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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175306
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】タービンケーシング
(51)【国際特許分類】
   F01D 25/24 20060101AFI20241211BHJP
【FI】
F01D25/24 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092988
(22)【出願日】2023-06-06
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】近藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼田 雄久
(57)【要約】
【課題】熱変形を抑制したタービンケーシングを提供する。
【解決手段】タービンケーシングは、タービンロータを収容する下半ケーシングおよび上半ケーシングを備える。下半ケーシングと上半ケーシングは、それぞれ、タービンロータの軸方向の一方側に向かうに従い外径が小さくなる下縮径部および上縮径部を有する。タービンケーシングは、下縮径部から一方側に向かって突出する一対の下突出アームであって、平面視においてタービンロータを間にして並ぶように配置される一対の下突出アームと、上縮径部から一方側に向かって突出する一対の上突出アームであって、平面視においてタービンロータを間にして並ぶように配置されると共に支持台によって支持される一対の上突出アームとをさらに備える。一対の上突出アームは、平面視において、一対の下突出アームの間に配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンロータを収容する下半ケーシングおよび上半ケーシングを備えるタービンケーシングであって、
前記下半ケーシングと前記上半ケーシングは、それぞれ、前記タービンロータの軸方向の一方側に向かうに従い外径が小さくなる下縮径部および上縮径部を有し、
前記タービンケーシングは、
前記下縮径部から前記一方側に向かって突出する一対の下突出アームであって、平面視において前記タービンロータを間にして並ぶように配置される一対の下突出アームと、
前記上縮径部から前記一方側に向かって突出する一対の上突出アームであって、平面視において前記タービンロータを間にして並ぶように配置されると共に支持台によって支持される一対の上突出アームと
をさらに備え、
前記一対の上突出アームは、平面視において、前記一対の下突出アームの間に配置される
タービンケーシング。
【請求項2】
前記一対の上突出アームの各々は、前記支持台に当接する当接下面を含み、
前記当接下面は、前記軸方向の一方側に向かうほど高くなるように傾斜する当接傾斜面を有する
請求項1に記載のタービンケーシング。
【請求項3】
前記一対の上突出アームの各々は、前記支持台に当接する当接下面を含み、
前記当接下面は、前記タービンロータの径方向の外側に向かうほど高くなるように傾斜する当接傾斜面を有する
請求項1または2に記載のタービンケーシング。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、タービンロータを収容するタービンケーシングに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、上半ケーシングおよび下半ケーシングを含むタービンケーシングを開示する。タービンケーシングは、上半ケーシングから水平に突出する上突出アーム(上突出部)と、下半ケーシングから水平に突出する下突出アーム(下突出部)とを有する。上半ケーシングおよび下半ケーシングは、それぞれ、上半車室および下半車室と呼ばれることがある。また、上突出アームおよび下突出アームは、それぞれ、上半猫足および下半猫足と呼ばれることがある。
【0003】
上突出アームおよび下突出アームは、それぞれ、上半支持台および下半支持台に載置されるようになっている。これらはタービンケーシングの組立工程において、一例として以下のように利用される。
【0004】
はじめに下突出アームが下半支持台に載置されるように下半ケーシングを配置し、その後、下半ケーシングの上に上半ケーシングを配置する。これにより、タービンロータおよびタービンロータに設けられる動翼は、タービンケーシングによって収容される。上半ケーシングと下半ケーシングを接合した後、下半ケーシングをジャッキアップして下突出アームを下半支持台から浮かす。このとき、上突出アームは上半支持台から浮いており、ライナと呼ばれる高さ調整用のプレートが上半支持台に配置される。その後、上突出アームがライナに載置されるようにタービンケーシングをジャッキダウンする。
【0005】
上突出アームがライナに載置されたとき、タービンケーシングとタービンロータとの間では、所望の位置関係が成立する。これにより、タービンケーシング内において、動翼などの回転部と当該回転部の下方に位置する静止部との間に所望の高さ寸法を有するクリアランス(以下、内部クリアランスという)が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007-009731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
