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特開2024-175303仮想空間イベントの制御方法及び仮想空間イベント遂行サーバ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175303
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】仮想空間イベントの制御方法及び仮想空間イベント遂行サーバ
(51)【国際特許分類】
   G06T 19/00 20110101AFI20241211BHJP
   A63F 13/52 20140101ALI20241211BHJP
   A63F 13/55 20140101ALI20241211BHJP
   A63F 13/57 20140101ALI20241211BHJP
   A63F 13/812 20140101ALI20241211BHJP
【FI】
G06T19/00 C
A63F13/52
A63F13/55
A63F13/57
A63F13/812 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092980
(22)【出願日】2023-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】藤井 俊一
(72)【発明者】
【氏名】小林 朋央
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 博幸
(72)【発明者】
【氏名】桑原 悠
(72)【発明者】
【氏名】安藤 結衣
【テーマコード(参考)】
5B050
【Fターム(参考)】
5B050BA09
5B050DA07
5B050EA07
5B050EA12
5B050EA13
5B050FA05
5B050FA10
(57)【要約】
【課題】イベントをスムーズに遂行させることができる仮想空間イベントの制御方法を提供する。
【解決手段】第1のアバターと第2のアバターとを仮想空間で遂行されるイベントの参加者とする。第1のアバターは、他の第1のアバター及び第2のアバターから視認される可視の状態、及び、他の第1のアバターに接触できる接触可の状態に設定される。第2のアバターは、初期状態として、第1のアバターから視認されない非可視の状態、及び、第1のアバターに接触できない接触不可の状態に設定される(S1)。第1の事態が発生すると、第2のアバターは、非可視の状態から第1のアバターから視認される可視の状態に変更される(S3)。第2の事態が発生すると、第2のアバターは、第1のアバターに接触できる接触可の状態に変更される(S5)。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2またはそれ以上の第1の参加者を撮影した撮影画像に基づく2またはそれ以上の第1のアバターと、1またはそれ以上の第2の参加者を撮影した撮影画像に基づく1またはそれ以上の第2のアバターとを、仮想空間で遂行されるイベントの参加者とし、
前記2またはそれ以上の第1のアバターにおける各第1のアバターを、自分自身の第1のアバター以外の他の第1のアバター及び前記第2のアバターから視認される可視の状態、及び、前記他の第1のアバターに接触できる接触可の状態に設定し、
前記1またはそれ以上の第2のアバターにおける少なくとも前記イベントのフィールド内に位置する特定の第2のアバターを、初期状態として、前記第1のアバターから視認されない非可視の状態、及び、前記第1のアバターに接触できない接触不可の状態に設定し、
前記イベントの進行状況に応じて第1の事態が発生すると、前記特定の第2のアバターを、前記非可視の状態から前記第1のアバターから視認される可視の状態に変更し、かつ、前記接触不可の状態を維持し、
前記イベントの進行状況に応じて第2の事態が発生すると、前記特定の第2のアバターを、前記可視の状態を維持しながら、前記第1のアバターに接触できる接触可の状態に変更する
仮想空間イベントの制御方法。
【請求項2】
前記イベントは前記フィールド内で遂行するスポーツの試合または競技であり、
前記第1のアバターは前記スポーツのプレーヤであり、前記第2のアバターは前記スポーツの審判員である
