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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175301
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】操作者判定装置及び操作者判定方法
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/04 20060101AFI20241211BHJP
   G06V 20/59 20220101ALI20241211BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20241211BHJP
【FI】
B60R11/04
G06V20/59
G06T7/00 660Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092976
(22)【出願日】2023-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】都築 宏昭
【テーマコード(参考)】
3D020
5L096
【Fターム(参考)】
3D020BA09
3D020BA20
3D020BB01
3D020BC03
3D020BE03
5L096AA06
5L096AA09
5L096BA04
5L096CA04
5L096CA05
5L096EA26
5L096FA32
5L096FA66
5L096FA69
(57)【要約】
【課題】操作者の判定精度を向上させることができる操作者判定装置及び操作者判定方法を提供する。
【解決手段】操作者判定装置1は、画像101を取得する取得部と、取得した画像101に基づいて複数の骨格座標120を算出する骨格座標算出部12と、複数の骨格座標120に基づいて手指画像900の基準座標140を算出する基準座標算出部14と、基準座標140から予め定められた距離α、離れた座標値を有する画素102を画像101から探索し、基準座標140と繋がる腕部画像910の画素102が存在した場合、この腕部画像910の画素102の座標を基準座標140として更新し、この探索を予め定められた回数繰り返す基準座標更新部16と、更新された更新基準座標160に基づいて操作装置を操作する乗員9が運転席80及び助手席81のいずれに着座しているのかを判定する制御部20と、を備えて概略構成されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運転席及び助手席に着座して操作装置を操作する乗員を撮像対象とし、前記車両の前後方向の座標値を含む複数の画素から構成された画像を取得する取得部と、
取得した前記画像に基づいて前記乗員の手指画像から複数の骨格座標を算出する骨格座標算出部と、
算出した前記複数の骨格座標に基づいて前記手指画像の基準座標を算出する基準座標算出部と、
算出した前記基準座標の前記前後方向の座標値から予め定められた距離、離れた座標値を有する画素を前記画像から探索し、前記離れた座標値を有すると共に前記手指画像の前記基準座標と繋がる腕部画像の画素が存在した場合、前記腕部画像の画素の座標を前記基準座標として更新し、この探索を予め定められた回数繰り返す基準座標更新部と、
前記予め定められた回数繰り返して更新された更新基準座標に基づいて前記操作装置を操作する前記乗員が前記運転席及び前記助手席のいずれに着座しているのかを判定する判定部と、
を備えた操作者判定装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記更新基準座標が前記運転席側に位置するか、前記助手席側に位置するかに基づいて前記操作装置を操作する前記乗員が前記運転席及び前記助手席のいずれに着座しているのかを判定する、
請求項1に記載の操作者判定装置。
【請求項3】
前記取得部は、前記画像、及び前記操作装置を操作する前記乗員を撮像した前記前後方向の座標値を含まない撮像画像を取得し、
前記骨格座標算出部は、前記画像及び前記撮像画像に基づいて前記複数の骨格座標を算出する、
請求項1又は2に記載の操作者判定装置。
【請求項4】
車両の運転席及び助手席に着座して操作装置を操作する乗員を撮像対象とし、前記車両の前後方向の座標値を含む複数の画素から構成された画像を取得し、
取得した前記画像に基づいて前記乗員の手指画像から複数の骨格座標を算出し、
算出した前記複数の骨格座標に基づいて前記手指画像の基準座標を算出し、
算出した前記基準座標の前記前後方向の座標値から予め定められた距離、離れた座標値を有する画素を前記画像から探索し、前記離れた座標値を有すると共に前記手指画像の前記基準座標と繋がる腕部画像の画素が存在した場合、前記腕部画像の画素の座標を前記基準座標として更新し、この探索を予め定められた回数繰り返し、