タービンの運転時、タービンケーシングは鉛直方向において熱変形する。タービンケーシングの熱変形量が大きいと想定される場合には、内部クリアランスを上下に大きくする必要がある。しかしながら、内部クリアランスを通過する作動ガスは動翼に対して仕事をしないため、内部クリアランスの拡大はタービン効率の低下につながる。従って、タービンケーシングの熱変形は抑制されることが好ましい。
【0008】
本願の発明者は、熱変形を抑制するための設計対策をタービンケーシングに施しても、上突出アームが熱変形すると、タービンケーシングはこれに伴って熱変形する虞があることを見出した。図13は、互いに異なるタイミングt1,t2における熱変形の解析結果を例示する(タイミングt1,t2の間でタービンの運転状態は異なる)。同図で示すグラフの横軸は、タービンロータの軸方向座標であり、R1、R3で示す軸方向範囲が上突出アームの配置範囲を示し、寸法R2で示す軸方向範囲がタービンケーシングの配置範囲を示す。また、縦軸の0は、上半支持台の上面の高さ位置を示し、縦軸の正方向は上方向である。
【0009】
同図からも判るように、タイミングt2からタイミングt1への切り替わりが起こった状況下おいて、タービンケーシングに熱変形対策を施して、タービンケーシングの軸方向中央部が上に向かって大きく膨らまないようにしていても、上突出アームが上方向に大きく熱変形すると(矢印U1、U2)、タービンケーシングの両端部の熱変形量が増大する。これは、上突出アームの熱変形につられて、上半ケーシングおよび下半ケーシングが熱変形するからである。本願の発明者は、この点に着目して、さらなる熱変形対策をタービンケーシングに施すことを考案した。
【0010】
本開示の目的は、熱変形を抑制したタービンケーシングを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の少なくとも一実施形態に係るタービンケーシングは、
タービンロータを収容する下半ケーシングおよび上半ケーシングを備えるタービンケーシングであって、
前記下半ケーシングと前記上半ケーシングは、それぞれ、前記タービンロータの軸方向の一方側に向かうに従い外径が小さくなる下縮径部および上縮径部を有し、
前記タービンケーシングは、
前記下縮径部から前記一方側に向かって突出する一対の下突出アームであって、平面視において前記タービンロータを間にして並ぶように配置される一対の下突出アームと、
前記上縮径部から前記一方側に向かって突出する一対の上突出アームであって、平面視において前記タービンロータを間にして並ぶように配置されると共に支持台によって支持される一対の上突出アームと
をさらに備え、
前記一対の上突出アームは、平面視において、前記一対の下突出アームの間に配置される。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、熱変形を抑制したタービンケーシングを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施形態に係るタービンシステムの概略図である。
図2】一実施形態に係るタービンの内部構造を示す概略図である。
図3】一実施形態に係るタービンの外観を示す概略図である。
図4】第1実施形態に係るタービンケーシングユニットの概略図である。
図5】一実施形態に係る上プレートを示す概略的な斜視図である。
図6】一実施形態に係る上プレートを示す概略的な側面図である。
図7】一実施形態に係る上プレートを示す概略的な別の側面図である。
図8A】第1実施形態に係る上突出アームの熱変形の前後を示す概略図である。
図8B】比較例に係る上突出アームの熱変形の前後を示す概略図である。
図9】第1実施形態に係る上突出アームの熱変形の前後を示す別の概略図である。
図10】第2実施形態に係る上突出アームの熱変形の前後を示す概略図である。
図11】第2実施形態に係る上突出アームの熱変形の前後を示す別の概略図である。
図12】第3実施形態に係るタービンケーシングユニットの概略図である。
図13】タービンケーシングの熱変形の解析結果を概略的に例示するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して本開示の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本開示の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
なお、同様の構成については同じ符号を付し説明を省略することがある。
【0015】
<タービンシステム1の概要>
図1は、本開示の一実施形態に係るタービンシステム1の概略図である。タービンシステム1のタービン10は、タービンロータ5と、タービンロータ5を収容するタービンケーシング3とを備える。タービンロータ5は、タービンケーシング3を貫通するように延在しており、タービンケーシング3の両側にそれぞれ設けられた2つの軸受装置4によって支持されている。
【0016】