請求項1に記載の仮想空間イベントの制御方法。
【請求項3】
前記第2の事態は、前記第1のアバターに触れる必要が発生した場合である請求項1または2に記載の仮想空間イベントの制御方法。
【請求項4】
前記1またはそれ以上の第2のアバターにおける前記フィールド外に位置する第2のアバターを、常時、前記第1のアバターから視認される可視の状態に設定する請求項1または2に記載の仮想空間イベントの制御方法。
【請求項5】
2またはそれ以上の第1の参加者を撮影した2またはそれ以上の第1の三次元画像と、1またはそれ以上の第2の参加者を撮影した1またはそれ以上の第2の三次元画像とを受信する通信部と、
三次元の仮想空間であるイベント空間内に、前記第1及び第2の三次元画像をそれぞれ第1及び第2のアバターとしてレンダリングし、前記仮想空間で遂行されるイベントのルールに従って前記イベントを遂行するイベント遂行部と、
1またはそれ以上の第2のアバターにおける各第2のアバターを、前記第1のアバターから視認される可視の状態とするか視認されない非可視の状態とするかの設定状態、及び、前記第1のアバターに接触できる接触可の状態とするか接触できない接触不可の状態とするかの設定状態を含むテーブルを記憶する記憶部と、
前記テーブルにおける前記第2のアバターの前記可視または非可視の状態、及び前記接触可または前記接触不可の状態を設定する視認・接触設定部と、
を備え、
前記視認・接触設定部は、
初期状態では、前記1またはそれ以上の第2のアバターにおける少なくとも前記イベントのフィールド内に位置する特定の第2のアバターを前記第1のアバターから視認されない非可視の状態、及び、前記第1のアバターに接触できない接触不可の状態に設定し、
前記イベント遂行部が前記イベントの進行状況に応じて第1の事態が発生したと判定すると、前記特定の第2のアバターを、前記非可視の状態から前記第1のアバターから視認される可視の状態に変更し、かつ、前記接触不可の状態を維持し、
前記イベント遂行部が前記イベントの進行状況に応じて第2の事態が発生したと判定すると、前記特定の第2のアバターを、前記可視の状態を維持しながら、前記第1のアバターに接触できる接触可の状態に変更する
仮想空間イベント遂行サーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想空間イベントの制御方法及び仮想空間イベント遂行サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
三次元の仮想空間(メタバース)内で複数のアバターを動かして、所定のイベントを遂行することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-34778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
イベントをスムーズに遂行させるために、仮想空間内に存在するアバターが、他のアバターから視認されるか否かの視認設定、及び他のアバターに接触できるか否かの接触設定を適切に設定する必要がある。
【0005】
本発明は、アバターの視認設定及び接触設定を適切に設定してイベントをスムーズに遂行させることができる仮想空間イベントの制御方法及び仮想空間イベント遂行サーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、2またはそれ以上の第1の参加者を撮影した撮影画像に基づく2またはそれ以上の第1のアバターと、1またはそれ以上の第2の参加者を撮影した撮影画像に基づく1またはそれ以上の第2のアバターとを、仮想空間で遂行されるイベントの参加者とし、前記2またはそれ以上の第1のアバターにおける各第1のアバターを、自分自身の第1のアバター以外の他の第1のアバター及び前記第2のアバターから視認される可視の状態、及び、前記他の第1のアバターに接触できる接触可の状態に設定し、前記1またはそれ以上の第2のアバターにおける少なくとも前記イベントのフィールド内に位置する特定の第2のアバターを、初期状態として、前記第1のアバターから視認されない非可視の状態、及び、前記第1のアバターに接触できない接触不可の状態に設定し、前記イベントの進行状況に応じて第1の事態が発生すると、前記特定の第2のアバターを、前記非可視の状態から前記第1のアバターから視認される可視の状態に変更し、かつ、前記接触不可の状態を維持し、前記イベントの進行状況に応じて第2の事態が発生すると、前記特定の第2のアバターを、前記可視の状態を維持しながら、前記第1のアバターに接触できる接触可の状態に変更する仮想空間イベントの制御方法を提供する。