前記予め定められた回数繰り返して更新された更新基準座標に基づいて前記操作装置を操作する前記乗員が前記運転席及び前記助手席のいずれに着座しているのかを判定する、
操作者判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作者判定装置及び操作者判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、操作者がタッチパネルを操作した場合、タッチパネルに接触した形状を検出する接触形状検出部と、操作者がタッチパネルを操作した場合、タッチパネルに近接した操作者の身体の形状を検出する近接形状検出部と、接触形状検出部により検出された形状及び近接形状検出部により検出された形状から、タッチパネルを操作した操作者が助手席に着座しているか否かを判断する操作主体判断部と、を備えた入力操作装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この入力操作装置は、専用検知器など新たなハードウェアを追加すること無く、操作者を判別することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-32879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の入力操作装置は、操作者がタッチパネルに対して指を立てるように操作した場合、タッチパネルに近接する身体の形状を検出し難く、精度が低い問題がある。
【0006】
従って本発明の目的は、操作者の判定精度を向上させることができる操作者判定装置及び操作者判定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、車両の運転席及び助手席に着座して操作装置を操作する乗員を撮像対象とし、車両の前後方向の座標値を含む複数の画素から構成された画像を取得する取得部と、取得した画像に基づいて乗員の手指画像から複数の骨格座標を算出する骨格座標算出部と、算出した複数の骨格座標に基づいて手指画像の基準座標を算出する基準座標算出部と、算出した基準座標の前後方向の座標値から予め定められた距離、離れた座標値を有する画素を画像から探索し、離れた座標値を有すると共に手指画像の基準座標と繋がる腕部画像の画素が存在した場合、腕部画像の画素の座標を基準座標として更新し、この探索を予め定められた回数繰り返す基準座標更新部と、予め定められた回数繰り返して更新された更新基準座標に基づいて操作装置を操作する乗員が運転席及び助手席のいずれに着座しているのかを判定する判定部と、を備えた操作者判定装置を提供する。
【0008】
本発明の他の態様は、車両の運転席及び助手席に着座して操作装置を操作する乗員を撮像対象とし、車両の前後方向の座標値を含む複数の画素から構成された画像を取得し、取得した画像に基づいて乗員の手指画像から複数の骨格座標を算出し、算出した複数の骨格座標に基づいて手指画像の基準座標を算出し、算出した基準座標の前後方向の座標値から予め定められた距離、離れた座標値を有する画素を画像から探索し、離れた座標値を有すると共に手指画像の基準座標と繋がる腕部画像の画素が存在した場合、腕部画像の画素の座標を基準座標として更新し、この探索を予め定められた回数繰り返し、予め定められた回数繰り返して更新された更新基準座標に基づいて操作装置を操作する乗員が運転席及び助手席のいずれに着座しているのかを判定する、操作者判定方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、操作者の判定精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1(a)は、操作者判定装置が配置された車両の一例を示す図であり、図1(b)は、運転席及び助手席に着座する乗員と撮像部の位置関係の一例を示す図である。
図2図2(a)は、操作者判定装置のブロック図の一例であり、図2(b)は、車両制御システムのブロック図の一例である。
図3図3(a)は、操作者判定装置のカメラ座標系と画像に定められた画像座標系の一例について説明するための図であり、図3(b)は、画素の一例について説明するための図である。
図4図4(a)は、複数の骨格座標の一例であり、図4(b)は、基準座標の更新の一例を説明するための図である。
図5図5(a)は、変形例に係る操作者判定装置のブロック図の一例であり、図5(b)は、第1の撮像装置が撮像した画像と第2の撮像装置が撮像した撮像画像の一例について説明するための図である。
図6図6は、操作者判定装置の判定動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施の形態の要約)