本例のタービン10は蒸気タービンであり、より具体的には高温高圧の蒸気が流入するように構成された高圧蒸気タービンである。図1では詳細な図示を省略するが、タービンシステム1は、片方の軸受装置4を挟んでタービン10とは反対側に配置された中圧蒸気タービンをさらに備える。中圧蒸気タービンには、高圧蒸気タービンに流入する蒸気と比べて低い温度および低い圧力を有する中温中圧蒸気が流入するように構成される。中圧蒸気タービンとタービン10はタービンロータ5を共有している。
【0017】
タービンシステム1はタービンロータ5と連結する図示外の発電機を備えており、タービン10の運転に伴い回転するタービンロータ5が発電機を駆動するようになっている。
【0018】
以下の説明では、タービンロータ5の軸線5Cが延在する方向を「軸方向」といい、軸線5Cを基準とした径方向を「径方向」という場合がある。「径方向の外側」はタービンロータ5の軸線5Cから遠ざかる方向側であり、「径方向の内側」は軸線5Cに近づく方向側である。
【0019】
<タービン10の概略>
図2は、本開示の一実施形態に係るタービン10の内部構造を示す概略図である。タービンケーシング3の内部には、内側ケーシング16が配置されている。内側ケーシング16は、翼環18およびダミーリング20を支持している。翼環18には静翼19が支持されている。さらに、タービンケーシング3の内部には、径方向の外側に突出するようにタービンロータ5に設けられる動翼14が配置されている。本例では、タービンロータ5の周方向に配列された複数の静翼19と、周方向に配列された複数の動翼14とを含むタービン段落が、軸方向に並ぶように複数配置されている。
【0020】
タービンケーシング3内の静止部の構成要素である翼環18の内周面と、回転部の構成要素である動翼14の径方向における外側端部との間のクリアランスは、内部クリアランスSである。内部クリアランスSを通過する蒸気は動翼14に対して仕事をしないため、内部クリアランスSの鉛直方向における寸法は小さい方が好ましい。他方で、タービンケーシング3が熱変形したときに翼環18の内周面の下端と動翼14とが干渉しないよう、内部クリアランスSは鉛直方向において一定程度の長さを有することが求められる。
【0021】
図3は、本開示の一実施形態に係るタービン10の外観を示す概略図である。タービンケーシング3は、下半ケーシング30と、上半ケーシング40とを含む。下半ケーシング30の上端部には水平外側に張り出す下フランジ32が設けられ、上半ケーシング40の下端部には水平外側に張り出す上フランジ42が設けられる。下フランジ32と上フランジ42は、図示しない複数のボルトによって接合されている。
【0022】
下半ケーシング30は一方側下縮径部46と他方側下縮径部47を有し、上半ケーシング40は一方側上縮径部56と他方側上縮径部57を有する。一方側下縮径部46と一方側上縮径部56は、軸方向の一方側に向かうに従い外径が小さくなる形状を有する。一方側下縮径部46が配置される軸方向範囲の少なくとも一部は、一方側上縮径部56が配置される軸方向範囲と重なっている。同様に、他方側下縮径部47と他方側上縮径部57は、軸方向の他方側に向かうに従い外径が小さくなる形状を有する。他方側下縮径部47が配置される軸方向範囲の少なくとも一部は、他方側上縮径部57が配置される軸方向範囲と重なっている。
【0023】
図1図3で示すように、タービンケーシング3は、一方側下縮径部46から突出する一対の一方側下突出アーム48と、他方側下縮径部47から突出する一対の他方側下突出アーム49と、一方側上縮径部56から突出する一対の一方側上突出アーム58と、他方側上縮径部57から突出する一対の他方側上突出アーム59とをさらに備える。一方側下突出アーム48と一方側上突出アーム58はいずれも、軸方向の一方側へ突出しており、他方側下突出アーム49と他方側上突出アーム59はいずれも、軸方向の他方側へ突出している。
【0024】
図1に示すように、一対の一方側下突出アーム48は、平面視においてタービンロータ5を間にして並ぶように配置されている。同様に、一対の一方側上突出アーム58も、平面視においてタービンロータ5を間にして並ぶように配置されている。一対の他方側下突出アーム49とタービンロータ5との間の平面視における位置関係、および、一対の他方側上突出アーム59とタービンロータ5との間の平面視における位置関係も同様である。
【0025】
図3に示すように、タービン10は、タービンケーシング3を支持する支持台60をさらに備える。基礎9に設けられた支持台60は、一対の一方側下突出アーム48、一対の他方側下突出アーム49、一対の一方側上突出アーム58、および、一対の他方側上突出アーム59を支持するように構成されている。
【0026】
以下では説明の重複を避けるために、一対の一方側下突出アーム48と一対の一方側上突出アーム58の支持構造を説明し、一対の他方側下突出アーム49と一対の他方側上突出アーム59の支持構造を省略する。
【0027】
さらに以下では、一方側下縮径部46を「下縮径部46」と略記する場合がある。同様に、一方側上縮径部56、一方側下突出アーム48、および、一方側上突出アーム58をそれぞれ、「上縮径部56」、「下突出アーム48」、および、「上突出アーム58」と以下では略記する場合がある。また、以下では、タービンケーシング3と支持台60を総称して「タービンケーシングユニット7」という場合がある。