【0007】
本発明は、2またはそれ以上の第1の参加者を撮影した2またはそれ以上の第1の三次元画像と、1またはそれ以上の第2の参加者を撮影した1またはそれ以上の第2の三次元画像とを受信する通信部と、三次元の仮想空間であるイベント空間内に、前記第1及び第2の三次元画像をそれぞれ第1及び第2のアバターとしてレンダリングし、前記仮想空間で遂行されるイベントのルールに従って前記イベントを遂行するイベント遂行部と、1またはそれ以上の第2のアバターにおける各第2のアバターを、前記第1のアバターから視認される可視の状態とするか視認されない非可視の状態とするかの設定状態、及び、前記第1のアバターに接触できる接触可の状態とするか接触できない接触不可の状態とするかの設定状態を含むテーブルを記憶する記憶部と、前記テーブルにおける前記第2のアバターの前記可視または非可視の状態、及び前記接触可または前記接触不可の状態を設定する視認・接触設定部とを備える仮想空間イベント遂行サーバを提供する。
【0008】
上記のように構成される仮想空間イベント遂行サーバにおいて、前記視認・接触設定部は、初期状態では、前記1またはそれ以上の第2のアバターにおける少なくとも前記イベントのフィールド内に位置する特定の第2のアバターを前記第1のアバターから視認されない非可視の状態、及び、前記第1のアバターに接触できない接触不可の状態に設定する。前記視認・接触設定部は、前記イベント遂行部が前記イベントの進行状況に応じて第1の事態が発生したと判定すると、前記特定の第2のアバターを、前記非可視の状態から前記第1のアバターから視認される可視の状態に変更し、かつ、前記接触不可の状態を維持する。前記視認・接触設定部は、前記イベント遂行部が前記イベントの進行状況に応じて第2の事態が発生したと判定すると、前記特定の第2のアバターを、前記可視の状態を維持しながら、前記第1のアバターに接触できる接触可の状態に変更する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の仮想空間イベントの制御方法及び仮想空間イベント遂行サーバによれば、アバターの視認設定及び接触設定を適切に設定してイベントをスムーズに遂行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、一実施形態に係る想空間イベント遂行サーバを示すブロック図である。
図2図2は、図1におけるプレーヤ画像供給装置200の構成例を示すブロック図である。
図3図3は、図1における審判員画像供給装置300の構成例を示すブロック図である。
図4A図4Aは、仮想空間内に、第1及び第2のアバターを、第2のアバターが第1のアバターから視認されない非可視の状態でレンダリングした三次元画像の一例を示す図である。
図4B図4Bは、仮想空間内に、第1及び第2のアバターを、第2のアバターが第1のアバターから視認される可視の状態でレンダリングした三次元画像の一例を示す図である。
図5図5は、一実施形態に係る仮想空間イベントの制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、一実施形態に係る仮想空間イベントの制御方法及び仮想空間イベント遂行サーバについて、添付図面を参照して説明する。図1において、仮想空間イベント遂行サーバ100には、ネットワーク400を介して、2またはそれ以上のプレーヤ画像供給装置200と、1またはそれ以上の審判員画像供給装置300が接続されている。仮想空間イベント遂行サーバ100は、仮想空間で所定のイベントを遂行する。イベントは、一例として、スポーツの試合または競技である。本実施形態においては、イベントがサッカーの試合である場合を例とする。
【0012】
仮想空間イベント遂行サーバ100は、通信部1、イベント遂行部2、視認・接触設定部3、記録部4、記憶部5を備える。イベント遂行部2は、レンダリング部21、イベント空間設定部22、イベントルール設定部23を有する。イベント遂行部2及び視認・接触設定部3は、コンピュータ機器の中央処理装置及びメモリで構成することができる。記録部4は、コンピュータ機器のメモリで構成してもよいし、ハードディスクドライブまたは半導体メモリ等の任意の記録媒体で構成することができる。記憶部5は、コンピュータ機器のメモリで構成してもよいし、書き換え可能な任意のメモリで構成することができる。
