074】
図10に示すように、下側筐体310は上側(矢印a方向)が開口した箱筒状の金属または樹脂等で形成されている。下側筐体310は、下壁部311および側壁部312からなり、その下壁部311および側壁部312によって筐体330の内部空間を構成する内側空間を形成している。
【0075】
図11に示すように、上側筐体320は、下側(矢印b方向)が開口した箱筒状の金属または樹脂等で形成されている。上側筐体320は、上壁部321および側壁部322からなり、その上壁部321および側壁部322によって筐体330の内部空間を構成する内側空間を形成している。
【0076】
かかる構成に加えて下側筐体310は、下壁部311の底壁面から上側(矢印a方向)に向かって延びる薄板状部材からなる第1の壁317を有している。第1の壁317は、回路基板900よりも内側に配置されており、開口孔330hから露出することはない。
【0077】
図12(A)および(B)に示すように、第1の壁317は、平面視矩形状の薄板状部材からなる脚部318と、その脚部318の上側端部において一体に形成された平面視矩形状の突出部319とを有している。
【0078】
第1の壁317における脚部318は、下側筐体310の下壁部311の底壁面と一体に形成されている。なお、第1の壁317の脚部318は、下壁部311と別体に形成された後に、両者が結合されるようにしてもよい。
【0079】
脚部318は、短手方向(矢印ef方向)において回路基板900の電子部品910と同じ幅を有し、その高さは下壁部311の底壁面から電子部品910までの高さと同一またはほぼ同一である。
【0080】
脚部318は、突出部319と比較して非常に薄く、当該脚部318よりも突出部319が重いために弾性を有しており、長手方向(矢印cd方向)において突出部319を太矢印Rのように容易に揺動させることが可能である。
【0081】
第1の壁317における突出部319は、回路基板900と隣接して配置され、四角錐台形状または略四角錐台形状(図4(A))を有し、脚部318の上側端部と一体に形成されている。突出部319は、回路基板900のほぼ中央に実装された電子部品910を完全に隠すことができる程度の大きさを有している。
【0082】
突出部319は、四角錐台の上面となる平坦な上端面319aを有し、この上端面319aが回路基板900の電子部品910と面接触する部分となる。突出部319の上端面319aは、回路基板900の表側(矢印d方向)の面、および、電子部品910の表側(矢印d方向)の面と平行に形成されている。
【0083】
突出部319は、上端面319aが脚部318よりも長手方向(矢印cd方向)の一端側(矢印c方向)である回路基板900の方向に突出しており、脚部318による弾性力を介して上端面319aが回路基板900の電子部品910と面接触する。なお、以下の説明において、この上端面319aを接触面319aと呼ぶ場合があるものとする。
【0084】
因みに、突出部319は、四角錐台形状または略四角錐台形状に限るものではなく、円錐台形状または略円錐台形状や、そもそも錐台形状ではなく直方体形状や立方体形状、或いは円筒形状等のその他種々の形状であってもよい。要は、電子部品910と面接触する上端面(接触面)319aを有していれば突出部319の形状は限定されない。
【0085】
すなわち、第1の壁317は、回路基板900の電子部品910と面接触しているが、回路基板900の電子部品910が実装されている表側(矢印d方向)の面であって、当該電子部品910が実装されていない部分とは非接触である。
【0086】
なお、第1の壁317の突出部319は、電子部品910を完全に隠すことができる程度の大きさに形成されているが、これに限るものではなく、電子部品910を部分的に隠す程度の大きさであってもよく、または、電子部品910だけではなく、回路基板900の表側(矢印d方向)の面をほぼ全部隠すことができる程度の大きさに形成されていてもよい。
【0087】
さらに第1の壁317は、電子部品910と接触することなく回路基板900の表側(矢印d方向)の面と部分的に接触していてもよい。要は、第1の壁317は、回路基板900の電子部品910、または、回路基板900の表側(矢印d方向)の面の少なくともどちらか一方と接触していればよい。
【0088】
一方、上側筐体320は、上壁部321の上壁面から下側(矢印b方向)に向かって延びる平面視長方形状の回路基板900よりも小さい板状部材からなる第2の壁327を有している。第2の壁327は、回路基板900を間に挟んで第1の壁317とは反対側に配置されている。
【0089】
この第2の壁327は、第1の実施の形態における上側筐体120の第2の壁127と同一の形状および大きさを有している。第2の壁327は、回路基板900の裏側(矢印c方向)の面における所定範囲の部分と接触する程度の大きさに形成されている。第2の壁327は、第1の実施の形態における上側筐体120の第2の壁127と同一であるため、ここでは説明を省略する。