【0028】
図3で示すように、支持台60は、一対の下突出アーム48をそれぞれ支持するための一対の下半支持台61と、一対の上突出アーム58をそれぞれ支持するための一対の上半支持台62とを含む。但し、側面図としての図3で示される下半支持台61と上半支持台62の個数は、いずれも1個である(図4等も同様である)。
【0029】
タービン10の組立途中においては、一対の下半支持台61が一対の下突出アーム48を支持するようになっている。他方で、タービン10の組立完了後においては、一対の上半支持台62が一対の上突出アーム58を支持するようになっており、且つ、一対の下突出アーム48は一対の下半支持台61から浮くようになっている。組立の過程において下半支持台61に代えて上半支持台62がタービンケーシング3を支持するようになる詳細は、特許文献1(特開2007-9731号公報)を用いて例示的に既述した通りである。
【0030】
なお、本例の支持台60は、下半支持台61の上面に配置された下プレート69(図4参照)をさらに備えてもよい。この場合、下半支持台61は下プレート69を介して下突出アーム48を支持する。
【0031】
<上突出アーム58の支持構造(第1実施形態)>
図4は、第1実施形態に係るタービンケーシングユニット7A(7)の概略図である。タービンケーシングユニット7Aの支持台60A(60)は、基礎9から上方に延在する一対の上半支持台62A(62)と、一対の上半支持台62Aにそれぞれ載置される一対の上プレート65とを含む。上プレート65は、ライナと呼ばれる高さ調整用のプレートであり、本例では、タービンケーシングユニット7A(7)の上突出アーム58A(58)が支持される位置を調整するためのプレートである。
【0032】
一対の上突出アーム58A(58)の各々は、下方を向く当接下面55A(55)を含み、支持台60A(60)は、一対の上突出アーム58Aをそれぞれ支持する一対の上支持面71A(71)を含む。上支持面71A(71)は当接下面55A(55)と直接的に当接する面であり、図4の例では上プレート65の上面に形成されている(上支持面71が上半支持台62の上面に形成される他の実施形態については後述する)。
【0033】
図5図7は、本開示の一実施形態に係る上プレート65を示す概略図である。上プレート65に形成された上支持面71A(71)は、軸方向の一方側に向かうほど低くなるように傾斜する支持傾斜面77Aを有する。本例の支持傾斜面77Aは、径方向の外側に向かうほど低くなるようにも傾斜する。
【0034】
本例の上プレート65は平面視にて矩形状である。上プレート65は、軸方向の他方側かつ径方向の内側の端部である第1角部101、軸方向の他方側かつ径方向の外側の端部である第2角部102、第1角部101の対角に位置する端部である第3角部103、および、第2角部102の対角に位置する端部である第4角部104を有する。
【0035】
本例の第1角部101は、平面視において支持傾斜面77Aから離れた位置にある。また、第2角部102、第3角部103、および、第4角部104は各々、平面視において、支持傾斜面77Aを構成する複数のコーナ領域のいずれかと重なるように配置される。図示される例では、鉛直方向において、第1角部101は第2角部102よりも長く、第2角部102は第3角部103よりも長く、第4角部104は第1角部101よりも短くかつ第3角部103よりも長い。第2角部102と第4角部104の間では、任意の鉛直方向長さの関係が成立してよい。
【0036】
なお、第1角部101は、平面視において支持傾斜面77Aを構成する複数のコーナ領域のいずれかと重なるように配置されてもよい。この場合であっても、第1角部101、第2角部102、第3角部103、および第4角部104の間で上記の鉛直方向長さの関係が成立する。
【0037】
支持傾斜面77Aの説明を続ける。支持傾斜面77Aは、平面視において上支持面71Aの中心75(図5参照)よりも軸方向の他方側かつ径方向の内側に位置する平坦面72をさらに有する。平坦面72は、上プレート65の最も高い上端面を形成する水平な面である。また、平坦面72の軸方向の他方側かつ径方向の内側におけるコーナ領域に、上述の第1角部101は平面視において重なるように配置されている。なお、上支持面71Aの中心75は支持傾斜面77A上にある。
【0038】
タービンケーシング3の熱変形前、上突出アーム58の当接下面55A(図4参照)は、水平に延在する平面であり、支持傾斜面77Aの平坦面72に当接している。このとき、内部クリアランスS(図2参照)の高さ寸法は、設計段階で設定された所望の値になる。上突出アーム58の熱変形前に平坦面72が当接下面55Aと直接的に当接することで、当接下面55Aの支持面積が確保され、上半支持台62は上突出アーム58を安定的に支持できる。
【0039】