【0013】
プレーヤ画像供給装置200は、イベントの第1の参加者であるサッカーの試合のプレーヤを撮影したプレーヤ画像を、ネットワーク400を介して仮想空間イベント遂行サーバ100に供給する。審判員画像供給装置300は、イベントの第2の参加者であるサッカーの試合の審判員を撮影した審判員画像を、ネットワーク400を介して仮想空間イベント遂行サーバ100に供給する。プレーヤ画像は、仮想空間内に存在して仮想空間内で動く第1のアバターの元となる画像である。審判員画像は、仮想空間内に存在して仮想空間内で動く第2のアバターの元となる画像である。
【0014】
プレーヤは、プレーヤPy1~Py11の11人存在し、審判員は、審判員Rf1~Rf3の3人存在するとする。審判員Rf1はサッカーのフィールド内に位置する主審であり、審判員Rf2及びRf3はフィールド外に位置する副審である。プレーヤPy1~Py11のうちの任意のプレーヤをプレーヤPy、審判員Rf1~Rf3のうちの任意の審判員を審判員Rfと称することとする。プレーヤ画像供給装置200は、プレーヤPyの数に応じた数だけ存在し、審判員画像供給装置300は審判員Rfの数に応じた数だけ存在する。
【0015】
イベントがサッカーの試合である場合であっても、プレーヤPyの人数は11人でなくてもよく、審判員Rfの人数は3人でなくてもよい。イベントの第1の参加者は少なくとも二人であればよい。イベントの第2の参加者は少なくとも一人であればよい。即ち、仮想空間内には2またはそれ以上の第1のアバターと、1またはそれ以上の第2のアバターが存在すればよい。
【0016】
記憶部5には、第1及び第2のアバターに関する設定状態を含むテーブル50が記憶されている。テーブル50は、各プレーヤPyに対応する第1のアバターに関する設定状態を含むプレーヤ設定テーブル51、及び、各審判員Rfに対応する第2のアバターに関する設定状態を含む審判員設定テーブル52を含む。図1に示す例では、プレーヤ設定テーブル51に、試合に参加する11人のプレーヤPyのみを設定している。プレーヤ設定テーブル51に、交代要員のプレーヤPyを含めて設定してもよい。
【0017】
プレーヤ設定テーブル51における第1のアバターに関する設定状態は、各第1のアバターを、自分自身の第1のアバター以外の他の第1のアバター及び第2のアバターから視認される可視の状態とするか、視認されない非可視の状態とするかの設定状態を含む。また、第1のアバターに関する設定状態は、自分自身の第1のアバター以外の他の第1のアバターに接触できる接触可の状態とするか、接触できない接触不可の状態とするかの設定状態を含む。サッカーの試合で使用されるボールのようなイベントで使用されるアイテムが存在する場合には、接触可及び接触不可の状態は、アイテムに対する接触可及び接触不可の状態も示す。
【0018】
審判員設定テーブル52における第2のアバターに関する設定状態は、各第2のアバターを、第1のアバターから視認される可視の状態とするか視認されない非可視の状態とするかの設定状態を含む。また、第2のアバターに関する設定状態は、第1のアバターに接触できる接触可の状態とするか接触できない接触不可の状態とするかの設定状態を含む。プレーヤ設定テーブル51と同様に審判員設定テーブル52においても、イベントで使用されるアイテムが存在する場合には、接触可及び接触不可の状態は、アイテムに対する接触可及び接触不可の状態も示す。
【0019】
視認・接触設定部3は、テーブル50における第1のアバター及び第2のアバターの可視または非可視の状態、及び接触可または接触不可の状態を設定することができる。但し、プレーヤ設定テーブル51に試合に参加する11人のプレーヤPyのみを設定する場合には、第1のアバターの可視または非可視の状態は可視に、接触可または接触不可の状態は接触可に固定される。よって、視認・接触設定部3は、審判員設定テーブル52における第2のアバターの可視または非可視の状態、及び接触可または接触不可の状態のみを設定してもよい。
【0020】