実施の形態に係る操作者判定装置は、車両の運転席及び助手席に着座して操作装置を操作する乗員を撮像対象とし、車両の前後方向の座標値を含む複数の画素から構成された画像を取得する取得部と、取得した画像に基づいて乗員の手指画像から複数の骨格座標を算出する骨格座標算出部と、算出した複数の骨格座標に基づいて手指画像の基準座標を算出する基準座標算出部と、算出した基準座標の前後方向の座標値から予め定められた距離、離れた座標値を有する画素を画像から探索し、離れた座標値を有すると共に手指画像の基準座標と繋がる腕部画像の画素が存在した場合、腕部画像の画素の座標を基準座標として更新し、この探索を予め定められた回数繰り返す基準座標更新部と、予め定められた回数繰り返して更新された更新基準座標に基づいて操作装置を操作する乗員が運転席及び助手席のいずれに着座しているのかを判定する判定部と、を備えて概略構成されている。
【0012】
他の実施の形態に係る操作者判定方法は、車両の運転席及び助手席に着座して操作装置を操作する乗員を撮像対象とし、車両の前後方向の座標値を含む複数の画素から構成された画像を取得し、取得した画像に基づいて乗員の手指画像から複数の骨格座標を算出し、算出した複数の骨格座標に基づいて手指画像の基準座標を算出し、算出した基準座標の前後方向の座標値から予め定められた距離、離れた座標値を有する画素を画像から探索し、離れた座標値を有すると共に手指画像の基準座標と繋がる腕部画像の画素が存在した場合、腕部画像の画素の座標を基準座標として更新し、この探索を予め定められた回数繰り返し、予め定められた回数繰り返して更新された更新基準座標に基づいて操作装置を操作する乗員が運転席及び助手席のいずれに着座しているのかを判定する、ことを含んでいる。
【0013】
この操作者判定装置及び操作者判定方法は、基準座標を更新して操作者の肩部に近い位置を更新基準座標とするので、この構成を採用しない場合と比べて、操作者が運転席に着座しているのか、助手席に着座しているのかを判定し易く、判定精度を向上させることができる。
【0014】
[実施の形態]
(操作者判定装置1の概要)
図1(a)は、実施の形態に係る操作者判定装置が配置された車両の一例を示す図であり、図1(b)は、運転席及び助手席に着座する乗員と撮像部の位置関係の一例を示す図である。図2(a)は、実施の形態に係る操作者判定装置のブロック図の一例であり、図2(b)は、操作者判定装置を含む車両制御システムのブロック図の一例である。図3(a)は、実施の形態に係る操作者判定装置のカメラ座標系と画像に定められた画像座標系の一例について説明するための図であり、図3(b)は、画素の一例について説明するための図である。図4(a)は、実施の形態に係る操作者判定装置が算出した複数の骨格座標の一例であり、図4(b)は、基準座標の更新の一例を説明するための図である。図4(a)は、画像101の一部を図示している。図4(b)は、一例として、画像101のうち、x座標がx~xn+14の範囲、y座標がy~ym+9の範囲を図示している。このn及びmは、正の整数である。また図4(b)は、手指画像900、腕部画像910、肩部画像920及び身体画像930を点線で示している。
【0015】
なお以下に記載する実施の形態に係る各図において、図形間の比率や形状は、実際の比率や形状とは異なる場合がある。また図2(a)、図2(b)及び図5(a)では、主な信号や情報の流れを矢印で示している。さらに数値範囲を示す「A~B」は、A以上B以下の意味で用いるものとする。またさらに以下に示す車両8は、右側に運転席80を有する所謂右ハンドル車であるが左側に運転席80を有する左ハンドル車であっても良い。
【0016】
操作者判定装置1は、図1(a)~図4(b)に示すように、車両8の運転席80及び助手席81に着座して操作装置を操作する乗員9を撮像対象とし、車両8の前後方向の座標値を含む複数の画素102から構成された画像101を取得する取得部としての撮像部10と、取得した画像101に基づいて乗員9の手指画像900から複数の骨格座標120を算出する骨格座標算出部12と、算出した複数の骨格座標120に基づいて手指画像900の基準座標140を算出する基準座標算出部14と、算出した基準座標140の前後方向の座標値から予め定められた距離α、離れた座標値を有する画素102を画像101から探索し、離れた座標値を有すると共に手指画像900の基準座標140と繋がる腕部画像910の画素102が存在した場合、腕部画像910の画素102の座標を基準座標140として更新し、この探索を予め定められた回数繰り返す基準座標更新部16と、予め定められた回数繰り返して更新された更新基準座標160に基づいて操作装置を操作する乗員9が運転席80及び助手席81のいずれに着座しているのかを判定する判定部としての制御部20と、を備えて概略構成されている。
【0017】
制御部20は、更新基準座標160が運転席80側に位置するか、助手席81側に位置するかに基づいて操作装置を操作する乗員9が運転席80及び助手席81のいずれに着座しているのかを判定する。
【0018】