支持傾斜面77Aが軸方向の他方側に向かうほど低くなるように傾斜する構成によって得られる技術的な利点を、図8A図8Bを参照しながら説明する。図8A図8Bは各々、上突出アーム58の熱変形の前後を示す概略図であり、各々の図面において、熱変形前の上突出アーム58は二点鎖線の直線によって図示され、熱変形後の上突出アーム58は実線の直線によって図示されている(後述する図9図11も同様である)。また、図8Aが本例の上半支持台62Aを示すのに対して、図8Bは比較例として上半支持台98に載置された上プレート99を示している。上プレート99の上端面は水平面のみによって構成されている。
【0040】
以下の説明では、上突出アーム58のうち上縮径部56(図3参照)側の端部を「基端部581」といい、基端部581とは反対の端部を「先端部582」という場合がある。
【0041】
図8A図8Bで示すように、上突出アーム58の熱変形が起こる場合、基端部581が先端部582よりも大きく熱変形する。上突出アーム58の熱変形は上縮径部56から上突出アーム58に伝わる熱が主要因となり、先端部582よりも基端部581の方が上縮径部56に近いからである。両図の例では、熱変形によって基端部581が先端部582に対して上昇する。
【0042】
比較例として示す図8Bでは、基端部581が上昇する結果、上突出アーム58のうち先端部582のみが上プレート99の上面に当接する。図8Bで示すθ1は、径方向視において熱変形後の当接下面55Aが水平方向に対して傾斜した角度を示し、距離δ2は、熱変形に伴う基端部581の上プレート99からの上昇量を示す。
【0043】
他方、本例の図8Aにおいては、基端部581が上昇する結果、当接下面55Aは平坦面72から浮き上がり、当接下面55Aのうち軸方向の一方側の部位が支持傾斜面77Aと当接するようになる。支持傾斜面77Aが軸方向の一方側に向かうほど低くなるよう傾斜しているので、当接下面55Aと支持傾斜面77Aとの当接位置は熱変形によって軸方向の一方側に変位すると共に下方にも変位する。従って、熱変形後の当接下面55が比較例と同じくθ1傾いても、上プレート65からの基端部581の上昇量であるδ1は、δ2よりも小さい。換言すると、当接下面55Aと支持傾斜面77Aの当接位置の下方への変位量であるh1だけ、δ1をδ2よりも小さくできる。よって、タービンケーシングユニット7Aは、上半ケーシング40および下半ケーシング30が上突出アーム58の熱変形につられて変形するのを抑制できる。
【0044】
なお、上記の技術的な利点は、支持傾斜面77Aが径方向の外側に向かうほど低くなるように傾斜していなくとも得られるし、上支持面71が平坦面72を有さなくても得られる。また、他方側上突出アーム59の支持構造が図8Bのような支持構造であったとしても、上記の技術的な利点は得られる。
【0045】
次いで、図9を参照して、支持傾斜面77Aが径方向の外側に向かうほど低くなる構成によって得られる技術的な利点を説明する。当該技術的な利点は、図8A図8Bを参照して説明した上記の技術的な利点と同様の原理により得られるため、図8Bのような比較例の図示を省略する。以下の説明では、上突出アーム58Aのうちで径方向の内側の端部を「内端部583」といい、径方向の外側の端部を「外端部584」という場合がある。
【0046】
上突出アーム58Aの熱変形が起こる場合、内端部583が外端部584よりも大きく熱変形する。これは、内端部583の温度が外端部584の温度よりも大きく上昇するからである。図9で示すθ2は、軸方向視において熱変形後の当接下面55が水平方向に対して傾斜した角度を示し、δ3は、熱変形に伴う内端部583の上プレート65からの上昇量を示す。
【0047】
熱変形によって内端部583が外端部584に対して上昇するとき、当接下面55Aは平坦面72から浮き上がり、当接下面55Aのうち径方向の外側の部位が支持傾斜面77Aと当接するようになる。支持傾斜面77Aが径方向の外側に向かうほど低くなるように傾斜しているので、当接下面55Aと支持傾斜面77Aとの当接位置は、熱変形によって径方向の外側に変位すると共に下方にも変位する。従って、δ3は、上プレート65ではなく上プレート99(図8B参照)が設けられる場合に比べて、当接下面55Aと支持傾斜面77Aの当接位置の下方への変位量であるh2だけ小さくできる。よって、タービンケーシングユニット7Aは、上半ケーシング40および下半ケーシング30が上突出アーム58の熱変形につられて変形するのを抑制できる。
【0048】
また、上半支持台62Aに載置される上プレート65の上面に上支持面71Aが形成される構成によれば、上支持面71Aの傾斜の度合いは、上プレート65の選別または加工によって調整自在となる。これにより、上支持面71Aの所望の傾斜が実現され易くなる。例えば解析によって予め想定した上突出アーム58Aの熱変形量に応じた傾斜を上支持面71Aに持たせることができるので、上突出アーム58Aの熱変形量を効果的に抑制できる。
【0049】
<上突出アーム58の支持構造(第2実施形態)>
図10図11は、第2実施形態に係るタービンケーシングユニット7B(7)の概略図である。図10図11ではタービンケーシングユニット7Aと同じ構成要素に同じ符号を付与している。これらの構成要素の説明は、以下では省略または簡略化されている。
【0050】