プレーヤ設定テーブル51の設定状態を変更しない場合には、プレーヤ設定テーブル51を削除し、プレーヤ設定テーブル51の設定状態と同様の設定状態を、イベント遂行部2内に設定してもよい。
【0021】
プレーヤ設定テーブル51に交代要員のプレーヤPyを含めて設定する場合には、初期状態では、試合に最初に参加する11人のプレーヤPyを可視及び接触可の状態に設定し、交代要員のプレーヤPyを非可視及び接触不可の状態に設定すればよい。視認・接触設定部3は、交代要員のプレーヤPyが試合に参加する場合にはそのプレーヤPyを可視及び接触可の状態に変更し、試合から外れるプレーヤPyを非可視及び接触不可の状態に変更する。
【0022】
図2を用いて、プレーヤ画像供給装置200の構成例を説明する。プレーヤPyが位置するスタジオ等の部屋には、プレーヤPyの周囲を取り囲むように複数台のカメラ201が設置されている。送信データ生成部202は三次元画像生成部203を含む。三次元画像生成部203は、複数台のカメラ201がプレーヤPyを撮影した撮影画像に基づいて、プレーヤPyのプレーヤ画像である三次元画像(以下、3D画像)を生成する。三次元画像生成部203は、ボリュメトリックス技術を用いて3D画像を生成することができる。プレーヤ画像は、第1の3D画像である。
【0023】
通信部205は、ネットワーク400を介して、プレーヤPyの3D画像を仮想空間イベント遂行サーバ100に送信する。プレーヤPyは、ヘッドマウントディスプレイPhmdを装着している。通信部205は、仮想空間イベント遂行サーバ100が仮想空間で遂行することによって生成するイベントであるサッカーの試合の3D画像を受信して、ヘッドマウントディスプレイPhmdに例えば無線にて送信する。プレーヤPyは、サッカーの試合の3D画像を見ながら、仮想空間内を走る動作をしたり、仮想空間内に存在するボールBLを蹴る動作をしたりする。
【0024】
図3を用いて、審判員画像供給装置300の構成例を説明する。審判員Rfが位置するスタジオ等の部屋には、審判員Rfの周囲を取り囲むように複数台のカメラ301が設置されている。図3は、審判員Rfが主審である審判員Rf1である場合を示している。送信データ生成部302は、三次元画像生成部303及び送信音声生成部304を含む。三次元画像生成部303は、複数台のカメラ301が審判員Rfを撮影した撮影画像に基づいて、審判員Rfの審判員画像である3D画像を生成する。三次元画像生成部303は、ボリュメトリックス技術を用いて3D画像を生成することができる。審判員画像は、第2の3D画像である。
【0025】
送信音声生成部304は、カメラ301が備えるマイクロホン30Mが収音した審判員Rfが発生する音声に基づいて、送信音声を生成する。審判員RfはホイッスルRwhを吹くことがあり、吹いたホイッスルRwhの送信音声を生成する。
【0026】
通信部305は、ネットワーク400を介して、審判員Rfの3D画像及び送信音声を仮想空間イベント遂行サーバ100に送信する。審判員Rfは、ヘッドマウントディスプレイRhmdを装着している。通信部305は、仮想空間イベント遂行サーバ100が仮想空間で遂行することによって生成するイベントであるサッカーの試合の3D画像を受信して、ヘッドマウントディスプレイRhmdに例えば無線にて送信する。審判員Rfは、サッカーの試合の3D画像を見ながら、仮想空間内を走る動作をしたり、ホイッスルRwhを吹く等の審判員としての各種の動作をしたりする。
【0027】
図2に示すプレーヤ画像供給装置200における送信データ生成部202も、カメラ201が備えるマイクロホン20Mが収音したプレーヤPyが発生する音声に基づいて送信音声を生成する送信音声生成部を有してもよい。
【0028】
図1に戻り、仮想空間イベント遂行サーバ100の通信部1は、各プレーヤ画像供給装置200が送信するプレーヤPyの3D画像と、各審判員画像供給装置300が送信する審判員Rfの3D画像及び送信音声とを受信する。イベント空間設定部22には、サッカーの試合を例とすると、サッカーのフィールドFD及びゴールGL、(図4A図4B参照)等のイベントを遂行する空間を決める背景データが設定されている。
【0029】
図4Aに示すように、レンダリング部21は、イベント空間設定部22から背景データを取得し、背景データに基づく仮想空間内に、プレーヤPyのプレーヤ画像に基づく2またはそれ以上の第1のアバター、審判員Rfの審判員画像に基づく1またはそれ以上の第2のアバター、及びボールBLを位置させるようレンダリングする。