本実施の形態の操作装置は、一例として、運転席80と助手席81の間の正面に位置するセンターコンソール82に配置されたタッチパネル72である。このタッチパネル72は、図2(b)に示すナビゲーション装置73の地図画像や目的地の設定画像などを表示すると共に、これらに対する入力を受け付けるように構成されている。このナビゲーション装置73は、一例として、車両8が走行している場合、運転席80に着座する乗員9が操作できないようにしたり、操作可能な項目を制限したりする。操作者判定装置1は、タッチパネル72を操作する乗員9が運転席80に着座しているのか、助手席81に着座しているのかを判定し、判定した結果をナビゲーション装置73に出力するように構成されている。
【0019】
なおナビゲーション装置73以外の車載装置74が走行中に、運転席80に着座する乗員9の操作を制限する場合、操作者判定装置1は、一例として、車載装置74に対して判定した結果を出力する。
【0020】
このナビゲーション装置73及び車載装置74は、一例として、図2(b)に示すように、操作者判定装置1と共に車両制御システム7を構成している。この車両制御システム7は、一例として、操作者判定装置1と、車両制御装置70と、車速センサ71と、タッチパネル72と、ナビゲーション装置73と、車載装置74と、車両LAN(Local Area Network)75と、を備えて概略構成されている。
【0021】
車両制御装置70は、例えば、車両8を総合的に制御すると共に、運転支援機能や自動運転機能などを制御するマイクロコンピュータである。車速センサ71は、車両8の速度を測定する。ナビゲーション装置73は、車速センサ71の測定結果に基づいて車両8が走行中であり、またタッチパネル72を介して操作がなされた場合、トリガ信号Sを、車両LAN75を介して操作者判定装置1に出力する。操作者判定装置1は、トリガ信号Sに基づいて操作者が運転席80及び助手席81のいずれに着座した乗員9であるのかを判定する。
【0022】
なおナビゲーション装置73は、タッチパネル72が操作面720から離れた位置で操作者を検出可能な場合、走行中であり、かつタッチパネル72に操作がなされようとする前にトリガ信号Sを出力するように構成されても良い。
【0023】
車両LAN75は、一例として、有線及び無線によって相互に信号や情報などの交換を可能とするCAN(Controller Area Network)やLIN(Local Interconnect Network)といった車両用ネットワークである。
【0024】
(撮像部10の構成)
本実施の形態の取得部は、撮像部10である。撮像部10は、一例として、ステレオカメラ、TOF(Time of Flight)カメラなどの深度カメラである。この深度カメラは、赤外線を出力してから対象物で反射して戻るまでの時間に基づいて対象物までの距離を測定することができる。
【0025】
本実施の形態の撮像部10は、一例として、TOFカメラである。撮像部10により撮像された画像101は、図3(b)に示すように、対象物までの距離の情報を含む複数の画素102により構成されている。具体的には、画像101は、一例として、80×60、480×360、1024×1024などの画素102により構成されている。撮像部10は、制御部20に電気的に接続され、取得した画像101の情報である画像情報Sを出力する。
【0026】
乗員9の手指90から肩部92までの長さの平均は、一例として、70cm前後である。しかし乗員9からタッチパネル72までの距離は、一例として、座席の位置によるものの30~50cm程度となる。従って撮像部10は、ミリ単位で対象物までの距離を測定する必要がなく、一例として、センチメートル単位で対象物までの距離を測定する。
【0027】
撮像部10は、図1(a)及び図1(b)に示すように、タッチパネル72の上側に配置されている。なお撮像部10は、タッチパネル72の近傍であって、運転席80及び助手席81に着座してタッチパネル72を操作する乗員9を撮像可能であり、かつタッチパネル72を基準として手指90から肩部92までの距離が増加するような領域に配置される。
【0028】
そこで撮像部10は、一例として、図1(a)において斜線で示す配置領域100、つまり運転席80と助手席81の間であって、タッチパネル72の上側とインストルメントパネル83を結ぶ領域とタッチパネル72を囲む周囲領域721と、に配置されることが好ましいがこれに限定されない。
【0029】
撮像部10は、図3(a)に示すように、焦点Oにおいてカメラ座標系であるXYZ座標系を有する。この焦点Oには、撮像部10の撮像素子が配置されている。このXYZ座標系は、一例として、図3(a)の紙面において、左から右方向にX軸、下から上方向にY軸、手前から奥方向にZ軸を有している。つまりX軸が車両8の右から左側方向の座標軸、Y軸が車両8の下から上側方向の座標軸である。このZ軸は、図1(b)に示すように、撮像部10の光軸110の方向となり、車両8の前方から後方に向かう座標軸となっている。つまりZ軸は、タッチパネル72を基準として手指90から肩部92までの距離が増加するような座標軸となっている。
【0030】
