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特開2024-175305通信制御装置、通信制御方法及びプログラム
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  • 特開-通信制御装置、通信制御方法及びプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175305
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】通信制御装置、通信制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 48/06 20090101AFI20241211BHJP
   H04W 28/10 20090101ALI20241211BHJP
【FI】
H04W48/06
H04W28/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092986
(22)【出願日】2023-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】591280485
【氏名又は名称】ソフトバンクグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100139066
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】孫 正義
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA28
5K067DD11
5K067EE02
5K067EE10
(57)【要約】
【課題】混雑するエリアにおいて、より適切に通信速度を制御することを可能にする技術を提供すること。
【解決手段】無線通信のトラフィックデータを取得する取得部と、前記トラフィックデータに基づいて、前記無線通信が混雑するエリアを検知する検知部と、前記無線通信が混雑するエリアに存在する端末に対して、無線通信が混雑する時間帯の間、通信速度の上限を設定する制御部と、を有する通信制御装置を提供する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信のトラフィックデータを取得する取得部と、
前記トラフィックデータに基づいて、前記無線通信が混雑するエリアを検知する検知部と、
前記無線通信が混雑するエリアに存在する端末に対して、無線通信が混雑する時間帯の間、通信速度の上限を設定する制御部と、
を有する、通信制御装置。
【請求項2】
前記検知部は、前記トラフィックデータに基づいて、更に、前記無線通信が混雑する時間帯を予測する、
請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項3】
前記取得部は、地域属性に関するデータを取得し、
前記検知部は、前記取得部で取得された地域属性に関するデータと前記トラフィックデータとに基づいて、前記無線通信が混雑するエリア及び前記無線通信が混雑する時間帯を予測する、
請求項2に記載の通信制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記端末に対して、前記無線通信が混雑する時間帯の間、前記端末が存在するエリアの地域属性に応じた前記通信速度の上限を設定する、
請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記端末に対して、前記無線通信が混雑する時間帯の間、前記端末が受信又は送信するデータ種別に応じた前記通信速度の上限を設定する、
請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記端末に対して、前記無線通信が混雑する時間帯の間、前記端末が契約する通信キャリアに応じた前記通信速度の上限を設定する、
請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記通信速度の上限を設定することを、コアネットワーク装置、又は、前記無線通信が混雑するエリアに対応する基地局に指示する、
請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項8】
無線通信のトラフィックデータを取得するステップと、
前記トラフィックデータに基づいて、前記無線通信が混雑するエリアを検知するステップと、
前記無線通信が混雑するエリアに存在する端末に対して、無線通信が混雑する時間帯の間、通信速度の上限を設定するステップと、
を含む、通信制御装置が実行する通信制御方法。
【請求項9】
無線通信のトラフィックデータを取得するステップと、
前記トラフィックデータに基づいて、前記無線通信が混雑するエリアを検知するステップと、
前記無線通信が混雑するエリアに存在する端末に対して、無線通信が混雑する時間帯の間、通信速度の上限を設定するステップと、