【0090】
このように筐体330においては、下側筐体310の下壁部311から上側(矢印a方向)に向かって延びた第1の壁317と、上側筐体320の上壁部321から下側(矢印b方向)に向かって延びた第2の壁327とによって、電子部品910の実装された回路基板900を挟持した状態で保持している。
【0091】
以上の構成において、第3の実施の形態における筐体330の筐体構造では、下側筐体310の下壁部311から上側(矢印a方向)に向かって立設された第1の壁317が回路基板900の電子部品910と面接触すると共に、上側筐体320の上壁部321から下側(矢印b方向)に向かって立設された第2の壁327が回路基板900の裏側(矢印c方向)の面と面接触している。
【0092】
特に、下側筐体310における第1の壁317は、脚部318の弾性力により回路基板900の電子部品910の表面に対して突出部319の接触面319aを押し付けることができるので、第1の壁317と第2の壁327との間で回路基板900を強く挟持することができる。これにより筐体330では、第1の壁317および第2の壁327と回路基板900との熱伝達経路を確実に確保することができる。
【0093】
したがって、筐体330では、モータ装置(図示せず)を駆動することにより回路基板900の電子部品910に生じた熱を、下側筐体310における第1の壁317を経由して下側筐体310から逃がすことができる。同時に筐体330では、電子部品910に生じた熱を、上側筐体320における第2の壁327を経由して上側筐体320から逃がすことができる。
【0094】
すなわち、筐体330においても、第1の壁317から下側筐体310を介して電子部品910の熱を逃がす第1の放熱経路、および、第2の壁327から上側筐体320を介して電子部品910の熱を逃がす第2の放熱経路を有することになるので、電子部品の熱を下側筐体310および上側筐体320の双方から効率的に逃がすことができる。
【0095】
<第4の実施の形態>
続いて、第4の実施の形態について以下の図13乃至図16を参照しながら説明する。図13は、本発明の第4の実施の形態にかかる筐体構造を有するアクチュエータの全体構成を示す斜視図である。図14は、本発明の第4の実施の形態にかかるアクチュエータの下側筐体の構成を示す斜視図である。図15は、本発明の第4の実施の形態にかかるアクチュエータの上側筐体の構成を示す斜視図である。図16は、本発明の第4の実施の形態にかかる筐体構造による第1の壁が電子部品と接触し、第2の壁が第1の壁を押圧した状態を示す斜視図である。
【0096】
図13に示すように、第4の実施の形態におけるアクチュエータ400は、第1乃至第3の実施の形態におけるアクチュエータ100、200、300と同様に、当該アクチュエータ400の駆動源となる図示しないモータ装置やその他種々の構成要素を内部に有する構造体である。アクチュエータ400は、第1ケーシングとしての下側筐体410、および、第2ケーシングとしての上側筐体420からなる筐体430を有している。
【0097】
アクチュエータ400の筐体430は、下側筐体410と上側筐体420とが一体に結合されることにより形成され、その内部空間にモータ装置が配置されると共に、そのモータ装置を駆動制御するための回路基板900(図13図14および図16)についても内部空間に立設した状態で保持している。
【0098】
すなわち筐体430は、開口孔430hに、複数のピンが植設されたコネクタ(図示せず)が配置されており、このコネクタにより、回路基板900と外部機器とが接続可能に構成されている。
【0099】
筐体430は、下側筐体410と上側筐体420とが一体に結合された状態において、当該筐体430の長手方向における一端側(矢印c方向)の端部に下側筐体410および上側筐体420の双方に跨る開口孔430h(図13)を有している。
【0100】
図14に示すように、下側筐体410は上側(矢印a方向)が開口した箱筒状の金属または樹脂等で形成されている。下側筐体410は、下壁部411および側壁部412からなり、その下壁部411および側壁部412によって筐体430の内部空間を構成する内側空間を形成している。
【0101】
図15に示すように、上側筐体420は、下側(矢印b方向)が開口した箱筒状の金属または樹脂等で形成されている。上側筐体420は、上壁部421および側壁部422からなり、その上壁部421および側壁部422によって筐体430の内部空間を構成する内側空間を形成している。
【0102】
かかる構成に加えて下側筐体410は、下壁部411の底壁面から上側(矢印a方向)に向かって延びる薄板状部材からなる第1の壁417を有している。第1の壁417は、回路基板900よりも内側に配置されており、開口孔430hから露出することはない。