一方撮像された画像101は、図3(a)に示すように、XY座標系に対して座標変換を行なった画像座標系であるxy座標系が設定されている。このxy座標系は、一例として、画像101の左上が原点であり、左から右方向がx軸、上から下方向がy軸である。
【0031】
このz軸は、Z軸と同様の光軸110の方向の座標軸であり、タッチパネル72の操作面720が原点となるように撮像部10のZ軸を座標変換した座標軸であるがこれに限定されない。なおz軸は、撮像部10がタッチパネル72の近傍に配置されることから座標変換せずにZ軸に一致する座標軸であっても良い。
【0032】
画素102は、図3(b)に示すように、xy平面における座標値と、車両8の前後方向、つまり奥行き方向であるz軸方向の座標値と、の情報を有している。図3(b)では、x軸が座標値x~座標値x、y軸が座標値y~座標値yに対応する画素102と、画素102ごとのz軸の座標値z~zと、を示している。なお座標値は、一例として、タッチパネル72の操作面720からの距離である。
【0033】
xy軸の座標値は、一例として、図3(b)に示すように、画素102に応じて定められている。つまり画像101の左上の画素102の座標値は、一例として、(x、y)である。つまりx軸方向に画素102が増えるとx、xなどとxの座標値が増え、y軸方向に増えるとy、yなどとyの座標値が増える。
【0034】
(骨格座標算出部12の構成)
骨格座標算出部12は、図4(a)に示すように、撮像部10から取得した画像情報Sに基づく画像101を解析して乗員9の手指90の画像である手指画像900から骨格の座標を算出するように構成されている。なお図4(a)は、乗員9の手指画像900、腕部画像910、肩部画像920、及び身体画像930の一部を含む画像101の一部を示している。また骨格座標算出部12は、骨格点を算出するように構成されても良い。骨格座標算出部12は、一例として、予め定められた骨格点が画像101の手指画像900のどの位置に相当するか算出して画像101における骨格点を定める。
【0035】
図4(a)に示す丸は、骨格座標120が算出された位置を示している。この骨格座標120は、xyz成分を有している。骨格座標算出部12は、制御部20に電気的に接続され、骨格座標120の情報である骨格座標情報Sを出力する。
【0036】
なお骨格座標算出部12は、手指90がタッチパネル72に近いことから運転席80と助手席81の間の領域に限定して骨格座標120を算出する。
【0037】
(基準座標算出部14の構成)
基準座標算出部14は、一例として、複数の骨格座標120を平均して基準座標140を算出する。基準座標算出部14は、骨格座標算出部12から取得した骨格座標情報Sに基づいて基準座標140を算出する。図4(b)では、一例として、座標(xn+9、ym+8、t)を基準座標140としている。この「t」は、z軸の座標値、つまりタッチパネル72からの距離を示している。基準座標算出部14は、制御部20に電気的に接続され、算出した基準座標140の情報を基準座標情報Sとして出力する。
【0038】
なお基準座標算出部14は、複数の骨格座標120を含む矩形を設定し、この矩形に含まれる全ての座標値の平均に基づいて基準座標140を算出しても良いし、この矩形の重心を基準座標140としても良い。また基準座標算出部14は、骨格座標算出部12が算出した骨格点の座標の平均を基準座標140としても良い。
【0039】
(基準座標更新部16の構成)
基準座標更新部16は、撮像部10から出力された画像情報S、及び基準座標算出部14から出力された基準座標情報Sを取得する。基準座標更新部16は、基準座標140のz軸の座標値から予め定められた距離α、離れた座標値を有する画素102を画像101から探索し、離れた座標値を有すると共に手指90の手指画像900と繋がる腕部91の腕部画像910の画素102が存在した場合、当該腕部画像910の画素102の座標を基準座標140として更新し、この探索を予め定められた回数繰り返す。
【0040】
上述したように、乗員9からタッチパネル72までの距離は、一例として、座席の位置によるものの30~50cm程度となる。従って基準座標更新部16は、一例として、30~50cm程度、乗員9の身体93に近づくように基準座標140を更新する。
【0041】
予め定められた距離αは、基準座標140から肩部92までの長さと、予め定められた回数に応じて定められる。予め定められた距離αは、一例として、3~20cmであり、5~10cmである方がより好ましい。予め定められた距離αが10cmである場合、予め定められた回数は、一例として、3~5回となる。
【0042】
基準座標更新部16は、基準座標140から離れた距離αに腕部画像910の画素102が存在する場合、当該画素102に基づいて基準座標140を更新する。図4(b)では、予め定められた距離αを10cm、予め定められた回数を4回とした一例を示している。
【0043】
・基準座標140の更新について
