(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175294
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】スカイビングカッタ
(51)【国際特許分類】
B23F 21/10 20060101AFI20241211BHJP
【FI】
B23F21/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092963
(22)【出願日】2023-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000005197
【氏名又は名称】株式会社不二越
(74)【代理人】
【識別番号】100192614
【弁理士】
【氏名又は名称】梅本 幸作
(74)【代理人】
【識別番号】100158355
【弁理士】
【氏名又は名称】岡島 明子
(72)【発明者】
【氏名】三浦 翔太
【テーマコード(参考)】
3C025
【Fターム(参考)】
3C025EE01
(57)【要約】
【課題】従来のスカイビングカッタは、歯元の両側に面取り部分を設ける場合に、歯元の距離と同じ寸法の大きさを備えた砥石を準備する必要があった。また、スカイビングカッタの歯元の両側から面取り部分を取り除くと、被加工物の材質や加工歯の諸元によりスカイビングカッタによる歯車加工の際に加工歯のトレーリング側においてワークのバリが発生するという問題があった。
【解決手段】
本発明のスカイビングカッタ10は、回転軸を中心にして複数の加工歯1,2,3を円周上に配列したスカイビングカッタ10であり、片側の歯元11のみに面取り刃11C,12Cを設ける。特にこれらの面取り刃11C,12Cを加工歯のトレーリング側に設けることが有効である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を中心にして複数の加工歯が円周上に配列されているスカイビングカッタにおいて、片側の歯元のみに面取り刃を設けることを特徴とするスカイビングカッタ。
【請求項2】
前記面取り刃は、前記加工歯のトレーリング側に設けることを特徴とする請求項1に記載のスカイビングカッタ。
【請求項3】
前記面取り刃は、前記加工歯のリーディング側に設けることを特徴とする請求項1に記載のスカイビングカッタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切削加工により歯車を加工するスカイビングカッタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、歯車を切削加工する際に使用する工具、特にスカイビングカッタを用いた歯車加工では、被加工物(ワーク)の歯の先端にバリが発生しやすので、そのバリ発生を防止するために様々な工夫が施されている(特許文献1および2参照)。従来のスカイビングカッタ100の模式部分拡大図を
図3および
図4、スカイビングカッタ100の製作時に使用する専用工具(砥石)Tの先端部分の模式拡大図を
図5にそれぞれ示す。
【0003】
例えば、従来のスカイビングカッタ100は、
図3に示す様に加工歯(切れ刃)101,102,103の隣接する隙間である歯元(歯底)111,112の両側にバリ発生を抑制するための面取り部分111A,111B,112A,112Bが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭56-152524号公報
【特許文献2】特公昭61-34930公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のスカイビングカッタ100の歯元111,112の両側に面取り部分111A,111B,112A,112Bを設ける場合には、
図4に示す様に歯元111の距離d100が小さくなる。特に、モジュールが1以下である、いわゆる小モジュール専用のスカイビングカッタを製作する場合には、
図5に示す様に当該距離d100を同じ寸法の大きさeを備えた専用工具(砥石)Tも準備しなければならない。
【0006】
一方、スカイビングカッタの歯元(歯底)の両側から面取り部分を取り除くと、被加工物の材質や加工歯の諸元によりスカイビングカッタによる歯車加工の際に加工歯の抜け側(トレーリング側)において被加工物(ワーク)のバリが発生するという場合があった。
【0007】
そこで、本発明は、被加工物(特に極小モジュールの場合)の材質や加工歯の諸元に依らないで加工歯の抜け側(トレーリング側)において被加工物のバリ発生を抑制するスカイビングカッタを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のスカイビングカッタは、回転軸を中心にして複数の加工歯が円周上(環状)に配列されているスカイビングカッタにおいて、片側の歯元のみに面取り刃を設ける。この面取り刃については、特に加工歯のトレーリング側に設けることが好適である。また、モジュールが1以下である、いわゆる小モジュール専用のスカイビングカッタにも好適である。
【発明の効果】
【0009】
本発明のスカイビングカッタは、、片側の歯元のみ(特に加工歯のトレーリング側)に面取り刃を設けることでスカイビングカッタによる歯車加工時の抜け側にて被加工物(ワーク)のバリを除去できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明のスカイビングカッタ(第1実施形態)10の模式部分拡大図である。
【
図2】本発明のスカイビングカッタ(第2実施形態)50の模式部分拡大図である。
【
図3】従来のスカイビングカッタ100の模式部分拡大図である。
【
図4】従来のスカイビングカッタ100の模式部分拡大図である。
【
図5】専用工具(砥石)Tの先端部分の模式拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のスカイビングカッタについて図面を用いて説明する。本発明の実施形態であるスカイビングカッタ10(第1実施形態)の模式部分拡大図を
図1に示す。本発明のスカイビングカッタ10(第1実施形態)は、
図1に示す様に図示しない回転軸を中心として形成された回転体形状(円環状)の工具であり、複数の加工歯1,2,3が円環状に形成されている。
【0012】
これら隣接する加工歯1,2,3の間にある歯元11,12には、面取り刃11C,12Cが設けられている。本実施形態のスカイビングカッタ10は、
図1に示す様に歯元11,12の面取り刃11C,12Cは、いずれもスカイビングカッタ10のトレーリング側(加工歯の抜け側)に設けられている。そのため、十分な歯隙距離d10が確保されているので、面取り刃を製作するための特別な寸法が調整された工具(砥石)を準備する必要がない。
【0013】
次に、本発明の第2実施形態であるスカイビングカッタ50の模式部分拡大図を
図2に示す。本発明のスカイビングカッタ50(第2実施形態)は、
図2に示す様に図示しない回転軸を中心として形成された回転体形状(円環状)の工具であり、複数の加工歯41,42,43が円環状に形成されている。
【0014】
これら隣接する加工歯41,42,43の間にある歯元51,52には、面取り刃51C,52Cが設けられている。本実施形態のスカイビングカッタ50は、
図2に示す様に歯元51,52の面取り刃51C,52Cは、いずれもスカイビングカッタ50のリーディング側(加工歯の進入側)に設けられている。そのため、十分な歯隙距離d50が確保されているので、前述した第1実施形態のスカイビングカッタ10と同様に面取り刃を製作するための特別な寸法が調整された工具(砥石)を準備する必要がない。
【符号の説明】
【0015】
10,50 スカイビングカッタ
1~3,41~43 加工歯
11,12,51,52 歯元
11C,12C,51C,52C 面取り刃
d10,d50 歯隙距離