を含む、コンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信制御装置、通信制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、MNO(Mobile Network Operator)やMVNO(Mobile Virtual Network Operator)を含む様々な無線通信キャリアが、様々な無線通信サービスを提供している。例えば、特許文献1には、携帯電話網の通信状況に応じて自動でプロファイルを切り替える技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第7284881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
無線通信は、有限なリソースである無線を利用していることから、同一のエリアで多数の端末が同時に通信を行うと、端末あたりの通信速度が低下してしまう。
【0005】
そこで、本発明は、混雑するエリアにおいて、より適切に通信速度を制御することを可能にする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る通信制御装置は、無線通信のトラフィックデータを取得する取得部と、前記トラフィックデータに基づいて、前記無線通信が混雑するエリアを検知する検知部と、前記無線通信が混雑するエリアに存在する端末に対して、無線通信が混雑する時間帯の間、通信速度の上限を設定する制御部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、混雑するエリアにおいて、より適切に通信速度を制御することを可能にする技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る無線通信システムの一例を示す図である。
図2】通信制御装置のハードウェア構成例を示す図である。
図3】通信制御装置の機能ブロック構成例を示す図である。
図4】通信制御装置が実行する処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0010】
<システム構成>
図1は、本実施形態に係る無線通信システム1の一例を示す図である。無線通信システム1は、端末10に対し無線通信サービスを提供するシステムであり、1以上の基地局20、コアネットワーク30、通信制御装置40及びNW管理システム50を含む。無線通信システム1は、例えば、3GPP(登録商標)(Third Generation Partnership Project)で規定される、3G、LTE(Long Term Evolution)、5G及び6G以降の無線通信技術に対応してもよい。
【0011】
端末10は、例えば、スマートフォン、携帯電話、パーソナルコンピュータ、車載端末、車載装置、テレマティクス制御ユニット(TCU : Telematics control unit)等である。端末10は、UE(User Equipment)と呼ばれてもよい。
【0012】
基地局20は、アンテナを備えており、1以上のセルを形成する。基地局20は、NB(NodeB)、eNB(enhanced NodeB)、gNB(gNodeB)などと呼ばれてもよい。
【0013】
コアネットワーク30は、外部ネットワークに接続されており、端末10が存在する位置の管理、端末10と外部ネットワーク間を流れるデータのルーティング制御、QoS(Quality of Service)制御、ユーザの契約情報の管理等を行う装置である。コアネットワーク30は、複数の物理装置群から構成されていてもよいし、複数の論理機能群から構成されていてもよい。外部ネットワークは、インターネット及び企業内ネットワーク等を含む。
【0014】
通信制御装置40は、エリアの混雑状況、ユーザの契約情報、基地局20及びコアネットワーク30の負荷状況等に基づいて、端末10の通信速度を制御する。なお、図1の例では、通信制御装置40はコアネットワーク30とは別のものとして図示されているが、本実施形態がこの態様に限定されるものではない。通信制御装置40は、コアネットワーク30とは異なる装置であってもよいし、コアネットワーク30の一部であってもよい。また、コアネットワーク30の一部である場合、通信制御装置40は、3GPP(登録商標)で規定されるPGW(Packet data network Gateway)又はUPF(User Plane Function)であってもよい。
【0015】
NW管理システム50は、基地局20及びコアネットワーク30の状態監視及び基地局20及びコアネットワーク30に対する各種制御を行う。NW管理システム50は、例えば、過去及び現在のトラフィックデータを、セル単位、基地局20単位、コアネットワーク30単位(より詳細にはPGW単位及びUPF単位)で管理するようにしてもよい。
【0016】
<ハードウェア構成>