【0030】
通信部1は、レンダリング部21が生成する3D画像を各プレーヤ画像供給装置200及び各審判員画像供給装置300に送信する。記録部4は、レンダリング部21が生成する3D画像を記録してもよい。記録部4が、レンダリング部21が生成する3D画像を記録すれば、記録部4には複数の第1のアバターが2つのチームに分かれて戦うサッカーの試合が記録される。記録部4を設けることは必須ではなく、通信部1が3D画像を各プレーヤ画像供給装置200及び各審判員画像供給装置300に送信するのみであってもよい。
【0031】
プレーヤPyはヘッドマウントディスプレイPhmdを装着しており、審判員RfはヘッドマウントディスプレイRhmdを装着している。従って、プレーヤ画像及び審判員画像をそれぞれそのまま第1のアバター及び第2のアバターとすれば、第1のアバター及び第2のアバターもそれぞれヘッドマウントディスプレイPhmd及びRhmdを装着した状態となる。レンダリング部21は、プレーヤ画像及び審判員画像をそれぞれそのまま第1のアバター及び第2のアバターとする必要はなく、ヘッドマウントディスプレイPhmd及びRhmdを装着していない状態に画像を加工して第1のアバター及び第2のアバターとしてもよい。
【0032】
図4A及び図4Bは、プレーヤ画像及び審判員画像をヘッドマウントディスプレイPhmd及びRhmdを装着していない状態に加工して、第1のアバター及び第2のアバターとしている場合を示している。
【0033】
図4Aにおいて、アバターAvPyaは第1のアバターのうちの第1のチームのプレーヤPyのアバターであり、アバターAvPybは第1のアバターのうちの第2のチームのプレーヤPyのアバターである。アバターAvRf1は、第2のアバターである主審の審判員Rf1のアバターである。審判員Rf1のアバターAvRf1は、第2のアバターのち、フィールド内に位置する特定の第2のアバターである。
【0034】
図1の審判員設定テーブル52に示すように、初期状態では、審判員Rf1~Rf3は非可視及び接触不可に設定されている。従って、審判員Rf1は、アバターAvPya及びAvPybからは見えておらず、二点鎖線の仮想線で示されている。図4Aでは図示されていない副審の審判員Rf2及びRf3の第2のアバターも同様である。
【0035】
本実施形態においては、第2のアバターを、初期状態として、第1のアバター(アバターAvPya及びAvPyb)から視認されない非可視の状態に設定している。よって、本実施形態によれば、第1のチームのプレーヤPy及び第2のチームのプレーヤPyは、審判員Rfの第2のアバターを気にすることなく、フォーメーションを組むことができる。また、審判員Rfは、プレーヤPyの第1のアバターを気にすることなく審判できる。本実施形態によれば、サッカーの試合のような仮想空間のイベントをスムーズに進行させることができる。
【0036】
レンダリング部21は、イベントルール設定部23で設定されているイベントのルール(サッカーの試合のルール)に従って、仮想空間内に、第1のアバター、第2のアバター、及びボールBLをレンダリングする。副審の審判員Rf2及びRf3の第2のアバターは、ルールに従ってフィールドFD外に位置するようレンダリングされている。よって、審判員Rf2及びRf3の第2のアバターの存在は、第1のアバターにとって気になることはほとんどない。そこで、審判員Rf2及びRf3の第2のアバターを、初期状態から常時、第1のアバターから視認される可視の状態に設定してもよい。審判員Rf2及びRf3の第2のアバターを、常時、可視の状態及び接触可の状態に設定してもよい。
【0037】
レンダリング部21は、イベントのルールに従って、プレーヤPyの動きに応じて第1のアバターを移動させたり、審判員Rfの動きに応じて第2のアバターを移動させたり、プレーヤPyの蹴る動作に応じてボールBLを移動させたりする。プレーヤPy及び審判員Rfは、フィールドFD上で移動する距離に相当する距離を実際に移動する必要はない。プレーヤPy及び審判員Rfは、フィールドFD上を移動するときには、同じ位置に留まりながらあたかも走っているように足を動かせばよい。レンダリング部21は、プレーヤPy及び審判員Rfの足の動きに応じてプレーヤPy及び審判員RfをフィールドFD上で移動させるようレンダリングする。