【0103】
図14および図16に示すように、第1の壁417は、平面視矩形状の薄板状部材からなる脚部418と、その脚部418の上側端部において一体に形成された断面三角形状または断面略三角形状の突出部419とを有している。
【0104】
第1の壁417における脚部418は、下側筐体410の下壁部411の底壁面と一体に形成されている。脚部418は、第3の実施の形態における第1の壁317における脚部318と同様に、回路基板900の電子部品910と同じ幅を有し、その高さは下壁部411の底壁面から電子部品910までの高さと同一またはほぼ同一である。脚部418は、突出部419と比較して非常に薄く、当該脚部418よりも突出部419が重いために弾性を有し、長手方向(矢印cd方向)において突出部419を矢印Rのように容易に揺動させることが可能である。
【0105】
第1の壁417における突出部419は、平坦な接触面419aを有し、この接触面419aが回路基板900の電子部品910と面接触する部分となる。突出部419の接触面419aは、回路基板900の表側(矢印d方向)の面、および、電子部品910の表側(矢印d方向)の面と平行な平坦面である。
【0106】
また、突出部419は、接触面419aの反対側に当該接触面419aとは非平行であり、突出部419の頂点から下側(矢印b方向)に向かうに連れて接触面419aから次第に離れるように傾斜した背面419bを有している。背面419bは、後述する上側筐体420における第2の壁427と接触する平坦な面である。
【0107】
この突出部419は、脚部418よりも長手方向(矢印cd方向)の一端側(矢印c方向)である回路基板900の方向に突出しており、脚部418による弾性力を介して接触面419aが回路基板900の電子部品910と面接触するように形成されている。
【0108】
なお、突出部419は、断面三角形状または断面略三角形状に限るものではなく、平坦な接触面419aを有していれば、断面矩形状または断面台形状等のその他種々の形状であってもよい。要は、電子部品910と面接触する接触面319aを有していれば突出部319の断面形状は特に限定されない。
【0109】
また、第1の壁417は、回路基板900と隣接して配置されており、回路基板900のほぼ中央に実装された電子部品910を部分的に隠すことができるように突出部419と当該電子部品910とが面接触している。
【0110】
すなわち、第1の壁417は、回路基板900の電子部品910と面接触しているが、回路基板900の電子部品910が実装されている表側(矢印d方向)の面であって、当該電子部品910が実装されていない部分とは非接触である。
【0111】
なお、第1の壁417の突出部419は、電子部品910を部分的に隠すことができる程度の大きさに形成されているが、これに限るものではなく、電子部品910を完全に隠すことができる程度の大きさであってもよく、または、電子部品910だけではなく、回路基板900の表側(矢印d方向)の面をほぼ全部隠すことができる程度の大きさに形成されていてもよい。
【0112】
さらに第1の壁417は、電子部品910と接触することなく回路基板900の表側(矢印d方向)の面とだけ部分的に接触していてもよい。要は、第1の壁417は、少なくとも回路基板900の電子部品910、または、回路基板900の表側(矢印d方向)の面のどちらかと接触していればよい。
【0113】
一方、図15および図16に示すように、上側筐体420は、上壁部421と同じ側に当該上壁部421の上壁面から下側(矢印b方向)に向かって延びる平面視長方形状の板状部材からなる第2の壁427を有している。
【0114】
第2の壁427は、回路基板900よりも小さく形成されており、上壁部421と一体に設けられている。なお、第2の壁427は、上壁部421と別体に形成された後に、両者が結合されるようにしてもよい。
【0115】
この第2の壁427は、断面矩形状の基部427aと、その基部427aの先端部と一体に設けられた断面三角形状または断面略三角形状の押圧部427bとを有している。基部427aは、直方体形状の板状部材である。押圧部427bは、上側(矢印a方向)の端部から下側(矢印b方向)の先端部に向かうに連れて次第に先細くなった先細形状を有している。
【0116】
押圧部427bは、第1の壁417における突出部419の背面419bと接触し、当該突出部419を回路基板900の電子部品910の方向へ押圧する押圧面427bsを有している。
【0117】
第2の壁427は、押圧部427bが第1の壁417における突出部419と接触することにより、回路基板900の電子部品910と第1の壁417の突出部419を介して間接的に接続されている。