図2は、通信制御装置40のハードウェア構成例を示す図である。通信制御装置40は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphical Processing Unit)等のプロセッサ11、メモリ(例えばRAM(Random Access Memory)又はROM(Read Only Memory))、HDD(Hard Disk Drive)及び/又はSSD(Solid State Drive)等の記憶装置12、有線又は無線通信を行うネットワークIF(Network Interface)13、入力操作を受け付ける入力装置14、及び情報の出力を行う出力装置15を有する。入力装置14は、例えば、キーボード、タッチパネル、マウス及び/又はマイク等である。出力装置15は、例えば、ディスプレイ、タッチパネル及び/又はスピーカ等である。
【0017】
<機能ブロック構成>
図3は、通信制御装置40の機能ブロック構成例を示す図である。通信制御装置40は、記憶部100と、取得部101と、検知部102と、制御部103とを含む。記憶部100は、通信制御装置40が備える記憶装置12を用いて実現することができる。また、取得部101と、検知部102と、制御部103とは、通信制御装置40のプロセッサ11が、記憶装置12に記憶されたプログラムを実行することにより実現することができる。また、当該プログラムは、記憶媒体に格納することができる。当該プログラムを格納した記憶媒体は、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記憶媒体(Non-transitory computer readable medium)であってもよい。非一時的な記憶媒体は特に限定されないが、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ又はCD-ROM(Compact Disc Read-Only Memory)等の記憶媒体であってもよい。
【0018】
記憶部100は、取得部101が取得した各種のデータを格納する。
【0019】
取得部101は、無線通信の混雑状況に関するトラフィックデータを、基地局20、コアネットワーク30及び/又はNW管理システム50から取得する。
【0020】
検知部102は、取得部101で取得されたトラフィックデータに基づいて、無線通信が混雑するエリア(以下、「混雑エリア」という)を検知する。例えば、検知部102は、取得部101で取得された最新のトラフィックデータに基づいて、現在の混雑エリアをリアルタイムで検知するようにしてもよい。つまり、検知部102は、現在混雑しているエリアを検知するようにしてもよい。
【0021】
また、検知部102は、取得部101で取得されたトラフィックデータに基づいて、混雑エリア及び無線通信が混雑する時間帯(以下、「混雑時間帯」という)を検知するようにしてもよい。つまり、検知部102は、過去及び/又は最新のトラフィックデータの傾向から、将来混雑すると考えられるエリア及び時間帯を検知するようにしてもよい。
【0022】
制御部103は、混雑エリアに存在する端末10に対して、混雑時間帯の間、通信速度の上限を設定する。例えば、検知部102が現在の混雑エリアをリアルタイムで検知する場合、制御部103は、検知部102によって当該混雑エリアが混雑していると検知されている時間帯の間、当該混雑エリアに存在する端末10に対して通信速度の上限を設定する。一方、検知部102が、将来の混雑時間帯を予測する場合、制御部103は、検知された混雑時間帯の間、混雑エリアに存在する端末10に対して通信速度の上限を設定する。
【0023】
<処理手順>
図4は、通信制御装置40が実行する処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0024】
ステップS10で、取得部101は、コアネットワーク30又はNW管理システム50から、トラフィックデータを取得する。トラフィックデータは、時間推移、すなわち、過去から現在までのトラフィック量を所定間隔(例えば1分毎等)で表すデータであってもよい。トラフィックデータは、例えば、無線通信エリア(例えばセル)ごとのトラフィック量(上りデータ量及び/又は下りデータ量等)を示すデータ、基地局20ごとのトラフィック量を示すデータ、無線通信エリアに存在(在圏)する端末10の数を示すデータ、同一の無線通信エリアに存在する複数の端末10の平均トラフィック量(例えば、上りデータ及び下りデータの平均通信速度)の時間推移を示すデータ、及び/又は、基地局20の処理負荷(CPU使用率、メモリ使用率等)を示すデータ等であってもよい。なお、上りデータは、端末10から外部ネットワークに向かって流れるデータを意味し、下りデータは、外部ネットワークから端末10に向かって流れるデータを意味する。
【0025】
また、取得部101は、無線通信エリアの地域属性に関するデータ(以下、「地域属性データ」という)を取得するようにしてもよい。地域属性の例として、例えば、駅周辺のエリアである、住宅地である、ショッピングセンターが存在するエリアである、企業が多いエリアである、お祭りが開催されるエリアである等が挙げられる。また、取得部101は、天候予測データ、イベント開催予定データ、及び/又は、人流予測データを取得してもよい。天候予測データは、例えば天気予報であってもよい。イベント開催予定データは、将来開催されるイベントについての開催日時及び場所を示す。人流予測データは、時間の経過とともに人の流れが変化する様子を予測したデータである。