タービンケーシングユニット7Bを構成する上突出アーム58B(58)の当接下面55B(55)は、当接平坦面54と、当接平坦面54と連接する当接傾斜面52とを有する。上突出アーム58Bの熱変形前の状態においては、当接平坦面54は水平に延在しており、上プレート65の平坦面72に直接的に当接している。また、当該状態においては、当接傾斜面52は、軸方向の一方側に向かうほど高くなるように傾斜すると共に、径方向の外側に向かうほど高くなるようにも傾斜する。当接傾斜面52は、支持傾斜面77Aの上方に位置する。当接平坦面54は、基端部581の下面であり、内端部583の下面でもある。当接傾斜面52は、先端部582の下面であり、外端部584の下面でもある。
【0051】
図10を参照して、当接傾斜面52が軸方向の一方側に向かうほど高くなるように傾斜する構成によって得られる技術的な利点を説明する。上突出アーム58Bの熱変形に伴い基端部581が先端部582に対して上昇する場合、当接平坦面54は平坦面72から浮き上がり、当接傾斜面52が上支持面71A(より具体的には支持傾斜面77A)と当接するようになる。
【0052】
上突出アーム58Bの熱変形によって、当接平坦面54が水平方向に対して図8Aと同じθ1傾いたとする。上プレート65からの基端部581の上昇量であるδ4は、熱変形前の上突出アーム58Bにおける先端部582と基端部581の間の鉛直方向距離であるh3だけ、図8Aで示すδ1よりも小さくできる。これにより、第2実施形態では熱変形に伴う基端部581の上昇量をさらに低減できる。なお、他の実施形態に係る上支持面71Aは、平坦面72のみによって構成されていてもよく、この場合であっても、当接傾斜面52が設けられていることによって基端部581の熱変形に伴う上昇量は低減する。
【0053】
次いで、図11を参照して、当接下面55が径方向の外側に向かうほど高くなるように傾斜する構成によって得られる技術的な利点を説明する。上突出アーム58Bの熱変形に伴い内端部583が外端部584に対して上昇する場合、当接下面55Bと上支持面71Aとの当接位置は、径方向の外側に変位し、当接傾斜面52が上支持面71A(より具体的には支持傾斜面77A)に当接するようになる。このとき、当接平坦面54は平坦面72から浮き上がる。
【0054】
上突出アーム58Bの熱変形によって、当接平坦面54が水平方向に対して図9と同じθ2傾いたとする。上プレート65からの内端部583の上昇量であるδ5は、熱変形前の上突出アーム58Bにおける外端部584と内端部583の間の鉛直方向距離であるh4だけ、図9で示すδ3よりも小さくできる。これにより、第2実施形態では熱変形に伴う基端部581の上昇量をさらに低減できる。なお、他の実施形態に係る上支持面71Aは、平坦面72のみによって構成されていてもよく、この場合であっても、当接傾斜面52が設けられていることによって内端部583の熱変形に伴う上昇量は低減する。
【0055】
<上突出アーム58の支持構造(第3実施形態)>
図12は、第3実施形態に係るタービンケーシングユニット7C(7)を示す概略図である。タービンケーシングユニット7Cの支持台60C(60)は、基礎9から上方に延在する一対の上半支持台62C(62)を含む。上半支持台62Cには上プレート65(図8A参照)が載置されておらず、第3実施形態に係る上支持面71C(71)は、上半支持台62Cの上面に形成されている。上支持面71Cの形状は、上支持面71Aの形状と同一であってもよい。
【0056】
図12で示す上突出アーム58C(58)の当接下面55Cは、図8Aで示す当接下面55Aと同一形状であるが、本開示はこれに限定されない。当接下面55Cには、図10で示す当接下面55Bが適用されてもよい。いずれの実施形態においても、当接下面55Cは、上支持面71Cに直接的に当接する。
【0057】
<上突出アーム58と下突出アーム48の関係>
図1および図4を参照して、上突出アーム58と下突出アーム48の関係を説明する。以下で開示する構成は、第1実施形態、第2実施形態、または第3実施形態に係る上突出アーム58の既述した支持構造のいずれに適用されてもよい。
【0058】
図1に示すように、一対の上突出アーム58は、平面視において、一対の下突出アーム48の間に配置される。より具体的には、各下突出アーム48は、径方向の内側を向く下内端面43を有しており、一対の上突出アーム58の各々の全部位は、平面視において、一対の下内端面43の間に位置する。
【0059】
上記構成によれば、上突出アーム58の基端部581(図4参照)をタービンロータ5の軸線5C側に近づけることができるので、上突出アーム58の軸方向寸法を短くできる。
これにより、上突出アーム58の鉛直方向における剛性が向上する。なお、本例では、上記の構成が採用されることにより、上突出アーム58の軸方向寸法は、下突出アーム48の軸方向寸法よりも短い。
また、図8Aを用いて説明した傾斜角度としてのθ1が変わらないのであれば、熱変形前における上突出アーム58A(58)の軸方向寸法(即ち、図8において二点鎖線で示す当接下面55Aの軸方向寸法)が短いほど、熱変形に伴う基端部581の上昇量であるδ1は小さくなる。本例では上突出アーム58の軸方向寸法を短くできる分だけ、上突出アーム58の鉛直方向における変位量は低減する。従って、上突出アーム58の熱変形量を抑制できる。
以上のように、上半ケーシング40および下半ケーシング30が上突出アーム58の熱変形につられて熱変形することが抑制されるので、熱変形を抑制したタービンケーシングユニット7が実現される。