【0038】
イベント遂行部2は、イベントが進行する時間を管理している。イベント遂行部2は、試合が中断したときに時間を止める。
【0039】
視認・接触設定部3は、イベントの進行状況に応じて、第2のアバターの非可視の状態を可視の状態に変更することがある。このとき、視認・接触設定部3は、第2のアバターの接触不可の状態を維持する。また、視認・接触設定部3は、イベントの進行状況に応じて、可視の状態とされている第2のアバターをさらに接触可の状態に変更することがある。なお、第2のアバターの接触不可の状態で、第2のアバターが第1のアバターと重なる位置に位置したとすると、第2のアバターは第1のアバターにめり込んで互いに重複したような状態となってしまう。第2のアバターが接触可の状態であれば、第1及び第2のアバターが互いに重複するような状態とはならない。
【0040】
視認・接触設定部3は、イベントの進行状況に応じて第1の事態が発生すると、審判員Rf1のアバターAvRf1を、非可視の状態から第1のアバターから視認される可視の状態に変更する。第1の事態は、例えば、審判員Rf1がファウルの発生を見てホイッスルRwhを吹いたという場合である。イベント遂行部2は、審判員Rf1の審判員画像供給装置300から送信される送信音声に基づいて、第1の事態の発生を認識する。イベント遂行部2は、第1の事態の発生を認識すると、視認・接触設定部3に、審判員Rf1のアバターAvRf1を可視の状態に変更するよう指示する。
【0041】
審判員Rf1が試合の終了を知らせるホイッスルRwhを吹いた場合も、第1の事態に含まれる。
【0042】
イベント遂行部2が、アバターAvPya及びAvPybの動きから、第1の事態の発生を自動的に認識するように構成されていてもよい。イベント遂行部2は、アバターAvPyaとアバターAvPybとが接触して少なくとも一方のアバターが転倒したり、いずれかの第1のアバターがボールBLに手で触れたりしたときに、第1の事態が発生したと認識することができる。
【0043】
図4Bは、判員Rf1がホイッスルRwhを吹いた後、アバターAvRf1が可視の状態に変更されて、フィールドFD上を移動してイエローカードを提示している状態を示している。第1のアバターは、審判員Rf1のアバターAvRf1を視認することができるから、試合中に発生した事態を理解して、その後の試合を進行させることができる。
【0044】
視認・接触設定部3は、イベントの進行状況に応じて第2の事態が発生すると、審判員Rf1のアバターAvRf1を、第1のアバターまたはボールBLに接触できる接触可の状態に変更する。第2の事態は、第1のアバターに接触する必要が生じた場合、または審判員Rf1がボールBLを移動させる必要が生じた場合である。ボールBLのようなアイテムが存在しない場合には、第2の事態は第1のアバターに接触する必要が生じた場合である。
【0045】
例えば、イベント遂行部2は、アバターAvRf1が第1のアバターまたはボールBLに所定の距離以内に近付いたら審判員Rf1が第1のアバターまたはボールBLに触れようとしていると判断して、アバターAvRf1を接触可の状態に変更する。イベント遂行部2は、ルールに従って、アバターAvPya及びAvPybの動きからアバターAvRf1がボールBLまたは第1のアバターに触れる必要がある状況を判定して、第2の事態の発生を自動的に認識するように構成されていてもよい。イベント遂行部2は、判員Rf1がホイッスルRwhを吹く長さによって第1の事態と第2の事態とを区別してもよい。
【0046】
図5に示すフローチャートを用いて、仮想空間イベント遂行サーバ100が実行する処理である仮想空間イベントの制御方法を説明する。仮想空間イベント遂行サーバ100が遂行するイベントが開始されると、視認・接触設定部3は、ステップS1にて、審判員Rfの第2のアバターの視認設定及び接触設定を初期状態に設定する。イベント遂行部2は、ステップS2にて、第2のアバターの視認設定を可視の状態に設定すべき第1の事態が発生したか否かを判定する。
【0047】