【0026】
ステップS11で、検知部102は、ステップS10で取得したトラフィックデータ等から、混雑エリア及び混雑時間帯を検知する。
【0027】
例えば、検知部102は、所定期間前(特に限定されないが、例えば10分前など)から現在までのトラフィック量が所定の閾値以上である無線通信エリアを、混雑エリアであると検知するようにしてもよい。例えば、検知部102は、同一の無線通信エリアに位置する全端末10の端末10ごとの平均通信速度が所定の閾値以下である無線通信エリアを、混雑エリアであると検知するようにしてもよい。検知部102が検知する混雑エリアの単位は、セル単位であってもよいし、複数のセルを含む単位(例えば都道府県単位及び/又は市区町村単位等)であってもよい。
【0028】
また、検知部102は、取得部101により取得された無線通信エリアの地域属性データとトラフィックデータとに基づいて、混雑エリア及び混雑時間帯を検知するようにしてもよい。例えば、ショッピングセンターAが存在するセルの17時~19時までのトラフィック量は、14時~15時のトラフィック量の2倍になるという傾向が存在すると仮定する。この場合、検知部102は、エリアAにはショッピングセンターAが存在し、エリアAの現在(15時)のトラフィック量を考慮すると、夕方の17時~19時の間のトラフィック量は所定の閾値を超えることから、エリアAは、17時~19時の間、混雑エリアに該当するなどと判断するようにしてもよい。
【0029】
また、検知部102は、取得部101により取得された天候予測データ、イベント開催予測データ及び人流予測データのうち少なくとも1つと、トラフィックデータとに基づいて、混雑エリア及び混雑時間帯を推定するようにしてもよい。例えば、検知部102は、エリアAのトラフィック量は常に所定の閾値未満であるが、17時~18時にイベントが開催されることを考慮すると、17時~18時のエリアAは混雑エリアに該当するなどと判断するようにしてもよい。また、エリアAのトラフィック量は常に所定の閾値未満であるが、人流予測データによれば、エリアAには12月31日午後9時~1月1日午前3時の間に人の数が増加すると予想されていると仮定する。この場合、検知部102は、12月31日午後9時~1月1日午前3時のエリアAは混雑エリアに該当するなどと判断するようにしてもよい。
【0030】
また、検知部102は、混雑エリアにおける混雑度合い(混雑レベル)を、混雑エリアごとに複数の段階で検知するようにしてもよい。例えば、トラフィック量がA以上B未満の場合は混雑度合い1、トラフィック量がB以上C未満の場合は混雑度合い2、トラフィック量がC以上D未満の場合は混雑度合い3、トラフィック量がD以上の場合は混雑度合い4であると定義されているものとする。この場合、検知部102は、エリアAのトラフィック量がB以上C以上である場合、エリアAは混雑エリアであり混雑度合いは2であると判断するようにしてもよい。
【0031】
また、検知部102は、推定した混雑エリアを、カラーマップ等を用いてディスプレイ等に表示するようにしてもよい。
【0032】
ステップS12で、制御部103は、現在時刻が、ステップS11で推定した混雑時間帯に該当する間、ステップS11で推定された混雑エリアに存在する端末10に対し、通信速度の上限を設定する。例えば、検知部102が、混雑エリアAにおける混在時間帯は10時~12時であると予測した場合、制御部103は、10時~12時の間、混雑エリアAに存在する端末10に対し、通信速度の上限を設定する。
【0033】
また、制御部103は、検知部102がリアルタイムで混雑エリアを検知する場合、検知部102より当該エリアが混雑していると検知されている間、当該混雑エリアに存在する端末10に対し、通信速度の上限を設定する。例えば、検知部102がエリアBは混雑エリアに該当すると判断している間、制御部103は、エリアBに存在する端末10に対して通信速度の上限を設定し続ける。また、検知部102がエリアBは混雑エリアに該当しなくなったと判断した場合、通信速度の上限の設定を解除する。
【0034】
制御部103が設定する通信速度の上限は、例えば、1Mbps、3Mbps、5Mbps、10Mbpsなど、混雑していないエリアにおける通信速度(例えばLTEの場合は75Mbps~100Mbps程度)よりも低い値に設定される。
【0035】
また、制御部103は、混雑エリアの混雑度合いに応じて通信速度の上限を変更するようにしてもよい。この場合、制御部103は、混雑エリアに存在する端末10に対し、混雑エリアの混雑度合いに応じて予め設定された通信速度の上限に従って、通信速度の上限を設定するようにしてもよい。例えば、混雑度合い1に対応する通信速度の上限は10Mbps、混雑度合い2に対応する通信速度の上限は5Mbps、混雑度合い3に対応する通信速度の上限は1Mbpsと定められているものとする。この場合、制御部103は、混雑度合いが2である混雑エリアに存在する端末10に対して、通信速度の上限を5Mbpsに設定し、混雑度合いが1である混雑エリアに存在する端末10に対して、通信速度の上限を10Mbpsに設定するようにしてもよい。