【0060】
図4で示すように、上突出アーム58A(58)の高さ寸法(H1)は、下突出アーム48の高さ寸法(H2)よりも長い。上記構成によれば、上突出アーム58の高さ寸法を大きくすることができるので、上突出アーム58の鉛直方向における剛性を向上できる。よって、上突出アーム58の熱変形量をさらに低減できる。
【0061】
図1で示すように、一対の上突出アーム58が並ぶ方向を幅方向と定義したとき、上突出アーム58の幅方向寸法(W1)は、下突出アーム48の幅方向寸法(W2)よりも長い。上記構成によれば、上突出アーム58の幅方向寸法を大きくすることができるので、上突出アーム58の鉛直方向における剛性を向上できる。よって、上突出アーム58の熱変形量をさらに低減できる。
【0062】
また、図1で示すように、一対の上突出アーム58の各々は、上縮径部56から軸方向の一方側へ直線状に突出する。上記構成によれば、上縮径部56から径方向の外側へ突出する部位を上突出アーム58が含む場合に比べて、上突出アーム58の鉛直方向における剛性を向上できる。よって、上突出アーム58の熱変形量をさらに低減できる。
【0063】
なお、上突出アーム58の先端部582と、下突出アーム48の軸方向の一方側の端部である先端部482は、軸方向において実質的に同じ位置に配置されている。これは、上突出アーム58と下突出アーム48を、タービンケーシング3の位置の基準となる軸受装置4に可能な限り近づけているためである。
【0064】
<その他>
なお、本開示は上記の実施形態に限定されない。タービンシステム1は中圧蒸気タービンを備えなくてもよく、この場合、タービン10は高中圧一体型の蒸気タービンであってもよい。あるいは、タービン10は、中低圧一体型の蒸気タービンまたは高中低圧一体型の蒸気タービンであってもよい。この場合、タービンケーシング3は、一対の他方側下突出アーム49および一対の他方側上突出アーム59を備えなくてもよい。
【0065】
<まとめ>
上述した幾つかの実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
【0066】
1)本開示の一実施形態に係るタービンケーシング(3)は、
タービンロータ(5)を収容する下半ケーシング(30)および上半ケーシング(40)を備えるタービンケーシングであって、
前記下半ケーシングと前記上半ケーシングは、それぞれ、前記タービンロータの軸方向の一方側に向かうに従い外径が小さくなる下縮径部(46)および上縮径部(56)を有し、
前記タービンケーシングは、
前記下縮径部から前記一方側に向かって突出する一対の下突出アームであって、平面視において前記タービンロータを間にして並ぶように配置される一対の下突出アーム(48)と、
前記上縮径部から前記一方側に向かって突出する一対の上突出アームであって、平面視において前記タービンロータを間にして並ぶように配置されると共に支持台(60)によって支持される一対の上突出アーム(58)と
をさらに備え、
前記一対の上突出アームは、平面視において、前記一対の下突出アームの間に配置される。
【0067】
上記1)の構成によれば、上突出アームのうちで上縮径部側の端部である基端部(581)をタービンロータの軸線(5C)側に近づけることができるので、上突出アームの軸方向寸法を短くできる。これにより、上突出アームの鉛直方向における剛性が向上する。さらに、上突出アームが熱変形によって水平方向に対して傾いたとしても、上突出アームの軸方向寸法を短くできる分だけ、上突出アームの鉛直方向における変位量は低減する。従って、上突出アームの熱変形量を抑制できる。上半ケーシングおよび下ケーシングが上突出アームの熱変形につられて変形することが抑制されるので、熱変形を抑制したタービンケーシングが実現される。
【0068】
2)幾つかの実施形態では、上記1)に記載のタービンケーシングであって、
前記一対の上突出アームの各々の高さ寸法(H1)は、前記一対の下突出アームの各々の高さ寸法(H2)よりも長い。
【0069】
上記2)の構成によれば、上突出アームの高さ寸法を大きくすることができるので、上突出アームの鉛直方向における剛性を向上できる。よって、上突出アームの熱変形量をさらに低減できる。
【0070】
3)幾つかの実施形態では、上記1)または2)に記載のタービンケーシングであって、
前記一対の上突出アームが並ぶ方向を幅方向と定義したとき、前記一対の上突出アームの各々の幅方向寸法(W1)は、前記一対の下突出アームの各々の幅方向寸法(W2)よりも長い。
【0071】
上記3)の構成によれば、上突出アームの幅寸法を大きくすることができるので、上突出アームの鉛直方向における剛性を向上できる。よって、上突出アームの熱変形量をさらに低減できる。
【0072】
4)幾つかの実施形態では、上記1)または3)に記載のタービンケーシングであって、
前記一対の上突出アームの各々は、前記上縮径部から前記一方側へ直線状に突出する。
【0073】
上記4)の構成によれば、上縮径部から径方向の外側に向けて突出する部位を上突出アームが含む場合に比べて、上突出アームの鉛直方向における剛性を向上できる。よって、上突出アームの熱変形量をさらに低減できる。
【0074】