図4(b)では、基準座標140から距離α離れた座標(xn+6、ym+6、t+α)、座標(xn+7、ym+6、t+α)を有する画素102が存在する一例を示している。これらの座標は、基準座標140から4近傍又は8近傍でz座標がtより増加し、連続する画素102のうち、z座標がz+αであるものである。ここでは、一例として、8近傍で連続する画素102を探索するものとする。なおz座標は、例えば、z+αに許容範囲内で近い座標も選択されるものとする。
【0044】
基準座標更新部16は、連続する画素102が複数ある場合、一例として、平均を取って更新した基準座標140とするがこれに限定されず、画像101の腕部画像910の中心に近い座標であっても良い。ここでは、更新された基準座標140は、座標(xn+7、ym+6、t+α)であるものとする。
【0045】
基準座標更新部16は、さらに更新した基準座標140である座標(xn+7、ym+6、t+α)から距離α、離れた位置に連続する画素102があるか探索する。図4(b)では、更新された座標(xn+7、ym+6、t+α)から距離α、離れた座標(xn+5、ym+5、t+2α)及び座標(xn+6、ym+5、t+2α)を有する画素102が存在する一例を示している。これらの座標は、更新された基準座標140から8近傍でz座標がt+αより増加し、連続する画素102のうち、z座標がz+2αであるものである。
【0046】
基準座標更新部16は、これらの座標の平均を算出し、更新した基準座標140を一例として座標(xn+5、ym+5、t+2α)とする。
【0047】
基準座標更新部16は、2回の探索で更新した基準座標140である座標(xn+5、ym+5、t+2α)から距離α、離れた位置に連続する画素102があるか探索する。図4(b)では、2回更新された座標(xn+5、ym+5、t+2α)から距離、α離れた座標(xn+3、ym+3、t+3α)及び座標(xn+4、ym+3、t+3α)を有する画素102が存在する一例を示している。これらの座標は、2回更新された基準座標140から8近傍でz座標がt+2αより増加し、連続する画素102のうち、z座標がz+3αであるものである。
【0048】
基準座標更新部16は、これらの座標の平均を算出し、3回更新した更新基準座標160を一例として座標(xn+3、ym+3、t+3α)とする。
【0049】
基準座標更新部16は、3回の探索で更新した基準座標140である座標(xn+3、ym+3、t+3α)から距離α、離れた位置に連続する画素102があるか探索する。図4(b)では、3回更新された座標(xn+3、ym+3、t+3α)から距離、α離れた座標(xn+1、ym+1、t+4α)及び座標(xn+2、ym+1、t+4α)を有する画素102が存在する一例を示している。これらの座標は、3回更新された基準座標140から8近傍でz座標がt+3αより増加し、連続する画素102のうち、z座標がz+3αであるものである。
【0050】
基準座標更新部16は、これらの座標の平均を算出し、4回更新した更新基準座標160を一例として座標(xn+1、ym+1、t+4α)とする。基準座標更新部16は、予め定められた回数更新した更新基準座標160を座標(xn+1、ym+1、t+4α)とする更新基準座標情報Sを制御部20に出力する。
【0051】
(通信部18の構成)
通信部18は、図2(a)及び図2(b)に示すように、車両LAN75を介してナビゲーション装置73などと相互に信号や情報を有線又は無線で交換するように構成されている。
【0052】
(制御部20の構成)
制御部20は、例えば、記憶されたプログラム200に従って、取得したデータに演算、加工などを行うCPU(Central Processing Unit)、半導体メモリであるRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)などから構成されるマイクロコンピュータである。このROMには、例えば、制御部20が動作するためのプログラム200が格納されている。RAMは、例えば、一時的に演算結果などを格納する記憶領域として用いられる。また制御部20は、その内部にクロック信号を生成する手段を有し、このクロック信号に基づいて動作を行う。
【0053】
制御部20は、ナビゲーション装置73からトリガ信号Sが入力した場合、撮像部10、骨格座標算出部12、基準座標算出部14及び基準座標更新部16を制御して操作者を判定する。
【0054】
また制御部20は、タッチパネル72を操作する乗員9が運転席80及び助手席81のいずれに着座しているかを判定するための判定しきい値201を有している。この判定しきい値201は、一例として、図3(a)に示すように、運転席領域101aに関している。制御部20は、更新基準座標160が運転席領域101aに存在する場合、操作者が運転席80に着座する乗員9であると判定する。また制御部20は、更新基準座標160が運転席領域101a以外に存在する場合、操作者が助手席81に着座する乗員9であると判定する。
【0055】
運転席領域101aは、画像101における乗員9の腕部画像910の付け根部分、つまり肩部画像920と、肩部画像920と繋がる身体画像930と、を含む領域である。