【0118】
第2の壁427における押圧部427の押圧面427bsは、平坦面であり、第1の壁417における突出部419の背面419bと面接触して押圧すると共に、押圧面427bsの基部427a側の端部427btにおいて電子部品910の一部と接触している。
【0119】
なお、押圧部427の押圧面427bsは、平坦面に限るものではなく、第1の壁417における突出部419の背面419bと接触して押圧することができれば、所定の半径を有する弧状の湾曲面等であってもよい。
【0120】
第2の壁427は、押圧部427bにより第1の壁417における突出部419を押圧することにより、当該第1の壁417と電子部品910との熱伝達経路を維持することを主な目的とするものである。したがって、第2の壁427では、押圧部427bの押圧面427bsの端部427btにおいて電子部品910と接触している必要は必ずしもない。
【0121】
このように筐体430においては、下側筐体410の下壁部411から上側(矢印a方向)に向かって延びた第1の壁417を、上側筐体420の上壁部421から下側(矢印b方向)に向かって延びた第2の壁427によって押圧し、第1の壁417と回路基板900の電子部品910とが接触した状態が解消されることを抑制している。
【0122】
以上の構成において、第4の実施の形態における筐体430の筐体構造では、下側筐体410の下壁部411から上側(矢印a方向)に向かって立設された第1の壁417の突出部419が回路基板900の電子部品910と面接触する。
【0123】
このとき同時に、上側筐体420の上壁部421から下側(矢印b方向)に向かって立設された第2の壁427における押圧部427bの押圧面427bsが第1の壁417の突出部419を電子部品910に向かって押圧すると共に、押圧部427bの端部427btが電子部品910と接触する。
【0124】
この場合、下側筐体410における第1の壁417は、脚部418の弾性力により突出部419の接触面419aで回路基板900の電子部品910の表面を押し付けることができる。
【0125】
これに加えて、第1の壁417の突出部419は、電子部品910と上側筐体420における第2の壁427との間に挟み付けられた状態になるため、突出部419が揺動してしまうことがなく、第1の壁417と電子部品910との面接触状態を維持することができる。
【0126】
したがって、筐体430では、モータ装置(図示せず)を駆動することにより回路基板900の電子部品910に生じた熱を、下側筐体410における第1の壁417を経由して下側筐体410から逃がすことができる。
【0127】
同時に筐体430では、電子部品910に生じた熱を、下側筐体410における第1の壁417の突出部419を介して上側筐体420における第2の壁427における押圧部427bに伝達し、当該第2の壁427を経由して上側筐体420から逃がすことができる。
【0128】
また筐体430では、上側筐体420における第2の壁427の押圧部427bが第1の壁417の突出部419と接触するだけではなく、第2の壁427における押圧部427bの端部427btが回路基板900の電子部品910に対しても同時に接触しているので、回路基板900の電子部品910に生じた熱を第2の壁427から上側筐体420へ直接逃がすこともできる。
【0129】
すなわち、筐体430においても、第1の壁417から下側筐体410を介して電子部品910の熱を逃がす第1の放熱経路、および、第1の壁417の突出部419を介して第2の壁427から上側筐体420を介して電子部品910の熱を間接的に逃がす第2の放熱経路を有することになるので、電子部品の熱を下側筐体410および上側筐体420の双方から効率的に逃がすことができる。
【0130】
<他の実施の形態>
なお、第1の実施の形態においては、回路基板900の電子部品910が実装されていない裏側(矢印c方向)の面と上側筐体120における第2の壁127とが面接触しているようにした場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、第2の壁127についても回路基板900の電子部品910が実装されている表側(矢印d方向)の面と接触するようにしてもよい。
【0131】
また、第2の実施の形態においては、回路基板900の電子部品910に対して下側筐体210における第1の壁217、および、上側筐体220における第2の壁227の双方が面接触するように設けられている場合について述べた。
【0132】
しかしながら、本発明は、これに限らず、回路基板900の電子部品910に対して下側筐体210における第1の壁217、または、上側筐体220における第2の壁227の少なくとも一方が面接触するように設けられていてもよい。
【0133】