5)幾つかの実施形態では、上記1)から4)のいずれかに記載のタービンケーシングであって、
前記一対の上突出アームの各々は、前記支持台に当接する当接下面(55)を含み、
前記当接下面は、前記軸方向の一方側に向かうほど高くなるように傾斜する当接傾斜面(52)を有する。
【0075】
上記5)の構成によれば、上突出アームの熱変形に伴って上突出アームの基端部が先端部(582)に対して上昇する場合、上突出アームの基端部の上昇量は、熱変形前における先端部と基端部との間の鉛直方向における距離分、低減する。これにより、熱変形に伴う上突出アームの基端部の上昇量を低減できる。
【0076】
6)幾つかの実施形態では、上記1)から5)のいずれかに記載のタービンケーシングであって、
前記一対の上突出アームの各々は、前記支持台に当接する当接下面(55)を含み、
前記当接下面は、前記タービンロータの径方向の外側に向かうほど高くなるように傾斜する当接傾斜面(52)を有する。
【0077】
上記6)の構成によれば、上突出アームの熱変形に伴って上突出アームの内端部(583)が外端部(584)に対して上昇する場合、上突出アームの内端部の上昇量は、熱変形前における外端部と内端部との間の鉛直方向における距離分、低減する。これにより、熱変形に伴う上突出アームの内端部の上昇量を低減できる。
【0078】
7)本開示の少なくとも一実施形態に係るタービンケーシングユニット(7)は、
上記1)乃至6)のいずれかに記載のタービンケーシングと、前記支持台とを備えるタービンケーシングユニットであって、
前記支持台は、前記一対の上突出アームをそれぞれ支持する一対の上支持面(71)を含み、
各々の前記上支持面は、前記軸方向の一方側に向かうほど低くなるように傾斜する支持傾斜面(77A)を有する。
【0079】
上記7)の構成によれば、一対の上突出アームの熱変形に伴って上突出アームと支持傾斜面との当接位置が軸方向の一方側へ変位しても、上支持面を基準とした上突出アームの基端部の上昇量を低減できる。熱変形に伴う上突出アームの基端部の上昇量を低減できるので、上半ケーシングおよび下ケーシングが上突出アームの熱変形につられて変形することが抑制される。
【0080】
8)幾つかの実施形態では、上記7)に記載のタービンケーシングユニットであって、
各々の前記支持傾斜面は、前記タービンロータの径方向の外側に向かうほど低くなるようにも傾斜する。
【0081】
上記8)の構成によれば、一対の上突出アームの熱変形に伴って上突出アームと支持傾斜面との当接位置が径方向の外側へ変位しても、上支持面を基準とした上突出アームの内端部の上昇量を低減できる。これにより、上半ケーシングおよび下ケーシングが上突出アームの熱変形につられて変形することを抑制できる。
【0082】
9)幾つかの実施形態では、上記8)に記載のタービンケーシングユニットであって、
各々の前記上支持面は、前記平面視において前記上支持面の中心よりも前記軸方向の前記他方側、且つ、前記タービンロータの径方向の内側に位置する平坦面(72)をさらに有する。
【0083】
上記9)の構成によれば、一対の上突出アームの熱変形が起こる前、平坦面によって上突出アームが支持される。支持面積が確保されるので、支持台は一対の上突出アームを安定的に支持できる。
【0084】
10)幾つかの実施形態では、上記7)から9)のいずれかに記載のタービンケーシングユニットであって、
前記支持台は、
基礎(9)から上方に延在する一対の上半支持台(60)と、
前記一対の上半支持台にそれぞれ載置される一対のプレート(上プレート65)と
を含み、
前記一対のプレートの各々の上面には、前記上支持面が形成されている。
【0085】
上記10)の構成によれば、上支持面がプレートの上面に形成されるので、上支持面の傾斜の度合いは、プレートの選別またはプレートの加工によって調整自在となる。これにより、上支持面の所望の傾斜が実現されやすくなる。
【符号の説明】
【0086】
1 :タービンシステム
3 :タービンケーシング
4 :軸受装置
5 :タービンロータ
5C :軸線
7 :タービンケーシングユニット
9 :基礎
10 :タービン
14 :動翼
16 :内側ケーシング
18 :翼環
19 :静翼
20 :ダミーリング
30 :下半ケーシング
32 :下フランジ
40 :上半ケーシング
42 :上フランジ
43 :下内端面
46 : 一方側下縮径部(下縮径部)
47 :他方側下縮径部
48 :一方側下突出アーム(下突出アーム)
49 :他方側下突出アーム
52 :当接傾斜面
54 :当接平坦面
55 :当接下面
56 :上縮径部(一方側上縮径部)
57 :他方側上縮径部
58 :一方側上突出アーム(上突出アーム)
59 :他方側上突出アーム
60 :支持台
61 :下半支持台
62 :上半支持台
65 :上プレート
69 :下プレート
71 :上支持面
72 :平坦面
75 :中心
77A :支持傾斜面
98 :上半支持台
99 :上プレート
101 :第1角部
102 :第2角部
103 :第3角部
104 :第4角部
482,582 :先端部
581 :基端部
583 :内端部
584 :外端部
R2 :寸法
S :内部クリアランス

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13