【0056】
なお変形例として制御部20は、画像101において、運転席80と助手席81の間を分ける境界に関する判定しきい値201を有し、更新基準座標160がこの境界から運転席80側なら運転席80に着座する乗員9が操作者であると判定しても良い。制御部20は、画像101において、更新基準座標160がこの境界から助手席81側なら助手席81に着座する乗員9が操作者であると判定する。
【0057】
制御部20は、タッチパネル72を操作する操作者が運転席80に着座する乗員9であると判定した場合、判定した結果の情報である判定情報Sを、車両LAN75を介してナビゲーション装置73に送信する。ナビゲーション装置73は、判定情報Sに基づいて車両8が走行している場合に運転席80に着座する乗員9に許される項目を表示する。
【0058】
・変形例について
図5(a)は、変形例に係る操作者判定装置のブロック図の一例であり、図5(b)は、第1の撮像装置が撮像した画像と第2の撮像装置が撮像した撮像画像の一例について説明するための図である。図5(a)は、操作者判定装置1として取得部11のみを図示している。
【0059】
変形例としての操作者判定装置1の取得部11は、図5(a)及び図5(b)に示すように、画像101、及び操作装置を操作する乗員9を撮像した前後方向の座標値を含まない撮像画像40を取得するように構成されても良い。骨格座標算出部12は、画像101及び撮像画像40に基づいて複数の骨格座標120を算出する。
【0060】
この変形例において取得部11は、一例として、図5(a)に示すように、第1の撮像装置3及び第2の撮像装置4と電気的に接続されている。第1の撮像装置3は、一例として、ステレオカメラ、TOFカメラなどの深度カメラ、LIDER(Light Detection And Ranging)装置などである。第1の撮像装置3は、z軸方向の座標値を有する画像101を撮像する。また第2の撮像装置4は、一例として、z軸方向の座標値を持たないRGB画像である撮像画像40を撮像する。
【0061】
骨格座標算出部12は、取得部11を介して第1の撮像装置3から撮像情報Sに基づく画像101を取得すると共に、第2の撮像装置4から撮像情報Sに基づく撮像画像40を取得する。骨格座標算出部12は、同時に撮像された、z軸方向の座標値を有する画像101をRGB画像である撮像画像40で補うことにより、手指画像900、腕部画像910、肩部画像920及び身体画像930とz軸方向の座標値とを適合させて精度が高い骨格座標120を算出することができる。
【0062】
(動作)
以下に本実施の形態に係る操作者判定装置1の動作の一例について図6のフローチャートに従って説明する。
【0063】
操作者判定装置1の制御部20は、ステップ1の「Yes」が成立する、つまりナビゲーション装置73からトリガ信号Sが入力すると(Step1:Yes)、撮像部10から画像101を取得し(Step2)、骨格座標算出部12に出力する。
【0064】
骨格座標算出部12は、取得した画像101の乗員9の手指画像900から複数の骨格座標120を算出する(Step3)。骨格座標算出部12は、算出した複数の骨格座標120の情報を含む骨格座標情報Sを基準座標算出部14に出力する。
【0065】
基準座標算出部14は、骨格座標情報Sに基づいて複数の骨格座標120から手指画像900の基準座標140を算出する(Step4)。基準座標算出部14は、算出した基準座標140の情報である基準座標情報Sを基準座標更新部16に出力する。
【0066】
基準座標更新部16は、画像情報S及び基準座標情報Sに基づいて基準座標140のz方向の座標値から予め定められた距離α、離れた座標値を有する画素102を画像101から探索する。そして基準座標更新部16は、離れた座標値を有すると共に手指画像900の基準座標140と繋がる腕部画像910の画素102が存在した場合、腕部画像910の画素102の座標を基準座標140として更新し、この探索を予め定められた回数繰り返して更新基準座標160を算出する(Step5)。基準座標更新部16は、更新基準座標160の情報である更新基準座標情報Sを制御部20に出力する。なお探索は、腕部画像910のみならず、少なくとも肩部画像920まで行われる。さらに基準座標更新部16は、一例として、更新した基準座標140が肩部画像920や身体画像930に到達した場合、回数内であっても処理を停止する。
【0067】
制御部20は、更新基準座標情報Sに基づく更新基準座標160に基づいてタッチパネル72を介してナビゲーション装置73を操作する乗員9が運転席80及び助手席81のいずれに着座しているのかを判定する。制御部20は、更新基準座標160が運転席領域101aに位置する場合、つまり操作者が運転席80に着座する乗員9であると判定した場合(Step6:Yes)、判定結果を示す判定情報Sを、車両LAN75を介してナビゲーション装置73に出力し(Step7)、判定動作を終了する。