【0036】
また、制御部103は、混雑エリアに存在する端末10に対し、各端末10を利用するユーザの契約条件に関わらず、通信速度の上限を同一値に設定するようにしてもよい。例えば、制御部103は、データ量を無制限に利用可能な料金プランの端末10と、利用可能なデータ量に上限が設定されている料金プランの端末10とに対し、通信速度の上限を同一値に設定するようにしてもよい。
【0037】
また、制御部103は、混雑エリアに存在する端末10に対し、混雑時間帯の間、端末10が存在するエリアの地域属性に応じた通信速度の上限を設定するようにしてもよい。例えば、制御部103は、駅周辺のエリア、ショッピングモールが存在するエリア、コンサートが開催されているエリア、ビール祭りが開催されているエリアなど、通信速度の上限を、地域属性に応じて異なる値に設定するようにしてもよい。一例として、制御部103は、駅周辺には動画を視聴するユーザが多いと予想されることから通信速度の上限を10Mbpsに設定し、ビール祭り会場は、ユーザ数は多いもののユーザ一人当たりのデータ使用量は多くないと予想されることから、通信速度の上限を1Mbpsに設定するというように、地域属性に応じた通信速度の上限を設定するようにしてもよい。
【0038】
また、制御部103は、混雑エリアに存在する端末10に対して、混雑時間帯の間、当該端末10が受信又は送信するデータ種別に応じた通信速度の上限を設定するようにしてもよい。つまり、通信するデータの中身に応じて、端末10ごとに通信速度の上限を設定するようにしてもよい。なお、データ種別の例として、例えば、動画データ、音楽データ、Webデータ、SNSデータ、特定のアプリケーションのデータが挙げられる。
【0039】
例えば、画質が中程度の動画であれば、1分あたり5Mbyteのデータ量であるから、理論上は、83kbpsの通信速度があれば足りる。そこで、制御部103は、中程度の動画を視聴しているユーザの端末10には、通信速度の上限を3Mbpsに設定するようにしてもよい。一方で、大人数でテレビ会議を実施しているユーザの端末10には、テレビ会議が安定するように、通信速度の上限を10Mbpsに設定するようにしてもよい。また、単にWebブラウジングを行っているユーザの端末10には、通信速度の上限を1Mbpsに設定するようにしてもよい。また、地図アプリケーションを利用しているユーザの端末10には、地図の更新がスムーズに行われるようにするため、通信速度の上限を3Mbpsに設定するようにしてもよい。
【0040】
また、制御部103は、混雑エリアに存在する端末10に対して、混雑時間帯の間、端末10が契約する通信キャリアに応じた通信速度の上限を設定するようにしてもよい。ここで、同一の無線通信システム1を利用する複数の通信キャリアA及びBが存在するものとする。この場合、制御部103は、通信キャリアAと契約しているユーザの端末10に対しては、通信速度の上限を1Mbpsに設定し、通信キャリアBと契約しているユーザの端末10に対しては、通信速度の上限を5Mbpsに設定するようにしてもよい。
【0041】
制御部103は、以上説明した通信速度の制御方法を任意に組み合わせるようにしてもよい。例えば、制御部103は、通信キャリアAと契約しており、かつ、データ種別が中画質の動画を視聴しているユーザの端末10については3Mbpsに設定し、通信キャリアBと契約しており、かつ、データ種別が中画質の動画を視聴しているユーザの端末10については10Mbpsに設定するようにしてもよい。また、制御部103は、通信キャリアAと契約しており、かつ、データ種別がWebブラウジングであるユーザの端末10については1Mbpsに設定し、通信キャリアBと契約しており、かつ、データ種別がWebブラウジングであるユーザの端末10については2Mbpsに設定するようにしてもよい。
【0042】
また、制御部103は、通信速度の上限を設定することを、コアネットワーク30、又は、混雑エリアに対応する基地局20に指示するようにしてもよい。例えば、制御部103は、混雑エリアを構成するセルの識別子と通信速度の上限値とをコアネットワーク30又は基地局20に送信することで、混雑エリアに存在する端末10の通信速度が上限以下になるように制御してもよい。
【0043】
<まとめ>
以上説明した実施形態によれば、混雑するエリアにおいて、より適切に通信速度を制御することを可能にすることが可能になる。
【0044】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態で説明したフローチャート、シーケンス、実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 無線通信システム、10 端末、11 プロセッサ、12 記憶装置、13 ネットワークIF、14 入力装置、15 出力装置、20 基地局、30 コアネットワーク、40 通信制御装置、50 NW管理システム、100 記憶部、101 取得部、102 検知部、103 制御部
図1
図2
図3
図4