ステップS2にて第2のアバターの視認設定を可視の状態に設定すべき第1の事態が発生しなければ(NO)、イベント遂行部2はステップS2の処理を繰り返す。ステップS2にて第2のアバターの視認設定を可視の状態に設定すべき第1の事態が発生すれば(YES)、視認・接触設定部3は、ステップS3にて、第2のアバターの視認設定を可視の状態に設定して、処理をステップS4に移行させる。
【0048】
イベント遂行部2は、ステップS4にて、第2のアバターの接触設定を接触可の状態に設定すべき第2の事態が発生したか否かを判定する。ステップS4にて第2のアバターの接触設定を接触可の状態に設定すべき第2の事態が発生しなければ(NO)、イベント遂行部2は、処理をステップS6に移行させる。ステップS4にて第2のアバターの接触設定を接触可の状態に設定すべき第2の事態が発生すれば(YES)、視認・接触設定部3は、ステップS5にて、第2のアバターの接触設定を接触可の状態に設定して、処理をステップS6に移行させる。
【0049】
イベント遂行部2は、ステップS6にて、第2のアバターの視認設定及び接触設定を初期状態に戻す必要があるか否かを判定する。第2のアバターの視認設定及び接触設定を初期状態に戻す必要があれば(YES)、仮想空間イベント遂行サーバ100は処理をステップS1に戻す。第2のアバターの視認設定及び接触設定を初期状態に戻す必要がなければ(NO)、イベント遂行部2は、ステップS7にて、イベントが終了したか否かを判定する。
【0050】
ステップS7にてイベントが終了していなければ(NO)、イベント遂行部2は、処理をステップS4に戻す。ステップS7の時点では、視認設定は可視の状態であり、接触設定は接触可または接触不可の状態である。よって、イベントが終了していなければ第2のアバターの接触設定を接触可の状態に設定すべき事態が発生したか否かを判定すればよいので、ステップS4に戻す。ステップS7にてイベントが終了していれば(YES)、仮想空間イベント遂行サーバ100は処理を終了させる。
【0051】
以上のように、仮想空間イベント遂行サーバ100が実行する本実施形態に係る仮想空間イベントの制御方法は、次のとおりである。仮想空間イベント遂行サーバ100は、2またはそれ以上の第1の参加者を撮影した撮影画像に基づく2またはそれ以上の第1のアバターと、1またはそれ以上の第2の参加者を撮影した撮影画像に基づく1またはそれ以上の第2のアバターとを、仮想空間で遂行されるイベントの参加者とする。
【0052】
仮想空間イベント遂行サーバ100は、2またはそれ以上の第1のアバターにおける各第1のアバターを、自分自身の第1のアバター以外の他の第1のアバター及び第2のアバターから視認される可視の状態、及び、他の第1のアバターに接触できる接触可の状態に設定する。
【0053】
仮想空間イベント遂行サーバ100は、1またはそれ以上の第2のアバターにおける少なくともイベントのフィールド内に位置する特定の第2のアバターを、初期状態として、第1のアバターから視認されない非可視の状態、及び、第1のアバターに接触できない接触不可の状態に設定する。アイテムを使用するイベントにおいては、仮想空間イベント遂行サーバ100は、アイテムに接触できない接触不可の状態に設定する。
【0054】
仮想空間イベント遂行サーバ100は、イベントの進行状況に応じて第1の事態が発生すると、特定の第2のアバターを、非可視の状態から第1のアバターから視認される可視の状態に変更し、かつ、接触不可の状態を維持する。仮想空間イベント遂行サーバ100は、イベントの進行状況に応じて第2の事態が発生すると、特定の第2のアバターを、可視の状態を維持しながら、第1のアバターに接触できる接触可の状態に変更する。
【0055】
以上のようにして、本実施形態に係る仮想空間イベントの制御方法及び仮想空間イベント遂行サーバによれば、アバターの視認設定及び接触設定を適切に設定してイベントをスムーズに遂行させることができる。
【0056】
本発明は、以上説明した本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 通信部
2 イベント遂行部
3 視認・接触設定部
4 記録部
5 記憶部
21 レンダリング部
22 イベント空間設定部
23 イベントルール設定部
100 仮想空間イベント遂行サーバ
200 プレーヤ画像供給装置
300 審判員画像供給装置
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5