または、回路基板900の電子部品910に対して下側筐体210における第1の壁217、および、上側筐体220における第2の壁227の双方が共に接触しておらず、第1の壁217および第2の壁227の双方共に回路基板900の表側(矢印d方向)の面に対してのみ接触するように設けられていてもよい。
【0134】
さらに、第2の実施の形態においては、回路基板900の電子部品910が実装されている表側(矢印d方向)の面に対して第1の壁217および第2の壁227が双方共に面接触するように設けられている場合について述べた。
【0135】
しかしながら、本発明はこれに限らず、回路基板900の電子部品910が実装されていない裏側(矢印c方向)の面に対して、第1の壁217および第2の壁227が双方共に面接触するように設けられているようにしてもよい。
【0136】
さらに、本発明はこれに限らず、回路基板900の電子部品910が実装されている表側(矢印d方向)の面に対して設けた第1の壁217および第2の壁227に加えて、回路基板900の電子部品910が実装されていない裏側(矢印c方向)の面に対して、第1の実施の形態における第2の壁127を追加して設けるようにしてもよい。
【0137】
さらに、第3の実施の形態においては、回路基板900の電子部品910が実装されている表側(矢印d方向)の面に対して第1の壁317を接触するように設けた場合について述べた。
【0138】
しかしながら、本発明はこれに限らず、回路基板900の電子部品910が実装されていない裏側(矢印c方向)の面に対して第1の壁317を接触するように設けるようにしてもよい。
【0139】
さらに、上述した第4の実施の形態においては、回路基板900の電子部品910が実装されている表側(矢印d方向)の面に対して第1の壁417および第2の壁427を設ける場合について述べた。
【0140】
しかしながら、本発明はこれに限らず、回路基板900の電子部品910が実装されていない裏側(矢印c方向)の面に対して第1の壁417および第2の壁427を設けるようにしてもよい。
【0141】
さらに、上述した第4の実施の形態においては、下側筐体410に対して第1の壁417を設けると共に、上側筐体420に対して第2の壁427を設けるようにした場合について述べた。
【0142】
しかしながら、本発明はこれに限らず、上側筐体420に対して第1の壁417を設けると共に、下側筐体410に対して第2の壁427を設けるように、第1の壁417および第2の壁427を上下反対に設けるようにしてもよい。
【0143】
さらに、第3および第4の実施の形態における筐体330、430においては、下側筐体310に対して平坦な接触面319aが形成された突出部319を有する第1の壁317や、下側筐体410に対して平坦な接触面419aが形成された突出部419を有する第1の壁417を設けるようにした場合について述べた。
【0144】
しかしながら、本発明はこれに限らず、例えば図17に示すように、下側筐体310、410に対して、基部518および半球体形状の突出部519を有する第1の壁517を設けるようにしてもよい。この場合、第1の壁517は、突出部519と回路基板900の電子部品910の表面とを点接触の状態で接触させることができる。
【0145】
以上、本発明の筐体構造およびアクチュエータについて、好ましい第1乃至第4の実施の形態を挙げて説明したが、本発明の筐体構造およびアクチュエータは上記第1乃至第4の実施の形態の形状や構造に限定されるものではない。その他、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の筐体構造およびアクチュエータの形状および構造を適宜改変することができる。かかる改変によってもなお本発明の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0146】
100,200,300,400…アクチュエータ、110,210,310,410…下側筐体(第1ケーシング)、111,211,311,411…下壁部、112,212,312,412…側壁部、117,217,317,417,517…第1の壁、120,220,320,420…上側筐体(第2ケーシング)、121,221,321,421…上壁部、122,222,322,422…側壁部、127,227,327,427…第2の壁、130,230,330,430…筐体、130h,230h,330h,430h…開口孔、318,418…脚部、319,419,519…突出部、319a…上端面(接触面)、419a…接触面、419b…背面、427a…基部、427b…押圧部、427bs…押圧面、427bt…端部、518…基部、900…回路基板、901…スルーホール、910…電子部品。
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