【0068】
ここでステップ6において制御部20は、更新基準座標160が運転席領域101a以外の位置である場合(Step6:No)、判定情報Sを出力せずに判定動作を終了する。
【0069】
なお制御部20は、助手席81に着座する乗員9の腕部91の付け根部分を含む助手席領域を画像101に設定し、更新基準座標160が助手席領域に位置する場合、助手席81に着座する乗員9が操作者であるとする判定結果を出力するように構成されても良い。
【0070】
(実施の形態の効果)
本実施の形態に係る操作者判定装置1は、判定精度を向上させることができる。具体的には、操作者判定装置1は、基準座標140を更新して操作者の肩部画像920に近い位置を更新基準座標160とするので、運転席と助手席の中央を基準として判定する場合と比べて、更新基準座標160が座席に近く、操作者が運転席80に着座しているのか否かを判定し易い。従って操作者判定装置1は、判定精度を向上させることができる。そして操作者判定装置1は、操作者の判定精度が高いので、運転席80に着座する乗員9の操作を適切に制限すると共に、助手席81に着座する乗員9の操作を適切に受け付けることができる。
【0071】
操作者判定装置1は、奥行き方向の距離を有する画像101の手指画像900から骨格座標120及び基準座標140を算出し、この基準座標140を基準として距離α、離れた距離に基準座標140を更新し、この更新を繰り返すことによって腕部画像910の付け根近くに更新基準座標160を更新することができる。従って操作者判定装置1は、この構成を採用しない場合と比べて、精度良く基準座標140を定めることで操作者の判定精度を向上させることができる。
【0072】
ここで他の実施の形態に係る操作者判定方法は、車両8の運転席80及び助手席81に着座して操作装置を操作する乗員9を撮像対象とし、車両8の前後方向の座標値を含む複数の画素102から構成された画像101を取得し、取得した画像101に基づいて乗員9の手指画像900から複数の骨格座標120を算出し、算出した複数の骨格座標120に基づいて手指画像900の基準座標140を算出し、算出した基準座標140の前後方向の座標値から予め定められた距離α、離れた座標値を有する画素102を画像101から探索し、離れた座標値を有すると共に手指画像900の基準座標140と繋がる腕部画像910の画素102が存在した場合、腕部画像910の画素102の座標を基準座標140として更新し、この探索を予め定められた回数繰り返し、予め定められた回数繰り返して更新された更新基準座標160に基づいて操作装置を操作する乗員9が運転席80及び助手席81のいずれに着座しているのかを判定する、ことを含んでいる。
【0073】
この操作者判定方法は、この操作者判定方法を実行させるプログラムやこのプログラムを記録したコンピュータで読み取り可能な記録媒体として提供されても良い。
【0074】
以上述べた操作者判定装置1及び操作者判定方法によれば、操作者の判定精度を向上させることができる。
【0075】
上述の実施の形態及び変形例に係る操作者判定装置1及び操作者判定方法は、例えば、用途に応じて、その一部が、コンピュータが実行するプログラム、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)及びFPGA(Field Programmable Gate Array)などによって実現されても良い。例えば、骨格座標算出部12、基準座標算出部14及び基準座標更新部16の少なくとも1つは、制御部20が実行するプログラム200、ASIC及びFPGAなどによって実現されても良い。
【0076】
以上、本発明のいくつかの実施の形態及び変形例を説明したが、これらの実施の形態及び変形例は、一例に過ぎず、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。これら新規な実施の形態及び変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。また、これら実施の形態及び変形例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない。さらに、これら実施の形態及び変形例は、発明の範囲及び要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0077】
1…操作者判定装置、8…車両、9…乗員、10…撮像部、11…取得部、12…骨格座標算出部、14…基準座標算出部、16…基準座標更新部、20…制御部、40…撮像画像、72…タッチパネル、73…ナビゲーション装置、80…運転席、81…助手席、90…手指、91…腕部、92…肩部、93…身体、101…画像、102…画素、120…骨格座標、140…基準座標、160…更新基準座標、200…プログラム、900…手指画像、910…腕部画像、920…肩部画像、930…身体画像
図1
図2
図3
図4
図5
図6